平成9年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(東山昭久議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時三分再開
○副議長(阪部菊雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(阪部菊雄君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 28番東山昭久君。
  〔東山昭久君、登壇〕(拍手)
○東山昭久君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行いたいと思います。
 まず、紀の川大堰事業に関して質問をいたします。
 今回質問するに当たり、私の政治的指導者であり恩師でもある的場鹿五郎大先輩の著書「わが田に水を引く・紀の川分水物語」を一読いたしました。的場先生が県議会在職中、終始一貫して紀の川の水資源問題と取り組んでこられた体験をもとに、紀の川の治水・利水の歴史からひもとき、奈良県との分水をめぐる争いの歴史を述べられ、また大阪分水問題まで語られており、今日、多くの示唆を与えるものになっています。同時に、紀の川の水を守り発展させてこられた数多くの先輩たちの血のにじむような足跡が記されています。ここで、少しこの本から引用させていただきます。
 「川はその流域に生きる人びとの人格形成の母である。川は直接あるいは間接に哲学、思想、芸術、情操など崇高な人間の魂を育んできた」。中略しますけれども、上流へは布地、雑貨類、下流へは米、麦、ミカン、柿、時にはマツタケ、皮つきのイノシシなど、季節産物を運び、「かつての紀の川は吉野奥地をも含めた流域村落と、消費地であり生産地である和歌山、大阪を結ぶ重要な物質交流の動脈であった。こうした物資輸送の役割は流域村落の近代的夜明けに貢献し、和歌山、海南など今日に見る都市化への発展を促した。 しかし、紀の川が流域住民にもたらした最大の恩恵は、なんといっても流域一万町歩の稲作農業と」地場産業の発展であり、「母なる川・紀の川は神代の昔から私たち流域住民の生活の母であり、生産の母であったのである」と述べられています。
 また、仮谷志良前知事は、「川、そして川と人間が織りなすドラマ、それは私たちとって如何なる存在であり、如何なる意味をもつのでしょうか。 和歌山県北部の生活、文化、産業のすべては、紀の川との関り合いなくしては語ることができません。過去、現在、そして将来と、この関り合いは、永久に続くことでありましょう」という言葉を序文に寄せられています。
 紀の川は、日本最多雨量地帯の大台ケ原を水源として、高見川、大和丹生川、紀伊丹生川、貴志川などを集めながら紀伊水道に注ぐ、流域面積千七百五十平方キロメートル、長さ百三十六キロメートル、上流は奈良県、下流は和歌山県の五市十七町五村に及びます。和歌山市は、この紀の川に生活、文化、産業経済のすべてにわたって依存してきたと言っても過言ではありません。四箇郷地区も同様に、この紀の川の地下水に依存してきました。したがって、紀の川大堰事業による地下水の変動等に大変敏感で、大きな関心を持っているのであります。
 さて、本題に戻りますが、紀の川大堰事業は、国が事業主体となり、新六箇井堰を撤去してその下流五百メートルに可動式堰を建設し、洪水の安全を図るとともに流水の正常な機能の維持増進、新規水源の確保など、治水・利水を目的にして平成三年に着工され、右岸の四本の堰柱がほぼ完成し、現在、左岸──有本側でありますけれども──工事に着手されています。また、本年十月十三日に左岸工事(平成九年十月から十二年三月まで)に関する地元説明会が行われ、幾つかの条件はつきましたけれども、地元同意が得られたのであります。
 私は、昨年九月県議会で紀の川大堰事業に関して四箇郷地区住民の要望の実現を強く求める質問を行い、今日まで自治会役員の皆さんとともにこの問題に取り組んできたところです。この間、建設省和歌山工事事務所、和歌山県・市、四箇郷地区自治会が同一テーブルにつき、六回にわたって話し合いを行ってきました。地元要望の左岸道路は和歌山市が管理するようでありますけれども、地下水対策、さらには少年野球場の確保など、幾つかの課題について実現する見通しがつくなど、一定の成果を上げることができました。これも、県土木部河川課がその窓口となり努力していただいたたまものであります。関係者にお礼を申し上げます。同時に、まだ幾つかの課題が残っており、話し合いは継続しておりますので、より一層のご協力をお願いいたします。
 紀の川大堰事業は、一、堰本体工事、二、新六箇井堰撤去、三、河道掘削、四、JR阪和線の紀の川橋梁かけかえ、五、北田井ノ瀬橋かけかえ、六、低水護岸の設置、七、取水施設の改築、八、水質浄化水路の整備等から成り、事業費約七百億円、完成目標年次平成十一年を予定されているのであります。
 そこで、次の三点についてお尋ねいたします。
 紀の川大堰事業の進捗状況はどうか。完成目標の平成十一年は達成されるのか。いつ完成するのか。この事業の基本計画の見直しは行われるのか。事業費は当初約七百億円と言われていたが、工事のおくれと建設費の高騰によって膨らんできていると思うがどうか。どれくらいの規模になるのか。それは確保されるのか。
 二つ目として、関連事業であるJR阪和線の紀の川橋梁かけかえ、北田井ノ瀬橋かけかえ等の現状と今後の見通しはどうか。特にJR阪和線の橋梁かけかえと新路線ルート問題については、建設省和歌山工事事務所は平成七年三月ごろ、地元地権者に対して測量のための事前調査を実施したいと協力要請の説明会が行われ、新路線ルートを早急に決定して改めて地元説明会を行うとなっておりました。しかし、その後、一切の説明はなされていないのが現状です。そういった中で本年十月に建設省和歌山工事事務所よりJRとの調整がおくれている旨の通知がはがきによって出されたわけでありますが、地権者の中には、一体どうなっているのか、きちんとした説明が欲しい等、建設省に対する不信、不満の声が出ています。関連事業の今日までの進捗状況と今後の見通しについて、地元住民に説明のつくご見解を求めたいと思います。
 三つ目は、水道道の拡幅と無交差道路の建設であります。
 私は、JR阪和線の六十谷・紀伊中ノ島間の高架化について本議場でも取り上げ、紀の川大堰事業の関連で地建、県、市との話し合いの中で何度もその実現のために努力するよう強く求めてきたところであります。昨年九月県議会での長沢土木部長の答弁では、「一般的に高架化する手法は二通りございます。まず、県事業として行う連続立体交差事業は、現状では交差道路数等が採択基準に達しておらず、また和歌山市において周辺の区画整理を行う必要もあります。もう一つの手法といたしましては、幹線道路である市道の立体化を行うのに要する額に市の単独費を加えて行う方法がございます。いずれの場合も、和歌山市で膨大な単独費等が必要であります。今後、市の動向を踏まえた上で対応を検討してまいりたいと思っております」と答弁をいただいているわけであります。和歌山市の動向が大きなかぎを握っているとの見解でありました。
 この件に関しましては、当初から和歌山市に対して地元から要望を続け、地元住民は大きな期待を寄せていたわけであります。しかし、現状ではJRの高架化は困難な状況にあると思われます。四箇郷地区は近年、新興住宅がどんどんふえ続け、急速に人口も増加しております。そのような中でも、道路整備、上下水道整備等、生活基盤の整備が大変おくれている地域でもあります。都市計画も策定されていないのが現状です。例えば、有本田尻線も国道二十四号線までの計画で、四箇郷地区内には一本の都市計画道路もないのです。
 特に水道道(和歌山市管理道)は、ご存じのとおり、道路幅は狭く、朝夕問わず大変混雑し、車両等が著しく停滞する道路の一つです。この道路は通学道路でもあり、四箇郷小学校や四箇郷北小学校、紀の川中学校へ通う生徒は、歩道もないため、毎日停滞する車の間をすり抜けながら通学せざるを得ない大変危険な道路でもあります。地域住民からは、何とかしてほしいとの強い要望があります。
 先日、道路沿線の十五名の自治会長の署名で要望書が大堰対策委員会に提出されました。要望書によると、一、水道道の道路拡幅、二、JR阪和線と水道道の無交差道路の建設で、以上の要望事項を実現するために私たちも紀の川大堰建設工事の完成にご協力いたしますという内容であります。この課題は和歌山市で都市計画を策定するものでありますが、和歌山県の交通体系を確立するものとして県当局が強力な指導性を発揮されますようお願いすると同時に、拡幅と無交差道路建設に特段のご努力を強く求めます。
 以上について、土木部長のご答弁をお願いいたします。
 次に、紀の川分水問題に関して質問をいたします。
 県は、平成二十二年度までの長期総合計画を策定中であります。第四節、資源・エネルギーで水資源の施策として、水の有効利用、水の安定供給、水環境の保全を掲げ、水の再利用の促進、計画的な水資源開発に努め、保全と利用の観点から基盤整備等の促進に努めますとあります。水資源は、生活、産業経済の最も基礎的な重要な問題であります。人間は、空気と同じように、水なしでは生存することはできないのであります。
 紀の川の分水をめぐっても、奈良県と幾度かの紛争を繰り返し、先人の血のにじむような努力の積み重ねがあり、それらのことによって紀の川の水が守られてきたのであります。私たちは、さらに守り育てていかなければなりません。
 ここに、昭和六十二年十二月二十一日付の、和歌山県と大阪府との「紀の川利水に関する協定書」があります。中身を紹介しますと、「一 和歌山県は大阪府の分水要請に対し、当面毎秒約四立方メートル──四トンですけれども──を上限として分水に同意する。 二 両府県は協力して、紀の川大堰、紀伊丹生川ダム等の水資源開発を積極的に促進し、利水の早期実現に努める。 三 大阪府は、紀の川利水に伴う水源地域の整備振興対策に対し、しかるべき協力を行うこととする。 四 府県間道路の整備について、両府県は協力して早期完成に努める。 五 両府県は、分水を契機としてさらに連携を強め、南大阪・紀北地域の調和ある健全な発展のため、一体的な総合施策の推進に努めるものとする。」、当時の仮谷知事と大阪府の岸知事のもとに協定書が交わされているわけであります。さらに、昭和六十三年一月八日付の「紀の川利水に関する覚書」があり、これは、ここにおられる、当時の西口副知事と大阪・中川副知事のもとに確認をされているわけですけれども、その別紙の中にも府県間道路の整備方針について大阪府との間で確認をされています。大阪府への分水は、紀の川大堰、紀伊丹生川ダムの整備等により昭和七十五年、つまり平成十二年を目標に毎秒四立方メートル──四トンであります──を上限として、当分は約三トンとするとなっておりますが、ダムの整備は当初目標よりおくれています。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 水資源に対する基本的な考え方、紀の川分水に対する基本方針、そして、予定どおり平成十二年の分水は可能かどうか、以上、知事のご見解を求めたいと存じます。
 次に、大阪府との協定書の改定は考えられているのか、また大阪府との覚書の確認事項についてですが、一、分水量、二、基金の設置、三、地域整備協力費、四、府県間道路の整備、五、導水管路用地の利用、六、南大阪・紀北地域の整備、七、加太岬スカイライン(仮称)構想の具体化とある項目のうち、四の府県間道路の整備を除く項目について、今日までの取り組みと現状について企画部長に答弁を求めます。
 最後に、国道三百七十一号、第二阪和国道の延伸、泉大津粉河線、泉佐野岩出線等の府県間道路の整備方針について、今日までの取り組みと現状、今後の見通しについて土木部長に答弁を求め、質問を終わりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの東山昭久君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 東山議員のご質問にお答えをいたします。
 紀の川分水問題に関連して、まず第一点に水資源に対する私の所見ということでございます。
 もとより水は、議員ご指摘のように、自然環境の根幹となって多様な生態系を支えるとともに、人間社会の存立基盤を形成する基本的な資源でございまして、かつ流域の地域にとりましては地域固有の資源であるという認識を持ってございます。したがいまして、水資源の確保に当たりましては、長期的な観点から総合的、計画的に取り組んでまいる必要があろうと思っております。
 次に、大阪府との分水協定についてでございます。
 府県間における長年の懸案課題となってございましたが、関西国際空港の泉南沖立地といったことを契機といたしまして、府県間道路の整備、紀泉地域の発展にともに取り組んでいくという合意のもとで、県議会を初め、流域市町あるいは関係団体の皆様方のご同意を得た上で協定を交わしたところでございます。
 ご指摘のように、分水につきましては、平成十二年を目途に紀の川大堰、紀伊丹生川ダムの建設により新たな水資源を確保した上で実施することといたしておりました。しかし、昨今のダム事業を取り巻く情勢は全国的にも大きく変化をしております。こういったこともございまして、関係市町や関係住民の皆様方の合意形成、さらには、そういった中でダム事業審議委員会の設置、事業予算の確保というようなことにつきまして、建設省を初め各方面に強く要請をしてきたところであります。紀の川大堰、紀伊丹生川ダムの事業進捗の現状からいたしまして、平成十二年の目標年次については大変厳しい状況にあると認識をいたしております。
 以上であります。
○副議長(阪部菊雄君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 東山議員のご質問にお答えいたします。
 まず一点目の、紀の川大堰事業に関してでございます。
 まず、事業の進捗状況と基本計画の見直しの点でございます。
 紀の川大堰事業につきましては、堰本体工事、低水護岸工や河道掘削などが実施されているところでございます。しかしながら、財政事情の厳しさが増す中、堰本体については従来の予定工期では完成が見込めず、平成十四年度中に堰本体を概成させる目標であること、今後、補償のための工事等、さまざまな事業調整を行う必要があり、総事業費等を明言できる状況でないことを先日、建設省和歌山工事事務所より聞いたところでございます。大堰事業促進に努めてきた県としましては、今後とも国に対し早期完成を要望してまいりたいと考えております。
 二点目の、関連事業の現状と今後の見通しでございます。
 まず、議員ご指摘のJR阪和線橋梁の改築についてでございますが、建設省和歌山工事事務所によりますと、現在までに検討のために必要な概略の測量・地質調査を終えており、JRと鋭意協議しているとのことでございます。JR橋梁についても、予定工期では完成が困難でありますが、今後ともJRと協議を図り、早期完成に努めてまいりたいとのことでございます。県といたしましては、JR阪和線橋梁改築について地権者の方々等の要望に対して一層努力するよう、建設省和歌山工事事務所に強く要望してまいりたいと考えております。
 次に、県道紀伊停車場田井ノ瀬線の北田井ノ瀬橋につきましては、平成七年度に事業着手し、これまでに詳細設計、地元説明等を進めてまいりました。今年度は、かけかえ工事中の通行を確保するために仮橋の設置を行うことにしており、既に工事を発注したところでございます。今後、次期道路整備五カ年計画内の完成を目途に努力してまいりたいと考えております。
 三点目の、水道道の拡幅と無交差道路の建設の問題でございます。
 この問題につきましては、議員のご質問にございますように、都市計画の基本は市町村が主体となって取り組むものでございますので、県といたしましても県民の利便性及び安全性の確保等の観点から、市の意向を踏まえ、十分な指導等、適切に対応してまいりたいと考えております。
 二番目の紀の川分水問題に関するご質問のうち、府県間道路の整備方針の今日までの取り組みと現状、今後の見通しについてでございます。
 まず、国道三百七十一号につきましては、平成元年度に国道二十四号から府県境までの区間を事業着手し、現在、用地買収を重点的に進めており、本年度、一部工事に着手する予定であります。大阪府側につきましても工事及び用地買収が進められており、今後とも整備促進を働きかけてまいります。
 次に、第二阪和国道につきましては、和歌山市大谷から元寺町及び大阪府阪南市自然田から岬町淡輪の区間で事業中であり、一部工事にも着手しており、鋭意整備が進められているところですが、この区間の早期完成とともに、府県境部の残区間についても、大阪府とも連携を図りながら早期に事業化されるよう、国に強く働きかけてまいります。
 県道泉大津粉河線──現在の国道四百八十号でございますが、この路線につきましては、平成六年度に事業化し、現在、用地買収を重点的に進めております。大阪府側については平成八年度に事業化され、用地買収に着手しており、今後、府県境のトンネルについても大阪府とも調整を図りながら早期着工に向けて調査設計を進めてまいります。
 県道泉佐野岩出線につきましては、府県境から岩出町備前の区間で用地買収及び工事等の事業促進を図っているところであり、本年三月には一部根来工区を供用したところであります。大阪府側につきましても、平成七年に泉南市男里から金熊寺の区間が開通いたしましたけれども、金熊寺から府県境の区間についても平成六年度に事業化し、本年度、金熊寺地区のトンネル工事に着手する予定と聞いております。
 このほか、泉佐野打田線につきましては二車線整備が概成しておりますが、一部未整備で残っている府県境の打田町神通地区の用地買収を進めており、大阪府側については泉佐野市大木地区等で現道拡幅工事が進められております。
 岬加太港線につきましては、和歌山県側は整備済みであり、大阪府側の岬町小島地区の残区間についても用地買収及び工事の促進が図られております。これらの路線につきまして、今後とも阪和開発連絡協議会等で大阪府側にも強く働きかけながら整備を促進してまいります。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 企画部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 東山議員にお答え申し上げます。
 紀の川の分水問題に関しまして、まず大阪府との協定書の改定を考えているかとのご質問についてでございます。
 先ほど、知事の答弁にもございましたように、平成十二年を目途とする分水については厳しい状況と認識してございまして、今後、紀の川大堰、紀伊丹生川ダムの事業進捗の動向を見ながら大阪府と協議してまいりたいと考えてございます。
 次に、大阪府との分水協定に基づく確認事項に関し、現状と今後の取り組みについてのご質問でございます。
 最初に分水量についてでございますが、紀の川大堰、紀伊丹生川ダムの建設により新たに水資源を開発した上で、上限毎秒約四立方メートル、当面毎秒三・〇九立方メートルを分水することとなってございます。
 次に、地域整備協力費と基金の設置についてでございますが、分水に当たっては、大阪府が毎秒三・〇九立方メートル分として百三十一億円の地域整備協力費を負担することとなってございます。このため、財団法人紀の川水源地域対策基金を設置し、昭和六十三年度から平成八年度までに大阪府から県に対し、累計八十一億五千万円が支払われてございます。
 次に、大阪府営水道の導水管については、現在、取水口について大阪府が建設省と協議を行っているところでございますが、この取水口と阪南市に予定している浄水場を結ぶルートで検討しており、山地部についてはトンネルとし、平地部については管埋設で上部を道路として利用することで府県間で合意しております。詳細については、紀伊丹生川ダムの建設が明確になった段階で決定したいとの大阪府の意向もあり、いまだ決定には至っておりません。今後、導水管路の上部利用については、道路の整備手法も含め、和歌山市等と協議を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、南大阪・紀北地域の整備の検討につきましては、平成二年十二月に紀泉地域総合整備推進委員会を設立いたしてございます。現在まで同委員会におきまして、府県境地域に位置する金剛生駒紀泉国定公園での葛城山周辺整備や近畿自然歩道の整備などに共同して取り組んでいるところでございます。同委員会での今後の取り組みといたしましては、分水の時期が確定した段階で、大阪府とともに利水記念事業の具体化に向けての協議を行う予定でございます。
 次に、加太岬スカイライン──仮称でございますが──構想の取り組みにつきましては、平成元年度より大阪府と共同で概略路線の検討調査及びルートの絞り込み作業等を行い、基礎的調査をほぼ終了しております。この構想につきましては、紀淡連絡道路、関空二期事業等との整合性等の諸課題もございますが、去る十二月三日に開催された阪和開発連絡協議会においても、副知事から大阪府に対し早期に構想の具体化が図れるよう協力要請を行ったところでございます。今後とも早期事業化に向け、積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 28番東山昭久君。
○東山昭久君 今、それぞれの項目について、知事初め関係部長からご答弁をいただきました。
 紀の川大堰事業について、ちまたでは、大変おくれてきていると言われてきたわけですけれども、平成十一年の目途を、平成十四年度中に堰本体を完成させる目標であるということが初めて明らかにされたわけです。紀の川大堰の完成とともに、紀伊丹生川ダムは全くまだ建設に入っていないという状況で、水資源の確保について完全に確立されていないという現状になっているわけです。
 先ほど、知事の方から平成十二年の分水は厳しい状況を認識しているというご答弁をいただいたわけですけれども、私、和歌山に住む一人として、やっぱりきちっとした整備がされて初めて分水すると。もちろん、覚書やいろんなことで確認はされているわけですけれども、先にお金だけもらって、やっぱり水をやらなあかんのやということにぜひならないようにしていただきたい。水というのは我々の和歌山の発展にとって極めて重要な問題でありますから、そういうことで取り組んでいただきたい。
 特に水の問題では、水の量を確保するととともに、今水質の問題もかなり問題化されているわけです。したがって、この紀の川大堰の完成によって地下水や水質がどうなるのかという不安の声もあるわけですから、きちっとしたそういう対策をとっていただきたいということをまず最初に要望しておきたいと思います。
 したがって、そういう意味では、この紀の川大堰の基本計画が建設省の方ではもう見直しをされている──先ほど総事業費については今言えないというご答弁でありましたけれども、とてもじゃないけど七百億で済むような状態ではないということは明らかになっていると思います。当然その上で大阪府や国、県の負担という問題も恐らく出てくるだろうと思いますので、もうおくれているという認識の上に立って、ぜひ新たな方針を早期に決めていただきたいと要望申し上げておきたいと思います。
 それから関連事業の件で、先ほど私はJR阪和線の紀の川橋梁のかけかえについて、これもおくれてきているということで──ところが、私は地元の皆さんとこの問題について建設省の皆さんとずっと話し合いを持ってきたわけですけれども、地元地権者に対する説明が本当に不親切といいますか、親切でないですね。調査をするときには頭を下げて「協力してください」と一生懸命努力されているわけですけれども、その後、何回も申し上げたんですが、やっとことしの十月になって初めてはがきを出しました。去年の四月、去年の八月までに新ルートを決定して説明会を行う、そのとき協力してくれという趣旨のはがきが出されているわけですけれども、それから何の音さたもなくことしの十月まで来たわけです。こういうことでは──こういう大きな事業を進めていくには、やっぱり地元の地権者の皆さん、地元の理解なしには進まんと思うんです。ところが、地元の人を怒らしている。かなり不満を持たれる方がたくさんいらっしゃる。これでは、やっぱり大きな事業は進まん。
 先ほどは、その地権者の要望に対して一層努力するよう建設省に対して強い要望をすると、こういう土木部長の答弁をいただきましたけれども、そういう地元の人たちの理解を得るためには、やっぱり日常ちゃんと、こういう事業をやるにつけて逐次報告をしながら理解を求めていく、そしていざ土地買収に入るときには協力していただく体制をつくるということが事業をスムーズに進めることでありますから、これはまあ、県に申し上げても──本当は建設省の方にここに来ていただいて直接申し上げたいことですけれども、ぜひ県を通じてその点よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 それから、先ほど水道道の拡幅と立体交差道路の建設を申し上げたわけですけれども、これは答弁のとおり、和歌山市で基本的には計画する課題であります。私も、何回か和歌山市の皆さんとも話は持ってきたわけですけれども、なかなか感度が鈍いものですから、こうやって質問させていただきました。ぜひ強力な指導性を発揮していただきますよう心から要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で東山昭久君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(阪部菊雄君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時四十五分散会

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