平成9年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時三分再開
○議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。
 まず初めに、医療問題についてお伺いいたします。
 去る九月一日から、医療保険改悪によって患者の医療負担増が実施をされました。患者と医療現場では、今、大変困っている状況にあります。例えば、健康保険本人負担を一割から二割に、毎月の保険料率も千分の八十二から千分の八十五に引き上げられました。そして、外来の薬剤費負担が新設をされたところです。サラリーマン本人の負担は、今までよりも約二・四倍にも引き上げられたことになります。またお年寄りにおいては、外来受診するたびに五百円と薬代が自己負担となりました。また入院すれば、一日七百十円だったのが千円に引き上げられました。これまでよりも二・五倍の負担がふえ、これは大幅で、しかもこれまでにない大改悪だと言えます。
 今、医療現場では、診察室でも薬局の窓口でも、薬を減らしてほしいと相談が相次いでいます。年金暮らしのお年寄りからは、今まで千二十円の生活設計を立ててきたが、一回四千円かかるようになったら、もう医者にかかれない、これから先どうしようかと不安で仕方がない、こういう声も上がっています。またサラリーマンの方からは、いつものように二週間分薬をもらった、一割で千十円だったのが三千七十円に値上がりした、私は他の病院でも受診をしているのでこれからどうしようかと迷っています、とにかく、一度薬を出してもらいましたけれども、その薬を一種類に減らしてもらいました、こういう不安な状態です。あるいはサラリーマン本人からは、入院することになったとき高額になる、どうしたらよいか、高額療養費の融資制度を活用しても、最低一カ月六万三千円と入院給食費二万二千八百円を合計して八万五千八百円が必要です、とても入院はと、考え込む人がふえてきているそうです。
 私は、市内のある病院を訪れました。その病院では、九月一日から九日まで外来窓口でアンケートをとったところ、百十九人から回答を得られました。その中で、六四%の方が医療費がふえたと答え、三〇%の人が一回の医療費が二千円から三千円かかった。受診回数を減らすか薬を減らそうかと三七%の人が迷っている。また四七%の人から、どうしたらよいか相談に乗ってほしいという答えも返ってきています。また、その中で六十五歳以上の方では、薬を減らすか受診回数を減らすことを考えている人が五一%います。また、ある病院では、九月一日、混雑が予想されるため、職員の再々の研修を繰り返し、混雑を防ぐための準備を進めてこられたそうです。ところが、いざ実施日、一週間前の八月二十五日の患者数より一五%も減ったそうです。しかも、その一五%の回復は九月二十五日においてもないと聞いてまいりました。その病院の事務長さんは、今度の改悪は高齢者にとっては経済的にも耐えられなくなるのではないか、胸が痛くなります、本当にむちゃくちゃなやり方ですと、国への怒りを繰り返し訴えておられました。私も、今度の改悪は本当にむちゃくちゃだと考えます。議場におられる皆さんはどう思っておいででしょうか。
 ところが、今回の改悪に続いて橋本内閣は、財政構造改革と称して、今後三年間、国民負担をさらにふやす大改悪計画を具体化しようとしているではありませんか。九八年度──来年度の予算で医療費予算を実質四千二百億円も削る計画とか、風邪薬や漢方薬は保険から外して全額患者負担に、入院給食費の引き上げ、さらに高額医療費負担の上限引き上げも考えられています。その次の段階の値上げ案では、高齢者への定率負担の導入や薬剤費の保険給付に制限を加えてさらなる患者負担を考え、保険からの定額払いを広げて治療を制限していき、最後にはサラリーマンの健保本人負担を三割に、そして大病院の外来は患者負担を五割にと、とんでもない計画が進められようとしています。これでは、国民の命と健康を守る国の責務を放棄する何物でもありません。また、病気の原因や治療方法が定まっていない難病患者の医療費まで患者負担の導入を考えています。保険あって医療保障なしです。これでは、金持ちだけの医療となり、金の切れ目が命の切れ目、このことが現実のものとなるのではないでしょうか。その上に消費税、今後、介護保険などの負担も加わると、国民の命、とりわけ年寄りの命にとっては危機的状況になり、絶対に容認することはできません。四十年前の「けがと弁当は自分持ち」という医療に逆戻りすることになりはしないでしょうか。思い出してください。このような医療制度改正をどう受けとめられ、どのような所見をお持ちなのでしょうか、知事の答弁を求めるものです。
 こうした改悪が実施された中で、本県が独自に福祉医療制度として実施をされている三歳児以下の乳幼児医療費や一人親家庭の医療費への助成、さらに重度心身障害児者医療費と六十七歳から六十九歳までの医療費支給などが継続となりました。そして、今議会に難病患者に対する医療費助成の継続予算措置が提案されています。私は、大いに歓迎し、高く評価したいと思います。国の悪政から県民の命を守る、地方自治の基本的な姿勢だからです。平成十年度以降においてもぜひ現行制度の継続をと切実に願うものでありますが、いかがお考えでしょう。知事の所見をお聞かせ願います。
 この質問を終えるに当たって、一言強調しておきたいと思います。
 国が医療費のむだを省くと言うのなら、世界一高い薬価や医療機器などにメスを入れることがまず第一であります。あわせて、公共事業などに偏重した国の財政のゆがみを改め、高齢化に伴った社会保障に必要な予算にすべきだと私は考えるものです。
 次に、社会問題となっているダイオキシン問題について質問を申し上げます。
 今議会始まって以来、ダイオキシン問題が多々論議をされているところです。ダイオキシン類の有毒性については強調する必要もないと思いますが、日本での大気中のダイオキシン濃度が諸外国に比べ大変高いことは、厚生省の資料でも明らかにされているところです。日本の大都市の測定値が最高二・六ピコグラム、平均が〇・六。アメリカでは〇・〇四五から〇・一七九、ドイツでは〇・〇二五から一・六ということですから、日本の大気中には外国に比べて大変大量のダイオキシンが含まれているということになります。
 厚生省が、緊急対策として焼却場の八十ナノグラム以上を排出しているところには停止を含む対策をとったのも、大気や食物──健康に害をもたらす程度のダイオキシンがそうした焼却場から出ているからこそなのです。厚生省の発表では、県下の四カ所の焼却場が緊急対策の対象となりました。これまで長年にわたって、健康に影響を与えるダイオキシンが大気に出ていたのですから、少なくとも焼却場周辺のダイオキシン濃度を調査するのはもちろんのこと、住民の健康調査が必要ではないでしょうか。大気だけでなく、水、土壌や植物についても調査する必要があると考えますが、関係部長、いかがですか。
 産業廃棄物の焼却処理を行っているところのダイオキシンの汚染も心配です。先日、橋本市の住民の皆さんが写されたビデオを見せていただきました。安住の地と決めて移ってこられた皆さんですが、産廃処理場から百メートル離れたところの人が、家の中にいると吐き気や目まいがするとか、入院する人、避難をする人、また飼っていた猫が次々に死んでいく、声がかれていく、皮膚がちかちかしたり、発疹が出る、このような症状を訴えられておりました。このように住民の不安の声が出ている産廃処理場については、排煙のダイオキシン濃度の測定とともに、周辺住民の健康調査を急いで行うべきです。土壌や大気、水、植物のダイオキシンの蓄積を調査することもまた必要です。この点についてもお伺いいたします。
 摂南大学の研究者の調査などによりますと、乳児の飲む母乳にダイオキシンが大量に含まれていることが報告されています。食べ物や大気などから母親の体内にダイオキシンがたまり、それが出産後、母乳を通して赤ちゃんの口に入っていきます。環境庁のダイオキシンリスク評価検討会中間報告の健康リスク評価指針値では、一日に摂取しても健康に影響のない量として五ピコグラムが設定されていますが、摂南大学の調査では、初産婦の母乳から二百五十、経産婦の母乳から百六十ピコグラムという、環境庁基準の三十二倍から五十倍もの非常に高濃度のダイオキシンが検出されていることも報告されています。
 ダイオキシンを体内に取り入れることによる障害は、子宮内膜症や子供がアトピーになる可能性も指摘されていることを考えますと、母乳を勧めている妊産婦教育にも影響します。赤ちゃんが安心して母乳を飲めない、また母親が安心してお乳を赤ちゃんに飲ませられない、これがダイオキシンの汚染を放置してきた結果です。ダイオキシン問題が大きな社会問題として早急に対策がとられなければならない緊急性の一つが、ここにもあります。県が、母親と赤ちゃんの命、健康を守る姿勢に立つなら、母乳の検査ができる体制を早急に整備し、一刻も早く母親の不安を取り除くことが必要ではないでしょうか。どうでしょう、関係部長のご意見をお聞かせください。
 次に、台風被害についてのご質問を申し上げます。
 七月二十六日の台風九号による県内の被害問題についてであります。
 台風九号は、七月二十六日午後五時過ぎ、徳島県阿南市付近に上陸し、近畿各地に大量の雨を降らせました。この大雨によって田畑や民家が浸水するなど、多大な被害を受けたことはご承知のとおりです。
 新宮市の市田川流域では、一千百世帯が床上、床下浸水の被害に遭いました。市田川の浸水問題は、きのう、きょうの問題ではありません。この地域の皆さんは、大雨のたびに浸水の被害を受けてきました。自治会長さんらが知事に提出された陳情書には、「雨が降るたびに市田川を眺めながら不安な日々を送っている地域住民にとっては、忍耐力ももはや限度に達して」、こういうくだりがあり、その不安を訴えておられるのです。
 私どもは、先月の二十七日、二十八日、建設省に赴き、実情を説明し、政府として抜本的な排水対策をとるよう求め、また八月二十二日は、我が党の衆議院議員寺前氏が住民の皆さんや市の職員の皆さんと一緒に現地をつぶさに見て回りました。そして、紀南工事事務所の所長に市田川のポンプの大型化などを求めてまいりました。最近、新宮市が浸水地域の水中ポンプを増設し、国も排水ポンプを設置する方向になるなど、国と県、新宮市が一体となって排水対策をとる方向に動いていることは喜ばしいと感じていますが、県行政として積極的な支援を行うよう求めたいと思うわけです。県としての具体的な方針があればお聞かせ願いたいと思います。
 今度の熊野川流域の被害では、熊野川町の中心部で水田や民家、商店が大きな被害を受けております。特に、水につかった水田は、稲に花がついた時期であったために、刈り入れをしても穂に実の入らない稲がほとんどです。日足地区で農家の方にお話を伺いますと、もみで約七分の一の収穫量にしかならず、しかも小米、くず米が多いために、例年の十分の一ほどしかお金にならないと話しておられました。また、商店関係の方が被害を苦に自殺をされるとの痛ましい事件も起きたと、胸の痛くなる思いで聞きました。農家の方は、ダムがあるからこんなことになるのだと話しておられましたが、熊野川の治水を図る上で上流のダム問題を避けて通ることはできない。
 熊野川水系には十一ものダムがあります。そのすべてが利水ダムであり、治水の責任を負っていないというのが電源開発の見解であるようですが、下流域の住民にとっては、ダムが洪水対策にならないどころか、被害を拡大しているのではないかとの疑いさえ持っています。素人なりに考えましても、ダムからの放水量がダムへの流入量を上回らないようにゲートの操作がなされたとしても、ダムが建設されていないときには、今は水没した田畑や森林が保水能力を持ち、川に入るまでに池や水田に滞留したり、地中にも浸透し、緑のダムの役割を果たしてまいりました。こういったことを考えれば、ダムができたことによって出水量がふえたと感じている住民の感覚はあながち誤りではないと私は考えます。
 熊野川は基本高水流量が毎秒一万九千トンですが、新宮市相賀地点の七月二十六日午後九時の流量は一万八千七百十二トンと一万九千トンに近く、一九六一年の第二室戸台風以来の出水記録では過去最高の出水量になります。記録によると、当日の午後五時半から二時間にわたって二津野、小森の二つのダムから合わせて一万トンを超す放流が行われ、午後六時半には一万千二百四十一トンが放流されました。相賀地点の最大水量の六割が二つのダムの放流にあるのですから、住民の皆さんがダムが悪さをしていると考えるのも当然ではないでしょうか。県としても、電源開発に対して水害が起きないようダムの操作規程を改めるように申し入れるべきだと考えるものです。見解をお聞かせください。
 また、熊野川は、三重、奈良と三県を流れる大河川です。今、三県が協力して建設省なり電源開発に当たることがどうしても必要ではないでしょうか。大きな被害を受けている和歌山県が率先して奈良、三重に呼びかけ、共同して国や電源開発に言うべきことは言うという姿勢で折衝していくことを求めたいと思います。
 また熊野川の治水計画についてお尋ねをいたしますが、河口での基本高水流量は一万九千トンということで、今回はそれに近い流量があったことになります。これまで、熊野川町での治水計画は立てられていないようであります。全国有数の多雨地帯であり、水害が頻発していながら計画さえもないというのは行政の怠慢ではないでしょうか。地元の方の話では、治水ダムに変更することをしてほしいと言われていましたが、それほどの大きな展望を持って治水計画を立てられ、住民の安全を守る姿勢を示していただきたいと考えます。見解をお聞かせください。
 同じ台風九号で被害を受けた日置川に関連して質問を申し上げたいと思います。
 田野井地区の皆さんを中心に、現在、九〇年の台風被害の問題で県と関西電力を相手にした訴訟が大阪高裁で争われております。今回の水害は、このときの災害に続いての被害であり、殊に稲の収穫前の大事な時期に長時間の冠水とヘドロの堆積によって全滅に近い被害をこうむった農家は、神も仏もないのか、こんなことはわしの代で終わらせたいと悲嘆に暮れておられます。なぜこのような災害が多発するのか、なぜ何度も何度も住民が被害を受けなければならないのか。住民の安全を守る責任のある県行政として、その責任は厳しく問われなければなりません。ダムの操作が法律に違反しているかどうか、法的な責任問題の決着は裁判で明らかにされましょうが、政治責任の問題は別です。県として、被害を起こさないようなダムの操作を関電に求めることは当然ではありませんか。予備放流に入る水位が九〇年の災害以降に変更されましたが、ダムからの放流量が関電任せでは下流住民は安心して暮らすことはできません。雨の多い季節には水位を下げて、大雨でダムの水門をあけるときには河川管理者の県と協議しながら十分な安全措置をとることを関電に求めることが、なぜできないのでしょう。関電が良心的にダム操作をやるものと信頼してきた結果が、たびたびの水害を受ける悲劇を繰り返しているのではないでしょうか。
 昨年九月議会で鶴田議員が殿山ダム問題を取り上げた際、土木部長から「殿山ダムは予備放流方式で適正な管理が十分可能」との答弁がありました。「適正な管理」と言いながら、再び今度の災害です。もう小手先の対応ではなく、ダムの操作規程を現在の予備放流方式から制限水位方式に変更するなど、操作規程の根本から改善する必要があると考えます。また、洪水時のダムの操作は県と協議して行わせる。これらのことを関電に求める態度が、県民の命を守る県行政にとっては必要です。たびたびの水害を受けている住民の立場に立って、土木部長、どのような見解をお持ちなのでしょう、お聞かせください。
 今度の水害では、泥が水田に堆積し、稲の葉を枯らしていることはご存じかと思います。被害を大きくしたヘドロは、殿山ダムに堆積したヘドロが流れ出したものではないかとの声も聞きました。もちろん、ダム以外の谷や河川からも泥が流れるのは当然だと思いますが、今度の水害では泥による被害が大きかったとのことです。関電の調査では、殿山ダムのヘドロなどの堆砂量は四百十二万立方メートルだということです。関電の報告が正確だとして、一年間におよそ十万立方メートルの土砂がダムにたまっていることになります。殿山ダムの全容量が二千百五十四万立方メートル、有効貯水量千三百十五万立方メートルですから、ダム全体の二割近くが既に埋まっていることになりませんか。この大量のヘドロなど堆積物が洪水期に下流に流れ出し、農作物に被害を与えているのではないかとの疑いも出ています。ダムのヘドロは、単に泥がたまったものではありません。
 ダムのヘドロ被害の例は、既に関電・黒部川出し平ダムが九一年十二月に行った排砂により、富山湾で魚のえらに泥が入り、大量の魚類が窒息死する被害を出したことが、昨年十一月、日本弁護士連合会のシンポジウムで報告されています。同報告によりますと、大量の堆砂が地震時の堤体の滑動安全率に影響を与えること、ダムの堆砂をしゅんせつすることが実際には不可能であることから、堆砂がダムにとって不治の病であり、堆砂により機能をなくしたダムが、単なる産業廃棄物ではなく危険な産業廃棄物となることを告発しています。ヘドロ被害はダム被害ではないかと感じるのですが、県当局の見解を求めたいと思います。ヘドロ被害の原因が関電のダムにあるとしたら、関電は誠意を持って被害者への補償に応じるべきです。
 次に、紀の川リバーサイドグリーンベルト基本計画についてお尋ねを申し上げます。
 平成三年十月に、岩出橋から紀の川河口、みなと大橋までの距離十六キロメートル、面積二百六十ヘクタールの広大な高水敷の公園整備計画が発表され、以後、テニスコートを初め多くのスポーツ施設が整備されてまいりました。最近は、サッカー、野球、テニス、ジョギングに親しむ人、幼い子供を連れた家族連れ、そして幼稚園や保育園児たちの遠足地にもなって、にぎやかです。そんな姿を見ることが大変多くなってまいりましたし、私自身も時折ジョギングを楽しむこともございます。ですから、一層母なる紀の川の自然環境を生かした安らぎのある公園整備に期待を寄せる一人でもあります。
 この整備事業は、国、県、和歌山市、岩出町が整備地域を定め、進められているようでありますが、県が主体となって行う地域は紀州大橋から上流の高水敷の公園整備で、その面積約百七十ヘクタール、主たる事業はゴルフ場建設であるようであります。その事業費、平成九年度予算四千三百万円、企業局がその実施に当たるとされているようです。
 私は、スポーツとしてゴルフそのものを否定するものではありません。すかっとしたいときは、さぞ気持ちいいだろうなとさえ思えるスポーツでもございます。問題は、青々とした美しさを保つため、芝管理のために使用される殺菌、殺虫、除草剤など、多くの農薬による水質汚染や大気汚染の環境汚染を心配するものであります。ましてや、河川敷のゴルフ場は和歌山市民の飲料水とも直結するのですから、軽視することはできないわけです。バブル時代のゴルフ場建設が問題になり、自然破壊や二次災害の危険性と重ねて社会問題になったのも、制限なき大量農薬使用でした。今や、国民一般の中では、ゴルフ場と言えば農薬公害が当たり前の認識でもあります。
 現在、六十谷橋南詰めから上流左岸に九ホールのパブリック施設が、昭和三十八年から開設、営業をいたしています。ここでも、恐らくこれまで殺菌、殺虫、除草剤、これらは使用していたでありましょう。人による除草する姿を、私は見たことがございません。紀の川は和歌山四十万人の水がめですが、現在、ゴルフ場の中心地点あたりに加納浄水場の取水口があります。農薬汚染の危険性を日々感じている私です。開設からきょうまで農薬の残留測定が行われたかどうか、私たち市民は、どのような農薬が、どのぐらい使用されて、どう処理されているのか公表されてきませんでしたので、全く知る余地もありません。ですから、不安は募るばかりです。ゴルフ場計画では、六十谷橋から上流約三・五キロ地点の紀の川左岸にパブリックのものだと聞きました。市民の建設に対する声はさまざまでありますが、いかがかと思います。
 去る四月から五月にかけて、和歌山市水道労組が住民に対してアンケートを実施いたしました。この質問そのものは、取水口の問題とあわせて農薬が多分使用されるであろうということを予想したアンケートになっております。その上で建設に対する賛否を問う内容になっています。紹介をしてみたいと思います。回答は、千八百三十五人の方々から寄せられました。そして、市民みずからの意見も水道行政などに対し五百九十七件、貴重な意見も率直に寄せられています。河川敷のゴルフ場建設に反対と答えた方は七〇・一%、賛成は一・九%。特に、農薬汚染に強い懸念を意見として出されている方々も五百人に上りました。この声の中で、せっかくの名河川・紀の川をこれ以上汚したくないのでゴルフ場は絶対やめてくださいと大きな字で記入されている人、これ以上汚さないでとの声が多数を占めたのも現実です。こうしたアンケートの結果や意見などを見る限りでは、ゴルフ場計画について市民の意見は反対と出ております。市民の声をもう一度よく聞いてこの計画の見直しをする必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 また農薬使用についても、既に無農薬管理でゴルフ場運営を実行している佐賀県や宮崎県がございます。佐賀県の大和町との共同出資によって開設された嘉瀬川リバーサイドゴルフ場、また宮崎市の大淀川河川敷に開設されているゴルフ練習場が現実にあり、私もそこへ調査に行ってまいりました。双方ともに、年一、二回は大雨による洪水に見舞われるという中で大変な努力をされていますが、農薬汚染の心配の要らない芝管理に大変な努力と研究を続けていらっしゃるという話でありました。プレーしている方にもお話を聞きました。その方は、チョウチョウやいろんな鳥たちが飛んできて、とても気持ちよくプレーできますよ、何といっても芝生の上に座れること、寝転んでもいいこと、農薬を使っていないので本当に安心ですよというご返事でございました。嘉瀬川ゴルフ場の芝管理に責任を持つグリーンキーパーの方は、これからも無農薬管理は続けていけそうですかという私の問いに対して、大変難しいですね、除草剤は今でも使いたいところです、人手による除草は大変ですし、コース内の草刈りも一週間放置すると十センチメートルは伸びてしまいます、刈った後の草を放置すると雑菌がついてしまいますから大変です、これまで、あれこれと試行錯誤しながら害虫も出さずにやってきました、プレーする人に本当に安心して楽しんでもらえるゴルフ場にと、これからも研究する以外にないと思っていますと、さわやかに答えていただいたところです。
 また本県においても、白浜町に開設されているラビーム白浜ゴルフクラブなど全国八カ所のゴルフ場を経営する浅川吉男氏は、平成二年度の予算で農薬の購入費をゼロにしたと「クリーン・グリーンへの挑戦」という著書で明言をされています。
 私は、十分確認はしておりませんが、ゴルフ場管理は難しさはあるけれども、無農薬でも立派に運営できることに確信を持っています。県主体の公営ゴルフ場計画です。市民の安全でおいしい水を守るため、また自然に優しい、人に優しい水辺の環境を保全する立場から、計画の見直しはもちろんのこと、無農薬による計画は打ち出せないでしょうか、関係部長の所見をお聞かせいただきたいと思います。
 これで、第一回の質問を終わります。
○議長(木下秀男君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 村岡議員にお答えをいたします。
 医療問題についてでありますけれども、我が国の国民医療費は急速な人口の高齢化等によりまして毎年大幅に増加をしております。また近年の経済の悪化もございまして、医療保険財政は危機的な状況にあるわけでございます。こうしたことから、医療保険財政の立て直しのため、当面の措置として本年九月から改正法が施行されたところであります。これは、引き続き抜本改正を行うことを前提としたものと認識してございます。しかしながら一方で、この改正により患者の方々の負担増となっていることは承知をしてございます。いずれにいたしましても、二十一世紀の本格的な少子高齢化社会においても、すべての国民が安心して良質な医療サービスを受けることができるような医療制度を構築し、国民皆保険を堅持すべきものであると考えております。
 次に県単福祉医療制度についてでありますけれども、その継続については努力をしていかなければならない問題と考えております。ただ、今、福祉や医療を取り巻く情勢は大きく変化をしております。今後、県といたしましては、福祉施策全体の中でどのように位置づけていくか、国の医療保険制度の動向なども見きわめながら検討していく必要があろうと考えております。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 村岡議員にお答えをいたします。
 ダイオキシン対策の二点についてお答えを申し上げます。
 まず一点目は、基準値を超えた市町村の四施設周辺住民の健康調査、大気、水、土壌調査等についてでございます。
 ダイオキシンに係る八十ナノグラムという基準値は、安全側に立って設定されておりまして、実際の排出濃度がこの基準を超えている場合にあっても、周辺における人体への摂取量が許容量を超えるわけではないと、ダイオキシンのガイドラインに示されております。したがいまして、県といたしましては直ちに対応が必要と考えておりませんが、国から測定方法や評価方法が示された段階で検討することとし、当面は国から示されております一般廃棄物処理場のダイオキシン削減対策を指導してまいりたい考えでございます。
 続きまして、橋本市などの産業廃棄物焼却炉の周辺住民の健康調査、大気、水、土壌調査等についてでございます。
 排ガスにおける測定方法は確立されておりますが、現在、日本工業所の場合には焼却を中止いたしておりますので測定することはできない状況にございます。その他の調査につきましては、過日、向井議員にお答えいたしましたとおり、測定方法や評価方法が示された段階で関係機関と協議いたしまして、実施の方向で検討してまいりたいと存じます。
○議長(木下秀男君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 母乳のダイオキシン検査体制についてでございますが、国においては、母乳中のダイオキシンに関する取り組みとして、平成六年度から厚生省心身障害研究の中で調査を実施しています。また、昨年十二月に母乳中のダイオキシンに係る検討会の報告が出されておりますが、その概要は、我が国においては、乳児に与える母乳中に一定程度のダイオキシンが含まれているものの、その効果及び安全性の観点から今後とも母乳栄養を進めていくべきであるということでございました。今後、厚生省では、母乳の安全性を確保するため、母乳中のダイオキシン類に関する研究を拡充していく予定と聞いております。県といたしましては、今後の国の動向を踏まえ、検討してまいりたいと考えております。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 村岡議員のご質問にお答えいたします。
 まず、台風被害についてでございます。
 一点目の市田川の浸水対策でございますが、今回、新宮市で大きな浸水被害が発生したことに対して、関係行政機関である国、県、市において協議を行い、市では内水排除計画の抜本的見直しを行うとともに、平成十年度にポンプ施設の整備に着手することに決定し、これを受け、建設省でもポンプの増設等の対策を講ずることになりました。県といたしましても、対策実現に向け、市に対する技術指導や事業化に向けた支援等を行うとともに、関係機関と連携を密にし、一層の努力をしてまいります。
 次に、下流の水害防止にダム操作規程の改善という問題ですが、新宮川水系のダムは発電等を目的とする利水ダムであり、積極的な洪水調節機能を有しないダムであります。これらのダムに治水容量を確保させるための操作規程の見直しは、補償等の問題が生じ、困難であると考えております。
 三点目の、熊野川町の治水計画の問題でございます。
 今年七月の台風九号の出水によって新宮川の水位が上昇し、熊野川町内で床上浸水二十三戸、床下浸水九戸、浸水面積七一・七ヘクタールの被害が発生し、特に支川赤木川の合流点付近で国道百六十八号の冠水等大きな被害がありました。この状況を踏まえ、河道計画を策定する必要があると認識しておりますが、築堤のため多くの用地が必要となることから、今後地元町との協議を行ってまいります。
 四点目の、殿山ダムの操作規程の問題です。
 殿山ダムは、発電のための利水専用ダムでありまして、積極的な洪水調節機能を有しないダムでございます。この殿山ダムにおいては、治水容量を確保するために制限水位方式を採用する場合、補償等の問題が生じ、困難であると考えております。
 五点目の、洪水時のダム操作の問題でございます。
 殿山ダムの操作規程については、河川法四十七条に基づき、ダム管理者である関西電力が河川管理者である和歌山県の承認を受けて定めたものであります。ダムの操作は、これまでも承認を受けた操作規程に基づいて行われており、今後ともダム管理者を指導してまいります。
 六点目の、ヘドロ被害の問題でございます。
 殿山ダム貯水池の堆砂については、県では毎年ダム管理者である関西電力より貯水池の堆砂報告を義務づけており、その報告によれば、ダムサイト付近での河床高は標高約八十二メートルで、放流のみ口敷まで約二十メートルもあり、堆砂している土砂の流出はないものと考えております。
 次に、紀の川リバーサイドグリーンベルト計画のご質問のうち、ゴルフ場計画の見直しの問題でございます。
 この計画につきましては、紀の川大堰計画の一環として、平成三年十月、建設省、県、和歌山市、岩出町の合同により紀の川リバーサイドグリーンベルト構想を策定いたしたものでございます。その後、紀の川緑地基本計画調査委員会で基本計画について検討をお願いし、輝く水辺、あふれる自然、憩う空間を構想の基本理念のもとに、ゴルフ場は高水敷の幅が一番広い場所に設ける計画といたしました。
 なお、今後、グリーンベルト構想の取り組みについては、建設省、和歌山市、岩出町とともに、整備基本構想が具体的に進められるよう、県民のご理解を得ながら進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 企業局長佐野萬瑳義君。
 〔佐野萬瑳義君、登壇〕
○企業局長(佐野萬瑳義君) 村岡議員の、無農薬による管理方針をとのご質問にお答えいたします。
 ゴルフ場計画の無農薬化に向け、農薬使用量を減らしていくためには、農薬使用にかわる技術開発を促進していくことが重要な課題と考えております。こうした自然を相手の試験研究は、年に何度も実施できないことや、その年の気象条件等によって大きな影響を受けることなどから、成果を得られるまで長期間を要するのが通例であります。このため、今後、試験研究機関等の技術協力を得て、水質汚染等を懸念する市民の方々のご意見をも聞きながら、将来の環境面に配慮したゴルフ場の管理運営を目指していきたいと考えております。
 以上です。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 37番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。
 医療問題ですが、知事、何とおっしゃいましたかね、この改正は「引き続き抜本改正を行うことを前提としたもの」ということと、もう一つは「患者の方々の負担増となっていることは承知をしてございます」と、こういうふうなことを申されたわけです。それともう一つ、国民皆保険を堅持すべきであるということとあわせて、県民の皆さんが安心して良質なサービスを受けることができる医療制度を構築しなければならないと考えているということを申されたわけですけれども、どうでしょうか、今まで医療制度の改悪が次々と回数を重ねて行われてきて、種類別に見ても非常に多く患者負担増が実行されるようになってまいりました。
 今でさえも多くの人たちが、とりわけ高齢者の皆さんたちが、もう自分たちは死ねというのか、金がなければ医者にかかれなくなっている現状。あわせて、入院すればお年寄りは三カ月以上は入院できないような法律になってしまっている。その上に、給食費の負担増や消費税、こういった問題が次々と重なってきている中で、耐えられない現状になってきているということについて痛みを感じませんか。
 あなたがおっしゃっていることが、さらに三年間で改悪をされていくとするならば、これは患者負担をいかにふやすかということをねらった改悪です。こういうことになりますと、今和歌山県がせっかく努力をして福祉医療制度をつくっているそのものにも大きな影響を与えると思うんです。福祉医療制度を維持していく努力をしなければいけないけれどもとおっしゃるけれども、かばい切れなくなってしまうほどの改悪状態になると思うんです。こういう点でも地方自治体の負担は耐えられないものになっていくし、そして弱い人たちのためのそんなささやかな制度さえも切り捨てなければならない。こういうことに陥ることはもう目に見えています。
 ですから、そういう点でも今度の改悪自体、さらに改悪が計画されているそのものを食いとめるための自治体としてのあり方、知事としてのあり方、もう一度聞かせてください。こういう点でも、知事が日本一の保険医療体制を確立するんだと選挙公約にもあります。そういう点で見ても、本当にそれが実現する道に今の改悪がなるのかどうか、このことについてまず知事、お答え願いたいと思います。これについて、まず一つお伺いします。
○議長(木下秀男君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 再質問にお答えいたします。
 私も気持ちとしては、村岡議員ご質問のように、すべての国民、県民が安心して医療を受けられるような体制が望ましいと思います。ただ、保険制度の問題にかかわってまいりますと、累積した赤字とかいろんな問題があると思いますので、その辺の議論はこれから尽くして、その医療制度そのもの、保険制度そのものの議論は大いにすべきだと思っております。ただ、気持ちとしては、これ以上患者の負担がふえないようなことが望ましいと思っております。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 37番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 望ましいためには、知事は一体何をするのかということが問われていると思うんです。だから、具体的に知事として、行政側として何を国に求めるのか、このことを明らかにしながら行くべきだと思うんです。それが一向に見当たりませんし、今後の改悪内容そのものは大変な事態を招くというのは明らかですし、ご存じでしょうけれども、そういう点でも県民の命を本当に第一に考える県行政であってほしいと思いますし、福祉医療制度については何が何でも守っていただきたい、このように要望をしておきたいと思います。
 それとダイオキシン問題ですが、これは本当に大事な問題で、今、社会問題と言われているわけですから、何としてでも最大の努力をしなければいけないと思うんです。
 母乳の検査の件ですが、埼玉県は所沢市を初めとして二キロ圏内に産廃が十五カ所あるということで「産廃銀座」と言われているそうです。それから大阪あたりでも、母乳検査をしたところ大量に出たという報告もされているわけです。埼玉県は、今議会において母乳検査のために一億四百六十二万三千円、これは具体的な中身はわかりませんが、機械の設備と検査体制を確立するための予算が提案されているようであります。それとダイオキシンの産廃処理場の排出検査、これに対しても県独自に三千百二十万二千円の予算を計上され、新たに出されたというような状況も生まれています。
 何よりも行政は、排出を抑えるということと同時に、周辺の県民の健康を第一義に考えるべきで、事が起こってから行政が動き出すということであってはならないと思うんです。せっかく和歌山県は衛生公害研究センターを持っているわけですから、その体制を充実させて早速この研究体制に入っていくというようなことはできないのかどうか、このことを求めておきたいと思います。
 あとちょっとですが、ゴルフ場の問題ですね。これは、やっぱり無農薬にしてほしいということをお願いしておきたいのと──あっ、終わっちゃった。後については、後日また質問させていただきます。
 終わります。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。

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