平成10年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(中山 豊議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番中山 豊君。
  〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 議長の許可を得ましたので、順次、通告に基づいて質問をいたします。
 今回は、住民の生活に直接かかわる具体的な課題を四点にわたってご質問申し上げたいと思います。
 まず、生産緑地の認定の問題であります。
 農産物の価格低迷及び農業経営の不振や後継者難等が関連し合ってさまざまな問題が課題となり、地域農業の維持が困難だと言われるようになってきています。また調整区域内の農業者は、農業振興地域として枠をはめられているけれども何の施策も立ててもらえない、農業振興とは裏腹に地域の活性化は望むべくもないところに落ち込んでいると嘆かれています。いずれにしても、今、農業者は、市街地であれ振興地域であれ、展望を持てずにあえいでいると言っても過言ではありません。この中で、生産緑地法の農業経営の立場からの運用を求めた動きが顕在化してきています。
 和歌山市や海南市の市街化区域で農業を営んでいる農家では、固定資産税、都市計画税の重い負担が営農意欲をそいでいます。和歌山市梅原で米や野菜を生産している農業青年の貴志正幸さんは、有機農業やアイガモ農法などを積極的に取り入れて、二町三反の農業で一年間一千万円の粗収入を上げています。しかし貴志家では、農地だけの固定資産税と都市計画税で昨年百三万円を課税されました。九二年度が約五十万円であったから、五年間で二倍以上になったと言われます。一反で五万円の税金であり、米であれば三俵分にもなります。労賃は到底出ません。生産緑地制度の導入によって農業が続けられないかと、真剣に考えているとのことであります。
 和歌山市や海南市の市街化区域内で農業に将来に託そうとしている人々は生産緑地の認定を求めようとしているけれども、その動きとも関連させて、以下幾つかお尋ね申し上げます。
 一つ目に、農地の宅地並み課税の実施は、市街化区域内の地域農業を窮地に追い込みかねないところにあります。それに対して農業者は、農業を守る、いわば自分の職場を守る立場から、市街化区域内農地を生産緑地として認定してもらおうとの動きが強まっています。あくまでも、生産緑地の認定は都市計画上良好な緑地確保の必要性から考えられ、その土地を生産に供する状態で保持されようとするのが法の目的と考えられるけれども、これについて県はどう対処されるのか、基本的には認定していこうという態度なのかどうか、お伺いいたします。
 二つ目、生産緑地の認定を求めるとして所要の申し出があれば、それに対してどのようにされるのか。認定は、各市、該当する自治体が決めることだとはいえ、県はそれらに対してどのようにご指導なさるのか。
 三つ目、生産緑地と認定されるなら、市街化区域内の農地について、宅地並み課税ではなく、営農に供している農地は農業収益を基礎にして評価課税されないのか。
 以上であります。
 次に、地籍調査促進についてお尋ねいたします。
 法務局が保管する土地登記簿や公図は実態に合わないとして住民間のトラブル発生のもととなり、あるいは住民の行政への不信の原因ともなり、あまつさえ公共事業を甚だしく遅滞させる原因ともなっていることは指摘するまでもありません。
 昭和三十二年総理府令第七十一号地籍調査作業規定準則が示されて、翌昭和三十三年、和歌山県では一番先に印南町が作業に着手して以来四十年、平成九年度で着手率六四%で、最近の着手率の伸びは全国でも上位にあると聞かれます。これは、個々の権利者の理解の程度によるところが大きいとは思うけれども、何よりもこれを進める市町村、自治体の担当職員の確保が最も大きいのではないかと思われます。また、行政実績として世間では余りカウントされないでいるところから、自治体は進んで取り組んでこなかった嫌いがあるのではないでしょうか。聞き及んだところによると、自治体は、行政上の課題で背に腹はかえられぬというところに至って初めて取り組み、完成またはそれに近いところまで持ってきたというのが共通しているようであります。いわば、自治体が地籍調査に取り組まねばとの認識に至ったところから始められています。
 こう見れば、事業に取り組めば必ず突き当たる問題は県下のどの自治体にも多かれ少なかれあり、同じ立場に立たされているはずであります。にもかかわらず未着手及び著しくおくれている事態は、県にとっても何事かならないことではないかと申し上げねばなりません。これを進めるには、一つ目に、それぞれの自治体が本事業の必要性の認識を高める広報、情報提供を積極的にすることが大事であろう。二つ目、これの取り組みについての費用について補助制度が設けられているけれども、人件費等、市町村の負担はできるだけ軽減させる必要があるであろう。三つ目には、当初の始動体制は小さくても、事業の拡大に合わせて人員も数名からそれ以上にしている市町村があります。調査区域の大小によって取り組む体制も変わろうけれども、今、県下の先進地が蓄積している経験や教訓を生かし合う交流が必要ではないのかと思われます。四つ目に、中でも無籍地等法定外公共物があります。市町村としては何ともしがたいと言われている問題解決への手だてを急ぐ必要があると思われます。これらについて、当局のお考えや今後についての所信をお伺いしたいのであります。
 知事の議案説明の中に地籍調査の問題が一つ触れられていたことともかかわって、それなりに一つ踏み出すのかなという気もしないではありませんが、積極的な答弁をお願い申し上げます。
 三番目、来年度の米作生産調整、いわゆる減反割り当てについてであります。
 農産物の総自由化、九割の農家の切り捨てにつながるような新農政と米の輸入自由化を前提に、米の生産供給を基本的に市場に任せることを内容とする新食糧法が施行されてこの方、ますます地域農業にまつわる情勢は厳しく、背に腹はかえられぬところに来ていると思われます。加えて、四年連続の豊作による米余りと米の需給不均衡、米価の下落による来年度の生産調整が大幅に拡大されます。水田のほぼ四〇%に当たる減反割り当て目標を各地方事務所を通しておろしているようであるけれども、和歌山県の水田農業の実情にかんがみ、果たしてストレートに受け入れられて割り当て面積がこなされていけるのか、いや、これをこなそうとしていくやり方が将来に向けて和歌山県の農業にとっていいものかどうなのかということを問いたいわけであります。
 そのような立場から、以下、私見を交えながら幾つかご質問申し上げます。
 まず、生産調整の割り当てについてであります。
 生産調整の名で減反を進められてきたけれども、結果として、国の施策だからとはいえ、相当無理をしてきて農業者の心情を壊しかねないところに来てしまっていると思われます。生産者は、生産基盤が整い、つくりやすく、収穫量が期待できる平たん地域に山間地の水田を放置して移動しています。この傾向は、生産調整を求められるようになって、近年なお強くなってきています。過日開かれた県青年農業者会議の中でも、当面する農業経営上の問題解決や農業を取り巻く問題について実績発表、協議がされたと言うけれども、植木のポット栽培やミズナスのハウス栽培など施設園芸などに課題が代表され、米作農業については取り上げられたようには聞きません。
 三年前になるけれども、秋田県を視察で訪ねた折に、休耕田に水を張っていたのを見ました。水田の機能を保持するためだと言われます。水田を圃場としてのパワーだけに終わらせない、水利とのかかわり合いで水田の機能が保持・保全されているとのことで、穀倉地帯の休耕の姿に接することができました。これでこそ農業者の心が守られ、受け継がれていくものだと思います。
 減反は米作を根こそぎ絶ってしまい、水田の機能の息の根をとめることを含めて進めてきた側面もなきにしもあらずと言わざるを得ません。災害や飢饉がいつ発生するかもしれない。発生しないとだれもが断言し得ないのであります。これを心配して、農地を守り続けようと懸命に耐えようとしているのが農業者であります。この心情を大切にしているからこそ国が守られているのではないでしょうか。その時々の経済の動向に左右され、農政の基本を崩しては、民族の尊厳さえ危うくしかねません。
 来年度は、転作実績に応じた補償ではなく、全国共補償制度なるものをもって充てようとしているけれども、これは、生産者が基金を拠出し、拠出した農家だけを対象に補償していくというものらしいです。私には珍妙な考えとしか思えないのであります。転作に応じて協力してもらう、だからこそ補償金が用意されるというもので、これとて私には理解しがたいのですが、これに輪をかけて、補償を受けるにはみずからの金を出して補償金を誘うかのような制度と思いかねないやり方であります。
 また、補助事業の採択についてですが、計画達成率一〇〇%に至らないと各種補助施策に組み入れてもらえないとのことであります。そのため、俄然割り当て達成が強化されるというものであります。また、地域の共同体社会を突き崩しかねないところに行ってしまうのです。どうしても米をつくりたい、自家用米だけでもつくりたいと思う生産者にさえ及んでいくのであります。つくるかどうかを通して地域の共同体社会の協調、連帯を崩しかねないところに追いやるのであります。一〇〇%達成が補助事業の不可欠要件ですから、それにくみしないため、地域の事業が成り立たなくなると好ましい連帯、協調は崩れていかざるを得ないところにあります。
 児童出版文化賞大賞受賞の富山和子の「お米は生きている」の中で、米づくりとは力を合わせる仕事だとして、米づくりは町ぐるみの共同作業だったことを説き、水を引くこと、水路の周りや補修等の助け合いという約束事の上に米づくりが成り立っていたこと、米は文明の母、稲作は文化の母体、稲とは命の根なりとうたい上げています。今回の新しい米政策についての中央の動きとは別に、あれは穀倉地帯向けのやり方で、私たちには合わない、和歌山には和歌山に合った農業をやらねばと皆さんは申されています。富山和子が「お米は生きている」の中で述べている心は、地域には根強く生きているものと察し得るわけであります。
 過日、海南市野上新地区に、井沢弥惣兵衛の顕彰碑が地区の人々の手によって建てられました。新田を開発し、米づくりを大事にしようとした井沢弥惣兵衛の心を今日受け継ぎ、それを顕彰しようとしたものであります。
 こうしたことを踏まえて、生産調整に対するお考えをお聞きしたいのであります。
 次に、学校の米飯給食についてお尋ねいたします。
 農水省は来年度から学校の米飯給食の補助を削減する方針と聞いています。これは政府米を給食用に売り渡す値段を下げているものだが、農水省は、九八年度から週三回以上の米飯給食実施校には現在の四七・五%の値引きを三〇%に、九九年度からは一〇%に、二〇〇〇年度からは値引きがゼロと、現在四〇%の値引きとなっている週二回以下の米飯給食実施校は九八年度から一挙にゼロとする方針であります。これでは、米飯給食を実施している学校は米代がほぼ二倍になりますし、米飯給食をすれば費用が増加し、ひいては米飯給食が減少しかねません。
 給食の主体は各市町村だが、県としてこの問題をどうとらえているのでしょうか。今回の農水省の措置が実施されると負担増は幾らになるのでしょうか。米飯給食の重要性にかんがみ、県として米飯給食を守るためにどのような対処をされようとしているのでしょうか。米余り対策ではなく、米余りをより一層助長するやり方ではないかと言いたいわけであります。政府に改めるよう強く求められたいわけであります。
 次に、この機会に、稲作農業を守る観点から農業委員会のあり方について、具体的事例を示して、あるべき対応をはからってもらいたいとご質問申し上げるところです。
 県下すべての市町村の農業委員会がこのようなことの実態だと、私は申し上げるつもりはありません。しかし、こういうところもあるということをお聞き取りいただきながら、そのような農業委員会にはしかるべく厳正に、間違ったことを直ちに正してそのような間違いを起こさないような農業委員会の取り組みがなされるよう期待しながら申し上げます。
 ある方が休耕地の農地を、宅地造成でもしようとしたのでしょう、偽って取得したのでありますが、事情が変わって、管理さえままならないまま放置されました。それが、その土地の周辺で誠実に稲作農業に従事している農業者に、この上ない迷惑をかけることになります。その農業者は、農業委員会に管理を厳正にされるよう、稲作農業に支障を来さないよう、取得した新たな地権者に対して善処策を求め、あれこれのやりとりはあったけれども、結果として農業者に、双方の話し合いにおいて解決してくれと、本年二月十八日に文書でよこしてきたというものであります。その方の言うのには、偽っての土地取得を許可し、農業委員会の決定が迷惑の根源となっていながら、また所有者に管理の厳正を求め切れないでその責任を棚に上げて、双方によって解決しろとは何事ぞと、こういうふうな腹立たしさを訴えるものであります。本来、農業者の味方であるべき農業委員会の立場を放棄したものだとして、大いに怒っている様子でした。
 また、ある方が農地転用を偽造して申請し、委員会はそれを決定、本人の知らないまま転用され、極めて迷惑をかけている。それを正すように求めたら、委員会は、書類が整っていた、それで処理されたのだと、間違いを正そうとしない。これではちょっとわかりにくいと思うので申し上げますと、農業委員会に書類を申請した、その申請者は、了解を得てその人の署名・捺印をして申請したということであります。申請したとされる本人は全然そのようなことを知らないままに書類が整えられて農業委員会に届けられた。農業委員会は、書類が整っているとしてそれを決定してしまったわけです。事後において本人がそれを知ってびっくりして、私はそんな申請をしたこともないという、こういうふうなことになっています。いろいろ農業委員会とのやりとりがあった。あったけれども、事態としてはもう決定してしまったことだとして県に上げて、県はそれを受けると、こういうふうなことになってきているわけです。農業委員会の決定を県農業会議はそのまま受け入れて、その後、間違いだと判明してもなおそのままに置かれようとしているのであります。これは、農業及び農業者を守ることとはならないわけであります。今日、農地が放置されて不動産や宅造業者のねらうところとなっている状況であるだけに、そのようなことに対しては一層厳正に農業委員会は調査し、農地を守る観点からそのあたりに対応していかなければならないにもかかわらず、こういうふうなことをたび重ねている、これは断固許してはならないというのがその人の立場であります。こんなことを今後起こさせない対策と、誤りを直ちに是正する取り組みを求めたいわけであります。
 この点は、農業会議の会長である知事に答弁を求めるまでもないところです。事柄を強く認識されて正しい行政と指導をされるよう、要望しておきたいと思います。答弁を求めないで要望というのは、だれが聞いても当たり前の話であるからです。当たり前の話を知事に答弁せよと言って、答弁をただすのも酷な話だと思う。こういうお話は、聞いていただくことにおいて察知していただき、理解をしていただき、行政に移していただくというのが私の政治信条であります。
 道路問題について。つかんで離さない課題の一つとして毎回取り上げてきて、なお新たな問題を申し上げなければならないほどに私の選出基盤である地域の道路状況は大変悪いわけであります。今回は、以上の観点から三路線の整備方を求めつつ、当局のお考えをお聞きしたいのであります。
 一つは、県道海南秋月線の問題であります。
 これについては、二年前、くも池から且来地区寄りで一部整備改良していただきました。引き続き連続的に実施されるのかと見ていましたけれども、用地問題で行き詰まっているのか、とまってしまっているわけであります。山際にがけ崩れがあり、路面に落石が転がり、側溝は既に瓦れきで埋まっている次第であります。さらに、亀の川にかかる紺屋橋を挟む且来・多田間の現道整備については、民家が密集しているからバイパスをとの声が地区内に起こっているわけでありますけれども、当局はそのような声に対してどのような受けとめ方をなさっているのか。また、且来交差点から紺屋橋までの間の取り組み状況についてお聞かせ願います。
 二つ目、県道和歌山野上線の問題です。
 これにつきましては、特に野尻区間について地区民たちはバイパスをとの計画を進められているようですけれども、取り組みの現状と今後についてお聞かせ願いたいと思います。
 最後に、鉄道高架事業に係る側道と地域の道路体系整備の問題であります。
 高架事業は、本年秋に下り車線も上に上げられます。おかげさまで、大方は完了するところにあるようです。阪和線の快速電車を海南へ延伸させることへの地元の要求、情熱は熱を帯び、当局やJRに熱心に求め続けて、県はこれに積極的にこたえてくれているようですけれども、高架後の残事業としての側道の整備等について、既設道路との取りつけやつながりで地域の道路体系を整備されるようにとの声も日増しに関心が高まり、当局に寄せられているところです。この機会を最も適当な機会だととらまえてこの問題を提起し、ご答弁をいただきたいのであります。
 特に藤白地区は、皆さんもご存じのように、扇のかなめのように道路が集まってきていることとも相まって地形的な条件や困難な事情もあろうと思うし、また側道にまつわる関連した要求も寄せられているところですけれども、どうされようとしているのでしょうか。海南市とも協議してくれていることでしょうが、お考えをお示し願いたいのであります。
 国道四十二号線、JR紀勢線、そして今度その高架事業に伴う側道がそれに沿っていく。まさに、藤白神社あたりで道路が一点に集中して扇のかなめのようになっていくわけです。地形的にあれこれの作業をするについても、計画を立てていただくにも、大変難しい話だろうと思います。それだけに地区住民の皆さんは、側道に沿って車を乗り入れてきて整備もされていないところに車を走らせられることになってくると大変困ると、こういう意向が当局にも反映されているはずであります。これの問題解決をどうされようとしているのかというのが、高架事業に係る側道と道路体系との質問の一つであります。地形的な条件もあって困難な事情があろうと思うけれども、そのあたりの状況も勘案しながら地区民からの要求に対してどのようにこたえようとされているのかということであります。
 あわせて、JR所有地の活用等の考えもよろしくお願いしたいのであります。軌道敷が低く、側道と段差のつく箇所についてはそれなりの検討を要すると思うけれども、どのような検討をされているのでしょうか。
 最後に、海南踏切は都市計画街路とされていることにもかんがみ、この際、何らかの取り組みをされようとしているのでしょうか、お伺いいたします。
 特に海南踏切は、県道海南金屋線に係るところであります。そして、今、県のお世話で日方川の改修がされようと事業化されているわけです。海南踏切から少し東へ上ったところで、日方川改修事業と連動していく地域でもあります。こういうふうなことを展望するときに、特に海南踏切の整備については、都市計画街路とも関連させながらどのようなお考えで取り組んでいこうとされているのか。そのことを述べて、私の第一回目の質問等を終わります。ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 中山議員のご質問にお答えいたします。
 まず、生産緑地の認定についてでございます。
 県の生産緑地指定への対応方法でございますけれども、生産緑地に関する指定の要望が出てきた場合、生産緑地法の趣旨に基づいて総合的に判断し、将来の公共施設の敷地として適しているかなど、都市計画上の必要性がある場合に限り指定に関する検討の余地があるのではないかと考えているところでございます。
 次に、道路整備の幾つかのご質問にお答えしたいと思います。
 まず、県道秋月海南線でございます。
 この秋月海南線につきましては、且来地内のくも池から一千三百メートルの区間を事業中であり、現在では七割程度が整備済みとなっております。整備を進めている残りの箇所についても、鋭意用地買収を行っているところでございますけれども、地権者の方々の理解が得られず、交渉に時間を要しているのが現状でございます。この箇所の早期解決に向けて、地元海南市の協力を得ながら引き続き努力してまいりたいと考えております。
 さらに、紺屋橋を含む且来・多田間の整備につきましては、他の事業中箇所の進捗状況を見ながら、バイパス案も視野に入れて検討してまいりたいと考えております。
 次に、和歌山野上線でございます。
 和歌山野上線の別院から野尻地内までの六百四十メートルを事業中でございまして、そのうち、野尻地内の四百九十メートルがバイパス計画となってございます。現在用地買収を進めているところでございますけれども、公図が混乱しているためにその訂正作業を現在行ってございます。今後は、公図訂正作業が終わった箇所から用地買収を進め、順次工事に着手してまいりたいと考えております。
 三点目の、海南駅の連続立体交差化事業に絡む幾つかの点でございます。
 この海南駅連続立体交差化事業につきましては、平成八年十月、新宮方面行きの上り線でございますけれども、供用され、下り線についても今年秋に完了する予定となってございます。
 ご質問の、藤白地域の側道と国道四十二号へアクセスするルートにつきましては、現在海南市と協議しているところでございます。
 また、側道沿いに残るJR所有地の活用につきましては、有効利用が図れるよう、現在海南市及びJRと協議しているところでございます。さらに、東西の側道を連絡する道路につきましては、現在、歩道橋や踏切となっている箇所には通路を設ける予定としてございます。
 なお、鉄道と都市計画道路の日方大野中藤白線との交差箇所につきましては、今後の都市計画道路整備を考慮した、空間を確保した構造としております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 総務部長中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 市街化区域内農地の評価課税についてお答えします。
 固定資産税の課税に際しての市街化区域農地の評価額につきましては、地方税法及び固定資産評価基準により、類似の宅地に比準して定められるよう、その課税標準となるべき額の基準及び評価方法が定められているところでございます。しかし、市街化区域内でも生産緑地地区内の農地や都市計画施設として定められた公園または緑地の区域内の農地等については、一般農地と同様の評価方法がとられております。
 なお、急激な税負担の上昇に対応するための市街化区域農地につきましても、一般農地と同様の負担調整措置が適用されることとなってございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 中山議員にお答え申し上げます。
 地籍調査の必要性につきましては、これまで県民のご理解が得られるよう、平成九年四月号の「県民の友」やラジオ等を通じて啓発に努めてきたところであり、また地籍調査の未着手市町村については、担当課長会議を開催するなどの機会を通じて調査の必要性を説明し、早期に着手されるよう指導しているところであります。今後も、地籍調査の必要性の認識が高まるよう積極的に対応してまいります。
 地籍調査に係る人件費補助制度の創設については、従来より国に対して働きかけているところであり、平成十年度政府要望においても制度創設を要望したところでございます。現在、国が財政構造改革などを進めている中において、制度実現は厳しい状況でございますが、制度の創設についてさらに国に対して要望してまいります。
 県といたしましては、公共事業の促進を図るため、新たな事業として近畿自動車道紀勢線の地籍調査の一部に一筆地調査の外部委託を導入し、関係市町の人件費負担の軽減もあわせて図れるよう、県の単独事業として平成十年度予算案に計上しているところでございます。
 次に、地籍調査について蓄積している経験や教訓を生かし合う交流が必要ではないかとのご質問でございます。
 このことにつきましては、県下市町村が会員になっている和歌山県地籍調査推進協議会において体験発表並びに問題点等についての意見交換を行うなど、毎年会員相互の交流を図っており、本年度においても昨年十一月に講習会を開催してございますが、今後、さらに事業の熟度を図るための研修会等を開催してまいりたいと考えてございます。
 里道・水路等法定外公共物は数多く存在しており、これらの財産管理については土木部で行ってございますが、この法定外公共物と民有地との境界調査は、地籍調査の進捗に影響があるため、調査が円滑に実施できるよう土木部と協議を重ねてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 農林水産部長平松俊次君。
  〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 米の生産調整に対する考え方についてでございますが、現在、農林水産省においては、三百七十万トンある国産米在庫を二年間で二百万トンまで圧縮するとともに、米の価格の低下に歯どめをかけ、稲作生産と経営の安定を図る観点から実施されているものでございます。本県といたしましても、生産調整の必要性にかんがみ、この制度に取り組むことといたしております。
 また、来年度から実施される共補償的な考え方を取り入れた米需給安定対策は、生産調整を実施している農業者の不公平感を緩和し、生産調整の円滑な推進を目的に創設された制度でございます。県といたしましては、目標達成を図るため、この制度についても関係機関と一体となり、農業者に理解と協力が得られるよう努めているところであります。地域の立地条件を生かした高収益作物や景観形成作物などを推進するとともに良質米生産に取り組み、転作と稲作が一体となった地域農業を進めているところでございます。
 次に米飯学校給食でございますが、このことにつきましては、昭和五十一年から助成措置が実施されておりまして、これが廃止された場合、保護者負担は月百四十二円の増額となります。今後、農林水産省におきましては、この助成にかわる措置として、施設等の充実や米の無償配布など、新たな制度をつくると聞いてございます。農林水産部といたしましても、日本の伝統文化である米を守るため、米飯給食は重要であると認識しております。今後とも、米飯給食を続けていただきたいものと考えてございまして、新しい制度の充実などについても国に要望してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 33番中山 豊君。
○中山 豊君 生産調整にかかわる論議は、十分かみ合ったご答弁をいただいたというふうには追従にも言えないという感じがしてなりません。しかし、この課題は、一回や二回議場でやり合ったからと言って、私たち地域の農業の実情を述べることによって当局の皆さんのお考えを大きく変えていただけるという課題でもないようにも思われます。これは、たび重ねてしぶとく論議を挑む課題であろうと思いますので、その点だけを表明しておきます。
 次に、道路整備の問題についてただ一点。鉄道高架の残事業の一環としてなされていく側道の整備もさることながら、特に県道海南金屋線と交差する踏切の整備は、都計街路とされていることともかかわって、海南市とどう詰めた仕事をしなければならんかということにもなるのでしょうが、私は、先ほども述べましたように、この周辺において県の日方川改修事業と鉄道高架事業が不離一体の関係で進められないと将来にわたって継ぎはぎのようなことになりかねないのではないかと思うので、特に海南踏切の整備については、日方川の改修計画と連動させて海南金屋線がつつがなく都市計画の企画に沿って整備されていくように思考されなくてはならんのじゃないかと思います。
 そのつもりでご答弁いただいたようにも受けとめましたけれども、特に海南踏切についてはそのあたりを強調して、海南踏切の整備事業が海南金屋線の整備に波及し、あるいはまた日方川改修事業に大きく波及していくようなものとして位置づけて、海南市と十分な協議をしながら事業が早期に完成されていくことを見通してお取り組みいただくようお願いして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(木下秀男君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十一分休憩
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