平成10年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(松本泰造議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(木下秀男君) これより本日の会議を開きます。
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  【日程第一 議案第一号から議案第八十一号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(木下秀男君) 日程第一、議案第一号から議案第八十一号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 20番松本泰造君。
  〔松本泰造君、登壇〕(拍手)
○松本泰造君 おはようございます。
 議長のお許しを得て質問をさせていただくに先立ち、去る二月八日から四日間にわたり、メキシコ・シナロア州友好提携答礼団の一員として訪墨をさせていただいたことに感謝を申し上げたいと思います。
 今回の視察については、去る十三日、向井議員が答礼議員団を代表して詳細報告をしていただいたところでありますけれども、私も簡単に感謝の気持ちを申し述べたいと思います。
 我が国が開国以来、最初に平等条約を締結した国がメキシコ合衆国であり、ことしは条約締結百十周年に当たり、さらに昨年は和歌山県の移民団が最初にメキシコに移住してから百年。こんな記念すべき年に答礼団の一員としてシナロア州の主要都市を訪問し、州議会や市議会並びに農漁業や大型リゾート等の実態を視察し、経済人との意見交換や交流、メキシコ県人会主催の移住百周年記念祝賀会にも出席する機会に恵まれました。州を挙げての熱烈歓迎、人々の活気や明るさ、日系人の活躍ぶりや日本人としての誇り、信用度の高さ、日本に対する期待感等々、じかに感ずることのできた極めて有意義な視察と交流を体験させていただきました。この貴重な体験を今後の議員活動の中に何らかの形で生かしてまいりたいと感ずるとともに、答礼団の一員として参加させていただけたことに心から感謝を申し上げる次第であります。
 それでは、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 なお、一般質問も五日目ともなりますと、かなり重複する部分や内容もあろうかと思いますが、お許しをいただきまして、せっかくつくった原稿どおり質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、国の大型補正予算に関連してと題し、質問をいたします。
 今議会に上程をされておる平成十年度の県一般会計予算は、歳入面では長引く景気低迷のあおりで法人税収が急激に減少する一方、歳出面ではバブル時代に手がけた大型起債の元利償還がピークを迎えて九・六%増の六百億円を超えるなど、県財政は新たな試練の時代を迎えたと言えます。こうした厳しい財政事情の中にあっても、景気対策として商工費で三・六%の増や福祉施策充実に向けた福祉保健費四・六%の伸びなど、県内の景気動向や県民生活の現状と将来に向けた予算編成努力を高く評価するものであります。
 一方、投資的経費の面では、公共事業の縮減等で七・七%の減であります。もちろん、財政深刻化の問題もさることながら、国の公共事業七%カットの方針が足かせとなっているものと推察しますけれども、公共事業を頼りにせざるを得ない県内の土建・建設業界にとっては、まさに死活問題であります。
 こうした中、国では長引く景気低迷に対し、三次、四次の景気刺激策を講じておるにもかかわらず、景気回復の兆しさえ見えない中で、先月ロンドンで開催された主要七カ国によるG7の場においても、日本に対する内需拡大要求が共同声明に盛り込まれたり、あるいは米国からの経済政策変更の要求等、外圧も加わり、さらに国内からも、経済界に限らず、多くの国民が早い時期での大型補正予算の編成に大きな期待を寄せている状況下にあり、橋本政権は、財政再建路線に基づく緊縮政策を堅持しつつも、臨機応変に大型の景気対策を打ち出さざるを得ないところまで来たと言えます。今や、九八年度予算編成中にかかわらず、大型補正予算の編成が当然と判断される状況下にあります。
 そこで、まず第一点として、県内の深刻な景気低迷にかんがみ、平成十年度の県当初予算のできる限りの前倒し執行や、国の大型補正予算決定後は県予算においても可及的速やかな対応をお願いしたいのでありますが、知事のお考えをお示しいただきたいと思います。
 二点目として、国における十兆円規模の大型補正予算の編成を前提に、その中身についていろんな議論や調整が云々されている状況下、和歌山県内の深刻な不況実態からして国の大型補正予算に対し和歌山県知事として一体何を望むか、県内の景気対策としてどんな施策を推進すべきか、知事としての所見をお伺いしておきたいと思います。
 次に、振興局の機能と権限委譲等について質問をいたします。
 議会冒頭の知事説明によると、「新時代を支える基盤づくり」の中で、「二十一世紀は、地域の主体的な活動が強く求められる時代であります。各地域は、それぞれが持つ歴史、文化、自然、産業などの地域資源を活用し、独自の機能を備えることにより、他の地域とは異なる個性、魅力を発揮して多くの人々を引きつけ、他地域との交流連携を深めていくことが重要となります。このためには、地域住民の主体的な取り組みにより、新しい発想で地域に内在する資源を発掘・再評価し、それらを積極的に活用していくことが不可欠であります。 市町村、各地域の発展なくして県全体の発展はあり得ない」というみずからの信念に基づき、平成十年度から振興局を設置して、「地域の持つ特性を十分に発揮し、地域主導のふるさとづくりを推進する」と述べられ、また、先般県民に配布をされた「県民の友」二月号では、県内七地域に振興局を設置し、「各地域において県民の皆さんや市町村の要望に総合的に対応するとともに、それぞれの地域の特性に応じた行政を迅速に行うことができる体制を確立するために、県事務所、土木事務所等の出先機関を統合」すると広報しております。振興局の組織は県民行政部、健康福祉部、農林水産振興部、建設部の四部制とし、その業務については、県民行政部は地域の振興、生活や文化、商工労働、県税に関する業務などを所掌し、健康福祉部は現在の福祉事務所と保健所に関する業務を行い、農林水産振興部は農林水産を振興するための業務を、そして建設部は道路、河川、港湾など県土の基盤づくりや公園、下水道、公営住宅など生活環境の整備に関する職務を行うとのことであります。
 さて、現在、県内の各地域においては、それぞれの市町村が単独の自治体だけでは対処し切れないさまざまな課題、例えば一般廃棄物の問題、社会基盤整備の問題、介護保険への対応、農漁業問題、青少年の健全育成など、山積をしています。このような中で、知事の権限に属する地域の事務を総合的に分掌させるため、新たに七つの振興局を設け、横断的、広域的かつ総合的な行政が展開され、従来の縦割りで専門化された行政の弊害が今後解消されるものと期待をするのでありますが、振興局への移行が目前に迫った今、次の諸点について質問をし、確認をしておきたいと思います。
 まず、西口知事にお伺いいたします。
 今回、県内七つの地域に振興局を設置することにより、地域の各自治体が抱えるさまざまな課題に対しどう取り組んでいくのか、また地域住民の利便性等がどのような点で高まるのか、具体的なお考えを聞かせていただきたいと思います。
 次に、従来の県事務所や土木事務所などの地方組織が行っていた業務に加え、新たに権限が委譲されることとなれば、振興局で取り扱う業務は相当な量になると思われますけれども、人的な補強等についてどんな対応になるのか、伺っておきたいと思います。
 次に、総務部長にお伺いをしたいと思います。
 まず、さまざまな地域課題に振興局が自主的にかつ責任を持って取り組んでいくためには振興局に相当の権限や予算が与えられなければ困難ではないかと考えますが、振興局にはどのような権限とどの程度の予算が付与されるのか、伺いたいと思います。
 二点目として、振興局の所管区域には郡部だけでなく市部も含まれることになっていますが、従来、本庁が直接行っていた市に対する業務がすべて振興局に移管されることになるのかどうか、また、本庁に権限を残し、市と本庁との間に振興局を置くのであれば二度手間になるようなことがないのかどうか、伺いたいと思います。
 次に、通告の三番目、農産物価格暴落に対する県の対応についてであります。
 去る一月二十日付「日本農業新聞」によると、広島県では、一九九七年産温州ミカンは生産量が多く、その一方で消費の落ち込みもあって価格が前年の三分の一程度で推移し、農家手取りも同様に四分の一となるおそれが出ており、県産ミカン価格の暴落に対応し、翌年への再生産を確保すべく、関係機関とも連携し、ミカン農家の経営安定に向け低利融資の緊急対策に乗り出すとのことで、同県では、既存の農業振興基金全体の中で融資枠を調整して六億円を確保、経営安定資金の対象を拡充して県、市町村がそれぞれ〇・五%の利子補給を二月から実施するとの記事が掲載されてありました。また、和歌山県とはライバル関係にある愛媛県においても、特別融資の利子補給が実施されるとのことであります。
 さて、前段申し上げた広島県や愛媛県の例を挙げるまでもなく、昨年のミカン農家の経営実態は、ミカンの里有田においても例外ではなく、先日の吉井議員の質問のとおり極めて深刻であり、農薬や肥料代金を含め清算できない農家が出てくる可能性があることや、組合員から融資を求める声の高まりの中で、有田地方のJAがそれぞれの市町村に対してかんきつ農家経営安定化のための農家経営維持資金を創設するにつき、農家負担の軽減と農業振興の見地から利子補給を強く要請し、関係各自治体とも基幹産業の非常事態打開と再生産確保の見地から一%利子補給を約束せざるを得ず、とりあえず新年度に予算計上しているようであります。
 ところで、和歌山県の平成十年度予算では中小企業向け融資枠の拡充など不況対策が講ぜられており、そのこと自体高く評価するものでありますけれども、ミカンの価格暴落により有田地方の零細中小の小売店では深刻な連鎖不況に陥っていることもまた事実であります。
 そこで、農林水産部長にお伺いをいたします。
 まず第一点、和歌山県では八七年のかんきつ価格低迷時に農家経営維持資金の市町村利子負担分の二分の一を県が負担した経緯があります。本県では常に果樹生産高日本一を誇りにしておりますけれども、誇りにしている産業が極めて深刻な状態に陥ったとき、県の姿勢として市町村とともに手を差し伸べる、そんな姿勢が必要だと思うのでありますが、県としての支援策についてお伺いをいたしたいと思います。
 二点目として、昨年十一月十四日、大阪のプラザホテルで開催された京阪神の市場関係者とのミカン販売促進懇談会の席上、ある青果市場の社長から「ハウスミカンが終わってからわせミカンが出回ってくるまでの間、つなぎとして登場してくる極わせミカンがハウスミカンに比べて酸味が多く、秋口の出ばなでミカンの印象を悪くした。温州ミカンの価格に悪影響を及ぼしており、極わせミカンのあり方を見直すべきだ」との指摘がありましたが、県として市場関係者からのこうした声をどう受けとめ、今後の行政指導に生かしていくつもりであるのか、伺っておきたいと思います。
 次に、毎度のことで恐縮でありますけれども、国道四十二号、有田市から海南市間の渋滞解消問題についてであります。
 この問題については、去る三月三日、建設省和歌山工事事務所と和歌山県が共同で通勤者等のアンケート調査を朝六時から四時間にわたり実施をされたところであります。この調査は、交通容量拡大対策検討の基礎データを得るためのものと伺っておるのでありますが、昭和六十年代初頭から今日に至るまで精力的に陳情や運動を展開してきた地元の下津町及び有田市にとっては、やっと我々の声が国に届いたのかということで、一つの節目を迎えたと認識をし、今日まで長期にわたる県当局の並々ならぬご努力に心からの感謝を申し上げる次第であります。
 さて、国道四十二号・有田下津海南間整備促進協議会では、去る二月十二日、近畿地方建設局長に対し、とりあえず平成十年度に下津・海南間四車線化への調査費の枠取りを願いたいと陳情を行い、かなりよい感触を得たと聞いておるのでありますが、県として把握している現在の見通し等についてお伺いをいたします。
 最後に、有田市内の問題について三点ばかり実態を訴え、要望を申し上げておきたいと思います。
 まず、逢井への新たなトンネル計画についてであります。
 陸の孤島であった有田市逢井集落にトンネルが開通して以来、はや四十数年が経過し、最近では老朽化が激しく、毎年のように補修工事が実施され、特に北海道におけるトンネル崩落事故後の強度検査では危険度の高さが指摘され、今も補強工事が実施されつつあります。
 トンネルを抜けると前面に湯浅湾が広がり、名物の八角網では間もなくサクラダイが水揚げされるこの浜には数軒の観光旅館があるものの、トンネルの幅員は一車線。通学道路であり、生活道路であり、産業道路であり、このトンネルが生活のすべてを担っているにもかかわらず、前後の道路アクセスも狭隘なため大型車両や観光バスの乗り入れは不可能であり、地域住民はもちろんのこと、観光業者や漁協関係者から新しいトンネルの設置を求める切実な声が高まっています。
 ついては、逢井トンネルの現状をご認識の上、市が要望してくるであろう新たなトンネル計画については県として前向きに協力を願いたく、要望しておきたいと思います。
 第二点目は、安諦橋下流左岸側の河川敷整備についてであります。
 この付近の河川敷には、車の廃車や廃船、さらには遊漁船の係留等々、極めて乱雑な状態が放置されたままであり、平成五年にはマスコミで批判されるなどの経過を経て、河川課、港湾課、湯浅土木、有田市が協議の上、平成六年度より湯浅土木において測量調査、七年度には設計委託、平成八年度より基本設計委託等が実施され、古江見船だまり整備計画が作成されたものの、その後、具体的な進展が見られていません。今後、補助事業の選別、関係機関との調整等々、まさに組織横断的な取り組みを要するところであります。
 また、有田大橋下流右岸側、三菱電線沿いの護岸の改修についても同じであります。石積みの護岸はかなり崩れてきており、しかも護岸敷が低く、台風来襲時には越波する波としぶきで県道が通行不能に陥るなど、危険な状態にあります。当該箇所も河川と港湾の区域であるとともに、護岸上の県道は都計の計画路線であり、河川・港湾・都市計画各課、湯浅土木、有田市の協議が先決であります。
 以上、二つの箇所とも今後は組織横断型の協議の中で前向きな取り組みについて、強く議会の場で要望しておきたいと思います。
 以上で演壇からの質問を終わりますが、誠意のある答弁を求めます。
○議長(木下秀男君) ただいまの松本泰造君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 松本議員にお答えをいたします。
 国の大型補正予算に関連してのご質問でございます。
 まず、十年度予算の前倒し執行につきましては、年度間で切れ目のない事業発注を行っていくために、二月補正予算におきまして債務負担行為、いわゆるゼロ国債を活用した公共事業の前倒し執行を既に措置しているところでございますが、現下の経済情勢にかんがみまして、新年度発注分についても積極的な施行促進を図り、事業効果が早期にあらわれるように努力をしてまいりたいと考えております。
 また、景気対策としての国の補正予算への対応につきましても、国の政策動向を見きわめながら、これと軌を一にした適時適切な対応を図ってまいりたいと考えてございます。目下のところ、国政の場において種々議論されておるところでございますけれども、できるだけ早期に国の抜本的な方針が固められるように強く期待をしておるところでございます。
 次に、補正予算での景気対策の内容につきましては、ただいま申し上げましたように国の方針によるわけでありますけれども、本県の実情を踏まえますと、将来にわたって活力ある県勢を維持向上させていくためにはその基盤づくりが極めて必要であろうと思いますので、道路ネットワークを初めとした社会資本整備をこの際できる限り前進させ、県内景気の着実な回復につなげてまいりたいと考えております。
 次に、振興局設置に係る取り組みについてでございます。
 今日、行政需要は複雑化、高度化してございまして、各行政分野ごとに相互に調整しなければ対応できない課題も増加をしておるわけであります。こういった状況に対処をするためには、各行政分野にまたがる地域課題に対して総合的に調整をし、迅速に対応することが必要であると考えまして、各地域に設置している地方機関を組織的に統合する形で、本年四月から振興局を設置することとしたものでございます。
 このことによりまして、議員からご指摘のございました社会基盤整備の問題、生活環境の問題などの課題に対しまして、それぞれの振興局長のもとで総合的かつ計画的に取り組んでいけるものと考えてございます。また、地方分権の考え方も取り入れて振興局の設置に合わせて権限委譲を行うことによりまして、住民に身近な行政課題に対してはできる限り住民に身近なところで迅速に処理ができるようにしてまいりたいと考えております。
 次に、振興局に対する人的な補強についてでございます。
 原則的には現行の体制で対応すべきものと考えておりますけれども、振興局に権限委譲を行うことに伴って振興局の責任が増すこととなりますので、振興局の幹部職員の配置については十分配慮をしてまいりたいと考えてございますし、今後、振興局に権限や事務を委譲していく過程で必要に応じて職員の配置についても検討していきたいと考えております。
 この際、お願い申し上げたいわけでありますけれども、何分振興局制度は新しくスタートする制度でありますので、議員各位の温かいご指導を賜りますようにお願い申し上げます。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 総務部長中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 振興局の機能と権限委譲についての二点にお答え申し上げます。
 まず、振興局に対する権限と予算の付与についてでございます。
 振興局の設置は、地域住民や市町村の要望に総合的に対応するとともに、それぞれの地域の特性に応じた行政を迅速に行い得る体制を確立することを目的としており、できる限り本庁から振興局への事務や権限の委譲を図ることとしてございます。具体的には、許認可に関することや県単独補助金の交付決定など、可能な範囲で振興局で処理できるよう準備を進めているところでございます。
 また、予算面におきましても、振興局ごとに調査研究や計画策定などを独自に行うことができるふるさと未来づくり調整事業、及び市町村や民間の地域づくり団体等が行う個性的で魅力ある地域づくり事業に対するふるさと未来づくり補助事業として、総額一億五百万円の予算を計上、提案しているところでございます。
 次に、業務分担によって二度手間を生ずることはないかということについてでございます。
 振興局の設置の目的の一つが、市部と郡部を一体的にとらえて広域的な観点から地域振興を図っていくことにあることから、和歌山市に係る業務の一部を除き、従来本庁が直接行っていた市に関する業務についても振興局が担当することといたしました。振興局設置後は、議員ご指摘のような二重行政とならないように十分留意してまいります。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 農林水産部長平松俊次君。
  〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 農産物価格暴落に対する県の対応についてのうち、県としての支援策についてということでございます。
 お話しのように、県では昭和六十二年産かんきつの価格低迷に対応いたしまして、かんきつ経営安定対策特別融資として昭和六十三年度に〇・七五%の利子補給を行ってございます。当時の金利状況を見ますと、基準金利が六・七%と高く、農家経営の安定を図る観点から、他の融資利率等も勘案し、末端金利は三%としております。しかしながら、現在の低金利時代の中で、今回、市町村、農協が実施している利子補給に伴い末端金利が一%程度でございまして、農家が利用しやすい低金利となってございます。
 県としましては、こうした状況も総合的に考え合わせ、先日、吉井議員にもお答えいたしましたように、ミカン価格の回復を図るため、国と協議の上、ジュースなど加工用の緊急枠として新たに二千トンの枠を確保し、それに要する事業費六千六百万円のうち県負担分として千六百五十万円を二月補正予算として今議会にお願いしてございます。
 いずれにいたしましても、温州ミカンは本県果樹の基幹品目でございますことから、国に対して本県の厳しい実情を訴えるとともに、機会をとらえ、減収農家に対する必要な措置等について要望してまいりたいと存じます。
 次に、極わせミカンのあり方についてでございます。
 議員お話しのように、平成九年産の極わせミカンにつきましては品質に問題があり、市場価格を形成する上でマイナス要因となったとの厳しいご意見のあることも承知してございます。県としてはこれまで果樹の周年供給基地づくりに取り組んでおりまして、その一翼を担う極わせミカンも重要な地位を占めているものと考えてございます。今後より一層、消費者ニーズを勘案しながら、極わせミカンも含め、優良系統への早期更新やマルチ被覆など、天候に左右されない栽培等を積極的に推進し、高品質生産に努めてまいります。
 また、販路拡大対策につきましては、県産農産物PR促進対策事業等により、テレビ等の広告宣伝、アンテナショップの開設、新幹線沿線での野立て看板の設置等を進めるとともに、昨年十一月の羽田空港における「平成版紀伊国屋文左衛門 紀州和歌山みかんPRキャンペーン」の開催や県香港駐在員のあっせんによる香港向け輸出ミカンのテスト販売の実施など、販路拡大に向けて積極的に取り組んでいるところでございます。
 今後も、ニーズに適した生産振興とあわせて積極的な販路拡大対策を進めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 松本議員の国道四十二号の渋滞解消問題に関するご質問にお答えいたします。
 国道四十二号有田・海南間の交通渋滞対策につきましては、県議会のご協力もいただきながら、地元市及び町で構成される国道四十二号・有田下津海南間整備促進協議会と一丸となって、抜本的整備に向けての国の調査費を強く要望しているところでございます。現時点ではその見通しは明らかではございませんけれども、地域の切実な声が国に届き、十分手ごたえがあったと、そういうふうに感じているところでございます。
 今後、当面の対策として進められている交差点改良工事の促進とともに、抜本的対策の早期具体化について国に強く働きかけてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 20番松本泰造君。
○松本泰造君 答弁、どうもありがとうございました。
 まず、国の大型補正予算に関連してという質問に対する知事の考え方を聞かせていただきました。財政硬直化の中にありましても積極的な姿勢で知事が頑張っていただけるものと意を強くしたところでありまして、改めて本県経済活性化のためにもよろしくお願いをしたいと思います。
 二点目に振興局の件でありますけれども、もちろん、私たち議員も振興局制度については十分理解と協力をさせていただかねばならんと考えておりますけれども、私は振興局がスムーズにうまく機能するかどうか、若干不安な点も感ずるんです。特に、本庁を含めて職員の皆さん方の理解と協力がなかったら振興局が下請のような存在になってしまわないかと心配をするのでありますけれども、こうした点、県職員全体の意識改革を進める中で、みんなでこれを守り立てていくということに意を用いていただきたいなと思うところであります。
 次に、農林水産部長から、ミカン対策としてジュース加工枠の拡大などについて答弁をいただきました。先日の吉井議員の話にもありましたけれども、ジュース用のミカンがコンテナ一杯わずかに三十円、軽四にいっぱい積んで運んでもたばこ五つも買えない。しかしながら、捨てる場所がないので運ばざるを得ないというふうな、農家の本当に切実な状況はどうも事実のようであります。したがいまして、私は、ことしのミカン価格は当初の予想をはるかに超えた安い価格で、農家の中には実際生活に困っておる面も出てきており、例年にない厳しい状態を実感しているところであります。
 ミカンは本県産業の基幹であり、今後もミカン農家が頑張りと意欲を持って農業に取り組めるように支援することが重要であります。このため、改めて農家の経営や生活の安定に向け、低利の緊急融資なども含め、幅広い対策を講じられるよう強く要望しておきたいと思います。
 最後に、四十二号線の渋滞解消問題については引き続きご尽力を賜りますようにお願いを申し上げまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松本泰造君の質問が終了いたしました。

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