平成9年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程   第三号   平成九年十二月十日(水曜日)
                午前十時開議
  第一 議案第百二十四号から議案第百四十五号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百二十四号から議案第百四十五号まで(質疑)
   二 一般質問
出 席 議 員(四十六人)
     1  番    大    沢    広太郎
     2  番    木    下    善    之
     3  番    小    川         武
     4  番    吉    井    和    視
     5  番    下    川    俊    樹
     6  番    井    出    益    弘
     7  番    藁    科    義    清
     8  番    門         三佐博
     9  番    永    井    佑    治
     10  番    新    島         雄
     11  番    向    井    嘉久藏
     12  番    佐    田    頴    一
     13  番    和    田    正    一
     14  番    阪    部    菊    雄
     16  番    馬    頭    哲    弥
     17  番    谷         洋    一
     18  番    山    下    直    也
     19  番    高    瀬    勝    助
     20  番    松    本    泰    造
     21  番    堀    本    隆    男
     22  番    宇治田    栄    蔵
     23  番    宗         正    彦
     24  番    橋    本         進
     25  番    神    出    政    巳
     26  番    玉    置    公    良
     27  番    上    野    哲    弘
     28  番    東    山    昭    久
     29  番    尾    崎    要    二
     30  番    野見山         海
     31  番    木    下    秀    男
     32  番    町    田         亘
     33  番    中    山         豊
     34  番    井    谷         勲
     35  番    鶴    田    至    弘
     36  番    森         正    樹
     37  番    村    岡    キミ子
     38  番    新    田    和    弘
     39  番    平    越    孝    哉
     40  番    森    本    明    雄
     41  番    長    坂    隆    司
     42  番    冨    安    民    浩
     43  番    飯    田    敬    文
     44  番    中    村    裕    一
     45  番    松    本    貞    次
     46  番    大    江    康    弘
     47  番    和    田    正    人
欠 席 議 員(一人)
     15  番    西    本    長    弘
説明のため出席した者
     知 事     西    口         勇
     副知事     山    下         茂
     出納長     高    瀬    芳    彦
     知事公室長   野    見    典    展
     総務部長    中    山    次    郎
     企画部長    藤    谷    茂    樹
     生活文化部長  中    村    協    二
     福祉保健部長  小    西         悟
     商工労働部長  日    根    紀    男
     農林水産部長  平    松    俊    次
     土木部長    長    沢    小太郎
     企業局長    佐    野    萬瑳義
     教育委員会委員長
             山    本         昭
     教育長     西    川    時千代
     公安委員会委員長
             高    垣         宏
     警察本部長   米    田         壯
     人事委員会委員長
             若    林    弘    澄
     代表監査委員  宮    市    武    彦
     選挙管理委員会委員長
             谷    口    庄    一
     以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
     事務局長    西    畑    彰    久
     次  長    前         晴    夫
     議事課長    佐    竹    欣    司
     議事課副課長  島         光    正
     議事班長    松    谷    秋    男
     議事課主査   川    崎    良    雄
     議事課主事   大    浦    達    司
     総務課長    塩    路    義    和
     調査課長    湊         孝太郎
 (速記担当者)
     議事課主任   吉    川    欽    二
     議事課主査   鎌    田         繁
     議事課速記技師 中    尾    祐    一
     議事課速記技師 保    田    良    春
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  午前十時三分開議
○議長(木下秀男君) これより本日の会議を開きます。
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  【日程第一 議案第百二十四号から議案第百四十五号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(木下秀男君) 日程第一、議案第百二十四号から議案第百四十五号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 12番佐田頴一君。
  〔佐田頴一君、登壇〕(拍手)
○佐田頴一君 皆さん、おはようございます。
 ただいま議長からのお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず、携帯電話通信塔建設と電磁波問題について質問をしていきます。
 人々のニーズを満足させるコミュニケーションの手段として、いつでも、どこでも、だれとでも手軽に交信連絡ができる携帯電話は、緊急時の連絡がとれる手段として大変重宝がられ、一九七九年、今から十八年前にNTTが自動車電話としてサービスを提供したのが移動電話の始まりと聞きますが、その後、需要が著しく高まり、八八年の加入台数は二十万台、九一年には百万台、九四年度に電気通信事業が自由化されてからさらに増加し、九五年には一千万台、昨年の九六年度には二千万台に増加、ここ数年間に飛躍的な伸びを示しており、現在、北は北海道から南は沖縄まで全国ネットワークが完成して社会経済の活動に必要不可欠なものになりつつあります。しかし、より便利に使用するためには、当然それに応じた無線基地局をふやしたり、多くアンテナ基地を建てて通信の品質を高めていく必要があります。
 例えば、関西デジタルホン、日本テレコム株式会社だけでも、現在関西地区で五百五十局のアンテナが建てられ、年内に六百局に、来年春にはさらに八十局をプラスすると言われており、全国各地で携帯電話用通信塔が我々の全く知らないうちにどんどん建てられています。しかし、それに比例して中継塔建設をめぐって各地で反対運動も数多く繰り広げられており、携帯電話が急速に普及する陰で、通信塔の建設が予定されている地域では迷惑千万の恐怖におびえている住民の人たちが大勢いることも知っておいていただきたいと思います。反対の理由は、電磁波が人体に与える影響についてさまざまな憶測が飛び交い、本県を含む全国各地で携帯電話の中継地タワーの鉄塔建設の反対が巻き起こり、建設中止も続発しているのであります。これが今、携帯電話の電磁波問題として大きな社会問題となってきており、熊本県議会でもこの問題が取り上げられ、電磁界の健康への影響として指摘される小児がん、白血病との関係がこの問題を大きくしており、郵政省もこの問題について具体的に何もわかっていない現状が大きな不安を与えているのであります。
 そこで、もう少し具体的に私の地元の話をしていきたいと思います。本年七月初旬ごろ、那賀町JR名手駅前の民間ビル屋上に携帯電話通信塔名手通信局の建設が進められていましたが、付近の住民に対してはビル屋上の防水工事だと説明があったそうであります。その後、大きな重機等が持ち込まれたため防水工事だけではないと感じ、再確認したところ関西セルラー電話株式会社名手通信所の工事であることが初めて判明したのであります。しかも六月八日、朝日新聞で野上町の野上通信局の建設反対について報道されたばかりであり、野上町議会の工事中止の請願が採択されたころで、この問題に関心の深い時期と重なったころであります。このため、二百メートル以内に住む人たちやペースメーカー使用者、がんなど種々障害が発生することを心配する人たちが集まりつつあったため、地元町議、自治会長らが中心となって会社側に対し説明会を開催するよう申し込み、七月二十四日、町役場大会議室において、付近住民百五十名が出席して会社側より名手通信局の安全性について約三時間にわたり説明を受け、質疑を交わしたのでありますが、結果として会社側の説明には納得せず、住民の不安と怒りの声の中で計画の白紙撤回が主張され、現在の設置場所は不適地であり、市街地から郊外への移転を求めていくことを決めたのであります。次いで七月二十九日、町長、議長、地元町議代表、地元区長総代により、関西セルラー電話会社に対し携帯電話名手通信局建設工事の中止と設置場所変更を申し入れ、近畿電気通信監理局長に対しても同様の申し入れ書を手渡し、指導を要請して現在に至っています。
 しかし、現在の情報化社会が一段と進み、急速に進歩する社会の中にあって、いつまでもこの問題を中止のまま平行線でほうっておくわけにもいかないのではないかと考えます。和歌山県にあっても、これからの携帯電話の普及推進は重要な課題であるはずであります。
 現在、自動車電話や携帯電話の移動通信サービスのエリアは国道四十二号線と紀の川流域沿線のみであり、特に山間部の普及率はゼロに等しい状況から、これからさらに移動通信鉄塔施設を推進、地理的な制約条件を克服して情報通信網の拡大への整備を進めなければならないのが本県の立場であるからであります。会社側は、法的にすべてクリアしており何の問題もない、地元への説明も了解を得る必要もない、あるのは企業の道義的な考えだけであると主張されておりますが、結局、中止してほうっておくことにより、最後は行政責任も新たに追及される立場に追いやられることになりかねないと心配するものであります。今後、法的に問題のない施設への住民の拒否反応に対し、県として、町として行政の立場からどう扱えばよいのか、まず知事のご所見を承りたいと思います。
 次に、企画部長にお伺いします。
 名手通信局については、可能な限り速やかに郊外へ移転するよう町とも連携を進めて、県としてこの問題について具体的かつ有効な解決手段がないかどうかであります。あれば、ご教示願いたいと思います。
 次に、住民は、どうしてこの場所が選ばれたのか、施設の前提条件や安心度について十分な説明がないことに不信感を抱いています。今後、行政や住民と電話会社がトラブルを起こさないために、地域住民の意見を求め、意見を聞き、最も適切な候補地を選定すれば、住民の理解を得ることは十分可能であります。
 そこで、会社側のみで勝手に自由に施設をつくらせないため、県独自で何らかの規制を設けられないかどうかであります。例えば、設置市町村に対し、届け出義務などを条件とした県条例などができないかどうかであります。お教えください。
 次に、二として国道及び広域農道の道路問題について質問をしていきます。
 本県が目指す輝く和歌山新時代を推進していく中で、道路、特に生活道路は、人・物・情報の移動手段や活力ある経済、快適な町づくりの最たるものであり、県民が日常生活を営む上で不可欠な生活基盤でありますが、しかしながら私の住む地域の現在の道路整備の状況は依然として立ちおくれており、地域間格差は広がるばかりであります。そして、この地域格差是正こそが那賀郡東部地域の最大の悲願であると言っても過言ではないのであります。
 そこでまず、京奈和自動車道紀北東部工区内のインターチェンジ設置予定地選定問題から質問をしていきます。
 京奈和自動車道は、橋本市から高野口町までの橋本道路、高野口町から打田町までの紀北東道路、打田町から和歌山市までの紀北西道路と区間が分けられており、橋本道路十一・三キロメートルが平成元年度に事業化されて着々と事業の促進が図られ、紀北東部道路十七キロメートルも平成五年度から事業化され、かつらぎ町以西の整備についても早期整備を国に要望され、整備に先立っての基本計画決定、都市計画決定及び整備計画決定などを行うための諸準備をされています。まず、そのご苦労に対し、知事初め関係者の皆さん方に深く感謝とお礼を申し上げたいと思います。
 さて、今回の質問は、紀北東道路区間に設置されるインターチェンジの計画予定案が明示されましたので、この区間に設置されるインターチェンジの問題点と私の考え方について述べてみたいと思います。
 先日、建設省和歌山事務所と県の人たちで那賀町議会と町の都市計画審議委員会に対し、京奈和自動車道の法線計画の予備説明会が開催されたようでありますが、いずれも町議会と委員会より建設省が予定している東道路区間のインターチェンジに対し強い異議が続発し、二十分余りの説明予定時間が二時間にわたり質疑が繰り返され、その矛盾を指摘されたと聞いています。理由は、橋本工区で橋本市に二カ所、高野口町に一カ所、紀北東地区ではかつらぎ町に一カ所、那賀町はなく、粉河町に一カ所、打田町に一カ所のインターチェンジの設置が予定されており、紀の川筋の市町村で全くないのは私の町・那賀町だけとなっています。なぜ那賀町だけないのか、その疑問を尋ねると、かつらぎ町と粉河町の距離が短くて那賀町には設置できないとの理由であるそうです。しかし、その説明の中身を考えてみますと、まずかつらぎ町と粉河町のインターチェンジの設置を初めに決めた上で、那賀町につくると距離が短くなると説明にはあります。私は、かつらぎ町と粉河町の距離が短いというのであれば、かつらぎ町、粉河町のインターチェンジの位置を調整すればよいことであり、初めから那賀町にインターチェンジをつくらないと決めて作業を進めていることに問題があると指摘しているのであります。
 次に、各町内に設置される橋本市から打田町までのインターチェンジに接続する道路は国道、県道、町道でありますが、町道や県道が交差接続するから那賀町にインターチェンジをつくれと言っているわけではありません。れっきとした国道四百八十号線が交差する場所にインターチェンジをつくれと主張しているのであります。私の主張が間違っているのであれば、ここが間違っていると説明をお願いしたいと思います。
 再度言います。紀北地域の市町村でインターチェンジがないのは那賀町のみ、しかも大阪市内へ直結する幹線道路の国道と京奈和道路が交差する交差点にインターチェンジがないような状態をつくれば、大阪側の人たちから見ても大変不思議がられるし、我々地元に生活する人間として後世の子や孫たちの時代になっても、その当時の地元の政治家は何をしていたのかと強く批判されることになりかねず、今でもこの交差する地点の重要性の認識について、もっとしっかりするように追及を受けているのが現状であります。いよいよ各町の都市計画審議会が開催される時期にもなっていますので、この私の主張も多分最終の機会になると思いますが、再度、現在予定しているインターチェンジに、もう一つ那賀町にインターチェンジを追加するよう再検討してほしいと思います。知事のご答弁をいただきたいと思います。
 続いて、国道四百八十号線、旧泉大津粉河線の新トンネル整備状況についてお尋ねします。
 この府県間道路は、地元の門先生もたびたびこの壇上で質問を繰り返しているのでありますが、紀の川分水協定の関連道路であり、かつらぎ町四郷地区から大阪和泉市に抜ける三千五百メートル、二車線のトンネルを掘り、那賀町、かつらぎ町を通って大阪市内へ自動車で約一時間の、大阪への通勤範囲の地域をつくる道路として早急に整備すると説明を受けた道路であります。那賀郡は北西に向かって泉南方面や関西国際空港に通じる府県間道路が二線ありますが、那賀郡東部、伊都郡西部から泉北地域、大阪市内に直結する道路は、唯一この道路四百八十号線だけであります。
 私も、分水協定が結ばれた当時、知事から知事室に呼ばれ、この新トンネルは無料トンネルとしては全国二番目に長く、紀の川沿線の和歌山・橋本間の中間地点であり、この地域の生活、産業基盤の活性化と大阪へのベッドタウン化を含めてはかり知れない効果があると強調され、完成時期も平成十二年ごろを予定しているとの大変うれしいお話を承り、地元町議会にも報告したことがありますが、それからでももう長い年月が経過しています。現在、私の知る限りではほとんど進捗していないようであります。おくれる理由は何か、かつらぎ町の公図整備がおくれているため、予算をつけても用地買収ができないためであると聞かされます。公図訂正については、町当局ばかりに頼っていないで、国道ですから国も県も支援をして早期に解決することができないかであります。でなければ、当初目標の完成予定の平成十二年度まであとわずかになり、だんだんおくれるばかりとなります。
 まず、知事より、このトンネル事業完成の今後の見通しをお聞きしたいと思います。
 次に、企画部長にお尋ねします。
 地籍調査事業を積極的に推進するためには、一筆地調査に多くの職員を必要とするため過大な負担を強いられることになりますが、これら市町村に対し国や県より人件費補助などをして支援できないかどうかであります。
 また、土木部長にお尋ねします。
 この道路に対する県の予算は毎年二億円と固定しているが、大阪府側の予算額は十億とも聞いています。本当であれば、余りにも予算額に差があり過ぎるのではないかと思います。本県もなお一層国側に働きかけてほしいと思いますが、平成十年度の予算額をどの程度予定して国に要望するのか、お教えください。さらに、毎年要望している国道四百八十号府県間トンネルの直轄代行事業の早期採択を要望しているが、要望だけではだめであり、その見通しもお教えください。
 次に、国道二十四号線岩出バイパスの打田町黒土から粉河町を経て伊都郡に至る東伸計画について質問します。
 現在の国道二十四号線のバイパス道路は、和歌山市から打田町黒土まででとまっており、東に向かって粉河町、那賀町を通り、伊都郡、橋本市まで進む東伸計画のバイパス延長は、今、全く論議されていません。知事初め多くの関係者のご協力により和歌山市から打田町間の四車線バイパス工事もほぼ終わりに近づき、道路の沿線にも立派な商店や事業所ができて、地域としても、道路としても一段と都会的、近代的センスのある新しい町づくりが生まれつつあり、大変喜ばしい限りであります。
 それに引きかえ、時の流れは非情で、粉河町より東側に位置する道路は、粉河町から橋本市間は全く昔のままで放置され、戦前につくられた国道の道路幅の上に舗装しただけの道路であり、戦争前の昔の姿と一歩も変わっていないのが現在の国道二十四号線の道路状況であります。
 国においても、今までに打田町より東伸の必要性を十分認識され、昭和五十年ごろに岩出バイパスに引き続き東伸する計画を樹立され、紀北バイパス東部地区として、その概略とルートについて地元関係町に説明された経緯があり、私自身もその施行内容や土のう積み、橋梁地区について、そのルートとともに具体的に建設省和歌山事務所から説明を受けた一人であります。また、当時の県土木部長からも、将来の交通量の問題、渋滞の激化、身近な生活用道路として早い段階から計画されており、東伸についてはすぐにでも着工できると説明を受けたことがありますが、この東伸計画の説明を受けてからでももう何十年も経過しています。しかも一歩も前進していないのが、この一級国道の姿であります。特に、昭和六十二年六月の四全総において高規格幹線道路網の中に京奈和自動車道が位置づけられてから、京奈和自動車道に取ってかわられ、全く二十四号線の東伸計画の話は出ないようになったのが現在の姿であります。しかし、地元に住む我々にとっては、打田町より東に進むバイパス道路は、和歌山市から打田町間と同様に生活道路であり、経済活動の基幹道路となるため、京都、奈良方面に行く京奈和有料道路と同一に考えておらず、むしろ京奈和自動車道より優先して、あくまで当初計画どおり東伸のバイパス計画を強力に推し進めていただきたいのであります。
 平成二年十月十七日、那賀郡町村会より知事に対し、国土軸に直結する京奈和広域交通路も大変重要であるが、人口急増地帯の紀の川地域の活性化のため、地域交通を円滑に処理するための道路もぜひ必要であることを強調し、この地域が大きく前進するための最も重要な課題であることをうたって、その後、毎年、那賀郡六町共同で知事に対し陳情を続けているはずであります。既に国道二十四号線のバイパスは、岩出バイパスに続き和歌山バイパスも平成五年開通したので、残された地域は粉河町から橋本市間のみになります。京奈和自動車道が完成し、その上で二十四号線の交通量を調査し検討するでは、全く遅過ぎます。県民生活の将来にとってこの道路の重要性を再認識していただき、ぜひとも京奈和自動車道と並行して打田町より橋本市までの東伸計画を推し進めてほしいと思います。
 この上は、さらにこの道路の計画の推進について格段のご努力をいただき、早期に着工できるように建設省に働きかけてほしいと思いますが、まずこの道路東伸について知事のお考えをお示し願いたいと思います。
 続いて土木部長にお尋ねしますが、前述のとおり、和歌山市から打田町までのバイパス整備はほぼ終わりとなりましたが、次のバイパス東伸計画までの間、このままの状態でほうっておかれている状況を見ているわけにはいきませんので、国に対し、早急に新しいバイパス計画ができないならば、その代案として新規の東伸バイパス計画ではなく既存の二十四号線を利用して現在の二車線の道路幅の拡張整備を行い、せめて四車線に広げる道路改良工事として整備できないかであります。現在の余り人の通らない、凹凸の激しい、傾斜のある、人に優しくない歩道を廃止し、道路ののり起こしをすれば相当な道幅がとれるはずであります。人通りの多い人口密集地の道路には人の通れる歩道をつくらず、人の通らない郊外の田んぼの中に歩道をつけている現在の方法を改めれば解決できるはずであります。
 また、以前、粉河町以東の整備については、京奈和自動車道整備を考慮した国道二十四号線のあり方について、那賀郡東部幹線道路網整備連絡会を充実させ、平成元年から平成二年にわたり調査を行い、将来の地域開発の状況をにらんで整備を検討すると県より答弁した経過がありますが、その後具体的にどう整備し、また計画案があるのか、どう実施していくのか、二十四号線の四車線推進についての問題も含めてご回答いただきたいと思います。
 最後に、県営ふるさと農道・新竜門橋整備推進と紀の川南北広域農道への連絡道路新設計画及び鞆淵地区へのトンネル調査の進捗状況について質問をしていきます。
 紀の川右岸広域農道紀の川地区と同左岸広域農道紀の里地区を結ぶ路線として、地域の産業の発展に寄与し、地域の活性化を図ることを目的に、緊急に広域農道間を連絡する農道の建設が必要となり、新竜門橋農道事業が展開されています。現在、事業決定も終わり、今は測量、設計の段階と聞いていますが、もう少し新竜門橋を中心とした取りつけ道路についてもその状況を聞いてみたいと思います。
 総予算額四十四億で紀の川に農道橋をかける大事業が予定どおり進めば平成十四年に完成されることになりますが、今のところ紀の川にかける橋が中心で、県道和歌山橋本線の荒見地区と国道二十四号線井田地区までの延長千百十メートルの事業決定のみであり、当初目的の南北両広域農道までの計画とはなっていません。
 そこで問題として、荒見地区の県道より紀の里農道までの間と、国道二十四号線井田地区より紀の川農道までの間の農道計画については今のところ全く未定となっており、今後引き続きこの事業を推進する事業体が県営か町営かも決まっていません。南側については、さらにこの紀の里農道を経由して粉河町鞆淵、海草郡美里町、日高郡龍神村地域への道路建設を希望して、粉河町内の至るところに粉河、鞆淵、美里直結道路推進の大きな立て看板が立てられていますし、北側については、紀の川広域農道より西川原地区を経て、大阪、貝塚市に通じる道路計画を粉河町全域が望んで、那賀町、粉河町合同の促進連盟をつくり運動を続けているが、現時点では大変難しい大きな問題となってきています。
 さきの県議会農林水産委員会の粉河町の視察の際、粉河町長より引き続き県で県営として事業を進めてほしいとの要望がありましたが、一体県はどうするのか。北側の方は国道二十四号よりJRの線路までは都市計画の区域になっており、JRは線路に道路を通す場合、従来の態度から見て平面交差は許可せず、線路をまたぐ大橋をかけるか地下道にするのか、さらに小田井の水路が東西に走っていて遊水地帯の地形であって、この農道整備はなお莫大な資金を要する大事業となるため、町での単独事業ではとても無理であると思われます。
 そこで知事にお尋ねいたしますが、現在の第一次計画に続き、第二次計画の両広域農道までの間についても引き続き県営事業として採択し、実施してくれないかであります。県財政も大変な時期であることはよく承知していますが、まず知事のお考えを聞かせてください。
 次に企画部長に、紀の里農道から鞆淵地区へのトンネル構想についてお尋ねします。
 現在、平成八年度で二百万円の予算が既に計上されて、そのルートについて調査を実施されたところでございますが、果たしてどうなっているのか。財源として紀北地域の道づくりにも半島振興法の利用を検討していただき、その上で、将来の構想も含んでどこまで計画が進んでいるのか、その進捗状況をお教えいただきたいと思います。
 以上、道路問題の質問ばかりとなりましたが、これからは量から質へ優先順位を決めての事業となります。いずれも私たちの最大の悲願の道路整備でありますので、できる限り優先していただき、地元の皆さんが大きな喜びを受けられるようなよいご回答を期待して、質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの佐田頴一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 佐田議員にお答えをいたします。
 まず、携帯電話通信塔建設に係るご質問でありますけれども、携帯電話は全国で三千万台を超える大変公共性の高い通信基盤でございます。また、ご承知のように、携帯電話に係る通信中継基地の許可は目下は国の事務となってございます。議員お話しのように、事業者は法的には地元説明を求められておりませんけれども、進出に当たりましては、社会的な責任を果たす上からも地元への説明が必要であろうと考えております。県といたしましては、これまでも市町村と連絡を密にしながら進出事業者に地元への説明を要請してきたところでございます。今後とも、県としてもでき得る限りの対応をしてまいりたいと考えております。
 次に、京奈和自動車道のインターチェンジに関するご質問でございます。
 高規格幹線道路のインターチェンジ設置につきましては、通常、交通条件、社会条件、自然条件などを総合的に勘案した設置間隔として五キロから十五キロに一カ所となっておるわけでございます。このことから、全体十六・九キロメートルの紀北東道路の場合には、中間に二カ所のインターチェンジとなるわけでございます。ご質問ございましたお気持ちについては十分理解できるわけでございますけれども、紀北地域から京奈和自動車道への利便性の観点からいたしますと、粉河町、那賀町の人口集中地域の中間付近、及びかつらぎ町地内に設置をすることでやむを得ないのではないかと考えてございます。
 なお国道四百八十号との連結につきましては、最寄りのインターチェンジへのアクセスとなる県道粉河那賀線等の整備により広域ネットワークの形成を図ることが必要だと考えております。
 次に国道四百八十号の問題でありますけれども、国道四百八十号の府県間道路については、府県間トンネルを含む府県境区間が平成六年度に本県側が、また平成八年度に大阪府側が事業化をしてございまして、両府県とも鋭意整備を図っているところでございます。その中で府県間トンネルについては既に基礎調査を完了してございますけれども、さらに大阪府と連携を図り、実施に向けた詳細な調査設計等を進めるとともに、トンネルの工事用道路を兼ねる本体バイパス工事を先行させることとしております。
 私も常々申し上げておりますように、早期に完成できることを願っておる一人でありますけれども、いろんな事情もございますので、今後とも地元かつらぎ町の用地交渉等のご協力をいただきながら、予算の増額などについても努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、国道二十四号岩出バイパスの打田町から那賀郡東部、伊都郡への東伸の問題であります。
 県といたしましては、二十一世紀の将来を見据えて、県勢発展を図るために高規格幹線道路の整備促進が最重点の課題であると考えてございまして、紀の川筋につきましては、国道二十四号の交通混雑解消と地域の発展を図るために京奈和自動車道の整備促進に重点的に取り組んでございまして、紀北東道路についても平成五年度より事業着手をしているところでございます。
 率直に申しまして、最近の厳しい財政構造改革の中で、国の道路整備の方針は高規格幹線道路の整備促進に重点を置いておるわけでございまして、その他一般国道の整備については新規採択等が大変厳しい状況になってございます。こうした状況のもとで、国道二十四号岩出バイパスの打田町黒土以東の東伸については、私も長く県におりますので、かねてからさまざまな議論のありましたことは十分承知をいたしているところでありますけれども、当面、交差点改良等の現道対策事業を強く国に働きかけるとともに、沿道の地域整備の動向などを見ながら、将来の町づくりの中で検討を続けていきたいと考えております。
 次に竜門橋に関連する問題でありますが、県営ふるさと農道・新竜門橋整備推進についてでございます。
 本事業は、現在の竜門橋の幅員が狭く大型車の通行に支障を来しているために、地元の強い要望もございまして、ふるさと農道として計画したものでございます。従前の竜門橋は建設省のものであります。そういうふうな事情もあったわけでありますけれども、本年度は用地買収に着手をして、平成十年度は橋梁下部工事に着手する予定になってございます。
 お話にございました新竜門橋からの連絡道については、町の道路網構想があることは十分承知をしておりますけれども、現況では大変厳しい状況にございます。当面の課題としては、橋梁の一日も早い完成を目指して努力をしてまいらなければならないと考えてございます。
 他の問題につきましては、関係部長から答弁をさせていただきます。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 佐田議員にお答え申し上げます。
 電磁波問題の解決手段はないかというご質問でございますが、知事から答弁申し上げましたように、県といたしましては直接的な指導権限はございませんが、近畿電気通信監理局並びに関係市町村とも連携しながら、事業者の速やかな対応を促してまいりたいと存じます。
 また県独自の規制はできないかということでございますが、法において国の権限とされるものについては地方公共団体の条例等になじみがたいものと考えてございます。しかしながら、地元市町村が知らない状況で事業進出がなされることについては問題があると考えてございますので、事業者に対し市町村への事前の連絡をするよう強く申し入れをいたしているところでございます。
 次に地籍調査に係る人件費については、市町村に相当の負担となっていることは承知してございます。こうした状況の中、平成十年度政府予算等に関する県の重点要望として、去る十二月四日にも知事から国に対し人件費補助制度の創設を強く要望したところでございます。しかしながら、人件費補助制度の創設については厳しい状況にあるため、県といたしましては、地籍調査を促進するため、これにかわるべきものがないか今後検討してまいりたいと存じます。
 次に、鞆淵地域へのトンネル調査の進捗状況についてでございますが、この道路は鞆淵地域と町中心部を連結する機能のみではなく、広く紀北地域の山間部と紀の川沿線部を連絡する役割をも担うものでありますので、県が調査を行ったところでございます。この調査により、本構想の具体化に当たっては、巨額の事業費、費用対効果、道路構造の技術的な問題など多くの課題が明確になりましたので、今後、紀の里農道等、関連道路の整備の進捗に合わせ、議員ご指摘の半島振興法の活用を含めた事業手法の検討や地域の活性化による需要の創出などについて、関係部局並びに地元町村と連携しながら、長期的視点に立って取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 佐田議員の、国道に関する問題についてお答えいたします。
 まず、国道四百八十号の新トンネルの整備状況でございます。
 国道四百八十号については、府県境から県道那賀かつらぎ線までの五・七キロメートルが平道路として事業化されております。この区間はほとんどが公図混乱地域となっているため、かつらぎ町の協力のもとで公図訂正作業を進めております。平成十年度の事業費につきましては、一部公図訂正が完了した地区があることから予算の増額を国に要求しております。
 また府県間トンネルの直轄代行事業の見通しですが、代行事業導入については大阪府とも調整しており、今後とも早期事業採択に向け、大阪府とともに国に働きかけてまいります。
 次に、国道二十四号岩出バイパスの打田町黒土地点から那賀郡東部、伊都郡への東伸計画についてのご質問でございます。
 この国道二十四号等の粉河町以東の整備のあり方につきましては、平成元年度から二年度にかけて実施した那賀郡東部地域幹線道路網整備計画調査に基づき、京奈和自動車道を初め各路線の整備促進に重点的に取り組んでいるところでございます。
 まず京奈和自動車道につきましては、平成五年度に紀北東道路が事業化され、現在、都市計画決定に向けて地元調整の作業を鋭意進めているところでございます。
 またインターアクセス道路として、粉河町方面から粉河那賀インターへの主要なアクセス道路として、これは仮称でございますが長田竜門線等の都市計画道路、また那賀町方面から同インターへのアクセス道路として、同じく仮称でありますが馬宿名手市場線等の都市計画道路の計画決定の作業を鋭意進めておりまして、計画決定の後、逐次事業化等を進めてまいることになります。
 このほか、紀の川南岸部の東西幹線道路である県道和歌山橋本線については、粉河町遠方、荒見工区等の整備を重点的に促進しております。
 国道二十四号の打田町黒土以東については、当面、交通混雑対策として交差点改良等の現道対策事業を進めるよう国に強く働きかけてまいるとともに、今後、沿道の地域整備の動向を見ながら、将来の町づくりの観点も含め整備計画を検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 12番佐田頴一君。
○佐田頴一君 ただいまご答弁をいただきまして、大変ありがとうございます。
 ただ、私の思っていることと大分差があるようで、私もこれで、よっしゃと了解するわけにいきませんし、あきらめないでもっと頑張りたいと思いますので、知事さん、なお一層のご協力を賜りたいと思います。
 それから携帯電話の問題ですが、町村へというふうに言うておりますけれども、町村に言うておらないんですね、今までは。だから問題が起こると、こういうことでございます。そんな言うても聞かん電話会社やったら、もう和歌山県に来てもらわなくてもいいんじゃないかと私は思いますので、なお一層の指導方を要請申し上げて、これで終わらせていただきます。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で佐田頴一君の質問が終了いたしました。
○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番鶴田至弘君。
  〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 通告に従いまして、一般質問を行いたいと思います。
 財政構造改革法と財政状況、来年度予算編成方針について、まずお尋ねをしたいと思います。去る九月議会で、同僚議員の質問に答えた当局の大筋での方針をお聞きしておりますので、少々角度を変えて質問をいたします。
 一番。財政構造改革法が成立して、国民の負担が一層増大する状況が生まれてまいりました。今年に入って消費税がアップし、医療費はふえ、国民生活の困難さが財政のひもをかたくさせ、不況の大きな一因とさえなっていると言われているとき、財政構造改革法は、さらに医療、社会保障、中小企業、教育、農業と、国民生活に直結する予算が大きくカットされようといたしておるところであります。
 医療、社会保障の面だけを見ましても、九月の医療制度改悪に引き続いて、さらに四千三百億円のカットが予定されております。九月の改悪時よりも一・四倍の規模であります。九月の改悪時から病院への外来患者が減り始めたと言われております。財政構造改革法がそれに輪をかけることは必至であります。ビタミン剤や風邪薬は自己負担の方向も検討されるようになっています。難病患者への医療の公費負担も削減されようとしております。お年寄り患者の負担の定率化による増額等々、社会保障の最も必要な人々への負担増が図られようとしております。
 中小企業対策は、十五年前に比べて金額でも四分の三となり、一般会計の構成比では半分以下に下げられてまいりました。教育面でも、教員定数改善延長で、一年でやるはずの教員増が三年に引き延ばされ、来年は増員予定よりも三千七百人減ることになっています。
 ごく一部の紹介でしたが、どの面をとってみても国民負担増が極めて厳しいものになっているというのは事実であります。そして、世は深刻な不況の真っただ中であります。国民生活とともに、それは地方財政へも大きなしわ寄せをもたらし、自治体の運営を困難ならしめようとしています。
 知事は九月議会での質問に答えて、財政改革法案について、政府の姿勢を高く評価されるとしましたが、住民生活の守り手である知事の言葉としては大変違和感を持って聞いたところであります。私は、国家財政を困難ならしめている主要な原因の一つである不要不急の公共事業へはほとんど手をつけず、あるいは世界で二位、三位と言われる軍事費の大幅カットを抜きにしたまま国民負担を増加さすことで財政難に対処しようとする手法は、九月の知事の答弁のごとく、評価できないのであります。
 法案が法律として成立した今、改めてこの財政構造改革法に反対することを求めるものですが、知事の所見を求めます。
 二番。厳しい予算編成方針が示されました。不況の中での税収の落ち込み、公債費の増大など、やむを得ない面は多分にあるでしょう。しかし同時に、県民生活が国の政治の中で困難を迎えているときほど、自治体は住民生活の守り手としての機能を発揮せねばなりません。生活に直接関連する数々の社会保障的意味合いを持つ諸予算、あるいは住民生活に直結する補助金等々、十分に保証されるべきであると思います。必要なものは十分に対策されることを求めたいと思うのですが、いかがでしょうか。
 三番。「県民の友」に県財政の財政難を特集する広報がされました。いいことばかりでなく、つらいことも、まずいことも県民に広く広報するということは大事なことと思います。そういう点では評価できます。しかしそれは、行政が自分に都合のよい方だけで行うと県民の認識を誤らせる危険もあります。
 目下の財政難の最大の原因は税収の不足と公債費の増大でしょうし、不況時代の税収不足は、ある意味では自治体レベルではいかんともしがたいことですが、公債費の増大は自治体の裁量の問題でした。これが、なぜかくも大きくなったのか。県民のための事業を、借金してでも、県単ででも無理をしてやってきたからだとだけ言っていいものかどうか。
 県単独事業の中には、そう遅くもない時期に国の補助金が得られるものもあったはずです。効果の薄い景気対策としても、急ぎ過ぎた県単事業があったのではないでしょうか。また、莫大な事業費を投資して寒々としたコスモパーク加太や特定企業の営業の場となったマリーナシティ、それに通ずる豪華な道路などを見るにつけ、当局の過去の財政運営にいささかの反省もないのだろうかと思うものですが、いかがでしょうか。
 また広報では、来年度以降、本来市町村や民間企業、さらには個々人がみずからの負担と責任でやるべき分野については削減の対象にするとしておりますが、過去の情勢の中ではそれはどのようなものを指しておるのですか。また、同じく広報では、ないよりあった方がよいという水準の施策は抑制するとされております。従来の施策ではどんなものがあったのか、明らかにしていただきたいと思います。
 私は、そういう視点でかつてビッグホエールなどにも批判的見解を述べてきたところですが、従来の施策の中で、県当局はそういうものをどういうところに見出しているか明らかにしていただきたいと思います。
 続いて、不況対策、小売店舗対策等についてお尋ねをいたします。
 小売店舗の活性化など、お尋ねをするわけですが、商業統計によりますと、県内の商店の急激な減少が目についてまいります。平成三年に、県下に商店数は二万一千六百店あったそうです。それが平成六年には一万九千七百八十五店となり、わずか三年間に千八百の店舗が減少しています。それに伴い従業員も当然減少し、その数は千三百人にも及んでいます。平成七年度以降の統計がありませんので平成九年現在の数字がわからないわけですが、恐らく同じような傾向が続いていると推定されます。結果、私たちの近所の八百屋さんが姿を消し、あるいは酒屋さんが姿を消し、商店街では空き店舗が寒々とシャッターをおろし、多くの市場が昔日の面影を失いつつあります。閉店された方々の多くは、好んでシャッターをおろしたわけではありません。経営が成り立たず、やむにやまれずというのが現実であります。この商店の経営難の原因の最たるものに大量販店いわゆるスーパーの猛烈な進出があることは、大方の認めるところであろうかと思います。
 今、和歌山県下の都市部では、大量販店の小売面積の占有率が五〇%を超えるところが次々に出てまいりました。ちなみにご紹介いたしますと、和歌山市は五一%です。小売店舗の五一%がその面積において大量販店が占めているそうです。御坊市は現時点で二八・八%ですが、大店審の認可済みのものも加えますと──これはごく近い将来に開店される予定ですが──そうすると五七・二%になります。海南市でも五〇%を前後し、新宮市で四〇%です。主要な都市で大量販店がその小売面積において五〇%を超え、その分だけ既存の小売店舗が姿を消していき、さらにその傾向が強まろうとしています。
 大量販店は消費者に一定の利便性を与え、その意味において新しい町の姿をつくり出しましたが、零細業者を駆逐し、その生計の手段を奪いました。そして、古来の人と人とのつながりを希薄なものにしてまいりました。町の小さな小売店は町の花であり、彩りでありました。そして、人々の日常の交流、触れ合いの場でもあり、人情をはぐくむ場でもありました。そんな雰囲気を醸し出す場がここ十数年来の間に半減してしまったわけです。商店街の活性化、町の小売店の活性化に行政としていろいろ施策されてきましたが、それが一定の功を奏しているところもあるものの、進行する事態に有効に対応できていないことも実情であります。
 私は、当局に次のことを求めたいと思います。
 一番。国の方で、大店法の廃止あるいは小売店保護条項を削除するような抜本的な改定を図る検討がされています。大店法の歴史は、大量販店の進出にその制限を際限なく緩和していこうというものでした。地域の商業界の意向も自治体の意向も次第に排除され、今は辛うじてわずかの調整権限だけが残されたものですが、それすらも排除されようとしているのが今回の廃止あるいは改正案であります。
 新たに、類する新法という動きもありますが、大量販店進出の規制緩和の方向を志向する点では同じ線上のものであって、小規模小売業者にとってはまさに耐えがたいものでありましょう。とめどもないスーパーの進出によって町の様相も激変するところになるでしょう。それは、町の精神的荒廃にもつながると危惧するわけであります。
 知事にあっては、この大店法の廃止あるいは改正、正しくは改悪と申すべきものでしょうが、それに強く反対されることを求めます。いかがでしょうか。
 二番。商店あるいは商店街の活性化は、商店あるいは商店街だけを対象とした対策だけでは一時的な効の薄いものになりかねません。一定の地域を対象にした地域対策として、町づくりとして対応する必要があろうと思います。
 そんなことを思いながら、知事の候補者時代の公約冊子「輝け和歌山・新時代構想」を眺めておりますと、商業を特定してその活性化を図るという条項は見当たりませんでしたが、百三十六項のうち百四項に、「にぎわいのまち」振興プランをつくるという項目がありました。それによりますと、「市町村や第三セクターによる『まちづくり公社』をつくり、商業活性化計画などへの財政的・人的支援をすることによって、地域の特色を活かした住民参加の楽しくユニークなまちづくりを応援します」とあります。私の願った商店の活性化よりも幅の広い内容を持ったものと推測されますが、商業の活性化と町づくりを同次元のものとして合わせて問題提起をされている点は一致するところだと、歓迎して読ませていただきました。ついては、この公約は今どのように政策化あるいは行政化されているのか、あるいは検討されているのかをお示しいただきたいと思います。
 次に、景気対策についてお尋ねをいたします。
 厳しい経済情勢を反映して、和歌山県下の小零細企業もその経営維持のために大変な労苦を強いられているところですが、政府は景気対策を作成いたしました。しかし、法人税減税、土地規制緩和など、そのほとんどが小零細企業への効果を多く期待できない施策でした。恐らく大企業に減税された法人税は、そのほとんどがバブルの傷をいやす内部留保に回され、土地の規制緩和などは大規模な土地所有者の動きを誘導するにとどまるものと思われます。
 景気対策の重要な柱は、国会の議論の中でも明らかにされておりますが、中小企業の活性化と個人消費の拡大がその中心とならなければ功を奏しないだろうと言われています。残念ながらそのような施策は見出せず、小零細企業の年の瀬を控えた経営は一層の厳しさを強いられてくるだろうと予測されます。
 十一月十八日、政府は中小企業庁長官名で、「中小企業対策に係る体制整備について」という通達を都道府県知事あてに出しております。趣旨は、都道府県は中小企業指導機関、金融機関との連携を図り、中小企業の状況に関する情報収集、中小企業対策に係る連絡調整等を行う体制の整備を強めよということと、中小企業からの相談に迅速に対応せよという二点であります。
 お尋ねいたします。県としては、この通達にどのようにこたえておりますか。内容は、当局にとって、今さら改めて言われなくてもと感じられる向きもありますが、中小企業庁が改めて言わなくてはならないほど事態は深刻化していることを示しています。ここに言われている中小企業の実態にかかわる情報収集など、具体的にどうされますか。県や行政は中小零細企業の実態を余りにも知らなさ過ぎるという批判をしばしば耳にします。県行政の施策の基本が実態調査、実情の把握だと思いますが、どういうふうに対策をされる予定ですか。窓口を設けて相談に乗るとすれば、窓口の開設されていることが業者に周知されなければなりませんが、どうお考えですか。私は、二十一世紀を開く緊急経済対策そのものに余り大きな期待を抱くものではありませんが、県当局がこの機会に小零細企業の実態を十分把握し、活性化への有効な手段を創造されることを期待するものでありますが、いかがお考えでしょうか。
 二番。次に、金融対策についてお尋ねをいたします。
 銀行の貸し渋りが社会問題になっています。景気のよいときには借りてほしいと頼みに来た銀行が今は手のひらを返すような状況で、なかなか融資をしない、そんな話は零細な企業の方々からしばしば耳にします。
 こういう数字があります。県の制度融資の特別小口の貸し付け数を見ると、平成七年に五百四十四件あった貸し付け数が平成八年では三百九十二件と、百五十二件減少しています。実に二八%の減少です。一般貸し付けでは、平成七年が四千五百二十五件、それが平成八年には三千八百四十件と六百八十五件減少し、これも一五%の減少であります。これは、比較的安定した保証協会の保証つきの制度融資です。これでさえこれだけ減ってきた。申込者が少なかったからとは考えられません。貸し渋りがこんなところまで及んでいるのかと推測される数字でありますが、越年を控え、いつ明けるかわからない不況の中で、中小零細企業への貸し渋りはますます経営の混乱をもたらします。当局にあっては、このような状況をどう掌握し、評価していますか。金融界に対して、貸し渋りはやめ、中小零細企業への活性化に寄与されるよう要請する必要があると思いますが、その意思はありますか。
 また、構造改革法のあおりで信用保証協会への基金の原資が一〇%カットされる可能性が出てまいりました。その結果、保証枠が五十から百倍程度縮小される可能性があると言われます。保証協会の保証渋りが広がる可能性があります。また、保証協会で小口の保証をお願いしても、しばしば保証人を求められます。保証人がないからお願いに来た保証協会に保証人を出せと言われる、こういう状況が一層ひどくなるのではないでしょうか。どのように考えられておりますか。このような事態が起こらないよう国に求めていただきたいと思いますが、いかがですか。
 また、不況対策として一番有効なのは、さきにも申し上げましたが、個人所得の拡大と中小企業の活性化と言われます。そのために、差し当たり消費税を三%ともとの率に引き下げることを含め、中小零細企業を中心とした不況対策に政府の政策を展開されるよう求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、西防沖埋立地の住金から関電への転売についてお尋ねをいたします。その譲渡申請も間もなく提出されると思いますので、それに対応する県の姿勢について、九月議会で十分明らかにされなかった点を引き続いてお尋ねをいたします。
 一番。公有水面埋立法は売り手に対して不当な受益は得てはならないとされていますが、不当な受益、適正な受益の概念または定義を明確にしていただきたいと思います。また、適正な受益なら許されるのかどうか。私は、前に申し上げましたように原価で売却されることが原則だと思いますが、いかがですか。
 二番。売り手が原価で売却する、あるいは安価で売却すると、買い手側が実勢価格との差で大きく受益する可能性が生まれます。この買い受け側の受益が社会常識として著しく乖離していれば適切でないと九月議会での答弁にありましたが、いずれにしろ、公有水面の埋立地を売買することによって益を得るということ自体、許されることではないと思います。買い手が買い受けた価格と実勢価格との差は公明正大に明らかにし、社会に、すなわち和歌山県民に還元すべきだと思いますが、いかがですか。
 三番。いずれにせよ、県がこの造成地の価値を原価を含めて掌握していなければ不当な受益、適正な受益を判断することができないわけですが、どのように掌握されておりますか。企業からの報告だけで原価を適正に把握したとは言えません。県として調査が必要です。どうされますか。
 四番。譲渡許可申請書、造成原価、譲渡条件、実勢価格等につき、情報を公開する必要があります。九月議会では、譲渡価格は譲渡許可申請の審査結果が出された段階で審査内容を含めて明らかにするとされましたが、審査内容の公開の中にはそれらは含まれますか。結論だけを開示しても、それが不当か適正かの判断はできません。譲渡申請が出されれば、それを含め一切が公開されることでこの大問題への民主的対応が可能となると思いますが、いかがですか。私は、大企業と県との旧来の関係から、住金、関電、県三者とのなれ合い談合があってはならないと危惧するものであります。そういう立場からこの質問をいたしましたが、毅然とした態度を県当局が貫かれることを期待するものであります。
 最後に、雑賀崎地区への港湾建設と埋め立てについてお尋ねをいたします。
 この計画が発表されますと、地元及び周辺の人々から、景観破壊、観光資源の破壊だという理由で猛烈な反対運動が起こりました。当局はそれを無視する形で中港審の判断を求めていましたが、結局景観への配慮のなさが指摘され、条件つき認可となりました。そこでまず当局に、景観問題をどのように考えていたのか、また考えているのかをお尋ねいたします。
 雑賀崎周辺は、西浜方面が地域振興、経済活性化の名のもとにその景勝地が名状しがたい破壊を受けながらも、景観美においては今なお著名なところであることは言をまちません。県は従来より、和歌山県の自然とその美は県の財産であると言ってこられました。しかし、港湾の建設という産業経済政策の前には、実に簡単にほごにされました。
 紀伊半島北部で大型都市に隣接するこの景勝の地は、何物にもかえがたい子々孫々への財産だと私は考えています。少々の小手先の計画変更でこの景勝を守ることはできません。幾つかの島があるから美観が形づくられているのではなくて、遮るもののない広々とした海面と島との組み合わせが美しく、景観を創造しているわけです。長大な緑地を築造し、埋立地を隠ぺいすればこの地の景観は保護されると考えられたようですが、自然保護、景観保護の思想は当局にあってはその程度のものであったのかと、計画を知ったときには唖然としたものでした。この地にさらなる計画の変更をもってしても、美観の破壊は免れません。雑賀崎の埋め立てと景勝地の関係をどうお考えですか。両立すると考えておられるんですか。
 二番。港湾利用の将来見通しについてお尋ねをいたします。
 計画は、この港湾を建設することにより、専用港を除いて約二百三十万トン増加するとの予測です。その目標が果たして現実的なのかどうか。
 ビッグプロジェクトの当初の計画は、華々しく、数字が確信を持って提示されているのが通常でありますが、その予測が当たったためしの方が少ないのが現実であります。コスモパーク加太の現実が最たるものです。マリーナシティの効果は予測の何分の一かの実情です。関空への期待と現実のギャップは冷静に見なければなりません。
 ある県では、四百八十億円近い金を投じて建設された港が、予測した利用率が一五%にとどまり、市民の楽しい釣り堀として活況を呈しているという現状があります。大阪港、神戸港が比較にならぬ規模で今また拡張されつつあるとき、果たして和歌山の港湾拡張が予測どおりの貿易量を生み出すことができるかどうか、甚だ危惧するものであります。
 そのような目標を前提にした、一千億円を超えるだろうと予測される投資が時宜に適したものであるかどうか、甚だ疑問を抱くものです。一コンサル会社に将来予測を任せることなく、さらなる議論の上に立って検討し直すべきではないでしょうか。港湾拡張の再検討は、将来予測の的確性、貿易量の目標と投資額といった面からも必要だと思うのですが、いかがでしょうか。また、災害時は大阪、神戸港の代替となり得るという問題もありますが、その規模は代替港と称するには余りにも格差があり過ぎ、その幾分の一でもというお考えなら既に大阪府下に準備されてもおります。いかがお考えですか。
 三番。港湾計画の立案過程と情報提供のあり方についてお尋ねをいたします。
 政策原案立案過程に必要な庁内のすべての機関が十分な議論を尽くしていたのか。例えば、観光行政をつかさどる部署、自然環境の担当課等の意見がどの程度反映されていたのか。必要な合議が行われていたのかどうか。私の印象では、それはごく形式的なものであったように感じます。いかがですか。
 次に、まず住民の意向を聞くという姿勢の欠如の問題であります。当局は、中港審の結果が出てその後事業に取りかかるときに住民の声を聞くのが手順だと言われておりましたが、幾万の人々の心を潤す景勝地を埋めるというのに、その手法は合意できません。どうお考えですか。昭和四十八年に同様の埋立計画があったとき、住民の意見で計画を撤回した歴史があります。このことから、県は逆に教訓をくみ出して、住民合意は後でという手法をとったのではないかと推測するものでありますが、原案立案過程に世論を反映さすべきです。いかがお考えですか。
 最後に、いずれにしろ今回のこの計画は、景観の問題、将来見通しの問題、住民合意や庁内の意思統一のあり方から見て計画を撤回されるのが妥当ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 以上をもちまして、第一問を終わります。
○議長(木下秀男君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員にお答えをいたします。
 まず、財政構造改革についてであります。
 本年の六月議会でも、我が国の財政の現状は大変危機的な状況にあり、将来にわたって国民生活の安定向上を図っていくために財政構造改革は一刻の猶予もならない喫緊の国家的課題だと、そういうふうに申し上げたところであります。したがいまして、いわゆる財政構造改革法の目指す基本方向につきましては、その実を上げるために国、地方を通じて最大限の努力をしていかなければならない。そのことについては評価をしたわけであります。
 ただし、これは六月議会でも申し上げたと思いますけれども、その場合におきましても、地域の実情を十分踏まえた上で国土の均衡ある発展を目指し、整備水準の地域間格差を是正するといった視点が不可欠でございます。私といたしましては、国に対し、地域の実情を十二分に訴えていきたい。その条件を前提としておるものであります。
 また、十年度の県予算につきましては、本県財政の現状を踏まえ、予算要求基準は従前にない厳しい内容といたしておりますけれども、これは単に機会的に予算をカットしようと意図したものではございません。要求段階から一つ一つの制度や施策を精査することによって事業の優先順位を選択して、真に必要とする事業への予算の重点化と合理化、効率化を図ろうとするものでございます。
 今後、県民生活の安定向上はもとより、将来の県勢発展につながる分野に対して十分な配慮をしながら十年度予算編成作業に当たってまいりたいと考えております。
 次に、大店法の改正についてであります。
 近年の中小小売商業者を取り巻く環境と申しますのは、消費者ニーズの多様化、車社会の進展、後継者問題、大規模小売店舗の出店などにより大変厳しいものがあると認識をしてございます。こうした状況の中で、特に大規模小売店舗の出店に当たりましては、地域においてもいろんな難しい問題があるということはよく承知をしております。言葉では「中小小売業者とできるだけ共存共栄が図られ」と言うわけでありますが、その困難な点のあることも承知しておりますけれども、地域経済の活性化につながっていくものでなければならないと考えておるところでございます。
 現在、国において大規模小売店舗法の制度見直しの検討がされており、この合同部会の委員の方々にも十分な審議をお願いしていると思いますが、その論議を尽くして今後その動向がどのようになるかということをしっかりと見定めていきたいと思っております。
 次に、第二点目の「にぎわいのまち」振興プランについてであります。
 この町の顔でもある商店街を、面的な広がりの中で、単に物だけでなくて多様なサービスや文化等をあわせ提供し、人々の触れ合いや憩いの場とすることによって活気のある、にぎわいのある町づくりを進めていくことを一三六で提言させていただいたわけであります。本年度の予算で、趣旨は若干異なりますけれども、まちかどミュージアムの予算を計上しておるところでございます。
 現在、国におきましては、関係十一省庁が連携をして、町の活力やにぎわいを創出しようと検討している中心市街地の活性化策というのがございます。まさにこのような視点に立った町づくりであると思いますので、私といたしましても、今後これらの施策も積極的に取り入れながら商店街の活性化に取り組み、県単独事業などの面でも考えていきたい、そのように考えてございます。
 次に、雑賀崎埋め立てに関する景観の価値をどう評価するかということであります。
 このことにつきましては、昨日、宇治田議員のご質問にもお答えをしたところでありますけれども、私は、本県の持つすばらしい自然景観あるいは古い歴史・文化というのはまさしく和歌山県の財産であると、そのように考えてございます。
 本港沖埋立計画のうち雑賀崎前面の景観の問題につきましては、私としても重要な課題と考えてございます。このために、国の港湾審議会において出された意見についても真摯に受けとめて、今後柔軟な対応をするとともに検討していきたいと考えております。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 総務部長中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 県広報紙「県民の友」十二月号に掲載した、県の財政状況に関する広報基準についてのご質問にお答えいたします。
 現在、国や一部の地方団体で財政危機が叫ばれておりますが、今回の県広報紙への掲載は、県民の皆様方に県財政の現状と課題についての認識を深めていただくために、よりわかりやすい形で財政状況をお示ししたものでございます。その中で、歳入歳出のギャップの要因につきましては、県税収入の大幅な減収と、バブル崩壊後の景気対策や社会資本整備のための投資事業の必要性からそれらを積極的に推し進めてきたことによる公債費の増大等によるものとの分析結果を示したところでございます。
 なお、広報の中で経費の縮減の可能性について言及しているところでございますが、限られた財源の中で予算の重点化、効率化を図るという基本的な考え方を示したもので、例えば奨励的な補助金や誘導措置的な補助金などで、県民生活への影響や緊急性の度合いを勘案しながら縮減を検討していかざるを得ないということを申し上げてご理解を訴えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 商工労働部長日根紀男君。
  〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 中小零細企業対策のご質問三点についてお答えいたします。
 まず、国の通達への対応につきましては、中小企業の状況に関する情報収集や中小企業対策に係る連絡調整等を行うため、県、和歌山財務事務所、また県内の政府系金融機関や中小企業関係団体から成る和歌山県中小企業対策連絡会を近く発足させることといたしております。
 特に本県におきましては、県内景気が停滞感を強めていることから、景気動向の把握や新年度予算編成での取り組み等について協議するため、十一月二十八日に景気動向等庁内連絡会議を設置いたしまして、既に全庁体制による取り組みを行っているところでございます。
 また相談窓口につきましては、十二月一日、本庁及び県事務所に中小企業融資相談窓口を設置いたしまして、このことを各報道機関を通じて広報するとともに、商工会議所等の関係団体には文書をもって通知し、周知徹底を図っているところでございます。
 次に中小企業の実態に係る情報収集等につきましては、県の企業診断士による産地診断、また民間信用調査機関等を通じて適宜情報収集等に努めておりますが、今般、景気への懸念が高まっていることから、緊急の景況調査を産地組合や商店街組合等に対して実施いたしまして、その実情の把握に努めているところでございます。
 今後、より一層中小企業者の実態把握に努めまして、関係機関との連携強化を図り、金融対策や経営指導等、きめ細やかな対策を講じてまいる所存でございます。
 次に、貸し渋り対策についてでございます。
 県内中小企業の方々から、金融機関の融資条件が厳しくなってきているとの声も寄せられてきておりまして、去る十一月二十六日には融資状況に関する緊急調査を実施いたしました。その結果、規模の小さな企業ほど金融機関の融資条件が厳しくなってきた、あるいは将来融資条件が厳しくなっていくだろうというふうに考えている企業の割合が高くなっているといった結果が出ております。こうした状況を踏まえまして、中小企業者の資金需要に支障が生じないよう、銀行協会を初め県内各金融機関、信用保証協会に対し、適切かつ迅速な対応を要請したところでございます。
 また、今後の中小企業者からの融資相談につきましては、県の融資制度の利活用を図っていただきますとともに、政府系金融機関とも十分連携をとって中小企業金融の円滑化に取り組んでまいりたいと考えております。
 信用保証協会の問題でございますが、信用保証協会の保証残高は、平成九年十月末現在で約二千三百億円程度となってございます。対前年比一〇四%の伸びでございます。県といたしましては、協会の基金積立額並びに現在の経営状況等から見て、十分な保証能力を備えていると判断をいたしております。
 なお、協会といたしましても、十一月二十五日に融資の特別相談窓口を設置しまして、保証の面では積極的な対応を図っておられるところでございます。
 保証協会に対する国の平成十年度の基金補助金は、お話のように縮小の方向で概算要求されております。県内中小企業者の置かれている厳しい状況や将来展望も踏まえて、国に対して本県への増額要望を行っているところでございます。
 次に、中小企業を中心とした不況対策を国に要請すべきでないかというお話でございます。
 先日、国の関係省庁に対しまして、生産面、雇用面とも全国水準より低く推移するなど、厳しい本県の経済状況を説明いたしまして、国においてこうした地方の中小企業の実情を十分に勘案した景気対策の推進を図っていただきますように強く要望をしてまいりました。今後とも、国に適切な対応を要請してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 鶴田議員のご質問にお答えいたします。
 西防沖埋立地問題についてでございます。
 まず、不当な受益とは何かという問題でございます。
 公有水面埋立法上、不当受益の有無は譲渡価格が適正であるか否かにより判断することになりますが、本埋立地の場合、埋め立てに要した費用を上回る価格での譲渡は認められないと考えております。
 次に、実勢価格との差は県民に還元すべきではないかというご質問でございます。
 買い主が社会常識と著しく乖離した価格で取得することは、適当ではないと考えております。仮にそのような価格で取得する場合は、何らかの形で公共への還元を求める必要があると考えております。
 次に、原価の掌握を正確にすべきであるということでございます。 現時点におきましては、公有水面埋立法第二十七条に基づく申請がなされておりません。そういう段階ですので、造成原価の把握もいたしておりません。申請がなされれば県において適切かつ厳正な審査を実施することになります。申請者に対し、審査に必要な資料の提出等を求めていくと、こういうことになろうかと思います。
 次に、情報の公開の問題でございます。
 譲渡許可申請の内容につきましては、審査結果が出た段階で、審査内容を含めて明らかにすることになります。この際には、譲渡許可申請書等も含まれます。なお、審査前の段階での譲渡許可申請書の公開は困難であると考えております。
 次に、雑賀崎埋め立てに関連する幾つかのご質問にお答えいたします。
 まず、港湾の将来見通しでございます。
 県が提唱しておりますベイフロンティア構想は、大阪港、神戸港といった船舶がふくそうしている大阪湾内の港湾にかわりまして、湾外の和歌山下津港において近畿圏の物流の効率化や災害リスクの分散を図ろうとするものでありまして、将来の近畿圏経済の一翼を担おうとするものであります。
 港湾利用、特に取扱貨物につきましては、現状での取扱貨物量は平成七年での実績が年間約五千五百万トンでございます。計画目標年次である平成二十年代前半におきましては、その取扱貨物量は五千八百七十万トンになると予測しているところでございます。増加を見込んでいるのは外貿コンテナやLNGなどでございますが、取扱貨物の予測に際しましては、実績を踏まえた上、荷主企業などからの港湾利用要請に基づき精査したものでございます。
 また、今回の港湾計画は、ベイフロンティア構想実現のためのあくまでも第一段階であります。これに要する投資額には、不透明なところもございますけれども、県勢活性化のプロジェクトとして地域への波及効果に十分見合った投資であると考えております。
 さらに、阪神・淡路大震災で神戸港が機能麻痺に陥った際に、和歌山下津港を含む近畿圏の港湾で代替し切れず、東京湾や伊勢湾などの他地域の港湾、あるいは釜山港といった外国の港湾に依存したため、近畿圏の経済に大きな打撃を受けたというところでございます。こうしたことから、災害時におきましても、物流停滞が起きないよう、近畿圏全体でリダンダンシーの確保を図ろうとするものであります。
 次に、庁内合意、地元合意の問題でございます。
 計画策定に当たりましては、学識経験者や庁内関係部局、また地元代表としての関係市町等から成る整備構想調査委員会を設置し、計画案の検討を重ねました。その上で、地方港湾審議会での審議を経て策定したものでございます。
 港湾計画は、国の港湾審議会において承認されて初めて県の計画となるマスタープランといった性格のものでございまして、具体化を図るためには、公有水面埋立法に基づいて縦覧し、広く意見を聞くとともに、関係市町村長の意見を聴取し、さらには漁業権者等の権利者の同意が必要とされるものでございます。
 次に、計画の白紙撤回をというご質問でございます。
 県といたしましては、ベイフロンティア構想を県勢活性化の重点施策として考えており、またこの第一段階としての外国貿易機能の拡充や紀北地域における建設残土等の処分場を確保するといった港湾計画の枠組みが、去る十一月二十八日の国の港湾審議会において、おおむね適当であると承認されたものでございます。今後は、さらに関係各位の意見を聞きつつ柔軟に対応し、施策の具体化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、順不同ですが、再質問をいたします。
 まず雑賀崎景観問題について、知事にお尋ねをいたします。
 今回のこの計画が環境庁から、景観の保存に努めなければならんということでチェックをされたわけですが、知事自身、この原案に対して、また環境庁からチェックされたことに対してどのような反省をお持ちですか。
 私は、昨日来、知事のこの問題に関するご答弁を聞きながら、知事がこんなことを言っておられたのになと思ったんです。自然は心の財産だ、あるいは心の豊かさをはぐくむものだ、物の豊かさより心の豊かさの時代だ、こういうふうに盛んにおっしゃられていた。そういうふうにおっしゃりながらあの雑賀崎の地を埋めるとき、あのような大規模な、恐らくだれが見てもこれで自然環境が保護されたとか、景観が保障されたとかと言いにくいような計画をおつくりになられた。物の豊かさより心の豊かさの時代だと言いながらそういう計画をつくられたという、そこが私はわからないんです。結局は、経済活性化という名のもとに、自然であろうと景観であろうと、押しつぶされていくというのが現実じゃないですか、この姿勢であれば。こういうような姿勢では、和歌山県の自然は和歌山県の財産だとおっしゃってはおりますけれども、恐らく守られないんではないかと危惧をするわけです。
 また、今回、景観への特段の配慮をしていくというふうにおっしゃられましたけれども、あの海域でどのような配慮をされるんですか。もしあの港湾機能を一応前提とされるのであれば、到底景観への配慮などをしておってはできない相談であります。少々北へ移動しても、あるいは形状を変えたとしても、景観破壊という点については間違いなく大きな問題となるでしょう。
 ミチゲーションという理論が最近出てまいりました。あの西防埋め立てのときに、埋め立てた後ミチゲーションをするということでいろんな工作をされておりました。そういう中にも、雑賀崎周辺の景観は守らなければならないんだと書かれているんですよ。和歌山県がつくった計画ですよ。そういうような思いと知事の今度の計画立案の姿勢とは全く相反するものだと思いますが、いかがですか。こういう問題は一度白紙に戻されて検討し直す、十分住民の意見も聞き直してみるというふうにされてはいかがですか。これが一番です。
 次に、雑賀崎問題について土木部長にお尋ねをいたします。
 私は、住民合意を得ていくというその手法について、全く納得がいきません。とにかく最初から、住民の意見を聞くと面倒だからというような考え方はありませんか。中港審で結論が出るまでは中身は見せないということでずっと続けられておりました。これが官公庁の手法だというなら、それを改めていくべきだと思います。
 今回は、地港審の後、ちらちらと情報が流れてまいりました。流れましたから、住民が景観を守れという運動を始めたんです。七万の署名を持って環境庁へ押しかけた。その結果、環境庁の意見となって返ってきた。住民の知恵と心が大きく作用したということのあらわれであります。原案作成の過程から、住民の意見を聞くことの大切さを証明した事件ではなかったかと思います。
 環境庁の意見がああいうふうに出たわけですが、情報の公開の仕方をもっと積極的にすべきだと思うんです。九月議会の前に私は、どこをどのように埋め立てるんですかと港湾課に聞きました。教えてくれませんでした。少しでも形状を、地域を教えてほしいと申し上げますと、海の中に丸を書いて、大体この辺を埋めるんだという回答をくれました。全然わかりませんよね。ところが、住民の方々はそれでは承知しない。説明を求められ、そしてとうとう地図を出した。そうして、出してから、ようやく今度は議員のところへも回ってくるという、こういうような状況でしょう。明らかにそこには、計画について一切知らせないという秘密主義があるんですよ。皆さんからよほど厳しく言われないとしないという、そういう姿勢は、これから住民の声を聞いていくと言っても、私は、そうですかと言って信用できないんですよ。従来のこの件に関する深い反省を持ってほしいと思うんですが、いかがお考えですか。
 次に、知事にお尋ねをいたします。「にぎわいのまち」振興プランについてです。
 今のところ、この公約は眠っているようです。思い出していただきましたので、「思い出の百三十六」というふうに私も考えるわけですけれども。これと、国の十一省庁が連携した中心市街地活性化策とを余り単純に連動させない方がいいと私は思います。肩がわりをさせるというようなことはないと思いますけれども、国の策は、県に一ないし二カ所検討しようというような水準のものです。知事の公約は、県下のすべての市町村を対象にして、きめの細かいものであったはずですね。だから、国のやろうとしていることと一部一致するものがありますけれども、そのスケールといい、そのきめの細かさといい、全然質が違ってきていると思います。この公約に光を当てて、市町村商業や商工業者の総意をくみ上げながらスタートを急いでいただきたいと思います。
 知事の答弁の最後に、県単でもやっていきたいという言葉が入りまして、それは大いに評価したいと思いますが、それを今後どのような方法で進めていこうとされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 次に、財政問題について総務部長にお尋ねをいたします。
 広報をするということについては、私は大いに賛成であります。あの広報、なかなかよくできておりましたし、読みやすかったです。しかし、県民に対して、県は今財政難だから少々のことは自粛しなければならないという精神で書かれているんですよね。そういうように県民に予算要求に自粛を期待するとき、自分たちが今までやってきたことについての率直な総括が必要だと思うんです。それを抜きにして、今とにかく金がないから辛抱しろだけでは通じない。
 今までの県の行政の中で、私は幾つかの例を挙げました。コスモパークの問題やマリーナシティの問題、あるいはビッグホエールの問題、こういうものが県民の直接の利益にかかわらないところで大きな財政負担を生んできたんではないか。そこらを反省しなければならないんではないか。不要不急のものでありながら安易にそういうところへ突っ込んでいった、そういう姿勢も、十年先を見通しながらと言いながら、こういう事態になってきているということについての反省がないのではないかという私の質問です。それに対してお答えをいただきたいと思います。
 とりあえず、そこまで。
○議長(木下秀男君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員の再質問にお答えいたします。
 雑賀崎問題につきましては、何回も申し上げておりますように、和歌山県のこれからの行く末として、二つの大きな柱がある。一つは、和歌山の持っているすばらしい自然、古い歴史・文化、そういうものを育てながら、同時に生かしていきながら県の将来方向を決めていくということ。もう一つは、皆さんのいろんなご質問にもありますけれども、道路問題を初め、和歌山県の陸・海・空の基盤整備がまだまだおくれております。この基盤整備を進めていくこともこれからの和歌山県のためには大きな一つの柱であろうと。その二つをどのように共存をさせていくのか、共生させていくのか。これは、私にとりましても大きな課題であります。ですから、そのことをどう悩み、どう苦しみながら結論を出していくのかというのが私の使命であろうと思いますので、今後ともその立場で頑張っていきたいと思っております。
 それから、もう一つの町づくりの問題であります。これは、何も国の制度をすべて取り入れるということではなくて、しかし国の制度があればそれも活用しながら、同時に和歌山県独自の方向を見出しながら、先ほど申し上げましたようにまちかどミュージアムもその一つでありますけれども、そういうふうなことなども総合しながらこれからの対応策を考えていきたい。みんなでつくるいわゆる商店街づくり、町づくり、そういうふうなものをやっていきたい。そういう意味であります。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 鶴田議員のご質問にお答えいたします。
 先ほどの繰り返しになるんですけれども。港湾計画というものがどういう性格かということなんですが、港湾管理者として地域活性化のためにどういう港湾をつくっていくかというマスタープランだと申し上げましたけれども、そういうものでございます。そういうものをつくるに当たって、各界の代表の方々を交え、あるいは学識経験者の人を入れて──この各界の代表の中には地元の市町村長などが入っているわけですけれども、そういう方を交えて審議していただいた。それをもとに、国の審議会でもおおむね適当だと認めていただいたというものだと考えております。
 今後につきましては、ご意見を十分お聞きすると言いましたけれども、埋め立ての手続の中でも、縦覧とかそういうものがございます。また、市町村長さん方の意見聴取であるとか市町村議会の議決であるとか、いろんなことがあるわけでございまして、そういう中で柔軟に対応していくということにしたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 総務部長中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 反省についてでございますけれども、歴史、過去については、そのよしあしは別にいたしまして、学ぶべきことはあると思います。我々は将来に向かって頑張っていきたいと考えてございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──所定の時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。
 35番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 知事に要望いたします。
 雑賀崎の問題について。いろんなご意見があろうということで、知事もいろいろ苦慮されることと思いますが。私も繰り返して申し上げますけれども、あそこの景観と港湾というのは両立しないというような状況ですよ。あそこの鉄鋼団地ですか、新しい土地再開発計画をつくるときも、あの地元の人は、現在の防波堤よりは沖へ出さないでくださいという要望があったはずですね。あれがぎりぎりですという要望があったと思うんです。その点は十分酌んで、白紙撤回ということも視野に入れた再検討ということで考えていただきたいと思います。
 総務部長の答弁、よくわからなかったんですが、率直にいろんな過去の業績についての反省ということもしながらやっていかないといけないと思うんですよ。その立場で、ここの場で、あれがいけなかったというようなことは言いにくかったのかもわかりません。その点は酌みますが、やはり十分に今後の財政運営に当たっての配慮を願いたいと思います。
 時間が来ましたので、終わります。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(木下秀男君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時五十五分休憩
      ─────────────────────
  午後一時三分再開
○副議長(阪部菊雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(阪部菊雄君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 28番東山昭久君。
  〔東山昭久君、登壇〕(拍手)
○東山昭久君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行いたいと思います。
 まず、紀の川大堰事業に関して質問をいたします。
 今回質問するに当たり、私の政治的指導者であり恩師でもある的場鹿五郎大先輩の著書「わが田に水を引く・紀の川分水物語」を一読いたしました。的場先生が県議会在職中、終始一貫して紀の川の水資源問題と取り組んでこられた体験をもとに、紀の川の治水・利水の歴史からひもとき、奈良県との分水をめぐる争いの歴史を述べられ、また大阪分水問題まで語られており、今日、多くの示唆を与えるものになっています。同時に、紀の川の水を守り発展させてこられた数多くの先輩たちの血のにじむような足跡が記されています。ここで、少しこの本から引用させていただきます。
 「川はその流域に生きる人びとの人格形成の母である。川は直接あるいは間接に哲学、思想、芸術、情操など崇高な人間の魂を育んできた」。中略しますけれども、上流へは布地、雑貨類、下流へは米、麦、ミカン、柿、時にはマツタケ、皮つきのイノシシなど、季節産物を運び、「かつての紀の川は吉野奥地をも含めた流域村落と、消費地であり生産地である和歌山、大阪を結ぶ重要な物質交流の動脈であった。こうした物資輸送の役割は流域村落の近代的夜明けに貢献し、和歌山、海南など今日に見る都市化への発展を促した。 しかし、紀の川が流域住民にもたらした最大の恩恵は、なんといっても流域一万町歩の稲作農業と」地場産業の発展であり、「母なる川・紀の川は神代の昔から私たち流域住民の生活の母であり、生産の母であったのである」と述べられています。
 また、仮谷志良前知事は、「川、そして川と人間が織りなすドラマ、それは私たちとって如何なる存在であり、如何なる意味をもつのでしょうか。 和歌山県北部の生活、文化、産業のすべては、紀の川との関り合いなくしては語ることができません。過去、現在、そして将来と、この関り合いは、永久に続くことでありましょう」という言葉を序文に寄せられています。
 紀の川は、日本最多雨量地帯の大台ケ原を水源として、高見川、大和丹生川、紀伊丹生川、貴志川などを集めながら紀伊水道に注ぐ、流域面積千七百五十平方キロメートル、長さ百三十六キロメートル、上流は奈良県、下流は和歌山県の五市十七町五村に及びます。和歌山市は、この紀の川に生活、文化、産業経済のすべてにわたって依存してきたと言っても過言ではありません。四箇郷地区も同様に、この紀の川の地下水に依存してきました。したがって、紀の川大堰事業による地下水の変動等に大変敏感で、大きな関心を持っているのであります。
 さて、本題に戻りますが、紀の川大堰事業は、国が事業主体となり、新六箇井堰を撤去してその下流五百メートルに可動式堰を建設し、洪水の安全を図るとともに流水の正常な機能の維持増進、新規水源の確保など、治水・利水を目的にして平成三年に着工され、右岸の四本の堰柱がほぼ完成し、現在、左岸──有本側でありますけれども──工事に着手されています。また、本年十月十三日に左岸工事(平成九年十月から十二年三月まで)に関する地元説明会が行われ、幾つかの条件はつきましたけれども、地元同意が得られたのであります。
 私は、昨年九月県議会で紀の川大堰事業に関して四箇郷地区住民の要望の実現を強く求める質問を行い、今日まで自治会役員の皆さんとともにこの問題に取り組んできたところです。この間、建設省和歌山工事事務所、和歌山県・市、四箇郷地区自治会が同一テーブルにつき、六回にわたって話し合いを行ってきました。地元要望の左岸道路は和歌山市が管理するようでありますけれども、地下水対策、さらには少年野球場の確保など、幾つかの課題について実現する見通しがつくなど、一定の成果を上げることができました。これも、県土木部河川課がその窓口となり努力していただいたたまものであります。関係者にお礼を申し上げます。同時に、まだ幾つかの課題が残っており、話し合いは継続しておりますので、より一層のご協力をお願いいたします。
 紀の川大堰事業は、一、堰本体工事、二、新六箇井堰撤去、三、河道掘削、四、JR阪和線の紀の川橋梁かけかえ、五、北田井ノ瀬橋かけかえ、六、低水護岸の設置、七、取水施設の改築、八、水質浄化水路の整備等から成り、事業費約七百億円、完成目標年次平成十一年を予定されているのであります。
 そこで、次の三点についてお尋ねいたします。
 紀の川大堰事業の進捗状況はどうか。完成目標の平成十一年は達成されるのか。いつ完成するのか。この事業の基本計画の見直しは行われるのか。事業費は当初約七百億円と言われていたが、工事のおくれと建設費の高騰によって膨らんできていると思うがどうか。どれくらいの規模になるのか。それは確保されるのか。
 二つ目として、関連事業であるJR阪和線の紀の川橋梁かけかえ、北田井ノ瀬橋かけかえ等の現状と今後の見通しはどうか。特にJR阪和線の橋梁かけかえと新路線ルート問題については、建設省和歌山工事事務所は平成七年三月ごろ、地元地権者に対して測量のための事前調査を実施したいと協力要請の説明会が行われ、新路線ルートを早急に決定して改めて地元説明会を行うとなっておりました。しかし、その後、一切の説明はなされていないのが現状です。そういった中で本年十月に建設省和歌山工事事務所よりJRとの調整がおくれている旨の通知がはがきによって出されたわけでありますが、地権者の中には、一体どうなっているのか、きちんとした説明が欲しい等、建設省に対する不信、不満の声が出ています。関連事業の今日までの進捗状況と今後の見通しについて、地元住民に説明のつくご見解を求めたいと思います。
 三つ目は、水道道の拡幅と無交差道路の建設であります。
 私は、JR阪和線の六十谷・紀伊中ノ島間の高架化について本議場でも取り上げ、紀の川大堰事業の関連で地建、県、市との話し合いの中で何度もその実現のために努力するよう強く求めてきたところであります。昨年九月県議会での長沢土木部長の答弁では、「一般的に高架化する手法は二通りございます。まず、県事業として行う連続立体交差事業は、現状では交差道路数等が採択基準に達しておらず、また和歌山市において周辺の区画整理を行う必要もあります。もう一つの手法といたしましては、幹線道路である市道の立体化を行うのに要する額に市の単独費を加えて行う方法がございます。いずれの場合も、和歌山市で膨大な単独費等が必要であります。今後、市の動向を踏まえた上で対応を検討してまいりたいと思っております」と答弁をいただいているわけであります。和歌山市の動向が大きなかぎを握っているとの見解でありました。
 この件に関しましては、当初から和歌山市に対して地元から要望を続け、地元住民は大きな期待を寄せていたわけであります。しかし、現状ではJRの高架化は困難な状況にあると思われます。四箇郷地区は近年、新興住宅がどんどんふえ続け、急速に人口も増加しております。そのような中でも、道路整備、上下水道整備等、生活基盤の整備が大変おくれている地域でもあります。都市計画も策定されていないのが現状です。例えば、有本田尻線も国道二十四号線までの計画で、四箇郷地区内には一本の都市計画道路もないのです。
 特に水道道(和歌山市管理道)は、ご存じのとおり、道路幅は狭く、朝夕問わず大変混雑し、車両等が著しく停滞する道路の一つです。この道路は通学道路でもあり、四箇郷小学校や四箇郷北小学校、紀の川中学校へ通う生徒は、歩道もないため、毎日停滞する車の間をすり抜けながら通学せざるを得ない大変危険な道路でもあります。地域住民からは、何とかしてほしいとの強い要望があります。
 先日、道路沿線の十五名の自治会長の署名で要望書が大堰対策委員会に提出されました。要望書によると、一、水道道の道路拡幅、二、JR阪和線と水道道の無交差道路の建設で、以上の要望事項を実現するために私たちも紀の川大堰建設工事の完成にご協力いたしますという内容であります。この課題は和歌山市で都市計画を策定するものでありますが、和歌山県の交通体系を確立するものとして県当局が強力な指導性を発揮されますようお願いすると同時に、拡幅と無交差道路建設に特段のご努力を強く求めます。
 以上について、土木部長のご答弁をお願いいたします。
 次に、紀の川分水問題に関して質問をいたします。
 県は、平成二十二年度までの長期総合計画を策定中であります。第四節、資源・エネルギーで水資源の施策として、水の有効利用、水の安定供給、水環境の保全を掲げ、水の再利用の促進、計画的な水資源開発に努め、保全と利用の観点から基盤整備等の促進に努めますとあります。水資源は、生活、産業経済の最も基礎的な重要な問題であります。人間は、空気と同じように、水なしでは生存することはできないのであります。
 紀の川の分水をめぐっても、奈良県と幾度かの紛争を繰り返し、先人の血のにじむような努力の積み重ねがあり、それらのことによって紀の川の水が守られてきたのであります。私たちは、さらに守り育てていかなければなりません。
 ここに、昭和六十二年十二月二十一日付の、和歌山県と大阪府との「紀の川利水に関する協定書」があります。中身を紹介しますと、「一 和歌山県は大阪府の分水要請に対し、当面毎秒約四立方メートル──四トンですけれども──を上限として分水に同意する。 二 両府県は協力して、紀の川大堰、紀伊丹生川ダム等の水資源開発を積極的に促進し、利水の早期実現に努める。 三 大阪府は、紀の川利水に伴う水源地域の整備振興対策に対し、しかるべき協力を行うこととする。 四 府県間道路の整備について、両府県は協力して早期完成に努める。 五 両府県は、分水を契機としてさらに連携を強め、南大阪・紀北地域の調和ある健全な発展のため、一体的な総合施策の推進に努めるものとする。」、当時の仮谷知事と大阪府の岸知事のもとに協定書が交わされているわけであります。さらに、昭和六十三年一月八日付の「紀の川利水に関する覚書」があり、これは、ここにおられる、当時の西口副知事と大阪・中川副知事のもとに確認をされているわけですけれども、その別紙の中にも府県間道路の整備方針について大阪府との間で確認をされています。大阪府への分水は、紀の川大堰、紀伊丹生川ダムの整備等により昭和七十五年、つまり平成十二年を目標に毎秒四立方メートル──四トンであります──を上限として、当分は約三トンとするとなっておりますが、ダムの整備は当初目標よりおくれています。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 水資源に対する基本的な考え方、紀の川分水に対する基本方針、そして、予定どおり平成十二年の分水は可能かどうか、以上、知事のご見解を求めたいと存じます。
 次に、大阪府との協定書の改定は考えられているのか、また大阪府との覚書の確認事項についてですが、一、分水量、二、基金の設置、三、地域整備協力費、四、府県間道路の整備、五、導水管路用地の利用、六、南大阪・紀北地域の整備、七、加太岬スカイライン(仮称)構想の具体化とある項目のうち、四の府県間道路の整備を除く項目について、今日までの取り組みと現状について企画部長に答弁を求めます。
 最後に、国道三百七十一号、第二阪和国道の延伸、泉大津粉河線、泉佐野岩出線等の府県間道路の整備方針について、今日までの取り組みと現状、今後の見通しについて土木部長に答弁を求め、質問を終わりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの東山昭久君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 東山議員のご質問にお答えをいたします。
 紀の川分水問題に関連して、まず第一点に水資源に対する私の所見ということでございます。
 もとより水は、議員ご指摘のように、自然環境の根幹となって多様な生態系を支えるとともに、人間社会の存立基盤を形成する基本的な資源でございまして、かつ流域の地域にとりましては地域固有の資源であるという認識を持ってございます。したがいまして、水資源の確保に当たりましては、長期的な観点から総合的、計画的に取り組んでまいる必要があろうと思っております。
 次に、大阪府との分水協定についてでございます。
 府県間における長年の懸案課題となってございましたが、関西国際空港の泉南沖立地といったことを契機といたしまして、府県間道路の整備、紀泉地域の発展にともに取り組んでいくという合意のもとで、県議会を初め、流域市町あるいは関係団体の皆様方のご同意を得た上で協定を交わしたところでございます。
 ご指摘のように、分水につきましては、平成十二年を目途に紀の川大堰、紀伊丹生川ダムの建設により新たな水資源を確保した上で実施することといたしておりました。しかし、昨今のダム事業を取り巻く情勢は全国的にも大きく変化をしております。こういったこともございまして、関係市町や関係住民の皆様方の合意形成、さらには、そういった中でダム事業審議委員会の設置、事業予算の確保というようなことにつきまして、建設省を初め各方面に強く要請をしてきたところであります。紀の川大堰、紀伊丹生川ダムの事業進捗の現状からいたしまして、平成十二年の目標年次については大変厳しい状況にあると認識をいたしております。
 以上であります。
○副議長(阪部菊雄君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 東山議員のご質問にお答えいたします。
 まず一点目の、紀の川大堰事業に関してでございます。
 まず、事業の進捗状況と基本計画の見直しの点でございます。
 紀の川大堰事業につきましては、堰本体工事、低水護岸工や河道掘削などが実施されているところでございます。しかしながら、財政事情の厳しさが増す中、堰本体については従来の予定工期では完成が見込めず、平成十四年度中に堰本体を概成させる目標であること、今後、補償のための工事等、さまざまな事業調整を行う必要があり、総事業費等を明言できる状況でないことを先日、建設省和歌山工事事務所より聞いたところでございます。大堰事業促進に努めてきた県としましては、今後とも国に対し早期完成を要望してまいりたいと考えております。
 二点目の、関連事業の現状と今後の見通しでございます。
 まず、議員ご指摘のJR阪和線橋梁の改築についてでございますが、建設省和歌山工事事務所によりますと、現在までに検討のために必要な概略の測量・地質調査を終えており、JRと鋭意協議しているとのことでございます。JR橋梁についても、予定工期では完成が困難でありますが、今後ともJRと協議を図り、早期完成に努めてまいりたいとのことでございます。県といたしましては、JR阪和線橋梁改築について地権者の方々等の要望に対して一層努力するよう、建設省和歌山工事事務所に強く要望してまいりたいと考えております。
 次に、県道紀伊停車場田井ノ瀬線の北田井ノ瀬橋につきましては、平成七年度に事業着手し、これまでに詳細設計、地元説明等を進めてまいりました。今年度は、かけかえ工事中の通行を確保するために仮橋の設置を行うことにしており、既に工事を発注したところでございます。今後、次期道路整備五カ年計画内の完成を目途に努力してまいりたいと考えております。
 三点目の、水道道の拡幅と無交差道路の建設の問題でございます。
 この問題につきましては、議員のご質問にございますように、都市計画の基本は市町村が主体となって取り組むものでございますので、県といたしましても県民の利便性及び安全性の確保等の観点から、市の意向を踏まえ、十分な指導等、適切に対応してまいりたいと考えております。
 二番目の紀の川分水問題に関するご質問のうち、府県間道路の整備方針の今日までの取り組みと現状、今後の見通しについてでございます。
 まず、国道三百七十一号につきましては、平成元年度に国道二十四号から府県境までの区間を事業着手し、現在、用地買収を重点的に進めており、本年度、一部工事に着手する予定であります。大阪府側につきましても工事及び用地買収が進められており、今後とも整備促進を働きかけてまいります。
 次に、第二阪和国道につきましては、和歌山市大谷から元寺町及び大阪府阪南市自然田から岬町淡輪の区間で事業中であり、一部工事にも着手しており、鋭意整備が進められているところですが、この区間の早期完成とともに、府県境部の残区間についても、大阪府とも連携を図りながら早期に事業化されるよう、国に強く働きかけてまいります。
 県道泉大津粉河線──現在の国道四百八十号でございますが、この路線につきましては、平成六年度に事業化し、現在、用地買収を重点的に進めております。大阪府側については平成八年度に事業化され、用地買収に着手しており、今後、府県境のトンネルについても大阪府とも調整を図りながら早期着工に向けて調査設計を進めてまいります。
 県道泉佐野岩出線につきましては、府県境から岩出町備前の区間で用地買収及び工事等の事業促進を図っているところであり、本年三月には一部根来工区を供用したところであります。大阪府側につきましても、平成七年に泉南市男里から金熊寺の区間が開通いたしましたけれども、金熊寺から府県境の区間についても平成六年度に事業化し、本年度、金熊寺地区のトンネル工事に着手する予定と聞いております。
 このほか、泉佐野打田線につきましては二車線整備が概成しておりますが、一部未整備で残っている府県境の打田町神通地区の用地買収を進めており、大阪府側については泉佐野市大木地区等で現道拡幅工事が進められております。
 岬加太港線につきましては、和歌山県側は整備済みであり、大阪府側の岬町小島地区の残区間についても用地買収及び工事の促進が図られております。これらの路線につきまして、今後とも阪和開発連絡協議会等で大阪府側にも強く働きかけながら整備を促進してまいります。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 企画部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 東山議員にお答え申し上げます。
 紀の川の分水問題に関しまして、まず大阪府との協定書の改定を考えているかとのご質問についてでございます。
 先ほど、知事の答弁にもございましたように、平成十二年を目途とする分水については厳しい状況と認識してございまして、今後、紀の川大堰、紀伊丹生川ダムの事業進捗の動向を見ながら大阪府と協議してまいりたいと考えてございます。
 次に、大阪府との分水協定に基づく確認事項に関し、現状と今後の取り組みについてのご質問でございます。
 最初に分水量についてでございますが、紀の川大堰、紀伊丹生川ダムの建設により新たに水資源を開発した上で、上限毎秒約四立方メートル、当面毎秒三・〇九立方メートルを分水することとなってございます。
 次に、地域整備協力費と基金の設置についてでございますが、分水に当たっては、大阪府が毎秒三・〇九立方メートル分として百三十一億円の地域整備協力費を負担することとなってございます。このため、財団法人紀の川水源地域対策基金を設置し、昭和六十三年度から平成八年度までに大阪府から県に対し、累計八十一億五千万円が支払われてございます。
 次に、大阪府営水道の導水管については、現在、取水口について大阪府が建設省と協議を行っているところでございますが、この取水口と阪南市に予定している浄水場を結ぶルートで検討しており、山地部についてはトンネルとし、平地部については管埋設で上部を道路として利用することで府県間で合意しております。詳細については、紀伊丹生川ダムの建設が明確になった段階で決定したいとの大阪府の意向もあり、いまだ決定には至っておりません。今後、導水管路の上部利用については、道路の整備手法も含め、和歌山市等と協議を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、南大阪・紀北地域の整備の検討につきましては、平成二年十二月に紀泉地域総合整備推進委員会を設立いたしてございます。現在まで同委員会におきまして、府県境地域に位置する金剛生駒紀泉国定公園での葛城山周辺整備や近畿自然歩道の整備などに共同して取り組んでいるところでございます。同委員会での今後の取り組みといたしましては、分水の時期が確定した段階で、大阪府とともに利水記念事業の具体化に向けての協議を行う予定でございます。
 次に、加太岬スカイライン──仮称でございますが──構想の取り組みにつきましては、平成元年度より大阪府と共同で概略路線の検討調査及びルートの絞り込み作業等を行い、基礎的調査をほぼ終了しております。この構想につきましては、紀淡連絡道路、関空二期事業等との整合性等の諸課題もございますが、去る十二月三日に開催された阪和開発連絡協議会においても、副知事から大阪府に対し早期に構想の具体化が図れるよう協力要請を行ったところでございます。今後とも早期事業化に向け、積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 28番東山昭久君。
○東山昭久君 今、それぞれの項目について、知事初め関係部長からご答弁をいただきました。
 紀の川大堰事業について、ちまたでは、大変おくれてきていると言われてきたわけですけれども、平成十一年の目途を、平成十四年度中に堰本体を完成させる目標であるということが初めて明らかにされたわけです。紀の川大堰の完成とともに、紀伊丹生川ダムは全くまだ建設に入っていないという状況で、水資源の確保について完全に確立されていないという現状になっているわけです。
 先ほど、知事の方から平成十二年の分水は厳しい状況を認識しているというご答弁をいただいたわけですけれども、私、和歌山に住む一人として、やっぱりきちっとした整備がされて初めて分水すると。もちろん、覚書やいろんなことで確認はされているわけですけれども、先にお金だけもらって、やっぱり水をやらなあかんのやということにぜひならないようにしていただきたい。水というのは我々の和歌山の発展にとって極めて重要な問題でありますから、そういうことで取り組んでいただきたい。
 特に水の問題では、水の量を確保するととともに、今水質の問題もかなり問題化されているわけです。したがって、この紀の川大堰の完成によって地下水や水質がどうなるのかという不安の声もあるわけですから、きちっとしたそういう対策をとっていただきたいということをまず最初に要望しておきたいと思います。
 したがって、そういう意味では、この紀の川大堰の基本計画が建設省の方ではもう見直しをされている──先ほど総事業費については今言えないというご答弁でありましたけれども、とてもじゃないけど七百億で済むような状態ではないということは明らかになっていると思います。当然その上で大阪府や国、県の負担という問題も恐らく出てくるだろうと思いますので、もうおくれているという認識の上に立って、ぜひ新たな方針を早期に決めていただきたいと要望申し上げておきたいと思います。
 それから関連事業の件で、先ほど私はJR阪和線の紀の川橋梁のかけかえについて、これもおくれてきているということで──ところが、私は地元の皆さんとこの問題について建設省の皆さんとずっと話し合いを持ってきたわけですけれども、地元地権者に対する説明が本当に不親切といいますか、親切でないですね。調査をするときには頭を下げて「協力してください」と一生懸命努力されているわけですけれども、その後、何回も申し上げたんですが、やっとことしの十月になって初めてはがきを出しました。去年の四月、去年の八月までに新ルートを決定して説明会を行う、そのとき協力してくれという趣旨のはがきが出されているわけですけれども、それから何の音さたもなくことしの十月まで来たわけです。こういうことでは──こういう大きな事業を進めていくには、やっぱり地元の地権者の皆さん、地元の理解なしには進まんと思うんです。ところが、地元の人を怒らしている。かなり不満を持たれる方がたくさんいらっしゃる。これでは、やっぱり大きな事業は進まん。
 先ほどは、その地権者の要望に対して一層努力するよう建設省に対して強い要望をすると、こういう土木部長の答弁をいただきましたけれども、そういう地元の人たちの理解を得るためには、やっぱり日常ちゃんと、こういう事業をやるにつけて逐次報告をしながら理解を求めていく、そしていざ土地買収に入るときには協力していただく体制をつくるということが事業をスムーズに進めることでありますから、これはまあ、県に申し上げても──本当は建設省の方にここに来ていただいて直接申し上げたいことですけれども、ぜひ県を通じてその点よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 それから、先ほど水道道の拡幅と立体交差道路の建設を申し上げたわけですけれども、これは答弁のとおり、和歌山市で基本的には計画する課題であります。私も、何回か和歌山市の皆さんとも話は持ってきたわけですけれども、なかなか感度が鈍いものですから、こうやって質問させていただきました。ぜひ強力な指導性を発揮していただきますよう心から要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で東山昭久君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(阪部菊雄君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時四十五分散会

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