平成10年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(高瀬勝助議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 19番高瀬勝助君。
  〔高瀬勝助君、登壇〕(拍手)
○高瀬勝助君 通告に従いまして、質問をさせていただきます。
 私はまず初めに、青少年の健全育成とスポーツ活動についてお尋ねいたします。この質問は昨日の新田議員と重なり合うところがありますけれども、よろしくお願いをいたします。
 私は、これまでスポーツについて、さまざまな視点からそのすばらしさを取り上げてまいりました。過日の長野市での冬季オリンピック大会が、日本選手団の大活躍により、大きな感動のうちに終了いたしました。中でも、私が最も感激したのは、スピードスケート五百メートルで金メダルを獲得した清水宏保選手の一挙手一投足であります。落ちついた中にも喜びを精いっぱい表現した言葉や、父を亡くした後の母への感謝、思いやり、「他の同僚や先輩がいたからこそ、この成績が残せた」という謙虚な言葉、そして、世界平和に役立つようにという願いを込めて、地雷防止キャンペーンへの金メダル報奨金の寄附の申し出等々、実に敬服するものであります。体が小さくても、自分の可能性を信じ、ただひたすらに努力すれば目標を達成することもできるし、また、その過程において人間性も高めることができるということを教えてくれたと思います。
 先般、文部省の調査では、全国の公立中学・高校での校内暴力は、中学校で八千百六十九件、高校で二千四百六件の合わせて一万五百七十五件という過去最大に達し、特に教師への暴力が前年の一・五倍に当たる千三百十六件という実態が示されました。
 その校内暴力の特徴として、一人で突然ムカつきを爆発させ、その結果、学級が崩壊し、授業が成り立たないというケースもふえ、さらに、悩んで休職に追い込まれる教師もふえているとも指摘されており、本年一月末には、中学生が先生から注意され、ナイフで刺して死亡させたという痛ましい事件も発生いたしております。つい先日の九日には、埼玉県の東松山市で中学生同士が、けんかからナイフで同じ一年生の生徒が刺し殺されるといったショッキングな事件が起きました。また、私の住んでいる和歌山市では、先月の二十七日、和歌山市の北部にある中学校で、三年生の生徒が校長室で机のガラスをたたき割った上、ストーブにかけていたやかんを投げつけ、校長が熱湯でやけどを負い、この中学生が今月六日、和歌山北警察署に逮捕されるといった事件が起こっております。一方、いじめ問題を見てみますと、いじめの件数は、前年度を下回ったとはいえ、小・中・高・養護学校を合わせて約五万一千五百件という、まさに教育の危機的状況が浮き彫りにされました。
 中央教育審議会では、二十一世紀を展望した我が国の教育のあり方の審議のまとめで、今後における教育のあり方の基本的な方向として、豊かな人間性、正義感や公正さを重んじる心、みずからを律しつつ他人と協調し他人を思いやる心、人権を尊重する心、自然を愛する心など、こうしたことを養うことは、いつの時代においても、どんなに社会が変化しようとも不易なものであり、大切にされなければならない、これらの問題を解決するに当たっては、家庭、学校、地域社会の役割と連携を図ること、教師の質の向上、教育委員会や学校における取り組みの充実、スクールカウンセラー等の専門家の協力が必要であるとも提言されております。
 本県でも、校内暴力やいじめに対してさまざまな対策、施策が講じられていると存じますが、ここで本県における校内暴力、いじめの実態とその対策、さらにその対策の成果について、教育長にお伺いいたします。
 さて、私は昭和三十年過ぎから、青少年の健全育成の一助になればと思い、少年野球クラブの指導に携わってまいりました。子供たちは、仲間とともに一つのボールを必死に追い求めて、泥だらけになりながら練習に打ち込み、試合においては練習の成果を思い切り発揮して戦い、勝ったときの喜びや感動、負けたときの悔しさを体験し、日々たくましくなっていきます。
 その練習や試合には、子供や保護者、また地域の指導者が一体となって参画しており、小学校時代の四、五年の間ではありますが、この間に子供たちは、正義感や思いやりの心、クラブを支えてくれた監督やコーチを初め周囲の方々への感謝等々、実にさまざまな経験を通し、心身ともにバランスのとれた成長を遂げていくように思います。まさに中央教育審議会答申の提言にある、これからの教育の目指す方向に沿ったものではないでしょうか。
 ところが、中学校へ入学いたしますと、運動部活動は学校教育活動の一環として位置づけられ、そこでは、小学校の地域スポーツクラブとは違って保護者や地域社会との連携が余りとられていないのではないでしょうか。従来から学校は、地域や保護者等が直接運動部活動等にかかわるのを好ましく思っていないような雰囲気もあり、また地域や保護者も学校活動に余りタッチしない方がよいのではという感じを持っている気がいたします。しかし、中学校における生徒の暴力、いじめや不登校が指摘されている中、おのおのの学校だけではなく、学校間の連携を深めるとともに地域スポーツ活動との連携を促進し、年長者や年少者との触れ合い、また幅広い仲間との交流を図り、人間的成長を促すような抜本的な改革が必要ではないでしょうか。
 プロサッカー・Jリーグが掲げた「地域に根差したスポーツ文化づくり」という理念は、地域社会に根差したクラブを舞台に豊かな生活の一部としてスポーツを楽しむという、新しいスポーツライフのあり方を提示していたと思います。また、このことは、今まで主として学校や企業を中心に進められてきたスポーツ振興に、地域という観点からスポーツを振興するという新しい視点をもたらしたと思います。以来、各都道府県や市町村はスポーツクラブづくりに目を向け、公共スポーツ施設、学校施設等を巻き込みながら、子供から高齢者まで、また、種々のスポーツを取り入れたスポーツクラブづくりが進められておりますが、まだまだ十分なものであるとは言えないのではないでしょうか。
 現在、一九八〇年代初頭に吹き荒れた校内暴力とは違った形で、「キレる」とか「ムカつく」という言葉で表現される新しい形での問題が特に中学校で起こっていることに対し、私は、スポーツ活動を通して何とか解決を見出すことができるのではないかと思うものです。
 今後、学校における運動部活動と地域社会におけるスポーツ活動とのかかわりを含め、スポーツ活動と青少年の健全育成について教育長の見解をお伺いいたします。
 続いて、昨年の十二月、大阪花園ラグビー場では全国高校ラグビーフットボール選手権大会が開かれ、本県代表の県立熊野高校は栃木県代表の強豪チームである国学院栃木高校と対戦し、十二対六十で緒戦敗退したものの、学校やラグビー協会の関係者は「あの強豪を相手によくやった」と、選手らの善戦ぶりをたたえていました。
 本県のラグビーフットボール協会の会長さんは、毎年欠かさず県の代表校の応援のために花園に足を運ばれ、試合後はいつも「和歌山の子供は中学校での経験もないのに、よく鍛えられている」と、選手に声援を送られます。しかし、「あの難しい楕円形のボールのさばき方など、中学時代からやらせたらなあ」と、常に口にしておられます。
 さて、本県では、昭和四十六年の黒潮国体の開催を契機に数多くのスポーツが強くなり、「野球王国」や「相撲王国」とまで言われてきましたが、現在では、高齢化が進むとともに少子化等による生徒の減少等で、中学校での運動部は年々減少してきているとのことです。このような中、昨年の十一月、県営紀三井寺公園球技場では近畿中学校総合体育大会ラグビーフットボールの部が開催され、和歌山県を除く近畿五府県の代表校が戦いを繰り広げ、本県の役員や関係者は運営だけの参加にとどまり、肩身の狭い思いをしたと聞いております。
 身体の最も成長期にある中学校時代にそれぞれの能力や個性に合ったスポーツを身につけていくことは、生涯スポーツや競技力の向上につながっていくものであり、このためには幅広いスポーツの機会を生徒に提供させてやることが重要ではないでしょうか。また、学校の運動部活動では指導者の確保も大きな問題であります。参加する生徒は、頂点を目指す生徒や仲間との触れ合いを求めるなど、多様な目的を持っていることは承知しておりますが、技術の向上を目的とする生徒の要求にこたえるためには指導者もある一定の技術や指導力を有する必要がありますが、現実的にはそのような先生は少ないのではないでしょうか。
 お伺いしたところ、県教育委員会では運動部活動の振興策として、地域社会から指導者を招く制度である運動部活動外部指導者派遣事業を実施しており、この事業は今年度から運動部活動地域連携促進事業として枠が拡大されたと聞いております。運動部活動を推進する上で指導者の不足が大きな問題と言われている中で、このような制度を一層充実することはもちろんのこと、あわせて学校で指導に当たる先生の指導力を高めていく方策も講じる必要があると思います。
 さきの花園ラクビー場の話に戻りますけれども、この大会で上位進出を果たしている大阪の啓光学園を初めとする強豪チームのほとんどは、キック専任、フォワード専任、バックス専任という、それぞれのコーチやトレーナー、チームドクター等、何人ものコーチングスタッフを備え、チーム力の強化を図っております。これでは、監督が何役ものコーチを兼ねている本県のチームとの格差はますます広がるばかりであると懸念されるところであります。
 ここで、他府県で実施されているが本県の中学校では設置されていないラグビーを初めとする競技について、積極的に導入していただき、また外部指導者の積極的な登用を初めとする指導者の育成に努めていただきたいと存じますが、教育長の見解をお伺いいたします。
 次に、スポーツ国際交流について知事にお尋ねをいたします。
 本県では、平成六年に開催した世界リゾート博で、西サモアがこの博覧会に正式出展し、それを契機に西サモアの観光・大蔵大臣が来県し、その後、民俗芸能の伝統舞踊ショーなどの交流、さらに昨年五月には、西サモア政府観光局が和歌山マリーナシティに和歌山支局を開設し、国際交流を深めています。
 この西サモアの人たちはラグビーに関して特に興味や関心、身体能力が高く、そのボールさばきは「フィジアンマジック」、「南太平洋マジック」とも呼ばれ、そのプレーには目をみはるものがあり、ワールドカップ等の国際大会への出場、さらに、優秀な選手は日本やヨーロッパなどのチームで大いに活躍しております。
 そこで、本県に西サモアの大学生や高校生のラクビー選手、それにコーチングスタッフ等を中長期的に受け入れ、ラグビーを通しての交流を図ることは、スポーツの振興はもちろん、国際親善の面でも意義あることではないでしょうか。知事の見解をお伺いいたします。
 続いて、トラック等の過積載等の取り締まり状況と事故防止について質問をいたします。
 近年、大型トラック及び大型トレーラーによるところの交通事故が多発していることにかんがみまして、なぜこのような事故が起こるのか、その要因は過労や過積載かどうか、私なりに考えたところであります。
 我が国の産業経済を初めとして、身近なところでは宅配、引っ越しなど、県民生活を支えているトラック輸送について、私たちはもう一度改めて認識をしておかなければなりません。また車両の性能も、戦後の経済の発展に合わすかのように著しく向上しました。大型車両を見てみますと、過去においては現在のようなパワーステアリングやエアブレーキ、ABSシステムといった装置はなく、荷物の積み過ぎが原因で起こる交通事故が多発し、とうとい命が失われるといったケースも数多くありました。しかし、車両の性能が向上した現在、事故は昭和三十年代に比べると大きく減少したものの、相変わらず発生をしています。これは、大型車両がスムーズに通行できる道路網整備を初め、過労運転、過積載等、さまざまな要因が挙げられます。中でも、過積載による大型車の事故は重大な事故につながります。
 我が国では、交通事故防止に向けて大型車に対する道路交通法、車両運送法等が次々に改正されるなど、貨物輸送に携わる事業所は協会や会社を挙げて事故防止や輸送秩序の確立に取り組み、また企業イメージの向上に向けて取り組んでいます。この四月からは道路交通法が改正され、その中で大型貨物車に対する規制では、高速道路での大型車両の左側線の走行や過労運転、大きな速度超過に対する処分の強化等について改正が行われたと聞いております。
 そこで、過積載による事故防止対策についてお伺いいたします。
 自動車検査証いわゆる車検証に記載されている最大積載量を超える不法な過積載は大きな事故につながることから、平成五年の道路交通法の改正によってその対策が強化されたと聞いております。また、事故を起こしたドライバーはもちろんのこと、車両の使用制限や荷主等の背後責任等についても対策が強化されたということですが、本県では改正後五カ年余りたった中、これらの取り締まり状況は他府県との比較も含めてどうか、また悪質なケースについてはどのような処置を講じたかについても、警察本部長にお尋ねをいたしたいと思います。
 次に、貨物輸送におけるハード面での道路整備促進についてであります。私はこの問題について、議場で登壇させていただくごとに整備促進を訴えてまいりましたが、ここで改めて、都市計画道路湊神前線について申し上げます。
 昭和六十二年の事業認可以来、JR紀勢線を立体交差するために、宮前地区の東側地域では既に橋脚五基や橋台一基が完成し、本年九月ごろを目途に架設が終了するほか、紀勢線をまたぐ長さ三十五メートルの橋梁架設工事についてもことしじゅうに完成する運びと聞いております。この工事は、西側区間の用地問題解決後、橋脚などの設置事業にかかるということであります。これは、地区住民及び産業経済界挙げての悲願であると言っても過言ではありません。
 さきの議会でも述べましたように、和歌山市では朝夕のラッシュ時に大きな交通渋滞が生じているほか、県が進めている和歌山下津港のベイフロンティア構想や西防沖の埋め立てに伴うLNG基地やサテライト型基地等の大型プロジェクトが計画されている中、大型貨物車による交通量が今後ますます増加するのは間違いなく、この湊神前線や南港山東線、松島本渡線等々の道路整備による交通ネットワークづくりは必要不可欠なものであります。県当局におかれましては、一日も早い完成を目指して努力されることをお願いいたします。なお、この道路整備促進については要望とさせていただきます。
 これで、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの高瀬勝助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 高瀬議員にお答えをいたします。
 スポーツの国際交流についてであります。
 スポーツを通じて国際交流を図ることは、スポーツの普及振興に寄与することはもちろん、諸外国の相互理解あるいは友好親善に大きな役割を果たすものと考えてございます。
 本県では、現在、日中友好スポーツ交流事業、あるいは日独のスポーツ少年団交流事業を行ってございまして、それぞれの国の伝統的なスポーツを体験することによって国際理解と友好親善を図っておるわけであります。また国際大会の開催では、平成六年に世界レーザー級ヨット選手権大会を和歌山マリーナシティで開催し、本年六月には国際卓球選手権大会をビッグホエールで開催することとなってございます。
 お話のより高い競技力を目指す選手にとりましては、世界のトップレベルの選手のわざや精神力を身近に見たりともにプレーをすることができれば、技術の向上に極めて効果があるものと思うわけでございます。
 ご質問にございました、西サモアに関連してのトップレベルの選手を本県で受け入れて交流を深めるということにつきましては、今後、県スポーツ振興審議会を初め、関係者の意見を聞きながら研究をしたいと考えております。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 青少年の健全育成とスポーツに係る三点についてお答えいたします。
 本年一月末、栃木県で中学生が女性教諭を死亡させるなど、全国的に衝撃的な犯罪が相次いで発生しており、校内暴力につきましても増加する傾向にあります。本県では、平成八年度、校内暴力は小中高等学校で十四件が報告されており、いじめは二百六件となってございます。
 教育委員会におきましては、教育相談やカウンセラー派遣等を行い、子供の心理的問題の解決に努めるとともに、関係機関連携推進会議を設置し、学校、家庭、地域社会が連携し、子供の健全育成のための取り組みを進めてきてございます。こうした取り組みと子供の教育に携わる多くの関係者の努力によりまして、本県においてはこれまで刺殺事件のような深刻な事態には至っておりません。
 児童生徒にとっては、楽しく学び、生き生きと活動できる場、一人一人が尊重され、好ましい人間関係の中で自分の存在感や自己実現の喜びを実感できる場が大切であります。こうした意味で、学校や地域社会において子供たちが積極的にスポーツ活動などに参加することは、人間的な成長を図り、問題行動を防止する上で大きな意義があると考えます。
 次に、学校での運動部活動と地域スポーツ活動とのかかわりでございます。
 スポーツ活動は、成就感や達成感、爽快感などを味わうとともに、挫折を乗り越えるなどの経験を通して問題を解決する能力や自立心を養うなど、人間として成長していくものであります。また、年齢の異なった集団の中で互いに協力し合い、高め合いながら自主的、自発的に行うことによりまして、友情や連帯感あるいは集団生活のルール等を身につける場でもあります。
 本県小学生の地域スポーツクラブへの参加状況は、野球、剣道、バレーボールなど二十三種目、五百八十四クラブで約一万五千人が参加いたしております。中学生では学校の運動部活動が中心となっており、地域スポーツ活動への参加は十二種目、六十四クラブ、約一千人となっております。
 これからのスポーツ活動は、学校における運動部活動と地域スポーツ活動との連携を図ることが大切であり、今後とも生徒の多様なニーズにこたえる環境の整備に一層取り組んでまいります。
 次に、本県の中学校における未設置種目と指導者についてであります。
 ご指摘のとおり、ラグビーフットボールにつきましては、残念ながら運動部が設置されておらない状況でございます。こうした競技については、地域スポーツ指導者や各競技団体等と連携を図り、また、中学校の理解も得ながら部の設置を促進し、中高一貫の指導体制の確立に向けて努力してまいります。
 次に、外部指導者の導入についてであります。
 今年度は、中学校で十九校十九人、高等学校では十三校十七人の指導者を外部からお願いするとともに、運動部活動指導者研修会はもちろんのこと、外部指導者研修事業も実施し、指導者の資質の向上に努めております。今後とも、運動部活動の一層の活性化を図るために、指導者の確保充実につきまして重点的に取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 警察本部長米田 壯君。
  〔米田 壯君、登壇〕
○警察本部長(米田 壯君) 高瀬議員のご質問にお答えをいたします。
 いわゆる過積載につきましては、重大交通事故を防止することを目的として平成五年度に道路交通法が一部改正されまして、より一層対策が強化されたところであります。
 警察といたしましては、この改正の趣旨に基づき、大型車両の過積載、とりわけ超過割合の高い違反に重点を置いた取り締まりを強化しておりまして、昨年中は三百六十四件を検挙いたしております。この改正法施行後の平成六年以降は、年平均三百四十二件の検挙ということでございます。改正法施行前の五年間の年平均は二百四十九件でございまして、改正後は相当数、検挙件数が増加しております。また、平成八年末現在の当県の貨物自動車台数は全国第三十四位、二十四万七千四百十八台でありますけれども、過積載の検挙件数は全国で第二十七位となっております。他府県と比較してみても相当高いレベルであると言えるかと思います。
 なお、表面的な過積載の検挙のみにとどまらず、それを引き起こす要因にまで踏み込んだ諸対策を推進しているところでございまして、特に平成五年の法改正によって新設された幾つかの制度、すなわち公安委員会による違反車両の使用者に対して過積載防止のための必要な措置をとることの指示、それからこの指示違反に対する車両の使用制限、荷主等の過積載要求行為に対する再発防止命令を厳正に行っているところであります。
 ちなみに、昨年は指示が四十五件八十八台──これは全国で第十六位でございます──使用制限一件一台、再発防止命令一件となっております。このほかにも、公安委員会から陸運局に対して営業用車両の過積載の通知を行い、同局においても適正な処分が行われていると承知しております。
 過積載はひとり警察のみの力によって防止できるものではなくて、関係機関・団体等による総合的な諸対策が必要不可欠であります。今後とも、陸運局を初め、関係機関・団体等との連携を密にして過積載防止を図ってまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 19番高瀬勝助君。
○高瀬勝助君 答弁ありがとうございました。
 今いただいた中で、特に学校の暴力事件というのはかなり深刻な問題であるということは、もうきのうからの質問の中でもご承知のとおりだと思います。
 きのうも、ご承知のとおり、中学校の卒業式に大阪府警が二千人で警戒というような──徹夜パトロールということで、府内五百二十三校の卒業式で、和歌山県警の全警察官の数を上回る二千人体制で少年補導員を配置して暴力事件の防止等に向けて警戒したというような記事が朝日新聞の一面トップに載っておりました。卒業式の前夜からもパトロールをするほか、学校に泊り込みで徹夜の警戒だとか、毎年、学校からの出動要請を受けて警戒に当たっているということで、全国的に目立つ大変な時期だと思っております。
 この記事にあるように、学校での暴力事件は深刻な局面であるということですけれども、よく耳にすることで、親と子のコミュニケーションが最近だんだん少なくなっているのは事実だと思います。すべて学校の方に子供をゆだねて、「学校が悪いんだ」ということで処置をする場合をよく聞くわけですけれども、そういう意味で、私が訴えたスポーツ振興ということは、スポーツクラブに参加することによって、決められた規則を守り、そして団体で行動することでのお互いの協調・共存ということが大事ではなかろうかと。特に、中学時代が少女にとっても一番の青春時代でもございます。小学校のときは私服で行くわけですけれども、中学校になると制服に変わる。そういうことから、学校の中での閉鎖的な行動が、いろんな形で家庭とのコミュニケーションをなくすし、またいろんな事件が起こっている原因にもなっているのではなかろうかと。それを何とか突破・改善するために、スポーツというものがもう少し幅広くできたらなと。それが私の、中学での暴力事件に対するスポーツの観点からの訴えでございます。
 どうぞ教育委員会の立場では、学校教育の中で、特に中学教育について再考していただき、いろんな方向で、子供たちの成長期の一番大事なときをすくすくと育てるような、学校へ行ってよかったというように、ひとつ頑張っていただきたいことを要望いたします。
 それから、先ほどトラックの過積載についていろいろお話をさせていただきました。私は過積載を特に重視するわけではないんですけれども、交通安全ということで、大型化の中で、また和歌山県のような、交通量が多く道路幅員が小さいところなんかでは特にそういうことがございます。過日もトラック協会でいろいろと勉強をさせていただきましたが、その中で過積載ということが出たわけです。現在、経済情勢が大変悪化もしておりまして、運賃のダンピングとか、競争が激しいトラック事業の今日でございます。そういう意味で、交通安全ということの中から、安全運転でそういうものをしてもらいたいと。
 伺えば、先ほどから話が出ておりました南紀熊野体験博に向けて、和歌山県のトラック協会も地域の安全のためにということで、点滅した光で知らせて事故防止をするという自発光式のものを相当な金額で寄附して協力したというお話も伺っております。そういうことで、自動車業界挙げて取り組んでいただくとともに、和歌山県の交通事情をしっかりと見ていただきまして、我々の生活に安全な交通体制をつくってもらいたいと、そのことを要望いたしまして、終わります。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で高瀬勝助君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(木下秀男君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十三分休憩
      ─────────────────────

このページの先頭へ