平成9年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(向井嘉久藏議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○副議長(阪部菊雄君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 11番向井嘉久藏君。
 〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 一般質問をさせていただきます。
 一般質問に入る前に、とにかく午前中の大江議員からの部長が来なかったという話について、私はちょっと県当局にお尋ねしたい。議員おのおのに対応が違うのか。私はこのことについて非常に何かこう、疑問に感じるわけでございます。議員一人一人の質問は同じである、私はこのように思っております。したがって、次からはひとつ公平に扱ってもらいたいなと、このようにお願い申し上げておきます。
 一般質問に入る前に、九月十七日、地元の皆さん方が現在の産廃処理場に起こっていることを聞いていただいて、三十七名もの議員の皆さんの出席をいただいて、本当にありがとうございました。この場をおかりいたしまして、心から厚く御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 一般質問に入ります。お手元にB4のカラーコピーの資料を一枚、議運委員長さんのご了解を得てお配りさせていただいております。
 これは、現在橋本市野地区で行われている、きょう私が質問させていただきます産業廃棄物の全体の写真でございます。この写真からちょっと説明させていただきたいと思うんですが(写真を示す)、右側に竹やぶのような青いものが見えますが、その向こう側に農道があるわけでございます。右側から一番左側の斜面になっているところまで、大体百七、八十メートルあるでしょうか。昔は、この農道からは深い谷になっておりました。今、埋め立てられて現状のような格好になっておりますが、この左側は──これは南側になるんですが──谷がだんだん深くなっておりまして、まだまだ埋められている。普通のきれいな山土で埋め立てられていっておればいいんですが、写真を見ていただいたらおわかりのように、これは土と申し上げられません。こういうものでどんどん埋め立てられていると、こういうことをご認識いただいて質問を聞いていただきたいなと、このように思うわけでございます。
 質問に入らせていただきます。
 今までの経過を簡単に説明させていただきます。橋本市の関係住民でつくっている産廃処理場を撤去させる会が完全撤去、原状回復を求めている産廃処理場は、橋本市野地区にございます。橋本市菖蒲谷、柿の木坂、出塔地区の住宅地に近接しておりまして、三年ほど前から、産廃物の野積みや野焼き、劣悪な焼却炉の操業などによりまして健康被害を生んでおります。また、入院患者一名、通院患者三十名の被害を受けているのであります。このまま解決を見送るとすれば、いずれ発生するであろう被害は、これまで体験したことのないものになると予見できるのであります。
 そこで、日本工業所──今までは、私は名前を出さないで「N工業所」と申し上げておりましたが、あえてきょうは名前を出させていただきたいと思うんです──橋本処理場での問題点を挙げるとともに、業者との交渉内容と交渉に臨む県の認識と姿勢について伺いたいと思うのであります。
 質問に入る前に、少しダイオキシンについて触れておきたいと思うのでございます。釈迦に説法でございますが、少し聞いていただきたい、ダイオキシンの怖さを知っていただきたいなと、このように思うのでございます。
 ダイオキシンは、サリンの六倍とも、また七倍とも言われております恐ろしい薬物でございます。これは、自然界に自然にあるものではございません。人間がつくり出したものでございます。そういう意味から大変怖い。
 最近になってようやくわかってまいりましたが、厚生省は市町村の設置する一般廃棄物ごみ焼却場施設を対象に、昨年十二月までに排ガス中のダイオキシン類濃度等を調査するよう、都道府県を通じてごみ焼却施設からのダイオキシン排出実態等総点検調査を市町村に指示いたしました。ことし四月十一日に全国の一般廃棄物焼却場──報告分は一千百五十施設でございますが──のダイオキシンの濃度について数値を発表いたしました。全国の施設のすべての結果が入っているわけではございませんし、不誠実な測定方法で実際に運転している場合の排出量からはるかに低い数値を報告、または異常な数値の施設は報告から除外するなど、ダイオキシン隠しが問題となった施設も多く、この数値がどこまで信頼できるかという疑問が高いのであります。
 ちなみに、資料から──これは厚生省の資料でございます。ダイオキシンはどんなときによく出るのかと申し上げますと、准連・ストーカつきの三十トンの焼却炉を例にとりますと──この辺で三十トンというのは和歌山市ぐらいしかないのと違うかなと思うんですが──一番高いのが埋火時、火を落としているときで、これが七百二十六ナノグラム出ておるわけです。そして、定常時、どんどん高温で燃やしておるときは七十七・三ナノグラム。こういう数字でございまして、燃やすごみが少ないところは一たん火を消す、そのときが一番ダイオキシンの発生が多い、こういう数値が出ておるわけでございます。
 また、ただいま申し上げました、厚生省に報告された数値に問題があるというのは、私が言うておるんじゃなくて、平成九年九月五日の毎日新聞が、「ダイオキシン 県と市、データ隠し」という大きな見出しで埼玉県の所沢市のことを載せております。基準の百五十倍発生しておった。これは、余りにも量が多いので、所沢市は県と相談してこれを報告しなかった、こういう事態がこの新聞に載っているわけです。市のごみ焼却施設の排ガスから一立方メートル当たり最高一万二千ナノグラム出ておる。ナノは、十億分の一ということです。ほかにピコというのがありますが、これは一兆分の一。ダイオキシンの怖さを知る単位だと思います。普通、数値をはかるときに一兆分の一というような数値は余り見かけない、こういうような恐ろしさでございます。
 それにしても、この報告の中で和歌山県が四十五・八八ナノグラム、ワーストにしまして全国では六位でございます。こういう緊急対策が必要とされる判断値の八十ナノグラムからは若干下回っておるとはいえ、ドイツやオランダの基準である〇・一ナノグラムから考えますと途方もない数字であると言わざるを得ないと思うのでございます。
 ほかにいろいろ資料で説明したいと思うんですが、時間の関係で割愛させていただいて、本題に入らせていただきたいと思うのでございます。
 知事にお伺いいたしたいと思います。
 橋本市民の関心事の一つであります日本工業所の処理施設をめぐる問題について、知事の指導力もあって、県当局は業者との粘り強い交渉によりまして産廃の搬入禁止、焼却の中止、産廃の一部撤去など、一定の前進をさせていただいております。また、最終解決に向けて、橋本市と協議の場を設けていただいているとも聞いております。現状での産廃処理業者・日本工業所に係る考えと、今後どのように解決を図っていかれるのかを伺いたいと思うのでございます。
 また地元住民からは、昨年末来、知事には直接お目にかかっておりません、ぜひこの現状を訴えたいという声が強いのでありますが、ぜひこれにこたえていただきたい。お願い申し上げます。
 続いて、生活文化部長にお尋ねいたします。
 県と業者の交渉内容と交渉に臨む県の認識と姿勢について、お伺いしたいと存じます。
 県当局の努力によって幾つかの問題を解決してまいりましたが、根本的解決についての道筋はまだ見えず、この問題の難しさを痛感するものでございます。このため、県と地元住民との意思疎通が十分でなく、お互いによりよい環境のために解決に向けての努力をしているにもかかわりませず、住民の不安は解消されないばかりか、県に対する不信感も募っているように見受けられます。まことに不幸な結果になってございます。
 全国で噴出している産廃紛争の最大の原因の一つに、情報が地元住民に全くと言ってよいほど公開されていないことがございます。違法行為が後を絶たない一部悪質業者の所業は別といたしまして、廃掃法の規定に地元住民との協議が求められていないとは申せ、大方の処理場建設計画が住民の耳目に触れるのは、早くても工事着工時、または稼働後の環境破壊が始まって初めて住民が気づくといったのが実態でございます。実際に悪質業者が公害をまき散らした場合、最初に被害を受けるのは地元住民であります。しかし、現実には住民に情報が伝わるのは一番最後になってからであります。しかも、その情報は極めて乏しいものでございます。
 橋本の問題につきましても同様のことが言えると思います。これらを解消するために、住民が知りたい情報については公表すべきであると考えます。許可権者としての県が業者との交渉にどのようなスタンスで臨んでいるのか、焼却の中止、産廃の一部撤去がなぜ「合意」なのか、命令や指導はなぜできないのか。ちなみに、堺市は日本工業所に対して産廃の完全撤去の改善命令を発令し、実行に移させております。このことについてお伺いしたいと存じます。
 次に、焼却中止についてお伺いいたします。焼却中止に至った経緯、どのような条件で決定されたのか。民間業者の営業権を奪うことを意味する焼却中止が何の条件もなく合意に至るとは、到底考えられないのであります。それとも、何かの違反行為があって、それに基づく実質的な罰則に近いものなのか、これについてお伺いいたします。
 次に、焼却再開の可能性についてであります。何らかの取り決めがあって、現在のように焼却中止になっているのか。再開されるのではないかと、地元の住民は不安に感じております。これらの見通しについてお伺いしたいと存じます。
 次に産廃の一部撤去について、県と業者の合意についてお伺いいたします。
 県と業者が撤去について合意したとされる産廃の約三分の一とは、現場のどの部分を指すのか。その総量、費用、撤去にかかる期間はどのくらいか。和歌山環境保全公社が約五千万円を負担する理由づけについて、お伺いしたいと存じます。
 次に、現在までに持ち出された量の把握についてお伺いいたしたいと存じます。持ち出された産廃の量と進捗状況はどうか。産廃は今どこでどのように処理されているのか。マニフェストを公表してその処理方法について伺いたいと存じます。
 次に、現場の産廃の認識についてお尋ねいたします。
 県として問題の産廃処理場がある谷についてどの程度把握されているのか、いつの時点からだれが何をどれだけ埋めているのか、具体的にお伺いしたいと存じます。
 住民が訴えている、焼却炉設置面より下に埋められているものは廃棄物である可能性が高いという事実認識について、県当局は認識を持っているのか、埋まったままで安全と思っているのか、お伺いしたいと存じます。
 次に、水質調査並びにボーリング調査についてお伺いいたします。住民の水質調査では、実際に有害な重金属が検出されております。安全性については疑問が多くございます。安全性の根拠を科学的データに基づいて示すべきだと思います。安心して暮らせるためにも、水質やダイオキシンの調査はもちろん、根本的な原因を調べるためにボーリング調査をし、そのいずれの結果をも公表すべきであると私は思います。これについてお伺いしたいと存じます。
 また、この処理場からの排水は、市脇川を通じて約一キロばかりで紀の川に流れ込んでおります。下流では、伊都、那賀、和歌山市、また海南市の一部の人々が生活水として利用しており、その恩恵を受けておりますが、このことを決して忘れてはならないと思うのでございます。
 次に、監視カメラについて──私はこれを監視カメラとは申し上げられないと思うんですが、監視カメラが今、現に現場の門のところについておるんです。ところが、このカメラは業者がつけたカメラでございます。業者が自分を監視するためにつけたカメラ、こういうふうに理解しておるわけでございます。
 当初、県当局と地元住民との間で話し合いが持たれた席上、住民側から監視カメラの設置を強く要望されておりました。しかし、残念ながら予算の都合で見送られて現在まで至っております。ところが県当局は、監視活動──今までは保健所の職員が毎日来て監視しておりました。非常に熱心にやってくれておりました。業者が朝六時に産廃を搬入すると言ったら、朝六時に来て門を開けて業者をお待ちしてくれておった。そうして、ダンプカーから産廃をぶっちゃけたら、産廃とそうでないものと保健所の人がより分けておった。こういう仕事熱心な方がいた。ところが、この監視活動を──もう保健所の方は音を上げたんやと思います。大変な仕事であったと思いますよ、それは。その横で業者の人が腕組みをしてじっと保健所の職員の仕事ぶりを監視しておった。こういうのが実態でございます。
 この監視活動の変更は、恐らく保健所の職員は、もうこらえてくれ、これはかなわんというふうに思ったんだと思います。これを理由に、八月二十五日、それまで保健所が保管しておりました入り口のかぎを業者に渡しました。それと同時期に、事前には何の連絡もなく──つけてから電話でちょっと連絡があったんですが──何の話し合いもなく、業者が自分を監視するためのカメラを設置しました。突然の監視活動の変更はなぜされたのか、伺いたいと思います。
 私は、「監視」とはどんなことを言うのかな、私が思っておったことと違ったんかなということで、字引を引いてみましたら、監視とは規則を破る者、また異常なことを気をつけて見守ること、こう書いてあります。県当局はこれを監視カメラと考えているのか。もしこれを監視カメラと考えておるのであれば、私どもと全く考え方が違う。この考え方が違うと、幾らすり合わせしようとしても、なかなか難しい。
 次に、橋本市内で許可申請が出されている産廃の業者がほかにもあるのか、また、その準備のために保健所が指導をしているものはあるのか。
 私はこの間、橋本市の彦谷地区の方へ行ってきました。今ここでは、四社が産廃処理をするために用地を取得しております。既に一社、三高産業のは焼却炉が座っており、試験炊きが行われて試運転しております。ところが、試運転は業者の手で行われておる。廃掃法に基づいて言えば、メーカー側が試験炊きをせないかん。これがもう既に、ここからスタートが間違っておるんです。
 橋本市の市長は、この彦谷地区の産業廃棄物処理場に向けて橋本市として反対だと意思表示しております。にもかかわらず、保健所の職員が指導に行っておる。私はこの感覚もちょっとわからん。これについてもお伺いしたいと思うんです。
 指導に行って、指導して、指導して、業者は大金をつぎ込んで指導されたとおりにやっていく。何億という金をつぎ込んでいく。指導がすべて終わった時点で申請を出されたら、県は許可を与えやなしようない。これは全く、今問題になっている菖蒲谷地区と同じですよ。どんどん指導が先行していって、申請されたら即、許可をおろしておる。こういうやり方をやっておるから大変なことが起こった。特に今回は、橋本市が反対だという意思表示をしているのにもかかわらず指導に行っておる。僕はこれについて、ちょっとわからん。これについて県の考え方をお伺いしたい。
 最後に、ちょっとメッセージをご紹介させていただきたいと思うんです。このメッセージは、去る八月十日、橋本市で「まじめにゴミの話をしよう ゴミ問題に直面する私達」と題して、産廃処理場を撤去させる会、また共催で橋本市、ここがシンポジウムを行いました。その席上へ届けられたメッセージでございます。御嵩町長の柳川喜郎さん、また豊島住民会議の石井亨さんから寄せられております。御嵩町長のメッセージをご紹介させていただきたいと思います。
 「まさに『臭いものにはフタ』と、行政も企業も、そして住民も、ゴミについて見て見ぬフリをしてきたのです。 そのツケが、橋本にも御嵩にも、そして全国の各地にまわってきたのです。 いまこそ、みんながゴミを見すえて、真剣に考えるべきです。 これまで、私たちは大量生産、大量消費、大量廃棄の時代にドップリ浸ってきましたが、そういう時代はもう終わったのだと、まず認識すべきです。 ゴミがでるからゴミ捨て場をつくるという考え方では、いずれ日本中がゴミだらけになってしまいます。 このさい、思いきった発想の転換をする必要があります。キーワードは、減量化、リサイクル化、無害化の三つです」云々とございます。
 もう一つ、豊島住民会議の石井亨さん──この方はその中で中心的な役割をされている方ですが──からもメッセージをいただいておりますが、橋本から豊島に行ったときに、この橋本で起こっている写真を石井さんに見ていただいて、「私たちは第二の豊島に橋本をしたくないんです。この写真を見てください」と言ったら、石井さんは「もう豊島になってるやん」、こういう話でした。
 以上で、一般質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 向井議員にお答えをいたします。
 産業廃棄物の問題につきましては、全国的、また全県下的な問題でございまして、大変苦慮をしておるところでございます。
 ご質問の日本工業所の問題につきましては、地元の皆さんにも大変ご心配をおかけして申しわけないと思っております。県も、昨年来、廃棄物処理法に基づき、搬入禁止、夜間焼却禁止等の厳しい命令及び各種の行政指導を行ってきたところでございます。さらに、本年五月一日以降の焼却中止、廃棄物の一部搬出という措置をとったにもかかわらず、長い経緯もあるからでございますけれども、いまだ解決に至っていないことは、まことに遺憾に存じてございます。
 今後とも、この問題を環境施策の大きな課題と認識をいたしまして、事業者はもちろん、私も先般、橋本市長にもお会いをしましたけれども、橋本市とも十分協議をして、解決の道、方法を探ってまいりたいと考えてございます。
 また、周辺住民の皆さんには、私のハードな日程のせいもありまして最近はお会いしておりませんが、昨年の橋本市における一日県庁以来、何回かお会いをし、お手紙、ファクスなども私の公舎の方にもお届けいただいておりますので、ご意見の趣旨は十分承知をしておるつもりでございます。
 今後、私自身お会いすることにつきましては、決してやぶさかではございません。ただ、本問題については担当部局も解決に向けて懸命の努力をしておるわけでございますし、私も具体的な解決方法などについて担当部局と常々協議を重ねておるところでありますので、ご理解をいただきたいと思います。できるだけの努力を続けたいと思っております。
○副議長(阪部菊雄君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 向井議員にお答えをいたします。
 県と業者の交渉内容と交渉に臨む認識、姿勢についてでございます。
 橋本市と堺市の事例は、いずれも廃棄物処理法の保管基準不適合に伴う改善命令でございますが、橋本市の場合は焼却処理することが可能なため持ち込み禁止を命令しており、堺市の場合は現地に処理施設がないため撤去を命令しているものでございます。したがいまして、今回の焼却中止については、関係者の強い要望を受けて事業者を強く指導した上での合意に基づくものであり、法律に基づくものではございません。廃棄物の一部搬出についても、焼却中止に伴う残存廃棄物の処理の一環であり、法的根拠を超えた緊急的な措置でございます。
 次に、焼却中止についての経緯、再開の可能性についてのご質問でございます。
 焼却中止に至った経緯につきましては、焼却に対する周辺住民の皆様方のご理解が得られない状況を踏まえ、県として事業者を強く指導した結果、事業者も一定の理解を示し、実現したものでございます。
 焼却の再開につきましては、法的には可能な状況にございますが、住民の方々の意向等の事情を勘案するとき、それが困難なものと認識いたしており、今後とも橋本市、事業者と引き続き協議してまいりたいと存じます。
 続きまして、産廃の一部撤去についての県と業者の合意、現在までに持ち出された量の把握についてでございます。
 県と事業者が合意した約三分の一の量とは、去る五月一日の焼却中止時点において既に日本工業所が持ち込み保管されている約二万立方メートルのうち約三分の一の量でございます。その撤去費用は約一億円、撤去に要する期間はおおむね三カ月と想定してございます。また、環境保全公社の負担につきましては、本問題の緊急性にかんがみ、県からの要請を受けた当公社において、設立趣旨に照らし、撤去費用の一部五千万円の協力が得られたものでございます。
 なお、当初計画における十トントラック六百三十台分の搬出につきましては、九月十二日現在、五百四十六台分を搬出してございます。当該搬出物の処理につきましては、大阪府内の許可業者の処理場で分別処理されていることを現場事務所に保管されているマニフェストにより確認いたしてございます。
 続きまして、現場の産廃の認識についてでございます。
 ご質問の現場の産廃の量、あるいは産廃かどうかの認識につきまして、ご質問の趣旨は、当該土地における日本工業所が保健所に届け出された以前の状況についてのお尋ねと存じますが、県としては、それ以前の状況については現在のところ把握いたしてございません。
 続きまして、現場の産廃の水質、ダイオキシン等の調査についてでございます。水質調査についてはこれまでも随時実施してきており、今後も継続する考えでございますが、ボーリング調査につきましては、水質調査の結果により必要な場合、検討してまいりたいと存じます。なお、土壌等のダイオキシン調査につきましては、採取方法や分析方法など統一された測定方法が必要でございますので、その方法が国から示された段階で検討してまいりたいと考えております。
 監視カメラにつきましては、監視用のカメラを設置するようにとの住民の方々からの要望の代替措置として施錠することとしてまいりましたが、本年五月一日以降の焼却中止措置に伴って残存廃棄物を搬出する必要が生じ、運搬用トラックが早朝から頻繁に処理場に出入りすることとなったため、監視カメラによる監視に切りかえたものでございます。監視の効果につきましては、保健所職員が当該ビデオテープを毎日チェックするとともに、随時立入調査をしておりまして、十分達成できているものと認識をいたしております。
 その他の動きについてのご質問でございますが、橋本市における日本工業所以外の処分場につきましては、最終処分場三件、中間処分場三件が事前調査を終えてございますが、現在のところ、建設廃材のリサイクル施設を除き、許可申請書を受理してございません。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 11番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 再質問いたします。
 現場の産廃の認識についてお伺いいたします。
 今、部長は、日本工業所が保健所に届け出された以前の状況については把握していない、このように言われました。個人で持っておった土地が、日本工業所に所有権が移ったのであります。私のお尋ねしておるのは、農地とか、また一部建築廃材が捨てられた、それを聞いておるんじゃない。それは何回も言うたはずや。にもかかわらず、こういう答えが返ってくる。間違いございませんか。
 それでは、改めてお伺いしますが、届け出が出されてからの分は把握なさっておるんですか。もう、一年から操業しています。その分については把握なさっていますか。それ以前は把握していない、これは無理もないと思います。しかし、それ以後の分は把握なさっているからそういうお答えをなさったんだと思います。これについてお伺いします。
 また、水質調査とボーリングを切り離して話していただきたい。水質調査をして、その結果を見てボーリングするかどうかを決めましょう、こういう回答であったように思います。しかし、水質調査だけでは、埋められている量がどれくらいあるか、また埋められている物の特定は不可能です。しかし、その前にお伺いしました、埋まっている物は私とこは一切知らんのやということでございましたら、これは何をか言わんや。しかし、日本工業所が届け出をしてからの分については、このお答えでは把握する必要があると思いますよ。それについて、ボーリング調査もやられる意思があるかどうかをお尋ねしたいと思います。
 それから、ダイオキシンの調査についてですが、確かに今、土壌のダイオキシンについて厚生省は調査方法を確立しておりません。承る話では二〇〇〇年ぐらいにはそれを確立するということらしゅうございまして、今そのたたき台が大体できているようでございます。恐らくそれに基づいて、埼玉県、兵庫県は調査しております。和歌山県は和歌山流を編み出してやったらいかがですか。やる意思がおありかどうか、お伺いしたい。
 もう一つは、厚生省が調査方法を確立した暁には一度検討させていただきますと、こういうご答弁でありましたが、その暁には調査をしていただけるかどうかをお伺いしたい。
 それともう一つ、監視カメラについて。これをどのように受けとめておるのか。私は、本当に監視するつもりであれば、もう一台、県が金を出して設置すべきだと思いますよ。
 最後に、その他の動きになりますが、申請があれば受理するのか。橋本市内で既に準備段階に入っているのが三件。これ、申請があったら受理しますか。大変なことです。四社の中で、一番大きな彦谷の業者の山の持ち分は二十一町歩ですよ。これが産廃処理場として稼働し始めたら、とんでもないことになる。特に、九度山町の丹生川へ水源として流れ込んでおる。九度山町でも反対決議が行われたところでございます。また、知事さんの方にも陳情があったと思います。これらの問題を、片方では保健所で指導しながら受理しないという方法が果たしてできるのか、私は心配でなりません。これらについてもお答え願いたいと思います。
 終わります。
○副議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 向井議員の再質問についてお答えをいたします。
 まず、産廃の認識についてでございますけれども、先ほどお答えいたしましたとおり、現在、保健所に届け出された以前の状況については把握いたしておりませんで、先ほど申し上げた数字は五月一日時点において二万立方メートルということで、その数字を申し上げたところでございます。今後の対応につきましては、橋本市と協議する中で一つの課題として検討をしてまいりたいと思います。
 それから、水質調査につきましては、現在、産廃処理場の中で、産廃が埋まっておるところでございますけれども、その産廃処理場の出口地点で水質調査を行っております。その結果によりまして、必要であればボーリングをいたしたいというふうに考えております。
 それから、ダイオキシンについての、ほかの県でやっているところもあるではないかというご質問でございますけれども、ただいま把握している状況によると、兵庫県あるいは埼玉県において実際調査が行われております。これは、同県が所有する測定機器によって研究に類する調査を行っているものと聞いてございます。本県においては、測定方法、評価方法等につきまして、関係機関と協議する中で実施の方向で検討してまいりたいと思います。
 それから、監視カメラでございます。この監視カメラは業者に設置させたものでございますけれども、ビデオテープに収録される映像については有効なものというふうに考えております。なお、保健所職員がビデオテープをチェックしておりまして、問題があれば業者を指導してまいる所存でございます。
 それから、その他のいろいろな動きについてでございますけれども、議員ご心配のようなことについて我々としても協議をいたしまして、各種法律に基づく届け出がいろいろございまして、廃掃法以外の届け出で先行してしまった場合、廃掃法の許可が非常に難しくなるというようなことでもございますので、その心配を何とかするために、保健所に事務局を置く地域産業廃棄物適正処理連絡会議において検討し、本年六月から、各種の届け出等、法手続を要するものにつきましては、地元の理解が得られないものについては当該届け出書等を受理しないよう保健所に指導いたしておるところでございます。
 以上です。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 11番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 ただいまの答弁の中で──水質調査とボーリングを切り離してもらえんかということで再質問いたしました。しかし、水質調査の結果を見てボーリングもやる用意はあると、こういう答弁でございますが、先ほど申し上げたとおり、埋められている産廃の量とか埋められている産廃の特定は水質調査ではできない。水質調査は、もう既に前からやってくれておることや。これにひっかけられたら困る。やっぱり許可権者として、そこで何が起こっているのかということを把握するのが許可権者としての責任であろうと、このように思います。したがって、私は絶対ボーリング調査をやっていただきたいと思います。
 それから、監視カメラについてであります。
 確かに、毎日毎日、二十四時間録画したものを保健所の職員がチェックしている。承りますと、チェックするのに大体三時間から四時間かかるらしいですね。ところが、その職員が休んだらたまっていくわけ。物理的に不能ですよ。
 もう一つ、一番怖いのは、監視カメラに映ったビデオは既に過去のものであるということです。保健所でチェックして、問題があるからといって業者に言うても、それはもう終わっておること。そしてもう一つ問題は、地元住民がそのビデオテープをいつでも必要なときに見せてもらえるかというたら、そうはいかんよという話ですよね。所有権は業者にあります──当然のことですよ。金を出した人が所有権を持っているのは当たり前のことです。したがって、監視カメラはもう一台、県の費用でつけていただけませんかということをお願い申し上げた。
 最後に、その他の動きで、申請があっても受理しませんよというのを、何で保健所の職員が指導に行くんですか。だましですよ、それは。それやったら、行くのをやめたらいいんですよ。指導できませんと、やめたらどうですか。申請があっても受理しないと初めから言うておるんやから。
 もう一つは、二十一町歩にも及ぶ大規模な処理場を仮に許可したとしても、この四月で和歌山県は、産廃は和歌山県内のものに限る、他府県からの搬入は一切認めないと、こういうふうに決めました。二十一町歩の大きな一つの施設が和歌山県のやつで商売できるかというのが、私のささやかな疑問でございます。
 そういう意味から、この際、もう業者にあきらめてもらって、帰ってもらうようにご指導をお願い申し上げたいと。
 以上で、再々質問を終わります。
○副議長(阪部菊雄君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 水質調査とボーリングを分けて考えるべきではないかということについては、先ほど答弁したとおりでございまして、これについては今後またさらに検討していくということでお答えをいたしておきます。
 それから、監視カメラにつきましては、先ほども申し上げましたように、写されたビデオにつきましては、これはたとえ業者の設置したカメラであっても有効であるというふうに認識をいたしております。
 それから、その他の動きでございますけれども、これも先ほどお答えをいたしましたように、六月から、各種の届け出がそろわないとそれについて受理しないということで指導を重ねておるところでございます。
 以上、重ねてお答えを申し上げます。(「彦谷はどうするんや」「彦谷、答えてやってくれよ」と呼ぶ者あり)彦谷の分につきましても、このただいまの受理しないという分に入ってございます。
○副議長(阪部菊雄君) 以上で、向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(阪部菊雄君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時五十七分散会

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