平成10年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○副議長(阪部菊雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(阪部菊雄君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、順次質問をさせていただきます。
 まず、大規模開発問題についてであります。
 最初に、フォレストシティ計画についてお尋ねを申し上げます。
 県は、昨年一月二十二日、住民の切実な声を無視して、金融不安に揺れる紀陽銀行や企業擁護を優先してフォレストシティ計画に開発許可を出しました。フォレストシティ計画の事業主体である和興開発株式会社は、前田喬前社長を先頭に、計画地の用地買収にかかわって国土法違反、所得税法違反で逮捕され、実刑判決が下されました。企業のもうけのためなら手段を選ばぬ、法を平然と犯すという反社会的企業体質を露呈してまいりました。企業としての社会的信用は、この時点で確実に失ってしまいました。にもかかわらず県は、社長初め役員の刷新によって信頼はもはや回復された、資金力についても紀陽銀行であるからと、だれもが首をかしげる理解できない許可でした。開発許可を不服として和泉山系の開発を考える会と圓明寺は開発審査会に取り消しを求める審査請求を行いましたが、県と同様の理由を述べて、本年一月八日、請求を棄却いたしました。ところが、棄却後四十一日の二月十八日、和興開発株式会社は会社更生法の適用を和歌山地裁に申請する事態が発生しました。二月十九日の各新聞報道によりますと、開発許可の前提条件となる資力と信用にかかわる重大な問題を指摘しています。和興開発は、これまで紀陽銀行と紀陽ビジネスファイナンスから五百七十億円の融資を受けてきましたが、その金利支払いが九三年十二月から滞って、以後、融資も受けられなくなったと記しています。このことから、許可された昨年一月二十二日においても、また開発審査会が棄却した本年一月八日においても、資金的能力から見ても許可条件を十分満たしていたとは到底言いがたいと考えるものです。事業を適正に完遂するどころか、事業が中断、放置される危険性が大であったと、県も開発審査会も判断するのがごく自然と考えるものです。したがって、こうした問題について十分調査をし、そのことを承知の上で許可をされたのでしょうか、知事のご所見を伺うものです。
 続いて、燦黒潮リゾート構想に関連してお伺いをいたします。
 バブル期に制定されたリゾート法が施行されて十年が経過いたしました。そして、本県は燦黒潮リゾート構想がスタートして八年目を迎えています。その計画での完成は、ほぼ十年後の平成十二年となっています。あとわずかとなってまいりました。県は、このリゾート構想を地域振興策はこれ以外のものはないとばかりに、住民の強い反対運動も軽視して、ゴルフ場を初め宅地造成などの大規模開発計画を次々と許可してきました。しかし、バブル崩壊とともに営利目的の民間企業は経済情勢の危機を理由にさっさと計画から撤退をしていくもの、金融破綻や企業倒産などによる計画そのものがとんざする現状が続いています。バラ色の計画もすっかり色あせた燦黒潮リゾート構想になってしまっているのではないでしょうか。その代表的な計画としての田辺湾総合開発から事業主体の丸紅が撤退をしています。巨額の県費を投入して進められてきたコスモパーク加太計画から大手十四社の企業が撤退し、関空開港三年が経過した現在においても広大な二百六十五ヘクタールの土地利用計画の展望がいまだに見えてきません。何よりも、コスモパーク加太計画のおくれは県行政の主体性の欠如と企業頼みの開発に望みを託した結果であり、失政であることを指摘せざるを得ません。そして、大企業の採算本位の得手勝手さにも怒りを覚えるものです。
 そこで、お尋ねをいたします。
 コスモパーク加太にこれまでどれくらいの費用が使われてきたのでしょうか。また、利子相当分としての貸付額は。今、どのような土地利用計画が検討されているのでしょうか、見通しなどお聞かせいただきたいと思います。
 燦黒潮リゾート構想計画では、民間投資額は五千七百億円、雇用は六千人の増大、余暇を楽しむために来県するリゾート客は千二百万人の増加が見込まれておりました。その進捗率はいかがなものでしょうか。平成十二年までの達成の見通しはいかがですか。関係部長の答弁を求めます。
 大規模開発と言われる宅造許可は、柏栄不動産の和歌山ニュータウン計画や村本建設、三共土地開発など、許可後、会社更生や企業倒産などによって事業が中断されており、放置されたままの土地や事業継承されたものの一向に進まぬ土地が目立ってきています。その中には、ごみ捨て場になったところも見受けられます。また、ゴルフ場の許可においては、森林法改正が平成四年六月十日から新基準となり、ゴルフ場開発による二次災害の危険性を避けるため、開発にかかわる切り土、盛り土の土砂の移動量を制限しました。旧法はその制限がなかったことから、二十二件ものゴルフ場開発許可申請が駆け込み式に行われてまいりました。この二十二件の申請事象に対しては、法施行後五年経過しているにもかかわらず旧法の適用となるのですから、日本は法治国家と言われていますが、果たして本当に法治国家と言えるのでしょうか。私は疑問を抱きます。
 平成三年三月以降、県は増設も含めて十七件の許可を行いましたが、完了したのはわずか三カ所。工事中が五カ所でありますが、この工事中においても、御堂開発や紀和観光開発株式会社の事業が中断されたままです。また、経営難のため未着手となっているものが九件もございます。
 こうした状況のもとで、地元自治体に多大な影響を及ぼしている計画もあることから、地域開発すら計画できないで困っているという訴えも続いてまいりました。許可後、三年、五年、八年以上も未着手の事象もあることを考えたとき、県行政にあっては許可さえ与えたら後はどうなってもと、企業任せになってはいないでしょうか。企業状況把握はもちろんのこと、一定期間を定めた許可条件制度を設けることを検討してみてはいかがでしょうか。許可後長い間放置されたり、方向すらわからない計画には行政の指導性と責任が問われるのではないでしょうか。ましてや、旧森林法が際限なく適用されるなら、許可条件の一項に加えることを強く求めるものです。農林水産部長のご所見を伺います。
 次に、県土地開発公社の問題について幾つか質問をしてまいりたいと思います。
 最初に、上富田町内で県土地開発公社が一九八五年から事業を開始した上富田企業用地にかかわる問題です。
 九一年九月に公社が町に売却をした上富田町字朝来三八九四番地、面積が一万一千六百二平方メートルの用地が、総額四千二百万円で上富田町に売却されました。一平方メートル当たり三千六百二十円という破格の安値です。このような安値になったことについて、公社は開発地の中に町有地がもともとあり、その部分を含めて町に売却したのでこの値段になったと、不思議な説明をしています。ここに町が同和対策事業として菓子加工作業所を建設し、田辺市にあった三万五千石という菓子会社が協力企業として進出しておりましたが、一昨年の暮れに撤退し、その後に紀州ミートという会社が進出して今作業をしております。上富田町では、先ほど述べた一万一千六百二平方メートルのうちの約六割、面積の六千九百八十九平方メートルが作業所の用地とされ、作業所の事業費の中に用地費として二億六百十九万七千円が計上されております。公社が四千二百万円で売った土地の六割の面積しかないのに、その約五倍、単位面積当たりでは何と八倍の値段にはね上がっているのです。町が県の開発公社から買ったのは上富田町の宅地造成事業会計であり、上富田町の一般会計が宅地造成事業会計から二億円余りの値段で買い取ったということです。その土地売買契約書も見ましたが、買う方も売る方も当時の山根町長の名前となっております。
 県当局は、町が県土地開発公社から買った土地に何倍もの値段をつけて同和共同作業所の用地費の国庫補助金を受け取ったことについてどのような見解をお持ちですか、関係部長の答弁を求めたいと思います。
 次に、この一月に県土地開発公社が同じく上富田町に売却した上富田企業用地内の土地一万三千百三十五平方メートル、二億円の土地売却についてであります。
 上富田町では、十二月議会に宅地造成事業会計で二億円の土地購入予算が可決されました。一月十九日には臨時議会が開かれ、開発公社からの二億円の用地買収が議決され、契約が成立しました。この土地は、上富田企業用地の二十区画のうち最後に残っていた区画です。この土地以外の十九カ所の売却価格は、先ほどの同和作業所用に売られた一件を除くと、最高価格が一平方メートル当たり四万二千二百九十円、最低価格が二万千六百二十九円となっています。ところが、今回公社が上富田町に売った土地は一平方メートル当たり一万五千二百二十六円と、これまた大変安い価格となっています。もちろん、近年の土地価格の低下傾向や自治体への売却ということから問題がないように見えますが、私は上富田町の議会議事録を読ませていただきました。大変重要な問題をはらんでいるのではないかと強く感じたのです。
 さきの質問で、同和作業所の三万五千石が撤退して紀州ミートが進出していることをお話し申し上げましたが、三万五千石の撤退にかかわって、土地の地盤沈下が関連し、その補償や地元地区と三万五千石、そして紀州ミートとの間の三者協定に基づくものが一件、それらを合わせて一億円プラスアルファの金銭の要求が開発公社の方に行われたとのことです。山根前町長は昨年十二月定例議会で、今回町が開発公社から購入した土地について次のように語っておられます。「県の土地開発公社から譲っていただいた土地がああいうぐあいに沈下したのであるから、県の土地開発公社がこれに対する償いをやってもらわなくては困るということで、強力に開発公社に働きかけをしてまいりました」と、町が公社に対し土地を造成した責任を問うたと発言をされました。
 議会という公式な場であります。働きかけた本人が説明しているのですから、間違いのない事実だと思います。そして、山根前町長は、その結果「県開発公社が譲れるだけの原価を割って、今度上富田へ提供してやろうというのが先ほどから説明している二億円の土地だ」と述べておられます。開発公社が二億円で上富田町へ売却した土地は、町が関係者に支払うお金をつくり出すように公社が原価を割って払い下げたのではないかという疑問を強く抱くものです。山根前町長は、「地盤沈下したためにこうむった諸問題を解決する。その後始末を今度の物件で全部解決したいというのが我々の願いです」とも議会で述べておらます。また、一月臨時議会で山根前町長は次のようにも答えておられます。「県の土地開発公社から買った土地が沈下したのだから公社に一生懸命お願いをした。当初は難しかったが、開発公社も了解していただき、その補てんに今の大きな土地を割安で提供してあげるので、議会の議決をいただいて上富田町の所有地にした上でそれを売買しなさい。その補てんの財源にこれを充ててくださいなどというのが開発公社のお話でした」というのです。
 私は、この経過を見て幾つかの問題点があるのではないかと思います。一つは、公社が町に対して補償金などの資金づくりのために安値で土地を売却するようなことが許されるのかどうかという点です。公社の土地造成事業は自治体の金づくりのために行われるようなものでないことは、ご承知のとおりであります。町に売った土地でお金をつくり、補償をしなさいというようなことが実際にあったのかどうか、企画部長の答弁を求めたいと思います。
 次に、仮に地盤沈下が実際に商品価値の低下につながったとしても、それが補償の対象になるかどうか、それは厳密に検討されてしかるべきではないでしょうか。施設が完成して五年も経過した段階でも補償の対象になるのでありましょうか。また、補償の責任があるとしても、その責任は土地の所有者である町が持つのか、開発公社にあるのか、十分な検討が行われてきたのでしょうか。また前町長の答弁では、公社に対して同和共同作業所の撤退に関連して金銭の支払い要求があったとのことですが、公社としてどのように対処をされたのか、お答えください。
 次に、打田町で県土地開発公社が進めている特定企業用地の買収問題について質問を申し上げます。
 先日私は、打田町の農家の方からお手紙をいただきました。そこには、次のように書かれていました。「一昨年来、県と町が推し進めてきた北勢田に対するT工場誘致の件は、農業基本法の第一条の精神を完全に無視した無定見な計画であると言わざるを得ない。なぜなら、何を栽培しても豊かな収益をもたらしてくれる農地と、一生懸命農業に従事している農家の実態も見詰めず、ただ工場誘致のことだけしか考えていないからである。私は、工場誘致そのものには反対ではありませんが」云々と、農業で懸命に暮らしを立てておられる方から、県土地開発公社などへの怒りのお手紙をいただきました。また、別の農家の方は、土地買収が進められる中で農家間の関係が悪化していることなどを憂えて、次のようなお手紙を寄せられています。「戸別に交渉することは、いたずらに農家同士の不安感、不信感をあおり立てるものであり、信頼関係を切り裂かれ、人間関係をも悪化させている」。また、「今まで汗水垂らして苦労してつくったものを高く売れなかったにせよ、長年我が子のように愛情を注ぎ込んだ農地を奪われた者にとっては、今度の町、県の農業に対する消極的な取り組みに失望した」とも訴えられています。もちろん、これらの方も、企業が和歌山に進出し、そこで働く人がふえることを願っていらっしゃいます。しかし、先祖伝来、営々と農業を続けてこられた農家の皆さんが、突如として降ってわいたT工場の誘致のために農地と宅地を売り払えと言われても、到底納得できないのも当然ではないでしょうか。
 そこで、お尋ねをします。
 先ほどの農家の皆さんのように、農業こそ生涯の仕事と考え、土地を手放したくないと言われる農家の方に、今後とも農地を手放せと迫っていくおつもりですか。打田町北勢田の農地は優良農地であり、農業を県の基幹産業と位置づけている和歌山県にとって大事にしなければならない農地だと考えますが、いかがですか。
 次に、T社の大阪工場では、冷凍車などの特装車をつくっておられるようです。企業活動は時々の経済活動に左右されるものであり、行政としてはどのような事態になっても県民の税金をむだにするようなことは避けなければなりません。土地開発公社によれば、この事業は九十二億円以上の費用を見込み、今年度末までに約二十五億円のお金がT工場の進出用地を確保するために使われようとしています。
 そこで、県土地開発公社がなぜ特定企業の進出のための用地買収に乗り出しているのですか。万一にも、用地の買収が虫食い状態になってT工場の進出ができなかった場合、あるいはT社側の事情で進出してこなかった場合、どのようになさるおつもりですか、お答えをいただきたいと思います。
 第一回の質問を終わります。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 村岡議員にお答えをいたします。
 フォレストシティ開発については、平成五年九月三日に申請された許可申請書に基づきまして、長期にわたり審査を行い、昨年一月二十二日に許可を行ったものであります。このたび、当開発計画の事業者である和興開発株式会社が会社更生法手続の申請をしたことについては、遺憾ながら近年の金融状況等、諸条件の悪化がその一因であると思われます。県としては、今後、開発計画の審査に当たってはさらに慎重を期してまいりたいと考えております。
 以上であります。
○副議長(阪部菊雄君) 企画部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 県土地開発公社を事業主体として行っている加太開発整備事業についてでございます。
 平成九年三月末現在、総執行額から土砂売却収入等を差し引いた額は、用地費、造成費等として五百二十五億円になってございます。それに対する借入金は四百九十四億円であり、うち民間金融機関から四百二十八億円を借り入れてございます。また、公社の民間金融機関からの借入金を抑制するため、平成四年度から発生利息相当額として県から六十六億四千三百万円を貸し付けてございます。
 次に、土地利用計画の検討についてでございます。
 現在、和歌山市及び県土地開発公社と共同で、平成十年度末を目途に土地利用計画の策定に取り組んでいるところでございます。この土地利用計画に基づき、所要の都市計画決定等を行うとともに、県土地開発公社が事業主体となり、土地区画整理方式で基盤整備に取り組んでまいることといたしてございます。
 次に、燦黒潮リゾート構想の進捗でございます。
 平成九年四月現在では、特定民間施設に対する投資額はおおむね八百十五億円で、承認時に予想した用地費を除く投資額四千五百億円に対し約一八%となってございます。なお、供用及び整備中を含めた施設数での進捗率は二〇%で、ほぼ全国平均と把握いたしてございます。
 雇用については、これも平成九年四月現在で千三百五名の雇用が発生しており、承認時予想六千人に対し約二一%となってございますが、このほか構想策定に際して直接雇用とされていたリネンサービスやメンテナンス等の業種のように外部委託されて雇用を生み出しているものも相当数ございます。
 また、特定施設の利用状況では、平成七年から八年度の平均で年間四百十万人を超える利用者があり、承認時予想千二百万人に対し三四%となってございますが、これらの施設で販売されている地場産品も年間十一億円を超えるなど、本県の地域振興に大きな貢献をするとともに、県内外の人々の余暇活動の受け皿として重要な役割も果たしております。
 平成十二年度までの進捗見通しについては、現在の社会経済状況から大幅な進捗は困難かと存じますが、串本町の温水プールが本年一月に供用を開始し、和歌山マリーナシティのリゾートホテルが本年四月完成予定であることなど、緩やかではありますが、着実に進展を見せております。本県の地理的条件や豊かな歴史、文化遺産等から考え、リゾート整備は重要な地域振興策の一つと認識してございまして、今後とも民間活力を活用したリゾート整備についても、環境の保全と調和に配慮しつつ長期的な視点に立って推進してまいりたいと考えております。
 次に上富田企業団地についてでありますが、ご質問の本件土地売却は、県土地開発公社としては当該団地における唯一の残された所有地であり、現在の経済情勢では早期処分が難しいこと、また町当局の地域の活性化に資したいとの熱意により、分譲したものであります。価格については、本物件をもって当該団地の販売が終了することや用地取得、造成、分譲に至るまでのこれまでの町当局の協力、当該団地全体の収支等から分譲価格を決定したものであります。
 地盤沈下等に対する責任については、当該土地は平成三年、県土地開発公社から町に分譲した物件であり、共同作業場の建設にゆがみが生じていることは聞き及んでいたところでありますが、町当局からその原因究明を求められたり、地盤沈下によるものとの判断も聞いておりません。公社において、補償等の責めを負うものではないものと考えております。
 次に、打田町東部地区工業用地造成事業は、打田町及び県の要請を受けて、県土地開発公社が用地取得造成事業を実施しているところであります。
 事業計画地は大部分が農地でありますが、企業誘致によって雇用の確保等、地域の活性化を図ってまいりたいとの町当局の要請を受け、事業着手することとなったものであります。平成八年十月より用地取得交渉に入り、現在約七〇%の用地を取得しておりますが、地権者の方々のうち農業継続を希望される方には代替地を確保し、営農に支障を来さないよう配慮を行うなど、誠意をもって交渉に当たり、ご理解をいただくべく努力しているところであります。また、事業の完遂については半数以上の方々のご協力を得ており、町当局も公社とともに地元に入り、ご協力をお願いしているところであり、引き続き未契約者に対してご理解を求め、目的達成のために努力してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 農林水産部長平松俊次君。
  〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) ゴルフ場開発許可に期限をつけたらどうかというご質問でございますが、森林法に基づく林地開発行為の許可に当たっては、森林の持つ公益的機能を維持するために必要最小限の条件を付すことができることになってございます。しかしながら、法的には許可条件として期限を定めることにより事業の実行性を担保することは無理があろうかと思います。
 なお、県では許可済みの案件について、事業者に対し事業の自主的廃止を含め、今後の見通しを立てるよう定期的に指導しているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 村岡議員ご質問の上富田町の大型共同作業場建設については、平成三年度事業として、工事費、用地費が国庫補助対象となっており、国庫補助金が工事費二億八千八百八十万九千円、用地費一億三百九万八千円、計三億九千一百九十万七千円であります。この用地の補助対象事業費としては、町から不動産鑑定書に基づき補助申請がされ、補助対象となったものでございます。
 ご指摘の点については、このような事実は承知しておりませんので、事実関係等調査してまいりたいと考えております。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 37番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 ご答弁をいただきました。
 フォレストシティの問題です。
 知事は、遺憾に思う、今度会社更生法をしたのは金融不安があるんだ、経済情勢の変化だとお答えになったわけですけれども、しかし新聞報道等どれを見ても、許可された去年の一月二十二日時点においても、もう和興開発は今までの五百七十億の融資の利払いさえもできなくなっていた、そして許可される直前に五億円の融資を受けたけれども、それ以後は銀行の方から融資は断られたとなっているわけです。ということは、この許可する以前の一九九三年十二月、この時期はちょうど前田喬前社長が国土法違反や所得税法違反で、和興開発株式会社と専務理事や社長たちが大阪地検に告発されて、九三年十一月十一日時点で既に逮捕されているわけですね。こういう事態になっているときに、あえて許可がおろされた。
 もう一点は、この融資以外のお金もさることながら、簿外債務が四十一億円にも上っている。さらには、昨年の夏となっていますから、最もこの工事を推し進めていく工事施工者である大手ゼネコンの東急建設が許可されて半年後にはもう撤退をするという事態に至っているわけですから、許可後一年もたっていない時期にこういう事態が発生したということを考えてみると、本当に資金力、社会的信用といったものが許可基準に合うていたのかどうか、このことはどうしても疑わざるを得ません。知事は、一月二十二日の記者会見の中で「苦渋の選択をした」と言っておられるわけですけれども、この時点では少なくとも利払いはもう滞っておったということは把握しておられたんでしょう。その問題をお答えください。
 それから、直接的な原因にはならないかもわかりませんけれども、簿外債務がどれほどあるということもおわかりになっていたのか。
 そして、開発審査会に住民団体の皆さんや圓明寺の皆さんたちが、こういった問題を含めて取り消しを求める訴えをいたしました。開発審査会の真っ最中に東急建設が撤退をしていっているという問題、これは見逃していらっしゃったのか。開発審査会がこういう事態も含めてもっと慎重に審査をしていたならば、あのような棄却の内容にはならなかったはずです。棄却になったとしても、中身のある棄却になっていたのではないでしょうか。
 もう一度お尋ねをいたしますけれども、新聞報道に載っているこういった問題について知事は十分ご存じの上で、あるいは開発審査会もこういった問題を把握した上で許可や棄却に至ったのか、このことを教えてください。
 今でも、知事はあの判断は間違っていなかったと思っていらっしゃいますか、そのこともあわせてお答えください。
 それから、ゴルフ場の問題です。
 先ほども申し上げたように、十七件の許可が行われて、しかし完成しているのは三カ所だけで、あとは未着手になっているところ、あるいは中途半端に終わっているところがあるわけです。しかし、この許可された事象は全部旧法が適用するわけですね。既に許可されてから八年を経過しているものもあります。三年、五年、六年と、かなりの期間を経ているものもあります。こういうことが旧法という形で幽霊的に存在していいものかどうか、旧法を一体いつで打ち切るのか、未来永劫にこの旧法を続けていくのかどうか。こういった問題も、この許可に当たっては十分考えなければならない問題だと思います。今、まだ審査されているものがあります。この審査している事象については少なくとも新法で行われるのが当然だと思うわけですけれども、旧法が依然として生きることには納得がいきません。その点についてお答えいただきたいと思います。
 それから、開発公社の問題です。
 町当局に対して異常なほど安値で売却されているということは、だれもが不思議に思うことだと思います。この地盤沈下が開発公社の造成工事によって起こった、その補償を求められているということなんですけれども、こういった問題について先ほどの企画部長の答弁では、県は何も聞いておりません、ましてやそういうものに補償する必要はないとおっしゃっております。これは、求められてこなかったのかどうか。そういう話は一切聞いていないということになるのか、地盤沈下が起こったことについては報告があったのかどうか。そして開発公社が造成をしたわけですから──地盤沈下が一定度起こることは予想されて造成工事が行われると思うんです。しかし、営業に大きくかかわる状況があった、あるいは商品価値がなくなって営業ができなくなって撤退をした。それに対して補償をしてくださいということが言われているわけですけれども、これは全く聞いていないということになりますか。それとも県は、聞いたけれども調査する必要はないし、開発公社は責任を持つ必要はないという判断に立ったのでしょうか。このことについて具体的にお答えください。
 これは、私どもが勝手に言っているわけではありません。町長が議会の中で述べられている内容でありますから、事実であります。この町長がおっしゃっている文言については否定をされるのか、それとも関係ないと突っぱねられるのか。このことについてもお答えください。
 それから、打田町の問題です。
 打田町の皆さんたちは、企業が来ることについて決して否定的な態度をとっていらっしゃるわけではありません。ただ、自分は生涯ここで農業を営んでいきたい、そういう思いの中で土地を売買することにちゅうちょしていらっしゃる状態です。和歌山県は農業県として、農業を守り、維持発展させていく、そして農業だけでも経営が成り立つように農家の育成に努力をするというのが行政の姿ではないでしょうか。そういう点から見ても、今の打田町北勢田の用地買収のあり方は問題がありませんか。そういう点についてもお答えいただきたいと思います。
 以上で、第二問を終わります。
○副議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 村岡議員の再質問にお答えをいたします。
 先ほどフォレストシティの問題についてはお答えを申し上げたわけでありますけれども、申請が出されたのは平成五年でありますから、許可をおろした平成九年とはかなりの年の隔たりがあるわけであります。その間の情勢変化というのは、いろいろあったと思います。
 書類上については、担当部局が長期間にわたって審査をしたわけでありますので、その内容の細かい点については一々承知をしておりませんけれども、最終的に私が総合判断を下したのは、「苦渋の決断」と申し上げたように、経済活性化のために何としてもプロジェクトが欲しいというご意見と自然保護を初めとしたさまざまな方々のご意見と相対立する中で、私としては何らかの決断をしなければならんという中で、あえて和歌山の活性化を図ることのために、出された書類の審査をまって、正しいものと確信をして決断をしたところであります。
 なお、開発審査会については私から答弁をする性格のものではありませんので、差し控えます。
○副議長(阪部菊雄君) 農林水産部長平松俊次君。
  〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 開発許可の問題について、新法、旧法の関係でございますけれども、確かに旧法で解決しなければならない問題がございます。法制度上の問題でございますので、私どもが判断する立場にはないと考えます。
○副議長(阪部菊雄君) 企画部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 上富田町の上富田企業団地問題についてでありますが、地盤沈下については承っておりますけれども、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、売却価格については、本物件をもって当該団地の販売が終了すること、あるいは用地取得、造成、分譲に至るまでのこれまでの町当局の協力、当該団地全体の収支等から分譲価格を決定した上で売却したものであります。したがいまして、公社において補償等の責めを負うべきものではないと考えております。
 それから打田町の工業団地造成事業についてでありますが、公社といたしましては、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、土地所有者のご協力が得られるように、今後も引き続き用地の取得に努力してまいりたいと考えてございます。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(阪部菊雄君) 再々質問を許します。
 37番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 知事、すりかえないでほしいんです。資力信用の問題でいけば、和興はもう確実に破綻していたんですよね。ただ、紀陽銀行がお金を出すから紀陽銀行を信用してゴーサインを出したということには変わりがないと思うんです。しかし、先ほども申し上げたように、申請時期から許可時点までに国土法違反やさまざまな問題が生じて、そこで慎重審査をせざるを得ないという状況に至ったわけですけれども、この許可を与えるまでの間、あるいは一月二十二日の時点、それ以後においても九三年十二月から利払いさえもできなくなっているような企業、こういったところが果たしてこの工事を──あるいはまた、その時点においても東急建設はもう撤退をするということがうわさとして流れていたわけですね。そして、事務所にも東急建設の人たちがいなくなっていたということが現実にあったわけです。それを、私たちは交渉の中でも再々主張をしてまいりました。しかし、そういったことにあなた方は耳をかさなかったわけです。工事施工者である東急建設も去り、和興開発という企業も利払いさえもできなくなり、さらには簿外債務が四十一億円もあるというような事態で、本当にこの計画そのものを完遂することができるような状況にあったのかどうかというところが最も大きな判断の基準になると思うわけです。そういった点から見て、知事は紀陽銀行があるから大丈夫だということのみが判断基準になったのではないかと思うわけですが、その知事の判断は正しかったと今でもお思いになっていらっしゃるんですか、そこのところをきちっと答えてください。
 それから、農林水産部長。法のもとで農林水産部長が判断する立場にないと。それは、もちろんそうです。判断する立場になければ、じゃ、何年も何年も放置された状況が、そのまま法で何ともできませんから仕方ありませんということで何にもしなくていいかということになるわけですよ。ただ、あなた方は行政指導として企業にどうするのかということをちょこちょこやっているという話ですけれども、しかし、いつまでも旧法が生き続けること自体の方が問題なんです。
 そういう点で、国に対して法律でできない部分について、行政自体も困っている問題、あるいは企業が勝手気ままにやっているところについて通達とか通知とかで規制を加えていく。そういうことが今求められているときだと思うんです。
 今、どこも資金繰りが立ち行かないから中断したり未着手になっているというのはよくわかるわけですけれども、しかし行政としてはそれだけで済む問題と違うでしょう。許可したことについては責任を持たなければいけませんよ。遂行できるということがはっきりなっていて許可をしたわけでしょう。計画の中には、いつぐらいまでに完成させますということまで含めて審査対象になっているはずですよ。そのことを抜きにして、あなたが今言ったような答弁をしたらいけませんよ。できないところについては、行政として何をするのか、国に対してどうするのかということまで含めて考えていただきたいと思うんです。それは、要望にしておきます。
 知事、もう一回答えてください。
○副議長(阪部菊雄君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 村岡議員にお答えをいたします。
 ご質問に対して少し誤解があるかもしれません。許可の時点では、必要とされる書類は全部整っておったわけであります。それを総合判断して苦渋の決断をしたと申し上げたわけであります。その時点では間違っていなかったと思っております。
 以上であります。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(阪部菊雄君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十七分散会

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