平成10年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(神出政巳議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時三分開議
○議長(木下秀男君) これより本日の会議を開きます。
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  【日程第一 議案第一号から議案第八十一号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(木下秀男君) 日程第一、議案第一号から議案第八十一号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 25番神出政巳君。
  〔神出政巳君、登壇〕(拍手)
○神出政巳君 おはようございます。
 お許しを得ましたので、通告に基づき順次ご質問申し上げます。
 冒頭、今回の質問に当たりましてのコンセプト、基本理念について申し述べたいと思います。
 「三位一体」という言葉があります。もとの意味は、父なる神、そしてキリスト、そして聖霊は一体ということでありますが、もう一つの意味としてとられているところの、三つのものが心を合わせて一つになるということであります。長野冬季パラリンピックもあと三日となりましたが、つい先ごろ、日本国民に大きな感動と勇気を与え、成功裏に閉幕した長野冬季オリンピックで、つくづくこの「三位一体」ということを感じました。
 私自身、紀州生まれの紀州育ちということで、余りウインタースポーツにかかわることもなく興味もなかったわけでありますが、長野冬季オリンピック開幕早々、男子スピードスケート五百メートルでの清水選手と女子フリースタイルスキーモーグルでの里谷選手の相次ぐ金メダルに、すっかりオリンピック漬けになってしまいました。両選手の共通点は、父親を亡くされ、お母さん初め家族が大変ご苦労され、献身的に支えられ、晴れの舞台での大活躍になったとマスコミは報じ、美談として大きく取り上げられました。私も、大いに涙したものであります。しかし、よく考えてみると、お父さんがなくても、お父さんにかわるコーチの方、指導者、支援団体が周囲におられたわけであります。男子スケートショートトラック五百メートルで銅メダルをとられた方のコーチは、失業し、雇用保険をもらいながらの指導であったということであります。月並みな言い方かもしれませんが、まず第一に主役として本当によく頑張る選手、第二に献身的に支える家族、そして第三に犠牲的精神で奉仕する指導者の三位が一体となったからこそ偉業をなし得たのではないでしょうか。時代おくれ、古い考え方かもしれませんが、昨今の世相について物思うとき、この「三位一体」という言葉がつい脳裏をかすめるものであります。
 「二十一世紀の故郷(くに)づくり」に置きかえてみると、まず第一に本当によく頑張る主役である県民、第二に献身的に支える西口知事以下県職員、そして第三に犠牲的精神でチェックしアドバイスする県議会議員の「三位一体」こそが基本理念ではなかろうかと私見を前段申し上げ、以下、質問に入ります。
 まず第一点、平成十年度当初予算についてお尋ねいたします。
 全国四十七都道府県の中で、平成十年度当初予算案で平成九年度と比較可能な四十四都道府県のうち三十六都府県の一般会計が実質マイナスとなっております。財政健全化債を発行する府県もあり、非常に厳しい財政運営を強いられております。大変な時代が始まったと言うべきか、楽な時代が終わったと言うべきか、みんなで変わらなければ、みんなが生き残れない時代が来たということは確かであります。
 本県も、一般会計は伸び率二・七%でありますが、地方消費税関連経費を除いた実質的な歳出規模比較ではマイナス〇・四%となっております。しかし、こういった背景の中、西口知事初め事業部局、財政当局のご尽力のたまもの、私どもが要望した事業につきましてはほぼ網羅して予算計上していただき、会派を代表し感謝を申し上げ、大いに評価するものであります。
 さて、当初予算編成の基本的考え方として、財政事情の中期展望に基づき、構造的な財源不足の解消を段階的に図るため、基本要求限度額の設定など一般行政経費の縮減に始まり、最少の経費で最大の効果を上げるべく、行財政改革の推進、事務事業の徹底見直しの実施、重点化調整枠の設置等により、緊急性、必要性の高い分野に重点配分、縦割り型発想を打破するための組織横断型予算編成手法を導入と掲げられました。しかし、一般行政経費の縮減は主に投資的経費の六十八億円の圧縮であり、義務的経費の削減については主たる人件費等、なかなか困難であるように思えます。
 そこで、行財政改革の徹底推進となれば、策定三年目に当たる本年、喫緊の課題として数値目標を上げて本県の行革大綱の見直しを図らなければならないと思いますが、どのようにお考えか、知事にお尋ねします。
 そして、むだな事業を見直し、歳出削減につなげるための具体的方策として、事業評価システムの導入が他の県で相次いでいるわけでありますが、時のアセスメントの実施、事務事業総点検の制度化、業務棚卸表、客観的事業評価基準づくり等であります。職員の意識を変えるためにも、まずシステム、ルールを変えなければなりません。事業評価はもちろん、担当職員の評価にもつながります。そして、政策研究、政策評価について、民間シンクタンクで取り組まれている著名な方が身近な和歌山大学大学院客員助教授におられます。行政、大学、シンクタンクの三位一体の連携で取り組まれてはいかがかと思います。事務事業の見直しについて、具体的検討内容、今後の見通しについて、あわせ知事にお尋ねします。
 また、縦割り型から組織横断型への予算編成については、生産者から消費者、生活者の立場への視点の転換も考慮され、なされるべきであり、具体的には今回どのような工夫をされたのか、電算システム等を使い、もっとわかりやすく提示すべきではないか、総務部長にお尋ねします。
 次に投資的経費については、知事は議会冒頭、国の財政構造改革等の影響により大変厳しい状況であったと説明されましたが、政府予算案の公共事業費削減はどのように本県当初予算編成に影響があったのか、どれくらいの規模であったのか、政府当初予算成立直後の補正対応の限度も、あわせ総務部長にお尋ねします。
 引き続き、知事が特に強調された「創造力あふれる産業づくり」、新産業の創出についてお尋ねします。
 商工労働部と土木部とで連携実施されるということでありますが、時代を先導する新産業の創造、立地のための環境整備などについて調査検討、必要なインフラ整備の方向づけとありますけれども、具体的にどのように実施されるのか、そして近年のベンチャービジネスへの支援と成果について商工労働部長にお尋ねします。
 一九八三年(昭和五十八年)に野村総研が調査された当時、新しい産業七十二業態のうち五十七業態が関西で生まれたものであったということであります。主なものに、コンビニ、スーパー、引っ越しセンター、人材派遣会社があったそうであります。それが、バブル時に新しい産業が全く起こらずゼロということで、バブル崩壊後の関西圏、特に大阪府周辺の経済の落ち込みを助長したようであります。ここで、何とか和歌山県が再浮上するためにも誇りを持って、ハードに偏らず、住民サービスに八〇%、残り二〇%のうち少なくとも一〇%は地域振興につながるような新産業の創出を願うものであります。
 引き続きまして、県立医科大学跡地利用についてお尋ねします。
 二月二十六日、知事は県立医科大学跡地利用懇話会を設置、有識者十三名の委員により第一回会議を開いたということであります。平成十一年五月に紀三井寺への移転整備が完了予定ということで、新医大への移転スケジュール初め移転後の跡地の敷地条件、県立医科大学及び附属病院の現況の建物配置図、都市計画法及び建築基準法の改正による新用途地域制度についてほか、財団法人和歌山社会経済研究所がまとめられた跡地利用に関する県民意識調査結果の概要、そして跡地周辺の主要施設配置図が資料として配付されたようであります。当日、委員からは活発な意見が出され、次回は五月下旬以降に開催予定、十一月ごろには懇話会としての最終結論を出し、知事に報告する見込みとのことであります。
 そこで、以下四点、企画部長にお尋ねします。
 まず、今回の広く有識者に意見を聞く会を何ゆえ懇話会としたのか、懇話会とした意義についてお尋ねします。
 そして、次回の懇話会には県が活用方法の原案をまとめ提示するということでありますが、どのようなものを考えているのか。
 また、最終結論として出された報告をどのように扱われるのか。
 そして、基本構想策定後、今後の年次計画はどのように考えているのか、お尋ねします。
 県民意識調査や委員の意見にあるように、私は隣接地区を含めた跡地利用を考えるべきだと思います。スクラップ・アンド・ビルド──特に強く思い浮かぶのは、県庁舎の移転先として検討すべきではないかということであります。
 以下、私案を述べたいと思います。
 新しい県庁舎の建設については、先輩議員の本会議での一般質問に対する答弁や月曜会の勉強会での当局よりの説明によると、県庁舎建設事業として各種調査初め基金積み立てが行われているということであり、近々現地再開発か他の場所へ移転かの結論を出すときが迫っているとのことであります。
 事業規模調査では、先進事例を参考に、行政棟、議会棟、警察棟、そして駐車場を合わせ延べ床面積約十一万三千三百平方メートル、現地建設調査では周辺の用地買収、用途地域の変更等が必要、建設費約六百億円、うち二分の一を基金で、残りを起債と一般財源でということであります。しかし、基金積み立てについては、平成元年三億円に始まり、平成九年度末合計で約八十四億円、厳しい財政状況のもと、今年度当初で十億円余りで、なかなか先は困難であります。
 そこで、一つの事例として、現在お隣の大阪府が財政状況逼迫した中、新庁舎建設に取り組もうとしている話があります。一千億円とも、一千六百億円とも予測される事業費だそうでありますが、現庁舎の老朽化に加え、出先機関の年間家賃約二十五億円を考慮すれば、待ったなしのときが来ているということであります。民間活力の導入ということで、新宮康男会長率いる関経連より信託方式で建設してはとの提言を受けているようであります。最新のOA化に対応できるものを二棟建設し、一棟は府庁と関連のある民間企業、団体がテナントとして入れるようにし、年間約八十億円の家賃を徴収し、約三十年で償還、ペイできるようにというものであります。法律で無理でも条例をつくって、世論の後押しを背景にして強く政府と交渉し、具体化に検討すべきかどうかというのが現在の山田勇大阪府知事の心境だそうであります。作家の堺屋太一氏などは、いっそのこと大阪府庁と大阪市役所の合併まで申し入れているようであります。変化の激しい時代にあって将来を見据えるとき、かなり柔軟に臨機応変に対応できる準備が必要かと思います。
 こういった動きの中、本県としても、同じく新庁舎建設を具体化検討する中、和歌山市役所に隣接する県立医科大学跡地は適地ではないかと思うわけであります。具体的には、十二番丁の附属病院別館病棟は昭和五十九年建設で建物も新しく、道路で隔てられている関係もあるので外し、医科大学及び附属病院とそれらの西側に接する和歌山市立伏虎中学校を含めた地区で考えてみたいと思います。伏虎中学校の敷地面積は約一万三千平方メートルありますが、昭和五十七年四月の校区変更や楠見中学校の新設もあり、この二十年で生徒数は四分の一以下に、クラス数で約三割に減っており、近隣の城東中学校や西和中学校、そして本町、城北、雄湊、大新、新南、広瀬の六つの小学校の減少比率においても同様の傾向が見られ、ドーナツ化現象、少子化現象が強く出ています。それぞれの学校には歴史と伝統がありますが、県としては教育委員会、和歌山市役所、和歌山市教育委員会とも諮り、教育の中身の検討にあわせ、小学校は無理としても中学校の統廃合について検討をなされてはいかがと思います。伏虎中学校敷地に合わせた九番丁の医大本部、及び基礎医学舎と七番丁の附属病院第一・第二・第三病棟、診療本館、第五・第六病棟の敷地と南北の市道を含めた面積の合計は約三万平方メートルとなり、現在の小松原通一丁目一の敷地約二万二千平方メートルよりも四割近くふえ、容積率も用途地域の関係で六〇〇%であり、あわせ建物の老朽化の著しい西警察署跡も移管先の和歌山市役所と協議し地区として大きく活用すれば、規模、延べ床面積約十一万三千三百平方メートルの新庁舎は十分満足できるはずであり、テナント等も収容でき、大阪府庁の検討中の話も考慮すれば現実味も帯びてくる構想に思えます。現県庁舎跡地、小松原通一丁目一については、コンベンションホール、都市型ホテル等の建設を考える場合でも、収益を上げるべく民間ディベロッパーや信託会社にゆだねるか、財源とすべく思い切って売却すべきであると思います。また今後、地方振興局や市町村の役所建物の建てかえの際には、両者が同居するか隣接するかの考えと、出入りの関連業者、団体への配慮が重要なポイントとなってくると思います。
 以上、私案を述べまして当局への提言とさせていただき、知事におかれては、県立医科大学の跡地利用については、拙速な判断は避け、十分慎重を期され、考えられる限りの選択肢を検討され、二十一世紀新時代を想定の上、大胆な決断をされることを要望いたします。
 最後に、本日、今、同時刻に行われている公立高校の入試に関連して、四点教育長にお尋ねします。
 「十五の春を泣かすな」、三十二年前の私と同じく、きょうの受験生と同様、この一般質問演説を控え、私も震え、昨日は眠れませんでした。受験生の皆さんの健闘を祈るのみであります。
 それでは、まず入試の出願状況についてでありますが、昨年とほぼ同様、和歌山西、大成、伊都に欠員が多く見られます。三校とも昨年より欠員がふえ、二クラスから三クラス分が余る状況となっています。
 私の住まいに近い大成高校、海南高校について見ますと、大成高校は、昨年は当初六十一名欠員で、二次募集の結果、四十名欠員でスタートとなったわけであります。ことしは八十五名欠員で、二百名の定員に対しては倍率が〇・五八と、かなり低いものとなりました。私どもも、昨年秋、地元中学校PTAの役員さんたちに同行し、教育長初め関係部局へ学級数の維持をお願いしたわけであり、そのまま据え置いていただいたことに大変感謝している次第でありますが、海南高校は、昨年は三十六名オーバー、ことしは四十四名オーバーと、かなりのアンバランスになりました。
 中学校関係者にお話を伺いますと、海南が難しくてもまず海南を受け、不合格であれば大成の二次へは行かず、既に併願で受かっている私立へ行くということであります。消費者すなわち生徒、保護者のニーズに大成は合っていないということであります。昨年の初夏、このことで教育長にお尋ねしますと、大成のことは学校もいろいろ取り組んでいるので、それを大切にしているということであり、大成高校の校長に尋ねますと、教職員一丸となって地域社会全般に目を向け、活性化、再編に努力しているとのことでありました。しかし秋の時点では、教職員一丸となった取り組みにもかかわらず再編方策は決定できず、今春は昨春と同じ轍を踏んでしまう結果となりました。一方、総合学科での和歌山高校、有田中央高校等の成功事例があります。制服一つ取り上げても雰囲気が変わり、生徒の意識が変わりました。そこで、何とか活性化、再編するために、大成の現場からはどのような中間報告が上がってき、教育委員会からはどのような指示が出されているのか、お尋ねします。
 同じく、校区内には海南市立高校と下津女子高校があり、これまた多数の欠員を出しています。一昨日の先輩議員との議論にありましたように、広域的に公立高校の役割分担の明確化や学科の再編、そして先ほど申し上げた和歌山市内中心部の中学校と同様、生徒の減少著しい海南市内の六つの中学校の統廃合を含む海南・海草地方の公立四高校の中での中高一貫教育のモデル校設置についても、あわせ市や町の教育委員会と協議し検討すべきではないのか、教育長にお尋ねします。
 また町村文部大臣は、二月二十四日の閣議後の記者会見で、完全学校週五日制について、これまでの目標としていた二〇〇三年度を一年繰り上げる方針を明らかにしました。少年事件が相次いだことなどから教育改革を急ぐ必要があるとの判断からで、教育改革プログラムを四月に再改訂するということであります。
 そして、政府は一昨日、公立の中高一貫校を中等教育学校と規定し設置できるよう、学校教育法を初めとする関連法の改正案を閣議決定し、今通常国会に提出しました。成立すれば、来年度から新しいタイプの一貫校を設置することが可能になり、一貫校の新設を提言した中央教育審議会は、受験競争の早期化につながるおそれがあることから、入学時に学力試験を課さないことなどを求めており、法案成立後、文部省は通知などにより都道府県教委に徹底を求めていくとのことであります。現実に、県下にまずモデルケースとして海南市に一校、中等教育学校を設置されてはいかがでしょうか。真にゆとりのある、魅力ある、生徒、保護者のニーズに合う中高一貫校の設置が検討できないものでしょうか、お尋ねします。
 次に、定時制高校の存在アピールと充実強化について見解をお尋ねします。
 十日前の高校の卒業式に、例年どおり、午前中は全日制、夜は定時制に参加させていただきました。夜の定時制の方は、人数こそ寂しいものでありましたが、卒業生、在校生、保護者、教職員一体となった、厳粛な中にも心温まる感動の残る式典でありました。全日制の方は、一月十五日の成人式と同様、がっかりさせられる点も多々あり、時代の流れかなとも思いましたが、なぜこうなるのかなとも思いました。
 定時制には、三修制、昼間もあります。今までの経済成長一本やりで走り続けてきた反省を込めて、年々増加する高校中退者や登校拒否生徒、障害を持つ生徒の受け入れ校としての意義も大であり、定時制の存在アピールと充実強化についてお尋ねします。
 次に、県立校の管理職登用と権限についてお尋ねします。
 今春の人事異動から新方式で管理職が登用される方針とのことでありますが、新しい手法について大いに期待するものであります。どのような組織でも、その組織のリーダーの器以上にはならないというのが世の常であります。思い切った人材登用、抜てき人事が組織を活性化させるものと信じます。学校運営初め人事などに思い切って力が発揮できるよう、責任ばかりでなく権限もきちっと付与していただきたいものであります。主役として真に頑張る子供、献身的に支える家庭、犠牲的精神で奉仕する教職員による三位一体の学校教育には強いリーダーシップを持った学校経営者の養成がまず肝要かと申し上げ、県立校の管理職登用と権限についてお尋ねします。
 以上で、第一問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの神出政巳君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 神出議員にお答えをいたします。
 まず、行革大綱の見直しについてのご質問でございます。
 ご承知のように、現在の行政改革大綱は、おおむね平成十年度までの三年間の取り組みに係る基本的な考え方を示したものでございます。このため、今後とも継続した取り組みを円滑に進めていくために見直し作業を精力的に行いまして、平成十年のできるだけ早い時期に改定を行うよう指示をしておるところでございます。
 今回の見直しにおきましては、より具体的でわかりやすいものにすること、また財政構造改革や地方分権の推進との整合性を図ることに重点を置く必要があろうと考えてございます。このために、数値目標の設定、実施計画の策定並びに事務事業の評価システムの導入など、新たな具体的方策についても積極的に検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 また、県立医科大学跡地の活用のご要望については、十分承っておきたいと存じます。
 他の問題については、関係部長から答弁をいたします。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 総務部長中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 平成十年度予算についての中の二点にお答えします。
 まず組織横断型予算編成についてでございますが、十年度予算編成でこのような手法を導入いたしましたのは、一つには県政の今日的課題を効率的に推進していくためには、所管の枠を超えた施策の総合化といった視点が不可欠でございます。さらには、厳しい財政状況の中で限られた財政資金をより有効に活用していくためには、縦割りの発想から脱却して、部局の枠を超えた予算の重点化と効率化を図っていく必要があるとの認識に基づくものでございます。
 このように組織横断型予算編成は、要求段階から関係課室間で十分な協議と調整を行うというプロセスを重視して、予算に対する発想の転換を企図したものであります。十年度予算は、この方式導入の初年度でもあることから、県政の重要課題である交通、情報等、七つのテーマについて試行的に実施しましたが、議員ご指摘のような点や本年度の成果を踏まえ、さらなる工夫を凝らしながら、次年度以降もより効率的でわかりやすい予算の編成に努めてまいりたいと存じます。
 次に、政府予算の公共事業削減による影響額についてでございますが、県の歳出ベースでは約五十六億円、財源的には国庫支出金で約二十五億円の減少となっております。また、景気対策としての補正予算への対応につきましては、国の動向を注意深く見守りながら、これと軌を一にした適切な対応を図ってまいらなければならないと考えてございますが、現時点では規模や内容などまだ不明でございますので、詳細が明らかになった段階で具体的に検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 平成十年度予算についてのうち、新産業の創出、支援と成果についてお答えします。
 まず新産業の創出に係る調査事業についてですが、本県産業の発展のためには、地域産業の高度化、新分野への進出や新規創業の支援、また新規産業の導入などの取り組みは大変重要なものと考えており、当事業はこのような観点から必要な環境整備の方向性について総合的に調査検討を行うものでございます。
 具体的には、今後の高規格道路や港湾などの交通基盤の整備、進展を踏まえて、企業へのアンケート調査等を実施し、本県に立地可能な成長産業の抽出、また工業団地と幹線道路間のアクセス改善など、企業立地促進に向けての事業環境等について関係部局と連携を図りながら調査検討してまいりたいと考えてございます。また、ベンチャー企業など新産業を育成する上で有効な支援制度についても検討を行うこととしてございます。
 次にベンチャービジネスに対する支援と成果でございますが、県ではこれまで中小企業創造活動促進法に基づき二十七件の企業の研究開発事業計画を認定し、技術面、資金面から四つの支援策を実施してきております。八年度からの実績といたしましては、まず研究開発に対する補助金が十五件、一億百三十万円、次に研究開発に係る設備投資等への低利融資が十九件、五億六千九百三十万円、また専門家の派遣指導に対する補助が五件、七百二十万円余、そして民間ベンチャーキャピタルを通じた間接投資が一件、一億円となってございます。なお、計画を認定した企業のうち、冷凍豆腐の製造を行っている田辺市の株式会社テンドレにつきましては、ことし一月、その技術開発等の独創性が評価され、国の推薦を得、大変歴史のある社団法人中小企業研究センター賞を受賞してございます。県といたしましては、今後ともこのような創造的企業が次々に創出されるよう積極的に支援してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 神出議員にお答え申し上げます。
 和歌山県立医科大学の跡地利用の検討に当たって懇話会を設置したことについてでございますが、当懇話会は医大跡地利用について各界の方々による幅広い見地からのご意見やご提言をいただくことを主目的として設置したもので、去る二月二十六日には第一回会議を開催させていただいたところでございます。
 次に、次回の懇話会に提出する県としての活用原案についてでございますが、当該地は県都和歌山市の中心に位置しており、和歌山城を前面に臨むというすぐれた立地条件を有してございます。このような立地条件を生かしつつ県勢活性化を図るとともに、県民生活の向上に資するため、次回の懇話会におきましては、これまでの県議会でのご提言や第一回会議における各委員のご意見等を踏まえて、跡地に導入すべき幾つかの都市機能を示してまいりたいと考えてございます。
 次に懇話会よりの最終報告の取り扱いについてでございますが、これにつきましては提出された報告を十分に尊重しつつ、さらには県議会のご意見もお聞きして県としての基本構想を策定してまいりたいと考えてございます。
 基本構想策定等、今後のスケジュールにつきましては、平成十年度中に基本構想を策定してまいりたいと考えてございますが、その後は県立医科大学の移転スケジュール等を勘案しつつ、構想に位置づけられた機能または施設などについて事業化方策の検討や基本計画の詰めなどを行い、実現化に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育に関する四点についてお答えいたします。
 最初に、高等学校の活性化についてでございます。
 ご指摘の大成高校では、これまで進度に応じた習熟度別授業の導入、進学を希望する生徒向けの特設クラスの設置、さらに地域とのつながりを大切にした学校開放モデル事業等を実施してきております。また昨年来、特色ある学科の新設や単位制の導入等について活発に論議するなど、校長のリーダーシップのもと懸命の努力を続けております。教育委員会といたしましても、生徒や保護者の願いにこたえることのできる魅力ある学校づくりの観点に立って積極的に指導、助言を行ってきたところでございますが、このたびの入学者選抜において、残念ながらご指摘のような出願状況となっております。このことを厳しく受けとめ、学校の活性化に向けて今後ともより一層の支援に努めてまいります。
 次に、中高一貫教育のモデル校設置についてでございます。
 従前からお答えいたしておりますとおり、さまざまな課題があることから、慎重な対応が必要であると考えております。市立、町立の学校への設置については、設置権者である市及び町において判断されるものでございますので、市から協議があった際には必要な助言をさせていただきたいと考えております。
 次に、定時制教育の充実についてであります。
 これまで、単位制による課程の設置、三年間で卒業できる制度、いわゆる三修制の導入、全日制を含めた幅広い学校間連携などの施策を講じてまいりました。これらの施策や一人一人へのきめ細かな指導により、生徒たちはさまざまな条件を乗り越え、それぞれの目的の実現に向けて生き生きと学習に取り組んでおります。こうした姿を企業関係者を交えた就職懇談会や県産業教育フェア等を通して紹介するなど、定時制のよさや魅力について広く県民に訴えてきているところであります。定時制教育には、生涯学習体系の中で新たな役割が求められていることをも踏まえ、今後一層の充実、振興に努めてまいりたいと考えます。
 次に、管理職の登用と権限についてであります。
 ご承知のように、今日の学校経営には生徒指導を初めとするさまざまな課題に対応できる強力なリーダーシップの発揮が求められてございます。こうした中で、県立学校の管理職登用に当たっては、従前、学校長の推薦に基づいて選考してまいりましたが、さきの文教委員会において幅広く人材を登用する必要があるとのご指摘があり、本年度は教育委員会が指名する者も学校長と協議の上で管理職候補者に加え、選考検査を実施したところでございます。また、個性豊かな教育を行うためには、各学校が創造性を発揮し、主体的に教育活動を推進することが肝要であり、学校長には教育課程編成権や人事の内申権などを与えてございます。今後とも、教育委員会と学校現場が一体となった教育の推進に努めてまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) 再質問がございませんので、以上で神出政巳君の質問が終了いたしました。

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