平成9年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(飯田敬文議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時三分開議
○議長(木下秀男君) これより本日の会議を開きます。
 ─────────────────────
 【日程第一 議案第百四号から議案第百十五号まで、議案第百十七号から議案第百二十号まで、及び報第七号】
 【日程第二 一般質問】
○議長(木下秀男君) 日程第一、議案第百四号から議案第百十五号まで、議案第百十七号から議案第百二十号まで、及び知事専決処分報告報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 43番飯田敬文君。
 〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いましてトップの質問をさせていただきます。
 質問に入る前に、去る九月二日逝去されました前仮谷知事に対しまして、深く哀悼の意を表するものであります。五期二十年にわたり和歌山県政のトップとして今日の和歌山県の礎を築かれたご功績に深く敬意を表するとともに、特に私にとりましては、同和問題の解決を県政の重点柱として一貫して推進され、同和問題の解決に大いに貢献されたことに深く感謝と敬意を表するものであります。
 それでは、まず第一に景気対策についてからご質問をいたします。
 現在、我が国は長期にわたる景気の低迷、五百兆円に及ぶ財政赤字、行財政改革の難航、凶悪な犯罪の多発など、二十一世紀を目前にますます混迷への道を進んでいるように思われます。
 その中でも重要な景気の面から見てみますと、国は景気について緩やかな回復基調にある等々の発表をいたしておりますが、果たして私たちの身近な景気の動向は本当に回復の基調であると感じられるでしょうか。本年四月からの消費税率の引き上げに始まり、所得税減税の打ち切り、九月よりの健康保険等の負担増に加え、金融機関の不祥事や企業の倒産など、数え切れないほどの不安材料を国民に与えております。
 そこで、今回の質問は、我が和歌山県の将来のビジョンを踏まえ、私が問題意識を持った事柄について質問をさせていただきたいと思います。
 まず、我が県におきましても、さきの阪和銀行の業務停止をきっかけとした取引先の倒産や超低金利による銀行離れの金融不安が消費の低下につながり、不良債券の処理は遅々として進んでおらず、景気は全く上昇する気配すら見えてきておりません。そんな中、県はさまざまな問題を含みつつも、御坊市と住金西防埋立地に火力やLNG発電誘致を決定し、我が県の景気浮揚のため、また国の電源確保の見地により推進されましたことは、今後の県勢浮揚に十分こたえたものと推察するものであります。
 しかし、大手証券業界の昨今の不祥事や銀行を初めとした金融業界の破産、さらに大手ゼネコンの倒産など、さまざまな景気抑制の原因がある中で、県として第二の阪和銀行を発生させないよう、今こそあらゆる施策に十分な注意を払うことが最も必要となっております。特に、県内の金融機関の信用秩序の維持、県内企業の倒産防止など、積極的な施策の展開が急務となっております。景気の低迷する中で、県当局の県内景気の考え方と県内金融機関及び県内企業に対する維持、指導・施策について、まずお伺いをいたします。
 続いて、不適正支出について質問をいたします。
 これは昨日の議員の質問と重複する部分があるかと思いますが、それだけ重要な問題であるということで、質問をさらに重ねてさせていただきたいと思います。
 我が県の平成六年から八年度までの三年間の十三億円に及ぶ食糧費などの不適正支出問題は、県民においても驚くべき実態として受けとめられております。しかし、地方自治体の財政措置にのみ責任があったのでありましょうか。現在の補助金行政の矛盾、すなわち時期的に矛盾した予算措置のために短期間内に完全消化しなければその事業費は国へ返還あるいは次年度での予算カットを招くという国の県、市町村への行政執行の矛盾がこうした不適正支出を引き起こした基本的原因であり、地方自治体の財政逼迫とあわせて改革を行わなければなりません。
 県は、その内容を明らかにした上で、返還することを打ち出されておりますが、返還したからといって問題の根本的解決がなされたとは考えられないのであります。財政措置の仕組みについて、地方自治体として国に対し抜本的な改革を要求することを求めるものであります。
 また、我が国の行政行動における日本古来の慣習は信頼の上に成り立っており、人と人との信頼関係を構築するため、一見むだと思えるような交際を続けながらこれまで信頼をかち取ってまいったわけであります。この信頼が助け合う精神を育て、また、仕事の上においても関係をスムーズにしてきたことは歴史が物語っております。こうした努力の結果、現在の和歌山県の進展があるということを忘れてはなりません。仕事も近隣友好も基本は人と人であるところを考えますならば、正当に行政行動上必要と考えられる支出については合法的に認め、真に県浮揚にかける職員の情熱を保護するのも必要ではないかと思うわけであります。
 もちろん、襟を正し、行政の綱紀粛正を徹底的に行い、内容を公開し、監査機能の強化を含めたシステムを構築することも大事であります。行政の透明性を確保し、また監査機能を充実し、今までの県民にとっては本当にわかりにくい支出方法を改め、例えば交際費や食糧費を正規に予算計上してはいかがと思うものであります。
 また、きのうも指摘されておりましたけれども、職員の県政にかける情熱、やる気を喚起するためにも、正当な支出については正規に支出するべきであります。県職員の士気の低下は、和歌山県民全体の活力の低下を及ぼすものであります。景気がまことに深刻な状況の中で、県職員の活力が何よりも今求められているわけであります。県における監査機能の強化充実のあり方、及び行政執行の矛盾が引き起こした支出のあり方、並びに健全な予算措置の具体的な方策について、西口知事及び総務部長にお伺いをいたします。
 続いて、紀泉百万都市づくりについてお伺いをいたします。
 全国に魅力ある地域の創出と我が県の発展を念頭に、私は県議会に送っていただいてから数回にわたり紀泉百万都市構想を西口知事に質問させていただき、知事は、関西国際空港の二期工事の進展や新たな国土軸の形成に従って大きく発展する可能性を認識され、また、その進展に諮問機関の設置を答弁されました。
 関西国際空港が開港された当時、我が県は、道路整備、施設整備などにおいて、この絶好の機会に乗りおくれた経緯がございます。今、ビッグホエール建設等、県内整備は知事主導により着々と進められておりますが、私は長期的また総合的な見地に立ちますと、我が県のみで和歌山県の発展は到底望めるものではないと思うわけであります。特に、県勢浮揚には府県間協議が絶対必要不可欠であります。
 なるほど、阪和開発連絡会議なるものがあることは聞き知っておりますが、私はもっと的を絞ったプロジェクトを推進するため、我が県に隣接する大阪府の、とりわけ泉南地域の各町を対象とし、我が県は和歌山市、那賀郡の各町、伊都郡の各町、橋本市などの首長及び市町村議長、県議会議員を含めた、紀泉百万都市構想を単一議題とした紀泉サミット会議を具体的に、また迅速に西口知事主導で発足させるべきではないかと強く感じるわけであります。
 さらに、新しい県の長期総合計画が今策定されようとしていますが、紀泉百万都市構想の推進に関する計画がどのように生かされているのか。長期総合計画に明確に位置づけ、再び乗りおくれることのないように強力に推進をするべきであると考えるものであります。紀泉百万都市構想の紀泉サミット会議など具体的な推進計画と、それに伴う長期総合計画の中での位置づけを知事にお伺いいたします。
 次に、今後の農業振興についてお伺いをいたします。
 今日の流動的な政治状況の中で、長期的な視点に立って、高齢化社会への対応や規制緩和、構造改革を進め、財政システムの再構築を目指していくことが重要な課題であると考えております。
 さて、今、本格的な高齢化社会の到来、すなわち社会保障の経費の増大や働き手の減少、それに伴う国民負担の増大を考えれば、財政構造改革の推進は必要不可欠でありますが、未曾有の景気の低迷に拍車をかける結果を考えるならば、財政構造改革を今一概に進めてよいものかどうか、疑問に思うものであります。
 なお、この財政構造改革は、一つ社会保障にとどまらず、我が国や我が県の基幹産業である農業政策にも大きな影を落としております。財政構造改革五原則を踏まえた農業政策分野での推進は、公共事業費の削減やウルグアイ・ラウンド対策の期間延長と見直しなど、農業に対して圧迫度を増してきているのが現実であります。今までも問題になってきている開発重視による農地の減少、減反政策、後継者不足及び従事者の高齢化などによる農業離れにさらに拍車をかけることは間違いのない事実であります。
 一方、近年、人のライフスタイルの変化により、物の豊かさより心の豊かさを重視した生き方を選ぶ傾向にあり、人々は自然との触れ合いや自然環境の大切さに目覚めてきております。
 私はかねがね、農業というものを環境健康産業と位置づけ、農業施策を推進すべきではないかと考えておりました。田園や森林が自然の中で雨水を蓄えて緩慢に河川へ送り出す機能は渇水や洪水の調節機能などを有し、安全な食生活は健康につながり、緑は情緒面においても精神の安定を促進する一面があります。さらに、世界的な干ばつなどの食糧飢饉のための国内の自給食糧確保の面からも考えていかなければなりません。
 高齢化社会が進む中、高齢者を初め、我々をも含めた生きがいのある社会を構築することが大事であります。農業は、土に親しみ、物をつくり出す喜び、体を動かし適度な運動を生み、健康で食べ物をおいしく食することなど、高齢者の働き場所として生きがいづくりの一面も同時に持っておると思うわけであります。こうして見ますと、農業施策は総合的な自然保護、高齢者対策の面からも譲れない問題であり、人に優しく住みよい地球環境を守る総合的、基本的な政策の中心的な政策であろうと思うわけであります。この提案は、これからの農業のあり方を、環境保護及び生活文化づくりとして総合的に農業施策全般を見直すときと認識した上で勘案をしていただきたいと思うわけであります。
 そこで、県が今、那賀郡岩出町根来において自然を生かした森林公園を計画されておりますが、私はその内容とあわせて地域に活力を生む施設づくりを目指して、農業を楽しく体験できる、また観光を取り入れた新しい農業テーマパークを計画してはどうかと思うわけであります。この新しい農業テーマパークは、地元農家と一体となって、農産物の安定供給と地場産品の加工販売を通じての農家所得の向上と、土に親しむ機会のない人々に、大自然や家畜との触れ合いを通じて農業への理解を深め、生活文化の場を提供できるものであり、また地域の高齢者の生きがいの場を提供するとともに、雇用の機会を生むものであります。特に、この事業は一・五次産業としてあくまでも民間が主体に経営し、企業誘致の観点からも行われるべきであります。環境保護と高齢者の生きがいづくりとしての位置づけと農業の今後のあり方、また新しい農業テーマパークの建設推進についてお伺いをいたします。
 次に、二十一世紀の教育についてご質問をいたします。
 明治以来今日まで、我が国の発展に当たって教育が大きな役割を果たしてきており、だれでもひとしく教育を受ける機会が保障され、高度経済成長や教育の重大性を認識したことにより、世界に例のない全国平均九五・九%の高校進学率を誇り、大学などへは四割程度の高い進学率を示しております。
 しかし、今日、子供たちを取り巻く環境は、受験競争の過熱化、いじめや登校拒否など、さまざまな問題に直面し、親も子供たちも混乱している現状に加え、高齢化、少子化、長期化する不況、急速に進展する国際化や情報化など、大きく変化する社会にどう対処し、未来を担う子供たちをはぐくんでいけるかという問題に大変苦慮しているのが現状であります。
 例えば、本年四月、伊都郡かつらぎ町で発生した小学生の自殺事件は、関係方面に大きな衝撃を与えております。その原因については、今日、周辺にさまざまな憶測や疑問が生じ、新たな人権無視やいじめを生むことも考えられるわけであります。特に、小学生という低年齢の子供がみずからの命を絶つということは極めて重大な意味を持ち、個人の基本的人権を考える上でも、遠い北海道や九州ではなくこの和歌山県で起こったということを真剣に受けとめ、今この問題に対処していく必要があると考えるものであります。個性を大事にした教育にあって再び大きな犠牲を生じさせないため、個人のプライバシー保護も含めて早期にこの問題の原因究明を行うことが大事であろうと考えるわけであります。
 さて、戦後から今日に至る高度成長を第一義として歩んでまいりました我が国の教育方針は、日本を教育・経済大国へ押し上げてまいりました。しかし、二十一世紀を目前に大きく変化する人々や世界の人々の価値観を見るとき、これからの新しい教育のあり方、方向についてあらゆる角度より検討を重ね、二十一世紀を担う人材育成に全力を傾けなければなりません。
 そんな中、文部大臣は平成七年四月、中央教育審議会に二十一世紀を展望した我が国の教育のあり方について諮問し、平成八年四月、第一次答申を提出。その後、各方面の意見を徴集し、本年六月に第二次答申を行ったと伺っております。その内容は、ゆとりの中で子供たちの生きる力を育てることを基本に、入学者選抜の改善や中高一貫教育を公立学校に導入することを中心に、習熟度に従った学習進度のあり方や高齢化社会に対応する教育のあり方などの提言を行いました。
 低年齢化する重大事件により家庭教育、社会教育のあり方にも全国民の関心が高まっている今日、教育行政のこれからの方向は極めて重要であり、より広い視野での議論の上に立った早急な方針を示さなければなりません。我が県としても、中央教育審議会答申を受けて県独自の教育のあり方、方向について、現状に合った新しい教育の方針を示すべきであります。
 混迷する社会情勢の中、我が県は行政全般にわたって県勢浮揚に努力を重ねてきており、企業誘致を中心とした経済の活性化、観光誘致、電源誘致など大きなプロジェクトを打ち出しておりますが、これにかかわる人材の育成がおくれているように思われてなりません。
 例えば、私が住む那賀郡を取り上げてみますと、県下最大の人口増加地域であり、紀泉百万都市づくりを目指した企業誘致も進捗する中、中等教育の場として那賀高校、粉河高校、貴志川高校の三校がございますが、いずれも普通高校であり、いわゆる企業が希望する専門的に教育する工学系等の高校がありません。確かに、その中にあって特色ある学科を創設しておりますが、就職や進学する際に、普通高校の卒業であるがゆえに求人職種や進学コースに限りがあるように思われるわけであります。また、この三校、特に粉河高校、那賀高校は、それぞれ一千百二十七名、二十九クラス、一千百五十二名、二十九クラスとマンモス化が進み、適正生徒数をはるかに超えておる状態であります。
 なお、本年八月二十六日、那賀郡PTA進路対策協議会が西口知事に那賀郡の現状を説明し、将来展望に立った適正規模の高等学校新設を要望され、それまでの応急措置として現存する高等学校の学級増を陳情されております。那賀郡地域の現状に即した教育機会の均等や中央教育審議会答申の精神を踏まえた教育のあり方、施設づくりを早急に行っていただきたいと思います。大きく変化する人々や世界の価値観の中、中央教育審議会の答申を踏まえた県としての今後の新しい教育のあり方、小学生の自殺事件の経過及び今後の対策について、また、那賀郡の教育現状の認識及び那賀郡に即した特色ある私学をも含めた新設高校の建設についてお伺いをいたします。
 最後に、同和問題に質問を移らせていただきます。
 ことしの二月議会におきまして、私は同和問題関連の質問をいたしました。六月には松本県議会議員も質問をされております。その中で県当局は、いまだ差別は残されているという認識の上に立ち、国の動向を見据えてより強力に部落問題を含めた人権擁護に尽くすと答弁されております。
 地対財特法が本年三月末をもって、四十五事業のうち十五事業についてのみ五年間の経過的措置が施行されました。これを受けて県内各市町村は、それぞれの地域の現状にかんがみ、これからの同和問題のあり方について審議会などにより行政として一日も早い同和問題の解決に向けて取り組まれておるところであると認識しておったところでございますが、一部の市町村では実態や課題を無視し、住民の意見を十分聞かないで誤った認識による独自の判断により勝手な拡大解釈を行い、同和室の廃止など同和行政の放棄、解消に動いております。
 しかし、昭和四十年に出された同和対策審議会答申の中には、こういうことが書いてあります。「同和行政は、基本的には国の責任において当然行うべき行政であって、過渡的な特殊行政でもなければ、行政外の行政でもない」となっており、また昨年五月に出された政府の地対協意見具申では、答申の趣旨を今後とも引き継いでいかなければならないとし、特別対策の終了すなわち一般対策への移行が同和問題の早期解決を目指す取り組みの放棄を意味するものではないことは言うまでもない、このように指摘をしております。にもかかわらず、県下の一部の市町村で行われている動きは極めて重大な問題であると言わざるを得ないわけであります。
 行政は、特に各市町村長は、基本的に住民の幅広い意見を聞いた上で、おのおの行政施策を決めていかなければならないことは自明の理であり、住民の基本的人権を無視した暴挙と言わざるを得ません。県と市町村の関係から考えますと、市町村への同和問題においての指導性に疑問を感じざるを得ないのであります。
 人権擁護施策推進法が昨年十二月より施行され、同和問題を含めた人権擁護に新たな課題を提起しております。この事業にかかわる改正も、人権擁護施策推進法も、同和問題や課題を解決する手法が若干変化したものととらえるべきであり、本年二月県議会においても申し上げてきたところであります。決して同和問題を終了するものではなく、一般対策への移行の中でこの同和問題をどのように位置づけ、残されている事業や今後の環境改善、隣保館の運営、そのほか細部の今後の運営など、地域住民の安心して暮らせる地域づくりを人権擁護施策推進法と絡ませて検討を重ねるべきであります。
 また、この法律では財源の裏づけがなされておらないために、各単位市町村では、特に和歌山市、御坊市ほか残事業の特に多い地域については、県独自による財源を一般対策に位置づけ、確保するべきであります。一般対策への移行の中における同和問題の位置づけと市町村への部落差別を踏まえた法改正の趣旨の徹底指導、また今後の財源を前提とした細部の方針をお伺いしたいと思います。
 以上で、六項目にわたる私の第一回目の質問を終わらせていただきます。
○議長(木下秀男君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 飯田議員にお答えをいたします。
 まず予算の問題でありますけれども、今回明らかとなりました予算執行に係る問題につきましては、予算及び制度と実態との間に乖離があったこと、組織全体としてのチェック機能が十分に働いていなかったことなど、さまざまな要因が複合的に作用して生み出されたものと考えてございます。この背景、原因を踏まえまして、今後このような事態が起こることのないよう万全を期すために、職員の意識改革、予算措置と執行システムの改善、情報公開の充実、監視機能の強化を四本の柱に据えた改善策を策定したところでございます。
 特に、予算措置と執行方法については、今回の調査結果を踏まえまして、交際費等についても県行政を推進する上で真に必要な経費はより実態に即した予算措置を行い、使途目的に沿った執行を徹底するとともに、統一的な執行基準の策定と相まって予算執行の適正化を図ることとしております。議員ご指摘のように、職員の執務意欲を後退させることのないように、職員一人一人の創意工夫が県政の運営に反映できるようにするなどの配慮を行ってまいりたいと考えてございます。
 また、ご指摘ございました地方財政が国の補助金等に大きく依存しているという現状については、今後、地方分権を推進する上でも国と地方の財源配分のあり方についても強く主張してまいらなければならない、そのように考えております。
 いずれにいたしましても、今回策定をした予算執行に関する改善策の着実な推進を図りまして、県民の皆さんに信頼される県政の推進に全力を挙げてまいる決意でございます。
 次に、紀泉百万都市構想に関連してでございます。
 本県の紀北地域を含む紀泉地域には、関西国際空港の全体構想、あるいは新国土軸の形成、さらには京奈和自動車道、紀淡連絡道路といった、かつてない大きなプロジェクトが推進されつつございまして、今後発展の可能性は非常に大きいわけでございます。
 私も、県土づくりの大きな構想の一つとしてこれらの地域を緑で結んだ一つの都市圏としてとらえまして、関西の新たな核となる広域的で一体的な都市圏の形成として紀泉百万都市構想を提唱しているところでございます。この構想を推進して新たな都市圏を形成していくためには、議員ご提言のように、大阪府特に泉南地域との連携、交流を深めていく必要があると考えてございます。現在までも、阪和開発連絡協議会あるいは関西国際空港紀泉問題協議会、紀淡連絡道路実現期成同盟会などにおいて大阪府等と連携を深め、各種関連プロジェクトの推進に努めているところでございます。また、本年度は紀泉地域での広域連携あるいは交流の実態、並びに可能性等について調査を行ってございます。
 私案でありますし、まだあくまでも構想段階でございますけれども、来年度、紀泉地域に関係する首長、あるいは大阪府、経済界などとのトップ懇談会といいますか、いわゆる紀泉サミットというものを開催できないか考えておるわけでございまして、まだ具体的な計画には至っておりませんけれども、今後検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 景気対策につきまして、お答えをいたします。
 金融機関初め県内企業に対する施策と指導についてでございますが、県内景気については依然先行きに不透明感がございます。また、金融機関は、自身の経営体質の改善強化が強く求められている状況にございます。しかしながら、金融機関は企業活動において大きな役割を担っているところでございます。銀行協会を初め、各金融機関に対し、中小企業金融のより一層の円滑化に向けて強く協力要請を行うとともに、県内中小企業者の経営安定のため、県の融資制度の活用をも図ってまいりたいと考えております。
 さらに、県経済活性化に向けましては、議員お話しのように、経済波及効果の大きい大型プロジェクトの推進はもちろんのこと、企業誘致の促進にも努めるとともに、県内中小企業の育成についても、経営改善普及事業、また新たな産業活動を促進する観点から、企業の新製品、新技術の研究開発に対する助成・指導など、各般にわたる施策を積極的に展開してまいる所存でございます。
○議長(木下秀男君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 綱紀粛正と監査機能の充実についてお答えします。
 予算の適正な執行を行うためには、議員ご指摘のとおり、職員一人一人の意識改革に加え、予算措置と執行システムの改善、行政の透明性の確保や監視機能の強化が極めて重要と考えてございます。
 このことを踏まえ、今回、予算執行に関する改善策を策定したところでございますが、その具体策についてはただいま知事から答弁いたしました予算措置と執行方法の改善を行うとともに、職員の意識改革を促すため、また公務員倫理の確立を図るため、幹部職員に対する臨時特別研修の実施を初め、全職員に対する研修の充実強化を図ることとしてございます。また、公文書の開示方針の見直しを行うなど、行政の透明性を確保するとともに、庁内に事務適正化推進会議を設置するなど、内部における審査・点検の徹底に加え、行財政監査への重点化や監査手法の向上と外部監査制度導入による新たな監査制度の実施を踏まえ、監査機能の独立性、専門性の一層の充実を図ることとしてございます。
 今後は、これらの改善策の着実な推進を図り、予算の適正な執行に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 飯田議員にお答え申し上げます。
 新しい長期総合計画につきましては、年度内の策定を目指して作業を進めているところでございます。長期総合計画を構成する地域計画の中では広域的な連携による地域づくりを基本方向としておりまして、紀北地域の計画に当たっては、紀泉百万都市構想の考え方の基本となる泉南地域との交流、連携を見据えた中で、広域交流ネットワークの形成、高次都市機能の集積、ゆとりと潤いのある生活空間の形成、活力ある産業の集積といった地域の振興方策を示していきたいと考えてございます。
 交流、連携の具体的な取り組みについては、知事から申し上げました紀泉の連携についての調査検討を深めていく中で、実施計画において反映していきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 今後の農業のあり方の中で、環境保護と高齢者対策から見た農業のあり方についてのご質問でございます。
 近年、物から心への充足が強く求められ、環境問題への意識が増大する中、緑や水等の自然に対する関心も高まってございます。このような中で農業は、食料の生産を初め、県土や環境の保全といった多様な機能を果たしてございますが、高齢者もまたその一端を担い生きがいを持って参画できる健康産業として改めて見直されつつあり、自然と共生したこれからの時代を担う産業としてその機能を一層充実させていくことが極めて重要であると認識してございます。
 今後も、健康・安全な農産物を供給する三H農業を推進するとともに、農業、農村の持つすぐれた環境を守り生かす取り組みをも積極的に展開してまいりたいと考えてございます。
 次に、新しい農業テーマパークの建設促進についてのご質問でございます。
 ご提案の農業テーマパークは、自然環境を生かした農業と観光を結びつけた新しい形の事業展開として、地場産品の活用や農業体験を通じた触れ合いの場の提供、また土に親しむ喜び、生きがいの場の確保などを総合的に勘案されたものと考えてございます。このご提案については、自然に対する関心の高まりを踏まえ、農業を核にしたこれからの地域活性化方策を示す意義あるものと受けとめてございまして、京阪神大都市圏や関西国際空港を見据えた農業展開の一つとして、今後、議員お話しの県、市町村が実施する公園的施設などに農業公園的な要素を加えることや民間活力を取り入れることも視野に入れ、十分研究してまいる所存でございます。
○議長(木下秀男君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 同和問題についての二点にお答えをいたします。
 まず、一般対策移行への位置づけについてでございます。
 昨年来、国において地対財特法の一部改正や人権教育のための国連十年の国内行動計画の策定、また人権擁護施策推進法の制定がなされたことは、同和問題の早期解決を図るための新たな段階に対応したものであると認識しております。残された課題解決のための施策の実施に当たりましては、従来の特別対策はもちろんのこと、一般対策の中で対応する場合も、同和問題を早期に解決するために取り組むものでございます。
 次に、市町村に対する指導につきましては、「今後の同和対策の推進について」を作成・通知し、機会あるごとに周知を図ってきたところでございますが、一部においては今回の法改正等の趣旨を徹底されていないことも見受けられることから、今後ともさらに指導を図ってまいります。
 次に、残事業についての今後の方針でございます。
 一部地域に残されている物的事業については早期に完了できるよう、今後の同和対策に関する基本方針に基づいて市町村財政負担軽減のための予算措置を講じたところであり、地対財特法の期限内に完了できるよう指導を図ってまいります。今後とも、残された事業について計画的に実施できるよう、国に対して行財政措置が講じられるように引き続き要望してまいります。
○議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題、三点についてお答えいたします。
 さきの中央教育審議会の第二次答申では、二十一世紀を展望し、学校教育を初め家庭教育、地域における教育のあり方及びこれらの連携等について、幅広い観点からさまざまな提言がなされてございます。
 本県では、これまで高等学校入学者選抜において、学業成績だけでなく、ボランティア活動など日ごろの活動をより積極的に評価するとともに、それらを踏まえた推薦入学の拡大など、さまざまな改善を図ってきております。また、県立学校における学校間連携、総合学科の新設など、やわらかな教育システムの導入を推進してきたところでございます。
 答申を踏まえたこれからの教育については、こうした本県独自で行ってきた施策をさらに充実発展させていくとともに、高齢社会に対応する教育を初め、学校と家庭、地域とが一体となった生涯学習体系の一層の充実に向けて取り組んでまいる所存でございます。
 なお、答申の中にある中高一貫教育の導入につきましては、昨日お答えいたしましたとおり、一部の限られた生徒を対象としたエリート校づくりになることなどが危惧されることから、慎重に研究する必要があると考えております。
 次に、かつらぎ町における事件についてでございます。
 教育委員会におきましては、これまでも命の大切さに関する指導を推進してまいりましたが、このような事件が起きたことについて大きな衝撃を受け、深く心を痛めているところでございます。事件発生以来、小学校では全児童の家庭訪問や地域の方々からの聞き取り調査を行うなど、原因の究明とこうした事件の再発防止に努めてきたところであります。その原因や背景についてはいまだ明らかになっておりませんが、事件の経緯や学校の取り組みについては、遺族はもとより関係者に対して逐次報告してきたと伺っております。
 教育委員会といたしましては、事件発生後直ちにかつらぎ町教育委員会と連携し、学校の取り組みを積極的に支援してまいりました。さらに、このような悲劇を繰り返すことのないよう、緊急に全県市町村教育長会議や県高等学校長会、報道関係者を初めさまざまな立場の方々による緊急フォーラムなどを開催し、事件の経緯と取り組みを報告して各学校の取り組みに生かすよう指導してきてございます。
 この事件を通して、日ごろの子供とのかかわりや家庭、地域とのつながりの重要さを改めて痛感してございます。今後とも、これを教訓に、児童生徒の命や安全を守るため、学校、家庭、地域の連携協力対策を一層強め、教育相談や心の教育の充実に努めてまいる所存であります。
 那賀地方の高等学校につきましては、これまで理数科及び国際科を設置し、これら両科の学級増を行うなど、特色ある学校づくりを進めてきたところであります。今後とも、生徒、保護者や地域社会の多様なニーズ、各高校の実情等を踏まえながら、当地域にふさわしい普通教育及び専門教育の充実に向けて検討を進める必要があると考えております。
 また、高等学校新設につきましては、現時点では計画はございませんが、今後の人口増や生徒数の推移等を見きわめながら、地域の産業の発展に果たす教育の役割も踏まえ、専門的な知識、技術を持つ人材の育成に留意して慎重に対応を研究してまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 43番飯田敬文君。
○飯田敬文君 どうもありがとうございました。
 時間がございませんので、幾つかにわたって要望申し上げたいと思います。
 一点目は、紀泉百万都市づくりについてでございます。
 今、知事がご説明いただきましたように、私が提起してからでも、あるいは西口知事が知事になられてからでも、既に時間がかなりたっておるわけでございます。そういった意味では、基本計画すらないという状態ではなかなか進まないことが非常に危惧されるわけでございます。特に、高速体系、企業立地、研究学園ゾーン等、いろんな形で各地域での取り組みはあるわけでございますけれども、それを一体化して泉南地域と結びつけて、和歌山県のビジョンというか理念というか、西口知事のこの紀泉百万都市への方向づけ、ビジョンをひとつ早急につくっていただきたいとお願いしておきたいと思います。
 そのためにも、大阪府下のそういう取り組みが必要でございます。とりわけ、紀の川分水あるいは電源立地といった問題等を十分頭に入れていただきまして、大阪と連携を強めていただくそういうサミットを今年度じゅうにひとつよろしくお願い申し上げたい。重ねてお願いを申し上げたいと思います。
 それから、不適正支出にかかわっての問題でございます。
 私は、きのういろんな話も聞いておったわけでございますけれども、オンブズマンとは関係なしに、県民はやはりまだ納得していないのではないかと思うわけでございます。特に、県庁あるいは行政の論理というのは県民にはやっぱりまだ通用しないのではないかと、こういうふうに特に感じるわけでございます。
 不適正支出──きょうの新聞では「不正支出」と出ておりましたけれども、不正支出というのは支出自体が不正であるということでありまして、不適正支出というのは、支出は正当であるけれども不適正な支出の仕方をしたと、私はこういうふうに理解をしておるわけでございますけれども、この現象と根本的な原因の問題がはっきりしておらない。現行の制度の中でなぜ不適正な支出をせざるを得なかったのかということを、県民にもっとわかりやすく、具体的に勇気を持って説明をするべきではないかと、このように感じておるわけであります。
 それから、職員一人一人の皆さん方がこういったことについて自覚をしていただいて、士気を高めていくことが最も大事ではなかろうかと特に感じるわけでございます。県民の不信感を取り除くのは──職員の意気を落としたりやる気をなくしたりしたら、さらに県民の不信感が一層募るというふうに感じておるわけでございまして、職員一人一人が今回の事件についてのきちっとした考え方を持って、一人一人が自覚をして、県行政に対しての自信と誇りを持ってひとつ進めていただくように、特にお願いをいたしたいと思います。
 それから、かつらぎ町の問題でございます。
 小学校の五年生──私も小学校の子供がおるわけでございますけれども、小学生が自分の命を絶つということは、よっぽどのことがなければ命を絶たないわけであります。そういった意味で、人権問題はやっぱり大事な問題だという観点から、せっかく人権担当の窓口の職員を県の方に置いた経過もございますので、こういったかつらぎ町の小学生の自殺事件等、二度と再びこの和歌山県内から起こさないような体制を県行政の中からつくっていただきたい。この問題を教訓にしての徹底的な取り組みをお願いし、要望をして質問にかえさせていただきたいと思います。
 以上です。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で飯田敬文君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ