平成9年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第五号 平成九年九月二十九日(月曜日)
 午前十時開議
 第一 議案第百四号から議案第百十五号まで、議案第百十七号から議案第百二十号まで、及び報第七号(質疑・委員会付託)
 第二 一般質問
 第三 請願付託
会議に付した事件
 一 議案第百四号から議案第百十五号まで、議案第百十七号から議案第百二十号まで、及び報第七号(質疑・委員会付託)
 二 一般質問
 三 請願付託
 四 休会決定の件
出 席 議 員(四十七人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川 武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門 三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島 雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 谷 洋 一
 18 番 山 下 直 也
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 松 本 泰 造
 21 番 堀 本 隆 男
 22 番 宇治田 栄 蔵
 23 番 宗 正 彦
 24 番 橋 本 進
 25 番 神 出 政 巳
 26 番 玉 置 公 良
 27 番 上 野 哲 弘
 28 番 東 山 昭 久
 29 番 尾 崎 要 二
 30 番 野見山 海
 31 番 木 下 秀 男
 32 番 町 田 亘
 33 番 中 山 豊
 34 番 井 谷 勲
 35 番 鶴 田 至 弘
 36 番 森 正 樹
 37 番 村 岡 キミ子
 38 番 新 田 和 弘
 39 番 平 越 孝 哉
 40 番 森 本 明 雄
 41 番 長 坂 隆 司
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
 知 事 西 口 勇
 副知事 山 下 茂
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 中 山 次 郎
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 生活文化部長 中 村 協 二
 福祉保健部長 小 西 悟
 商工労働部長 日 根 紀 男
 農林水産部長 平 松 俊 次
 土木部長 長 沢 小太郎
 企業局長 佐 野 萬瑳義
 教育委員会委員長
 山 本 明
 教育長 西 川 時千代
 公安委員会委員 中 尾 公 彦
 警察本部長 米 田 壯
 人事委員会委員長
 若 林 弘 澄
 代表監査委員 宮 市 武 彦
 選挙管理委員会委員長
 谷 口 庄 一
 医科大学学長 山 本 博 之
 以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 西 畑 彰 久
 次 長 前 晴 夫
 議事課長 佐 竹 欣 司
 議事課副課長 島 光 正
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 川 崎 良 雄
 議事課主事 大 浦 達 司
 総務課長 塩 路 義 和
 調査課長 湊 孝太郎
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時三分開議
○議長(木下秀男君) これより本日の会議を開きます。
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 【日程第一 議案第百四号から議案第百十五号まで、議案第百十七号から議案第百二十号まで、及び報第七号】
 【日程第二 一般質問】
○議長(木下秀男君) 日程第一、議案第百四号から議案第百十五号まで、議案第百十七号から議案第百二十号まで、及び知事専決処分報告報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 41番長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まず、雑賀崎沖の埋め立てと和歌山下津港についてであります。
 県地方港湾審議会が本年八月二十八日、そして九月十八日に開かれ、和歌山市雑賀崎沖に埋立地を建設する和歌山下津港港湾計画が承認されました。計画によれば、一、物流需要の増大や船舶の大型化、コンテナ化に対応するための外貿、内貿機能の強化、二、環境の保全のための廃棄物受け入れ空間の確保、三、電源立地の要請に対応した発電所用地の確保などがうたわれております。
 具体的には、雑賀崎沖に県内の公共事業で出る建設残土などの廃棄物やしゅんせつ土を千七百四十万立方メートル投入し、百十七ヘクタールを埋め立てるものです。埋立地には、港湾関連用地五十五ヘクタール、埠頭用地三十五ヘクタール、交通機能用地七ヘクタール、緑地二十ヘクタールが整備され、おおむね平成二十年代前半、すなわち二〇一〇年ごろの完成を目標とするものです。
 私もこの夏、雑賀崎の友人から、雑賀崎沖が新たに埋め立てられて番所の鼻の沖にある大島、中ノ島、そして双子島も陸続きになるかもしれない、雑賀崎の自然環境は一体どうなってしまうのかと聞かされておりまして、このたびの県地方港湾審議会の動向が大変気になっておりました。
 私も、陸・海・空の一大物流拠点都市和歌山の実現を夢見る一人であり、太平洋の玄関港としての和歌山下津港の本格的外貿コンテナ港への飛躍を願って、今までのいずれの一般質問においてもそれを訴えてまいりました。大阪湾ベイフロンティア構想のもと、大阪湾海上交通の負荷軽減、陸上高速交通網と連係した物流の効率化、大規模地震などの災害に備えたリスク分散という三大コンセプトに決して反対するものではありません。将来的にさらなる物流機能を強化するため、北米、欧州航路という四、五万トン級の大型船も出入りできる大水深岸壁を中心としたコンテナターミナルの整備は、絶対不可欠のものであります。
 ところが、瀬戸内海国立公園内に位置する海食台地状になった岬と形のいい島々の海岸の美しい和歌浦から続く景勝の地・雑賀崎の先端まで港湾施設で埋め尽くし、雑賀崎の景観を昔より形づくってきた潮流を大きく変化せしめ、陸からも海からも自然の景観とは相入れない人工建造物をつい百メートル先に対峙させる線引きには、到底賛成できるものではありません。
 ちょっと急ごしらえしてきたんですけれども、見えないかもわかりませんが、(地図を示す)──ここが雑賀崎の先端であります。そこに、大島、中ノ島、双子島、そしてこの額のないリーゼント頭のような伸びたものが、まさに今回の港湾用地であります。
 去る平成七年九月議会でも質問させていただきましたが、雑賀崎には県下でも有数の漁港があります。磯釣り場もあります。清掃の行き届いた番所の鼻の庭園、歴史的価値もあり高さ約六十メートルの断崖絶壁をなす青石の美しい鷹の巣遊園、そして、おいしい魚料理を食べさせてくれる由緒ある旅館などの宿泊施設もあります。海洋海岸環境と併存、共存できる港湾整備であってほしいものです。
 小学校低学年のころまで泳いだ、かつて東洋一と言われた遠浅の水軒の浜海水浴場を埋め立てでなくし、今度は雑賀崎の景観を港湾建造物で壊され、将来的に田の浦、新和歌浦、片男波にまで及んでいくのではないかと、大きな不安ばかりが募ります。幾ら緑地を二十ヘクタール、海と港湾用地の間につくっていただいても、大きな大きな港湾建造物というものは決して覆い隠せるものではありません。陸地から見える風景だけでなく、海には遊覧船もあります。海上から見える風景というものも視野に入れてほしいものです。十一月にも運輸省の中央港湾審議会に諮られて公有水面埋立法の認可を受ける予定だということですが、そんなに簡単に事が運ぶ道理がないと信ずるものであります。
 そこで質問に入りますが、一番目、和歌山マリーナシティが四十九ヘクタールでありまして、このたびの埋め立てはその二倍強であります。いかに大きい海水面が消えるかということであります。しかしながら、本格的な外貿コンテナ港としての機能を持つためには不可避だということならば、港湾関連用地の位置をもっと北北西に持っていくことができないものでしょうか。──ここを、もうちょっとこっちへ持ってきてほしいと言うておるんであります。聞けば、和歌山本港区は強い南西風が吹くとのこと。それを防ぐ意味でも位置をぜひ再検討いただきたい。
 二番目。今回の埋め立てには建設残土や廃材、そして大水深岸壁をつくるため和歌山港内で出るしゅんせつ土を利用するということですが、去る九月十一日の読売新聞の朝刊にも、大阪市此花区のユニバーサル・スタジオ・ジャパンの建設予定地から六価クロム、総水銀、セレン、鉛、砒素の五種の有害物質が環境基準を上回って検出されたという記事が載っておりました。決してこの二の舞にはならない埋め立てであることをここに明言してください。
 三番目。この問題は港湾だけの問題ではありません。自然環境面、地域環境面、そして観光面と、横断的に論議されていくべき問題であります。十一月の国の港湾審を間近に控えて県内部でどのように議論していくおつもりですか。
 四番目。平成七年の和歌山下津港の取扱貨物量は、外貿二千四百三十五万トン、内貿三千百二万トン、合計五千五百三十八万トンでありますが、このたびの港湾計画において、目標年次の取扱貨物量を外貿二千九百九十万トン、内貿二千八百八十万トン、合計五千八百七十万トンと定めておられます。陸域千五百ヘクタール、水域一万ヘクタールの大規模な港湾空間の創出、そして投資の割に、貨物量の増大を余り見ておられないようですが、目標取扱貨物量の数字的根拠をお示しください。
 次に、救急医療についてであります。
 我が国の現在の救急医療システムは、二本立てになっております。救急告示機関すなわち救急告示病院と救急告示診療所とにゆだねられた体制と、初期救急医療施設の休日夜間急患センター、休日・夜間の診療体制を整えた病院群輪番制病院などの二次救急医療施設など、救急医療対策事業実施要綱に基づく体制とに大別されます。
 救急告示機関は昭和三十九年に二十四時間救急患者を受け入れるということでスタートされ、我が県においても、現在、告示病院が六十、告示診療所が十七あります。当時はまさに激増する交通事故に対処しようというもので、八割以上が民間の医療機関であります。しかしながら、昭和四十年代後半から五十年代に大きな社会問題となったたらい回し事件が相次ぐこととなったわけであります。きちんと対応できる人員の確保がままならず、ベッド数の確保など体制が整備されておらず、特に重症患者のたらい回しが少なくなかったわけであります。
 そこで、昭和五十二年、厚生省が救急医療対策事業実施要綱を制定し、初期救急医療施設として休日夜間急患センター及び在宅当番制、二次救急医療施設として病院群輪番制及び共同利用型病院方式、三次救急医療施設として、都道府県単位の救命救急センター、さらには都道府県全域を対象とする救急医療情報センターの設置といった分類が示されたのであります。
 しかしながら、二次救急医療体制については、地域によっては輪番に参加する病院の数が非常に限られております。和歌山市域では十八病院、日高地方では三病院、田辺地方では五病院、新宮地方では二病院、有田地方では六病院、伊都地方では六病院でありまして、地域的に少数の病院には過度の負担となっているケースもあるでしょうし、一般患者の診療にも影響が及ぶのではないでしょうか。また、大きな問題としてウイークデーの夜間の受け入れに不安を残していないでしょうか。殊に、救急患者は夜間に多い傾向にあります。さらに、民間医療機関が大半を占める中、夜間の経費が多大である救急医療の不採算性を考慮した公的援助が十分に行われているとは言えないのではないでしょうか。
 そこで、質問に入らせていただきます。
 一番目、救急告示機関への補助は一体幾らですか。昭和三十九年当時と比べてどうなっていますか。
 二番目、それは何のための補助ですか。
 三番目、救急患者の受け入れ件数については、年間、和歌山市だけでも一万人強が救急車で病院に運ばれています。年間一千人以上も受け入れる病院もあれば、二十人強といった百人にも満たない病院もあると聞きます。件数がこれだけ違うのに補助金が一緒というのはゆゆしき問題ではないでしょうか。都道府県によっては救急患者数によって補助額が決まるところもあるやに伺っております。実数に応じた補助対策ができないものでしょうか。
 四番目、救急告示機関には最低限必要な資器材があると思います。例えば、人工呼吸器、蘇生装置、モニター、ガス分析装置等々。しかしながら、それらすらない病院があるのが現状です。資器材の充実に対する補助についてご検討いただきたい。
 五番目、県内においてもいま一度、救急告示機関のあり方、要件など、洗い直しの必要がないでしょうか。
 六番目、病院群輪番制については、二次救急医療施設として明確な基準が必要ではないでしょうか。例えば、診療科が何科あるべきかとか、ベッド数は何床以上であるとか、また医師や看護婦、その他の医療スタッフが何人必要であり、特に休日・夜間の患者に当たる医師の数の基準などであります。お考えをお示しください。
 七番目、昨今の救急医療に対する需要の多様化から、全科にわたる救急医療体制が必要であります。全国的に平日の夜間・夕方の救急患者の受け入れ率が低いと伺っておりますが、県内の受け入れ状況はいかがですか。
 次に、移転後の和歌山県立医科大学附属病院の救急体制についてお聞きします。
 救急医療体制の整備充実として、中央診療部門に救急部を設置するとともに、救急専用ベッドを十五床に、重篤患者を収容するICU(集中治療室)を十床に、CCU(冠疾患集中治療室)を五床に増床、また、緊急時、殊に遠隔地からの重篤救急患者搬送に対応するため、病院の屋上にヘリポートを設置すると聞きます。さらに、大学の教育面では、卒業前や卒業後の救急医療の研修、そして救急医療の専門医の養成などについても計画されているとのことであります。第三次救急医療施設である和歌山県赤十字救命救急センターの本来の役割を補完できる面もあり、大きな期待を寄せるものであります。
 そこで質問ですが、一番目、ミルク誤注入事件等、憂慮にたえない事件の余韻もまだ残っている昨今、医師、看護婦、専門技師などスタッフの不足がこのような事態を招いた一面もあるのではないかと思われてなりません。新医大病院において、特に救急医療面での各スタッフの確保についてどう考えておられますか。
 二番目、救急救命士の資格取得後の研修は、ほとんど消防機関が医大病院に委託して行われていると聞いております。研修には、場所も資器材も諸費用もかかってくると思われますが、移転後の新医大病院での救急救命士の研修についてどのように考えておられますか。
 三番目、搬送途上における医療の充実を図るために、救急事態発生後、救急医療を担当する医師が速やかに救急現場に出動できるようなシステム、すなわちドクターズカーを効率的に活用することが重要となります。看護婦、看護士の中には救急救命士の資格を取得された方もおられますし、医師とその診療の補助を有効に行える救急救命士の両者が乗って搬送途上の医療の充実が確保できるようになることがベストであります。若い医師、看護婦、看護士、救急救命士の教育、レベルアップのためにも、新医大病院が和歌山県の地域医療のリーダーとして、第三次救急医療施設として試験的にでも救命率のアップを目指してドクターズカーの運用に乗り出してみてはいかがでしょうか。
 以上、第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 長坂議員の雑賀崎沖の埋め立てと和歌山下津港に関するご質問にお答えいたします。
 まず、埋め立て計画における港湾関連用地の位置についてでございます。
 今回の和歌山下津港港湾計画は、ベイフロンティア構想実現のための第一段階と位置づけ、外貿物流機能の拡充が重要課題と考えております。そこで、外貿物流機能が集積して比較的道路アクセスが充実している本港区において、大水深の岸壁やコンテナ貨物などを取り扱う十分な広さを有する埠頭用地や貨物の保管用地を確保する必要があります。また、紀北地域の環境保全を図る観点から、建設残土やしゅんせつ土などの受け入れ空間を長期にわたって確保する必要があります。このため、本港沖に百十七ヘクタールの埋め立てを計画するものでございます。
 事業実施に向けて、議員ご指摘の周辺環境や景観等に十分配慮するとともに、地元関係者とも十分協議をし、理解を得られるよう努力してまいりたいと考えてございます。
 次に、港湾計画の県内部での取り組みについてのご質問でございます。
 この港湾計画案の策定に際しては、関係する庁内各部局と協議を重ね、おおむね合意は得ているところでありますが、今後とも円滑な事業実施に向けて関係部局と連携を図ってまいることとしております。
 次に、今回の港湾計画における目標取扱貨物量の数字的根拠でございます。
 港湾取扱貨物量の推計につきましては、各貨物品目ごとに、過去の実績やヒアリング、アンケートを基礎に、大阪湾諸港との機能分担をも考慮して推計しております。ご指摘のとおり、全体としては低い伸びとなっておりますが、これは専用貨物について余り増加する見込みがない、こういうことのためでございますけれども、公共貨物については、平成七年の取扱量約二百七十万トンが約五百万トンに達するものと推計いたしております。
 今後とも、新たな外貿コンテナ航路の開設を目指してポートセールスに積極的に取り組み、県経済の浮揚に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 長坂議員にお答えを申し上げます。
 雑賀崎沖の埋め立てについて、有害物質を伴う埋め立てでないことを明言せよというご質問でございますが、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの建設予定地は、鉱滓、汚泥等の産業廃棄物を埋立処分していたものとされてございます。本県の場合、こうした産業廃棄物はフェニックス計画の処分場で処分することといたしております。したがいまして、次期港湾計画で計画されている埋め立てについては、建設残土、しゅんせつ土砂、コンクリート片を破砕したもの以外のものは処分しない計画であり、有害物質を含むおそれはございません。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 長坂議員ご質問の、救急医療についての七点にお答え申し上げます。
 まず、救急告示機関への補助とその目的についてでございます。
 補助金額については、救急病院等を定める厚生省令が昭和三十九年四月から施行されておりますが、救急告示病院等への国庫補助制度はございません。しかし、昭和四十七年度には県単独の補助事業をスタートさせ、その当時の救急医療対策関係予算は一千三百八十六万七千円、平成九年度では一億三千七百七十四万七千円となってございます。
 なお、救急告示医療機関に対する補助額につきましては、一医療機関当たり、病院では二十四万円、診療所で十二万円となってございます。目的については、救急告示医療機関が地域住民の急病患者の医療を確保するという一次救急のための医療機関でありますので、できるだけ多くの医療機関の参加をいただくため、少額ではございますが、補助するものでございます。
 次に、救急患者の受け入れにつきましては、救急患者が発生した場合、まず考えられることは、患者やその家族が救命救急センターである日赤和歌山医療センターや比較的大きな公的病院を希望することであります。また、各消防本部等からの病院群輪番制の当番病院への搬送であります。このような救急患者の受け入れ実績の多い医療機関につきましては、現実的には病院群輪番制に参加していただいているところでございます。
 参加病院については、国庫補助制度で運営補助のほか設備整備及び施設整備補助がございますので、これらの補助制度の活用をいただいております。また、救急告示医療機関につきましては、一定の固定資産税の優遇措置がございます。
 次に、救急告示機関のあり方、要件の洗い直しの必要性についてでございますが、救急告示機関は一次救急のための医療機関であり、県知事に対して救急業務に関し協力する旨の申し出を受け、当該病院等が所在する地域における救急業務の対象となる傷病者の発生状況等を勘案して必要と認定したものでございます。今後、多くの医療機関に参加していただけますよう働きかけてまいりたいと存じます。
 次に、病院群輪番制について明確な基準が必要ではとの点についてでございますが、病院群輪番制病院等運営事業は、地方公共団体が地域の実情に応じて病院群輪番制方式等による第二次救急医療施設を整備するものでございます。整備基準といたしましては、必要な診療機能及び専用病床を確保するものとし、診療体制は通常の当直体制のほかに重症救急患者の受け入れに対応できる医師等、医療従事者を確保することとなってございます。地域により実情が異なり、統一的な基準が示されていないところでございますが、今後、病院群輪番制を進めていく上で市町村等と協議してまいります。
 最後に、県内の平日の救急患者の受け入れ状況についてでございますが、平成八年度の救急搬送の総件数は全体で二万八千六百二十八件となってございます。平日の夕方・夜間の救急患者の受入率が低いというご指摘でございますが、現実には平日の夕方・夜間であっても対応が可能となってございます。
 今後とも、初期救急医療機関から二次救急医療機関及び消防機関との密接な連携によりまして、県民が安心できる医療体制の確保に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 医科大学学長山本博之君。
 〔山本博之君、登壇〕
○医科大学学長(山本博之君) 長坂議員ご質問の、新医科大学附属病院における救急医療面でのスタッフの確保についてお答えいたします。
 新しい附属病院には、遠隔地からの重篤患者の搬送に対応できるよう、病院としては県下初の屋上ヘリポートを設置することにいたしてございます。また、救急ベッドも現在の四床から十五床に増床するなど、救急部門のハード面の充実を図ることといたしてございます。救急部門のスタッフについては、現在、組織、人員体制等を含め、充実に向けて関係部局と協議検討を重ねているところでございますが、県民の期待やニーズに十分こたえられるような体制づくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、救急救命士の研修についてでございますが、県の救急医療体制の整備充実の面から、救急救命士の養成課程における研修については、当病院としても積極的に受け入れを行っているところでございます。本年度も、現在まで県内の消防本部から七名を受け入れてございます。新病院におきましても、救急病院に重症度の判定や救急処置要領等を修得いただくために継続して研修を受け入れていきたいと考えてございます。
 最後に、議員ご提言のドクターズカーの運用についてでございます。
 救命率の向上を図る上で、救急現場及び搬送途上における応急処置の充実を図ることが重要でございます。その方策といたしましては、医師などが現場へ出動するいわゆるドクターズカー方式、救急隊員が行う応急処置の範囲を拡大することが考えられます。ご提言のドクターズカー方式による救急については、救急現場への出動は市町村消防本部と定められておりまして、現時点で新医大附属病院として単独で運用を行うことは難しいのではないかと考えてございます。
 現在、医科大学といたしましては、現実的な方策として、和歌山市消防局において救急救命士の乗る高規格救急車の運用が開始されたのに合わせ、附属病院の高度集中治療センターに心電図の送受信モニターを設置して、救急救命士への指示を行うなどの協力体制をとらせていただいているところでございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 41番長坂隆司君。
○長坂隆司君 ご答弁いただきました。
 まず雑賀崎沖の埋め立ての件ですが、このたびの埋め立てに当たって当局は、雑賀崎の地域住民の方、漁業に携わる方、観光業に携わる方、和歌山市当局、そして片男波から雑賀崎に至るこの和歌の浦の地をこよなく愛する一般市民のそれぞれの声を十分に聞かれておりますか。まずその作業から入ってください。
 去る六月九日には、国会にて環境影響評価法すなわち環境アセスメント法が成立しました。事業計画の早期の段階で環境アセスに必要な情報が住民や地方自治体に提供され、準備書に反映させる手続が定められたのです。制度の中立、公開、住民参加の原則が盛り込まれたからには、和歌山県においても地域の特性に合わせて環境保全型の魅力ある地域づくりを目指す努力が求められます。
 この港湾計画は、環境庁とも話を詰めていかなければならない問題ですし、土木部と生活文化部で十一月までの短い期間に意見を十分闘わせて、将来の物流基地としての和歌山の進むべき方向と貴重な観光資源、景勝地・雑賀崎との共生をぜひ熟慮いただきたいと思います。
 今回の港湾計画はベイフロンティア構想実現のための第一段階ということですが、すなわち将来、第二段階、第三段階として、さらなる外貿物流機能の拡充のために一層の埋め立てが必要になるということだと思います。ならば、すぐ南に位置する国立公園との境まで用地を持ってこずとも、本港沖地区のもっと西への沖出し、さらには北港沖地区の港湾としてのさらなる充実も考えられないでしょうか。
 例えば、横浜港における本牧埠頭、大黒埠頭のように、場所的には少々離れていても、外貿の航路ごとに港湾施設を振り分けることも考えてよいのではないでしょうか。さらには、近い将来の大幅な貨物の増加も見込めないという現状を聞かしていただきました。せっかく計画も動き出すとしたならば、貨物の獲得のため、着実な実績づくりのために、地元の産業振興と関連させて尽力いただきたいと思います。主に木材の集散港として発展してきた和歌山港の役割も一つのセールスポイントですし、船会社サイドや港湾運送事業者の現場の生の声も聴取しながら、本当に効率のよい、使い勝手のよい港湾施設整備を行っていただきたいと要望します。
 次に、救急医療についてです。
 救急告示医療機関への補助額を聞かせていただきました。当初より四半世紀過ぎた今日、年に二十四万円、十二万円では、実際の話、事務員すら雇えないし、基本的な器材購入にも結びつかないような金額です。これでは、多くの医療機関の救急への参加の呼び水にはなり得ないのではないでしょうか。やはり、救急告示機関について実効性のある補助のあり方を問い直す時期に来ているのではないでしょうか。民間の病院経営も厳しさを増す中、いま一度ご検討いただきたいと思います。
 以上、要望ということで、再質問にかえさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 9番永井佑治君。
 〔永井佑治君、登壇〕(拍手)
○永井佑治君 議長のお許しをいただきましたので、幾つかお尋ねをしたいと思います。
 まず、県経済の活性化についてお尋ねをいたします。
 政府は、今から四年前の平成五年ぐらいからでありましょうか、「バブル経済の崩壊から立ち直り、景気は緩やかな回復に向かっている」と言い続けておりますが、身近に起こりました、さきの阪和銀行の破綻、先日の和歌山鉄工の解散等、私たちが実感する限りでは余り明るいとは申せません。それどころか、阪神大震災以降、種々の条件が重なってむしろ再び低迷に向かっているのではないかという感じさえするのであります。
 先日も、市内のあるところでこういう話を聞かされました。「子供や孫の時代になったら、この和歌山で働くところがないのと違うかと心配するよ。西口知事にもっと働くところをつくってもらうように頼んでおいてほしいよ」というものでありました。巷間耳にします和歌山のよくないうわさ話などで、将来に少なからぬ不安を感じている様子でありました。
 私たちの周辺で言われている「和歌山はあかん」という悲観的な、あるいは消極的な声は近ごろでは県外でもよく耳にすると貿易商社を営む友人から聞かされ、私はいささかショックを受けました。西口知事がいつも、和歌山はだめなんだという発想をやめて自信と誇りを持って事に当たるよう発想を改めることが必要だと強調をされておりますが、そのことの大切さを今さらながら思い起こすのであります。
 さて、ご承知のとおり、かつて和歌山の代表的な地場産業は全国的にも有名でした。木材、家具、メリヤス、ニット、化学製品、和雑貨などがそうでありましょう。本県は我が国でも有数の地場産業県でもあったわけで、これらの地場産業が本県産業の発展を大きく支えてきたと言われております。しかし一方で、本県産業の特徴として、重化学工業との二重構造、業種構成の偏り、中間加工型産業の占める割合が大きいことなどが指摘されているところでありまして、特に、付加価値の高い最終加工型産業を育てることが大切であろうと思われます。
 少し古い資料になりますが、県内総生産を製造業だけで見てみますと、昭和五十六年と平成五年を比較して、年によって多少の増減もありますが、事業所で六百八十九事業所、従業員数で七千九百三十七人、製造品出荷額で昭和五十六年が二兆八千三百八十五億円でありましたのが平成五年には二兆三千三百四十八億円でありますから、五千三十七億円も少なくなっているのがいささか気がかりであります。
 ところで、今日の経済は、ボーダーレスといいますか、グローバルといいますか、世界じゅう連動しているのはご承知のとおりであります。アジアにおいても例外ではありません。約二カ月ぐらい前でしょうか、タイのバーツの下落によってフィリピンのペソ、マレーシアのリンギ、インドネシアのルピアなど、東南アジアの通貨が一斉に下落し、通貨危機を招いたといったぐあいであります。
 また、もう既に始まっている証券、保険、銀行の自由化、いわゆる日本版ビッグバンによって来年四月から外国為替が自由化になりますと、例えば、私たちが外国に行ってドルを使い、それが仮に余っても換金する必要がなく、それをそのまま使うこともできますし、銀行以外でも交換をしてくれます。あるいはまた、和歌山の企業同士が便宜上ドル建てで決済することも可能なわけであります。
 このような国際的な経済状況から考えますと、今まで使っていた「地場産業」という言葉すら全く意味をなさなくなるものと思われます。言葉だけではありません。県内の中小零細企業を守るためにも、経済、企業に関連するすべての行政、対策そのものを考え直す必要が生じてくるのではないでしょうか。国からの指示を待つだけでは、受け皿論を言われても仕方がありません。
 しかしながら、今、この和歌山にも、国内はもちろんのこと、海外でもナンバーワン、オンリーワンの企業、また競争力でも引けをとらない企業が意外と多くあります。ざっと知っているだけを並べましても、自動写真処理システムQSSのノーリツ鋼機、自動編み機の島精機、自動精米機をつくっている東洋精米機、また変わったところでは、和歌山精化の黄色の顔料の原料は、医薬、精密機器など総合化学分野では世界で超一流と言われているドイツのヘキストやバイエルなどにも負けないと聞いておりますし、冷凍豆腐のテンドレ、インクジェットプリンターの紀州技研工業など、調べればまだまだあると思います。
 これらの企業は、常に社会経済環境の激しい変化を機敏に、また的確に察知し、素早く対応できる柔軟性と先見性を持ち、積極的な姿勢で経営されてきており、地場産業から従来の技術経営のノウハウを生かして新分野で発展した企業であり、また、従来にないコンピューターグラフィックを使ってソフト分野でこれから発展する企業であります。
 最近は起業率も、地価が高いこともあり、設備投資に金がかかるなどの理由もあり、大変低いと言われております。盛田昭夫さんが言ったサービス産業、ファイナンシャルビジネスなどによる経済の空洞化を招くことなく、物を動かすだけのシンボルエコノミーより実際に物をつくるリアルエコノミーの大切さを十分認識した上で、私たちは県経済活性化のため、新産業を創造し、育てる努力をしなければならないと思います。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。県経済の活性化をするためには新産業を創造する必要があると思われますが、どのようなビジョンをお持ちになっておられますか、お聞かせを願いたいと思います。
 次に、商工労働部長にお尋ねをいたします。新産業を興すに当たって、ハード・ソフト両面にわたって技術支援をどうするか、財政支援、補助、融資などについてどうするか、具体的にお聞かせを願いたいと思います。また、現在の地場産業について、転業、救済等も含めてその対策を見直す必要があると思われるが、いかがお考えか、お聞かせを願いたいと思います。
 次に、港湾計画についてお尋ねをいたします。
 これにつきましては、先ほど長坂議員から質問があったところでありますので、一部重複するかもしれませんし、また多少の意見の違い、視点というか観点の違いもありますので、再度お尋ねをしたいと思います。
 今、新産業の創造による本県経済の活性化についてお話をさせていただきましたが、私はほかにも我が県の経済を大きく伸展さすものとして、和歌山下津港の港湾整備が非常に重要であると考えております。昨年の九月議会において、私も港湾計画の見直し時期及びその内容と和歌山港区の埋め立てについて質問させていただきましたが、そのとき、平成九年度末に、大水深の岸壁や十分な広さのコンテナヤードを有する外貿ターミナルを確保することやアクセス道路の整備を認識した上で改定するという当局の答弁をいただいたように記憶をしております。私は、和歌山下津港が整備をされれば、テクノスーパーライナー等も導入され、二十四時間荷役ができる港として、将来は近畿圏の物流の拠点となるようにしなければならないと考えております。
 そこで、土木部長にお尋ねをいたします。
 その後、この港湾計画の見直しについての内容はどんなものか、また、それをいつ、どのように実施していくのか、見通しについてお聞かせをいただきたいと思います。
 また、この港湾が十分整備をされましても、不便で利用されないとなればどうにもなりません。私自身としますと、この港へのアクセス道路については大阪湾岸道路を南伸すれば一番よいのではないかと考えておりますが、これについては時間がかかるとも聞いておりますので、この港湾へのアクセス道路についてどうお考えか、お聞かせを願いたいと思います。
 最後に、環境問題についてお尋ねをいたします。
 今から三、四十年前になりましょうか、公害が社会問題として大きく取り上げられた時期がありました。多くの人々の命や健康に直接影響を与えるまでに悪化した産業公害であります。富山県神通川流域に発生した腎臓障害と骨軟化症を主な症状とし、せきをしただけで骨折する患者もあると言われ、「痛い、痛い」と訴えたところから名づけられたイタイイタイ病、あるいは熊本県水俣湾周辺で発生した、神経が侵され、四肢の感覚障害と運動失調、言語、目、耳などへの障害が出ると言われた水俣病などは余りにも有名でありまして、今なお被害に苦しむ人々の救済が続いていると聞いております。これら産業型公害は、一時ほどではなくなったにせよ、先日の向井議員のご質問のとおり、まだ社会問題化している例もございます。また、今新しく問題になっているのは、都市生活型公害や地球環境問題であります。 
 「環境白書」によりますと、危機の進行状況を旭硝子財団が平成四年から毎年調査をしている地球環境の悪化による危機の度合いを時刻であらわす環境版危機時計というのがあります。十二時を環境の悪化による地球滅亡の時刻とし、三時から六時までを少し不安、六時から九時までを「かなり不安」、九時以降を「極めて不安」と分けて、平成八年には前年から二十四分進み、九時十三分を指し示し、危機感が広がっているということであります。
 この地球が生まれましてから四十六億年、地球の汚染は十九世紀後半の産業革命以降に始まったわけでありますから、今日までまだ百年とちょっとしかたっておりません。長い地球の歴史の上から見ますとほんの一瞬のうちに、私たちは地球を汚してしまったと言わざるを得ません。
 地球の温暖化については、私もそうでありますが、余り実感がわきませんけれども、過去百年で地球平均気温は〇・三度から〇・六度も上昇しているそうで、百年後には二度ぐらい上がると言われています。二度の気温の上昇は、現在の我が国が南に三百キロメートルも移動するのと同じだそうであります。その結果、地球全体にさまざまな、また大きな被害をもたらすものと思われます。
 このような地球温暖化を引き起こす原因の中で一番大きいと言われる二酸化炭素については、特に考えなければならない問題だと思います。本県には今、関西電力の御坊第二発電所及び和歌山発電所の計画があります。知事は今議会の冒頭で、両発電所の建設に際しては環境保全対策の充実、安全対策の徹底、既設の御坊発電所にはより一層の大気汚染対策の早急な実施を強く要請すると述べておられますが、燃やす物にもよりますが、二酸化炭素をより多く出すのもまた火力発電所であります。産業の発展を鈍らせることはもちろんいけませんが、二酸化炭素を減らす対策は今や緊急を要する課題でもあります。
 また、窒素酸化物の増加も地球温暖化の大きな原因の一つと言われております。窒素酸化物については、自動車等の排気ガスから多く発生することが有名でありますが、先日ハワイで感じたことでありますけれども、かの地では駐車中の自動車のアイドリングを一切行っておりません。また、我が国でも、東京都のバスなどの一部の車両には一時停止するときには自動的にエンジンを停止する装置を搭載しておりますし、民間の大手運送会社の中にもアイドリングストップ運動をしているところがあります。
 駐車中の自動車のアイドリングの禁止については、京都府の環境を守り育てる条例では努力目標にしているだけでありますが、兵庫県の環境の保全と創造に関する条例では、違反者に対して罰則規定まで設けております。また、本年十二月には、二十一世紀以降の地球の将来を決定する大変重要な会議である地球温暖化防止京都会議が開催されることでもありますし、環境対策には強力で具体的な県の取り組みが必要であろうと思われます。
 さて、今議会に上程されている環境基本条例でありますが、環境問題に取り組もうとする当局の姿勢につきましては非常に意義があると思いますが、残念ながら、私にとりましては理念ばかりでより具体的な内容が盛り込まれていないように思われます。
 そこで、生活文化部長にお尋ねをいたします。
 総理府の世論調査では、国民の七割がCO2の法規制に賛成をしていると先日発表されておりましたが、県として温室効果ガス、特に二酸化炭素を削減するために具体的にどう取り組まれるのか、お伺いをしたいと思います。
 また、アイドリングストップ運動についてどうお考えかもあわせお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの永井佑治君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 永井議員にお答えをいたします。
 新産業創造のビジョンについてでございます。
 議員からご質問がございましたように、経済の国際化の著しい進展を初め、生活者ニーズの多様化、市場の成熟化など、本県産業を取り巻く環境は大きく変わってきつつございます。大変厳しい一面もあるわけでありますけれども、こうした中で本県経済の活性化を図る上では、グローバルな市場の動きを的確にとらえまして、いち早く独自の製品を供給できる高い情報力と技術力を有する企業の創出、育成、そういうことは大変重要なことだと認識をしてございます。
 特に、本県におきましては、和歌山大学システム工学部あるいは近畿大学生物理工学部の創設、また、工業技術センターの再編整備の完了、近くオープンをいたしますけれども、デザインセンターの開設など、研究開発基盤の整備も一段と進んでございます。したがいまして、このような県内の研究開発機能を有効に活用いたしまして、本県の地域産業が培ってきた技術をより高度に、また独自性の高いものにする取り組みに対して積極的に支援を行い、幾つか例示がございましたけれども、世界市場で活躍する創造的企業の創出を図ってまいりたい、そのように考えてございます。
 近く開催をいたします産業博覧会でも、新しいブランド製品を発明するといいますか、生み出す工夫のコーナーも設けておるわけであります。お話にございましたように、若者たちが未来に夢を抱けるような取り組みについて努力をしなければならないと思っております。
 具体的な問題は、商工労働部長からお答えをいたします。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 県経済の活性化、二点につきましてお答えいたします。
 新産業の具体的支援策についてでございますけれども、県内中小企業のすぐれた技術等のポテンシャルを生かしながら研究開発機能を重視した事業活動、いわゆる創造的技術活動への積極的な取り組みを促進してまいりますために、平成八年度より技術面、資金面等から総合的な支援策を実施しているところでございます。
 具体的には、四つの支援策を実施しているところでございます。一つ目は当該研究開発事業への補助、二つ目は、当該企業が経営面、技術面について専門家の指導を受けることに対する補助、三つ目は研究開発に係る設備投資等に対する低利融資、そして四つ目としましては、民間ベンチャーキャピタルを通じた間接投資でございます。これまで二十四企業の事業計画を認定しておりまして、平成八年度における支援実績としては、研究開発への補助が五社、三千四百万円余、専門家による指導に対する補助が二社、四百万円余、融資が八社で四億五百万円余、間接投資が一社、一億円となってございます。今後とも、企業の創造的事業活動への支援策につきましては積極的に推進してまいる所存でございます。
 次に、地場産業対策についてでございます。
 本県の地場産業は、素材・中間材産業を中心として県下各地に集積をし、地域における経済の中核的役割を果たしてまいりました。しかしながら、近年の消費者ニーズの多様化、経済の国際化及び技術革新の進展等に対応するためには、情報力、技術力、人材が求められるところでございます。特に、今後もアジア諸国からの輸入増加による国内市場での競争激化に対応するためには、下請に依存した大量生産体制の産地から付加価値の高い企画提案型産地への転換が必要と考えております。県といたしましては、産業構造の転換も視野に入れながら、経済変化に耐え得る力強い産業を目標に、今後とも地場産業の振興を重点施策として取り組んでまいる所存でございます。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 永井議員の港湾計画についてのご質問にお答えいたします。
 まず、計画見直しの内容及び実施時期についてでございます。
 和歌山下津港は、ベイフロンティア構想の中核港湾として大阪湾内港湾と機能分担し、新たに二十一世紀の物流をリードしていく港湾としての整備を進めていく必要があると考えています。今回の港湾計画は、そのための第一段階として平成二十年代前半を目標年次として改定するものであります。
 計画の柱は、まず一番目として、コンテナ化等の物流革新に対応するため本港区における外貿機能を強化する、二番目として、紀北地域の環境保全のため建設残土やしゅんせつ土などの受け入れ空間を本港沖に確保する、三番目として、北港区において電源立地の要請に対応する、四番目として、港湾における快適な環境の創出を図るため親水空間の充実を図るとともに、薬種畑地区の再開発を進める、五番目として、港湾と背後地域との円滑な連絡を図るため臨港交通体系の充実を図る、こういう五点を計画の柱といたしております。今後の予定としては、十一月に予定されている国の港湾審議会に上程し、承認されれば公有水面埋立法などの手続を経て事業着手することとなります。
 次に、和歌山下津港へのアクセス道路についてのご質問でございます。
 和歌山下津港の港湾機能の整備拡充を図るためには、高速道路等の幹線道路との緊密な連絡が必要であり、主要なアクセス道路として臨港道路紀の川右岸線を経て第二阪和国道に至るルートを考えております。また、将来的には外貿用の大型コンテナの取り扱い機能等の整備により広域的かつ大量な貨物等の移動が予想されることから、新たに和歌山下津港から臨海部を通り紀淡連絡道路に連絡する規格の高い道路の検討を進める必要があり、関係機関との協議等、具体化に向けて努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 永井議員の環境問題についての二点について、お答えをいたします。
 まず、温室効果ガスの二酸化炭素削減についてでございます。
 地球温暖化問題につきましては、人類共通の課題であると認識されており、地球温暖化の原因物質の一つである二酸化炭素の削減の方策については現在国レベルで種々検討がなされておりまして、本年十二月に開催される地球温暖化防止京都会議では、二〇〇〇年以降の地球温暖化防止に関する目標や具体的な取り組みについての国際的な取り決めがなされる予定となってございます。
 環境庁におきましては、昨年から地球温暖化防止施策の一つとして、環境家計簿、グリーンオフィス、一日一万歩、アイドリングストップの四つのチャレンジ運動を進めており、県においても六月の環境月間等でこれの普及に取り組んでございます。
 また、今議会へ提案いたしております和歌山県環境基本条例の第二十七条において、地球温暖化の防止等、「地球環境保全に資するため、必要な措置を講ずるように努めるものとする」と規定しており、今後、環境基本条例第十条に基づく環境基本計画を策定していく中で、二酸化炭素削減に係る具体的な取り組みについてさらに検討してまいる所存でございます。
 次に、アイドリングストップ運動についてでございます。
 アイドリングストップ運動は、自動車の駐停車時における不必要なエンジン使用を停止することにより、大気汚染や騒音、悪臭の防止のみならず、地球温暖化の要因となる二酸化炭素の排出を抑制できる取り組みであると認識してございます。
 国においては、先ほど申し上げましたとおり、四つのチャレンジ運動を実施しておりますが、中でも身近で実践しやすいアイドリングストップについては、県においても今後とも関係団体へ働きかけるなど、積極的に普及啓発に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) 再質問がありませんので、以上で永井佑治君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(木下秀男君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時十三分休憩
 ─────────────────────
 午後一時三分再開
○議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。
 まず初めに、医療問題についてお伺いいたします。
 去る九月一日から、医療保険改悪によって患者の医療負担増が実施をされました。患者と医療現場では、今、大変困っている状況にあります。例えば、健康保険本人負担を一割から二割に、毎月の保険料率も千分の八十二から千分の八十五に引き上げられました。そして、外来の薬剤費負担が新設をされたところです。サラリーマン本人の負担は、今までよりも約二・四倍にも引き上げられたことになります。またお年寄りにおいては、外来受診するたびに五百円と薬代が自己負担となりました。また入院すれば、一日七百十円だったのが千円に引き上げられました。これまでよりも二・五倍の負担がふえ、これは大幅で、しかもこれまでにない大改悪だと言えます。
 今、医療現場では、診察室でも薬局の窓口でも、薬を減らしてほしいと相談が相次いでいます。年金暮らしのお年寄りからは、今まで千二十円の生活設計を立ててきたが、一回四千円かかるようになったら、もう医者にかかれない、これから先どうしようかと不安で仕方がない、こういう声も上がっています。またサラリーマンの方からは、いつものように二週間分薬をもらった、一割で千十円だったのが三千七十円に値上がりした、私は他の病院でも受診をしているのでこれからどうしようかと迷っています、とにかく、一度薬を出してもらいましたけれども、その薬を一種類に減らしてもらいました、こういう不安な状態です。あるいはサラリーマン本人からは、入院することになったとき高額になる、どうしたらよいか、高額療養費の融資制度を活用しても、最低一カ月六万三千円と入院給食費二万二千八百円を合計して八万五千八百円が必要です、とても入院はと、考え込む人がふえてきているそうです。
 私は、市内のある病院を訪れました。その病院では、九月一日から九日まで外来窓口でアンケートをとったところ、百十九人から回答を得られました。その中で、六四%の方が医療費がふえたと答え、三〇%の人が一回の医療費が二千円から三千円かかった。受診回数を減らすか薬を減らそうかと三七%の人が迷っている。また四七%の人から、どうしたらよいか相談に乗ってほしいという答えも返ってきています。また、その中で六十五歳以上の方では、薬を減らすか受診回数を減らすことを考えている人が五一%います。また、ある病院では、九月一日、混雑が予想されるため、職員の再々の研修を繰り返し、混雑を防ぐための準備を進めてこられたそうです。ところが、いざ実施日、一週間前の八月二十五日の患者数より一五%も減ったそうです。しかも、その一五%の回復は九月二十五日においてもないと聞いてまいりました。その病院の事務長さんは、今度の改悪は高齢者にとっては経済的にも耐えられなくなるのではないか、胸が痛くなります、本当にむちゃくちゃなやり方ですと、国への怒りを繰り返し訴えておられました。私も、今度の改悪は本当にむちゃくちゃだと考えます。議場におられる皆さんはどう思っておいででしょうか。
 ところが、今回の改悪に続いて橋本内閣は、財政構造改革と称して、今後三年間、国民負担をさらにふやす大改悪計画を具体化しようとしているではありませんか。九八年度──来年度の予算で医療費予算を実質四千二百億円も削る計画とか、風邪薬や漢方薬は保険から外して全額患者負担に、入院給食費の引き上げ、さらに高額医療費負担の上限引き上げも考えられています。その次の段階の値上げ案では、高齢者への定率負担の導入や薬剤費の保険給付に制限を加えてさらなる患者負担を考え、保険からの定額払いを広げて治療を制限していき、最後にはサラリーマンの健保本人負担を三割に、そして大病院の外来は患者負担を五割にと、とんでもない計画が進められようとしています。これでは、国民の命と健康を守る国の責務を放棄する何物でもありません。また、病気の原因や治療方法が定まっていない難病患者の医療費まで患者負担の導入を考えています。保険あって医療保障なしです。これでは、金持ちだけの医療となり、金の切れ目が命の切れ目、このことが現実のものとなるのではないでしょうか。その上に消費税、今後、介護保険などの負担も加わると、国民の命、とりわけ年寄りの命にとっては危機的状況になり、絶対に容認することはできません。四十年前の「けがと弁当は自分持ち」という医療に逆戻りすることになりはしないでしょうか。思い出してください。このような医療制度改正をどう受けとめられ、どのような所見をお持ちなのでしょうか、知事の答弁を求めるものです。
 こうした改悪が実施された中で、本県が独自に福祉医療制度として実施をされている三歳児以下の乳幼児医療費や一人親家庭の医療費への助成、さらに重度心身障害児者医療費と六十七歳から六十九歳までの医療費支給などが継続となりました。そして、今議会に難病患者に対する医療費助成の継続予算措置が提案されています。私は、大いに歓迎し、高く評価したいと思います。国の悪政から県民の命を守る、地方自治の基本的な姿勢だからです。平成十年度以降においてもぜひ現行制度の継続をと切実に願うものでありますが、いかがお考えでしょう。知事の所見をお聞かせ願います。
 この質問を終えるに当たって、一言強調しておきたいと思います。
 国が医療費のむだを省くと言うのなら、世界一高い薬価や医療機器などにメスを入れることがまず第一であります。あわせて、公共事業などに偏重した国の財政のゆがみを改め、高齢化に伴った社会保障に必要な予算にすべきだと私は考えるものです。
 次に、社会問題となっているダイオキシン問題について質問を申し上げます。
 今議会始まって以来、ダイオキシン問題が多々論議をされているところです。ダイオキシン類の有毒性については強調する必要もないと思いますが、日本での大気中のダイオキシン濃度が諸外国に比べ大変高いことは、厚生省の資料でも明らかにされているところです。日本の大都市の測定値が最高二・六ピコグラム、平均が〇・六。アメリカでは〇・〇四五から〇・一七九、ドイツでは〇・〇二五から一・六ということですから、日本の大気中には外国に比べて大変大量のダイオキシンが含まれているということになります。
 厚生省が、緊急対策として焼却場の八十ナノグラム以上を排出しているところには停止を含む対策をとったのも、大気や食物──健康に害をもたらす程度のダイオキシンがそうした焼却場から出ているからこそなのです。厚生省の発表では、県下の四カ所の焼却場が緊急対策の対象となりました。これまで長年にわたって、健康に影響を与えるダイオキシンが大気に出ていたのですから、少なくとも焼却場周辺のダイオキシン濃度を調査するのはもちろんのこと、住民の健康調査が必要ではないでしょうか。大気だけでなく、水、土壌や植物についても調査する必要があると考えますが、関係部長、いかがですか。
 産業廃棄物の焼却処理を行っているところのダイオキシンの汚染も心配です。先日、橋本市の住民の皆さんが写されたビデオを見せていただきました。安住の地と決めて移ってこられた皆さんですが、産廃処理場から百メートル離れたところの人が、家の中にいると吐き気や目まいがするとか、入院する人、避難をする人、また飼っていた猫が次々に死んでいく、声がかれていく、皮膚がちかちかしたり、発疹が出る、このような症状を訴えられておりました。このように住民の不安の声が出ている産廃処理場については、排煙のダイオキシン濃度の測定とともに、周辺住民の健康調査を急いで行うべきです。土壌や大気、水、植物のダイオキシンの蓄積を調査することもまた必要です。この点についてもお伺いいたします。
 摂南大学の研究者の調査などによりますと、乳児の飲む母乳にダイオキシンが大量に含まれていることが報告されています。食べ物や大気などから母親の体内にダイオキシンがたまり、それが出産後、母乳を通して赤ちゃんの口に入っていきます。環境庁のダイオキシンリスク評価検討会中間報告の健康リスク評価指針値では、一日に摂取しても健康に影響のない量として五ピコグラムが設定されていますが、摂南大学の調査では、初産婦の母乳から二百五十、経産婦の母乳から百六十ピコグラムという、環境庁基準の三十二倍から五十倍もの非常に高濃度のダイオキシンが検出されていることも報告されています。
 ダイオキシンを体内に取り入れることによる障害は、子宮内膜症や子供がアトピーになる可能性も指摘されていることを考えますと、母乳を勧めている妊産婦教育にも影響します。赤ちゃんが安心して母乳を飲めない、また母親が安心してお乳を赤ちゃんに飲ませられない、これがダイオキシンの汚染を放置してきた結果です。ダイオキシン問題が大きな社会問題として早急に対策がとられなければならない緊急性の一つが、ここにもあります。県が、母親と赤ちゃんの命、健康を守る姿勢に立つなら、母乳の検査ができる体制を早急に整備し、一刻も早く母親の不安を取り除くことが必要ではないでしょうか。どうでしょう、関係部長のご意見をお聞かせください。
 次に、台風被害についてのご質問を申し上げます。
 七月二十六日の台風九号による県内の被害問題についてであります。
 台風九号は、七月二十六日午後五時過ぎ、徳島県阿南市付近に上陸し、近畿各地に大量の雨を降らせました。この大雨によって田畑や民家が浸水するなど、多大な被害を受けたことはご承知のとおりです。
 新宮市の市田川流域では、一千百世帯が床上、床下浸水の被害に遭いました。市田川の浸水問題は、きのう、きょうの問題ではありません。この地域の皆さんは、大雨のたびに浸水の被害を受けてきました。自治会長さんらが知事に提出された陳情書には、「雨が降るたびに市田川を眺めながら不安な日々を送っている地域住民にとっては、忍耐力ももはや限度に達して」、こういうくだりがあり、その不安を訴えておられるのです。
 私どもは、先月の二十七日、二十八日、建設省に赴き、実情を説明し、政府として抜本的な排水対策をとるよう求め、また八月二十二日は、我が党の衆議院議員寺前氏が住民の皆さんや市の職員の皆さんと一緒に現地をつぶさに見て回りました。そして、紀南工事事務所の所長に市田川のポンプの大型化などを求めてまいりました。最近、新宮市が浸水地域の水中ポンプを増設し、国も排水ポンプを設置する方向になるなど、国と県、新宮市が一体となって排水対策をとる方向に動いていることは喜ばしいと感じていますが、県行政として積極的な支援を行うよう求めたいと思うわけです。県としての具体的な方針があればお聞かせ願いたいと思います。
 今度の熊野川流域の被害では、熊野川町の中心部で水田や民家、商店が大きな被害を受けております。特に、水につかった水田は、稲に花がついた時期であったために、刈り入れをしても穂に実の入らない稲がほとんどです。日足地区で農家の方にお話を伺いますと、もみで約七分の一の収穫量にしかならず、しかも小米、くず米が多いために、例年の十分の一ほどしかお金にならないと話しておられました。また、商店関係の方が被害を苦に自殺をされるとの痛ましい事件も起きたと、胸の痛くなる思いで聞きました。農家の方は、ダムがあるからこんなことになるのだと話しておられましたが、熊野川の治水を図る上で上流のダム問題を避けて通ることはできない。
 熊野川水系には十一ものダムがあります。そのすべてが利水ダムであり、治水の責任を負っていないというのが電源開発の見解であるようですが、下流域の住民にとっては、ダムが洪水対策にならないどころか、被害を拡大しているのではないかとの疑いさえ持っています。素人なりに考えましても、ダムからの放水量がダムへの流入量を上回らないようにゲートの操作がなされたとしても、ダムが建設されていないときには、今は水没した田畑や森林が保水能力を持ち、川に入るまでに池や水田に滞留したり、地中にも浸透し、緑のダムの役割を果たしてまいりました。こういったことを考えれば、ダムができたことによって出水量がふえたと感じている住民の感覚はあながち誤りではないと私は考えます。
 熊野川は基本高水流量が毎秒一万九千トンですが、新宮市相賀地点の七月二十六日午後九時の流量は一万八千七百十二トンと一万九千トンに近く、一九六一年の第二室戸台風以来の出水記録では過去最高の出水量になります。記録によると、当日の午後五時半から二時間にわたって二津野、小森の二つのダムから合わせて一万トンを超す放流が行われ、午後六時半には一万千二百四十一トンが放流されました。相賀地点の最大水量の六割が二つのダムの放流にあるのですから、住民の皆さんがダムが悪さをしていると考えるのも当然ではないでしょうか。県としても、電源開発に対して水害が起きないようダムの操作規程を改めるように申し入れるべきだと考えるものです。見解をお聞かせください。
 また、熊野川は、三重、奈良と三県を流れる大河川です。今、三県が協力して建設省なり電源開発に当たることがどうしても必要ではないでしょうか。大きな被害を受けている和歌山県が率先して奈良、三重に呼びかけ、共同して国や電源開発に言うべきことは言うという姿勢で折衝していくことを求めたいと思います。
 また熊野川の治水計画についてお尋ねをいたしますが、河口での基本高水流量は一万九千トンということで、今回はそれに近い流量があったことになります。これまで、熊野川町での治水計画は立てられていないようであります。全国有数の多雨地帯であり、水害が頻発していながら計画さえもないというのは行政の怠慢ではないでしょうか。地元の方の話では、治水ダムに変更することをしてほしいと言われていましたが、それほどの大きな展望を持って治水計画を立てられ、住民の安全を守る姿勢を示していただきたいと考えます。見解をお聞かせください。
 同じ台風九号で被害を受けた日置川に関連して質問を申し上げたいと思います。
 田野井地区の皆さんを中心に、現在、九〇年の台風被害の問題で県と関西電力を相手にした訴訟が大阪高裁で争われております。今回の水害は、このときの災害に続いての被害であり、殊に稲の収穫前の大事な時期に長時間の冠水とヘドロの堆積によって全滅に近い被害をこうむった農家は、神も仏もないのか、こんなことはわしの代で終わらせたいと悲嘆に暮れておられます。なぜこのような災害が多発するのか、なぜ何度も何度も住民が被害を受けなければならないのか。住民の安全を守る責任のある県行政として、その責任は厳しく問われなければなりません。ダムの操作が法律に違反しているかどうか、法的な責任問題の決着は裁判で明らかにされましょうが、政治責任の問題は別です。県として、被害を起こさないようなダムの操作を関電に求めることは当然ではありませんか。予備放流に入る水位が九〇年の災害以降に変更されましたが、ダムからの放流量が関電任せでは下流住民は安心して暮らすことはできません。雨の多い季節には水位を下げて、大雨でダムの水門をあけるときには河川管理者の県と協議しながら十分な安全措置をとることを関電に求めることが、なぜできないのでしょう。関電が良心的にダム操作をやるものと信頼してきた結果が、たびたびの水害を受ける悲劇を繰り返しているのではないでしょうか。
 昨年九月議会で鶴田議員が殿山ダム問題を取り上げた際、土木部長から「殿山ダムは予備放流方式で適正な管理が十分可能」との答弁がありました。「適正な管理」と言いながら、再び今度の災害です。もう小手先の対応ではなく、ダムの操作規程を現在の予備放流方式から制限水位方式に変更するなど、操作規程の根本から改善する必要があると考えます。また、洪水時のダムの操作は県と協議して行わせる。これらのことを関電に求める態度が、県民の命を守る県行政にとっては必要です。たびたびの水害を受けている住民の立場に立って、土木部長、どのような見解をお持ちなのでしょう、お聞かせください。
 今度の水害では、泥が水田に堆積し、稲の葉を枯らしていることはご存じかと思います。被害を大きくしたヘドロは、殿山ダムに堆積したヘドロが流れ出したものではないかとの声も聞きました。もちろん、ダム以外の谷や河川からも泥が流れるのは当然だと思いますが、今度の水害では泥による被害が大きかったとのことです。関電の調査では、殿山ダムのヘドロなどの堆砂量は四百十二万立方メートルだということです。関電の報告が正確だとして、一年間におよそ十万立方メートルの土砂がダムにたまっていることになります。殿山ダムの全容量が二千百五十四万立方メートル、有効貯水量千三百十五万立方メートルですから、ダム全体の二割近くが既に埋まっていることになりませんか。この大量のヘドロなど堆積物が洪水期に下流に流れ出し、農作物に被害を与えているのではないかとの疑いも出ています。ダムのヘドロは、単に泥がたまったものではありません。
 ダムのヘドロ被害の例は、既に関電・黒部川出し平ダムが九一年十二月に行った排砂により、富山湾で魚のえらに泥が入り、大量の魚類が窒息死する被害を出したことが、昨年十一月、日本弁護士連合会のシンポジウムで報告されています。同報告によりますと、大量の堆砂が地震時の堤体の滑動安全率に影響を与えること、ダムの堆砂をしゅんせつすることが実際には不可能であることから、堆砂がダムにとって不治の病であり、堆砂により機能をなくしたダムが、単なる産業廃棄物ではなく危険な産業廃棄物となることを告発しています。ヘドロ被害はダム被害ではないかと感じるのですが、県当局の見解を求めたいと思います。ヘドロ被害の原因が関電のダムにあるとしたら、関電は誠意を持って被害者への補償に応じるべきです。
 次に、紀の川リバーサイドグリーンベルト基本計画についてお尋ねを申し上げます。
 平成三年十月に、岩出橋から紀の川河口、みなと大橋までの距離十六キロメートル、面積二百六十ヘクタールの広大な高水敷の公園整備計画が発表され、以後、テニスコートを初め多くのスポーツ施設が整備されてまいりました。最近は、サッカー、野球、テニス、ジョギングに親しむ人、幼い子供を連れた家族連れ、そして幼稚園や保育園児たちの遠足地にもなって、にぎやかです。そんな姿を見ることが大変多くなってまいりましたし、私自身も時折ジョギングを楽しむこともございます。ですから、一層母なる紀の川の自然環境を生かした安らぎのある公園整備に期待を寄せる一人でもあります。
 この整備事業は、国、県、和歌山市、岩出町が整備地域を定め、進められているようでありますが、県が主体となって行う地域は紀州大橋から上流の高水敷の公園整備で、その面積約百七十ヘクタール、主たる事業はゴルフ場建設であるようであります。その事業費、平成九年度予算四千三百万円、企業局がその実施に当たるとされているようです。
 私は、スポーツとしてゴルフそのものを否定するものではありません。すかっとしたいときは、さぞ気持ちいいだろうなとさえ思えるスポーツでもございます。問題は、青々とした美しさを保つため、芝管理のために使用される殺菌、殺虫、除草剤など、多くの農薬による水質汚染や大気汚染の環境汚染を心配するものであります。ましてや、河川敷のゴルフ場は和歌山市民の飲料水とも直結するのですから、軽視することはできないわけです。バブル時代のゴルフ場建設が問題になり、自然破壊や二次災害の危険性と重ねて社会問題になったのも、制限なき大量農薬使用でした。今や、国民一般の中では、ゴルフ場と言えば農薬公害が当たり前の認識でもあります。
 現在、六十谷橋南詰めから上流左岸に九ホールのパブリック施設が、昭和三十八年から開設、営業をいたしています。ここでも、恐らくこれまで殺菌、殺虫、除草剤、これらは使用していたでありましょう。人による除草する姿を、私は見たことがございません。紀の川は和歌山四十万人の水がめですが、現在、ゴルフ場の中心地点あたりに加納浄水場の取水口があります。農薬汚染の危険性を日々感じている私です。開設からきょうまで農薬の残留測定が行われたかどうか、私たち市民は、どのような農薬が、どのぐらい使用されて、どう処理されているのか公表されてきませんでしたので、全く知る余地もありません。ですから、不安は募るばかりです。ゴルフ場計画では、六十谷橋から上流約三・五キロ地点の紀の川左岸にパブリックのものだと聞きました。市民の建設に対する声はさまざまでありますが、いかがかと思います。
 去る四月から五月にかけて、和歌山市水道労組が住民に対してアンケートを実施いたしました。この質問そのものは、取水口の問題とあわせて農薬が多分使用されるであろうということを予想したアンケートになっております。その上で建設に対する賛否を問う内容になっています。紹介をしてみたいと思います。回答は、千八百三十五人の方々から寄せられました。そして、市民みずからの意見も水道行政などに対し五百九十七件、貴重な意見も率直に寄せられています。河川敷のゴルフ場建設に反対と答えた方は七〇・一%、賛成は一・九%。特に、農薬汚染に強い懸念を意見として出されている方々も五百人に上りました。この声の中で、せっかくの名河川・紀の川をこれ以上汚したくないのでゴルフ場は絶対やめてくださいと大きな字で記入されている人、これ以上汚さないでとの声が多数を占めたのも現実です。こうしたアンケートの結果や意見などを見る限りでは、ゴルフ場計画について市民の意見は反対と出ております。市民の声をもう一度よく聞いてこの計画の見直しをする必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 また農薬使用についても、既に無農薬管理でゴルフ場運営を実行している佐賀県や宮崎県がございます。佐賀県の大和町との共同出資によって開設された嘉瀬川リバーサイドゴルフ場、また宮崎市の大淀川河川敷に開設されているゴルフ練習場が現実にあり、私もそこへ調査に行ってまいりました。双方ともに、年一、二回は大雨による洪水に見舞われるという中で大変な努力をされていますが、農薬汚染の心配の要らない芝管理に大変な努力と研究を続けていらっしゃるという話でありました。プレーしている方にもお話を聞きました。その方は、チョウチョウやいろんな鳥たちが飛んできて、とても気持ちよくプレーできますよ、何といっても芝生の上に座れること、寝転んでもいいこと、農薬を使っていないので本当に安心ですよというご返事でございました。嘉瀬川ゴルフ場の芝管理に責任を持つグリーンキーパーの方は、これからも無農薬管理は続けていけそうですかという私の問いに対して、大変難しいですね、除草剤は今でも使いたいところです、人手による除草は大変ですし、コース内の草刈りも一週間放置すると十センチメートルは伸びてしまいます、刈った後の草を放置すると雑菌がついてしまいますから大変です、これまで、あれこれと試行錯誤しながら害虫も出さずにやってきました、プレーする人に本当に安心して楽しんでもらえるゴルフ場にと、これからも研究する以外にないと思っていますと、さわやかに答えていただいたところです。
 また本県においても、白浜町に開設されているラビーム白浜ゴルフクラブなど全国八カ所のゴルフ場を経営する浅川吉男氏は、平成二年度の予算で農薬の購入費をゼロにしたと「クリーン・グリーンへの挑戦」という著書で明言をされています。
 私は、十分確認はしておりませんが、ゴルフ場管理は難しさはあるけれども、無農薬でも立派に運営できることに確信を持っています。県主体の公営ゴルフ場計画です。市民の安全でおいしい水を守るため、また自然に優しい、人に優しい水辺の環境を保全する立場から、計画の見直しはもちろんのこと、無農薬による計画は打ち出せないでしょうか、関係部長の所見をお聞かせいただきたいと思います。
 これで、第一回の質問を終わります。
○議長(木下秀男君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 村岡議員にお答えをいたします。
 医療問題についてでありますけれども、我が国の国民医療費は急速な人口の高齢化等によりまして毎年大幅に増加をしております。また近年の経済の悪化もございまして、医療保険財政は危機的な状況にあるわけでございます。こうしたことから、医療保険財政の立て直しのため、当面の措置として本年九月から改正法が施行されたところであります。これは、引き続き抜本改正を行うことを前提としたものと認識してございます。しかしながら一方で、この改正により患者の方々の負担増となっていることは承知をしてございます。いずれにいたしましても、二十一世紀の本格的な少子高齢化社会においても、すべての国民が安心して良質な医療サービスを受けることができるような医療制度を構築し、国民皆保険を堅持すべきものであると考えております。
 次に県単福祉医療制度についてでありますけれども、その継続については努力をしていかなければならない問題と考えております。ただ、今、福祉や医療を取り巻く情勢は大きく変化をしております。今後、県といたしましては、福祉施策全体の中でどのように位置づけていくか、国の医療保険制度の動向なども見きわめながら検討していく必要があろうと考えております。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 村岡議員にお答えをいたします。
 ダイオキシン対策の二点についてお答えを申し上げます。
 まず一点目は、基準値を超えた市町村の四施設周辺住民の健康調査、大気、水、土壌調査等についてでございます。
 ダイオキシンに係る八十ナノグラムという基準値は、安全側に立って設定されておりまして、実際の排出濃度がこの基準を超えている場合にあっても、周辺における人体への摂取量が許容量を超えるわけではないと、ダイオキシンのガイドラインに示されております。したがいまして、県といたしましては直ちに対応が必要と考えておりませんが、国から測定方法や評価方法が示された段階で検討することとし、当面は国から示されております一般廃棄物処理場のダイオキシン削減対策を指導してまいりたい考えでございます。
 続きまして、橋本市などの産業廃棄物焼却炉の周辺住民の健康調査、大気、水、土壌調査等についてでございます。
 排ガスにおける測定方法は確立されておりますが、現在、日本工業所の場合には焼却を中止いたしておりますので測定することはできない状況にございます。その他の調査につきましては、過日、向井議員にお答えいたしましたとおり、測定方法や評価方法が示された段階で関係機関と協議いたしまして、実施の方向で検討してまいりたいと存じます。
○議長(木下秀男君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 母乳のダイオキシン検査体制についてでございますが、国においては、母乳中のダイオキシンに関する取り組みとして、平成六年度から厚生省心身障害研究の中で調査を実施しています。また、昨年十二月に母乳中のダイオキシンに係る検討会の報告が出されておりますが、その概要は、我が国においては、乳児に与える母乳中に一定程度のダイオキシンが含まれているものの、その効果及び安全性の観点から今後とも母乳栄養を進めていくべきであるということでございました。今後、厚生省では、母乳の安全性を確保するため、母乳中のダイオキシン類に関する研究を拡充していく予定と聞いております。県といたしましては、今後の国の動向を踏まえ、検討してまいりたいと考えております。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 村岡議員のご質問にお答えいたします。
 まず、台風被害についてでございます。
 一点目の市田川の浸水対策でございますが、今回、新宮市で大きな浸水被害が発生したことに対して、関係行政機関である国、県、市において協議を行い、市では内水排除計画の抜本的見直しを行うとともに、平成十年度にポンプ施設の整備に着手することに決定し、これを受け、建設省でもポンプの増設等の対策を講ずることになりました。県といたしましても、対策実現に向け、市に対する技術指導や事業化に向けた支援等を行うとともに、関係機関と連携を密にし、一層の努力をしてまいります。
 次に、下流の水害防止にダム操作規程の改善という問題ですが、新宮川水系のダムは発電等を目的とする利水ダムであり、積極的な洪水調節機能を有しないダムであります。これらのダムに治水容量を確保させるための操作規程の見直しは、補償等の問題が生じ、困難であると考えております。
 三点目の、熊野川町の治水計画の問題でございます。
 今年七月の台風九号の出水によって新宮川の水位が上昇し、熊野川町内で床上浸水二十三戸、床下浸水九戸、浸水面積七一・七ヘクタールの被害が発生し、特に支川赤木川の合流点付近で国道百六十八号の冠水等大きな被害がありました。この状況を踏まえ、河道計画を策定する必要があると認識しておりますが、築堤のため多くの用地が必要となることから、今後地元町との協議を行ってまいります。
 四点目の、殿山ダムの操作規程の問題です。
 殿山ダムは、発電のための利水専用ダムでありまして、積極的な洪水調節機能を有しないダムでございます。この殿山ダムにおいては、治水容量を確保するために制限水位方式を採用する場合、補償等の問題が生じ、困難であると考えております。
 五点目の、洪水時のダム操作の問題でございます。
 殿山ダムの操作規程については、河川法四十七条に基づき、ダム管理者である関西電力が河川管理者である和歌山県の承認を受けて定めたものであります。ダムの操作は、これまでも承認を受けた操作規程に基づいて行われており、今後ともダム管理者を指導してまいります。
 六点目の、ヘドロ被害の問題でございます。
 殿山ダム貯水池の堆砂については、県では毎年ダム管理者である関西電力より貯水池の堆砂報告を義務づけており、その報告によれば、ダムサイト付近での河床高は標高約八十二メートルで、放流のみ口敷まで約二十メートルもあり、堆砂している土砂の流出はないものと考えております。
 次に、紀の川リバーサイドグリーンベルト計画のご質問のうち、ゴルフ場計画の見直しの問題でございます。
 この計画につきましては、紀の川大堰計画の一環として、平成三年十月、建設省、県、和歌山市、岩出町の合同により紀の川リバーサイドグリーンベルト構想を策定いたしたものでございます。その後、紀の川緑地基本計画調査委員会で基本計画について検討をお願いし、輝く水辺、あふれる自然、憩う空間を構想の基本理念のもとに、ゴルフ場は高水敷の幅が一番広い場所に設ける計画といたしました。
 なお、今後、グリーンベルト構想の取り組みについては、建設省、和歌山市、岩出町とともに、整備基本構想が具体的に進められるよう、県民のご理解を得ながら進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 企業局長佐野萬瑳義君。
 〔佐野萬瑳義君、登壇〕
○企業局長(佐野萬瑳義君) 村岡議員の、無農薬による管理方針をとのご質問にお答えいたします。
 ゴルフ場計画の無農薬化に向け、農薬使用量を減らしていくためには、農薬使用にかわる技術開発を促進していくことが重要な課題と考えております。こうした自然を相手の試験研究は、年に何度も実施できないことや、その年の気象条件等によって大きな影響を受けることなどから、成果を得られるまで長期間を要するのが通例であります。このため、今後、試験研究機関等の技術協力を得て、水質汚染等を懸念する市民の方々のご意見をも聞きながら、将来の環境面に配慮したゴルフ場の管理運営を目指していきたいと考えております。
 以上です。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 37番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。
 医療問題ですが、知事、何とおっしゃいましたかね、この改正は「引き続き抜本改正を行うことを前提としたもの」ということと、もう一つは「患者の方々の負担増となっていることは承知をしてございます」と、こういうふうなことを申されたわけです。それともう一つ、国民皆保険を堅持すべきであるということとあわせて、県民の皆さんが安心して良質なサービスを受けることができる医療制度を構築しなければならないと考えているということを申されたわけですけれども、どうでしょうか、今まで医療制度の改悪が次々と回数を重ねて行われてきて、種類別に見ても非常に多く患者負担増が実行されるようになってまいりました。
 今でさえも多くの人たちが、とりわけ高齢者の皆さんたちが、もう自分たちは死ねというのか、金がなければ医者にかかれなくなっている現状。あわせて、入院すればお年寄りは三カ月以上は入院できないような法律になってしまっている。その上に、給食費の負担増や消費税、こういった問題が次々と重なってきている中で、耐えられない現状になってきているということについて痛みを感じませんか。
 あなたがおっしゃっていることが、さらに三年間で改悪をされていくとするならば、これは患者負担をいかにふやすかということをねらった改悪です。こういうことになりますと、今和歌山県がせっかく努力をして福祉医療制度をつくっているそのものにも大きな影響を与えると思うんです。福祉医療制度を維持していく努力をしなければいけないけれどもとおっしゃるけれども、かばい切れなくなってしまうほどの改悪状態になると思うんです。こういう点でも地方自治体の負担は耐えられないものになっていくし、そして弱い人たちのためのそんなささやかな制度さえも切り捨てなければならない。こういうことに陥ることはもう目に見えています。
 ですから、そういう点でも今度の改悪自体、さらに改悪が計画されているそのものを食いとめるための自治体としてのあり方、知事としてのあり方、もう一度聞かせてください。こういう点でも、知事が日本一の保険医療体制を確立するんだと選挙公約にもあります。そういう点で見ても、本当にそれが実現する道に今の改悪がなるのかどうか、このことについてまず知事、お答え願いたいと思います。これについて、まず一つお伺いします。
○議長(木下秀男君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 再質問にお答えいたします。
 私も気持ちとしては、村岡議員ご質問のように、すべての国民、県民が安心して医療を受けられるような体制が望ましいと思います。ただ、保険制度の問題にかかわってまいりますと、累積した赤字とかいろんな問題があると思いますので、その辺の議論はこれから尽くして、その医療制度そのもの、保険制度そのものの議論は大いにすべきだと思っております。ただ、気持ちとしては、これ以上患者の負担がふえないようなことが望ましいと思っております。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 37番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 望ましいためには、知事は一体何をするのかということが問われていると思うんです。だから、具体的に知事として、行政側として何を国に求めるのか、このことを明らかにしながら行くべきだと思うんです。それが一向に見当たりませんし、今後の改悪内容そのものは大変な事態を招くというのは明らかですし、ご存じでしょうけれども、そういう点でも県民の命を本当に第一に考える県行政であってほしいと思いますし、福祉医療制度については何が何でも守っていただきたい、このように要望をしておきたいと思います。
 それとダイオキシン問題ですが、これは本当に大事な問題で、今、社会問題と言われているわけですから、何としてでも最大の努力をしなければいけないと思うんです。
 母乳の検査の件ですが、埼玉県は所沢市を初めとして二キロ圏内に産廃が十五カ所あるということで「産廃銀座」と言われているそうです。それから大阪あたりでも、母乳検査をしたところ大量に出たという報告もされているわけです。埼玉県は、今議会において母乳検査のために一億四百六十二万三千円、これは具体的な中身はわかりませんが、機械の設備と検査体制を確立するための予算が提案されているようであります。それとダイオキシンの産廃処理場の排出検査、これに対しても県独自に三千百二十万二千円の予算を計上され、新たに出されたというような状況も生まれています。
 何よりも行政は、排出を抑えるということと同時に、周辺の県民の健康を第一義に考えるべきで、事が起こってから行政が動き出すということであってはならないと思うんです。せっかく和歌山県は衛生公害研究センターを持っているわけですから、その体制を充実させて早速この研究体制に入っていくというようなことはできないのかどうか、このことを求めておきたいと思います。
 あとちょっとですが、ゴルフ場の問題ですね。これは、やっぱり無農薬にしてほしいということをお願いしておきたいのと──あっ、終わっちゃった。後については、後日また質問させていただきます。
 終わります。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番町田 亘君。
 〔町田 亘君、登壇〕(拍手)
○町田 亘君 一般質問も、最終日の最後になりました。ご協力をお願いいたします。
 歴史や文化資源の宝庫「紀の国」、自然環境に恵まれた「木の国」、豊かで魅力ある「輝の国」、和歌山を心から愛する一人として、思うところを少し述べさせていただきたいと思います。
 先日、我が和歌山県のために二十年間という長きにわたり和歌山県知事としてご苦労いただいてまいりました仮谷志良前知事が他界されました。謹んで、衷心よりご冥福をお祈りいたします。
 仮谷前知事は、「道の仮谷」と言われたものです。また仮谷前知事は、「道という字は、首という字にしんにゅうを書く。道路に取り組む者は首をかけて取り組まなければならない」とよく言っておられました。
 西口知事、あなたは何をかけますか。同じく、首をかけて道路問題に取り組むおつもりでしょうか。それとも、ほかに何かございますか。和歌山県にとりまして、道路問題は重要な問題だと私も実感いたしております。特に、紀南の地に住む私にとりましては重要な問題であります。しかし、私はあえて知事、あなたには県民のために「心」をかけていただきたいと思うのであります。
 昨年、機会があって、知事、あなたとアメリカへ行ってまいりました。本当によい機会であったと思っております。サンフランシスコ、ロサンゼルスと、時間を惜しむがごとく、お互い精力的に日程をこなしたものです。また、一週間、お互いに心から十分話をする機会が持てました。お互いの心を十分わかり合えることができたと自負いたしております。祖国を遠く離れた異国で日夜頑張っておられる方々に対する思いやりの念、心に感じるところが多々あったと記憶をいたしております。紀淡連絡道を実現するために、サンフランシスコベイエリアにかかる多くの橋を見て勉強しようとする気持ちは、私とて同じ思いをしながら一緒に見て回りました。しかし、私は知事、あなたには「心の西口」と言われるようになってほしいのであります。
 ことしの夏は、気が重くなるような事件が多くありました。神戸の少年の奇怪な事件、加害者や被害者も少年であったということに再度驚かされました。奈良県の事件、中学生が青年によって殺害されたという痛ましい事件。一体、何が原因なのでしょうか。家庭、学校、それとも社会、複雑に入り組んだいろんな要因によって引き起こされた痛ましい事件だと思います。一つを取り上げて、それが原因だと軽々に言うつもりはありません。しかし、一つ言えることは、ややもすると今の社会のいろんな場面で心を忘れかけているのではないだろうか。「効率」、「効果」、「成果」などという言葉も、確かに大切なことであると思います。しかし、この発展した世の中にあってどうしてすさんだことが多く起こるのか、このことを現実として理解する必要があると思うのです。
 「引きこもり」という言葉を聞いたことがありますか。社会に出ることのできない若者がふえてきていると言われております。定かな定義もないようです。我々が携わる行政は、十八歳以上の若者に対してどれだけのことをしてあげているでしょうか。健全な青少年に対する施策はいろいろ行われております。しかし、家庭に引きこもる若者にどのような手だてを講じているだろうか。怠け者、甘えん坊というような簡単な言葉でもって、見向きも余りしてこなかったのではないだろうか。社会に、煩わしい人間関係は切り捨てていこうという意識はないだろうか。「人間関係は本来、わずらわしさを含んだものです。けれど戦後の日本は、わずらわしいつながりを切り捨てることに力を注いできた。そんな時代に育てられてきた子たちが、彼らなんです」。これは、本年二月三日の朝日新聞に掲載されていた、ちょっと気になる記事であります。このような若者が共通して訴えることは、人間関係がつらい、わからない、信じられないということだそうです。取り返しがつかなくなる前に失われつつある心を取り戻すべく、将来を担っていく若者のためにも心ある行政を再度心がけていこうではありませんか。
 この二十世紀は、世界じゅうに誇るすばらしい経済的な発展をなし遂げてきました。しかし、経済効率を優先するが余り、先ほども述べたとおり、心を忘れ去っていたのではないだろうか。物の豊かさよりも心の豊かさ、生活の便利さよりも自然との触れ合いなどを大切にしていこうという方向で人々の価値観も変わってきていると思います。
 今、私たちは、二十一世紀の幕あけを間近に控えております。大変な時代、混迷の時代を通り過ぎ、次の時代には何が求められるのか。二十一世紀に求められているものは、経済的な豊かさと相まって、精神的な豊かさを味わうことができる、人間性にあふれた生活の実現であります。すさんだ心がはびこる現代社会にあって、我々はこの際改めて人間の尊厳、存在価値、基本的人権の尊重という基本を再認識すべきであると思います。後世に誇れるすばらしい和歌山県を実現していく明確な方向を指し示さなければならないと思います。その基本になるもの、それが心という尺度であります。健常者もハンディキャップを持った人も、若者も高齢者も、男も女も、ともにすばらしい人生が送れるように、心の行政に努めていこうではありませんか。知事のお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
 次に二番目として、TAC制度(漁獲可能量)についてお尋ねします。
 秋本番であります。サンマをしちりんで焼いて、大根おろしとともに食べることに私は秋を感じ、幸せを感じてきたのであります。また、私が住む紀南地方では、秋祭りになるとサンマずしを家庭でつくり、よく食べたりします。しかし、時代の変化とともに、いつしか家庭からしちりんが消えてしまいました。詳しいことはわかりませんが、ニシン漁でにぎわいを見せていた北海道や東北沿岸部からこのニシンの姿が見えなくなったのはいつの時代でありましょうか。また、韓国産やカナダ産、そして中国産と、外国から輸入されたものに流通の中心を取ってかわられた、これまた秋を代表する高価なマツタケ、身近なところで手に入らなくなったのはいつの時代であったでしょう。乱獲のせいでしょうか、それとも人間が営むさまざまな活動によって起こる環境の変化でありましょうか。
 さて、去年の七月に海洋生物資源の保存及び管理に関する法律が施行され、本年一月から漁獲量管理の手法が導入されていると聞きます。これまで自由に漁獲していた魚の中で、マイワシ、サバ、マアジ、サンマ、スケトウダラ、ズワイガニの六種類に対して漁獲可能量が設定されております。つまり、漁獲量の制限であります。また、この六種類のうち、マアジ、サンマ、サバ、マイワシの四種類については、本県にもかかわりがある魚であります。これらの魚について、和歌山県における漁獲量管理の現状についてお答えを願います。
 また、今後の漁獲量管理の見通しはどうなっているのか、さらに特定海洋生物の指定は今後ふえていくのか。あわせて、私が住む西牟婁郡及び隣の東牟婁郡の漁業者にとって、スルメイカは主要な漁獲物の一つであります。このスルメイカが今後漁獲量管理対象種となるのかどうか、その見通しについてお答えを願います。
 そして、今後の漁業はどのような方向に進んでいくのか、その見通しと本県の対応についてもお答えを願いたいと思います。
 第三問目に、殿山ダムについてお尋ねいたします。
 四十年前の日置川町は、自然美に抱かれ、豊かな水の流れと清流をたたえ、住民は、この母なる日置川とともに産業、経済、文化を発展させ、町の栄枯盛衰は日置川とともにあり、川の流域住民にとっては宝としての共有財産でありました。
 昭和三十二年五月、日置川上流の大塔村殿山に将軍川、前川、日置川の水を集めて関西電力が利水ダムをつくったのであります。このダムによって道路が整備され、観光に、電源開発に、また下流への水の調整にと役立ってくれるであろうという期待を込めて盛大にオープンしたのであります。しかし、翌年の昭和三十三年八月二十五日、台風十七号によって、あけてはならないダムのゲート六門全部を開放した結果、解き放された大量の水によって日置川町は未曾有の被害をこうむり、町は泥海と化したのであります。
 私は当時、大学三年生でありました。日置川町田野井地区には、私の後輩が住んでおりました。後輩の住む家は、屋根まで水につかり、壁は落ち、傾き、店の商品はどろどろになり、手のつけようのないありさまでした。友人を助けるために、夏休みを延長して復旧のため手伝いをいたしました。住民の方たちは、もしダムがなかったらと泣きながら、スコップで泥を取り除く作業を額に汗しながら何カ月もやっておられたその光景を忘れることができません。
 そこで、昭和三十三年にこの県議会において特別委員会が設置され、この被害の真相究明のために調査研究が行われたわけであります。そして、人災か天災かと関西電力と争ったのであります。それ以降今日まで、この議場で、この席で先輩たちが党派を超えて訴え、叫んでまいりました。先輩の竹中節、大江県議のお父さん、浜本純一、町田義友、北条力、山形繁雄、浜本収、そして現在でも大江県議、堀本県議も、同じ災害が起こるたびに当局に訴えてまいりました。また、きょうは選挙区外でありますけれども、共産党の村岡先生にもご心配をしていただいております。
 当時の資料を見ると、殿山ダムの建設を関西電力から最初に県に申請し、地元に説明した方式は、今のようにダムの横っ腹に六つの穴をあけた、すなわちオリフィスゲート方式ではなくてオーバーフロー方式、つまりダムに水がいっぱいになると自然と天端から流れ落ちる方式で県が承認し、地元住民も納得したのであります。しかし、建設直前になって変更の申し入れがあり、地元住民や木材協同組合の方々から鉄砲水のおそれがあると反対されましたが、オリフィスゲート六門はつくるが、最悪の場合でも四門しか使わないという説明で了解したようであります。当時、電源開発事業というものは国家的事業であり、時代の要求でもあります。また、水量の多い日置川にこのダムをつくったら、一朝大洪水があった場合は、調節のため大きな役目を果たしてくれるであろうという期待を込めて決断をしたと思うのであります。
 昭和三十三年の災害後、許可当時の知事の心境を尋ねたとき、当時の小野知事はこの議場で、議事録のとおり読みますと、「電気が欲しいということで国家的な見地というよりは、むしろ和歌山県に電気が欲しいという気持でございました。ただ、そのときに防災を全然考えなかったかと申しますと、それは考えないことはございません。ダムのできるということは、これは私素人でございますが、幾らかでも下流の災害を防ぎ得るものであるということを考えております」云々と答弁をされております。
 過去はどうあれ、現にダムが存在するのであります。そして、前にも述べたように、完成後、翌年の大災害から四十年の歳月が流れました。その四十年の中で、平成二年九月十九日の台風十九号により、またもや六門のゲートが全部開放された。このときもダムの下流では浸水等の大きな被害が発生し、そして大変残念なことですが、日置川町役場の職員が巡回中とうとい命を亡くされ、今なお遺体がわからないという状態であります。六門開放は、これで二回目であります。完成時には四門あけても被害が大きいと関西電力の技術職員の方が説明されておりますが、今日まで四門開放したのが、本年七月二十六日の開放も含めて全部で七回もあるんです。そのたびに、県道は通行不能、田畑は冠水、泥水で農作物は全滅、人家は床上・床下浸水と、たび重なる被害を受けてきたのであります。
 先日の災害後、八月八日に大沢建設委員長にご足労願い、我々地元の県会議員ともども現場を見せていただきました。平成二年に県は、関西電力、日置川町、大塔村の間で日置川水害対策検討協議会を設置され、今日まで幾たびか会議を開かれ、鋭意努力されていることには敬意を表する次第であります。
 そこで、お尋ねいたします。
 ゲートの改良でありますが、関西電力に対して、現在、調整機能を備えたゲートが六門のうち二門ありますけれども、あと四門残っております。調整機能を備えた設備に改良するよう指導できないだろうか。
 台風九号の出水後、長期にわたって下流の水質が濁っており、下流のアユ釣りの時期と重なり、内水面漁業、民宿等に大きな損害を与えました。そこで、表面取水もしくは選択取水の実現に指導していただきたいと思うのでありますが、部長の答弁を求めます。
 県として、道路及び河川の改修計画とその対応について、また住民及び関係機関への通知徹底について、ダムの安全性についてもお答え願います。
 大雨が降るたびに、これほど災害の起こるダムは全国に例がないと思うのであります。下流の整備が悪いのか、ダムそのもののポケットが小さ過ぎるのか、ダムの上流に防災用のダムをつくる等々考えられないのか。
 また、三門あけたのは過去七回あります。三門あけると、県道の冠水や田畑、家屋の被害はありますか。今日まで、三門以上あけたことが合計十六回もあるのです。要は、このままでは、同じ雨量が降れば同じ被害をこうむるということであります。これは、もう天災などではなくて、まさしく人災であると申しても過言でないと思うのであります。
 私は、殿山ダムの下流の方たちが被害を受けないために、やらなければならないことはたくさんあると思います。第一に、田野井地区、追ケ芝の皆さんのご協力、ご理解を得ながら、田野井地区の河川の大きな改修、各地区に堆積した河床の整備等々を急がなければならないと思います。何といっても地域住民のご協力がなくては進みませんが、現状とその取り組みについてご説明を願います。
 日置の住民の方は、雨が降るたびに心配で寝ることができません。その不安を取り除くために、町民、町当局、関西電力、県当局が一致協力して一日も早く安心して生活できるようにすることが、私たちに課せられた責務であると思うのであります。部長の答弁を求めます。
 最後に、私の住む町を流れている富田川についてお尋ねいたします。
 和歌山県にはたくさんの川がありますが、大きな川と言えば、北から紀の川、有田川、日高川、富田川、日置川、古座川、熊野川ぐらいであろうと思います。しかし、上流にダムのない川、また人為的に自然を改造していない川、これが母なる富田川であります。この富田川にも、いろいろな言い伝えがあります。安珍清姫の道成寺絵巻の清姫の墓があり、下流には洪水のため人柱を建てたと言われる彦五郎堤、オオウナギの生息地等々、ロマンのある川であります。川や渓谷は四季折々の美観から私たちの心を魅了し、中でも自然の眺めはすばらしく、緑したたる山に夕霧が立ち、流れる水の音とともに聞こえてくるカジカガエルの声、ロマンチックです。その情景は、古来多くの人々の胸を打ち、時にはそれを筆で書きあらわし、時には歌となって残されています。
 前置きが長くなりましたが、本論に入ります。
 私は、県議会議員として、また富田川の下流に住む住民の一人として当局に質問いたします。
 大塔村と中辺路町の境に北郡という地区があります。国道三百十一号に沿って緩やかに流れる富田川は、山の自然に沿って大きな曲線を描いて流れているのであります。夏にはアユ釣りのメッカとして、少なくなったふちは子供たちのキャンプでにぎわう絶好の場所でもあります。その大きく曲がった川を、河道を修正してショートカットしようとすることであります。
 それは、ことし二月二十八日付で中辺路町から、河川改修の目的で、河川法第二十条による工事許可申請が提出されました。その申請理由は、「中辺路町にとって林業は町の生活基盤となっており、その重要な施設である工場を洪水から守るため」云々と理由書が添付され、提出されたのであります。
 そこで県では、この申請に対し河第三百七号、平成九年八月十九日付──先月であります──中辺路町に対し河川課長名で、河川法第二十条の妥当性について了承する、また、ほか四項目について記し、すなわち町でやりなさいと回答したのであります。道路のショートカットはよく聞きますが、河川のショートカットは余り聞いたことがありません。
 土木部長にお尋ねします。
 まず第一は、申請理由書の中に、中辺路町は林業の町で、町営木材加工場が冠水のおそれがあり洪水から守ることとあり、県も治水安全を図るという意味で了承するとありますが、この工場、いつごろつくったか、土木部長知っていますか。昭和六十年ごろですよ。十年ぐらい前なんです。何百年も前から流れている川に町が工場をつくるとき、浸水するか否かの調査をしているのが当然ですよね。今日まで災害で土木部長に要望がありましたか。私は、今日まで災害で申請したと聞いた覚えは一つもありません。一歩譲って、工場を災害から守るというのであれば、県管理の二級河川でもあり、カットせずに災害が起こらないように県で工事をやるべきだと思いますが、いかがですか。
 次に、お尋ねいたします。先ほど申し上げたように、河川課長名で、ほか四項目について条件をつけておられますが、これほどの河川河道の変更でありながら、下流の同意云々は一言もありません。低水護岸や砂利かごを設置するのではありません。富田川の川幅は、生馬橋付近で二百八十メートルもあるんです。この北郡付近でも百五十メートル近くもあるのです。百五十メートルの幅の川が、台風で堤防いっぱいに増水した濁流が、今までは緩やかに、自然に強さを和らげ、下流に流れていたのであります。その大きな川の流れを変え、直流させるのですよ。これでも、下流に対して軽微な改良ですか。工事費約一億円以上もかかるのですよ。例えば、砂利採取業者が何十キロ上流で少しの砂利を採取するにも、事前に、下流はもちろんのこと、川口にある海苔組合の同意書までとらせる県が、下流の指導をどうしてしないのでしょうか。お答えください。
 事前協議の段階であるから必要ないと言われるのでしょうか。では、下流の意見はどの段階で聞いてくれるのでしょう。同意が必要な関係町村はどこまでの範囲でしょうか。また、その他の関係する団体はどこまででしょうか。
 次に回答書の五番目に、廃川敷地すなわち直流することにより大きな土地が生ずることになります。その利用計画、利用方針について明確にしておくこととあります。河川課長は、本当に内容を知って回答したのですか。地元では、中辺路町と建設業界が第三セクター方式で建設残土の処分場をつくることが第一の目的と言っているが、本当でしょうか。また、そこに存在する砂利についてはどのように処理をするのですか。
 我々の地域において道路を改良するとき、川幅が広いのでせめて五十センチでも川の方へ広げたいと願っても、川は人命にかかわると毅然とした態度で認めない河川課が、本音と建前が違う本件をどのように考えているのか。本音を県も承知しながら、下流の地区に本当のことを知らしめずに進めていることに怒りを感じるのであります。中辺路町にとっては、確かに一万坪余りの土地が確保できることは利用価値もあり、平たん地の少ない当町にとっては大変な宝であります。
 平成九年七月十五日、つい先日のことでありますが、千葉県で産業廃棄物ではなく建設残土等の埋立規制に関する条例ができました。すなわち、建設残土に含まれる有害物質による地下水や土壌の汚染を懸念してであり、また建設残土の中に故意に混入されている産業廃棄物の不法投棄に歯どめをかける考えからであるそうです。和歌山県も当然、条例等を考えていると思いますが、お答えを願います。
 もし、この事業が多くの皆さんの同意が得られ、完成した後、万一下流で災害が起こったとき、先ほど殿山ダムの質問をしましたが、人為的につくったために、それが原因であるか否かと問われたとき、だれが責任をとるのか、土木部長の責任ある答弁を求めまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの町田亘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 町田議員にお答えをいたします。
 心について、大変貴重なお話をいただきました。私は知事就任以来、人を大切にした、人に優しい、心の通う県行政を推進していこうという思いを込めまして、「真」を政治信条に、「人、皆心あり」、人の心の痛みのわかる政治姿勢を掲げまして、これまで数々の施策に取り組んでまいったところでございます。議員お話しのように、今、時代は大きな転換期にございまして、経済効率を優先した物中心の社会から感性や創造性が重視される時代へと移りつつあるわけでございます。そうした潮流の中にあって心の大切さが求められるという点については、私も全く同感でございます。
 お話にございました、昨年、町田議員とともに米国カリフォルニア州を訪問させていただきましたけれども、その際、遠く祖国を離れてご苦労を重ねられながらも、ふるさと和歌山のことを心配される県人会の方々の心に接しまして、町田議員が感じられたと同じように、私も人の心の大切さを痛感したところでございます。これからも、和歌山に住んでいるすべての人々が、どの地域にあっても、どんな立場にあっても、心のゆとり、豊かさを実感し、生活のできる、感動のある、心の通う県政を目指して努力を続けたいと思っております。
○議長(木下秀男君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) TAC制度について、特に和歌山県における漁業資源の管理についてでございます。
 議員お話しの、六魚種を対象にそれぞれの漁獲量が設定されてございます。この制度により、従来の操業規制から総量的な漁獲管理へ移行することになり、永続的な漁業の発展と水産物の安定供給が図られることになると考えてございます。
 次に本県における漁獲量管理の現状でございますが、漁業者からの漁獲報告等をもとに的確な数量把握に努めてございます。また今後の漁獲管理の見通しにつきましては、それぞれの資源動向を勘案し、毎年見直しが図られることになってございます。
 議員お話しの特定海洋生物の指定は、今後も追加されることが予想されます。スルメイカにつきましても、平成十年から新たに漁獲対象種に加えられることが見込まれてございます。実施に当たっては、本県漁業者の意向が十分反映され影響がないよう、国へ要望してまいりたいと考えてございます。
 次に、今後の漁業の見通しと対応でございます。
 国連海洋法条約発効という新しい海洋秩序のもと、資源管理型漁業やつくり育てる漁業の推進等の基本的課題を踏まえ、本県においても資源の減少、就業者の高齢化等に対応した漁家の経営の安定、漁村の活性化など、漁業の振興に努めてまいりたいと存じます。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 町田議員のご質問にお答えいたします。
 まず最初に、殿山ダムの問題についてでございます。
 一番目のご質問として、ダムの樋門調節機能の改良ということについてでございます。
 殿山ダムのオリフィスゲートの機能についてでございますが、現状は六門中二門が部分開放可能となってございます。ダム操作を容易にさせることから、残りのゲートについても部分開放が可能となるよう指導してまいりたいと考えております。
 また、殿山ダムの表面取水等の実現についてでございますが、現在、関西電力では貯水池内の水質調査等を実施しており、その調査結果等を踏まえた上で、良好な水環境を維持できるよう指導してまいりたいと考えております。
 二点目の、道路、河川改修計画とその対応でございます。
 これについて、平成二年九月の台風十九号による県道の冠水箇所の整備状況については、日置川大塔線の宇津木地区は本年度で完成予定でございます。また、上富田すさみ線の宇津木地区及び日置川大塔線の大地区については、現在、測量実施中であります。その他の地区についても、町及び地元の協力のもとに順次整備を図ってまいりたいと考えております。
 また、安居地区右岸の下流部の築堤護岸工についてでございますが、平成七年度に測量設計を実施し、平成八年度から護岸工に着工し、整備の促進を図っております。また、大地区左岸の無堤区間について築堤工を実施するため、平成八年度より測量及び詳細設計を行い、平成十年度から本工事に着手する予定といたしております。
 三点目の、ダム放流通知徹底及び安全性についてでございます。
 住民の方々及び関係機関への周知徹底でございますが、専用電話及び専用ファクスの設置等、また一般に周知させるための措置として警報装置の二重化、警報車の増車等を行うなどの見直しを行ってございます。
 殿山ダムの安全性についてでございますが、日置川水害対策検討協議会の中でダムの安全性を確認しておりますとともに、県が三年ごとに行う定期検査を八年度に実施いたしましたけれども、安全性に問題がないことを確認いたしております。
 また災害対策として、殿山ダム上流に防災用のダムをつくる是非についてでございますが、日置川の総合的な治水対策は河道改修で対応する計画となっておりまして、早期に河道改修を進めてまいります。
 殿山ダムのゲートを三門あけて放流した場合どうなるのかということでございますが、高さの不足箇所が七カ所で約九・七ヘクタールの田畑の冠水が発生いたしますけれども、県道の冠水及び家屋の浸水は生じません。
 四番目の、田野井地区の改修と河床整備についてでございます。
 これについては、河川改修について、平成二年度から地元関係者と調整を行いながら、測量調査と概略設計を実施してまいりました。現在、護岸等の詳細設計を実施しておりまして、平成十年度より用地買収に着手する予定としており、町及び地元地権者の方々の協力を得ながら事業の促進を図ってまいりたいと考えております。
 また日置川の堆積土砂の除却については、河川管理者としても必要があると認識しており、町が事業主体となって河床整備を実施するべく協議を進めているところでございます。河川管理者としても、申請があった場合、早急に許可してまいりたいと考えております。
 引き続きまして、富田川の河道変更の問題でございます。
 一番目に、変更する理由についてのご質問でございますが、今回の河道改修計画は、中辺路町の主要産業が林業であり、その重要な施設である町営木材加工場が湾曲部の上流左岸側に位置していることから、この湾曲部による影響で洪水時には上流で水位が上昇し、町営木材加工場が冠水するおそれが生じることから計画されたものです。また、河川工事により広大な土地が生じることから、この地域の公共事業の建設残土の受け入れ場所として活用することが可能となり、さらにこの土地を地域振興に役立つ施設の用地として利用できることから、河川法二十条に基づき、河川工事の必要性を主張する町が行うことを協議しているものでございます。
 二番目の、建設残土処理条例でございます。
 この条例の制定については、現在、和歌山県には建設残土等の埋め立てに関する条例はございませんが、工事の施行に当たり、環境保全上の支障を来すことのないよう、関係部局とも十分協議してまいりたいと考えております。
 三番目の、下流地区の同意でございます。
 河川工事を行う場合の下流地区の同意については、事前協議では明記しておりませんが、工事規模も大きいことから、今後、下流町村等の同意について指導してまいりたいと考えております。
 この地区を建設残土受け入れ場として活用する場合には、適正な管理を行えるような仕組みを検討してまいりたいと考えております。
 富田川の河道変更については、議員ご提言の趣旨を十分踏まえて、当河川工事の本申請までに流域の関係町村等と協議を図り、理解を得られるよう中辺路町を指導してまいります。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 32番町田 亘君。
○町田 亘君 殿山ダムについては、先ほど申し上げたように、七月十幾日でしたか、あれと同じ雨量の雨が降れば四門があけられる、それと同じ災害が起こるということでありますから、地元住民のご理解、ご協力もさることながら、県で特段の努力をしていただきたい。
 知事、お考えありがとうございました。お礼を申し上げます。
 富田川ですけれども、少し本音を聞いたように思うんです。要するに、最初の発想は、建設の残土をどこかへ捨てるところがないかということ。今はもうできましたけれども、逢坂トンネル、水上栃谷トンネル、この話があったのが平成二年ごろです。生臭い話をすると、ある業者がカットする土地を押さえてしまったといううわささえある。要するに、建設残土を捨てたい。それには、どこかいいところがないか、これだけ曲がったところがある、そうすると、そこには砂利がたくさんあるやないか、その砂利を売ることができる、砂利を売った後へお金を取って残土を捨てれば一万坪の土地ができる、これが正直言って発想だったと思うんです。
 ここにおられる平越議員から、先日、ある資料をもらいました。それは、昭和五十一年に、平越議員のお父さんが九度山町の町長をなさっているときに、やはり同じように二十条申請して大きなカットをした。そこで、立派な土地ができる。それは何だと言うと、学校の用地をつくりたい、その申請であったんです。学校用地をつくりたいということで、堂々とその二十条の許可を得た。
 だから私が言いたいのは、残土を捨てたいからの発想ではなくて、一万坪余り──確かに、この工事は一億円かかる。今、部長の答弁で、その工場を災害から守るんだと言うんなら、先ほど質問したように、県でカットせずに工場がつからんように工事をようしないんですか。そのような工事できるでしょう。今までつかったことないんですよ。先ほど申し上げたように、一歩譲って、中辺路町の産業である林業を本当に守ってあげようと言うのなら、一億円もかけんと県で十分できるでしょう。それは、下流の人は皆知っているんですよ。
 私が言いたいのは、工場の災害だとか工場を守るんだというようなこそくな理由じゃなしに、本音を出して下流の皆さんの同意をとる。下流といっても──先ほど事前のときには同意云々はないと言いますけれども、カットして突き当たったところが大塔村ですよ。カットして当たったところが、もう大塔村です。一番最初に大塔村の皆さんに、せめて役場へ行って話をしてくるのが当然だと思うんですが、それもしてないんですよ。だから、大塔村、上富田町、白浜町の町村はもちろんのこと、内水面、水利組合等々の同意書を必ずとっていただきたい。私は、決してやるなと言っているのではない。発想の仕方が間違っているんだということを申し上げたいんです。
 今議会では、産廃の質問等が多くありました。この富田川でも、将来、建設残土の中に、不純物がもし故意に入れられたりしたときに、先ほど申し上げたように、だれが責任をとるのか。ここで中村生活文化部長にまた質問をしなくてはならないようなことがないように、管理者である県の方で十分な管理、対応をしていただきたいと思います。
 最後に、事前申請といっても、これだけ大きなことをやるのに、我々下流に住む住民はもちろんのこと、西牟婁郡の県会議員のだれ一人にも説明もない、これが一番の憤慨であります。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)──そのとおりであります。次回にもう一度質問するとして、今回は厳重に申し添えて要望にしておきます。
 以上です。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で町田亘君の質問が終了いたしました。
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○議長(木下秀男君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 ─────────────────────
○議長(木下秀男君) 次に、ただいま議題となっております全案件のうち、議案第百二十号平成八年度和歌山県公営企業決算の認定についてを除くその他の案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 ─────────────────────
 【日程第三 請願付託】
○議長(木下秀男君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 ─────────────────────
○議長(木下秀男君) 次に、お諮りいたします。九月三十日及び十月一日は、各常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) ご異議なしと認めます。よって、九月三十日及び十月一日は休会とすることに決定いたしました。
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○議長(木下秀男君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員から、これを申し上げます。
 〔職員朗読〕
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 総務委員会 第一委員会室
 福祉環境委員会 第二委員会室
 経済警察委員会 第三委員会室
 農林水産委員会 第四委員会室
 建設委員会 第五委員会室
 文教委員会 第六委員会室
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○議長(木下秀男君) 次会は、十月二日再開いたします。
○議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時四十六分散会

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