平成9年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第三号 平成九年九月二十五日(木曜日)
 午前十時開議
 第一 議案第百四号から議案第百十五号まで、議案第百十七号から議案第百二十号まで、及び報第七号(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第百四号から議案第百十五号まで、議案第百十七号から議案第百二十号まで、及び報第七号(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十七人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川 武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門 三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島 雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 谷 洋 一
 18 番 山 下 直 也
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 松 本 泰 造
 21 番 堀 本 隆 男
 22 番 宇治田 栄 蔵
 23 番 宗 正 彦
 24 番 橋 本 進
 25 番 神 出 政 巳
 26 番 玉 置 公 良
 27 番 上 野 哲 弘
 28 番 東 山 昭 久
 29 番 尾 崎 要 二
 30 番 野見山 海
 31 番 木 下 秀 男
 32 番 町 田 亘
 33 番 中 山 豊
 34 番 井 谷 勲
 35 番 鶴 田 至 弘
 36 番 森 正 樹
 37 番 村 岡 キミ子
 38 番 新 田 和 弘
 39 番 平 越 孝 哉
 40 番 森 本 明 雄
 41 番 長 坂 隆 司
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人

欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
 知 事 西 口 勇
 副知事 山 下 茂
 出納長 高 瀬 芳 彦
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 中 山 次 郎
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 生活文化部長 中 村 協 二
 福祉保健部長 小 西 悟
 商工労働部長 日 根 紀 男
 農林水産部長 平 松 俊 次
 土木部長 長 沢 小太郎
 企業局長 佐 野 萬瑳義
 教育委員会委員長
 山 本 昭
 教育長 西 川 時千代
 公安委員会委員 高 垣 宏
 警察本部長 米 田 壯
 人事委員会委員長
 若 林 弘 澄
 代表監査委員 宮 市 武 彦
 選挙管理委員会委員長
 谷 口 庄 一
 医科大学学長 山 本 博 之
 以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 西 畑 彰 久
 次 長 前 晴 夫
 議事課長 佐 竹 欣 司
 議事課副課長 島 光 正
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 川 崎 良 雄
 議事課主事 大 浦 達 司
 総務課長 塩 路 義 和
 調査課長 湊 孝太郎
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時三分開議
○議長(木下秀男君) これより本日の会議を開きます。
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 【日程第一 議案第百四号から議案第百十五号まで、議案第百十七号から議案第百二十号まで、及び報第七号】
 【日程第二 一般質問】
○議長(木下秀男君) 日程第一、議案第百四号から議案第百十五号まで、議案第百十七号から議案第百二十号まで、及び知事専決処分報告報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 43番飯田敬文君。
 〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いましてトップの質問をさせていただきます。
 質問に入る前に、去る九月二日逝去されました前仮谷知事に対しまして、深く哀悼の意を表するものであります。五期二十年にわたり和歌山県政のトップとして今日の和歌山県の礎を築かれたご功績に深く敬意を表するとともに、特に私にとりましては、同和問題の解決を県政の重点柱として一貫して推進され、同和問題の解決に大いに貢献されたことに深く感謝と敬意を表するものであります。
 それでは、まず第一に景気対策についてからご質問をいたします。
 現在、我が国は長期にわたる景気の低迷、五百兆円に及ぶ財政赤字、行財政改革の難航、凶悪な犯罪の多発など、二十一世紀を目前にますます混迷への道を進んでいるように思われます。
 その中でも重要な景気の面から見てみますと、国は景気について緩やかな回復基調にある等々の発表をいたしておりますが、果たして私たちの身近な景気の動向は本当に回復の基調であると感じられるでしょうか。本年四月からの消費税率の引き上げに始まり、所得税減税の打ち切り、九月よりの健康保険等の負担増に加え、金融機関の不祥事や企業の倒産など、数え切れないほどの不安材料を国民に与えております。
 そこで、今回の質問は、我が和歌山県の将来のビジョンを踏まえ、私が問題意識を持った事柄について質問をさせていただきたいと思います。
 まず、我が県におきましても、さきの阪和銀行の業務停止をきっかけとした取引先の倒産や超低金利による銀行離れの金融不安が消費の低下につながり、不良債券の処理は遅々として進んでおらず、景気は全く上昇する気配すら見えてきておりません。そんな中、県はさまざまな問題を含みつつも、御坊市と住金西防埋立地に火力やLNG発電誘致を決定し、我が県の景気浮揚のため、また国の電源確保の見地により推進されましたことは、今後の県勢浮揚に十分こたえたものと推察するものであります。
 しかし、大手証券業界の昨今の不祥事や銀行を初めとした金融業界の破産、さらに大手ゼネコンの倒産など、さまざまな景気抑制の原因がある中で、県として第二の阪和銀行を発生させないよう、今こそあらゆる施策に十分な注意を払うことが最も必要となっております。特に、県内の金融機関の信用秩序の維持、県内企業の倒産防止など、積極的な施策の展開が急務となっております。景気の低迷する中で、県当局の県内景気の考え方と県内金融機関及び県内企業に対する維持、指導・施策について、まずお伺いをいたします。
 続いて、不適正支出について質問をいたします。
 これは昨日の議員の質問と重複する部分があるかと思いますが、それだけ重要な問題であるということで、質問をさらに重ねてさせていただきたいと思います。
 我が県の平成六年から八年度までの三年間の十三億円に及ぶ食糧費などの不適正支出問題は、県民においても驚くべき実態として受けとめられております。しかし、地方自治体の財政措置にのみ責任があったのでありましょうか。現在の補助金行政の矛盾、すなわち時期的に矛盾した予算措置のために短期間内に完全消化しなければその事業費は国へ返還あるいは次年度での予算カットを招くという国の県、市町村への行政執行の矛盾がこうした不適正支出を引き起こした基本的原因であり、地方自治体の財政逼迫とあわせて改革を行わなければなりません。
 県は、その内容を明らかにした上で、返還することを打ち出されておりますが、返還したからといって問題の根本的解決がなされたとは考えられないのであります。財政措置の仕組みについて、地方自治体として国に対し抜本的な改革を要求することを求めるものであります。
 また、我が国の行政行動における日本古来の慣習は信頼の上に成り立っており、人と人との信頼関係を構築するため、一見むだと思えるような交際を続けながらこれまで信頼をかち取ってまいったわけであります。この信頼が助け合う精神を育て、また、仕事の上においても関係をスムーズにしてきたことは歴史が物語っております。こうした努力の結果、現在の和歌山県の進展があるということを忘れてはなりません。仕事も近隣友好も基本は人と人であるところを考えますならば、正当に行政行動上必要と考えられる支出については合法的に認め、真に県浮揚にかける職員の情熱を保護するのも必要ではないかと思うわけであります。
 もちろん、襟を正し、行政の綱紀粛正を徹底的に行い、内容を公開し、監査機能の強化を含めたシステムを構築することも大事であります。行政の透明性を確保し、また監査機能を充実し、今までの県民にとっては本当にわかりにくい支出方法を改め、例えば交際費や食糧費を正規に予算計上してはいかがと思うものであります。
 また、きのうも指摘されておりましたけれども、職員の県政にかける情熱、やる気を喚起するためにも、正当な支出については正規に支出するべきであります。県職員の士気の低下は、和歌山県民全体の活力の低下を及ぼすものであります。景気がまことに深刻な状況の中で、県職員の活力が何よりも今求められているわけであります。県における監査機能の強化充実のあり方、及び行政執行の矛盾が引き起こした支出のあり方、並びに健全な予算措置の具体的な方策について、西口知事及び総務部長にお伺いをいたします。
 続いて、紀泉百万都市づくりについてお伺いをいたします。
 全国に魅力ある地域の創出と我が県の発展を念頭に、私は県議会に送っていただいてから数回にわたり紀泉百万都市構想を西口知事に質問させていただき、知事は、関西国際空港の二期工事の進展や新たな国土軸の形成に従って大きく発展する可能性を認識され、また、その進展に諮問機関の設置を答弁されました。
 関西国際空港が開港された当時、我が県は、道路整備、施設整備などにおいて、この絶好の機会に乗りおくれた経緯がございます。今、ビッグホエール建設等、県内整備は知事主導により着々と進められておりますが、私は長期的また総合的な見地に立ちますと、我が県のみで和歌山県の発展は到底望めるものではないと思うわけであります。特に、県勢浮揚には府県間協議が絶対必要不可欠であります。
 なるほど、阪和開発連絡会議なるものがあることは聞き知っておりますが、私はもっと的を絞ったプロジェクトを推進するため、我が県に隣接する大阪府の、とりわけ泉南地域の各町を対象とし、我が県は和歌山市、那賀郡の各町、伊都郡の各町、橋本市などの首長及び市町村議長、県議会議員を含めた、紀泉百万都市構想を単一議題とした紀泉サミット会議を具体的に、また迅速に西口知事主導で発足させるべきではないかと強く感じるわけであります。
 さらに、新しい県の長期総合計画が今策定されようとしていますが、紀泉百万都市構想の推進に関する計画がどのように生かされているのか。長期総合計画に明確に位置づけ、再び乗りおくれることのないように強力に推進をするべきであると考えるものであります。紀泉百万都市構想の紀泉サミット会議など具体的な推進計画と、それに伴う長期総合計画の中での位置づけを知事にお伺いいたします。
 次に、今後の農業振興についてお伺いをいたします。
 今日の流動的な政治状況の中で、長期的な視点に立って、高齢化社会への対応や規制緩和、構造改革を進め、財政システムの再構築を目指していくことが重要な課題であると考えております。
 さて、今、本格的な高齢化社会の到来、すなわち社会保障の経費の増大や働き手の減少、それに伴う国民負担の増大を考えれば、財政構造改革の推進は必要不可欠でありますが、未曾有の景気の低迷に拍車をかける結果を考えるならば、財政構造改革を今一概に進めてよいものかどうか、疑問に思うものであります。
 なお、この財政構造改革は、一つ社会保障にとどまらず、我が国や我が県の基幹産業である農業政策にも大きな影を落としております。財政構造改革五原則を踏まえた農業政策分野での推進は、公共事業費の削減やウルグアイ・ラウンド対策の期間延長と見直しなど、農業に対して圧迫度を増してきているのが現実であります。今までも問題になってきている開発重視による農地の減少、減反政策、後継者不足及び従事者の高齢化などによる農業離れにさらに拍車をかけることは間違いのない事実であります。
 一方、近年、人のライフスタイルの変化により、物の豊かさより心の豊かさを重視した生き方を選ぶ傾向にあり、人々は自然との触れ合いや自然環境の大切さに目覚めてきております。
 私はかねがね、農業というものを環境健康産業と位置づけ、農業施策を推進すべきではないかと考えておりました。田園や森林が自然の中で雨水を蓄えて緩慢に河川へ送り出す機能は渇水や洪水の調節機能などを有し、安全な食生活は健康につながり、緑は情緒面においても精神の安定を促進する一面があります。さらに、世界的な干ばつなどの食糧飢饉のための国内の自給食糧確保の面からも考えていかなければなりません。
 高齢化社会が進む中、高齢者を初め、我々をも含めた生きがいのある社会を構築することが大事であります。農業は、土に親しみ、物をつくり出す喜び、体を動かし適度な運動を生み、健康で食べ物をおいしく食することなど、高齢者の働き場所として生きがいづくりの一面も同時に持っておると思うわけであります。こうして見ますと、農業施策は総合的な自然保護、高齢者対策の面からも譲れない問題であり、人に優しく住みよい地球環境を守る総合的、基本的な政策の中心的な政策であろうと思うわけであります。この提案は、これからの農業のあり方を、環境保護及び生活文化づくりとして総合的に農業施策全般を見直すときと認識した上で勘案をしていただきたいと思うわけであります。
 そこで、県が今、那賀郡岩出町根来において自然を生かした森林公園を計画されておりますが、私はその内容とあわせて地域に活力を生む施設づくりを目指して、農業を楽しく体験できる、また観光を取り入れた新しい農業テーマパークを計画してはどうかと思うわけであります。この新しい農業テーマパークは、地元農家と一体となって、農産物の安定供給と地場産品の加工販売を通じての農家所得の向上と、土に親しむ機会のない人々に、大自然や家畜との触れ合いを通じて農業への理解を深め、生活文化の場を提供できるものであり、また地域の高齢者の生きがいの場を提供するとともに、雇用の機会を生むものであります。特に、この事業は一・五次産業としてあくまでも民間が主体に経営し、企業誘致の観点からも行われるべきであります。環境保護と高齢者の生きがいづくりとしての位置づけと農業の今後のあり方、また新しい農業テーマパークの建設推進についてお伺いをいたします。
 次に、二十一世紀の教育についてご質問をいたします。
 明治以来今日まで、我が国の発展に当たって教育が大きな役割を果たしてきており、だれでもひとしく教育を受ける機会が保障され、高度経済成長や教育の重大性を認識したことにより、世界に例のない全国平均九五・九%の高校進学率を誇り、大学などへは四割程度の高い進学率を示しております。
 しかし、今日、子供たちを取り巻く環境は、受験競争の過熱化、いじめや登校拒否など、さまざまな問題に直面し、親も子供たちも混乱している現状に加え、高齢化、少子化、長期化する不況、急速に進展する国際化や情報化など、大きく変化する社会にどう対処し、未来を担う子供たちをはぐくんでいけるかという問題に大変苦慮しているのが現状であります。
 例えば、本年四月、伊都郡かつらぎ町で発生した小学生の自殺事件は、関係方面に大きな衝撃を与えております。その原因については、今日、周辺にさまざまな憶測や疑問が生じ、新たな人権無視やいじめを生むことも考えられるわけであります。特に、小学生という低年齢の子供がみずからの命を絶つということは極めて重大な意味を持ち、個人の基本的人権を考える上でも、遠い北海道や九州ではなくこの和歌山県で起こったということを真剣に受けとめ、今この問題に対処していく必要があると考えるものであります。個性を大事にした教育にあって再び大きな犠牲を生じさせないため、個人のプライバシー保護も含めて早期にこの問題の原因究明を行うことが大事であろうと考えるわけであります。
 さて、戦後から今日に至る高度成長を第一義として歩んでまいりました我が国の教育方針は、日本を教育・経済大国へ押し上げてまいりました。しかし、二十一世紀を目前に大きく変化する人々や世界の人々の価値観を見るとき、これからの新しい教育のあり方、方向についてあらゆる角度より検討を重ね、二十一世紀を担う人材育成に全力を傾けなければなりません。
 そんな中、文部大臣は平成七年四月、中央教育審議会に二十一世紀を展望した我が国の教育のあり方について諮問し、平成八年四月、第一次答申を提出。その後、各方面の意見を徴集し、本年六月に第二次答申を行ったと伺っております。その内容は、ゆとりの中で子供たちの生きる力を育てることを基本に、入学者選抜の改善や中高一貫教育を公立学校に導入することを中心に、習熟度に従った学習進度のあり方や高齢化社会に対応する教育のあり方などの提言を行いました。
 低年齢化する重大事件により家庭教育、社会教育のあり方にも全国民の関心が高まっている今日、教育行政のこれからの方向は極めて重要であり、より広い視野での議論の上に立った早急な方針を示さなければなりません。我が県としても、中央教育審議会答申を受けて県独自の教育のあり方、方向について、現状に合った新しい教育の方針を示すべきであります。
 混迷する社会情勢の中、我が県は行政全般にわたって県勢浮揚に努力を重ねてきており、企業誘致を中心とした経済の活性化、観光誘致、電源誘致など大きなプロジェクトを打ち出しておりますが、これにかかわる人材の育成がおくれているように思われてなりません。
 例えば、私が住む那賀郡を取り上げてみますと、県下最大の人口増加地域であり、紀泉百万都市づくりを目指した企業誘致も進捗する中、中等教育の場として那賀高校、粉河高校、貴志川高校の三校がございますが、いずれも普通高校であり、いわゆる企業が希望する専門的に教育する工学系等の高校がありません。確かに、その中にあって特色ある学科を創設しておりますが、就職や進学する際に、普通高校の卒業であるがゆえに求人職種や進学コースに限りがあるように思われるわけであります。また、この三校、特に粉河高校、那賀高校は、それぞれ一千百二十七名、二十九クラス、一千百五十二名、二十九クラスとマンモス化が進み、適正生徒数をはるかに超えておる状態であります。
 なお、本年八月二十六日、那賀郡PTA進路対策協議会が西口知事に那賀郡の現状を説明し、将来展望に立った適正規模の高等学校新設を要望され、それまでの応急措置として現存する高等学校の学級増を陳情されております。那賀郡地域の現状に即した教育機会の均等や中央教育審議会答申の精神を踏まえた教育のあり方、施設づくりを早急に行っていただきたいと思います。大きく変化する人々や世界の価値観の中、中央教育審議会の答申を踏まえた県としての今後の新しい教育のあり方、小学生の自殺事件の経過及び今後の対策について、また、那賀郡の教育現状の認識及び那賀郡に即した特色ある私学をも含めた新設高校の建設についてお伺いをいたします。
 最後に、同和問題に質問を移らせていただきます。
 ことしの二月議会におきまして、私は同和問題関連の質問をいたしました。六月には松本県議会議員も質問をされております。その中で県当局は、いまだ差別は残されているという認識の上に立ち、国の動向を見据えてより強力に部落問題を含めた人権擁護に尽くすと答弁されております。
 地対財特法が本年三月末をもって、四十五事業のうち十五事業についてのみ五年間の経過的措置が施行されました。これを受けて県内各市町村は、それぞれの地域の現状にかんがみ、これからの同和問題のあり方について審議会などにより行政として一日も早い同和問題の解決に向けて取り組まれておるところであると認識しておったところでございますが、一部の市町村では実態や課題を無視し、住民の意見を十分聞かないで誤った認識による独自の判断により勝手な拡大解釈を行い、同和室の廃止など同和行政の放棄、解消に動いております。
 しかし、昭和四十年に出された同和対策審議会答申の中には、こういうことが書いてあります。「同和行政は、基本的には国の責任において当然行うべき行政であって、過渡的な特殊行政でもなければ、行政外の行政でもない」となっており、また昨年五月に出された政府の地対協意見具申では、答申の趣旨を今後とも引き継いでいかなければならないとし、特別対策の終了すなわち一般対策への移行が同和問題の早期解決を目指す取り組みの放棄を意味するものではないことは言うまでもない、このように指摘をしております。にもかかわらず、県下の一部の市町村で行われている動きは極めて重大な問題であると言わざるを得ないわけであります。
 行政は、特に各市町村長は、基本的に住民の幅広い意見を聞いた上で、おのおの行政施策を決めていかなければならないことは自明の理であり、住民の基本的人権を無視した暴挙と言わざるを得ません。県と市町村の関係から考えますと、市町村への同和問題においての指導性に疑問を感じざるを得ないのであります。
 人権擁護施策推進法が昨年十二月より施行され、同和問題を含めた人権擁護に新たな課題を提起しております。この事業にかかわる改正も、人権擁護施策推進法も、同和問題や課題を解決する手法が若干変化したものととらえるべきであり、本年二月県議会においても申し上げてきたところであります。決して同和問題を終了するものではなく、一般対策への移行の中でこの同和問題をどのように位置づけ、残されている事業や今後の環境改善、隣保館の運営、そのほか細部の今後の運営など、地域住民の安心して暮らせる地域づくりを人権擁護施策推進法と絡ませて検討を重ねるべきであります。
 また、この法律では財源の裏づけがなされておらないために、各単位市町村では、特に和歌山市、御坊市ほか残事業の特に多い地域については、県独自による財源を一般対策に位置づけ、確保するべきであります。一般対策への移行の中における同和問題の位置づけと市町村への部落差別を踏まえた法改正の趣旨の徹底指導、また今後の財源を前提とした細部の方針をお伺いしたいと思います。
 以上で、六項目にわたる私の第一回目の質問を終わらせていただきます。
○議長(木下秀男君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 飯田議員にお答えをいたします。
 まず予算の問題でありますけれども、今回明らかとなりました予算執行に係る問題につきましては、予算及び制度と実態との間に乖離があったこと、組織全体としてのチェック機能が十分に働いていなかったことなど、さまざまな要因が複合的に作用して生み出されたものと考えてございます。この背景、原因を踏まえまして、今後このような事態が起こることのないよう万全を期すために、職員の意識改革、予算措置と執行システムの改善、情報公開の充実、監視機能の強化を四本の柱に据えた改善策を策定したところでございます。
 特に、予算措置と執行方法については、今回の調査結果を踏まえまして、交際費等についても県行政を推進する上で真に必要な経費はより実態に即した予算措置を行い、使途目的に沿った執行を徹底するとともに、統一的な執行基準の策定と相まって予算執行の適正化を図ることとしております。議員ご指摘のように、職員の執務意欲を後退させることのないように、職員一人一人の創意工夫が県政の運営に反映できるようにするなどの配慮を行ってまいりたいと考えてございます。
 また、ご指摘ございました地方財政が国の補助金等に大きく依存しているという現状については、今後、地方分権を推進する上でも国と地方の財源配分のあり方についても強く主張してまいらなければならない、そのように考えております。
 いずれにいたしましても、今回策定をした予算執行に関する改善策の着実な推進を図りまして、県民の皆さんに信頼される県政の推進に全力を挙げてまいる決意でございます。
 次に、紀泉百万都市構想に関連してでございます。
 本県の紀北地域を含む紀泉地域には、関西国際空港の全体構想、あるいは新国土軸の形成、さらには京奈和自動車道、紀淡連絡道路といった、かつてない大きなプロジェクトが推進されつつございまして、今後発展の可能性は非常に大きいわけでございます。
 私も、県土づくりの大きな構想の一つとしてこれらの地域を緑で結んだ一つの都市圏としてとらえまして、関西の新たな核となる広域的で一体的な都市圏の形成として紀泉百万都市構想を提唱しているところでございます。この構想を推進して新たな都市圏を形成していくためには、議員ご提言のように、大阪府特に泉南地域との連携、交流を深めていく必要があると考えてございます。現在までも、阪和開発連絡協議会あるいは関西国際空港紀泉問題協議会、紀淡連絡道路実現期成同盟会などにおいて大阪府等と連携を深め、各種関連プロジェクトの推進に努めているところでございます。また、本年度は紀泉地域での広域連携あるいは交流の実態、並びに可能性等について調査を行ってございます。
 私案でありますし、まだあくまでも構想段階でございますけれども、来年度、紀泉地域に関係する首長、あるいは大阪府、経済界などとのトップ懇談会といいますか、いわゆる紀泉サミットというものを開催できないか考えておるわけでございまして、まだ具体的な計画には至っておりませんけれども、今後検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 景気対策につきまして、お答えをいたします。
 金融機関初め県内企業に対する施策と指導についてでございますが、県内景気については依然先行きに不透明感がございます。また、金融機関は、自身の経営体質の改善強化が強く求められている状況にございます。しかしながら、金融機関は企業活動において大きな役割を担っているところでございます。銀行協会を初め、各金融機関に対し、中小企業金融のより一層の円滑化に向けて強く協力要請を行うとともに、県内中小企業者の経営安定のため、県の融資制度の活用をも図ってまいりたいと考えております。
 さらに、県経済活性化に向けましては、議員お話しのように、経済波及効果の大きい大型プロジェクトの推進はもちろんのこと、企業誘致の促進にも努めるとともに、県内中小企業の育成についても、経営改善普及事業、また新たな産業活動を促進する観点から、企業の新製品、新技術の研究開発に対する助成・指導など、各般にわたる施策を積極的に展開してまいる所存でございます。
○議長(木下秀男君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 綱紀粛正と監査機能の充実についてお答えします。
 予算の適正な執行を行うためには、議員ご指摘のとおり、職員一人一人の意識改革に加え、予算措置と執行システムの改善、行政の透明性の確保や監視機能の強化が極めて重要と考えてございます。
 このことを踏まえ、今回、予算執行に関する改善策を策定したところでございますが、その具体策についてはただいま知事から答弁いたしました予算措置と執行方法の改善を行うとともに、職員の意識改革を促すため、また公務員倫理の確立を図るため、幹部職員に対する臨時特別研修の実施を初め、全職員に対する研修の充実強化を図ることとしてございます。また、公文書の開示方針の見直しを行うなど、行政の透明性を確保するとともに、庁内に事務適正化推進会議を設置するなど、内部における審査・点検の徹底に加え、行財政監査への重点化や監査手法の向上と外部監査制度導入による新たな監査制度の実施を踏まえ、監査機能の独立性、専門性の一層の充実を図ることとしてございます。
 今後は、これらの改善策の着実な推進を図り、予算の適正な執行に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 飯田議員にお答え申し上げます。
 新しい長期総合計画につきましては、年度内の策定を目指して作業を進めているところでございます。長期総合計画を構成する地域計画の中では広域的な連携による地域づくりを基本方向としておりまして、紀北地域の計画に当たっては、紀泉百万都市構想の考え方の基本となる泉南地域との交流、連携を見据えた中で、広域交流ネットワークの形成、高次都市機能の集積、ゆとりと潤いのある生活空間の形成、活力ある産業の集積といった地域の振興方策を示していきたいと考えてございます。
 交流、連携の具体的な取り組みについては、知事から申し上げました紀泉の連携についての調査検討を深めていく中で、実施計画において反映していきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 今後の農業のあり方の中で、環境保護と高齢者対策から見た農業のあり方についてのご質問でございます。
 近年、物から心への充足が強く求められ、環境問題への意識が増大する中、緑や水等の自然に対する関心も高まってございます。このような中で農業は、食料の生産を初め、県土や環境の保全といった多様な機能を果たしてございますが、高齢者もまたその一端を担い生きがいを持って参画できる健康産業として改めて見直されつつあり、自然と共生したこれからの時代を担う産業としてその機能を一層充実させていくことが極めて重要であると認識してございます。
 今後も、健康・安全な農産物を供給する三H農業を推進するとともに、農業、農村の持つすぐれた環境を守り生かす取り組みをも積極的に展開してまいりたいと考えてございます。
 次に、新しい農業テーマパークの建設促進についてのご質問でございます。
 ご提案の農業テーマパークは、自然環境を生かした農業と観光を結びつけた新しい形の事業展開として、地場産品の活用や農業体験を通じた触れ合いの場の提供、また土に親しむ喜び、生きがいの場の確保などを総合的に勘案されたものと考えてございます。このご提案については、自然に対する関心の高まりを踏まえ、農業を核にしたこれからの地域活性化方策を示す意義あるものと受けとめてございまして、京阪神大都市圏や関西国際空港を見据えた農業展開の一つとして、今後、議員お話しの県、市町村が実施する公園的施設などに農業公園的な要素を加えることや民間活力を取り入れることも視野に入れ、十分研究してまいる所存でございます。
○議長(木下秀男君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 同和問題についての二点にお答えをいたします。
 まず、一般対策移行への位置づけについてでございます。
 昨年来、国において地対財特法の一部改正や人権教育のための国連十年の国内行動計画の策定、また人権擁護施策推進法の制定がなされたことは、同和問題の早期解決を図るための新たな段階に対応したものであると認識しております。残された課題解決のための施策の実施に当たりましては、従来の特別対策はもちろんのこと、一般対策の中で対応する場合も、同和問題を早期に解決するために取り組むものでございます。
 次に、市町村に対する指導につきましては、「今後の同和対策の推進について」を作成・通知し、機会あるごとに周知を図ってきたところでございますが、一部においては今回の法改正等の趣旨を徹底されていないことも見受けられることから、今後ともさらに指導を図ってまいります。
 次に、残事業についての今後の方針でございます。
 一部地域に残されている物的事業については早期に完了できるよう、今後の同和対策に関する基本方針に基づいて市町村財政負担軽減のための予算措置を講じたところであり、地対財特法の期限内に完了できるよう指導を図ってまいります。今後とも、残された事業について計画的に実施できるよう、国に対して行財政措置が講じられるように引き続き要望してまいります。
○議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題、三点についてお答えいたします。
 さきの中央教育審議会の第二次答申では、二十一世紀を展望し、学校教育を初め家庭教育、地域における教育のあり方及びこれらの連携等について、幅広い観点からさまざまな提言がなされてございます。
 本県では、これまで高等学校入学者選抜において、学業成績だけでなく、ボランティア活動など日ごろの活動をより積極的に評価するとともに、それらを踏まえた推薦入学の拡大など、さまざまな改善を図ってきております。また、県立学校における学校間連携、総合学科の新設など、やわらかな教育システムの導入を推進してきたところでございます。
 答申を踏まえたこれからの教育については、こうした本県独自で行ってきた施策をさらに充実発展させていくとともに、高齢社会に対応する教育を初め、学校と家庭、地域とが一体となった生涯学習体系の一層の充実に向けて取り組んでまいる所存でございます。
 なお、答申の中にある中高一貫教育の導入につきましては、昨日お答えいたしましたとおり、一部の限られた生徒を対象としたエリート校づくりになることなどが危惧されることから、慎重に研究する必要があると考えております。
 次に、かつらぎ町における事件についてでございます。
 教育委員会におきましては、これまでも命の大切さに関する指導を推進してまいりましたが、このような事件が起きたことについて大きな衝撃を受け、深く心を痛めているところでございます。事件発生以来、小学校では全児童の家庭訪問や地域の方々からの聞き取り調査を行うなど、原因の究明とこうした事件の再発防止に努めてきたところであります。その原因や背景についてはいまだ明らかになっておりませんが、事件の経緯や学校の取り組みについては、遺族はもとより関係者に対して逐次報告してきたと伺っております。
 教育委員会といたしましては、事件発生後直ちにかつらぎ町教育委員会と連携し、学校の取り組みを積極的に支援してまいりました。さらに、このような悲劇を繰り返すことのないよう、緊急に全県市町村教育長会議や県高等学校長会、報道関係者を初めさまざまな立場の方々による緊急フォーラムなどを開催し、事件の経緯と取り組みを報告して各学校の取り組みに生かすよう指導してきてございます。
 この事件を通して、日ごろの子供とのかかわりや家庭、地域とのつながりの重要さを改めて痛感してございます。今後とも、これを教訓に、児童生徒の命や安全を守るため、学校、家庭、地域の連携協力対策を一層強め、教育相談や心の教育の充実に努めてまいる所存であります。
 那賀地方の高等学校につきましては、これまで理数科及び国際科を設置し、これら両科の学級増を行うなど、特色ある学校づくりを進めてきたところであります。今後とも、生徒、保護者や地域社会の多様なニーズ、各高校の実情等を踏まえながら、当地域にふさわしい普通教育及び専門教育の充実に向けて検討を進める必要があると考えております。
 また、高等学校新設につきましては、現時点では計画はございませんが、今後の人口増や生徒数の推移等を見きわめながら、地域の産業の発展に果たす教育の役割も踏まえ、専門的な知識、技術を持つ人材の育成に留意して慎重に対応を研究してまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 43番飯田敬文君。
○飯田敬文君 どうもありがとうございました。
 時間がございませんので、幾つかにわたって要望申し上げたいと思います。
 一点目は、紀泉百万都市づくりについてでございます。
 今、知事がご説明いただきましたように、私が提起してからでも、あるいは西口知事が知事になられてからでも、既に時間がかなりたっておるわけでございます。そういった意味では、基本計画すらないという状態ではなかなか進まないことが非常に危惧されるわけでございます。特に、高速体系、企業立地、研究学園ゾーン等、いろんな形で各地域での取り組みはあるわけでございますけれども、それを一体化して泉南地域と結びつけて、和歌山県のビジョンというか理念というか、西口知事のこの紀泉百万都市への方向づけ、ビジョンをひとつ早急につくっていただきたいとお願いしておきたいと思います。
 そのためにも、大阪府下のそういう取り組みが必要でございます。とりわけ、紀の川分水あるいは電源立地といった問題等を十分頭に入れていただきまして、大阪と連携を強めていただくそういうサミットを今年度じゅうにひとつよろしくお願い申し上げたい。重ねてお願いを申し上げたいと思います。
 それから、不適正支出にかかわっての問題でございます。
 私は、きのういろんな話も聞いておったわけでございますけれども、オンブズマンとは関係なしに、県民はやはりまだ納得していないのではないかと思うわけでございます。特に、県庁あるいは行政の論理というのは県民にはやっぱりまだ通用しないのではないかと、こういうふうに特に感じるわけでございます。
 不適正支出──きょうの新聞では「不正支出」と出ておりましたけれども、不正支出というのは支出自体が不正であるということでありまして、不適正支出というのは、支出は正当であるけれども不適正な支出の仕方をしたと、私はこういうふうに理解をしておるわけでございますけれども、この現象と根本的な原因の問題がはっきりしておらない。現行の制度の中でなぜ不適正な支出をせざるを得なかったのかということを、県民にもっとわかりやすく、具体的に勇気を持って説明をするべきではないかと、このように感じておるわけであります。
 それから、職員一人一人の皆さん方がこういったことについて自覚をしていただいて、士気を高めていくことが最も大事ではなかろうかと特に感じるわけでございます。県民の不信感を取り除くのは──職員の意気を落としたりやる気をなくしたりしたら、さらに県民の不信感が一層募るというふうに感じておるわけでございまして、職員一人一人が今回の事件についてのきちっとした考え方を持って、一人一人が自覚をして、県行政に対しての自信と誇りを持ってひとつ進めていただくように、特にお願いをいたしたいと思います。
 それから、かつらぎ町の問題でございます。
 小学校の五年生──私も小学校の子供がおるわけでございますけれども、小学生が自分の命を絶つということは、よっぽどのことがなければ命を絶たないわけであります。そういった意味で、人権問題はやっぱり大事な問題だという観点から、せっかく人権担当の窓口の職員を県の方に置いた経過もございますので、こういったかつらぎ町の小学生の自殺事件等、二度と再びこの和歌山県内から起こさないような体制を県行政の中からつくっていただきたい。この問題を教訓にしての徹底的な取り組みをお願いし、要望をして質問にかえさせていただきたいと思います。
 以上です。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で飯田敬文君の質問が終了いたしました。
○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番中山 豊君。
 〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 しばし時間をいただいて、所見を述べながら幾つかの質問をさせていただきます。
 まず一つは、阪和線を海南駅まで延伸させてくださいという要求であります。
 建設常任委員会の県内視察に当たって、九月三日、橋本、岩出、和歌山、湯浅の土木事務所及び各管内の自治体の長たちから陳情を受けた後、質疑があり、国道四十二号が有田市から海南市間の交通緩和策等、集中的に実現方を求められました。その後、委員長が「ほかにないかい」と、こういうふうなご質問を僕の顔を見ながら言うてくれたので、このときとばかり、次のようなご質問を申し上げたわけです。
 海南駅連続立体交差事業が、当局の努力で昨年八月に上り線が供用開始され、来年の今ごろには駅舎の完成とともに全線供用開始の予定と伺いましたが、高架化を前面に押し出したゆえに、それと合わせての市民要求である阪和線を海南駅までという要求が後ろに追いやられていっていたわけであります。この機会を逃しては永劫に実現しないとして強い要求が表に出されるようになってきていますが、切りかえのポイントだけをやりかえればホームも架線もそのままで可能だとも聞き及んでいるけれども、これの実現のためにどのようにお考えいただいているんでしょうかと、こういうふうに尋ねてみたんです。そうしたら和歌山土木事務所長から、前向きに取り組まれているとの感触があるようなお話を聞いたわけであります。
 これについてさらに本議場で、見通しとそれの取り組みについてのお考えをしかとお伺いしたいのが質問の内容であるわけです。これは海南市のみならず、野上谷の方々及び下津や有田、広くは和歌山市の南部にまで広域に及んでJR及び県当局にお願いに行こうではないかというふうな機運が高まっていることなどもご紹介申し上げながら、これの実現のためにしかとしたお取り組みをお願いしたいというのが一件目であります。
 二つ目。高規格道路海南吉備線四車線化を打ち出されて都計審にかけられてから、関係住民は極めて強い関心を寄せるようになりました。関係住民が寄り集まり、当局から都計審後の経過や状況を聞きたいと説明会さえ持たれるというふうなことにもなりました。要は、法線はどうなるのか、関係した住民の要求とも絡めて計画設計を早く知りたいというところにあるわけであります。特に申し上げたいのは、いろいろな手順もあろうかと思うけれども、住民の関心に早くこたえていただくのが得策ではないかと、こういうふうにも考えます。
 さらに申し上げたいのは、県砂防課資料にもあるように、土石流危険激流とされている西山田川の上流に係ることでもあることだし、現在の高規格道路建設の折に慶権寺池に流排水をとることにしたことにより、この池の堤が危ないとの指摘もされたりしていることから、高速道路の四車線化に向かって、担当課だけでなく横断的、総合的な体制で対応されるよう強く求めるところであります。所見をお伺いいたします。
 三つ目、三百七十号整備促進についてであります。
 これについては何回も取り上げ、当局に促進方を求めてきました。今までの答弁でよしとしているわけではないのです。海南から高野まで観光バスを走らせたいという沿線住民、海南市民の切なる願いであります。地元の発展に欠かせないルートであるわけであります。すなわち、関空、高規格道路、三百七十号、高野への、極めて当地方の発展に欠かせない問題であります。それゆえに、海南・野上方面は県の道路行政の上からどんな位置づけをなさっているのか、改めてお聞きしておきたいわけであります。
 「県内どこでも二時間で」と知事が申されているけれども、紀南と紀北を結ぶ縦の線だけを指して言っているのではないんでしょう。半島性からの脱却は縦線だけで済まされない。横の線も大いに語り合わねばなるまい。国道三百七十一号の整備に係る要求の強いのも、県内視察の中でひしひしと感じたところであります。それにも増して、海南・高野四十キロメートル、時には二、三時間もかかります。北と南の二百キロメートルの五分の一の距離が二時間も三時間も要するというものであります。政策的順位からはいまだしというところかもしれないけれど、県内の道路状況から見て一番手つかずのところにあるのではないか。谷を越えての四百八十号、笠田から西高野街道に比べてみても格段の差があります。整備促進を強く求めていきたいわけであります。
 中でも、重根・木津間の街路計画のあるところ、すなわち四百二十四号と交差する地点までを早く取り組まれたい。阪井地区間のバイパス構想はとんざした状況にあって、暫定的な緩和策として沖野々森小手穂線にとることを申し上げ、取り組みが急がれるところにあるけれども、その進みぐあいはどうなっているのか。とりわけ幡川地区内の取り組みは計画どおりに進んでいるのか。阪井地区内のバイパスは、以前に示された法線について微調整は可能なのか。
 四つ目、南紀熊野体験博についてであります。これは、議場の限られた時間の中でやりとりするということでは極めて難しい課題であるので、所信を述べてお考えを聞くということにとどめたいと思うんですけれども。
 南紀熊野体験博を平成十一年の四月下旬から九月上旬までを期間に南紀熊野地域を舞台に開催しようとしているけれども、折しも県内視察が南紀熊野地域とあったので一行に加わり、概観してまいりました。知事が常に提起されている「県内どこでも二時間」で速くなり広くなる和歌山の道、実感してまいりました。特に三百十一号、百六十九号、四百二十四号及び四百二十四号につなぐ県道百九十八号龍神中辺路線等、内陸部の縦貫道路整備には目をみはるものがありました。現場での懸命の努力が払われている姿に頭が下がる思いをいたしました。北高南低と県政を評する者がいたけれども、実態は変わっているなという感じさえしました。
 中でも中辺路町と本宮町の境界線付近の改良工事は、熊野体験博に合わせるために平成十一年度に完了するとの工期を別にして、一年前に仕上げをしようという取り組みのように思われるほどの苦労がにじみ出ているようにも思われました。労働災害を起こさねばよいがとさえ思うくらいでありました。県勢発展に大きく貢献する取り組みであることは、関係自治体の皆さんの出迎えや陳情をなさる姿から十分うかがえるところでした。四十二号を使うより内陸部縦貫道を使う方が和歌山まで時間は著しく短縮されると、地元の和田正一議員のお話を実感を持って受けとめました。そうでしたよね、和田さん。
 視察前にひそかに関心を寄せていたことにかんがみ、体験博を一年余で迎えることになるけれども、どのように準備されているか、道路行政の進展とのかみ合わせでどのように企画されようとしているのか、あるいはまた、森林の荒廃、山間地の農業の実態等を思いながら、関係自治体の皆さんは十分把握されて準備に取りかかろうとなさっているのだろうかと思いながら視察をしたわけであります。
 視察の道すがら、地域住民の手によって立てられたのであろう立て札にこんなものがありました。「この先、変なものがあります」──「この先、こんなものがあります」ということでそのものを具体的に書かれていたとしたら、その立て看板を見た人は、ああこんなものかというふうに固定的にすぐ見ていくんでしょうけれども、「変なものがあります」というと興味津々、何があるんだろうという形で次に歩を進めようとする、そういう気持ちに駆られますよね。
 「ようこそ お越しを」、「またのお越しを お気をつけて」、地域住民の心情が素朴にあらわされている心遣いをうかがうわけであります。このような心遣いや心情をベースに体験博が組織されたら、現代人の疲れた心と体をいやし、新たな活力を生み出す心のリゾートとして成功するのではないかと、ふと思ったわけであります。南紀熊野でなければできない、いわば昔のアリの熊野もうでとして熊野に足を踏み入れようとした人々の心は何だったのか、それをよみがえらせ、それにこたえる取り組みをしてこそ、オープンエリアで展開する、たぐいのない体験博となるのではないか、こんなことも思ったわけであります。
 それを目指そうとするならどうするか。広く深く検討し、準備する必要があるのではないかとさえ思ったりしたわけです。既に地域住民の生活に根差したところに幾多の素材が提起されているとも思ったが、いかがなものでしょうか、お考えをお聞かせ願いたいわけであります。
 余談になるけれども、本宮大社へ有志の者が大沢委員長を先頭にしてお訪ね申し上げました。もちろん、地元の和田議員が本宮大社の宮司に接見をさせていただいたわけであります。そこのやりとりが実におもしろかった。ここでの紹介は省きますけれども──うん、おもしろかった。その話の中にこそリゾートの心があるのではないかとさえ思ったわけです。馬頭議員が大沢氏を指して「あれはおれの天敵や」というふうに言われるほどの大沢氏の対応もありました。これは見事だったです。そういうふうなことをつぶさに見てとって、リゾート、熊野体験博を思ってみたわけであります。敬けんさに包まれ、親しみがあり、情愛が満ち満ちておるし、その中にも機知に富んでいる宮司の応対、こういうものこそが熊野に根深く潜んでいるのではないかと、こういうふうにさえ思ったわけです。そういうものを森林の荒廃や山間地の農業のすたれというふうなものと絡まり合わせながらどのように体験博をしようとしているのか、これは大きなテーマだと思います。
 それで、きのう、これをいただきました。「・Here’s WAKAYAMA・」──和歌山PR写真集やと。これ、ええな。すごくよくできていると思う。わし、県のことを褒めることはまずないんだけれども、これいいですよね。写真もいいし。小松左京、神坂次郎、そしてイーデス・ハンソンというふうな人たちの小さな文章も載せられているんですが、その中に、リゾート、体験博の心に接近しているような記述が幾つかあるんです。こういうものをよくおつくりになったなと思っているんですが、これの活用の仕方などをどんなにお考えいただいているのかということをあわせてお聞かせ願いたいわけであります。
 次に、公害発生源に厳しく対処をというふうな形でお尋ね申し上げていきたいわけなんですが、くしくも生活文化部長に集中して答弁を求めることになるのだけれども、それだけ環境問題が県政上極めて重要な課題として浮上してきているというふうにご認識いただきながら、中山はまたこんな問題を取り上げておれのところへ持ってきたというふうな厄介視することのないようにしながら、親切にお答えください。
 さきに、和歌山石油精製株式会社がアスファルト発電をして関西電力株式会社に売電するため応札するとのことにかかわって、海南火力の排煙にも及ばせて海南の空を汚さないでくれと申し上げた際に、海南火力発電所の脱硝装置が二号機に設置されていないこと、また一号機の脱硝装置の除去率が一八%余りにすぎないこと、窒素酸化物の除去率が御坊火力のそれよりも三、四号機を含めてはるかに悪いことなど、明らかにされました。和歌山石油精製のアスファルト発電の応札について市民の関心は極めて強いものがあることを示しながら、その後一年間の推移を見ると、これの指摘から脱硝装置を講ずる、すなわち窒素酸化物削減計画なるものによる取り組みを見せてもらいました。一、二号機は依然として除去率が悪いわけであります。
 翻って、脱硝装置や脱硫装置を設置するスペースがないと申され、我々市民はそれを真に受けてきたけれども、創業当時の機械の性能からしてそうだったのかもしれないが、三、四号機設置の時点に照らしてみても、今になってみれば大いに可能ではなかったのかとさえ思うのであります。よくよく考えてみれば、スペースに余地がないのではなく別に理由があったのではないか。設置する意思さえあれば三、四号機並みに一、二号機にも設置できたのではないか。また、御坊火力との規制数値の差は、同じ県内にありながら公害行政の整合性に大きく欠けると言わざるを得ない。企業に対する規制、数値等については、その年代、その時々において多少の変化もあろうけれども、それにも増して理解に苦しむわけであります。窒素酸化物の除去につき、その率をその後の努力で高めるようにされているけれども、技術の進歩に合わせてみれば一、二号機に設置することは可能だということをみずから示しているのではないかとさえ思うわけであります。窒素酸化物の削減対策は来年度から平成十三年度以降にまたがっての対策をとるとの計画について、もっと厳しく内容の上からも期間の面からも改善策を求めるべきだと思うけれども、どうでしょうか。また、硫黄酸化物の削減対策は手つかずでいいと考えているのでしょうか、県の考えをお示しください。
 大気汚染防止法は、その地域のそれぞれの企業の努力の総和として結果が出てくるわけであります。それぞれの企業に対する厳しい要請があったからこそ、実現できるのでしょう。和歌山LNG火力に関連して、県は住金埋立地から三百キロ圏内の硫黄酸化物と窒素酸化物の総排出量を明らかにしました。それによると、九四年、和歌山地域では硫黄酸化物が一万三千九百九十トン、窒素酸化物が一万七千六百六十八トンとのことであります。その中で、住金和歌山製鉄所と関西電力海南発電所、和歌山石油精製、東亜燃料の四企業の合計で八五%を占めているのではないでしょうか、確認をお願いいたします。
 大企業が和歌山の空を汚していると痛感する次第だが、今議会には環境基本条例案が提案されています。その中に、次の文言があります。「環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会を構築することを旨とし、及び科学的知見の充実の下に環境の保全上の支障を未然に防ぐこと」というものであります。その精神からすれば、科学技術の進歩に伴って汚染の大半を占めている企業に対して最新の公害対策を求めるのは当然だと考えます。住金や関電などの大気を汚している企業に対して強力な指導を求める立場から見解を求めます。
 特に、海南火力の窒素酸化物削減対策については譲れないものがあります。少なくとも一、二号機は三、四号機並みにという要求があるわけであります。対等の対策の内容、実施しようとする期間も、企業の計画にゆだねるだけで当局の主体的な要請、指導というものがどこにもおうかがいすることができないのは残念であります。そうでなかったらそうでないというふうな、しかとした答弁をください。
 次は、ダイオキシンについてであります。
 六月定例議会でも取り上げたところですが、さらに進めてお尋ね申し上げます。
 ダイオキシン排出量を削減するため広域処理施設の建設が必要としながらも、厚生省の緊急判断基準以上の排出施設に対しては、炉の燃焼温度を八百度以上に保ち、燃焼時に発生させる塩化ビニール系統のごみを分別収集するなど、対策を指導するとの答弁をいただきました。さらに加えて、厚生省が示している基準、〇・一ナノグラム以下を満たすには、不完全燃焼をさせず炉内の温度を保持し続けるため一日当たり百トン以上のごみを連続して処理する焼却炉が必要だ、市町村単位で一日百トンのごみを確保するのは難しいとも述べられました。
ここで、県下のごみ焼却場の実態を見てみると、最も古い炉が昭和四十一年ということだから、既に三十一年間使ってきているわけです。同じ四十年代が六カ所、五十年代前半が六カ所、一般的に焼却炉の耐用年数は二十年間と言われているから、県内三十箇所の五十三炉のうち七カ所、十二の炉が耐用年数を超えている。この中には現在使われていないものや建てかえが進んでいるものもあるけれども、古い焼却場を持っている自治体や事務組合の管理者が今回の厚生省の方針に苦慮していることは県も十分承知していることだと思います。
 県下のごみ焼却場の実態からして、六月議会での答弁は極めて事なかれ主義で県当局の積極的な姿勢をうかがえるものではないと受けとめたけれども、初めて取り上げた課題でもあり、国自体もダイオキシン対策の方針を明らかにしてから日も浅いところから、その程度にとどめておいたわけであります。
 しかし、八百度C以上の焼却炉内温度を保ち続けるほどに機能させている焼却炉は少ない。もちろん、一日当たり百トンのごみを処理する焼却炉も、和歌山市を除けばないわけであります。だから、不完全燃焼を起こしやすい炉、すなわち中小炉ばかりであるところから、これらを改良しダイオキシンを基準値内までに下げるには国の補助が決定的に必要だと申し上げたわけです。県内の実態からしてやむを得ない面もあろうかと思ったから、それを求めるにとどめておいたわけです。
 その後、ダイオキシン類を大気汚染防止法の指定物質とされ、同法施行令を一部改正し、これに伴い焼却炉の構造、維持管理等、関係法令の改正もされ、十二月一日施行されるとのことであります。このことを考えてみるときに、国は基本的に一年ごとの測定を指導していると聞くけれども、今年度の測定状況を県は把握しているのでしょうか。あるいはまた、緊急対策の八十ナノグラム以上が検出された焼却炉の削減対策の進捗状況はいかがなもんでしょうか。各市町村自治体での今後のごみ処理について、固形化や広域化を模索している県がこうした焼却場管理者の意見や要望を聞く場を持ち、個々の実態と実情と方針をよくつかむことが必要だと考えます。そうした取り組みの状況を報告されたいわけであります。
 もともと、我が日本の国は廃棄物処理に対する取り組みが極めておくれ、全国至るところでトラブルを起こしたりしています。ダイオキシン問題はその流れに沿っているわけですけれども、国際的にも幾多の変遷を経ながらも、ことし二月、世界保健機構がダイオキシンは発がん性の疑いがあり発がん性物質であるとしたことから政府の態度を改めることになり、マスコミにも取り上げられ、国民の関心事として浮上し出した。いわば、国民の関心事となってまだ新しい。それだけに関係機関の対応のおくれはいたし方ないとしても、ドイツでは既に昨年十二月、循環経済廃棄物法などの法律を設けているわけであります。いわば、ごみは出さないことを第一に、やむを得ないときは再利用する、どうしても無理な場合に限り処分する、こういうふうな中身であるようであります。ダイオキシン発生を防ぐ基本的方向の一つはこれであろうかと思います。もう一つは、先ほども申し上げましたけれども、ごみを固形化し新燃料に変えてしまうことではないか。これは既に国でも取り組まれているように伺っているわけです。
 とにもかくにも、大型炉による焼却炉は和歌山県では直ちに望むべくもない。中小炉の焼却炉からのダイオキシン発生をなくすために、具体的な施策が強く求められるところであります。国の指導や指示を待つまでもなく、県の取り組みが急がれるところであります。ごみを固形化し燃料に変えていく取り組みも各所に出てきていると思うけれども、県はどのように把握し対処されようとしているか、あわせて他府県の固形燃料化の取り組みの状況もお聞かせください。
 ここで一番申し上げたかったのは、海南は地場産業の町であります。小事業所で排出される廃棄物の処理を自家用の焼却炉で処理するわけであります。一日働いて一日出したごみを夕方にその炉の中で燃やし始める。その地域の住民で──しかも、ダイオキシンというのはだれしもが同じような症状を見せるということではなくて──すごく過敏症の人がその中にいらっしゃるようです。過敏症の人は、その燃やされたごみで一晩じゅう寝られない。毎晩それが連続するところから、苦悩に満ちて、もう自分の家を放棄して夜な夜な外に飛び出して遠いところをさまようということさえあるようにも私の友人から聞いたわけであります。こういうふうなことにかんがみて、自治体の公害対策の問題で処理できることにもないような実態であります。県は大きく網をかけて、こういう事態からのダイオキシンの発生にもご留意いただくようお願い申し上げたいわけであります。
 さらには、学校の焼き場から出るごみの問題も今日いろいろと新聞ざたにもなっているようでありますけれども、学校の問題はともかくとして、小事業所から排出されるごみの自家焼却炉からのダイオキシン発生をどう阻止するか、防止するかというふうな点であります。しかとしたお答えをお願いします。
 廃棄物処理についてであります。
 きのうの向井・中村問答というのか、論議というのか、これはおもしろかった。なぜおもしろかったかと言うと、産廃行政における県政史上に残る問答ではなかったかというふうに受けとめたわけであります。何ゆえそうなのか。特に、監視カメラの問題についてであります。県の産廃にかかわる基本姿勢がそのあたりにうかがえたのではないかと思ったからであります。
 そこで、ふと思い出したのに、あるところへ強盗が入って、強盗が自分が何をしているかということを映し出すように自分がカメラを設置するなどというようなことはあるだろうか。そしてまた、その映し出したビデオが、何か信憑性があるようなお話でもありました。無理が通れば道理が引っ込むという昔からのことわざがありますね。こういうふうなやりとりをして、それを通せば通すほど、県の産廃行政にかかわる県民の不信を買うことにしかならないのではないかと。だからおもしろかった。冗談やないでと言われる人もあるかもわからないけれども、事ほどさようにあの論議はおもしろかった。これから僕が提起しお尋ねする問題は、こういうスタンスで対応してほしくないことを前もって申し上げ、次に進めてまいりたいと思います。
 産廃処理に伴う残土処理として、那賀郡の粉河町大字鞆淵字露谷五百八十六、五百八十七に工事をしているけれども、貴志川の支流・真国川の上流に当たるところでもあるから、地域住民からいろいろと苦情が寄せられてきました。それで、現地を見てきました。それで幾つかお尋ねします。
 提出されている計画書の処分面積は七百十三平方メートルとされているけれども、実際はそれをはるかに超えていると思われます。県として実態を把握しているのでしょうか。
 二番目、自己残土処分地とされているが、残土としてそれに山の土をかぶせています。山の木を伐採するとなると森林法との関係が出てきて届け出が必要と考えられるけれども、この山の場合はどうなっているのか。あまつさえ、地区住民の話ではさらに隣接の谷をも埋めていくと言われています。そのようなことになると、計画書の何層倍ともなり林地開発許可が必要となってくるとも考えられるが、県への事前申請はどうなっているのでしょうか。──ええ時間やな。
 三番目。現地は池の真上にあります。土砂が流れ込んでいるが、のり面は土を固めただけで大雨が降れば土砂流出のおそれさえあると考えられます。四、五十メートル下には県道があり、土砂が県道を覆うやもしれません。こうした危険な実態を放置してよいと考えられているのでしょうか。また、これまでどのような指導を行ってきたのか、明らかにされたい。
 四つ目。造成による残土処分とされているけれども、見たところ残土とは言いがたい。廃棄物を処理しているとしか思えないわけであります。しかと指導しているのか、またどこから搬入しているのか、把握していただきたい。きのう、向井議員の提起された菖蒲谷の処分場ともかかわって、小さいときに処理して芽を摘んでおけば簡単に済むけれども、あれほど大きなものになってしまうと大変なことになるということを教えられたわけであります。そのことからも、これに対してどうなのかということをお尋ねいたします。
 処分されている廃棄物から出る汚水で、下流域の水質調査はどうなっているのか。自然環境保全に懸命に努力している自治体の意見を十分聞く必要があると考えるけれども、この点はどうなっているのでしょうか。鞆淵の山合いに捨てられている廃棄物の処理の実態について地域住民から寄せられている心配を、議場をおかりして当局にお尋ねするわけであります。
 さらに、日高、鞆淵上──上鞆淵と言うのかな──日高の山間地に六万四千五百平方メートルの産廃処理場も予定されているようであります。三年ほど前に事前申請が出され、住民の反対で凍結状態であったのが、またぞろ最近、計画が動き出したとのことであります。ああいった山紫水明の地に産廃処分場を造成することが許されるなら、自然環境保全の言葉は全くそらごとにしかならないわけであります。山間地住民はつつましく、行政に強く物を言うことが少ないやもしれないけれども、何も言ってこないからと県行政が住民の意思を放置するようなことがあってはならないと思います。この計画は、規模の大きさや周辺環境の良好なこと、下流域への影響からも認めるようなことがあってはならないと考えます。県としての対処をお伺いします。
 農業問題でかつて取り上げたときに、山間地の農地を放置したり、あるいはまた山林を荒廃させるというふうなことは、やがては不動産屋の目のつけるところになり、やがてその不動産屋が廃棄物処理業者に売り渡して環境を乱していくということが世の常のような形になってきました。そういうふうなことのないようにご努力いただくことをお願いして、第一回目の質問といたします。
 ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 中山議員にお答え申し上げます。
 阪和線快速電車を海南駅まで延伸するためには、現在実施中の海南駅連続立体交差事業においてポイントの切りかえ工事等を行う必要がありますが、それにつきましては現在JR西日本と協議をしております。県としては、地元からの要望を踏まえ、阪和線快速電車の海南駅以南への延伸をJR西日本に対して引き続き働きかけてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 中山豊議員の道路問題についてのご質問にお答えします。
 まず、高規格幹線道路の海南吉備線については、庁内の関係各課及び関係機関と事前に調整を図り、平成八年十一月二十九日、都市計画決定を行い、同年十二月二十七日開催の国土開発幹線自動車道建設審議会において整備計画に格上げされたところでありますが、現在、事業化に向け、道路公団において調査中であります。今後、事業が具体的になった段階では地元の関係する方々への説明会の開催等を行い、理解を求めながら事業の促進を図りたいと考えております。また、議員ご質問の建設に伴って関連的に対応すべき事項につきましては、全庁的に調整を図ってまいりたいと考えております。
 次に、国道三百七十号につきましては、三・五軸広域幹線道路網の東西五軸を構成するものと位置づけており、地域の産業経済及び観光を支える非常に重要な路線であると認識し、現在、鋭意整備を進めているところでございます。
 このうち、重根・木津間についてのご質問ですが、まず重根地区土地区画整理事業地内については、仮換地の済んだ区域から順次着工できるよう市並びに組合を指導してまいります。続く阪井地内のバイパス計画については、現在、以前に提示したルートを基本に海南市と調整しており、早期都市計画決定に向けて努力してまいります。
 一方、この阪井地内における当面の渋滞緩和策として、龍部池から県道沖野々森小手穂線へ連絡させるバイパス計画につきましては、現在ルート選定等の概略設計を実施しており、海南市と調整を図りながら早期事業化に努めてまいります。
 次に、幡川地区内については、都市計画道路築地阪井線として平成元年度から整備を進めており、平成九年度末では約七〇%の事業進捗となる見込みであります。この地区は、当初平成十年度完成を目途に事業の促進を図ってまいりましたが、全体計画を見直した結果、事業費が増加したため、予定する年度の完成は困難となりました。しかし、道路の重要性にかんがみ、早期に完成させたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 中山議員にお答えをいたします。
 まず、南紀熊野体験博についてでございます。
 ご承知のとおり、和歌山県は古くから歴史及び文化を連綿とはぐくみ、日本人の安らぎの地、すなわち心のリゾートでありました。このことを踏まえまして、南紀熊野体験博は過去の地方博には例を見ない、各地の特性やリゾート資源を活用しながら南紀熊野地域全体に広域展開をしていくこととなってございます。そして、日本人の心のふるさとと言われる南紀熊野地域の歴史、文化、人情、風土を地域の人々が来訪者にじかに接する中で伝えていくことこそが、南紀熊野地域の持つありのままのすばらしさを広く知っていただくことにつながるものであると考えてございます。
 したがって、地域の人々が主体的に取り組む体験型イベントや地域ネットワークイベントなど、人と人との交流の機会を特に大切にしてまいりたいと存じます。そういった中で、地域の人々のもてなしの心がこの体験博成功のかぎの一つを握っていると認識いたしてございます。また、この機会に地域の人々が自分たちの地域のすばらしさを再認識していただき、自信を持って地域づくりに取り組んでいただくことが重要であると考えてございます。現在、南紀熊野体験博実行委員会においては実施計画の策定を進めておりますが、地域の人々を初め地元市町村等と一体となって、この体験博の成功に向けて積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 先ほど「・Here’s WAKAYAMA・」というパンフレットのご紹介をいただきましたが、リゾート博記念財団において製作をし、海外への進出企業あるいは各国の大使館等に配布をいたしてございます。
 続きまして、公害発生源に厳しい対処をというご質問でございます。
 ご指摘のございました四社が排出する総量の割合でございますが、平成六年度で硫黄酸化物については八五・三%、窒素酸化物については七一・六%を占めてございます。硫黄酸化物、窒素酸化物の削減対策については、大気汚染防止法に基づく施設ごとの規制のほかに、和歌山市、海南市等の区域については大規模な発生源ほど基準が厳しくなる硫黄酸化物の総量規制を行うとともに、大企業については公害防止協定により法の基準より厳しく排出量の抑制を図るなど、必要な対応を行ってございます。その結果、二酸化硫黄、二酸化窒素に係る大気環境の状況は環境基本法に定められている環境基準を下回ってございます。
 なお、海南発電所の窒素酸化物削減対策については、関西電力株式会社での技術検討の結果、既に脱硝装置が設置されている一、三、四号機──ただし一号機については四分の一容量の脱硝ではございますが──の脱硝効率をそれぞれ現状の七五%から八〇%に向上させ、また脱硝装置が設置されていない二号機については、限られたスペースの中で新たに効率三〇%を目指した煙道組み込み型の脱硝装置の設置に取り組むこととなった旨、事業者より報告を受けてございます。また、対策の実施時期については、定期点検の時期等を考慮して順次行うものでございます。
 今後とも、テレメーターシステムにより大気環境の常時監視を行い、環境基準の達成状況を把握していくとともに、大気汚染防止法や公害防止協定の適切な運用を図ることにより環境の保全に努めてまいりたいと考えてございます。
 続きまして、ダイオキシン対策についてでございますが、焼却炉の削減対策の進捗状況と対策後の測定値についてでございます。
 県内で八十ナノグラムを超えた施設は四施設ございましたが、そのうち二施設が電気集じん機の改良や空気余熱器等の施設改善工事を行い、再測定を行ってございます。再測定後の値は十八ナノグラムと十一ナノグラムに削減されてございます。他の二施設のうち、一施設については、ガス冷却塔の水噴射ノズルの増設と活性炭の噴霧施設設置の工事が今月中に完成予定であり、また、もう一施設についても二次燃焼装置の工事を完了し、CO計の設置及び煙突修復工事を実施中でございます。それぞれ、工事完了後、再測定の予定と聞いてございます。
 続いて本年度の測定状況についてでございますが、国からの新ガイドラインで年一回以上測定するよう示されてございます。二回目以降の測定については、前回の測定から一年を経過しない時期に測定するよう指導してまいりたいと存じます。
 続きまして、市町村からの意見聴取についてでございますが、一般廃棄物処理は市町村固有の事務となってございますが、県としましてはごみ処理の広域化について検討するため、現在、それぞれの市町村の考え方を調査しているところでございます。
 続きまして、ごみの固形燃料問題でございますが、ごみを燃料化することにつきましては、固形化されたごみ燃料の引き取り先の問題がございますが、環境対策を初め新しい処理方法について、今後市町村とともに研究してまいりたいと存じます。また、他府県の市町村のごみ燃料化については、稼働中の施設が十三施設、現在計画中の施設が十八施設と聞いてございます。
 次に、産廃施設の測定と中小地場産業からのダイオキシン測定についてでございます。
 大気汚染防止法及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行令の一部改正により、一時間当たり二百キログラムの処理能力以上の廃棄物焼却炉にダイオキシンの基準が設けられましたので、今後はこれらの基準が十分守られるよう施設の管理を指導するとともに、排出実態を調査するよう指導してまいる考えでございます。
 なお、中小企業の問題につきましては、公共関与による広域処理について検討することとし、産業廃棄物処理計画の中で位置づけてまいりたいと考えてございます。
 産業廃棄物の不適正処理の防止と不適正処理に対する迅速な対応のためには、市町村を初め警察や農林水産部、土木部等、関係機関が連携することが不可欠であることから、県といたしましては、平成七年度に警察、和歌山市、社団法人和歌山県産業廃棄物協会とともに四者で構成する和歌山県産業廃棄物不法処理防止連絡協議会を設置し、平成八年度には保健所単位に県事務所、土木事務所、警察署及び市町村で構成する地域産業廃棄物適正処理連絡会議を設置したところでございます。今後とも、この体制を中核として、関係機関の協力を得ながら不法処理の防止と迅速な対応に努めてまいる所存でございます。和歌山県産業廃棄物処理計画では、県内で発生した産業廃棄物は県内で処理することを基本姿勢といたしてございます。その中において、本県を含む近畿二府四県で構成するフェニックス計画につきましては、当然、計画の主力に位置づけられてございます。
 続きまして、具体的な問題として粉河町下鞆淵の問題についてでございます。
 ご指摘の計画書につきましては、本年二月末に粉河町に提出されたものでございますが、内容は残土処分で廃棄物処理法の対象外であるため、面積及び埋立容量の確認はいたしてございません。岩出保健所においては、この場所に産業廃棄物が投棄されないよう念のため現地を調査し、事業者を指導しているところでございます。
 続きまして、現地は危険ではないかということでございます。
 土砂流出の問題につきましては、池の管理や県道の管理など、直接的にはそれぞれ所管する機関が対処することになりますが、保健所の調査の中でこうした問題を発見すれば、先ほどお答えした地域産業廃棄物適正処理連絡会議等の場を活用し、連絡を密に対応してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、建設残土ではなく産廃処分ではないかというご質問でございますが、保健所の報告によりますと、本年三月初めから現在までの現地調査の中で、廃棄物の混入を発見し、持ち帰らせた事例が二回ございます。今後も、廃棄物を処分することのないよう厳しく指導してまいります。
 続きまして、下流域の水質調査と自治体の意見を聞くことという問題でございますが、この事例については残土処分ということでありまして、廃棄物処理法に基づく許可手続としての自治体の意見聴取は行ってございません。水質調査については、下流に影響を及ぼすようであれば調査も検討してまいりたいと考えてございます。
 最後でございますが、この問題についての県の対処方針でございます。県といたしましては、地元市町村長のご理解を得られないものについては許可申請を受理しない考えで対処してまいります。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 産廃対策についてのうち、粉河町下鞆淵の問題について、中でも森林法との関係は適正かということでございます。
 ご質問の森林の伐採届出についてでございますが、地域森林計画の対象となっている民有林の立ち木を伐採する場合は、森林法の規定に基づく伐採の届出が必要でございます。この箇所の森林については、既に届出が提出されてございます。
 次に開発許可についてでございますが、森林に係る開発行為の面積が一ヘクタールを超える場合は森林法の規定に基づく林地開発許可が必要となります。当該地は開発行為に係る森林面積が一ヘクタールを超えないことから、林地開発の許可申請書は提出されてございません。
 今後、現地の状況を常に把握し、関係法令との連係を図りながら指導を行ってまいります。
 また、同じ鞆淵地区の上流日高での産業廃棄物処分場の計画についても、現地の状況を注視し、関係法令との連係を図りながら森林法に基づく適切な処理をいたしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 33番中山 豊君。
○中山 豊君 二点だけ要望しておきたいと思います。
 海南火力の一、二、三、四号機の脱硝装置の問題ですが、今まで用地がないのでつけられないと言っていた論拠は崩れたのではないかというふうに思うわけです。それで、特に当局の公害・大気汚染防止とのかかわり合いで強い指導と要請をしてほしいんですが、一、二号機も三、四号機並みに、このたびの脱硝装置の率を高めるような施設を設けるよう強く当局に求めて指導方をお願いしておきたいと思います。
 そして、きのう、向井議員の質問の中にもありましたように、市町村長の意見がないところでは許可するわけにはまいらんというこの態度はやはり堅持してほしい。それだけをお願いして終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
 これで午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(木下秀男君) この際、暫時休憩いたします。
 正午休憩
 ─────────────────────
 午後一時三分再開
○副議長(阪部菊雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(阪部菊雄君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番玉置公良君。
 〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 通告に従いまして、ただいまから一般質問をしてまいります。
 今回は、関西国際空港にかかわる問題と、水資源問題と森林保全の二つに絞って質問をしてまいりたいと思います。
 まず、関西国際空港にかかわる問題について質問いたします。
 「当初の航空事情の予測が甘かった」と、陸上ルート導入に伴う飛行ルート案の提示で、運輸省飛行場部長の陳謝のコメントが新聞紙上に載りました。また、六月二十六日、大阪府の熊取町議会は、陸上ルート案の提示で地元の自治体のトップを切って、関西国際空港の建設当時、公害のない空港建設が前提だった、運輸省は、地元との合意を誠実に守り、海上ルートを堅持することを強く求めるとの意見書を可決いたしました。このように、大阪の地元の市や町では反発が広がっています。
 運輸省が提示した飛行ルート案によると、和歌山県関係の離陸ルートでは、現在、関西国際空港から友ケ島上空に向けて出発する二本のルートを一本化するとされています。この陸上ルートが導入されれば、本県では従来の串本付近への出発・到着機九十二機が約三十四機減って五十八機となるとされています。一方、県内に関係する到着ルートは、現行では串本沖の海上を北方に抜けて淡路島の南方沖で旋回して関西国際空港に到着する海上ルート一本だけでありましたが、新たに提示された案では、静岡県浜松市方面から紀伊半島を横切り、日高町上空を経て淡路島南方で旋回する陸上ルートが設けられ、現行のルートとともに二本となるとのことであります。
 そこで、問題となる到着ルートが一本から二本にふえた場合、本県のどの市町村の上空を通過するのか明らかにされたいと思います。
 また、私の自宅は白浜駅裏ですが、現在でも夜間の騒音が大きく聞こえます。本県への飛行時間帯が夜間にも数多く飛行するのではないのか、こういった危惧もいたします。それに加えて、ルートの変更に伴い飛行高度が下げられ、ルート上の住民が騒音に悩まされるのではないかという点について大変危惧をしていますが、県当局の取り組みと見解を求めるものであります。
 それとともに、本県での関西国際空港建設前の約束の中で、いまだ実現されていない点が幾つか積み残されています。例えば、関西国際空港開港に伴う鉄道の利便性、空港への鉄道アクセスを例にとってみると、県議会議場で当時の企画部長は、和歌山側からの列車については日根野駅でスイッチバック方式の導入も検討されているとの答弁がありましたが、これはいまだに実現に至っていません。しかし、開港を機にJR西日本は、京都、新大阪から特急はるかを一時間に二本運行させているほか、京橋から大阪駅などを経由して関西国際空港に至る関空快速ウイング号を一日上下十四本、これより停車駅が若干多い関空快速を一日上下八十四本運行しています。大阪府域の阪和線利用者は、京阪、阪急、阪神、そして最近開通したJR東西線への乗りかえがスムーズになるなど利便性の向上が著しく図られ、関西国際空港の利用者以外の通勤・通学者にも大きなメリットを受けております。
 このように、関西国際空港開港を契機に、大阪府等の他府県においては鉄道の利便性向上が図られていますが、関西国際空港の開港を交通利便性向上の千載一遇のチャンスとして、和歌山県においても、より積極的に鉄道事業者への働きかけを行っていくべきであると考えます。例えば、現在、関空快速は京橋、大阪から環状線経由で関西国際空港へ運行されていますが、その一部を和歌山に運行してもらえるようJR西日本に働きかけるべきではないでしょうか。この点について、県当局の取り組みをお伺いいたします。
 また、天王寺・和歌山間の阪和線快速電車上り四十八本、下り四十七本のうち、御坊など紀勢本線へ乗り入れているものは上り十六本、下り十三本しかなく、海南や中紀方面への利便性はよくありません。さらに、平成十一年には南紀熊野体験博が予定され、関西国際空港や大阪からの中紀、紀南方面へのアクセスを充実させることがますます重要になると思います。
 こうした点を踏まえ、まず第一に、さきの議会で田辺出身の大沢議員も質問されましたように、日根野駅に一時間二本あるはるかのうち、せめて一本を停車するようJR西日本に働きかけるべきではないでしょうか。
 第二に、大阪駅から白浜駅まで、季節列車として運行されている熊野古道列車を恒久化する等、阪和線から紀勢本線へ乗り入れる鉄道の利便性の向上を推進すべきではないでしょうか。
 以上、関空開港前に言われた、本県が扇風機の裏側にならないように、二十一世紀の和歌山を見据えて県当局のご見解をお伺いいたします。
 次に、水資源問題と森林保全について質問いたします。
 森林についての課題は数多くありますが、私は今回、暮らしと命の基盤である水資源問題と森林保全についてのテーマに絞って、これから質問をしてまいります。
 「漁師が山を買い、木を植える」、漁民による森づくりを北海道の常呂漁業組合では三十数年前に始めました。「海と川と山は一体だ。いい森なくしてきれいな水はない」、この言葉は二十一世紀に向けて私たちふるさとに住む者の使命を問いかけていると思います。
 私たちの住む郷土和歌山県は、「紀州木の国」と言われ、県土の七七%が森林であります。そのうち人工林は六一%で、自然林は三九%を占めています。森林は、木材生産のほかに多様な機能を有し、県民生活に大きく貢献をしています。
 例えば、森林の公的機能には、水源涵養機能、酸素供給・大気浄化機能、保健・休養機能、それに野生鳥獣保護機能などがあると言われています。和歌山県の森林の公的機能を評価額にすると、平成四年で年額六千三百五十四億円と、和歌山県の一般会計予算よりも多い金額を県民にもたらしているのであります。
 一方、河川の環境保全をめぐる状況でありますが、先日、森林や河川に長年かかわってこられた西牟婁の地元の方から訴えがありました。その方は、「私は、河川の環境保全の大切さについて、機会あるごとに住民の皆様方と話をしてきているんですが、しかし、しょせん私たちの力ではこの厳しい環境の中で実効はなく、一層悪化するばかりであります。川の環境は変わりました。本当に悪くなりました。この川の環境を変えた原因は多くあります。雑木を切り、杉、ヒノキなど針葉樹を育てたために広葉樹などの自然林が減り、その結果として川の水が少なくなりました。また、文化生活を追う人たちが日常に使う合成洗剤の流出にもその原因があると思います。その原因の一つ一つを追ってみたとき、川の環境保全と申し上げても簡単に解決できる問題ではないと思います。だからといってこれを放置しておいたら、人間のためにえさ場を奪われた猿たちが現在、私たちの生活の基盤になる農地を荒らし、私たちの生活を脅かしている結果を招くのと同じ、いやそれよりもひどい結果が生まれてくるんやないかと思うんです」、このように話されました。
 私は、こうした河川の環境についての実態を、現場を歩き、地元の方々から聞いたりしながら調査をしてまいりました。その実態はどうでしょうか。
 まず第一は、富田川の水量が年々減っているということであります。年間の雨量は今も昔も余り変化がありませんが、昭和四十年ごろから河川の水量が少なくなっていることであります。その原因の大きなものとして、人工林の植林政策で保水能力の弱い杉、ヒノキが植えられ、また経費などの関係から間伐の必要な時期を迎えている人工林が放置されたり、日照りが十日から十五日続くと谷川がかれて水不足となっているのが谷川へ入るとよくわかります。また、台風や大雨などで河川が増水すると、今までは一週間ぐらいはアユの友釣りができなかったのが、最近では三日ぐらいでアユの友釣りができるようになっています。つまり、水量が減少しているのであります。また、林道の普及によって山林の付加価値をつけることは結構なのでありますが、水脈の断絶あるいは保水の面で問題が出ています。山の中腹、頂上にかけて舗装することによって側溝に水が拾われ、流れ出て森の保水を低下させています。
 第二点目は、水が汚くなってきていることであります。合併処理浄化槽などが普及されてきていますが、まだまだであり、垂れ流された家庭排水がコンクリートの排水溝を通り、直接流れて川の環境が汚されています。その結果、アユの育ちが悪くなったり奇形のアユも出ており、最近では天然のアユの遡上が皆無になってきており、現在、日置川、富田川の両河川の動植物の保護と繁殖の責任の立場にある漁協組合の運営が危機に陥りつつあり、河川の環境汚染に伴い、さらに厳しい状況になりつつあります。河川の環境汚染は直ちに海の環境汚染につながり、田辺湾などにおけるアユの種苗が皆無に等しい状況を招いています。十年前ごろには五十トンの種苗が採取できましたが、田辺湾では本年は二トン足らずでありました。これによって、日置川、富田川の両河川へのアユの自然遡上は皆無でありました。さらに、日置川においては、殿山ダム上流は完全に稚アユの放流に頼らなければならないのですが、環境汚染の中で放流アユの生育が著しく悪くなっております。日置川では本年度一千万円の追加放流を試みたが、その成果は全くなく、ダム下流の民宿の入客数は激減しています。もちろん、漁協組合の主な収入源である入漁券の売り上げも激減し、二千万円近い赤字が見込まれる状況にあると聞いています。昭和五十九年の殿山ダム水利権更新に当たり、関西電力から得た補償金も残りわずかとなり、漁協組合が独自で取り組んでいるアユの自然遡上のための事業をあと何年続けることができるかわかりません。もちろん富田川も同様でありますが、こうした漁協組合の事業が遂行できなくなる前に、行政もこの問題を深く認識され、具体的な対策を立て、積極的に取り組んでいかなければならないと強く思うものであります。
 第三点目は、自然林が減少しているため、猿害による農業被害が頻発していることと、紀州備長炭で全国に有名になりましたが、その材料のウバメガシの木が少なく、地元では三重県鳥羽市まで買いに行っているのであります。また最近、里の近くで生まれる猿がふえてきています。つまり、本来の野生の猿の二世、三世でありますが、これは人間に対して警戒心もなく、むしろ攻撃的であり非常に危険であると聞いております。つまり、豊かな森の条件である自然な動植物のバランスが崩れ、その結果として、けものたちによる農業被害が頻発しているのであります。
 以上、現地の実態を三点について述べましたが、問題解決のために今自治体や住民が立ち上がろうとしています。例えば、上流の中辺路町では、四年前に営林署から原生林約八十ヘクタールを水源涵養など保全目的で購入を決断いたしました。また下流の白浜町では、ことしの六月町議会で水源の森基金の設置を可決し、これから水源涵養林購入において具体化をしていくことになりました。また、地元の自然を愛する会、日置川漁協組合など、住民の皆さん方からも六千名を超える署名がされ、「自然林を大幅に増やし、水資源を確保することについて」、今県議会に請願をされています。どうか、請願が採択され、解決に向け一歩踏み出せるよう、県議会の先輩、同僚の皆様方のご理解をお願い申し上げます。
 このように、解決に向けての最重要課題は、まず県が流域を構成する市町村と十分協議を重ねて、県として自然林をふやす政策を早急に確立して取り組んでいくことが大変重要であると思います。このことを知事に提言させていただきたいと思います。
 自然林は、人工林よりも四倍もの保水能力や酸素供給能力があると言われ、自然林の中に必ず生育するヤマネイモなどが繁殖をし、それが猿やイノシシなどのえさ場となり、自然のサイクルが確立されて、ひいては農業被害がなくなることにつながると思います。伐採跡地を買い取ることや、国有林などを万が一伐採した後、人工林のための植林をしないように要請するとか、自然林をふやす方法がいろいろあるはずです。しかし、その取り組みがばらばらでは効果は期待できません。県が入り、総合的に取り組むことによってこそ効果が出ると確信をします。また、河川の環境汚染対策や漁協の危機等の課題もございます。
 そこでまず第一点は、今まで述べてきた内容について県当局はどのような現状認識を持っているのか。また、今議会に提案されている環境基本条例とのかかわりについてお伺いをいたしたいと思います。
 第二点目は、私が先ほど提言いたしました、自然林をふやし水資源の確保についての知事の見解を求めたいと思います。
 第三点目は、河川の環境汚染や漁協の運営の危機についての支援策や環境に優しい林道の工法等についての見解を農林水産部長に求めます。
 第四点目は、昨年六月十二日、国内では初めて水道水が感染源として特定された埼玉県越生町営水道に原虫クリプトスポリジウムが混入し、八千七百五人の方々に被害が出ました。厚生省は、昨年十月にその対策や、ことしの七月には中間発表と対策の実施状況を明らかにしたと聞いていますが、我が和歌山県の実態及びこの問題に対する取り組みについて生活文化部長に答弁を求めます。
 国際的な水問題の専門家は、不衛生な水や洪水、干ばつで毎年一千万人の方々が死亡し、人口の増加で水の需給は逼迫し、事態はますます悪化していると指摘しています。また、三十年後には世界の五五%は食糧生産に必要な水が不足するとも指摘されています。水は、暮らしと命の基盤であります。時あたかも、今議会には環境基本条例が提案されて、本県の環境保全に積極的に取り組んでいくことを西口知事が表明されました。どうか、この決意の趣旨に沿って県当局の前向きな誠意のある回答を求め、私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 玉置議員にお答えをいたします。
 自然林をふやし水資源の確保をというご提言でございます。
 森林は、木材を生産する機能のみならず、水資源の涵養機能など公益的な機能を有しておりまして、県民生活にとってかけがえのない財産となっておると思います。
 広葉樹林をふやして天然林を守り育てる施策といたしましては、森林の有する多面的な機能を認識しながら、日高川源流の護摩壇山周辺に三百二十九ヘクタール、さらに岩出町根来に百九十五ヘクタールの森林を取得して、森林公園としての充実はもとより、水資源の涵養等の公益的な機能をも発揮するよう整備を行っているところでございます。また、市町村においても水源林の確保等の取り組みがされておるわけでありますけれども、今後も議員ご提案の市町村等関係機関との連携をさらに密にしながら、広域的な流域を単位とした多様な森林の整備に積極的な取り組みをしてまいりたいと考えております。
 他は、各部長からお答えいたします。
○副議長(阪部菊雄君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 玉置議員にお答え申し上げます。
 関西国際空港の飛行経路問題についてでございますが、去る六月十六日に運輸省より関西国際空港の飛行経路問題にかかわる総合的な取り組みについての提示がありました。その後、県といたしましては、その提示内容について関係市町村に説明するとともに、ご意見もお聞きし、去る八月二十九日に本県内における飛行高度、騒音予測値等、各種データなど具体的に確認すべき事項について運輸省に対し文書照会を行い、九月十二日に運輸省より回答が得られたので、その回答を踏まえ、お答えさせていただきます。
 最初に、到着ルートが一本から二本にふえた場合、本県のどの市町村の上空を通過するのかというご質問についてでございますが、新しい到着経路については、浜松方面から紀伊半島を横断し、本県内では清水町南部から金屋町南部、中津村北部、広川町南部、川辺町北部、御坊市北部を経て日高町にある御坊VOR上空を通過後、海上に抜けていくルートとなります。ただ、飛行経路には両側に四海里、約七・四キロメートルずつの保護空域が設けられておりますので、この幅を考慮いたしますと、高野町、花園村、龍神村、美山村、吉備町、湯浅町、由良町及び美浜町の上空についても飛行する場合があると考えております。
 次に、本県への飛行時間帯で夜間にも数多くの飛行が及ぶのではないかというご質問についてでありますが、運輸省の説明によりますと、浜松からの到着ルートの場合、夜間午後七時から午後十一時までの時間帯については、ことしの五月ダイヤで換算すると一日約六機程度であり、午後十一時から翌朝の六時までの深夜の時間帯は陸上を飛行しないとのことであります。
 次に、ルート変更に伴う騒音の問題についてでありますが、これらの新たな飛行経路案では、航空機騒音の環境基準であるうるささ指数七〇を超える範囲は、すべて関西国際空港周辺の海域内にとどまるとのことであります。県といたしましては、県民の利便性を向上させるためには国内線を含めさらなる増便が必要であり、また二期事業を円滑に推進するためにも飛行経路問題の早期解決が重要であると考えております。このたび運輸省から提示された新たな飛行経路案については、航空機騒音による障害が居住地域には及ばないこと等とした基本的な考え方を踏まえ、地元理解を得ていただく必要があると考えております。今後、運輸省としては地元理解を得るために実機飛行テストを実施したいとのことでもあり、関係部とも連携しながら、騒音の影響を検証し、適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、関空開港を契機とした本県における鉄道の利便性の向上については、これまであらゆる機会をとらえてJR西日本等に強く働きかけてきたところ、JR西日本の日根野駅における和歌山方面からの列車と関空行き列車の同一ホーム乗りかえ、エレベーターの設置等、利便性の向上に一定の成果を上げてきたところでございます。
 議員ご提案の、京橋、大阪発和歌山行き快速列車の運行、特急はるかの日根野駅停車、熊野古道列車の恒久化等、阪和線から紀勢本線への乗り入れ列車の増便は、いずれも県民の要望が強く重要な課題であると認識しており、先般もJR西日本に対し、平成十一年に開催される南紀熊野体験博を目標に、大阪や関空等からの中紀、紀南へのアクセスの改善を要望したところでございます。これらのうち、特に京橋、大阪発和歌山行き快速列車の運行についてはJR西日本においても積極的に検討していただいているとのことであり、今後さらに南紀熊野体験博覧会の開催等を契機に要望を強めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 玉置議員にお答えを申し上げます。
 水資源問題と森林保全についての現状認識と環境基本条例とのかかわりについてのご質問でございます。
 議員ご指摘の森林の保全については、今議会へ提案してございます和歌山県環境基本条例の第十七条に述べてございますように、災害の防止、水源の涵養、多様な生物の生息、生育、自然との触れ合い等の観点にかんがみ、森林の保全に関し、必要な措置を講ずるよう努めるものとするとしてございます。
 今後、環境基本条例第十条に基づきまして、環境基本計画を策定していく中で、ご指摘の点も踏まえ、本県の森林保全の適切なあり方等について、専門家のご意見も伺いながら、関係部局及び関係自治体とも連携し、さらに検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、クリプトスポリジウム対策についてでございます。
 昨年十月に、厚生省水道環境部長より「水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針」が通知をされました。この指針の具体的な予防対策といたしましては、浄化された水の濁度を〇・一度以下に保つよう浄水施設管理をすればクリプトスポリジウムによる水道水の汚染の危険性はないというものでございます。この暫定対策指針に基づいて調査をいたしましたところ、本県では水道水の濁度が〇・一度を超えたものはございませんでした。
 今後、さらに検査機器の整備を図り、水道水源の実態調査を行うとともに、浄水処理の徹底を図ってまいりたいと存じます。
○副議長(阪部菊雄君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 水資源問題と森林保全についてのうち、水資源問題の現状認識についてお答えいたします。
 水資源と森林保全についての現状でございますが、本県の森林面積三十六万四千ヘクタールのうち民有林は九五%を占めておりまして、戦後荒廃した森林の復旧あるいは山村地域の生活基盤を確立するため、民有林を主体として、杉、ヒノキを中心とした造林事業を実施してきたところでございます。その結果、人工林は二十一万ヘクタール、天然林は十三万ヘクタールとなってございます。近年、森林に対する環境資源としての県民の要請が多様化してきている中で、森林所有者の理解を得ながら、引き続き人工林の整備とあわせて天然林の改良や有用広葉樹の整備を推進するなど、水資源問題や森林の保全に対応できる多様な森林の造成に努めているところでございます。
 次に、河川の環境汚染、漁協運営の危機についての支援策、環境に優しい林道の工法等についての件でございます。
 アユの資源量は年によって変動が大きく、そのメカニズムは解明されていないのが現状でございますが、一つの影響要因として産卵期の水量が関係していると言われてございます。河川水量が確保されることがアユ資源の維持増大を図る上で重要であると考えてございます。
 アユ資源の減少によって、漁協によっては遊漁者が減り、経営が厳しいところもございます。このため県では、資源の維持増大対策として、漁協が実施している稚アユの放流事業や産卵場の環境改善事業に助成する一方、試験研究機関においてもアユ資源についての調査研究を実施しているところでございまして、この調査結果を踏まえ、昨年からモデル的に河川敷に水路をつくり、産卵期の親魚を収容して産卵させる試みも実施してございます。今後とも、議員お話しの関係漁協等と協議し、各種事業を活用しながら、アユ資源の回復に取り組んでまいりたいと存じます。
 次に林道の施行についてでございますが、土砂の発生量を極力抑えるとともに、のり面を緑化する工法や間伐材等を利用した工法、さらに舗装面や側溝等へ流入した水を数多くの横断溝により分散させ、森林に水を返すなど、環境に優しい工法に取り組んでいるところでございます。今後とも、議員のお話にもございましたが、森林の保水機能など環境に十分配慮しながら工事の施行に努めてまいりたいと考えてございます。
 また農村集落の水質浄化に関しては、これまでも農業集落排水事業等を進めることによって対応してまいったところでございますが、今後とも同事業を推進することにより、環境の改善、保持に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 26番玉置公良君。
○玉置公良君 答弁ありがとうございました。
 まず最初に、関西国際空港にかかわる問題について、ただいま回答をいただきました。到着ルートが一本から二本にふえた場合、どの市町村の上空を通過するのか、このことを聞かせていただきました。初めて十四の市町村名が明らかにされました。また、航空機騒音による障害が住んでおる地域に及ばないこと等の基本的な考え方を踏まえて地元理解を得ていく必要がある、こういった答弁もいただきました。また、運輸省として地元の理解を得るために実機飛行テストを実施する予定であり、関係部とも連携しながら騒音の影響を検証し、適切に対応していきたい、こういった答弁もいただきました。
 実は、一昨日の二十三日でございましたけれども、朝日新聞の朝刊の一面で、関空の開港以降、航空機の騒音をめぐり関西国際空港会社に寄せられた苦情が開港から三百五十件に上っておる、そして同社が計十四回にわたり各航空会社に騒音軽減に努めるよう書面で申し入れていたことが明らかになったということが報道されておりました。また、一部では環境基準が七〇を上回る八〇デシベル以上に達することも確認をされた、二本目の滑走路をつくる二期工事に向けて、運輸省は発着枠拡大のために陸上ルートを導入する構えだが、現状の騒音対策ですら万全と言えない実態が明らかになったと、こういう報道がございました。
 私は、このことを一番危惧しているのであります。きょうは、十四の市町村のことも明らかになりましたし、県当局から答弁をいただきましたけれども、ぜひとも地元の不安を解消するために、十分関係市町村や県民の意見を聞いて取り組みを進めていただきたい。また、それを踏まえて運輸省への強い働きかけを要望しておきたいと思います。
 続いて鉄道アクセスの問題でございますけれども、私が提案をいたしましたことについては、県も積極的に取り組んでいくという回答をいただきました。ぜひとも、一日も早く実現をするよう県の取り組みを求めておきたいと思います。
 とりわけ、京橋なり大阪発の和歌山行き快速列車の運行については、積極的に検討していただいているという答弁をいただいております。ぜひとも、来年実現できるようにお願いしておきたいと思います。
 また、私の友人でございますけれども、ちょっと言葉はきついんですが、「JRに裏切られた」と、関空開港後の問題点を幾つか指摘しておりました。阪和線に乗り入れている紀勢線の列車は、「一言で言うとおんぼろだ」と、言葉は悪いですけれども、その友人が言っておりました。それに比べて、関空快速は快適である。紀勢線の快速は、例えば座席の背もたれは直角の格好で座って、四人がけの座席では前の人のひざが当たって大変窮屈な状態であります。また縦長の座席がありますけれども、友人が言うのには、これは二十年か三十年前の日本人の体格に合ったような、背もたれの部分が短い座席しかないと。関空快速は、一人がけの座席で、背もたれの部分がやや後ろに倒れてリラックスして乗車できるわけです。こうした、便だけではなくて列車の中身の改善も強く要望しておきたいと思います。
 続きまして、水資源問題と森林保全についてであります。
 知事から、水源林の確保について、市町村等関係機関と連携して広域的な流域を単位とした森林の整備に積極的に取り組むという回答をいただきました。また、今議会に上程されている環境基本条例の第十七条に沿って、私が提案いたしましたことも含めて環境基本計画を策定していくといった旨の回答もいただきました。全国的にも有名な高知県の四万十川は、流域の小さな団体では川の保全ができない、流域町村が一緒になって四万十川を守ろうという会をつくって取り組んだと聞いております。やっぱり、広域的な流域を単位として取り組むことが大変重要であると思います。全国に先駆けた計画をぜひとも策定し、取り組んでもらえるよう強く要望しておきたいと思います。
 また、先ほど日置川漁業協同組合の運営の危機についても、県として十分関係者と協議をして、各種事業を活用しながらアユ資源の回復に取り組んでまいりたいとの答弁をいただきました。ぜひとも、県としての支援を要請しておきたいと思います。
 最後ですけれども、クリプトスポリジウムによる水道水の汚染については本県ではなかったという回答でございました。今後、さらに浄水処理の徹底を図っていくためにも、検査機器の整備を図っていきたいという答弁がございました。来年度の予算編成に向け、財政当局の理解についても、ぜひともこの機会にお願いをしておきたいと思います。
 きのうの朝日新聞の和歌山版ですけれども──朝日新聞ばかりで申しわけないですが、「清流を取り戻す決め手」と題して、イーデス・ハンソンさんの隣に住んでおられ、私も親しいんですけれども、神奈川県から中辺路町に移り住んでこられた柏崎さんの紹介の記事がございました。その中で、「自然破壊が取り返しのつかないところまできたいま、子孫に豊かな自然を残せるかどうか。私たちの責任は重い。(中略)『昔はよかった』(中略)『懐古するだけではだめだ』(中略)時間がかかっても運動を実らせたい」、こういうことを訴えておられました。今、住民も自治体も立ち上がろうとしております。どうか、県行政がこれを契機に全国の先進県となる取り組みを一層強めていただくことを強く求めまして、私の要望といたします。よろしくお願いいたします。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
○副議長(阪部菊雄君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番木下善之君。
 〔木下善之君、登壇〕(拍手)
○木下善之君 議長の許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず最初に、産業廃棄物についてでございます。昨日、向井先輩議員より質問なされましてそれぞれの答弁をいただいておりますが、重大な問題であるだけに、幾つか関連もございますので、私からも質問をいたしてまいりたいと思います。
 まず最初に、日本工業所の一日も早い完全解決をということでございます。
 橋本市菖蒲谷近隣の日本工業所の産業廃棄物中間処理場の解決については大変苦慮されているところでありますが、西口知事の英断により、本年五月一日より産廃の持ち込み禁止、焼却中止、さらに七月より産廃の堆積物持ち出し、おおむね二万立方メートルの三分の一相当量、トラックにして約六百三十台を九月末までとし、現在その作業に取り組んでいるところでございます。幾らか進んでいることは結構でございます。残り三分の二相当量については、財源確保の面もあろうと思うが、相手方と話し合いを持たれ、第二次持ち出し計画をぜひ検討されるよう切望し、県民がひとしく幸せをつかめるために、一日も早い改善解決に向け、西口知事のよろしい答弁をお願いするところであります。
 次の五点について、生活文化部長にお尋ねをいたします。
 ダイオキシン及び水質検査の問題でございます。
 昨日の向井議員、けさほどの中山議員からも話がございました。本年六月、日本工業所と思われる現場下流で、民間の研究機関で行った水質検査において排出基準を上回る鉛が検出された事実は、ただ単に鉛だけの問題でないと受けとめております。また、ダイオキシンの問題は、我々も幾らかの認識はあったものの、ことしに入り全国的にクローズアップされただけに、事の重大さをさらに深めたところであります。ダイオキシンの主な発生源とされる廃棄物焼却炉の排出による法的規制が本年十二月より施行されるようになっているが、主にごみの焼却過程で発生し、大気中に放出され、特に塩化ビニール系の燃焼が多く発生し、温度は八百度以上の燃焼ではほとんど発生されないと言われてございます。一方、土壌中あるいは溶解して流れ出る水のダイオキシンの測定は大変難しいと昨日の答弁でお聞きしてございますが、分析が十分確立され、他府県に先駆けて実施されることを強く申し入れておきます。
 なお、厚生省の排ガス測定マニュアルを見てみると、大変難しいようで、三十ページにわたる分析手順を書いておりますが、内容からして、分析日数、経費等がいかほどかかるのか、参考までにお尋ねをいたしておきます。
 また、水質検査は実施すると昨日の答弁でございましたが、住民が不安感を持たないためにも適切な検査をされるよう、これまた強く要望をいたしておきます。
 次に、日本工業所の現場管理のことでございます。
 七月以降、産廃の持ち出しを開始するにつけ、県は過去において保健所を窓口としていたが、七月以降の持ち出しについて社団法人和歌山県産業廃棄物協会が現場管理と聞くがそうであったのか、地元の声として、入るときは満載し、持ち帰るときは大変少ないと言っているがどうであったのか、伺いたい。多額の経費を伴う搬出であります。昨日も答弁がありましたが、再度確認の意味で伺っておきたいのであります。
 次に、持ち込み停止以降、五百台以上の残土をなぜ入れたのか、またふるいかすの処理についてお尋ねをいたします。
 五月から七月にかけ、焼却を中止させる条件とも言える残土を五百台以上投入したことについては、私も再三担当課へ申し入れた件であります。南斜面の堰堤を構築するためと言われているが、現場の土でなぜできないのか、土の下に相当量の産廃の分別に伴うふるいかすが堆積している上へ五百台の土を入れている現状では、全部持ち出しとなると大変なことであります。現在、分別されていないものが残り一万四千立方メートル程度で、これは西口知事にお願いして今年度中にでも持ち出し願いたいとしているが、分別した土と称するふるいかすの堆積物は、恐らく相当量があると考えられます。これは、管理型施設の設置により水処理をするか、持ち出しを行うか、あるいは安全であると言われるのか、この点についても再度確認をいたしておきます。
 次に、越境に関する指導要綱が生かされているかということでございます。
 平成九年六月十六日から施行されているが、他の業者から橋本市内へ入っておるのではないか、橋本市は今、産廃銀座とも言われており、その実態について調査されたのか。出ていく産廃、入ってくる産廃、夜間、早朝にも入ってくるというさまざまな実態であります。産業廃棄物の越境に関する指導要綱が生かされているのか、伺いたいのであります。
 次に、本県の今後の産業廃棄物処理対策であります。
 今後は、国の改正による産業廃棄物処理法、県の指導要綱等を踏まえ、また地域産業廃棄物適正処理連絡会議の上で適正な処理対策を行うよう万全を期していただきたい。今後、それぞれの地域で発生する産業廃棄物は、その地域において行政サイドで、あるいは公社で適正処理に向けて推進すべきであります。府県間で広域的に取り組むべき必要な点で、奈良県西吉野村奥谷の産廃富士も見させていただきましたが、数万トンからの廃棄堆積物が分解し、流れ出る水は紀の川であります。下流域は六十万人余の飲料水となっており、現在では全く放置の状態で、解決の見通しは立っていないと言っている。菖蒲谷も同じであるが、これらの原点を調査され、山と積まれてからではなく、投棄の初期段階でその火を消すため、関係地域の監視体制の強化策も重要な未然防止の一つと言えるのではなかろうか。
 以上、今後の本県における産廃の未然防止を含めた処理対策について伺っておきますが、まずは日本工業所の産廃をおさめることが急務であることを重ねて申し上げておきます。
 次に、道路交通網の整備促進について。
 まず、市脇・清水間の架橋促進についてでございます。
 本問題は、国道三百七十一号橋本バイパスの延伸として、東西に国道二十四号と交差し、紀の川左岸には国道三百七十号とさらに交差する結節点と位置づけされる紀の川架橋であります。西口知事のご熱意で、京奈和自動車道橋本道路、国道三百七十一号橋本バイパスの両線は、平成十七年完成を目途に急ピッチで用地買収等、また一部今年度内に工事着手と聞き及んでおり、拠点都市地域にふさわしく、産業振興の上で大きな意義を持つものと期待いたしております。
 一方、本題である市脇・清水間の架橋は、国道三百七十一号高野山バイパス構想の玄関口をなす位置にあって、橋本市及び近隣町村、関係団体等全組織を挙げ、二十年近い長きにわたり促進運動を展開しているだけに、また本県の将来展望からも大変重要であると私どもも受けとめておるところであります。とりわけ、国道二十四号線の交通渋滞の緩和策にも大きく寄与するものと考えてございます。
 振り返りますと、大橋知事時代に話が出まして、仮谷前知事の当初ごろに市を中心に促進協議会の組織が生まれました。今日、西口知事にこのことが引き継がれておるところであります。この架橋は、県の重要課題と位置づけられ、平成六年から七年に県独自のボーリング調査を経て、国と設計協議、河川協議を重ねていると聞き及んでおります。協議が終わると事業認可を待つところまで来ていると判断いたしますが、一日も早い事業化を望むところであり、土木部長の答弁を求めます。
 次に、国道三百七十一号高野山バイパスについて。
 平成七年に本ルートの県計画案について説明を受けました。紀伊丹生川ダムの水没に係るためのルート変更バイパスであります。昭和五十五年、高野龍神スカイラインが開通したことにより、龍神方面以南の観光客は十倍増と聞かされましたが、一方、高野山、九度山の現道は一部改良されているが、三十年前と余り変わっていなくて狭隘であります。
 ご承知のとおり、国道三百七十一号は中紀を経て串本へ通ずる本県東部の幹線であり、この地域はすばらしい景勝地や歴史を秘めた名所旧跡が多く、有形無形の資源を掘り起こすことは、本県観光に新風を吹き込み、古い伝統を持つ新しい観光地として、施設観光主体から行動体験型観光へと新たな魅力づくりを行うことにより本県東部の中山間地域に活力を与え、バランスのとれた県勢浮揚に大きくつながるものと考えたとき、紀伊丹生川ダム関連ではあるが、高野山への国道三百七十一号バイパスの早期事業化について土木部長の見解を聞かせていただきたいのであります。
 次に、紀伊丹生川ダム建設についてお尋ねいたします。
 まず、当初計画どおり進められるのかどうかということでございます。
 ダム建設は、雨が多く、また山の多い日本の国土にとっては大変重要な施設であると受けとめ、それぞれの地域にあっては、治水、利水等の機能を果たす上で当然と考えます。しかしながら、国が財政構造改革を今後積極的に進める中で水を治められない地域も相当数に上り、大変な事態となりつつあります。建設省は、全国で建設を計画している三百八十余のダムのうち、六ダムが中止、十二ダムが休止、およそ七十ダムが延期あるいは凍結とされておりますが、残りの事業についても来年度以降、第二次、第三次の中止や休止や凍結に切りかえることもあり得るとしているようであります。
 さて紀伊丹生川ダムは、大阪への分水を含む治水、利水の多目的ダムとして平成元年に実施計画調査に入り、概要調査あるいは現時点までのボーリング調査等により、重力式コンクリートダム、堰堤の高さ百四十四メートル、有効貯水量五千四百七十万立方メートル余りと聞き及んでおりますが、申し上げたように、社会経済情勢の変化等において、紀伊丹生川ダムは当初計画どおり進められるのか、具体性について伺います。
 また、審議委員会の設置と本会の開催計画についてでありますが、今後どう取り組まれるのか。
 以上、二点について、土木部長にお伺いをいたしておきます。
 次に、地元水没地域の同意と水源地域整備計画の具体策でありますが、県は今年度において、水没関係住民に対し具体的説明が行えるよう水源地域整備計画案の策定をいたしたいとしているが、どう示していこうとされるのか、企画部長にお伺いいたします。
 次に、地域医療体制の確立についてであります。
 まず一番として、医大本院の内部体制整備について。
 近年の保健医療を取り巻く環境は、人生八十年時代と言われる高齢化社会を迎え、一方、がん、心臓病、脳卒中などの成人病の増加等、疾病構造の変化、医学の進歩による医療の高度化など、大きく変化しております。国民医療費が年々増大する中で、国は医療機関の増設については今後抑制の方向を示すとともに、健康保険法の改正による社会保険本人負担の引き上げ、老人医療の一部負担の引き上げなど、医療を取り巻く環境は一段と厳しくなってまいりました。県においては、地域保健医療計画に基づき、二十一世紀に向け万全を期し、適切な医療計画を確立してまいらねばなりません。
 現在、県立医科大学附属病院が紀三井寺において建設途上であり、平成十一年春に完成移転と聞かされるが、本県医療の中枢的役割を果たすものとして期待をかけているところであります。建物だけは立派であると言われることのないように、内部体制について今から十分検討され、県民に信頼され、期待にこたえられる最先端の医療機関であるよう切望するところであるが、内部体制の整備についてどう検討されようとしているのか、県立医科大学長に伺います。
 次に、橋本医療圏における医療体制の充実について。
 県の地域保健医療計画では、橋本市及び伊都郡の各市町村で二次医療圏として橋本地域医療圏を形成しており、二次医療圏は、地域の概況、医療の現況、生活経済圏等の定住圏域など総合的に勘案しており、おのずから圏域の医療計画に基づき必要病床数が定められ、改築での増床はその圏域の枠内での増床が認められるところであります。
 橋本医療圏の必要病床数は八百九十七床、既存病床数は八百二十五床となっております。既存病床数の内訳は、国保橋本市民病院二百五十五床と県立医科大学附属病院紀北分院の一般病床で百九十床が圏域における基幹病院として位置づけられております。
 この医療圏における将来人口は、平成八年十万五千五百人、開発等により十年後の二〇〇六年には二七%増の十三万三千七百人、十五年後の二〇一一年には三五%増の十四万二千七百人と推計されております。一方、患者の流出でありますが、患者調査から、圏域で入院患者のうち五二・四%が受療され、四七・六%が主に大阪、奈良の医療圏外へ流出されており、流出の主なものでは、神経系、血液免疫障害、その他の疾患となっております。
 さて、お尋ねしたいことは、紀北分院は建設後四十年以上経過し、橋本医療圏の西部に位置して立派にその役割を果たしているところであるけれども、施設等、近代医療としてはいささか古くなっていると考えております。また国保橋本市民病院も、三十有余年経過し、駐車場を初め全体が手狭であり、加えて人口急増と相まって入院の部屋待ちが一カ月以上もかかるという現状から、やむなく圏外へ流出することがあって市民に多大の迷惑をかけております。現在、市民病院の基本構想の中で整備計画が立てられ、議会において改築の整備特別委員会が設置されたやに聞き及んでおります。
 以上のように、橋本医療圏の中で中核公立病院がいずれも改築の時期に迫られており、圏域に民間医療法人の八十ないし百五十床の施設三カ所、町立高野山病院を含め六つの病院がありますが、余り特色もなく同等レベルであることも流出患者続出の原因でなかろうかとも思われます。
 最後に、県において紀北分院の将来構想検討委員会を設置されて、紀北分院の将来について検討を始められたと聞き及んでおりますが、国保橋本市民病院も現在改築の整備計画が進められており、公立病院の役割を果たす橋本医療圏の医療体制の整備充実についてどうお考えなのか。将来を展望しての橋本医療圏にふさわしい公立の統合等による五百床相当の高度の拠点病院と位置づけの上、今後検討されるのか、その決断の時期が迫られていると考えます。
 そこで、橋本医療圏の整備充実について西口知事の所見をお伺いいたすものであります。
 以上で、私の第一回目の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの木下善之君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 木下善之議員にお答えをいたします。
 日本工業所の問題については、議員のお話にもございましたとおり、県としても懸命の努力をしているにもかかわりませず、いまだ完全解決に至っていない状況でございまして、大変苦慮しているところでございます。
 地元住民の皆さんのご要望におこたえするためには、法律の範囲内での措置では限界があることも事実でございまして、今後も引き続き粘り強く事業者及び橋本市と協議をしながら、残りの三分の二の廃棄物の処理とともに解決の道を探っていきたいと考えてございます。
 それから、橋本医療圏における医療体制の充実の問題でございます。
 橋本医療圏では、二次医療圏として入院医療を必要とする者に対して、その医療圏の中で満たされるように医療供給体制の整備を図っていく必要があり、同時に診療機能の分担あるいは高度化により地域の患者のニーズにこたえていかなければならないと考えておるわけでございます。
 公立病院には、一般医療のほか高度医療あるいは救急医療など、民間では対応が困難な不採算医療の役割を担わなければならない使命もあるわけでございます。現在、橋本市民病院においても県立医科大学附属病院紀北分院においても将来の整備に係る検討委員会が設置されており、その検討が進められているわけでございまして、私も十分承知をしているところであります。ただ、県といたしましては、こうした公立病院の今後の果たす役割について、橋本市を初め地元皆さんのご意見をお聞きしながら、ともに研究をしてまいりたいと考えております。
 以上であります。
○副議長(阪部菊雄君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 木下善之議員にお答えを申し上げます。
 産業廃棄物の問題のうち、まずダイオキシン及び水質検査についてでございます。
 土壌及び水に含まれているダイオキシンの測定については、試料採取方法や分析方法が確立されておりませんが、煙突から出るガス中の測定方法については既に示されており、分析時間については試料を採取してから結果が出るまで約二カ月、経費については一回約百万円と聞いてございます。
 次に、日本工業所の現場管理についてお答えを申し上げます。
 七月以降の産業廃棄物の一部排出については、保健所の監視に加えて、社団法人和歌山県産業廃棄物協会に監理をお願いいたしております。搬出量については、マニフェストを集計することにより行っておりますが、保管中の廃棄物の減少状況について保健所等の立入調査でも確認いたしてございます。
 次に、五百台以上の残土を入れさせた理由及びふるいかすの処理策についてでございます。
 残土の搬入については、事業者において堰堤の整備、土間のぬかるみ対策のために入れたものでございます。また、選別後の土砂は現場で埋め立てておりますが、選別し切れなかった若干の廃棄物が混入しているものの、基本的には昨年六月、七月時点において悪臭やハエの対策のためにかぶせた土砂がふるい分けられたものと認識してございます。なお、若干混入している廃棄物の影響があるとすれば水質検査に反映されるものと考えてございます。
 次に、越境に関する指導要綱が生かされているのかというご質問でございます。
 現在、県内の産業廃棄物処分業者が処分をしている他府県からの産業廃棄物については、越境移動要綱施行時点で既に契約のあったもののみで新規の搬入は認めてございませんが、現在、橋本市内で要綱に違反する疑いのある件については目下指導中でございます。
 次に、本県の今後の産業廃棄物処理対策についてでございます。
 産業廃棄物処理に関する県の考え方は、産業廃棄物処理計画に示しているとおりでございまして、県内で発生した産業廃棄物は県内で処理することを基本姿勢といたしてございます。また監視体制については、地方機関である保健所の体制の充実、市町村を初め警察、他部局との連携の強化などの対応を行ってきたところでございます。一方、廃棄物処理法の改正によって、処理施設を設置する際には、環境影響調査を行うとともに関係市町村の意見を聞くことを義務づけるなど、施設の立地地域の意向を重視する方向に転換することとなってございます。
 今後とも、産業廃棄物の適正処理はもとより、処理施設の立地問題など、諸課題の解決に向けて積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 木下議員のご質問にお答えいたします。
 まず最初に、道路交通網の整備促進についてのご質問でございます。
 市脇・清水間の架橋でございますけれども、国道三百七十一号の市脇・清水間架橋については、早期整備に向け、架橋にかかわる基礎調査として、交通量予測調査、ボーリング調査等を実施してきており、現在、橋梁の予備設計を行っているところです。これらの調査をもとに、平面二車線の現都市計画決定を基本に関係機関と調整を進めており、来年度新規事業採択に向け、国に要望を行っているところであります。
 次に、同じく国道三百七十一号の高野山バイパスについては、平成六年十二月に地域高規格道路として候補路線の指定を建設省より受け、現在、紀伊丹生川ダムの関連として関係市及び町と協議しながらルート検討等を行っております。今後、紀伊丹生川ダム事業と調整を図りながら、地域高規格道路として早期整備が図れるよう努力してまいります。
 次に、紀伊丹生川ダムの建設についてのご質問でございます。
 ダム事業については、議員ご指摘のように、全国的に非常に厳しい状況にあると承知してございます。紀伊丹生川ダムは、議員ご発言の中止等のダムの中には含まれておらず、今までどおり調査を進めると建設省より聞いております。
 この紀伊丹生川ダムの建設については、今後、知事、議会の代表、水没関係自治体の首長、議長、学識経験者等から成るダム事業審議委員会の意見を聞き、建設省近畿地方建設局長が判断することになります。ダムの諸元については、現時点までの調査結果では、重力式コンクリートダム、ダム高百四十四メートル、有効貯水容量五千四百七十万立方メートルと聞いております。
 財政構造改革会議の方針もあり、新規建設着手は極めて厳しい状況ではありますが、県といたしましては、今後とも審議委員会の動向を見ながら、関係部局とともに建設省に早期建設着手を働きかけてまいります。このダム事業審議委員会については、早期開催を知事初め関係機関とともに国に働きかけておりましたが、建設省近畿地方建設局では開催に必要な技術レポートの策定を鋭意進め、このたびその策定作業が完了したと聞いており、県といたしましても近々開催されるものと考えております。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 木下善之議員にお答え申し上げます。
 紀伊丹生川ダムに関する水源地域の整備については、一、ダム建設に伴う影響の緩和を図ること、二、水没関係住民の生活再建を促進すること、三、水源地域の活性化を図ることを目的として取り組んでまいる考えでございまして、これまで水源地域整備の骨格となるつけかえ道路や工事用道路及び土捨て場等について関係市町や水没関係住民の方々に県としての考え方を説明し、ダム建設についてのご理解を得られるよう努めてきたところでございます。
 県といたしましては、議員ご指摘のように、本年度において水源地域整備計画原案を策定する予定でございまして、現在、ダム事業審議委員会設置の動向にあわせて準備を進めているところでございます。水源地域整備計画原案の策定に当たっては、関係する橋本市、高野町、九度山町や関係住民の方々の意見をお聞きしながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 医科大学学長山本博之君。
 〔山本博之君、登壇〕
○医科大学学長(山本博之君) 医科大学附属病院の整備充実についてでございますが、議員ご指摘のとおり、本学附属病院が高度な医療並びに先端的な医療を提供する特定機能病院として、また地域の中核病院として果たさなければならない役割は大きいものがございます。さらに、新たに設置する生涯研修センターでの通信ネットワークを活用した診療支援等、地域医療機関との連携を一層深めていかなければならないと考えてございます。
 現在、新しい組織や運営等について検討しているところでございますが、その主な課題といたしましては、入院患者にゆとりと安らぎが与えられるような病棟食堂や談話室の設置等の環境づくり、がん患者に対するチーム医療や緩和ケアのための病棟の設置、手術室の増設と充実、リハビリテーション部や救急部門の強化充実、外来患者の診察、検査、会計等の待ち時間を短縮するためのシステムの導入などでございまして、関係機関と積極的に協議しながら、県民に信頼され、期待にこたえられる附属病院を目指しているところでございます。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 2番木下善之君。
○木下善之君 それぞれ答弁をいただいたところでございますけれども、少し要望を申し上げておきたいと思います。
 産業廃棄物問題は非常に全国的な問題でございまして三百カ所相当と聞き及んでございますけれども、その中でも香川県の豊島であるとか、岐阜県の御嵩、奈良県の西吉野、そして和歌山県の菖蒲谷近隣、これは五本の指に入るやにも聞いておるわけであります。やはり、地域住民を大変苦しめてございますし、また水質等においても一抹の不安を持っているのは確かであります。本県は、自然環境を売り出しておる県であります。すばらしい自然環境を生かしながら観光立県として今日ある面も確かでございまして、そうした中で産業廃棄物問題が全国ネットで再三放映されておるわけであります。本県の非常に大きなダメージにつながっていくことも確かであります。そうした点から、一日も早く菖蒲谷近隣の日本工業所問題の完全解決に向けて、橋本市とも十分に協議をいただきながら、地域住民もよかったと、そしてまた県も本当によかったなと言われるような喜びの日の来るのを待っておるわけであります。どうかこの点、よろしくお願いを申し上げます。
 もう一つ、橋本医療圏の問題で答弁もいただいてございますけれども、紀北分院の検討委員会、そしてまた橋本市民病院の委員会、それぞれの立場で入っておるのは確かであります。しかし、それぞれの立場のエリアの中で検討されていくということでなかろうかと考えたときに、橋本市の地域医療圏という、ある程度広域的な段階の中での各代表者の皆さん方での検討委員会といいますか、橋本医療圏の未来像はどうあるべきかということを踏まえて、高い次元で検討、メスを入れてみるべきではなかろうかという考えを持っておるわけであります。したがいまして、そうした広域の橋本医療圏域の中での、もう一つ上の段階の検討委員会の設置をぜひいただくことを要望して、私の一般質問は終わります。
 ありがとうございました。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下善之君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(阪部菊雄君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時三十三分散会

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