平成10年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程   第五号   平成十年三月十三日(金曜日)
                午前十時開議
  第一 議案第一号から議案第八十一号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第一号から議案第八十一号まで(質疑)
   二 一般質問
出 席 議 員(四十六人)
     1  番    大    沢    広太郎
     2  番    木    下    善    之
     3  番    小    川         武
     4  番    吉    井    和    視
     5  番    下    川    俊    樹
     6  番    井    出    益    弘
     7  番    藁    科    義    清
     8  番    門         三佐博
     9  番    永    井    佑    治
     10  番    新    島         雄
     11  番    向    井    嘉久藏
     12  番    佐    田    頴    一
     14  番    阪    部    菊    雄
     15  番    西    本    長    弘
     16  番    馬    頭    哲    弥
     17  番    谷         洋    一
     18  番    山    下    直    也
     19  番    高    瀬    勝    助
     20  番    松    本    泰    造
     21  番    堀    本    隆    男
     22  番    宇治田    栄    蔵
     23  番    宗         正    彦
     24  番    橋    本         進
     25  番    神    出    政    巳
     26  番    玉    置    公    良
     27  番    上    野    哲    弘
     28  番    東    山    昭    久
     29  番    尾    崎    要    二
     30  番    野見山         海
     31  番    木    下    秀    男
     32  番    町    田         亘
     33  番    中    山         豊
     34  番    井    谷         勲
     35  番    鶴    田    至    弘
     36  番    森         正    樹
     37  番    村    岡    キミ子
     38  番    新    田    和    弘
     39  番    平    越    孝    哉
     40  番    森    本    明    雄
     41  番    長    坂    隆    司
     42  番    冨    安    民    浩
     43  番    飯    田    敬    文
     44  番    中    村    裕    一
     45  番    松    本    貞    次
     46  番    大    江    康    弘
     47  番    和    田    正    人
欠 席 議 員(一人)
     13  番    和    田    正    一
説明のため出席した者
     知 事     西    口         勇
     副知事     山    下         茂
     出納長     高    瀬    芳    彦
     知事公室長   野    見    典    展
     総務部長    中    山    次    郎
     企画部長    藤    谷    茂    樹
     生活文化部長  中    村    協    二
     福祉保健部長  小    西         悟
     商工労働部長  上    山    義    彦
     農林水産部長  平    松    俊    次
     土木部長    長    沢    小太郎
     企業局長    佐    野    萬瑳義
     教育委員会委員 目    黒    威    徳
     教育長     西    川    時千代
     公安委員会委員 島         正    博
     警察本部長   米    田         壯
     人事委員会委員長
             若    林    弘    澄
     代表監査委員  宮    市    武    彦
     選挙管理委員会委員長
             谷    口    庄    一
     以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
     事務局長    西    畑    彰    久
     次  長    前         晴    夫
     議事課長    佐    竹    欣    司
     議事課副課長  島         光    正
     議事班長    松    谷    秋    男
     議事課主査   川    崎    良    雄
     議事課主事   大    浦    達    司
     総務課長    塩    路    義    和
     調査課長    湊         孝太郎
 (速記担当者)
     議事課主任   吉    川    欽    二
     議事課主査   鎌    田         繁
     議事課速記技師 中    尾    祐    一
     議事課速記技師 保    田    良    春
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  午前十時二分開議
○議長(木下秀男君) これより本日の会議を開きます。
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  【日程第一 議案第一号から議案第八十一号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(木下秀男君) 日程第一、議案第一号から議案第八十一号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 11番向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 初めに、二月八日から和歌山県メキシコ合衆国シナロア州友好提携答礼団として訪墨いたしました報告を代表してさせていただきたいと存じます。
 一九九六年五月二十日、メキシコ合衆国シナロア州知事が本県を訪問され、和歌山県との間で調印された友好提携の答礼といたしまして、またメキシコ移住百周年記念和歌山県人会祝賀会への出席のため、二月八日、関空より出発いたしました。二月九日から十二日の四日間、西口知事、木下議長、下川、尾崎、佐田、大沢、谷、松本、それに私・向井の八議員と県職員合わせて十九名、ほかに県の青年十五名の答礼団として、メキシコ合衆国シナロア州クリアカン市、マサトラン市及びメキシコシティーを訪問いたしました。
 以下、簡単に日程に従って報告させていただきます。
 二月九日、月曜日でございますが、シナロア州の州都であるクリアカン市に到着いたしました。シナロア州庁舎を訪問いたしまして、州知事室で記念品の交換の後、州知事、州議会議長を初め議員、関係者約八十名での交流会が開催されました。後にシナロア州議会を訪問し、シナロア州臨時議会に出席いたしました。午後には、州経済推進副大臣、クリアカン市長のほか、三十名の経済人との昼食会に出席いたしました。その後、市内科学文化センターを視察いたしました。夜は、州知事、州議長、議員、経済人とのパーティーに出席して友好を深めてまいりました。
 二月十日、バスでマサトラン市に移動いたしました。マサトランというのは、避寒地のリゾート地でございました。二百キロのバスの道中でございましたが、その途中、大規模農業用地と施設を視察いたしました。トマト、キュウリ、ナスビ、ピーマン、これらが日本に帰って皆さんに説明したら果たして信用してもらえるかなというほど広大な土地で、地平線が見えるところまで大変な規模で栽培されておるのを視察させていただきました。また、夜はマサトラン市を訪問いたしましたが、マサトラン市議会が開催されておりました。西口知事、木下議長にマサトラン市名誉市民の称号が贈られました。
 二月十一日、市内ホテルでマサトラン市長、経済人との朝食会に出席いたしました。約二時間にわたって各分野の担当者から説明を受け、本県からは知事が和歌山県の全般にわたり説明をいたしました。メキシコシティーへの移動の合間を縫って市内リゾート開発地、港湾施設、商業施設等を視察して、空路でメキシコシティーへ移動いたしました。夜、在メキシコ日本大使館を表敬訪問し、講師からメキシコについての説明を受けました。
 二月十二日、メキシコシティー市内視察と、メキシコ外務省を表敬訪問し、外務次官と会談いたしました。夜、日墨会館で開催中の和歌山県展に出席、引き続いてメキシコ和歌山県人会の祝賀会に出席して、メキシコ公式訪問を終了いたしました。
 今回のメキシコ訪問はいささか強行日程ではございましたが、現地での熱烈な歓迎と人々の活気に接しまして、メキシコ外務省次官、州知事、市長等の発言から、日本に寄せる期待は大きく、我々の責任の重さを痛感して帰ってまいりました。また、各地の視察によってメキシコの現状を見ることができ、大変有意義な訪問となりました。日本から移住した方々の努力により、日本国また日本人に対するメキシコ国民感情が極めてよく、その努力に対して改めて敬意を表する次第であります。今後も、和歌山県とシナロア州が築いた友好関係を大切にし、両者がともに発展できるよう努力していかなければならないと感じた次第であります。メキシコ滞在中の四日間お世話いただきました関係者並びに県人会の方々にここで厚く御礼を申し上げまして、報告といたします。
 続きまして、産業廃棄物の問題について一般質問させていただきます。
 その前に、あらかじめ議運委員長のお許しをいただきまして、参考のために水質検査の環境基準と排水基準の比較表をお手元に配らせていただいております。私の質問の中で出てまいります話の参考にしていただければありがたいと思います。
 それでは質問に入らせていただきますが、橋本市野の産廃中間処理場問題が、ここに来て急速な動きを見せております。
 一つには、野積み産廃の残り三分の二の全量撤去が開始されております。三月末で完了の予定でございます。
 また一つには、焼却灰から国内最悪レベルの三万ピコグラムのダイオキシンの検出がありました。トロンメル──産廃を焼却しやすくするために、回転するドラムの中へ入れて土とより分ける仕事をするものです──の下からの、県が「土」と言っているところから二百六十ピコグラムのダイオキシンが検出されたということであります。
 ダイオキシンを検査していただいたのは、宮田教授という摂南大学の先生であります。宮田教授の肩書を少しご紹介させていただきますと、今、摂南大学の教授であり、また厚生省、環境庁、通産省のダイオキシンに関する第一人者として審議委員を委嘱されておる方でございます。また、今回環境庁から出された「ダイオキシン類に係る土壌調査暫定マニュアル」というマニュアルづくりにも深く関係された方でございます。その方に学術研究のために現場から持ち出した焼却灰、またトロンメル下の土壌を調査していただいたところ、そこからダイオキシンを検出したということでございます。
 次に、県と住民が共同で水質検査をするという一連の動きがございました。二月十九日には、地元住民百三十二名が県知事、担当部長、また県議会議長に対して申し入れ、要望を行いました。その要旨は、一つには、場内の焼却灰は住民や専門家の意見を聞き、適法・適正な処理ができるよう指導監督し、その処理方法や処分先を公開していただきたい、二つには、場内に埋められた焼却灰や産廃の実態調査のため早急にボーリング調査をすること、また完全撤去の方策を示すこと、三つには、処理場の浸出水の水質検査を住民と県が同一時刻、同一場所で早急に実施すること、四つには、知事は現場を訪問し、現状認識と住民との対話の場を設けること、この四つを申し入れ、また要望いたしました。この申し入れでの話し合いの中で生活文化部長から、昨年十二月定例議会の委員会で決定した水質検査については三月中旬までに実施したいと、こういう回答をいただきました。大変な進展があったと私は理解しております。後日、三月二日に同一場所、同一時刻に県職員と地元住民代表、業者らが、処理場から浸出水の流れている谷底で採取。当日の検体の水温は二十五度でございました。
 これが、最近三カ月の主な動きでございます。
 これより質問に入りますが、一番目、ダイオキシンの問題について質問させていただきます。
 一、高濃度ダイオキシンの検出で、住民はますます脅威と不安を感じております。県当局はこの事態をどのように受けとめているのか、伺いたいのであります。また、その後、県は具体的に調査及び対策をしましたか。厚生省や環境庁への報告や相談の有無、また研究者や機関への問い合わせは行ったか。
 二、県が埋め立てを認めているトロンメル下の土壌──県は土壌と言っておりますが、私は産廃と認識しております──からダイオキシン濃度二百六十ピコグラムを検出いたしました。埼玉県所沢市三富地区の土壌では最大二百ピコグラム、平均値で三十ピコグラムが出ておりますが、その危険性を認識しているか。県独自に谷の堆積物のダイオキシン調査をするつもりはあるか。前回の私の質問に対する答弁では、国は土壌の調査方法を示していないとしておりました。しかし、一月三十日に環境庁から、ダイオキシンの土壌調査暫定マニュアルでありますが、出ました。
 三、焼却灰単独では国内最悪の三万ピコグラムの高濃度ダイオキシンの焼却灰は、今どこへ持ち出されておるのですか。マニフェスト制度では、明らかにすることが義務づけられております。県はこれを公表しないと言っておりますが、福祉環境委員会に提出していただきたい。目の前から消えればよいというものではありません。県として把握しておく義務がある。県民として把握しておく義務がある。また、公社の金を拠出している以上、他の産廃も含め、搬土先は公表しなければならないと思うのでございます。
 二番目、水質検査についてであります。
 一つ目、三月二日、県と地元住民は、有害な重金属の有無などを調べる水質検査のため、共同で同処理場から浸出水を採取いたしました。これは、同時検査を求めていた住民団体の産廃処理場を撤去させる会の要望にこたえたもので、高く評価できると思います。しかしながら、住民側は、当然一般環境で適用される環境基準で判断されるものと考えておりましたが、県は、工場排水などに適用される環境基準の十倍の濃度の排水基準で判断するとしています。その根拠は何か。今、お手元に参考としてお配りさせていただいているものがそうでありますが、県の主張する排水基準での判断では、結果はわかっております。検査結果の発表は基準をクリアしているかいないかの判断だけではなく、検査数値は最低でも環境基準値の十分の一までの数値を実数として計測し、そのまま公表することをここで強く申し入れておきます。
 二つ目、今後も継続して定期的に住民と協議した上で水質検査を実施すること。これは、信頼関係の構築にもつながると思います。
 三つ目、検査項目に、今問題となっているニッケル、硼素、アンチモンも加えること。これは、今、国も基準に加えることを検討しております。
 四つ目、水温、電気伝導度、pHを計測すること。水温は、地元の住民の方々がはかると最高で四十度近く、平均で三十度ほどあります。地元の人は「産廃温泉」というふうに言っておるぐらいです。また電気伝導度は、自然水は二十から三十、日本工業所では平均して四千という数値が出ております。私、この単位がちょっとややこしいので忘れたのですが、とにかく自然水は二十から三十、ところが日本工業所から出てきておるのは平均で四千。これは何でこうなっているのか。いろんな汚いもの、重金属やほかのものもまざっているでしょう。何もまざっていなかったら電気は通らない。ところが電気が通るということは、それだけ不純物がたくさんあるというあかしにもなるわけです。それが四千になっている、自然では二十だと、こういうことです。それからpHは、酸性かアルカリかを調べるものですが、それを調べることによって中にどういうものが埋まっているかというのが大体見当がつくと言われております。これの計測をすること。
 また五つ目に、検査報告書には検査受託者を明記し、受託者の印影を得ておくこと。
 それから三番目、野積み産廃の残り三分の二の全量が三月末に搬出終了した後、県は今後どのように考えているかということについてでございます。
 先日、二月十九日の住民要請の際、県職員が、住民とは本音で話し合えないという発言をしております。今こそ解決策に向けて真剣に協議が必要であるにもかかわらず、このような姿勢でよいのか。住民と定期的に話し合える場所を設けることが不可欠と思っております。また知事には、住民との一体感を持っていただくために、適当な時期に話し合いの場を持たれることを要請しておきたいと思います。
 続きまして、最近の青少年の犯罪についてお伺いいたします。
 馬頭先生、また新田先生からお話がございましたので重複を避けますが、最近の青少年の犯罪は、若年化とともに凶悪化しております。特に刃物を使った犯罪が相次いでおり、傷害殺人事件の報道が後を絶たないわけでございます。
 NHKの調査によれば、中学生男子の五人に一人はナイフを持っております。また、十人に一人は学校へ持っていくと答えております。その調査の中で、なぜナイフを持つのかという問いに対して、自分を守ることができる、持つことによって安心感がある、またナイフを持っていると自分の弱さをカバーできる、格好がよい、持っていれば友人から金品をゆすられないと、こういうことらしいです。そういうアンケート調査の答えになっています。
 そこで、生徒の持ち物検査についてお伺いしたいと思います。
 昔は──昔と言ってもまだここ五、六年だと思うのですが、たばこを持っているかどうか、持ち物検査をされておりました。私がPTAの会長をしておる学校でも、たばこの持ち物検査は頻繁にやっております。こういう時はもうちょっと過ぎておるんかなというふうに思うわけです。今は、凶器また覚せい剤ということに移ってきております。
 そこで、あえてお聞きしたいのは、それでも生徒の持ち物検査をやるおつもりがあるのかないのか。私は、学校の責任者の方に機会あるごとにこのことについてお尋ねいたしました。そうすると、ほとんどの先生方──ほとんどと言うよりも一〇〇%でありましたが、判で押したように、生徒との信頼関係が損なわれるからやらないんだ、私たちがアンテナを高くし、情報をとって目を配っておればそういうことは起こりませんという答えでございます。それだったら一番結構でございますが、現実には事件が起こって、テレビなんかのマスコミで学校の責任者がインタビューされている話を聞きますと、そうじゃない。私らは目を配っておりましたが、何であの子がこんな事件を起こすのでしょう、不思議でたまりませんというのが異口同音に発言される言葉であります。ところが、クラスメートなんかに聞きますと、そうじゃない。全く反対の言葉が返ってくる。あれはやりそうやった、毎日のように刃物をちらちらとちらつかせて脅しをかけとった、いてもうたんのや、殺したんのや、腹立ったらやったんのやという発言があったということも事実であります。
 そういうことで、神戸市須磨の少年少女の殺害、また栃木県の黒磯市の教師の殺害、東京都での警察官の襲撃、また神戸では郵便強盗と、そういう相次ぐ少年の犯罪を見過ごすわけにはいかない。私は何でここで、持ち物検査をやっていただけませんかと言うのかと言うと、少年を犯罪者に仕立てないためであります。予防的措置でもって、なぜ持ち物検査をしないのか。持ち物検査をすることによって少年が犯罪者にならないんじゃないか。このことを申し上げて、教育長にお尋ねしたいと思うのでございます。
 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 生活文化部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 向井議員の橋本市の産廃についてのご質問にお答えをいたしたいと思います。
 高濃度ダイオキシンの検出をどのように受けとめているかについてでございます。
 議員お話しのダイオキシン類の検査結果につきましては、国において灰、土壌等の評価基準が示されていないことから、その危険性等の評価については今のところできかねますが、日本工業所の焼却灰については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律で定める基準に従って三月末までに撤去するよう指導いたし、現在撤去作業中でございます。
 次に、トロンメル下の土壌からダイオキシンが検出されたが、その危険性を認識しているかという点についてでございます。
 土壌のダイオキシン類の検査につきましては、さきの議会で、調査方法及びその評価基準が定まった段階で調査する旨、答弁をいたしております。過日、サンプリング方法について国から示されましたが、評価基準についてはいまだ示されてございません。したがいまして、現時点においてその評価はいたしかねるところでございます。今後、県といたしましては、土壌についての評価基準が国から示された段階で調査してまいる所存でございます。
 次に、焼却灰はどこへ持ち出しているのか、またマニフェストを委員会に公開することという点についてお答えをいたします。
 焼却灰につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の基準に従って県外の処分場に搬出していることをマニフェストにより確認してございますが、具体的な搬出先を明らかにすることについては差し控えさせていただきたいと存じます。したがいまして、マニフェストも搬出先を明らかにすることとなり、公開することはできかねますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、水質検査についてのご質問のうち、水質検査結果を県が排水基準で判断することの根拠についてのお尋ねでございます。
 環境基準は環境基本法に基づいて定められているもので、大気や水質について、生活する上で望ましい基準として定められております。水質の場合で申しますと、利水目的によって環境基準の類型指定を行い、行政目標といたしておるところでございますが、工場、事業場等の個別規制については、水質汚濁防止法に基づく排水基準によって規制しているところでございます。したがいまして、日本工業所に対しては厳しく監視・指導するためにも水質汚濁防止法の排水基準で行うことが適当であると考えてございます。
 次に、検査結果の公表についてでございます。
 水質の検査につきましては、環境庁の告示に従い、全国的に統一された方法で実施しているものでございます。その分析結果につきましては、水質汚濁防止法の定める測定方法に基づく検出限界値まで、すべて実数を住民の皆さんに提示いたしており、今後の測定についても同様に行う考えでございます。
 次に、水質検査を定期的に住民と協議の上実施することという点につきましては、水質検査は今後も継続して実施することとし、住民との協議についても必要に応じて行ってまいりたいと存じます。
 次に、検査項目にニッケル、硼素、アンチモンを加えること、また水温、電気伝導度、pHを計測することという点につきましては、水温及びpHは水質検査の基本項目でありますので当然行っておりますが、その他のニッケル、硼素、アンチモン及び電気伝導度については、排水基準及び環境基準に規定されていない項目でございますので、今回は実施いたしておりません。
 次に、検査報告書には検査受託者、受託者印影を得ることという点でございますが、分析を委託した民間の分析業者からの県への検査報告書には、検査受託者、受託者の印影を得てございます。
 次の、野積み産廃搬出後はどのように考えているかという点でございますが、野積みされていた産業廃棄物については現在搬出作業中で、三月末までには予定どおり撤去されるものと存じます。撤去後の対応については、今後も引き続き橋本市と協議してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) ナイフ等の持ち物検査についてお答えいたします。
 学校においては、学校生活に必要のないものを持ってこないよう、平素からその指導の徹底を図っているところでございます。しかしながら、最近、生徒の凶器を使った暴力事件などが相次いで発生しておりますことは、まことに憂慮すべき事態であります。
 教育委員会といたしましては、二月五日、各学校、市町村教育委員会に、児童生徒の安全と命の大切さ等に関する指導について通知を出したところであります。その中で持ち物検査については、危険な状況が懸念されると判断した場合は、教育的な配慮のもとに学校長が適切に実施するよう指導してございます。また、その後の状況を踏まえ、校長会、教育事務所長会等において重ねてその趣旨を図ったところであります。
 命を守ることは、何物にも増して優先しなければならないことであります。取り返しのつかない事態を避けるため、どこまでも子供の命を守る視点から、校長が必要と判断したときは持ち物検査についても毅然とした態度で臨むことが肝要と考えます。
 今後とも、学校から一人の被害者も加害者も出さないという決意を持って取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 11番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 再質問させていただきます。
 まず、産廃、ダイオキシンについて質問させていただきます。
 県担当者の一連の発言、またその行動から判断すれば、ダイオキシンについて理解が余りされていないのではないかという疑問を持たざるを得ないのでございます。
 ダイオキシンは、ご存じのように、オウムが使用したサリンガスのようにまかれると、殺傷力ということで比べると恐怖感というのは少ないかもわかりません。しかし毒性からすれば、サリンの数倍と言われております。そして、人間の場合、体内に蓄積される期間は十年と言われております。十年余りも残留するのであります。微量で子供ができなくなるという生殖機能の障害や、またもう少し進むとがんになる可能性を多く秘めているということが研究発表されているのがダイオキシンであります。
 このダイオキシンについては前回の一般質問で詳しく述べたので割愛させていただきますが、目に見えない、においもしないものに我々は鈍感になっているのと違うかなと、こういう心配をしております。ダイオキシンが検出されたにもかかわらず、それが県と何のかかわりもない一大学教授によって検出されたという程度に理解されているのであれば、その無関心さは何と言ったらよいのでしょうか。
 全国各地の産廃問題で悩み、ダイオキシンの検査をするのは、住民サイドでございます。しかし、一たんダイオキシンの検出があった場合、それまで無関心であった自治体でも、その後の動きは機敏であります。国のダイオキシン土壌調査方法が決まった今、県は日本工業所処分地の内外を含めて調査する義務があると思うのですが、いかがですか。
 また、数値が示されていないということでございますが、埼玉県の三富地区では、やはり住民がダイオキシンの調査に乗り出して検出され、それが公表された。そうすると、埼玉県は直ちに動いた。そのときにはまだ、一月三十日に示されたような暫定マニュアルさえなかった。にもかかわらず動いて、大変な数値が発表された。最大二百六十、平均値でも三十ピコグラムという数値がやっぱり同じように検出されて、その数値を厚生省に報告しておる。厚生省はその数値を見て、これは大変だと、こうなったわけです。まだ暫定マニュアルもつくられていないときですよ。それで厚生省は、これはほうっておいたらあかんということで、急いで暫定マニュアルをつくって各自治体の指導に乗り出したというのが実情でございます。
 環境庁から「『ダイオキシン類に係る土壌調査暫定マニュアル』の送付について」ということで、平成十年一月三十日、環境庁水質保全局土壌農薬課長から各自治体の担当部長あて送られております。その送付されてきたかがみの中に、こういうことが書いてあります。「ダイオキシン類は、環境汚染物質の中でも社会的関心の高い非意図的生成物質であり、健康影響の未然防止の観点から、早急な対策が必要となっている」と。最後には、「なお、今後のダイオキシン類に係る土壌環境保全対策に資するため、本マニュアルに則って実施された調査の結果については、適宜、当方あてご報告願いたい」となっておる。ということは、その報告結果に基づいて安全なのか危ないのか判定しますよということです。にもかかわらず、県は依然として動こうとしない。大変なことが起こっているのにもかかわらず動こうとしない。これについて私は疑問に思います。改めて、ここのところをお伺いしたいと思います。なぜ動かないのか。
 それから、水質検査についてお伺いします。
 県は、同検査を排水基準に沿って実施するとのことでありますが、水質汚濁防止法で定められた排水基準は、その趣旨として、工場からの排水濃度を規制したものであります。日本工業所の焼却炉では、使用する水は施設内で循環され、外に出るような設計にはなっておりません。
 平成八年二月二十二日、申請時に、産業廃棄物処理施設設置許可申請書の中で、放水はいたしませんと明記しております。それに基づいて県は許可をおろしております。処理場内の深さ三十メートルの谷を埋めてしまっておるのを、地元住民が産廃であると指摘しているにもかかわらず、県はこれを、土壌ですと言明しているわけです。そして、日本工業所処理場について、私の過去四回にわたる質問に対して県は一貫して、工場ではないというふうに回答してきております。もし工場と考えるならば、当初に構築物の建築確認申請がなければなりません。それがないまま許可を与えてしまっており、法の無視につながります。
 また、焼却炉稼働時にあれだけの排煙があったのは、まだ記憶に新しいところであります。その時点で、四十三年ぐらいに決められた県の大気汚染防止条例に沿って調査をしていただきたいと質問をいたしましたが、これは工場に対する条例であるので対象外であります、こういう回答をしております。この回答は、今も鮮明に私は覚えております。住民側の水質検査で有害な重金属などが検出されているのは、雨水などが廃棄物層を通過したためか、もしくは本来は流れ出すはずのない焼却炉の使用水が紛れ込んでいると考えざるを得ません。
 県は排水基準に固執しているが、それは、日本工業所が本来の施設設計を守っていない、または、してはならないことをしているのを追認しているのと違いますか。県が排水基準を適用する論拠が不明であります。希薄であります。住民が納得のいく説明と検査方法でなければならないと思います。
 環境基準より十倍緩い排水基準を適用するとなれば、当然、検出せずの結果が出るのは火を見るより明らかであります。本来の検査基準より一けたも甘い物差しではかり、その結果を公表すれば、それがあたかも安全宣言であると県民に誤解を与えかねません。野球で例えるなら、一イニング三アウトでチェンジのルールのチームと、一イニング三十アウトせなあかんようなルールのチームが対戦しているのと同じでございます。結果は、わかっております。
 最後に、当然のことながら、検査結果が環境基準を超えた場合には、県は直ちに日本工業所に対して指導を行うとともにボーリング調査を行うこと。県の主張に沿えば、谷に埋まっているものは無害な土砂である。しかも、焼却炉からの放流はない。ならば、あの谷の下からわき出ている浸出水は自然環境のもとの水と何ら変わらないと私は思います。すなわち、検査の基準は環境基準であるべきであります。工場などに適用する排水基準で検査するということは、従来の県の主張の誤りをみずからが認めることと言わざるを得ない。明確な釈明をお聞かせいただきたいと思うのであります。私たちの自然に恵まれた橋本市の環境を破壊するのを県の方々は座して見ているのですか。どうぞ、お力をかしていただきたい。
 もう一つ最後に、子供のナイフのことで、平成十年三月十日、町村文部大臣が「文部大臣緊急アピール 子どもたちへ」というアピールをしております。これを最後に読み上げまして、和歌山県の子供さんにわかっていただきたいなと思うのであります。
 大臣は、このようにアピールしております。「子どもたちへ ナイフを学校に持ち込むな 命の重さを知ってほしい 私は、いま、全国の子どもたちに訴える。 最近、君たちの仲間によるナイフを使った事件が続いている。 人を傷つけること、まして命を奪うことは、絶対に許されない。 命を奪われた人たちは、二度と帰ってはこない。 亡くなった人や傷ついた人たちのお父さん、お母さんや家族の悲しみがどんなに深いものなのか、それを知ってほしい。 そこで君たちに訴える。 ナイフを持ち歩くのはもうやめよう。 学校に持ってくるのもやめてほしい。 君たちが明るく前を向いて行動してくれることを、切に願っている。 君たちにもう一度言おう。 悩みや不安は遠慮なく友達やお父さん、お母さん、先生など大人たちに相談しよう。 私たちは、君たちの言葉を受け止めたい。」──これが文部大臣のアピールであります。県下の青少年の皆さん方にこの文部大臣のアピールを理解していただきまして、こういう不幸な事件が起こらないように祈ってやみません。
 どうもありがとうございました。終わります。
○議長(木下秀男君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 生活文化部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 二点の再質問についてお答えをいたします。
 まず、ダイオキシンの調査でございますが、県においてもすぐに調査すべきではないかというお話でございました。
 これにつきましては、調査方法は示されましたが、評価方法が示されていない現在、たとえ調査をしても、その数値が環境上どのような影響を及ぼすのか判断できなければいたずらに不安を招くのみだと考えておるところでございます。したがって、評価方法が示された段階において調査を行いたいと存じます。
 次の、なぜ環境基準で調査をしないのかということでございます。
 先ほどもお答えをいたしましたように、環境基準はその地域一帯について類型指定を行い、その地域が環境として望ましい状態であるのかどうかということを調査するものでございます。したがいまして、個々の事業場等につきましては、そこから出てくる水については排水基準で調査をして、その結果が非常に問題となる数値が出てきた場合には水質汚濁防止法によって強く指導ができるということのために、この排水基準を適用して調査を行うものでございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 11番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 ちょっとまだ時間がありますので。
 今、部長から、数値についてどこまでが危険なのかわからんからやらんのやという答弁がありましたが、私には理解できない。なぜ理解できないか。先ほども言いましたように、埼玉県では、そのときは理解できなかってもダイオキシンの数値を調べた。その数値を厚生省へ報告しておる。和歌山県がその出た数値を判定できないんであれば、調べて厚生省へ送って、そこで判定していただいたらどうですか。そこが大事なところですよ。恐らく厚生省は、こりゃ大変だということになると思いますよ。
 それと、もう一つは水質検査についてでございますが、自然の中にある、自然のままのところから出ている水が汚されておる。これが何で排水基準なんですか。指導するために調査するんじゃない。環境が破壊されているかどうかを調査するんだと思いますよ。そこに住民が住まいできるかどうか、これが問題ですよ。そのためにも環境基準で調査しなければならない。調査基準がオーバーしたらボーリング調査して、そこに何が埋まっておるかを調査するための水質検査でないんでしょうか。なかなかオーバーをしない、今のままの排水基準で調査すれば、まだまだ数値的には余裕があるんですよ。どうぞまだまだ汚してくださいというお墨つきを県は業者に渡すんですか。私は、そのことの答弁を明快にしていただきたいなと思います。
 終わります。
○議長(木下秀男君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 生活文化部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 評価基準がまだ出されておらないということで、その場合には厚生省へ持っていって評価してもらえばどうかというお話でございましたが、国においても評価基準ができておらない現在、県と同様、評価できないものというふうに考えております。
 それから排水基準でございますけれども、この数値がオーバーした場合にボーリング調査を行うということについては、従来から答弁をしてまいったところでございます。したがいまして、この日本工業所についても、そういった従前からの答弁を尊重しながらやっていきたいということでございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。
○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番中山 豊君。
  〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 議長の許可を得ましたので、順次、通告に基づいて質問をいたします。
 今回は、住民の生活に直接かかわる具体的な課題を四点にわたってご質問申し上げたいと思います。
 まず、生産緑地の認定の問題であります。
 農産物の価格低迷及び農業経営の不振や後継者難等が関連し合ってさまざまな問題が課題となり、地域農業の維持が困難だと言われるようになってきています。また調整区域内の農業者は、農業振興地域として枠をはめられているけれども何の施策も立ててもらえない、農業振興とは裏腹に地域の活性化は望むべくもないところに落ち込んでいると嘆かれています。いずれにしても、今、農業者は、市街地であれ振興地域であれ、展望を持てずにあえいでいると言っても過言ではありません。この中で、生産緑地法の農業経営の立場からの運用を求めた動きが顕在化してきています。
 和歌山市や海南市の市街化区域で農業を営んでいる農家では、固定資産税、都市計画税の重い負担が営農意欲をそいでいます。和歌山市梅原で米や野菜を生産している農業青年の貴志正幸さんは、有機農業やアイガモ農法などを積極的に取り入れて、二町三反の農業で一年間一千万円の粗収入を上げています。しかし貴志家では、農地だけの固定資産税と都市計画税で昨年百三万円を課税されました。九二年度が約五十万円であったから、五年間で二倍以上になったと言われます。一反で五万円の税金であり、米であれば三俵分にもなります。労賃は到底出ません。生産緑地制度の導入によって農業が続けられないかと、真剣に考えているとのことであります。
 和歌山市や海南市の市街化区域内で農業に将来に託そうとしている人々は生産緑地の認定を求めようとしているけれども、その動きとも関連させて、以下幾つかお尋ね申し上げます。
 一つ目に、農地の宅地並み課税の実施は、市街化区域内の地域農業を窮地に追い込みかねないところにあります。それに対して農業者は、農業を守る、いわば自分の職場を守る立場から、市街化区域内農地を生産緑地として認定してもらおうとの動きが強まっています。あくまでも、生産緑地の認定は都市計画上良好な緑地確保の必要性から考えられ、その土地を生産に供する状態で保持されようとするのが法の目的と考えられるけれども、これについて県はどう対処されるのか、基本的には認定していこうという態度なのかどうか、お伺いいたします。
 二つ目、生産緑地の認定を求めるとして所要の申し出があれば、それに対してどのようにされるのか。認定は、各市、該当する自治体が決めることだとはいえ、県はそれらに対してどのようにご指導なさるのか。
 三つ目、生産緑地と認定されるなら、市街化区域内の農地について、宅地並み課税ではなく、営農に供している農地は農業収益を基礎にして評価課税されないのか。
 以上であります。
 次に、地籍調査促進についてお尋ねいたします。
 法務局が保管する土地登記簿や公図は実態に合わないとして住民間のトラブル発生のもととなり、あるいは住民の行政への不信の原因ともなり、あまつさえ公共事業を甚だしく遅滞させる原因ともなっていることは指摘するまでもありません。
 昭和三十二年総理府令第七十一号地籍調査作業規定準則が示されて、翌昭和三十三年、和歌山県では一番先に印南町が作業に着手して以来四十年、平成九年度で着手率六四%で、最近の着手率の伸びは全国でも上位にあると聞かれます。これは、個々の権利者の理解の程度によるところが大きいとは思うけれども、何よりもこれを進める市町村、自治体の担当職員の確保が最も大きいのではないかと思われます。また、行政実績として世間では余りカウントされないでいるところから、自治体は進んで取り組んでこなかった嫌いがあるのではないでしょうか。聞き及んだところによると、自治体は、行政上の課題で背に腹はかえられぬというところに至って初めて取り組み、完成またはそれに近いところまで持ってきたというのが共通しているようであります。いわば、自治体が地籍調査に取り組まねばとの認識に至ったところから始められています。
 こう見れば、事業に取り組めば必ず突き当たる問題は県下のどの自治体にも多かれ少なかれあり、同じ立場に立たされているはずであります。にもかかわらず未着手及び著しくおくれている事態は、県にとっても何事かならないことではないかと申し上げねばなりません。これを進めるには、一つ目に、それぞれの自治体が本事業の必要性の認識を高める広報、情報提供を積極的にすることが大事であろう。二つ目、これの取り組みについての費用について補助制度が設けられているけれども、人件費等、市町村の負担はできるだけ軽減させる必要があるであろう。三つ目には、当初の始動体制は小さくても、事業の拡大に合わせて人員も数名からそれ以上にしている市町村があります。調査区域の大小によって取り組む体制も変わろうけれども、今、県下の先進地が蓄積している経験や教訓を生かし合う交流が必要ではないのかと思われます。四つ目に、中でも無籍地等法定外公共物があります。市町村としては何ともしがたいと言われている問題解決への手だてを急ぐ必要があると思われます。これらについて、当局のお考えや今後についての所信をお伺いしたいのであります。
 知事の議案説明の中に地籍調査の問題が一つ触れられていたことともかかわって、それなりに一つ踏み出すのかなという気もしないではありませんが、積極的な答弁をお願い申し上げます。
 三番目、来年度の米作生産調整、いわゆる減反割り当てについてであります。
 農産物の総自由化、九割の農家の切り捨てにつながるような新農政と米の輸入自由化を前提に、米の生産供給を基本的に市場に任せることを内容とする新食糧法が施行されてこの方、ますます地域農業にまつわる情勢は厳しく、背に腹はかえられぬところに来ていると思われます。加えて、四年連続の豊作による米余りと米の需給不均衡、米価の下落による来年度の生産調整が大幅に拡大されます。水田のほぼ四〇%に当たる減反割り当て目標を各地方事務所を通しておろしているようであるけれども、和歌山県の水田農業の実情にかんがみ、果たしてストレートに受け入れられて割り当て面積がこなされていけるのか、いや、これをこなそうとしていくやり方が将来に向けて和歌山県の農業にとっていいものかどうなのかということを問いたいわけであります。
 そのような立場から、以下、私見を交えながら幾つかご質問申し上げます。
 まず、生産調整の割り当てについてであります。
 生産調整の名で減反を進められてきたけれども、結果として、国の施策だからとはいえ、相当無理をしてきて農業者の心情を壊しかねないところに来てしまっていると思われます。生産者は、生産基盤が整い、つくりやすく、収穫量が期待できる平たん地域に山間地の水田を放置して移動しています。この傾向は、生産調整を求められるようになって、近年なお強くなってきています。過日開かれた県青年農業者会議の中でも、当面する農業経営上の問題解決や農業を取り巻く問題について実績発表、協議がされたと言うけれども、植木のポット栽培やミズナスのハウス栽培など施設園芸などに課題が代表され、米作農業については取り上げられたようには聞きません。
 三年前になるけれども、秋田県を視察で訪ねた折に、休耕田に水を張っていたのを見ました。水田の機能を保持するためだと言われます。水田を圃場としてのパワーだけに終わらせない、水利とのかかわり合いで水田の機能が保持・保全されているとのことで、穀倉地帯の休耕の姿に接することができました。これでこそ農業者の心が守られ、受け継がれていくものだと思います。
 減反は米作を根こそぎ絶ってしまい、水田の機能の息の根をとめることを含めて進めてきた側面もなきにしもあらずと言わざるを得ません。災害や飢饉がいつ発生するかもしれない。発生しないとだれもが断言し得ないのであります。これを心配して、農地を守り続けようと懸命に耐えようとしているのが農業者であります。この心情を大切にしているからこそ国が守られているのではないでしょうか。その時々の経済の動向に左右され、農政の基本を崩しては、民族の尊厳さえ危うくしかねません。
 来年度は、転作実績に応じた補償ではなく、全国共補償制度なるものをもって充てようとしているけれども、これは、生産者が基金を拠出し、拠出した農家だけを対象に補償していくというものらしいです。私には珍妙な考えとしか思えないのであります。転作に応じて協力してもらう、だからこそ補償金が用意されるというもので、これとて私には理解しがたいのですが、これに輪をかけて、補償を受けるにはみずからの金を出して補償金を誘うかのような制度と思いかねないやり方であります。
 また、補助事業の採択についてですが、計画達成率一〇〇%に至らないと各種補助施策に組み入れてもらえないとのことであります。そのため、俄然割り当て達成が強化されるというものであります。また、地域の共同体社会を突き崩しかねないところに行ってしまうのです。どうしても米をつくりたい、自家用米だけでもつくりたいと思う生産者にさえ及んでいくのであります。つくるかどうかを通して地域の共同体社会の協調、連帯を崩しかねないところに追いやるのであります。一〇〇%達成が補助事業の不可欠要件ですから、それにくみしないため、地域の事業が成り立たなくなると好ましい連帯、協調は崩れていかざるを得ないところにあります。
 児童出版文化賞大賞受賞の富山和子の「お米は生きている」の中で、米づくりとは力を合わせる仕事だとして、米づくりは町ぐるみの共同作業だったことを説き、水を引くこと、水路の周りや補修等の助け合いという約束事の上に米づくりが成り立っていたこと、米は文明の母、稲作は文化の母体、稲とは命の根なりとうたい上げています。今回の新しい米政策についての中央の動きとは別に、あれは穀倉地帯向けのやり方で、私たちには合わない、和歌山には和歌山に合った農業をやらねばと皆さんは申されています。富山和子が「お米は生きている」の中で述べている心は、地域には根強く生きているものと察し得るわけであります。
 過日、海南市野上新地区に、井沢弥惣兵衛の顕彰碑が地区の人々の手によって建てられました。新田を開発し、米づくりを大事にしようとした井沢弥惣兵衛の心を今日受け継ぎ、それを顕彰しようとしたものであります。
 こうしたことを踏まえて、生産調整に対するお考えをお聞きしたいのであります。
 次に、学校の米飯給食についてお尋ねいたします。
 農水省は来年度から学校の米飯給食の補助を削減する方針と聞いています。これは政府米を給食用に売り渡す値段を下げているものだが、農水省は、九八年度から週三回以上の米飯給食実施校には現在の四七・五%の値引きを三〇%に、九九年度からは一〇%に、二〇〇〇年度からは値引きがゼロと、現在四〇%の値引きとなっている週二回以下の米飯給食実施校は九八年度から一挙にゼロとする方針であります。これでは、米飯給食を実施している学校は米代がほぼ二倍になりますし、米飯給食をすれば費用が増加し、ひいては米飯給食が減少しかねません。
 給食の主体は各市町村だが、県としてこの問題をどうとらえているのでしょうか。今回の農水省の措置が実施されると負担増は幾らになるのでしょうか。米飯給食の重要性にかんがみ、県として米飯給食を守るためにどのような対処をされようとしているのでしょうか。米余り対策ではなく、米余りをより一層助長するやり方ではないかと言いたいわけであります。政府に改めるよう強く求められたいわけであります。
 次に、この機会に、稲作農業を守る観点から農業委員会のあり方について、具体的事例を示して、あるべき対応をはからってもらいたいとご質問申し上げるところです。
 県下すべての市町村の農業委員会がこのようなことの実態だと、私は申し上げるつもりはありません。しかし、こういうところもあるということをお聞き取りいただきながら、そのような農業委員会にはしかるべく厳正に、間違ったことを直ちに正してそのような間違いを起こさないような農業委員会の取り組みがなされるよう期待しながら申し上げます。
 ある方が休耕地の農地を、宅地造成でもしようとしたのでしょう、偽って取得したのでありますが、事情が変わって、管理さえままならないまま放置されました。それが、その土地の周辺で誠実に稲作農業に従事している農業者に、この上ない迷惑をかけることになります。その農業者は、農業委員会に管理を厳正にされるよう、稲作農業に支障を来さないよう、取得した新たな地権者に対して善処策を求め、あれこれのやりとりはあったけれども、結果として農業者に、双方の話し合いにおいて解決してくれと、本年二月十八日に文書でよこしてきたというものであります。その方の言うのには、偽っての土地取得を許可し、農業委員会の決定が迷惑の根源となっていながら、また所有者に管理の厳正を求め切れないでその責任を棚に上げて、双方によって解決しろとは何事ぞと、こういうふうな腹立たしさを訴えるものであります。本来、農業者の味方であるべき農業委員会の立場を放棄したものだとして、大いに怒っている様子でした。
 また、ある方が農地転用を偽造して申請し、委員会はそれを決定、本人の知らないまま転用され、極めて迷惑をかけている。それを正すように求めたら、委員会は、書類が整っていた、それで処理されたのだと、間違いを正そうとしない。これではちょっとわかりにくいと思うので申し上げますと、農業委員会に書類を申請した、その申請者は、了解を得てその人の署名・捺印をして申請したということであります。申請したとされる本人は全然そのようなことを知らないままに書類が整えられて農業委員会に届けられた。農業委員会は、書類が整っているとしてそれを決定してしまったわけです。事後において本人がそれを知ってびっくりして、私はそんな申請をしたこともないという、こういうふうなことになっています。いろいろ農業委員会とのやりとりがあった。あったけれども、事態としてはもう決定してしまったことだとして県に上げて、県はそれを受けると、こういうふうなことになってきているわけです。農業委員会の決定を県農業会議はそのまま受け入れて、その後、間違いだと判明してもなおそのままに置かれようとしているのであります。これは、農業及び農業者を守ることとはならないわけであります。今日、農地が放置されて不動産や宅造業者のねらうところとなっている状況であるだけに、そのようなことに対しては一層厳正に農業委員会は調査し、農地を守る観点からそのあたりに対応していかなければならないにもかかわらず、こういうふうなことをたび重ねている、これは断固許してはならないというのがその人の立場であります。こんなことを今後起こさせない対策と、誤りを直ちに是正する取り組みを求めたいわけであります。
 この点は、農業会議の会長である知事に答弁を求めるまでもないところです。事柄を強く認識されて正しい行政と指導をされるよう、要望しておきたいと思います。答弁を求めないで要望というのは、だれが聞いても当たり前の話であるからです。当たり前の話を知事に答弁せよと言って、答弁をただすのも酷な話だと思う。こういうお話は、聞いていただくことにおいて察知していただき、理解をしていただき、行政に移していただくというのが私の政治信条であります。
 道路問題について。つかんで離さない課題の一つとして毎回取り上げてきて、なお新たな問題を申し上げなければならないほどに私の選出基盤である地域の道路状況は大変悪いわけであります。今回は、以上の観点から三路線の整備方を求めつつ、当局のお考えをお聞きしたいのであります。
 一つは、県道海南秋月線の問題であります。
 これについては、二年前、くも池から且来地区寄りで一部整備改良していただきました。引き続き連続的に実施されるのかと見ていましたけれども、用地問題で行き詰まっているのか、とまってしまっているわけであります。山際にがけ崩れがあり、路面に落石が転がり、側溝は既に瓦れきで埋まっている次第であります。さらに、亀の川にかかる紺屋橋を挟む且来・多田間の現道整備については、民家が密集しているからバイパスをとの声が地区内に起こっているわけでありますけれども、当局はそのような声に対してどのような受けとめ方をなさっているのか。また、且来交差点から紺屋橋までの間の取り組み状況についてお聞かせ願います。
 二つ目、県道和歌山野上線の問題です。
 これにつきましては、特に野尻区間について地区民たちはバイパスをとの計画を進められているようですけれども、取り組みの現状と今後についてお聞かせ願いたいと思います。
 最後に、鉄道高架事業に係る側道と地域の道路体系整備の問題であります。
 高架事業は、本年秋に下り車線も上に上げられます。おかげさまで、大方は完了するところにあるようです。阪和線の快速電車を海南へ延伸させることへの地元の要求、情熱は熱を帯び、当局やJRに熱心に求め続けて、県はこれに積極的にこたえてくれているようですけれども、高架後の残事業としての側道の整備等について、既設道路との取りつけやつながりで地域の道路体系を整備されるようにとの声も日増しに関心が高まり、当局に寄せられているところです。この機会を最も適当な機会だととらまえてこの問題を提起し、ご答弁をいただきたいのであります。
 特に藤白地区は、皆さんもご存じのように、扇のかなめのように道路が集まってきていることとも相まって地形的な条件や困難な事情もあろうと思うし、また側道にまつわる関連した要求も寄せられているところですけれども、どうされようとしているのでしょうか。海南市とも協議してくれていることでしょうが、お考えをお示し願いたいのであります。
 国道四十二号線、JR紀勢線、そして今度その高架事業に伴う側道がそれに沿っていく。まさに、藤白神社あたりで道路が一点に集中して扇のかなめのようになっていくわけです。地形的にあれこれの作業をするについても、計画を立てていただくにも、大変難しい話だろうと思います。それだけに地区住民の皆さんは、側道に沿って車を乗り入れてきて整備もされていないところに車を走らせられることになってくると大変困ると、こういう意向が当局にも反映されているはずであります。これの問題解決をどうされようとしているのかというのが、高架事業に係る側道と道路体系との質問の一つであります。地形的な条件もあって困難な事情があろうと思うけれども、そのあたりの状況も勘案しながら地区民からの要求に対してどのようにこたえようとされているのかということであります。
 あわせて、JR所有地の活用等の考えもよろしくお願いしたいのであります。軌道敷が低く、側道と段差のつく箇所についてはそれなりの検討を要すると思うけれども、どのような検討をされているのでしょうか。
 最後に、海南踏切は都市計画街路とされていることにもかんがみ、この際、何らかの取り組みをされようとしているのでしょうか、お伺いいたします。
 特に海南踏切は、県道海南金屋線に係るところであります。そして、今、県のお世話で日方川の改修がされようと事業化されているわけです。海南踏切から少し東へ上ったところで、日方川改修事業と連動していく地域でもあります。こういうふうなことを展望するときに、特に海南踏切の整備については、都市計画街路とも関連させながらどのようなお考えで取り組んでいこうとされているのか。そのことを述べて、私の第一回目の質問等を終わります。ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 中山議員のご質問にお答えいたします。
 まず、生産緑地の認定についてでございます。
 県の生産緑地指定への対応方法でございますけれども、生産緑地に関する指定の要望が出てきた場合、生産緑地法の趣旨に基づいて総合的に判断し、将来の公共施設の敷地として適しているかなど、都市計画上の必要性がある場合に限り指定に関する検討の余地があるのではないかと考えているところでございます。
 次に、道路整備の幾つかのご質問にお答えしたいと思います。
 まず、県道秋月海南線でございます。
 この秋月海南線につきましては、且来地内のくも池から一千三百メートルの区間を事業中であり、現在では七割程度が整備済みとなっております。整備を進めている残りの箇所についても、鋭意用地買収を行っているところでございますけれども、地権者の方々の理解が得られず、交渉に時間を要しているのが現状でございます。この箇所の早期解決に向けて、地元海南市の協力を得ながら引き続き努力してまいりたいと考えております。
 さらに、紺屋橋を含む且来・多田間の整備につきましては、他の事業中箇所の進捗状況を見ながら、バイパス案も視野に入れて検討してまいりたいと考えております。
 次に、和歌山野上線でございます。
 和歌山野上線の別院から野尻地内までの六百四十メートルを事業中でございまして、そのうち、野尻地内の四百九十メートルがバイパス計画となってございます。現在用地買収を進めているところでございますけれども、公図が混乱しているためにその訂正作業を現在行ってございます。今後は、公図訂正作業が終わった箇所から用地買収を進め、順次工事に着手してまいりたいと考えております。
 三点目の、海南駅の連続立体交差化事業に絡む幾つかの点でございます。
 この海南駅連続立体交差化事業につきましては、平成八年十月、新宮方面行きの上り線でございますけれども、供用され、下り線についても今年秋に完了する予定となってございます。
 ご質問の、藤白地域の側道と国道四十二号へアクセスするルートにつきましては、現在海南市と協議しているところでございます。
 また、側道沿いに残るJR所有地の活用につきましては、有効利用が図れるよう、現在海南市及びJRと協議しているところでございます。さらに、東西の側道を連絡する道路につきましては、現在、歩道橋や踏切となっている箇所には通路を設ける予定としてございます。
 なお、鉄道と都市計画道路の日方大野中藤白線との交差箇所につきましては、今後の都市計画道路整備を考慮した、空間を確保した構造としております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 総務部長中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 市街化区域内農地の評価課税についてお答えします。
 固定資産税の課税に際しての市街化区域農地の評価額につきましては、地方税法及び固定資産評価基準により、類似の宅地に比準して定められるよう、その課税標準となるべき額の基準及び評価方法が定められているところでございます。しかし、市街化区域内でも生産緑地地区内の農地や都市計画施設として定められた公園または緑地の区域内の農地等については、一般農地と同様の評価方法がとられております。
 なお、急激な税負担の上昇に対応するための市街化区域農地につきましても、一般農地と同様の負担調整措置が適用されることとなってございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 中山議員にお答え申し上げます。
 地籍調査の必要性につきましては、これまで県民のご理解が得られるよう、平成九年四月号の「県民の友」やラジオ等を通じて啓発に努めてきたところであり、また地籍調査の未着手市町村については、担当課長会議を開催するなどの機会を通じて調査の必要性を説明し、早期に着手されるよう指導しているところであります。今後も、地籍調査の必要性の認識が高まるよう積極的に対応してまいります。
 地籍調査に係る人件費補助制度の創設については、従来より国に対して働きかけているところであり、平成十年度政府要望においても制度創設を要望したところでございます。現在、国が財政構造改革などを進めている中において、制度実現は厳しい状況でございますが、制度の創設についてさらに国に対して要望してまいります。
 県といたしましては、公共事業の促進を図るため、新たな事業として近畿自動車道紀勢線の地籍調査の一部に一筆地調査の外部委託を導入し、関係市町の人件費負担の軽減もあわせて図れるよう、県の単独事業として平成十年度予算案に計上しているところでございます。
 次に、地籍調査について蓄積している経験や教訓を生かし合う交流が必要ではないかとのご質問でございます。
 このことにつきましては、県下市町村が会員になっている和歌山県地籍調査推進協議会において体験発表並びに問題点等についての意見交換を行うなど、毎年会員相互の交流を図っており、本年度においても昨年十一月に講習会を開催してございますが、今後、さらに事業の熟度を図るための研修会等を開催してまいりたいと考えてございます。
 里道・水路等法定外公共物は数多く存在しており、これらの財産管理については土木部で行ってございますが、この法定外公共物と民有地との境界調査は、地籍調査の進捗に影響があるため、調査が円滑に実施できるよう土木部と協議を重ねてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 農林水産部長平松俊次君。
  〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 米の生産調整に対する考え方についてでございますが、現在、農林水産省においては、三百七十万トンある国産米在庫を二年間で二百万トンまで圧縮するとともに、米の価格の低下に歯どめをかけ、稲作生産と経営の安定を図る観点から実施されているものでございます。本県といたしましても、生産調整の必要性にかんがみ、この制度に取り組むことといたしております。
 また、来年度から実施される共補償的な考え方を取り入れた米需給安定対策は、生産調整を実施している農業者の不公平感を緩和し、生産調整の円滑な推進を目的に創設された制度でございます。県といたしましては、目標達成を図るため、この制度についても関係機関と一体となり、農業者に理解と協力が得られるよう努めているところであります。地域の立地条件を生かした高収益作物や景観形成作物などを推進するとともに良質米生産に取り組み、転作と稲作が一体となった地域農業を進めているところでございます。
 次に米飯学校給食でございますが、このことにつきましては、昭和五十一年から助成措置が実施されておりまして、これが廃止された場合、保護者負担は月百四十二円の増額となります。今後、農林水産省におきましては、この助成にかわる措置として、施設等の充実や米の無償配布など、新たな制度をつくると聞いてございます。農林水産部といたしましても、日本の伝統文化である米を守るため、米飯給食は重要であると認識しております。今後とも、米飯給食を続けていただきたいものと考えてございまして、新しい制度の充実などについても国に要望してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 33番中山 豊君。
○中山 豊君 生産調整にかかわる論議は、十分かみ合ったご答弁をいただいたというふうには追従にも言えないという感じがしてなりません。しかし、この課題は、一回や二回議場でやり合ったからと言って、私たち地域の農業の実情を述べることによって当局の皆さんのお考えを大きく変えていただけるという課題でもないようにも思われます。これは、たび重ねてしぶとく論議を挑む課題であろうと思いますので、その点だけを表明しておきます。
 次に、道路整備の問題についてただ一点。鉄道高架の残事業の一環としてなされていく側道の整備もさることながら、特に県道海南金屋線と交差する踏切の整備は、都計街路とされていることともかかわって、海南市とどう詰めた仕事をしなければならんかということにもなるのでしょうが、私は、先ほども述べましたように、この周辺において県の日方川改修事業と鉄道高架事業が不離一体の関係で進められないと将来にわたって継ぎはぎのようなことになりかねないのではないかと思うので、特に海南踏切の整備については、日方川の改修計画と連動させて海南金屋線がつつがなく都市計画の企画に沿って整備されていくように思考されなくてはならんのじゃないかと思います。
 そのつもりでご答弁いただいたようにも受けとめましたけれども、特に海南踏切についてはそのあたりを強調して、海南踏切の整備事業が海南金屋線の整備に波及し、あるいはまた日方川改修事業に大きく波及していくようなものとして位置づけて、海南市と十分な協議をしながら事業が早期に完成されていくことを見通してお取り組みいただくようお願いして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(木下秀男君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十一分休憩
      ─────────────────────
  午後一時二分再開
○副議長(阪部菊雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(阪部菊雄君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番飯田敬文君。
  〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、順次質問をさせていただきます。
 初めに、県の長期総合計画が審議会の答申を受けて策定されており、中身は、平成九年度を初年度とする十四年間の展望を想定し、基本方向や諸施策を明らかにしております。その中から私が問題意識を持った事柄について質問をさせていただき、当局の考えをお伺いいたします。
 我が国は今、大きな変化のさなかにあり、いかにしてこの難局を乗り切り、安定した、また安心して暮らせる社会を築いていけるか模索しております。我が和歌山県も例外ではなく、景気の落ち込みの中、中小企業の倒産に始まり、銀行の不信感や多発する凶悪事件に県民の不安感が増大しているところであります。県としても、この不安感を早期に取り除くため懸命のご努力を傾注していただいておるところではございますが、急激に変化する社会に対応できていない場面が多く感じられます。
 そんな中、新しい長期総合計画が策定され、進むべき和歌山県の基本的な方向を示されました。しかし、全体的な感想を述べるとすれば、これまであった推進施策なり事業をただ網羅したにすぎないものであり、重点のぼやけたものになっているように思われるところであります。特に和歌山県は北と南に長く分かれており、生活様式が異なることから、南北別施策推進を明確に打ち出し、地域相互の進むべき方向を示すべきであります。
 また、このような混乱する時代にあって、我が和歌山県が単独で発展浮揚することが困難であることは明白であります。すなわち、地方分権を踏まえ、私がいつも申し上げているとおり、近隣諸県さらに近畿地域が一体となった中において和歌山県の果たす役割を定めるとともに、関西地域をリードする施策なり働きかけを早急に行い、和歌山県、特に北部を中心とした関西地域の発展を提起すべきであります。
 また、計画期間を十四年間と定めていることから長期的な計画であると認識しておりますが、進捗状況がわかりづらいため、三年ぐらいの周期で具体的な計画の作成とそれに伴う財政計画の点検及び報告を県議会にしていただきたいと考えるわけであります。
 さらに、計画の中に出ている人口見通しなど具体的な目標数値を挙げておられますが、例えば県民所得や下水道整備、ホームヘルパーなど、どのような根拠を持って数値目標を挙げられたのか、また本当に達成できるのか。現状を見ておりますと、絵にかいたもちになると思えてならないわけであります。
 そこで、知事及び企画部長にお聞きいたします。
 まず、新しい長期総合計画における二十一世紀の和歌山県のあり方、目指す方向をお聞きしたい。特に、関西地域の中で我が県の果たす役割を明確にした上で近隣諸県への対応を知事にお聞きいたします。
 それから、長期総合計画の短期的な進捗と点検、報告、数値目標の定め方、また達成可能なのかどうか、企画部長にお聞きをいたしたいと思います。
 次に、長期総合計画では地域計画の中で地域整備の基本方向が示され、住民主体による地域づくりといった観点から地域がより重要視されたことは、地域を取り巻く社会構造の変化により望ましいことと評価するところであります。この中で圏域設定がございますが、和歌山県を六つの圏域に割り、それぞれの圏域において特色ある地域の整備を行うとなっておりますけれども、これで本当の意味での生活ゾーンの設定とはなっておらないと思うわけであります。
 例えば那賀郡を取り上げてみますと、人口増加もさることながら、地域の開発が進み、郡民の多くは大阪、泉南地域への交流が多く見られ、また消費活動や進学なども大部分は北へと向いておるわけであります。また、那賀郡と隣接する美里町や野上町などの住民の方が那賀郡を通って大阪側へと向いていることも、事実であります。前にも述べさせていただいたとおり、那賀郡は大阪の玄関口として重要な地域であります。そういった意味で、那賀郡ばかりではなくほかの地域も、時代とともに生活圏域が大きく変化をしているところであります。
 また、圏域設定には医療及び福祉、教育、文化、安全など生活に密着した設定があり、地域計画の中でも圏域の一体的な整備をうたっておりますように、より広域の総合的な取り組みが必要であります。今回の地域圏域設定では、例えば和歌山圏域は、和歌山市、那賀郡、海南市・海草郡がすべて含まれ、一つになっております。また保健・福祉・医療圏としては、和歌山、海南・海草、那賀の三つに圏域が細かく分割されているのが現状であります。また、行政圏としては和歌山海草県事務所、那賀県事務所の二つに分かれているということで、それぞれの分野においてばらばらの圏域設定となっておるのが現状であります。このほか、御坊・日高と西牟婁郡の長計の圏域と行政圏域が一致しておらず、西牟婁郡、東牟婁郡も一部違いがあるところであります。私は、具体的な個別の圏域については、生活実態に即した整合性を図り、時代に対応した行政区域と統一した設定をするべきであると考えます。
 こうしたことを考慮した上で、新しい長期総合計画における圏域設定は、南北別施策推進を踏まえて、現行の六圏域ではなく、大きく南と北の二つの圏域にするべきではないかと考えるところであります。例えば、新しい長期計画の中で述べられている紀北地域は関西地域の一翼として、知事も述べておりますとおり紀泉百万都市構想を中心とした都市づくり、また紀南地域は、その自然と環境を生かしたリゾート、観光都市づくりを軸として特色ある和歌山県の創出を推進するべきと思います。長期総合計画における地域圏域の設定と福祉・医療圏域及び行政の圏域との整合性について、また和歌山県圏域設定の考え方について、西口知事及び企画部長にお聞きをいたします。
 次に、安心して暮らせる町づくりについてお尋ねいたします。
 まず、福祉のまちづくり条例についてであります。
 福祉のまちづくり条例が平成八年十月に交付され、だれもが自由に出かけられ、快適に過ごせる優しい町をみんなでつくるという目的のために施行されました。当局もその目的に向けた取り組みを着実に推進されておるところだと存じますが、予想を上回る急激な高齢化や身体のご不自由な方々の早急な要求にこたえたものとなっているのか、甚だ疑問に思うところであります。
 施設の改良は県関係の施設から改良するということで、県庁のエレベーターの設置をいち早く決定されましたが、他の施設の改良状況は余り聞こえてこないのが現状であります。例えば、県民文化会館の階段や県道等における段差の解消など、この一年間でどれくらい改善されたのか、お聞かせいただきたいと思います。
 また、県下市町村は現在の厳しい財政状況にあって進捗が見られないと聞いておりますが、県の市町村への福祉のまちづくり条例への指導が徹底されているのか、また具体的な措置が講じられているのか、疑問に思う県民が多数に上っております。県の福祉のまちづくり条例の現在の進捗と取り組み、市町村への働きかけ及び指導の具体的な計画をお聞かせ願いたい。
 次に、介護保険の課題と対応についてお尋ねいたします。
 出生率の低下による少子化によって拍車をかけられる超高齢化社会の到来に向かって、寝たきり、痴呆者がふえることが予想される現在、だれもが公平な介護サービスが受けられるようにと、公的介護保険制度が導入されることが国において決定されたところであります。我が国の高齢化は確実に進んでおり、世界と比較して人口割合では二〇二〇年に二五・二%と世界のトップになり、二番目のスウェーデンを大きく引き離すと予想されています。社会福祉の充実は、我が国全体の重要な課題として、また地域の一人一人に公平で安心して暮らせる町づくりの上からも重要であります。ここでは、平成十二年四月施行の介護保険のあり方、また問題点を指摘させていただき、当局のお考えをお聞きいたします。
 さて、皆様も既にご承知であり、当議会においてもしばしば提起された介護保険の導入は、病院などの施設からより人間的に過ごせる家庭において介護しようという理念のもと、福祉の充実を図ったものであります。しかしその中身は、現行の福祉・医療制度がこのままではパンクしかねないということに対しての財源確保が本質であり、その理念から遠くかけ離れたものであるように思われます。
 確かに、四十歳以上の全国民がひとしく保険料を負担し、相互扶助の精神のもと福祉社会の安定を全国民が担うものとして、導入に当たり敬意を表するところではありますが、導入に際してあらゆる問題点が指摘され始めております。
 まずその一つは、介護を受ける側の問題であります。現在までの方法では、あらゆる福祉サービスをある程度の自己負担によりだれでも受けることができる仕組みとなっておりましたが、介護保険の導入により、一人一人の介護度合いによって認定をされるところから、受けられないサービスが発生をいたします。もちろん全額自己負担で受けることができますが、今までよりさらに多くの負担の増大が予想され、サービスの内容にも影響しかねない不安を感じております。また、現在受けているサービス、例えば特別養護老人ホームに入所している要介護者は基準が厳しくなることによって施設から出ていかなければならないこと、あるいは認定に際して正確な判定ができるのか、不安感が大きく募っております。
 二つ目は保険を負担する側の問題ですが、国民一人一人が応分の負担を分かち合うことに異存はないにしても、世界的な景気の低迷を受け、失業の危機を肌で感じる現在、保険料の負担ができるのか、また負担ができない者は介護を受けることができないのではないかという不安を感じております。
 三点目は、介護保険の事業を主体的に推進する市町村の問題であります。主体的に推進をされる市町村の現状は、導入に当たり、調査、医師の確保、審査認定を行う認定員の選定、認定基準の設定、保険料の徴収など行政事務がふえ、要介護者との直接応対など、責任が重い作業が待ち受けております。市町村は介護保険の実施に係る事務や財政負担が増大し、より以上の財政の逼迫は目に見えております。
 以上の事柄は、単に導入により行政事務がふえることだけが問題ではなく、例えば保険料を払うことが困難な生活保護者や低所得者、年金生活者、身体障害者などは介護保険が受けられず、切り捨てされることとなっているとお聞きをいたしました。このようなことでは、高齢者や社会的に弱い人々を守るという福祉の理念に相反し、福祉全般の後退につながるもので、許すことのできないことであります。さらに、認定の基準設定による認定漏れの要介護者の処置など、問題の多い保険であり、だれでも受けることのできる介護の平等性の確保が確実にできないのではないかと危惧するところであります。また、おのおの市町村の判定にばらつきができないのか、市町村の財政など、事情による対応やこれを行う体制をつくり上げることができるのか、甚だ疑問であります。介護保険の導入に係る福祉の後退認識や導入の是非について、県当局の認識をお聞かせ願いたいと思います。
 また、個々の問題として、保険料を払うことの困難な者の救済や認定基準から漏れた要介護者への対応、事業主体の市町村の体制づくりや保険料徴収、認定などの作業に対する県の認識する問題点と助成及び指導のあり方についてお聞きをいたします。
 次に、介護保険のところでも申し上げました高齢化は、私たちの想像を超える勢いで進展しております。日本の老人人口の全体の人口に占める割合が七%からその二倍の一四%になる年数は一九七〇年からたったの二十四年と見られ、早急な対応が必要であります。そのため、国では一九九八年に高齢者保健福祉推進十カ年戦略を策定し、全国市町村はそれをガイドラインとして市町村老人保健福祉計画を策定いたしました。その中に、デイサービス、ショートステイ、特別養護老人ホーム、老人保健施設、在宅介護支援センターなどの施設づくりを計画し、高齢者福祉の観点から、だれもが安心できる活力ある福祉社会の実現に取り組んできました。県は、長期総合計画の中で、広域的な観点から適正な配置を目標に圏域を設けてその計画を推進してきたところであると述べられております。しかしながらこうした計画にしても、策定から既に十年近くも経過しているにもかかわらず、今なお特別養護老人ホームなどの設置の指標としているところに問題があるのではないでしょうか。
 例えば、同一の圏域の中において特別養護老人ホームなどの設置に町ごとのばらつきがあったり、広域圏での推進と言いながら関係市町村との十分な話し合いがなされないまま推進するという経過があります。特に那賀郡では人口増加が著しく、社会情勢は計画当時と大きく変化をしており、施設の設置に関しては、やはりその時点の地域事情に合ったものでなければ真の広域的な観点からの適正な整備を推進することはできません。県民にとりましても、他町にあって我が町にないといったことの不安も生じているわけであります。
 圏域の安定した開発や福祉行政の適正配備は、まず地元での意見調整などの条件整備が大事であろうと考えていますが、県当局の考えをお聞かせ願いたい。
 また、介護保険が導入され、社会情勢の変化が進む中、より細やかな福祉の充実のために福祉の圏域設定はおのおの市町村で設定されるべきであると思いますが、県の考え方、さらに那賀郡における今後の福祉関連施設の整合性と公平性、平等性と条件整備についてお伺いをいたします。
 次に、戦後半世紀が過ぎ、人々が幸せに暮らせる条件が変化する中で変わらなく求められているものが衣・食・住であり、近年、衣・食はある程度足りてきておりますが、住は島国日本の基本的な決まりなのか、今なお不足しているところであります。また、大部分の国民は一戸建ての個人住宅の入手に困難を来し、安くて便利のよい公営住宅への入居を希望しております。そんな中、低所得者に安く賃貸するため、自治体が建設・管理する公営住宅法が新しく改正され、家賃が各世帯の所得に応じて決められることが決定したところであります。
 これまでの家賃設定は各団地ごとに一律でありましたが、法の改正によって収入により個別に決められることとなり、一定以上の収入がある住民の退去を求められる動きがあります。また公営住宅は、低所得者やそれに準じた住民に安く住宅を供給するため政策的に建設されたという経緯がございますが、新家賃は、入居者の収入によっては従来の家賃以上の高額になる見通しで、家賃をめぐるトラブルが県内各地で起きてくる可能性を含んでおります。現に県内外の市町村で、条例の制定をめぐってトラブルが起こってきておるのも事実であります。社会福祉の充実を目指し、福祉のまちづくり条例など諸施策を打ち出して、安心して快適に暮らせる町づくりを推進するということからも逆行するのではないかと思うわけであります。
 私は、安心して暮らせる町づくりを念頭に、県議会の場において数回の質問をさせていただきました。県民が快適に生活できる地域づくりに、県当局の協力を得ながら推進してきたところであります。県は段階的に運用すると考えているとお聞きしておりますが、入居者への周知を含め、また公営住宅建設の目的と福祉社会の充実を念頭に置いた公営住宅の運用を強く希望するものであります。公営住宅法の改正を受けて、福祉社会の充実を前提とした県民に対する公営住宅施策についてお伺いをいたします。
 次に、安心して暮らせる町づくりに欠かせない問題は、救急業務の拡充であります。住民の命を根本から守ることは言うまでもないことでありますが、万一の病気や事故から県民の大切な命を守ることも重要であります。県下の救急車による搬送件数は、昨年で二万九千三百六十二件を数え、年々増加の一途をたどっているとお聞きしております。なお、救急車で運ばれる患者は、近年増加している心筋梗塞や脳出血などの重病人が多く、治療に一刻を争う患者ばかりであり、救急業務の充実が急務と考えるところであります。
 そこで、県下の救急業務の現状を確認しながら問題点を明らかにし、早急な改善を希望するものであります。
 まず第一に、救急車による救急出動件数の増加と搬送中における心肺停止などの重症患者に対する救命率の向上の一環として、救急車内において救命行為の高度化が叫ばれてきております。
 平成三年、救急車内で特定の医療行為ができる救急救命士制度が法制化され、それらの医療行為ができる医療機器を搭載した高規格救急車とあわせて救急高度化事業が消防機関において取り組まれておりますが、救急救命士が県下で多数不足している現状があります。救急救命士の養成が急務であるにもかかわらず全国で養成施設が五、六カ所と少ない現状は、法が制定されて既に七年を経過しており、行政の怠慢としか言いようがありません。また、消防機関の勤務体系は三交代勤務であり、一勤務につき三人の人員が必要となっていることを考えますと、人員配置にも特別な配慮が必要であります。
 なお、救急業務の高度化はこの二点だけではなく、これに全消防機関に最低一台の高規格救急車を早急に配備することによって実現をいたします。全県下を含め、特に那賀郡の救急高度化事業の現在までの進捗状況とともに、救急救命士の養成に係る県としての養成施設の建設並びに人員、高規格救急車の配備計画をお伺いいたします。
 第二に、救命士や高規格救急車がそろっても、受け入れ体制の整った医療機関と救急救命士の救命処置に対する医師の指示体制が不足しております。
 県下で唯一の日赤救命救急センターは、二十四時間受け入れの体制にありますが、収容不可能時があると聞いており、医療体制の不備が指摘をされております。きょうの新聞でも出ておりましたように、和歌山市の女児が日赤の医師の不備による緊急医療のミスで死亡し、裁判で和解をされたと聞いておりますけれども、たらい回しと言われている現実があるわけであります。
 また、私たちの住む那賀郡は、緊急の場合に和歌山市内への道のりに時間がかかり過ぎて助かる命までも助からない現状では、ないに等しいことと、体制づくりに対する姿勢に疑問を感じてなりません。一方、救急車の郡外搬送の割合が全体の四五%にも上る状況は異常であります。また、医師の指示体制においても、二十四時間カバーできる体制になっておりません。例えば、医療圏の問題と絡めて那賀郡を和歌山市の圏域から独立させ、現在建設中の那賀病院を二十四時間対応の救急救命センターとして整備を推し進めるとともに、各消防本部単位において施設を推し進めるべきであります。なお、医師の指示体制は県下全体一カ所のセンター方式を取り入れたものとすべきであります。また、傷病者の生存にかかわる時間的な短縮は、消防機関の救急業務だけではなく、傷病者の家族や発見者による早急な人工呼吸や応急処置によって高い確率で生存することがわかっているところから、県民に対する救命の啓発や人工呼吸、応急手当ての講習を行い、意識を高めることが望ましいと考えます。消防本部単位の受け入れ体制における早急な施設づくりと救命士への医師の指示体制の整備について、また県民に対する実地講習や啓発の推進についてお伺いをいたします。
 最後に、教育問題について質問をいたします。
 昨今、子供のいじめ問題に始まり、昨年五月、神戸市須磨区の児童連続殺傷事件、本年一月、栃木県黒磯市の女性教諭殺害事件や、本年二月、東京亀戸の警官襲撃事件などの中学生による殺傷事件が相次いで起きております。この問題については同僚議員や先輩議員が何回か質問をされておりますけれども、私は別の角度から問題を提起したいと思う次第であります。
 青少年非行の凶悪化や薬物乱用は、一部の教育関係者のコメントを聞く限り、自己中心的でせつな的な行動によるものと判断され、憂慮すべき現状であります。我が和歌山県におきましても、かつらぎ町の小学生自殺事件に始まり、粉河町の小学生殺害事件など、極悪非道な青少年に関係する事件が最近相次いで起こっており、社会に大きな不安を巻き起こしております。今、青少年が何を思い何を考えているのか、混迷する社会にあって多様な価値観の選択に苦慮し、悲鳴を上げている姿ではないかと考えるところであります。
 戦後半世紀が過ぎ、国際社会における現在的人権の認識の変化や生涯学習の視野に立った学校制度の現在的発展、また教育における公共性のあり方などをめぐって教育の理念を現在的な視点から問い直す議論が、今緊急に必要であると考えます。確かに、国においては中央教育審議会による新しい取り組みが提言されておりますが、真に青少年、特に小学生から高校生の少年少女の声を反映したものとなっていないように感じるわけであります。
 現在、青少年を取り巻く社会の変転は、私たちが考える以上に強烈で、また速い速度で変化をしております。教育者による犯罪が後を絶たない社会の構造は、学校教育現場の混迷を通り過ぎ、荒廃へと流れているように思われてなりません。このことは、今を生きる青少年だけの責任でありましょうか。社会は、政治的にも政策的にも、また経済的にも混迷をきわめ、子供の手本であるべき大人社会の著しいモラルの低下、例えば教員による子供に対する事件や情報機器の普及と浸透による間接体験や疑似体験、テレビゲームなどにより地域社会の人間関係の希薄化を生み出し、他人に対して無関心で自己主張の強い青少年をつくり上げてきた我々大人の責任であり、猛省をするところであります。
 本年一月から二月にかけて発生したバタフライナイフを使った少年犯罪事件の対応は、大人の視点で、問題の本質や子供たちの心の真相を見詰めないままつけ焼き刃的対応としか考えられない持ち物検査の実施の是非という一時しのぎの対応しか議論されなかったことを見てみますと、教育現場のこれまでの反省が全く生かされていないと思うわけであります。今こそ、真の教育改革を早急に行うときであります。
 また、新聞報道にありましたように、文部省が一九九六年に全国の公立、市立高校を対象に調査した中途退学者が十一万人もの数に上っており、中退者比率で二・五%と、過去最悪を記録しております。その中身は、進路変更が最も多く、これに次いで学校生活や学業への不適応が三割を占めております。この現象の持つ意味を、ただ子供たちの学業嫌いからくるものととらえるのは早計であります。例えば、学校側に魅力が感じられないとか教師に対する不信感等、さまざまなことが想像されます。
 一方、教職員の側にも、実態はよくわからないわけですけれども、私の知っている教師の中にも、教員採用の競争に打ち勝って晴れて教師となったにもかかわらず中途で退職する教師が最近激増しており、教育に対する展望のなさや無力感、教育行政への不満などによりこのことが発生してくるのではなかろうかと考えるところであります。またこのことは、現行の教員採用のあり方に大きな欠陥があるのではなかろうかと思えてなりません。教職員になるためには、厳しい選考基準を突破しなければならないところであり、そのために偏差値教育を受け、ペーパーテストの結果だけを重視し、人間教育に欠けていた面も指摘されております。教員もまた、被害者であります。
 私は、多様化する社会の中で、試験選考への偏重主義やA合格、B合格などとわかりにくい採用制度となっている採用形態を抜本的に改革することを強く望むものであります。日本の将来を担う青少年の人間教育に向けての情熱ある教員の育成は、これからの進むべき方向にとって、また青少年の将来にとっても重大な問題であり、見過ごすことのできない課題であります。
 そこで教育長にお聞きいたしますが、これからの教育のあり方、さらに教育行政の現在の姿への考え方を含めて、教員の資質にかかわる教員採用の方法と改善についてお伺いをいたしたいと思います。
 また、凶悪事件多発の中、和歌山県で起こっているかつらぎ町小学生自殺事件や粉河町小学生殺害事件に関して、教育の立場としてどのような課題があったのか、またその原因と背景は何であったのか、その後の解明の進捗はどのようになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 以上、数点にわたり質問をいたしましたが、県当局の積極的な答弁を期待して、第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 飯田議員にお答えをいたします。
 二十一世紀の和歌山県のあり方と目指す方向についてのご質問であります。
 二十一世紀は世界との結びつきがより深まっていくと思いますが、その中で、地球時代の故郷(くに)づくりを基本姿勢として、その上で本県が目指す方向として、豊かな自然と歴史、その中ではぐくまれた個性的な文化や産業などを守り生かすとともに、国内外との活発な交流を通じて新しい文化や産業を創造することにより県民一人一人が真の豊かさを実感することができる和歌山県を目指し、「ゆとりと充実 輝く和歌山新時代」を基本目標に掲げたところでございます。
 関西地域において本県の果たす役割でありますが、基本的には京阪神大都市圏、さらには全国、世界を視野に入れたゆとりと安らぎの提供ということではないかと考えております。その具体的な展開としまして、太平洋新国土軸構想、あるいは関西国際空港の二期事業、さらにベイフロンティア構想等を念頭に置いて、自然と調和した質の高い居住、あるいは都市近郊型リゾート、企業立地、複合物流などの機能を担ってまいります。また、本県が誇るべき豊かな自然、歴史、文化を生かし、ゆとりと体験と交流を基本とした多様な観光リゾート地域の形成を図り、交流の拡大と地域経済の活性化に結びつけていきたいと考えております。
 以上の点を踏まえての近隣府県への対応であります。紀北地域におきましては、大阪府、特に泉南地域との緊密な連携のもとに紀泉地域として一体的な整備を図っていく必要があると考えており、関西圏南部地域の拠点としての役割を担うべく検討を進めていきたいと思います。また、紀伊半島全体の一体的、総合的な振興を図るために、三重、奈良及び和歌山の三県で、吉野熊野地域を舞台に、すぐれた自然、歴史、文化を生かしたイベント等の実施あるいは情報発信に努めているところでございます。
 次に、長期総合計画における地域圏域の南北二大圏域の設定についてのお話であります。
 県土全体のあり方を長期的に見定める上でより大きな視点から和歌山県をとらえることは、大変重要なことであろうと考えてございます。そのため新しい長計では、北部は、大阪府南部あるいは奈良県等と連携して広域的な都市圏を形成することにより、京阪神地区に集中する都市機能を分担することを主たる発展方向として都市機能連携ゾーン、また南部は、紀伊半島各地域との広域的な連携を深めるとともに、国内外との観光リゾートによる幅広い交流によって活性化を目指すことを主たる発展方向とする多自然歴史文化交流ゾーンとして県土づくりの方向性を特徴づけたところでございます。なお、こうした基本的な方向性を踏まえて六圏域を設定し、圏域別計画を作成したところであります。
 細部にわたっては、関係部長から答弁いたします。
○副議長(阪部菊雄君) 企画部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 飯田議員にお答え申し上げます。
 新しい長期総合計画の短期的な計画と点検、報告についてでございます。
 本長計の計画期間が十四年間という長期にわたりますので、議員ご指摘のように、より短い期間で区切った実施計画を策定し、それに基づいて適切な進行管理を行う必要があると考えております。そのため、財政の中期展望と整合を図りながら三年を計画期間とする中期実施計画を策定し、主要な施策、事業の具体的な内容や実施スケジュールを盛り込むこととしており、進捗状況を報告してまいりたいと考えております。
 数値目標の定め方及び達成可能性についてでございますが、例えばご質問の県民所得は、本長計による施策効果を勘案し、推計した本県経済の見通しに基づいて算出しております。下水道等の整備率は、下水道、農業・漁業集落排水施設及び合併処理浄化槽の各整備計画目標に基づいて設定したものでございます。またホームヘルパー数は、平成二十二年の高齢者推計人口からホームヘルプサービスの必要量を推計し、ホームヘルパー数を算出したものでございます。
 数値目標の中には、県民ニーズの高さ、重点的な取り組みの必要性等を考慮し、高目のハードルを設定したものもございますが、県民の皆様のご理解とご協力をいただきながら、その達成に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、長期総合計画における圏域設定と福祉・医療圏域、行政圏域との整合性についてでございます。
 県の行政区域につきましては、県が担当する行政分野が多岐にわたっており、各分野に応じた適切な行政サービスを提供するための区域設定を行っております。一方、長計における圏域につきましては、一部行政区域と異なるところもございますが、県民の皆様の日常生活圏を基本としながら、市町村による広域的な取り組み状況等も総合的に勘案し、設定したものでございます。いずれにいたしましても、圏域や各行政分野の区域は県民の利便性等を考慮した行政サービスの提供といった観点から定められるべきものと考えております。
 また、和歌山圏域につきましては、日常生活圏として考えた場合、和歌山市、海南市・海草郡及び那賀郡は相互に結びつきが強く見られ、また和歌山県全体の発展を図る上でも中核的な圏域として戦略的な整備を進める必要があるため、一体的な圏域としたものでございます。その上で、那賀郡及び海南市・海草郡がそれぞれに特性や課題等を持った地域でもあることから、圏域別計画では圏域全体の将来像とともに二つの地域についても将来像と整備方向を記述し、主要施策を位置づけたところでございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 飯田議員ご質問の、安心して暮らせる町づくりについての四点にお答えいたします。
 まず福祉のまちづくり条例について、第一点として県の取り組み状況でございますが、平成九年度における県有施設の整備につきましては、現在工事中の県庁本館、東別館のエレベーター設置に加え、交通センターや医大紀北分院へのエレベーター等の設置を実施したところでございます。また、県が管理する道路の歩道の段差解消や誘導ブロックの設置については、八十八カ所の改善をいたしました。
 なお、平成十年度は本格的な取り組みを実施すべく、今議会で予算をお願いしている福祉のまちづくり県有施設整備事業により、不特定多数の県民の方が利用する施設や障害者、高齢者の方々が利用する施設を中心に、エレベーターや障害者用トイレの設置など計画的に十五施設の整備を進めるとともに、道路についても現況調査を行い、整備計画を策定の上、だれもが安心して通れる、人に優しい道づくりに取り組んでまいります。
 二点目として市町村に対する指導でございますが、平成九年度において福祉のまちづくり条例設計マニュアルの説明会や福祉担当課長会議を実施し、施設改修等への取り組みの理解と協力を求めてきたところでございます。また、高野町、白浜町が実施するモデル地区整備計画策定事業に補助を行い、市町村における福祉の町づくりの面的な整備を促進することとしております。平成十年度は、市町村施設の整備状況についての調査を行い、実態を踏まえた中で積極的な整備促進を図るべく指導してまいりたいと考えてございます。あわせて、既存民間建築物の整備の促進を図ることも重要であり、事業者に対する整備補助事業の予算を今議会にお願いしているところであります。
 いずれにいたしましても、障害者や高齢者の方々が主体的に社会参加ができ、快適に暮らせる福祉の町づくりを進めるためには、県、市町村、事業者、県民がともに力を合わせ、一体となって取り組んでいくことが必要であると考えてございます。
 次に、介護保険についてお答えをいたします。
 急激な高齢化の中で老後の最大の不安である介護問題を社会全体で支え合うとの理念のもと昨年公布された介護保険法は、我が国にとって大きな意義を持つ施策と考えております。しかしながら、議員ご指摘のように法案の段階からさまざまな問題提起もあり、種々議論が行われてきたことも事実でございます。県といたしましても、国に対し、これらの意見を集約する形で県議会と歩調を合わせながらその趣旨をお伝えし、実施主体である市町村や国民にとってよりよい制度となるよう要望してまいったところであります。
 国会におきましても、これらの重要性にかんがみ、十九項目に及ぶ附帯決議を行っていただきました。現在、国においては、議員からお話のあったサービス内容、認定にかかわる問題、保険料負担のあり方や実施主体である市町村への財政支援及び低所得者や障害を持つ方々への施策等について、政省令で決定すべく作業が行われていると聞いております。県といたしましても、だれもが公平で安心してサービスが受けられ、過重な負担とならないものであるよう、引き続き市町村の指導はもとより、国に対しても積極的に働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 次に高齢化社会の施設づくりにつきましては、和歌山県老人保健福祉計画に基づき、整備を推進してきたところであります。特に特別養護老人ホームの整備につきましては、各圏域単位で目標量の確保を目指し、建設計画の条件整備が整ったものから、県本庁において適正配置等を検討の上、順次整備を図ってまいりました。その結果、現在目標を超えた整備状況となっているところでありますが、より急激な高齢化に加え、半島性、過疎などにより介護力不足という課題を抱えている本県にとってさらなる整備が必要と考えてございます。
 この設置箇所の選定に当たりましては、平成九年度からより公平で透明性の高いものとすべく、地元の意見に重点を置いた選定条件に改めたところでございます。今後も、施設整備に当たりましては、圏域内での公平性の観点から、在宅福祉施設も含め、バランスのとれた配置に努めてまいります。
 また、介護保険制度導入に当たっての圏域についてでございますが、サービスの受け皿となる基盤整備を充実することは不可欠であり、在宅福祉サービスは基本的には市町村単位で、施設福祉サービスは広域的な観点からの充実も必要であると考えてございます。
 いずれにいたしましても、より住民に密着したサービスが提供できるような体制整備を行ってまいりたいと考えてございます。
 最後に、救急医療対策についてでございます。
 初期救急医療については休日急患センターや在宅当番医制で対応し、入院治療が必要な二次救急医療については病院群輪番制病院や救急告示病院で対応してございます。重篤救急患者等の三次救急医療については、日本赤十字社和歌山医療センターの救命救急センターが受け持つこととなっております。また、新築後の県立医科大学附属病院においては、重篤患者等に対する救急医療も大きな柱として取り組むこととなってございます。
 なお、那賀地方におきましては、来春に国保那賀病院が新築され、当地方の基幹病院として、二十四時間体制で脳卒中や心筋梗塞の重篤救急患者にも対応できるよう充実が図られることとなってございます。県といたしましては、今後も救急患者の受け入れ体制の充実に向けてなお一層努めてまいります。
 次に、救急救命士に対する医師の指示体制についてでございます。
 平成四年に県救急業務検討委員会を設置し、救急業務の高度化推進について検討を重ねてきたところでございますが、平成七年に救急隊員の教育訓練と救急救命士に対する指示医療体制についての検討結果を取りまとめ、関係機関に通知を行ったところでございます。県といたしましては、これらを踏まえ、各二次医療圏の基幹病院及び中核病院、もしくは病院群輪番制参加病院や消防機関と協議しながら、収容病院や当番病院の医師からの指示体制について整備充実を図ってございます。
 議員ご指摘のセンター方式につきましては、有効な方法ではありますが、医師の確保や機器の統一整備等の課題があり、大変難しい状況でございますので、今後とも引き続き検討してまいります。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 飯田議員の公営住宅法に関する問題についてお答えいたします。
 公営住宅につきましては、急速な高齢化など大きく変化する経済社会情勢に対応し、高齢者や障害者など真に住宅に困窮する世帯に対して、良好な居住環境を備えた公営住宅の的確な供給を図ることが一層必要となってきました。今回の法改正は応能応益方式と言われており、家賃改定は入居者の方々の支払い能力に応じたものとなり、入居者の方々に過重な負担とならないようにと改定されてございます。また、収入超過者や高額所得者に対しましては、当該地域の住宅事情を勘案しつつ対処してまいりたいと考えております。
 なお、これまで入居者の方々に十分な理解を得るため、法改正の周知を図ってきたところでございます。
 今後、この公営住宅法の改正の趣旨を踏まえ、市町村とも十分連携を図りながら、高齢化社会を迎える二十一世紀を見据えて、県民の皆様方が安心して暮らせる町づくりに向け、公営住宅の適正な供給に努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 総務部長中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 救急業務の高度化についてお答えします。
 救急高度化事業の進捗状況についてでございますが、まず救急救命士養成については、今年度末には七十八名となり、県内二十一消防本部すべてに救急救命士が配置されることになります。本県においては小規模消防本部が多く、一度に多数の養成派遣が困難等の理由により、毎年二十名程度の養成となってございます。県といたしましては、できるだけ早期に県内四十五消防署すべての救急隊に常時救急救命士が配置されるよう努力してまいりたいと考えてございます。
 次に高規格救急自動車につきましては、今年度末で十五消防本部二十一台の配備予定であり、平成十一年度末までに全消防本部に少なくとも一台が配備できるように努力してまいりたいと考えております。
 また、那賀郡の状況でございますが、今年度末には救急救命士が七名になる予定であり、高規格救急自動車については現在で二台配備を行ってございます。今後とも、県内の救急体制の充実強化についてより一層努力してまいります。
 次に救急救命士養成施設の建設についてでございますが、平成三年の救急救命士法制定に伴って国において各都道府県単位で整備を図ることは、教員となる医師の確保や養成所建設費等において非常に困難であるとの判断のもと、各都道府県の共同出資により救急振興財団を設立して救急救命士の養成所が建設されたところでございます。現在、定員八百名のところ、平成十年度から二百名増員となることもあり、近隣政令都市への養成依頼の働きかけを含めて、各消防本部の養成要望にはほぼこたえられるものと考えてございます。
 次に県民に対する応急手当ての講習や啓発の推進についてでありますが、救急隊員の救急現場到着前において居合わせた住民による適切な応急手当てが行われることは、傷病者の救命率の向上につながるものでございます。現在、県内では自動車運転免許取得時や日赤支部の応急手当て講習により普及啓発が図られておりますが、消防機関においても、三百九十名の応急手当て指導員により、これまでに三万人の住民に対して講習を行ってございます。今後とも、毎年一万人を目標に応急手当ての講習を実施するよう各消防本部を指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題二点についてお答えいたします。
 まず、教員の資質向上と採用についてでございます。
 現在、児童生徒にかかわって、いじめ、登校拒否を初め、青少年による事件の多発など多くの課題があり、憂慮される事態にございます。学校教育において直接指導に当たる教員が一人一人の子供の悩みを真っ正面から受けとめ、自分自身の問題として学校全体で積極的に取り組むことが求められているところでございます。また、家庭における親と子の心の触れ合いや地域社会の教育力も欠かすことができないものであります。
 現在提起されている諸課題を解決するには、教員の資質、力量によるところが極めて大きく、現職教員の資質向上と優秀な人材の確保が重要であると考えます。さらに、学校教育だけで対応することには限界があり、大人たちが一体となって取り組むときではないかとも考えます。教育委員会といたしましては、従来の研修に加え、平成八年度から教員を企業や社会福祉施設等に派遣する長期社会体験研修を実施し、社会の構成員としての視野を広げるなど、現職教員の資質向上に努めてございます。
 また、教員採用に当たっては、人間性豊かで幅の広い人材を確保すべく、筆答検査の成績に偏らず面接検査や実技検査を重視し、教員として個性豊かで情熱あふれる人材を採用するよう努力しているところであります。今後ともさらに研究を重ねながら優秀な人材の確保に努めてまいります。
 次に、青少年事件についてであります。
 中学生による殺傷事件等が全国的に相次ぎ、大きな社会問題となっておりますが、昨年、本県で起こったかつらぎ町での小学生の自殺、粉河町での少女殺害事件は、教育に携わる者として大きな衝撃を受け、当該町教育委員会と連携し、再発の防止に取り組んできたところであります。
 かつらぎ町におきましては、その直後から原因の究明にすべての関係職員が全力を挙げ、全児童からの聞き取り調査、作文による情報収集、情報箱の設置、全児童への家庭訪問、遺族、育友会、子ども会、スポーツ少年団関係者からの情報の収集などを繰り返し行ってまいりました。しかしながら、こうした努力にもかかわらず、原因についてはいまだ解明できておりません。
 こうした事件を二度と繰り返さないために、学校、家庭、地域が一体となって子供にかかわっていかなければならないとの認識に立ち、校長、教頭を初め生活指導担当者などの研修を重ね、また児童生徒から応募した標語を下敷きに印刷配布し、命を大切にする呼びかけをしてまいりました。さらに、子ども会指導者研修会や町内全地区での地区懇談会等を開催するとともに、その標語を印刷したタオルを各家庭に配布するなど、かつらぎ町を挙げて再発防止に努めてきております。教育委員会といたしましても、町教育委員会と連携を密にし、その取り組みを支援してまいりました。また、市町村教育長会議や青少年問題を考える緊急フォーラム等においてかつらぎ町から報告を求め、その経験を教訓として県内全市町村に広めてまいりました。
 粉河町の事件につきましては、顔見知りの近隣者による事件という、教育だけでは解決できない困難な問題であることから、事件発生後、直ちに通知を出し、教育関係機関やPTA等が連携を図り、地域社会全体で取り組むよう指導いたしました。粉河町教育委員会では、管内の小中学校長会において、子供の安全の確保等について繰り返し徹底を図るとともに、警察等、関係機関との連携を深めてございます。さらに、子供や高齢者などの生活の安全確保のため、町独自の施策を検討中と聞いております。その取り組みについても、町の施策が具体化するのを待って各市町村に広めてまいりたいと考えます。
 今日生じているナイフ等の問題に対応するためにも、かつらぎ町や粉河町における痛ましい教訓をむだにすることのないよう、継続的に取り組んでまいる所存であります。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 43番飯田敬文君。
○飯田敬文君 ご答弁をいただきました。時間が来ておりますので、端的に要望をしてまいりたいと思います。
 まず第一に、介護保険の導入についての問題点でございます。
 当局からお話ございましたように大変大きな問題をたくさん抱えておりまして、介護保険を受ける国民、県民にとって介護保険が受けられるように、ひとつきちっと対応していただきたいと思うわけでございます。
 特に、これは市町村が担当の窓口ということで、対応しなければならない課題が大変たくさんあるわけでございます。そういった意味で、圏域を設定し、圏域の中での市町村間の公平性、平等性ということも十分頭に入れていただきまして、保険あって介護なしということにならないよう、県当局の一層のご指導をお願いいたすところでございます。
 それから、相次ぐ青少年問題についてでございます。
 教育長から答弁をいただきました。私は、今回の相次ぐ青少年事件は教育委員会だけの問題ではないと感じております。特に、社会全体が引き起こした矛盾のあらわれであるということを強く認識しなければ解決しないのではないかと思うわけでございます。いつ我々の子供や家族がそういったことを引き起こしたり、あるいは被害者になったりするかもわからないという危機感を我々全体で持っていかなければ、教育長が答えたからこれで解決するという問題でないということを強く申し上げたいと思うところでございます。
 そして、かつらぎ町の問題に関係して言わせていただくならば、原因がわからないということでございまして、原因がわからなければ二度と再びこのような事件を起こさない対策は難しいわけでございます。そういった問題は非常に難しいと思いますけれども、我々の地元、和歌山県で起こっておる事件でございます。その起こった原因がわからないということでは、青少年問題がいろいろ相次いでいる中、非常に危惧をするところでございます。これはひとつ教育委員会だけではなしに、知事が対策本部長となり、知事部局も先頭になってこの問題をとらまえていただくという視点でこれから取り組んでいただきたいということを強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
 以上です。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で飯田敬文君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は三月十六日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(阪部菊雄君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時八分散会

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