平成9年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(山下直也議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 18番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、順次、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 今議会において、知事より上程されました諸議案の中、平成十年度予算編成について説明がなされたわけでありますが、その中で「県税収入は平成三年度をピークに低迷を続け、いまだ本格的な回復基調に至っていないのが現状であります。その結果、(中略)平成十年度以降、多額の財源不足が生じることとなり、ここに至って県債残高の累増と元利償還費の増加、基金の減少などの財政状況に直面しております。 このような状況を踏まえ、当面する平成十年度予算では、歳入に見合った歳出規模の適正化、県債発行額の抑制を基本に、真に必要な分野への財政資金の重点化、量から質への転換、歳出の合理化、効率化など、本県の将来を見据えた財政の構造的転換を進めてまいらなければならないと考えております。 そのために、十年度の予算要求基準は従前に比べかなり厳しい内容といたしましたが、(中略)禍根を次の世代に負わせる事態になることを何としても回避せんがためのものであります。(中略)私は不退転の決意で当面の財政運営に当たってまいる所存であります」との決意を述べられておりました。
 私自身、まさに知事のお考えに同感であり、そういう点において、ふるさと和歌山県の将来に危機感を持つものであります。よって、これらのことを踏まえ、順次、五項目にわたり質問等をさせていただきます。
 まず第一点目といたし、福祉の町づくりについてお尋ねをいたします。
 過日、和歌山県長期総合計画素案についての説明会があり、その中で次のような事柄が述べられておりました。「我が国の総人口は平成十九年に約一億二千七百万人でピークを迎え、以後、本格的な人口減少の局面に入ると見込まれているが、本県人口も、出生率の低下の影響もあって大きな増加は見込めない。さらに年齢構造を見ると、平成七年における本県人口のうち老年人口つまり六十五歳以上の人口は十九万五千五百七十五人、和歌山県総人口の一八・一%を占めることとなり、これは本県が全国に先駆けて高齢社会を迎えていることになり、加えて年少人口つまり十五歳未満の人口は減少傾向にあり、昭和六十年に二十二万五千二百八人であったのが平成七年には十七万五千六百六十人となり、本県の年少人口の占める割合は平成二十二年には一三・九%まで減少するものと見込まれている。この先、長寿化、少子化に伴う高齢化は今後さらに進行するものと考えられ、和歌山県の総人口に占める老年人口の割合は、平成二十二年つまりわずか十二年後には二四・四%まで上昇いたし、県民四人に一人が高齢者となり、本県はまさに超高齢社会になるものと見込まれる」とのことでありました。
 また、去る十一月十七日、県民文化会館小ホールにおいて、和歌山県主催、和歌山県福祉のまちづくり推進協議会協賛による福祉のまちづくりシンポジウムが開催され、私も参加をさせていただきました。その中で、長男がダウン症候群という障害を持って生まれ、わずか生後百五日でこの世を去ったという悲しい体験を持ち、またみずからも脳内出血にて倒れ、約四十日間の入院闘病生活を送り、今も左足が不自由だという、そんな体験を通しての元ニュースキャスター小林完吾氏の講演を拝聴いたしました。「いのちはいのち、みんな同じ─共に生きる─」と題した講演は、約一時間後、感動のうちに終了いたしました。その講演の中で小林完吾氏いわく、リハビリテーションの大切さと、理学・作業療法士をこれから何よりも優先させてふやすべきであり、そのためにこの道を目指す若者に対し、また養成するために県等にて奨学金を出すべきであると述べておられました。関係機関である諸学校に進む人たちの学資、学費を応援すべきであり、これに自分たちの税金を使ってもだれも不満は言わないであろうとのこと、全くそのとおりであると感じました。
 私が講演を聞いていて一番ショックであったこと、それは人間である以上、必ずみんないつかどこかで倒れるときが来るということ、体のどこかのぐあいが悪くなってくるということ、今四十二歳の自分にとって、日常余り考える機会がなかったことだけに大変ショックでありました。体の一部が悪くなったとき、体のどこかに故障が出て悪くなったとき、冷静にそれとともに生きていかねばならないということ、またそのとき、でき得るならば人の手をかりず何事も自分でできるように、自分で生きていけるようにということ、すなわち自立性の大切さ、中でもせめてトイレくらいは自分でという気持ちは、やはりだれもが持つものであろうと思いました。また、講演の中で「トイレ権」という言葉も初めて聞いたわけでありますが、実はこれは人間の尊厳につながるものであり、逃れがたい老いへの道につながるものであろうということを大いに感じさせられたわけであります。高齢者、障害者みんな一緒じゃないか、そんなふうに言ってくれる人がたくさんいるような和歌山県を、そんな心ある県民、心通う町になってくれることを望みますと、小林氏は訴えておられました。
 シンポジウム開会に先立ってあいさつに立たれた知事の言葉の中に、「どの地域にあっても、どの立場にあっても、皆が楽しく生き生きと生活できるふるさとづくりを」という一節がありましたが、私もまさにそのとおりであると感ずるものでありますし、当日あいさつの後、時間の許す限り客席で講演を聞き入っておられた知事の姿を拝見いたし、改めて知事の福祉の町づくりに対する前向きな姿勢をかいま見た思いがいたし、感激をいたしました。
 また、十二月九日付の新聞報道によりますと、「数の不足 将来深刻に 調査で高い需要確認」という見出しのもと、県理学療法士協会と県作業療法士会が西口県知事に対し、公立理学療法士、作業療法士四年制大学の設置を求める要望書を提出したという記事が掲載されておりました。その内容は、県は七七年から、理学・作業療法士の確保を目的に、県理学療法士及び作業療法士修学資金貸与事業を行っており、養成学校在学者で将来、県内の医療機関等に勤務しようとする人にこの修学資金を貸与し、条件を満たせば返済を免除するというものであります。しかし現在、本県において理学・作業療法士の数は、九三年に県が実施した需要調査から割り出した目標数には達しておらず、特に作業療法士の数は全国で最下位となっているとのことでありました。県理学療法士協会の坂口副会長は、理学療法と作業療法をだれにでも受けてもらえるよう人材養成は急務であり、県内に養成施設があれば地元に定着してくれる有資格者がふえると強調され、また県作業療法士会の森会長も、現在、作業療法士は和歌山市に集中し、それ以外の地域には皆無であり、これでは必要な患者さんに作業療法が行き渡らない、したがって行政の一層のバックアップをお願いしたいと、養成機関の設立を訴えておられます。
 ちなみに、まことに残念なことではありますが、全国で理学・作業療法士ともに養成機関がないのは六県あり、このうち四県は現在、計画・検討中であるが、本県を含め二県は計画も検討もないというのが現状であるとのことであります。理学・作業療法士養成の大学の新たな設立は今日の厳しい財政状況のもとでは大変難しいと考えますが、私の資料によりますと、神戸大学を初め信州短大、群馬短大、金沢短大等、療法士養成機関としての役割を果たしている大学や短大があります。したがいまして、例えば地元和歌山大学において療法士養成機関としての機能を取り入れていただけるよう県からお願いすることはできないのであろうかなどと考えます。
 以上のことから、知事にお尋ねをいたします。
 福祉の町づくりを進めていく上でマンパワーの確保、とりわけ理学・作業療法士の重要性というものが、前段述べてまいりましたとおり極めて大きいものであると感じるわけでありますが、このことに対するお考えと、療法士養成機関設置に対するご所見を賜りたいと存じます。
 また、公共の建物の整備としてエレベーターの設置等が進められておりますことは存じておりますが、高齢者、障害者の方にとって、まず公共の場へ行くための交通手段が問題であり、すべての人々が公共の場を利用できる機会の均等を保障し、介護、介助なしに自由に行動できる環境づくりのため、私が本年二月議会において提案させていただきました福祉バス導入に対するその後の取り組みについて、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 さらに十二月九日、国会において可決された介護保険法に関連してお尋ねをいたします。
 二十一世紀の超高齢化社会の到来を目前に控え、本県においては平成五年度に和歌山県老人保健福祉計画(ゴールドプラン)が策定され、平成十一年度を目標に在宅福祉サービスを初め、さまざまなサービスにおいて目標量が設定されておりますが、ハード面及びソフト面における数値目標の達成状況、並びにその目標量が現時点において県民のニーズにこたえ得るだけの十分な量であるのかどうか、福祉保健部長のご答弁を賜りたいと思います。
 ちなみに、県内において特別養護老人ホームや老人保健施設のない市町村もあり、既に地域格差が生じてきていると思われますが、このような状況のもとで介護保険の各種サービスを十分提供できるのか、不安を感じる次第であります。これに対する県当局の見解を、福祉保健部長よりお示しいただきたいと存じます。
 また、現在、御坊市にて介護保険モデル事業が進められてきた中で、六段階の要介護判定に対し、コンピューターによる一次判定と介護認定審査会による二次判定との判定結果に約二割から三割の相違があったと聞いておりますが、その内容はいかなるものであったのか、お伺いをいたします。
 また、あくまでも介護保険の窓口は市町村でありますが、不服申し立てについては県に設置される介護保険審査会が窓口になり、したがって今後そのことについて対応していけるのかどうか、あわせて福祉保健部長よりお答えをいただきたく思います。
 続きまして、コスモパーク加太計画においてお尋ねをいたします。
 このことについては、私は平成八年六月議会において、この地区を紀淡連絡道路の一大インター用地として活用されてはどうかとの提案をさせていただきました。この点について、当時土木部長からは「コスモパーク加太に関連するジャンクション等につきましても、将来的にネットワークの必要性及び地形的な条件などを含め、私どもなりに検討してまいりたいと考えております」との答弁をいただき、また企画部長からは「リゾート、研究開発、居住の三つの機能を持つ国際的複合都市の整備を基本目標としているところでございます。昨秋より着手している幹線道路整備により東西にほぼ二等分され、西側区域にはスポーツ、レクリエーション、リゾート、観光、国際交流などの交流型エリア整備を、また東側区域については、居住を基本としながら、研究などの企業活動、あるいは公共的施設などの定住型エリア整備を目指してまいりたい」との答弁をいただいたわけであります。
 インター用地としての活用については、今後、新しい全国総合開発計画や新たな道路整備五カ年計画との関連もあるため、県としてこのことに積極的に取り組んでいただきたく、再度ここに要望しておきたいと存じます。
 また、コスモパーク加太計画地内また周辺へのインター設置が実現いたしますと、大阪府側や和歌山下津港との連絡、近畿自動車道、京奈和自動車道等との高速・高規格道路との連結が重要であると認識されているところであり、具体的には、大阪府側とは加太・岬スカイライン、和歌山下津港とは本港雑賀崎地区、住金港内を経てコスモパーク加太へ至るルート等が考えられるわけでありますが、これら自動車専用道路等によるネットワークについてどう考えておられるのか。ちなみに、私は、こういった交通体系のネットワーク構想を持った上で国へ積極的に働きかけていくことが最も肝要かと存じますが、いかがなものか、お伺いをいたします。
 交通アクセスが極めて弱いコスモパーク加太にとって、この地を生かしていくためには、交通体系の整備ということにかかっていると言っても過言ではないと思いますが、以上、その側面から土木部長にお尋ねをする次第であります。
 次いで、株式会社和歌山ドームの人工スキー場計画の進捗状況とその後の見通しについて質問をさせていただきたく準備をいたしておりましたが、ここにあるように本日の新聞において着工がさらにおくれ、オープンも二〇〇〇年以降にずれ込むとの記事が大きく掲載されており、このことについては昨日の和歌山市議会総務委員会で明らかになったとのこと。
 この人工スキー場計画自体の変更、または規模の縮小等も含め、今日まで私自身非常に危惧をいたしておりましたが、今どういう状況になっているのか、改めて県としてのご見解をお尋ねいたします。
 なお、この件については、本県の若者たちの夢が乗っております。どうか、誠意ある企画部長からのご答弁をお願いいたします。
 また、この地に関連して、もう一点お尋ねをいたします。
 実は、常々思っていたことでありますが、この地における上下水道の整備いわゆるインフラ整備についてはどうなっているのか、窓口である地元和歌山市との話し合いはなされてきたのかどうか、現状と今後の見通しについてもお伺いをいたしたいと思います。
 続いて、三点目の質問に入らせていただきます。
 大阪府泉州沖に平成六年九月、関西国際空港が開港して三年が過ぎました。二十四時間利用可能な海上空港として利用者も多く、海外へ旅立つ人の数も関空効果と言われるほど年々増加をいたしております。和歌山県においても、パスポートの発行数が増加していることも考えますと、関空のおかげで海外が近くなり、和歌山の国際化の玄関口になることも期待されております。また、利用者増加に伴い発着便数も増加し、二本目の滑走路建設が計画され、二〇〇七年の完成の暁には関空利用者数は三千万人になるものと見込まれております。関西国際空港が利用者にとって便利なことは、空港までの交通アクセスが充実しているということでありましょう。道路網に関しては、和歌山市内からは阪和道で、大阪市内あるいは神戸方面からは阪神高速湾岸線で空港と直結しており、マイカーはもちろんのこと、近畿圏内の各主要都市からはシャトルバスも運行されております。あるいは、高速船を利用しての海上ルート、またJR、南海電気鉄道等の列車利用も可能であります。
 しかし、ここで一つお考えいただきたいのは、関空に列車が乗り入れたことにより、空港利用者にとって大変便利なことが、和歌山市から大阪府内へ通勤している人たちにとっては不便が生じてきているという現状があるということであります。
 平成九年五月九日付の新聞によりますと、「関空快速ができて 検証JR阪和線」と題された記事が掲載されておりました。そこには「ダイヤ改正のたびに遠くなる大阪」という見出しのもと、関空開港に伴うJR阪和線の、以下述べるような問題点が挙げられておりました。
 まず第一点目といたしまして、現在、和歌山市内から大阪府内へ通勤する人は約一万人と言われ、その足となるJR阪和線が関空開港後不便になったというのであります。関空開港前、和歌山・天王寺間を五十二分から五十五分で走っていた快速列車が、現在は通勤時間帯で一時間十分近くかかっているとのこと。
 二点目として、列車の本数の問題であります。通勤時間と重なる十七時三十分以降、天王寺から和歌山へ向かう快速と整理料金三百十円がかかるはんわライナーを合わせても一時間に三本ないし四本しか走っておらず、さらに関空開港前より本数が減っている時間帯もあるとのこと。また二十一時台では、天王寺から和歌山行きの快速が二本なのに対し関空快速は三本あり、和歌山へ帰るには、関空快速に乗り、途中日根野駅にて別ホームでの乗りかえをしているということ。特急についても、くろしおが一時間に一本なのに対し、関空特急はるかはラッシュ時でも三十分に一本あり、ノンストップで走るそうであります。ちなみに、関空快速が登場した平成六年六月から関空開港の九月までの一時期、関空快速は和歌山に乗り入れされていたこともあったそうですが、ダイヤ改正後は一本も乗り入れされなくなってしまったとのこと。
 三点目としては、車両の問題であります。関空快速はほぼ新型車両であるのに対し、阪和線を走る快速列車のほとんどは二十年以上経過した車両であり、また和歌山市以南に向かう列車の中にはいまだトイレなしの車両もあり、約三時間もの間トイレを我慢しなければならないということが起こっていると聞いております。
 四点目の問題は、料金に関してであります。和歌山・天王寺間で定期券を利用して特急くろしおに乗車する際、自由席には特急料金のみで乗れるわけでありますが、指定席の場合は定期券の利用ができないため乗車券も購入しなければならないということ。
 以上、所要時間の短縮、快速列車本数の増便、また車両、料金等の問題、そして終点天王寺で終わらせぬよう快速の大阪駅までの乗り入れ等を改善していただくことで和歌山を大阪の通勤圏に入れていくこと、それが和歌山県の経済の活性化、発展につながるのではないでしょうか。
 以上、述べてまいりました五点にわたる問題点について、県としてはどう認識をされておるのか、また現状に対する見解をお聞かせいただきたいと思います。
 さらに、JRに対し県より申し入れをしていただきたく、これに対する県のお考えをお示しいただきたいと思います。約一万人の通勤客は、土曜、日曜を除き毎日仕事で、つまり生活の足として利用しているという事実をよくお考えいただきたいと思います。
 次に、交通死亡事故防止に関連して、警察本部長にお尋ねをいたします。
 だれもが安全に通行できる交通社会の実現や悲惨な交通死亡事故の減少、抑止は県民すべての願いであります。昨年の全国の交通事故による死者数は、九年ぶりに一万人を下回ったと聞いております。また県内においても、全国同様、交通事故での死者数が大幅に減少し、十年ぶりに百人を下回ったとのことで、大変喜ばしい結果であると考えます。しかしながら、県内において年間百名近くの人々が輪禍の犠牲となり、亡くなられているという現実は、社会全体の課題として厳しく受けとめる必要があると思うのであります。特に本県については、湯浅御坊道路の御坊市までの延伸、二十四時間型社会の常態化、さらに急速な高齢化社会への移行等を背景に、交通事故の質的な変化、量的な増大が今後ますます進展していくことが懸念されるところであります。
 去る十一月二十日付の新聞に「増える高速道の事故 延伸に伴い十年で七倍に」という記事が掲載されており、その中で一九八七年には一日平均七千四百台だった和歌山インター付近の通過車両が、大阪直結前年の一九九二年には二万五千台に、現在では三万七千台までふえ、これに伴い、八七年にはわずか五十二件だった事故が、九二年は二百三件、昨年は三百四十六件、ことしは十月末で既に三百五十三件に達するなど急増しているとのことであります。
 このような情勢の中で、交通事故を減少させ、あるいは抑止を実現する上において、我々ドライバーのマナーの向上はもちろんのこと、警察の果たす役割は極めて大きいと考えるところであります。もちろん、今日まで高速道や一般道における交通事故防止のため、県警においてはパトロール強化を図り、阪和自動車道に速度自動取り締まり装置を設置、加えて日本道路公団と協議の上、長峰トンネルの中央線にポストコーンを設置、カーブ手前での矢印表示や誘導のための黄色反射板、スリップしにくい路面舗装、また要望させていただきました阪和道への夜間照明の設置や自発光式道路びょうの増設等、これら設備面の改良を含む事故対策をとっていただいてきたことに対しては十分承知をいたし、大いに感謝をしているところであります。
 そこで、お尋ねをいたします。
 警察として現在の交通事故の現状をどうとらえているのか、また今後どのような方針のもとで交通死亡事故の抑止対策を推進していかれるのか、さらに本年の交通死亡事故発生状況、死亡事故の特徴的傾向等を含めて警察本部長にお伺いをいたします。
 最後になりましたが、雑賀崎沖埋立計画についてでございます。
 本件については、既に今議会で先輩・同僚の三名の議員より質問がなされ、各方面にわたり論議がなされてまいりました。特定重要港湾和歌山下津港を、将来、大阪港や神戸港の代替機能をも有する物流拠点、コンテナ貨物の基地として整備されようとしていることは、地域経済に大きな夢を与えるとともに、近畿府県が広域的に進める大阪湾ベイエリア開発にとっても極めて重要なプロジェクトとなるであろうことは理解をするところであります。したがいまして、県当局が景観に配慮した秩序ある開発を進めることについては何ら申し上げるつもりはございません。しかしながら、本県には雑賀崎地区を初め貴重な自然環境やすばらしい景観が残されていることが大きな魅力でもあり、その中で多くの県民が生活をしていることも再認識しなければなりません。
 今議会冒頭の宇治田議員の質問に対し知事は、「本県のすばらしい自然、古い歴史・文化を大切にし生かしながら、同時にさまざまな施策によって本県の発展を図っていく必要がある」と申され、さらに「今日までの経過を踏まえながら、埋め立ての位置や形状についてもさらに関係各位の意見をお聞きしながら柔軟に対応してまいりたい」という答弁をされておりました。この問題は、土木部初め商工労働部、企画部、生活文化部等、それぞれに関連していく大きな問題であり、したがって今後も開発を考えていく上において十分に地元住民、また関係団体等の理解と認識を得るため、一層の努力をされることを要望させていただきます。
 先日、読売新聞のある記事に目がとまりました。それは、「住民納得の『夢』描いて」というタイトルのもと「『頭の中に『夢』を描いたのに、そんなのはダメと否定されたような……』。雑賀崎沖の埋め立て計画に反対運動が広がっていく状況について、県幹部はこうつぶやいた」とのことでありました。
 私は、この記事を読み、県幹部の夢を自分の頭の中だけにとどめず、できる限りオープンにすべきであったのではないか、またでき得るならば行政に携わる者の持つ夢と住民の夢とが同じであってほしかったと感じました。県は、埋立予定地の変更について、地元の意見を聞いて調整すると言いますが、今度こそそれが一部の県幹部の夢ではなく、地元住民、ひいては県民と同じ夢を描いていけるものであってほしい、そう願ってやみません。
 終わりに当たり申し上げます。「人皆心あり」、知事がいつも言われていることであり、私の好きな言葉でもあります。これから各質問に対しご答弁をいただくわけでありますけれども、県当局におかれては、どうかこの「人皆心あり」の意を十分にお酌み取りをいただき、誠意あるご答弁をお願いいたし、私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの山下直也君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 山下議員にお答えをいたします。
 福祉の町づくりに関連をいたしまして、理学・作業療法士の養成などについてのご質問であります。
 私も、要介護高齢者、障害者等の自立を促進するためには、理学療法士、あるいは作業療法士といったリハビリ関連職種等のマンパワーの確保が欠かせないところだと考えてございます。理学療法士、作業療法士の確保については、昭和五十二年度から修学資金貸与制度を設けてございまして、近年その制度の利用者が大変増加をしてございまして、今後とも本制度の充実に努めなければならないと考えております。また先般、お話にございましたように、理学療法士協会あるいは作業療法士会からもお話がございましたけれども、県内の養成機関等の設置については、リハビリ関連職種の必要性がますます高まるものと認識をしておりますので、これからの大きな課題と受けとめてございます。国の需給計画見直しの動向も見ながら、今後十分研究を重ねたいと考えております。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 山下議員にお答えをいたします。
 まず、福祉の町づくり関連の福祉バス導入についてのその後の取り組みについてでございます。
 議員ご指摘のとおり、障害者や高齢者の方々が、みずからの意思で自由に行動し、主体的に社会参加が行われるためには、交通機関の整備についても建物の整備と同様に大変重要なことであると認識しております。このため県としては、現在、身体に障害のある方にも利用しやすいバス、タクシーの導入について事業者に対して働きかけているところでございます。またバスの運行に際しては、バスと停留所との段差の解消や道路等の諸問題があり、こうした各分野にまたがる問題を検討するため、本年四月に設置した施策連絡会議の中で道路、公園、交通関係ワーキングチームを設け、現在検討してございます。さらに庁外における取り組みとして、事業者や関係団体等五十九団体と三人の学識経験者で構成する福祉のまちづくり推進協議会を本年九月に設置し、県民意識の高揚を図るための啓発や情報交換等を実施し、県民参加による町づくりを行うべく取り組んでいるところでございます。今後とも、県、市町村、事業者、県民がともに力を合わせて一体となり、障害者や高齢者の方々の社会参加を促進するため、交通問題も含め、福祉の町づくりの一層の推進を図ってまいります。
 次に、介護保険法導入に関しての四点についてお答えいたします。
 和歌山県老人保健福祉計画における数値目標の達成状況でございますが、特別養護老人ホーム等の施設サービスについては、既に目標を達成しているものも含め、おおむね順調に進捗してございます。一方、在宅サービスについては、ホームヘルパーの確保が平成九年三月現在で五五%という状況であり、制度導入時の平成十二年までには目標を達成すべく、市町村に対しより一層の指導に努め、サービス量の確保を図ってまいりたいと考えております。
 次に市町村間の地域格差については、特別養護老人ホーム等の施設サービスは老人保健福祉圏域の中で広域的に整備するものとし、在宅サービスは各市町村ごとに整備しているところでございます。その意味では、在宅サービスは市町村がそれぞれ特色のあるものを整備していくものと考えますが、このことが不公平感につながらないように指導していく必要があると考えております。
 次に介護保険認定モデル事業についてでございますが、平成八年度に全国で六十カ所、本県においては御坊市で実施されたところでございます。ご質問の判定結果の差異については、一次判定はコンピューターによるものであり、二次判定はかかりつけ医の意見書もあわせ審査員が総合的に判定したことにより生じたものでございます。具体的には、一次判定で比較的軽度の介護度であったものが、痴呆の状態等を総合的に勘案すると最重度であるとの二次判定された例もあり、またその逆の例もございました。全国的にも御坊市と同じく相当の差異が生じており、厚生省においては、その差異を縮小すべく調査項目の見直し等も含めて本年度は対象箇所を拡大し、本県においても県単独実施も含め十三カ所で実施しているところでございます。
 次に不服申し立ての介護保険審査会については、具体的な内容等について今後政令で定められるところですが、本県の地域性や迅速な対応などを考慮しながら検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 山下議員にお答えいたします。
 コスモパーク加太計画についてのうち、自動車専用道路等によるネットワークについてでございます。
 和歌山市北部地域を中心とする自動車専用道路等による規格の高い道路ネットワークについては、現在、和歌山下津港を通り紀淡連絡道路と結ぶ新たな臨海線、さらに大阪府側へと続く、仮称でございますけれども加太・岬スカイライン計画について諸課題の検討を行っているところでございます。また、紀淡連絡道路によりまして京奈和自動車道や阪和自動車道とも連結することによって、より充実した道路ネットワークを構築できるものと考えておりまして、今後ともこれらの構想の具体化に向け、国及び大阪府に強く働きかけながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 議員ご質問のコスモパーク加太へのアクセスについては、現在策定中の本県の新たな長期総合計画での位置づけを踏まえた道路整備が必要と考えており、コスモパーク加太計画の具体化にあわせて検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 山下議員にお答え申し上げます。
 コスモパーク加太区域内に株式会社和歌山ドームが計画しております人工スキー場建設計画についてでございますが、同社からの依頼に基づき、県土地開発公社が行っておりました建設用地の造成工事は本年十月に完了し、現在、造成費用の清算と引き渡し等について同社と県公社で協議中でございます。
 一方、スキー場等の施設工事については、先般、一、二年程度工事着工を見合わせたい旨の申し出がございました。その説明によりますと、三年前の計画発表当初に比べ、最近の社会経済環境は一変し、非常に厳しく不透明なものであるので、今後の余暇人口やスキー需要の動向を踏まえながら、総事業費、施設規模、事業内容等を再検討し、厳しい経済環境のもとでも対応可能な安定した事業計画を再構築する検討期間として一、二年を要するとのことでございます。県としては、和歌山市及び県土地開発公社と調整を図りながら、今後ともその実現に向けて積極的に対応してまいります。
 次に上下水道の整備についてでございますが、上水道については、和歌山市水道事業第五期拡張整備計画の中に組み入れていただくこと、また下水道計画については、公共下水道計画の北部処理区域に組み入れていただくことについて、これまでに市と協議を行い、基本的に合意を得ています。今後は、策定中のコスモパーク加太の土地利用計画が確定されれば具体的な内容について協議を進めてまいります。
 次に、JR阪和線の時間短縮、利便性向上等に関してのご質問でございます。
 JR阪和線は、和歌山県北部、大阪泉南地域と大阪市を結ぶ沿線地域住民の通勤、通学輸送に加えて、近年は関西国際空港への旅客輸送を担うなど、県民にとって極めて重要な線区であると認識してございます。
 快速電車の所要時間短縮と増便の問題についてでございますが、関西国際空港開港後の日根野駅停車、旅客需要の増加による通勤時間帯の六十谷駅、紀伊駅への快速電車の停車により所要時間が増加せざるを得ない面もございます。しかしながら、現在JR西日本において積極的に検討されている大阪駅への快速電車の直接乗り入れによる乗りかえ時間の短縮とあわせて総合的に改善されるものと考えられますので、この大阪駅への快速電車の乗り入れ実現を強く要望してまいりたいと存じます。
 次にトイレの問題については、阪和線と紀勢線の直通運転が実施された時点で、ラッシュ時における旅客需要に対応するため、ロングシートの一〇三型電車を使わざるを得なかったという事情によるものでございます。県といたしましても、長距離区間を利用する方々にとっては切実な問題でありますので、引き続きトイレつき車両の連結など申し入れてまいりたいと存じます。
 料金の問題につきましては、現行の料金制度のもとでは定期券で指定席には乗車できないことになっているものでありますが、和歌山以南の県内部分は特例的に認められているものであります。今後、天王寺からの定期券利用についても認めていただくよう働きかけてまいりたいと存じます。
 今後とも、県民の利便性向上、地域活性化の観点から、阪和線の輸送改善についてJR西日本を初め関係機関に対して積極的に要望してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 警察本部長米田 壯君。
  〔米田 壯君、登壇〕
○警察本部長(米田 壯君) 山下議員のご質問にお答えをいたします。
 本年十一月末現在の全国の交通事故による死者は八千六百六十一人、前年対比でマイナス二百八十二人でございます。死者数は減少しているものの、発生件数、負傷者とも年々増加傾向にございます。
 次に、県下の本年十一月末現在における交通事故の発生状況でございますが、人身事故総数は七千百九十九件、死者数は八十四人、負傷者数は八千七百五十六人でございます。全国的特徴と同様でございまして、死者数はマイナス六人と減少しておりますけれども、発生件数、負傷者ともわずかに増加しております。
 本県で、過去年間交通死者がピークを迎えたのは昭和四十四年でございまして、当時、年間死者二百三十人、車両台数一万台当たりに直すと十二・二人という数でございました。その後、諸対策を強力に推進してきた結果、昨年は死者九十四人、車両台数一万台当たりにすると一・四人というところまで抑え込むことができておるわけであります。しかしながら、運転免許人口、車両保有台数は年々増加を続け、加えて阪和自動車道や湯浅御坊道路の延伸による国土軸への直結等により交通流・量とも増加し、それに伴う交通死亡事故の増加が憂慮されるところでございます。
 最近の交通死亡事故の特徴的傾向といたしましては、一つは、高齢者の死者が三十人ございまして、全交通死者八十四人の三五・七%を占め、昨年に比べても二・四ポイント増加するなど、依然として高水準で推移しております。また、五年連続して死者数の最も多い年齢層となっておりまして、今後とも高齢化社会の進展に伴い死者の増加が懸念されるところであります。二つは、国道四十二号、二十四号等の二けた国道、それから阪和高速道路における死亡事故が多く、全死者の四二%、三十五人の方が亡くなっております。特に、夜間死者に占める割合が六五・七%と高くなっております。三つ目は、車両単独の死亡事故も多く、全死者の四三%、三十六人の方が亡くなっております。
 これらの死亡事故の原因についてでありますけれども、前方不注意、安全不確認等のうっかり運転による事故が二十九件、全体の三七%を占めております。さらに、信号無視等の悪質違反、飲酒運転を伴う原因の事故が二十八件発生をいたしまして、これが全体の三五%を占めております。
 今後の対策でございますけれども、交通事故のない安全な社会を実現することは県民すべての悲願であり、また交通事故は県民の日常生活の中でも最も身近で関心の高い問題でございます。このため警察といたしましては、交通事故の実態を踏まえ、関係機関、団体、とりわけ県や市町村で結成している交通事故をなくする推進協議会等との連携を強化して、広報啓発活動や参加・実践・体験型の交通安全教育などによる高齢者対策の推進、信号灯器の大型化、道路標識のワイド化・高輝度化、自発光式道路びょうの増設等の交通安全施設の整備充実、二けた国道や高速道路等における速度自動取り締まり装置を活用した大幅な速度超過の取り締まり、飲酒、無免許運転などを重点とした交通事故に直結する悪質、危険性の高い交通違反の取り締まり等の諸対策を講じていくこととしております。また現在、年末の交通事故防止を重点にパトカーと制服警察官を大量投入して街頭活動の強化を図っているところでございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) 再質問がございませんので、以上で山下直也君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(木下秀男君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十一分休憩
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