平成9年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第四号 平成九年九月二十六日(金曜日)
 午前十時開議
 第一 議案第百四号から議案第百十五号まで、議案第百十七号から議案第百二十号まで、及び報第七号(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第百四号から議案第百十五号まで、議案第百十七号から議案第百二十号まで、及び報第七号(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十七人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川 武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門 三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島 雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 谷 洋 一
 18 番 山 下 直 也
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 松 本 泰 造
 21 番 堀 本 隆 男
 22 番 宇治田 栄 蔵
 23 番 宗 正 彦
 24 番 橋 本 進
 25 番 神 出 政 巳
 26 番 玉 置 公 良
 27 番 上 野 哲 弘
 28 番 東 山 昭 久
 29 番 尾 崎 要 二
 30 番 野見山 海
 31 番 木 下 秀 男
 32 番 町 田 亘
 33 番 中 山 豊
 34 番 井 谷 勲
 35 番 鶴 田 至 弘
 36 番 森 正 樹
 37 番 村 岡 キミ子
 38 番 新 田 和 弘
 39 番 平 越 孝 哉
 40 番 森 本 明 雄
 41 番 長 坂 隆 司
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人

欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
 知 事 西 口 勇
 副知事 山 下 茂
 出納長 高 瀬 芳 彦
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 中 山 次 郎
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 生活文化部長 中 村 協 二
 福祉保健部長 小 西 悟
 商工労働部長 日 根 紀 男
 農林水産部長 平 松 俊 次
 土木部長 長 沢 小太郎
 企業局長 佐 野 萬瑳義
 教育委員会委員長職務代行者
 安 藤 精 一
 教育長 西 川 時千代
 公安委員会委員 高 垣 宏
 警察本部長 米 田 壯
 人事委員会委員長
 若 林 弘 澄
 代表監査委員 宮 市 武 彦
 選挙管理委員会委員長
 谷 口 庄 一
 以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 西 畑 彰 久
 次 長 前 晴 夫
 議事課長 佐 竹 欣 司
 議事課副課長 島 光 正
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 川 崎 良 雄
 議事課主事 大 浦 達 司
 総務課長 塩 路 義 和
 調査課長 湊 孝太郎
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時三分開議
○議長(木下秀男君) これより本日の会議を開きます。
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 【日程第一 議案第百四号から議案第百十五号まで、議案第百十七号から議案第百二十号まで、及び報第七号】
 【日程第二 一般質問】
○議長(木下秀男君) 日程第一、議案第百四号から議案第百十五号まで、議案第百十七号から議案第百二十号まで、及び知事専決処分報告報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 1番大沢広太郎君。
 〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○大沢広太郎君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 県経済と中小零細金融の問題についてお伺いをいたします。
 西口知事は昨年の十二月議会で、我が自民党県議団の宇治田栄蔵議員の、経営が破綻した阪和銀行をめぐる質疑で、業務停止命令の連絡を受けたのは五時間前の午前三時ごろだったと不快感と驚きを隠せない表情で答弁を行い、和歌山の経済界を揺るがした時期からこの十一月までで間もなく一年を迎えようとしています。阪和銀行従業員八百五十人のうちの再雇用を見てみますと、業務停止命令から半年後の新聞紙上では再就職をした従業員は百三十人と、長引く景気低迷状況のもとで、まさに厳しい状況下に置かれています。さらに、さきに経済企画庁が発表した四月から六月期の国内総生産は、一月から三月期に比べて二・九%減少し、第一次石油ショック以来の大幅減となり、また年率換算では一一・二%減となっています。この減少面は消費税率の引き上げを前にした駆け込み需要の反動減などで、個人消費や住宅建設などが落ち込んだことが原因とされています。七月から九月期はプラス成長に戻る公算が大きいとされているものの、政府の今年度成長率見通し一・九%については達成が難しいとされており、景気の低迷、横ばい感が改めて確認されたところであります。
 一方、本県経済は、鉱工業生産指数や有効求人倍率などの動きを見ても依然として厳しいものがありますが、県内景気について知事はどのような認識をされているのか、ご所見を賜りたいと思います。
 本県のリーディングバンクである紀陽銀行にあっては、金融ビッグバンの本格的な導入に備え、経営の効率化、合理化を行い、地域経済にさらに貢献するために役職員が一丸となって取り組んでいると聞いております。ところが阪和銀行については、破綻後間もなく一年になろうとしているのに、その衝撃波は現在も進行中であります。預金の払い戻し業務を引き継ぐために設立された紀伊預金管理銀行も近く営業が譲渡され、破綻処理は、表向きは順調に進んでいると聞いています。
 また、阪和銀行関連で県が行った中小企業向けの緊急融資では、昨年十一月から三月末までで二百九十五件、総額で四十四億三千六百三十万円に上り、このうちの件数別では、和歌山市内で百四十一件、また阪和銀行が紀南無尽として創業した田辺市や西牟婁郡では四十二件となっています。県では、四月以降の今年度も五十億円の融資枠を用意し、事態に対応しています。しかし、融資を受けた企業や事業者のほとんどは証書貸し付けをきちんと返済し、担保力のあるところが中心で、零細企業で資金繰りが厳しいところほど融資が受けられていないと聞いております。また、手形決済を行っている企業は、銀行の業務停止の影響で新たな貸し付けが受けられず、連鎖倒産は新たな局面を迎えるのではないかと言われています。
 このように、県経済への打撃はまさに深刻なものがあります。大蔵省近畿財務局に、局長に次ぐナンバーツーのポストとして新設された金融安定監理官に着任された楠寿晴氏が七月末の就任記者会見で、関西の金融情勢はバブル経済の発生、崩壊の影響が関東に比べて厳しいものがあると表明したほか、特に信用組合の仕事が中心になり、各府県の信用組合担当者が一々東京の大蔵省へ足を運ぶことがなくても済むようにと考えていきたい、今後の金融行政のあり方については、市場の規律に基づいた透明性のある監督を行うとともに預金者保護等金融の安定を図っていく必要があるとも会見で表明したと報じられています。
 この信用組合対策でありますが、今月五日付の全国紙各社の朝刊には、大阪府が府内の信用組合を再編するために、系列など後ろ盾のない独立系信用組合を二つの生命保険会社系の信用組合に再編するとの構想を明らかにしたとあります。これは、多くの不良債権を抱え業務停止命令が出されれば、すべての債権が整理回収銀行に移り、取引先企業の資金調達ができなくなり、倒産する企業が相次ぐ危険性が高いためだと大阪府側は説明しているということであります。この信組再編については、今月下旬にも具体化に向けて大蔵省、日銀と協議に入るとしています。
 信用組合は、地域住民の生活や中小企業とより密着し、地域社会に根差した身近な金融機関であることは既成の事実であります。二〇〇一年の日本版ビッグバンを控え、県内信用組合を取り巻く環境には厳しいものがあると思われますが、今後の信用組合のあり方について、指導監督機関である県当局はどのように考えているのか、お伺いをいたします。
 あわせて、さきの阪和銀行従業員のその後の雇用状況と受け皿銀行への譲渡時期、また譲渡後の、阪和銀行と取引のあった企業への対応策をどう講じていくのかについてお尋ねをいたします。
 続いて、低迷する漁業の振興策の一つとして、浮き魚礁の設置についてお伺いをいたします。
 流れ藻、流木、ジンベイザメ、イルカなどの生物、無生物に限らず、浮遊物にカツオ、キワダ、シイラなど表層遊泳魚類が蝟集する習性のあることは、古くから知られております。その習性を利用した漁業は以前から行われており、沖合ではカツオさお釣り船やまき網漁船が浮遊物をいち早く見つけて操業したり、沿岸でも漬け漁業として、係留した浮遊物に集まった魚群を漁獲しており、この漬けこそが伝統的浮き魚礁であります。我が国では江戸時代に始まると言われているシイラ漬け、またインドネシアではルンポン、またフィリピンではパヤオと呼ばれ、特にモウソウチクなどを数本重ねて係留した、いわば簡易型浮き魚礁であります。
 地先の海域に浮遊物を係留し、通過する魚群を一時的にとめて漁獲しようとする漬け漁業は、まさに沿岸漁民の知恵の産物であります。しかも、天然の漁場に恵まれない海域でも人工的に漁場を造成できる点では、先駆的な発想であったと言えます。
 本県においても、昭和五十八年から数年、西牟婁地方は市江崎沖、東牟婁地方では熊野灘沖に合わせて三十台設置し、市江沖の浮き魚礁で漁をした田辺関係で六千五百万円、串本関係で八千万円、さらに東牟婁関係では三億円から五億円に上ったとも言われていると、当時の新聞に記載されております。ただ、当時の浮き魚礁は比較的簡易なものであったことなどから耐久性に乏しく、台風の風波や船舶に切られるなどして、設置した年にすべて流出してしまったように関係漁業者から聞いております。
 現在、沖縄県においては、沖縄本島、周辺海域はもとより、奄美、宮古島周辺海域にも設置し、その数は百七十基を超えていると聞いております。その上、改良を加えた先端漁法とも言ってよい新しいパヤオ漁であります。浮き魚礁の設置を行ったことによりひき縄漁業者の水揚げがふえ、組合員の漁業意欲も増大し、市場も活気が見られ、現在では高く評価されていると伺っております。沖縄では、午前中は漁業者、午後は遊漁者に開放し、入漁金を得てうまく使い分けし、観光漁業にも寄与しているようであります。
 紀伊水道は全国でも有数の船舶の往来が多い海域であり、過去にはロープが切断されて流出したり、また他種漁業とのトラブルで邪魔になるとクレームがつくなど、いろいろと問題点が多かったようですが、最近では、中層型浮き魚礁と言って、水面から五十メートルの海中に設置する工法も開発されていると聞いております。紀伊水道を往来する多くの船舶などにも余り影響がないのではないかと、そのように思う次第であります。
 今般、紀南の代表的漁法であるカツオひき縄釣り漁業を主とするすさみ漁業協同組合では浮き魚礁設置に向けての視察研修を行い、田辺市及び西牟婁管内の漁業協同組合で構成する西牟婁田辺漁業振興協議会に提言し、同協議会においても事業の推進決議をされたと伺っております。本日も、大変お忙しい中にもかかわらず、すさみ漁協の皆さん、そしてすさみ町議会の関係者の皆さんも大勢傍聴にお見えでございます。
 そこで、この皆さん方はこれからの紀南の漁業に展望が開けるような農林水産部長の答弁を期待しておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 先ほど、本県における過去の設置状況につき触れましたが、現在では、浮き魚礁本体の構造も過去のモウソウチクからFRP等にかわり、また係留技術も向上し、耐用年数も高度に向上しているとのことであります。カツオひき縄釣り漁業を主とする漁民にとって浮き魚礁は安定した漁獲向上の一つの策でもあり、漁家経営の安定に寄与するものと考えますが、部長の考えをお伺いいたします。また、隣接県である高知県、三重県等が成果を上げていると聞いておりますが、浮き魚礁を設置する組合に対する県としての支援策等についてもあわせてお伺いをしたいと思います。
 これで、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの大沢広太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 大沢議員にお答えをいたします。
 県内景気に対する見方についてでございます。
 全国的には消費税率の引き上げによる消費の反動減の影響が長引いておりますものの、景気回復の基調に変化はないとされてございますけれども、その要因の一つには、円安などを背景とする自動車、半導体、通信機器といった業界の好業績が挙げられてございます。しかしながら本県では、輸出型の機械や化学の一部に明るさが見られますものの、総じて景気回復を牽引する産業が少ないために、生産面、雇用面ともに全国水準より低く推移しているのが実態でございます。加えて、お話にございました阪和銀行の業務停止などによる金融不安も懸念をされておりまして、県内中小企業者にとっては依然厳しい状況が続いているというのが実態であろうと認識をいたしております。
 私といたしましては、このような認識のもとに、交通体系を含めた産業基盤の整備を初め、新産業の創出、さらには企業誘致の促進、また各種の大型プロジェクトの推進など、厳しい財政状況でありますが、創意工夫を凝らし、県経済の活性化を図ってまいりたいと考えております。十月に開催する産業博覧会なども、その一つの起爆剤になればと期待をしておるところであります。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 県経済と中小零細金融の問題、二点についてお答えいたします。
 まず信用組合の指導についてでありますが、信用組合は、中小零細企業の金融の円滑化を通じて地域経済の振興に大きな役割を果たしてまいりました。しかしながら、他の金融機関同様、バブル経済の崩壊等、厳しい経営環境にございまして、現在、経営改善に懸命に取り組んでいるところでございます。
 いわゆる日本版ビッグバンを間近に控え、金融機関経営の透明性がますます求められるとともに、国、県当局の検査、指導に頼らずに、資産の自己査定により経営に対してみずから責任を持つという自己責任原則の徹底が求められているところでございます。
 今後、外国資本の進出や国内金融機関の再編等、金融機関を取り巻く環境が大きく変わっていくことが予想されます。したがって、信用組合といたしましては、地域にしっかり根をおろした営業活動を展開し、都市銀行などの普通銀行とは違った特色ある経営を行って、さまざまな生き残り策を図っていく必要があるのではないかと考えております。県といたしましては、信用組合が厳しい競争に生き残り、自立していけるよう強く指導してまいりたいと考えております。
 次に、阪和銀行への対応の問題でございます。
 阪和銀行従業員の雇用問題については県としても重要な課題の一つとして考えておりまして、現在、商工労働部内に阪和銀行雇用支援会議を設置して再就職の支援を行っておりますが、八月末現在で再就職が決まった従業員は、八百四十六人のうち二百五十二名となっております。今後におきましても、依然として厳しい雇用情勢ではございますが、一人でも多く再就職が図られるよう引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
 なお、受け皿銀行への事業譲渡につきましては、今年度内が目途ということでありますが、具体的な日程についてはまだ確定していないと聞いております。
 金融支援として県が実施している阪和銀行対策特別融資は、昨年十一月から本年八月までで三百六十四企業、五十四億七千三百四十万円の利用がございまして、これまでのところ、当面の事業資金には対応できたものというふうに見ております。
 事業譲渡後の企業への対応策といたしましては、金融機関、信用保証協会等に対して引き続き弾力的な取り扱いを要請いたしますとともに、制度融資の活用を図りながら金融の円滑化を図ってまいりたいと考えております。
○議長(木下秀男君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 低迷する漁業の振興策のうち、浮き魚礁の効果と支援についてお答えいたします。
 浮き魚礁につきましては、ひき縄漁業者の漁獲の安定、漁労時間の短縮、漁業コストの節減等を図る上で有効な漁業振興策の一つであると考えてございます。
 議員お話しの沖縄県のほか、幾つかの県においても各種浮き魚礁の取り組みが行われているところでございます。本県でも、過去に簡易な浮き魚礁を設置したほか、耐久性のある大型浮き魚礁の試験も実施し、データの集積もございます。しかしながら、他種漁業との調整や大型船舶のふくそうする海域での漁業者の安全対策等が必要でございますので、関係者との調整を図りながら、漁業者の要望を踏まえ、対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 1番大沢広太郎君。
○大沢広太郎君 ただいま答弁をいただき、ありがとうございました。
 金融対策について、西口知事の答弁でも、県内の景気の低迷ぶりが改めて確認されたほか、活性化に向けては相違工夫を凝らして取り組むとの決意を示されましたが、本県も大阪府のように信組の再編等の強力な特別策を講じていただき、中小企業従事者や家族から、和歌山県に住んでよかったと言われるような行政としての取り組みをお願いしたいと思います。
 また、海で働く漁師さんらが寒風が吹くしけの中で漁をしたり、強い雨が降りしきる中、漁に精を出したりして、まさに命がけで家族の生活を支えているのが現状であります。本県の漁業では後継者不足と高齢化が大きな課題となるほど、漁業を取り巻く環境はまさに厳しいものがあります。漁業者の皆さんは、水産資源の確保や漁業の整備等、漁業の経営安定を望んでいます。各地で明らかな効果が出ているこの事業を漁業者のために、ひいては消費者のためにも強力な基盤投資をよろしくお願いするものでございます。
 ところで、本県では水産業の活性化を図るため、海の資源を守り育て、提供する黒潮産業への飛躍といったスローガンを掲げ、基盤づくりや人づくり、情報体制づくりを重点施策に取り組まれています。また、これまで県内ではイセエビ漁の資源管理の成功事例もあり、このように時代を先取りしたこれからの漁業の振興を推進していただくとともに、豊かで潤いのある漁業の発展に取り組まれることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で大沢広太郎君の質問が終了いたしました。
○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番鶴田至弘君。
 〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 お許しをいただきましたので、質問に入らせていただきます。
 まず、不適正支出の問題についてでございます。
 過日、予算執行調査改善委員会の調査として、十三億四千万円の不適正支出の存在とそれに伴う善後策についての発表がありました。去る六月議会において私は、この委員会の活動に期待を寄せ、納得のいく調査が行われることを求めて質問をいたしたところでございます。発表された内容に対する所感を述べ、再び質問をいたします。
 まず、遅きに失したとはいえ、県民の批判にこたえてみずから内部調査を行い、相当の痛みに耐えながらこの結果を発表した県当局の努力を評価したいと思います。長年の陋習をみずからの手で打ち破るということは、本当に困難なことです。市民オンブズマンの調査や全国的な流れという客観的な条件がその決断を促したと言えるでしょうが、自浄能力を一定発揮されたことに対して、まずご苦労さんと申し上げたいと思います。
 しかし、この種の問題は、あいまいさやごまかしがあっては後を正常化する妨げになります。うみはうみとして出し切る方がよいと思いますので、以下質問をいたします。
 平成六年から平成八年の三年間の調査でしたが、それ以前は調査されていません。この三年間で十三億四千万円という巨額です。これ以前を考えると一体幾らになるのかと、そら恐ろしくなります。バブルの最盛期のころや大型プロジェクトの華やかなころは相当なものではなかったかと憂えるものです。これ以上調査は困難との話でありますが、程度の問題はあるでしょうけれども、全くできないということではないと思います。県民から預かった税金の問題です。困難です、と済ましておられては困ると思います。県民の信頼を取り戻すべくいま一歩の努力を求めます。
 二番。議会関係と警察、それに外郭団体はこの調査から除外されています。情報公開条例の対象外だというのが理由とされておりましたが、予算執行が適正かどうかをみずから調査するのに情報公開条例は関係ありません。議会、警察は聖域だとする理由もありませんし、警察も議会も当然対象となるべきだろうと思いますが、いかがでしょうか。除外された理由と調査の意思の有無を尋ねます。
 三番。私は、過去の質問において、この調査が外部からの点検にこたえられるものであってほしいと願いました。結果、一定の数字は発表されましたが、詳細はわかりません。大変俗な言葉になりますが、まだほかにもあるんと違うかと問われたとき、どうぞ調べてくださいという姿勢が見えません。発表された数字が正しいのかどうか、点検のしようがありません。庁内の内部関係者による自己調査、自主申告とのことですが、せめて課ごとの調査結果が発表されるべきでしょう。情報公開が盛んに言われていますが、このようなときにこそその精神は生かされるべきではないでしょうか。
 四番。不適正支出の概念と返還の関係がよくわかりません。説明によると、私的流用はなかったとされます。予算の組み方と現場の実際に乖離があった、したがって公的に流用した、とされます。言いかえれば、県民のために支出したということであります。ところが、県民のために使ったにもかかわらず私的に返還するという、明らかに論理的矛盾に突き当たります。職員に二百万円も三百万円も負担させての返還ですし、不適正支出されたのは県民の税金です。県民にとっても職員にとっても、大変なことです。ここのところはもっと厳密にすべきだと思います。返還すべきもの、不適正だが明らかに県民のために支出したものを第三者を含めた機関で検討し直すべきではないでしょうか。仲間うちだけの相談で、一括返還することにより、私的流用などと言われるややこしいことも含めて個人的返還で塗り込んでしまうというやり方は、納得いきません。不適正支出総額とその使途との差額四億円余りもわからない話です。ですから、選挙にでも使ったのと違うかといううわさも生まれてくるんです。橋本総理が先日、永田町の論理は間違っていたと言っていましたが、このあいまいさが県庁の論理だとしたら、県民の納得を得られるものではありません。臭い物にはふた方式でないとは思いますが、第三者を交えた機関で厳密に洗い直すべきだと思います。いかがでしょうか。
 五番。再発防止について、さまざま検討されております。これらの策が厳正に行われれば、まず不祥事は発生しないでしょう。しかし、それができるかどうか。一つは、今回の問題について、県民の疑問に詳細に答えるかどうかが試金石であろうと思います。痛みが伴うことがあるかもわかりませんが、その方が十四億円の返還よりも値打ちがあるだろうと思います。情報公開の拡充を言われていますが、一方では監査請求が棄却されたりしています。監査委員会がこの不適正支出の大問題の本質を理解されていないのではないかと疑いたくなるほどです。ついては、今後の情報公開のあり方について、何をどう改善されようとしているのかを明らかにしていただきたいと思います。
 不適正支出で捻出したお金に職員の待遇改善に該当するような使い方もあっただろうと思います。規定以上のことを不正に捻出した金で行うことは法治国で許されることではありませんが、しかし、職員の労働条件の不備は当然是正されなければなりません。残業、超勤手当、遠方への出張と宿泊など規定を改め、満足してもらえるような条件にすべきです。厚生福利においても考慮すべき点は見直すべきでしょう。詳細な点は労使間の論議や職場の論議で明らかにして、こそくな手段を用いなくてもいいように制度改善を図るべきだと考えるものです。
 私は、予算執行の調査改善委員会の発表の不十分さにもかかわらず、調査発表したことには大きな意義を感じ、評価するものです。しかし、不透明な部分が多過ぎます。願わくは、いま一歩踏み込んで県民から提起された問題に思い切って回答していくべきだと考えます。そうしてこそ本物になると信じるからです。いま一歩の努力をいただきたいと思います。
 以上で、予算執行問題についての質問といたします。
 次に、火電の問題についてお尋ねをいたします。
 七月十六日、知事は電調審に対し、和歌山火電、御坊第二火電について建設の同意の回答をいたしました。この点について質問をいたします。
 知事の同意の背景には、火電建設を促進すべしという県議会の決議もあり、県下財界の圧力や国からの強い催促などがあったと推測されます。しかし一方では、火電建設に強く反対する人々、不安や疑問を抱く人々も決して少なくありませんでした。知事も十分承知のことだろうと思います。
 対立した大きく分かれる二つの見解があっても、知事としては一定の判断をしなければならないときは当然あります。しかしそれは、少なくとも十分の議論を尽くした上でという条件が伴うことであります。この二つの火電について、必要な議論や提起された疑問に誠実に十分答えたという経過があったでしょうか。人に心あり、少数意見に耳を傾けると、知事はよく口にされました。しかし、事この火電問題については、その言葉とは逆の姿勢が目立ちました。
 御坊第二火電問題をとってみても、提出された重要な疑問に答えられていない点が少なくありません。例えば、オリマルジョンの問題です。私も、この燃料の安全性についての危惧を去る六月議会で質問いたしました。海上災害防止センターの実験による安全性の証明は疑義があるとしての質問に対して、当局の答弁は、海上災害防止センターは権威ある機関であるからその証明は正しいとする、極めて形式的で非合理的な答弁でした。少なくとも、質問に対してその安全性を科学的に論証したものではありませんでした。
 ちなみに北海道電力知内発電所では、地元の理解が得られるまではオリマルジョンの使用を中止し、重油燃料に切りかえることになり、引き続き検討課題となっています。さらに言えば、我が和歌山県と縁の深いフロリダ州でも、オリマルジョン発電は、住民の反対運動の意を酌んでその建設は中止される状態であります。電調審に対する環境庁の意見も、オリマルジョンの危険性を証明するものばかりです。そのような中でなぜ知事が同意回答したのか、納得のいく見解を聞かせてください。
 第二火電建設予定地の御坊塩屋地区では、建設について関電から何の説明も受けていない、せめて地元説明をと求めていたにもかかわらず、説明会は開かれないままの状況でした。知事も承知のことだと思います。そういう状況を残したまま同意の回答とは、少数の声にも耳を傾けるとした知事の政治姿勢にもとるものではありませんか。所信をお示しください。
 梅に対する影響も、安全性を確認したものではなく、有害性があればその時点で対応するというもので、農家の期待を裏切りました。
 七月十五日、炎天下に七百名を超える農民が県庁前に集まり、知事に対して「お父さん」と呼びかけ、せめて梅生育不良の原因が解明されるまでは建設同意は待ってほしいと訴えました。農民の焦りと不安の中で時には激しい言葉も飛び交いましたが、それで彼らを責めることはできないでしょう。知事はその場にあらわれず、訴えは職員が聞きおき伝えるということになりましたが、翌日、知事の電調審への回答、建設同意が彼らへの明確なかつ非情な回答になりました。彼らの切実な要望に背を向けて建設同意をした理由、なぜ待てなかったかを明らかにしてください。
 三月の回答を保留した時点と比べて、疑問や不安はほとんど何ら解決していないのです。県議会決議や、周辺町長の、知事に任せるというあいまいな建設同意表明など、政治状況の変化はありましたが、住民の不安にこたえたものではありませんでした。少数意見を切って捨てた理由を明らかにしてください。
 和歌山火電についても同じです。地元住民の意見を尊重するという言葉にもかかわらず、地元合意は得ているという住友金属の言辞を唯一の論拠に、今なお公害の存在を訴える人々の声に直接耳を傾けようとはしてくれませんでした。地元の声は住友から聞いているとした一貫した県の姿勢は、私は何度考えてもその論理がわかりません。なぜ直接住友周辺の住民の声を聞こうとしなかったのでしょうか。知事にお尋ねをいたします。
 埋立地の地盤軟弱性や中央構造線上に近接する危険の指摘に対する当局の回答も、疑問を提出したものを満足させるものではありませんでした。自然科学上の見解の相違は、実験を経ない限り、時には交わらないこともあるでしょうし、したがって私は果てしない議論を求めるものではありません。しかし、論議の機会は十分に保障し、それを一定尽くした上での判断であるべきです。しかし、そんな場が保障されたでしょうか。極めて不十分ではなかったでしょうか。県民の要望、疑問をさっさとかわして、電調審の日程に政治判断のスケジュールを合わせる知事の政治姿勢を大変残念に思いました。これに対する知事の所感を求めます。
 続いて、西防埋立地の問題についてお尋ねをいたします。
 西防埋立地に関西電力の火力発電所の建設が進行しています。近い将来、かの埋立地の住金から関電への所有権の移転が行われる予定とされています。埋立地は、公害工場の移転を目的として特例的に認められたものでした。転用に当たっても厳しい条件がつき、所有権の移転に際しても不当な受益が行われないよう、法において強く求められています。この点に関して当局の見解をお聞きしたいと思います。
 一番、不当な受益とはどういう内容を指すのか。適当にもうけてもよろしいということなのか、考えを示してください。私は、企業が県民に対して約束を守らず企業の都合で売買するものであるから、この行為にあっては受益自体が認められないと思うのですが、いかがでしょうか。
 二番、造成原価と売買価格を県民の前に開示する必要があると思いますが、いかがでしょうか。私はかつて、造成費用は幾らだったのかと当局にただしましたが、明らかにされませんでした。一工区、二工区、三工区、それぞれ原価を明確にしていただきたいと思います。住友、関電、県の間でこの問題についての扱いもいろいろ議論されていると聞きます。前の質問では答弁を得られませんでしたが、今回はもう明らかになっているだろうと思いますので、お示しください。
 三番、不当な受益のない譲渡が行われるためにそれを保障する機関も必要でしょうが、どのように考えておられますか。公明正大な取引が行われるよう体制を考えていればお示し願います。この不当な受益の条項は関電にも適用されると考えられますが、いかがでしょうか。
 四番、埋立原価に関連しますのでお尋ねをいたしますが、環境保全公社と住金の廃棄物、その他企業の廃棄物の関係についてです。同地は廃棄物を投入して造成されたところですが、投入に当たっては一定の料金が必要でした。投入料金は、平成五年まで、住友金属はトン当たり八十五円から八十七円であったのに対し、その他の企業にあっては五百円から千三百円と、六倍から十五倍と大きな差がありました。住金はみずからの廃棄物を極めて安い料金で投入でき、一般企業の投棄物で表土を覆う以外は、みずからの土砂を搬入することなく埋め立てがなされました。その上、搬入された廃棄物を海中に投棄する作業費として、トン当たり二工区まで七十五円から七十七円、三工区では七百十九円、環境保全公社から住金に支払われ、その合計は三十九億六千万円となっています。すなわち、住金は自社の土地を造成する作業を行って、廃棄物を処分するという理由で環境保全公社から四十億円近い金をちょうだいするというシステムがつくられていたわけです。
 三工区では、転用もまだ決まっていないにもかかわらず、住金の投入費も一般企業並みに変更はされましたが、その作業費用もトン当たり七百円を超えて受け取ることになりました。これは住友ペースだなという感じを否めません。西防埋立地の価格に関することですのでお聞きしているのですが、投棄料金が一般企業と住金になぜこんな大きな差をこしらえたのでしょうか。また、埋立地での作業は住友自身の土地造成作業であると考えられますが、なぜ四十億近い金が環境保全公社から住金へ支払われるようになるのですか。三工区では転用が未定の現在であるにもかかわらず、搬入料金、作業料金が変更されましたが、なぜですか。全体として、この地の埋立造成費の計算に当たって、そのような仕組みはどのように勘案されるのでしょうか。以上、質問をいたします。
 次に、緩衝緑地についてお尋ねをいたします。
 この緑地のそもそものスタートは、この議場でも幾度か論じられましたように、埋立造成地をつくるに当たり、当時の公害緩和の一環として住友金属が事業主体となって進み始めたものでありました。それは大変結構なことでありました。しかし住金は、事業団方式でやれば大幅に自社資金を使わずに済むことに着目し、国、県を巻き込んで事業団方式で進めることに成功いたしました。事業団方式にすれば、自社資金を幾ら節約できるか、企業用地を事業団に購入させれば幾らになるか、その土地の分で税金がどれだけ節約できるか、議会対策はどうするか等々、住金内部での議論の資料を読みますと、さすがに大企業、県や市が対策の対象になっていることがよくわかります。以来十五年、湊、松江、西松江の緑地化が進められ、総工費約百一億円を投入されました。本来ならば、公害を出している企業が行うべき事業ですが、この費用のうち国が二十九億円、県が約四十億円、事業費の約三分の二を国と県が負担をいたしました。もちろん、この緑地の中には公共的建造物が若干組み込まれている点もあり、一定部分は国、県が負担することは当然という面もあるでしょう。しかしそれは、事業全体の一部分であります。いかに大企業への甘い行政が国においても県においても行われていたかを物語るものであります。
 ついては、この三緑地をつくるに当たって、どこの土地を何ヘクタール、幾らで用地買収されておりますか。もしわかっていれば明らかにしてください。実は、この問いは数カ月前から環境事業団や県の都市計画課にお尋ねをしているのですが、わからないのです。わからなければ仕方がないのですが、きょうここで正式に質問として提出しておきます。
 未確認で得た情報によれば、緑地の用地の大半は元住金の用地で、事業団の用地買収費も大半が住友に支払われたという話です。これが事実だとすると、住友の公害を和らげるため事業団は住友の土地をわざわざ買い上げてそこに緑地をつくってあげたという、住友にとっては大変ありがたい話になるわけです。三緑地で収用された住友の土地の面積と全額を明らかにしてください。
 また、計画決定されている河西緩衝緑地の残りが約十ヘクタールあると聞きます。事業費も企業負担で行うと議会答弁でありましたが、間違いありませんか。事業日程などもあわせて明らかにしてください。
 次に、住友金属企業内の緑地化の問題です。
 工場立地法によりますと、九千ヘクタール以上の敷地面積を持つ工場は、その二〇%を緑地とすることが義務づけられています。ただし、この法律ができた昭和四十九年以前の創業企業は、それは努力目標とされているそうです。住金はこれに該当いたしますが、和歌山市との間で、できるだけ近いうちに一五%を達成するという約束が行われています。しかし現状は六・八%で、福利施設等を加えても七・八%にとどまっています。埋立許可を受けるため緑化事業も華々しく宣伝されていましたが、この進捗率はいただけません。企業はいかなる計画を持ち、それを進めようとしているか。当局はどのように掌握されていますか。和歌山市との約束を果たすための指導を強められたいと思いますが、いかがでしょうか。
 続いて、埋立地の安全性の問題についてお尋ねをいたします。
 ことし十月、大阪市は此花区に計画しているテーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンにある住友金属工業の廃棄物処分跡から、環境基準を超える六価クロム、砒素などの有害物質が確認されています。大阪市の報告では、セレンが環境基準の十五倍、六価クロムが十二倍、砒素が三倍など、五ポイントにおいて延べ九項目が環境庁の重金属等に係る土壌汚染調査・対策指針、有機塩素系化合物等に係る土壌・地下水汚染調査・対策暫定指針──非常に長い名前ですが──その指針を上回っていたものです。この土地は、住金が鉱滓などの産業廃棄物の最終処分場としていたことから、住金和歌山工場の西防波堤沖埋立地は大丈夫なのかという疑問が起きてまいります。それは、埋め立てにかかわる処分基準と、人の健康を保護し生活環境を保全する上で維持することが望ましい土壌環境基準が、カドミウムや鉛、セレン、六価クロムにおいては三十倍の開きがあるなど、基準そのものが大きく異なっています。西防埋立地の第三工区が親水性を持つ公共利用を構想されていることから、西防埋立地の土壌の有害物質が検出されていないかどうか、県当局の答弁を求めます。
 また、ユニバーサルの予定地については、報道では、住金は昨年春、すべての物質で環境基準をクリアしたと建設主体の第三セクターに報告していたとのことでありますが、実際は環境基準を上回っていたということになっています。行政が責任を持って検査をする必要があると思います。いかがでしょうか。
 最後に、新しいエネルギー──自然エネルギーの問題についてお尋ねいたします。
 紀伊半島は、従来の火力発電に加え、和歌山火力、御坊第二火力の建設によって新たな公害発生源をつくり出そうしていますが、地球温暖化を初め我々の地球環境の危機が叫ばれているとき、まことに残念なことであります。
 私は、昨年十二月の議会で、紀伊半島が大気汚染の発生源半島になるのではなく、無公害の新エネルギー創出の先進半島、先進県になることを求めて質問したところでありますが、本年、「和歌山県新エネルギービジョン」なる美しい冊子をちょうだいいたしました。ついては、二、三質問いたします。
 一番、和歌山県が太陽熱利用のエネルギー開発に適していること、既にその点で全国平均を上回っていることなどが述べられておりますが、県としてその特性を生かす特別の手だてをどう考えておりますか。二〇一〇年の国の指標との関係で見れば、県も国並みの水準の目標で設定されておりますが、それでは和歌山県の特性が発揮できないのではないでしょうか。もっと大きく設定すべきではないでしょうか。
 二番、県下の既に設置された自然エネルギー活用装置は、冊子の資料を見る限り、市町村や民間企業の中には見られますが、県の施設には一切ありません。最近建築された、またはされつつあるビッグホエール、図書館、博物館、医大などにも見当たりません。平成七年に検討委員会が設置されているようですけれども、具体的施策がないのはなぜでしょうか。十分議論されていないのではないでしょうか。モデルプロジェクトが提起されておりますが、これは実際に導入することになるのでしょうか。導入するとすれば、いつごろをめどにしているのかをお示しいただきたい。また、現在進行中の県の大型建造物、医大総合健康福祉センターを初めとして県の公共施設への導入をどう考えておられるか、お答えいただきたいと思います。積極的に推進されることを求めるものであります。
 三番、国の補助制度も貧弱の限りである現在、県も市町村に対し独自の補助制度を設け、県の意欲を示し、市町村を援助してはどうでしょうか。
 最後に、今年度は予算ゼロに等しいわけですが、来年度いかなる施策を講じるつもりか、検討委員会で何を検討しているのかを明らかにしていただきたいと思います。
 以上で、第一問を終わります。
○議長(木下秀男君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員にお答えをいたします。
 電調審への回答と私の政治姿勢に関するお尋ねでございます。
 御坊第二発電所及び和歌山発電所計画につきましては、電源立地の基本的な考え方に基づき、地域振興の立場で対応を行ってきたところでございます。
 まず、ご質問のオリマルジョンの安全性についてでございますけれども、去る七月十六日に国に提出した回答におきましても、オリマルジョンの流出防止について、未然防止に万全を期するとともに、万一流出した場合には即応できる有効な防除対策を講じるよう関西電力株式会社に対し指導すること、また万一の流出に対応するため、国の関係機関による大型油回収船の配備及び四国南部沿岸海域排出油防除計画の整備強化を求めてございます。
 また、梅農家の要望についての対応でございます。ご承知のように三月の電調審は、その対応などもあって回答を見送ったところでございます。その後、関西電力株式会社から、既設御坊発電所の所要の対策、あるいは発電所の排煙が梅生育不良の直接の原因であることが明らかになれば損害補償を行う、さらに御坊第二発電所についても万全の対策が講じられるまで運転を延期するという回答を得たところでございまして、また梅の生育不良の原因究明と樹勢回復対策についても、関係機関挙げて懸命に取り組むなど、状況の進展が見られたわけでございます。
 さまざまなご意見をもっと聞けということでございました。住友金属製鉄所の周辺の方々のご意見につきましても、私自身も直接お会いをし、お聞きしたこともございました。個別事項については各担当部局においてお聞きをし、お答えをしてきたところでございます。さらに、きのくにホットラインに寄せられたご意見については、私自身直接目を通してお答えを申し上げてきたところでございます。
 また、先ほどご質問にもございました、七月十五日に、私の出身地である田辺市の梅農家の方々が大勢県庁にお越しになりました。翌七月十六日には、県議会の推進決議を初めいろいろな手順を経て、苦渋の決断ではありますけれども、国への回答とともに記者発表を行う予定になっておりました。その前日の七月十五日でありましたので、来られた方々には大変申しわけなかったのでありますけれども、私も公務外出中であり、外部にはその段階で何も申し上げることのできない事情があったこともご理解をいただきたいと思います。
 なお、当日来られました代表の方々には、それ以前にも私も直接お会いをいたしまして、梅対策などについて種々ご説明を申し上げてきたところでございます。
 住民の方々にいろんなご意見があるのは当然でございます。私も、議員お話しのように、常々、県民の方々のご意見をできるだけお聞きしようという立場をとっておりますので、そのことに変わりはございませんけれども、このような大きなプロジェクトになってまいりますと、住民すべての方々のご意見をお聞きするとなると、なかなか取りまとめができないわけでございます。これまでも議会でご答弁を申し上げてきましたけれども、最終的には、地元意見というのは市町村長及び市町村の議会、そこらで集約がされるものだと思うわけでありまして、それを基礎として判断をしなければならないという立場にあることもご理解をいただきたいと存じます。
 そういうふうな経過を経まして、県議会の推進決議がなされたこと、関係市町の同意をいただいたこと、環境保全対策の適正な実施と安全対策の徹底が図られること、さらには地域の活性化に寄与する計画であること等から判断をいたしまして、二十項目の意見を付して電源開発基本計画に組み入れることへの同意を回答したものであります。少数意見を切り捨てていくという、そういう態度ではありませんけれども、最終的には何かの決断を出さなきゃならんという、その立場にあることもぜひご理解をいただきたいと思います。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 副知事山下 茂君。
 〔山下 茂君、登壇〕
○副知事(山下 茂君) 予算執行状況についてのご質問のうちで、調査対象期間の件について私からお答えをさせていただきます。
 今回の予算執行状況調査は、各所属での調査をすることを基本にしたために、各所属で保管している支出関係書類の保存期間は三年が中心でございますので、文書が存在する三年間を調査対象として実施をいたしたわけでございます。
 平成五年度以前も調査できるのではとのご意見でございますけれども、この調査は、ただいま申し上げました支出関係書類の照合だけでなくて、関係職員等からの聞き取り調査を実施する中で職員等の記憶に頼る部分も多いわけでございまして、書類の保存期間のことなどとあわせて、これ以上さかのぼって調査をするということは極めて困難でございます。
○議長(木下秀男君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 不適正支出についての数点にお答え申し上げます。
 まず一点目の、議会、警察及び外郭団体において自主的な予算執行状況調査を行うことにつきましては、それぞれの機関の判断によるべきものと考えてございます。
 外部からの点検についてでございますけれども、今回の調査につきましては、庁内に予算執行調査改善委員会を設置し、種々検討を重ねながら実施したところでございますが、調査に当たっては、調査のために県の平常業務に支障を来し、県民の皆さんにご迷惑のかかることのないよう、またできる限り早期に実態の把握を行い、適正執行に向けての改善を行うために可能な限り短期間で終えられますよう、県内部で調査を実施いたしました。
 また、課ごとの調査結果を明らかにすべきとのご意見でございますが、今回の調査は特定の個人や所属を特定することが目的でなく、予算の執行状況を的確に把握し、不適正な点があればそれを改めるために行ったものでございます。
 調査に当たっては、それぞれの所属での徹底した調査の後、予算執行調査改善委員会が再度確認調査を行う等、二重、三重のチェックを行っており、適正な調査が行われたものと確信してございます。
 次に不適正支出と返還の関係でございますが、今回の調査により明らかになった不適正執行金の多くは、執行時、組織の運営上必要であった経費に充てられたものと考えてございますけれども、交際費や食糧費で執行すべきところ、旅費の科目で支出し、慶弔費や接待費に充てるなど、その事務処理に問題があったため、既に職員に支給されている旅費も含め、不適正執行金の全額を県へ返還することとしたものでございます。
 次に再発防止のための情報公開の徹底についてでございますが、今回の問題を踏まえ、行政情報の透明性をより高めるため、食糧費、旅費、物品購入費、交際費支出関係公文書の開示方針を定めたところでございます。また、開示請求に対する迅速かつ適切な対応を図るため、庁内に公文書開示検討委員会を設置したところでございます。今後、これらの趣旨を踏まえ、より一層適正な運用を行ってまいりたいと考えてございます。
 最後に、職員の厚生福利の制度改善を図るべきということでございますけれども、今回の不適正な執行の原因の一つに制度と実態の間に乖離があり、それに起因する執行事務手続の不備が挙げられるため、今後、職員の出張旅費等も含め、不適正執行の背景、原因を踏まえ、策定した改善にのっとり、職員の意欲の減退につながらないように配意の上、現行の制度や運用の見直しを図ってまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 鶴田議員のご質問にお答えいたします。
 まず、西防埋立地の所有権移転についてでございます。
 不当な受益についてですが、公有水面埋立法上、不当受益の有無は、譲渡価格が適正であるか否かにより判断することになります。県といたしましては、譲渡申請があれば、埋め立てに要した費用等を勘案し、住友金属工業株式会社が不当に受益しないか慎重に審査し、適正な判断をしてまいる所存であります。
 次に埋立原価の公開ですが、公有水面埋立法の規定に基づく埋立地の譲渡申請がなされておらない現段階では、造成原価及び売買価格は明らかではありません。
 不当な受益を生まない体制ということでございますが、公有水面埋立法第二十七条に基づく譲渡許可申請については、公有水面埋立法を所管している土木部において慎重に審査することになります。
 また、法第二十七条第二項第三号の規定についてのご質問ですが、これは権利の移転をしようとする住友金属工業株式会社に適用される条項であります。
 埋立地の廃棄物処理価格についてでございますが、埋立地の譲渡価格の審査に当たっては、住友金属工業株式会社が当該埋立地に廃棄物を処分した実績も勘案し、適正に審査することとしております。
 次に、河西緩衝緑地についてのご質問でございます。
 まず、緑地造成と土地買収についてでございますが、河西緩衝緑地は、住友金属工業株式会社和歌山製鉄所を中心とした工業地域と住居地域とを緑地帯で分離し、地域住民と産業との調和を図り、潤いと活力ある都市づくりを目的として、昭和五十七年九月、既存の河西公園、その他企業緑地も含め、延長七・六キロメートル、面積約七十六・七ヘクタールを都市計画事業として施行するために河西緩衝緑地として都市計画決定を行っております。
 この整備した区域は、公共的な公園、緑地として十分利用が可能な範囲であるため、環境事業団法に基づき緩衝緑地事業として事業団に委託して都市計画事業を行ったものであります。
 なお、ご質問の三緑地の収用につきましては、現在調査中であり、確認はできておりません。
 次に、未整備区域の約十ヘクタールの整備につきましては、企業において整備をする方向で検討依頼をしてきたところであり、住友金属工業では事業化に向けて鋭意調査検討しており、緑地の整備を進めていくということであります。県としても、この意向を受け、緑地の整備に向けて一層の努力をしてまいりたいと考えております。
 次に工場内緑地の進行についてでございますが、議員のご要望の趣旨については、和歌山市及び企業に対し十分伝えてまいります。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 鶴田議員にお答えを申し上げます。
 西防埋立地の廃棄物処理価格についてのご質問でございます。
 和歌山環境保全公社が徴収する廃棄物処分料金につきましては、当時の実勢単価に基づき、公社の理事会で決定されたものでございます。
 また、住友金属の処分料金につきましては、住友金属工業株式会社自身の埋立地であり、護岸及び最終覆土等の費用を住友金属が負担するものでありまして、他の企業と同じ料金では不合理であるという観点から別料金になったと聞いてございます。
 次に、住金自身の埋立地であるのになぜ公社から金が支払われたのかというご質問でございます。
 西防沖埋立地につきましては、護岸は住友金属が設置し、その中を公社が廃棄物の処分場として使用していたものでございます。そして、公社は廃棄物の押し出し作業を住友金属に委託していたものであり、その費用を住友金属に支払っていたものでございます。
 次に、三工区での搬入料金、作業料金の変更についてでございます。
 和歌山環境保全公社の処分料金につきましては、平成六年度から変更をいたしております。その理由につきましては、公社と民間処分場、またフェニックス等、他の公共関与処分場との料金格差が大きいため、廃棄物のリサイクルが進まないこと等の問題から処分料金の改定を行ったと聞いてございます。
 また、作業料金の変更の件につきましては、三工区の公共移管の表明以降、自社処分場的に利用することが不適当であるとの住友金属の考え方によりまして、従来公社が無料で使用していた住友金属の施設使用料の負担発生や、三工区埋め立てにおける作業工法の変更等による埋立費用の増加によるものと聞いてございます。
 次に、埋立地の安全性についてでございます。
 住友金属工業株式会社の西防埋立地における廃棄物処分の管理につきましては、財団法人和歌山環境保全公社が行ったところでございます。
 廃棄物の受け入れ基準につきましては、廃棄物処理法上の有害物質は受け入れないこととしており、公社が随時抜き取り調査及び分析を行い、管理を行ってきたところであり、基準を満たしているものと承知をいたしております。また公共用水域につきましては、県及び和歌山市が水質調査を行い、安全を確認いたしたところでございます。
 なお、三工区の利用に当たりましては、廃棄物の処分場であったことを前提に、環境に配慮した利用について検討してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 鶴田議員ご質問の、自然エネルギーの活用についてご答弁申し上げます。
 和歌山県長期総合計画の第三次中期実施計画の中で、資源・エネルギー施策体系の一つとして、自然エネルギー等クリーンなエネルギーの活用を検討することといたしてございます。この方針に基づきまして、平成七年度から二カ年にわたり新エネルギービジョン策定事業を実施したところでございます。
 まず、太陽光発電につきましては、国において重点導入を図るべき新エネルギーの一つと定めており、新エネルギーの中で目標とする導入量の増加率が最も大きくなっております。県といたしましても、太陽光発電の重点的導入を図るため、国の目標値をもとに太陽光発電の設置対象の中で大きな割合を占める県内住宅数で案分し、本県の目標値を五万キロワットと設定してございますが、県の特性を生かすためにもさらなる導入促進の検討を行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、大型プロジェクトや県の諸施設等における自然エネルギーの導入についてでございますが、今後、関係部局と連携しながら推進を図ってまいりたいと考えてございます。
 なお、医大及び総合健康福祉棟につきましては、自然エネルギー導入検討時には既に基本設計や実施設計を終え、工事発注の段階であり、導入するには設計見直しや建設費の大幅な増大が見込まれるため、断念したところであります。
 次に、市町村に対する県の補助制度を設置することにつきましては、国のエネルギー施策に基づく補助制度もございますので、県としての制度の必要性について検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をさせていただきます。
 まず知事に。電調審への同意回答をするまでに知事は多くの努力をしてこられたというお話をされました。私も、そのとおりだと思います。随分いろいろと関電にも注文をつけ、対話をされるところでは対話を進めてこられたと思うんです。また、ある時期に知事が判断をしなければならないという、それはもう当然のこととして私は質問のときにも申し上げましたが、しかしそれは、やはり住民との十分な対話があった上でのこと。それが必要だろうということを申し上げているわけです。
 象徴的な出来事が、あの七百名の農民の皆さん方の県庁への来訪ですよ。十分な話し合いがあったら、ああいうことは起こりません。田辺からバスを連ねてあの炎天のところへ出てくるというような非常に大きなエネルギーが出てきたのも、やはりまだ話が十分詰んでいない、納得されていないということだと思うんですね。
 あるいは住友周辺の方々の問題にしても、私はこの場で幾度か、県が直接聴取すべきであるというお話をいたしました。知事から、個々的には聞いたと答弁がありましたが、県の当局としては、それは住友から聞くということで一貫してあって、直接聞くということは今まで拒否をされてきたんですよ。そういう状況の中で、本当に住民に納得してもらえるような話があったのか、あるいは住民の願いにこたえるような姿勢があったのかということについて、私は当然そういう疑いを持たざるを得ないと思っているんです。
 御坊市塩屋の話も、そうですね。電源の立地の話のところで、地元の塩屋では、関電から話がない、行政からも十分な話が全然ない、そういうような状況を何とかしてほしいという幾度もの要望がありましたが、それがかなえられませんでした。そういう点で──別に知事が直接話をしなくてもいいんです。全体としてやられればいいんです。県庁全体としてやられればいいんですが、そういうようなことができていなかったと、そういう段階での決断ではなかったかと、非常に残念に思うわけです。答弁は要りません。
 副知事にお尋ねをいたします。平成五年以前の問題です。資料がないから調査できないというお答えでした。長い間の慣行として不正支出が続いていたというお話が前提にあるわけですけれども、長い間の慣行として続いておるとすれば、五年以前もずうっとあったということになるんですね。そうすると、六年以降は職員が返還をする、それ以前は返還をしなくてもいいと、こういうような矛盾したことになります。完全な調査は無理であろうと思いますが、当然、その努力はすべきでないかと思います。調べるのが困難だからそれはもう知らないというのでは、余りにも県民の税金に対する感覚がどうなっているんだろうかというふうに疑わざるを得ません。本当にできないんかどうかを客観的に調査して、もしできないのであれば、しかるべく一言が県民にあって当然ではないでしょうか。お尋ねをいたします。
 総務部長にお尋ねします。第三者の点検を受けよという質問に対して、平常業務に支障のないように早く調査をしたかった、適正執行を急ぎたかったというふうなご答弁でした。これは理由にならないと思います。一、二カ月おくれたからといって、問題の本質を不十分に解明するよりも、一、二カ月おくれても正確なものが出てくることが大切です。客観的に第三者が点検できるような仕組みをつくるのが当然ではなかったか。まず、その点をお尋ねいたします。
 それから、課ごとの調査を明らかにしてはという質問に対して、個人や所属を特定することが目的でないのでそういうことはしないとおっしゃいました。それはそれで結構ですが、課ごとに示せと言われれば示せるようにしておくべきだと思うんです。そこでもう情報が途切れてしまう。そこが、非常にこの調査のあいまいさを残しているところなんです。二重、三重にチェックをしたと。私、その言葉を信用します。しかし、自分たちでチェックをしたというその限界、そこが問題だと思うんです。監視カメラの話がおとといありましたけれども、やはり第三者の点検というのが必要ではないでしょうか。
 公的流用と個人による返還の問題ですが、極端に言いますと、すべて公的に間違いなく使用されたというのであれば、私は必ずしも返還は必要ではないのではないかと思っております。しかし、本当にすべてが公的に使われていたのか、あるいはそのほかの使用があったのか、そこのところが我々になかなかチェックできないわけですね。だから第三者の判断を仰いでほしいと。そうすれば職員の負担も、不必要なところまで払わなくても済むんじゃないかという思いもあるわけです。だから、そこのところをきっちりする必要があるんではないか、そういうふうに思います。
 情報公開についてもご答弁がありましたけれども、課ごとの調査結果がいまだに明らかにされないとか、あるいは公私の区別について厳密な報告がないとかというようなことでは、これからの情報公開の先が思いやられます。やはり、先ほどから幾つかの質問をさせていただきましたが、そのような点を明らかにすることこそが今後の情報公開を正常ならしめるものではないかと思います。
 以上、総務部長に質問します。
 土木部長に尋ねます。原価の公開の問題です。まだ原価が幾らかわからないという話はわかりましたが、公開するのかどうか、その点について土木部長の返答をいただきたいと思います。
 それから、不当な受益を生まない体制という問題です。これは、今のところ何も考えていないという話もありましたが、私は、緩衝緑地の問題あるいは廃棄物処理の仕方の問題等について、やはり県の住友への対応は随分と甘いものがあるというふうに考えます。やはり厳密にしていくためにそういう体制をきちっと確立すべきだということを求めたいと思います。不当な受益についても、住友金属がこの法によって縛られるというのは当然のことであろうと思いますが、それに対応する関電も当然その範疇に入るのではないかと思います。県としてはその辺どう指導されようとしているのか、質問をいたします。
 以上、土木部長にお尋ねします。
○議長(木下秀男君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事山下 茂君。
 〔山下 茂君、登壇〕
○副知事(山下 茂君) 調査期間の問題につきまして、重ねてのお尋ねでございます。
 繰り返しになってしまいますけれども、先日また先ほどもお答えをいたしましたとおり、関係書類の保存期間は三年が中心でございますし、この種の調査はやはり職員等の記憶に頼る部分が多いわけでございまして、これ以上さかのぼって調査することは極めて困難でございます。
○議長(木下秀男君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 再質問にお答えします。
 第三者を入れるべきということでございますけれども、調査に当たっては内部調査とし、厳正を期したところでございます。職員みずからの責任において調査することにより、みずからの問題とする意識改革にもつながったと考えてございます。
 二点目の、課単位に公表すべきという問題でございますけれども、今回の調査は不適正な点を明らかにし、その背景、原因を究明するなど、全体の構造的なものを主眼に置き、より適正な執行に向けての改善策を策定し、実行するために行ったものでございます。
 三点目の返還の関係でございますけれども、不適正執行金の多くは、組織の運営上必要な経費に充てられたものでございますが、その事務処理等に適切を欠いたため返還したところでございます。
 四番目の情報公開についてでございますが、この四月より相手が公務員の場合は開示するなど明確化あるいは充実化するとともに、今後においては公文書開示検討委員会でも種々検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 鶴田議員にお答えいたします。
 譲渡価格の公開の問題でございますけれども、譲渡許可申請の内容につきましては、審査結果が出た段階で、審査内容を含めて明らかにすることになります。
 それから、不当な受益を生まない体制の中で、関西電力はどうなのかというご質問でございます。
 先ほど申しました公有水面埋立法の規定は、権利の移転の相手方である関西電力には適用されないということでございますけれども、社会常識と著しく乖離した価格での取得は適当ではないというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──所定の時間が二分でございますが、再々質問をされますか。
 〔「はい」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) 簡潔に願います。
 35番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 副知事にお尋ねします。
 長い間の慣行として不適正支出があったということが前提として話されているわけですけれども、ならば、平成五年以前も相当あっただろうということは推測されます。だからその点、過去の問題については調べられないということで事は終わりで済むんでしょうか。一言、県民に対して何らかの言葉があってしかるべきではないでしょうか。お尋ねします。
○議長(木下秀男君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事山下 茂君。
 〔山下 茂君、登壇〕
○副知事(山下 茂君) 私ども、この件につきましては、例えばプレス発表の場では、ほぼ全庁的に不適正な処理が行われていたことに対しておわびを申し上げてございます。
 それから、「半ば慣行として」というふうな表現は使ってまいっておりますが、長いかどうか、この点については私どもはわからないということを申し上げてございますので、そういう状況であるというふうにご理解いただきたいと思います。
○議長(木下秀男君) 質問の発言時間が終了いたしましたので、ご了承をお願いいたします。
 以上で、鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(木下秀男君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時四十一分休憩
 ─────────────────────
 午後一時三分再開
○副議長(阪部菊雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(阪部菊雄君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 20番松本泰造君。
 〔松本泰造君、登壇〕(拍手)
○松本泰造君 議長のお許しを得て一般質問をさせていただく前に、去る九月二日早朝の前和歌山県知事仮谷志良さんご逝去の訃報は実に悲しい出来事であり、余りにも早くあっけない他界に、県勢発展のため燃焼し尽くされたご功績、ご苦労、ご努力に心からの敬意と感謝を込めて哀悼の誠をささげ、ご冥福をお祈り申し上げる次第であります。
 それでは、通告に従って一般質問をさせていただきます。
 まず、青年の声を県政に反映する施策についてであります。
 本県には百人委員会というのが二つあるようでありまして、その一つは高齢者による喜の国いきいき百人委員会、いま一つは西口知事誕生とともに発足をした女性一〇〇人委員会であり、両委員会ともそれぞれの立場で貴重な意見を県政に反映させるべく積極的に活動を展開しているようであります。
 ところで、県政界では、西口知事ご自身が若いころに青年団活動に没頭されたゆえをもって、現在、和歌山県青年団OB会の会長に就任をされており、県議会においても多くの議員さんが青年団活動の経験者であるなど、青年団のOBが、県政はもとより市町村議会や各種団体の役員として地域発展のため尽力中であり、不肖私もその一人であります。
 青年時代、地域の青年団活動を通じて夢を語り合い、奉仕活動に汗を流し、地域社会の中で活動した青年団という組織が現在ではほとんど有名無実のような形になった裏には、社会構造の変化や大学進学率の向上、職業の多様化など、いろんな要素があろうかと推察されますが、多種多様な職業の青年が横断的に交流する機会がなくなったと言っても過言ではありません。しかしながら、和歌山の未来を背負うはずの若者たちが夢を語り合い、連帯のきずなを深める、そんな機会を何とかつくり出し、未来思考の青年の声を県政に吸収・反映させる一つの方策として青年百人委員会を設置し、その活動を通じて地域の若いリーダーを育てていく足がかりとしてはどうかと考えるのでありますが、西口知事の考えを伺いたいと思います。
 次に、県譲渡工業用地の活動支援についてであります。
 去る八月三十一日、有田市の東燃所有地において和歌山県防災総合訓練が、官民五十数団体、総勢千八百名が参加して盛会裏に実施されましたが、防災訓練の会場となったこの土地は、昭和三十七年に県企業局が埋立造成工事を開始し、昭和四十一年十一月竣功と同時に当時の東亜燃料工業株式会社に工場用地として売却されたものであります。自来三十年余り、この間、昭和四十八年には石油精製施設七万バレルの増設が計画されたものの、地元同意が難航・挫折し、県北部臨海工業地帯の一角として県勢浮揚を目指して造成された敷地約十五万坪が全く活用されないまま今日に至っております。
 こうした中で、一昨年の電気事業法の改正に伴い、東燃和歌山工場では電力卸供給事業に参入の意向を固め、第一回目の昨年、地元同意を得た上で関西電力の入札に応札したところであります。地域経済の起爆剤として、また雇用の拡大や市の財源確保の見地から有田市議会が推進決議するなど、市民挙げての大きな期待を寄せてきたのでありますが、地元の願いもむなしく落札に至らず、大変残念な結果に終わりました。
 明けて、ことしも関西電力では二〇〇四年操業開始分として七十万キロワット枠の入札募集があり、厳しい価格競争の中で東燃和歌山工場も五十万キロワット規模のクリーンエネルギーによる発電事業への参入を目指し、入札に参加したと聞いており、去る八月二十九日に締め切られた入札には、東燃の計画を含め九社十プロジェクトが応札した模様であり、この秋には落札企業が決定されるとのことであります。
 さて、和歌山県下では、関西電力自体が計画をしておる和歌山市の和歌山発電所三百七十万キロワットと御坊第二発電所四百四十万キロワットの両発電所計画が、西口知事の苦渋の決断により、七月の電源開発調整審議会に対し、条件つきながら同意をされたところであります。両発電所建設に伴う経済波及効果としては約九千億円が見込まれ、雇用の拡大や電源三法に基づく交付金等への期待も含まれているものと推察されます。すなわち、和歌山発電所では和歌山市と隣接の岩出町、貴志川町、海南市が交付金の対象となり、一方、御坊第二発電所では御坊市と隣接の日高町、川辺町、美浜町、印南町が交付金の対象となりますが、この二つの発電所の中間に有田市が位置しており、しかも県企業局が工場用地として譲渡した埋立地に発電設備を建設して電力供給事業に参入し、経営の安定と遊休地の有効活用を図りたいという今回の計画であります。有田市はもとより、隣接の下津町、湯浅町、吉備町、いずれの市町ともに、地域経済の活性化と地方自治体の財源確保の見地から東燃の火力発電所計画は極めて重要な意味を持つものと考えられます。
 さて、東燃株式会社は和歌山県で操業を開始して以来約六十年、この間、安定的に多額の県民税を納めてきた企業であり、特に昭和五十八年には事業税五十九億円、県民税十一億円の計七十億円を納入し、当時の県税総額の一〇%を占め、昭和六十一年にも六十八億円余りの県税を納入するなど、県財政に大きく貢献をしてきた企業であります。規制緩和後、低迷の続く石油業界の中にあっても、平成八年度は事業税、県民税合わせて十一億七千四百万円を納入するなど、今後も安定的に操業を継続して本県の発展に貢献してもらわねばなりません。
 今回、東燃の買電事業への参入について、和歌山県として、県下自治体のバランス上、さらには県が造成して売却した工場用地の所期の目的達成の見地からも、関西電力に対し政治的配慮をさせるなど、積極的に応援をしてやっていただきたいのでありますが、知事の考え方を伺っておきたいと思います。
 第三点目は、国道四十二号渋滞解消対策についてであります。
 国道四十二号の有田市・海南間の渋滞解消につきましては、過去三回の一般質問のたびに善処方を要請し、県当局や県議会建設委員会の実態調査、関係先への陳情活動等を行ってきたところであり、特に県土木部や議会建設委員会の皆様方のご理解と真剣な取り組みに感謝を申し上げる次第であります。
 この区間の渋滞解消運動については、平成四年十一月に有田市と下津町とで設立した国道整備促進協議会が本年五月に沿線の海南市及び有田郡町村会を含めた国道四十二号・有田下津海南整備促進協議会として再出発するなど、沿線住民の願いや悩み解消のため運動組織を充実してきたところでありますが、折しも国においては厳しい財政状況下、新規公共事業の抑制等、全く逆風の中での運動であるとはいえ、朝夕や休日の渋滞、事故発生時の麻痺状態は依然として深刻であります。
 そこで、その後の取り組み等について何点か質問と要望を行いたいと思います。
 まず第一点は、当面の交差点改良などの進捗状況とその効果についてであります。
 第二点目として、この区間の北向き車両に対する電光掲示による道路情報板の設置についてであります。
 本年四月十六日水曜日の午後二時半ごろ、下津町塩津の観音崎トンネル内で大型車両とワゴン車が正面衝突し、片側一車線の海南・下津間が約二時間半にわたり通行不能に陥り、上下線とも完全に麻痺する事態が発生しました。私は、この日ちょうど、その直後に海南方面から有田市への帰宅途中でありました。藤白インター手前の電光掲示板の、塩津観音崎トンネル内で事故発生との表示を見て、一般有料道路を経て下津インターから小南交差点を経由して国道四十二号を南下したのでありますが、北行きは全くの麻痺状態が延々有田市まで続き、特に貨物車両の多さに驚かされました。これらの車両の運転者は、この先で一体何があって渋滞をしているのか全くわからない状態に置かれていました。こんなとき、もし北行き車両に対する電光掲示板が小南交差点の手前にあれば、一般有料道路に迂回することによりかなり交通渋滞を回避できるものと考えられます。特に海南・下津間は急峻な山が迫った地形であり、北海道におけるトンネル崩落事故のような事故がいつ何どき発生するかもわからない区間であります。
 そこで、県として建設省に対し、緊急時の道路情報伝達の手段として電光掲示板の設置方を要請していただきたいのでありますが、見解を賜りたく存じます。
 三点目に、この区間の抜本対策、例えば海南・下津間の四車線化等への取り組み、問題点等について現状をご説明願いたいと思います。
 第四点目は、一般有料道路の料金システムの改善についてであります。
 去る八月二十五日の朝日新聞によると、「地方を中心に利用率の低い有料道路の利用を促進するため、建設省は来年度から、通勤者向け割引など新しい割引制を導入する方針を決めた」との記事が掲載されてありました。この記事によりますと、検討されている割引の主なものは、通勤などで有料道路の特定区間を利用する車両向けの割引、イベントや行事期間中の割引等々が前向きに検討されているとのことであります。これらは、建設大臣の諮問機関である道路審議会が本年一月の中間答申で、割引制度活用により有料道路の利用増を図るよう求め、建設省としては負担の公平さを基本としながらもニーズに応じた多様な料金設定を可能なものから導入していくとあります。もし、建設省がその意向であるとすれば、本県における海南インター以南の一般有料道路の料金システムの改善について要望すべきと考え、次の二点について問題提起をいたしたく存じます。
 まず一点目は、日本一高いと言われる海南・湯浅間を通勤車両に対する割引を適用することができないのかどうか。もしそれが可能になれば国道四十二号の国道渋滞が幾分緩和されるはずであり、一石二鳥の効果をもらたすものと思われます。
 二点目として、湯浅・海南間の割引回数券が発売されていますけれども、湯浅から和歌山まで走った場合、割引回数券が利用できないシステムとなっており、湯浅から和歌山までの正規料金を徴収されます。割引回数券を有効に活用するには、一たん海南の料金所を出て、もう一回高速に乗り直さないと割引の特典を受けられないわけであります。道路が全国の高速道路網につながっているのに、料金システムがつながっていないために大変不便を感じている実態にあります。このため、有田地方以南のトラック協会の車両等はほとんど、国道四十二号を経由し、海南インターから全国共通カードを使って高速道路を利用せざるを得ない実態にあります。高速道路紀南延長という恩恵を運送業者が享受しがたい実態を何とかこの際システム改善の中で善処できないものか、建設省や公団に対する働きかけ等について見解を賜りたいと思います。
 第五点目は、新しい定時制高校のあり方についてであります。
 平成九年三月二十四日、箕島高校定時制終業式の夜、一人の女生徒がこんな答辞を残してこの学び舎を巣立っていきました。「明るい春を感ずるきょうこのごろ、この春を象徴するかのように、私にもついに卒業の日がめぐってきました。私は、この学校に二年生のときからお世話になりました。前の学校ではつまずいてしまったけれど、今度こそは絶対卒業するんだという強い気持ちをずっと持ち続けてきました。高校の卒業資格だけはどうしても欲しくて、もう一度学校へ行こうと決心してやってきたこの箕島高校定時制は、私にとってとてもすばらしいところでした。本当にこの学校に来てよかったと思います。先生方や周りのみんなは、とても親切でした。定時制で学んだのは勉強だけじゃなく、ほかにももっともっと大切なたくさんのことがあることも学び取りました。私の人生に大きな影響を与えてくれました。しかし、あと一年でこの学校が閉校になるのがとても残念です。U君、K君、Aちゃん、もう一頑張りです。頑張ってください。そして、この定時制の最後を立派に飾ってください」──これが卒業の夜に彼女が学校と後輩に贈った答辞の内容であります。
 終戦後の混乱の中で箕島高校に働きながら学ぶ定時制高校が設置されて以来五十年、我が国の高度経済成長、高校進学率の上昇に反比例して夜間定時制高校への志願者が減少し、箕島高校の定時制は平成九年度の卒業生三名を送り出してその幕を閉じることになりました。
 同校では、今、卒業生が相集い、来年春の母校閉課記念事業を盛大かつ厳粛にとり行い、「有田の灯は消えず」の気概を後世に伝えるべく精力的な取り組みが続けられているところであります。集まってくる卒業生一人一人の心の中に去来するものは、働きながら学べる制度があったおかげでそれぞれに今日があるんだという感謝の気持ちのあらわれと言っても過言ではありません。この五十年間にこの学び舎を卒業した八百二十三名の卒業生に成りかわり、箕島高校定時制を今日まで継続してきてくださった県並びに県教育委員会と学校関係者のご尽力に、この場をおかりして心から感謝と敬意をささげる次第であります。
 さて、戦後五十年以上が経過し、少子化時代の中で義務教育の現場では不登校生徒が年々増加し、高校では学校不適応や進路変更、問題行動や病気やけが、留年等で退学していく生徒の数もまた増加傾向にあります。こうして高校を退学したり挫折したりする子供たちのために、前段申し上げた女生徒のように、再出発できる受け皿としての新しい昼間の定時制高校の必要性を痛感するものであります。
 和歌山県下では、既に定時制・通信制の紀の川高校や青陵高校のように新たな定時制のあり方として実績を挙げている事例があり、他府県でも、ある程度緩やかな制約の中で不登校の習慣をいやし、年齢差やおくれ、障害を気にすることなく立ち直る生徒を生み出しているようであります。教育の場では、優秀な生徒に対する対応も大変重要でありますけれども、その一方で挫折していく生徒たちが立ち直れるよう、再出発の場を提供し、全体のレベルを上げていくこともまた大変大事なことではなかろうかと思います。
 そこで教育長に伺いたいのでありますが、実績を上げている紀北の紀の川高校のような時代に即応した昼間の定時制高校を、青少年健全育成の見地からも、また挫折やおくれから再出発する場としても、将来中紀・紀南に新しく各一校程度設置する検討をしていただきたいのでありますが、教育長のご所見を賜りたいと思います。
 最後に、広域農道整備の有田川地区事業の推進について農林水産部長に質問をいたします。
 有田市を初め吉備町、金屋町及び地元関係者の熱意と県当局のご尽力により、広域農道有田川地区のうち、金屋町有原から吉備町田角までの十三キロ区間が国において第一期区間として採択をされ、平成九年度より事業実施されますことはまことに、喜ばしい限りであります。この農道は、有田市初島町の国道四十二号から分岐して有田川右岸中腹の果樹園地帯を横断し、吉備町田角を経て金屋町有原地区までの二十五キロとのことであり、これが完成すると、有田の基幹産業である、全国に誇る有田ミカンの集出荷に大きく寄与するばかりでなく、金屋町から有田市をバイパスして国道四百十二号を経由し、海南方面への利便性を高め、また長峰山脈の中腹を通過するため、眼下に有田川、その先に広がる紀伊水道の景勝が一望できるなど、新たな観光ルートとなるものと期待をされております。しかしながら、昨今の国の財政構造改革による公共事業の削減、ウルグアイ・ラウンド農業合意対策関連事業の二カ年延長等、事業の促進にとってはまさに向かい風の中で、来年度以降公共事業費の抑制に伴い、新規事業の採択が非常に厳しい状況にあると聞かされているところであります。
 こうした情勢下、せっかく採択をされた広域農道有田川地区事業への支障が懸念されるところでありますが、それ以上に危惧されるのが、第二期区間として計画をされておる吉備町田角から有田市初島間の十二キロ事業採択であります。この広域農道は、金屋町から有田市までが完成してこそその利便性なり波及効果を発揮するものであり、沿線の関係者はこぞって一日も早い全線の完成を夢見て、今から待ち望んでいるところであります。
 県におかれては、こうした地元の熱望をご認識の上、国に対し事業採択について強く要望していただけるものと期待しているものでありますけれども、事業採択や事業着手の時期、また完成予定時期はいつごろになるのか、見通しを伺いたいと思います。
 以上で、通告による質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの松本泰造君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 松本議員にお答えをいたします。
 まず、県下の青年の声を県政に吸収・反映させる方法として青年百人委員会をつくってはどうかというご提言でございます。
 私も議員と同様に、若い時代に青少年活動をしてきた者でございまして、県では青少年局長など、青少年行政に携わってきてまいりました。若い人たちの考えや意見をお聞きして県政に反映させることの重要さということについては、常々考えておるところでございます。
 戦後大変華やかであった青年団活動は既に五十年が経過をいたしまして、青年たちは、青年団のみならず青年会議所、あるいは商工会、またボランティア活動や趣味などのグループ活動等、目的別にさまざまな活動を行っているのが現状でございます。そしてご承知のように、一部の地域におきましては、それらの団体が連絡協議会を設け、地域の活性化のために連帯して大変活発に活動を行っているところもございます。
 このような状況のもとで、青年たちの意見あるいは考え方などを県政に反映させるために、各種の委員会あるいは審議会等、機会あるごとに青年の代表のご意見も伺っておるわけでございます。ただ、議員のご質問のご趣旨は大変貴重なご提言として受けとめさせていただきたいと思っております。
 次に、県が造成をし、東燃株式会社に売却した工業用地の活用支援ということでございます。
 電気事業法の一部改正により一般企業による発電事業への新規参入が可能となったことを受けて東燃株式会社では、平成八年度に引き続き今年度も関西電力株式会社の電力卸供給入札に参加したことは、私もよく承知をいたしております。
 東燃株式会社の発電事業への新規参入は、環境への影響面という課題もございますけれども、遊休地の活用を初め、雇用、税収の増加、電源立地促進対策交付金による公共施設整備など、地域活性化に寄与する計画であると考えておるところでございます。
 こうした考え方に立って私といたしましても、地域活性化の観点から、かねてから、政治的な配慮も含め、関係方面に強く要請を行ってきておるところでございます。ただ、入札でありますので、買電価格が基礎となるわけであります。その辺のところをご理解いただきまして、今後、議員各位のご協力もぜひお願い申し上げたいと考えております。
 以上であります。
○副議長(阪部菊雄君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 松本議員のご質問にお答えいたします。
 まず最初に、国道四十二号渋滞解消対策についてでございます。
 当面の渋滞対策についてでございますが、この交差点改良につきましては、去る八月に下津町小南交差点の右折レーン設置工事が完成したところであり、残る海南市冷水交差点の横断歩道の移設工事及び有田市里交差点の右折レーン設置工事については現在用地交渉中であり、地元市等のご協力を得て用地買収を円滑に進め、早期に工事に着手するよう今後とも建設省に働きかけてまいります。
 また、改良工事が完成した下津町小南交差点の整備効果につきましては、今年度、建設省において渋滞の実態調査により効果の検証を行う予定と聞いております。
 次に、電光掲示による道路情報板の設置についてでございます。
 事故等の緊急時における交通渋滞対策につきましては、渋滞情報を的確に提供し、海南湯浅道路に効果的に交通誘導するための方策について、去る四月の事故時の状況を十分踏まえながら検討するよう関係機関に働きかけてまいります。
 次に、抜本対策の取り組み、問題点についてでございます。
 平成八年度に行ったアンケート調査によりますと、交通量全体の約六五%を地元発着の通勤交通などが占めており、この交通量は将来海南湯浅道路が四車線化されても現国道に残り、依然として海南・有田間の渋滞が予想される結果となっております。こうしたことから、今後とも交差点改良の整備効果を検証しながら渋滞の実態等について引き続き調査を進め、建設省、県及び地元市町で構成している国道四十二号有田市海南市交通渋滞対策協議会で、抜本的な対策を含め、渋滞対策の検討を進めてまいります。
 次に、一般有料道路の料金システムの改善についてのご質問でございます。
 通勤車両に対する割引制度の導入についてでございますが、この有料道路の通勤割引につきましては、地方を中心とした有料道路の利用を促進するため、建設省において特定区間を高い頻度で利用する通勤者等を対象として割引制度導入の検討が行われているところであります。県といたしましても、その動向を見ながら海南湯浅道路にこの割引制度が適用されるよう要望してまいりたいと考えております。
 割引回数券使用時の料金システム改善について、料金システムが高速道路網につながっていないという問題でございます。
 有料道路の回数券割引制度は、特定区間を継続・反復使用する利用者のサービス向上及び利用の定着を図るため設けられておりまして、現在のところ、この特定区間を越えての回数券使用は認められておらないということでございます。県としましては、このたびの制度の改善に当たり、ご質問の趣旨を踏まえ、より一層の制度充実を日本道路公団に対し要望してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 広域農道整備の有田川地区事業の推進についてのうち、広域農道有田川二期地区の事業採択の見通しについてでございますけれども、県といたしましても早い時期に着手したいと考えてございます。しかし、有田市での計画ルートでは、公図が非常に乱れている地域が多く事業遂行が困難であるため、これの解決策として、市に対し地籍調査の促進を強く働きかけているところでございます。この進捗を見ながら、国に対し早期着手できるよう強く要望してまいりたいと考えてございます。しかし、議員のお話のとおり、公共事業の抑制もございまして、新規事業の採択については非常に厳しい状況にございます。
 次に完成予定時期でございますが、平成九年度に着手した有田川一期地区につきましては、平成十八年度完成予定でございます。また二期地区につきましては、事業着手後十カ年間の計画でございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 新しい定時制高校のあり方についてお答えいたします。
 定時制教育につきましては、これまで、働きながら学ぶ青少年の教育の場として大きな役割を果たしてきてございます。しかしながら、近年の社会変化の中で定時制教育をめぐる状況は大きく変化し、入学の動機や年齢など、多様な生徒を受け入れるとともに、リカレント教育の場としての役割も果たすようになってきてございます。
 本県では、平成四年度に青陵高校、紀の川高校、南紀高校の三校に単位制を導入いたしましたが、そのうち、紀の川高校に加え青陵高校にも昼間部を設置するとともに、定時制教育の活性化のため、三年間で卒業できる制度いわゆる三修制の導入、通信制や全日制との連係など、さまざまな施策を講じてきております。こうした中、多くの定時制高校において生徒たちはそれぞれの目的の実現に向け、生き生きと学習に取り組んでおり、その中で、登校拒否を経験した生徒が立ち直っている状況も見られます。
 今後は、これまでの取り組みを充実発展させるとともに、定時制高校が生涯学習を支える地域の学校としてより一層の役割を担っていくことが大切であると考えております。
 議員ご指摘の中紀・紀南地域の昼間定時制高校の設置につきましては、かねてから研究課題となっているところであり、今後さらに行き届いた教育を進める観点から、地域の実情等を踏まえ、引き続き総合的に研究してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 20番松本泰造君。
○松本泰造君 知事初め関係部長より答弁をいただきましたが、一、二点要望を申し上げて質問を切り上げたいと思います。
 まず、二番目の県譲渡工業用地の活用支援について、知事から答弁をいただきましたけれども、本年七月に関西電力の二つの発電所計画に知事が条件つきながら同意したことによって和歌山県の電力発電量は千二百万キロワットとなりまして、福井県の九百八十万キロワットを上回る最大の発電県となるわけであります。そのことに苦渋の決断をされた西口知事は、恐らく今、関西電力に対して近畿で一番強い発言力を持っている方だと思います。したがって、東燃の発電所計画についても、和歌山県発展の見地からご理解とご協力をいただきますように、特に要望申し上げておきたいと思います。
 次に、一般有料道路の料金システムの改善についてであります。
 実は、この道路が御坊までつながるまでは、この区間の料金精算のゲートがございました。割引回数券で精算をできたものが、御坊までつながった時点で海南インターの料金所の位置が変更されてしまって現在のシステムになっているわけでありまして、高速道路との通しの場合の区間割引が適用されないわけであります。また、高速道路紀南延長という、単に観光面のメリットだけではなしに、本県産業の活性化面でも十二分に活用されねばならん道路でありますけれども、料金が高い、あるいは割引率も低い、こういったことでトラック運転手に敬遠をされている実態にも目を向けていただきまして、何とかシステム改善の中で善処されるべく建設省や道路公団へ働きかけていただきますよう、要望申し上げておきたいと思います。
 次に教育長に、新しい定時制高校のあり方については今後引き続き総合的に研究していきたいとの答弁をいただきましたけれども、できるだけ早い時期に実現に向けて取り組まれるよう要望を申し上げておきたいと思います。
 なお、関連して、一点だけ教育委員会に要望したいことがございます。
 有田地方における高校のことしの春の受験傾向では、最近不景気の関係もあるのかと思いますけれども、私学へ行く子が減ってきて公立高校への希望者がふえてきているようでありますし、またことしの春に開設をされた有田中央高校の総合学科は県下各地から生徒が受験できるということもありまして、新たな流れの中でことしの春は大変厳しい状況にあったようであります。加えて、三年前から箕島高校の定時制の閉課の影響も深刻でありまして、ことしは受験に失敗をした生徒がかなり町立下津高校定時制の二次募集で救われたという話も聞くところであります。こうした新しい流れの中で、有田地方では来年春の中学校卒業生の数が三十名減って、再来年には逆に八十名ふえるというふうなことであります。来年の有田地方三高校の定数につきましては、先ほど申し上げた箕島高校定時制の閉課や有田中央高校の総合学科の人気度、こういった要因もご賢察をいただいて現状維持を図っていただきますように、特に要望申し上げる次第であります。
 以上、要望を申し上げ、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松本泰造君の質問が終了いたしました。
○副議長(阪部菊雄君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番上野哲弘君。
 〔上野哲弘君、登壇〕(拍手)
○上野哲弘君 通告に基づきまして一般質問を行います。
 まず観光振興について、副題として「二十一世紀の基幹産業は観光であるとの指摘について」、お伺いいたします。
 世界観光機関の発表によりますと、昨年の世界じゅうの外国旅行者は五億九千万人、西暦二〇〇〇年には七億人を超え、二〇一〇年には十億人を突破すると予測しており、二十一世紀はまさに大旅行時代となり、観光ビッグバンが到来すると言われております。その要因として、人生の価値観に意識変化が加わり、若者、女性、シルバー層、それぞれに合った余暇を楽しむ空間が一層求められるとし、また世界の外国旅行者の八割が先進国でありますが、二十一世紀になると中国、インドを初めアジアにその波が押し寄せ、観光需要が急増すると予測しております。さらに、これからの観光は単なる名所だけでなく、食べ物とかサービス、文化等、人それぞれにためになる学びのシステムを地域がどう用意できるかであると指摘しております。
 現在のところ、世界で最も多く外国旅行者を引き入れているのはフランスで、全世界から六千万人が訪れ、ブランド品から食事に至るまで一大産業として繁栄しております。ちなみに日本は、海外に出かけた人は千七百万人、日本を訪れた外国旅行者は四百万人で、フランスの一割にも満たないところであります。日本はもっと観光に対する優秀な人材とお金を投入しなければ世界の流れについていけないと申されております。
 関西国際空港に隣接した観光立県をうたっている和歌山県において、外国人旅行者を受け入れる方策がなされているのか、お伺いしたいと思います。
 また、平成十一年には南紀熊野体験博が開催されますが、その進捗状況と、二十一世紀の観光は基幹産業であるとの指摘に、産業としての観光をこの体験博に組み入れていただきたいと思いますが、所見をお伺いいたします。
 続きまして、市田川浸水対策についてお伺いします。
 全国有数の多雨地帯であります熊野川流域の洪水による浸水被害は、有史以来、数十回に及ぶ記録が残されており、特に明治二十二年の大洪水では、上流の十津川村落を廃村に追い込み、本宮大社を流失させ、多数の人命を奪った未曾有の大災害が記録されております。なお、村を追われた人々は新たに北海道にて新十津川村を開村し、今日に至っております。
 最近の事例では、昭和五十七年、台風十号による新宮市での浸水被害は、床上浸水五百二十一世帯、床下浸水千九百三十四世帯に及び、被害額は三十六億二千万円に達し、市民からは行政に対し抜本策を求められたところであります。当時、浸水の原因として熊野川からの洪水が市田川に逆流したとして、建設省により激甚災害緊急特別事業の指定を受け、逆流防止の水門が設置されたところであります。あわせて、新宮市内の降雨による市田川堤防溢水を防止するため、排水機も設置されました。その後、地域住民としては二度と浸水被害に遭わないと思っていたやさきの昭和六十三年九月六日に襲来した台風十九号では、床上浸水二百三十八世帯、床下浸水千四百二十九世帯が被害をこうむりました。たび重なる被害の中、本年六月二十日、台風七号により床下浸水が発生、三十世帯が被害に遭い、さらに七月二十六日の台風九号では家屋の一部破損三世帯、床上浸水百八世帯、床下浸水八百三十七世帯、その他浸水百六十件、計二千数百人の方々が被災されました。
 当局に伺います。
 一、これまでの浸水対策に不備があったのかどうか。それとも計画水量がオーバーしていたのかどうか。
 一、市田川堤防はセミバック方式と聞いておりますが、水門の閉鎖と熊野川河口の砂州との関連をどのように考えておられるのか。
 一、ダム放流について、台風時、下流への被害が最小限となるような操作が可能かどうか。
 以上、お伺いいたします。
 なお、浸水被害をこうむっている地域住民には、行政は一つであります。すなわち、新宮市民であり、和歌山県民であり、日本国民であります。この際、あらゆる面から浸水メカニズムを解明し、市、県、国が一体となっての対策をお願いするものであります。明快な答弁をお願いいたします。
 続きまして、広域行政についてお伺いいたします。
 県における地方分権の確立と広域行政の推進についてであります。
 現在、国の内外から行政改革が叫ばれ、国、地方ともどもこれら改革問題を避けて通れなくなりました。国においては、許認可にかかわる規制緩和の推進、中央省庁の統廃合、あるいは国の機関委任事務の廃止等が論議されているところであります。一方、地方においては地方分権の確立がその重要課題であります。その確立を阻害しているのは、国、県、市町村という行政組織の中での国のひもつき予算等による財政基盤にあると言えます。つまり、縦割り行政であり、金太郎あめ行政であります。いずれの市町村も同じ施策になってしまっていると指摘されているところであります。これらすべて中央集権国家の弊害と言わざるを得ません。それでは、すべてにおいて現体制が悪かったのかと言えば、そうとも言えません。戦後五十年、経済成長を遂げた我が国において金属疲労を起こし、引退せざるを得ないということではないでしょうか。
 我々地域住民にとって本来の地方分権を確立するために新たな体制づくりを構築するとして今の中央集権国家を解体するとすれば、その大前提として国から徴税権を受け持つということになります。しかしながら、現状のまま徴税権だけを獲得すれば地域間格差がますます広がり、先進国と後進国くらいの収入格差が生じるものと思われます。ある調査で、滋賀県草津地方は現在よりも五十一万円の減税となり、経済力の乏しい新宮地方は三十一万円の増税になると試算されております。
 地方分権の確立は、お互い地域間競争がなされるということであり、競争が地域を活性化させるものと思われます。今日、我々は中央集権国家から地方分権国家を目指しているわけでありますが、かつて地方分権国家から中央集権国家に移行した百三十年前の江戸期、幕藩体制に戻り、今後、地方分権とはいかにあるべきか参考にすべきものと思います。
 当時の政治体制は、ご存じのとおり、中央政府である徳川幕府と地方自治体である全国三百に及ぶ藩で国家体制をつくり上げておりました。藩の財政収入は農民からの貢租と商人などからの運上金、冥加金で成り立っており、その大半は農民からの年貢であったため、当初は新田開発に力を注いできましたが、その後は固定したとなっております。そのような状況で、中央政府である幕府は藩に対して、補助どころか参勤交代など多大の出費を強要したため、藩財政は常に困窮したとなっております。藩の対策として、米以外に地元物産を開発し、財政の立て直しを行っております。その例として、薩摩藩における砂糖の専売が挙げられます。また、時代とともに各地で紙とか茶、かわらなどの産品が生まれ、新宮藩では炭の専売で多額の収入があったと記録されております。
 地方分権の成功は自主独立であり、競争原理を組み込まなければならないと思いますが、県として地方分権を推進する上で今後どのような対応を考えておられるのか、お伺いいたします。
 地方分権の確立で必然的に問題化されるのは、広域行政の推進であります。正直言って、広域行政の旗振り役は県と思っておりますので、その点を十分考慮していただきたいと思います。
 先ごろ、二十一世紀の関西を考える会では、関西の六府県を廃止して二十の市に再編するという提言がなされました。その根幹であります徴税権において、国税は消費税と個人所得税とし、その他法人税、資産税等は市税とするというものであります。すなわち、この提言では県がなくなるということになりますが、これでは広域行政の推進役としての県の存在理由がないと思われます。所見を伺います。
 もう一点。先日、北川三重県知事に会い、三重県の取り組みについて聞いてまいりました。その中で、二十一世紀の構想として、もう県なんか要らない、限られた予算、人員で効率的な行政を目指すために行政のスリム化は必然であり、中二階的な存在はむしろ邪魔にならざるを得ないと述べられております。本当に県は要らないのか、所見を伺います。
 私はそれより、広域行政の立場から、視点を変えて、今までのような市町村は要らないと言うべきと思います。すなわち、地方分権の確立に伴う広域行政の推進は、県がみずからつくり上げるべきものと考えます。前段で言われた六府県を二十の市に再編するのでなく、六府県を二十の地区に分割する、そのような発想をしましたが、知事の所見をお伺いいたします。
 続きまして、県会議員選出における広域的区割りについてお伺いいたします。
 広域行政の推進をうたうならば、当然、議員の選出についても考えなければなりません。特に今回は、岩出町の人口増加により定数配分が決定された時点で県下の議員定数に影響が出てまいりますので、私なりの提案を行い、当局の所見を伺うものであります。
 当初、その考えだけで質問する予定でおりましたが、前段の質問で、もう県なんか要らないという指摘に、市町村なんか要らないと申し上げました。また、県を廃止して市に再編するのではなく、県を分割すると申しました。前者の定義では、もう県議会なんか要らないということになりますので、この場では私の意見に賛成していただけるものと確信しております。しかし、この話、先の長い話になりますので、当面、岩出町の問題から質問したいと思います。
 地方自治法第八条により、市制施行は人口五万人を超えた場合にすることができるとなっております。聞くところによりますと、岩出町は現在四万五千人を超え、約三年後に五万人に達すると言われております。現行の県議会定数からいけば、岩出市になった時点で二名の定数が割り当てられることになろうかと思います。県の人口が比例して増加していければ全定数の枠も広げられると思いますが、今のところそのようにならないと考えます。そうであるならば、その二名増をどの地域から減員するかということにかかってまいります。
 この際、定数配分を考慮しなければならないのであれば、広域的見地から、また岩出町の現況から、和歌山県議会の議員選出の区割りを現行の十四区から八区に提案するものであります。すなわち、和歌山市、岩出那賀郡、橋本伊都郡、海南海草郡、有田有田郡、御坊日高郡、田辺西牟婁郡、新宮東牟婁郡という選挙区になります。つまり、和歌山市を除いて県下の市と郡を同じ選挙区にして、地域に応じた均衡ある選出を考えるべきかと考えます。区割りについて当局の所見を伺います。
 なお、三重県において市と郡の合区がなされておりますので、申し添えておきます。
 ごみ処理施設についてお伺いいたします。
 本来、ごみ処理は市町村の固有事務となっており、その対応は当該自治体が行うものであることは当然であります。しかし、世の中が変化し、環境問題が大きな社会問題となってきた今日、国及び県においても放置できない重要課題と申せます。
 本年一月、厚生省において、新たなダイオキシン排出濃度規制が通達され、処理施設のガイドラインが示されました。それによりますと、ダイオキシン削減対策に沿った焼却炉施設は一日最低百トンの能力で二十四時間連続運転となっており、今建設計画を立てている新宮市においてはその能力一日六十トン程度でありますので広域化が必要と考えますが、県当局として現在どのように考えておられるか、伺います。
 また、建設年度の違いにより近隣町村との広域化ができないとき、新宮市単独で建設計画をしなければなりませんが、一日百トン以下の焼却炉の申請は受理してもらえますか。また、補助金はどうなりますか。百トン以下の単独ごみ処理施設としてRDF──固形燃料化したものです──が選択できますが、RDF施設にした場合の受け入れ先について県はどのように考えておられるか。以上、お伺いいたします。
 以上で、第一回目の質問を終わります。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの上野哲弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 上野議員にお答えをいたします。
 まず、国際観光の推進についてであります。
 ご指摘のように二十一世紀は観光の時代であり、中でも成長著しいアジア地域で海外旅行がブームになると言われてございます。このために、現在、主としてアジアをターゲットとして、海外観光展等を通じて、本県の観光魅力、あるいは関空に至近の距離に位置する交通の利便性を積極的にPRをし、海外からの誘客に努めておるところでございます。また、和歌山を訪れる外国人の方々に安心して旅行を楽しんでいただけるように、ホスピタリティーあるいは施設面などの環境づくりに努めてまいりたいと考えてございます。
 本県は自然や温泉、歴史文化といったすばらしい観光資源に恵まれておるわけでありまして、このふるさとの財産を生かしながら、来られた方々がすばらしい自然の中で心が豊かになるような観光のあり方を求めていきたいと考えております。そして、それを全国に、世界にアピールしていくのが今回の南紀熊野体験博であると考えておるところであります。
 私も、観光産業の地域への経済効果あるいは雇用効果は非常に大きいものであると認識をしておりますので、今後とも地域活性化の重要な柱として観光振興に取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、広域行政、地方分権などについてであります。
 地方分権は、地域住民の自己決定権の拡充を図ると同時に、地方の自己責任を拡大することを目的としておるわけでございます。議員指摘の地域間競争に関しましては、地方分権推進委員会は、昨年の三月の中間報告において、地方公共団体の意欲と力量の発揮によってつくり出された地域の個性を地方公共団体は競い合っていくべきではないかという提言をしておるところでございます。こういった中で、本県といたしましても、道路などの基盤整備を着実に進め、産業や県民福祉を向上する施策に積極的に取り組み、来るべき地方分権の時代に備えているところでございます。
 次に、県廃止論に対する所見ということであります。
 三重県知事に私も伺いましたら若干ニュアンスが違っておりましたけれども、それはさておきまして、現行の地方自治制度においては、県は市町村を包括する広域的自治体として広域にわたる事務を処理するものとされてございます。一方、市町村固有の事務であっても、時代の推移とともに広域化が求められているものも多くあるわけでありまして、これらは市町村の広域的連携の中で処理されるべきものでございます。県といたしましても、広域的な行政を推進するための総合調整の役割を果たしているところでございます。
 現行の地方自治制度に関するさまざまなご提言があることは、承知をいたしております。しかし、今後も県のこういった機能は大変重要であると認識をしておりますので、私としては都道府県は必要であると考えております。
 以上であります。
○副議長(阪部菊雄君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 上野議員にお答えをいたします。
 南紀熊野体験博の進捗状況と観光産業化についてでございます。
 まず、南紀熊野体験博の進捗状況についてでございますが、南紀熊野体験博実行委員会が本年四月に設立されまして、五月には基本計画の承認がなされました。現在、実施計画を鋭意策定中でございまして、イベント計画、会場計画、広報計画等について、近く、より具体的にお示しすることができるものと考えてございます。
 こうした中で、既にシンボルマークとロゴタイプを決定し、JR主要駅において懸垂幕の掲出を行うなど、広報活動を展開しているところでございます。
 一方、県といたしましても、南紀熊野体験博推進本部を設置し、全庁体制で南紀熊野体験博に向けて取り組みを進めているところでございます。また各地域におきましても、体験イベントの実施等、地域が一体となって取り組むための地域実行委員会が順次設立され、推進体制が整ってきているところでございます。
 次に、産業としての観光と南紀熊野体験博の関連についてでございますが、和歌山県の魅力の一つは、申すまでもなく豊かな歴史文化とすばらしい自然の調和にありまして、熊野三山や熊野古道、徐福伝説などの観光資源が存在する東牟婁地方を初めとする南紀熊野地域は、とりわけすぐれた和歌山のリゾートの魅力を有する地域でございます。南紀熊野体験博は、この地域を主な舞台として広域開催することとなっておりまして、この地域の魅力を通して和歌山県全体のすばらしさを国内外に広く情報を発信していくことを基本理念といたしております。
 広域開催を基本とする南紀熊野体験博におきましては、十万人の熊野もうでや黒潮マリンスポーツフェスティバル、さらには地域の人々が企画運営する多種多様な体験型イベントなどの機会に、大勢の人々がこの地域を訪れ、自然に親しんだりスポーツや祭りに参加していただくことを通して南紀熊野のすばらしさを実感していただくことになってございます。こういったことが既存の観光資源の活性化や新たな創出につながり、この地域の持つ観光資源の魅力を高めるとともに、地域の人材育成を進める契機となり、ひいては当地域の観光産業の振興に大きく寄与するものと考えてございます。こうした視点に立ちまして、地元の人々や市町村、また関係団体と連携を図りながら、開催に向けて積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、ごみ処理施設の広域化についてでございます。
 ダイオキシン類排出削減対策といたしまして、一日の焼却能力が三百トン、最低でも一施設百トン規模以上の広域化が必要とされてございます。そのため、現在、ごみ処理の広域化について検討するために市町村の考え方を調査しているところでございます。
 ご指摘の百トン未満の申請受理についてでございますが、焼却能力一施設百トン以上の全連続炉がダイオキシン類削減対策の恒久基準値である〇・一ナノグラムを達成するための最低基準とされてございます。したがいまして、百トン未満の焼却施設ではダイオキシン対策が困難なため、目下のところ補助事業として採択されないものと理解をいたしております。
 ごみ燃料化につきましては、固形燃料化された後の引き取り先の適当な施設が県内に存在しないため、環境対策を含め、新しい処理方法について今後市町村とともに研究してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 上野議員の質問にお答えいたします。
 市田川浸水対策についてでございます。
 まず、新宮市内の浸水の原因につきましては、市田川の水が堤防を越えてあふれ出たものではなく、市田川の水位上昇により、市内に降った雨が堤防の市街地側にたまったために起きたものであります。この対策としては、市街地の水路の整備と雨水を市田川へ排水するポンプの設置が必要であります。新宮市では、今まで水路整備を行ってまいりましたが、まだポンプの設置に着手されていない状況でございます。
 二点目に、市田川と新宮川との合流点に設置している水門は、新宮川本川の水位が上昇して市田川に逆流するのを防ぐため設置されたものですが、新宮川河口の砂州が洪水で押し流されない場合、新宮川本川の水位の上昇が大きくなり、その結果、市田川の水門を閉鎖している時間が長くなるものと考えられます。
 三点目に、新宮川水系のダムは、発電等を目的とする利水ダムであるため、洪水調節を行う義務のないダムであります。しかし、池原ダムと風屋ダムでは、大規模な出水が予想されるとき、事前にダムの水位を下げる運用がされており、今年七月の台風九号による出水に際し、この運用によって洪水の調節の効果があったものと認識しております。
 議員ご質問の、本格的な調整を行わせることは、利水容量を治水容量に転換することで発電量の減少による補償等の問題が生じ、非常に困難であると聞いております。
 今回、新宮市で大きな浸水被害が発生したことに対して、関係行政機関である国、県、市において協議を行い、市では内水排除計画の抜本的見直しを行うとともに、平成十年度にポンプ施設の整備に着手することを決定し、これを受け、建設省でもポンプの増設等の対策を講ずることになりました。県といたしましても、対策実現に向け、市に対する技術指導や事業化に向けた支援を行うとともに、関係機関と連携を密にし、一層の努力をしてまいります。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 県議会議員選出の広域的区割りについてお答え申し上げます。
 広域行政を推進する上で、県議会議員選挙区を現行の十四選挙区から八選挙区にとのご提案でございますが、都道府県の議員の選挙区は、公職選挙法上、郡・市の区域によることが原則となっており、議員ご提案の区割りにつきましては、法上、八選挙区とすることはできないところでございます。
 なお、法律上、一定の要件に該当する場合には複数の選挙区を合区するという特例もございます。例えば三重県における市と郡の合区につきましては、郡の人口が議員一人当たりの人口の半数に達しないため、法律上定められた合区によるものでございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 27番上野哲弘君。
○上野哲弘君 ごみ処理について要望したいと思います。
 ただいま答弁をいただきましたが、何ら具体策が出ておらないように思います。この状態のまま推移することは当該自治体にとって不安であり、また県の主導が答弁のようにあいまいな状態では県に対する不信感が増幅するばかりで、広域行政の推進役である県の存在価値を疑わざるを得ません。各自治体におけるごみ処理施設を国のガイドラインに沿った計画にするのは非常に困難であることは理解できますが、新たな発想でこの難題に向かって対処していただきたいと思います。
 例えば、処理場の外見をちょっと工夫していただきまして、嫌われ者のこのような施設から脱皮をしていただけるようなことも考えていただきたいなと、そのように思っております。
 このたびのガイドラインをクリアするには幾つかの選択肢があろうかと思われますが、将来のごみ施設を考えた場合、私見でありますけれども、固形燃料化したRDF施設にすべきで、その受け入れ施設を県主導で考えていくべきではないかと、そのように思います。
 けさの新聞で、県は今後市町村と協議しながら小規模施設を見直し、ごみ処理の広域化を図る大型施設の整備を検討すると出ております。県の対応に期待いたしたいと思いますので、よろしくお願いするところであります。
 続きまして地方分権及び広域行政なんですが、新聞等で岩崎筑波大教授が、高齢化や広域的な対応が欠かせない環境問題に備えるため、住民に最も身近な市町村が基礎体力をつけなければならないと前置きして、次のように述べられております。政令指定都市を目指した合併等は今後ふえるだろうけれども小規模自治体同士の合併は余り適当な手段ではない、市町村合併はそれ自体が目的ではない、地域住民が将来にわたって安心して暮らせるようにするための手段と考えるべきであると。まさにそのとおりかと思います。県における広域行政の推進に対する積極的な対応を要望いたしまして、質問を終わります。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で上野哲弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は九月二十九日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(阪部菊雄君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時十八分散会

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