平成9年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程   第二号 平成九年十二月九日(火曜日)
 午前十時開議
 第一 議案第百四十一号から議案第百四十五号まで(知事説明・質疑)
 第二 議案第百二十四号から議案第百四十号まで(質疑)
 第三 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第百四十一号から議案第百四十五号まで(知事説明・質疑)
 二 議案第百二十四号から議案第百四十号まで(質疑)
 三 一般質問
出 席 議 員(四十七人)
     1  番    大    沢    広太郎
     2  番    木    下    善    之
     3  番    小    川         武
     4  番    吉    井    和    視
     5  番    下    川    俊    樹
     6  番    井    出    益    弘
     7  番    藁    科    義    清
     8  番    門         三佐博
     9  番    永    井    佑    治
     10  番    新    島         雄
     11  番    向    井    嘉久藏
     12  番    佐    田    頴    一
     13  番    和    田    正    一
     14  番    阪    部    菊    雄
     15  番    西    本    長    弘
     16  番    馬    頭    哲    弥
     17  番    谷         洋    一
     18  番    山    下    直    也
     19  番    高    瀬    勝    助
     20  番    松    本    泰    造
     21  番    堀    本    隆    男
     22  番    宇治田    栄    蔵
     23  番    宗         正    彦
     24  番    橋    本         進
     25  番    神    出    政    巳
     26  番    玉    置    公    良
     27  番    上    野    哲    弘
     28  番    東    山    昭    久
     29  番    尾    崎    要    二
     30  番    野見山         海
     31  番    木    下    秀    男
     32  番    町    田         亘
     33  番    中    山         豊
     34  番    井    谷         勲
     35  番    鶴    田    至    弘
     36  番    森         正    樹
     37  番    村    岡    キミ子
     38  番    新    田    和    弘
     39  番    平    越    孝    哉
     40  番    森    本    明    雄
     41  番    長    坂    隆    司
     42  番    冨    安    民    浩
     43  番    飯    田    敬    文
     44  番    中    村    裕    一
     45  番    松    本    貞    次
     46  番    大    江    康    弘
     47  番    和    田    正    人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
     知 事     西    口         勇
     副知事     山    下         茂
     出納長     高    瀬    芳    彦
     知事公室長   野    見    典    展
     総務部長    中    山    次    郎
     企画部長    藤    谷    茂    樹
     生活文化部長  中    村    協    二
     福祉保健部長  小    西         悟
     商工労働部長  日    根    紀    男
     農林水産部長  平    松    俊    次
     土木部長    長    沢    小太郎
     企業局長    佐    野    萬瑳義
     教育委員会委員長
             山    本         昭
     教育長     西    川    時千代
     公安委員会委員 中    尾    公    彦
     警察本部長   米    田         壯
     人事委員会委員長
             若    林    弘    澄
     代表監査委員  宮    市    武    彦
     選挙管理委員会委員長
             谷    口    庄    一
     以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
     事務局長    西    畑    彰    久
     次  長    前         晴    夫
     議事課長    佐    竹    欣    司
     議事課副課長  島         光    正
     議事班長    松    谷    秋    男
     議事課主査   川    崎    良    雄
     議事課主事   大    浦    達    司
     総務課長    塩    路    義    和
     調査課長    湊         孝太郎
 (速記担当者)
     議事課主任   吉    川    欽    二
     議事課主査   鎌    田         繁
     議事課速記技師 中    尾    祐    一
     議事課速記技師 保    田    良    春
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  午前十時一分開議
○議長(木下秀男君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(木下秀男君) この際、お手元に配付のとおり、監査委員から監査の結果報告及び現金出納検査の結果報告がありましたので、ご報告いたします。
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○議長(木下秀男君) 次に、報告いたします。
 知事から、議案の追加提案がありました。
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                     財第185号
                     平成9年12月9日
 和歌山県議会議長  木 下 秀 男 殿
              和歌山県知事  西 口   勇
   和歌山県議会平成9年12月定例会議案の提出について
 地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
               記
 議案第141号  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第142号  教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第143号  市町村立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第144号  警察職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第145号  知事等の期末手当の特例に関する条例・
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  【日程第一 議案第百四十一号から議案第百四十五号まで】
○議長(木下秀男君) 日程第一、ただいま報告の議案第百四十一号から議案第百四十五号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) ただいま上程されました諸議案について、ご説明申し上げます。
 議案第百四十一号から第百四十四号は職員等の給与改定に伴う関係条例の改正であり、去る十月十三日に出された県人事委員会勧告を受けて本年四月一日から給与改定を実施するために所要の措置を講じるものであります。
 また議案第百四十五号は、平成九年度の特別職等の期末手当の支給割合を平成八年度の支給割合に据え置くためのものであります。
 なお、給与改定に伴う所要の経費につきましては、既定の予算で対応することといたしております。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(木下秀男君) 以上で、知事の説明が終わりました。
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  【日程第二 議案第百二十四号から議案第百四十号まで】
  【日程第三 一般質問】
○議長(木下秀男君) 次に日程第二、議案第百二十四号から議案第百四十号までをあわせ一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 22番宇治田栄蔵君。
  〔宇治田栄蔵君、登壇〕(拍手)
○宇治田栄蔵君 十二月県議会冒頭に質問の機会を与えていただきました先輩・同僚議員に感謝を申し上げ、質問をいたします。
 「変革と発展 輝け和歌山」をスローガンに県民の期待を担って知事就任後はや二年、西口知事は、道路の整備や港湾の整備、国際交流の推進、福祉の町づくり、環境基本条例の制定、分校サミットの開催など精力的に県政に取り組まれており、県民の期待もいよいよ高まっております。今回、「ゆとりと充実 輝く和歌山新時代」を基本目標とした新長期総合計画を策定されることは知事の意欲を示されるものであり、まことに時宜を得たものであると思います。
 時代は大きな転換期であり、国際社会では冷戦構造の終えんから新しい秩序づくりが模索されており、グローバル化とともに世界的な大競争時代に入っております。また国内においても、戦後の経済成長の行き詰まりから社会や経済における日本型システムの見直しが迫られており、橋本内閣では行政、財政、社会保障、経済、金融、教育の六つの改革が挙げられ、既に大変動を予感させるものがございます。明治、戦後に次ぐ第三の改革が成就するのか、これからが正念場だと思います。
 こういう先行き不透明な、なかなか明るさの見えない時期に二十一世紀の将来を予測し、県政の展望を示すことが知事として大事なことであり、県民も期待されていると思います。
 さて、先般、新長期総合計画の現在案が示され、策定作業も大詰めを迎えているようでございますが、検討を続けてきた審議会委員各位と事務局のご努力に対し、敬意を表する次第であります。本計画について、私なりの所感と質問を知事並びに企画部長にさせていただきます。
 本計画は、基本目標を「ゆとりと充実 輝く和歌山新時代」とし、この基本目標を達成するため、「心豊かで個性輝くひとづくり」、「豊かさを実感できる暮らしづくり」、「創造力あふれる産業づくり」、「新時代を支える基盤づくり」という四つの施策の基本方向を設定しています。また、本県を取り巻く潮流の変化とその展望として、少子化と人口減少、価値観の変化、ライフスタイルの多様化、経済のグローバル化、地球環境問題の顕在化、高度情報化社会の進展、産業・雇用構造の変化、集中から分散への七項目を挙げ、また本県の課題として、高齢化・少子化への対応、国際化への対応、豊かな環境の保全と創造、高度情報化社会への対応、産業の活性化、人材の育成・集積、文化の振興、安全な県土の創出、均衡のとれた県土の形成、参加と連携の推進を挙げ、状況分析については的確な把握がなされております。そして、これらの課題に対応し具体化する戦略的プロジェクトとして、広域連携ネットワーク構想、新産業創出・育成、紀の国ふれあいリゾート構想、共に生きる安心のまちづくり、快適環境のまちづくり、紀の国・人・いきいき構想の六つが提示されていますが、基盤整備以外は事業のイメージがいまひとつ思い浮かべにくく、具体的な課題解決への道は不十分であり、目標となる平成二十二年度の和歌山県の姿の打ち出しが弱いように思われます。
 総合計画の宿命か、総花であるとの印象を免れません。和歌山県の目指すところを明確にお示しいただきたいと存じます。
 そこでまず、今回の新長期総合計画の基本目標についてお伺い申し上げます。どういうお考えで「ゆとりと充実」というキャッチフレーズをつけられたのか、また「ゆとりと充実」が実現するためにどういうことが必要なのか、知事からお答えをいただきます。
 二年前の知事選において知事は、和歌山新時代の創出に向け、百三十六の公約を掲げておられましたが、その公約が本計画にどのように盛り込まれているのか、具体的にお示しを願います。
 また、県の発展には、地方分権化、国、地方の役割分担を進めていく中で、それぞれの地域が知恵を出し、活性化に結びつけていくことが必要であります。特に県、市町村の守備範囲もきちんとし、目標に向かって住民をリードしていくことが大事であると思います。もちろん、計画の推進に当たっては、県民の参加、地域住民の主体的な活動が必要であります。計画策定に当たっても、県民の声が反映されたものでなければ血の通った計画にならないと思います。
 知事は、移動県庁や女性一〇〇人委員会で県民との対話を重視されていますが、本計画に関して県民の声がどのように反映しているのか、お示しを願います。
 それから、県名を抜けばどこの県の長期総合計画かわからないとよく言われるわけでございますが、本県にあって和歌山県らしさ、特性といったものがぜひともこの長計の中に含まれていなければなりません。この長計において和歌山県らしさがどこに特徴的にあらわれているのか、この点について企画部長にお伺いをいたしたいと存じます。
 この長期総合計画の決定は来年の審議会で審議・答申を経て二月ごろに決定されるということでございますが、この長計で本当に大事なのは、計画ができて実施段階に入ってからだと思うわけであります。まず、厳しい財政状況の中でどうやって長計に位置づけられた施策を選択し、実施していくのか。それから、計画の推進に当たって市町村や県民の理解と協力が必要不可欠であると思いますが、この点はどのようになっているのか、企画部長にお伺いをいたします。
 次に、十年度予算編成についてお伺いをいたします。
 現在、国及び地方の財政を取り巻く環境には非常に厳しいものがあり、国や一部の地方自治体では「危機的状況」という表現が使われるまでに至っています。政府の長期債務残高は、国債発行残高だけで二百四十兆円に上り、国債以外に国有林野事業など特別会計の借入金が八十兆円、地方債務を加えると四百四十二兆円に達し、さらに一般会計の特別会計からの借り入れ、歳出を先送りする操作による隠れ借金や旧国鉄の債務を含めると四百七十六兆円になり、先進国中、最悪の水準にあります。そのため、国においては財政構造改革が強力に進められており、さきの臨時国会の冒頭における所信表明演説でも橋本総理大臣は、「今国会に内閣が提出する最も重要な法案は、財政構造改革を進めるための法案であります。国と地方を合わせた長期債務が本年度末には四百七十六兆円にも上り、さらに今後、少子・高齢化の進展に伴い歳出の自然増が見込まれる現在、財政構造をこのまま放置すれば経済の活力が低下し、将来に背負い切れない負担を残すことは明らかであります。これは、次の世代に対する責任の放棄にほかなりません」と述べ、不退転の決意を再度示されております。
 二カ月にもわたるさまざまな角度からの議論の末、財政構造改革の推進に関する特別措置法は、先日、国会で成立したところであります。その内容を見ますと、総論では、平成十五年度までに国と地方を合わせた財政赤字の対GDP比を三%以下とし、かつ特別公債からの脱却と公債依存度の引き下げを行うことを当面の目標に掲げております。また、その実現のために十年度から三年間を集中改革期間とし、予算の削減目標並びにそのための制度改革等を定めています。例えば社会保障の分野では、医療保険制度、年金制度及び雇用保険制度の改革を行うこととし、十年度の予算額は、八千億円の自然増が見込まれるところを三千億円以内にすること、十一年度及び十二年度の予算額は前年度の額の二%増以内に抑えることが規定されております。また公共投資につきましては、公共事業に係る長期計画について、その期間を延長することにより投資規模の実質的な縮減を図ることとし、十年度の予算額は前年度の七%カット、十一年度及び十二年度の予算額も前年度の予算額を下回ることが定められております。そのほか、人件費の抑制や補助金についても触れられており、さらに地方財政については、十年度の地方財政計画における一般歳出の額が九年度の額を下回るよう法律で義務づけられています。
 本県におきましても、財政状況が厳しくなっているということについては、議会においても知事や総務部長から幾度となく承っております。その中で、先日、本県の財政事情の中期展望が公表されましたが、その内容を見てみますと、今後三年間の財政状況については歳出が歳入を大幅に上回る状況が続くという試算になっています。平成十年度は三百四十二億円、十一年度は三百六十九億円、十二年度は三百七十一億円の財源不足が生じる。はっきり言って、大変な事態になっているのだな、本当にこれで大丈夫かという感想を受けます。
 県当局としては、これからの予算編成作業の中で、困難なことではありますが、この大幅な歳出歳入のギャップを埋めていく努力をしていくのだと思いますが、その一環として各部局に通知された十年度の予算編成方針は従前と比べて大変厳しい内容になっています。
 福祉に対する支出の県単独扶助費は九年度当初予算額と同額以下と横ばいになっていますが、県単独投資は一五%カット、不適正支出で問題となった旅費等の標準事務費は二〇%カット、その他の施策経費は一〇%カットとなっており、軒並みマイナスシーリングとなっています。他方、各部において予算の重点化を図るために三十五億円程度の重点化調整枠を設けるとともに、組織横断の政策課題に対処すべく関連施策を総合調整するために七億円程度の調整枠を設定するなど、予算のめり張りをつけるための工夫もされております。
 ここで、総務部長にお伺いします。
 本県において、財政事情の中期展望が示すように、三百億円を超える歳出歳入ギャップを生じるに至った要因をお伺いいたします。あわせて、そのギャップを埋めるためにどうしていくのか、さらには十年度のシーリングの基本的考えについてもお伺いいたします。さらに、財政健全化のためにはみずから血を流す覚悟も必要だと思いますが、今後、県庁組織そのもののリストラクチャリング、すなわち組織、定数などについていかがなされるおつもりか、見解を承りたいと存じます。
 一方、現在、日本経済並びに県経済の足取りはとても順調と言えるものではありません。私も、多くの有権者の方から、景気が悪いので何とかしてくれという声を聞きます。公共事業や県の単独事業が削減されることによる影響を懸念する声も各所で聞いております。また先日、一部の金融機関で取りつけ騒ぎが起きたことを見ても、県民には将来に対する漠然とした不安感が広がっていると言えるでしょう。このような懸念、不安感を払拭するためには、県経済が元気を取り戻すことが不可欠であります。もちろん、規制緩和が叫ばれる中、県経済が元気を出すためには、民間からの新たな発想やその行動力が第一に必要になってきますが、和歌山のように民間の力がやや弱い県では、行政もまた民間活力を導き出すための積極的な取り組みが必要であります。
 先ほど述べましたように、将来に禍根を残さないためにも財政再建は進めていかなければなりませんが、一方、県経済の活性化のために県当局が予算面等で民間をバックアップすることも必要であります。財政の健全化を推し進めはするが、将来を見据えた中で県勢の伸展につなげていくための万全の措置も講じていくという真摯な取り組みをぜひともお願いしたいわけであります。
 知事におかれては、この厳しい局面の中、十年度予算編成においてこれらの要請にどうこたえていくおつもりなのか、所見をお伺いいたします。
 次に、和歌山下津港湾本港沖地区埋立計画、通称・雑賀崎沖埋立計画について質問をいたします。
 和歌山下津港は、昭和四十年に特定重要港湾に指定され、臨海部に位置する各種工業及び紀北地域における流通拠点として重要な役割を果たしています。平成七年には釜山との外貿定期コンテナ航路が開設され、今後、地域国際流通港湾としての役割の増大が見込まれています。平成七年の港湾取扱貨物量は、外貿二千四百三十五万トン、内貿三千百二万トン、合計五千五百三十八万トンに達しています。本港の背後地域においては、近畿自動車道の開通、関西国際空港の開港に加え、京奈和自動車道などの高速交通体系が拡充されてきており、京阪神地域との結びつきが強化されることから、関西圏の一翼を担う拠点として今後ますます発展することが期待されています。このため、本港においては、背後地域の発展に伴う物流需要の増大やコンテナ化の進展など、物流形態の変化に対応した機能を確保するとともに、輸送の効率化等により地域産業の高度化、活性化を支援することが求められています。
 次世代の高速貨物船であるテクノスーパーライナーの母港誘致や船舶の大型化に対応した大水深、多目的外貿ターミナルの確保、ガントリークレーンの設置等、港湾の設備充実に対する県民の期待には大なるものがあります。しかしながら、今回の計画地・雑賀崎の地は、万葉のころ、「紀の国の雑賀の浦に出で見れば海人の灯火波の間ゆ見ゆ」と歌にも詠まれ、幕末、黒船の見張り所としての番所の鼻や大島、中ノ島、双子島が瀬戸内の海に浮かぶ景観は、和歌山市に残された貴重な財産であります。この景勝地を背景として、太公望、七洋園、双子島荘、潮風荘の四軒の旅館が観光旅館として営業されており、観光立県を重要政策とする本県において、この景観を守ることは必要不可欠であります。景観を尊重しながら港湾を整備していくことが肝要であります。
 十一月二十八日に開催された国の港湾審議会では、このことに思いをいたし、和歌山下津港の港湾計画について、「原案のとおり、おおむね適当である。但し、雑賀崎前面の埋立計画については、瀬戸内海国立公園の特別区域に隣接していることから、景観の保全についてさらに検討されたい」とのただし書きが付されました。
 県においては、国の港湾審議会の審議結果、雑賀崎自治会、和歌浦観光旅館組合の反対、商工会議所等の経済団体の推進要望などを踏まえ、今後本計画をどう進めていくお考えか、お尋ねをいたします。
 十一月二十七日の読売新聞では、県は雑賀崎沖埋立計画について、予定地を北に数百メートルずらして景勝地から遠ざける方針を固めたと報じられておりますが、そのような事実はあるのか否か、お答えを願いたいと存じます。
 また、本計画では、地域環境保全のため廃棄物受け入れ空間を確保することとされ、海面処分場としての性格を有することが示されていますが、県民の多くは産業廃棄物の投棄による汚染を心配しております。廃棄物処分の概要と本港沖での必要性についてお答えを願います。
 さらに、本港沖の埋め立てについて反対されている多くの方は、唐突に計画が出されたとの思いがあります。何ゆえに事前に計画の概要が説明されなかったのか、お聞かせ願います。
 次に、教育委員会の不適正経理について質問をいたします。
 教育委員会では、文部省の委嘱を受けて小学校実技県講座、高等学校教育課程全国研究集会などの事業を行っており、その数は二百四十四件に上ります。これら事業の費用は文部省の予算でありますが、その執行は教育委員会でなされ、その使途については費目が限定されています。
 本年六月、会計検査院はこれら文部省委嘱事業について検査した結果、平成六年度から八年度までの三年間で約三千万円の不適正な経理があったとの指摘がありました。さきの九月県議会では、県の調査の結果、総額十三億四千四百万余円の不適正支出が明らかとなり、職員の責任のもとに返還されておりますが、県費とは別に今回、国の経費にかかわってこのような不適正な経理が発覚したことは、まことに遺憾であります。
 今回不適正な経理として指摘されたのは、教師を対象にした体育の実技指導講座など文部省委嘱の百三十六事業でありますが、その内容を見ますと、報告書の製本費用を予算以下に抑えたり、講座に参加する人数を規定より少なくし、その差額を講師謝金の補てんや会食等に充てていたというものであります。教育委員会においては、このような事態を招いたことを深く反省し、再発の防止に努めるよう望むものであります。教育委員会は今回の事件をどのように受けとめているのか、また返還を含め、どのように対応するおつもりか、教育長の答弁を求めます。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの宇治田栄蔵君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 宇治田議員にお答えをいたします。
 まず、新しい長期総合計画の基本目標である「ゆとりと充実」についてのご質問でございます。
 本計画は、二十一世紀を展望して、平成二十二年、二〇一〇年を目標年次といたしてございます。二十一世紀は、これまでの機能や効率を優先した社会から感性や創造性が重視される時代になると考えてございます。我が国は欧米先進国を目標に豊かさを追求してまいったわけでありますが、物質的に豊かになればなるほど、心の豊かさ、充足感を求める人が多くなってくるわけでございます。こうした新しい時代の豊かさをあらわすものとして「ゆとりと充実」ということは適切な表現であろうと考えております。
 「ゆとりと充実」の実現に関し、何をなすべきかを考えてみますと、本県には全国に誇れる豊かな自然や歴史・文化といった財産がございます。疲れをいやし、人間性を回復させる心のふるさとになり得るものでございます。こうした財産を活用するとともに、県民パワーによる多彩な活動や交流を行うことで新しい文化や産業の創出に結びつけていくことが重要なことであろうと考えてございます。
 それから、本計画における施策の位置づけでございます。
 二年前の知事選におきまして、一三六のプロジェクトを掲げ、県民の皆様に施策提案として訴えたところでございます。この一三六のプロジェクトにつきましては、政策課題や施策提案だけでなく、将来展望というか未来社会へのビジョンといったものも含めて提案をさせていただきました。知事就任後、例えば女性一〇〇人委員会、輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり事業、あるいは南紀熊野体験博など、できる限り速やかに実行に移してきたところでございます。
 新しい長期総合計画の策定に当たりましては、現在、審議会において施策についてご検討いただいておるわけでございますけれども、一三六のプロジェクトのうち中長期的な構想に類するものについては、その趣旨や方向性について十分盛り込んでいきたいと考えてございます。
 昨年二月に諮問を行って以来、審議会の委員の皆様にはさまざまな角度からご検討をいただいてございます。答申案の作成に向けては、住民代表あるいは市町村長、県議会の皆様からのご意見を策定事務局も参加しながらお聞きをしているところでございます。計画樹立の暁には、二十一世紀の和歌山新時代を切り開くために、私も県民の皆様に県政への積極的な参画を呼びかけ、計画の実行に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、十年度予算編成に当たっての基本的な考え方、特に財政再建と県経済の活性化についてでございます。
 本議会の冒頭で申し上げたところでありますが、本県財政は、次年度以降も多額の歳入歳出ギャップが見込まれる一方で、県債残高の累増、元利償還費の増嵩等による財政構造の硬直化、財源調整のための基金の減少など、まことに厳しい状況に直面しておるわけでございます。
 一方、将来にわたって活力ある県勢を維持向上させていくためには、このような県財政の現況を構造的に転換して立て直していくことが焦眉の急であり、避けて通れない課題でございます。したがいまして、十年度予算においてはあらゆる手だてを講じて財政の構造改革を推進してまいる決意でございます。しかし、これは単に予算カットを図るといった消極的なものではございませんで、財政の構造的な転換を図ることによって今後生じるさまざまな要請に行政が十分対応できるようにするとともに、県民生活や経済活動の成長力を引き出し、積極的に新たな活力を導き出すことを目指したいと考えております。
 このような観点から、十年度予算の編成に当たりましては、一つ一つの制度や施策を根底から精査・吟味し、二十一世紀を見据え、和歌山新時代の創造につながる事業については思い切った重点主義で臨みますとともに、予算のより一層の効率化を図ることによって実質的な効果を最大限に重視した、中身の濃い予算をつくってまいりたいと考えております。県民の皆さんや企業の方々が将来に対して希望の持てるような施策展開を強力に推し進めたいと考えてございます。
 次に、今回の和歌山下津港港湾計画でございます。
 これは、近畿圏経済の一翼を担うベイフロンティア構想を推進するための第一段階として、平成二十年代前半を目標年次とした長期構想として取り組んだものでございます。
 港湾計画の主要な柱は、一つ目は、近畿圏の外国貿易の拠点として本港沖地区において水深十四メーターの岸壁二バースを計画し、物流コストの低減を図ること、二つ目に、地域の環境保全の観点から、処分場が逼迫している紀北地域の建設残土等の海面処分場を確保すること、三つ目に、関西地域の安定的な電力供給を図るために北港地区における電源立地の要請に対応すること、四つ目に、テクノスーパーライナーにも対応できる内貿バースを北港沖地区に確保するとともに薬種畑地区の再開発を図ること、以上の四つでございます。
 国の財政構造が厳しく議論をされている中で、これらの計画はすぐに実現できるものではありませんけれども、去る十一月二十八日の国の港湾審議会において、おおむね適当である旨の承認がされたものでございます。しかしなお、本港沖埋立計画のうち雑賀崎前面については、景観保全の観点からさまざまなご意見も寄せられてございます。
 私は常々申し上げてございますけれども、本県のすばらしい自然、古い歴史・文化を大切にし生かしながら、同時にさまざまな施策によって本県の発展を図っていく必要があると考えております。
 景観を初めとする環境の問題は、私にとっても重大な課題であると考えてございます。国の港湾審議会で出された意見についても真摯に受けとめて景観への特段の配慮を図るべく、今後、事業実施までに多くの検討を要することもございますので、今日までの経過を踏まえながら、埋め立ての位置や形状についてもさらに関係各位の意見をお聞きしながら柔軟に対応してまいりたいと考えてございます。
 他の問題につきましては、関係部長から答弁をいたします。以上であります。
○議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 宇治田議員にお答え申し上げます。
 新しい和歌山県長期総合計画における県民の声の反映についてでございますが、本計画の策定に関しましては、各界各層の代表者や有識者で構成する審議会にお諮りし、答申をいただき、これに基づいて計画を決定するところでございます。
 審議会における策定作業の中で、八年度は地域別の懇談会を開催し、市町村長や住民代表約百二十名の方々からご意見、ご要望をお聞きいたしました。平成九年二月には中間報告に対するご意見や和歌山県の活性化方策等について提言募集を行ったところでございます。さらに、九年度においても再度地域別の懇談会を開催し、各般にわたる施策についてご意見を承りました。これらのご意見、ご提言については、可能な限り計画策定に生かしてまいりたいと考えてございます。
 次に計画の特色でございますが、本計画では、太平洋新国土軸の形成や関西国際空港全体構想あるいはベイフロンティア構想による港湾整備などの基盤整備を見据えた上で、人や物の広域的な交流の増加による本県の活性化策を打ち出してまいりたいと考えてございます。
 現行の第四次長期総合計画ではテクノ&リゾートを県土づくりの戦略にしておりましたが、新しい長期総合計画では、目標達成のために県が重点的、戦略的に取り組む施策を戦略的プロジェクトとして基本構想に掲げるとともに、県政の主要施策の目標で数値化できるものについては県民生活の姿としてわかりやすくあらわしたものを提示してまいりたいと考えてございます。
 次に計画の推進についてでございますが、限られた財源で最大の行政効果を得るためには、事業の重要度、優先度に応じた計画的、重点的な予算配分とその着実な執行が不可欠であり、そのために三年ごとに事業の具体的な内容やスケジュール等を盛り込んだ中期実施計画を策定し、長期計画の進行管理を実施してまいりたいと考えてございます。
 長期総合計画に基づく施策の推進については、県と市町村の連携、あるいは市町村間の連携、さらには民間団体や県民の方々の知恵と力を結集することが必要でございます。このため、計画の策定に当たっては県民のご意見を十分反映するとともに、計画書のダイジェスト版など、わかりやすい資料を作成し、広く県民にPRし、理解と協力を求めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 総務部長中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 財政事情の中期展望の中の三点についてお答え申し上げます。
 まず、十月九日に公表した財政事情の中期展望でお示ししました歳入歳出ギャップの要因と今後の対策についてでございます。
 ご承知のように、平成四年度以降、県税収入が百億円程度減収しましたが、その後も回復の足取りは重く、横ばいの状態が続いてございます。本来なら、「入るをはかって出るを制す」と申しますように、県税収入が急激に減少したこの時期に歳出規模を抑制するなど、財政運営上、工夫を凝らすことも大切でございます。しかし、当時はバブル崩壊後の相次ぐ景気対策や本県の社会資本の整備のため県単独事業を中心とした投資的事業を大幅に伸ばす必要性が強く、歳出規模を拡大してきたところでございます。一方、期待どおり税収が回復しなかったこともあって、ご指摘のような歳入と歳出の乖離を生じることになったところでございます。さらに、その財源不足を補うために県債の大量発行を行ってきました。そのことが公債費の増加につながるため、中期展望でお示ししましたとおり、歳入が今後順調にふえたとしても、人件費や公債費といった義務的経費がそれを上回る水準で増加し、このままだと歳入歳出ギャップが今後も拡大することが想定されるところでございます。
 この大幅な歳入と歳出の乖離を解消し、一部自治体に見られるような危機的な財政状況を回避するためには、まず何よりも抜本的な行財政改革と計画的な財政運営により歳入規模に相応した水準に歳出規模を抑制することが必要であると考えてございます。また、こうした取り組みによってもなお生じる財源不足に対しましては、県債の発行と基金の取り崩しに頼るほかないわけでございますが、基金も急激に減少し、公債費による財政負担もかなり重くなってきている現状では、従来のようなスタンスでそうした手だてに依存することはできないと考えてございます。
 そこで、次に十年度予算におけるシーリングの考え方についてでございますが、今申し上げました県財政の中期展望を踏まえ、中長期的な財政運営の健全性と安定性を確保するため、経費区分ごとに一定のマイナス要求基準を設定するとともに、中期展望で示された歳入歳出ギャップを極力縮小し、県債元利償還費の増嵩を抑えるべく、県債発行規模の抑制を図ることといたしました。
 一方、二十一世紀を見据え、県勢の活性化につなげていくための施策や課題に適切に対応するための予算編成手法として、新たに重点化調整枠及び組織横断政策課題調整枠を設け、緊要の事業への財政資金の重点投入を図ることとして、予算の重点化と効率化について従前よりも一段と踏み込んだ考え方を打ち出したところでございます。
 いずれにいたしましても、十年度予算要求のシーリングは、単なる予算規模の削減といった消極的なものを目指すものでなく、要求段階から施策の優先順位の厳しい選択を促すとともに予算の重点化と合理化、効率化を図り、真に実効性のある予算を目指すものでございます。今後、このシーリングに沿って提出された予算要求の精査を行い、本県の発展につながる予算づくりに全力で取り組んでまいる所存でございます。
 次に組織、定数等についてでございますが、本県におきましては、ご承知のように平成七年十一月に策定した行政改革大綱に基づき、地方分権への対応、簡素で効率的な行政運営の実現を主たるテーマとして行政改革を進めているところでございます。
 組織につきましては、平成八年度に福祉・保健・医療施策の一元化等を図ることを目的に本庁組織の再編を実施し、さらに平成十年度から、縦割り行政の問題点を除き、部局間の従前の概念にとらわれない総合行政を推進し、地方機関間の横断的連携を強化するために県事務所、土木事務所等を統合して振興局を設置するための条例案を本議会に提案させていただきました。また、従来県が直営で行っていた業務の見直しを行いまして、八年度、九年度の二年間で五地方機関を廃止したところでございます。今後とも組織の見直しを行い、簡素で効率的な組織機構の確立を図ってまいります。
 なお、職員定数に関しましては、高齢化社会への対応、高速道路の建設促進、南紀熊野体験博の実施など新たな行政需要に対応していくために、スクラップ・アンド・ビルドを基本に総定員の中で適正な定員管理に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 宇治田栄蔵議員のご質問にお答えいたします。
 雑賀崎沖埋立計画についてでございます。
 まず、新聞報道についてのご質問ですが、県としては、九月十八日の地方港湾審議会で承認された計画案を国の港湾審議会でご審議いただいたわけであり、十一月二十七日付の読売新聞報道のような事実はございません。
 次に、海面処分場の内容についてでございます。
 紀北地域の道路整備や下水道整備等の公共事業に伴って発生する建設副産物につきましては、平成八年に住友金属西防波堤沖埋立地での処分が終了し、現在西浜地区での海面処分を行っていますが、これもおおむね来年夏ごろまでにはその受け入れが限界となり、公共事業等の実施に影響が出るといったことが危惧されます。このため、建設残土──建設工事に伴って生じる土でございます──や港湾のしゅんせつによって発生する土などを受け入れる海面処分場を新たに確保するものであり、産業廃棄物を受け入れる計画ではございません。
 また、これを本港沖に求めた理由でございますが、埋立地を利用して和歌山下津港の外国貿易機能を拡充するという要請に対応することとし、このためには、既に一定の外国貿易機能が集積していること、背後幹線道路へのアクセスが比較的整備されていること、かつ大型船が操船できる十分な広さの水域が確保できることから本港沖が最も適当であると判断したものでございます。
 三つ目の、計画策定の経過についてでございます。
 今回の計画改定につきましては、平成四年から学識経験者や庁内関係部局、また地元代表としての関係市、町等から成る整備構想調査委員会を設置し、計画案の検討を重ね、さらに地方港湾審議会での審議を経て策定されたものであります。
 港湾計画は、国の審議会において承認されて初めて県の計画としてオーソライズされるマスタープランといった性格のものであり、具体化を図るためには公有水面埋立法に基づいて縦覧し、広く意見を聞くとともに、地元市町村長の意見を聴取し、さらには漁業権者等の権利者の同意が必要とされるものでございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 不適正経理に係る二点についてお答えいたします。
 まず、不適正経理の内容についてでございますが、去る六月二日から五日間、文部省所管の歳出予算について会計検査院の実地検査が行われました。本県ではこれまで、教育の振興を図るため積極的に全国規模の大会などを開催してまいりましたが、議員ご指摘のとおり、平成六年度から八年度までの三年間に国から委嘱された高等学校教育課程全国研究集会や全国産業教育フェア、外国語指導助手近畿地区研修会などを含め、二百四十四の事業で総額四億九百六十一万二千円を執行した経費のうち、三千十四万六千円が不適正な経理と指摘されてございます。この事業は、県教育委員会が実施依頼を受け、経費は直接国の予算で執行したものであり、さきの予算執行調査改善委員会の調査では対象外となっておりました。
 これらの経費の使途につきましては、相当部分は講師及び教員などの協力者への旅費、講師謝金の補てん、職員研修旅費、会議費や消耗品費、印刷製本費等に充てておりましたが、そのほかに目的以外の備品購入費、外部講師等との飲食費、いじめ対策など緊急の会議を開催するための旅費や会議費等にも充てておりました。
 経理処理につきましては、いかなる場合も適切かつ正確であることが重要であります。このたびの不適正な経理は、委嘱制度と実態に乖離も見られますが、基本的には幹部職員を初め職員の公金に対する意識が希薄であったことなどにもよるものであります。議員各位並びに県民の皆さん方に深くおわびを申し上げる次第でございます。
 返還につきましては、不適正と指摘された経費のうち、文部省からの返還額の確定を待って管理職を中心に速やかに返還をいたしたいと考えてございます。今後、職員一同厳しくみずからを律し、県民の皆様方の教育への信頼回復に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 22番宇治田栄蔵君。
○宇治田栄蔵君 丁寧なるご答弁、ありがとうございます。
 ただいまの答弁を聞いておりまして、本当に来年度は厳しい状況にあるなと、財政・経済・一般にわたってそういう感をいたすわけでございます。特に民間においては、今、景気が低迷しております。しかも昨年、阪和銀行が業務停止命令を受けるというようなことで県民には非常に暗い話題が多いわけでありまして、明るい話題に飢えているのが現在の状況であると私は思います。ですから、来年度予算編成に当たっては、明るい話題を県の方から県民に提供するというようなことに心がけていただきまして、ぜひとも県民を明るい気持ちにさせていただくよう、よろしくお願いをしたいと存じます。
 それから雑賀崎埋立計画について、先ほど知事におかれては景観についての重要性ということをご答弁いただきました。今までは、柔軟に対応していきたいというコメントだけで、知事の思いというものが伝わるところがなかったわけでありますが、十分に景観への思いというものも考慮に入れながらこの港湾計画を進めていきたいというご答弁を知事からいただきました。両立ということは大変難しいことだと思うわけでございますけれども、ぜひとも両立させるような解決方法を探っていって県民の皆さんの理解が得られるような港を建設していただきたいと要望をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で宇治田栄蔵君の質問が終了いたしました。
○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番森 正樹君。
  〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 久しぶりの登壇でございまして、少し緊張しております。冒頭に、先輩・同僚議員の皆様におかれてはしばらくの間ご清聴賜りますように、よろしくお願い申し上げます。
 先月下旬発行の「週刊ダイヤモンド」別冊、銀行安全度ランキング特集号は、全国の書店店頭に置かれると同時に売り切れが続出、ほとんどの書店で即日完売となりました。これは極めて異常なことであります。よく知るある書店の店長に聞きましたところ、通常、同種の雑誌は売り切れることが余りなくて、次号が発行されるまで店頭に積み上げられていることが非常に多い、そういうことでありました。しかし、今回のこの別冊号に関しては異例のことだそうであります。──これがその本でございます。ご承知のとおり、世界でも金融機関のランキングで最も権威のあるムーディーズの最新報告に基づいて日本の金融機関の安全度ランキングを特集した雑誌でございます。
 ちなみに私は、和歌山市内にある約八十の書店、並びに海南市、有田市、那賀郡の主要な書店を含めて九十店舗に電話を入れてみました。その結果、もともと同誌を扱っていない一部の書店を除きまして、すべての書店では二、三日で売り切れになっております。また、発売日に売り切れたという書店が約四〇%に上りました。ある書店などは、私が電話で「『週刊ダイヤモンド』の」と言ったところまでで、私の言葉を遮るように「あっ、あの別冊ならもう売り切れてありません」ということで、電話がガチャンと切れました。そのような返事が返ってくるほどでありました。なお、大阪の大店舗を誇る書店の数店にも、念のため電話を入れてみました。再入荷等のこともあって電話を入れてみましたが、すべて発売日に完売したということでございました。私の知る範囲での話でございますが、再入荷の予定があるのは大阪の梅田の書店と那賀郡の岩出町にある書店の二店だけだった状態でございます。
 最近起こった、マスコミも注目していない事実ではございますが、これは何を物語っているのか。私は、国民の皆さんがこの数年の金融不安に対していかに重大な関心を持っているか、身近な問題として、自分が取引関係にある銀行は大丈夫かと、そういう懸念を抱いていることの証左にほかならないと思うものであります。
 ところで、我が国経済は、平成三年以降のいわゆるバブル崩壊後、実質ゼロ成長に陥っております。この結果、国民は失業率の増大、雇用不安、リストラ、賃金の伸びの鈍化、低金利などに苦しめられ、国や地方自治体は税収不足や財政赤字の拡大に直面しているのであります。また、地価や株価の大幅な下落は、ただでさえ膨大な不良債権をますます肥大化させ、ひいては金融システムの信頼性を揺るがし、低迷する景気をさらに奈落の底へたたき落とそうとしていると言っても過言ではありません。
 このような状況を踏まえて昨年秋持ち上がってきた構想が、金融ビッグバンであります。一九七五年に米国でメーデーと呼ばれた金融改革、一九八六年にサッチャーさんによって断行されたイギリスの証券ビッグバンに倣って、大蔵省が従来の護送船団方式に見切りをつけ、「フリー、フェア、グローバルな市場に」というキャッチフレーズのもとに導入しようとする改革のことであります。
 これまで大蔵省の厳しい管理監督のもとに置かれていた金融機関は、アメリカ合衆国を中心とする外圧の中でその自由な競争に任せ、各金融機関の自助努力と透明で自由なルールに任せるということになるそうであります。ある専門家は、素手で立ち向かう日本の金融機関が完全武装の外国金融機関に果たして勝てるのかという懸念を表明しておられましたが、まさに言い得て妙だと思います。この日本版金融ビッグバンによって、今後、経営内容の悪い金融機関は自動的に淘汰されていくことになるとの懸念も聞こえてまいります。そこで、不良債権の増大を恐れる銀行は、いわゆる貸し渋りを始めております。これによってゼネコンや不動産業界を中心に多くの企業は苦境に立たされ、資金の流れが悪くなって堅実な経営の中小企業までが資金ショートに伴う経営不安に陥り、それによって一層金融不安が高まるという悪循環が起こっているのであります。加えて今年度に入りまして、消費税の引き上げ、特別減税の打ち切り、医療費の引き上げなど、国民への大幅な負担増が景気の底冷えに決定的な追い打ちを加える結果となってしまったのであります。
 ここまで私が申し上げたことは端的に数字にあらわれておりまして、本年度四・六月期のGDP(国内総生産)が石油危機以来二十三年ぶりの大幅な落ち込みとなったことを見ても明らかであります。また国及び地方自治体の債務残高は、平成八年度末で国が三百二十兆円、地方が百三十六兆円となり、重複を差し引いてもその債務残高は四百四十二兆円に上り、実にこれはGDPの九〇%に達するのであります。
 このような我が国の経済情勢の中で、阪和銀行に始まり、日産生命、山一証券、三洋証券、北海道拓殖銀行、徳陽シティ銀行など、次々と金融機関の破綻が報道されました。そんな折、先月二十二日から二十四日の三連休を中心に、和歌山県内及び大阪府南部地域に衝撃的なうわさが流布いたしました。すなわち、紀陽銀行が合併工作に失敗して業務停止になる、二十五日にその正式発表が行われるというものであります。私も、連休最後の二十四日だけで、十指に余る人たちから問い合わせや相談を受けました。私は全員に、だれから聞いたのか、またうわさの出どころはと聞いてみましたけれども、出所は知らないが友人、知人から聞いたという返事がすべてでありました。私は、単なるうわさに躍らされることなく、軽挙妄動せず静かに見守ってほしいということを言うしかありませんでした。そして、あの二十五日、二十六日の騒ぎであります。県庁までの道筋、私も少し遠回りをして車で紀陽銀行の支店四店の前を通ってみましたが、どの支店も人であふれ返っておりました。この光景を見て私は、日本人の付和雷同体質について嫌というほど思い知らされました。証拠もない単なる耳にしたうわさについて、確認もせずに思い込むと同時に人にも言いふらす、人によっては想像を加えて、すなわち尾ひれをつけて喧伝するという、日本人の最も悪い欠点がさらけ出されたような思いをいたしました。
 この一連の騒動に関して、その発端となったうわさの火種について、一部の仕手筋が株価操作のために仕組んだのではないかという推測が行われております。事実、騒動前後から約一週間、紀陽銀行株は激しく乱高下を繰り返し、最安値と最高値の差は二百円にも上ったと聞いておりますが、約千六百万株が取引されたという話もお聞きしております。この騒動で、我々は幾つかのことを学びました。一つは、仕手筋にやすやすと株価操作のターゲットにされてしまった紀陽銀行の体質と甘い経営感覚であります。地銀本来の使命である地域経済界の事業者の経営を支援するという点を忘れ、土地、株、ゴルフ会員権のバブルご三家に手を染め、金もうけに走ったという面はなかったか。その結果、膨大な不良債権を生んだのではないか。そしてもう一つは、県民側の付和雷同的体質の問題であります。
 そこで、当局にお尋ねをいたします。
 第一に、今回の紀陽銀行にかかわる取りつけ騒ぎについて、十一月二十五日、早々と出納長がコメントを発表されましたが、この騒動についてどう認識し、どのように対応されたのか。また、県当局の窓口に苦情や問い合わせがあったと思われますが、その対応と相談件数、あるいは主な内容などについてお答えをいただきたい。
 第二に、紀陽銀行の不良債権が膨大に上り、いわゆる貸し渋りなどの行為がこの騒動を呼ぶ遠因になったという県民の一部の厳しい指摘もありますけれども、当の紀陽銀行のこの騒動に対する認識と対応はどうだったのか。また、大蔵省、日銀の対応はいかがでありましたか。
 第三に、県の指定金融機関である紀陽銀行に対して、今回の騒動による被害の拡大防止と再発防止に関してアドバイス、助言など申し入れをすべきだと思うが、どうでありましょうか。
 第四に、紀陽銀行以外のすべての金融機関においても同種の事件が今後起こらないという保証は全くありません。再発防止のための有効な手だてについてどう考えておられるのか。
 第五に、このような騒動が起こるには原因となった何らかの作為があったことは明らかであります。県民の不安をあおり、いたずらに混乱に陥れる行為は悪質であり、全く反社会的であると言わざるを得ません。証券取引等監視委員会に対して調査を要請したり県警への告発も考える必要があると私は思いますけれども、どうでありましょうか。紀陽銀行に対し、そのようなアドバイスをするお考えはないか、お聞かせをいただきたいと思います。
 次に、関西国際空港に関する幾つかの問題についてお尋ねをいたします。
 本年夏の八月三十一日から九月四日まで、関西国際空港開港三周年の記念イベントが同空港内において華々しく行われました。中でも八月三十一日と九月四日の両日は終日、空港連絡橋の通行料が無料となり、空港島内の駐車場の駐車料金が半額となっておりましたため、実に多くの人が詰めかけ、にぎわったようであります。この日は私も、友人の子息の結婚式に参加するため岸和田市へ行ったのでありますが、いつもはすいている阪和道から関空連絡道、湾岸線へのルートが大渋滞で、大変な混雑でありました。この関空連絡道の途中に空港島内駐車場の利用状況を知らせる電光掲示板がありますが、私の知っている限り、開港以来初めて「満車」という赤い表示が出ておりました。いつもは、「空港島内駐車場を利用してください」という表示であります。結婚式の帰り、私も、ただですので空港島に寄ってみました。家族連れや若いカップル、お年寄り夫婦など、日ごろの航空便利用者とは違う、実に多くの一般の見学客でターミナルビルとその周辺はあふれ返っておりました。関西の空の表玄関として関西国際空港が人口に膾炙し、広く親しまれてきたことを象徴する出来事として、日ごろ、関西国際空港の全体構想の実現を願い、関心を持つ者の一人として深い感銘を覚えた次第であります。
 また、最近のことでありますが、東京出張の帰り、都内で搭乗券を買うために旅行会社の窓口に立ち寄ってみました。そのとき、隣の窓口で、ある女性客と職員の会話が聞こえてまいりました。関西空港経由で海外旅行に出かける人であります。この女性が「関西空港を初めて利用するんですけど、アクセスは不便なんでしょう」と聞いているのに対して、旅行会社の職員は、「いいえ、大阪の都心からJR、南海電車のどちらでも三十分ぐらいで行けますし、高速道路も二本つながっていて、車でも一時間かからないと思いますよ」と説明をしておりました。地元関東に成田空港があるのに関西空港経由で海外旅行に出かける人が関東でも少しずつふえているのかなと、うれしく聞いていた次第であります。
 また、関東以外の東北、北海道あるいは九州方面などからも、成田ではなくて関西空港経由で海外へ向かう旅行客が急増していると聞いております。いよいよ二期工事の早期完成、そして全体構想の一日も早い実現を目指し、ますます利便性の高い国際ハブ空港づくりに取り組んでいく必要があると感じた次第であります。
 そこで、関西国際空港を取り巻く幾つかの問題についてお尋ねをいたします。
 第一点は、大阪府下の一部地域を残し、陸上飛行ルートのための実機飛行テスト受け入れの意思表示が出そろったと聞いておりますが、その実施時期はいつごろと考えられるのか。
 第二点、将来もし陸上飛行ルートが導入された場合、どのようなメリット・デメリットがあると考えられるのか。
 第三点、実機飛行テストは即陸上飛行ルート実現につながるのか。
 第四点、二期事業が明年、平成十年度から実質的にスタートすることになりますが、土砂採取事業も含めてその完成までのタイムスケジュールをこの際改めてお示しいただきたいと思います。
 第五点、土砂を購入する関西国際空港用地造成株式会社と土砂を供給する側の大阪府や土砂採取に当たる企業との間で土砂単価交渉が最近行き詰まっていると聞いておりますが、いかがでありますか。
 第六点、この土砂単価交渉が暗礁に乗り上げることで二期事業そのものの期限内完成への影響はないのか。
 第七点、国の空港特別会計への一般会計からの大幅繰り入れなど遅々として進んでいないと思いますし、関西国際空港という国の基幹事業に取り組む大蔵省や運輸省の姿勢は相変わらず弱いと言わざるを得ないと思いますが、この点についてどうか。また、国への働きかけなどについてお答えをいただきたい。
 最後の七点のみ知事の、あとは企画部長のご答弁をいただきます。
 最後に、環境問題について若干お尋ねをいたします。
 今あたかも京都において気候変動枠組み条約第三回締約国会議、通称・地球温暖化防止京都会議が行われております。間もなく幾つかの成果を生んで終わろうとしております。しかし同時にまた、この会議によって山積する課題や難問がいかに多いかが浮き彫りにもなりました。地球環境問題は二十一世紀の我々人類の共通の重い課題であり、その道のりは決して平たんではないと思います。私たちは、京都会議の成果を踏まえ、今後本県が取り組めること、当然の責務としてやらなければならないことを積極的に実行に移していく必要があると思います。
 我が国のCO2排出量は世界第四位で約四・九%でありまして、日本一国でアフリカ全体五十三カ国の三・四%、南米大陸十四カ国の三・一%を上回っているのであります。いかに我が国が地球温暖化防止に向けて積極的に取り組まなければならないか、その責務がいかに重大であるかが、この数字を見ただけでもわかります。
 そこで私は、世界の中の日本が置かれている立場にかんがみ、本県としても真剣に地球温暖化防止のための幾つかの取り組みを進めていかなければならないと考えます。以下、幾つかその取り組みについて当局の見解をお尋ねいたします。
 第一に、地球環境保全に向けて県行動計画を策定すべきであると思うが、どうか。
 第二に、県内主要事業所と環境保全協定を結び、低公害車の導入、アイドリング防止、リサイクル製品の積極活用、有害物質の適正管理の実施など、地球温暖化防止、省資源、リサイクル運動の推進を目指すべきだと思うが、どうか。
 第三に、冷蔵庫、カーエアコン、大型空調機等々、廃棄処分されるものの中からフロンを回収することが急務とされておりますが、フロン回収機の普及など、業界や市町村に対する積極的な助言指導を行うべきではないか。
 第四に、環境保全意識の高揚のために環境家計簿の普及に積極的に取り組むべきと思うが、どうか。
 第五に、次代を担う若者の間に環境保全意識を高めるために、小・中・高校における環境保全教育の実情と今後の取り組みについてお答えをいただきたいと思います。
 第六に、豊かな自然環境を有する本県としては積極的にエコツーリズム運動の推進を目指すべきであると思いますが、あたかも平成十一年に開催される南紀熊野体験博はエコツーリズムの精神に合致するイベントと言えると思います。この点についてお答えをいただきたい。
 第七に、エコスクール、こどもエコクラブの取り組みについて現状と今後の方針はどうか、お示しをいただきたいと思います。
 以上で質問を終わりますが、それぞれ知事並びに関係部長の簡潔にして前向きの答弁を期待申し上げまして、この質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 森議員にお答えをいたします。
 関西国際空港問題に関連してのお尋ねでありますが、国の空港整備特別会計につきましては、平成八年の航空審議会の第七次空港整備五カ年計画の基本的考え方において、一般財源の拡充を含めた所要の財源確保に取り組む必要性が示されたわけでございまして、運輸省においてもこうした考え方に沿って財政当局との折衝を行っていると聞いてございます。
 関西国際空港二期事業につきましては、国の財政構造改革による公共事業費の抑制という大変厳しい状況の中ではございますが、第七次空港整備五カ年計画の最優先課題と位置づけられておりまして、平成十年度運輸省概算要求の最重点項目の一つとして現地着工経費千二十九億円が要求されているわけでございます。
 先般、県議会関西国際空港対策特別委員会におかれても国に要望していただいたところでございますけれども、私も十一月二十六日に関西国際空港全体構想早期実現期成会の要望活動として、また十二月四日には国に対する県の予算要望の中で運輸省と大蔵省に要望してまいったところであります。
 国においても関西国際空港二期事業の重要性は十分認識していただいていると考えておりますけれども、今後なお一層強く国や関係方面に対して要望活動を行ってまいりたいと考えております。
○議長(木下秀男君) 出納長高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○出納長(高瀬芳彦君) 金融不安問題の質問の三点についてお答えをいたします。
 まず、紀陽銀行に係る取りつけ騒ぎについて県はどのように対応したかということでございますが、紀陽銀行における十一月二十五日の状況は異常な事態であると感じ、監督官庁である大蔵省に知事が出向き、また一方近畿財務局にも問い合わせ、経営の問題はないと確認をしたところでございます。その後、紀陽銀行頭取の記者会見や近畿財務局、日本銀行大阪支店のコメントが出され、県としても県民、預金者に対し、財務内容や中間決算に特に問題はない、今後とも指定金融機関としての役割を果たしていけるものと確信しているとのコメントを同日出し、対応を図ったところでございます。
 次に県民からの問い合わせや苦情についてでございますが、二十五日と二十六日に、財務状況や預金保護に関する電話による問い合わせが両日合わせて六十件余りありました。大蔵省や近畿財務局の発表のとおり財務状況については問題なく、また預金保護については二〇〇一年三月末までは全額保護される旨説明をしたところでございます。
 次に、県指定金融機関である紀陽銀行に対する被害の拡大防止と再発防止のための助言についてでございますが、指定金融機関として十一月二十一日に発表した今期中間決算での計画などを着実に推し進め、健全経営を図るとともに信用保持に万全の措置を講じるよう、再度要請してまいりたいと考えてございます。
 最後に、このような騒動を起こした原因者に対する証券取引等監視委員会への調査要請についてでございますが、議員ご承知のとおり、証券取引等監視委員会は大蔵省の外局として株式取引を常時監視しており、調査については独自の判断に基づいて行われるものであります。また、一般的にどの案件を調査しているかどうかは公にしてございませんので、確かなことはわかりません。ただ、紀陽銀行が任意に申し出を行うかどうかについては、現在検討していると聞いてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 商工労働部長日根紀男君。
  〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 金融不安問題二点についてお答えをいたします。
 まず、この騒動に対する紀陽銀行の対応並びに大蔵省、日本銀行の対応はどうだったかという点でございますが、紀陽銀行からの報告によりますと、十一月二十五日は連休明けの給料日と企業の決済日が重なり平常よりも窓口業務が混雑すると予想はしていたものの、当日朝からの各店舗の来店者数などから異常な状況であると認識したとのことでございます。同行といたしましては、このため鎮静化に向けて早急な対策を講ずる必要があるという判断から、同日午後四時三十分より南出頭取と久山専務が銀行の財務内容及び経営への取り組み姿勢を説明し、経営不安のうわさを完全に否定するための記者会見を行ったところでございます。また二十六日には、店頭での張り紙表示はもとより、職員が経営状況の説明を行い、預金者等に対して理解を求める行動をとってございます。さらに、二十七日付で新聞紙面広告を行うなどの対応がなされたところでございます。
 次に、近畿財務局及び日銀大阪支店の対応でございますけれども、二十五日には連名で紀陽銀行についてのコメントを発表するとともに、二十六日には近畿財務局長と日銀大阪支店長が共同記者会見を行い、紀陽銀行の経営不安説を完全に否定したところであります。
 このように、紀陽銀行、近畿財務局、日銀大阪支店による迅速な対応の結果、窓口での混雑も二十五日がピークで、二十六日には鎮静化に向かい、二十七日にはほぼ平静状態となり、預金者及び県経済への影響は最小限にとどめられたものと見ております。
 次に、他のすべての金融機関においても同種の事件が起きないような手だてはということでございますが、うわさ等で金融機関の信用不安が発生するということは、県民はもとより県経済に与える影響は極めて深刻なものだと思いますし、あってはならないものと考えております。したがって、こうした事態を避けるため、各金融機関は預金者、取引者の信頼を得ることが最も重要であると考えています。
 今後、金融機関のみずからの経営健全化はもとよりでありますが、積極的な情報開示を進めていくことによって根拠のないうわさ等による信用不安は避けられていくものと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 森議員にお答え申し上げます。
 関西国際空港の新飛行経路案に係る実機飛行テストの実施につきましては、先般、知事定例記者会見において、関係市町村の意向もお聞きした上で、新経路案を総合的に判断するためには実機飛行テストを実施していただき、実際に騒音の程度を検証する必要があるとの表明を行ったところでございます。大阪府、兵庫県におきましても、実機飛行調査に対処していくと聞いてございます。
 実施時期につきましては、十二月四日に運輸省から関係三府県に対し、新経路案に係る実機飛行調査の実施計画書案の提示があり、今後調整してまいりたいとのことでございますが、年明けの一月中になるものと考えてございます。
 次に陸上飛行ルートのメリット・デメリットについてでありますが、関西国際空港の現行経路では、航空機の安全性確保の観点から一年間の離着陸回数は、現在の一本の滑走路では十二万回程度が限度であるとされておりますが、新経路を導入することによって約十六万回の離着陸が可能となり、さらに二期事業によって二本目の滑走路が供用されると約二十三万回の離着陸が可能となります。また、これにより東京便などの増便及び時間短縮効果にもつながるものと考えてございます。しかしながら、陸上を飛行することになりますので、騒音の影響について今後実機飛行調査を実施していただき、実際に騒音の程度を検証する必要があると考えてございます。
 次に実機飛行調査につきましては、先ほども申し上げましたとおり、飛行経路問題について、騒音等を勘案し、総合的に判断するために実施するものと考えてございます。しかしながら、運輸省から現状の問題点について説明を受け、現在の関西国際空港は昼間の時間帯を中心に離着陸回数が限界に達しており、これ以上の増便が困難な状況であるということは認識してございます。国際ハブ空港として関西国際空港の本来の能力を発揮させ、また県民の利便性を向上させるためには国内線を含めてさらなる増便が必要でありますし、二期事業を円滑に推進するためにも飛行経路問題の早期解決が重要であると考えております。
 二期事業のスケジュールは、平成十年度末に地盤改良と護岸工事に着手し、平成十二年中ごろから本格的な埋立工事が始まる予定になっており、現在、運輸省において予算獲得に向けて財政折衝が行われるとともに、関西国際空港用地造成株式会社においてこのスケジュールに沿った土砂調達の準備が進められているものと存じます。本県におきましては、株式会社青木建設と鹿島建設株式会社を事業主体とすることで、現在、関係機関及び関係部局と協議・調整を進めているところでございます。
 他府県の状況についてでありますが、兵庫県は淡路地域における民間事業者の土砂採取地から搬出する方向で検討を進めているとのことであり、また大阪府については、府の土地開発公社を事業主体にして現在用地集約を進めるとともに土量を五千万立方メートルから八千万立方メートルの範囲で四段階に分けて企業から提案を募り、その提案に基づいて用地造成会社と協議を行っていると聞いてございます。
 ご指摘のありました単価の問題については、基本的には用地造成会社とそれぞれの事業者との交渉によるものと考えておりますが、本県といたしましては、二期事業が円滑に推進されるよう、今後の交渉経過に注意を払ってまいりたいと考えております。二期事業につきましては、土砂供給など多くの課題がございますが、県としましては、平成十九年の二本目の滑走路の供用開始に向け、積極的に協力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 生活文化部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 森議員にお答えをいたします。
 地球温暖化防止についての六点でございますが、まず地球環境保全に向けて県行動計画を策定して積極的な行動に移るべきと思うがどうかということについてお答えをいたします。
 地球温暖化防止に関する県の計画につきましては、二酸化炭素等温室効果ガスの削減目標やその方策等に関する京都会議での結果を踏まえ、県環境基本条例第十条の規定に基づき、今後策定を進める環境基本計画の中で本県における地球温暖化防止のための具体的な施策について取りまとめ、積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、県内主要事業所と環境保全協定を結び、地球温暖化防止、省資源、リサイクル運動の推進に取り組んではどうかというご質問でございますが、事業者における地球温暖化防止、省資源、リサイクル等の取り組みにつきましては、国の環境基本法や和歌山県環境基本条例の中で、事業者は、その事業活動に関し、環境への負荷の低減その他環境の保全にみずから努める責務を有すると定められているところでございます。
 今後、多くの事業者において環境への負荷の低減に関するいろいろな自主的な取り組みが進められてまいるものと期待いたしてございますが、議員ご指摘の環境保全協定のご趣旨についても、今後必要に応じて研究してまいりたいと存じます。
 三点目は、冷蔵庫、カーエアコン、大型空調機等の廃棄処分される粗大ごみからのフロン回収が急務と思うがどうかというご質問でございますが、本県におけるフロンの回収状況といたしましては、平成九年十一月現在において、広域圏組合等を含む十九市町村で廃冷蔵庫等からのフロン回収に取り組んでいるところでございます。一方、カーエアコン、大型空調機器等からのフロン回収につきましては、回収の仕組みや費用負担の方法等、通商産業省が示した回収促進プロジェクトに基づき、関係業界において取り組みが進められているところであります。今後とも、市町村及び関係業界に対し、なお一層の啓発指導に努めていきたいと考えております。
 次に、環境保全意識の高揚のために環境家計簿を導入してはどうかというご質問でございますが、環境家計簿は環境庁が昨年度から取り組んでいる四つのチャレンジ運動の一つであり、本県といたしましても、六月の環境月間での街頭啓発など、機会をとらえて普及啓発に努めているところでございます。
 なお、このほか、地球温暖化防止をテーマとした環境月間記念講演会の開催、環境庁が提唱している日常生活における省資源、省エネルギーなどの具体的な取り組みの実践を誓う百万人の誓いへの参加呼びかけ等により、地球温暖化防止について普及啓発を実施してきたところでございます。さらに、近畿府県、政令市から成る地球温暖化防止京都会議関西行政協議会におきまして、一、不必要なアイドリングをやめる、二、不要不急の自動車の運転を自粛する、三、暖房温度を二十度以下にする、四、電気製品の主電源を切るなど節電に努めるの四つのアピールを統一して広く呼びかけることになり、本県としても、チラシの配布等により啓発に努めているところでございます。
 次に、エコツーリズム運動の推進を積極的に行うべきと思うがどうかというご質問でございますが、最近、エコツーリズム、すなわち従来型の観光とは異なり、環境への影響を最小限に抑えながら地域の自然や文化、住民の伝統的な生活様式に触れ、学び、楽しむといったことを目的とした自然志向型の観光スタイルが注目されてきております。これは、人々が自然に親しみ、大切にすることを学ぶ貴重な機会であり、同時に地域の発展、活性化につながるものでございます。
 県といたしましては、本年度から事業化している近畿自然歩道の整備や自然公園内の利用施設の整備を図り、エコツーリズムの支援設備として活用してまいりたいと考えてございます。さらに、新県民運動・感動わかやま21のテーマの一つである「自然と共生 快適わかやま」を展開する中で、観光客等の自然に接する際のマナーの向上を訴えるキャンペーン、ネイチャーフレンドシップ運動を推進しておりまして、この取り組みがエコツーリズム運動に寄与するものと考えてございます。
 また、平成十一年度開催の南紀熊野体験博におけるさまざまな自然との触れ合いをテーマとした体験イベントは、まさにエコツーリズムの精神を先取りしたものであると考えてございます。
 最後に、エコスクール、こどもエコクラブの取り組みについてでございますが、この制度は環境庁において平成七年度から全国的に呼びかけ、子供たちが地域の中で仲間と一緒に地域環境、地球環境について学習や実践を行うための集まりでございます。
 現在、本県では十八クラブ、四百三十人が登録しておりまして、それぞれの単位において身近な環境問題に取り組んでおり、県といたしましても、指導者講習会を実施するなど、地域に密着した活動をサポートしてございます。今後、さらにこどもエコクラブへの参加を呼びかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 環境教育にかかわって二点についてお答えいたします。
 環境問題は身近な問題から地球規模の問題まで極めて広範にわたっており、その学習は、自然科学、社会科学の分野から一人一人の感性や心の問題にまで及ぶ重要な課題として、学校教育と家庭教育、社会教育の連携の中で継続的に進められるものでございます。
 各学校では、理科、社会、家庭、保健体育などの各教科や道徳、特別活動等においてさまざまな取り組みが進められております。例えば小学校においては、自然と親しもうという目標を掲げたフィールドワーク、河川のクリーン作戦、リサイクル活動などを展開したり、中学校、高等学校では酸性雨調査、河川の水質調査、臨海実習等の取り組みが進められておりますし、毎年、小中学校三校を環境教育実践校に指定し、研究を推進しております。このような実践を通じて人間と環境とのかかわりについて理解と認識を深め、社会の一員として一人一人の生活や行動が環境に配慮したものとなるよう指導しているところであります。
 とりわけ環境教育においては、日常生活における実践的な能力や態度の育成が重要であることから、美化活動や草花の栽培、奉仕等、体験的な活動などの取り組みを通して公共心、公徳心を育成することが大切であると考えます。
 今後、家庭、地域と連携し、社会全体の意識やマナーの向上を図る取り組みと一体となった指導を推進してまいりたいと考えます。
 次にエコスクールの取り組みについてでありますが、学校施設についても、環境への負荷の低減に対応した施設づくりが求められております。こうした中で文部省においても、通産省との連携のもと、本年度からパイロットモデル事業としてエコスクールが実施されております。県内では、本年度、南部川村の上南部小学校が事業認定されていますが、今後ともこの趣旨を踏まえ、環境を考慮した学校施設の整備促進を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 36番森 正樹君。
○森 正樹君 先ほど私、紀陽銀行の取りつけ騒ぎのことに関して、県民の付和雷同体質──まあ国民の付和雷同体質について申し上げました。確かにそういう一面もあるんですが、しかし片一方で、無理のない、やむを得ない部分も多々あるのであります。と申しますのは、これまで日本の金融機関というのは、全く情報を外に開示してまいりませんでした。例えば、金融機関で何か不祥事が起こる。そうすると、その金融機関のトップはどうするかと言うと、まず大蔵省に報告をする。その指示を仰いで、例えば責任者の首を切ったり処分することで済ます。お茶を濁す。そして後々外に漏れると、慌てて記者発表して報告する。それで初めて国民は知る。そういうスタイルが一般的でありました。いわゆる大蔵省による護送船団方式の悪弊、横並び方式の悪弊であります。厳しい言い方をする人は、これはまさに秘密主義だと、そう言います。国民は、自分の取引している銀行に関して情報が何も提供されないのであります。
 そういう点を反省して、何年前になりますか、ディスクロージャー誌の発行が義務づけられました。これが、紀陽銀行のディスクロージャー誌であります。非常にあっさりしたものでありますが、日本のほかの金融機関の中には、宣伝も兼ねて非常にカラフルな表紙でつくっているものもたくさんあります。私も幾つか見ましたけれども、問題は中身であります。こういう形で少しは情報開示されましたけれども、その中身というのはほとんどが数字の羅列あるいは銀行の案内でありまして、そういう数字の羅列、いわゆる財務諸表なんかを見せられても一般庶民はわからないのであります。
 今、外圧によってビッグバンが進められようとしておりますけれども、そうした守られた形、護送船団方式の中から急に世界の中へほうり出されて果たして日本の銀行はうまいこといくのかという不安、心配。そして、ここ数年の金融機関の、業務停止であるとか倒産であるとか廃業であるとか、いろんな言い方をしておりますが、要するに倒産であります。そういう姿を見せられて、国民の皆さんは本当に不安になっている。したがって、こんな本が売れるのであります。ムーディーズの最新報告に基づいたこの本があっという間に売り切れたのであります。国民はそういう情報に飢えているということが、このことをもってもわかると思います。
 そういう意味で、これから世界の金融市場の中で日本が外国の金融機関と対等に伍していくために、もちろん、もっと経営の刷新をしていかなければなりませんが、もう一つ情報開示をしっかりしていかなきゃならない。自分の取引する金融機関の中身について県民の皆さんがよく知っていけるような、そんな情報開示をしていくことが必要だと思います。
 紀陽銀行がもし万が一、億分の一つぶれるようなことがありますと、和歌山県経済にとって大変なことであります。絶対つぶしてはならないと私は思いますが、現にこのムーディーズの報告に基づくランキングでも紀陽銀行は中位よりちょっと上にランクされておりますし、決して悪くありません。出納長や財務局長のコメントにもありましたとおり、まさに経営内容は決して悪くないのであります。悪くないというよりもいい方だと、そのように私も認識をしております。しかしながら、前段で申し上げたように、やっぱり県民の皆さんの信頼が得られるような取り組みをしていく必要がある。したがって、経営の健全化に取り組むと同時に、もっともっと広く県民の皆さんに親しんでもらえるような、安心してもらえるような情報提供、情報開示をしていくことが必要だと思います。──もし傍聴席に紀陽銀行の幹部の方がおられたら、ぜひ南出頭取、久山専務にお伝えをいただきたいと思います。
 それから、証券取引等監視委員会に対する調査要請でありますが、確かにこれは大蔵省管轄のことで、出納長の立場では余り言い得ない部分があると思います。しかし、現に最近同じような騒ぎのあった京葉銀行は、直ちに証券取引等監視委員会に対して調査要請をいたしました。紀陽銀行に関してもそうですが、明らかに株価操作があったと聞いております。どちらがより規模が大きかったのか小さかったのか、それは知りませんけれども、少なくとも即座にそういう調査要請をしております。私は、紀陽銀行も早くやるべきだと。それが県民の皆さんに安心していただけるための一つの手だてにもなるし、それを機会に経営内容は健全だということを知っていただく場にもなる、また再発防止のための手だてにもなると思います。そういう意味で、ぜひすべきだということを私は声を大にして申し上げておきたいと思います。
 それから、私は日ごろ余りこの本会議での当局の答弁に期待はしていないんですが、久しぶりに中村生活文化部長の答弁を心強く聞きました。行動計画に積極的に取り組むというご答弁でありましたが、ぜひとも一日も早く行動計画を策定していただきたい。我が国の地球における、世界における置かれた立場というのは、先ほどの質問で申し上げたように、日本一国で南米大陸全体よりも、あるいはアフリカ大陸すべてよりもCO2の排出量が多いのであります。それもかなり多い。それほど日本は、この地球の環境を守るために、温暖化防止のために課された責務は非常に大きいということが言えると思います。日本の中の和歌山であります。その一端を担う和歌山県として、やはり一日も早くこの行動計画を策定すべきだ、そしてさまざまな施策を実行に移すべきだということを、これも強く申し上げておきたいと思います。
 それから、教育長、ご答弁いただいてあれですが、最近私、自分の健康管理も含めて、いつも犬を連れて片男波に散歩に行くのですけれども、最近の若者のマナーの悪さというのは、本当に目に余るものがあります。例えば夏の間などは花火に打ち興じているわけですが、その後へ行ってみますと、海岸じゅうに食べ物や瓶、缶類が散らばっている。花火の燃えかすは、もう砂浜全体に散らばっている。本当にひどい状態であります。また、防波堤にはさまざまな落書きがあります。そういう現場を幾つも私は目撃して、何度か注意したこともございます。反発する若者もありました。素直に聞く子もありました。しかしいずれも、私服は着ておりますが、一見、明らかに高校生とおぼしき連中であります。そういう子供たちが何でこんなにマナーが悪いのか。日本人の特性で、一人だったらおとなしいのに集団になったらああいう行動に走るのかという気もしますけれども、学校でしっかり──もちろん、一番は家庭であります。家庭でしっかりそういうマナー、公徳心の教育をしてもらわなければなりませんけれども、やっぱり学校でもきちっとそうした環境保全のための教育というか、この地球は自分たちの地球なんだ、この地域は自分たちのものなんだ、この町は自分たちの町なんだ、だからきれいにするんだと。例えば、自分の家で自分の部屋はきれいにするけれども、廊下につばを吐いたりごみをほうったりしますか。道路というのは、それとやはり同じではありませんか。そういうことを子供たちに教えるべきだと。
 これはかつて小中学校用に発行された資料で、生活文化部の方で出されたものだと聞いておりますが、ぜひとも高校用の副読本ぐらいつくって子供たちに自分たちの問題として考える機会を持っていただきたい、取り組んでいただきたいとお願いしたいと思います。
 最後に、関西国際空港について一点だけ申し上げます。
 先般、知事も答弁の中で言われたように、我々高瀬委員長以下関西国際空港対策特別委員会の東京陳情で運輸省に対していろいろ意見を申し上げました。
 最近、私はある資料を読んでおりましたら、HSCTについて、いわゆるマッハ五で飛ぶ、二十一世紀の将来の早い時期に導入されるであろうという超々音速機の問題であります。この本会議で前にも申し上げたことがありますが、今の研究ではこのための国際スーパーハブ空港を世界に六つつくる。北米大陸に三つ、それからアジアに一つ、ヨーロッパに一つ、そして豪州に一つと、大体その六つになるであろうというのが研究の主流であります。そういうふうに資料で拝見をしました。
 このアジアのスーパーハブ空港の位置をめぐって、今、アジアでは熾烈な競争が行われております。そのことについては、もう何回もこの場で申し上げたのできょうは言いませんけれども、六千五百メートルの滑走路がそのためには必要だと言われておりますが、今、日本の中でそれに対応できるところは一つもないわけであります。確かに、スーパーハブ空港があるないで大きな差がある。もちろん、そのヒンターランドの市場の問題等々がありますから、空港があるだけですべて発展するとか、そうは言えませんけれども、日本というこの国の中に、特に関西周辺にHSCTのためのスーパーハブ空港ができれば関西の大きな経済発展の起爆剤になると思いますし、日本の発展にもつながる。
 そういう意味で、恐らく二十一世紀の早い段階に導入実現されると思いますので、そういうことを視野に入れた取り組みをしていただきたいし、その前に、当然のことながら第二期事業を早く実現をしなければなりません。私は前にも申し上げましたが、この二〇〇七年に、二期事業じゃなくて前倒しをしてでも全体構想を実現するぐらいの取り組みが当然だと思います。そうすることが、将来、HSCTのためのスーパーハブ空港づくりにも一歩早く踏み出せることにつながるからであります。
 幾つか申し上げましたが、すべて要望にいたします。どうぞ、よろしくお願いします。ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(木下秀男君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時五十七分休憩
      ─────────────────────
  午後一時二分再開
○副議長(阪部菊雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(阪部菊雄君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番野見山 海君。
  〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○野見山 海君 通告に従いまして、三点ほど一般質問をさせていただきます。しばらくの間、おつき合いを願いたいと思います。
 最初に、最近の事件における教育現場の対応についてお尋ねします。
 先進国の一翼を担ってきた我が国は、バブル崩壊とともに税収の落ち込み等により国の財政や地方自治体の財政も厳しい状況にあり、景気回復の兆しも一向に見えてまいりません。日本の大手企業の総会屋への利益供与問題や我々が予想もしなかった銀行、証券会社の相次ぐ破綻により、投資家や預金者に与えた影響ははかり知れなく、地域によってはパニック状態にもなりました。これらの影響で多くの失業者が出て、失業率は三・五%にも達しました。一日も早い失業者対策と景気の回復が望まれるところであります。こうした金融、経済不安とあわせ、連日のようにテレビ、新聞等で報道されている家庭内暴力事件、保険金目当ての殺人事件、そして私どもが大きなショックを受けた神戸の小六男児殺害や奈良県の中学生誘拐殺人事件など、今日の社会不安を映し出すような凶悪犯罪が多発しております。
 そして、まさか本県で起こるまいと思っていたやさきに起こった、粉河町内での同じ団地に住む顔見知りの男性による小学校一年生大石資恵ちゃん殺害事件は、県民はもとより、全国の同じ年ごろの子供を持つ親にとって大きな衝撃を与えました。子供たちであれば、だれもが近所の大人たちを何事も信用するのではないでしょうか。この殺害事件によって、子供たちの大人に対する信用はゼロに等しいと言っても過言ではありません。
 こうした事件の再発防止には、地域住民の協力や家庭内における話し合い等さまざまな角度から取り組まなければならないと思うのであります。特に教育機関として、今回の事件に関してどのように受けとめ、またこの種の事件から子供を守るためにどのような対処をされるのか、お伺いするものであります。
 これまた、新聞、テレビ等で報道された大人の信用を失墜させる出来事がありました。熊野高校において、まして教師という立場にありながら、生徒にトコブシ、マツタケ、シシ肉等の持参を強要し、生徒の成績評価をするといったことで、私には到底理解できないところであります。この件に関して、今日までの出来事の背景はどうであったのか、また教師の信頼回復と再発防止のため今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
 この熊野高校は、ことしラグビーの和歌山県代表として出場するなど、生徒たちは一生懸命に頑張っているのであります。私は、一日も早く正常に戻ってほしいと願っている一人であります。
 続きまして、地球温暖化防止対策についてお伺いいたします。
 現在、地球環境は深刻な状況となっております。今、何らかの対策を打たなければ取り返しのつかない事態を招くと、多くの学者、住民によって指摘されているところであります。私は、現在の環境問題は私たち一人一人の暮らしと密接に結びついた問題であり、この課題に真っ正面から取り組んでいかなければならないと考えるのであります。今日、国際的な環境問題への意識が高まっている中で、我が国だけが国際ルールに従わず、これまでのようなぜいたくで無計画な経済活動を続けることが許されなくなってきています。環境問題への対応が二十一世紀を生きる人々の信頼とモラルまで問われる時代になり、ライフスタイルの大転換が求められる時代が到来したと思うのであります。
 さて、十二月一日より京都で地球温暖化防止京都会議が開催され、地球環境問題について国際的な関心が高まっています。あすで終わる会議では、地球温暖化防止目標については最終の詰めに入ったと報道されております。私は、先進国がみずから姿勢を示して、途上国にも一層の削減の理解と協力を求めるべきであり、また私たち一人一人が環境問題にも無関心であってはならないと思うのであります。
 九月四日付の朝日新聞によりますと、朝日新聞社が四十七都道府県と十二の政令指定都市を対象にアンケート調査をした結果、既に五十の自治体が温暖化防止行動計画を定めており、温暖化の原因となるCO2の削減について、七つの自治体が国の行動計画より厳しい目標を掲げていると報じております。中でも本県と同じ観光立県と言われる大分県では、平成五年三月末に大分県地球環境保全基本方針を掲げ、策定委員会で多くの意見をまとめ、県民、企業、行政の三者のそれぞれの役割分担のもとで、平成六年三月に地球環境保全計画が策定されたと伺っております。
 私たちは、大気、水、植物などが微妙な均衡を保ちながら、自然環境の恵みを受けて生活をしております。このすばらしい本県の姿を次の世代に引き継いでいかなければならないと思うのであります。こうした状況のもと、本県における地球環境保全の施策と温暖化防止対策をどのように進められるのか、お伺いしたいと思います。
 地球温暖化の実態は、一般に考えられているよりはるかに深刻ではないでしょうか。EUは温暖化防止対策に数値目標を設定して国を挙げて積極的に取り組んでいますが、我が国は一歩も二歩もおくれています。私は、行政、住民、職場、学校での日常業務の中でできる温暖化防止の対策はないのかと考えるわけであります。
 例えば、いま一度、省エネの施策また県の備品などについても、リサイクルシステムが確立されているかどうか県行政業務全般にわたり点検すべき段階に来ていると考えるのであります。大量の電力を消費する自動販売機の設置についても、公共施設内での設置の見直しなど、官庁内での省エネ対策を推進することが大切であると思います。さらに、田辺市の総合福祉センターで導入された太陽光発電を県の施設も導入するなど、県が環境問題に積極的に取り組んでいる姿を示すことが必要であると思います。
 次にアイドリングの自粛でありますが、自動車の普及台数は年々ふえ続け、朝夕のラッシュ時や観光シーズンともなれば渋滞で地域の住民に迷惑をかけており、さらにCO2の排出量が増加する原因にもなっております。赤信号時のアイドリングストップは今のところ難しいでしょうが、せめてそれ以外のアイドリングについては自粛できないものでしょうか。
 先日のことでございますが、ある方の告別式が御坊市でとり行われました。議長の専用車である黒塗りの公用車が次々と乗り入れられ、参列者に向かってこのうち何台かの車がアイドリングをして、車の中で寝る者、新聞を読む者、本当に不愉快な思いをした一人であります。私は、こういう非常識なことのないように、公務員みずからが自粛しなければならないと考えるものであります。このアイドリングについては、兵庫県は罰金つきアイドリング規制条例を設け、公用車の電気自動車やアイドリングストップバスの導入を始めていると伺っております。
 次に、県民や学校の生徒児童にどう働きかけるかという課題でありますが、静岡県では、平成八年度より環境情報誌「エコロジーしずおか」を年四回発行して、環境問題についての解説、家庭生活での環境に優しい取り組みの事例を紹介していますが、本県では県行政を含め、県民に対してどう取り組もうとされているのか、お伺いいたします。
 また、六月に実施された朝日新聞の世論調査によりますと、地球環境が悪化するのを防ぐためには生活が不便になっても構わないという回答が、不便になるのは困るを上回っており、環境問題への国民の関心の高さを知ることができますが、年代別に見ると、二十代前半の若者はその逆で、不便になっても構わないより、不便になるのは困るの方が上回っており、環境に無関心で、自分だけはぜいたくしたいという若者気質が読めるようで、学校教育の大きな課題でないかと思います。
 そこで、現在、学校では環境問題、人間と自然とのかかわりなどについてどのような教育がなされているのか、お伺いするものであります。
 CO2削減についての新聞記事を紹介します。十一月四日の読売新聞和歌山県版でありますが、海南市の平岡さんら七人グループが、東南アジア原産のケナフという植物を植えて普及させようという記事が掲載されておりました。それによりますと、ケナフはアオイ科の一年生植物で紙の原料になるだけなく、CO2吸収量は広葉樹の五倍にも達すると言われ、高さは五メートルになる植物であると紹介されています。
 このケナフを県の温暖化防止のシンボルとして県道わきの空き地などに植えて、県が温暖化防止に積極的に取り組んでいる姿を県民にアピールしてはいかがでしょうか。安心して暮らせる二十一世紀を子供たちに残すため、大人の信頼回復のため、一人ができることは小さなことであるかもしれませんが、まず身近なところから、一人一人のささいな行動から行政が率先して取り組まなければならないと思うのでありますが、県の今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
 続きまして、南紀熊野体験博の成功に向けて質問させていただきます。
 和歌浦湾約四十三ヘクタールを埋め立てて造成した和歌山マリーナシティにおいて、平成六年夏、世界リゾート博が開催され、七十二日間の入場者は約三百万人に達し、大成功に終わりました。その後、記念行事として開催されている平成七年夏の光の回廊ルミナリエ、平成八年の和歌山サマーイルミネーション、平成九年の和歌山ソレイヨンと、それぞれ約三十万人の来場者を記録し、盛況であったと伺っております。これからも、和歌山マリーナシティのさらなる充実を願うものであります。
 さて、平成十一年四月二十九日から九月十九日まで百四十四日間にわたり、南紀熊野地域を中心に開催するジャパンエキスポ・南紀熊野体験博・リゾートピアわかやま99が計画され、それに向けた実施計画書が去る十月にでき上がり、各市町村での取り組みが具体化してまいりました。その実施計画書の中で、「南紀熊野に代表される地域は、古代から、人々がこころとからだの癒しを求めてきた場所であり、その価値は二十一世紀を迎えてますます高くなろうとしている。この地域の自然と歴史は、まさに、私たちの求める二十一世紀のリゾート環境である」と述べ、心のリゾート実感を追求すると主張しております。
 紀南に住む一住民としても、この南紀熊野体験博が南紀熊野の再発見につながり、日本人の心のふるさととして見直される一つのきっかけになればこれほどすばらしいことはなく、ぜひ成功させなければなりません。
 そこで、熊野博にかける熱意を、まず知事にお伺いいたします。
 基本方針にも掲げられているように、熊野博を成功させるためには「住民主導を基本とする」ということであります。住民が進んで参加し、住民みずからが南紀熊野のよさを再発見し、博覧会を盛り上げ、そして開催してよかったと言える取り組みができるかが成功のかぎとなると思うのであります。
 今、地元では熊野の語り部を養成するということで、地元の研究者を招いて熊野の学習会を続けられています。また、それぞれの地域においてもボランティアの方々が中心になり、地域イベントの取り組みをされているのであります。熊野博を形式的なものに終わらせることなく、こういう地道な住民主体の活動が最も大切なことであると思います。
 この際、私は、学校教育、社会教育を通じて郷土の歴史を学び、文化活動をつくり出していくべきだと考えますが、成功のかぎを握る住民主導の熊野博をどのようにつくり出していくのか、お伺いするものであります。
 リゾート博のときもそうでしたが、交通アクセスが課題になり、道路の改良、案内板の設置等や、一定の駐車場を確保しシャトルバスの運行等を実施した結果、大きな混乱はなかったように記憶しております。やはり、今回の熊野博実施に当たっても同様の対策が必要不可欠であると思います。
 そこで、熊野博に向けて整備が進められている各種道路、国道三百十一号、県道田辺白浜線、龍神中辺路線等の進捗状況はどうか。一番心配されるのは、拠点として位置づけシンボルパークとなる田辺市の新庄総合公園周辺の駐車場の確保、アクセス道路の整備、また那智勝浦町のシンボルパーク周辺の駐車場の確保と国道四十二号から那智山への県道の整備はどのようになるのか。また、道路整備とあわせて、県内外から訪れる方々のためにわかりやすい道路標識、案内板の設置、さらに渋滞緩和のため、バスのフリーパス券発行等により公共交通機関の利用促進を図るなどの対策が必要かと思いますが、どのようなお考えをお持ちか、お伺いするものであります。
 熊野博は約二百万人の参加を目標とされていますが、白浜空港のジェット化で東京・白浜間が一時間で結ばれるようになり、大変利用しやすくなりました。関東方面においても、積極的なPR活動を期待するものであります。また、福岡便も一周年を迎えましたが、この間の平均利用率は三〇・二%であり、YS一一機が就航している全国十五路線の中で最低であり、新航路の開設をお願いした一人として申しわけない気持ちでいっぱいであります。この航路も来年一月以降は運休となりますが、九州方面へもぜひとも積極的なPR活動と福岡便の継続に向けて努力をする必要があると思います。また、紀南地方出身の歌手の坂本冬美さんや天童よしみさん、そして中辺路町高原にお住まいのイーデス・ハンソンさん等の著名人にもご協力いただくなど、あらゆる方法で積極的なPR活動を展開する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 今、JRにおけるSL列車は、山口線小郡・津和野間のSLやまぐち号、豊肥本線・熊本・宮地間のSLあそBOY、北陸本線・米原・木ノ本間のSL北びわこ等があり、民間鉄道では大井川鉄道で東海道線・金谷・千頭間のSL急行が運行されていて全国的に人気があり、多くのSLファンが訪れると聞いております。また最近の動きでは、四国のJR予土線・土佐大正・宇和島間でSL牛鬼号が八年ぶりに運行されたそうであります。
 そこで私は、あの熊野の海岸沿いを走るSL列車、例えばSLくまの号と称して、南紀熊野地域の夢と心を運ぶような気がしますが、実現させてみてはいかがでしょうか。
 また、SL列車の運行とあわせ、それぞれの駅で特色のある駅づくりを行いたいものであります。博覧会に先立ち、来年七月にはJR那智駅が増改築され、地域の発展と定住促進を図るため温泉つきの交流センターとして衣がえします。また、既にJR見老津駅では水族館つきの待合室が登場し、多くの方々が訪れていると聞いております。さらに、熊野古道中辺路ルートの玄関口である上富田町のJR朝来駅では、駅舎の一室を地元の社会福祉法人が借り上げ、在宅のお年寄りの看護を支援する訪問看護ステーションとしての活用を本年の九月八日からスタートさせました。住民の人気は上々であり、無人駅での医療福祉面への活用は全国で初めてで、地域の活性化、無人駅の防犯につながり、訪問看護駅に厚生省も注目しているところであります。今、看護婦さんたちの協力で駅周辺の美化に懸命の努力をされておりますが、看護婦さんの今の悩みはトイレの改修をしてほしいということであります。進んで掃除をされるそうですが、水洗トイレでないだけに衛生面で問題があり、トイレの改修実現のために県においても最大限の努力をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
 以上をもちまして、第一回の質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの野見山海君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 野見山議員にお答えをいたします。
 南紀熊野体験博に関連してでありますけれども、私はかねがね申し上げておるところでございますが、この南紀熊野体験博の開催の意義は、日本の原郷である熊野地域を象徴的に取り上げて、すばらしい自然の中で歴史、文化をはぐくんできた和歌山県は日本人の安らぎの地であること、同時に日本人の心のふるさとであることを国内外に情報発信していくことだと思っております。さらに、本県の持つ特性であるリゾート性は、物の豊かさより心の豊かさが一層求められているこれからの時代に、ますますその価値を高めていく未来志向であることも訴えていきたいと思っております。
 この南紀熊野体験博の特色は、従来の博覧会とは異なる広域開催型、オープン型の博覧会でございます。こうした博覧会を進めていくことは、地域の人々がみずからの手で地域のすばらしさをアピールするとともに、ふるさとへの誇りと愛着を深め、またその取り組みを成功させることで地域の担い手としての自信を深めていただくことだと思ってございます。
 先般、那智勝浦町の色川地区に行ってまいりました。その折に住民の方から、かつて源平合戦で敗れて色川の地に来た平維盛を温かく迎えたその土地柄、色川の地をこの際、再度表現をしたいというお話も出ておりました。そういう住民主導の取り組みこそが町おこし、地域づくりそのものでございまして、二十一世紀の本県の飛躍の原動力になるものと考えております。県民の皆様方一人一人のご理解とご協力を得ながら、成功に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(阪部菊雄君) 生活文化部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 野見山議員にお答えをいたします。
 県の地球温暖化防止対策についてのお尋ねでございます。
 地球温暖化防止対策につきましては、六月の環境月間を中心として地球温暖化防止をテーマとした記念講演会の開催、街頭啓発の実施、環境庁提唱の四つのチャレンジ運動や百万人の誓いへの参加呼びかけ、さらには、一、不必要なアイドリングをやめる、二、暖房温度を二十度以下にする等の取り決み、啓発に努めているところでございます。今後は、二酸化炭素等、温室効果ガスに関する削減目標やその方策等に関する京都会議での結果を踏まえ、県環境基本条例に基づき、策定する環境基本計画の中で本県の地球温暖化防止のための具体的な施策について取りまとめ、積極的に対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、県民への環境保全に関する働きかけについてでございますが、これまで啓発用冊子の「暮らしと環境」や環境白書要約版である「和歌山県の環境」を定期的に発行するなど、環境保全への普及啓発に努めているところでございます。
 最後に、地球温暖化防止に関する県の今後の取り組み姿勢についてでございますが、地球温暖化問題は二十一世紀の人類に課せられた大きな課題の一つとして考えられており、これに効果的に対処していくためには、国民、県民の皆様方がそれぞれの立場に応じて、みずからの問題として省エネルギーなどさまざまな対策に取り組んでいく必要があると認識をいたしてございます。
 本県といたしましても、本年十月に制定された県環境基本条例の趣旨を踏まえ、今後、環境基本計画を策定するとともに、庁内での自主的な取り組みを初め、地球環境保全の推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に南紀熊野体験博の成功に向けて、まず住民参加を目指してというお尋ねでございます。
 南紀熊野体験博では、リゾート体験イベントという従来の囲い込み型の博覧会ではできないイベントを実施していきたいと存じます。
 例えば、カヌーによる川下りや備長炭づくりといった地域の特性を生かしたさまざまな体験を提供することにより南紀熊野地域のすばらしさを知ってもらおうとするものでございまして、このイベントこそ南紀熊野体験博の中でも私たちが最も重視しているものでございます。その実施主体になる地域の体験博実行委員会には、地元行政だけではなく、さまざまな分野で活躍する住民の方々に参加いただいているところでございます。
 また、議員のお話にもありました熊野古道の語り部には西牟婁・東牟婁で百数十名の方が積極的に参加していただいてございますし、自然観察ボランティアや森林アニメーターなどの自然のすばらしさを学び、実践されている人々も大勢ございます。体験博においては、このような専門知識を身につけられた方のみならず来訪者を温かく受け入れていただくために、例えば来訪者に体験博の内容や交通手段を尋ねられたら、だれもが親切に受け答えできるような工夫も検討していきたいと考えてございます。今後とも、地元市町村等に働きかけ、地域の方々の主体的取り組みを進めていきたいと考えてございます。
 次に交通対策についてでございますが、南紀熊野体験博の期間中に多くの来訪者をスムーズに迎え入れるためには、南紀熊野地域への交通手段の充実とアクセス道路の整備、及び駐車場の確保が非常に重要なことであると考えてございます。このうち駐車場につきましては、シンボルパークを初め、それぞれの地域において来訪者の利便性に配慮した適切な場所に必要な台数分が確保できるよう現在調整を進めているところでございます。
 次にPR活動についてでございますが、南紀熊野体験博はオープンエリア展開の博覧会でございますので、和歌山リゾートの魅力を広く国内外に情報発信することが大切であると考えてございます。そのため、南紀熊野体験博の広報宣伝は、議員ご指摘の九州方面とともに、近畿圏、首都圏、中部・東海方面などに対し、テレビ、ラジオ、新聞等による広域的な展開を行いたいと考えてございます。また、インターネットによりイベント情報を提供するほか、和歌山県の魅力に思い入れの深い本県ゆかりの著名人にもご協力をいただきながら、プレイベント、キャンペーン活動等、地域、年代等に応じた、きめ細かく、かつ効果的な広報活動に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 最後にSL列車の運行についてでございますが、議員のお話にもありましたように幾つかの事例がございますが、おおむね好評を博していると伺っております。
 JR西日本には、南紀熊野体験博に向け、特急列車の運行強化やイベント列車の運行など、交通アクセスの充実を初め、広報宣伝の分野やイベントの実施など種々働きかけているところでございますが、今後、SL列車についてもJR西日本との協議テーマの一つに取り上げていきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 企画部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 野見山議員にお答え申し上げます。
 南紀熊野体験博の集客並びに参加者の円滑輸送、利便性の向上の面において公共交通機関の活用は極めて重要な課題であるとの認識のもと、JR西日本並びに関係バス会社に増便及び路線延長等を働きかけてまいってございまして、既に各事業者においても熊野博関連の輸送対策が検討されております。
 議員ご提言のバスのフリーパス券の発行についてでございますが、現在、JRタイアップのフリー切符や期間、路線の限定つきで各社ごとのフリー乗車券を発行している事業者もあることから、熊野博期間中に使用できるフリー乗車券の発行についても各事業者に働きかけてまいりたいと存じます。
 無人駅の施設が地域に密着した各種施設として活用されている事例が、議員ご指摘のとおり県下各地にございますが、施設の有効利用、防犯面はもとより、地域活性化の面でも効果が期待できることから、今後とも地元自治体の創意、意向に沿った形で有効活用できるよう、県といたしましてもJR西日本に働きかけてまいりたいと存じます。
 議員ご指摘の朝来駅のトイレの改修についても、JR西日本に対して強く要望してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 野見山議員にお答えいたします。
 南紀熊野体験博の交通アクセスについてでございますが、まずメーンルートとなる国道三百十一号は、現在、上富田町、中辺路町及び本宮町の三工区において工事を全面的に実施しており、平成十年度末に完成予定であります。県道関係では、龍神中辺路線の熊野川トンネルを含む一キロメートルのバイパスが平成九年度末に完成予定であり、残る水上地内の学校橋を含む〇・二キロメートルのバイパスについても平成十年度末に完成予定であります。
 次に、シンボルパークとなる田辺市新庄総合公園へのアクセス道路である白浜町堅田地内から田辺市新庄地内までの六百八十メートル間については、本年度に着手しており、平成十年度末の完成を目指し努力してまいります。
 さらに、那智山勝浦線については既に二車線が確保されておりますが、大型車の離合困難な一部のところについて平成十年度中に改良を実施いたします。
 また、建設省が管理している国道四十二号田辺バイパスについては、田辺市新庄地内での田鶴交差点までの四車線化工事が平成十年度末には完成するよう国に働きかけてまいります。
 また案内板の設置につきましては、県内外より訪れる方々が、それぞれ博覧会場にスムーズにご来場いただけるよう、本年度より広域移動に対応できる、わかりやすい系統立った道路案内標識の整備を図ってまいります。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題三点についてお答えいたします。
 まず粉河町における少女殺害事件についてでございますが、教育委員会においては、本年五月二十九日に、神戸市須磨区の事件などを受け、園児、児童生徒の安全の確保及び通学路等における事故防止について通知を出し、登下校の安全確認、警察の協力によるきしゅう君の家の活用など、子供の安全の確保に各般の努力をお願いいたしてまいりました。こうした中、このたび日ごろ顔見知りの近隣の住民によって事件が引き起こされたことについて大きな衝撃を受けております。
 教育委員会といたしましては、事件発生後、直ちに子供の安全の確保等について通知を出し、各市町村教育委員会やPTA等において事故の再発を防止するため、子供の安全の確保について関係機関、団体等との連携を図るよう指導したところでございます。また、県の関係機関連携推進会議を早急に開催し、具体的な協議を行い、この事件による子供の不安を取り除き、地域社会全体で子供を守り、育てていく体制づくりを進めていくことが重要であると考えております。
 次に、熊野高校の問題についてお答えいたします。
 まず、今回の出来事が全国的にも大きく取り上げられ、本県の高校教育に対する信頼を傷つけたことに対しまして、教育委員会の指導の不十分さを深く反省し、おわび申し上げます。
 この問題の背景についてでありますが、生徒に対する指導は、全教職員の共通理解と連携、協力のもとに、生徒に汗してかかわっていくことが大切であります。この点で、同校の取り組みは十分であったとは言い切れない面がございます。また、当該教員の資質や認識の問題とともに、校長、教頭がその指導の実態を十分に把握できていなかったことに加え、学校運営上の不十分さがあり、問題発生当初の対応のおくれにもつながったと受けとめております。校長の報告を受けて以来、事態を重く受けとめ、再三にわたって関係職員を派遣するとともに、十一月二十日には同校での現職教育に関係課長、指導主事等を派遣し、指導、助言を行ったところであります。さらに十一月二十七日には、県立学校長と生徒指導部長の合同会議を臨時に招集し、指導の徹底を図ったところでございます。また、関係教員を初め、監督の立場にある校長、教頭に対しては、十二月五日に処分を行い、厳しく指導したところでございます。
 今後、教師の信頼回復と再発防止については、今回の出来事が生徒、保護者、地域社会に大きな動揺を与えたことを同校の教職員がみずからの問題として受けとめ、生徒一人一人を生かし切るために、一致協力体制のもと、PTA、同窓会等の支援を得ながら、活気のある学校づくりを進めることが肝要であると考えます。さらに、県下の教職員のモラルと資質の向上を図るため、管理職に対する指導や教職員に対する研修の充実、日ごろの教員同士の人間関係や自発的な研さんなどを一層重視し、教育に対する県民の信頼を損なうことのないよう努力してまいる所存でございます。
 最後に、学校の環境教育についてお答えいたします。
 各学校では子供たちの発達段階に応じた取り組みが行われており、小学校では自然に対する豊かな感受性や環境に対する関心等を培うために、アサガオの栽培や自然観察などさまざまな体験活動が実践されています。中学校、高等学校では、社会経済システムや生活様式と環境問題のかかわりなど理論的な学習に発展させ、課題研究などにおいて、生徒は大気汚染や水質汚濁、環境とエネルギーなどをテーマに、グループや個人で主体的な研究に取り組んでございます。また、小・中・高等学校を通して、環境保全に関して実践的な態度を身につけることを重視し、特別活動などでリサイクル活動やクリーン作戦などが実践されております。地球的規模で重要な課題となっている環境問題は、今後、家庭、地域に対する啓発の取り組みとも一体となった指導を推進していく必要があると考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 30番野見山 海君。
○野見山 海君 各答弁ありがとうございました。
 先日また、和歌山市内における母親殺し、あるいは四歳児を両親がせっかんして死なせたという記事が新聞に載っておりました。毎日毎日こういった記事で、今日の社会、歯車が狂っているような気がしてなりません。
 私は、学校、地域、家庭という連携が必要であろうかと思いますが、何をおいても家庭内における親と子のかかわりということが一番教育の中で大事ではないだろうかと思います。今、私も含めてでございますけれども、家庭内で子供が悪いことをしたときに、よう怒らんというのが実態ではないかと思います。やっぱり、悪いことをしたときには親がしかるということが大事ではないだろうかと思います。学校の先生も大変だと思いますけれども、学校の先生も生徒との信頼関係がなければならないと思います。先生の資質、研修を重ねることが大事であろうかと思いますので、どうか総合研究センターですか、一日も早い実現をぜひともお願いしておきたいと思います。
 続きまして、温暖化防止対策についてです。
 それぞれ県下の中では取り組みをされておると思いますが、なかなか表に出てまいりません。我々議会といたしましても議会改革検討委員会という委員会が設置されまして、この中でもいろんな論議をされようかと思います。そういった意味で、行政の中でもできることから一歩一歩、一つ一つ、この温暖化防止に取り組んでいただきたいことを強く要望しておきたいと思います。
 最後に南紀熊野体験博、ぜひともこれを成功させていきたいと思いますし、私も微力でございますけれども、地域の住民として一生懸命頑張っていく決意でございます。このことで地域の住民の皆さんと都会に住む皆さん方とのつながりがより深くなり、過疎地域の果物、野菜、あるいは今はやりの自然水といったことで都会とのつながりも出てくるんじゃないか、販売が出てくるんじゃないか、地域がまたそのことによって活力を生む状況をつくり出すのではないだろうかと思いますので、ぜひともこの南紀熊野体験博の成功に向けて皆さんとともに頑張ることを約束して、終わります。ありがとうございました。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で野見山海君の質問が終了いたしました。
○副議長(阪部菊雄君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 早速、質問に入らせていただきます。
 まず、看護婦問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 看護婦不足が社会問題となって久しいところです。今は国民的共通の願いとなって「看護婦ふやして」と、共同した運動が広がってきました。看護婦不足は単に看護婦だけの問題にとどまらず、国民や病院にとっても、健康と命を守る上からも、重大かつ緊急課題と言えます。しかし、国の福祉、医療切り捨て政策によって、一向にこの実現はできません。国がみずから決め、国立病院に出された人事院制定「夜勤は複数、月八日以内」も、三十二年を経過した今においても実行されていないばかりか、十六時間という長時間勤務を強いる二交代制を導入して人員をふやそうとしない、極めて無責任な国の姿勢であります。
 職場の実態は、医学、医療技術の進歩とともに、新しい医療機器も複雑で高度となっており、患者も重症化、高齢化が進み、看護婦の仕事はこれまで以上に精神的にも肉体的にも緊張の連続が続いています。十分な休憩もとれず、残業で長時間労働が当然という状態です。夜勤回数は月九回から十回、時には欠員で十一回から十二回になることもたびたびです。切迫流産、早産など、異常出産も依然としてあります。多くの看護婦は、仕事と家庭の両立が厳しくなって、いつでもやめたいと思っています。疲労の回復が悪くていらいらすることが多い。夜勤労働の厳しさと長時間過密労働に、今、医療事故や過労死がいつ起こっても不思議ではないと、職場の殺人的実態に私は背筋の寒くなる思いをいたしました。年休をとるとボーナスから減額されるので我慢している、こういった厳しい条件のもとでも看護婦たちは、看護婦の仕事は好きで何とか働き続けたいと思いながらも、健康を損ない、自信を失って退職していく人、流産して悲しい思いで退職していく人が後を絶ちません。夢と希望を抱いて、いざ職場へ、しかしその職場の余りの多忙さと厳しさに耐え切れず、若い看護婦が一年、二年で退職してしまい、再び看護婦に戻らない人も多いと聞きます。これでは、幾ら養成しても悪循環です。経験豊かな専門職が確保できない要因であり、看護婦不足を生み出す大きな要因でもあると私は思うのです。職場のこの実態の解決を後回しにすることは、もう許されないことです。私は、看護婦不足を解決するためには、第一に看護婦の養成数を計画的にふやすこと、第二に離職防止のための待遇改善を急ぐこと、そして退職者が再び働ける条件整備や援助をすることだと考えます。
 本県はこの間、看護短大、県立なぎ看護学校の建設、既設校の定員増や院内保育所として共同保育所の設置、院内保育所に対する運営費補助の創設と看護学生に対する修学資金制度の創設と、積極的に取り組んでまいりました。やっと近畿各府県に肩を並べるまでに前進はしたものの、まだまだ不十分です。しかし、この努力については評価をしたいと思います。しかし、解決には引き続き、県として県民の願いを実現するために、あらゆる方法を計画的に進められることを強く期待するものです。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをしたいと思います。
 一九九一年三月三十日、厚生省は、看護職員需給見通しの見直しをするよう各都道府県に通知をしてまいりました。その需給見直しに当たっては、二つの条件をつけました。一つは九三年度末までに週四十時間労働制を実現すること、二つに夜勤は複数月平均八日以内にすることを踏まえたものにするよう指示をし、それに従って本県も見直しをされました。その到達の見通しはいかがなものでしょうか。看護婦の職場は多忙をきわめ、今や夜勤は三人、四人で、夜勤回数は月六回の必要性を現場は求めていますが、これを基準にして見直しをするお考えはありませんか。
 この厚生省通知の複数夜勤月平均八日以内の実現の指示を考えてみますと、複数夜勤月平均八日というのは、十年後、すなわち二〇〇〇年、平成十二年度末で実現をするという意味です。残りはあと三年ですが、現状はどこまで進んでいるのでしょうか。県下には、「病院」と名乗っている九十四の病院があります。その九十四の病院はどのような達成状況にあるのでしょうか、お聞かせ願います。
 看護婦確保対策として、看護婦養成が行われてまいりました。一般的には看護学校と呼ばれていますが、この看護学校に入学する条件に、病院に勤務することを義務づけたり、学校卒業後一定期間勤務すること、一定期間働かないと退職を許さない、また奨学金とは別に卒業後一定期間働かない場合は違約金を取る、いわゆるお礼奉公の問題が指摘をされ、随分社会問題になりました。とりわけ准看学生には、資格がないにもかかわらず、看護行為である導尿や注射、採血などを一般的に行わせていました。これらについては、労働基準法や保助看法違反に触れるおそれがあると社会的にも指摘をされ、国は改善の方向でそれぞれの法的措置を考え、その方法を関係機関に通知されたところです。この実態は、日本じゅうで長い間、常態化していました。にもかかわらず放置されてきたもので、改善されたことは大変うれしく思うところです。こうした実態が明らかになったのは、日本医労連の看護婦一一〇番です。その後、看護協会などの調査でもこの実態が明らかにされ、そしてマスコミもお礼奉公問題として大きく報じました。改善への一助となったところです。県は、学生の教育環境の整備充実と、各関係へのなお一層の監督と指導を強化されなければなりません。
 さて、職場の実態などを私なりに申し上げてまいりましたが、福祉保健部長、あなたは直接的な責任者としてどのような認識をお持ちなのでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、看護職員修学資金制度についてお尋ねをいたします。
 この制度は、看護職員の確保と充実を図る目的で看護学生を対象に貸与される制度です。将来、県内で看護職員として働く者に対して貸与するものです。国の修学資金と県の修学資金の二種類、貸与対象人員は各学校定員の一五%程度。国の修学資金は看護短大と南紀高校専攻科については対象外となるため、平成元年に県単独事業として創設されたものです。いずれも看護職員充足対策であります。この一五%の人員枠は、希望するすべての申込者が貸与を受けられているのでしょうか。申し込みから外れた場合の救済措置はあるのでしょうか。担当者は二〇%までの枠拡大を国に求めていると聞いているところですが、申し込みたくても申し込めないで困っている学生はいませんか。県の修学資金制度における対象拡大はできないのでしょうか。希望する学生には全員貸与することこそ看護婦確保につながるのではないでしょうか。福祉保健部長のご所見をお聞かせ願います。
 次に、阪和線紀伊駅周辺の道路整備についてお尋ねをするものです。
 和歌山市北東部に位置するこの地域は、住宅開発と田園風景の広がるのどかな地域です。この紀伊駅を囲むように、近年、特別養護老人ホーム、ケアハウスといった福祉施設、黒潮作業所や知的障害者の通園施設や障害者施設、県立盲学校に和医大、そして近い将来には和医大移転跡に県立養護学校の建設も予定されているなど、福祉ゾーンが形成されているのが特徴的な地域でもあります。また、紀伊駅を基点に半径二キロ平方メートル以内には五千八百三十一世帯、一万八千百七十七人が暮らしており、大阪方面への通勤圏ともなっています。そして、紀伊駅は交通の拠点で、遠くは貴志川、桃山、岩出、打田などのサラリーマンも利用するところです。一日平均の乗降客は八千三百人と、大変多い駅となっています。ちなみに、和歌山駅に次ぐ県下二番目に利用者の多い駅ともなっているのです。
 道路は、駅前を東西に走っている県道粉河加太線が幹線道路であり生活道路でもあります。この県道は両側に商店街が立て込んでおり、その上、側溝、電柱が二十メートル間隔で立っているため、幅七メートルほどの狭い道路は、人、車、単車、自転車の往来に、渋滞と混雑をもたらしています。雨の日は一層ひどくなり、傘を差して歩けないばかりか、買い物さえ安心してできない状態が約三百メートルにもわたっています。また、高齢者や障害者などハンディキャップを持つ人々が安全に利用できる道路とは到底言えません。特に駅前広場は県道そのものが広場になっているため、朝夕のラッシュ時間帯は、バス、タクシー、送迎用の乗用車、それに県道を走るダンプトラックなど、危険きわまりないひどい混雑ぶりです。バス停から駅への横断にも命がけとなります。
 この状況を改善しようと、地域の方々が「安心して利用できる紀伊駅を考える会」を結成し、駅利用者に二日間にわたってアンケート調査を実施いたしました。千四百八十枚配布し、約三分の一に当たる四百九十七枚が回収され、紀伊駅に対する要望が出されました。また、周辺開発についても数多くの要求が出されたところです。紀伊駅に対する要望では、階段にエスカレーターやエレベーターの設置、スロープの設置や車いすを利用できる駅になどの改善が主なものでありました。そして、駅前広場を広げてほしい、県道を拡幅して安心して利用したいと切実な声などが、六百三十五項目にもわたって寄せられています。既に、和歌山市を初めJR和歌山支社、和バス、那賀バスなどにも改善への協力を申し入れ、懇談もしてこられました。その中で、紀伊駅のトイレの改善、待合所の増設、バス時間の変更など、一定の改善は進んでまいりました。十一月二十日、西口知事にもこの会から改善策を求めたところでございます。
 アンケートの多くは、駅を含めた駅前再開発を求める声です。主体的には、町づくりという点から見れば和歌山市でありましょうが、県道粉河加太線の交通渋滞、道路拡幅対策は県の仕事です。どのようにお考えですか。
 また、西脇山口線のこの地区に係る具体的計画はどうなっていますか。土木部長、お聞かせください。
 次に、関西電力株式会社の問題についてお尋ねをいたします。
 私は、一九九二年、十二月の定例議会において、関西電力が行っていた既婚女性に対する嫌がらせや退職強要をしている問題を取り上げましたが、当時、仮谷知事は、県として関電に対し適切な指導をするよう担当部長に指示しておるところと述べ、同じく中西商工労働部長は、管理の改善に万全を期されるよう会社側に申し入れた、女子労働者の安心して働ける環境づくりに努力する旨の答弁を行ってまいりました。その後、関電では、和歌山支店の管内ばかりでなく会社全体でも改善が行われ、働く既婚女性がふえていると聞き、大変喜んでいます。
 知事は、この七月に関西電力の二つの発電所建設に同意をされました。日本共産党は、火電建設が住民の同意を得ていないことや環境悪化につながる問題、地球温暖化に拍車をかけること、そして梅の生育障害との関連で、御坊第二火力については梅生産農家の意見を尊重するように求めてまいりました。しかし知事は建設同意をしたわけですが、いろいろ問題はあっても法の定める手続に従って進められているものと考えます。ところが、この関西電力が、そこで働く労働者の思想、信条の自由を侵し、その是正を求める最高裁判所の判決が出たにもかかわらず、それに従わず、会社の決定が最高裁判所を上回るという態度をとっています。
 以下、具体的に述べてみたいと思います。
 一九七一年、昭和四十六年四月、関西電力神戸支店の支店長以下幹部の供覧印のあるマル秘の文書が発見されました。マル秘文書には、会社が従業員のロッカーを勝手にあけて手帳を盗み見したり、葬儀を手伝うふりをして会葬者のチェックをしたり、あげくの果てには警察と連絡をとり合って私生活の調査や思想の調査をしたことまで、事細かに記載してありました。このようなえげつない労務管理をされた四人の従業員は、マル秘文書を動かぬ証拠として神戸地裁に謝罪と慰謝料を求める訴えを起こしました。これがいわゆる関電の人権裁判の源です。この関電人権侵害は、神戸地裁、大阪高裁で原告が全面勝利の判決をかち取り、一九九五年九月五日、最高裁は「会社は一、二審判決を正しく理解していない」と、関電の上告を棄却しました。最高裁の判決は、「職場における自由な人間関係を形成する自由を不当に侵害するとともに、その名誉を毀損するものである」として関電の労務政策を厳しく断罪、職場に憲法が通用するという画期的な判決を下しました。しかし、最高裁の判決が出されたにもかかわらず、関西電力は訴えた原告に対し、「最高裁は謝れとは書いていない。一審で金は払った。差別も監視もしていない。主張が通らずに残念」との裁判批判を行い、判決に服さず、一切の職場改善を行っていないのです。それどころか、人権裁判係争中も人権侵害を行っていた資料が一昨年の九月、阪神・淡路大震災をきっかけに新たなマル秘身上書が発見されたのです。
 このマル秘資料を見てみますと、許しがたい行為であります。一九八二年から八四年にかけての人権裁判の原告労働者の行動を、社内、私生活にわたって詳細に執拗に続けられた記録であります。私生活の欄には、日付入りで「党活動ビラ配布」、「デモ参加」などとあり、人権裁判係争中も尾行や監視が続けられていたことを物語っており、原告らへの評価、査定を意図的に低く抑えた証拠資料も含まれているというものです。
 和歌山の関電職場でも、職場八分、人権侵害の実態を知らすべく、あいさつ文を地域住民に郵送しました。ところが、この行為に対して関電和歌山支店次長が、「こうした行為は電源立地の阻害要因になるから絶対しないように」との攻撃をしてまいりました。このことは、社内での言論の自由を侵すものであり、地域住民に対し真実を知らせない体質をいみじくも露呈したものと思います。ほかにも、反社会的な発言や行為について多々ありますが、ここでは「職場しんぶん 鉄塔」に載った記事の一例を紹介したいと思います。
 これが「鉄塔」で、毎月出されている「職場しんぶん」であります。一九九五年九月の新聞ですが、ここには「関電社員は見識が高い?」と、見出しで書いてあります。前文は省略いたしますが、訓示をやった中で、「『私は今まで電源立地の仕事をして来ましたが、地域の人々から、関電の社員は見識が高すぎると言う話をよく聞きます。そこで私は部下によく話をするのは、見識が高いと言われるようでは駄目だ、もっと地域住民のレベルまで目線を下げて、住民が何を考え何を欲っしているのかをよく見極めなければいけない。 例えば──ここが問題です──喉の乾いていない牛を川に連れて行って無理矢理水を飲まそうとしても牛は水を飲まない。この様に住民のレベルで物事を考える事が大切である』と述べました」、こういうふうに書いてあります。
 まさに、地域住民を牛に例えた本店幹部のこの話、住民に対する関電の本質をここに見ることができるのではないでしょうか。
 過日の十一月十二日、中部電力の人権侵害、賃金差別事件で中部電力の社長は「名古屋高裁の和解あっせんの重みを考えて和解に踏み切った」と述べ、思想差別を認めました。また東京電力では、一昨年十二月に原告側勝利の和解が成立しております。和歌山でも四人の労働者の方が、職場での自由な人間関係を侵害しているとして、その重要な柱である思想による賃金差別を続けている関電の姿勢をただすため和歌山地裁に提訴いたしました。いずれ司法の判断は下されましょうが、県の労働行政としての姿勢を伺いたいと思います。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 知事が建設同意をした関西電力が、社員に対して思想差別を行い、プライバシーや職場での仲間づくりを侵害し、最高裁の判決をも無視しています。このような企業の姿勢について、知事の見解を求めたいと思います。
 また、公益企業である関西電力の社内の人権侵害事件についてどのような認識を持ち、事実確認をされるなら、どのような指導をされようと考えておられるのか、商工労働部長のご所見をお聞かせ願います。
 次に、平和と県民の安全、暮らしにかかわって幾つかの質問を行います。
 去る九月二十三日、アメリカと日本政府との間で、「日米防衛協力のための指針」、新しい日米ガイドラインに合意をいたしました。この新ガイドラインは、日米安保条約の実質的な大改悪であるととらえていますが、それは日本がアメリカの起こす戦争に自動的に参戦する体制に組み込まれたことです。そのために、万一にも朝鮮半島や台湾海峡、また世界じゅうのどこでもアメリカが戦争を起こしたとき、日本の自衛隊がアメリカ軍のために偵察情報の提供や兵員、弾薬、航空燃料や食糧などの輸送、機雷の掃海など、直接、戦争状態のアメリカ軍を支援することになります。このことは、ガイドラインの第五項「日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合の協力」という中に詳しく書かれています。このように新ガイドラインは、日本が侵略されたケース以外にも日本が戦争に参加することを取り決めているのですから、戦争放棄を定めた憲法に違反する以外の何物でもないと考えます。アメリカ政府と日本政府が取り決めたガイドラインを今後具体的に実施するためには国内法が必要です。日本政府は今、このガイドラインに基づく作戦計画の作成及び周辺事態立法制定を軸とした態勢を築くための作業に入っていると伝えられています。その一つが、アメリカ軍の戦争への国民動員態勢です。
 第五項の二「周辺事態への対応」の中の別表では、「米軍の活動に対する日本の支援」として、「民間空港・港湾の使用」、「日本国内における傷病者の治療」などが明記されています。アメリカ軍が戦争を起こした場合に、大量の米軍機が日本に飛来し、日本国内のアメリカ軍基地で収容し切れないことは明らかです。その際、日本の民間空港が米軍機に占領され、民間機が飛行できない状態になるでしょう。また、港にはアメリカの軍艦が横づけされることになります。
 現在、米軍は、日米地位協定上は民間空港への緊急時の着陸や外国船の出入りが許されている港への入港を認める第五条を根拠に、民間空港や港を使用しています。しかし、地位協定上の根拠はあっても、国内法上の管理権を持つ地方公共団体の同意がなければ、アメリカ軍が民間空港、港湾を利用しようとすることができないのは当然です。このことは、入港する外国艦船に核兵器の不搭載を明示する文書の提出を義務づけている神戸港では、アメリカ軍が核兵器の不搭載文書を提出していないために米軍艦船が入港していない例で明らかです。
 最近、アメリカの軍艦が小樽などの民間港に頻繁に入港したり、関西空港が米軍の移動に利用されていることが問題になっています。既にガイドラインの実質的な運用が始まっているとも言える状況ですが、空港や港だけでなく、負傷者の治療には真っ先に自治体病院が動員されることになるでしょう。また、米軍機の超低空飛行は依然として県内の山間部で行われ、住民に不安を与え続けています。アメリカの戦争に県内の空港、港湾、自治体病院が利用されるような事態は決してあってはならないことだと考えるものです。また、そうした事態を招かないためにも、新ガイドラインを具体化する、いわゆる有事立法の制定はこれまた許されないということを政府に示していくことが重要だと考えるものですが、そうした意思表明を国に対して行う考えは、知事ありませんか。また、関西空港の軍事利用にも反対するのが当然だと考えますが、その見解を知事に求めるものです。
 第一回の質問を終わります。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 村岡議員にお答えをいたします。
 私は、職場においても、思想、信条による差別はあってはならないと考えてございます。
 議員からご質問のございました関西電力株式会社は、過去の判決の経緯を踏まえ、当然のことながら人権に対し十分な配慮がなされているべきものと考えてございます。今回議員ご指摘の件につきましては、関西電力株式会社から報告を求めるよう担当部長に指示をしているところでございます。
 次に、新しい「日米防衛協力のための指針」、いわゆる新ガイドラインに関して、県内空港、港湾、自治体病院の利用、国内関連法の制定、また関西国際空港の利用についてのご質問でございます。
 この問題は、国の安全保障及び外交にかかわる問題でもございますので、本来、国会等で慎重かつ幅広い議論がなされまして、政府において適切に対応されるものと考えてございます。
 ただ、私といたしましては、県民の安全と幸せを守ることを常に念頭に置いて県行政を進めているところでございまして、そのためにも国の安全と平和を強く願う一人でございます。そういう意味からも、今後の国の対応を注目してまいりたいと考えております。
○副議長(阪部菊雄君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 看護婦問題についての四点にお答えいたします。
 まず、平成三年に策定した看護職員需給見通しにつきましては、その実現に向けて、看護婦等の人材確保促進に関する法律、及び同法に基づく看護婦等の措置に関する基本的指針に沿って各種施策を講じているところでございます。こうした取り組みにより、平成三年度の需給見通しでは平成八年度末において約九百五十人の不足を見込んでいたのに対し、実際には約二百人の不足となっており、看護婦等の充足につきましては現在のところ順調に推移していると考えているところでございます。現在、看護婦養成所の卒業生は、看護婦、准看護婦合わせて約五百人の卒業生がありますが、新たに平成十年にはなぎ看護学校から四十人、平成十一年には看護短期大学から八十人の学生が卒業の運びとなってございます。また、平成十二年度から介護保険の導入が計画されていることや、准看護婦問題検討会で出された看護婦養成制度を統合すべきというその動向を見ながら、看護職員需給見通しの見直しを最終の十二年度までに行いたいと考えてございます。
 次に、二人夜勤で月八日の達成状況でございますが、計画時点から二人夜勤で月八日勤務を実施している病院もございますが、まだ達成されていない病院もございます。今後とも、引き続き達成できるよう指導してまいります。また、看護職員需給見通し計画においては、二人夜勤で月八日勤務も含めて計画いたしておりますが、ご指摘のように、個々の現状調査につきましては看護職員需給見通し最終年までに実態調査を実施してまいります。なお、見直しに当たっては実態を反映した計画となるよう努めてまいります。
 次に、看護婦職場の実態認識についてでございますが、人口の高齢化、患者の重症化、医療の進歩、機器等の高度化により、看護職員に求められる役割は従来以上に重要になってきております。その中で、看護職員の待遇、労働条件等は、各病院、診療所等において改善されつつありますが、なお議員ご指摘の課題が残っていることも承知しております。また、准看護学生の就業状況につきましては、四月一日施行の養成所指定規則の改正により、医療機関での勤務の義務づけが禁止されるなどの学則の見直しが行われたところであります。
 いずれにいたしましても、看護職員が離職することなく勤務を継続できるよう各施設において取り組んでいるところでございますが、県においても看護職員の働きやすい職場づくりを進めるため、職場の実態把握に努め、執務環境改善を図るよう指導してまいりたいと考えております。
 最後に、修学資金貸与は希望者全員にとのご質問についてでございますが、看護の道を志し、養成施設卒業後は県内において看護職員の業務に従事する意思を持つ方の修学を容易にするため修学資金の貸与を行っているところであります。
 修学資金には、第一種資金と第二種資金がございます。第一種資金は、専修学校に該当する保健婦、助産婦、看護婦の養成所、各種学校に該当する准看護婦養成所に学ぶ学生を対象とする国の制度を活用した修学資金であり、国の補助率は二分の一となっております。第二種資金は、学校教育法第一条に規定する看護学生を対象に県単独で第一種資金の県費相当額をもって貸与を行っており、平成九年度は第一種資金で二百名、第二種資金は三十五名に貸与を行ってございます。看護職員の需給が達成するまではこの修学資金制度は重要と認識しておりますので、その拡大について努力してまいります。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 村岡議員の、紀伊駅周辺の道路整備についてのご質問にお答えいたします。
 まず、県道粉河加太線の交通渋滞解消の問題でございます。
 粉河加太線の紀伊駅周辺は、朝夕のラッシュ時など大変混雑しており、整備を望む地元の要望が強いことを十分認識しておりますが、沿道には人家が密集しており、道路の拡幅は非常に難しい状況でございます。現在、現道対策といたしまして、沿道地権者の了解を得られたところから側溝にふたをし、支障となっている電柱の移設を道路占用者に指示し、歩行者の安全対策に努めているところでございます。
 なお、現在事業中の和歌山市谷地内の国道二十四号と日延地内の粉河加太線を結ぶ和歌山貝塚線バイパス工事が次期道路整備五カ年計画の前半に完成することで、紀伊駅付近を通過する交通量の減少にも寄与するものと考えております。
 次に、西脇山口線の道路建設の具体化の問題でございます。
 西脇山口線は、紀の川北部を東西に通ずる都市計画道路で、第二阪和国道に連結する広域的な道路網を形成する重要な路線であります。現在、紀の川北部の交通緩和のため、県市が連携を図りながら、楠見地区より西側について平成十四年度完成を目途に整備を促進しているところであります。
 議員ご質問の、楠見地区より東側の未整備区間については現在調査を進めているところであり、事業化については西側の事業の進捗を見ながら早期に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 商工労働部長日根紀男君。
  〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 関電問題について、労働行政としての指導はというご質問でございますが、労働基準法第三条では、労働者の信条を理由として賃金等労働条件について差別的取り扱いをしてはならないとされております。
 議員ご指摘の問題につきましては、当該会社から報告を求めるとともに、裁判の結果を見届けながら、労働教育の立場から啓発に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 37番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。
 看護婦確保については、一定の評価をしたいと思います。ただ、この目標をつくるときにいろいろな基準があると思うわけですが、何よりも厚生省は複数夜勤で八日以内というのを達成するための増員計画ですから、その時点で達成するということがきちんとならなければ何回計画を立てても素通りで、スローガンに終わってしまうと思うんです。
 私がお聞きしたのは、いわゆるニッパチが、せめてものこの九十四の病院で、今の時点で言えばあと二百人が足りないというような状況ですから、その状況を見れば八〇%以上はもう達成したというふうに見てもおかしくない状況なんです。しかし、九十四の病院、診療所において幾つの病棟があって、その病棟の勤務体制は二交代なのか三交代なのか、あるいは当直制なのか、そういったことも事細かに調査をして決めない限り、これは数を追うだけになってしまうと思うんです。
 そういう点で、もっと実態調査をきちんとやった上で、今度は目標の見直しをしていただきたいと思います。そうでなければ、どれだけやってもわからないという答弁しか返ってこなくなってしまいますから。平成十二年度までにきちっと実態調査をやった上で見直しをするということをご答弁なさいましたから、期待をしておきたいと思います。
 それから、紀伊駅の問題です。
 あの渋滞は殺人的なんです、あの駅を横断しようと思えば。そういう点で見れば、やはり緊急性の高い問題として紀伊駅はしかと受けとめていただきたいと思います。それ以上はもう申しませんけれども、ぜひともこの部分については優先順位を高めていただきたいと思います。
 それから関電の問題ですが、これはもう知事、何も言うことないんです。最高裁の判決を守らない関電ということから見れば、知事が人権は尊重されなければいけないと言っているわけですから、最高裁の判決も守れないような企業というのは一体どういう企業なんだ、一般的に考えても非常識だとなるでしょう。そういう点でも、私はきちんと知事がそこを見分けるべきだと思います。
 それで、知事は調査報告を求めると行っておりますので、ぜひともしっかりとした報告を求めていただいて、それなりの人権教育をやっていただきたいとお願いしておきます。
 ガイドライン問題についても、一言申し上げておきたいと思います。
 これは国の問題だとおっしゃいますけれども、しかし有事になってくると、これは情け容赦なく来ることになるわけですから、直接管理を受け持つ、責任を持つ知事として、住民の命と安全を守る立場からきちんとした態度をとっていただきたいと思います。私たちは、白浜空港とか下津港湾とか、そういったところを軍事に使っていただきたくないと思っていますので、重ねてその点については要望をしておきたいと思います。(私語する者あり)人が質問をするときにはきちんと聞いてください。
 終わります。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(阪部菊雄君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時三十七分散会

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