平成9年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(鶴田至弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番鶴田至弘君。
  〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 通告に従いまして、一般質問を行いたいと思います。
 財政構造改革法と財政状況、来年度予算編成方針について、まずお尋ねをしたいと思います。去る九月議会で、同僚議員の質問に答えた当局の大筋での方針をお聞きしておりますので、少々角度を変えて質問をいたします。
 一番。財政構造改革法が成立して、国民の負担が一層増大する状況が生まれてまいりました。今年に入って消費税がアップし、医療費はふえ、国民生活の困難さが財政のひもをかたくさせ、不況の大きな一因とさえなっていると言われているとき、財政構造改革法は、さらに医療、社会保障、中小企業、教育、農業と、国民生活に直結する予算が大きくカットされようといたしておるところであります。
 医療、社会保障の面だけを見ましても、九月の医療制度改悪に引き続いて、さらに四千三百億円のカットが予定されております。九月の改悪時よりも一・四倍の規模であります。九月の改悪時から病院への外来患者が減り始めたと言われております。財政構造改革法がそれに輪をかけることは必至であります。ビタミン剤や風邪薬は自己負担の方向も検討されるようになっています。難病患者への医療の公費負担も削減されようとしております。お年寄り患者の負担の定率化による増額等々、社会保障の最も必要な人々への負担増が図られようとしております。
 中小企業対策は、十五年前に比べて金額でも四分の三となり、一般会計の構成比では半分以下に下げられてまいりました。教育面でも、教員定数改善延長で、一年でやるはずの教員増が三年に引き延ばされ、来年は増員予定よりも三千七百人減ることになっています。
 ごく一部の紹介でしたが、どの面をとってみても国民負担増が極めて厳しいものになっているというのは事実であります。そして、世は深刻な不況の真っただ中であります。国民生活とともに、それは地方財政へも大きなしわ寄せをもたらし、自治体の運営を困難ならしめようとしています。
 知事は九月議会での質問に答えて、財政改革法案について、政府の姿勢を高く評価されるとしましたが、住民生活の守り手である知事の言葉としては大変違和感を持って聞いたところであります。私は、国家財政を困難ならしめている主要な原因の一つである不要不急の公共事業へはほとんど手をつけず、あるいは世界で二位、三位と言われる軍事費の大幅カットを抜きにしたまま国民負担を増加さすことで財政難に対処しようとする手法は、九月の知事の答弁のごとく、評価できないのであります。
 法案が法律として成立した今、改めてこの財政構造改革法に反対することを求めるものですが、知事の所見を求めます。
 二番。厳しい予算編成方針が示されました。不況の中での税収の落ち込み、公債費の増大など、やむを得ない面は多分にあるでしょう。しかし同時に、県民生活が国の政治の中で困難を迎えているときほど、自治体は住民生活の守り手としての機能を発揮せねばなりません。生活に直接関連する数々の社会保障的意味合いを持つ諸予算、あるいは住民生活に直結する補助金等々、十分に保証されるべきであると思います。必要なものは十分に対策されることを求めたいと思うのですが、いかがでしょうか。
 三番。「県民の友」に県財政の財政難を特集する広報がされました。いいことばかりでなく、つらいことも、まずいことも県民に広く広報するということは大事なことと思います。そういう点では評価できます。しかしそれは、行政が自分に都合のよい方だけで行うと県民の認識を誤らせる危険もあります。
 目下の財政難の最大の原因は税収の不足と公債費の増大でしょうし、不況時代の税収不足は、ある意味では自治体レベルではいかんともしがたいことですが、公債費の増大は自治体の裁量の問題でした。これが、なぜかくも大きくなったのか。県民のための事業を、借金してでも、県単ででも無理をしてやってきたからだとだけ言っていいものかどうか。
 県単独事業の中には、そう遅くもない時期に国の補助金が得られるものもあったはずです。効果の薄い景気対策としても、急ぎ過ぎた県単事業があったのではないでしょうか。また、莫大な事業費を投資して寒々としたコスモパーク加太や特定企業の営業の場となったマリーナシティ、それに通ずる豪華な道路などを見るにつけ、当局の過去の財政運営にいささかの反省もないのだろうかと思うものですが、いかがでしょうか。
 また広報では、来年度以降、本来市町村や民間企業、さらには個々人がみずからの負担と責任でやるべき分野については削減の対象にするとしておりますが、過去の情勢の中ではそれはどのようなものを指しておるのですか。また、同じく広報では、ないよりあった方がよいという水準の施策は抑制するとされております。従来の施策ではどんなものがあったのか、明らかにしていただきたいと思います。
 私は、そういう視点でかつてビッグホエールなどにも批判的見解を述べてきたところですが、従来の施策の中で、県当局はそういうものをどういうところに見出しているか明らかにしていただきたいと思います。
 続いて、不況対策、小売店舗対策等についてお尋ねをいたします。
 小売店舗の活性化など、お尋ねをするわけですが、商業統計によりますと、県内の商店の急激な減少が目についてまいります。平成三年に、県下に商店数は二万一千六百店あったそうです。それが平成六年には一万九千七百八十五店となり、わずか三年間に千八百の店舗が減少しています。それに伴い従業員も当然減少し、その数は千三百人にも及んでいます。平成七年度以降の統計がありませんので平成九年現在の数字がわからないわけですが、恐らく同じような傾向が続いていると推定されます。結果、私たちの近所の八百屋さんが姿を消し、あるいは酒屋さんが姿を消し、商店街では空き店舗が寒々とシャッターをおろし、多くの市場が昔日の面影を失いつつあります。閉店された方々の多くは、好んでシャッターをおろしたわけではありません。経営が成り立たず、やむにやまれずというのが現実であります。この商店の経営難の原因の最たるものに大量販店いわゆるスーパーの猛烈な進出があることは、大方の認めるところであろうかと思います。
 今、和歌山県下の都市部では、大量販店の小売面積の占有率が五〇%を超えるところが次々に出てまいりました。ちなみにご紹介いたしますと、和歌山市は五一%です。小売店舗の五一%がその面積において大量販店が占めているそうです。御坊市は現時点で二八・八%ですが、大店審の認可済みのものも加えますと──これはごく近い将来に開店される予定ですが──そうすると五七・二%になります。海南市でも五〇%を前後し、新宮市で四〇%です。主要な都市で大量販店がその小売面積において五〇%を超え、その分だけ既存の小売店舗が姿を消していき、さらにその傾向が強まろうとしています。
 大量販店は消費者に一定の利便性を与え、その意味において新しい町の姿をつくり出しましたが、零細業者を駆逐し、その生計の手段を奪いました。そして、古来の人と人とのつながりを希薄なものにしてまいりました。町の小さな小売店は町の花であり、彩りでありました。そして、人々の日常の交流、触れ合いの場でもあり、人情をはぐくむ場でもありました。そんな雰囲気を醸し出す場がここ十数年来の間に半減してしまったわけです。商店街の活性化、町の小売店の活性化に行政としていろいろ施策されてきましたが、それが一定の功を奏しているところもあるものの、進行する事態に有効に対応できていないことも実情であります。
 私は、当局に次のことを求めたいと思います。
 一番。国の方で、大店法の廃止あるいは小売店保護条項を削除するような抜本的な改定を図る検討がされています。大店法の歴史は、大量販店の進出にその制限を際限なく緩和していこうというものでした。地域の商業界の意向も自治体の意向も次第に排除され、今は辛うじてわずかの調整権限だけが残されたものですが、それすらも排除されようとしているのが今回の廃止あるいは改正案であります。
 新たに、類する新法という動きもありますが、大量販店進出の規制緩和の方向を志向する点では同じ線上のものであって、小規模小売業者にとってはまさに耐えがたいものでありましょう。とめどもないスーパーの進出によって町の様相も激変するところになるでしょう。それは、町の精神的荒廃にもつながると危惧するわけであります。
 知事にあっては、この大店法の廃止あるいは改正、正しくは改悪と申すべきものでしょうが、それに強く反対されることを求めます。いかがでしょうか。
 二番。商店あるいは商店街の活性化は、商店あるいは商店街だけを対象とした対策だけでは一時的な効の薄いものになりかねません。一定の地域を対象にした地域対策として、町づくりとして対応する必要があろうと思います。
 そんなことを思いながら、知事の候補者時代の公約冊子「輝け和歌山・新時代構想」を眺めておりますと、商業を特定してその活性化を図るという条項は見当たりませんでしたが、百三十六項のうち百四項に、「にぎわいのまち」振興プランをつくるという項目がありました。それによりますと、「市町村や第三セクターによる『まちづくり公社』をつくり、商業活性化計画などへの財政的・人的支援をすることによって、地域の特色を活かした住民参加の楽しくユニークなまちづくりを応援します」とあります。私の願った商店の活性化よりも幅の広い内容を持ったものと推測されますが、商業の活性化と町づくりを同次元のものとして合わせて問題提起をされている点は一致するところだと、歓迎して読ませていただきました。ついては、この公約は今どのように政策化あるいは行政化されているのか、あるいは検討されているのかをお示しいただきたいと思います。
 次に、景気対策についてお尋ねをいたします。
 厳しい経済情勢を反映して、和歌山県下の小零細企業もその経営維持のために大変な労苦を強いられているところですが、政府は景気対策を作成いたしました。しかし、法人税減税、土地規制緩和など、そのほとんどが小零細企業への効果を多く期待できない施策でした。恐らく大企業に減税された法人税は、そのほとんどがバブルの傷をいやす内部留保に回され、土地の規制緩和などは大規模な土地所有者の動きを誘導するにとどまるものと思われます。
 景気対策の重要な柱は、国会の議論の中でも明らかにされておりますが、中小企業の活性化と個人消費の拡大がその中心とならなければ功を奏しないだろうと言われています。残念ながらそのような施策は見出せず、小零細企業の年の瀬を控えた経営は一層の厳しさを強いられてくるだろうと予測されます。
 十一月十八日、政府は中小企業庁長官名で、「中小企業対策に係る体制整備について」という通達を都道府県知事あてに出しております。趣旨は、都道府県は中小企業指導機関、金融機関との連携を図り、中小企業の状況に関する情報収集、中小企業対策に係る連絡調整等を行う体制の整備を強めよということと、中小企業からの相談に迅速に対応せよという二点であります。
 お尋ねいたします。県としては、この通達にどのようにこたえておりますか。内容は、当局にとって、今さら改めて言われなくてもと感じられる向きもありますが、中小企業庁が改めて言わなくてはならないほど事態は深刻化していることを示しています。ここに言われている中小企業の実態にかかわる情報収集など、具体的にどうされますか。県や行政は中小零細企業の実態を余りにも知らなさ過ぎるという批判をしばしば耳にします。県行政の施策の基本が実態調査、実情の把握だと思いますが、どういうふうに対策をされる予定ですか。窓口を設けて相談に乗るとすれば、窓口の開設されていることが業者に周知されなければなりませんが、どうお考えですか。私は、二十一世紀を開く緊急経済対策そのものに余り大きな期待を抱くものではありませんが、県当局がこの機会に小零細企業の実態を十分把握し、活性化への有効な手段を創造されることを期待するものでありますが、いかがお考えでしょうか。
 二番。次に、金融対策についてお尋ねをいたします。
 銀行の貸し渋りが社会問題になっています。景気のよいときには借りてほしいと頼みに来た銀行が今は手のひらを返すような状況で、なかなか融資をしない、そんな話は零細な企業の方々からしばしば耳にします。
 こういう数字があります。県の制度融資の特別小口の貸し付け数を見ると、平成七年に五百四十四件あった貸し付け数が平成八年では三百九十二件と、百五十二件減少しています。実に二八%の減少です。一般貸し付けでは、平成七年が四千五百二十五件、それが平成八年には三千八百四十件と六百八十五件減少し、これも一五%の減少であります。これは、比較的安定した保証協会の保証つきの制度融資です。これでさえこれだけ減ってきた。申込者が少なかったからとは考えられません。貸し渋りがこんなところまで及んでいるのかと推測される数字でありますが、越年を控え、いつ明けるかわからない不況の中で、中小零細企業への貸し渋りはますます経営の混乱をもたらします。当局にあっては、このような状況をどう掌握し、評価していますか。金融界に対して、貸し渋りはやめ、中小零細企業への活性化に寄与されるよう要請する必要があると思いますが、その意思はありますか。
 また、構造改革法のあおりで信用保証協会への基金の原資が一〇%カットされる可能性が出てまいりました。その結果、保証枠が五十から百倍程度縮小される可能性があると言われます。保証協会の保証渋りが広がる可能性があります。また、保証協会で小口の保証をお願いしても、しばしば保証人を求められます。保証人がないからお願いに来た保証協会に保証人を出せと言われる、こういう状況が一層ひどくなるのではないでしょうか。どのように考えられておりますか。このような事態が起こらないよう国に求めていただきたいと思いますが、いかがですか。
 また、不況対策として一番有効なのは、さきにも申し上げましたが、個人所得の拡大と中小企業の活性化と言われます。そのために、差し当たり消費税を三%ともとの率に引き下げることを含め、中小零細企業を中心とした不況対策に政府の政策を展開されるよう求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、西防沖埋立地の住金から関電への転売についてお尋ねをいたします。その譲渡申請も間もなく提出されると思いますので、それに対応する県の姿勢について、九月議会で十分明らかにされなかった点を引き続いてお尋ねをいたします。
 一番。公有水面埋立法は売り手に対して不当な受益は得てはならないとされていますが、不当な受益、適正な受益の概念または定義を明確にしていただきたいと思います。また、適正な受益なら許されるのかどうか。私は、前に申し上げましたように原価で売却されることが原則だと思いますが、いかがですか。
 二番。売り手が原価で売却する、あるいは安価で売却すると、買い手側が実勢価格との差で大きく受益する可能性が生まれます。この買い受け側の受益が社会常識として著しく乖離していれば適切でないと九月議会での答弁にありましたが、いずれにしろ、公有水面の埋立地を売買することによって益を得るということ自体、許されることではないと思います。買い手が買い受けた価格と実勢価格との差は公明正大に明らかにし、社会に、すなわち和歌山県民に還元すべきだと思いますが、いかがですか。
 三番。いずれにせよ、県がこの造成地の価値を原価を含めて掌握していなければ不当な受益、適正な受益を判断することができないわけですが、どのように掌握されておりますか。企業からの報告だけで原価を適正に把握したとは言えません。県として調査が必要です。どうされますか。
 四番。譲渡許可申請書、造成原価、譲渡条件、実勢価格等につき、情報を公開する必要があります。九月議会では、譲渡価格は譲渡許可申請の審査結果が出された段階で審査内容を含めて明らかにするとされましたが、審査内容の公開の中にはそれらは含まれますか。結論だけを開示しても、それが不当か適正かの判断はできません。譲渡申請が出されれば、それを含め一切が公開されることでこの大問題への民主的対応が可能となると思いますが、いかがですか。私は、大企業と県との旧来の関係から、住金、関電、県三者とのなれ合い談合があってはならないと危惧するものであります。そういう立場からこの質問をいたしましたが、毅然とした態度を県当局が貫かれることを期待するものであります。
 最後に、雑賀崎地区への港湾建設と埋め立てについてお尋ねをいたします。
 この計画が発表されますと、地元及び周辺の人々から、景観破壊、観光資源の破壊だという理由で猛烈な反対運動が起こりました。当局はそれを無視する形で中港審の判断を求めていましたが、結局景観への配慮のなさが指摘され、条件つき認可となりました。そこでまず当局に、景観問題をどのように考えていたのか、また考えているのかをお尋ねいたします。
 雑賀崎周辺は、西浜方面が地域振興、経済活性化の名のもとにその景勝地が名状しがたい破壊を受けながらも、景観美においては今なお著名なところであることは言をまちません。県は従来より、和歌山県の自然とその美は県の財産であると言ってこられました。しかし、港湾の建設という産業経済政策の前には、実に簡単にほごにされました。
 紀伊半島北部で大型都市に隣接するこの景勝の地は、何物にもかえがたい子々孫々への財産だと私は考えています。少々の小手先の計画変更でこの景勝を守ることはできません。幾つかの島があるから美観が形づくられているのではなくて、遮るもののない広々とした海面と島との組み合わせが美しく、景観を創造しているわけです。長大な緑地を築造し、埋立地を隠ぺいすればこの地の景観は保護されると考えられたようですが、自然保護、景観保護の思想は当局にあってはその程度のものであったのかと、計画を知ったときには唖然としたものでした。この地にさらなる計画の変更をもってしても、美観の破壊は免れません。雑賀崎の埋め立てと景勝地の関係をどうお考えですか。両立すると考えておられるんですか。
 二番。港湾利用の将来見通しについてお尋ねをいたします。
 計画は、この港湾を建設することにより、専用港を除いて約二百三十万トン増加するとの予測です。その目標が果たして現実的なのかどうか。
 ビッグプロジェクトの当初の計画は、華々しく、数字が確信を持って提示されているのが通常でありますが、その予測が当たったためしの方が少ないのが現実であります。コスモパーク加太の現実が最たるものです。マリーナシティの効果は予測の何分の一かの実情です。関空への期待と現実のギャップは冷静に見なければなりません。
 ある県では、四百八十億円近い金を投じて建設された港が、予測した利用率が一五%にとどまり、市民の楽しい釣り堀として活況を呈しているという現状があります。大阪港、神戸港が比較にならぬ規模で今また拡張されつつあるとき、果たして和歌山の港湾拡張が予測どおりの貿易量を生み出すことができるかどうか、甚だ危惧するものであります。
 そのような目標を前提にした、一千億円を超えるだろうと予測される投資が時宜に適したものであるかどうか、甚だ疑問を抱くものです。一コンサル会社に将来予測を任せることなく、さらなる議論の上に立って検討し直すべきではないでしょうか。港湾拡張の再検討は、将来予測の的確性、貿易量の目標と投資額といった面からも必要だと思うのですが、いかがでしょうか。また、災害時は大阪、神戸港の代替となり得るという問題もありますが、その規模は代替港と称するには余りにも格差があり過ぎ、その幾分の一でもというお考えなら既に大阪府下に準備されてもおります。いかがお考えですか。
 三番。港湾計画の立案過程と情報提供のあり方についてお尋ねをいたします。
 政策原案立案過程に必要な庁内のすべての機関が十分な議論を尽くしていたのか。例えば、観光行政をつかさどる部署、自然環境の担当課等の意見がどの程度反映されていたのか。必要な合議が行われていたのかどうか。私の印象では、それはごく形式的なものであったように感じます。いかがですか。
 次に、まず住民の意向を聞くという姿勢の欠如の問題であります。当局は、中港審の結果が出てその後事業に取りかかるときに住民の声を聞くのが手順だと言われておりましたが、幾万の人々の心を潤す景勝地を埋めるというのに、その手法は合意できません。どうお考えですか。昭和四十八年に同様の埋立計画があったとき、住民の意見で計画を撤回した歴史があります。このことから、県は逆に教訓をくみ出して、住民合意は後でという手法をとったのではないかと推測するものでありますが、原案立案過程に世論を反映さすべきです。いかがお考えですか。
 最後に、いずれにしろ今回のこの計画は、景観の問題、将来見通しの問題、住民合意や庁内の意思統一のあり方から見て計画を撤回されるのが妥当ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 以上をもちまして、第一問を終わります。
○議長(木下秀男君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員にお答えをいたします。
 まず、財政構造改革についてであります。
 本年の六月議会でも、我が国の財政の現状は大変危機的な状況にあり、将来にわたって国民生活の安定向上を図っていくために財政構造改革は一刻の猶予もならない喫緊の国家的課題だと、そういうふうに申し上げたところであります。したがいまして、いわゆる財政構造改革法の目指す基本方向につきましては、その実を上げるために国、地方を通じて最大限の努力をしていかなければならない。そのことについては評価をしたわけであります。
 ただし、これは六月議会でも申し上げたと思いますけれども、その場合におきましても、地域の実情を十分踏まえた上で国土の均衡ある発展を目指し、整備水準の地域間格差を是正するといった視点が不可欠でございます。私といたしましては、国に対し、地域の実情を十二分に訴えていきたい。その条件を前提としておるものであります。
 また、十年度の県予算につきましては、本県財政の現状を踏まえ、予算要求基準は従前にない厳しい内容といたしておりますけれども、これは単に機会的に予算をカットしようと意図したものではございません。要求段階から一つ一つの制度や施策を精査することによって事業の優先順位を選択して、真に必要とする事業への予算の重点化と合理化、効率化を図ろうとするものでございます。
 今後、県民生活の安定向上はもとより、将来の県勢発展につながる分野に対して十分な配慮をしながら十年度予算編成作業に当たってまいりたいと考えております。
 次に、大店法の改正についてであります。
 近年の中小小売商業者を取り巻く環境と申しますのは、消費者ニーズの多様化、車社会の進展、後継者問題、大規模小売店舗の出店などにより大変厳しいものがあると認識をしてございます。こうした状況の中で、特に大規模小売店舗の出店に当たりましては、地域においてもいろんな難しい問題があるということはよく承知をしております。言葉では「中小小売業者とできるだけ共存共栄が図られ」と言うわけでありますが、その困難な点のあることも承知しておりますけれども、地域経済の活性化につながっていくものでなければならないと考えておるところでございます。
 現在、国において大規模小売店舗法の制度見直しの検討がされており、この合同部会の委員の方々にも十分な審議をお願いしていると思いますが、その論議を尽くして今後その動向がどのようになるかということをしっかりと見定めていきたいと思っております。
 次に、第二点目の「にぎわいのまち」振興プランについてであります。
 この町の顔でもある商店街を、面的な広がりの中で、単に物だけでなくて多様なサービスや文化等をあわせ提供し、人々の触れ合いや憩いの場とすることによって活気のある、にぎわいのある町づくりを進めていくことを一三六で提言させていただいたわけであります。本年度の予算で、趣旨は若干異なりますけれども、まちかどミュージアムの予算を計上しておるところでございます。
 現在、国におきましては、関係十一省庁が連携をして、町の活力やにぎわいを創出しようと検討している中心市街地の活性化策というのがございます。まさにこのような視点に立った町づくりであると思いますので、私といたしましても、今後これらの施策も積極的に取り入れながら商店街の活性化に取り組み、県単独事業などの面でも考えていきたい、そのように考えてございます。
 次に、雑賀崎埋め立てに関する景観の価値をどう評価するかということであります。
 このことにつきましては、昨日、宇治田議員のご質問にもお答えをしたところでありますけれども、私は、本県の持つすばらしい自然景観あるいは古い歴史・文化というのはまさしく和歌山県の財産であると、そのように考えてございます。
 本港沖埋立計画のうち雑賀崎前面の景観の問題につきましては、私としても重要な課題と考えてございます。このために、国の港湾審議会において出された意見についても真摯に受けとめて、今後柔軟な対応をするとともに検討していきたいと考えております。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 総務部長中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 県広報紙「県民の友」十二月号に掲載した、県の財政状況に関する広報基準についてのご質問にお答えいたします。
 現在、国や一部の地方団体で財政危機が叫ばれておりますが、今回の県広報紙への掲載は、県民の皆様方に県財政の現状と課題についての認識を深めていただくために、よりわかりやすい形で財政状況をお示ししたものでございます。その中で、歳入歳出のギャップの要因につきましては、県税収入の大幅な減収と、バブル崩壊後の景気対策や社会資本整備のための投資事業の必要性からそれらを積極的に推し進めてきたことによる公債費の増大等によるものとの分析結果を示したところでございます。
 なお、広報の中で経費の縮減の可能性について言及しているところでございますが、限られた財源の中で予算の重点化、効率化を図るという基本的な考え方を示したもので、例えば奨励的な補助金や誘導措置的な補助金などで、県民生活への影響や緊急性の度合いを勘案しながら縮減を検討していかざるを得ないということを申し上げてご理解を訴えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 商工労働部長日根紀男君。
  〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 中小零細企業対策のご質問三点についてお答えいたします。
 まず、国の通達への対応につきましては、中小企業の状況に関する情報収集や中小企業対策に係る連絡調整等を行うため、県、和歌山財務事務所、また県内の政府系金融機関や中小企業関係団体から成る和歌山県中小企業対策連絡会を近く発足させることといたしております。
 特に本県におきましては、県内景気が停滞感を強めていることから、景気動向の把握や新年度予算編成での取り組み等について協議するため、十一月二十八日に景気動向等庁内連絡会議を設置いたしまして、既に全庁体制による取り組みを行っているところでございます。
 また相談窓口につきましては、十二月一日、本庁及び県事務所に中小企業融資相談窓口を設置いたしまして、このことを各報道機関を通じて広報するとともに、商工会議所等の関係団体には文書をもって通知し、周知徹底を図っているところでございます。
 次に中小企業の実態に係る情報収集等につきましては、県の企業診断士による産地診断、また民間信用調査機関等を通じて適宜情報収集等に努めておりますが、今般、景気への懸念が高まっていることから、緊急の景況調査を産地組合や商店街組合等に対して実施いたしまして、その実情の把握に努めているところでございます。
 今後、より一層中小企業者の実態把握に努めまして、関係機関との連携強化を図り、金融対策や経営指導等、きめ細やかな対策を講じてまいる所存でございます。
 次に、貸し渋り対策についてでございます。
 県内中小企業の方々から、金融機関の融資条件が厳しくなってきているとの声も寄せられてきておりまして、去る十一月二十六日には融資状況に関する緊急調査を実施いたしました。その結果、規模の小さな企業ほど金融機関の融資条件が厳しくなってきた、あるいは将来融資条件が厳しくなっていくだろうというふうに考えている企業の割合が高くなっているといった結果が出ております。こうした状況を踏まえまして、中小企業者の資金需要に支障が生じないよう、銀行協会を初め県内各金融機関、信用保証協会に対し、適切かつ迅速な対応を要請したところでございます。
 また、今後の中小企業者からの融資相談につきましては、県の融資制度の利活用を図っていただきますとともに、政府系金融機関とも十分連携をとって中小企業金融の円滑化に取り組んでまいりたいと考えております。
 信用保証協会の問題でございますが、信用保証協会の保証残高は、平成九年十月末現在で約二千三百億円程度となってございます。対前年比一〇四%の伸びでございます。県といたしましては、協会の基金積立額並びに現在の経営状況等から見て、十分な保証能力を備えていると判断をいたしております。
 なお、協会といたしましても、十一月二十五日に融資の特別相談窓口を設置しまして、保証の面では積極的な対応を図っておられるところでございます。
 保証協会に対する国の平成十年度の基金補助金は、お話のように縮小の方向で概算要求されております。県内中小企業者の置かれている厳しい状況や将来展望も踏まえて、国に対して本県への増額要望を行っているところでございます。
 次に、中小企業を中心とした不況対策を国に要請すべきでないかというお話でございます。
 先日、国の関係省庁に対しまして、生産面、雇用面とも全国水準より低く推移するなど、厳しい本県の経済状況を説明いたしまして、国においてこうした地方の中小企業の実情を十分に勘案した景気対策の推進を図っていただきますように強く要望をしてまいりました。今後とも、国に適切な対応を要請してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 鶴田議員のご質問にお答えいたします。
 西防沖埋立地問題についてでございます。
 まず、不当な受益とは何かという問題でございます。
 公有水面埋立法上、不当受益の有無は譲渡価格が適正であるか否かにより判断することになりますが、本埋立地の場合、埋め立てに要した費用を上回る価格での譲渡は認められないと考えております。
 次に、実勢価格との差は県民に還元すべきではないかというご質問でございます。
 買い主が社会常識と著しく乖離した価格で取得することは、適当ではないと考えております。仮にそのような価格で取得する場合は、何らかの形で公共への還元を求める必要があると考えております。
 次に、原価の掌握を正確にすべきであるということでございます。 現時点におきましては、公有水面埋立法第二十七条に基づく申請がなされておりません。そういう段階ですので、造成原価の把握もいたしておりません。申請がなされれば県において適切かつ厳正な審査を実施することになります。申請者に対し、審査に必要な資料の提出等を求めていくと、こういうことになろうかと思います。
 次に、情報の公開の問題でございます。
 譲渡許可申請の内容につきましては、審査結果が出た段階で、審査内容を含めて明らかにすることになります。この際には、譲渡許可申請書等も含まれます。なお、審査前の段階での譲渡許可申請書の公開は困難であると考えております。
 次に、雑賀崎埋め立てに関連する幾つかのご質問にお答えいたします。
 まず、港湾の将来見通しでございます。
 県が提唱しておりますベイフロンティア構想は、大阪港、神戸港といった船舶がふくそうしている大阪湾内の港湾にかわりまして、湾外の和歌山下津港において近畿圏の物流の効率化や災害リスクの分散を図ろうとするものでありまして、将来の近畿圏経済の一翼を担おうとするものであります。
 港湾利用、特に取扱貨物につきましては、現状での取扱貨物量は平成七年での実績が年間約五千五百万トンでございます。計画目標年次である平成二十年代前半におきましては、その取扱貨物量は五千八百七十万トンになると予測しているところでございます。増加を見込んでいるのは外貿コンテナやLNGなどでございますが、取扱貨物の予測に際しましては、実績を踏まえた上、荷主企業などからの港湾利用要請に基づき精査したものでございます。
 また、今回の港湾計画は、ベイフロンティア構想実現のためのあくまでも第一段階であります。これに要する投資額には、不透明なところもございますけれども、県勢活性化のプロジェクトとして地域への波及効果に十分見合った投資であると考えております。
 さらに、阪神・淡路大震災で神戸港が機能麻痺に陥った際に、和歌山下津港を含む近畿圏の港湾で代替し切れず、東京湾や伊勢湾などの他地域の港湾、あるいは釜山港といった外国の港湾に依存したため、近畿圏の経済に大きな打撃を受けたというところでございます。こうしたことから、災害時におきましても、物流停滞が起きないよう、近畿圏全体でリダンダンシーの確保を図ろうとするものであります。
 次に、庁内合意、地元合意の問題でございます。
 計画策定に当たりましては、学識経験者や庁内関係部局、また地元代表としての関係市町等から成る整備構想調査委員会を設置し、計画案の検討を重ねました。その上で、地方港湾審議会での審議を経て策定したものでございます。
 港湾計画は、国の港湾審議会において承認されて初めて県の計画となるマスタープランといった性格のものでございまして、具体化を図るためには、公有水面埋立法に基づいて縦覧し、広く意見を聞くとともに、関係市町村長の意見を聴取し、さらには漁業権者等の権利者の同意が必要とされるものでございます。
 次に、計画の白紙撤回をというご質問でございます。
 県といたしましては、ベイフロンティア構想を県勢活性化の重点施策として考えており、またこの第一段階としての外国貿易機能の拡充や紀北地域における建設残土等の処分場を確保するといった港湾計画の枠組みが、去る十一月二十八日の国の港湾審議会において、おおむね適当であると承認されたものでございます。今後は、さらに関係各位の意見を聞きつつ柔軟に対応し、施策の具体化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、順不同ですが、再質問をいたします。
 まず雑賀崎景観問題について、知事にお尋ねをいたします。
 今回のこの計画が環境庁から、景観の保存に努めなければならんということでチェックをされたわけですが、知事自身、この原案に対して、また環境庁からチェックされたことに対してどのような反省をお持ちですか。
 私は、昨日来、知事のこの問題に関するご答弁を聞きながら、知事がこんなことを言っておられたのになと思ったんです。自然は心の財産だ、あるいは心の豊かさをはぐくむものだ、物の豊かさより心の豊かさの時代だ、こういうふうに盛んにおっしゃられていた。そういうふうにおっしゃりながらあの雑賀崎の地を埋めるとき、あのような大規模な、恐らくだれが見てもこれで自然環境が保護されたとか、景観が保障されたとかと言いにくいような計画をおつくりになられた。物の豊かさより心の豊かさの時代だと言いながらそういう計画をつくられたという、そこが私はわからないんです。結局は、経済活性化という名のもとに、自然であろうと景観であろうと、押しつぶされていくというのが現実じゃないですか、この姿勢であれば。こういうような姿勢では、和歌山県の自然は和歌山県の財産だとおっしゃってはおりますけれども、恐らく守られないんではないかと危惧をするわけです。
 また、今回、景観への特段の配慮をしていくというふうにおっしゃられましたけれども、あの海域でどのような配慮をされるんですか。もしあの港湾機能を一応前提とされるのであれば、到底景観への配慮などをしておってはできない相談であります。少々北へ移動しても、あるいは形状を変えたとしても、景観破壊という点については間違いなく大きな問題となるでしょう。
 ミチゲーションという理論が最近出てまいりました。あの西防埋め立てのときに、埋め立てた後ミチゲーションをするということでいろんな工作をされておりました。そういう中にも、雑賀崎周辺の景観は守らなければならないんだと書かれているんですよ。和歌山県がつくった計画ですよ。そういうような思いと知事の今度の計画立案の姿勢とは全く相反するものだと思いますが、いかがですか。こういう問題は一度白紙に戻されて検討し直す、十分住民の意見も聞き直してみるというふうにされてはいかがですか。これが一番です。
 次に、雑賀崎問題について土木部長にお尋ねをいたします。
 私は、住民合意を得ていくというその手法について、全く納得がいきません。とにかく最初から、住民の意見を聞くと面倒だからというような考え方はありませんか。中港審で結論が出るまでは中身は見せないということでずっと続けられておりました。これが官公庁の手法だというなら、それを改めていくべきだと思います。
 今回は、地港審の後、ちらちらと情報が流れてまいりました。流れましたから、住民が景観を守れという運動を始めたんです。七万の署名を持って環境庁へ押しかけた。その結果、環境庁の意見となって返ってきた。住民の知恵と心が大きく作用したということのあらわれであります。原案作成の過程から、住民の意見を聞くことの大切さを証明した事件ではなかったかと思います。
 環境庁の意見がああいうふうに出たわけですが、情報の公開の仕方をもっと積極的にすべきだと思うんです。九月議会の前に私は、どこをどのように埋め立てるんですかと港湾課に聞きました。教えてくれませんでした。少しでも形状を、地域を教えてほしいと申し上げますと、海の中に丸を書いて、大体この辺を埋めるんだという回答をくれました。全然わかりませんよね。ところが、住民の方々はそれでは承知しない。説明を求められ、そしてとうとう地図を出した。そうして、出してから、ようやく今度は議員のところへも回ってくるという、こういうような状況でしょう。明らかにそこには、計画について一切知らせないという秘密主義があるんですよ。皆さんからよほど厳しく言われないとしないという、そういう姿勢は、これから住民の声を聞いていくと言っても、私は、そうですかと言って信用できないんですよ。従来のこの件に関する深い反省を持ってほしいと思うんですが、いかがお考えですか。
 次に、知事にお尋ねをいたします。「にぎわいのまち」振興プランについてです。
 今のところ、この公約は眠っているようです。思い出していただきましたので、「思い出の百三十六」というふうに私も考えるわけですけれども。これと、国の十一省庁が連携した中心市街地活性化策とを余り単純に連動させない方がいいと私は思います。肩がわりをさせるというようなことはないと思いますけれども、国の策は、県に一ないし二カ所検討しようというような水準のものです。知事の公約は、県下のすべての市町村を対象にして、きめの細かいものであったはずですね。だから、国のやろうとしていることと一部一致するものがありますけれども、そのスケールといい、そのきめの細かさといい、全然質が違ってきていると思います。この公約に光を当てて、市町村商業や商工業者の総意をくみ上げながらスタートを急いでいただきたいと思います。
 知事の答弁の最後に、県単でもやっていきたいという言葉が入りまして、それは大いに評価したいと思いますが、それを今後どのような方法で進めていこうとされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 次に、財政問題について総務部長にお尋ねをいたします。
 広報をするということについては、私は大いに賛成であります。あの広報、なかなかよくできておりましたし、読みやすかったです。しかし、県民に対して、県は今財政難だから少々のことは自粛しなければならないという精神で書かれているんですよね。そういうように県民に予算要求に自粛を期待するとき、自分たちが今までやってきたことについての率直な総括が必要だと思うんです。それを抜きにして、今とにかく金がないから辛抱しろだけでは通じない。
 今までの県の行政の中で、私は幾つかの例を挙げました。コスモパークの問題やマリーナシティの問題、あるいはビッグホエールの問題、こういうものが県民の直接の利益にかかわらないところで大きな財政負担を生んできたんではないか。そこらを反省しなければならないんではないか。不要不急のものでありながら安易にそういうところへ突っ込んでいった、そういう姿勢も、十年先を見通しながらと言いながら、こういう事態になってきているということについての反省がないのではないかという私の質問です。それに対してお答えをいただきたいと思います。
 とりあえず、そこまで。
○議長(木下秀男君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員の再質問にお答えいたします。
 雑賀崎問題につきましては、何回も申し上げておりますように、和歌山県のこれからの行く末として、二つの大きな柱がある。一つは、和歌山の持っているすばらしい自然、古い歴史・文化、そういうものを育てながら、同時に生かしていきながら県の将来方向を決めていくということ。もう一つは、皆さんのいろんなご質問にもありますけれども、道路問題を初め、和歌山県の陸・海・空の基盤整備がまだまだおくれております。この基盤整備を進めていくこともこれからの和歌山県のためには大きな一つの柱であろうと。その二つをどのように共存をさせていくのか、共生させていくのか。これは、私にとりましても大きな課題であります。ですから、そのことをどう悩み、どう苦しみながら結論を出していくのかというのが私の使命であろうと思いますので、今後ともその立場で頑張っていきたいと思っております。
 それから、もう一つの町づくりの問題であります。これは、何も国の制度をすべて取り入れるということではなくて、しかし国の制度があればそれも活用しながら、同時に和歌山県独自の方向を見出しながら、先ほど申し上げましたようにまちかどミュージアムもその一つでありますけれども、そういうふうなことなども総合しながらこれからの対応策を考えていきたい。みんなでつくるいわゆる商店街づくり、町づくり、そういうふうなものをやっていきたい。そういう意味であります。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 鶴田議員のご質問にお答えいたします。
 先ほどの繰り返しになるんですけれども。港湾計画というものがどういう性格かということなんですが、港湾管理者として地域活性化のためにどういう港湾をつくっていくかというマスタープランだと申し上げましたけれども、そういうものでございます。そういうものをつくるに当たって、各界の代表の方々を交え、あるいは学識経験者の人を入れて──この各界の代表の中には地元の市町村長などが入っているわけですけれども、そういう方を交えて審議していただいた。それをもとに、国の審議会でもおおむね適当だと認めていただいたというものだと考えております。
 今後につきましては、ご意見を十分お聞きすると言いましたけれども、埋め立ての手続の中でも、縦覧とかそういうものがございます。また、市町村長さん方の意見聴取であるとか市町村議会の議決であるとか、いろんなことがあるわけでございまして、そういう中で柔軟に対応していくということにしたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 総務部長中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 反省についてでございますけれども、歴史、過去については、そのよしあしは別にいたしまして、学ぶべきことはあると思います。我々は将来に向かって頑張っていきたいと考えてございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──所定の時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。
 35番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 知事に要望いたします。
 雑賀崎の問題について。いろんなご意見があろうということで、知事もいろいろ苦慮されることと思いますが。私も繰り返して申し上げますけれども、あそこの景観と港湾というのは両立しないというような状況ですよ。あそこの鉄鋼団地ですか、新しい土地再開発計画をつくるときも、あの地元の人は、現在の防波堤よりは沖へ出さないでくださいという要望があったはずですね。あれがぎりぎりですという要望があったと思うんです。その点は十分酌んで、白紙撤回ということも視野に入れた再検討ということで考えていただきたいと思います。
 総務部長の答弁、よくわからなかったんですが、率直にいろんな過去の業績についての反省ということもしながらやっていかないといけないと思うんですよ。その立場で、ここの場で、あれがいけなかったというようなことは言いにくかったのかもわかりません。その点は酌みますが、やはり十分に今後の財政運営に当たっての配慮を願いたいと思います。
 時間が来ましたので、終わります。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(木下秀男君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時五十五分休憩
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