平成9年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(長坂隆司議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時三分開議
○議長(木下秀男君) これより本日の会議を開きます。
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 【日程第一 議案第百四号から議案第百十五号まで、議案第百十七号から議案第百二十号まで、及び報第七号】
 【日程第二 一般質問】
○議長(木下秀男君) 日程第一、議案第百四号から議案第百十五号まで、議案第百十七号から議案第百二十号まで、及び知事専決処分報告報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 41番長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まず、雑賀崎沖の埋め立てと和歌山下津港についてであります。
 県地方港湾審議会が本年八月二十八日、そして九月十八日に開かれ、和歌山市雑賀崎沖に埋立地を建設する和歌山下津港港湾計画が承認されました。計画によれば、一、物流需要の増大や船舶の大型化、コンテナ化に対応するための外貿、内貿機能の強化、二、環境の保全のための廃棄物受け入れ空間の確保、三、電源立地の要請に対応した発電所用地の確保などがうたわれております。
 具体的には、雑賀崎沖に県内の公共事業で出る建設残土などの廃棄物やしゅんせつ土を千七百四十万立方メートル投入し、百十七ヘクタールを埋め立てるものです。埋立地には、港湾関連用地五十五ヘクタール、埠頭用地三十五ヘクタール、交通機能用地七ヘクタール、緑地二十ヘクタールが整備され、おおむね平成二十年代前半、すなわち二〇一〇年ごろの完成を目標とするものです。
 私もこの夏、雑賀崎の友人から、雑賀崎沖が新たに埋め立てられて番所の鼻の沖にある大島、中ノ島、そして双子島も陸続きになるかもしれない、雑賀崎の自然環境は一体どうなってしまうのかと聞かされておりまして、このたびの県地方港湾審議会の動向が大変気になっておりました。
 私も、陸・海・空の一大物流拠点都市和歌山の実現を夢見る一人であり、太平洋の玄関港としての和歌山下津港の本格的外貿コンテナ港への飛躍を願って、今までのいずれの一般質問においてもそれを訴えてまいりました。大阪湾ベイフロンティア構想のもと、大阪湾海上交通の負荷軽減、陸上高速交通網と連係した物流の効率化、大規模地震などの災害に備えたリスク分散という三大コンセプトに決して反対するものではありません。将来的にさらなる物流機能を強化するため、北米、欧州航路という四、五万トン級の大型船も出入りできる大水深岸壁を中心としたコンテナターミナルの整備は、絶対不可欠のものであります。
 ところが、瀬戸内海国立公園内に位置する海食台地状になった岬と形のいい島々の海岸の美しい和歌浦から続く景勝の地・雑賀崎の先端まで港湾施設で埋め尽くし、雑賀崎の景観を昔より形づくってきた潮流を大きく変化せしめ、陸からも海からも自然の景観とは相入れない人工建造物をつい百メートル先に対峙させる線引きには、到底賛成できるものではありません。
 ちょっと急ごしらえしてきたんですけれども、見えないかもわかりませんが、(地図を示す)──ここが雑賀崎の先端であります。そこに、大島、中ノ島、双子島、そしてこの額のないリーゼント頭のような伸びたものが、まさに今回の港湾用地であります。
 去る平成七年九月議会でも質問させていただきましたが、雑賀崎には県下でも有数の漁港があります。磯釣り場もあります。清掃の行き届いた番所の鼻の庭園、歴史的価値もあり高さ約六十メートルの断崖絶壁をなす青石の美しい鷹の巣遊園、そして、おいしい魚料理を食べさせてくれる由緒ある旅館などの宿泊施設もあります。海洋海岸環境と併存、共存できる港湾整備であってほしいものです。
 小学校低学年のころまで泳いだ、かつて東洋一と言われた遠浅の水軒の浜海水浴場を埋め立てでなくし、今度は雑賀崎の景観を港湾建造物で壊され、将来的に田の浦、新和歌浦、片男波にまで及んでいくのではないかと、大きな不安ばかりが募ります。幾ら緑地を二十ヘクタール、海と港湾用地の間につくっていただいても、大きな大きな港湾建造物というものは決して覆い隠せるものではありません。陸地から見える風景だけでなく、海には遊覧船もあります。海上から見える風景というものも視野に入れてほしいものです。十一月にも運輸省の中央港湾審議会に諮られて公有水面埋立法の認可を受ける予定だということですが、そんなに簡単に事が運ぶ道理がないと信ずるものであります。
 そこで質問に入りますが、一番目、和歌山マリーナシティが四十九ヘクタールでありまして、このたびの埋め立てはその二倍強であります。いかに大きい海水面が消えるかということであります。しかしながら、本格的な外貿コンテナ港としての機能を持つためには不可避だということならば、港湾関連用地の位置をもっと北北西に持っていくことができないものでしょうか。──ここを、もうちょっとこっちへ持ってきてほしいと言うておるんであります。聞けば、和歌山本港区は強い南西風が吹くとのこと。それを防ぐ意味でも位置をぜひ再検討いただきたい。
 二番目。今回の埋め立てには建設残土や廃材、そして大水深岸壁をつくるため和歌山港内で出るしゅんせつ土を利用するということですが、去る九月十一日の読売新聞の朝刊にも、大阪市此花区のユニバーサル・スタジオ・ジャパンの建設予定地から六価クロム、総水銀、セレン、鉛、砒素の五種の有害物質が環境基準を上回って検出されたという記事が載っておりました。決してこの二の舞にはならない埋め立てであることをここに明言してください。
 三番目。この問題は港湾だけの問題ではありません。自然環境面、地域環境面、そして観光面と、横断的に論議されていくべき問題であります。十一月の国の港湾審を間近に控えて県内部でどのように議論していくおつもりですか。
 四番目。平成七年の和歌山下津港の取扱貨物量は、外貿二千四百三十五万トン、内貿三千百二万トン、合計五千五百三十八万トンでありますが、このたびの港湾計画において、目標年次の取扱貨物量を外貿二千九百九十万トン、内貿二千八百八十万トン、合計五千八百七十万トンと定めておられます。陸域千五百ヘクタール、水域一万ヘクタールの大規模な港湾空間の創出、そして投資の割に、貨物量の増大を余り見ておられないようですが、目標取扱貨物量の数字的根拠をお示しください。
 次に、救急医療についてであります。
 我が国の現在の救急医療システムは、二本立てになっております。救急告示機関すなわち救急告示病院と救急告示診療所とにゆだねられた体制と、初期救急医療施設の休日夜間急患センター、休日・夜間の診療体制を整えた病院群輪番制病院などの二次救急医療施設など、救急医療対策事業実施要綱に基づく体制とに大別されます。
 救急告示機関は昭和三十九年に二十四時間救急患者を受け入れるということでスタートされ、我が県においても、現在、告示病院が六十、告示診療所が十七あります。当時はまさに激増する交通事故に対処しようというもので、八割以上が民間の医療機関であります。しかしながら、昭和四十年代後半から五十年代に大きな社会問題となったたらい回し事件が相次ぐこととなったわけであります。きちんと対応できる人員の確保がままならず、ベッド数の確保など体制が整備されておらず、特に重症患者のたらい回しが少なくなかったわけであります。
 そこで、昭和五十二年、厚生省が救急医療対策事業実施要綱を制定し、初期救急医療施設として休日夜間急患センター及び在宅当番制、二次救急医療施設として病院群輪番制及び共同利用型病院方式、三次救急医療施設として、都道府県単位の救命救急センター、さらには都道府県全域を対象とする救急医療情報センターの設置といった分類が示されたのであります。
 しかしながら、二次救急医療体制については、地域によっては輪番に参加する病院の数が非常に限られております。和歌山市域では十八病院、日高地方では三病院、田辺地方では五病院、新宮地方では二病院、有田地方では六病院、伊都地方では六病院でありまして、地域的に少数の病院には過度の負担となっているケースもあるでしょうし、一般患者の診療にも影響が及ぶのではないでしょうか。また、大きな問題としてウイークデーの夜間の受け入れに不安を残していないでしょうか。殊に、救急患者は夜間に多い傾向にあります。さらに、民間医療機関が大半を占める中、夜間の経費が多大である救急医療の不採算性を考慮した公的援助が十分に行われているとは言えないのではないでしょうか。
 そこで、質問に入らせていただきます。
 一番目、救急告示機関への補助は一体幾らですか。昭和三十九年当時と比べてどうなっていますか。
 二番目、それは何のための補助ですか。
 三番目、救急患者の受け入れ件数については、年間、和歌山市だけでも一万人強が救急車で病院に運ばれています。年間一千人以上も受け入れる病院もあれば、二十人強といった百人にも満たない病院もあると聞きます。件数がこれだけ違うのに補助金が一緒というのはゆゆしき問題ではないでしょうか。都道府県によっては救急患者数によって補助額が決まるところもあるやに伺っております。実数に応じた補助対策ができないものでしょうか。
 四番目、救急告示機関には最低限必要な資器材があると思います。例えば、人工呼吸器、蘇生装置、モニター、ガス分析装置等々。しかしながら、それらすらない病院があるのが現状です。資器材の充実に対する補助についてご検討いただきたい。
 五番目、県内においてもいま一度、救急告示機関のあり方、要件など、洗い直しの必要がないでしょうか。
 六番目、病院群輪番制については、二次救急医療施設として明確な基準が必要ではないでしょうか。例えば、診療科が何科あるべきかとか、ベッド数は何床以上であるとか、また医師や看護婦、その他の医療スタッフが何人必要であり、特に休日・夜間の患者に当たる医師の数の基準などであります。お考えをお示しください。
 七番目、昨今の救急医療に対する需要の多様化から、全科にわたる救急医療体制が必要であります。全国的に平日の夜間・夕方の救急患者の受け入れ率が低いと伺っておりますが、県内の受け入れ状況はいかがですか。
 次に、移転後の和歌山県立医科大学附属病院の救急体制についてお聞きします。
 救急医療体制の整備充実として、中央診療部門に救急部を設置するとともに、救急専用ベッドを十五床に、重篤患者を収容するICU(集中治療室)を十床に、CCU(冠疾患集中治療室)を五床に増床、また、緊急時、殊に遠隔地からの重篤救急患者搬送に対応するため、病院の屋上にヘリポートを設置すると聞きます。さらに、大学の教育面では、卒業前や卒業後の救急医療の研修、そして救急医療の専門医の養成などについても計画されているとのことであります。第三次救急医療施設である和歌山県赤十字救命救急センターの本来の役割を補完できる面もあり、大きな期待を寄せるものであります。
 そこで質問ですが、一番目、ミルク誤注入事件等、憂慮にたえない事件の余韻もまだ残っている昨今、医師、看護婦、専門技師などスタッフの不足がこのような事態を招いた一面もあるのではないかと思われてなりません。新医大病院において、特に救急医療面での各スタッフの確保についてどう考えておられますか。
 二番目、救急救命士の資格取得後の研修は、ほとんど消防機関が医大病院に委託して行われていると聞いております。研修には、場所も資器材も諸費用もかかってくると思われますが、移転後の新医大病院での救急救命士の研修についてどのように考えておられますか。
 三番目、搬送途上における医療の充実を図るために、救急事態発生後、救急医療を担当する医師が速やかに救急現場に出動できるようなシステム、すなわちドクターズカーを効率的に活用することが重要となります。看護婦、看護士の中には救急救命士の資格を取得された方もおられますし、医師とその診療の補助を有効に行える救急救命士の両者が乗って搬送途上の医療の充実が確保できるようになることがベストであります。若い医師、看護婦、看護士、救急救命士の教育、レベルアップのためにも、新医大病院が和歌山県の地域医療のリーダーとして、第三次救急医療施設として試験的にでも救命率のアップを目指してドクターズカーの運用に乗り出してみてはいかがでしょうか。
 以上、第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 長坂議員の雑賀崎沖の埋め立てと和歌山下津港に関するご質問にお答えいたします。
 まず、埋め立て計画における港湾関連用地の位置についてでございます。
 今回の和歌山下津港港湾計画は、ベイフロンティア構想実現のための第一段階と位置づけ、外貿物流機能の拡充が重要課題と考えております。そこで、外貿物流機能が集積して比較的道路アクセスが充実している本港区において、大水深の岸壁やコンテナ貨物などを取り扱う十分な広さを有する埠頭用地や貨物の保管用地を確保する必要があります。また、紀北地域の環境保全を図る観点から、建設残土やしゅんせつ土などの受け入れ空間を長期にわたって確保する必要があります。このため、本港沖に百十七ヘクタールの埋め立てを計画するものでございます。
 事業実施に向けて、議員ご指摘の周辺環境や景観等に十分配慮するとともに、地元関係者とも十分協議をし、理解を得られるよう努力してまいりたいと考えてございます。
 次に、港湾計画の県内部での取り組みについてのご質問でございます。
 この港湾計画案の策定に際しては、関係する庁内各部局と協議を重ね、おおむね合意は得ているところでありますが、今後とも円滑な事業実施に向けて関係部局と連携を図ってまいることとしております。
 次に、今回の港湾計画における目標取扱貨物量の数字的根拠でございます。
 港湾取扱貨物量の推計につきましては、各貨物品目ごとに、過去の実績やヒアリング、アンケートを基礎に、大阪湾諸港との機能分担をも考慮して推計しております。ご指摘のとおり、全体としては低い伸びとなっておりますが、これは専用貨物について余り増加する見込みがない、こういうことのためでございますけれども、公共貨物については、平成七年の取扱量約二百七十万トンが約五百万トンに達するものと推計いたしております。
 今後とも、新たな外貿コンテナ航路の開設を目指してポートセールスに積極的に取り組み、県経済の浮揚に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 長坂議員にお答えを申し上げます。
 雑賀崎沖の埋め立てについて、有害物質を伴う埋め立てでないことを明言せよというご質問でございますが、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの建設予定地は、鉱滓、汚泥等の産業廃棄物を埋立処分していたものとされてございます。本県の場合、こうした産業廃棄物はフェニックス計画の処分場で処分することといたしております。したがいまして、次期港湾計画で計画されている埋め立てについては、建設残土、しゅんせつ土砂、コンクリート片を破砕したもの以外のものは処分しない計画であり、有害物質を含むおそれはございません。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 長坂議員ご質問の、救急医療についての七点にお答え申し上げます。
 まず、救急告示機関への補助とその目的についてでございます。
 補助金額については、救急病院等を定める厚生省令が昭和三十九年四月から施行されておりますが、救急告示病院等への国庫補助制度はございません。しかし、昭和四十七年度には県単独の補助事業をスタートさせ、その当時の救急医療対策関係予算は一千三百八十六万七千円、平成九年度では一億三千七百七十四万七千円となってございます。
 なお、救急告示医療機関に対する補助額につきましては、一医療機関当たり、病院では二十四万円、診療所で十二万円となってございます。目的については、救急告示医療機関が地域住民の急病患者の医療を確保するという一次救急のための医療機関でありますので、できるだけ多くの医療機関の参加をいただくため、少額ではございますが、補助するものでございます。
 次に、救急患者の受け入れにつきましては、救急患者が発生した場合、まず考えられることは、患者やその家族が救命救急センターである日赤和歌山医療センターや比較的大きな公的病院を希望することであります。また、各消防本部等からの病院群輪番制の当番病院への搬送であります。このような救急患者の受け入れ実績の多い医療機関につきましては、現実的には病院群輪番制に参加していただいているところでございます。
 参加病院については、国庫補助制度で運営補助のほか設備整備及び施設整備補助がございますので、これらの補助制度の活用をいただいております。また、救急告示医療機関につきましては、一定の固定資産税の優遇措置がございます。
 次に、救急告示機関のあり方、要件の洗い直しの必要性についてでございますが、救急告示機関は一次救急のための医療機関であり、県知事に対して救急業務に関し協力する旨の申し出を受け、当該病院等が所在する地域における救急業務の対象となる傷病者の発生状況等を勘案して必要と認定したものでございます。今後、多くの医療機関に参加していただけますよう働きかけてまいりたいと存じます。
 次に、病院群輪番制について明確な基準が必要ではとの点についてでございますが、病院群輪番制病院等運営事業は、地方公共団体が地域の実情に応じて病院群輪番制方式等による第二次救急医療施設を整備するものでございます。整備基準といたしましては、必要な診療機能及び専用病床を確保するものとし、診療体制は通常の当直体制のほかに重症救急患者の受け入れに対応できる医師等、医療従事者を確保することとなってございます。地域により実情が異なり、統一的な基準が示されていないところでございますが、今後、病院群輪番制を進めていく上で市町村等と協議してまいります。
 最後に、県内の平日の救急患者の受け入れ状況についてでございますが、平成八年度の救急搬送の総件数は全体で二万八千六百二十八件となってございます。平日の夕方・夜間の救急患者の受入率が低いというご指摘でございますが、現実には平日の夕方・夜間であっても対応が可能となってございます。
 今後とも、初期救急医療機関から二次救急医療機関及び消防機関との密接な連携によりまして、県民が安心できる医療体制の確保に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 医科大学学長山本博之君。
 〔山本博之君、登壇〕
○医科大学学長(山本博之君) 長坂議員ご質問の、新医科大学附属病院における救急医療面でのスタッフの確保についてお答えいたします。
 新しい附属病院には、遠隔地からの重篤患者の搬送に対応できるよう、病院としては県下初の屋上ヘリポートを設置することにいたしてございます。また、救急ベッドも現在の四床から十五床に増床するなど、救急部門のハード面の充実を図ることといたしてございます。救急部門のスタッフについては、現在、組織、人員体制等を含め、充実に向けて関係部局と協議検討を重ねているところでございますが、県民の期待やニーズに十分こたえられるような体制づくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、救急救命士の研修についてでございますが、県の救急医療体制の整備充実の面から、救急救命士の養成課程における研修については、当病院としても積極的に受け入れを行っているところでございます。本年度も、現在まで県内の消防本部から七名を受け入れてございます。新病院におきましても、救急病院に重症度の判定や救急処置要領等を修得いただくために継続して研修を受け入れていきたいと考えてございます。
 最後に、議員ご提言のドクターズカーの運用についてでございます。
 救命率の向上を図る上で、救急現場及び搬送途上における応急処置の充実を図ることが重要でございます。その方策といたしましては、医師などが現場へ出動するいわゆるドクターズカー方式、救急隊員が行う応急処置の範囲を拡大することが考えられます。ご提言のドクターズカー方式による救急については、救急現場への出動は市町村消防本部と定められておりまして、現時点で新医大附属病院として単独で運用を行うことは難しいのではないかと考えてございます。
 現在、医科大学といたしましては、現実的な方策として、和歌山市消防局において救急救命士の乗る高規格救急車の運用が開始されたのに合わせ、附属病院の高度集中治療センターに心電図の送受信モニターを設置して、救急救命士への指示を行うなどの協力体制をとらせていただいているところでございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 41番長坂隆司君。
○長坂隆司君 ご答弁いただきました。
 まず雑賀崎沖の埋め立ての件ですが、このたびの埋め立てに当たって当局は、雑賀崎の地域住民の方、漁業に携わる方、観光業に携わる方、和歌山市当局、そして片男波から雑賀崎に至るこの和歌の浦の地をこよなく愛する一般市民のそれぞれの声を十分に聞かれておりますか。まずその作業から入ってください。
 去る六月九日には、国会にて環境影響評価法すなわち環境アセスメント法が成立しました。事業計画の早期の段階で環境アセスに必要な情報が住民や地方自治体に提供され、準備書に反映させる手続が定められたのです。制度の中立、公開、住民参加の原則が盛り込まれたからには、和歌山県においても地域の特性に合わせて環境保全型の魅力ある地域づくりを目指す努力が求められます。
 この港湾計画は、環境庁とも話を詰めていかなければならない問題ですし、土木部と生活文化部で十一月までの短い期間に意見を十分闘わせて、将来の物流基地としての和歌山の進むべき方向と貴重な観光資源、景勝地・雑賀崎との共生をぜひ熟慮いただきたいと思います。
 今回の港湾計画はベイフロンティア構想実現のための第一段階ということですが、すなわち将来、第二段階、第三段階として、さらなる外貿物流機能の拡充のために一層の埋め立てが必要になるということだと思います。ならば、すぐ南に位置する国立公園との境まで用地を持ってこずとも、本港沖地区のもっと西への沖出し、さらには北港沖地区の港湾としてのさらなる充実も考えられないでしょうか。
 例えば、横浜港における本牧埠頭、大黒埠頭のように、場所的には少々離れていても、外貿の航路ごとに港湾施設を振り分けることも考えてよいのではないでしょうか。さらには、近い将来の大幅な貨物の増加も見込めないという現状を聞かしていただきました。せっかく計画も動き出すとしたならば、貨物の獲得のため、着実な実績づくりのために、地元の産業振興と関連させて尽力いただきたいと思います。主に木材の集散港として発展してきた和歌山港の役割も一つのセールスポイントですし、船会社サイドや港湾運送事業者の現場の生の声も聴取しながら、本当に効率のよい、使い勝手のよい港湾施設整備を行っていただきたいと要望します。
 次に、救急医療についてです。
 救急告示医療機関への補助額を聞かせていただきました。当初より四半世紀過ぎた今日、年に二十四万円、十二万円では、実際の話、事務員すら雇えないし、基本的な器材購入にも結びつかないような金額です。これでは、多くの医療機関の救急への参加の呼び水にはなり得ないのではないでしょうか。やはり、救急告示機関について実効性のある補助のあり方を問い直す時期に来ているのではないでしょうか。民間の病院経営も厳しさを増す中、いま一度ご検討いただきたいと思います。
 以上、要望ということで、再質問にかえさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。

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