平成9年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○副議長(阪部菊雄君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 早速、質問に入らせていただきます。
 まず、看護婦問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 看護婦不足が社会問題となって久しいところです。今は国民的共通の願いとなって「看護婦ふやして」と、共同した運動が広がってきました。看護婦不足は単に看護婦だけの問題にとどまらず、国民や病院にとっても、健康と命を守る上からも、重大かつ緊急課題と言えます。しかし、国の福祉、医療切り捨て政策によって、一向にこの実現はできません。国がみずから決め、国立病院に出された人事院制定「夜勤は複数、月八日以内」も、三十二年を経過した今においても実行されていないばかりか、十六時間という長時間勤務を強いる二交代制を導入して人員をふやそうとしない、極めて無責任な国の姿勢であります。
 職場の実態は、医学、医療技術の進歩とともに、新しい医療機器も複雑で高度となっており、患者も重症化、高齢化が進み、看護婦の仕事はこれまで以上に精神的にも肉体的にも緊張の連続が続いています。十分な休憩もとれず、残業で長時間労働が当然という状態です。夜勤回数は月九回から十回、時には欠員で十一回から十二回になることもたびたびです。切迫流産、早産など、異常出産も依然としてあります。多くの看護婦は、仕事と家庭の両立が厳しくなって、いつでもやめたいと思っています。疲労の回復が悪くていらいらすることが多い。夜勤労働の厳しさと長時間過密労働に、今、医療事故や過労死がいつ起こっても不思議ではないと、職場の殺人的実態に私は背筋の寒くなる思いをいたしました。年休をとるとボーナスから減額されるので我慢している、こういった厳しい条件のもとでも看護婦たちは、看護婦の仕事は好きで何とか働き続けたいと思いながらも、健康を損ない、自信を失って退職していく人、流産して悲しい思いで退職していく人が後を絶ちません。夢と希望を抱いて、いざ職場へ、しかしその職場の余りの多忙さと厳しさに耐え切れず、若い看護婦が一年、二年で退職してしまい、再び看護婦に戻らない人も多いと聞きます。これでは、幾ら養成しても悪循環です。経験豊かな専門職が確保できない要因であり、看護婦不足を生み出す大きな要因でもあると私は思うのです。職場のこの実態の解決を後回しにすることは、もう許されないことです。私は、看護婦不足を解決するためには、第一に看護婦の養成数を計画的にふやすこと、第二に離職防止のための待遇改善を急ぐこと、そして退職者が再び働ける条件整備や援助をすることだと考えます。
 本県はこの間、看護短大、県立なぎ看護学校の建設、既設校の定員増や院内保育所として共同保育所の設置、院内保育所に対する運営費補助の創設と看護学生に対する修学資金制度の創設と、積極的に取り組んでまいりました。やっと近畿各府県に肩を並べるまでに前進はしたものの、まだまだ不十分です。しかし、この努力については評価をしたいと思います。しかし、解決には引き続き、県として県民の願いを実現するために、あらゆる方法を計画的に進められることを強く期待するものです。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをしたいと思います。
 一九九一年三月三十日、厚生省は、看護職員需給見通しの見直しをするよう各都道府県に通知をしてまいりました。その需給見直しに当たっては、二つの条件をつけました。一つは九三年度末までに週四十時間労働制を実現すること、二つに夜勤は複数月平均八日以内にすることを踏まえたものにするよう指示をし、それに従って本県も見直しをされました。その到達の見通しはいかがなものでしょうか。看護婦の職場は多忙をきわめ、今や夜勤は三人、四人で、夜勤回数は月六回の必要性を現場は求めていますが、これを基準にして見直しをするお考えはありませんか。
 この厚生省通知の複数夜勤月平均八日以内の実現の指示を考えてみますと、複数夜勤月平均八日というのは、十年後、すなわち二〇〇〇年、平成十二年度末で実現をするという意味です。残りはあと三年ですが、現状はどこまで進んでいるのでしょうか。県下には、「病院」と名乗っている九十四の病院があります。その九十四の病院はどのような達成状況にあるのでしょうか、お聞かせ願います。
 看護婦確保対策として、看護婦養成が行われてまいりました。一般的には看護学校と呼ばれていますが、この看護学校に入学する条件に、病院に勤務することを義務づけたり、学校卒業後一定期間勤務すること、一定期間働かないと退職を許さない、また奨学金とは別に卒業後一定期間働かない場合は違約金を取る、いわゆるお礼奉公の問題が指摘をされ、随分社会問題になりました。とりわけ准看学生には、資格がないにもかかわらず、看護行為である導尿や注射、採血などを一般的に行わせていました。これらについては、労働基準法や保助看法違反に触れるおそれがあると社会的にも指摘をされ、国は改善の方向でそれぞれの法的措置を考え、その方法を関係機関に通知されたところです。この実態は、日本じゅうで長い間、常態化していました。にもかかわらず放置されてきたもので、改善されたことは大変うれしく思うところです。こうした実態が明らかになったのは、日本医労連の看護婦一一〇番です。その後、看護協会などの調査でもこの実態が明らかにされ、そしてマスコミもお礼奉公問題として大きく報じました。改善への一助となったところです。県は、学生の教育環境の整備充実と、各関係へのなお一層の監督と指導を強化されなければなりません。
 さて、職場の実態などを私なりに申し上げてまいりましたが、福祉保健部長、あなたは直接的な責任者としてどのような認識をお持ちなのでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、看護職員修学資金制度についてお尋ねをいたします。
 この制度は、看護職員の確保と充実を図る目的で看護学生を対象に貸与される制度です。将来、県内で看護職員として働く者に対して貸与するものです。国の修学資金と県の修学資金の二種類、貸与対象人員は各学校定員の一五%程度。国の修学資金は看護短大と南紀高校専攻科については対象外となるため、平成元年に県単独事業として創設されたものです。いずれも看護職員充足対策であります。この一五%の人員枠は、希望するすべての申込者が貸与を受けられているのでしょうか。申し込みから外れた場合の救済措置はあるのでしょうか。担当者は二〇%までの枠拡大を国に求めていると聞いているところですが、申し込みたくても申し込めないで困っている学生はいませんか。県の修学資金制度における対象拡大はできないのでしょうか。希望する学生には全員貸与することこそ看護婦確保につながるのではないでしょうか。福祉保健部長のご所見をお聞かせ願います。
 次に、阪和線紀伊駅周辺の道路整備についてお尋ねをするものです。
 和歌山市北東部に位置するこの地域は、住宅開発と田園風景の広がるのどかな地域です。この紀伊駅を囲むように、近年、特別養護老人ホーム、ケアハウスといった福祉施設、黒潮作業所や知的障害者の通園施設や障害者施設、県立盲学校に和医大、そして近い将来には和医大移転跡に県立養護学校の建設も予定されているなど、福祉ゾーンが形成されているのが特徴的な地域でもあります。また、紀伊駅を基点に半径二キロ平方メートル以内には五千八百三十一世帯、一万八千百七十七人が暮らしており、大阪方面への通勤圏ともなっています。そして、紀伊駅は交通の拠点で、遠くは貴志川、桃山、岩出、打田などのサラリーマンも利用するところです。一日平均の乗降客は八千三百人と、大変多い駅となっています。ちなみに、和歌山駅に次ぐ県下二番目に利用者の多い駅ともなっているのです。
 道路は、駅前を東西に走っている県道粉河加太線が幹線道路であり生活道路でもあります。この県道は両側に商店街が立て込んでおり、その上、側溝、電柱が二十メートル間隔で立っているため、幅七メートルほどの狭い道路は、人、車、単車、自転車の往来に、渋滞と混雑をもたらしています。雨の日は一層ひどくなり、傘を差して歩けないばかりか、買い物さえ安心してできない状態が約三百メートルにもわたっています。また、高齢者や障害者などハンディキャップを持つ人々が安全に利用できる道路とは到底言えません。特に駅前広場は県道そのものが広場になっているため、朝夕のラッシュ時間帯は、バス、タクシー、送迎用の乗用車、それに県道を走るダンプトラックなど、危険きわまりないひどい混雑ぶりです。バス停から駅への横断にも命がけとなります。
 この状況を改善しようと、地域の方々が「安心して利用できる紀伊駅を考える会」を結成し、駅利用者に二日間にわたってアンケート調査を実施いたしました。千四百八十枚配布し、約三分の一に当たる四百九十七枚が回収され、紀伊駅に対する要望が出されました。また、周辺開発についても数多くの要求が出されたところです。紀伊駅に対する要望では、階段にエスカレーターやエレベーターの設置、スロープの設置や車いすを利用できる駅になどの改善が主なものでありました。そして、駅前広場を広げてほしい、県道を拡幅して安心して利用したいと切実な声などが、六百三十五項目にもわたって寄せられています。既に、和歌山市を初めJR和歌山支社、和バス、那賀バスなどにも改善への協力を申し入れ、懇談もしてこられました。その中で、紀伊駅のトイレの改善、待合所の増設、バス時間の変更など、一定の改善は進んでまいりました。十一月二十日、西口知事にもこの会から改善策を求めたところでございます。
 アンケートの多くは、駅を含めた駅前再開発を求める声です。主体的には、町づくりという点から見れば和歌山市でありましょうが、県道粉河加太線の交通渋滞、道路拡幅対策は県の仕事です。どのようにお考えですか。
 また、西脇山口線のこの地区に係る具体的計画はどうなっていますか。土木部長、お聞かせください。
 次に、関西電力株式会社の問題についてお尋ねをいたします。
 私は、一九九二年、十二月の定例議会において、関西電力が行っていた既婚女性に対する嫌がらせや退職強要をしている問題を取り上げましたが、当時、仮谷知事は、県として関電に対し適切な指導をするよう担当部長に指示しておるところと述べ、同じく中西商工労働部長は、管理の改善に万全を期されるよう会社側に申し入れた、女子労働者の安心して働ける環境づくりに努力する旨の答弁を行ってまいりました。その後、関電では、和歌山支店の管内ばかりでなく会社全体でも改善が行われ、働く既婚女性がふえていると聞き、大変喜んでいます。
 知事は、この七月に関西電力の二つの発電所建設に同意をされました。日本共産党は、火電建設が住民の同意を得ていないことや環境悪化につながる問題、地球温暖化に拍車をかけること、そして梅の生育障害との関連で、御坊第二火力については梅生産農家の意見を尊重するように求めてまいりました。しかし知事は建設同意をしたわけですが、いろいろ問題はあっても法の定める手続に従って進められているものと考えます。ところが、この関西電力が、そこで働く労働者の思想、信条の自由を侵し、その是正を求める最高裁判所の判決が出たにもかかわらず、それに従わず、会社の決定が最高裁判所を上回るという態度をとっています。
 以下、具体的に述べてみたいと思います。
 一九七一年、昭和四十六年四月、関西電力神戸支店の支店長以下幹部の供覧印のあるマル秘の文書が発見されました。マル秘文書には、会社が従業員のロッカーを勝手にあけて手帳を盗み見したり、葬儀を手伝うふりをして会葬者のチェックをしたり、あげくの果てには警察と連絡をとり合って私生活の調査や思想の調査をしたことまで、事細かに記載してありました。このようなえげつない労務管理をされた四人の従業員は、マル秘文書を動かぬ証拠として神戸地裁に謝罪と慰謝料を求める訴えを起こしました。これがいわゆる関電の人権裁判の源です。この関電人権侵害は、神戸地裁、大阪高裁で原告が全面勝利の判決をかち取り、一九九五年九月五日、最高裁は「会社は一、二審判決を正しく理解していない」と、関電の上告を棄却しました。最高裁の判決は、「職場における自由な人間関係を形成する自由を不当に侵害するとともに、その名誉を毀損するものである」として関電の労務政策を厳しく断罪、職場に憲法が通用するという画期的な判決を下しました。しかし、最高裁の判決が出されたにもかかわらず、関西電力は訴えた原告に対し、「最高裁は謝れとは書いていない。一審で金は払った。差別も監視もしていない。主張が通らずに残念」との裁判批判を行い、判決に服さず、一切の職場改善を行っていないのです。それどころか、人権裁判係争中も人権侵害を行っていた資料が一昨年の九月、阪神・淡路大震災をきっかけに新たなマル秘身上書が発見されたのです。
 このマル秘資料を見てみますと、許しがたい行為であります。一九八二年から八四年にかけての人権裁判の原告労働者の行動を、社内、私生活にわたって詳細に執拗に続けられた記録であります。私生活の欄には、日付入りで「党活動ビラ配布」、「デモ参加」などとあり、人権裁判係争中も尾行や監視が続けられていたことを物語っており、原告らへの評価、査定を意図的に低く抑えた証拠資料も含まれているというものです。
 和歌山の関電職場でも、職場八分、人権侵害の実態を知らすべく、あいさつ文を地域住民に郵送しました。ところが、この行為に対して関電和歌山支店次長が、「こうした行為は電源立地の阻害要因になるから絶対しないように」との攻撃をしてまいりました。このことは、社内での言論の自由を侵すものであり、地域住民に対し真実を知らせない体質をいみじくも露呈したものと思います。ほかにも、反社会的な発言や行為について多々ありますが、ここでは「職場しんぶん 鉄塔」に載った記事の一例を紹介したいと思います。
 これが「鉄塔」で、毎月出されている「職場しんぶん」であります。一九九五年九月の新聞ですが、ここには「関電社員は見識が高い?」と、見出しで書いてあります。前文は省略いたしますが、訓示をやった中で、「『私は今まで電源立地の仕事をして来ましたが、地域の人々から、関電の社員は見識が高すぎると言う話をよく聞きます。そこで私は部下によく話をするのは、見識が高いと言われるようでは駄目だ、もっと地域住民のレベルまで目線を下げて、住民が何を考え何を欲っしているのかをよく見極めなければいけない。 例えば──ここが問題です──喉の乾いていない牛を川に連れて行って無理矢理水を飲まそうとしても牛は水を飲まない。この様に住民のレベルで物事を考える事が大切である』と述べました」、こういうふうに書いてあります。
 まさに、地域住民を牛に例えた本店幹部のこの話、住民に対する関電の本質をここに見ることができるのではないでしょうか。
 過日の十一月十二日、中部電力の人権侵害、賃金差別事件で中部電力の社長は「名古屋高裁の和解あっせんの重みを考えて和解に踏み切った」と述べ、思想差別を認めました。また東京電力では、一昨年十二月に原告側勝利の和解が成立しております。和歌山でも四人の労働者の方が、職場での自由な人間関係を侵害しているとして、その重要な柱である思想による賃金差別を続けている関電の姿勢をただすため和歌山地裁に提訴いたしました。いずれ司法の判断は下されましょうが、県の労働行政としての姿勢を伺いたいと思います。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 知事が建設同意をした関西電力が、社員に対して思想差別を行い、プライバシーや職場での仲間づくりを侵害し、最高裁の判決をも無視しています。このような企業の姿勢について、知事の見解を求めたいと思います。
 また、公益企業である関西電力の社内の人権侵害事件についてどのような認識を持ち、事実確認をされるなら、どのような指導をされようと考えておられるのか、商工労働部長のご所見をお聞かせ願います。
 次に、平和と県民の安全、暮らしにかかわって幾つかの質問を行います。
 去る九月二十三日、アメリカと日本政府との間で、「日米防衛協力のための指針」、新しい日米ガイドラインに合意をいたしました。この新ガイドラインは、日米安保条約の実質的な大改悪であるととらえていますが、それは日本がアメリカの起こす戦争に自動的に参戦する体制に組み込まれたことです。そのために、万一にも朝鮮半島や台湾海峡、また世界じゅうのどこでもアメリカが戦争を起こしたとき、日本の自衛隊がアメリカ軍のために偵察情報の提供や兵員、弾薬、航空燃料や食糧などの輸送、機雷の掃海など、直接、戦争状態のアメリカ軍を支援することになります。このことは、ガイドラインの第五項「日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合の協力」という中に詳しく書かれています。このように新ガイドラインは、日本が侵略されたケース以外にも日本が戦争に参加することを取り決めているのですから、戦争放棄を定めた憲法に違反する以外の何物でもないと考えます。アメリカ政府と日本政府が取り決めたガイドラインを今後具体的に実施するためには国内法が必要です。日本政府は今、このガイドラインに基づく作戦計画の作成及び周辺事態立法制定を軸とした態勢を築くための作業に入っていると伝えられています。その一つが、アメリカ軍の戦争への国民動員態勢です。
 第五項の二「周辺事態への対応」の中の別表では、「米軍の活動に対する日本の支援」として、「民間空港・港湾の使用」、「日本国内における傷病者の治療」などが明記されています。アメリカ軍が戦争を起こした場合に、大量の米軍機が日本に飛来し、日本国内のアメリカ軍基地で収容し切れないことは明らかです。その際、日本の民間空港が米軍機に占領され、民間機が飛行できない状態になるでしょう。また、港にはアメリカの軍艦が横づけされることになります。
 現在、米軍は、日米地位協定上は民間空港への緊急時の着陸や外国船の出入りが許されている港への入港を認める第五条を根拠に、民間空港や港を使用しています。しかし、地位協定上の根拠はあっても、国内法上の管理権を持つ地方公共団体の同意がなければ、アメリカ軍が民間空港、港湾を利用しようとすることができないのは当然です。このことは、入港する外国艦船に核兵器の不搭載を明示する文書の提出を義務づけている神戸港では、アメリカ軍が核兵器の不搭載文書を提出していないために米軍艦船が入港していない例で明らかです。
 最近、アメリカの軍艦が小樽などの民間港に頻繁に入港したり、関西空港が米軍の移動に利用されていることが問題になっています。既にガイドラインの実質的な運用が始まっているとも言える状況ですが、空港や港だけでなく、負傷者の治療には真っ先に自治体病院が動員されることになるでしょう。また、米軍機の超低空飛行は依然として県内の山間部で行われ、住民に不安を与え続けています。アメリカの戦争に県内の空港、港湾、自治体病院が利用されるような事態は決してあってはならないことだと考えるものです。また、そうした事態を招かないためにも、新ガイドラインを具体化する、いわゆる有事立法の制定はこれまた許されないということを政府に示していくことが重要だと考えるものですが、そうした意思表明を国に対して行う考えは、知事ありませんか。また、関西空港の軍事利用にも反対するのが当然だと考えますが、その見解を知事に求めるものです。
 第一回の質問を終わります。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 村岡議員にお答えをいたします。
 私は、職場においても、思想、信条による差別はあってはならないと考えてございます。
 議員からご質問のございました関西電力株式会社は、過去の判決の経緯を踏まえ、当然のことながら人権に対し十分な配慮がなされているべきものと考えてございます。今回議員ご指摘の件につきましては、関西電力株式会社から報告を求めるよう担当部長に指示をしているところでございます。
 次に、新しい「日米防衛協力のための指針」、いわゆる新ガイドラインに関して、県内空港、港湾、自治体病院の利用、国内関連法の制定、また関西国際空港の利用についてのご質問でございます。
 この問題は、国の安全保障及び外交にかかわる問題でもございますので、本来、国会等で慎重かつ幅広い議論がなされまして、政府において適切に対応されるものと考えてございます。
 ただ、私といたしましては、県民の安全と幸せを守ることを常に念頭に置いて県行政を進めているところでございまして、そのためにも国の安全と平和を強く願う一人でございます。そういう意味からも、今後の国の対応を注目してまいりたいと考えております。
○副議長(阪部菊雄君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 看護婦問題についての四点にお答えいたします。
 まず、平成三年に策定した看護職員需給見通しにつきましては、その実現に向けて、看護婦等の人材確保促進に関する法律、及び同法に基づく看護婦等の措置に関する基本的指針に沿って各種施策を講じているところでございます。こうした取り組みにより、平成三年度の需給見通しでは平成八年度末において約九百五十人の不足を見込んでいたのに対し、実際には約二百人の不足となっており、看護婦等の充足につきましては現在のところ順調に推移していると考えているところでございます。現在、看護婦養成所の卒業生は、看護婦、准看護婦合わせて約五百人の卒業生がありますが、新たに平成十年にはなぎ看護学校から四十人、平成十一年には看護短期大学から八十人の学生が卒業の運びとなってございます。また、平成十二年度から介護保険の導入が計画されていることや、准看護婦問題検討会で出された看護婦養成制度を統合すべきというその動向を見ながら、看護職員需給見通しの見直しを最終の十二年度までに行いたいと考えてございます。
 次に、二人夜勤で月八日の達成状況でございますが、計画時点から二人夜勤で月八日勤務を実施している病院もございますが、まだ達成されていない病院もございます。今後とも、引き続き達成できるよう指導してまいります。また、看護職員需給見通し計画においては、二人夜勤で月八日勤務も含めて計画いたしておりますが、ご指摘のように、個々の現状調査につきましては看護職員需給見通し最終年までに実態調査を実施してまいります。なお、見直しに当たっては実態を反映した計画となるよう努めてまいります。
 次に、看護婦職場の実態認識についてでございますが、人口の高齢化、患者の重症化、医療の進歩、機器等の高度化により、看護職員に求められる役割は従来以上に重要になってきております。その中で、看護職員の待遇、労働条件等は、各病院、診療所等において改善されつつありますが、なお議員ご指摘の課題が残っていることも承知しております。また、准看護学生の就業状況につきましては、四月一日施行の養成所指定規則の改正により、医療機関での勤務の義務づけが禁止されるなどの学則の見直しが行われたところであります。
 いずれにいたしましても、看護職員が離職することなく勤務を継続できるよう各施設において取り組んでいるところでございますが、県においても看護職員の働きやすい職場づくりを進めるため、職場の実態把握に努め、執務環境改善を図るよう指導してまいりたいと考えております。
 最後に、修学資金貸与は希望者全員にとのご質問についてでございますが、看護の道を志し、養成施設卒業後は県内において看護職員の業務に従事する意思を持つ方の修学を容易にするため修学資金の貸与を行っているところであります。
 修学資金には、第一種資金と第二種資金がございます。第一種資金は、専修学校に該当する保健婦、助産婦、看護婦の養成所、各種学校に該当する准看護婦養成所に学ぶ学生を対象とする国の制度を活用した修学資金であり、国の補助率は二分の一となっております。第二種資金は、学校教育法第一条に規定する看護学生を対象に県単独で第一種資金の県費相当額をもって貸与を行っており、平成九年度は第一種資金で二百名、第二種資金は三十五名に貸与を行ってございます。看護職員の需給が達成するまではこの修学資金制度は重要と認識しておりますので、その拡大について努力してまいります。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 村岡議員の、紀伊駅周辺の道路整備についてのご質問にお答えいたします。
 まず、県道粉河加太線の交通渋滞解消の問題でございます。
 粉河加太線の紀伊駅周辺は、朝夕のラッシュ時など大変混雑しており、整備を望む地元の要望が強いことを十分認識しておりますが、沿道には人家が密集しており、道路の拡幅は非常に難しい状況でございます。現在、現道対策といたしまして、沿道地権者の了解を得られたところから側溝にふたをし、支障となっている電柱の移設を道路占用者に指示し、歩行者の安全対策に努めているところでございます。
 なお、現在事業中の和歌山市谷地内の国道二十四号と日延地内の粉河加太線を結ぶ和歌山貝塚線バイパス工事が次期道路整備五カ年計画の前半に完成することで、紀伊駅付近を通過する交通量の減少にも寄与するものと考えております。
 次に、西脇山口線の道路建設の具体化の問題でございます。
 西脇山口線は、紀の川北部を東西に通ずる都市計画道路で、第二阪和国道に連結する広域的な道路網を形成する重要な路線であります。現在、紀の川北部の交通緩和のため、県市が連携を図りながら、楠見地区より西側について平成十四年度完成を目途に整備を促進しているところであります。
 議員ご質問の、楠見地区より東側の未整備区間については現在調査を進めているところであり、事業化については西側の事業の進捗を見ながら早期に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 商工労働部長日根紀男君。
  〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 関電問題について、労働行政としての指導はというご質問でございますが、労働基準法第三条では、労働者の信条を理由として賃金等労働条件について差別的取り扱いをしてはならないとされております。
 議員ご指摘の問題につきましては、当該会社から報告を求めるとともに、裁判の結果を見届けながら、労働教育の立場から啓発に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 37番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。
 看護婦確保については、一定の評価をしたいと思います。ただ、この目標をつくるときにいろいろな基準があると思うわけですが、何よりも厚生省は複数夜勤で八日以内というのを達成するための増員計画ですから、その時点で達成するということがきちんとならなければ何回計画を立てても素通りで、スローガンに終わってしまうと思うんです。
 私がお聞きしたのは、いわゆるニッパチが、せめてものこの九十四の病院で、今の時点で言えばあと二百人が足りないというような状況ですから、その状況を見れば八〇%以上はもう達成したというふうに見てもおかしくない状況なんです。しかし、九十四の病院、診療所において幾つの病棟があって、その病棟の勤務体制は二交代なのか三交代なのか、あるいは当直制なのか、そういったことも事細かに調査をして決めない限り、これは数を追うだけになってしまうと思うんです。
 そういう点で、もっと実態調査をきちんとやった上で、今度は目標の見直しをしていただきたいと思います。そうでなければ、どれだけやってもわからないという答弁しか返ってこなくなってしまいますから。平成十二年度までにきちっと実態調査をやった上で見直しをするということをご答弁なさいましたから、期待をしておきたいと思います。
 それから、紀伊駅の問題です。
 あの渋滞は殺人的なんです、あの駅を横断しようと思えば。そういう点で見れば、やはり緊急性の高い問題として紀伊駅はしかと受けとめていただきたいと思います。それ以上はもう申しませんけれども、ぜひともこの部分については優先順位を高めていただきたいと思います。
 それから関電の問題ですが、これはもう知事、何も言うことないんです。最高裁の判決を守らない関電ということから見れば、知事が人権は尊重されなければいけないと言っているわけですから、最高裁の判決も守れないような企業というのは一体どういう企業なんだ、一般的に考えても非常識だとなるでしょう。そういう点でも、私はきちんと知事がそこを見分けるべきだと思います。
 それで、知事は調査報告を求めると行っておりますので、ぜひともしっかりとした報告を求めていただいて、それなりの人権教育をやっていただきたいとお願いしておきます。
 ガイドライン問題についても、一言申し上げておきたいと思います。
 これは国の問題だとおっしゃいますけれども、しかし有事になってくると、これは情け容赦なく来ることになるわけですから、直接管理を受け持つ、責任を持つ知事として、住民の命と安全を守る立場からきちんとした態度をとっていただきたいと思います。私たちは、白浜空港とか下津港湾とか、そういったところを軍事に使っていただきたくないと思っていますので、重ねてその点については要望をしておきたいと思います。(私語する者あり)人が質問をするときにはきちんと聞いてください。
 終わります。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(阪部菊雄君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時三十七分散会

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