平成10年2月 和歌山県議会定例会会議録 第8号(門 三佐博議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 8番門 三佐博君。
  〔門 三佐博君、登壇〕(拍手)
○門 三佐博君 七日間にわたる本会議一般質問におきまして、各議員から県民の声を集約した重要な問題が取り上げられ、当局の考えをただされましたが、私が最後の質問者ということで登壇を許されました。重複する点もあると思いますが、お許し願いたいと思います。
 最初に、長期総合計画についてお尋ねいたします。
 私は小学校三年生のときに終戦を迎えまして、戦後の復興、高度経済成長とともに私の人生の歩みがあります。戦後復興期は、食べるものも事欠き、日々の生活が大変苦しかったことを子供心ながら覚えております。その困難の中から国民が力を合わせて立ち上がり、高度成長期を迎え、欧米先進国に追いつけ追い越せということで、国民は一丸となって物づくりに励みました。年平均一〇%を超える経済成長に確かな実感を感じたものでありました。
 昭和四十八年のオイルショック以降も、日本経済は合理化を進め、年平均五%程度の成長がありました。昭和六十二年以降の景気拡大は「バブル経済」と言われておりますが、平成三年、バブルが収縮し、その反動として景気の停滞感が日本を覆っております。マスコミでは「第二の敗戦」とか「日本売り」とか言われ、日本及び日本国民が自信を失っているのが今日の現状であると思います。
 私は、日本経済の生産力、技術力は崩壊するはずもなく、世界的な競争においてもまだまだ優位な状況は変わらないと思いますが、成長期に適していた日本型の経済社会システムは成熟化した社会において有効に働かなくなってきておると思います。成熟化した社会においては、個人や家庭においても目標や生きがいを持ちにくい時代になっていると思います。規模、数量、効率重視から創造性、快適性、文化性、さらには地球環境との共生といった多元的な価値が求められております。こういった生活者の視点に立った改革を日本において早急に実現化する必要があると存じます。
 昨年六月、財政構造改革の閣議決定がありました。当然のことながら財政赤字の削減は必要であり、立法化するのは当然と思われておりましたが、ただ、それ以降、一部上場のゼネコンや都市銀行、四大証券の一角である山一証券が倒産し、景気の状況は予断を許さないものとなり、政府としても財政構造改革の中で景気対策を打ち出す非常に苦しいかじ取りをされております。去る三月十三日に経済企画庁から発表されました国内総生産(GDP)成長率は年率にして〇・七%減に落ち込み、政府実績見込みの〇・一%成長の達成は厳しい状況となり、なかなか明かりが見えてきません。
 こういったもやもやとした停滞感は、やはり政府の将来ビジョンが明らかにされないために我々の暮らしの将来像が非常に不透明になっていることが原因かと思います。国土の将来ビジョンである全国総合開発計画もなかなかでき上がってきませんが、漏れ聞くところによりますと、開発か抑制かで具体的なプロジェクトの位置づけが決定していないと聞いております。具体的なプロジェクトのない計画では、新しい国土の展望が見えてきません。少子・高齢化の中で投資余力が減少していることは間違いないことから、大規模プロジェクトの実施は今しかないように思われます。特に、あらゆる面で集積割合が低い地方圏においては、道路を初めとする基盤整備が最も必要であり、国土の均衡ある発展に向けて取り組むことが今こそ必要でございます。和歌山県は、広域的なネットワーク社会の中で人や物の流れの拠点となるために、太平洋新国土軸のかなめとなる紀淡海峡大橋の早期実現に向けて、県の総力を挙げてぜひ取り組んでいく必要があると思います。
 さて、本県における将来ビジョンである長期総合計画が先般策定されました。今回の長計の策定に当たっては、審議会において長期間にわたり審議検討が行われ、大変な精力が注がれたと聞いております。
 知事は、今議会の冒頭、「『二十一世紀の故郷(くに)づくり』を掲げ、新しい和歌山県づくりを目指す」と所信を述べられております。今回の新しい長期総合計画では、「地球時代の故郷(くに)づくり」の中で精神的な豊かさを特に重視し、「ゆとりと充実 輝く和歌山新時代」を基本目標に県政を進めるとされております。この目標設定に当たりまして、知事はどのようなことを念頭に置かれ、この文言を設定されたのか、またゆとりと充実の実現のために何が課題となっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 二十世紀もあと三年。百年あるいは千年の時代の変わり目とも言われております。時代潮流の変化とともに、県民の考え方も多様化しております。計画づくりにおいては、県民の参画を得て県民ニーズを構想化する必要があり、また、それぞれの施策展開においても県民の積極的な協力が不可欠なものと考えております。
 今回は、審議会の圏域別の意見交換会に企画部長も出席されまして、市町村長さんや県民の意見を十分聞いていただき、計画に反映されたと伺っております。計画においても推進のための多様な主体の参加がうたわれておりますが、県民にどのような方法で理解を求めていくのか、そしてどのような方策で県民参加を促進するのか、企画部長のお考えをお聞きしたいと思います。
 また、長計にはそれぞれの地域の特性を生かし、個性、独自性を持った地域づくりを進める圏域別の計画が挙げられておりますが、これとともに、私どもの住みます橋本圏域の方では、平成三年八月に地方拠点都市法に基づく地方拠点都市地域の指定を受けまして、その後、地元の基本計画が策定され、間もなく知事から承認されると聞いてございます。このような両者の計画が並行して進められたわけでございますが、その整合性はとれているか、また橋本・伊都地域の将来像はどうなっているのか、企画部長にお尋ねいたしたいと思います。
 次に、農業振興と後継者問題についてお尋ねいたします。
 まず、果樹産地の整備充実についてお伺いいたします。
 今議会におきまして、温州ミカンを中心とした安値対策を初め、農業問題が多く同僚議員からも取り上げられておりますが、申し上げるまでもなく、平成九年産の果実は、梅などの一部の品目を除き、本県の基幹であるミカン、カキが予想を上回る豊作であったこと、金融不安等による景気の落ち込みが見られたこと、個人消費が低迷していること等々、要因が複雑に絡み合い、今までに経験したことのない価格の低下を招いたのであります。平成八年産が品質もよく高価格で推移したことから、農家の受けた精神的打撃は推して知るべしであります。さらに、平成十年産においても長引く景気低迷の中で厳しさを予想する人もおります。
 こうした情勢の中で、県当局において種々検討が行われ、関係団体と連携をとられまして、ミカン価格の安定を図るため、既存の加工枠では不足することから新たな枠を追加する措置を講じられるなど、満足とは言えませんが、その取り組みに対し一定の評価をあらわすものであります。時代が動けば社会システムが変わり、消費スタイルも変化するものであります。時代の変化を見据え、逆境に打ちかつ足腰の強い産地にするためにはどうすればよいのか、このことを真剣に考えていかなければなりません。
 農家の皆様方とひざを突き合わせて話をする中で、いろんな意見が出てまいります。「ことしも去年のような安値であれば農家もピンチである」と嘆く人もおれば、「もう少し辛抱しておれば専業農家の時が来るので、そのために基盤整備、省力化が必要だ」と、あすに夢を託す若い青年たちもおります。私の住むかつらぎ町は、全国に冠たるカキの大産地であります。紀の川両岸の急傾斜地を先人たちが開墾し、今日まで営々と築かれております。しかしながら、農家の皆さんの園地を見るにつけましても、急傾斜という地域の実態でありますが、園内道といいますか作業道といいますか、簡易な農道がもっと整備できれば作業効率は飛躍的に向上し、経費の節減にもつながると考えますが、いかがでしょうか。こうした農道の整備は、結果として生産量の調整に寄与し、品質向上にもなるなど、二次的な効果も期待できるものであります。
 そこで、農林水産部長にお尋ねします。価格低迷の中で将来を展望して元気の出る、カキ産地の活性化をどのように図っていかれようとしているのか、お伺いいたします。
 なお、昨年のカキにつきましては、ミカン同様安値であり、農家では肥料代や農薬代も払えないという声も聞いておりますので、県当局における農家への力強い支援策について、十分検討されるように要望しておきたいと思います。
 次に、農業大学校の充実であります。
 私は、戦後の食糧の厳しい時代を過ごしてきた者でありまして、食糧に対する思いは人一倍強いものがあります。農業を見るにつけ、それを支える人づくりや生産の基盤である農地の確保が大丈夫かという思いが先立つのであります。
 ご承知のように、我が国では、これまでの高度経済成長もあって農業も一つの産業であるという部分のみに目を向けられた結果、担い手は大幅に減少し、平成二年度の農林業センサスでは新規就農者は全国で千八百人を切り、新しく医師になる人数をも下回るという大変憂慮すべき事態を招いたのは記憶に新しいところであります。
 翻って本県を見ますと、新規就農者は昭和五十年代では百人を上回っていたものが、一時四十人前後まで減少し、現在はまた八十五人まで回復してきていると聞いておりますが、それは近畿では最も多く後継者が残っているとのことでございます。これまで県が推進してきました果樹や花などの栽培によって「もうかる農業」という方向に誤りがなかったと確信を持つ一方、将来に一抹の不安を持つところでございます。
 このような中、かつらぎ町にあります農業大学校は、すぐれた農業後継者を養成する機関として昭和四十六年に設立され、二カ年の全寮制で、技能習得はもとより、人間関係を培い、数々の有能な卒業生を地域に送り出してきております。現在、一学年四十名の定員で園芸を中心としたコースが設けられておりますが、また新しい技術といたしまして、コンピューターを使った経営分析やバイテク技術の習得にも力を入れていると聞いております。今議会に提出されている平成十年度当初予算案においても農業大学校の実験実習施設の充実が盛り込まれておりまして、大変意を強くするものであります。
 そこで、農林水産部長にお尋ねいたします。時代はいかなる変化を遂げようとも、私は今後の農政展開の基本はやはり人づくりであると考えております。県として県立農業大学をどう位置づけ、その充実強化をどうしようとしているのか、お答え願いたいと思います。
 次に、粉河町にある果樹園芸試験場の紀北分場の充実強化についてお尋ねします。
 本県の果樹生産は、ここ十年、果樹生産額で全国一位を堅持するなど、果樹王国和歌山を築いてまいりました。その基幹は、四百年の歴史と伝統あるミカンを中心に、カキ、桃、梅の四品目であり、それぞれ紀の川流域、有田地域、紀南地域の地域経済を支える重要な産業となってきております。中でも紀の川流域では、農家の積極的な取り組みもあり、地域を挙げてミカンからカキ、桃などの落葉果樹への転換が進み、それぞれ全国でも有数の銘柄産地へ発展成長を遂げております。
 こうした産地形成の陰には、関係者の血のにじむような努力があります。農家はもちろんのこと、農協、市町村、普及センター、そして試験研究機関等々、多くの関係者の創意工夫が生かされ、その果実として産地が形成できたのであります。この間の取り組みに、たくましささえ感じるものでございます。特に、落葉果樹産地を形成していく上でこれまで紀北分場の果たした役割は大きく、渋ガキの脱渋技術の開発や低樹高栽培技術の開発など、農家と地域に密着した技術開発に取り組まれ、多くの成果を挙げております。
 しかしながら、最近の消費動向は、輸入農産物の増加や品目の多様化、また子供の果実離れなどもあって大きく変化し、増大する落葉果樹栽培農家に対応するため、秀でた技能を堅持した人材、職員をこの施設に配置されまして、施設の充実が望まれておるところでございます。従来とは異なる試験研究も、次の時代をにらんだ新たな対応が強く求められているのではないかと考えるわけでございます。
 そこで、農林水産部長にお尋ねします。紀の川流域の落葉果樹産地の活性化を図る上で、試験研究機関としての紀北分場をどのように位置づけ、どのように充実強化されていくのか、お伺いいたします。
 引き続いて、紀の川左岸広域農道について部長にお尋ねいたします。
 紀の川左岸広域農道は、橋本市西畑からかつらぎ町西渋田まで、一期、二期地区を合わせまして十七・九キロメートル区間を平成三年度着手以来、着々と実施されております。紀の川左岸の中腹に、新しくできた道路が見えてまいりました。最近現地を見させていただきましたが、地籍調査のおくれなどから、一期地区に比べ二期地区のかつらぎ町側の工事が幾分おくれているように思われます。今後の工事実施予定についてお伺いいたします。
 また、地元住民も一日も早い完成を願っているところであり、建設促進を図っていただきたいのでございますが、この事業の供用開始予定年度の見通しなどをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、京奈和の自動車道でございます。
 本道路は、その名のとおり、京都、奈良、和歌山の近畿圏外郭を結ぶ高速体系を形成するとともに、紀淡連絡道を経由し、本州と四国、さらに九州を結ぶ第二国土軸として、地域交流の時代を迎える二十一世紀における日本の国土形成を大きく変化させる重要な道路であります。また、地域にとっても、紀泉百万都市構想の根幹施設として、さらに慢性化する国道二十四号線の渋滞緩和にと、大きな期待がかかっております。
 既に用地買収を行っている橋本道路では、近年の大幅な予算確保によりまして用地取得がかなり進みつつあると聞いております。また、それに続く紀北東道路につきましても、平成八年七月、建設省から原案の提示を受け、現在、地元説明会など、都市計画決定の手続が進められつつあります。さらに、紀北西道路も本年度事業化となり、京奈和自動車道の実現は着実に進みつつあると思われます。
 しかしながら、紀南地域に向けては既に一昨年、御坊市までの高速道路が開通して大変便利になった一方、紀北地域ではまだ高速道路が一メートルも供用されておらず、高速交通体系から大きくおくれをとっているのが現状であります。京奈和自動車道の一日も早い供用が望まれるところでありますが、この路線の建設促進と供用の見通しについてお伺いいたします。
 また、聞くところによりますと、京奈和自動車道の橋本道路にはインターチェンジを結ぶかなりな区間に側道が計画されているとのことでございますが、一方、現在地元説明会中の紀北東道路では側道が計画されていないということであります。これはなぜなのか。同じ路線でこのような違いが出ていることに、地元の南衛かつらぎ町長を初め多くの方々も大変不思議がられておるのが現状でございます。
 高速道路は自動車専用道路として計画されるために沿道利用ができず、大規模な盛り土による地域分断など、地域に重大な影響をもたらすものであります。高速道路については大局的な見地からその必要性は理解するとしても、大切な用地を提供する地権者を初めとする沿道地域住民にとりましては、何といってもできた道が地域にどんなメリットをもたらすかであります。高速道路建設に合わせ、沿線での利便性向上のため、側道など関連する地域整備がぜひ必要であると考えます。土木部長に紀北東道路の側道設置についてお伺いいたします。
 次に、心の教育と青少年の育成についてお尋ねいたします。
 最近の大きな社会問題となっております少年犯罪は、青少年が心身ともに健やかに育ってほしいと願っている県民にとってまことに憂慮すべきことであり、長年青少年問題にも取り組んでまいりました私としましても非常に心を痛めておる次第でございます。
 子供は遊びをつくり出す天才であります。一本の棒切れは、チャンバラごっこの刀になったり、また大地をキャンパスにクレヨンになったりしました。空き地があれば、たちまち草野球や草相撲が始まりました。そうした遊びをだれからともなく受け継いできました。その風景を今思い出しますと、必ずそこには仲間がおったと思います。少し年かさのリーダーもいました。大きな子もいれば小さな子もいるといったさまざまな年齢での集団の中では、今思えば、人生に必要なルールを守ること、動物であれ子供であれ、弱い者に対する思いやりの心など、小さいころからの遊びを通して学んできたと思います。
 今、「子供の心が見えない」と言われております。路地裏から子供たちの歓声が聞こえてきません。仲間で遊べない子供たちがふえてきているとも伺っております。でも、今も昔も、子供は体を動かして仲間と遊ぶことが大好きだと思います。ただ、その遊びの楽しさをわかっていないだけなのではないでしょうか。
 百万県民による百万県民のための青少年対策の確立を目指して、知事を本部長とする青少年総合対策本部が設置されたのは、私も青年運動をしておりました、今は亡き小野真次知事さんのころの昭和三十九年六月ごろであったと思います。当時、青少年非行の激増により青少年問題がマスコミの注目を集めていたということでもありますが、多岐にわたっていた青少年関係行政部局を可能な限り一本化しようということで、より高い行政をということで設置されたと記憶しております。
 以来、次代を担う人づくりということでさまざまな施策を展開していただき、数々の実績を上げていることも私は承知しておりますが、当時とは子供たちを取り巻く状況が随分違ってきております。「キレる」、「ムカつく」と、短絡的にナイフを振り回し、人を傷つける少年たち。シンナーを吸引して幻覚に陥り、自身の身体と心を傷つける少年たち。命の重みや体を傷つければ痛いというごく当たり前のことが実感としてわかっていない少年たち。心をふさいでしまう少年たち。こういった少年たちを見ていますと、子供たちの心が十分に育ち切っていないのではないかというのが私の実感です。
 動物は、子供たちのために必死で食べ物を探します。子供のおなかを満足させた後、親が食べるわけです。今、家庭での親子の関係はどうでしょう。親と子が十分向かい合っているでしょうか。子供にとって安心した場、心のいやされる場になっているでしょうか。
 学校での子供たちはどうでしょう。子供たちが閉塞状態に陥っていないでしょうか。あるときは加害者として、あるときは被害者として、とうとい若い命を絶つような事件が私どもの身近なところでも発生したことは記憶に新しいことであります。子供たちの居場所が学校の内外において確保されているのでしょうか。悪さをした子供をしかってくれるおじさんやおばさんたちは、今なお地域の中で健在なのでしょうか。親も子も一緒になって汗を流した地域での奉仕活動は、今どうなっているのでしょうか。
 子供たちにとって、家庭、学校、地域、すべてが学びの場であります。そうした意味から、家庭、学校、地域との連携は今後ますます強めていかなければならないと考えます。教育委員会、警察本部、そして知事部局が一体となって子供たちの心を耕し、豊かにするために真剣に考えなければならないときであろうと考えますが、かつて県青少年局長も務められたことがあり、またこうしたことに大変見識の深い知事のご所見をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、教育長にご質問いたします。
 最近、「生きる力」ということをよく聞きます。「豊かな人間性、正義感や公正さを重んじる心、自らを律しつつ、他人と協調し、他人を思いやる心、人権を尊重する心、自然を愛する心など、こうしたものを子供たちに培うことは、いつの時代、どこの国の教育においても大切にされなければならない」と中央教育審議会の答申にありますが、そういった心を耕すために心の教育をどうすればいいのか、具体的な方策があればお教え願いたいと思います。
 また、先般、馬頭議員の質問に答えられて西口知事は、農林水産業は国のもとであり、生活に不可欠な食糧などの供給や地域経済の担い手として重要な役割を果たす一方、国土の保全や地域文化の発信といった機能も発揮するなど、経済、福祉、教育、地域社会等、幅広い分野に貢献しているものと考えていると表明されたわけでございますが、私も全く知事さんの考えと同感でございまして、意を強くしたところでございます。
 農家の方々が雨の日も風の日も、作付した農産物を我が子を育てるような気持ちで働く姿、作物の生育の状況を見ての喜びなど、損得勘定だけではできない仕事でございまして、人間形成の上で農家の精神はすぐれた考えであると私は考えております。義務教育の中でこうした農民魂や農業の問題を教えてはどうかと思いますが、今日までどのような取り組みがされてきておりますか、今後どのように取り組んでいく意思があるか、教育長にお伺いいたします。
 また、先ほど申し上げました中央教育審議会はさらに、豊かな人間性をはぐくむには、特にボランティア活動、自然体験などの体験活動の一層の充実を図る必要があると指摘しております。言いかえれば、学校外における生活体験、自然体験といった体験活動の不足が青少年の人間形成に大きな問題を生じさせていると言っているのだと、私は解釈しております。
 私の地元の方に県立青年の家があります。県内には、そのほかにも県立白崎少年自然の家、県立潮岬青年の家があり、それぞれ青少年団体を中心に利用しておると思います。体験活動をする場としてこれら社会教育施設は今後ますますその役割が大きくなってくるものと考えますが、利用者の方は逆に年々減少していると聞いております。ニーズの変化に対応した青少年の家とするための方策を探り、今後の青少年の家のあり方について検討するために先般委員会が設置されまして、私もその委員を務めさせていただきましたが、討議の集約を去る二月四日に知事に報告書として提出したところでございます。その中に、学校教育と融合した施設運営があります。学校教育との連携について、教育委員会の見解をお伺いいたします。また、生活文化部長には、その報告をいかに具現化していくかをお聞きいたします。
 先ほど私は、子供の全面発達を考える上での家庭教育、親子関係の大切さを言いましたが、地域においては、子供たちの成長を温かく見守りつつ、時には厳しく鍛える場となり、子供たちをはぐくむ場となるための大人の役割について述べさせていただきました。学校外における生活体験、自然体験といった体験活動が不足している。この子供たちがそのまま青年になり、大人となるわけでございます。その親から子供たちは、十分な家庭教育や地域における教育が受けられるでしょうか。余り期待できないのではないかと思います。
 そういったことから、少年期に学ぶことのできなかった生活体験や社会体験を青年たちも学ぶ必要があると考えます。今、青年たちの活動は衰退してきているように思います。個々のニーズの多様化もその原因の一つであろうかと思いますが、青年たちの熱い心は仲間を求めておると思います。社会のために何か役立ちたいと思っている方もたくさんおると信じております。青年たちの活動の灯は消してはならないと思いますが、県当局には青年団体活動を支援し、青年の声をあすの県政に生かしていただきたいことを提言いたします。
 次に、高野山の世界遺産登録についてお尋ねいたします。
 私は、この機会にふるさと和歌山について感想を述べたいと思います。
 私たちの住む和歌山は、気候温暖にして青い空、青い海、そして緑の山々に囲まれ、古くは「木の国」と呼ばれ、特に六百キロに及ぶ海岸線をあわせ持つ和歌山は、自然が大切にされ、長い歴史と文化がはぐくまれてきた地でございます。それを裏づけるように、和歌山には多くの史跡、名勝があり、高野山、熊野三山に代表される建造物、美術工芸品などの国宝、重要文化財の国指定件数は四百二十六を数え、件数を比較しても全国第七番目の多くを保有していると聞いております。
 物質面での豊かさを求めた反省から心の豊かさが求められてきている昨今、また、真に豊かさを実感できる個性的な地域社会を構築するため、従来の集権的なものから脱皮し、地方分権への移行が叫ばれております。今後、地方の活性化を図るため、文化、自然を生かし、このふるさとの環境に感謝し、もっとふるさとに誇りを持つべきだと思います。
 こうした意味で、私は平成十一年に開かれる熊野体験博はまことにタイムリーなものであり、和歌山県のよさを全国発信する絶好の機会だと思います。この体験博は広域型、開放型、体験型であり、従来の型を破った自然と歴史、文化と人間のかかわりをテーマとした熊野地方で開かれる一大祭典であります。この体験博の開催に非常に期待を抱き、成功を祈る一人でございます。
 ここで私は、最近よく耳にする世界遺産について所見の一端を述べたいと思います。
 世界遺産とは、一九七二年(昭和四十七年)、ユネスコ総会において採択され、いわゆる遺産条約、正式には世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約と呼び、この条約により規定された世界的な価値を有する文化財、自然的な記念物や地域を保護、保全、継承するというものであります。我が国は、初めて平成五年、文化遺産として法隆寺、姫路城、自然遺産として屋久島、白神山地が登録されました。その後、古都京都の文化財としての社寺、白川郷・五箇山の合掌づくり集落など、平成八年まで八カ所が世界遺産となっております。
 世界遺産として登録なされるためには、各国で五年ないし十年以内に世界遺産一覧表への記載をし、推薦しようとする遺産について暫定的なリストに載せなければならないということでございます。しかし、残念ながら、その暫定リストの中に和歌山県は一つもありません。和歌山が誇りとする熊野三山、高野山が現在既に世界遺産となっている社寺等と比べてもまさるとも劣るとは思いません。地元に住む私の身近にある高野山を世界遺産にとの思いが、どうしても強くなってまいります。千年余りの歴史を持つ高野山。全国三千余の末寺を持つ真言宗総本山としての高野山。全国から集まる参詣者。その参詣の歴史を刻む道は町石道と呼ばれ、関係者の努力によって整備が進められてきました。こうしたことから、まさに高野山は世界遺産にふさわしいものと考えますが、いかがでございましょうか。
 聞くところによると、世界遺産になる条件は厳しいと言われております。その大きなものは、現在の高野地域は社寺群と生活圏が混在し、範囲の線引きが難しいという点などが指摘されております。また、高野山地域全体としての管理者の問題や、社寺群の多くは数度の火災により比較的新しいものであることなど、問題点があるということも聞いております。何とか世界遺産になる道がないものでしょうか。このことについて、地元の西田正弘高野町長さんや新居祐政金剛峯寺宗務総長さんもぜひこうしたことを推進したいと表明されておりましたので、ここにつけ加えさせていただきます。
 教育長にお尋ねいたしたいと思います。高野山を世界遺産にと願う一人といたしまして、今後の課題と見通しについてお聞かせいただければありがたいと思います。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。皆様方のご清聴を心からお礼申し上げます。ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの門三佐博君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 門議員にお答えをいたします。
 まず、長期総合計画に関連して、ゆとりと充実の考え方と推進するための課題についてでございます。
 新しい長期総合計画を策定するに当たりましては、グローバルな視点に立って、生まれ育った地域に愛着を持ち、世界に通じる地域づくりを進めていこうという考え方のもとに、「地球時代の故郷(くに)づくり」を基本姿勢といたしました。
 二十一世紀は、一人一人の個性が尊重され、自分のライフスタイルが選択できること、地域社会への貢献などによって得られる精神的な充足感、そういったことが豊かさの実感であろうと思います。私は、これらをあらわす言葉として「ゆとりと充実」を基本目標に掲げたところでございます。
 計画の推進に当たっての最大の課題は、やはり県民の多彩な活動による活力のある県政でございます。今後こういった活動を促進するために、環境整備や積極的な情報提供に取り組む所存でございまして、住民や民間団体、企業、市町村、県などがさまざまな分野において活発な交流を行うことにより、互いの連携を強化いたしまして、県民の皆様とともに生き生きとした輝きのある県づくりを進めてまいりたいと考えております。
 次に、門議員もかつて青少年団体活動に力を尽くされたわけでありますが、私も青少年行政に携わった者として、青少年問題には特別な関心を寄せているところでございますけれども、昨今の痛ましい少年事件が続発している状況につきましては、まことに心の痛む思いがいたしております。また、次代を担う青少年が社会の構成員としてとうとばれながら、希望に満ち、心身ともに健やかに成長することを願う県民の皆さんにとりましても憂慮すべき事態であると考えております。
 ナイフを使用した殺傷事件、いじめ問題、登校拒否の問題、性をめぐる問題など、現在起こっている事象につきましては、それぞれの個別の対策はもちろん必要であろうと思いますけれども、問題の本質はもっと根深く大きいところにあると思います。言いかえれば青少年にかかわる大人も含めた社会全体のあり方の問題としてとらえる必要があろうと思うわけであります。
 今、青少年に必要なことは、夢や目標を持って日々努力することであり、その努力が報われる社会をつくり出していくことが我々大人に課せられた使命であろうと思っております。
 県といたしましては、これまでも青少年問題協議会に諮り種々検討して問題解決に取り組んでまいりましたけれども、さらにお話にございました和歌山県青少年対策本部の機能を十分活用いたしまして、教育、警察、そして知事部局が一体となって総合的かつ効果的な青少年対策を展開してまいらなければならないと考えております。
 また、ことしの十二月に、青少年の指導者の育成と活動の場であり、また情報発信機能も備え、青少年団体活動をサポートする青少年活動センターが開設をされます。青少年の指導者の育成と活動の場として、また議員ご提言の青年団体活動の一助になればと願っておるところでございまして、青少年が生き生きと活動し、希望に満ちた未来を提供することが社会全体の使命であることから、行政といたしましても、また私といたしましても、青少年対策に今後とも全力で取り組んでいかなければならないと決意を新たにいたしておるところであります。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 門議員にお答え申し上げます。
 新しい長期総合計画における県民の理解と参加促進についてでございます。
 知事からも申し上げましたとおり、計画推進に当たって最も重要な課題は県民参加だと認識してございます。こうしたことから、計画に位置づけた施策については関係する行政情報を円滑に提供していくとともに、県民ニーズを的確に把握し、コミュニケーションを図りながら計画の具体化に努めてまいりたいと存じます。そのためにも、まず今回の長計のPRに努め、県民の皆様の理解を求めていきたいと存じます。
 今後、生活のあらゆる分野で県民の主体的活動を支援し、市町村と連携を図りながら既存の住民組織によるコミュニティー活動の充実強化に努めるとともに、地域おこし団体、ボランティア団体などの活動を支援し、県民主役の県づくりを推進したいと考えております。
 次に、橋本・伊都地域の将来像についてでございます。
 新しい長期総合計画の策定に当たっては、六つの圏域別に、市町村長を初め地域住民との意見交換会を通じて検討を重ねてまいりました。橋本・伊都地域は平成八年三月二十二日に地方拠点法に基づく地域指定を受け、橋本周辺広域市町村圏で基本計画を策定しており、新長計の橋本圏域の計画策定に当たっては、将来の整備方向や主要施策等について整合性を図りながら策定したところでございます。
 橋本・伊都地域の将来像につきましては、当圏域は太平洋新国土軸と近畿南北軸の結節エリアとして広域的な交流、連携に取り組み、住環境や文化、スポーツ、生涯学習施設等の整備を進め、多様な活動が実現できる橋本・伊都ハイアメニティータウンを目指すとともに、歴史、文化に彩られた高野山とその周辺の豊かな自然環境を活用した高野文化観光ゾーンの形成を図ることといたしております。この地域は、京阪神に近接しながらも良好な自然環境を残す圏域であり、住民の主体的な活動を支援する中で他の地域との交流、連携を促進し、地域の活性化を図りたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 農林水産部長平松俊次君。
  〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 農業の振興についてのうち、まずカキ産地の活性化についてお答えいたします。
 将来に展望が持てる産地への対応のためには、議員お話しのとおり、足腰が強く経費節減にもつながる快適な生産基盤を確保することは、農業者が夢を持って生産に取り組んでいく上で大変重要と考えてございます。
 紀の川流域のカキ産地では、若い担い手を中心に省力化、低コスト化に向けた園地の改良や作業道の整備への取り組みが見られるようになってございます。県では、こうした現地での取り組みをあすに向けた力強い胎動と受けとめ、昨年度より県単独施策といたしまして、急峻な園地での作業効率を高めるため、園内道の整備を中心に和歌山の果樹若返り対策事業に取り組んでございます。平成十年度予算におきましては、地元要望にこたえるべく、重点的に対応できるよう今議会にお願いしているところでございます。
 今後とも、生産基盤の整備を図りながら、消費者嗜好に合った新品種の創出等にも努め、日本一のカキ産地の維持発展に努めてまいる所存でございます。
 次に、農業大学校充実強化についてでございます。
 二十一世紀の本県農業を担う農業後継者の育成確保は、県農業振興上重要な課題として位置づけ、各般の施策を展開しているところでございます。
 議員お話しのとおり、県農業大学校におきましては、人材育成の拠点として高度な専門知識、技術並びに近代的な経営感覚やグローバルな視野を身につけた青年農業者の育成に努めてございます。そのため、ハイテクノロジーに対応した養液栽培施設、バイテク施設、さらにインターネットと結んだ情報教育施設など、時代に対応した施設の整備に努めているところでございます。
 今後とも、若者にとって魅力ある学園を目指し、本県の独自性を発揮した教育研修内容の充実、計画的な施設の整備拡充に努めてまいります。
 なおまた、生涯教育の視点から農業への新規参入者やUターン等、新規就農者の研修の場として、より一層開かれた農業大学校を目指してまいりたいと考えてございます。
 次に、三番目といたしまして、果樹園芸試験場紀北分場充実強化についてでございます。
 紀北分場の位置づけでございますが、議員お話しのように、紀北分場は産地に根差した技術開発の拠点として、これまで地域とともに歩んできたものと認識してございます。こうした中で、平成五年三月には県議会を初め各方面のご支援、ご協力をいただき、本館並びに営農管理棟を新設し、ハード面の充実を図るなど、研究体制の強化に取り組んできたところでございます。
 今後も紀の川流域の技術・情報の拠点として位置づけるとともに、カキの生理障害防止対策や高糖系甘ガキである「新秋」の作型開発、さらにはハウス桃等の生産安定技術の確立など、地域での緊急課題の解決はもとより、生産者との連携を一層強め、多様化・高度化する技術革新の時代に対応しながら、人材の育成も含めた中で紀北分場の整備充実に努めてまいりたいと考えてございます。
 四番目に、紀の川左岸農道の建設促進でございます。
 この路線計画ルートは公図混乱地域でございまして、事業着手が困難な状況にございますので、採択以前より関係市町村に協力をお願いし、地籍調査を推進していただいたところでございますが、平成十年度は橋本市の一部とかつらぎ町の国道四百八十号より那賀町間での区間二・四キロメートル間を除き、ほぼ地籍調査が完了する予定でございます。これに合わせまして、平成十年度で用地測量を行い、十一年度より地元の皆様のご協力を得ながら、これまで以上に本格的に用地買収及び工事に着手する予定でございます。
 また、供用開始見通しでございますが、当初計画どおり平成十五年度完成を目指して努力してまいります。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 門議員の京奈和自動車道に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、一点目の建設促進と供用の見通しについてでございます。
 京奈和自動車道の橋本道路につきましては、現在、地元市及び町の協力のもとに用地買収を進めておりまして、全体の約五割の用地が取得済みとなっております。本年内にはいよいよ本工事に着手する予定となっておりまして、平成十年代半ばの供用を目標としております。
 次に、紀北東道路につきましては、この十五日に沿線住民を対象とした説明会が終わり、引き続き早期都市計画決定に向けて手続を進めてまいります。また、紀北西道路は本年度に事業化され、現在、建設省において都市計画決定に必要な諸調査が実施されております。
 今後とも、京奈和自動車道各事業区間において、地元市及び町とともに建設省に協力しながら、二十一世紀初頭における全線供用に向け努力してまいる所存でございます。
 二点目の、紀北東道路の側道設置についてでございます。
 高規格道路の建設に伴って現在ある道路が分断される場合、その機能を回復するため必要となる代替道路の整備を行いますが、側道を整備するということはありません。高規格道路として位置づけされている紀北東道路につきましては、こうしたことから側道は計画されておりません。
 なお、橋本道路についてでありますが、この道路は橋本市内の交通渋滞を解消するため一般国道二十四号のバイパスとして昭和六十一年に都市計画決定されました。その後、昭和六十二年に第四次全国総合開発計画において、京奈和自動車道として高規格幹線道路一万四千キロメートル計画に組み込まれたことから、インターチェンジの集約等の構造の見直しが行われました。その結果、市道等からの乗り入れが制限されることになり、その区間の機能回復のため市道及び町道でつなぐ計画となったところでございます。
 今後、高規格道路の整備をより効率的に進めていくため、事業実施段階において町づくりの観点から県道や町道等、関連地域整備についても町と協力しながら進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 生活文化部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 門議員にお答えをいたします。
 真心教育と青少年育成についてのうち、県の青少年施設の活用についてでございます。
 青少年施設につきましては、青少年人口の減少、青年団体活動の衰退等により、その利用者の減少に歯どめがかかっていない状況にございますが、去る二月四日、和歌山県立青少年の家のあり方検討委員会から有意義なご提言をいただきました。ただいま、そのご提言の内容を検討させていただいておりますが、今後の施設の運営に生かしていきたいと考えているところでございます。
 そのうち、例えば、利用手続の簡素化や施設の利用時間の弾力的な運営等のすぐにでも取り組めるものについては、施設に対し検討を指導したところでございます。また、生涯学習の観点などから青少年に限らずだれもが利用できる施設のオープン化等については、時代のニーズに合った施設への改修も必要なことから、中長期的な取り組みとして検討してまいりたいと考えております。
○議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題、四点についてお答えいたします。
 まず、心の教育についてでございます。
 ご指摘のように、子供たちを取り巻く社会環境の大きな変化の中、子供たちに美しいものや、あるいは自然に感動する心、他人を思いやる心、命を大切にし人権を尊重する心などを育てることが重要であります。こうした心の教育は、学校、家庭、地域社会が一体となって推進していくことが肝要であります。特に、正義感や規範意識の基礎につながる善悪の判断や我慢する心を育てるには、幼いころの育児のあり方が重要であり、家庭教育や幼児教育を一層重視する必要があります。このため、関係部局等とも連携し、その充実を図ってまいる所存であります。
 学校教育においては、道徳教育の一層の充実を図るため、副読本を作成・配布し、その活用を指導しているところであります。さらに、本県の心の教育の根幹になるものとして、和歌山のよさを理解し、郷土を愛する心を育成するため、副読本の作成を初めとするふるさと教育推進事業の予算を本議会にお願いいたしておるところであります。また、社会教育においては、フロンティア・アドベンチャーやオープンスクールなどの事業を実施し、さまざまな体験活動を通し、豊かな人間関係や子供たちの社会性の育成に努めております。
 次に、農業教育についてであります。
 各学校では、花壇や野菜園を設けたり、小さな動物を飼育したりすることにより、命あるものをはぐくむ喜びや感動など、農業教育に通じる体験が大切にされております。農業については小学校五年生の社会科で学習することになっており、県農協中央会や森林組合連合会、漁協連合会の協力によって作成された社会科副読本も活用されております。また、農家の方々の協力を得ながら、稲作や野菜の栽培などに取り組んでいる学校も相当数ございます。これらの学校からは、土に触れ、作物を育てる楽しさや感動、収穫の喜びなど、豊かな人間性をはぐくむ上で大きな意義があったと報告されており、こうした活動を一層推進してまいりたいと考えます。
 続いて、青少年施設の活用につきましては、平成八年度において約百校、七千七百人余りの小学生、中学生が利用してございます。その活動内容としては、野外活動、自然観察等の宿泊を伴った体験活動が行われております。今日の子供たちには自然体験や生活体験などの不足が指摘されていることから、青少年施設を活用した活動は集団の一員としての自覚を深め、個性の伸長や調和のとれた心豊かな人間の育成に大きな意義があるものと考えます。
 今後とも、関係部局との連携を密にし、さまざまな機会をとらえて各学校が青少年施設を一層活用するよう促してまいりたいと考えます。
 次に、高野山の世界遺産登録についてであります。
 本県は、豊かな自然に恵まれるとともに、数多くの社寺仏閣等の建造物や美術工芸品が残され、文化財の宝庫となってございます。その中でも特に高野山や熊野三山は、我が国有数の聖地としていにしえより人々の心のよりどころとなってまいりました。高野山は、日本を代表する山岳寺院や二十万基にも及ぶ大名墓石群など、国内ではまれな景観を有し、約一千二百年に及ぶ歴史を刻んでおります。
 議員ご提言のとおり、世界遺産として推薦していくためには幾つかの課題がございます。その一つとして、高野山域は壇上伽藍や金剛峯寺大主殿を初め、現在百十七の寺院と生活圏域とが混在するため、「高野山」と言う場合の範囲をどう定めるかという課題と、管理体制のあり方がございます。さらに、今後の重要な課題として、地元関係者の合意や伝統を生かした町並みの整備、とりわけ道路、宗教施設、町家などを含めた景観対策や保全対策などの環境づくりへの取り組みが必要であると存じます。
 このような課題もございますが、議員のご提言を踏まえて総合的な観点から、県民の方々のご支援を得ながら、高野山がまず世界遺産候補として位置づけられるよう努力してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) 再質問がございませんので、以上で門三佐博君の質問が終了いたしました。
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○議長(木下秀男君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
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○議長(木下秀男君) 次に、ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
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  【日程第三 請願付託】
○議長(木下秀男君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会にこれを付託いたします。
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○議長(木下秀男君) 次に、お諮りいたします。三月十九日及び三月二十日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) ご異議なしと認めます。よって、三月十九日及び三月二十日は休会とすることに決定いたしました。
 なお、各常任委員会の会場はお手元に配付いたしておりますので、ご了承願います。
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○議長(木下秀男君) 次会は、三月二十三日再開いたします。
○議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時二分散会

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