平成10年2月 和歌山県議会定例会会議録 第8号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程   第八号   平成十年三月十八日(水曜日)
                午前十時開議
  第一 議案第一号から議案第八十一号まで(質疑・委員会付託)
  第二 一般質問
  第三 請願付託
会議に付した事件
   一 議案第一号から議案第八十一号まで(質疑・委員会付託)
   二 一般質問
   三 請願付託
   四 休会決定の件
出 席 議 員(四十七人)
     1  番    大    沢    広太郎
     2  番    木    下    善    之
     3  番    小    川         武
     4  番    吉    井    和    視
     5  番    下    川    俊    樹
     6  番    井    出    益    弘
     7  番    藁    科    義    清
     8  番    門         三佐博
     9  番    永    井    佑    治
     10  番    新    島         雄
     11  番    向    井    嘉久藏
     12  番    佐    田    頴    一
     13  番    和    田    正    一
     14  番    阪    部    菊    雄
     15  番    西    本    長    弘
     16  番    馬    頭    哲    弥
     17  番    谷         洋    一
     18  番    山    下    直    也
     19  番    高    瀬    勝    助
     20  番    松    本    泰    造
     21  番    堀    本    隆    男
     22  番    宇治田    栄    蔵
     23  番    宗         正    彦
     24  番    橋    本         進
     25  番    神    出    政    巳
     26  番    玉    置    公    良
     27  番    上    野    哲    弘
     28  番    東    山    昭    久
     29  番    尾    崎    要    二
     30  番    野見山         海
     31  番    木    下    秀    男
     32  番    町    田         亘
     33  番    中    山         豊
     34  番    井    谷         勲
     35  番    鶴    田    至    弘
     36  番    森         正    樹
     37  番    村    岡    キミ子
     38  番    新    田    和    弘
     39  番    平    越    孝    哉
     40  番    森    本    明    雄
     41  番    長    坂    隆    司
     42  番    冨    安    民    浩
     43  番    飯    田    敬    文
     44  番    中    村    裕    一
     45  番    松    本    貞    次
     46  番    大    江    康    弘
     47  番    和    田    正    人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
     知 事     西    口         勇
     副知事     山    下         茂
     出納長     高    瀬    芳    彦
     知事公室長   野    見    典    展
     総務部長    中    山    次    郎
     企画部長    藤    谷    茂    樹
     生活文化部長  中    村    協    二
     福祉保健部長  小    西         悟
     商工労働部長  上    山    義    彦
     農林水産部長  平    松    俊    次
     土木部長    長    沢    小太郎
     企業局長    佐    野    萬瑳義
     教育委員会委員長
             山    本         昭
     教育長     西    川    時千代
     公安委員会委員長
             高    垣         宏
     警察本部長   米    田         壯
     人事委員会委員長
             若    林    弘    澄
     代表監査委員  宮    市    武    彦
     選挙管理委員会委員長
             谷    口    庄    一
     以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
     事務局長    西    畑    彰    久
     次  長    前         晴    夫
     議事課長    佐    竹    欣    司
     議事課副課長  島         光    正
     議事班長    松    谷    秋    男
     議事課主査   川    崎    良    雄
     議事課主事   大    浦    達    司
     総務課長    塩    路    義    和
     調査課長    湊         孝太郎
 (速記担当者)
     議事課主任   吉    川    欽    二
     議事課主査   鎌    田         繁
     議事課速記技師 中    尾    祐    一
     議事課速記技師 保    田    良    春
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  午前十時二分開議
○議長(木下秀男君) これより本日の会議を開きます。
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  【日程第一 議案第一号から議案第八十一号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(木下秀男君) 日程第一、議案第一号から議案第八十一号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 45番松本貞次君。
  〔松本貞次君、登壇〕(拍手)
○松本貞次君 おはようございます。
 改めて一般質問をしていきたいと思います。
 まず、人権問題と同和行政について質問をいたします。
 昨年十二月十日に、知事を本部長にした「人権教育のための国連十年」和歌山県推進本部が設置され、現在、具体的な計画を策定中であると伺っております。このことは、我が県における部落問題を初め、さまざまな人権の課題を踏まえて、より具体的で積極的な取り組みを進めようとするものであります。知事の本課題に対する姿勢に深く敬意を表するとともに、今後の取り組みに大きな期待を寄せるものであります。
 さて、そこで具体的な内容や関連事項についてお伺いをしたいと思います。
 まず、昨年七月に国の推進本部から国内行動計画が発表されておりますが、その内容を見ますと、同和問題を初め女性、子供、高齢者、障害者、アイヌ、外国人、HIV感染者、刑を終えた人等、具体的な人権の課題についての取り組みが基本となっております。これは、人権というのは決して抽象的で観念的なものではなく、具体的なそれぞれの課題が存在しており、それぞれの具体的な課題への取り組みが人権確立の取り組みであるということであろうと思います。つまり、世界人権宣言の趣旨からしても、人権問題というのは、言い方をかえると具体的な事実や実態を持った差別問題であるとの踏まえ方が基本であると思いますが、知事の所見並びに計画の基本姿勢についてお伺いをいたしたいと思います。
 次に、人権の確立のためには、それぞれの具体的な課題に基づく積極的な教育啓発が重要であることは当然のことでありますが、同時に、それぞれの具体的な課題に係る制度、対策の充実が不可欠であります。例えば、高齢者の課題を考えても、高齢者を大切にしようと言っても、高齢者自身が生活を含めて大切にされているという状況が必要であります。つまり、福祉という観点から考えても、権利としての福祉、そして人権の観点で現在の制度、対策を検討していく必要があると思います。さらに、人権教育のための国連十年では、人権文化の創造を柱にされております。つまり、日常の生活の中に人権を確立し、息づかせるということであろうと思います。そうした観点からすると、県民の皆さんの日常の生活の場面を拠点とした人権確立のネットワークが重要であります。つまり、今後の県政全体の課題である福祉の町づくりの基本に人権が位置づけられるということが、まさに人権文化の創造につながるものであります。
 そうしたことから見ましても、新年度当初にスタートする振興局について、事務処理の統合と県民サービスの充実、さらには地域行政の充実強化のためと伺っておりますが、この振興局の中に人権の位置づけと窓口がぜひとも必要ではないかと考えるものであります。関係部長のご答弁をお願いいたします。
 続いて、同和問題についてお伺いをいたします。
 同和問題については、これまで知事並びに関係部長から本会議でご答弁をいただいております。そのことと重なりますが、「人権教育のための国連十年」和歌山県推進本部の取り組みがスタートするこの時期に、改めて基本姿勢についてお伺いをいたしたいと思います。
 同和問題については、昨年四月に法の内容を一部改正して五カ年のスタートを切っております。また、部落問題の解決を中心とした人権擁護施策推進審議会の審議も本格的に進められております。本県においても、同和対策総合推進プランが策定され、その取り組みが進められております。こうした極めて重要な時期に、一部において同和対策の廃止を主張する意見があるようにも聞いております。特にその中で、あたかも同和対策が特別対策であり、その特別対策があるから差別があるかのような錯覚に陥っているのではないかと思われます。まさに、傘があるから雨が降る、そういうことであります。言うまでもなく、同和問題を解決するためのさまざまな手法の一つに特別対策があるのであって、その手法の一つである特別対策が全体を規定するものではありません。また教育啓発についても、同和教育や啓発をさらに進めるとともに、他の人権の課題については同和教育の実践の中で培われてきた成果や経験をどう生かしていくのかが今問われているのであります。福祉保健部長並びに教育長のご答弁をお願いいたします。
 さて、本年は先ほどから私が述べてきましたように、人権について極めて重要な年であります。とりわけ本年が、世界人権宣言が国連で採択されて五十周年という意義深い年でもあります。今、国連の提起を受けて、我が国を初め世界各国で取り組みが進められております。特に国連人権高等弁務官から、すべての国、すべての地域、すべての人々が取り組むべき具体的なプログラムが提起されておりますが、こうしたことを受けて、本県においても「人権教育のための国連十年」和歌山県推進本部のスタートとして記念するさまざまな取り組みの方向を示していただきたいと思います。
 次に、ごみ処理問題、ダイオキシン対策について質問をいたします。
 ごみ処理問題、とりわけダイオキシン対策は全国的に大きな社会問題であり、今や地方自治における重要な政治課題となっております。それは、世界保健機関(WHO)が公式に発がん性を認めたのを初め、昨年は人類がダイオキシンの恐怖を深く胸に刻み込んだ年であったからであります。厚生省や環境庁は、取り締まりの基準値を相当甘く設定し、問題なしとしてきたわけであります。昨年八月、ようやく問題ありという見解に至って規制強化に踏み切りました。それでも、欧米諸国に比較すれば排出基準はまだまだ甘目に設定されています。マスコミがこの問題で騒ぎ出したのは、恐らく昨年八月以降ではないかと思います。今月もなお、毎日のようにマスコミをにぎわしております。
 和歌山県下においても、数施設が八十ナノグラムの排出基準を超えていると国から公表され新聞報道に至るなど、県民に大きな不安を与えているところであります。指摘されたそれぞれの施設は、原因の究明をし、部分的な改良を施しながら、基準値をクリアするのに懸命の努力をしている状況であります。私の出身地有田地方には、一市三町で運営している施設と湯浅・広川二町で運営する施設がありますが、きゅうきゅうとした状況は例外ではありません。
 そこで私は、ごみ処理、ダイオキシン対策について県知事初め関係当局にお伺いするとともに、行政指導をしていく基本的な考え方をお聞きしたいと思うのであります。
 ご存じのとおり、平成九年十二月一日より廃棄物処理法の規制が強化され、ダイオキシンの恒久対策として排ガス一立方メートル当たりのダイオキシン濃度が、新設施設では〇・一から五ナノグラム、既設、既存施設で平成十四年十二月一日以降、一から十ナノグラムと規制されました。市町村の焼却施設は、新ガイドラインで新設炉は〇・一ナノグラム、既設炉で〇・五から五ナノグラムと厳しい指導があります。これを焼却方式の施設で対応するとなれば、厚生省の指導にもあるように、ごみ処理の広域化を図り、二十四時間連続運転の焼却施設として排ガス処理を徹底しなければならないわけであります。そのためには一日当たり三百トン、最低でも百トン以上の処理能力が必要となり、このことを県内で追求することは極めて困難であると考えますが、この辺のご見解について、まずお伺いをしたいと思います。
 私が困難であると申し上げたのは、地形的にも道路事情から見ても、一カ所に集中すると焼却施設が遠くなり、生ごみのままの運搬が困難になるからであります。数十キロ先の焼却施設まで、生ごみのまま運搬することは事実上不可能であります。私は、厚生省の新しい規制に対応していくためにはRDF(廃棄物固形化燃料)方式が最も望ましいと考えるものであります。
 RDF化方式の利点は幾つかあると思います。まずRDF化すると、ごみ質が均一化され、燃焼管理が容易となり、排ガス中のダイオキシン対策がやりやすくなることであります。また、固形燃料化したものは比較的長期の保管が可能であります。日量数トンから数十トンのRDF化施設で製造したRDFを一カ所で集中して燃料として使うことができるわけであります。そして、地球環境時代にふさわしいエネルギーの有効利用、資源の再利用をする技術であると考えます。県行政として、こうした地球に優しい、人に優しいRDF方式の採用を奨励していくべきではないかと考えますが、ご所見をお伺いしたいと思います。
 東牟婁郡太地町では、六トン・八時間当たりのRDF化施設を平成十年度着工していく計画があると聞き及んでおります。湯浅・広川両町のごみ処理をしている有田郡衛生体育施設事務組合でもRDF化処理施設を導入する方向で検討しているようであります。ほかにも計画があると聞きますが、県行政として調査し、これからの自治体や広域団体に積極的な支援と協力をしていく考え方の是非についてお伺いをしておきたいと思います。
 ところで、RDF化で問題なのは、RDF化処理施設で生産される燃料、RDFの引き取り先の確保であります。栃木県野木町や大分県津久見市では、製紙会社や合板会社、あるいはセメント会社が無料でRDFを引き取って燃料として活用しているようであります。和歌山県においても、当面の課題として解決しなければならない問題であると考えます。
 そこで知事に強く要望をいたしたいのは、県内各地のごみ処理施設が抱えている環境対策問題、特にダイオキシン問題の解決に向けて、県内各地のごみ処理施設がRDF化方式を採用できるように、速やかに何らかの形でRDFを大規模に、かつ安定的に消費できるRDF発電の立地を検討願いたいと思うのであります。
 平成十年度国家予算案において、三重県の北川知事が会長をしているRDF全国自治体会議から強く要望してきたこと、すなわち県が実施するRDF発電施設の燃料施設について、市町村の廃棄物処理施設と同様に廃棄物処理施設整備費補助金の対象とすることが新たに認められたことは、ご承知のとおりであります。御坊第二火力発電が稼働すれば、和歌山県は全国でもトップクラスの電力移出県となるわけであります。RDF発電が普及するためには、広域の自治体との合意と発電施設の経済性の向上が必要であることは承知しております。県が和歌山の自然と環境を守る立場から県内各地にRDF化を呼びかけると同時に、一万五千キロワット程度のRDF発電所では採算がとれないようであれば、お隣の大阪府にも働きかけ、一府一県のRDF化施設のRDFを受け入れることによってスケールメリットを出すことも可能ではないかと考えます。
 いろいろと申し上げましたが、将来、最大の電力移出県となる和歌山県であります。その見返りに社会資本の整備をする、国策としてやってもらわなければなりません。その社会資本の一つにRDF発電所の設置と諸制度の整備を国に要求していただきたいと考えるが、ご所見をお伺いしたい。
 また、企業に対しても──私は、企業とは関西電力を意識して申し上げております──採算性を度外視したRDF発電所について、地元貢献の一方法として前向きに検討するように申し入れていただくことを強く要望しておきます。
 最後に、ミカン生産農家に対する経営支援について質問をいたします。
 先般、吉井和視議員、松本泰造議員が質問されましたが、重ねてお聞きをいたしたいと思います。
 ご承知のとおり、平成九年度産のかんきつ市場価格が極度に低迷し、それに伴って農家所得の減収が深刻な問題となっております。ミカン農家の多い有田地方においては、折からの不況感にさらに追い打ちをかけるような実態にあります。特に、十一月中旬から十二月下旬にかけて最盛期となる温州ミカンについては、例年の売上高に比べて三分の一に落ち込んだと言われており、比較的よいところでも二分の一しか上がらないのが現状であります。豊作の年は単価が安くなる、これは市場の原理であり、過去そういう経験は幾度となくしておるわけでありますが、今回のような極端なことは初めてだという話であります。
 有田ミカンは、伝統のあるいわばブランド商品であります。ご承知のとおり、有田市、吉備町、金屋町、湯浅町、広川町を中心に栽培されております。この有田郡市の栽培面積は約四千五百五十ヘクタール、収穫量は十二万トンから十三万トン、例年の売上高は三百五十億円から三百八十億円と言われております。しかし、今期の売上高は約百三十億円という落ち込みようであります。これでは諸経費すら出てこない。こんな年が仮に二年続けば農業経営の維持ができないという、深刻な声があるわけであります。価格が低迷した要因は幾つかのことが複合した結果だと考えますが、県当局はどのように分析しているのか、また来期はどのような展開になるのか、見通しについてお伺いをしたいと思います。
 このような状況の中で有田地方の農協は、非常事態ということで、緊急避難的な対策として農家経営維持資金特別融資を実施することを決め、それぞれの市町村の行政と議会に陳情活動を行ったようであります。この特別融資の内容は、貸付限度額二百万円、五カ年の元利均等償還、利率は年三・五%、この利率三・五%のうち市町村が一%を補助、農協が一・五%を補助、本人一%負担ということであります。陳情を受けた市町村は、要請に沿った形で対応するようであります。県当局に対して農協や農業者団体などから同趣旨の要請が来ていないのかどうか、来ているとすればどのようなものなのか、そしてどう対応していくのかをお伺いしたいと思います。
 いずれにしても、県として何らかの対策が必要ではないかと考えるものであります。昨日、松本泰造議員から農家の経営安定に向けた経済対策の要望もございましたが、融資制度の拡充等について再度検討できないかをお伺いしたいと思います。
 和歌山の主要な産業であるミカン生産農家を守る立場で、国に対して減収農家への優遇措置や農産物輸入自由化による影響の再調査を実施するよう要求すべきではないかと考えますが、ご所見をお伺いしたい。また、県行政として、販路拡大の支援や付加価値を高めるミカンづくりなど、営農指導のあり方を含め、発想の転換をする時期、時代に来ているという感じを強く持つものであります。お考えをお示し願いたいと思います。
 以上で、質問を終わります。
○議長(木下秀男君) ただいまの松本貞次君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 松本貞次議員にお答えをいたします。
 人権問題と同和行政に関連をいたしまして、行動計画の基本姿勢についてのご質問であります。
 ふるさと和歌山に人権感覚があふれ、県民みんなが真に豊かで安心して暮らせる社会をつくっていかなければならないという熱い思いから、昨年十二月に人権教育啓発を総合的に推進する「人権教育のための国連十年」和歌山県推進本部を設置し、現在、本県としての行動計画づくりを進めているところでございます。
 計画の基本姿勢についてでありますが、県行政はもとより、県民が一体となってさまざまな人権問題の解決を進め、差別のない人権尊重の社会をつくることを基本に置き、同和問題を初め、女性、子供、障害者、高齢者等の人権を重要課題として取り上げるとともに、総合的に人権教育啓発を推進していく基本的な方針を盛り込んだ計画にしていきたいと考えてございます。この計画の推進を通じまして、人権が文化として根づく社会の創造に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 他の問題につきましては、関係部長から答弁をいたします。
○議長(木下秀男君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 松本議員ご質問の、人権問題と同和問題についての三点にお答えをいたします。
 まず、行動計画実施のための振興局の体制についてでございますが、人権教育啓発を通じて人権尊重意識の県民全体への浸透を図っていくためには、振興局と市町村やそれぞれの地域での自主的な取り組みとの連携も必要でありますので、振興局における総合調整のための担当の設置について現在協議しているところでございます。
 次に同和対策の基本姿勢についてでございますが、国におきまして昨年三月末に地対財特法が一部改正され、経過的措置として五年間の延長がなされたところでございます。また、人権擁護施策推進法に基づく人権擁護推進審議会も審議が始まって一年を迎え、同和問題を初めとする人権問題について幅広い角度から審議がなされているところでございます。
 本県におきましても、なお課題が残されていることから、これまでの取り組みの成果等を踏まえ、和歌山県同和行政総合推進プランを策定したところでございます。今後、このプランに基づき、県民の皆様のご理解をいただく中で、同和問題の早期解決と県民一人一人の人権が保障された差別のない社会の実現を目指してまいる所存でございます。
 最後に、世界人権宣言五十周年の取り組みについてでございますが、議員のお話のとおり、本年は五十周年という意義深い年であります。本県におきましても、県民の方々に世界人権宣言の意義を周知するとともに、人権メッセージ事業などの記念事業を初め、人権問題を身近なものと受けとめられるようなイベント、地域リーダーの養成など、工夫を凝らした教育啓発事業を関係機関と協力しながら実施し、世界人権宣言五十周年にふさわしい年にしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 生活文化部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 松本貞次議員にお答えをいたします。
 ごみ処理問題、ダイオキシン対策についてでございます。
 まず、厚生省規制強化に関する市町村の広域行政への指導についてのご質問でございます。
 ごみ問題につきましては、市町村の固有事務として実施してまいったところでございますが、昨年五月末に至り、ごみ処理の広域化計画を遅くとも平成十年度末までに県で作成するよう厚生省から指導がございました。その後、九月には一日三百トン、最低でも百トン規模でないと補助対象にならないこと、また本年一月には広域化計画に位置づけしないと百トン未満の施設は起債及び交付税の上乗せ措置がなされないこと等が次々と明らかになってまいりました。建てかえ時期が間近に迫っている市町村もあることから、県といたしましては、早急にごみ処理の広域化計画を策定する必要が生じ、現在、広域化ブロック区割りの素案を作成し、市町村へ示しているところでございます。今後、市町村の意見を聞きながら、広域化計画を早急に策定してまいりたいと考えてございます。
 次に、二番目のRDF方式採用の奨励、三番目のRDF化の調査研究等についてあわせてお答えをいたします。
 廃棄物固形化燃料であるRDF方式には、議員ご指摘の利点がございますが、その処理方法が問題となってございます。RDFの処理方法として幾つか考えられますが、県といたしましては、最も実現可能な方法として、ごみ発電について、現在、新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)の補助を受け、調査検討を行っておりますが、各市町村においてその焼却施設の建設時期、施設機能の違いから、いつRDFへの移行ができるのかといった問題、そのことと連動して、発電能力や採算性等の解明しなければならない課題がございます。したがって、調査結果がまとまるまでは広域で百トン規模へ集約する焼却方式とRDF方式との両面で対応できるように、現在、市町村とともに検討を進めているところでございます。
 四番目のRDF化処理施設設置の国への要望についてのご質問でございますが、昨年末に県といたしましては、百トン未満の施設補助への弾力的運用、既設炉廃止に伴う国庫補助金返還の配慮、ごみ発電への優遇措置等について政府要望を行ったところでございます。各府県からのこれらの要望の結果、国においても百トン未満の施設への交付税措置とともに、ごみ発電への補助制度が実現されたところでございます。また、NEDOの調査の中で、事業主体についても公共団体、第三セクター方式、民間等、どのようなあり方が最も適しているかについても検討を行っているところでございます。今後とも、これら諸制度の整備につきまして国へ強く要望してまいりたいと存じます。
○議長(木下秀男君) 農林水産部長平松俊次君。
  〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) ミカン生産農家に対する経営支援に関してでございますが、まず今回の価格低迷は、生産量が前年産を上回り、需給バランスが崩れたこと、次に景気の低迷等から末端消費の冷え込みが見られたこと、三番目に極わせミカンの品質低下によりまして価格が低調に推移し、これ以降の価格にも影響を与えたこと等によるものではないかと考えております。十年産につきましても、予断を許さない状況ではないかと思っております。
 また、県に対しまして二つの町議会から減収農家に対する所得補償等に関する意見書をいただいてございますが、先日、松本泰造議員にもお答えいたしましたように、昭和六十三年当時と異なりまして現在は低金利時代であり、今回、市町村や農協が実施している利子補給により末端金利が一%と農家が利用しやすい低金利となっておりますことから、県といたしましては、各般の事情を総合的に勘案し、国と協議の上、ジュースなど加工用の緊急枠として新たに二千トンの枠を確保し、それに要する事業費六千六百万円のうち、県負担分の千六百五十万円を二月補正予算として今議会にお願いするなど、農家の苦しい経営状況等を視野に入れた取り組みを行っております。
 農家の救済対策につきましては、先日の吉井議員、松本泰造議員からご質問もあり、そしてきょうまた松本貞次議員にもご質問をいただきましたことに対しましては厳しく受けとめてございまして、なお一層努力してまいりたいと存じます。
 いずれにいたしましても、果樹産業は本県農業の基幹でございまして、国に対しましても本県の厳しい実情を訴えるとともに、全国みかん生産府県知事会議等の機会をとらえ、減収農家に対する必要な措置等について要望してまいりたいと存じます。また、今後とも二十一世紀を見据え、新しい時代にマッチした生産、流通、加工体制の整備充実に向けて関係者が一丸となって取り組み、果樹王国和歌山の堅持に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 同和教育の基本姿勢についてお答えいたします。
 本県におきましては、これまで県同和教育基本方針に基づき、学校教育、社会教育の場におきまして、部落差別とそれを支えているさまざまな不合理な問題とのかかわりや違いを正しくとらえる学習を重視してまいりました。こうした取り組みにより、国民的課題としての同和問題解決への自覚を深めるとともに、広く人権尊重の精神を高める上で大きな成果を上げてきたと考えております。しかし、子供の学力や進路等について、また県民の意識調査結果を見ましても、解決に向けて取り組むべき課題が残されていることも事実であります。さらに現在、国際化や高齢化等、社会が大きく変化してきている中でさまざまな人権問題が生じており、これらの問題への対応が重要な課題であると考えております。
 教育委員会といたしましては、こうした状況を踏まえ、人権教育の推進に当たっては、学校教育指導の方針と重点にも明記しているとおり、今後とも同和問題を人権問題の重要な柱と位置づけ、積極的に取り組んでまいります。また、他のさまざまな人権問題に対しても、これまでの本県における同和教育の歴史と成果に深く学び、差別の現実を直視した取り組みを推進してまいる所存であります。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) 再質問がございませんので、以上で松本貞次君の質問が終了いたしました。
○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番上野哲弘君。
  〔上野哲弘君、登壇〕(拍手)
○上野哲弘君 通告に基づきまして、一般質問を行います。
 最初に、長期総合計画についてお伺いいたします。
 先月、平成九年度を初年度とする平成二十二年度までの十四年間に及ぶ和歌山県長期総合計画が策定されたところであります。その内容につきましては、それぞれの分野の課題と施策が述べられており、県政の指針となるものであります。個々の問題につきましては各論で行うとして、ここでは基本的県行政について質問いたしたいと思います。
 その計画の基本姿勢として、「時代は大きな転換期に入っています。二十世紀の機能や効率を優先した社会から、二十一世紀は、感性や創造性が重視される時代であります」。世界の流れを敏感にとらえながら、「異なる価値観や個性をお互いに認め、尊重し合いながら、生まれ育った地域に愛着を持ち、(中略)地域の特性を生かし、世界に開かれた地域づくりを進め」となっております。
 まず計画案についてでありますが、今までの経験から、この手の策定について行政当局は大半をコンサルタント任せで、実体感のない計画になってしまっているのではないかと感じるわけでありますけれども、今回の策定経過についてお伺いいたします。
 次に、二十一世紀まであと三年となりました。新たな世紀の到来と長期総合計画の策定と相まって、この三年間が和歌山県にとって重要な時期になることは間違いないところであります。その意味から、県政の基本姿勢と均衡ある県勢の発展を標榜するに足りる理念についてお伺いいたします。
 理念とは理性によって得られる最高の概念であり、理性とは物事の道理に従って判断し実行する能力となっています。当然、県民すべてが平等であり、公正に対処されるべきであります。県下五十市町村、それぞれの存在意義を持ち、地域社会をつくり上げているところであります。今日まで県行政も県民の要望を取り入れて公正に行ってきたと思いますが、過去の歴史あるいは各地の状況により多少差異があるものと思っております。
 現在、我が国において東京一極集中を是正する論議がなされ、均衡ある国土の発展をスローガンにしているわけでありますが、当和歌山県においても県行政が和歌山市に集中しているのではないかと指摘され、また思うわけであります。特に医療、文化施設、公園等、財政基盤の大きい和歌山市に県立施設が多く見受けられるのはいかなる理念なのか、お伺いいたします。
 あわせて、和歌山市における県民文化会館と田辺市における紀南文化会館の取り扱いの違いについてもお願いいたします。
 続きまして、広域行政と県行政のあり方についてお伺いいたします。
 二十一世紀の行政は、さらなる広域行政になることは間違いないところであります。さきの議会で、少し意味が違ったようでありますが、県なんか要らない、市町村の枠を外さなければならない等、広域行政のあり方について質問いたしました。今回は、二十一世紀の行政のあり方として江戸時代の行政に戻るべきであると提起し、その所見を伺うものであります。当然、民主主義が基本となります。
 私が、江戸時代の行政に戻れという意味は、現在の地方自治体の線引きを解消し、江戸期における村単位を県が主体となって行政を行うべきであるということであります。当時の和歌山藩は現在の和歌山県と三重県の約半分を領有していたわけで、その点を考えれば、現在の行政について、広域的には江戸時代より進んでいないように思われます。私は、現在の地方自治体の線引きは、明治維新以降、歴史的あるいは特別な理由もなしに進められたと思っております。その例として二点申し上げます。
 新宮港第二期工事における新宮市佐野地区と那智勝浦町宇久井地区であります。佐野地区は、昭和八年、新宮町と合併して新宮市佐野となり、一方、宇久井地区は、昭和三十年、周辺町村と合併して那智勝浦町宇久井となったわけであります。宇久井地区においては、新宮市との合併を推進される方もおられたようでありますが、住民意思を総括した結果、那智勝浦町宇久井となったわけであります。しかし、航空写真に見られるように、佐野、宇久井は同じ湾内であり、港湾整備における振興策等についても一体に考えるべきであります。所属自治体の違いによりその視点が定まらないとしたら、地域住民にとって本当にいいものができるか考えさせられるところであります。すなわち、私の提起する江戸時代に戻れということは、新宮市佐野は佐野村に、那智勝浦町宇久井は宇久井村になり、それぞれの住民が主体となって地域づくりなり振興策を考えるべきであるということであります。すなわち、新宮市あるいは那智勝浦町という行政単位に縛られることなく論議し、実行すべきであります。そうなりますと、当然、県が指導しなければなりません。広域行政の推進を考える上で、江戸期の行政単位に置きかえてみました。所見をお伺いいたします。
 もう一点、これも同じく新宮市ですが、新宮市高田と那智勝浦町那智山への道路整備に絡めて私見を申し上げたいと思います。
 高田地区は、昭和三十一年、新宮市と合併いたしましたが、その後の高田地区を見てまいりますと、本当に新宮市と合併してよかったのか疑問に思われます。その第一の理由は、道路整備であります。高田地区には幹線道路として県道がありますが、この道路は途中で中断しているままであります。そのため、高田地区住民はもとより、那智山に接続するということで那智山の住民もその開通に期待しているわけでありますが、これも新宮市と那智勝浦町の行政に阻まれて、なかなか進展しないようであります。高田住民と那智山住民は古くから交流があり、その実現を強く望んでおり、また先輩、下川県議も大いに努力されたと聞いておりますので、特に実行を願うものであります。要は、広域行政を考える上で、従来の高田村と那智村の住民の意思を十分考えていただきたいという趣旨であります。
 次に、地域の特性とその利活用についてお伺いいたします。
 一昨年、巴川製紙所新宮工場が閉鎖となりました。この工場は、まさしく地域の特性から生まれたものであります。無論、基幹産業として地域の経済を支えてきたわけでありますが、いかんせん、時代の流れとはいえ廃止のやむなきに至りましたのはご存じのとおりであります。聞くところによりますと、港の整備ができていたら撤退しなくて済んだとも言われておりますが、その理由について、まずお伺いいたします。
 さて、この跡地利用であります。会社、地元自治体及び県においてそれぞれ対応策を考えておられるようでありますが、その進捗状況について、また今回の長期総合計画では新たな産業の創出が挙げられておりますけれども、企業誘致がたやすくできた高度成長の時代ならいざ知らず、二十一世紀の企業は非常に厳しい状況にあろうと思います。企業誘致に限らず、地域に見合った学校機関あるいは研究所等あらゆる選択肢の中で、県、地元自治体、民間所有者の役割を明確にして対応すべきと思いますが、所見をお伺いいたします。
 次に、地域振興における経済三原則と行政の役割についてであります。
 現在、地方においては少子高齢化とともに過疎対策が大きな課題となっておりますが、地方都市においては既存商店街の衰退、中山間地域においては放棄農地及び山林等の増大で地域社会そのものが問題視されております。このたびの県長期総合計画では、その打開策として、地域の特性を生かした地域づくり振興策がうたわれておるところでありますが、その対策を講ずる上で地域住民の生活基盤となります産業を確立するためには、経済三原則と言われる人、資本、土地の確保が必要となります。従来ですと大半が民間だけで調達してきたわけでありますが、今日、地方の衰退に歯どめをかけるには民間だけでは不可能に近い状況であろうと考えます。行政において、経済三原則の分野にも大いに乗り出す必要があるのではないか。今後、行政の役割としてどのように考えておられるか、所見をお伺いいたします。
 続きまして、南紀熊野体験博についてお伺いいたします。
 体験博開催まで、残すところ一年となりました。聞くところによりますと、開催への体制づくりを初め、各地におけるイベントの具体案も出そろってきているようでありますが、この際より充実した体験博を願う一県民として質問いたしたいと思います。
 まず体験博開催の基本理念でありますが、二十一世紀にはこれまで以上に心のゆとりや安らぎといったものを人々は求めるようになると考えられますという一節がパンフレットに述べられております。また今議会、知事においてその基本的な考え方をお聞きしましたので、この点につきましては重複となりますので、別の角度の質問をいたしたいと思います。
 体験博の実行委員会についてお伺いいたします。
 実行委員会における予算配分についてでありますが、予算総額二十二億円のうち、田辺、那智勝浦におけるシンボルパークの予算が十一億三千万円と、約五〇%が両地域に配分されます。このことは、体験博開催地十六市町村のうち田辺、那智勝浦がそれぞれ二五%、残り十四市町村は一自治体当たり三・五%となり、実に田辺、那智勝浦の七分の一という予算になります。そのような考え方でこの体験博を推進するならば田辺、那智勝浦にばかり集中し、残り十四市町村においては体験博開催地にもかかわらず人が集まらないで閑古鳥が鳴く体験博になるのではないかと危惧しているところであります。私は、この体験博が十六市町村に満遍なく人々が集まり、すべての地域が体験博をやってよかったと思うような事業であってほしいわけであります。田辺、那智勝浦に五〇%の予算をつぎ込むということは、両地域に七〇ないし八〇%の偏った体験博になろうと思うわけであります。まさか県はそのような考えではないと思いますが、十六市町村、多少の温度差があるにしても全体的成功が望まれるわけでありますので、この際、シンボルパーク予算を大幅に削減し、各市町村のイベントにより多い支援をすべきものと考えます。我々は、ベターよりベストを目指すべきであります。このような南紀熊野体験博は二度とできないことを肝に銘じ、あらゆる発想と知恵を出し合い、ジャパンエキスポに恥じない体験博にすべきと思います。県当局の所見を伺いたいと思います。
 続いて、実行委員会の組織とその活動についてであります。例えば、ある具体的提案を行った場合、それを実行するかどうかは別にして、それを聞き流したり、無視したり、あるいは既存の概念で処理したりするのは余り感心しません。提案者にとって重要なのは、その具体案をまないたにのせてもらえるかどうかであります。ベターよりベストであります。あらゆる発想による提案を真剣に検討し、悔いのない体験博にすべきと考えます。今議会、森議員から斬新なアイデアによる体験博に期待している旨の発言がありましたが、まさしくそのとおりかと思います。
 さて、提案についてでありますが、多分三つのパターンが考えられます。その一つの自治体単独で行うものについてはここでの論議になりませんので省くとして、複数の自治体に及ぶものと体験博全体で考えられるものがあります。それらの提案について、どの組織が受け皿になっていただけるのか、お伺いするものであります。
 続いて、コンサルタントによる総合プロデュースの役割であります。地元では、シンボルパーク関連のイベントにばかり目を向けて、我々単独の自治体イベントに何ら支援がないのか疑問視しております。開催地の十六市町村のみならず、和歌山県全体、さらに三県に波及する体験博でなければならないと思いますが、全員参加の単独自治体イベントに対する総合プロデュースの役割についてお伺いいたします。
 続いて、具体的提案についてお伺いいたします。南紀熊野体験博の理念等については、これまでの知事の発言から、その意図するところは全く同感であります。この体験博は、南紀熊野地方の歴史と自然を生かした文化、レジャー、スポーツの祭典としてとらえるべきと考えます。それでは、具体的提案を申し上げたいと思います。
 第一点、体験博におけるマラソン大会の開催であります。できれば熊野三山マラソン大会がベストであると思いますが、道路事情により開催できないようであれば、歴史的背景のもと、新宮・神倉神社と熊野市・花窟神社往復の日本書紀マラソンを提案したいと思います。
 第二点、大正時代、地元写真館において熊野百景を撮影し、それを絵はがきにして販売した歴史があります。体験博において、全国アマチュアカメラマンによる新熊野百景の撮影大会を提案します。
 第三点、熊野には熊野三党という、太古の昔から家系が続いている名字があります。宇井、鈴木、榎本姓であります。この家系は全国で三百万人と言われ、体験博への誘客に無視できない数でありますので、エージェントに働きかけ、全国熊野三党の呼びかけを提案します。同じく、全国熊野神社三千五百社の氏子への呼びかけも考えられます。
 第四点、体験博では十万人の熊野古道ウオークが計画されておりますが、同じやるなら皇太子殿下の参加と平安期の藤原宗忠日記「中右記」及び鎌倉期の藤原定家日記「明月記」における熊野古道追跡を提案します。
 第五点、後鳥羽上皇の時代、京都から熊野までの旅情を慰めるため王子社において歌会が催され、現在、熊野懐紙として三十四枚が残されていること、また熊野川町宮井生まれで平家方の大将の平忠度は文武両道に秀でた武人、歌人であります。全国の和歌愛好家の参加の呼びかけを提案します。
 これらの点について、生活文化部長の答弁をお願いいたします。
 続いて、体験博における教育関係の具体的事業について提案し、教育長の所見を伺うものであります。
 二十一世紀は心の時代と言われる反面、間近に迫った今日、教師、児童生徒それぞれに精神面の問題があり、大きな悩みを含んでいるところであります。今議会、飯田議員の発言にあるとおり、教育関係の悲惨な事件が多発しているところであります。私は、このような日本社会のゆがみを是正する意味で、この南紀熊野体験博を絶好の教材として活用するべきであると思っております。具体的提案として、児童生徒の不登校を取り上げてみたいと思います。
 聞くところによりますと、平成八年度、小中学生で三十日以上の不登校児童生徒は全国で九万四千名に及んでいると言われております。二十一世紀の人づくり、国づくりの担い手であるこれらの教師及び生徒の心のいやしが日本の社会にとって急務となっております。その意味から、この体験博を心の問題を解決する実践の場として多くの国民に活用を願うところであります。さらに、南紀熊野地域の特性を生かす意味で、二十一世紀の教育における教師問題、生徒問題に真っ正面から取り組める施設の設置も考えられると思います。南紀熊野体験博を契機に、当地域の利活用を進める上で重要な選択肢であると思っております。所見をお伺いいたします。
 以上、歴史、文化、スポーツの体験博の具体的提案をいたしました。これらは既に具体案として計画書に載せられているものもあると思いますが、所見をお伺いいたします。
 続きまして、知事に源平合戦についてお伺いいたします。
 去る十二月議会、知事は、南紀熊野体験博とのかかわりで那智勝浦町色川地区住民から聞いたとして、平家物語の重要人物、平維盛の話をされたところであります。私はちょうどそのとき、南紀熊野体験博開催における南紀熊野の歴史として源平合戦を取り上げることができないかどうか思いをめぐらしていたところであります。今回、平維盛の話から少し紀の国関係の源平の歴史を調べてみましたところ、格好の材料が見つかりましたので、紀の国版源平合戦を提唱するものであります。
 ご存じのとおり、源平合戦の全体像は、一一五六年の保元の乱、一一五九年の平治の乱に始まり、義経による一ノ谷、屋島、壇ノ浦での合戦で平家が滅亡し、一一八五年終結したものであります。それは、三十年に及ぶ歴史絵巻となっております。その合戦について調べた結果、すべてに登場するのが熊野別当に関係のある源行家であります。行家は、頼朝、義経のおじであり、平家追討の先駆者と言われております。源平合戦の中心人物は、平清盛、源頼朝、木曽義仲、源義経等が挙げられますが、このたび提唱する行家を通じての源平合戦では、当然この人たちはわき役となります。このことが全国の人々に紀の国の人物を描く紀の国版源平合戦の話題を提供することになれば、南紀熊野体験博に花を添えるものと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、体験博にどのように取り上げていただくかでありますが、源平合戦は史実としてその構成は既にでき上がっておりますので、紀の国源平作品として新たに歴史作家にお願いするというものであります。その登場人物を列記すると、次のようになります。和歌山市関係は、紀の国の国主である平頼盛、海南市は鈴木三郎重家、亀井六郎──これは義経の家来であります。田辺市は弁慶及び別当湛増、新宮市は源行家、熊野別当及び丹鶴姫、本宮町は大江法眼、紀和町は後白河法皇、熊野川町は平忠度──これは平清盛の弟であります。那智勝浦町は平維盛、文覚上人、北条政子、湯浅町は湯浅宗重、金屋町は明恵上人、高野山は石童丸がおります。この人については苅萱道心物語がありますが、平家物語では石童丸は平維盛とともに那智の浜に入水したとなっております。
 以上が主な登場人物になろうかと思いますが、具体的には紀の国源平作品の選考会を体験博期間中に行うというものであり、できれば近い将来大河ドラマ化も視野に入れ、すばらしい作品になるよう願うところであります。
 知事、井伊直弼に「一期一会」という言葉があります。このような体験博は二度とできません。この際、あらゆる可能性を求めて、これしかないことを肝に銘じて活動することが南紀熊野体験博の成功につながるものと考えますが、熊野の歴史と大いに関係のある源平合戦について所見をお伺いするものであります。
 続きまして、体験博における農林水産部の対応についてお伺いいたします。
 この体験博開催は、県行政のあらゆる部門に関連するものと思われますが、特に農林水産部の関与に大きいものがあろうと思います。それらについて部長の答弁をお願いするものであります。
 第一点の農産物でありますが、紀州和歌山は梅を初めミカン等、特産品が多数そろうものと思います。体験博開催による地元産品のPR及び販売について今後どのような対応をなされるのか、お伺いいたします。
 第二点、林産品でありますが、ご承知のとおり、現在、木材の価格が大幅に下落しているところであります。その結果、間伐材等が放置されたままになっております。これらは林業振興の上で大きな弊害となっております。この際、思い切って自治体所有林及び民間所有林をこの体験博参加者に提供し、ログハウスや間伐材利用の組み立て休憩所等の活用を提案するものであります。
 第三点、水産物につきましては、先日、マグロ祭りが勝浦で開催されたところ、大変人気がよかったと聞いておりますが、紀の国水産物の充実に向けてどのような対応を考えておられるのか、お伺いいたします。
 以上で、一般質問を終わります。
○議長(木下秀男君) ただいまの上野哲弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 上野議員にお答えをいたします。
 紀の国版源平合戦についてのお尋ねであります。
 和歌山県の最も大きな魅力の一つに、神話の時代からの豊かな歴史、文化、それをはぐくんできたすばらしい自然があります。とりわけ熊野地域は歴史文化資源の宝庫であるとの議員のご認識は、私も同感であります。
 これまでにも、全国的に関心を持たれた本県ゆかりの歴史上の人物は多々ございますけれども、議員お話しの源行家を主役とする紀の国源平合戦という着想は、県下各地域を結び、さらには三重県にまで視野を広げる歴史物語という点からも興味深く伺いました。また、上野議員が地元紙に詳しく寄稿されている源行家に関する文章も読ませていただきました。これらを題材とした創作につきましては、大変貴重なご提言と受けとめさせていただきたいと思います。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 上野議員にお答え申し上げます。
 今回の長期総合計画の策定経過でございますが、平成八年二月に和歌山県長期総合計画審議会に諮問し、二年間の慎重な審議を経て本年二月に答申をいただきました。審議会での答申作成に当たりましては、審議会の中に五つの委員会を設け、分野ごとの検討を行い、それをもとに審議をしていただきました。また、庁内に副知事をキャップとする策定本部を組織し、それぞれの委員会に関係する庁内各課室が検討を重ねてまいったところであり、外部への委託といった手法は用いておりません。さらに、二度にわたり市町村長、地域のオピニオンリーダーの方々との地域別意見交換会を開催し、地域の方々のご意見をできる限り計画に反映するよう努めたところでございます。こうした経過を踏まえまして、本年二月二十五日に計画決定をしたところでございます。
 次に県土の均衡ある発展についてでありますが、県内のどの地域に住んでいても快適で安定した暮らしを営むことができる自立的な定住環境を整えるとともに、住む人が誇りを持ちながら、価値観に応じた豊かさを実感でき、独自の輝きを持った個性ある地域を形成することが重要であると考えております。
 今回の長期総合計画では、県内を六つの圏域に分け、それぞれの圏域で産業基盤や地域特性に合った生活基盤を整備するとともに、地域住民が医療、福祉、教育、文化などの日常生活において必要となる一定水準の機能を圏域内で享受できるよう地域整備を進めることを基本的な考えとしております。県の施設につきましては、それぞれの行政目的に応じて広域的な利用を確保しつつ、財政負担や立地環境等を考慮して配置されております。今後とも、長期総合計画を推進する立場から、こうした観点とともに、均衡のとれた県土の形成を目指し、各種プロジェクトや施設計画を進めてまいりたいと考えております。
 次に経済活動における行政の役割でございますが、地域経済の活性化のためには産業振興が大きな課題であり、民間の産業振興を支える道路、港湾といった基盤整備や制度融資、企業誘致等を行ってきたところでございます。新しい長期総合計画においても、重点的な取り組みを行う「新時代を拓く戦略的構想」の中に、地域産業の高度化、新分野への進出、新規産業の導入、支援などによる新産業の創出・育成を掲げ、主要施策を位置づけたところでございます。また、県行政の企業活動へのかかわりにつきましては、第三セクターへの人の派遣や出資という形で参加しておりますが、今後とも公共性や地域の振興を考慮した対応が必要であると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 生活文化部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 上野議員にお答えをいたします。
 まず長期総合計画の中の県政の基本姿勢と均衡ある発展についてのご質問のうち、県民文化会館と紀南文化会館についてでございます。
 県民文化会館は、県民の文化の殿堂としてより多くの県民の皆様にご利用いただくという使命を担っており、利用人口、利便性等を考慮して現在地に建設されております。一方、紀南文化会館は、主に田辺市及び周辺地域の皆様に利用される文化施設として地元の強い要望もあり設置されたものでございまして、運営管理は地元にお願いしているところでございます。
 続きまして南紀熊野体験博について、まず実行委員会における予算配分についてお答えをいたします。
 南紀熊野体験博は、従来にない熊野地域全体を会場として広域展開するものであり、それぞれの地域の人々の積極的な取り組みが必要であると考えております。
 市町村におきましては、体験博以降の継続も視野に入れた体験イベントや地域ネットワークイベントの企画、実施をしていただき、民間団体におきましては、地域の担い手として市町村等と連携を図りながら体験博に参加していただきたいと考えてございます。これに対し実行委員会は、県内外における体験博の広報宣伝やテーマイベントの企画実施を行うとともに、シンボルパークの建設、運営を行うことになっております。
 そうした中でシンボルパークは、南紀熊野体験博のテーマを象徴的にアピールする場所であり、各地域の体験イベントや熊野の魅力といった情報の集約、発信を効果的に行うものでございます。そして、テーマ館や情報センターといった施設を設置し、熊野地域全体に広域展開していくオープンエリア型博覧会の玄関口として位置づけてございます。したがって、このような施設は平成十年度に整備、完成させる必要があるため、結果として実行委員会の予算が議員のご指摘されたような形になってございますが、平成十一年度には民間団体等の積極的な参加をいただき、各種、各地域のイベントの充実を図ってまいる予定でございますので、ご理解をお願い申し上げます。
 続きまして、実行委員会の組織と活動についてお答えをいたします。
 この体験博は、県全体で構成されております南紀熊野体験博実行委員会と直接対象地域の市町村において自主的に組織された地域の実行委員会で実施してまいります。こうした中で、それぞれの地域の魅力を知り尽くした住民の皆様からの市町村単位のイベントを初めとしたあらゆる種類のイベントの提案を受け入れ検討することは非常に重要であると認識してございまして、実行委員会では昨年八月にイベントアイデアの公募も行っているところでございます。イベントの提案に関しましては、実行委員会と地域の実行委員会が相互に連携して、いずれの組織においても受け入れを行い、実施に関し検討するべきであり、これからもそのように進めてまいる所存でございます。
 続きまして、総合プロデュースの役割と活動内容についてお答えをいたします。
 この体験博におきましては、地域の多様な資源を活用し、熊野地域全域で多数のイベントを実施してまいります。その中には、県の実行委員会が中心となって展開するものもあれば、地域の人々がアイデアを出し主体的に実施していくものもございます。それら多種多様な形態のイベントを博覧会として統一的に構成し運営することや、会場として熊野地域全体を演出していくこと、さらに効果的な広報展開を実施していくことが総合プロデュースでございます。とりわけ、この体験博では住民主導の体験型イベントを重視しておりまして、こうした地域の人々の取り組みが体験博終了後もその地域に根づいていくことを視野に入れ、地域の実行委員会と連携した総合プロデュースに努めてまいりたいと存じます。
 続きまして、具体的な提案についてお答えをいたします。
 この体験博のイベントの特徴は、来訪者に参加体験を通してこの地域のすばらしさに触れていただくという体験重視の考え方でございます。現在、熊野地域の魅力を余すことなく訴えていきたいとの考えのもとに、さまざまなイベントを県実行委員会や地域実行委員会で企画しているところでございます。その中にはスポーツイベントや歴史文化に由来するイベントも多数含まれてございますが、議員のご提案も踏まえ、さらに検討いたしたいと存じます。
 また、その具体例の一つとして、熊野三山のゆかりの神社がすべての都道府県に及び、その数も三千社以上あるという事実を重視いたしまして、仮称ではございますが、熊野比丘尼隊というキャンペーン隊を全国に派遣することを企画いたしており、広く全国各地に当博覧会を広報宣伝いたしたいと準備を進めているところでございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 総務部長中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 広域行政における県行政のあり方についてお答えします。
 地域振興を考えるとき、地域の住民の方々の意向を十分反映させながら、市町村の区域を超えた一体的な地域振興策が大切でございます。そのような意味で、市町村がその区域にとらわれず、互いに協力し合い、広域行政を推進していくことは地方分権の時代にかなったことでございます。また一方、市町村が地方分権の担い手としてふさわしい行財政能力を強化していくことも必要でございます。
 いずれにいたしましても、広域行政の推進は時代の要請でもございますので、県といたしましては、これまでも広域行政推進セミナーや広域行政検討会などを実施いたしましたが、さらに地域の状況を勘案し、効率的な広域行政が展開できるよう適切な指導を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 長期総合計画についてのうち、地域の特性とその利活用についてお答えします。
 巴川製紙所新宮工場の撤退理由と跡地利用についてでございますが、同社は、昭和二十年に地域の豊富な木材、水資源等を活用した工場として立地し、以来、新宮地域の基幹産業として約半世紀にわたり地元経済発展の重要な役割を担ってきました。しかし、円高の進行等による国際競争の激化、商品需要の変化、流通のコスト高等さまざまな要因に対応するため、経営の合理化による改善努力を行ってきましたが、予想を上回る紙パルプの市況の悪化等により、平成七年にパルプ部門からの撤退による新宮工場の閉鎖を決定したと聞いてございます。
 同工場の操業停止は、地元はもちろんのこと、本県経済にとりましても大変な痛手であり、その跡地の活用を図るため、製紙関連会社や住宅関連会社への企業訪問や、大阪市、名古屋市での企業立地説明会での用地紹介等、企業誘致を積極的に推進しているところですが、現状は厳しい状況にあります。巴川製紙所においても地域の振興に結びつく売却先を探しており、議員ご指摘のとおり、今後とも地元新宮市、同社との連携を密にしながら、地域の活性化を図るという観点から積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 農林水産部長平松俊次君。
  〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 南紀熊野体験博のうち、農林水産部の対応についてでございます。
 議員お話しのとおり、本県は全国に誇り得る農林水産物が数多くございます。南紀熊野体験博においてこれらの産品をPR、販売することは、本県の農林水産業を振興する上で絶好の機会であると認識してございます。このため現在、南紀熊野体験博推進本部内に設置した物産物流部会におきまして、世界リゾート博での経験なども生かしつつ、二カ所のシンボルパークを中心に農林水産物のPRや販売の計画、調整を進めているところでございます。
 ログハウス等への間伐材利用につきましては、地域材の利活用の推進という観点からも意義あることと考え、関係市町村等で十分検討していただけるよう働きかけを行ってまいりたいと考えてございます。
 また、農林水産業に関連したイベントの開催につきましては、体験博のテーマイベントの一つである十万人の熊野もうでの参加者の皆様に、熊野の地ゆかりの照葉樹等を記念植樹していただくことなどを計画してございまして、今後、議員お話しのマグロ祭りなど、和歌山の農林水産業の魅力を全国に発信できる関連イベントの充実に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 熊野体験博と心の教育の関連についてお答えいたします。
 全国的に、中学生、高校生による深刻な事件が相次ぎ、大きな社会問題となっております。こうした事件が起こる大きな要因の一つに、子供の心の荒廃がございます。子供を育てる上で心の教育は最も重要な課題であり、紀南地方の豊かな自然や日本の精神文化の源とも言える歴史を心の教育に役立てることは、まことに意義深いと考えてございます。
 教育委員会では、昨年十月に本宮町において紀伊半島民俗芸能サミットを開催し、郷土の文化や伝統のすばらしさとその伝承や保存についても再認識したところであります。また、新宮地方において紀伊半島三県高等学校ネットワーク推進事業を実施し、三重、奈良、和歌山の高校生が紀伊半島の歴史、文化、自然についての学習や交流を行ってございます。さらに、平成十年度からふるさと教育推進大会を開催し、紀州の自然や伝統を愛し、豊かな心をはぐくむ教育の推進に努めてまいりたいと考えてございます。
 南紀熊野体験博につきましては、プレイベントとしてオリンピック選手と一緒に走るオリンピックデーランを六月に田辺市で実施するほか、紀南を中心に紀の国アウトドアスポーツフェアの開催を予定してございます。平成十一年には、外国語指導助手(ALT)の中間期研修会を初め各種の研修会や会議等を紀南地方で開催し、その機会をとらえて外国人を含む多数の参加者に紀南のよさをアピールするとともに、同博覧会への児童生徒の参加を促し、心の教育に役立てていきたいと存じます。
 なお、紀南地方への教育関係施設の設置につきましては、関係機関とも連携し、今後の研究課題にしてまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 27番上野哲弘君。
○上野哲弘君 一点だけ知事に。
 源平合戦の話をさせていただきましたが、今、「徳川慶喜」のテレビ番組でも、ロケとかセットを用意しないとなかなか大河ドラマにしてもらえないという話があるんですね。そういう面で、今、県において熊野学研究センターが計画されておりますので、それとセットになるような形でつくれば大河ドラマの可能性は九〇%ぐらいいくんではないかと期待をしておりますので、ひとつ知事においてよろしくお願いしたいと思います。
 以上で、終わります。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で上野哲弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(木下秀男君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十三分休憩
      ─────────────────────
  午後一時二分再開
○議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 8番門 三佐博君。
  〔門 三佐博君、登壇〕(拍手)
○門 三佐博君 七日間にわたる本会議一般質問におきまして、各議員から県民の声を集約した重要な問題が取り上げられ、当局の考えをただされましたが、私が最後の質問者ということで登壇を許されました。重複する点もあると思いますが、お許し願いたいと思います。
 最初に、長期総合計画についてお尋ねいたします。
 私は小学校三年生のときに終戦を迎えまして、戦後の復興、高度経済成長とともに私の人生の歩みがあります。戦後復興期は、食べるものも事欠き、日々の生活が大変苦しかったことを子供心ながら覚えております。その困難の中から国民が力を合わせて立ち上がり、高度成長期を迎え、欧米先進国に追いつけ追い越せということで、国民は一丸となって物づくりに励みました。年平均一〇%を超える経済成長に確かな実感を感じたものでありました。
 昭和四十八年のオイルショック以降も、日本経済は合理化を進め、年平均五%程度の成長がありました。昭和六十二年以降の景気拡大は「バブル経済」と言われておりますが、平成三年、バブルが収縮し、その反動として景気の停滞感が日本を覆っております。マスコミでは「第二の敗戦」とか「日本売り」とか言われ、日本及び日本国民が自信を失っているのが今日の現状であると思います。
 私は、日本経済の生産力、技術力は崩壊するはずもなく、世界的な競争においてもまだまだ優位な状況は変わらないと思いますが、成長期に適していた日本型の経済社会システムは成熟化した社会において有効に働かなくなってきておると思います。成熟化した社会においては、個人や家庭においても目標や生きがいを持ちにくい時代になっていると思います。規模、数量、効率重視から創造性、快適性、文化性、さらには地球環境との共生といった多元的な価値が求められております。こういった生活者の視点に立った改革を日本において早急に実現化する必要があると存じます。
 昨年六月、財政構造改革の閣議決定がありました。当然のことながら財政赤字の削減は必要であり、立法化するのは当然と思われておりましたが、ただ、それ以降、一部上場のゼネコンや都市銀行、四大証券の一角である山一証券が倒産し、景気の状況は予断を許さないものとなり、政府としても財政構造改革の中で景気対策を打ち出す非常に苦しいかじ取りをされております。去る三月十三日に経済企画庁から発表されました国内総生産(GDP)成長率は年率にして〇・七%減に落ち込み、政府実績見込みの〇・一%成長の達成は厳しい状況となり、なかなか明かりが見えてきません。
 こういったもやもやとした停滞感は、やはり政府の将来ビジョンが明らかにされないために我々の暮らしの将来像が非常に不透明になっていることが原因かと思います。国土の将来ビジョンである全国総合開発計画もなかなかでき上がってきませんが、漏れ聞くところによりますと、開発か抑制かで具体的なプロジェクトの位置づけが決定していないと聞いております。具体的なプロジェクトのない計画では、新しい国土の展望が見えてきません。少子・高齢化の中で投資余力が減少していることは間違いないことから、大規模プロジェクトの実施は今しかないように思われます。特に、あらゆる面で集積割合が低い地方圏においては、道路を初めとする基盤整備が最も必要であり、国土の均衡ある発展に向けて取り組むことが今こそ必要でございます。和歌山県は、広域的なネットワーク社会の中で人や物の流れの拠点となるために、太平洋新国土軸のかなめとなる紀淡海峡大橋の早期実現に向けて、県の総力を挙げてぜひ取り組んでいく必要があると思います。
 さて、本県における将来ビジョンである長期総合計画が先般策定されました。今回の長計の策定に当たっては、審議会において長期間にわたり審議検討が行われ、大変な精力が注がれたと聞いております。
 知事は、今議会の冒頭、「『二十一世紀の故郷(くに)づくり』を掲げ、新しい和歌山県づくりを目指す」と所信を述べられております。今回の新しい長期総合計画では、「地球時代の故郷(くに)づくり」の中で精神的な豊かさを特に重視し、「ゆとりと充実 輝く和歌山新時代」を基本目標に県政を進めるとされております。この目標設定に当たりまして、知事はどのようなことを念頭に置かれ、この文言を設定されたのか、またゆとりと充実の実現のために何が課題となっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 二十世紀もあと三年。百年あるいは千年の時代の変わり目とも言われております。時代潮流の変化とともに、県民の考え方も多様化しております。計画づくりにおいては、県民の参画を得て県民ニーズを構想化する必要があり、また、それぞれの施策展開においても県民の積極的な協力が不可欠なものと考えております。
 今回は、審議会の圏域別の意見交換会に企画部長も出席されまして、市町村長さんや県民の意見を十分聞いていただき、計画に反映されたと伺っております。計画においても推進のための多様な主体の参加がうたわれておりますが、県民にどのような方法で理解を求めていくのか、そしてどのような方策で県民参加を促進するのか、企画部長のお考えをお聞きしたいと思います。
 また、長計にはそれぞれの地域の特性を生かし、個性、独自性を持った地域づくりを進める圏域別の計画が挙げられておりますが、これとともに、私どもの住みます橋本圏域の方では、平成三年八月に地方拠点都市法に基づく地方拠点都市地域の指定を受けまして、その後、地元の基本計画が策定され、間もなく知事から承認されると聞いてございます。このような両者の計画が並行して進められたわけでございますが、その整合性はとれているか、また橋本・伊都地域の将来像はどうなっているのか、企画部長にお尋ねいたしたいと思います。
 次に、農業振興と後継者問題についてお尋ねいたします。
 まず、果樹産地の整備充実についてお伺いいたします。
 今議会におきまして、温州ミカンを中心とした安値対策を初め、農業問題が多く同僚議員からも取り上げられておりますが、申し上げるまでもなく、平成九年産の果実は、梅などの一部の品目を除き、本県の基幹であるミカン、カキが予想を上回る豊作であったこと、金融不安等による景気の落ち込みが見られたこと、個人消費が低迷していること等々、要因が複雑に絡み合い、今までに経験したことのない価格の低下を招いたのであります。平成八年産が品質もよく高価格で推移したことから、農家の受けた精神的打撃は推して知るべしであります。さらに、平成十年産においても長引く景気低迷の中で厳しさを予想する人もおります。
 こうした情勢の中で、県当局において種々検討が行われ、関係団体と連携をとられまして、ミカン価格の安定を図るため、既存の加工枠では不足することから新たな枠を追加する措置を講じられるなど、満足とは言えませんが、その取り組みに対し一定の評価をあらわすものであります。時代が動けば社会システムが変わり、消費スタイルも変化するものであります。時代の変化を見据え、逆境に打ちかつ足腰の強い産地にするためにはどうすればよいのか、このことを真剣に考えていかなければなりません。
 農家の皆様方とひざを突き合わせて話をする中で、いろんな意見が出てまいります。「ことしも去年のような安値であれば農家もピンチである」と嘆く人もおれば、「もう少し辛抱しておれば専業農家の時が来るので、そのために基盤整備、省力化が必要だ」と、あすに夢を託す若い青年たちもおります。私の住むかつらぎ町は、全国に冠たるカキの大産地であります。紀の川両岸の急傾斜地を先人たちが開墾し、今日まで営々と築かれております。しかしながら、農家の皆さんの園地を見るにつけましても、急傾斜という地域の実態でありますが、園内道といいますか作業道といいますか、簡易な農道がもっと整備できれば作業効率は飛躍的に向上し、経費の節減にもつながると考えますが、いかがでしょうか。こうした農道の整備は、結果として生産量の調整に寄与し、品質向上にもなるなど、二次的な効果も期待できるものであります。
 そこで、農林水産部長にお尋ねします。価格低迷の中で将来を展望して元気の出る、カキ産地の活性化をどのように図っていかれようとしているのか、お伺いいたします。
 なお、昨年のカキにつきましては、ミカン同様安値であり、農家では肥料代や農薬代も払えないという声も聞いておりますので、県当局における農家への力強い支援策について、十分検討されるように要望しておきたいと思います。
 次に、農業大学校の充実であります。
 私は、戦後の食糧の厳しい時代を過ごしてきた者でありまして、食糧に対する思いは人一倍強いものがあります。農業を見るにつけ、それを支える人づくりや生産の基盤である農地の確保が大丈夫かという思いが先立つのであります。
 ご承知のように、我が国では、これまでの高度経済成長もあって農業も一つの産業であるという部分のみに目を向けられた結果、担い手は大幅に減少し、平成二年度の農林業センサスでは新規就農者は全国で千八百人を切り、新しく医師になる人数をも下回るという大変憂慮すべき事態を招いたのは記憶に新しいところであります。
 翻って本県を見ますと、新規就農者は昭和五十年代では百人を上回っていたものが、一時四十人前後まで減少し、現在はまた八十五人まで回復してきていると聞いておりますが、それは近畿では最も多く後継者が残っているとのことでございます。これまで県が推進してきました果樹や花などの栽培によって「もうかる農業」という方向に誤りがなかったと確信を持つ一方、将来に一抹の不安を持つところでございます。
 このような中、かつらぎ町にあります農業大学校は、すぐれた農業後継者を養成する機関として昭和四十六年に設立され、二カ年の全寮制で、技能習得はもとより、人間関係を培い、数々の有能な卒業生を地域に送り出してきております。現在、一学年四十名の定員で園芸を中心としたコースが設けられておりますが、また新しい技術といたしまして、コンピューターを使った経営分析やバイテク技術の習得にも力を入れていると聞いております。今議会に提出されている平成十年度当初予算案においても農業大学校の実験実習施設の充実が盛り込まれておりまして、大変意を強くするものであります。
 そこで、農林水産部長にお尋ねいたします。時代はいかなる変化を遂げようとも、私は今後の農政展開の基本はやはり人づくりであると考えております。県として県立農業大学をどう位置づけ、その充実強化をどうしようとしているのか、お答え願いたいと思います。
 次に、粉河町にある果樹園芸試験場の紀北分場の充実強化についてお尋ねします。
 本県の果樹生産は、ここ十年、果樹生産額で全国一位を堅持するなど、果樹王国和歌山を築いてまいりました。その基幹は、四百年の歴史と伝統あるミカンを中心に、カキ、桃、梅の四品目であり、それぞれ紀の川流域、有田地域、紀南地域の地域経済を支える重要な産業となってきております。中でも紀の川流域では、農家の積極的な取り組みもあり、地域を挙げてミカンからカキ、桃などの落葉果樹への転換が進み、それぞれ全国でも有数の銘柄産地へ発展成長を遂げております。
 こうした産地形成の陰には、関係者の血のにじむような努力があります。農家はもちろんのこと、農協、市町村、普及センター、そして試験研究機関等々、多くの関係者の創意工夫が生かされ、その果実として産地が形成できたのであります。この間の取り組みに、たくましささえ感じるものでございます。特に、落葉果樹産地を形成していく上でこれまで紀北分場の果たした役割は大きく、渋ガキの脱渋技術の開発や低樹高栽培技術の開発など、農家と地域に密着した技術開発に取り組まれ、多くの成果を挙げております。
 しかしながら、最近の消費動向は、輸入農産物の増加や品目の多様化、また子供の果実離れなどもあって大きく変化し、増大する落葉果樹栽培農家に対応するため、秀でた技能を堅持した人材、職員をこの施設に配置されまして、施設の充実が望まれておるところでございます。従来とは異なる試験研究も、次の時代をにらんだ新たな対応が強く求められているのではないかと考えるわけでございます。
 そこで、農林水産部長にお尋ねします。紀の川流域の落葉果樹産地の活性化を図る上で、試験研究機関としての紀北分場をどのように位置づけ、どのように充実強化されていくのか、お伺いいたします。
 引き続いて、紀の川左岸広域農道について部長にお尋ねいたします。
 紀の川左岸広域農道は、橋本市西畑からかつらぎ町西渋田まで、一期、二期地区を合わせまして十七・九キロメートル区間を平成三年度着手以来、着々と実施されております。紀の川左岸の中腹に、新しくできた道路が見えてまいりました。最近現地を見させていただきましたが、地籍調査のおくれなどから、一期地区に比べ二期地区のかつらぎ町側の工事が幾分おくれているように思われます。今後の工事実施予定についてお伺いいたします。
 また、地元住民も一日も早い完成を願っているところであり、建設促進を図っていただきたいのでございますが、この事業の供用開始予定年度の見通しなどをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、京奈和の自動車道でございます。
 本道路は、その名のとおり、京都、奈良、和歌山の近畿圏外郭を結ぶ高速体系を形成するとともに、紀淡連絡道を経由し、本州と四国、さらに九州を結ぶ第二国土軸として、地域交流の時代を迎える二十一世紀における日本の国土形成を大きく変化させる重要な道路であります。また、地域にとっても、紀泉百万都市構想の根幹施設として、さらに慢性化する国道二十四号線の渋滞緩和にと、大きな期待がかかっております。
 既に用地買収を行っている橋本道路では、近年の大幅な予算確保によりまして用地取得がかなり進みつつあると聞いております。また、それに続く紀北東道路につきましても、平成八年七月、建設省から原案の提示を受け、現在、地元説明会など、都市計画決定の手続が進められつつあります。さらに、紀北西道路も本年度事業化となり、京奈和自動車道の実現は着実に進みつつあると思われます。
 しかしながら、紀南地域に向けては既に一昨年、御坊市までの高速道路が開通して大変便利になった一方、紀北地域ではまだ高速道路が一メートルも供用されておらず、高速交通体系から大きくおくれをとっているのが現状であります。京奈和自動車道の一日も早い供用が望まれるところでありますが、この路線の建設促進と供用の見通しについてお伺いいたします。
 また、聞くところによりますと、京奈和自動車道の橋本道路にはインターチェンジを結ぶかなりな区間に側道が計画されているとのことでございますが、一方、現在地元説明会中の紀北東道路では側道が計画されていないということであります。これはなぜなのか。同じ路線でこのような違いが出ていることに、地元の南衛かつらぎ町長を初め多くの方々も大変不思議がられておるのが現状でございます。
 高速道路は自動車専用道路として計画されるために沿道利用ができず、大規模な盛り土による地域分断など、地域に重大な影響をもたらすものであります。高速道路については大局的な見地からその必要性は理解するとしても、大切な用地を提供する地権者を初めとする沿道地域住民にとりましては、何といってもできた道が地域にどんなメリットをもたらすかであります。高速道路建設に合わせ、沿線での利便性向上のため、側道など関連する地域整備がぜひ必要であると考えます。土木部長に紀北東道路の側道設置についてお伺いいたします。
 次に、心の教育と青少年の育成についてお尋ねいたします。
 最近の大きな社会問題となっております少年犯罪は、青少年が心身ともに健やかに育ってほしいと願っている県民にとってまことに憂慮すべきことであり、長年青少年問題にも取り組んでまいりました私としましても非常に心を痛めておる次第でございます。
 子供は遊びをつくり出す天才であります。一本の棒切れは、チャンバラごっこの刀になったり、また大地をキャンパスにクレヨンになったりしました。空き地があれば、たちまち草野球や草相撲が始まりました。そうした遊びをだれからともなく受け継いできました。その風景を今思い出しますと、必ずそこには仲間がおったと思います。少し年かさのリーダーもいました。大きな子もいれば小さな子もいるといったさまざまな年齢での集団の中では、今思えば、人生に必要なルールを守ること、動物であれ子供であれ、弱い者に対する思いやりの心など、小さいころからの遊びを通して学んできたと思います。
 今、「子供の心が見えない」と言われております。路地裏から子供たちの歓声が聞こえてきません。仲間で遊べない子供たちがふえてきているとも伺っております。でも、今も昔も、子供は体を動かして仲間と遊ぶことが大好きだと思います。ただ、その遊びの楽しさをわかっていないだけなのではないでしょうか。
 百万県民による百万県民のための青少年対策の確立を目指して、知事を本部長とする青少年総合対策本部が設置されたのは、私も青年運動をしておりました、今は亡き小野真次知事さんのころの昭和三十九年六月ごろであったと思います。当時、青少年非行の激増により青少年問題がマスコミの注目を集めていたということでもありますが、多岐にわたっていた青少年関係行政部局を可能な限り一本化しようということで、より高い行政をということで設置されたと記憶しております。
 以来、次代を担う人づくりということでさまざまな施策を展開していただき、数々の実績を上げていることも私は承知しておりますが、当時とは子供たちを取り巻く状況が随分違ってきております。「キレる」、「ムカつく」と、短絡的にナイフを振り回し、人を傷つける少年たち。シンナーを吸引して幻覚に陥り、自身の身体と心を傷つける少年たち。命の重みや体を傷つければ痛いというごく当たり前のことが実感としてわかっていない少年たち。心をふさいでしまう少年たち。こういった少年たちを見ていますと、子供たちの心が十分に育ち切っていないのではないかというのが私の実感です。
 動物は、子供たちのために必死で食べ物を探します。子供のおなかを満足させた後、親が食べるわけです。今、家庭での親子の関係はどうでしょう。親と子が十分向かい合っているでしょうか。子供にとって安心した場、心のいやされる場になっているでしょうか。
 学校での子供たちはどうでしょう。子供たちが閉塞状態に陥っていないでしょうか。あるときは加害者として、あるときは被害者として、とうとい若い命を絶つような事件が私どもの身近なところでも発生したことは記憶に新しいことであります。子供たちの居場所が学校の内外において確保されているのでしょうか。悪さをした子供をしかってくれるおじさんやおばさんたちは、今なお地域の中で健在なのでしょうか。親も子も一緒になって汗を流した地域での奉仕活動は、今どうなっているのでしょうか。
 子供たちにとって、家庭、学校、地域、すべてが学びの場であります。そうした意味から、家庭、学校、地域との連携は今後ますます強めていかなければならないと考えます。教育委員会、警察本部、そして知事部局が一体となって子供たちの心を耕し、豊かにするために真剣に考えなければならないときであろうと考えますが、かつて県青少年局長も務められたことがあり、またこうしたことに大変見識の深い知事のご所見をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、教育長にご質問いたします。
 最近、「生きる力」ということをよく聞きます。「豊かな人間性、正義感や公正さを重んじる心、自らを律しつつ、他人と協調し、他人を思いやる心、人権を尊重する心、自然を愛する心など、こうしたものを子供たちに培うことは、いつの時代、どこの国の教育においても大切にされなければならない」と中央教育審議会の答申にありますが、そういった心を耕すために心の教育をどうすればいいのか、具体的な方策があればお教え願いたいと思います。
 また、先般、馬頭議員の質問に答えられて西口知事は、農林水産業は国のもとであり、生活に不可欠な食糧などの供給や地域経済の担い手として重要な役割を果たす一方、国土の保全や地域文化の発信といった機能も発揮するなど、経済、福祉、教育、地域社会等、幅広い分野に貢献しているものと考えていると表明されたわけでございますが、私も全く知事さんの考えと同感でございまして、意を強くしたところでございます。
 農家の方々が雨の日も風の日も、作付した農産物を我が子を育てるような気持ちで働く姿、作物の生育の状況を見ての喜びなど、損得勘定だけではできない仕事でございまして、人間形成の上で農家の精神はすぐれた考えであると私は考えております。義務教育の中でこうした農民魂や農業の問題を教えてはどうかと思いますが、今日までどのような取り組みがされてきておりますか、今後どのように取り組んでいく意思があるか、教育長にお伺いいたします。
 また、先ほど申し上げました中央教育審議会はさらに、豊かな人間性をはぐくむには、特にボランティア活動、自然体験などの体験活動の一層の充実を図る必要があると指摘しております。言いかえれば、学校外における生活体験、自然体験といった体験活動の不足が青少年の人間形成に大きな問題を生じさせていると言っているのだと、私は解釈しております。
 私の地元の方に県立青年の家があります。県内には、そのほかにも県立白崎少年自然の家、県立潮岬青年の家があり、それぞれ青少年団体を中心に利用しておると思います。体験活動をする場としてこれら社会教育施設は今後ますますその役割が大きくなってくるものと考えますが、利用者の方は逆に年々減少していると聞いております。ニーズの変化に対応した青少年の家とするための方策を探り、今後の青少年の家のあり方について検討するために先般委員会が設置されまして、私もその委員を務めさせていただきましたが、討議の集約を去る二月四日に知事に報告書として提出したところでございます。その中に、学校教育と融合した施設運営があります。学校教育との連携について、教育委員会の見解をお伺いいたします。また、生活文化部長には、その報告をいかに具現化していくかをお聞きいたします。
 先ほど私は、子供の全面発達を考える上での家庭教育、親子関係の大切さを言いましたが、地域においては、子供たちの成長を温かく見守りつつ、時には厳しく鍛える場となり、子供たちをはぐくむ場となるための大人の役割について述べさせていただきました。学校外における生活体験、自然体験といった体験活動が不足している。この子供たちがそのまま青年になり、大人となるわけでございます。その親から子供たちは、十分な家庭教育や地域における教育が受けられるでしょうか。余り期待できないのではないかと思います。
 そういったことから、少年期に学ぶことのできなかった生活体験や社会体験を青年たちも学ぶ必要があると考えます。今、青年たちの活動は衰退してきているように思います。個々のニーズの多様化もその原因の一つであろうかと思いますが、青年たちの熱い心は仲間を求めておると思います。社会のために何か役立ちたいと思っている方もたくさんおると信じております。青年たちの活動の灯は消してはならないと思いますが、県当局には青年団体活動を支援し、青年の声をあすの県政に生かしていただきたいことを提言いたします。
 次に、高野山の世界遺産登録についてお尋ねいたします。
 私は、この機会にふるさと和歌山について感想を述べたいと思います。
 私たちの住む和歌山は、気候温暖にして青い空、青い海、そして緑の山々に囲まれ、古くは「木の国」と呼ばれ、特に六百キロに及ぶ海岸線をあわせ持つ和歌山は、自然が大切にされ、長い歴史と文化がはぐくまれてきた地でございます。それを裏づけるように、和歌山には多くの史跡、名勝があり、高野山、熊野三山に代表される建造物、美術工芸品などの国宝、重要文化財の国指定件数は四百二十六を数え、件数を比較しても全国第七番目の多くを保有していると聞いております。
 物質面での豊かさを求めた反省から心の豊かさが求められてきている昨今、また、真に豊かさを実感できる個性的な地域社会を構築するため、従来の集権的なものから脱皮し、地方分権への移行が叫ばれております。今後、地方の活性化を図るため、文化、自然を生かし、このふるさとの環境に感謝し、もっとふるさとに誇りを持つべきだと思います。
 こうした意味で、私は平成十一年に開かれる熊野体験博はまことにタイムリーなものであり、和歌山県のよさを全国発信する絶好の機会だと思います。この体験博は広域型、開放型、体験型であり、従来の型を破った自然と歴史、文化と人間のかかわりをテーマとした熊野地方で開かれる一大祭典であります。この体験博の開催に非常に期待を抱き、成功を祈る一人でございます。
 ここで私は、最近よく耳にする世界遺産について所見の一端を述べたいと思います。
 世界遺産とは、一九七二年(昭和四十七年)、ユネスコ総会において採択され、いわゆる遺産条約、正式には世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約と呼び、この条約により規定された世界的な価値を有する文化財、自然的な記念物や地域を保護、保全、継承するというものであります。我が国は、初めて平成五年、文化遺産として法隆寺、姫路城、自然遺産として屋久島、白神山地が登録されました。その後、古都京都の文化財としての社寺、白川郷・五箇山の合掌づくり集落など、平成八年まで八カ所が世界遺産となっております。
 世界遺産として登録なされるためには、各国で五年ないし十年以内に世界遺産一覧表への記載をし、推薦しようとする遺産について暫定的なリストに載せなければならないということでございます。しかし、残念ながら、その暫定リストの中に和歌山県は一つもありません。和歌山が誇りとする熊野三山、高野山が現在既に世界遺産となっている社寺等と比べてもまさるとも劣るとは思いません。地元に住む私の身近にある高野山を世界遺産にとの思いが、どうしても強くなってまいります。千年余りの歴史を持つ高野山。全国三千余の末寺を持つ真言宗総本山としての高野山。全国から集まる参詣者。その参詣の歴史を刻む道は町石道と呼ばれ、関係者の努力によって整備が進められてきました。こうしたことから、まさに高野山は世界遺産にふさわしいものと考えますが、いかがでございましょうか。
 聞くところによると、世界遺産になる条件は厳しいと言われております。その大きなものは、現在の高野地域は社寺群と生活圏が混在し、範囲の線引きが難しいという点などが指摘されております。また、高野山地域全体としての管理者の問題や、社寺群の多くは数度の火災により比較的新しいものであることなど、問題点があるということも聞いております。何とか世界遺産になる道がないものでしょうか。このことについて、地元の西田正弘高野町長さんや新居祐政金剛峯寺宗務総長さんもぜひこうしたことを推進したいと表明されておりましたので、ここにつけ加えさせていただきます。
 教育長にお尋ねいたしたいと思います。高野山を世界遺産にと願う一人といたしまして、今後の課題と見通しについてお聞かせいただければありがたいと思います。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。皆様方のご清聴を心からお礼申し上げます。ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの門三佐博君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 門議員にお答えをいたします。
 まず、長期総合計画に関連して、ゆとりと充実の考え方と推進するための課題についてでございます。
 新しい長期総合計画を策定するに当たりましては、グローバルな視点に立って、生まれ育った地域に愛着を持ち、世界に通じる地域づくりを進めていこうという考え方のもとに、「地球時代の故郷(くに)づくり」を基本姿勢といたしました。
 二十一世紀は、一人一人の個性が尊重され、自分のライフスタイルが選択できること、地域社会への貢献などによって得られる精神的な充足感、そういったことが豊かさの実感であろうと思います。私は、これらをあらわす言葉として「ゆとりと充実」を基本目標に掲げたところでございます。
 計画の推進に当たっての最大の課題は、やはり県民の多彩な活動による活力のある県政でございます。今後こういった活動を促進するために、環境整備や積極的な情報提供に取り組む所存でございまして、住民や民間団体、企業、市町村、県などがさまざまな分野において活発な交流を行うことにより、互いの連携を強化いたしまして、県民の皆様とともに生き生きとした輝きのある県づくりを進めてまいりたいと考えております。
 次に、門議員もかつて青少年団体活動に力を尽くされたわけでありますが、私も青少年行政に携わった者として、青少年問題には特別な関心を寄せているところでございますけれども、昨今の痛ましい少年事件が続発している状況につきましては、まことに心の痛む思いがいたしております。また、次代を担う青少年が社会の構成員としてとうとばれながら、希望に満ち、心身ともに健やかに成長することを願う県民の皆さんにとりましても憂慮すべき事態であると考えております。
 ナイフを使用した殺傷事件、いじめ問題、登校拒否の問題、性をめぐる問題など、現在起こっている事象につきましては、それぞれの個別の対策はもちろん必要であろうと思いますけれども、問題の本質はもっと根深く大きいところにあると思います。言いかえれば青少年にかかわる大人も含めた社会全体のあり方の問題としてとらえる必要があろうと思うわけであります。
 今、青少年に必要なことは、夢や目標を持って日々努力することであり、その努力が報われる社会をつくり出していくことが我々大人に課せられた使命であろうと思っております。
 県といたしましては、これまでも青少年問題協議会に諮り種々検討して問題解決に取り組んでまいりましたけれども、さらにお話にございました和歌山県青少年対策本部の機能を十分活用いたしまして、教育、警察、そして知事部局が一体となって総合的かつ効果的な青少年対策を展開してまいらなければならないと考えております。
 また、ことしの十二月に、青少年の指導者の育成と活動の場であり、また情報発信機能も備え、青少年団体活動をサポートする青少年活動センターが開設をされます。青少年の指導者の育成と活動の場として、また議員ご提言の青年団体活動の一助になればと願っておるところでございまして、青少年が生き生きと活動し、希望に満ちた未来を提供することが社会全体の使命であることから、行政といたしましても、また私といたしましても、青少年対策に今後とも全力で取り組んでいかなければならないと決意を新たにいたしておるところであります。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 門議員にお答え申し上げます。
 新しい長期総合計画における県民の理解と参加促進についてでございます。
 知事からも申し上げましたとおり、計画推進に当たって最も重要な課題は県民参加だと認識してございます。こうしたことから、計画に位置づけた施策については関係する行政情報を円滑に提供していくとともに、県民ニーズを的確に把握し、コミュニケーションを図りながら計画の具体化に努めてまいりたいと存じます。そのためにも、まず今回の長計のPRに努め、県民の皆様の理解を求めていきたいと存じます。
 今後、生活のあらゆる分野で県民の主体的活動を支援し、市町村と連携を図りながら既存の住民組織によるコミュニティー活動の充実強化に努めるとともに、地域おこし団体、ボランティア団体などの活動を支援し、県民主役の県づくりを推進したいと考えております。
 次に、橋本・伊都地域の将来像についてでございます。
 新しい長期総合計画の策定に当たっては、六つの圏域別に、市町村長を初め地域住民との意見交換会を通じて検討を重ねてまいりました。橋本・伊都地域は平成八年三月二十二日に地方拠点法に基づく地域指定を受け、橋本周辺広域市町村圏で基本計画を策定しており、新長計の橋本圏域の計画策定に当たっては、将来の整備方向や主要施策等について整合性を図りながら策定したところでございます。
 橋本・伊都地域の将来像につきましては、当圏域は太平洋新国土軸と近畿南北軸の結節エリアとして広域的な交流、連携に取り組み、住環境や文化、スポーツ、生涯学習施設等の整備を進め、多様な活動が実現できる橋本・伊都ハイアメニティータウンを目指すとともに、歴史、文化に彩られた高野山とその周辺の豊かな自然環境を活用した高野文化観光ゾーンの形成を図ることといたしております。この地域は、京阪神に近接しながらも良好な自然環境を残す圏域であり、住民の主体的な活動を支援する中で他の地域との交流、連携を促進し、地域の活性化を図りたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 農林水産部長平松俊次君。
  〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 農業の振興についてのうち、まずカキ産地の活性化についてお答えいたします。
 将来に展望が持てる産地への対応のためには、議員お話しのとおり、足腰が強く経費節減にもつながる快適な生産基盤を確保することは、農業者が夢を持って生産に取り組んでいく上で大変重要と考えてございます。
 紀の川流域のカキ産地では、若い担い手を中心に省力化、低コスト化に向けた園地の改良や作業道の整備への取り組みが見られるようになってございます。県では、こうした現地での取り組みをあすに向けた力強い胎動と受けとめ、昨年度より県単独施策といたしまして、急峻な園地での作業効率を高めるため、園内道の整備を中心に和歌山の果樹若返り対策事業に取り組んでございます。平成十年度予算におきましては、地元要望にこたえるべく、重点的に対応できるよう今議会にお願いしているところでございます。
 今後とも、生産基盤の整備を図りながら、消費者嗜好に合った新品種の創出等にも努め、日本一のカキ産地の維持発展に努めてまいる所存でございます。
 次に、農業大学校充実強化についてでございます。
 二十一世紀の本県農業を担う農業後継者の育成確保は、県農業振興上重要な課題として位置づけ、各般の施策を展開しているところでございます。
 議員お話しのとおり、県農業大学校におきましては、人材育成の拠点として高度な専門知識、技術並びに近代的な経営感覚やグローバルな視野を身につけた青年農業者の育成に努めてございます。そのため、ハイテクノロジーに対応した養液栽培施設、バイテク施設、さらにインターネットと結んだ情報教育施設など、時代に対応した施設の整備に努めているところでございます。
 今後とも、若者にとって魅力ある学園を目指し、本県の独自性を発揮した教育研修内容の充実、計画的な施設の整備拡充に努めてまいります。
 なおまた、生涯教育の視点から農業への新規参入者やUターン等、新規就農者の研修の場として、より一層開かれた農業大学校を目指してまいりたいと考えてございます。
 次に、三番目といたしまして、果樹園芸試験場紀北分場充実強化についてでございます。
 紀北分場の位置づけでございますが、議員お話しのように、紀北分場は産地に根差した技術開発の拠点として、これまで地域とともに歩んできたものと認識してございます。こうした中で、平成五年三月には県議会を初め各方面のご支援、ご協力をいただき、本館並びに営農管理棟を新設し、ハード面の充実を図るなど、研究体制の強化に取り組んできたところでございます。
 今後も紀の川流域の技術・情報の拠点として位置づけるとともに、カキの生理障害防止対策や高糖系甘ガキである「新秋」の作型開発、さらにはハウス桃等の生産安定技術の確立など、地域での緊急課題の解決はもとより、生産者との連携を一層強め、多様化・高度化する技術革新の時代に対応しながら、人材の育成も含めた中で紀北分場の整備充実に努めてまいりたいと考えてございます。
 四番目に、紀の川左岸農道の建設促進でございます。
 この路線計画ルートは公図混乱地域でございまして、事業着手が困難な状況にございますので、採択以前より関係市町村に協力をお願いし、地籍調査を推進していただいたところでございますが、平成十年度は橋本市の一部とかつらぎ町の国道四百八十号より那賀町間での区間二・四キロメートル間を除き、ほぼ地籍調査が完了する予定でございます。これに合わせまして、平成十年度で用地測量を行い、十一年度より地元の皆様のご協力を得ながら、これまで以上に本格的に用地買収及び工事に着手する予定でございます。
 また、供用開始見通しでございますが、当初計画どおり平成十五年度完成を目指して努力してまいります。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 門議員の京奈和自動車道に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、一点目の建設促進と供用の見通しについてでございます。
 京奈和自動車道の橋本道路につきましては、現在、地元市及び町の協力のもとに用地買収を進めておりまして、全体の約五割の用地が取得済みとなっております。本年内にはいよいよ本工事に着手する予定となっておりまして、平成十年代半ばの供用を目標としております。
 次に、紀北東道路につきましては、この十五日に沿線住民を対象とした説明会が終わり、引き続き早期都市計画決定に向けて手続を進めてまいります。また、紀北西道路は本年度に事業化され、現在、建設省において都市計画決定に必要な諸調査が実施されております。
 今後とも、京奈和自動車道各事業区間において、地元市及び町とともに建設省に協力しながら、二十一世紀初頭における全線供用に向け努力してまいる所存でございます。
 二点目の、紀北東道路の側道設置についてでございます。
 高規格道路の建設に伴って現在ある道路が分断される場合、その機能を回復するため必要となる代替道路の整備を行いますが、側道を整備するということはありません。高規格道路として位置づけされている紀北東道路につきましては、こうしたことから側道は計画されておりません。
 なお、橋本道路についてでありますが、この道路は橋本市内の交通渋滞を解消するため一般国道二十四号のバイパスとして昭和六十一年に都市計画決定されました。その後、昭和六十二年に第四次全国総合開発計画において、京奈和自動車道として高規格幹線道路一万四千キロメートル計画に組み込まれたことから、インターチェンジの集約等の構造の見直しが行われました。その結果、市道等からの乗り入れが制限されることになり、その区間の機能回復のため市道及び町道でつなぐ計画となったところでございます。
 今後、高規格道路の整備をより効率的に進めていくため、事業実施段階において町づくりの観点から県道や町道等、関連地域整備についても町と協力しながら進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 生活文化部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 門議員にお答えをいたします。
 真心教育と青少年育成についてのうち、県の青少年施設の活用についてでございます。
 青少年施設につきましては、青少年人口の減少、青年団体活動の衰退等により、その利用者の減少に歯どめがかかっていない状況にございますが、去る二月四日、和歌山県立青少年の家のあり方検討委員会から有意義なご提言をいただきました。ただいま、そのご提言の内容を検討させていただいておりますが、今後の施設の運営に生かしていきたいと考えているところでございます。
 そのうち、例えば、利用手続の簡素化や施設の利用時間の弾力的な運営等のすぐにでも取り組めるものについては、施設に対し検討を指導したところでございます。また、生涯学習の観点などから青少年に限らずだれもが利用できる施設のオープン化等については、時代のニーズに合った施設への改修も必要なことから、中長期的な取り組みとして検討してまいりたいと考えております。
○議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題、四点についてお答えいたします。
 まず、心の教育についてでございます。
 ご指摘のように、子供たちを取り巻く社会環境の大きな変化の中、子供たちに美しいものや、あるいは自然に感動する心、他人を思いやる心、命を大切にし人権を尊重する心などを育てることが重要であります。こうした心の教育は、学校、家庭、地域社会が一体となって推進していくことが肝要であります。特に、正義感や規範意識の基礎につながる善悪の判断や我慢する心を育てるには、幼いころの育児のあり方が重要であり、家庭教育や幼児教育を一層重視する必要があります。このため、関係部局等とも連携し、その充実を図ってまいる所存であります。
 学校教育においては、道徳教育の一層の充実を図るため、副読本を作成・配布し、その活用を指導しているところであります。さらに、本県の心の教育の根幹になるものとして、和歌山のよさを理解し、郷土を愛する心を育成するため、副読本の作成を初めとするふるさと教育推進事業の予算を本議会にお願いいたしておるところであります。また、社会教育においては、フロンティア・アドベンチャーやオープンスクールなどの事業を実施し、さまざまな体験活動を通し、豊かな人間関係や子供たちの社会性の育成に努めております。
 次に、農業教育についてであります。
 各学校では、花壇や野菜園を設けたり、小さな動物を飼育したりすることにより、命あるものをはぐくむ喜びや感動など、農業教育に通じる体験が大切にされております。農業については小学校五年生の社会科で学習することになっており、県農協中央会や森林組合連合会、漁協連合会の協力によって作成された社会科副読本も活用されております。また、農家の方々の協力を得ながら、稲作や野菜の栽培などに取り組んでいる学校も相当数ございます。これらの学校からは、土に触れ、作物を育てる楽しさや感動、収穫の喜びなど、豊かな人間性をはぐくむ上で大きな意義があったと報告されており、こうした活動を一層推進してまいりたいと考えます。
 続いて、青少年施設の活用につきましては、平成八年度において約百校、七千七百人余りの小学生、中学生が利用してございます。その活動内容としては、野外活動、自然観察等の宿泊を伴った体験活動が行われております。今日の子供たちには自然体験や生活体験などの不足が指摘されていることから、青少年施設を活用した活動は集団の一員としての自覚を深め、個性の伸長や調和のとれた心豊かな人間の育成に大きな意義があるものと考えます。
 今後とも、関係部局との連携を密にし、さまざまな機会をとらえて各学校が青少年施設を一層活用するよう促してまいりたいと考えます。
 次に、高野山の世界遺産登録についてであります。
 本県は、豊かな自然に恵まれるとともに、数多くの社寺仏閣等の建造物や美術工芸品が残され、文化財の宝庫となってございます。その中でも特に高野山や熊野三山は、我が国有数の聖地としていにしえより人々の心のよりどころとなってまいりました。高野山は、日本を代表する山岳寺院や二十万基にも及ぶ大名墓石群など、国内ではまれな景観を有し、約一千二百年に及ぶ歴史を刻んでおります。
 議員ご提言のとおり、世界遺産として推薦していくためには幾つかの課題がございます。その一つとして、高野山域は壇上伽藍や金剛峯寺大主殿を初め、現在百十七の寺院と生活圏域とが混在するため、「高野山」と言う場合の範囲をどう定めるかという課題と、管理体制のあり方がございます。さらに、今後の重要な課題として、地元関係者の合意や伝統を生かした町並みの整備、とりわけ道路、宗教施設、町家などを含めた景観対策や保全対策などの環境づくりへの取り組みが必要であると存じます。
 このような課題もございますが、議員のご提言を踏まえて総合的な観点から、県民の方々のご支援を得ながら、高野山がまず世界遺産候補として位置づけられるよう努力してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) 再質問がございませんので、以上で門三佐博君の質問が終了いたしました。
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○議長(木下秀男君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
      ─────────────────────
○議長(木下秀男君) 次に、ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
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  【日程第三 請願付託】
○議長(木下秀男君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会にこれを付託いたします。
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○議長(木下秀男君) 次に、お諮りいたします。三月十九日及び三月二十日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) ご異議なしと認めます。よって、三月十九日及び三月二十日は休会とすることに決定いたしました。
 なお、各常任委員会の会場はお手元に配付いたしておりますので、ご了承願います。
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○議長(木下秀男君) 次会は、三月二十三日再開いたします。
○議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時二分散会

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