平成9年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(中山 豊議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番中山 豊君。
 〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 しばし時間をいただいて、所見を述べながら幾つかの質問をさせていただきます。
 まず一つは、阪和線を海南駅まで延伸させてくださいという要求であります。
 建設常任委員会の県内視察に当たって、九月三日、橋本、岩出、和歌山、湯浅の土木事務所及び各管内の自治体の長たちから陳情を受けた後、質疑があり、国道四十二号が有田市から海南市間の交通緩和策等、集中的に実現方を求められました。その後、委員長が「ほかにないかい」と、こういうふうなご質問を僕の顔を見ながら言うてくれたので、このときとばかり、次のようなご質問を申し上げたわけです。
 海南駅連続立体交差事業が、当局の努力で昨年八月に上り線が供用開始され、来年の今ごろには駅舎の完成とともに全線供用開始の予定と伺いましたが、高架化を前面に押し出したゆえに、それと合わせての市民要求である阪和線を海南駅までという要求が後ろに追いやられていっていたわけであります。この機会を逃しては永劫に実現しないとして強い要求が表に出されるようになってきていますが、切りかえのポイントだけをやりかえればホームも架線もそのままで可能だとも聞き及んでいるけれども、これの実現のためにどのようにお考えいただいているんでしょうかと、こういうふうに尋ねてみたんです。そうしたら和歌山土木事務所長から、前向きに取り組まれているとの感触があるようなお話を聞いたわけであります。
 これについてさらに本議場で、見通しとそれの取り組みについてのお考えをしかとお伺いしたいのが質問の内容であるわけです。これは海南市のみならず、野上谷の方々及び下津や有田、広くは和歌山市の南部にまで広域に及んでJR及び県当局にお願いに行こうではないかというふうな機運が高まっていることなどもご紹介申し上げながら、これの実現のためにしかとしたお取り組みをお願いしたいというのが一件目であります。
 二つ目。高規格道路海南吉備線四車線化を打ち出されて都計審にかけられてから、関係住民は極めて強い関心を寄せるようになりました。関係住民が寄り集まり、当局から都計審後の経過や状況を聞きたいと説明会さえ持たれるというふうなことにもなりました。要は、法線はどうなるのか、関係した住民の要求とも絡めて計画設計を早く知りたいというところにあるわけであります。特に申し上げたいのは、いろいろな手順もあろうかと思うけれども、住民の関心に早くこたえていただくのが得策ではないかと、こういうふうにも考えます。
 さらに申し上げたいのは、県砂防課資料にもあるように、土石流危険激流とされている西山田川の上流に係ることでもあることだし、現在の高規格道路建設の折に慶権寺池に流排水をとることにしたことにより、この池の堤が危ないとの指摘もされたりしていることから、高速道路の四車線化に向かって、担当課だけでなく横断的、総合的な体制で対応されるよう強く求めるところであります。所見をお伺いいたします。
 三つ目、三百七十号整備促進についてであります。
 これについては何回も取り上げ、当局に促進方を求めてきました。今までの答弁でよしとしているわけではないのです。海南から高野まで観光バスを走らせたいという沿線住民、海南市民の切なる願いであります。地元の発展に欠かせないルートであるわけであります。すなわち、関空、高規格道路、三百七十号、高野への、極めて当地方の発展に欠かせない問題であります。それゆえに、海南・野上方面は県の道路行政の上からどんな位置づけをなさっているのか、改めてお聞きしておきたいわけであります。
 「県内どこでも二時間で」と知事が申されているけれども、紀南と紀北を結ぶ縦の線だけを指して言っているのではないんでしょう。半島性からの脱却は縦線だけで済まされない。横の線も大いに語り合わねばなるまい。国道三百七十一号の整備に係る要求の強いのも、県内視察の中でひしひしと感じたところであります。それにも増して、海南・高野四十キロメートル、時には二、三時間もかかります。北と南の二百キロメートルの五分の一の距離が二時間も三時間も要するというものであります。政策的順位からはいまだしというところかもしれないけれど、県内の道路状況から見て一番手つかずのところにあるのではないか。谷を越えての四百八十号、笠田から西高野街道に比べてみても格段の差があります。整備促進を強く求めていきたいわけであります。
 中でも、重根・木津間の街路計画のあるところ、すなわち四百二十四号と交差する地点までを早く取り組まれたい。阪井地区間のバイパス構想はとんざした状況にあって、暫定的な緩和策として沖野々森小手穂線にとることを申し上げ、取り組みが急がれるところにあるけれども、その進みぐあいはどうなっているのか。とりわけ幡川地区内の取り組みは計画どおりに進んでいるのか。阪井地区内のバイパスは、以前に示された法線について微調整は可能なのか。
 四つ目、南紀熊野体験博についてであります。これは、議場の限られた時間の中でやりとりするということでは極めて難しい課題であるので、所信を述べてお考えを聞くということにとどめたいと思うんですけれども。
 南紀熊野体験博を平成十一年の四月下旬から九月上旬までを期間に南紀熊野地域を舞台に開催しようとしているけれども、折しも県内視察が南紀熊野地域とあったので一行に加わり、概観してまいりました。知事が常に提起されている「県内どこでも二時間」で速くなり広くなる和歌山の道、実感してまいりました。特に三百十一号、百六十九号、四百二十四号及び四百二十四号につなぐ県道百九十八号龍神中辺路線等、内陸部の縦貫道路整備には目をみはるものがありました。現場での懸命の努力が払われている姿に頭が下がる思いをいたしました。北高南低と県政を評する者がいたけれども、実態は変わっているなという感じさえしました。
 中でも中辺路町と本宮町の境界線付近の改良工事は、熊野体験博に合わせるために平成十一年度に完了するとの工期を別にして、一年前に仕上げをしようという取り組みのように思われるほどの苦労がにじみ出ているようにも思われました。労働災害を起こさねばよいがとさえ思うくらいでありました。県勢発展に大きく貢献する取り組みであることは、関係自治体の皆さんの出迎えや陳情をなさる姿から十分うかがえるところでした。四十二号を使うより内陸部縦貫道を使う方が和歌山まで時間は著しく短縮されると、地元の和田正一議員のお話を実感を持って受けとめました。そうでしたよね、和田さん。
 視察前にひそかに関心を寄せていたことにかんがみ、体験博を一年余で迎えることになるけれども、どのように準備されているか、道路行政の進展とのかみ合わせでどのように企画されようとしているのか、あるいはまた、森林の荒廃、山間地の農業の実態等を思いながら、関係自治体の皆さんは十分把握されて準備に取りかかろうとなさっているのだろうかと思いながら視察をしたわけであります。
 視察の道すがら、地域住民の手によって立てられたのであろう立て札にこんなものがありました。「この先、変なものがあります」──「この先、こんなものがあります」ということでそのものを具体的に書かれていたとしたら、その立て看板を見た人は、ああこんなものかというふうに固定的にすぐ見ていくんでしょうけれども、「変なものがあります」というと興味津々、何があるんだろうという形で次に歩を進めようとする、そういう気持ちに駆られますよね。
 「ようこそ お越しを」、「またのお越しを お気をつけて」、地域住民の心情が素朴にあらわされている心遣いをうかがうわけであります。このような心遣いや心情をベースに体験博が組織されたら、現代人の疲れた心と体をいやし、新たな活力を生み出す心のリゾートとして成功するのではないかと、ふと思ったわけであります。南紀熊野でなければできない、いわば昔のアリの熊野もうでとして熊野に足を踏み入れようとした人々の心は何だったのか、それをよみがえらせ、それにこたえる取り組みをしてこそ、オープンエリアで展開する、たぐいのない体験博となるのではないか、こんなことも思ったわけであります。
 それを目指そうとするならどうするか。広く深く検討し、準備する必要があるのではないかとさえ思ったりしたわけです。既に地域住民の生活に根差したところに幾多の素材が提起されているとも思ったが、いかがなものでしょうか、お考えをお聞かせ願いたいわけであります。
 余談になるけれども、本宮大社へ有志の者が大沢委員長を先頭にしてお訪ね申し上げました。もちろん、地元の和田議員が本宮大社の宮司に接見をさせていただいたわけであります。そこのやりとりが実におもしろかった。ここでの紹介は省きますけれども──うん、おもしろかった。その話の中にこそリゾートの心があるのではないかとさえ思ったわけです。馬頭議員が大沢氏を指して「あれはおれの天敵や」というふうに言われるほどの大沢氏の対応もありました。これは見事だったです。そういうふうなことをつぶさに見てとって、リゾート、熊野体験博を思ってみたわけであります。敬けんさに包まれ、親しみがあり、情愛が満ち満ちておるし、その中にも機知に富んでいる宮司の応対、こういうものこそが熊野に根深く潜んでいるのではないかと、こういうふうにさえ思ったわけです。そういうものを森林の荒廃や山間地の農業のすたれというふうなものと絡まり合わせながらどのように体験博をしようとしているのか、これは大きなテーマだと思います。
 それで、きのう、これをいただきました。「・Here’s WAKAYAMA・」──和歌山PR写真集やと。これ、ええな。すごくよくできていると思う。わし、県のことを褒めることはまずないんだけれども、これいいですよね。写真もいいし。小松左京、神坂次郎、そしてイーデス・ハンソンというふうな人たちの小さな文章も載せられているんですが、その中に、リゾート、体験博の心に接近しているような記述が幾つかあるんです。こういうものをよくおつくりになったなと思っているんですが、これの活用の仕方などをどんなにお考えいただいているのかということをあわせてお聞かせ願いたいわけであります。
 次に、公害発生源に厳しく対処をというふうな形でお尋ね申し上げていきたいわけなんですが、くしくも生活文化部長に集中して答弁を求めることになるのだけれども、それだけ環境問題が県政上極めて重要な課題として浮上してきているというふうにご認識いただきながら、中山はまたこんな問題を取り上げておれのところへ持ってきたというふうな厄介視することのないようにしながら、親切にお答えください。
 さきに、和歌山石油精製株式会社がアスファルト発電をして関西電力株式会社に売電するため応札するとのことにかかわって、海南火力の排煙にも及ばせて海南の空を汚さないでくれと申し上げた際に、海南火力発電所の脱硝装置が二号機に設置されていないこと、また一号機の脱硝装置の除去率が一八%余りにすぎないこと、窒素酸化物の除去率が御坊火力のそれよりも三、四号機を含めてはるかに悪いことなど、明らかにされました。和歌山石油精製のアスファルト発電の応札について市民の関心は極めて強いものがあることを示しながら、その後一年間の推移を見ると、これの指摘から脱硝装置を講ずる、すなわち窒素酸化物削減計画なるものによる取り組みを見せてもらいました。一、二号機は依然として除去率が悪いわけであります。
 翻って、脱硝装置や脱硫装置を設置するスペースがないと申され、我々市民はそれを真に受けてきたけれども、創業当時の機械の性能からしてそうだったのかもしれないが、三、四号機設置の時点に照らしてみても、今になってみれば大いに可能ではなかったのかとさえ思うのであります。よくよく考えてみれば、スペースに余地がないのではなく別に理由があったのではないか。設置する意思さえあれば三、四号機並みに一、二号機にも設置できたのではないか。また、御坊火力との規制数値の差は、同じ県内にありながら公害行政の整合性に大きく欠けると言わざるを得ない。企業に対する規制、数値等については、その年代、その時々において多少の変化もあろうけれども、それにも増して理解に苦しむわけであります。窒素酸化物の除去につき、その率をその後の努力で高めるようにされているけれども、技術の進歩に合わせてみれば一、二号機に設置することは可能だということをみずから示しているのではないかとさえ思うわけであります。窒素酸化物の削減対策は来年度から平成十三年度以降にまたがっての対策をとるとの計画について、もっと厳しく内容の上からも期間の面からも改善策を求めるべきだと思うけれども、どうでしょうか。また、硫黄酸化物の削減対策は手つかずでいいと考えているのでしょうか、県の考えをお示しください。
 大気汚染防止法は、その地域のそれぞれの企業の努力の総和として結果が出てくるわけであります。それぞれの企業に対する厳しい要請があったからこそ、実現できるのでしょう。和歌山LNG火力に関連して、県は住金埋立地から三百キロ圏内の硫黄酸化物と窒素酸化物の総排出量を明らかにしました。それによると、九四年、和歌山地域では硫黄酸化物が一万三千九百九十トン、窒素酸化物が一万七千六百六十八トンとのことであります。その中で、住金和歌山製鉄所と関西電力海南発電所、和歌山石油精製、東亜燃料の四企業の合計で八五%を占めているのではないでしょうか、確認をお願いいたします。
 大企業が和歌山の空を汚していると痛感する次第だが、今議会には環境基本条例案が提案されています。その中に、次の文言があります。「環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会を構築することを旨とし、及び科学的知見の充実の下に環境の保全上の支障を未然に防ぐこと」というものであります。その精神からすれば、科学技術の進歩に伴って汚染の大半を占めている企業に対して最新の公害対策を求めるのは当然だと考えます。住金や関電などの大気を汚している企業に対して強力な指導を求める立場から見解を求めます。
 特に、海南火力の窒素酸化物削減対策については譲れないものがあります。少なくとも一、二号機は三、四号機並みにという要求があるわけであります。対等の対策の内容、実施しようとする期間も、企業の計画にゆだねるだけで当局の主体的な要請、指導というものがどこにもおうかがいすることができないのは残念であります。そうでなかったらそうでないというふうな、しかとした答弁をください。
 次は、ダイオキシンについてであります。
 六月定例議会でも取り上げたところですが、さらに進めてお尋ね申し上げます。
 ダイオキシン排出量を削減するため広域処理施設の建設が必要としながらも、厚生省の緊急判断基準以上の排出施設に対しては、炉の燃焼温度を八百度以上に保ち、燃焼時に発生させる塩化ビニール系統のごみを分別収集するなど、対策を指導するとの答弁をいただきました。さらに加えて、厚生省が示している基準、〇・一ナノグラム以下を満たすには、不完全燃焼をさせず炉内の温度を保持し続けるため一日当たり百トン以上のごみを連続して処理する焼却炉が必要だ、市町村単位で一日百トンのごみを確保するのは難しいとも述べられました。
ここで、県下のごみ焼却場の実態を見てみると、最も古い炉が昭和四十一年ということだから、既に三十一年間使ってきているわけです。同じ四十年代が六カ所、五十年代前半が六カ所、一般的に焼却炉の耐用年数は二十年間と言われているから、県内三十箇所の五十三炉のうち七カ所、十二の炉が耐用年数を超えている。この中には現在使われていないものや建てかえが進んでいるものもあるけれども、古い焼却場を持っている自治体や事務組合の管理者が今回の厚生省の方針に苦慮していることは県も十分承知していることだと思います。
 県下のごみ焼却場の実態からして、六月議会での答弁は極めて事なかれ主義で県当局の積極的な姿勢をうかがえるものではないと受けとめたけれども、初めて取り上げた課題でもあり、国自体もダイオキシン対策の方針を明らかにしてから日も浅いところから、その程度にとどめておいたわけであります。
 しかし、八百度C以上の焼却炉内温度を保ち続けるほどに機能させている焼却炉は少ない。もちろん、一日当たり百トンのごみを処理する焼却炉も、和歌山市を除けばないわけであります。だから、不完全燃焼を起こしやすい炉、すなわち中小炉ばかりであるところから、これらを改良しダイオキシンを基準値内までに下げるには国の補助が決定的に必要だと申し上げたわけです。県内の実態からしてやむを得ない面もあろうかと思ったから、それを求めるにとどめておいたわけです。
 その後、ダイオキシン類を大気汚染防止法の指定物質とされ、同法施行令を一部改正し、これに伴い焼却炉の構造、維持管理等、関係法令の改正もされ、十二月一日施行されるとのことであります。このことを考えてみるときに、国は基本的に一年ごとの測定を指導していると聞くけれども、今年度の測定状況を県は把握しているのでしょうか。あるいはまた、緊急対策の八十ナノグラム以上が検出された焼却炉の削減対策の進捗状況はいかがなもんでしょうか。各市町村自治体での今後のごみ処理について、固形化や広域化を模索している県がこうした焼却場管理者の意見や要望を聞く場を持ち、個々の実態と実情と方針をよくつかむことが必要だと考えます。そうした取り組みの状況を報告されたいわけであります。
 もともと、我が日本の国は廃棄物処理に対する取り組みが極めておくれ、全国至るところでトラブルを起こしたりしています。ダイオキシン問題はその流れに沿っているわけですけれども、国際的にも幾多の変遷を経ながらも、ことし二月、世界保健機構がダイオキシンは発がん性の疑いがあり発がん性物質であるとしたことから政府の態度を改めることになり、マスコミにも取り上げられ、国民の関心事として浮上し出した。いわば、国民の関心事となってまだ新しい。それだけに関係機関の対応のおくれはいたし方ないとしても、ドイツでは既に昨年十二月、循環経済廃棄物法などの法律を設けているわけであります。いわば、ごみは出さないことを第一に、やむを得ないときは再利用する、どうしても無理な場合に限り処分する、こういうふうな中身であるようであります。ダイオキシン発生を防ぐ基本的方向の一つはこれであろうかと思います。もう一つは、先ほども申し上げましたけれども、ごみを固形化し新燃料に変えてしまうことではないか。これは既に国でも取り組まれているように伺っているわけです。
 とにもかくにも、大型炉による焼却炉は和歌山県では直ちに望むべくもない。中小炉の焼却炉からのダイオキシン発生をなくすために、具体的な施策が強く求められるところであります。国の指導や指示を待つまでもなく、県の取り組みが急がれるところであります。ごみを固形化し燃料に変えていく取り組みも各所に出てきていると思うけれども、県はどのように把握し対処されようとしているか、あわせて他府県の固形燃料化の取り組みの状況もお聞かせください。
 ここで一番申し上げたかったのは、海南は地場産業の町であります。小事業所で排出される廃棄物の処理を自家用の焼却炉で処理するわけであります。一日働いて一日出したごみを夕方にその炉の中で燃やし始める。その地域の住民で──しかも、ダイオキシンというのはだれしもが同じような症状を見せるということではなくて──すごく過敏症の人がその中にいらっしゃるようです。過敏症の人は、その燃やされたごみで一晩じゅう寝られない。毎晩それが連続するところから、苦悩に満ちて、もう自分の家を放棄して夜な夜な外に飛び出して遠いところをさまようということさえあるようにも私の友人から聞いたわけであります。こういうふうなことにかんがみて、自治体の公害対策の問題で処理できることにもないような実態であります。県は大きく網をかけて、こういう事態からのダイオキシンの発生にもご留意いただくようお願い申し上げたいわけであります。
 さらには、学校の焼き場から出るごみの問題も今日いろいろと新聞ざたにもなっているようでありますけれども、学校の問題はともかくとして、小事業所から排出されるごみの自家焼却炉からのダイオキシン発生をどう阻止するか、防止するかというふうな点であります。しかとしたお答えをお願いします。
 廃棄物処理についてであります。
 きのうの向井・中村問答というのか、論議というのか、これはおもしろかった。なぜおもしろかったかと言うと、産廃行政における県政史上に残る問答ではなかったかというふうに受けとめたわけであります。何ゆえそうなのか。特に、監視カメラの問題についてであります。県の産廃にかかわる基本姿勢がそのあたりにうかがえたのではないかと思ったからであります。
 そこで、ふと思い出したのに、あるところへ強盗が入って、強盗が自分が何をしているかということを映し出すように自分がカメラを設置するなどというようなことはあるだろうか。そしてまた、その映し出したビデオが、何か信憑性があるようなお話でもありました。無理が通れば道理が引っ込むという昔からのことわざがありますね。こういうふうなやりとりをして、それを通せば通すほど、県の産廃行政にかかわる県民の不信を買うことにしかならないのではないかと。だからおもしろかった。冗談やないでと言われる人もあるかもわからないけれども、事ほどさようにあの論議はおもしろかった。これから僕が提起しお尋ねする問題は、こういうスタンスで対応してほしくないことを前もって申し上げ、次に進めてまいりたいと思います。
 産廃処理に伴う残土処理として、那賀郡の粉河町大字鞆淵字露谷五百八十六、五百八十七に工事をしているけれども、貴志川の支流・真国川の上流に当たるところでもあるから、地域住民からいろいろと苦情が寄せられてきました。それで、現地を見てきました。それで幾つかお尋ねします。
 提出されている計画書の処分面積は七百十三平方メートルとされているけれども、実際はそれをはるかに超えていると思われます。県として実態を把握しているのでしょうか。
 二番目、自己残土処分地とされているが、残土としてそれに山の土をかぶせています。山の木を伐採するとなると森林法との関係が出てきて届け出が必要と考えられるけれども、この山の場合はどうなっているのか。あまつさえ、地区住民の話ではさらに隣接の谷をも埋めていくと言われています。そのようなことになると、計画書の何層倍ともなり林地開発許可が必要となってくるとも考えられるが、県への事前申請はどうなっているのでしょうか。──ええ時間やな。
 三番目。現地は池の真上にあります。土砂が流れ込んでいるが、のり面は土を固めただけで大雨が降れば土砂流出のおそれさえあると考えられます。四、五十メートル下には県道があり、土砂が県道を覆うやもしれません。こうした危険な実態を放置してよいと考えられているのでしょうか。また、これまでどのような指導を行ってきたのか、明らかにされたい。
 四つ目。造成による残土処分とされているけれども、見たところ残土とは言いがたい。廃棄物を処理しているとしか思えないわけであります。しかと指導しているのか、またどこから搬入しているのか、把握していただきたい。きのう、向井議員の提起された菖蒲谷の処分場ともかかわって、小さいときに処理して芽を摘んでおけば簡単に済むけれども、あれほど大きなものになってしまうと大変なことになるということを教えられたわけであります。そのことからも、これに対してどうなのかということをお尋ねいたします。
 処分されている廃棄物から出る汚水で、下流域の水質調査はどうなっているのか。自然環境保全に懸命に努力している自治体の意見を十分聞く必要があると考えるけれども、この点はどうなっているのでしょうか。鞆淵の山合いに捨てられている廃棄物の処理の実態について地域住民から寄せられている心配を、議場をおかりして当局にお尋ねするわけであります。
 さらに、日高、鞆淵上──上鞆淵と言うのかな──日高の山間地に六万四千五百平方メートルの産廃処理場も予定されているようであります。三年ほど前に事前申請が出され、住民の反対で凍結状態であったのが、またぞろ最近、計画が動き出したとのことであります。ああいった山紫水明の地に産廃処分場を造成することが許されるなら、自然環境保全の言葉は全くそらごとにしかならないわけであります。山間地住民はつつましく、行政に強く物を言うことが少ないやもしれないけれども、何も言ってこないからと県行政が住民の意思を放置するようなことがあってはならないと思います。この計画は、規模の大きさや周辺環境の良好なこと、下流域への影響からも認めるようなことがあってはならないと考えます。県としての対処をお伺いします。
 農業問題でかつて取り上げたときに、山間地の農地を放置したり、あるいはまた山林を荒廃させるというふうなことは、やがては不動産屋の目のつけるところになり、やがてその不動産屋が廃棄物処理業者に売り渡して環境を乱していくということが世の常のような形になってきました。そういうふうなことのないようにご努力いただくことをお願いして、第一回目の質問といたします。
 ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 中山議員にお答え申し上げます。
 阪和線快速電車を海南駅まで延伸するためには、現在実施中の海南駅連続立体交差事業においてポイントの切りかえ工事等を行う必要がありますが、それにつきましては現在JR西日本と協議をしております。県としては、地元からの要望を踏まえ、阪和線快速電車の海南駅以南への延伸をJR西日本に対して引き続き働きかけてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 中山豊議員の道路問題についてのご質問にお答えします。
 まず、高規格幹線道路の海南吉備線については、庁内の関係各課及び関係機関と事前に調整を図り、平成八年十一月二十九日、都市計画決定を行い、同年十二月二十七日開催の国土開発幹線自動車道建設審議会において整備計画に格上げされたところでありますが、現在、事業化に向け、道路公団において調査中であります。今後、事業が具体的になった段階では地元の関係する方々への説明会の開催等を行い、理解を求めながら事業の促進を図りたいと考えております。また、議員ご質問の建設に伴って関連的に対応すべき事項につきましては、全庁的に調整を図ってまいりたいと考えております。
 次に、国道三百七十号につきましては、三・五軸広域幹線道路網の東西五軸を構成するものと位置づけており、地域の産業経済及び観光を支える非常に重要な路線であると認識し、現在、鋭意整備を進めているところでございます。
 このうち、重根・木津間についてのご質問ですが、まず重根地区土地区画整理事業地内については、仮換地の済んだ区域から順次着工できるよう市並びに組合を指導してまいります。続く阪井地内のバイパス計画については、現在、以前に提示したルートを基本に海南市と調整しており、早期都市計画決定に向けて努力してまいります。
 一方、この阪井地内における当面の渋滞緩和策として、龍部池から県道沖野々森小手穂線へ連絡させるバイパス計画につきましては、現在ルート選定等の概略設計を実施しており、海南市と調整を図りながら早期事業化に努めてまいります。
 次に、幡川地区内については、都市計画道路築地阪井線として平成元年度から整備を進めており、平成九年度末では約七〇%の事業進捗となる見込みであります。この地区は、当初平成十年度完成を目途に事業の促進を図ってまいりましたが、全体計画を見直した結果、事業費が増加したため、予定する年度の完成は困難となりました。しかし、道路の重要性にかんがみ、早期に完成させたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 中山議員にお答えをいたします。
 まず、南紀熊野体験博についてでございます。
 ご承知のとおり、和歌山県は古くから歴史及び文化を連綿とはぐくみ、日本人の安らぎの地、すなわち心のリゾートでありました。このことを踏まえまして、南紀熊野体験博は過去の地方博には例を見ない、各地の特性やリゾート資源を活用しながら南紀熊野地域全体に広域展開をしていくこととなってございます。そして、日本人の心のふるさとと言われる南紀熊野地域の歴史、文化、人情、風土を地域の人々が来訪者にじかに接する中で伝えていくことこそが、南紀熊野地域の持つありのままのすばらしさを広く知っていただくことにつながるものであると考えてございます。
 したがって、地域の人々が主体的に取り組む体験型イベントや地域ネットワークイベントなど、人と人との交流の機会を特に大切にしてまいりたいと存じます。そういった中で、地域の人々のもてなしの心がこの体験博成功のかぎの一つを握っていると認識いたしてございます。また、この機会に地域の人々が自分たちの地域のすばらしさを再認識していただき、自信を持って地域づくりに取り組んでいただくことが重要であると考えてございます。現在、南紀熊野体験博実行委員会においては実施計画の策定を進めておりますが、地域の人々を初め地元市町村等と一体となって、この体験博の成功に向けて積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 先ほど「・Here’s WAKAYAMA・」というパンフレットのご紹介をいただきましたが、リゾート博記念財団において製作をし、海外への進出企業あるいは各国の大使館等に配布をいたしてございます。
 続きまして、公害発生源に厳しい対処をというご質問でございます。
 ご指摘のございました四社が排出する総量の割合でございますが、平成六年度で硫黄酸化物については八五・三%、窒素酸化物については七一・六%を占めてございます。硫黄酸化物、窒素酸化物の削減対策については、大気汚染防止法に基づく施設ごとの規制のほかに、和歌山市、海南市等の区域については大規模な発生源ほど基準が厳しくなる硫黄酸化物の総量規制を行うとともに、大企業については公害防止協定により法の基準より厳しく排出量の抑制を図るなど、必要な対応を行ってございます。その結果、二酸化硫黄、二酸化窒素に係る大気環境の状況は環境基本法に定められている環境基準を下回ってございます。
 なお、海南発電所の窒素酸化物削減対策については、関西電力株式会社での技術検討の結果、既に脱硝装置が設置されている一、三、四号機──ただし一号機については四分の一容量の脱硝ではございますが──の脱硝効率をそれぞれ現状の七五%から八〇%に向上させ、また脱硝装置が設置されていない二号機については、限られたスペースの中で新たに効率三〇%を目指した煙道組み込み型の脱硝装置の設置に取り組むこととなった旨、事業者より報告を受けてございます。また、対策の実施時期については、定期点検の時期等を考慮して順次行うものでございます。
 今後とも、テレメーターシステムにより大気環境の常時監視を行い、環境基準の達成状況を把握していくとともに、大気汚染防止法や公害防止協定の適切な運用を図ることにより環境の保全に努めてまいりたいと考えてございます。
 続きまして、ダイオキシン対策についてでございますが、焼却炉の削減対策の進捗状況と対策後の測定値についてでございます。
 県内で八十ナノグラムを超えた施設は四施設ございましたが、そのうち二施設が電気集じん機の改良や空気余熱器等の施設改善工事を行い、再測定を行ってございます。再測定後の値は十八ナノグラムと十一ナノグラムに削減されてございます。他の二施設のうち、一施設については、ガス冷却塔の水噴射ノズルの増設と活性炭の噴霧施設設置の工事が今月中に完成予定であり、また、もう一施設についても二次燃焼装置の工事を完了し、CO計の設置及び煙突修復工事を実施中でございます。それぞれ、工事完了後、再測定の予定と聞いてございます。
 続いて本年度の測定状況についてでございますが、国からの新ガイドラインで年一回以上測定するよう示されてございます。二回目以降の測定については、前回の測定から一年を経過しない時期に測定するよう指導してまいりたいと存じます。
 続きまして、市町村からの意見聴取についてでございますが、一般廃棄物処理は市町村固有の事務となってございますが、県としましてはごみ処理の広域化について検討するため、現在、それぞれの市町村の考え方を調査しているところでございます。
 続きまして、ごみの固形燃料問題でございますが、ごみを燃料化することにつきましては、固形化されたごみ燃料の引き取り先の問題がございますが、環境対策を初め新しい処理方法について、今後市町村とともに研究してまいりたいと存じます。また、他府県の市町村のごみ燃料化については、稼働中の施設が十三施設、現在計画中の施設が十八施設と聞いてございます。
 次に、産廃施設の測定と中小地場産業からのダイオキシン測定についてでございます。
 大気汚染防止法及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行令の一部改正により、一時間当たり二百キログラムの処理能力以上の廃棄物焼却炉にダイオキシンの基準が設けられましたので、今後はこれらの基準が十分守られるよう施設の管理を指導するとともに、排出実態を調査するよう指導してまいる考えでございます。
 なお、中小企業の問題につきましては、公共関与による広域処理について検討することとし、産業廃棄物処理計画の中で位置づけてまいりたいと考えてございます。
 産業廃棄物の不適正処理の防止と不適正処理に対する迅速な対応のためには、市町村を初め警察や農林水産部、土木部等、関係機関が連携することが不可欠であることから、県といたしましては、平成七年度に警察、和歌山市、社団法人和歌山県産業廃棄物協会とともに四者で構成する和歌山県産業廃棄物不法処理防止連絡協議会を設置し、平成八年度には保健所単位に県事務所、土木事務所、警察署及び市町村で構成する地域産業廃棄物適正処理連絡会議を設置したところでございます。今後とも、この体制を中核として、関係機関の協力を得ながら不法処理の防止と迅速な対応に努めてまいる所存でございます。和歌山県産業廃棄物処理計画では、県内で発生した産業廃棄物は県内で処理することを基本姿勢といたしてございます。その中において、本県を含む近畿二府四県で構成するフェニックス計画につきましては、当然、計画の主力に位置づけられてございます。
 続きまして、具体的な問題として粉河町下鞆淵の問題についてでございます。
 ご指摘の計画書につきましては、本年二月末に粉河町に提出されたものでございますが、内容は残土処分で廃棄物処理法の対象外であるため、面積及び埋立容量の確認はいたしてございません。岩出保健所においては、この場所に産業廃棄物が投棄されないよう念のため現地を調査し、事業者を指導しているところでございます。
 続きまして、現地は危険ではないかということでございます。
 土砂流出の問題につきましては、池の管理や県道の管理など、直接的にはそれぞれ所管する機関が対処することになりますが、保健所の調査の中でこうした問題を発見すれば、先ほどお答えした地域産業廃棄物適正処理連絡会議等の場を活用し、連絡を密に対応してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、建設残土ではなく産廃処分ではないかというご質問でございますが、保健所の報告によりますと、本年三月初めから現在までの現地調査の中で、廃棄物の混入を発見し、持ち帰らせた事例が二回ございます。今後も、廃棄物を処分することのないよう厳しく指導してまいります。
 続きまして、下流域の水質調査と自治体の意見を聞くことという問題でございますが、この事例については残土処分ということでありまして、廃棄物処理法に基づく許可手続としての自治体の意見聴取は行ってございません。水質調査については、下流に影響を及ぼすようであれば調査も検討してまいりたいと考えてございます。
 最後でございますが、この問題についての県の対処方針でございます。県といたしましては、地元市町村長のご理解を得られないものについては許可申請を受理しない考えで対処してまいります。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 産廃対策についてのうち、粉河町下鞆淵の問題について、中でも森林法との関係は適正かということでございます。
 ご質問の森林の伐採届出についてでございますが、地域森林計画の対象となっている民有林の立ち木を伐採する場合は、森林法の規定に基づく伐採の届出が必要でございます。この箇所の森林については、既に届出が提出されてございます。
 次に開発許可についてでございますが、森林に係る開発行為の面積が一ヘクタールを超える場合は森林法の規定に基づく林地開発許可が必要となります。当該地は開発行為に係る森林面積が一ヘクタールを超えないことから、林地開発の許可申請書は提出されてございません。
 今後、現地の状況を常に把握し、関係法令との連係を図りながら指導を行ってまいります。
 また、同じ鞆淵地区の上流日高での産業廃棄物処分場の計画についても、現地の状況を注視し、関係法令との連係を図りながら森林法に基づく適切な処理をいたしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 33番中山 豊君。
○中山 豊君 二点だけ要望しておきたいと思います。
 海南火力の一、二、三、四号機の脱硝装置の問題ですが、今まで用地がないのでつけられないと言っていた論拠は崩れたのではないかというふうに思うわけです。それで、特に当局の公害・大気汚染防止とのかかわり合いで強い指導と要請をしてほしいんですが、一、二号機も三、四号機並みに、このたびの脱硝装置の率を高めるような施設を設けるよう強く当局に求めて指導方をお願いしておきたいと思います。
 そして、きのう、向井議員の質問の中にもありましたように、市町村長の意見がないところでは許可するわけにはまいらんというこの態度はやはり堅持してほしい。それだけをお願いして終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
 これで午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(木下秀男君) この際、暫時休憩いたします。
 正午休憩
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