平成9年12月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程   第七号   平成九年十二月十八日(木曜日)
                午前十時開議
  第一 議案第百二十四号から議案第百三十九号まで、議案第百四十一号から議案第百四十五号まで、及び請願十二件、並びに継続審査中の議案第百二十号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
  第二 各常任委員会及び議会運営委員会閉会中継続審査の件
  第三 議案第百四十号(特別委員会設置・付託・委員選任)
  第四 各特別委員会閉会中継続審査の件
  第五 意見書・決議案
会議に付した事件
   一 議案第百二十四号から議案第百三十九号まで、議案第百四十一号から議案第百四十五号まで、及び請願十二件、並びに継続審査中の議案第百二十号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
   二 各常任委員会及び議会運営委員会閉会中継続審査の件
   三 議案第百四十号(特別委員会設置・付託・委員選任)
   四 各特別委員会閉会中継続審査の件
   五 意見書案
出 席 議 員(四十七人)
     1  番    大    沢    広太郎
     2  番    木    下    善    之
     3  番    小    川         武
     4  番    吉    井    和    視
     5  番    下    川    俊    樹
     6  番    井    出    益    弘
     7  番    藁    科    義    清
     8  番    門         三佐博
     9  番    永    井    佑    治
     10  番    新    島         雄
     11  番    向    井    嘉久藏
     12  番    佐    田    頴    一
     13  番    和    田    正    一
     14  番    阪    部    菊    雄
     15  番    西    本    長    弘
     16  番    馬    頭    哲    弥
     17  番    谷         洋    一
     18  番    山    下    直    也
     19  番    高    瀬    勝    助
     20  番    松    本    泰    造
     21  番    堀    本    隆    男
     22  番    宇治田    栄    蔵
     23  番    宗         正    彦
     24  番    橋    本         進
     25  番    神    出    政    巳
     26  番    玉    置    公    良
     27  番    上    野    哲    弘
     28  番    東    山    昭    久
     29  番    尾    崎    要    二
     30  番    野見山         海
     31  番    木    下    秀    男
     32  番    町    田         亘
     33  番    中    山         豊
     34  番    井    谷         勲
     35  番    鶴    田    至    弘
     36  番    森         正    樹
     37  番    村    岡    キミ子
     38  番    新    田    和    弘
     39  番    平    越    孝    哉
     40  番    森    本    明    雄
     41  番    長    坂    隆    司
     42  番    冨    安    民    浩
     43  番    飯    田    敬    文
     44  番    中    村    裕    一
     45  番    松    本    貞    次
     46  番    大    江    康    弘
     47  番    和    田    正    人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
     知 事     西    口         勇
     副知事     山    下         茂
     出納長     高    瀬    芳    彦
     知事公室長   野    見    典    展
     総務部長    中    山    次    郎
     企画部長    藤    谷    茂    樹
     生活文化部長  中    村    協    二
     福祉保健部長  小    西         悟
     商工労働部長  日    根    紀    男
     農林水産部長  平    松    俊    次
     土木部長    長    沢    小太郎
     企業局長    佐    野    萬瑳義
     教育委員会委員長
             山    本         昭
     教育長     西    川    時千代
     公安委員会委員長
             高    垣         宏
     警察本部長   米    田         壯
     人事委員会委員長
             若    林    弘    澄
     代表監査委員  宮    市    武    彦
     選挙管理委員会委員長
             谷    口    庄    一
     以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
     事務局長    西    畑    彰    久
     次  長    前         晴    夫
     議事課長    佐    竹    欣    司
     議事課副課長  島         光    正
     議事班長    松    谷    秋    男
     議事課主査   川    崎    良    雄
     議事課主事   大    浦    達    司
     総務課長    塩    路    義    和
     調査課長    湊         孝太郎
 (速記担当者)
     議事課主任   吉    川    欽    二
     議事課主査   鎌    田         繁
     議事課速記技師 中    尾    祐    一
     議事課速記技師 保    田    良    春
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  午前十時一分開議
○議長(木下秀男君) これより本日の会議を開きます。
○議長(木下秀男君) 議事の都合により休憩いたします。
  午前十時二分休憩
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  午後二時五十四分再開
○議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
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○議長(木下秀男君) この際、本日の会議時間は、都合によりこれを延長いたします。
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  【日程第一 議案第百二十四号から議案第百三十九号まで、議案第百四十一号から議案第百四十五号まで、及び請願十二件、並びに継続審査中の議案第百二十号】
○議長(木下秀男君) 日程第一、議案第百二十四号から議案第百三十九号まで、議案第百四十一号から議案第百四十五号まで、及び今期定例会の請願四件、継続審査中の請願八件、計十二件、並びに前会から継続審査中の議案第百二十号平成八年度和歌山県公営企業決算の認定についてを一括して議題とし、順次、各常任委員会委員長及び公営企業決算審査特別委員会委員長の報告を求めます。
 建設委員会委員長大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○建設委員会委員長(大沢広太郎君) 建設委員会における審査の経過並びに結果について、ご報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表及び請願文書表に記載のとおり、議案八件、請願は前会からの継続審査分一件であります。
 委員会は、十二月十五日、第五委員会室において開催し、当局から付託案件等について説明を聴取した後、審議に入りました。
 各委員の質疑、意見及び要望の主なものは、次のとおりであります。
 土木総務課関係では、入札のあり方等について以前の委員会でも意見を申しているが、今後具体的にどのように改善されるのかとただしたのに対し、和歌山県入札契約制度検討委員会において検討を重ねているところであり、特に試行中の公募型指名競争入札における県内業者の参加拡大を図るため、参加資格条件及び対象工事の見直しを検討している、また指名競争入札を行うに際しては、同一等級区分の者による競争を確保することにより中小企業者の受注機会の増大が図られる、よって現在各等級における発注基準額の見直し作業を行っているとの答弁がありました。
 これに関連して、公共事業や民間事業が減少する中、また金融不安と金融機関の貸し渋り等、建設業界においては非常な事態が発生している、このようなことから、ことしの年末から来年の春ごろまでは倒産が懸念される企業や体力を失っている企業等がある、今後の指名審査会においては十分な情報収集に努め適正な対応をされたいとの要望がありました。
 用地対策室関係では、公共事業に伴う用地買収は事業の進捗にとって大きなポイントとなるものであり、地権者によっては代替地を希望する者が多いようであるが、県有地が少ないこともあって苦労されていると思う、そこで単純に金融機関を助けるという意味ではなく、将来的な投資として、県内金融機関が持っている土地などの不良債権のうちで適当な土地があれば金融機関とも話し合って県有地として買い上げることを検討できないかとただしたのに対し、公共事業を施行する上での用地買収は権原を取得すること、すなわち所有権を持つこと、所有者から土地そのものを買うということが基本であり、金融機関の持つ債権を買うということは、事業用地、代替地、いずれにしても困難であると考える、また用地買収において代替地要求の多い状況であるが、代替地の適否については個々の地権者の評価選択によることとなり、代替地をせんさくしても成約に至るのが困難な実情である、提案の金融機関が所有する土地でそれが代替地として適当であれば、お話に応じて協議を行っていくとの答弁がありました。
 次に道路建設課関係では、現在まで国道三百十一号、国道四百二十四号が重点ルートとして集中整備されてきているが、一つのめどが立てば国道三百七十号について整備をされたい、新白龍橋までの整備計画はどうなっているのかとただしたのに対し、当該路線は国道昇格した路線であり、整備を急ぐ必要があると認識している、未整備区間が長いが、当面、重点的に小川橋から新白龍橋間一・六キロメートルについて本年度詳細設計を実施しており、来年度からできれば一部用地買収を行いたいとの答弁がありました。
 また、同じく国道三百七十号の阪井地内の渋滞対策について、阪井バイパスの整備が筋と考えるが、沖野々森小手穂線につなぐバイパスという表現から、本議会では龍部池バイパスと表現が変わったが、そのルートに関する考え方と状況をただしたのに対し、県として基本的には阪井バイパスを進めるが、当面、大型車対策として龍部池バイパスを整備していく、現在設計的に熟度が上がり、海南市とも協議済みであり、地元に提示していきたい、また阪井バイパスについては、以前、縦覧時にいろいろと意見があったが、当初のルートを基本にして新しい構造規格に直すなど、微調整を行っていくとの答弁がありました。
 続いて、国道四十二号海南・有田間の交通渋滞対策について、県も建設省に協力して調査等を進めていると聞いている、国の予算への四車線化の調査費を確保することが大事であると考えるが、今後の取り組みはどうかとただしたのに対し、四車線化については県としても議会の協力を得ながら重点的に国に働きかけているところであるが、国の厳しい財政状況を踏まえ、当面、海南市から下津町の区間の現道拡幅に絞って要望していくことで地元の意見を取りまとめ、今後とも県議会と一丸となって国に調査費をつけるよう働きかけていきたいとの答弁がありました。
 また、興加茂郷停車場線曽根田バイパスの進捗状況についてただしたのに対し、同バイパスは下津インターチェンジへのバイパスとして整備を進めており、平成八年度から詳細設計、用地測量を行っており、可能であれば用地買収に入ってまいりたいとの答弁がありました。
 また、紀南から山間部を抜け海南東インターに至る誘導路としての海南金屋線の整備状況をただしたのに対し、海南金屋線の重根から田津原間については、都市計画決定の区間千二百メートルにおいて平成八年度に地元説明会を行い、本年度より測量、詳細設計を行っている、また田津原から別所間は、当面の対策として狭隘区間三カ所の改良計画を行い、本年度はそのうち一カ所の工事を実施しているとの答弁がありました。
 関連して、海南市重根バイパスの用地買収計画についてただしたのに対し、詳細設計が終わり次第、条件が整えば引き続き用地買収に入っていきたいとの答弁がありました。
 また議案第百三十一号の工事契約について、約二十二億の大きな金額であるが、県内業者の取り扱いはどうなっているかとただしたのに対し、議案第百三十一号の工事は一般競争入札を行っており、特に経営事項審査点数で千百点以上の地元業者が参加できるよう配慮しているが、代表幹事社は千五百点以上のトンネル工事実績のある業者としているとの答弁がありました。
 道路環境課関係では、事故多発地点に歩道などを整備する計画の部長説明があったが、県道秋月海南線の日進中学校、向陽高校付近の箇所は今回の整備計画に含まれているのかとただしたのに対し、今回の整備計画には含まれていないので調査していくとの答弁がありました。
 河川課関係では、和歌川河川環境整備工事のしゅんせつプラントは他の事業にも利用できないかとただしたのに対し、このプラントは和歌川しゅんせつに伴ってできるヘドロを固化する施設であるが、耐用年数がおおむね十年あり、他の河川のしゅんせつ工事に活用できる可能性があるものと考えている、底地については借地であり、和歌川の工事が終わるまでに方針等を考えたいとの答弁がありました。
 次に、土入川のプレジャーボートの不法係留についてただしたのに対し、土入川に係留されているプレジャーボートのほとんどが許可を得ないで係留しているもので河川管理上支障があり、その対応に苦慮している、改正された河川法によると、所有者の確知できないプレジャーボートについては簡易に代執行することが可能になり、法執行の詳細について建設省の通知を待っているところである、河川課としてもプレジャーボートを収容する河川空間の有無について検討を行っているところであり、土入川については適地はないが市堀川については可能性のある適地があり、関係機関と協議しているとの答弁がありました。
 港湾課関係では、本港沖埋立計画のうち雑賀崎前面の問題について、位置や形状、さらに南側の緑地帯を高くする等、工夫できないか、また将来に向けていろいろな問題もある中でどう港湾機能を確保していくかということに適切に対処すべきではないかとただしたのに対し、雑賀崎前面の埋め立て問題については、今議会でも大変広範囲な意見をいただいている、景観にどのように対処していかなければならないか計画案策定段階でも大変悩んできた、緩衝緑地として二十ヘクタールの大規模な緑地を盛り込み、なおかつその緑地を築山にして一つの島を付加するようなことができないか、なるべくコンクリートはむき出しにせず、自然石を使ったり、あるいはその前面に干潟とか人工海浜をつくるといったことができないか等検討した、ただ、その上でさらに検討されたいとの意見については真剣に受けとめて、さらに広く関係者の意見を伺って適切に対応していきたいとの答弁がありました。
 また薬種畑地区の再開発については、人流ゾーンということで期待している人もいる、どのように取り組んでいるかとただしたのに対し、薬種畑地区は、鉄道、高速艇、フェリーが接続している和歌山下津港の顔であり、再開発がかねてよりの課題であった、今回の港湾計画の中に薬種畑地区の貨物バースを客船バースに用途変更し、背後に親水緑地を設け、さらにフェリーバースになっているところを前面に出し、人々の集まる交流空間にしていくという再開発計画を盛り込んでいる、地元説明については、これから事業が具体化する段階で実施予定であるとの答弁がありました。
 次に、和歌山マリーナシティの県営公共マリーナの進捗状況についてただしたのに対し、クラブハウスは本年八月に竣工しており、現在、陸上保管ヤードを整備中である、本年度中に上下架施設も設置し、来年夏の一部供用開始を目指して取り組んでいるとの答弁がありました。
 関連して、公共マリーナと民間マリーナとの共存についてただしたのに対し、公共マリーナは海洋性レクリエーションの振興を図ることと放置艇の収容を図ることを目的として建設を進めている、公共マリーナは投資コストを回収しつつも、県民が利用しやすい比較的低額の料金設定を行うことが必要かと考えている、しかし過度に安く抑えると民間マリーナの経営を圧迫するということにもなりかねないため、周辺の民間マリーナや公共マリーナの価格を調査しつつ適切な料金水準のあり方について検討しているとの答弁がありました。
 都市計画課関係では、紀三井寺駅から新しい医大までの道路整備についての進捗はどうかとただしたのに対し、平成六年十一月に紀三井寺駅と医大との間について都市計画決定し、国体道路西側は七年度から市が事業着手し、国体道路から駅に向かっての県事業については九年度事業採択され、測量調査に着手するところである、紀三井寺駅は東側に改札口があり、線路をまたぐ自由通路の必要がある、西側の駅前広場は都市計画決定済みだが、東側の駅前広場と自由通路については調査を行い、整備についてJR、市と協議してまいりたいとの答弁がありました。
 これに関連して、新しい医大がオープンするまでに都市計画道路は整備できるのかとただしたのに対し、平成六年の都市計画決定に際しては医大のアクセス道路と位置づけていたが、市が事業認可を受けたのが平成七年、県が事業採択されたのが平成九年のため間に合わない、渋滞解消については調査を行い検討していくとの答弁がありました。
 また、重根地区の土地区画整理事業の進捗についてただしたのに対し、野上電鉄の廃線により仮換地計画の見直しを行い、総代会での決定が平成八年となった、事業面積が大きいため日方川で地域を分けて東側から施行していくことを総代会で確認している、西側についても権利者の合意形成に向けて進めていきたいとの答弁がありました。
 次に、議案第百二十七号の紀三井寺公園や大新公園などの管理を公園緑地協会に委託することについて、現在の都市公園事務所の職員の身分はどうなるのか、また今後協会は適正な雇用を行うことができるのかとただしたのに対し、協会の本部は松江から紀三井寺に移し、四つの管理事務所ができる、平成十年度は現在の人員で管理を行う、協会職員の雇用については、業務の内容に応じた適正な雇用を行うよう協会を指導していくとの答弁がありました。
 また、市駅小倉線沿いの理髪店の移転交渉の進捗はどうかとただしたのに対し、市事業の東和歌山土地区画整理事業に都市計画道路市駅小倉線が位置づけられており、そこに理髪店がある、現在、移転契約を締結しており、年度内に移転が完了する見込みであるとの答弁がありました。
 なお、企業局関係については、委員から特に意見はありませんでした。
 以上が、当委員会における審査の概要であります。
 当委員会に付託されました議案八件は、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 また、請願一件につきましては、お手元に配付の請願審査結果表のとおり、議請第一号は継続審査すべきものと決しました。
 以上をもちまして、建設委員会の報告を終わります。何とぞ、適切なご決定をお願い申し上げます。
○議長(木下秀男君) 文教委員会委員長小川 武君。
  〔小川 武君、登壇〕(拍手)
○文教委員会委員長(小川 武君) 文教委員会における審査の経過並びに結果について、ご報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表及び請願文書表に記載のとおり、議案一件、請願、前会からの継続審査分三件であります。
 委員会は、十二月十五日、第六委員会室において開催し、当局から付託案件等について説明を聴取した後、審議に入りました。
 各委員の質疑、意見及び要望の主なものは、次のとおりであります。
 まず初めに中高一貫教育に対する県の考え方についてただしたのに対し、本県の教育においては、中央教育審議会答申等に基づく教育改革はこれまで先取りして行ってきており、また学校間の交流等を推進してきているものの、なお学歴偏重の風潮等があるなど県民の意識がまだ十分に払拭できていない点もあるため、事務局で論議を行ってはいるが現時点では慎重に対応していきたいとの答弁がありました。
 関連して委員からは、中高一貫教育により受験競争が緩和され、ゆとりある教育が生まれるという面もあるため積極的に研究してほしいとの要望がありました。
 次に特色ある学校づくりについてただしたのに対し、平成元年度以来、県立高校三十四校中十九校に新しい学科づくりを実施し、専門高校、普通科高校等の学校間連携をすることにより授業の交流を行っている、こうしたことは学校間の意識の壁を低くし、お互いの学校のよさを認め合える取り組みであり、現在、和歌山市、田辺・西牟婁地方、橋本・伊都地方において実施している、また単位制の導入を行うことにより定時制高校において三年間で卒業が可能となるなど、生徒に学習意欲を持たせるさまざまな取り組みを進めている、今後もこうした施策を推進していきたいとの答弁がありました。
 次に熊野高校問題に関して、教員の処分を求める生徒集会が開かれたと聞くが、それに対し教育的な指導がなされたのかとただしたのに対し、最初は一部の生徒の不満が偶発的に爆発したものであるが、これに対し生徒会の場で手順を踏んで議論するように指導を行ったと聞いている、またそうした生徒の声やあらゆる面からすべての意見を聞いた上で、教職員が一致団結し、協力し、教育の本質をきちっと押さえた上で生徒の指導をしていかなければならないと考えているとの答弁があり、委員からは、温かみのある心ある教育を行うためには、先生は裸になってつき合い、生徒から信頼されなければならない、社会に対してこびるような教育にならないようにしてほしいとの意見がありました。
 関連して委員からは、教員の研修の問題があると思う、企業等では課や班単位のチームプレーの中で報告書の提出等によりお互いの状況がチェックされるのに対し、教育では生徒との信頼関係で対処されるという状況の中で生徒の学業成績の結果に目が向きがちで、社会通念に照らした教員のモラルの問題が見過ごされているのではないか、教員の研修についてはどうかとただしたのに対し、教員における社会経験の不足が指摘される中、平成八年度より一カ月から一年の期間で、企業や社会福祉施設等において研修を行う長期社会体験研修を実施しており、意識改革につながる等の成果も報告されており、今後とも事業の継続に努めていきたい、また先輩教員が数十日間にわたり校内外で指導に当たる等の初任者研修についても充実していきたい、なお学校を地域に向けて開放するという観点から、窓口担当者を決めて地域の意見を聞き、寄せられた意見をもとに対応策等を教職員で話し合うということも行っているとの答弁がありました。
 関連して委員からは、管理職への昇任選考検査について、校長の推薦がなくても受験できるようにできないかとただしたのに対し、現行の方法のもとで教職員の人柄について十分把握し、指導力のある教員をどんどん推薦するよう校長に対して指導していきたいとの答弁がありました。
 次に、今後、総合学科の必要性がますます高くなってくるとの意見があるが、全県的な設置についての考え方はどうかとただしたのに対し、平成十年度に全国で百五校になる見込みである、現在、本県では和歌山高校、有田中央高校の二校であるが、両校とも志願者数も増加しており評判がよい中で、できるだけ生徒の学びたいという姿勢を大切にし、生徒数の推移、学校、地域の実態等のさまざまな条件を踏まえながら、総合学科の設置については全県的な視野から慎重に検討していきたい、なお教育委員会としては、基本的には学校と地域との主体的な取り組みを受けて、それを支援するという姿勢で取り組んでいるとの答弁がありました。
 関連して委員からは、本県の二校における状況を踏まえた上で、全県的に少なくとも学区単位で設置してほしいとの要望がありました。
 次に、広島県の小学校において、校長が教職員の期末手当の搬送中に発生した盗難事故に関連して、本県における給与等の支給形態についてはどうなっているのかとただしたのに対し、平成二年度から給与の口座振り込みを行っており、現在約九割の教職員が利用している、残る一割の現金支給を受けている教職員については、僻地の小規模校であるため近隣に金融機関がない等の本県の地理的理由によるものである、また現金の受け取り、搬送については校長と事務職員等の複数の職員で担当しているとの答弁があり、委員からは、今後も事故防止について十分な指導をしてほしいとの要望がありました。
 次に、教員の病休や産休に伴う代替講師の採用について、学期途中で採用期間を切るのではなく、生徒に混乱が生じないように学期単位で行うべきではないかとただしたのに対し、学期単位での交代は予算的な問題もあり難しいが、引き継ぎの充実を図り、教員がかわることによるギャップを生じさせないよう指導しているとの答弁がありました。
 次に、教員の採用試験の方法、及び合格者の出身地と採用地域の関係についてただしたのに対し、選考検査は第一次検査で全員に筆答検査及び面接検査を行い、第二次では全員に面接をし、本年から全教科において模擬授業等の実技検査も実施している、なお高等学校の商業、工業においては、教員免許がなくても受験可能とし、幅広い人材の採用を図っている、なお他府県出身の合格者数は約二割を占めている、また採用地域については、小学校においては紀北と紀南に分けて募集し、中学校、高校については県下全域に制限を設けずに行っているとの答弁があり、委員からは、教員については教える才能だけではなく心の問題も重視して採用に当たってほしいとの要望がありました。
 次に、テレビ会議システムを活用して御坊商工高校と南部高校龍神分校間で、また紀伊半島三県高等学校ネットワークが開通した新宮高校で、マルチメディアにより学校間、地域間交流が行われており、新しいことにチャレンジする生徒の生き生きとした様子や、母校やふるさとに対する信頼や、プライドが感じられる発言に触れることができうれしく感じている、このような取り組みについて今後どのように進めていくのかとただしたのに対し、コスト面の課題はあるが、これからの情報社会への対応を図る上で一層推進する必要があると認識しており、国の委嘱が終了しても継続するよう努力していきたいとの答弁がありました。
 関連して委員からは、教育とは生まれてから死ぬまで継続するものである、せっかく根づいた事業を単発的な試みで終わらせることのないようにとの要望と、また人それぞれ個性があるように教え方もさまざまである、生徒は教員の背中を見て育つのだから、教室だけでなくクラブ活動の場も重視して生徒との気持ちの交流に努めてほしい、教員は自信を持って生徒との関係、お互いの立場というものをもう一度真摯に振り返って考えてほしいとの要望がありました。
 次に不適正経理について本会議で説明があったが、不適正とされている支出額すべてを返還対象として認めたのか、本県の教育振興のため、職員が有形無形の中でさまざまな努力をしてきていると思うが、事業を実施する中で適正と考えられる部分はなかったのかとただしたのに対し、平成六、七、八年度の経理状況について検査を受け、経理上問題があればすべて不適正と指摘されている、教員の意識改革を図ること等、本県の教育活動の活性化を目的として多くの事業を誘致し実施してきたが、結果的に今回のような事態が起きたことはまことに残念である、なお国の委嘱事業を進める上で、その事業に使用した部分も相当あるので、現在文部省とその内容について協議を進めている、その結果、国に返還すべき額については管理職を中心として返還していきたいとの答弁があり、委員からは、今回の出来事においてすべてが不適正で悪といった風潮が生まれては、ゆとりある教育が進めにくくなるのではないかと危惧をする、こうした点を踏まえ、確固たる信念を持って教育行政を進めてほしいとの要望がありました。
 次に、国体以後低迷している本県のスポーツ界にあって、個々には世界的レベルの選手が存在しているにもかかわらず、学校と試合日程の兼ね合いや経費の問題等で十分活躍できない状況にある、こうした中で、スポーツ振興財団的なものをつくって選手をサポートし育てていく必要があるのではないか、また学校全体で選手を応援するといった柔軟な体制も必要であると思うがどうかとただしたのに対し、優秀な選手が県内で育ち、将来的に郷土に定着することが県の活性化につながる、選手をサポートするために基金的な制度をつくる必要があると考えている、なお学校における生徒の対外試合については、その子供がスポーツを通じて学習するという大きな効果を考慮し、制度の許す範囲で配慮をしていきたいとの答弁があり、委員からは、こうしたサポートを受けた子供たちは、子供心にありがたいという感謝の念を必ず持つと思う、社会全体に世話になり、自分はスポーツができるという気持ちを子供が持つということも非常に大事であるとの意見がありました。
 このほか、高校卒業予定者の就職内定状況について、また教職員の人事異動については本人の希望を酌み取ることも必要ではないかとの質疑、意見がありました。
 以上が、当委員会における審査の概要であります。
 当委員会に付託されました議案第百四十三号は、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 また、請願につきましては、お手元に配付の請願審査結果表のとおり、継続審査中の請願、議請第四号、議請第十三号は継続審査すべきものと決し、議請第十一号は不採択すべきものと決しました。
 以上をもちまして、文教委員会の報告の終わります。何とぞ、適切なご決定をお願い申し上げます。
○議長(木下秀男君) 福祉環境委員会委員長長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○福祉環境委員会委員長(長坂隆司君) 福祉環境委員会における審査の経過並びに結果について、ご報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表及び請願文書表に記載のとおり、議案二件、請願新規分二件、前会からの請願継続審査分三件であります。
 委員会は、十二月十五日、第二委員会室において開催し、生活文化部、福祉保健部の順に当局から説明を聴取した後、審議に入りました。
 各委員の質疑、意見、要望等の主なものは、次のとおりであります。
 まず生活文化部関係では、橋本市の産廃問題に関し、知事と橋本市長のトップ会談の記事が相当詳しい内容で新聞に掲載されていたが、このような重要な内容がきょうまで委員に報告がないのはおかしいとただしたのに対し、会合があったのは事実である、記事の内容は記者の従前からの取材の積み重ねによるものと思われる、記事が掲載されなければ本日の委員会で発表という考えだったが、その前に記事になったことについては予想外で残念に思うとの答弁があり、これに対して委員からは、問題解決に悪影響が出ないよう慎重に対処するよう要望がありました。
 また、これについて環境保全公社が経費を負担すると思うが、このような出費は公社の設立目標に照らし、けじめをきちんとつけて明確な方針づけをするようにとの要望がありました。
 これに関連してほかの委員から、新聞記事はかなり詳しい内容だったが、これを読んだ範囲では業者の責任が見えてこない、原因は業者にあるのに、後の責任を行政が負う点が問題であり、公社の出費は本来の設置目的から逸脱している、また処分場の土地は民有地でもあり、橋本市に跡地利用を要請する段階ではないのではないかとただしたのに対し、環境保全公社の資金は企業局が西浜地区で行っている埋立地での建設残土処分の利益金を使うというもので、理事の中でも議論があったが、緊急避難的な措置として理解を得た、業者の責任については法律上の措置命令ができないので業者と話し合って焼却中止を決めたことから、公社に経費の一部を負担してもらうこととしたとの答弁がありました。
 さらに、許可そのものに問題があったのではないか、その時点での慎重さが求められたのではないかとただしたのに対し、法的には許可は適法に行われたものであり、許可焼却炉で産廃を処理していくのが法律上の事業執行である、しかし法改正により従前の法律をより厳密に運用するため、地元市町村長等の意見を聞く等の条項の改正が行われたとの答弁がありました。
 次に、前回の搬出での五千万円の内容はどうか、また公社負担は今後も続けるのかとただしたのに対し、当初三分の一の産廃の排出については六百三十台の予定が八百十台になった、五千万円のうち二千五百万円の支払いは実行されたと聞いている、また五月の焼却中止時点で残っていた廃棄物二万立方メートルについて搬出すれば完了するものと考えているとの答弁がありました。
 これに関連してほかの委員から、新聞記事では県と橋本市の積極的な取り組みが感じられ、関係者の労苦を多としたい、大型農道沿いは処分場に格好の場所が多く産廃街道にならぬよう努めてほしい、また国に対しても取り組み姿勢を高め指導を強めるよう要望するようにとの意見がありました。
 さらに関連してほかの委員から、地元でも公費で搬出することについて異論があったが、全国の実態から見て業者にすべてを解決させるのは無理ではないかとのことから解決のために行政に訴えることになった、今回の対応は行政の住民に対する答えの一つであろう、県がここまでする例は余りないが、焼却を停止させなければダイオキシンがもっと排出されていたのではないか、現在、地元住民の監視の中で、業者は積み上げた産業廃棄物のふるい分けをし、落ちた分を構内に敷き詰めているというが、搬出費用を浮かせるために搬出物の減量をしているのではないかという話もある、水質検査については地元と県の分析結果に差がある、採取時の条件で数値が異なる場合もあるため、県の採取と同時に採取したいので協力されたい、また産業廃棄物の残りをすべて外部に搬出したという証拠はなく現場に埋めた可能性もあるがこれについてはどうかなどとただしたのに対し、今回ふるい分けた土砂等についてもあわせて搬出させる考えであり、敷き詰めていることについては今後させないよう指導する、地元との水質検査の同時サンプル採取については協力する方向で進める、ふるい分けた部分は厚生省解釈で土砂等に類するものとして、より分け不可能なものは土砂等として扱ってもやむを得ないとあるのでそのように考えているとの答弁がありました。
 次にダイオキシン排出問題で、県内で暫定基準値を超えていた五施設のうち四施設は対策が終わり基準値内になったと聞くが、粉河町の施設はどうなっているか、また花園村のような小規模施設はどうかとただしたのに対し、粉河町は対策は行ったが再測定の結果を待っている、花園村は対象外だったが、法改正により一年以内に測定するよう指導しているとの答弁がありました。
 さらに、連続焼却炉で一日百トン以上にするためには町村単位では難しい、各地域の広域処理化についてはどうかとただしたのに対し、最低百トンということで市を含めた郡単位を考えている、市町村に意向調査を行っているが試行錯誤の段階でまだまとまっていない、また一方で固形燃料化も考えられるので可能性の調査検討に着手したところであるとの答弁がありました。
 また、一日処理量百トン未満の焼却炉には補助金が出ないというが離島については特例を認めている、半島振興地域はどうなっているかとただしたのに対し、半島地域は対象に入っていないとの答弁がありました。
 これについて、本県の山間部などは離島に近い状態にある、さまざまな機会を通じて厚生省に対し配慮を働きかけるようにとの要望がありました。
 関連してほかの委員から、ダイオキシンを出さないための施設をつくれというのが法改正の趣旨だと思う、一日百トン、二十四時間連続焼却の新基準に合えば補助金が出るが、施設の耐用年数に差があったりして処理の広域化など条件に合わないところも多い、基準に固執してこれに合わせようとすること自体に無理がある、市町村の意向調査の回答が返ってこない理由もこのあたりにあるのではないか、不可能なことは国へ意見すべきである、また固形化の問題についても、この方向しかないという考えもあるが、受け入れ先など県が方向を見出すべきであるとただしたのに対し、政府要望をしているが補助金は難しく、交付税措置を自治省へ要望しているとのことである、また固形燃料化については、市町村の代表や専門家も入れて活用方法等について検討中であるとの答弁がありました。
 次に、女性一〇〇人委員会の今までの経緯、次期委員の募集等についてただしたのに対し、専門部会、地域会議で出された意見を現在取りまとめ作業中であり、年度内に開催する全体会で知事に提言する、また平成十年二月に次期委員を募集する予定であるが、任期等については検討中であるとの答弁がありました。
 これについて、一期と同様偏らないよう人選し、また大きな意義があるものなので、ぜひ継続していってほしいとの要望がありました。
 続いて女性センターの開設に関して、県内の女性が集う場所としては和歌山県の施設は全国的に一番小さいがどうかとただしたのに対し、建設中の健康福祉棟の九階に女性の交流拠点として開設するもので、今後事業の内容を十分検討し充実したセンターにしていきたいとの答弁がありました。
 これについて、内容豊かで活用できるものに育てていただきたい、またさらにスペースを確保されたいとの要望がありました。
 次に福祉保健部関係では、まず人権教育のための国連十年和歌山県推進本部について、及び人権教育のための行動計画を検討していく懇話会の規模、概要等についてただしたのに対し、平成六年に国連総会で人権教育のための国連十年が決議され、平成九年七月に国の行動計画が策定された、本県においても人権の確立された社会を創造していくために、十二月十日、知事を本部長とする推進本部を設置したところである、また計画は県行政だけで策定するのではなく懇話会を設置し、学識経験者や各界から二十五人程度の方々に参加いただき、ご意見を聞く中で策定したいと考えているとの答弁がありました。
 これに関し、今までの委員会や審議会の委員は各種団体の長などが充て職のように委嘱されていることが多いが、参加して議論のできる実務型の人を各界からバランスよく選ぶよう、また人権計画ということで推進本部における教育委員会の役割はどうかとただしたのに対し、懇話会の委員については女性や若い方も含めていろいろな分野から参加をいただき、実のあるものにしていきたい、また人権教育を進めていく上で学校教育は特に重要であり、教育長は推進本部の副本部長となっているとの答弁がありました。
 さらに、この行動計画を策定し県民にアピールする目途はいつかとただしたのに対し、国の行動計画を基礎にしながら和歌山県らしさを出した計画をつくりたいと考えており、今年度末を目標に計画を策定し、策定後は市町村や県民に理解をいただくよう啓発を進めていきたいとの答弁がありました。
 これについて委員から、十分に議論をし、綿密に計画を詰めてよいものをつくってほしいとの要望がありました。
 次に、介護保険法が国会で成立したが、ホームヘルパーの充足についてただしたのに対し、ホームヘルパーの整備状況は平成九年三月末現在五五・七%で目標数値に満たないが、JAで養成しているホームヘルパーのように民間活力も含め市町村で格差のないよう対応していきたい、また常勤、非常勤のヘルパーについてもともに目標数値に近づけたいとの答弁がありました。
 また要介護認定モデル事業について、要介護サービスの認定基準はどうなっているのか、また保険料、利用料が払えない低所得者の対応はどうなるのかとただしたのに対し、認定基準については、一次判定はコンピューターで、二次判定は審査員が判定し、二段階で審査しているが、このモデル事業を通じ厚生省においてよりよい基準が提示されると考えている、また国においては保険料、利用料とも低所得者に対し今後適切に対応されるものと考えるとの答弁がありました。
 これに関連して、現行の特別養護老人ホーム入所者の措置はどうなるのかとただしたのに対し、現在特別養護老人ホームに入所の措置をされている方は今後要介護認定を定期的に実施することになっているが、経過措置として法施行後五年間は引き続き入所が可能とされているとの答弁がありました。
 続いて、国民健康保険関係の一部改正は、滞納すると保険証を返還させるなり介護サービスの内容を減らすことはないのかとただしたのに対し、国民、県民で支えていくことについて理解を得ていきたいとの答弁がありました。
 これに関して、だれもが平等に介護サービスが受けられるような保険制度でなければならないので、市町村レベルで混乱を来している部分については国への働きかけをお願いしたいとの要望がありました。
 また、これに伴って、今後、作業療法士、理学療法士が一層必要となる、施設だけでなく公民館など身近なところで機能回復訓練ができるようにすべきである、養成機関がないのは三重県と和歌山県と聞くが、民間依存ではなく、看護短大をつくったように行政が急いで養成する必要があるのではないかとただしたのに対し、養成機関の設置については、リハビリ関連職員の必要性を認識しており、民間の学校法人の誘致や学部併設等の方法も考えられるので今後研究していくとの答弁がありました。
 次に保育所の問題について、岩出町で入所申し込みの際、第二希望の確約書をとっていた、法律には反していないが改正の趣旨に沿わないのではないか、また法の趣旨に沿った形の指導を市町村に徹底すべきではないかとただしたのに対し、保育所入所については、法改正により来年度から保護者の希望により選択する仕組みとなるが、法施行前であってもその趣旨を尊重するよう、去る十月に市町村主管課長会議で指導したところであり、来年早々にも担当者会議を開催して指導を徹底したいとの答弁がありました。
 なお、これについては行政が実施しやすいように確約書をとったものと考えるが、現場では指導とは異なり強制力を持ったものとなりやすい、十分保護者の意を酌んで指導するようにとの要望がありました。
 次に、六月にレセプトの開示請求ができるようになったが、その実績はどうかとただしたのに対し、政府管掌健保で一件あり、国保では開示請求があったとの報告は受けていないとの答弁がありました。
 さらに、レセプト開示は新たな制度であり、県民が制度を知らないか、または請求の方法を知らないかである、医療機関は親切になったがまだ不十分である、レセプトの開示は大きなことなので、県はあらゆる機会を通じて制度を県民に知らせるべきである、せっかくの行政サービスも機能しなければ意味がない、患者の立場に立って機能するように対応願いたいとただしたのに対し、もともと被保険者からの開示の要望に対応し、行政サービスの一環として開示できるようになったものであるが、現状が制度を知らないことが原因かを確認して対応したいとの答弁がありました。
 また、国民健康保険は各市町村とも苦しい思いをして運営している、国保料の徴収率も市町村によってさまざまである、一般会計からの繰り入れもある、かつて最高限度額の低さが赤字の原因であるかのような議論があったが、この限度額の引き上げの議論が先行しており、厚生省も保険料負担について根本的に再検討するよう県も要望してもらいたいとただしたのに対し、国民健康保険は被用者保険が対象としない者を対象としており構造的に脆弱である、費用は国二分の一、保険料二分の一で賄うことが原則となっており、国費の増額については状況を見ながら国に要望していく、累積赤字を有する保険者も過去に保険料率が低かったこと等によるもので、単年で見ると最近は改善されつつあるとの答弁がありました。
 続いて、保険料の応益、応能の割合をどうするかは難しい、厚生省はフィフティー・フィフティーを適当と考えているが、より適切な負担を目指して市町村を指導されたいとただしたのに対し、実情を踏まえ指導に努めていきたいとの答弁がありました。
 以上のような審議の結果、当委員会に付託されました議案第百二十六号及び議案第百二十八号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 また、請願につきましては、お手元に配付の請願審査結果表のとおり、新規分、議請第四十号及び議請第四十一号は不採択とすべきものと決し、継続審査分の議請第二十八号、議請第二十九号及び議請第三十二号についてはなお継続審査とすべきものと決しました。
 以上をもちまして、福祉環境委員会の報告を終わります。何とぞ、適切なご決定をお願い申し上げます。
○議長(木下秀男君) 総務委員会委員長木下善之君。
  〔木下善之君、登壇〕(拍手)
○総務委員会委員長(木下善之君) 総務常任委員会における審査の経過並びに結果について、ご報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表及び請願文書表に記載のとおり、議案七件、請願三件であります。
 当委員会は、十二月十五日及び十七日の二日間、第一委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、審議を行いました。
 各委員の質疑、意見及び要望等の主なものは、次のとおりであります。
 医科大学関係では、県立で持っている意味はどこにあるのかとただしたのに対し、昭和二十年に本学が設置認可を受けた際の設立目的には、国家的要請及び本県の医療事情の改善があった、公立の機関であることや設立の趣旨を考えると、本学に課せられた地域医療に果たす役割は非常に大きいものと認識しているとの答弁がありました。
 次に、最近の入試動向を見ると県出身者が非常に少ないようだが、推薦入学を実施して本県出身者を優遇すべきではないかとただしたのに対し、過去、県内合格者は二五%から三七%と推移していたが、例外的に九年度入試は低く一一・五%であった、十年度入試募集から前期、後期の募集人員を入れかえ、前期募集人員を十五名から四十五名にふやし、本学を第一志望とする県内受験者が受験しやすいようにし、また医学、医療に使命感を持っている受験生に多く受験していただけるよう高校関係者とも話し合ったところである、卒業生の県内にとどまる率は七〇%台を推移している、本学にとどまるかどうかは卒業後の研修の場や就職環境、本人の勤務地の志向により左右される、今後これらを踏まえながら県の医療に貢献する医師の育成に努め、県立医科大学としての責務を果たしてまいりたいとの答弁がありました。
 このほか、県内に無医地区はあるのか、紀中・紀南地方等、地域の医療が十分でない無医村等への医師の派遣や救急医療において医科大学がリーダーシップをとって地域医療に貢献してもらいたいとの意見や要望がありました。
 出納室関係では、先月二十五日前後の紀陽銀行の株価は数日間の高低差が二百円近くと大きく、一千六百万株程度の取引があったようであり、紀陽銀行をターゲットにしたいわゆる仕手筋の株価操作があったと見るべきであるので本会議で要望したところであるが、その後、紀陽銀行は証券取引等監視委員会に対して調査依頼したかとただしたのに対し、現在検討中と聞いているとの答弁がありました。
 これに関連して、調査依頼を助言するよう、再度強い要望がありました。
 人事委員会関係では、不況時には公務員試験によい人材が集まると言われているが、ことしの県職員採用試験ではどうかとただしたのに対し、一般行政職の受験者数及び競争倍率を見た場合、平成八年度が六百九十二人で三十一倍、九年度が六百三十四人で十五倍となっている、試験の成績からすれば優秀な人材を確保することができたと考えているとの答弁がありました。
 選挙管理委員会関係では、公職選挙法改正により投票時間が二時間延長されることになったが、いつから施行されるのか、また労働基準法上、女性の深夜業の禁止があるがどのように考えているのかとただしたのに対し、平成十年六月から施行されることになっている、選挙事務についても労働基準法上特別の取り扱いはなく、女性の午後十時以降の深夜業は禁止されている、開票事務については、即日開票となった場合、国で所要の財政措置がなされることを前提に、職員の増員、機械化等により開票時間の短縮を市町村にお願いすることになろうと考えている、投票時間の延長と労働時間の遵守を両立させる形でなるべく早い時間帯に開票が終了する対応をしていく必要があると考えているとの答弁がありました。
 知事公室関係では、南紀熊野体験博の実施計画書では平安時代以降の熊野に視点を当てているが、平安時代以前、神話時代までさかのぼれば多くの伝説や史跡等が残されている、それらに視点を当てたPRをされたいとただしたのに対し、従来の博覧会とは異なり、広域オープン型博覧会として熊野古道や熊野三山に代表されるすぐれた歴史文化や豊かな自然を持つ南紀熊野の魅力を全国にアピールするとともに南紀熊野の活性化も図っていきたい、また指摘のあった要旨については、生活文化部並びに関係課室ともよく話し合っていきたいとの答弁がありました。
 続いて紀の国ふれあいバスについて、大変好評と聞いているが、申し込み状況と実績はどうかとただしたのに対し、紀の国ふれあいバスは年間八十一台運行しており、その中には団体と一般公募がある、団体は申し込み順で予定台数になれば締め切り、一般公募の方ははがきで申し込みをいただき、定員を超えていれば抽せんしている、秋の一般公募では百名の定員に対して一千百三十一名の公募があったとの答弁がありました。
 これに関連して、今後バスの台数はふやす予定はあるかとただしたのに対し、県民の皆さんが公共施設等を見学することにより広く県政への理解をいただき、県政に対する積極的な参加をしていただくことは非常に大事なことであり、その意味において努力したいとの答弁がありました。
 さらに高校スポーツの全国大会の壮行式について、現在野球とバレーボールに限っているが、他のスポーツについても実施を検討してはどうかとただしたのに対し、全国大会の壮行式については教育委員会とも協議を重ねながら現在二種目について実施しているが、前々から他の種目についても実施してほしいとの要望があるのも事実である、今後、知事公室、教育委員会とも問題意識を持って検討していきたいとの答弁がありました。
 次に、今議会で審議中の振興局が十分機能を果たすため、主管課としての調整は本庁のどこで行うのかとただしたのに対し、副知事を委員長とする組織検討委員会で検討しているとの答弁がありました。
 また、住民のニーズに速やかに的確に対応し、県民に身近な行政が進められるよう、振興局が十分機能を発揮できるような組織体制とするよう要望がありました。
 企画部関係では、コスモパーク加太での人工スキー場着工が一、二年延期されるとのことだが、二、三年たっても経済状態が余り変わらなければ、そのとき事業を見合わせることはないのか、また用地を売って建物が建たないという事態にはならないのかとただしたのに対し、十一月末に株式会社和歌山ドームから県に対して説明があり、計画当初の経済環境が一変したので、厳しい経済環境が続いたとしても対応できる投資、運営の事業計画とするための再検討に一、二年を要するとのことで、用地だけということにはならないと聞いているとの答弁がありました。
 次に、紀の川大堰、紀伊丹生川ダムの事業がおくれてきている中、ダムができなくても分水するのかとただしたのに対し、分水に当たっては流域の取水に影響を与えないことを原則としており、分水については紀の川大堰、紀伊丹生川ダムで新たに水資源を確保した上で実施することとしており、大滝ダムを含めた水資源施設の完成を基本としているとの答弁がありました。
 続いて陸上ルートについて、国は実機飛行テストの騒音測定調査を四市町村の四地点で実施するとの説明だが、これですべてカバーできると考えているのかとただしたのに対し、国の測定は四地点だが、その補完として県においても数カ所の調査を実施する予定で、国の調査結果を検証し、その結果、問題点が出れば追加調査等の申し入れを行っていきたいと考えている、測定地点としては、浜松からの到着経路については高度が一番低くなる地点、また和歌山市では陸地に最も近づく地点で騒音の影響が考えられる地点を測定地点にしていることから、ある程度観測地点は確保できていると考えているとの答弁がありました。
 これに関連して、市町村への説明はどうなっているのかとただしたのに対し、市町村に対しては調査計画の説明を行い、実施方法等について現在調整中であるとの答弁がありました。
 さらに、関西国際空港の二期工事につき、用地造成会社より三府県との土砂単価交渉が行き詰まっていると聞いている、その原因は何かとただしたのに対し、他府県の状況は承知していない、本県の場合、事業主体は民間企業であり県が直接立ち入る立場にないが、会社側は国の財政事情が厳しい中、単価を低く抑えたいし、企業は環境対策等にコストがかかることもあり、土砂単価について当事者間の認識に差があるのではないかと考えているとの答弁がありました。
 続いて土砂単価について、用地造成会社は一物一価と言うが、一期時は一物三価だった、過去の経緯があるのに今回はなぜ一物一価なのか、また今回現地渡しと聞いており、価格は前回より低く抑え込む方針と聞くが本当かとただしたのに対し、総論としてはそう伺っているが、県は直接の契約当事者ではなく現時点で具体的な説明は受けていないとの答弁がありました。
 また、三府県では埋立地までの距離など条件が異なっており、それぞれコストが異なるのは常識的だと考える、商取引の実情を無視したやり方であり、二期事業のスケジュールへの影響を心配しているとただしたのに対し、土砂単価は基本的には事業者と用地造成会社で決定されるものであるが、各府県にはそれぞれの事情もあり、採取方法も異なるのではないかと考える、現時点で企業から具体的な事業計画を聞いていないが、土砂単価交渉は土砂採取事業の進捗に、また二期事業の推進に大きな影響を与えるものであり、県としても十分注意を払っていきたいとの答弁がありました。
 次に、和歌山大学新駅、貴志川交通公園駅設置の最近の状況についてどうなっているのかとただしたのに対し、和歌山大学新駅設置は請願駅方式で設置することとしており、新駅設置予定地周辺で進みつつある土地区画整理事業の進捗状況に合わせ進めている、また貴志川新駅も請願駅方式ということを前提に、県、和歌山市、南海電鉄の三者で調整を図っているところであり、設置に向けて前向きに進めていきたいとの答弁がありました。
 さらに、請願駅方式というのは理解しているが、県はその必要性をどのように認識しているのかとただしたのに対し、和歌山大学新駅は、県としては和歌山大学、日航の宿舎、太平洋新国土軸等とも関連する政策的に重要な地域における事業であり、必要性が高いと考えており、また貴志川線新駅は、交通センターや交通公園といった県の施設がある県交通行政の中核的施設であることから、駅の必要性は理解しているとの答弁がありました。
 続いて、昨今の金融危機、空洞化等を踏まえると、県長期総合計画案の経済フレームとして掲げている二・二%の経済成長率を見込めるのかとただしたのに対し、経済フレームについては、和歌山大学経済学部教授の指導のもと和歌山県経済モデルを構築し推計している、このモデルを使い過去の経済実績を踏まえたトレンド型の成長率は全国よりも若干低目となることが推計されるが、長計に位置づけられている諸施策の効果により全国並みの二・二%の成長を目標として設定しているとの答弁がありました。
 また、今回の長計案では地域イメージが鮮明になっていないのではないか、今回の長計はどのような特色を持っているのか、また県民にわかりやすくするためにどのような工夫をしているのかとただしたのに対し、新しい長期総合計画では、今までの効率優先、生産重視の社会から、生活の豊かさ、内面的充足が重視される社会への転換を前提としており、個人が充実した生活を送ることを目的としている、前回の長計では県土づくりとしてテクノ&リゾートを掲げていたが、今回の長計案の地域計画は、京阪神都市圏と都市機能、物流機能等を連係するゾーン、観光・リゾートを中心とした交流ゾーンをベースに考えており、そうした考えを表現する方向で検討しているところである、また一般の県民にわかりやすい長計とするため、戦略プロジェクト構想や主要項目の到達目標を掲げた県民生活の姿を設けているとの答弁がありました。
 さらに、ことしの台風のときに、くろしおが紀伊勝浦駅で三十分おくれていたが、紀伊田辺駅では定刻に出発できた、時間短縮について、そのときにJRに相談するとの話であったがとただしたのに対し、JR西日本に事実関係を確認したところ、そこまで時間短縮された事実はないが、今後さらなるスピードアップに向けて取り組んでいきたいとの回答があったとの答弁がありました。
 これに関連して、JRがそのおくれを取り戻すために努力したのか、努力すれば時間短縮できる可能性があるのか再度確認してほしいとの要望がありました。
 総務部関係では、条例案第百二十五号に関して、振興局が所管する業務及び組織機構はどのようになるのかとただしたのに対し、条例案第一条第一号から八号の規定により地域の県政全般の業務を所管することになる、組織については四部制を原則に条例案可決をまって具体的な検討作業を行うとの答弁がありました。
 続いて、振興局設置により現行の本庁、地方機関の関係はどうなるのか、また振興局長の権限の範囲をただしたのに対し、日常の業務においては本庁、出先機関の関係は変わらない、現在各所属長が有している権限は原則的には振興局の各部長が引き継ぎ、振興局長は局内の総合調整を行うこととなるとの答弁がありました。
 また、振興局設置により地方分権への対応や知事の公約三Sに挑戦する県政は実現するのかとただしたのに対し、地域課題への組織横断的対応、広域行政の推進、公共事業の効率化、権限委譲による事務処理の迅速化、身近な行政は身近でわかりやすくなど多方面から検討したところであり、趣旨は一致していると考えており、その実現に向け努力するとの答弁がありました。
 これに関連して、振興局の権限強化のための決裁権限の見直しの実施、振興局の主管課のあり方については振興局が果たすべき役割を検討すべきである、振興局長に予算上の権限付与も必要である、高速道路の紀南延長に向けて予算及び人員等について十分配慮されたい、組織改正の県民への周知徹底等の意見、要望がありました。
 続いて青少年センターについて、会計検査の指摘で教員の派遣について町村の負担とするよう指摘されたが、来年度予算について県が何らかの財政措置ができないかとただしたのに対し、過去の分については国庫補助対象外として補助金の返還はやむを得ないが、十年度以降については、市町村負担が過大にならないように生活文化部、教育委員会と費用の負担のあり方について議論してまいりたいとの答弁がありました。
 次に紀陽銀行問題について、今回の問題に際して財政調整基金等、多額の預貯金のある市町村への指導状況についてただしたのに対し、風評等に惑わされないよう早急に指導するとともに、預貯金については二〇〇一年までは全額保証されることとなっているとの答弁がありました。
 また、「週刊文春」連載の「大都市交付税の要求」といった地方交付税制度に関する記事は県及び県下市町村にとってゆゆしき記事であると考えているが当局の見解はとただしたのに対し、地方分権推進委員会でも税財源をどうするかということが大きな議論となった、我々としては三十八道府県地域連合等を通じて財源の確保を要望してまいりたいとの答弁がありました。
 続いて、新医大への建設基金五十億円の寄附状況はどうか、この金額は希望額か予定額かとただしたのに対し、平成八年度末現在で四億二千九百万円となっている、統合移転整備基金の設置条例で積立額五十億円としているとの答弁がありました。
 これに関連して、基金に寄附した場合の税法上の取り扱いはどうか、寄附した場合、プレートの設置など寄附があったことを明らかにすることはどうかとただしたのに対し、県に対する寄附となり、所得税法上の寄附金控除の対象となる、基金により整備したという表示等については工夫すればできることであり、また工夫により寄附金がふえるということであれば医大に働きかけてまいりたいとの答弁がありました。
 次に、来年度予算の中で不適正支出をどういった点で是正しているのか、また必要な経費については執行できるようにとただしたのに対し、平成十年度予算編成では標準事務費制度を導入し、各部主管課へ課の運営費を枠的に配分したところであり、実態に合った科目に振り分けるよう指示した、標準事務費制度の趣旨を踏まえて各部局ともに適正に執行していけるものと考えている、また不適正支出の反省として、必要な経費は必要な経費として予算化してまいりたいとの答弁がありました。
 以上のような審議の結果、採決に入りましたが、当委員会に付託されました議案七件は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決しました。
 また、請願につきましては、お手元に配付の請願審査結果表のとおり、議請第三十九号、議請第四十二号及び議請第三十四号は継続審査とすべきものと決しました。
 以上をもちまして、総務常任委員会の報告を終わります。何とぞ、適切なご決定をお願い申し上げます。
○議長(木下秀男君) 農林水産委員会委員長飯田敬文君。
  〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○農林水産委員会委員長(飯田敬文君) 農林水産委員会における審査の経過並びに結果について、ご報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案二件であります。
 委員会は、十二月十五日、第四委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、審議に入りました。
 各委員の質疑、意見及び要望等の主なものは、次のとおりであります。
 農業の振興に関して、まず初めに今後の農業のあり方について、国際化が進み、戦略的に日本の責任が求められるなど社会が大きく変貌を遂げている、当然、一次産業もその影響を受けると考えるが、今後の農業のあり方をどうとらえているのかとただしたのに対し、日本経済の中で産業として農業の占めるシェアは大きくなく、また飽食の時代を迎え農業は過小に評価されている、しかし農業、農村は食糧生産を初め生活や環境においても重要な役割を果たしており、今後ますますその価値は高まってくるものと考えている、本県農業は高度な収益性の高い農業と高齢者による中山間農業という二極化の状況にあるが、収益性の高い作物を中心に若い後継者も育っており、今後の力強い農業展開につながる明るい兆しであるととらえているとの答弁がありました。
 続いて、UR国内対策が期間延長されるなど厳しい状況にあるが、県はUR事業の今後の展望をどう考えているのかとただしたのに対し、今後の農業の根幹となる事業をUR国内対策で対応したいと考えている、なお当面の課題として本年度の補正予算があり、今後の国の状況等に的確に対応してまいりたいとの答弁がありました。
 これに関連して、失業時代とも言える時代の中で、農業には健康的な業種として新たな職域としての展望が考えられるとともに、人材の受け皿の役割が期待されてくるものと考えられる、農業、食糧生産は、まさかのときに生き延びていく生存の基本である、地に足のついたことを子供たちに伝えていくためにも、また後継者対策としても、副読本を初めとして子供たちへ農業についての考え方をもっと教育の場に取り入れていくことが大事ではないかとただしたのに対し、和歌山の農林水産業を子供たちに理解してもらうため、県や農協中央会が中心となって小学生用副読本「わかやまの農林水産業」を作成している、また新規就農者の動向としてはU・Iターン者等を含め年々増加の傾向にあり現在年間百三十人を数え、基幹的な農業就業者の確保は可能と考えている、なお、その中には高学歴者の就農も見られ、地域のリーダーとしての活躍も期待しているとの答弁がありました。
 さらに、時代の流れを踏まえて、和歌山の農林水産業の魅力、役割の全国への情報発信に一層努めるようにとの要望がありました。
 また、農林水産業を初めとして各般の施策を進めていく上で、県、市町村、住民が一体となった行政が必要である、この中で市町村はもちろんのこと、県民の熱意をどうとらえているのかとただしたのに対し、各種事業の展開を図る上で、これまでは平準化して市町村へ普及、行政水準の向上を図ってきたが、住民を初めとする地域全体のやる気ということも重要な視点であると考えているとの答弁がありました。
 次に、今後の農業の座標軸は安全、健康と考えられる、したがって特徴ある県産農産物の生産販売ということで、特に安全な農産物等として全国に知っていただくのがよいと考えるが、県の考え方を伺いたいとただしたのに対し、県では健康、安全な農産物の供給を基本的な振興方向の柱としており、二十一世紀農業振興計画の中で肥料、農薬等、資材の二〇%削減を目指す環境保全型農業を推進することとしている、現在、一部の地域で取り組みが見られるが、販売についてはガイドラインに基づく表示を行い、販売することとなっている、なお、本県の気象条件などから難しいものがあるが、今後とも安全な農産物の生産拡大に向け取り組んでいきたいとの答弁がありました。
 続いて、安全な農産物を保証するモデル園、県シールの添付についても考慮するようにとの要望がありました。
 これに関連して、ミカン等の消費宣伝についてただしたのに対し、県下のミカン等農産物の消費宣伝経費は約三億円を投入している、中でもミカン、柿、梅等の主要品目のウエートが高くなっている、特にミカンについては生産者から生果キログラム当たり約一・五円の拠出金を取りPR活動に努め、有田地方では本年はタレントを起用したコマーシャルを実施しているとの答弁がありました。
 次に、ウルグアイ・ラウンド対策における温室環境制御システムへの取り組みについてただしたのに対し、施設面積は平成八年度現在、野菜で四百ヘクタール、花で三百六十ヘクタール、果樹で百五十ヘクタールの全体で九百十ヘクタールとなっている、施設の内容はガラス温室や鉄骨ハウスが少なく、約九〇%が簡易なパイプハウスである、電子システム等を導入した高度な温室団地の育成については、投資やランニングコストが高額であり導入が難しいのが現状である、事業としては平成六年度より地域農業確立農業構造改善事業で白浜町ほか四地区で取り組んでいる、施設の建設に当たっては、農家負担の軽減、設置後の経営安定のため、計画段階で過剰投資にならないか等を検討し、日射量、炭酸ガス等、トータル的な全自動制御型の仕様ではないが、温度等の気象条件により天窓、加温機等を自動的に制御するタイプを導入しているとの答弁がありました。
 続いて、生産コスト低減省力化推進研修会の内容についてただしたのに対し、厳しい農業情勢の中で、低コスト、省力化は重要な課題であり、今回の研修は各農協の事例発表等から成る時宜を得た有意義な研修会であった、県では昨年七月、生産資材費等の低減のための行動計画を策定したところであり、今後とも生産技術面から高品質を維持しながら生産から販売まで各部門が連携してコスト低減に取り組み、農家経営の安定に努めていきたいとの答弁がありました。
 次に、ことしのミカンの生産量百五十万トンについて、価格等から見てどう考えるかとただしたのに対し、最近の消費動向や産地状況等を勘案すると、百万トンを少し上回る程度が将来の適正生産量ではないかと考えるとの答弁がありました。
 続いて、今後もミカン改植を推進していくのかとただしたのに対し、現在も国庫事業の活用により改植を進めているが、今後、高齢化に伴う自然減も予想されるところから、従来からの銘柄産地が残っていくものと思うとの答弁がありました。
 また農業集落排水事業について、国の予算も厳しくなっており、この厳しい状況を市町村に対して伝える必要があると思うが、県はどのように対応していくのかとただしたのに対し、公共工事費の削減等、厳しい状況ではあるが、予算の獲得等に熱意を持って事業推進に努めていきたいとの答弁がありました。
 次に林業の振興について、まず木材不況が深刻化する中で、現在の木材市況をどう認識しているのか、また不況打開策をどう考えているのかとただしたのに対し、市況低迷の原因は、住宅建設が平成八年度百六十四万戸から平成九年度に百三十万戸と減少したことが大きな要因と認識している、またこれの打開策については、県産材の生産量は二十七万立方メートルと他県に比べると低い状況にあるが、資源量は全国第三位であり、こうしたことから今後さらに県産材の利用促進を図っていく必要がある、現在、木の国プロジェクトを設置し、身近な公共施設、学校施設等への木材利用促進を図っており、森林組合、木材協同組合との連携のもと供給部会を設立して、これまで県民文化会館小ホールの改装などに一千立方メートル程度の県産材を使用してきたとの答弁がありました。
 続いて、市町村などでの各種施設の木造化について、西牟婁の森林組合も市町村に要請活動を独自に始める努力をしているが、県としても具体的な働きかけをしてはどうかとただしたのに対し、現在、市町村レベルにおける公共施設の木造化推進策についても検討している、また公共事業への利用促進はもとより、民間需要の掘り起こしについても市町村と森林組合との連携のもと積極的に取り組んでいきたいとの答弁がありました。
 さらに森林整備担い手基金について、これまで自治省から普通交付税措置がされ、現在約十六億円が積み立てられているが、低金利の中でどう有効活用していくのか、森林組合を中心に林業労働者を確保するという長期展望の中での基金活用の方策についてただしたのに対し、担い手基金は山村の過疎化が進み、放置された荒廃森林がふえる中で、森林の適正管理を目的とし、広く森林整備の担い手を対象に、平成五年度、自治省、林野庁等合同の森林・山村対策の一環として創設されたものであり、この基金の有効利用については、現在、森林組合の中核作業員ばかりでなく広く森林整備の担い手となり得る人々を対象に行っている、基金の用途については社会保障対策を中心に活用しているが、現下の林業を取り巻く厳しい状況に対応していくため山村地域の就労機会の確保対策にも充当しており、林業生産基盤の充実を図るとともに、林業従事者の就労機会の確保を図ることを目的とした作業道緊急整備事業については、平成七年度から平成十一年度までの五カ年計画で実施している、なお、出荷促進については本年度で終了するとの答弁がありました。
 これに関連して、基金の長期計画展望を明らかにすることが重要である、現在の木材不況を考えると事業体は不安である、現在実施中の作業道緊急整備事業については、基金を活用するのではなく一般財源で対応するようにとの要望がありました。
 続いて学校校舎等への県産材の利用促進等について、国等へもっと働きかけてはどうかとただしたのに対し、木材の利用については林野庁が中心となって建設省や文部省など関係省庁間の調整を図っている、県としても木材のよさのPR活動を一層促進し、木材の需要拡大につなげたいとの答弁がありました。
 これに関連して、公共施設の木造化について、なお一層市町村等へ働きかけをするようにとの要望がありました。
 続いて水産業の振興について、まず現在の景気低迷が水産業へ及ぼしている影響についてただしたのに対し、水産物の状況を県下主要漁協の価格状況により見てみると、昨年と比べ全体ではほぼ横ばいである、魚種別ではシラス、アジ、サバ等の大衆魚は強含みであるが高級魚であるイセエビ、ヒラメは若干下がっており、このあたりに消費低迷の影響が出ているようで心配しているとの答弁がありました。
 続いて、箕島漁港事務所が機構改革によって日高郡内へ影響を及ぼすことはないのかとただしたのに対し、箕島漁港事務所が所管する区域は現状と変わらず、日高、有田、和歌山海草の各振興局の管轄となるとの答弁がありました。
 これに関連して、日高管内の事業実施に影響はないかとただしたのに対し、現状と変わらないとの答弁がありました。
 次に、議案第百三十号戸津井漁港関連道工事の工事請負契約の締結に関し入札方法についてただしたのに対し、公募型指名入札を採用し、県内を含めたジョイント五グループの応募があり、これを指名し入札を執行した結果、三井・東特定建設工事共同企業体が落札したとの答弁がありました。
 続いて、本工事請負契約後の本年度予算の進捗状況についてただしたのに対し、本年度の主な事業内容は戸津井漁港の橋梁工事、第二、第三トンネル工事及びこのトンネル間の道路工事となっている、進捗状況は今回の第三トンネルを含めるとおおむね契約済みであるとの答弁がありました。
 これに関連して、全体計画の進捗状況と見通しについてただしたのに対し、平成十一年度の完成に向け努力しており、総延長二・三キロメートルのうち、これまで約一・九キロメートルを整備した、また最終の総事業費については約五十八億円になる見込みであるとの答弁がありました。
 さらに、議案第百三十九号林道小匠小森川線のトンネル工事請負変更契約の締結について、まず変更の主な理由は何か、次に増額を判断する技術的根拠は何か、さらに増額による他事業への影響についてただしたのに対し、トンネル工事の掘削パターンの変更及び湧水量の増加に伴うものであり、現場の状況に従い県で技術的に判断した、予算はふるさと林道事業全体の中で調整しており他の事業への影響はないとの答弁がありました。
 このほか、フルーツパーク等産地の拠点づくりや国営かんがい排水事業有田川地区廃止への対応についての要望がありました。
 以上のような審議の結果、当委員会に付託されました議案第百三十号並びに議案第百三十九号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上をもちまして、農林水産委員会の報告を終わります。何とぞ、適切なご決定をお願い申し上げます。
○議長(木下秀男君) 経済警察委員会委員長永井佑治君。
  〔永井佑治君、登壇〕(拍手)
○経済警察委員会委員長(永井佑治君) 経済警察委員会における審査の経過並びに結果について、ご報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案一件であります。
 当委員会は、十二月十五日、第三委員会室で開催し、当局から付託案件等について説明を聴取した後、審議に入りました。
 各委員の質疑、意見並びに要望等の主なものは、次のとおりであります。
 商工労働部関係では、金融機関の貸し渋りがあると言われているが、県としてどのような対応をしたのかとただしたのに対し、各企業からの声を聞く中で早急に行動をする必要があると考え、貸し渋りのないよう格別の配慮を県内の金融機関に文書で要請するとともに、主要機関については直接訪問して要請を行ったところであるとの答弁があり、委員からは、阪和銀行をメーンとしていた事業者は厳しい状況に置かれており、取引銀行を変更したところは差をつけられているという声も聞くので強く指導してほしいとの要望がありました。
 次に、和歌山県中小企業対策連絡会の内容についてただしたのに対し、和歌山財務事務所、政府系金融機関、県内の商工団体及び県の機関が集い、県内の中小企業の状況に係る意見交換と各機関の対応等について連絡調整を行っていくものであるとの答弁がありました。
 また、商工労働部でさまざまな調査を行っているとのことであるが、その取りまとめ等はどうなっているのかとただしたのに対し、地場産業関係、商店街関係、またハローワークにおける窓口相談の状況等について調査を行い、調査結果は総じて去年に比べ厳しい景況感にあるとの答弁がありました。
 さらに、中小企業の資金調達状況についての調査結果概要について質疑があり、委員からは、金利低下だけで貸し出しの条件緩和とは言えず、特に零細企業にとっては予想以上に厳しい状況と思われるので金融機関に重ねて要請してほしいとの要望がありました。
 次に、紀陽銀行の信用不安のうわさが流れたが、こうした金融機関への信用不安に対し行政として何らかの対応を図るべきではないかとただしたのに対し、金融システム安定のための努力は一義的には国あるいは金融機関みずから行うべきものであるが、今後国にも相談し、信用不安の助長につながらないよう細心の注意を払いながら、その周知方法について検討してまいりたいとの答弁がありました。
 また、このような金融機関に対し県として何らかの支援策ができないのかとただしたのに対し、資金運用面においてそうした配慮もなされるよう財政当局や出納に対し要請していきたいとの答弁がありました。
 次に、有効求人倍率が〇・六六倍と雇用情勢が悪く就職難となっているが、それに対する労働省の政策はあるのかとただしたのに対し、十二月五日に雇用調整助成金制度の緩和措置があり、県内企業へ直接結びつくか今後判断していきたいとの答弁がありました。
 また、県としての雇用対策はあるのかとただしたのに対し、雇用動向の迅速かつ的確な把握に努めるとともに、労働者の雇用の安定を図るため雇用調整助成金制度等の活用促進に努め、企業の雇用維持、失業なき労働移動への支援をより一層推進していきたいとの答弁がありました。
 次に、十二月発売の「文芸春秋」新年特別号の記事に関し、住友金属工業が従業員の給料振り込みの指定銀行から紀陽銀行を外したとあるが事実はどうかとただしたのに対し、紀陽銀行が住友金属工業へ事実確認をしたところ、同社では給料の振り込み先は社員の自主的な判断に任せており、事実に反することから、こうした記事掲載に対し紀陽銀行から雑誌社に対し抗議し、謝罪広告を申し入れていると聞いているとの答弁がありました。
 関連して、県の指定金融機関として紀陽銀行の経営のあり方を指導すべきではないかとただしたのに対し、銀行の指導監督は大蔵省の所管であるが、今後銀行に対し県民に経営不安を抱かせないよう努力を強く求めていきたいとの答弁がありました。
 また、中小企業に対し特別融資の対応が必要ではないかとただしたのに対し、今後の情勢によっては緊急に新たな融資制度が必要となることも考えられるので、その場合は機敏に対応してまいりたいとの答弁がありました。
 このほか、中小企業者が相談に行ったときの保証協会の対応、阪和銀行従業員の公務員関係の採用状況について質疑、要望がありました。
 公安委員会関係では、粉河町における小学生女児殺人事件のその後の捜査状況についてただしたのに対し、十一月二十八日、女児の保護者から、岩出警察署で未帰宅事案として届け出を受理した、最悪の事態をも考慮し被害者対策及び聞き込み捜査等所要の捜査を実施し、翌二十九日、同じ団地に住む男性が女児と接触していたとの聞き込みを得、その男性から事情聴取した、翌三十日、捜査本部を設置するとともに、その男性宅に対する捜索を実施したところ、冷蔵庫内から女児の遺体、室内から女児が所持していたランドセル等数点を発見したので十二月三十日午前八時に殺人容疑で緊急逮捕し、現在拘留して取り調べ中であるとの答弁があり、委員からは、これまでの未検挙事件についても同様、早期検挙に努めるよう要望がありました。
 次に、県内の市町村の中に生活安全条例を制定する動きがあると聞いているがどのような条例かとただしたのに対し、地域における犯罪や事故等を未然に防止するために、自治体、住民、関係機関などが協力し合って、防犯灯の設置や危険箇所の点検整備、パトロールの実施等、ハード面を含めた活動を行うことによって安全で住みよい社会をつくるための条例である、現在全国で二十六道府県の三百五自治体が制定しており、近畿では四十市町村が制定している、特に奈良県では月ヶ瀬村の殺人事件発生以来ほとんどの市町村が制定していると聞いている、一方県内では本年九月、県下で初めて美山村で制定されており、それに続いて有田郡で五町、日高郡で四町一村、東牟婁郡で一村の十一町村が制定に向けて取り組み、またその他の市町村にあっても二月議会での制定に向けて取り組んでいると聞いている、条例制定による効果は、この条例には市町村の役割、責務、住民の責務が盛り込まれていることから、行政の取り組みが積極的になることや、住民の防犯意識が高まり犯罪事故等の未然防止につながる等のことがある、具体的には防犯灯の設置や危険箇所の点検整備等によって安全な生活環境がつくられる等から非常に大きい効果が期待される、警察としては、犯罪予防等の専門的知識やノウハウを提供するなど、自治体に対して積極的に支援をしていきたいとの答弁がありました。
 次に、交通安全教育車、紀の国あんぜん号の運用状況とその活用効果についてただしたのに対し、平成八年七月から運用を開始しており、日常交通の場では体験できない交通事故体験等を通じ、危険予測や回避等の実践的な交通安全教育を行うことができるものである、運用は五人の交通安全教育チームが高齢ドライバー等を中心に、機動性を生かした出前方式で県下全域を対象に行っており、特に本県の高齢化事情を考慮して、古座川町や北山村、花園村等での運用も積極的に行っている、また平成九年十一月末の運用状況は、計四十三回、約二千人のドライバーに対し体験・実践型の安全教育を行っており、今後の運用についてもできる限り多くの方に体験をしていただけるよう効果的な運用に努めていくとの答弁がありました。
 次に、今回の道路交通法改正の紅葉マークの概要と県内の普及はどれくらいかとただしたのに対し、高齢者運転標識いわゆる紅葉マークは、道路交通法の一部改正により十月三十日から施行され、七十五歳以上の運転者で、かつ身体機能の低下が運転に支障を及ぼすおそれがある場合に普通四輪自動車に紅葉マークをつけて運転するように努めなければならないことになった、またこれをつけた自動車に幅寄せしたり割り込みをしたりしてはならないこととなり、違反者には罰則が設けられている、販売枚数は本年十一月末現在四千二百三十五枚で、七十五歳以上の普通免許取得者九千九百十四人の四三%の高齢ドライバーが購入しており、これは県下の車両台数約六十九万台の〇・六%に当たる、警察としては、紅葉マーク普及促進に積極的に努めるとともに、思いやりのない幅寄せ、割り込み違反者に対しての取り締まりの強化を図っていくとの答弁がありました。
 次に、福祉のまちづくり条例ができているが、いかに町の中で車いすをよく見かけるかどうかで福祉の町かどうかの判断ができると聞いたことがある、歩道橋があちこちにあるが障害者や高齢者が歩道橋を渡っているのを見たことがない、新聞に各都道府県で横断歩道橋のある場所でも横断歩道を併設するとの内容が掲載されていたが和歌山県の状況はどうかとただしたのに対し、県下には七十九カ所に横断歩道橋が設置されているが、このうち横断歩道を併設している箇所は和歌山市内の六カ所である、設置するか否かは障害者や高齢者の利用状況や要望の有無等を勘案しながらケース・バイ・ケースで設置したいと考えているとの答弁があり、委員からは、設置要望の有無にかかわらず、詳細を調査して必要なところには設置してもらいたいとの要望がありました。
 次に、交通信号機の設置要望数と年間設置している信号機は幾つか、設置基準はあるのかとただしたのに対し、交通信号機の設置要望数は年間約二百基ぐらいで、そのうち必要性が認められるものは百五十基ぐらいである、必要性があっても道路改良が必要なものや狭隘道路で一方通行等の交通規制が必要なもの等があり、必要度、緊急度を判断して年間三十基から四十基を設置しているとの答弁がありました。
 次に金融不良債権問題については、暴力団のみならず徹底した取り締まりを行うように要望がありました。
 以上が、当委員会における審査の概要であります。
 当委員会に付託されました議案第百四十四号は、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上をもちまして、経済警察委員会の報告を終わります。何とぞ、適当なご決定をお願い申し上げます。
○議長(木下秀男君) 公営企業決算審査特別委員会委員長町田 亘君。
  〔町田 亘君、登壇〕(拍手)
○公営企業決算審査特別委員会委員長(町田 亘君) 公営企業決算審査特別委員会における審査の経過並びに結果について、ご報告申し上げます。
 当委員会は、去る九月定例会最終日の十月三日に設置され、議案第百二十号平成八年度和歌山県公営企業決算の認定についての件を閉会中の継続審査として付託されたものであります。
 委員会は、設置の日の本会議閉会直後、正副委員長の互選のため開催され、互選の結果、私が委員長に、谷洋一委員が副委員長に選任されました。
 審査は、十一月五日、第一委員会室で開催し、当局から決算状況の説明を聴取するとともに、監査委員による審査意見書の内容について代表監査委員から説明を受けた後、福祉保健部、企業局の順に審査を行いました。
 各委員からの質疑、意見並びに要望等の主なものは、次のとおりであります。
 まず五稜病院事業会計では、一般会計からの負担金及び補助金が年々増加している中で、五稜病院の全面的な建てかえのための基本設計が予算化されたが、五稜病院整備委員会でどのような意見が出されたのかとただしたのに対し、精神科の入院収益は一般病院に比べて約三分の一しか上がらず、反面、職員の給与は人勧に基づいて昇給していく、その中で病院でできることは診療報酬の改定へいかに対応していくかであり、八年度においても収益確保の努力をしたところである、療養病棟、急性期病棟等新たな制度における施設基準をクリアするためには、部分改築ではなく老朽化した建物の建てかえと同時に設備が必要であるというのが整備委員会の意見であった、また精神科は特にリハビリが大きなウエートを占め、進歩した精神科医療の展開には現建物では対応できない状況であるとの答弁がありました。
 関連して委員から、精神科救急体制についてはどうかとただしたのに対し、一般病院と違い精神科については救急システムが構築されておらず、平成八年度から都道府県でシステムを整備するようにとの厚生省の指導があり、制度が確立されたので、本県においては県精神病院協会を中心に話し合い、平成十年度に実施すべく準備をしており、県内で二基幹病院を予定、その一つを五稜病院で引き受けたいとの答弁がありました。
 このほか、病院建てかえの事業計画、予算等について質疑がありました。
 次に、決算審査の目的は、予算が適正に使われているかどうかの審査と、もう一つの目的は決算審査結果を次年度予算に生かすことにあるので、決算審査の時期をもっと早めるべきではないかとただしたのに対し、監査としては予備、本監査を早めてできる限りの努力をしているが、今の状況では日程等の調整上難しいと思われる、公営企業決算についても九月議会での認定は非常に困難であるとの答弁がありました。
 次に企業局関係では、資本的収入と支出の差がマイナスになっている三事業について、それを減債積立金等で補てんしているが、その残額は幾らかとただしたのに対し、減債積立金は利益が発生した場合に将来の企業債償還金の財源として積み立てておくものであり、平成八年度現在、工業用水道事業会計は約三億七千六百万円、土地造成事業会計は約十七億二千五百万円、駐車場事業会計は約百万円、合計二十一億二百万円余であるとの答弁がありました。
 委員からは、ことしだけで減債積立金を約十億円取り崩しており、このままいけばいずれ積立金がなくなってしまうが、経営として好ましくないのではないかとただしたのに対し、今後、未売却地の売却等により減債積立金として積み立て、将来の返還に充てていきたい、また資本的収支は企業局の経営基盤整備を図るために必要とされる収入及び支出であり、あくまで投資により今後利益が上がってくるものと考えているとの答弁があり、委員からは、公営企業は大幅な利益を生む必要はないが、事業として成り立つように義務的経費を減らして収支のバランスをとる努力をしてほしいとの要望がありました。
 次に、雑賀崎地区土地造成事業に係る現在の売却状況及び売却促進の展望についてただしたのに対し、全分譲面積二十四・六ヘクタールのうち、その約六六%の十六・二ヘクタールについては二十四社と進出協定を締結し、そのうち十三・三ヘクタールについては十八社と契約済みである、なお残地については商工労働部において募集に向け手続を進めているが、早期売却を図るため、金属機械器具製造業の応募状況等を勘案しながら業種の規制緩和等を関係部局と協議していきたいとの答弁がありました。
 さらに、土地造成事業全体における企業債の未償還額が幾らで、どの程度の売却率で元が取れるのかとただしたのに対し、平成八年度末現在、土地造成事業会計の借入金は約百六十億円であるが、そのうち完成している分の約百億円については約三十五ヘクタールの売却で償還可能と考えている、今後売却がおくれてくると、その分、人件費、利子がかかってくるので、企業誘致、販売促進に努めてまいりたいとの答弁がありました。
 次に、西浜地区土地造成事業の概要及び土地売却見通しについてただしたのに対し、造成面積は三十七・三ヘクタールで、そのうち木材・木製品製造業用地、倉庫及び事務所用地、貯木場敷等の売却地面積は十三・一ヘクタール、事業費は約八十億円、土地売却単価は平成十年度ごろに決定する予定である、売却見通しは木材・木製品製造業用地については業界団体等と協議しているところであり、倉庫及び事務所用地については港湾施設と隣接しているという利便性から立地希望企業はあると考えているとの答弁がありました。
 関連して、御坊第二工業用地の企業誘致に向けた取り組みについてただしたのに対し、分譲面積は三区画二十五・五ヘクタールで、売却済みの一区画七・九ヘクタール、残り二区画の面積は十七・六ヘクタールとなっている、そのうち一区画については商工労働部とともに水面下で誘致を進めている状況にあり、残り一区画についても鋭意取り組んでまいりたいとの答弁がありました。
 また、桃山第二工業用地の残地売却の目安についてはどうかとただしたのに対し、企業立地室とともに企業誘致について取り組んでいるが、本年度は今のところ誘致に結びつく引き合いがない状況であるとの答弁があり、委員からは、企業立地室や土地開発公社と連携をとりながら、総合的な観点からの企業誘致への取り組みについて要望がありました。
 このほか、雑賀崎地区土地造成事業の総事業費とそのうちに占める起債の割合、また土地造成事業全体での平成八年度利益について質疑がありました。
 駐車場事業会計では、駐車場の収容台数及び八年度における利用率についてただしたのに対し、収容台数は百六十六台、利用率は修正回転率で四・一であり、これは一日の営業時間十九時間のうち四時間余が満車であったということであるとの答弁があり、委員からは、駐車場建設費等の借入金を返済しながら正常な経営状況を保つためにはどの程度の利用状況が必要かとただしたのに対し、現在ランニングコストは十分賄えているものの、借入金の返済等を行いながらの健全な経営を考えると今後の昼間の利用率向上が大きな課題と考えている、なお建設時の経営方針として修正回転率は六・四六を想定していたが、まだ目標に達しておらず、今後最大限の経営努力を続け改善してまいりたいとの答弁がありました。
 次に、本年度の具体的な取り組み状況についてただしたのに対し、企業局としても自助努力するため、土地造成事業では独自のパンフレットを作成して全国の優良企業に送付するとともにアンケート調査を実施している、また駐車場事業では、開業一周年を記念して街頭PRを実施したところであるとの答弁があり、委員からは、駐車場事業について時間設定の見直しや地元の飲食店等に割引券を配布するなどの方法を考えて今後とも努力してほしいとの要望がありました。
 各事業に対する質疑終了後、委員から、先日、予算執行状況調査の結果明らかになった不適正執行額を発表したが、企業局等も含まれているのかとただしたのに対し、約十三億四千万円の中に企業局の不適正支出の分も含まれているとの答弁がありました。
 これに対し委員から、過去三年にわたっての不適正支出額を全額返還することが決定され、努力していることは理解するが、当委員会として不適正支出を含む決算を認定することは適切でないとの意見があり、採決の結果、議案第百二十号平成八年度和歌山県公営企業決算の認定については全会一致をもってこれを認定すべきでないものと決しました。
 以上で、公営企業決算審査特別委員会の報告を終わります。何とぞ、適切なご決定をお願い申し上げます。
○議長(木下秀男君) 以上をもって、各常任委員会委員長及び公営企業決算審査特別委員会委員長の報告が終わりました。
○議長(木下秀男君) これより、委員長の報告に対する質疑に入ります。──質疑なしと認めます。
○議長(木下秀男君) 次に、ただいま議題となっております案件について討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) ご異議なしと認めます。よって、直ちに採決を行うことに決定いたしました。
      ─────────────────────
○議長(木下秀男君) これより、採決に入ります。
 まず、議案第百二十五号を採決いたします。
 本案に対する委員長の報告は、原案可決であります。
 本案を委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君は、ご起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(木下秀男君) 起立全員であります。よって、本案は原案のとおり可決されました。
○議長(木下秀男君) 次に、議案第百二十四号、議案第百二十六号から議案第百三十九号まで、及び議案第百四十一号から議案第百四十五号までを一括して採決いたします。
 本案に対する委員長の報告は、いずれも原案可決であります。
 本案を委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君は、ご起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(木下秀男君) 起立全員であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
○議長(木下秀男君) 次に、請願について採決いたします。
 まず、議請第十一号、議請第四十号及び議請第四十一号を一括して採決いたします。
 本請願に対する委員長の報告は、いずれも不採択であります。
 本件を委員長の報告のとおり不採択とすることに賛成の諸君は、ご起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(木下秀男君) 起立多数であります。よって、本件はいずれも委員長の報告のとおり不採択とすることに決定いたしました。
○議長(木下秀男君) 次に、ただいま採決いたしました請願を除くその他の請願九件を一括して採決いたします。
 本件は、いずれも委員長の報告のとおり決することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) ご異議なしと認めます。よって、本件はいずれも委員長の報告のとおり決定いたしました。
○議長(木下秀男君) 次に、継続審査中の議案第百二十号平成八年度和歌山県公営企業決算の認定についてを採決いたします。
 本決算についての委員長の報告は、これを認定しないとするものであります。
 本決算を委員長の報告のとおり認定しないことに賛成の諸君は、ご起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(木下秀男君) 起立多数であります。よって、平成八年度和歌山県公営企業決算の認定についてはこれを認定しないことに決定いたしました。
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  【日程第二 各常任委員会及び議会運営委員会閉会中継続審査の件】
○議長(木下秀男君) 次に、日程第二に入ります。
 お諮りいたします。お手元に配付しております「継続審査を要する所管事務調査件名表」及び「継続審査を要する担任事務調査件名表」のとおり、各常任委員会及び議会運営委員会に対し閉会中の継続審査として付議することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) ご異議なしと認めます。よって、以上のとおり、各常任委員会及び議会運営委員会に対し閉会中の継続審査として付議することに決定いたしました。
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  【日程第三 議案第百四十号】
○議長(木下秀男君) 次に日程第三、議案第百四十号平成八年度和歌山県歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
 お諮りいたします。本案については、十三人の委員をもって構成する決算審査特別委員会を設置し、これに付託の上、閉会中の継続審査とすることにいたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) ご異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
○議長(木下秀男君) 次に、お諮りいたします。ただいま設置されました決算審査特別委員会の委員の選任については、委員会条例第五条第一項の規定により、次のとおり指名いたしたいと思います。
 職員にその氏名を朗読させます。
  〔職員朗読〕
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   決算審査特別委員会委員
       大     沢     広  太  郎  君
       新     島           雄  君
       佐     田     頴     一  君
       和     田     正     一  君
       西     本     長     弘  君
       宇  治  田     栄     蔵  君
       橋     本           進  君
       冨     安     民     浩  君
       森           正     樹  君
       飯     田     敬     文  君
       野  見  山           海  君
       中     山           豊  君
       山     下     直     也  君
                     以 上 十 三 人
      ───────────────────
○議長(木下秀男君) ただいま朗読した諸君を決算審査特別委員会の委員として指名することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) ご異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました諸君を決算審査特別委員会委員に選任することに決定いたしました。
      ─────────────────────
  【日程第四 各特別委員会閉会中継続審査の件】
○議長(木下秀男君) 次に、日程第四に入ります。
 お諮りいたします。ただいま設置されました決算審査特別委員会以外の同和対策、関西国際空港対策、水資源対策及び半島振興過疎対策の各特別委員会に付議されたそれぞれの問題についても、さらに閉会中の継続審査とすることにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) ご異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
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  【日程第五 意見書・決議案】
○議長(木下秀男君) 次に、日程第五に入ります。
 まず、和議第四十号「金融システムの安定に関する意見書案」、和議第四十一号「地方分権に伴う地方自治体への税源移譲等に関する意見書案」を一括して議題といたします。
 案文は、お手元に配付しております。
 お諮りいたします。本案については、いずれも提出者の説明等を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) ご異議なしと認めます。よって、直ちに採決いたします。
 本案を原案のとおり決することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) ご異議なしと認めます。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
○議長(木下秀男君) 次に、和議第四十二号「介護保険制度の導入に関する意見書案」を議題といたします。
 案文は、お手元に配付しております。
 お諮りいたします。本案については、提出者の説明等を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) ご異議なしと認めます。よって、直ちに採決いたします。
 本案を原案のとおり決することに賛成の諸君は、ご起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(木下秀男君) 起立少数であります。よって、本案は否決されました。
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○議長(木下秀男君) 以上で、今期定例会に付議された諸案件の審議はすべて終了いたしました。
 年末多端の折、ご精励を賜り、心から感謝申し上げます。
 来る年も皆様方にとりましてよりよい年でありますよう祈念いたします。
○議長(木下秀男君) これをもって、平成九年十二月定例会を閉会いたします。
  午後五時十分閉会

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