平成9年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(野見山 海議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○副議長(阪部菊雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(阪部菊雄君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番野見山 海君。
  〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○野見山 海君 通告に従いまして、三点ほど一般質問をさせていただきます。しばらくの間、おつき合いを願いたいと思います。
 最初に、最近の事件における教育現場の対応についてお尋ねします。
 先進国の一翼を担ってきた我が国は、バブル崩壊とともに税収の落ち込み等により国の財政や地方自治体の財政も厳しい状況にあり、景気回復の兆しも一向に見えてまいりません。日本の大手企業の総会屋への利益供与問題や我々が予想もしなかった銀行、証券会社の相次ぐ破綻により、投資家や預金者に与えた影響ははかり知れなく、地域によってはパニック状態にもなりました。これらの影響で多くの失業者が出て、失業率は三・五%にも達しました。一日も早い失業者対策と景気の回復が望まれるところであります。こうした金融、経済不安とあわせ、連日のようにテレビ、新聞等で報道されている家庭内暴力事件、保険金目当ての殺人事件、そして私どもが大きなショックを受けた神戸の小六男児殺害や奈良県の中学生誘拐殺人事件など、今日の社会不安を映し出すような凶悪犯罪が多発しております。
 そして、まさか本県で起こるまいと思っていたやさきに起こった、粉河町内での同じ団地に住む顔見知りの男性による小学校一年生大石資恵ちゃん殺害事件は、県民はもとより、全国の同じ年ごろの子供を持つ親にとって大きな衝撃を与えました。子供たちであれば、だれもが近所の大人たちを何事も信用するのではないでしょうか。この殺害事件によって、子供たちの大人に対する信用はゼロに等しいと言っても過言ではありません。
 こうした事件の再発防止には、地域住民の協力や家庭内における話し合い等さまざまな角度から取り組まなければならないと思うのであります。特に教育機関として、今回の事件に関してどのように受けとめ、またこの種の事件から子供を守るためにどのような対処をされるのか、お伺いするものであります。
 これまた、新聞、テレビ等で報道された大人の信用を失墜させる出来事がありました。熊野高校において、まして教師という立場にありながら、生徒にトコブシ、マツタケ、シシ肉等の持参を強要し、生徒の成績評価をするといったことで、私には到底理解できないところであります。この件に関して、今日までの出来事の背景はどうであったのか、また教師の信頼回復と再発防止のため今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
 この熊野高校は、ことしラグビーの和歌山県代表として出場するなど、生徒たちは一生懸命に頑張っているのであります。私は、一日も早く正常に戻ってほしいと願っている一人であります。
 続きまして、地球温暖化防止対策についてお伺いいたします。
 現在、地球環境は深刻な状況となっております。今、何らかの対策を打たなければ取り返しのつかない事態を招くと、多くの学者、住民によって指摘されているところであります。私は、現在の環境問題は私たち一人一人の暮らしと密接に結びついた問題であり、この課題に真っ正面から取り組んでいかなければならないと考えるのであります。今日、国際的な環境問題への意識が高まっている中で、我が国だけが国際ルールに従わず、これまでのようなぜいたくで無計画な経済活動を続けることが許されなくなってきています。環境問題への対応が二十一世紀を生きる人々の信頼とモラルまで問われる時代になり、ライフスタイルの大転換が求められる時代が到来したと思うのであります。
 さて、十二月一日より京都で地球温暖化防止京都会議が開催され、地球環境問題について国際的な関心が高まっています。あすで終わる会議では、地球温暖化防止目標については最終の詰めに入ったと報道されております。私は、先進国がみずから姿勢を示して、途上国にも一層の削減の理解と協力を求めるべきであり、また私たち一人一人が環境問題にも無関心であってはならないと思うのであります。
 九月四日付の朝日新聞によりますと、朝日新聞社が四十七都道府県と十二の政令指定都市を対象にアンケート調査をした結果、既に五十の自治体が温暖化防止行動計画を定めており、温暖化の原因となるCO2の削減について、七つの自治体が国の行動計画より厳しい目標を掲げていると報じております。中でも本県と同じ観光立県と言われる大分県では、平成五年三月末に大分県地球環境保全基本方針を掲げ、策定委員会で多くの意見をまとめ、県民、企業、行政の三者のそれぞれの役割分担のもとで、平成六年三月に地球環境保全計画が策定されたと伺っております。
 私たちは、大気、水、植物などが微妙な均衡を保ちながら、自然環境の恵みを受けて生活をしております。このすばらしい本県の姿を次の世代に引き継いでいかなければならないと思うのであります。こうした状況のもと、本県における地球環境保全の施策と温暖化防止対策をどのように進められるのか、お伺いしたいと思います。
 地球温暖化の実態は、一般に考えられているよりはるかに深刻ではないでしょうか。EUは温暖化防止対策に数値目標を設定して国を挙げて積極的に取り組んでいますが、我が国は一歩も二歩もおくれています。私は、行政、住民、職場、学校での日常業務の中でできる温暖化防止の対策はないのかと考えるわけであります。
 例えば、いま一度、省エネの施策また県の備品などについても、リサイクルシステムが確立されているかどうか県行政業務全般にわたり点検すべき段階に来ていると考えるのであります。大量の電力を消費する自動販売機の設置についても、公共施設内での設置の見直しなど、官庁内での省エネ対策を推進することが大切であると思います。さらに、田辺市の総合福祉センターで導入された太陽光発電を県の施設も導入するなど、県が環境問題に積極的に取り組んでいる姿を示すことが必要であると思います。
 次にアイドリングの自粛でありますが、自動車の普及台数は年々ふえ続け、朝夕のラッシュ時や観光シーズンともなれば渋滞で地域の住民に迷惑をかけており、さらにCO2の排出量が増加する原因にもなっております。赤信号時のアイドリングストップは今のところ難しいでしょうが、せめてそれ以外のアイドリングについては自粛できないものでしょうか。
 先日のことでございますが、ある方の告別式が御坊市でとり行われました。議長の専用車である黒塗りの公用車が次々と乗り入れられ、参列者に向かってこのうち何台かの車がアイドリングをして、車の中で寝る者、新聞を読む者、本当に不愉快な思いをした一人であります。私は、こういう非常識なことのないように、公務員みずからが自粛しなければならないと考えるものであります。このアイドリングについては、兵庫県は罰金つきアイドリング規制条例を設け、公用車の電気自動車やアイドリングストップバスの導入を始めていると伺っております。
 次に、県民や学校の生徒児童にどう働きかけるかという課題でありますが、静岡県では、平成八年度より環境情報誌「エコロジーしずおか」を年四回発行して、環境問題についての解説、家庭生活での環境に優しい取り組みの事例を紹介していますが、本県では県行政を含め、県民に対してどう取り組もうとされているのか、お伺いいたします。
 また、六月に実施された朝日新聞の世論調査によりますと、地球環境が悪化するのを防ぐためには生活が不便になっても構わないという回答が、不便になるのは困るを上回っており、環境問題への国民の関心の高さを知ることができますが、年代別に見ると、二十代前半の若者はその逆で、不便になっても構わないより、不便になるのは困るの方が上回っており、環境に無関心で、自分だけはぜいたくしたいという若者気質が読めるようで、学校教育の大きな課題でないかと思います。
 そこで、現在、学校では環境問題、人間と自然とのかかわりなどについてどのような教育がなされているのか、お伺いするものであります。
 CO2削減についての新聞記事を紹介します。十一月四日の読売新聞和歌山県版でありますが、海南市の平岡さんら七人グループが、東南アジア原産のケナフという植物を植えて普及させようという記事が掲載されておりました。それによりますと、ケナフはアオイ科の一年生植物で紙の原料になるだけなく、CO2吸収量は広葉樹の五倍にも達すると言われ、高さは五メートルになる植物であると紹介されています。
 このケナフを県の温暖化防止のシンボルとして県道わきの空き地などに植えて、県が温暖化防止に積極的に取り組んでいる姿を県民にアピールしてはいかがでしょうか。安心して暮らせる二十一世紀を子供たちに残すため、大人の信頼回復のため、一人ができることは小さなことであるかもしれませんが、まず身近なところから、一人一人のささいな行動から行政が率先して取り組まなければならないと思うのでありますが、県の今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
 続きまして、南紀熊野体験博の成功に向けて質問させていただきます。
 和歌浦湾約四十三ヘクタールを埋め立てて造成した和歌山マリーナシティにおいて、平成六年夏、世界リゾート博が開催され、七十二日間の入場者は約三百万人に達し、大成功に終わりました。その後、記念行事として開催されている平成七年夏の光の回廊ルミナリエ、平成八年の和歌山サマーイルミネーション、平成九年の和歌山ソレイヨンと、それぞれ約三十万人の来場者を記録し、盛況であったと伺っております。これからも、和歌山マリーナシティのさらなる充実を願うものであります。
 さて、平成十一年四月二十九日から九月十九日まで百四十四日間にわたり、南紀熊野地域を中心に開催するジャパンエキスポ・南紀熊野体験博・リゾートピアわかやま99が計画され、それに向けた実施計画書が去る十月にでき上がり、各市町村での取り組みが具体化してまいりました。その実施計画書の中で、「南紀熊野に代表される地域は、古代から、人々がこころとからだの癒しを求めてきた場所であり、その価値は二十一世紀を迎えてますます高くなろうとしている。この地域の自然と歴史は、まさに、私たちの求める二十一世紀のリゾート環境である」と述べ、心のリゾート実感を追求すると主張しております。
 紀南に住む一住民としても、この南紀熊野体験博が南紀熊野の再発見につながり、日本人の心のふるさととして見直される一つのきっかけになればこれほどすばらしいことはなく、ぜひ成功させなければなりません。
 そこで、熊野博にかける熱意を、まず知事にお伺いいたします。
 基本方針にも掲げられているように、熊野博を成功させるためには「住民主導を基本とする」ということであります。住民が進んで参加し、住民みずからが南紀熊野のよさを再発見し、博覧会を盛り上げ、そして開催してよかったと言える取り組みができるかが成功のかぎとなると思うのであります。
 今、地元では熊野の語り部を養成するということで、地元の研究者を招いて熊野の学習会を続けられています。また、それぞれの地域においてもボランティアの方々が中心になり、地域イベントの取り組みをされているのであります。熊野博を形式的なものに終わらせることなく、こういう地道な住民主体の活動が最も大切なことであると思います。
 この際、私は、学校教育、社会教育を通じて郷土の歴史を学び、文化活動をつくり出していくべきだと考えますが、成功のかぎを握る住民主導の熊野博をどのようにつくり出していくのか、お伺いするものであります。
 リゾート博のときもそうでしたが、交通アクセスが課題になり、道路の改良、案内板の設置等や、一定の駐車場を確保しシャトルバスの運行等を実施した結果、大きな混乱はなかったように記憶しております。やはり、今回の熊野博実施に当たっても同様の対策が必要不可欠であると思います。
 そこで、熊野博に向けて整備が進められている各種道路、国道三百十一号、県道田辺白浜線、龍神中辺路線等の進捗状況はどうか。一番心配されるのは、拠点として位置づけシンボルパークとなる田辺市の新庄総合公園周辺の駐車場の確保、アクセス道路の整備、また那智勝浦町のシンボルパーク周辺の駐車場の確保と国道四十二号から那智山への県道の整備はどのようになるのか。また、道路整備とあわせて、県内外から訪れる方々のためにわかりやすい道路標識、案内板の設置、さらに渋滞緩和のため、バスのフリーパス券発行等により公共交通機関の利用促進を図るなどの対策が必要かと思いますが、どのようなお考えをお持ちか、お伺いするものであります。
 熊野博は約二百万人の参加を目標とされていますが、白浜空港のジェット化で東京・白浜間が一時間で結ばれるようになり、大変利用しやすくなりました。関東方面においても、積極的なPR活動を期待するものであります。また、福岡便も一周年を迎えましたが、この間の平均利用率は三〇・二%であり、YS一一機が就航している全国十五路線の中で最低であり、新航路の開設をお願いした一人として申しわけない気持ちでいっぱいであります。この航路も来年一月以降は運休となりますが、九州方面へもぜひとも積極的なPR活動と福岡便の継続に向けて努力をする必要があると思います。また、紀南地方出身の歌手の坂本冬美さんや天童よしみさん、そして中辺路町高原にお住まいのイーデス・ハンソンさん等の著名人にもご協力いただくなど、あらゆる方法で積極的なPR活動を展開する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 今、JRにおけるSL列車は、山口線小郡・津和野間のSLやまぐち号、豊肥本線・熊本・宮地間のSLあそBOY、北陸本線・米原・木ノ本間のSL北びわこ等があり、民間鉄道では大井川鉄道で東海道線・金谷・千頭間のSL急行が運行されていて全国的に人気があり、多くのSLファンが訪れると聞いております。また最近の動きでは、四国のJR予土線・土佐大正・宇和島間でSL牛鬼号が八年ぶりに運行されたそうであります。
 そこで私は、あの熊野の海岸沿いを走るSL列車、例えばSLくまの号と称して、南紀熊野地域の夢と心を運ぶような気がしますが、実現させてみてはいかがでしょうか。
 また、SL列車の運行とあわせ、それぞれの駅で特色のある駅づくりを行いたいものであります。博覧会に先立ち、来年七月にはJR那智駅が増改築され、地域の発展と定住促進を図るため温泉つきの交流センターとして衣がえします。また、既にJR見老津駅では水族館つきの待合室が登場し、多くの方々が訪れていると聞いております。さらに、熊野古道中辺路ルートの玄関口である上富田町のJR朝来駅では、駅舎の一室を地元の社会福祉法人が借り上げ、在宅のお年寄りの看護を支援する訪問看護ステーションとしての活用を本年の九月八日からスタートさせました。住民の人気は上々であり、無人駅での医療福祉面への活用は全国で初めてで、地域の活性化、無人駅の防犯につながり、訪問看護駅に厚生省も注目しているところであります。今、看護婦さんたちの協力で駅周辺の美化に懸命の努力をされておりますが、看護婦さんの今の悩みはトイレの改修をしてほしいということであります。進んで掃除をされるそうですが、水洗トイレでないだけに衛生面で問題があり、トイレの改修実現のために県においても最大限の努力をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
 以上をもちまして、第一回の質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの野見山海君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 野見山議員にお答えをいたします。
 南紀熊野体験博に関連してでありますけれども、私はかねがね申し上げておるところでございますが、この南紀熊野体験博の開催の意義は、日本の原郷である熊野地域を象徴的に取り上げて、すばらしい自然の中で歴史、文化をはぐくんできた和歌山県は日本人の安らぎの地であること、同時に日本人の心のふるさとであることを国内外に情報発信していくことだと思っております。さらに、本県の持つ特性であるリゾート性は、物の豊かさより心の豊かさが一層求められているこれからの時代に、ますますその価値を高めていく未来志向であることも訴えていきたいと思っております。
 この南紀熊野体験博の特色は、従来の博覧会とは異なる広域開催型、オープン型の博覧会でございます。こうした博覧会を進めていくことは、地域の人々がみずからの手で地域のすばらしさをアピールするとともに、ふるさとへの誇りと愛着を深め、またその取り組みを成功させることで地域の担い手としての自信を深めていただくことだと思ってございます。
 先般、那智勝浦町の色川地区に行ってまいりました。その折に住民の方から、かつて源平合戦で敗れて色川の地に来た平維盛を温かく迎えたその土地柄、色川の地をこの際、再度表現をしたいというお話も出ておりました。そういう住民主導の取り組みこそが町おこし、地域づくりそのものでございまして、二十一世紀の本県の飛躍の原動力になるものと考えております。県民の皆様方一人一人のご理解とご協力を得ながら、成功に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(阪部菊雄君) 生活文化部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 野見山議員にお答えをいたします。
 県の地球温暖化防止対策についてのお尋ねでございます。
 地球温暖化防止対策につきましては、六月の環境月間を中心として地球温暖化防止をテーマとした記念講演会の開催、街頭啓発の実施、環境庁提唱の四つのチャレンジ運動や百万人の誓いへの参加呼びかけ、さらには、一、不必要なアイドリングをやめる、二、暖房温度を二十度以下にする等の取り決み、啓発に努めているところでございます。今後は、二酸化炭素等、温室効果ガスに関する削減目標やその方策等に関する京都会議での結果を踏まえ、県環境基本条例に基づき、策定する環境基本計画の中で本県の地球温暖化防止のための具体的な施策について取りまとめ、積極的に対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、県民への環境保全に関する働きかけについてでございますが、これまで啓発用冊子の「暮らしと環境」や環境白書要約版である「和歌山県の環境」を定期的に発行するなど、環境保全への普及啓発に努めているところでございます。
 最後に、地球温暖化防止に関する県の今後の取り組み姿勢についてでございますが、地球温暖化問題は二十一世紀の人類に課せられた大きな課題の一つとして考えられており、これに効果的に対処していくためには、国民、県民の皆様方がそれぞれの立場に応じて、みずからの問題として省エネルギーなどさまざまな対策に取り組んでいく必要があると認識をいたしてございます。
 本県といたしましても、本年十月に制定された県環境基本条例の趣旨を踏まえ、今後、環境基本計画を策定するとともに、庁内での自主的な取り組みを初め、地球環境保全の推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に南紀熊野体験博の成功に向けて、まず住民参加を目指してというお尋ねでございます。
 南紀熊野体験博では、リゾート体験イベントという従来の囲い込み型の博覧会ではできないイベントを実施していきたいと存じます。
 例えば、カヌーによる川下りや備長炭づくりといった地域の特性を生かしたさまざまな体験を提供することにより南紀熊野地域のすばらしさを知ってもらおうとするものでございまして、このイベントこそ南紀熊野体験博の中でも私たちが最も重視しているものでございます。その実施主体になる地域の体験博実行委員会には、地元行政だけではなく、さまざまな分野で活躍する住民の方々に参加いただいているところでございます。
 また、議員のお話にもありました熊野古道の語り部には西牟婁・東牟婁で百数十名の方が積極的に参加していただいてございますし、自然観察ボランティアや森林アニメーターなどの自然のすばらしさを学び、実践されている人々も大勢ございます。体験博においては、このような専門知識を身につけられた方のみならず来訪者を温かく受け入れていただくために、例えば来訪者に体験博の内容や交通手段を尋ねられたら、だれもが親切に受け答えできるような工夫も検討していきたいと考えてございます。今後とも、地元市町村等に働きかけ、地域の方々の主体的取り組みを進めていきたいと考えてございます。
 次に交通対策についてでございますが、南紀熊野体験博の期間中に多くの来訪者をスムーズに迎え入れるためには、南紀熊野地域への交通手段の充実とアクセス道路の整備、及び駐車場の確保が非常に重要なことであると考えてございます。このうち駐車場につきましては、シンボルパークを初め、それぞれの地域において来訪者の利便性に配慮した適切な場所に必要な台数分が確保できるよう現在調整を進めているところでございます。
 次にPR活動についてでございますが、南紀熊野体験博はオープンエリア展開の博覧会でございますので、和歌山リゾートの魅力を広く国内外に情報発信することが大切であると考えてございます。そのため、南紀熊野体験博の広報宣伝は、議員ご指摘の九州方面とともに、近畿圏、首都圏、中部・東海方面などに対し、テレビ、ラジオ、新聞等による広域的な展開を行いたいと考えてございます。また、インターネットによりイベント情報を提供するほか、和歌山県の魅力に思い入れの深い本県ゆかりの著名人にもご協力をいただきながら、プレイベント、キャンペーン活動等、地域、年代等に応じた、きめ細かく、かつ効果的な広報活動に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 最後にSL列車の運行についてでございますが、議員のお話にもありましたように幾つかの事例がございますが、おおむね好評を博していると伺っております。
 JR西日本には、南紀熊野体験博に向け、特急列車の運行強化やイベント列車の運行など、交通アクセスの充実を初め、広報宣伝の分野やイベントの実施など種々働きかけているところでございますが、今後、SL列車についてもJR西日本との協議テーマの一つに取り上げていきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 企画部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 野見山議員にお答え申し上げます。
 南紀熊野体験博の集客並びに参加者の円滑輸送、利便性の向上の面において公共交通機関の活用は極めて重要な課題であるとの認識のもと、JR西日本並びに関係バス会社に増便及び路線延長等を働きかけてまいってございまして、既に各事業者においても熊野博関連の輸送対策が検討されております。
 議員ご提言のバスのフリーパス券の発行についてでございますが、現在、JRタイアップのフリー切符や期間、路線の限定つきで各社ごとのフリー乗車券を発行している事業者もあることから、熊野博期間中に使用できるフリー乗車券の発行についても各事業者に働きかけてまいりたいと存じます。
 無人駅の施設が地域に密着した各種施設として活用されている事例が、議員ご指摘のとおり県下各地にございますが、施設の有効利用、防犯面はもとより、地域活性化の面でも効果が期待できることから、今後とも地元自治体の創意、意向に沿った形で有効活用できるよう、県といたしましてもJR西日本に働きかけてまいりたいと存じます。
 議員ご指摘の朝来駅のトイレの改修についても、JR西日本に対して強く要望してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 野見山議員にお答えいたします。
 南紀熊野体験博の交通アクセスについてでございますが、まずメーンルートとなる国道三百十一号は、現在、上富田町、中辺路町及び本宮町の三工区において工事を全面的に実施しており、平成十年度末に完成予定であります。県道関係では、龍神中辺路線の熊野川トンネルを含む一キロメートルのバイパスが平成九年度末に完成予定であり、残る水上地内の学校橋を含む〇・二キロメートルのバイパスについても平成十年度末に完成予定であります。
 次に、シンボルパークとなる田辺市新庄総合公園へのアクセス道路である白浜町堅田地内から田辺市新庄地内までの六百八十メートル間については、本年度に着手しており、平成十年度末の完成を目指し努力してまいります。
 さらに、那智山勝浦線については既に二車線が確保されておりますが、大型車の離合困難な一部のところについて平成十年度中に改良を実施いたします。
 また、建設省が管理している国道四十二号田辺バイパスについては、田辺市新庄地内での田鶴交差点までの四車線化工事が平成十年度末には完成するよう国に働きかけてまいります。
 また案内板の設置につきましては、県内外より訪れる方々が、それぞれ博覧会場にスムーズにご来場いただけるよう、本年度より広域移動に対応できる、わかりやすい系統立った道路案内標識の整備を図ってまいります。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題三点についてお答えいたします。
 まず粉河町における少女殺害事件についてでございますが、教育委員会においては、本年五月二十九日に、神戸市須磨区の事件などを受け、園児、児童生徒の安全の確保及び通学路等における事故防止について通知を出し、登下校の安全確認、警察の協力によるきしゅう君の家の活用など、子供の安全の確保に各般の努力をお願いいたしてまいりました。こうした中、このたび日ごろ顔見知りの近隣の住民によって事件が引き起こされたことについて大きな衝撃を受けております。
 教育委員会といたしましては、事件発生後、直ちに子供の安全の確保等について通知を出し、各市町村教育委員会やPTA等において事故の再発を防止するため、子供の安全の確保について関係機関、団体等との連携を図るよう指導したところでございます。また、県の関係機関連携推進会議を早急に開催し、具体的な協議を行い、この事件による子供の不安を取り除き、地域社会全体で子供を守り、育てていく体制づくりを進めていくことが重要であると考えております。
 次に、熊野高校の問題についてお答えいたします。
 まず、今回の出来事が全国的にも大きく取り上げられ、本県の高校教育に対する信頼を傷つけたことに対しまして、教育委員会の指導の不十分さを深く反省し、おわび申し上げます。
 この問題の背景についてでありますが、生徒に対する指導は、全教職員の共通理解と連携、協力のもとに、生徒に汗してかかわっていくことが大切であります。この点で、同校の取り組みは十分であったとは言い切れない面がございます。また、当該教員の資質や認識の問題とともに、校長、教頭がその指導の実態を十分に把握できていなかったことに加え、学校運営上の不十分さがあり、問題発生当初の対応のおくれにもつながったと受けとめております。校長の報告を受けて以来、事態を重く受けとめ、再三にわたって関係職員を派遣するとともに、十一月二十日には同校での現職教育に関係課長、指導主事等を派遣し、指導、助言を行ったところであります。さらに十一月二十七日には、県立学校長と生徒指導部長の合同会議を臨時に招集し、指導の徹底を図ったところでございます。また、関係教員を初め、監督の立場にある校長、教頭に対しては、十二月五日に処分を行い、厳しく指導したところでございます。
 今後、教師の信頼回復と再発防止については、今回の出来事が生徒、保護者、地域社会に大きな動揺を与えたことを同校の教職員がみずからの問題として受けとめ、生徒一人一人を生かし切るために、一致協力体制のもと、PTA、同窓会等の支援を得ながら、活気のある学校づくりを進めることが肝要であると考えます。さらに、県下の教職員のモラルと資質の向上を図るため、管理職に対する指導や教職員に対する研修の充実、日ごろの教員同士の人間関係や自発的な研さんなどを一層重視し、教育に対する県民の信頼を損なうことのないよう努力してまいる所存でございます。
 最後に、学校の環境教育についてお答えいたします。
 各学校では子供たちの発達段階に応じた取り組みが行われており、小学校では自然に対する豊かな感受性や環境に対する関心等を培うために、アサガオの栽培や自然観察などさまざまな体験活動が実践されています。中学校、高等学校では、社会経済システムや生活様式と環境問題のかかわりなど理論的な学習に発展させ、課題研究などにおいて、生徒は大気汚染や水質汚濁、環境とエネルギーなどをテーマに、グループや個人で主体的な研究に取り組んでございます。また、小・中・高等学校を通して、環境保全に関して実践的な態度を身につけることを重視し、特別活動などでリサイクル活動やクリーン作戦などが実践されております。地球的規模で重要な課題となっている環境問題は、今後、家庭、地域に対する啓発の取り組みとも一体となった指導を推進していく必要があると考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 30番野見山 海君。
○野見山 海君 各答弁ありがとうございました。
 先日また、和歌山市内における母親殺し、あるいは四歳児を両親がせっかんして死なせたという記事が新聞に載っておりました。毎日毎日こういった記事で、今日の社会、歯車が狂っているような気がしてなりません。
 私は、学校、地域、家庭という連携が必要であろうかと思いますが、何をおいても家庭内における親と子のかかわりということが一番教育の中で大事ではないだろうかと思います。今、私も含めてでございますけれども、家庭内で子供が悪いことをしたときに、よう怒らんというのが実態ではないかと思います。やっぱり、悪いことをしたときには親がしかるということが大事ではないだろうかと思います。学校の先生も大変だと思いますけれども、学校の先生も生徒との信頼関係がなければならないと思います。先生の資質、研修を重ねることが大事であろうかと思いますので、どうか総合研究センターですか、一日も早い実現をぜひともお願いしておきたいと思います。
 続きまして、温暖化防止対策についてです。
 それぞれ県下の中では取り組みをされておると思いますが、なかなか表に出てまいりません。我々議会といたしましても議会改革検討委員会という委員会が設置されまして、この中でもいろんな論議をされようかと思います。そういった意味で、行政の中でもできることから一歩一歩、一つ一つ、この温暖化防止に取り組んでいただきたいことを強く要望しておきたいと思います。
 最後に南紀熊野体験博、ぜひともこれを成功させていきたいと思いますし、私も微力でございますけれども、地域の住民として一生懸命頑張っていく決意でございます。このことで地域の住民の皆さんと都会に住む皆さん方とのつながりがより深くなり、過疎地域の果物、野菜、あるいは今はやりの自然水といったことで都会とのつながりも出てくるんじゃないか、販売が出てくるんじゃないか、地域がまたそのことによって活力を生む状況をつくり出すのではないだろうかと思いますので、ぜひともこの南紀熊野体験博の成功に向けて皆さんとともに頑張ることを約束して、終わります。ありがとうございました。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で野見山海君の質問が終了いたしました。

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