平成10年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(宇治田栄蔵議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時六分開議
○議長(木下秀男君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(木下秀男君) この際、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、知事から地方自治法第二百二十一条第三項に定める法人の経営状況を説明する書類の提出が、また監査委員から、監査の結果報告及び現金出納検査の結果報告がありました。
 以上、報告いたします。
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○議長(木下秀男君) 次に、報告いたします。
 知事から、議案の追加提出がありました。
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                     財第59号
                     平成10年6月15日
 和歌山県議会議長  木 下 秀 男 殿
              和歌山県知事  西 口   勇
   和歌山県議会平成10年6月定例会追加議案の提出につい
   て
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、下記のとおり議案を提出します。
               記
 議案第101号  平成10年度和歌山県一般会計補正予算
 議案第102号  平成10年度和歌山県流域下水道事業特別会計補正予算
 議案第103号  平成10年度用地取得事業特別会計補正予算
 議案第104号  平成10年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
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  【日程第一 議案第百一号から議案第百四号まで】
○議長(木下秀男君) 日程第一、ただいま報告の議案第百一号から議案第百四号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) ただいま上程されました補正予算案等について、ご説明申し上げます。
 最近の厳しい経済情勢に対応するため、本県といたしましても、先般策定された国の総合経済対策を踏まえ、公共事業等の追加や中小企業対策などを柱として、一般会計で二百六十六億六千百万円、特別会計で五億七千三百万円の補正予算をお願いするものであります。
 まず、公共事業等の追加についてでありますが、県内交通基盤の整備を促進するため、第二県土軸関連道路や府県間道路等の整備をより一層進めるとともに、南紀白浜空港の二千メートル化や日高港等の事業促進を図るほか、和歌山市周辺の渋滞対策についても積極的に取り組むこととしております。
 また、環境対策として紀の川流域下水道や農業集落排水施設等の整備を促進するとともに、自然公園施設の整備や和歌川の環境整備を進めるほか、防災対策として災害に関する情報を迅速に収集するための情報基盤の整備を行うこととしております。
 さらに、農林水産業の分野では、平成九年産ミカン及びカキの価格低迷による農家の経営安定を図るため新たな融資制度を創設するとともに、本県の高品質ミカンの生産体制を強化するため、高性能集出荷施設の整備を行うこととしております。
 次に、中小企業対策についてでありますが、本県の景気動向等を踏まえ、不況対策特別資金の融資枠を当初の五十億円から百億円に拡大するとともに、先般、紀陽銀行との間で事業譲渡の基本合意が成立した和歌山県商工信用組合との間で正常な取引関係にある中小企業者の資金需要に適切に対応するため、五十億円の融資枠で新たな融資制度を創設することとしております。
 以上が、予算案の主な内容であります。
 また、今回の補正予算に伴う市町村負担金について議決をお願いするとともに、別途、法人の経営状況に関する書類を提出しております。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
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  【日程第二 議案第八十二号から議案第百号まで、及び報第一号から報第三号まで】
  【日程第三 一般質問】
○議長(木下秀男君) 次に日程第二、議案第八十二号から議案第百号まで、及び知事専決処分報告報第一号から報第三号までをあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 22番宇治田栄蔵君。
  〔宇治田栄蔵君、登壇〕(拍手)
○宇治田栄蔵君 六月県議会の冒頭に質問の機会を与えていただきました先輩同僚議員に対しまして感謝申し上げ、質問をさせていただきます。
 去る三月二十七日、県商工信用組合は自主再建を断念し、一年後をめどに紀陽銀行に事業を譲渡し解散すると発表しました。
 県信は、昭和二十九年に西牟婁信用協同組合として設立され、昭和三十一年に県商工信用組合と商号を変更し、その業務を拡大し、県内中小企業の発展に資金面から貢献してきたところであります。その後、平成元年、県富士信用組合を吸収合併し、現在に至ったもので、二月末時点で三十三店舗、預金量約三千十八億円、従業員数五百三十人で、全国信組で第八位の規模を誇り、県内経済の発展に大きく寄与してきました。
 ところが、一九八〇年代、急激な拡大路線をとった結果、バブルの崩壊とともに業績が悪化し、このため、平成五年、県は市川公室長を理事長に派遣し、翌年には県五十億円、紀陽銀行五十億円、全国信用協同組合連合会二百五十億円、総額三百五十億円の緊急融資を行う支援をし、県信自身もリストラにより店舗数は四十五から三十三店舗に、行員数も六百九十人から五百三十人に削減し、再建に取り組んでいました。
 このような努力にもかかわらず、折からの経済不況もあり、事業譲渡して解散するのやむなきに至ったのはまことに残念であります。平成八年十一月の阪和銀行の経営破綻に続く県信の解散は、金融界のみならず、地域経済や県民生活に深刻な影響を与えるものと考えられます。
 そこで、まず、県信が再建を断念し、紀陽銀行への事業譲渡を決断することになった経緯、及び取引中小企業対策など今後の県信対策について、知事のご所見をお伺いいたします。
 信用組合の検査・指導については、国の機関委任事務として県が行っております。県においては検査を通じ県信の経営状況を把握し得る立場にあったと思われますが、指導監督に問題はなかったのか、商工労働部長にお伺いいたします。
 紀陽銀行への事業譲渡は一年後をめどにということでありますが、それまでのスケジュールはおおむねどうなっているのでしょうか。特に、店舗の統廃合について県民は大きな関心を寄せています。指定金融機関となっている桃山町、美里町、本宮町の三町や店舗廃止が地域に深刻な影響を与える各市町村では、店舗の存続を強く望んでいます。紀陽銀行はどれぐらいの店舗を引き継ぐ予定なのか、商工労働部長の答弁を求めます。
 次に、県信破綻が県経済に与える影響についてお尋ねいたします。
 我が国の経済情勢を見ますと、例えば経済企画庁が発表した六月の月例経済報告は、三カ月連続で景気は停滞し、一層厳しさを増しているという総括判断を示しました。また、四月の完全失業率は四・一%と過去最高の数字となり、我が国経済が景気後退の中で物価が持続的に低下するという、いわゆるデフレーションの状態に突入したのではないかという観測もなされているところであります。また、六月十二日発表の国民所得統計速報によると、平成九年度の実質国内総生産は前年度に比べて〇・七%減少し、二十三年ぶりのマイナス成長となっております。一方、本県経済におきましても、本年五月の倒産企業が件数、金額ともに過去二十年間で最悪の状態になるなど、依然として厳しい状況にあります。
 県信は、昭和二十九年に設立されて以来、一時は四十六店舗を有し、現在もほぼ全県をカバーする三十三店舗を有しており、銀行との取引が難しい中小零細業者が利用しやすい金融機関として県経済を支えてきました。県内における取引中小企業数を見ましても、阪和銀行では四千件であったのに対し県信は約七千件となっておりまして、県信破綻の影響は阪和銀行のときより大きいのではないかと考えます。県経済への影響と対策について、商工労働部長にお伺いいたします。
 最後に、職員の雇用対策についてお尋ねいたします。
 県内の雇用状態は、本年五月の有効求人倍率が六カ月連続で前年を下回り、過去十年で最低の〇・五二倍となるなど、非常に厳しい状況であります。紀陽銀行が百人程度の採用を検討するようでありますが、五百余名全員の再就職となると大変厳しいものがあると考えられます。阪和銀行の際も県は積極的に雇用対策に取り組まれましたが、県信についても、これだけ多くの従業員が再就職できないとなると、和歌山という小さな経済にとって極めて重大な影響を及ぼすことになり、何らかの取り組みが必要であると考えております。県は県信職員の雇用対策についてどのように考えておられるのか、商工労働部長にお尋ねいたします。
 次に道路網の整備について、紀淡連絡道路、第二阪和国道、南港山東線、県道市道の見直しの四点について質問をいたします。
 去る四月五日、明石海峡大橋が開通し、本州と淡路島が陸続きとなり、近畿と四国が陸路で結ばれました。明石海峡大橋は全長三千九百九十一メートル、世界最大のつり橋で、総工費約五千億円、十余年の歳月を経て完成をいたしました。
 県議会太平洋新国土軸建設促進議員連盟では、五月二十六日、二十七日の両日、同橋の視察に参ったところであります。四月五日から五月二十四日までの通行量は百六十万台、一日平均約三万二千台で、一日のピークは九万台の通行があり、新名所となり多くの観光客が淡路島を訪れるなど、大きな開通効果をもたらしております。北淡町震災記念公園野島断層保存館は四月に完成し、二カ月で六十四万人の入場者があり、予想の十倍の入りで活況を呈していました。
 しかし、一方で県内の状況を見ておりますと、五月連休時に紀南地方の観光客が減ったというようなこと、また、和歌山から徳島へ渡る高速船の便数が半減し非常に不便になったことなど、和歌山県としてマイナスの効果も出ており、新しい太い流れができるとそこにいろいろな効果が吸い込まれていく、いわゆるストロー現象が生じているのであります。新しい道路を整備すれば古い道は寂れ、その道路に頼っていた地域の経済活動等についても衰退を余儀なくされるのであります。地域の発展が人や交通の流れによってもたらされるとすれば、明石海峡大橋ができた今、この和歌山に太い交通のパイプをつくっていかなければ将来の和歌山の発展は望めないということであります。それが大阪湾環状交通体系であり、また関西大環状道路であり、さらにまた太平洋新国土軸であり、二重三重の大きな人の流れをつくること、それが紀淡連絡道路をつくる意味であります。
 また、明石海峡大橋の開通だけがクローズアップされておりますが、その陰で同時に神戸周辺で五本の高速道路や自動車専用道路が開通し、一挙に神戸市西部地域の道路整備が進んだのであります。いわゆる関連道路の整備ということで、通常であればなかなか進まない道路整備が短時間に進む、このことの効果も実に大きいものがあります。一本の橋の開通が地域にいかに大きな恩恵をもたらすか、明石海峡大橋がそのことを目の当たりに見せてくれていると思います。
 明石海峡大橋が開通した今、次は紀淡連絡道路の番であり、ぜひとも早期実現を図られねばなりません。新全国総合開発計画並びに新道路整備五カ年計画に紀淡連絡道路が明確に位置づけられ、五月二十九日には閣議決定されたところでありますが、厳しい経済財政状況の中でいかに国を動かし、経済界を動かし、どのような戦略で紀淡連絡道路の早期実現を図っていくのか、知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、第二阪和国道についてお伺いをいたします。
 第二阪和国道は、和歌山市内への大阪方面からの玄関口として、また住宅開発が進む紀の川北側の交通混雑を大幅に緩和する幹線道路として、和歌山市民が早期開通を強く望んでいる道路であります。また、今の南海橋の、朝夕車が突き合わせ、通学生の自転車がすれすれに通っていく現状を見ておりますと、いつ事故が起こっても不思議ではなく、中核市・和歌山市の中心部にまだこのような老朽橋が残されているのかと非常に残念であり、交通安全の面からも一日も早い開通が望まれるところであります。
 この道路は市街地部を通過するため、用地等について関係の皆さんの大変なご苦労があったと思いますが、市のご努力により用地買収も九割を超え、昨年からは楠見地区や紀の川右岸にも橋脚の姿が見えてきており、大変心強く思っておりますが、今後の見通しについて土木部長にお伺いをいたします。
 次に、都市計画道路南港山東線についてお伺いをいたします。
 和歌山市の中心部に流入する交通はJRなどの鉄道によって大きく分断されており、東西を連絡する幹線道路網の整備促進が大きな課題となっております。特に、現在、南港山東線の整備が進められている国体道路から東に向けての区間が、JR紀勢本線のガード下が非常に狭く、かつ低くて見通しも悪いために退避することもできない、こういう状況でありまして、車が対面交通できないために常に渋滞を起こしているわけであります。このように対面交通さえできないという道路はこの箇所だけと言っても過言ではないと思うわけであります。しかも、この付近は県立看護短大、そしてまた県営住宅があり、周辺の住宅開発も進んでおり、このために交通渋滞は日に日に増しているのが現状であります。この区間については南港山東線の整備が進められておりますが、一日も早い交通渋滞の解消のための道路整備、これが地元住民の要望でございます。この道路の見通しにつきまして、土木部長の答弁を求めるものであります。
 次に、和歌山市内の県道網についてお伺いしたいと思います。
 海草振興局の管内図を見れば、和歌山市内の県道網が複雑に入り組んでいるのにびっくりするのであります。例えば和歌山駅から紀三井寺に至る国体道路でありますが、宮前小学校北の交差点から紀三井寺交差点までは県道和歌山海南線であり、和歌山駅から宮前小学校北の交差点の間は、一部を除いて市道となっているわけであります。また紀の川北岸の道路では、岩出から北島橋までは県道、北島橋から紀の川大橋の間は市が占有する道路、そしてまた紀の川大橋から河口までは港湾道路として県が建設促進をしようとしているというふうに、一本の道が市道、県道、また市道というふうな形でばらばらになっているわけであります。このような例は、西脇山口線、シーサイドロード、市駅小倉線、湊神前線など、随所にこういう箇所が見られるわけでございます。
 こうして見ますと、市内の幹線道路のほとんどが、一本の道でありながら道路管理者が県であったり市であったり、一般の県民には実にわかりにくいのが現状であります。都市計画道路などの新しい道路を建設するときは、早期整備を図る上で県と市が協力し、それぞれ区間を分担して建設することはぜひとも必要でありますが、その道路が完成した後は一本の筋を通して、例えば国体道路であれば和歌山駅から紀三井寺交差点までの間を一路線の県道として認定するなど、県市の間で調整していただきたいと考えます。道路を建設する、あるいは管理する側からだけの道路行政であってはなりません。沿道に住む人々や道路を利用する県民の立場に立った行政が強く望まれるところでありますが、このことについて土木部長のご所見をお伺いいたします。
 次に、本県スポーツの振興についてお伺いいたします。
 現在、フランスでサッカーのワールドカップが開催されており、日本も初出場ということで、国民の目もテレビに集中し、またサポーターが多数フランスへ応援に行くなど、大いに盛り上がっております。昨日のアルゼンチン戦では、ゼロ対一で惜敗をいたしました。二戦、三戦は勝って、ぜひとも予選を通過してもらいたい、これが日本国民の願いであり、我々の願いでもございます。
 多くの感動を与えてくれた長野冬季オリンピックもそうでありますが、スポーツは卓越した技術だけでなく、そこに至るまでの心身の鍛練、精神的な重圧の克服など、その一人一人の選手の栄光とともに、その生きざまが多くの人々に深い感動を与えるものであります。
 さて、本県のスポーツでありますが、長野オリンピックに本県出身の選手が三名出場し健闘されたわけでありますが、全体的に見て低迷しているのではないでしょうか。国民体育大会を見ますと、二巡目国体のスタートであった十年前が十九位、九年前が二十位、八年前が二十七位と健闘していたのに、昨年は三十八位、平成八年は三十九位、平成七年は三十八位と、残念ながら近年振るわず、スポーツ王国和歌山としては不本意な状況と言わざるを得ません。昭和四十六年の黒潮国体では、県や各企業等で優秀な人材を確保した結果、総合優勝を果たしました。不振をきわめている現在、この現状を打開するには優秀な選手の確保と育成、さらにその選手を育てる指導者の充実が不可欠であります。
 毎年、教員採用検査が実施されておりますが、その採用に当たっては高い競技力を持つ選手にもっと配慮し、採用することが必要であると考えますが、教育長の答弁を求めます。
 一方、中学校、高等学校における運動部活動の状況ですが、運動部員数も減少し、また指導者においても専門的な技術を持った先生が少なく、やむなく衰退していく部活動もあると伺っておりますが、学校における運動部活動の現状と今後の活性化の方策について、教育長にお伺いをいたします。
 また、私も空手を行っている関係で、武道には強い関心を持っておりますが、武道については他府県では警察関係が職務柄中心的に優秀な人材を確保し、強化を図っていると伺っております。本県では優秀な武道関係の警察官採用についてどのような考えを持っておられるのでしょうか。私は、武道を通して鍛えた体、精神力、正義感等はこれからの警察官にはますます重要であると思いますが、最近の採用の状況とあわせて、その考え方について県警本部長にお伺いをいたします。
 次に、武道館の建設について質問をいたします。
 スポーツは青少年の健全育成に重要な役割を果たしており、また高齢化社会が進展していく中で、心のよりどころとして多くの人々に親しまれています。スポーツの振興を図る上で、スポーツ施設の整備は欠かすことのできないものであります。私は武道関係者の一員であることから、スポーツ施設の中でも、他府県に劣らない武道館の必要性を痛感しているところであり、武道関係者の早期実現に向けての期待は日に日に高まっています。先般、県立総合武道館の早期実現へ向けて、本県の武道愛好家約四万人の署名を添えて知事に陳情したところであります。県立武道館の建設に向けての進捗状況、及び本県スポーツ振興の考えについてお伺いいたします。
 最後に、県立医科大学の跡地利用についてお伺いをいたします。
 県立医科大学は、昭和六十三年、移転先が紀三井寺に決定されて以来、総工費約九百五十三億円、約十年の歳月を経てこの夏完成の運びとなり、本年九月には大学部門が、来年五月には病院が移転されます。同医大の完成までの関係各位のご努力に敬意を表するとともに、県民医療の中核かつ高次医療機関として県民の要望にこたえてくれるものと期待しております。
 県立医科大学の移転に伴い、跡地利用が問題となっています。この跡地は、和歌山市の中心部に位置し、和歌山城を前面とする面積約一・七ヘクタールの貴重な県有地であり、東は銀行、証券会社などの金融機関が、西は伏虎中学校がそれぞれ隣接しております。このように貴重な跡地であることから、その利用に当たっては県勢の活性化、県民福祉などに大きく寄与するよう利用されなければなりません。
 県当局においては、跡地利用懇話会を設置して跡地利用について検討しておられます。その懇話会のほか、県議会、和歌山市議会でさまざまな意見が出ているところでありますが、その中で、伏虎中学校を移転し一体開発すべしとの意見も出たことから、伏虎中学校は移転させられるのかと、伏虎中学校の教員、生徒及び父兄に少なからず動揺を与えています。
 伏虎中学校は、昨年創立五十周年を迎えた伝統校であり、昭和三十七年には在校生二千六百五十三名を数えた県下一のマンモス校、名門校であり、ドーナツ化現象で生徒数が減少したとはいえ、現在なお四百二十八名の在校生の勉学、スポーツの学びやとして重要な役割を果たしています。また、私を含めて同窓生の青春の思い出であり、心のふるさとであります。
 このような学校の役割に思いをいたすとき、軽々に伏虎中学校の移転を考えるべきではありません。今回は、跡地及び一部周辺地に限定してその利用を考えるべきであります。県当局においては跡地利用について現在どのように取り組んでいるのか、また今後の方針についてお尋ねいたします。
 以上で、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの宇治田栄蔵君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 宇治田議員にお答えをいたします。
 まず、県信問題についてでございます。
 県商工信用組合は、市川新体制のもとで平成六年度から再建計画をスタートさせ、その遂行に向けて懸命に努力をし、相当の実績を上げてきたわけでございます。県といたしましても、中小零細企業の保護育成、地域信用秩序維持の観点からいたしまして、県、全国信用協同組合連合会、紀陽銀行の三者協調で、お話にございました総額三百五十億円の低利融資を実施してきたところでございます。
 しかしながら、旧経営陣から引き継いでまいりました多額の不良債権の重圧、さらに長引く景気の低迷などにより債権回収が徐々に厳しくなるという状況に加えまして、金融三法の成立によって早期是正措置が平成十年四月から導入されるという、県信にとっては非常に厳しい経営環境となったわけでございます。
 県信は、新組合の設立など、幾つかの可能性を検討してきたわけでありますが、九年度の決算見込み等から早期是正措置を乗り切ることは極めて困難であると判断いたしまして、本年二月に県に対し、紀陽銀行への事業譲渡のあっせん依頼があったわけでございます。
 県といたしましても、国、日銀などと協議をいたしまして、また県信の意向もお聞きをしながら、あらゆる方向で処理策を検討してきたわけでございます。結果、預金保険法の枠組みに基づきまして、本県リーディングバンクである紀陽銀行へ事業譲渡することが、預金者や取引中小企業を保護し、地域経済を混乱させないためにとり得る最善の策ではないかと判断をいたしまして、銀行、組合間の仲介を行ってまいったところでございます。
 業務を停止すれば阪和銀行のときを上回る混乱が予想された中で、紀陽銀行のご決断もございましてそのような事態を回避するに至ったわけでございまして、去る三月二十七日に紀陽銀行と県信の間で事業譲渡に関する基本合意がなされたところでございます。
 今後の県信対策についてでございますが、取引中小零細企業の金融取引の円滑化をどのように図っていくのか、地域住民の利便性を確保する観点から県信の店舗を地域にどう残していくのか、雇用情勢の厳しい中で五百余名の職員の再就職をどうするのかなどの課題が山積しておるわけでありまして、これらの課題は、紀陽銀行を初め関係各位のご協力もいただきながら解決を図っていく必要があると考えてございます。
 取引中小零細企業対策につきましては、事業活動に支障が生じている県信の正常取引先の方々に必要資金を低利で融資する県信対策特別資金の予算を本議会にお願いしているところでございまして、今後とも県経済安定のために努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、紀淡道路に関連してのご質問であります。
 明石海峡大橋に関連してのお話がございました。私も同感でございますが、紀淡海峡道路が先般の新しい全国総合開発計画並びに新道路整備五カ年計画に初めて固有名詞が掲げられ、その構想を推進すると明記されたわけでありまして、いよいよ国家プロジェクトとして推進することが明確に位置づけられましたことは、実現に向けて大きな一歩を示したということになろうと思います。
 このことにつきましては、私としても回を重ねて国に強く働きかけてまいったところでございまして、また、県議会太平洋新国土軸建設促進議員連盟を初め、関係の皆さん方に大変なご協力をいただき、深く感謝をしておるところでございます。
 紀淡連絡道路につきましては、近畿圏のみならず、西日本全体の中で交流・連携を図るリーディングプロジェクトとして、早期実現に努力を傾注していかなければならないと考えてございます。しかし、財政構造改革の大変厳しい状況の中で、しかも全国では六つのプロジェクトが構想されているという状況の中で、幾つかの克服すべき課題があるわけでありまして、今後とも関係府県で構成している大阪湾環状紀淡連絡道路建設推進協議会、あるいは関西経済連合会など、関係団体の方々とともに力を合わせて強力に国に働きかけてまいりたいと考えてございます。
 県議会におかれましても、より一層のご協力を賜りますようにお願い申し上げまして、お答えにいたします。
 以上であります。
○議長(木下秀男君)  商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 県信問題についてのうち、四点についてお答えします。
 まず県の検査、指導についてでございますが、県は国の機関委任事務として信用組合の検査や指導を行っております。
 まず検査については、平成五年度に国・県共同検査、七年度と八年度には県単独検査を行い、その結果に基づき必要な指示を行ってまいりました。また指導面でございますが、県信内に設置した経営改善委員会のヒアリングを四半期ごとに実施するとともに、県、全国信用協同組合連合会、紀陽銀行の三者で構成する県信再建支援連絡会議を定期的に開催するなど、再建計画の進捗状況を把握し、必要な指導を行ってきたところでございます。
 平成八年六月に金融三法が成立して以降は、十年四月の早期是正措置の導入を視野に入れながら、国、日銀等、関係機関と協議し、従来にも増して厳しい指導を行ってまいりました。経営は県信自身の責任で行うべきものであることは当然のことでありますが、結果的に県信の再建が立ち行かなくなったことにつきましては残念に思っているところでございます。
 次に、事業譲渡のスケジュールと店舗の存続についてでございますが、紀陽銀行と県信は、去る三月二十七日に基本合意を、また五月十五日に事業譲渡契約を締結し、現在、両者間で事業譲渡作業の準備を進めているところでございます。
 今後の主なスケジュールについては、六月二十六日に県信は総代会を開催し、事業譲渡等を審議する予定であり、また紀陽銀行も同日に株主総会を開催し、事業譲り受けを審議することになってございます。また、県信の資産を分類し、預金保険の贈与額を確定するための国・県共同検査を秋ごろに実施し、おおむね一年後を目途に紀陽銀行と整理回収銀行に事業譲渡する方向で進んでございます。
 県といたしましても、県信に顧問団を派遣して資産の劣化防止に努めるとともに、国や預金保険機構、受け皿銀行等の関係機関と協議しながら、本事業譲渡が円滑に進むよう指導を行っているところでございます。県信規模の金融機関を移行させるためには膨大な作業量があるため、事業譲渡が完了するまで積極的にその進行把握をしてまいりたいと考えてございます。
 店舗につきましては、紀陽銀行は原則として引き継がない方針でございますが、議員ご指摘のように、県信の店舗がなくなった場合、町指定金融機関となっている美里町、桃山町、本宮町など地元への影響も大きく、県に対しましても幾つかの町村から存続の要望をいただいているところでございます。今後、紀陽銀行と県信の協議を基本としながらも、地域事情が反映されるよう強く働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に、県経済の影響についてでございますが、県信は本年三月末現在で預金量約二千七百億円、組合員三万五千余名を有しており、また預金口座数約五十六万口、貸出先数約二万三千先、うち事業資金の貸出先は約七千二百先となっており、信用組合としては全国有数の規模となってございます。また、三十三店舗で県内全域をカバーしており、約五百名の職員を抱えてございます。
 こういった状況の中で、取引中小零細企業の金融取引の問題、地域の預金者等の利便性確保の問題、雇用問題等、県信の破綻が本県経済に与える影響は大きいと考えてございます。今後、事業譲渡を円滑に進める中で、できるだけ多くの県信取引先を紀陽銀行に引き受けてもらうよう働きかけるなど、必要な対策を実施してまいりたいと考えてございます。
 最後に職員の雇用問題についてでございますが、県信は五月末現在で五百三名の職員が在職しており、議員ご指摘のように厳しい雇用情勢であり、非常に憂慮しているところでございます。そういった中で、紀陽銀行には百名程度の採用を検討されており、また県信内にも雇用対策委員会が設置され、職員の意向調査を実施するなどの取り組みを行っており、今後就職あっせんを実施していくことになってございます。
 県といたしましても、社会的影響が大きいことを考慮し、預金保険機構や整理回収銀行に対し職員の雇用を働きかけていくとともに、事業譲渡作業の進行状況等を勘案しながら、職員の意向も踏まえ、積極的に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 宇治田議員のご質問にお答えいたします。
 まず第二阪和国道でございますけれども、この第二阪和国道につきましては、県議会の第二阪和国道・京奈和自動車道建設促進議員連盟を初め、関係の方々のご協力をいただきながら事業の促進を図っているところでございます。
 先ごろ、建設省により、現在事業中の和歌山北バイパスの新道路整備五カ年計画期間内──これは平成十四年度内ということですが──の供用予定が公表されたところでございます。
 和歌山北バイパスの現在の進捗状況でございますけれども、用地は全体の約九一%が取得済みでございます。また、工事につきましては、楠見高架橋の全橋脚五十基のうち十二基が完成、十四基が施工中でありまして、また、仮称でございますけれども、新南海橋につきましては全橋脚・橋台九基のうち二基が施工中でございます。
 今後とも、関係する市とともに、関連する都市計画道路西脇山口線、六十谷手平線の整備やJR紀勢本線の鉄道高架などの事業を促進しながら、和歌山北バイパスの平成十四年度内の供用を国に強く働きかけてまいります。また、あわせて大阪府に向けての府県境部の早期事業化につきましても強く要望してまいります。
 次に南港山東線のご質問でございますが、この南港山東線は、和歌山市の市街地を東西に通る主要な都市計画道路でございます。現在、国体道路からJR紀勢本線を地下式で立体交差し、県道和歌山海南線に接続する区間について、交通の利便性の確保を図るために整備を行ってございます。
 JRとの立体交差部分につきましては、平成八年度からJR西日本に工事委託を行い、現在、地盤改良工事を行っているところであり、平成十三年度の供用開始を目途に努力してまいります。
 次に、県道と市道の見直しについてのご質問でございます。
 この県道と市道でございますけれども、一般的に申し上げますと、幹線道路的なものは県道、生活道路的なものは市道というふうにして管理しておるわけでございますけれども、交通量の増大に対応するための道路の建設をそれぞれの道路管理者の道路管理区分に従って実施して接続し、またそのまま管理しているということなどによりまして、一部管理区分が住民の方々にわかりにくくなっている箇所があるということでございます。
 今後は、議員ご提言のとおり、住民の方々にわかりやすくなるよう、交通の流れなどを見ながら、道路管理者間の調整が整う箇所から見直してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 企画部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○企画部長(中村協二君) 宇治田議員にお答えをいたします。
 県立医科大学の移転に伴う跡地利用につきましては、鋭意検討を進めているところでございます。
 現在の医大の敷地は、ビジネスや商業の集積地区に隣接する一・七ヘクタールの大規模な県有地であり、この有効な活用は県の活性化にとって大変重要な課題となっております。
 現在、この活用方策について跡地利用懇話会でご検討いただいているところでありますが、県といたしましては、第一回懇話会で出されました、この県有地へ導入すべき機能等についてのご意見や検討課題などをまとめ、次回の懇話会の中でさらに検討を深めていただく予定でございます。
 本年中には、同懇話会での意見を取りまとめていただき、ご報告をいただけるようお願いいたしております。その後、懇話会報告を尊重しながら、年度内に県としての基本構想を策定したいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) スポーツの振興に関する宇治田議員のご質問にお答えいたします。
 スポーツ活動を通しての爽快感や楽しさ、また健康の保持増進など、スポーツ活動は心豊かな生活の基盤づくりに極めて意義深いものであると認識いたしております。特に、高い競技力を有した本県選手が国際大会や各種全国大会で活躍することは、県民に明るい話題を提供するとともに、二十一世紀へ向けて輝く和歌山の創造に寄与するものであり、そのための優秀な人材の確保は大きな課題であります。
 ご質問の教員採用候補者選考におきましては、人間性豊かで幅の広い人材を確保すべく、筆答検査の成績に偏らず、実技や面接を重視して、部活動の指導力等を含めた優秀な人材を確保できるよう、毎年工夫改善を行っているところであります。
 なお、中高共通の保健体育につきましては、水泳、球技、武道などの専門的な実技検査も実施してございます。
 運動部活動の現状でありますが、平成八年度の本県生徒の運動部加入状況は、中学校で七四%、高等学校で四〇%となっており、全国との比較では、中学校ではやや上回っておりますが、高等学校では九%低い状況にあります。
 次に、運動部活動の指導者につきましては、専門的な指導者がいない学校に対して、運動部活動地域連携促進事業として、中高合わせて三十八校に四十六人の外部指導者を派遣いたしております。また、今年度から、特色ある学校づくりの一環として、高等学校の運動部を特別に指定し、競技力向上体制の整備及び競技力の向上を図ることを目的としたハイスクール強化モデル校指定事業を実施し、運動部活動の活性化を図ることといたしております。
 運動部活動は、心身ともにたくましい生徒を育成し、幅広い社会性を身につけるなど、望ましい人間関係を育てるとともに、学校全体の活性化にも大きな役割を果たすものであります。今後も、学校教育活動の一環として一層の充実を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に県立武道館建設についてでありますが、スポーツの振興を図るためにスポーツ施設の整備は重要な課題であると受けとめております。現在、県立武道館を初めとするスポーツ施設全般のあり方について関係部局と検討を重ねているところであり、早期にその方向性を出せるよう努力してまいります。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 警察本部長米田 壯君。
  〔米田 壯君、登壇〕
○警察本部長(米田 壯君) 宇治田議員のご質問にお答えをいたします。
 警察官は、職務の性格上、強靱な体力と精神力のほか、犯人を制圧するための武術的な技能を必要といたしておりまして、警察官採用試験の募集活動において柔道や剣道の有段者も積極的に勧誘しているところであります。
 昨年度実施されました採用試験での採用者六十七人の中には、柔道有段者が七人、剣道有段者が十三人、空手有段者が三人、それぞれ含まれております。
 本県の警察官の採用試験は一般競争試験により行われておりまして、武道高段者を対象とした特別枠を設けた採用試験は行われておりませんが、全国では十数府県で武道高段者の特別枠を設けた採用試験が実施されておると聞いております。
 武道高段者の採用促進につきましては、本県警察においても今後の課題としてその必要性も含めて検討の上、採用試験の実施主体である県人事委員会と協議してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 22番宇治田栄蔵君。
○宇治田栄蔵君 先ほども申しましたが、六月十二日の発表によりますと、国内総生産はマイナス成長になったという状況でございまして、折からの経済不況の中、貸し渋りということが社会的にも非常に大きな問題となっております。そういう中で、この和歌山県は阪和銀行の経営破綻と、これに続く県信の解散ということでありまして、本当に和歌山県の経済はこれからどうなっていくんだろうと、大変皆心配しているわけでございまして、先行きが不安でございます。
 こういう中にありまして、やはりもうみんな県の行政に頼る部分がどうしても多くなってくるわけでございます。今後、県におきまして、本日は五十億の融資ということの補正予算も出てございますが、より一層充実した対策をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で宇治田栄蔵君の質問が終了いたしました。

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