平成9年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(玉置公良議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時三分再開
○副議長(阪部菊雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(阪部菊雄君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番玉置公良君。
 〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 通告に従いまして、ただいまから一般質問をしてまいります。
 今回は、関西国際空港にかかわる問題と、水資源問題と森林保全の二つに絞って質問をしてまいりたいと思います。
 まず、関西国際空港にかかわる問題について質問いたします。
 「当初の航空事情の予測が甘かった」と、陸上ルート導入に伴う飛行ルート案の提示で、運輸省飛行場部長の陳謝のコメントが新聞紙上に載りました。また、六月二十六日、大阪府の熊取町議会は、陸上ルート案の提示で地元の自治体のトップを切って、関西国際空港の建設当時、公害のない空港建設が前提だった、運輸省は、地元との合意を誠実に守り、海上ルートを堅持することを強く求めるとの意見書を可決いたしました。このように、大阪の地元の市や町では反発が広がっています。
 運輸省が提示した飛行ルート案によると、和歌山県関係の離陸ルートでは、現在、関西国際空港から友ケ島上空に向けて出発する二本のルートを一本化するとされています。この陸上ルートが導入されれば、本県では従来の串本付近への出発・到着機九十二機が約三十四機減って五十八機となるとされています。一方、県内に関係する到着ルートは、現行では串本沖の海上を北方に抜けて淡路島の南方沖で旋回して関西国際空港に到着する海上ルート一本だけでありましたが、新たに提示された案では、静岡県浜松市方面から紀伊半島を横切り、日高町上空を経て淡路島南方で旋回する陸上ルートが設けられ、現行のルートとともに二本となるとのことであります。
 そこで、問題となる到着ルートが一本から二本にふえた場合、本県のどの市町村の上空を通過するのか明らかにされたいと思います。
 また、私の自宅は白浜駅裏ですが、現在でも夜間の騒音が大きく聞こえます。本県への飛行時間帯が夜間にも数多く飛行するのではないのか、こういった危惧もいたします。それに加えて、ルートの変更に伴い飛行高度が下げられ、ルート上の住民が騒音に悩まされるのではないかという点について大変危惧をしていますが、県当局の取り組みと見解を求めるものであります。
 それとともに、本県での関西国際空港建設前の約束の中で、いまだ実現されていない点が幾つか積み残されています。例えば、関西国際空港開港に伴う鉄道の利便性、空港への鉄道アクセスを例にとってみると、県議会議場で当時の企画部長は、和歌山側からの列車については日根野駅でスイッチバック方式の導入も検討されているとの答弁がありましたが、これはいまだに実現に至っていません。しかし、開港を機にJR西日本は、京都、新大阪から特急はるかを一時間に二本運行させているほか、京橋から大阪駅などを経由して関西国際空港に至る関空快速ウイング号を一日上下十四本、これより停車駅が若干多い関空快速を一日上下八十四本運行しています。大阪府域の阪和線利用者は、京阪、阪急、阪神、そして最近開通したJR東西線への乗りかえがスムーズになるなど利便性の向上が著しく図られ、関西国際空港の利用者以外の通勤・通学者にも大きなメリットを受けております。
 このように、関西国際空港開港を契機に、大阪府等の他府県においては鉄道の利便性向上が図られていますが、関西国際空港の開港を交通利便性向上の千載一遇のチャンスとして、和歌山県においても、より積極的に鉄道事業者への働きかけを行っていくべきであると考えます。例えば、現在、関空快速は京橋、大阪から環状線経由で関西国際空港へ運行されていますが、その一部を和歌山に運行してもらえるようJR西日本に働きかけるべきではないでしょうか。この点について、県当局の取り組みをお伺いいたします。
 また、天王寺・和歌山間の阪和線快速電車上り四十八本、下り四十七本のうち、御坊など紀勢本線へ乗り入れているものは上り十六本、下り十三本しかなく、海南や中紀方面への利便性はよくありません。さらに、平成十一年には南紀熊野体験博が予定され、関西国際空港や大阪からの中紀、紀南方面へのアクセスを充実させることがますます重要になると思います。
 こうした点を踏まえ、まず第一に、さきの議会で田辺出身の大沢議員も質問されましたように、日根野駅に一時間二本あるはるかのうち、せめて一本を停車するようJR西日本に働きかけるべきではないでしょうか。
 第二に、大阪駅から白浜駅まで、季節列車として運行されている熊野古道列車を恒久化する等、阪和線から紀勢本線へ乗り入れる鉄道の利便性の向上を推進すべきではないでしょうか。
 以上、関空開港前に言われた、本県が扇風機の裏側にならないように、二十一世紀の和歌山を見据えて県当局のご見解をお伺いいたします。
 次に、水資源問題と森林保全について質問いたします。
 森林についての課題は数多くありますが、私は今回、暮らしと命の基盤である水資源問題と森林保全についてのテーマに絞って、これから質問をしてまいります。
 「漁師が山を買い、木を植える」、漁民による森づくりを北海道の常呂漁業組合では三十数年前に始めました。「海と川と山は一体だ。いい森なくしてきれいな水はない」、この言葉は二十一世紀に向けて私たちふるさとに住む者の使命を問いかけていると思います。
 私たちの住む郷土和歌山県は、「紀州木の国」と言われ、県土の七七%が森林であります。そのうち人工林は六一%で、自然林は三九%を占めています。森林は、木材生産のほかに多様な機能を有し、県民生活に大きく貢献をしています。
 例えば、森林の公的機能には、水源涵養機能、酸素供給・大気浄化機能、保健・休養機能、それに野生鳥獣保護機能などがあると言われています。和歌山県の森林の公的機能を評価額にすると、平成四年で年額六千三百五十四億円と、和歌山県の一般会計予算よりも多い金額を県民にもたらしているのであります。
 一方、河川の環境保全をめぐる状況でありますが、先日、森林や河川に長年かかわってこられた西牟婁の地元の方から訴えがありました。その方は、「私は、河川の環境保全の大切さについて、機会あるごとに住民の皆様方と話をしてきているんですが、しかし、しょせん私たちの力ではこの厳しい環境の中で実効はなく、一層悪化するばかりであります。川の環境は変わりました。本当に悪くなりました。この川の環境を変えた原因は多くあります。雑木を切り、杉、ヒノキなど針葉樹を育てたために広葉樹などの自然林が減り、その結果として川の水が少なくなりました。また、文化生活を追う人たちが日常に使う合成洗剤の流出にもその原因があると思います。その原因の一つ一つを追ってみたとき、川の環境保全と申し上げても簡単に解決できる問題ではないと思います。だからといってこれを放置しておいたら、人間のためにえさ場を奪われた猿たちが現在、私たちの生活の基盤になる農地を荒らし、私たちの生活を脅かしている結果を招くのと同じ、いやそれよりもひどい結果が生まれてくるんやないかと思うんです」、このように話されました。
 私は、こうした河川の環境についての実態を、現場を歩き、地元の方々から聞いたりしながら調査をしてまいりました。その実態はどうでしょうか。
 まず第一は、富田川の水量が年々減っているということであります。年間の雨量は今も昔も余り変化がありませんが、昭和四十年ごろから河川の水量が少なくなっていることであります。その原因の大きなものとして、人工林の植林政策で保水能力の弱い杉、ヒノキが植えられ、また経費などの関係から間伐の必要な時期を迎えている人工林が放置されたり、日照りが十日から十五日続くと谷川がかれて水不足となっているのが谷川へ入るとよくわかります。また、台風や大雨などで河川が増水すると、今までは一週間ぐらいはアユの友釣りができなかったのが、最近では三日ぐらいでアユの友釣りができるようになっています。つまり、水量が減少しているのであります。また、林道の普及によって山林の付加価値をつけることは結構なのでありますが、水脈の断絶あるいは保水の面で問題が出ています。山の中腹、頂上にかけて舗装することによって側溝に水が拾われ、流れ出て森の保水を低下させています。
 第二点目は、水が汚くなってきていることであります。合併処理浄化槽などが普及されてきていますが、まだまだであり、垂れ流された家庭排水がコンクリートの排水溝を通り、直接流れて川の環境が汚されています。その結果、アユの育ちが悪くなったり奇形のアユも出ており、最近では天然のアユの遡上が皆無になってきており、現在、日置川、富田川の両河川の動植物の保護と繁殖の責任の立場にある漁協組合の運営が危機に陥りつつあり、河川の環境汚染に伴い、さらに厳しい状況になりつつあります。河川の環境汚染は直ちに海の環境汚染につながり、田辺湾などにおけるアユの種苗が皆無に等しい状況を招いています。十年前ごろには五十トンの種苗が採取できましたが、田辺湾では本年は二トン足らずでありました。これによって、日置川、富田川の両河川へのアユの自然遡上は皆無でありました。さらに、日置川においては、殿山ダム上流は完全に稚アユの放流に頼らなければならないのですが、環境汚染の中で放流アユの生育が著しく悪くなっております。日置川では本年度一千万円の追加放流を試みたが、その成果は全くなく、ダム下流の民宿の入客数は激減しています。もちろん、漁協組合の主な収入源である入漁券の売り上げも激減し、二千万円近い赤字が見込まれる状況にあると聞いています。昭和五十九年の殿山ダム水利権更新に当たり、関西電力から得た補償金も残りわずかとなり、漁協組合が独自で取り組んでいるアユの自然遡上のための事業をあと何年続けることができるかわかりません。もちろん富田川も同様でありますが、こうした漁協組合の事業が遂行できなくなる前に、行政もこの問題を深く認識され、具体的な対策を立て、積極的に取り組んでいかなければならないと強く思うものであります。
 第三点目は、自然林が減少しているため、猿害による農業被害が頻発していることと、紀州備長炭で全国に有名になりましたが、その材料のウバメガシの木が少なく、地元では三重県鳥羽市まで買いに行っているのであります。また最近、里の近くで生まれる猿がふえてきています。つまり、本来の野生の猿の二世、三世でありますが、これは人間に対して警戒心もなく、むしろ攻撃的であり非常に危険であると聞いております。つまり、豊かな森の条件である自然な動植物のバランスが崩れ、その結果として、けものたちによる農業被害が頻発しているのであります。
 以上、現地の実態を三点について述べましたが、問題解決のために今自治体や住民が立ち上がろうとしています。例えば、上流の中辺路町では、四年前に営林署から原生林約八十ヘクタールを水源涵養など保全目的で購入を決断いたしました。また下流の白浜町では、ことしの六月町議会で水源の森基金の設置を可決し、これから水源涵養林購入において具体化をしていくことになりました。また、地元の自然を愛する会、日置川漁協組合など、住民の皆さん方からも六千名を超える署名がされ、「自然林を大幅に増やし、水資源を確保することについて」、今県議会に請願をされています。どうか、請願が採択され、解決に向け一歩踏み出せるよう、県議会の先輩、同僚の皆様方のご理解をお願い申し上げます。
 このように、解決に向けての最重要課題は、まず県が流域を構成する市町村と十分協議を重ねて、県として自然林をふやす政策を早急に確立して取り組んでいくことが大変重要であると思います。このことを知事に提言させていただきたいと思います。
 自然林は、人工林よりも四倍もの保水能力や酸素供給能力があると言われ、自然林の中に必ず生育するヤマネイモなどが繁殖をし、それが猿やイノシシなどのえさ場となり、自然のサイクルが確立されて、ひいては農業被害がなくなることにつながると思います。伐採跡地を買い取ることや、国有林などを万が一伐採した後、人工林のための植林をしないように要請するとか、自然林をふやす方法がいろいろあるはずです。しかし、その取り組みがばらばらでは効果は期待できません。県が入り、総合的に取り組むことによってこそ効果が出ると確信をします。また、河川の環境汚染対策や漁協の危機等の課題もございます。
 そこでまず第一点は、今まで述べてきた内容について県当局はどのような現状認識を持っているのか。また、今議会に提案されている環境基本条例とのかかわりについてお伺いをいたしたいと思います。
 第二点目は、私が先ほど提言いたしました、自然林をふやし水資源の確保についての知事の見解を求めたいと思います。
 第三点目は、河川の環境汚染や漁協の運営の危機についての支援策や環境に優しい林道の工法等についての見解を農林水産部長に求めます。
 第四点目は、昨年六月十二日、国内では初めて水道水が感染源として特定された埼玉県越生町営水道に原虫クリプトスポリジウムが混入し、八千七百五人の方々に被害が出ました。厚生省は、昨年十月にその対策や、ことしの七月には中間発表と対策の実施状況を明らかにしたと聞いていますが、我が和歌山県の実態及びこの問題に対する取り組みについて生活文化部長に答弁を求めます。
 国際的な水問題の専門家は、不衛生な水や洪水、干ばつで毎年一千万人の方々が死亡し、人口の増加で水の需給は逼迫し、事態はますます悪化していると指摘しています。また、三十年後には世界の五五%は食糧生産に必要な水が不足するとも指摘されています。水は、暮らしと命の基盤であります。時あたかも、今議会には環境基本条例が提案されて、本県の環境保全に積極的に取り組んでいくことを西口知事が表明されました。どうか、この決意の趣旨に沿って県当局の前向きな誠意のある回答を求め、私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 玉置議員にお答えをいたします。
 自然林をふやし水資源の確保をというご提言でございます。
 森林は、木材を生産する機能のみならず、水資源の涵養機能など公益的な機能を有しておりまして、県民生活にとってかけがえのない財産となっておると思います。
 広葉樹林をふやして天然林を守り育てる施策といたしましては、森林の有する多面的な機能を認識しながら、日高川源流の護摩壇山周辺に三百二十九ヘクタール、さらに岩出町根来に百九十五ヘクタールの森林を取得して、森林公園としての充実はもとより、水資源の涵養等の公益的な機能をも発揮するよう整備を行っているところでございます。また、市町村においても水源林の確保等の取り組みがされておるわけでありますけれども、今後も議員ご提案の市町村等関係機関との連携をさらに密にしながら、広域的な流域を単位とした多様な森林の整備に積極的な取り組みをしてまいりたいと考えております。
 他は、各部長からお答えいたします。
○副議長(阪部菊雄君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 玉置議員にお答え申し上げます。
 関西国際空港の飛行経路問題についてでございますが、去る六月十六日に運輸省より関西国際空港の飛行経路問題にかかわる総合的な取り組みについての提示がありました。その後、県といたしましては、その提示内容について関係市町村に説明するとともに、ご意見もお聞きし、去る八月二十九日に本県内における飛行高度、騒音予測値等、各種データなど具体的に確認すべき事項について運輸省に対し文書照会を行い、九月十二日に運輸省より回答が得られたので、その回答を踏まえ、お答えさせていただきます。
 最初に、到着ルートが一本から二本にふえた場合、本県のどの市町村の上空を通過するのかというご質問についてでございますが、新しい到着経路については、浜松方面から紀伊半島を横断し、本県内では清水町南部から金屋町南部、中津村北部、広川町南部、川辺町北部、御坊市北部を経て日高町にある御坊VOR上空を通過後、海上に抜けていくルートとなります。ただ、飛行経路には両側に四海里、約七・四キロメートルずつの保護空域が設けられておりますので、この幅を考慮いたしますと、高野町、花園村、龍神村、美山村、吉備町、湯浅町、由良町及び美浜町の上空についても飛行する場合があると考えております。
 次に、本県への飛行時間帯で夜間にも数多くの飛行が及ぶのではないかというご質問についてでありますが、運輸省の説明によりますと、浜松からの到着ルートの場合、夜間午後七時から午後十一時までの時間帯については、ことしの五月ダイヤで換算すると一日約六機程度であり、午後十一時から翌朝の六時までの深夜の時間帯は陸上を飛行しないとのことであります。
 次に、ルート変更に伴う騒音の問題についてでありますが、これらの新たな飛行経路案では、航空機騒音の環境基準であるうるささ指数七〇を超える範囲は、すべて関西国際空港周辺の海域内にとどまるとのことであります。県といたしましては、県民の利便性を向上させるためには国内線を含めさらなる増便が必要であり、また二期事業を円滑に推進するためにも飛行経路問題の早期解決が重要であると考えております。このたび運輸省から提示された新たな飛行経路案については、航空機騒音による障害が居住地域には及ばないこと等とした基本的な考え方を踏まえ、地元理解を得ていただく必要があると考えております。今後、運輸省としては地元理解を得るために実機飛行テストを実施したいとのことでもあり、関係部とも連携しながら、騒音の影響を検証し、適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、関空開港を契機とした本県における鉄道の利便性の向上については、これまであらゆる機会をとらえてJR西日本等に強く働きかけてきたところ、JR西日本の日根野駅における和歌山方面からの列車と関空行き列車の同一ホーム乗りかえ、エレベーターの設置等、利便性の向上に一定の成果を上げてきたところでございます。
 議員ご提案の、京橋、大阪発和歌山行き快速列車の運行、特急はるかの日根野駅停車、熊野古道列車の恒久化等、阪和線から紀勢本線への乗り入れ列車の増便は、いずれも県民の要望が強く重要な課題であると認識しており、先般もJR西日本に対し、平成十一年に開催される南紀熊野体験博を目標に、大阪や関空等からの中紀、紀南へのアクセスの改善を要望したところでございます。これらのうち、特に京橋、大阪発和歌山行き快速列車の運行についてはJR西日本においても積極的に検討していただいているとのことであり、今後さらに南紀熊野体験博覧会の開催等を契機に要望を強めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 玉置議員にお答えを申し上げます。
 水資源問題と森林保全についての現状認識と環境基本条例とのかかわりについてのご質問でございます。
 議員ご指摘の森林の保全については、今議会へ提案してございます和歌山県環境基本条例の第十七条に述べてございますように、災害の防止、水源の涵養、多様な生物の生息、生育、自然との触れ合い等の観点にかんがみ、森林の保全に関し、必要な措置を講ずるよう努めるものとするとしてございます。
 今後、環境基本条例第十条に基づきまして、環境基本計画を策定していく中で、ご指摘の点も踏まえ、本県の森林保全の適切なあり方等について、専門家のご意見も伺いながら、関係部局及び関係自治体とも連携し、さらに検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、クリプトスポリジウム対策についてでございます。
 昨年十月に、厚生省水道環境部長より「水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針」が通知をされました。この指針の具体的な予防対策といたしましては、浄化された水の濁度を〇・一度以下に保つよう浄水施設管理をすればクリプトスポリジウムによる水道水の汚染の危険性はないというものでございます。この暫定対策指針に基づいて調査をいたしましたところ、本県では水道水の濁度が〇・一度を超えたものはございませんでした。
 今後、さらに検査機器の整備を図り、水道水源の実態調査を行うとともに、浄水処理の徹底を図ってまいりたいと存じます。
○副議長(阪部菊雄君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 水資源問題と森林保全についてのうち、水資源問題の現状認識についてお答えいたします。
 水資源と森林保全についての現状でございますが、本県の森林面積三十六万四千ヘクタールのうち民有林は九五%を占めておりまして、戦後荒廃した森林の復旧あるいは山村地域の生活基盤を確立するため、民有林を主体として、杉、ヒノキを中心とした造林事業を実施してきたところでございます。その結果、人工林は二十一万ヘクタール、天然林は十三万ヘクタールとなってございます。近年、森林に対する環境資源としての県民の要請が多様化してきている中で、森林所有者の理解を得ながら、引き続き人工林の整備とあわせて天然林の改良や有用広葉樹の整備を推進するなど、水資源問題や森林の保全に対応できる多様な森林の造成に努めているところでございます。
 次に、河川の環境汚染、漁協運営の危機についての支援策、環境に優しい林道の工法等についての件でございます。
 アユの資源量は年によって変動が大きく、そのメカニズムは解明されていないのが現状でございますが、一つの影響要因として産卵期の水量が関係していると言われてございます。河川水量が確保されることがアユ資源の維持増大を図る上で重要であると考えてございます。
 アユ資源の減少によって、漁協によっては遊漁者が減り、経営が厳しいところもございます。このため県では、資源の維持増大対策として、漁協が実施している稚アユの放流事業や産卵場の環境改善事業に助成する一方、試験研究機関においてもアユ資源についての調査研究を実施しているところでございまして、この調査結果を踏まえ、昨年からモデル的に河川敷に水路をつくり、産卵期の親魚を収容して産卵させる試みも実施してございます。今後とも、議員お話しの関係漁協等と協議し、各種事業を活用しながら、アユ資源の回復に取り組んでまいりたいと存じます。
 次に林道の施行についてでございますが、土砂の発生量を極力抑えるとともに、のり面を緑化する工法や間伐材等を利用した工法、さらに舗装面や側溝等へ流入した水を数多くの横断溝により分散させ、森林に水を返すなど、環境に優しい工法に取り組んでいるところでございます。今後とも、議員のお話にもございましたが、森林の保水機能など環境に十分配慮しながら工事の施行に努めてまいりたいと考えてございます。
 また農村集落の水質浄化に関しては、これまでも農業集落排水事業等を進めることによって対応してまいったところでございますが、今後とも同事業を推進することにより、環境の改善、保持に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 26番玉置公良君。
○玉置公良君 答弁ありがとうございました。
 まず最初に、関西国際空港にかかわる問題について、ただいま回答をいただきました。到着ルートが一本から二本にふえた場合、どの市町村の上空を通過するのか、このことを聞かせていただきました。初めて十四の市町村名が明らかにされました。また、航空機騒音による障害が住んでおる地域に及ばないこと等の基本的な考え方を踏まえて地元理解を得ていく必要がある、こういった答弁もいただきました。また、運輸省として地元の理解を得るために実機飛行テストを実施する予定であり、関係部とも連携しながら騒音の影響を検証し、適切に対応していきたい、こういった答弁もいただきました。
 実は、一昨日の二十三日でございましたけれども、朝日新聞の朝刊の一面で、関空の開港以降、航空機の騒音をめぐり関西国際空港会社に寄せられた苦情が開港から三百五十件に上っておる、そして同社が計十四回にわたり各航空会社に騒音軽減に努めるよう書面で申し入れていたことが明らかになったということが報道されておりました。また、一部では環境基準が七〇を上回る八〇デシベル以上に達することも確認をされた、二本目の滑走路をつくる二期工事に向けて、運輸省は発着枠拡大のために陸上ルートを導入する構えだが、現状の騒音対策ですら万全と言えない実態が明らかになったと、こういう報道がございました。
 私は、このことを一番危惧しているのであります。きょうは、十四の市町村のことも明らかになりましたし、県当局から答弁をいただきましたけれども、ぜひとも地元の不安を解消するために、十分関係市町村や県民の意見を聞いて取り組みを進めていただきたい。また、それを踏まえて運輸省への強い働きかけを要望しておきたいと思います。
 続いて鉄道アクセスの問題でございますけれども、私が提案をいたしましたことについては、県も積極的に取り組んでいくという回答をいただきました。ぜひとも、一日も早く実現をするよう県の取り組みを求めておきたいと思います。
 とりわけ、京橋なり大阪発の和歌山行き快速列車の運行については、積極的に検討していただいているという答弁をいただいております。ぜひとも、来年実現できるようにお願いしておきたいと思います。
 また、私の友人でございますけれども、ちょっと言葉はきついんですが、「JRに裏切られた」と、関空開港後の問題点を幾つか指摘しておりました。阪和線に乗り入れている紀勢線の列車は、「一言で言うとおんぼろだ」と、言葉は悪いですけれども、その友人が言っておりました。それに比べて、関空快速は快適である。紀勢線の快速は、例えば座席の背もたれは直角の格好で座って、四人がけの座席では前の人のひざが当たって大変窮屈な状態であります。また縦長の座席がありますけれども、友人が言うのには、これは二十年か三十年前の日本人の体格に合ったような、背もたれの部分が短い座席しかないと。関空快速は、一人がけの座席で、背もたれの部分がやや後ろに倒れてリラックスして乗車できるわけです。こうした、便だけではなくて列車の中身の改善も強く要望しておきたいと思います。
 続きまして、水資源問題と森林保全についてであります。
 知事から、水源林の確保について、市町村等関係機関と連携して広域的な流域を単位とした森林の整備に積極的に取り組むという回答をいただきました。また、今議会に上程されている環境基本条例の第十七条に沿って、私が提案いたしましたことも含めて環境基本計画を策定していくといった旨の回答もいただきました。全国的にも有名な高知県の四万十川は、流域の小さな団体では川の保全ができない、流域町村が一緒になって四万十川を守ろうという会をつくって取り組んだと聞いております。やっぱり、広域的な流域を単位として取り組むことが大変重要であると思います。全国に先駆けた計画をぜひとも策定し、取り組んでもらえるよう強く要望しておきたいと思います。
 また、先ほど日置川漁業協同組合の運営の危機についても、県として十分関係者と協議をして、各種事業を活用しながらアユ資源の回復に取り組んでまいりたいとの答弁をいただきました。ぜひとも、県としての支援を要請しておきたいと思います。
 最後ですけれども、クリプトスポリジウムによる水道水の汚染については本県ではなかったという回答でございました。今後、さらに浄水処理の徹底を図っていくためにも、検査機器の整備を図っていきたいという答弁がございました。来年度の予算編成に向け、財政当局の理解についても、ぜひともこの機会にお願いをしておきたいと思います。
 きのうの朝日新聞の和歌山版ですけれども──朝日新聞ばかりで申しわけないですが、「清流を取り戻す決め手」と題して、イーデス・ハンソンさんの隣に住んでおられ、私も親しいんですけれども、神奈川県から中辺路町に移り住んでこられた柏崎さんの紹介の記事がございました。その中で、「自然破壊が取り返しのつかないところまできたいま、子孫に豊かな自然を残せるかどうか。私たちの責任は重い。(中略)『昔はよかった』(中略)『懐古するだけではだめだ』(中略)時間がかかっても運動を実らせたい」、こういうことを訴えておられました。今、住民も自治体も立ち上がろうとしております。どうか、県行政がこれを契機に全国の先進県となる取り組みを一層強めていただくことを強く求めまして、私の要望といたします。よろしくお願いいたします。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。

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