平成9年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(尾崎要二議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時四分開議
○議長(木下秀男君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(木下秀男君) この際、報告いたします。
 過日提出のあった議案第百八号及び議案第百九号は、いずれも職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定に基づき人事委員会の意見を聴取しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員にその回答文を朗読させます。
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 和人委第212号
 平成9年9月19日
 和歌山県議会議長 木 下 秀 男 殿
 和歌山県人事委員会委員長 若 林 弘 澄
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成9年9月17日付け和議会第231号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
 記
 議案第108号 職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例
 議案第109号 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
 意 見
 上記条例案については、適当であると認めます。
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○議長(木下秀男君) 次に、お手元に配付のとおり、監査委員から監査の結果報告がありました。
 以上、報告いたします。
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 【日程第一 議案第百四号から議案第百十五号まで、議案第百十七号から議案第百二十号まで、及び報第七号】
 【日程第二 一般質問】
○議長(木下秀男君) 日程第一、議案第百四号から議案第百十五号まで、議案第百十七号から議案第百二十号まで、及び知事専決処分報告報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 29番尾崎要二君。
 〔尾崎要二君、登壇〕(拍手)
○尾崎要二君 九月定例会一般質問のトップを切って質問させていただくことを大変光栄に思うと同時に、先輩、同僚の皆さん方に感謝を申し上げる次第であります。
 九月二日という日は、私にとって忘れられない日となりました。半島という立地ゆえに、国土軸から大きく離れた本県において、半島性からの脱却という県民の悲願を達成すべく、五期二十年にわたって県政を引っ張ってこられた前知事仮谷志良さんが、七十五歳で亡くなられました。退任されてからわずか一年九カ月、余りにも早過ぎる訃報に声も出ないほどの驚きと、日がたつにつれ、ありし日のことが思い出され、寂しさが募ってまいります。
 半島振興法の制定の必要性を強く国に訴え、それをもとにした道路整備、高速道路の国土軸への直結、関西国際空港の実現、くろしお号の新大阪駅乗り入れ、当初予想の倍近い三百万人が訪れた世界リゾート博の成功等、常に県民の先頭に立ち続けてこられた二十年でありました。
 それぞれ、人には人生の師と言われる人がおります。恩師であります。私にとって政治の師は、元大蔵大臣の坊秀男先生、そして仮谷さんがそうでありました。坊先生がよく言われておりました、「人は地位を得てとうとからず、地位は人を得てとうとし」という言葉であります。オイルショクの苦しい財政事情の中からスタートし、県勢発展のためにひたすら努力を重ねられ、今日の和歌山県を築かれた仮谷さんの功績は後世へも語り継がれていくであろうと思います。常に誠実で、知事という地位を高められながら、それでいて気さくな人柄を持ち続け、「まごころ県政」の初心を忘れない、すばらしい知事でありました。
 知事を退任された後も何度かご自宅を訪ねさせていただき、県政についての話をお伺いいたしました。そして帰り際に、「要ちゃん、あんたら若い人が頑張らな」と言ってくれた言葉がいつまでも心に残っております。仮谷さんに心から感謝の言葉を贈り、ご冥福をお祈り申し上げたいと思います。
 次に、県の予算執行状況調査結果について幾つかの質問をいたします。
 当調査につきましては、去る四月二十二日に県庁内に予算執行調査改善委員会を設置し、知事部局はもとより、企業局及び人事委員会、地方労働委員会、監査委員、教育委員会の事務局を対象に、平成六年度から八年度までの三年間について、四カ月にも及び厳正な点検調査を実施されたとの報告を受けております。その結果、十三億を超える不適正な執行が判明したことについて、その金額の大きさに驚かされたのは、決して私一人だけではないと思います。
 他府県の状況を見ますと、既に十数都道県で全庁的な調査を実施しており、その結果、福岡県においては調査対象期間が二年半で約五十九億円、山梨県は三年間で約四十三億円、北海道は三年間で約四十二億円、青森県は三年間で約三十二億円など、多額の不適正執行が判明し、それぞれ職員等が返還することとされております。この中には、調査が十分でなく、再度の調査をした結果、新たな不適正執行が明らかになったものも数県含まれておりました。また、このほかにも十数県が一部の機関で判明した不適正執行額を返還しているなど、全国のほとんどの都道府県が公金支出の疑惑を受けている状況であります。本県においても、他県に見られるような不適正な事務処理が行われていたことは極めて残念なことと言わざるを得ません。
 このように多額の不適正な執行を行った背景には、当然その原因があるわけでありまして、この原因を徹底して究明し、それを取り除く努力をしなければ今後の適正な執行は望めません。
 調査結果報告書の内容を見ると、不適正な執行は旅費を中心に食糧費等の八科目について行われており、不適正支出金の使途について逐一説明がつけられております。それによると、慶弔費、せんべつ金は、県とかかわりのある団体や個人に対する香典、祝い金やせんべつに要した、接待、懇談会等の飲食費は、情報交換、意見交換のための会議、懇談会や接待等に要した、そのほか、タクシー代、有料道路通行料、書籍、新聞等の購入費、贈答品、土産代等についても組織の運営上必要な経費に充当されていたとあります。しかしながら、不適正執行額の中には一部職員間の慶弔費や懇談会費として使用されていたことも予想され、県民一般の常識からかけ離れたものと言わざるを得ません。県当局が説明しているように、本当に不適正執行金のすべてが組織の運営上必要な経費に充当されていたと言い切れるのか、疑問を抱いているところであります。また、真に組織の運営上必要な経費であれば、なぜ正規に予算に計上し執行しなかったのか。予算編成や事務処理を正しく行っておれば何ら問題のない経費が多く含まれていたと推察できるだけに、当局の長年にわたって行ってきた事務処理が残念でならないわけであります。
 何はともあれ、過去の事務処理は非は非として、不適正として出された額については管理監督者を中心に全額県へ返還されたと聞いております。返還については、職員互助会等が職員にかわって県へ一括返還し、その後、管理監督者が互助会へ約十年間で返済するとされております。月々の返済額等を見ると職員は相当の負担を長期間強いられることになりますが、このことについての職員の理解は得られているのかということについてもお聞きをしたいと思います。
 また、調査の段階においてなぜ個人を特定しなかったのか、返還についても個人が返還すべきものもあったのではないか、疑問に思うところであります。
 私は、素早い返還という処置に対して評価しつつ、今後、県がどういう取り組みをするのか注目をしております。調査結果報告書と同時に公表された予算執行に関する改善策を見ると、調査結果をもとに、このような事態に至った背景、原因を踏まえた多くの改善策が策定されております。
 まず、職員の公金に対する意識が希薄になっていたことに対し、各種の研修を行い、全職員の意識改革を図るとされております。この意識改革を図ることは何にも増して重要なことと考えますので、当局の誠意ある実行を期待したいと思います。
 次に、予算などの制度面において、実態とかけ離れていたことに対し、より実態に即した予算措置を行い、使途目的に沿った執行を徹底するとともに、必要に応じ統一的な執行基準の策定を行うとされております。既に執行基準を定めたものもあると聞いておりますが、先ほど申し上げたとおり、正規に予算化されていればこのような事態は防げたと思えるだけに、適正な予算措置、また執行を望むところであります。同時に、職員の職務に対する意欲が減退しないよう、真に必要な経費の予算措置や執行については当然認めるなどの配慮もしていかなければならないと考える次第であります。
 そのほか、監視機能の強化、情報公開のより一層の充実についても触れられておりますが、この点についても強力に推し進める必要があると考えております。
 このように、県が策定した改善策は、今後のより適正な執行の方向を示しておりますが、これらを全職員に徹底し、誠実に遂行することが県政に対する県民の信頼を回復する道であると考えるわけであります。
 本定例議会の提案説明において知事は、調査の結果を厳粛に受けとめ、今後このようなことを二度と繰り返すことのないよう、調査結果とともに発表した予算執行に関する改善策の着実な推進を図り、全職員を挙げて再発防止に全力を傾注するとの決意を述べられました。失われた県民の信頼を急に回復することは至難であると思いますが、今後の県政運営のためにも改善策を忠実に実行し、徹底した事務管理体制を樹立し、一日も早く予算の適正な執行を図ることが必要ではないでしょうか。これらのことを踏まえ、次の質問に対する答弁を求めます。
 今回の予算執行状況調査結果に対する知事の所見を求めます。
 次に、調査対象期間を三年間とした根拠は何か。
 調査の結果、旅費、食糧費等、幾つかの科目で不適正執行があったとされているが、十分な調査がなされたのか、不正行為はなかったのか。
 調査の結果、約十三億四千四百万円の不適正執行額が明らかになったが、その原因はどこにあったのか。
 調査の段階で、なぜ個人を特定しなかったのか。返還についても、なぜ個人から返還を求めないのか。
 調査結果を踏まえ、職員の意識改革を含めて、今後二度と繰り返さないための方策はどのように考えているのか。また、今後このような不適正な執行はしないと言明しており、調査結果に基づく種々の改善策を策定しているのは結構なことであるが、県政運営のために必要な経費までなくしてしまうことがあれば、このことが逆に職員の執務意欲を後退する結果にはならないか、危惧しているところであります。
 不適正執行額の使途は、組織の運営のために必要な経費に充当したと説明しているが、県に必要な経費に使用したのであれば、今回のような六百五十二名にも及ぶ管理職全員に返還を求める方法は妥当であったのか。また、どのような方法で返還をするのか。職員の理解が得られたのか。また、退職者の皆さんに対しても、群馬県においては五百人余りの賛同を得、一億円を超える寄附金が寄せられたと聞いております。本県においては、退職者に対してどのような呼びかけを行うのか。
 既に、厳しい職員の処分を行っているが、どのような考え方で処分を行ったのか。
 以上の項目については、今回の調査を実施した予算執行調査改善委員会の委員長である副知事の答弁を求めます。
 続いて、本県の明るい話題として、今春行われた選抜高校野球大会に全国で初めて分校として日高中津分校が出場し、また夏の大会では智辯学園和歌山高校が優勝するなど、野球王国和歌山の名を全国にとどろかせてくれました。私も、夏の甲子園へ足を運び、声がかれるまで声援を送ってまいりました。甲子園での高校球児のすばらしいプレーに、思わず目頭が熱い思いすらいたしました。本県で、それらの高校球児を育て、地方予選を行ったのが紀三井寺公園であります。
 昭和四十六年の黒潮国体を控え、昭和三十九年に陸上競技場が、昭和四十年に野球場が建設され、その後三十年以上の歳月が過ぎ、その間、黒潮国体やさまざまな大会が開催されてまいりました。しかし、現在でも野球場には夜間照明すらなく、また補助競技場ではサッカーやラグビーの試合が行われておりますが、観客席すら満足にない状態であります。私も、和歌山県議会の野球チームの一員として、毎年国体開催県での全国議長会主催の全国議員野球大会へ出場させていただいております。大会のメーン球場は、すべて夜間照明があり、グラウンドは人工芝であります。福島県や山形県の総合運動公園では、その面積は五十ヘクタールと大変立派なものでありました。次期国体に名乗りを上げている本県紀三井寺公園の面積はわずか十四ヘクタールであり、その施設内容も、とても全国大会を開催するには無理があるように思います。また本県においては、水泳においてもインドアの五十メートルプールもない状況であります。
 この際、コスモパーク加太へ紀三井寺公園の移転を考えられてはいかがかと提案をいたします。そして、加太で十分な敷地を県で確保するとと同時に、総合運動公園にふさわしい施設を新しく充実してほしいと思います。
 またコスモパーク加太でありますが、自然環境と調和のとれた研究開発、リゾート、住宅等の機能を持つ国際的な複合都市を建設して和歌山県の経済活性化に寄与する計画で進められ、関西国際空港の埋立用土砂採取地として当初一千億円の事業費で着工したわけでありますけれども、バブル経済の崩壊に伴う経済状況は大変厳しいものになり、その後、附帯工事も含めて約一千三百億円に膨れ上がり、土砂代八百億円を差し引いても五百億円の土地代が未収分になっております。金融機関より四百二十八億円の借り入れがあり、県の一般会計より金利に対して五年間で六十六億円余り貸し付けている状況となっております。人工スキー場の計画も進みつつありますが、いまだに土地の売買が行われたとの話は聞いておりません。土砂採取跡地の総面積が二百六十ヘクタール、有効面積が百六十ヘクタールにもなる大きな土地であります。例えば、平米当たり七万円と考えてみても──まあ、少し高い設定かもしれませんが、既に県より七十億円近く貸し付けておりますので、その貸し付けた金額で取得するとすれば、既に十ヘクタール以上の分が県有地となると思われます。コスモパーク加太計画を大きく前進させるためにも、その中核施設として総合運動公園を紀三井寺より移転させることは大きな意味を持っていると考えます。
 紀三井寺公園が加太へ移転をするとすれば、十四ヘクタールの跡地ができるわけでありますので、何度かこの議場で提案をさせていただいておりますが、そこへこの県庁舎を全面的に移転することを考えるべきであると思います。
 現庁舎は、戦前の昭和十三年に西汀丁から現在地に移転、新築され、その後、増築に次ぐ増築により、時代の流れとともにその機能も大きく後退し、問題点も数多く指摘をされてまいりました。敷地面積も、他の府県と比べて余りにも余裕がありません。県民より、狭い、暗い、利用しにくい、迷路のようであるとの声すら上がっております。この際、山形県や新潟県、鹿児島県のように、思い切って全面移転を真剣に考えるべきであると訴えたいと思います。
 過去に、県庁舎を移転した山形県で三キロメートル、新潟県で二キロメートル、鹿児島県は四・三キロメートルと、もとの庁舎より移動をしております。このことから見れば、小松原通と紀三井寺の距離が七から八キロメートルでありますので、大きな混乱もなく移転ができると思われます。先ほどから述べております庁舎移転をした県の現在の敷地面積は、山形県で十・二ヘクタール、新潟県は十二・五ヘクタール、鹿児島県は九・六ヘクタールとなっており、本県も紀三井寺で十四ヘクタールの敷地が確保できれば面積に余裕がありますので、庁舎と公園が一体となった、全国的に見ても例のない新しい感覚の新庁舎が誕生すると思います。
 大きな借入金があり、一刻も早く事業計画を本格的に進めていかなければ金利支援の貸付金が膨らむばかりになることが懸念されている、有効利用面積百六十ヘクタールを抱えるコスモパーク加太、次期国体に向かって、このままではとてもおぼつかない施設内容の紀三井寺公園、老朽化が進み既に平成二年より建設基金を計上している庁舎を一体として考える時期に来ていると思いますので、長期的な展望に立った知事の答弁をいただきたいと思います。
 これで、一回目の質問を終わらせていただきます。
○議長(木下秀男君) ただいまの尾崎要二君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 尾崎議員にお答えをいたします。
 まず、予算執行状況調査結果についてのお尋ねであります。
 今、明治維新、戦後、そして現在と、三大改革の時期と言われているわけでありますが、国も地方もさまざまな議論のさなかにあるわけでございまして、特に行政の地方分権が求められておるわけでございます。その中で、県行政においても行財政改革を積極的に推し進めているところでございます。予算の執行につきましても、改めるべき点があればよりよい方向に改善し、行財政改革を一層推進するために予算執行状況調査を実施したところでございます。
 調査につきましては、庁内に予算執行調査改善委員会を設置いたしまして、予算の執行状況の点検、調査を全庁的に厳正に実施してまいりました。その結果、まことに遺憾ながら、旅費を中心としてその一部に適切を欠いた執行が行われていたことが明らかになり、先日、報告させていただいたところでございます。
 このような事態に至った背景、原因については、予算及び制度と実態との間に乖離があったことなど、さまざまな要因が複合的に作用し、半ば慣行として行われてきたものと考えております。
 私は、知事に就任以来、職員に対し、県民の期待と信頼にこたえる県政を進めようと訴える中で、「開かれた県政」をモットーに県政を進めてまいりましたが、今回の反省の上に立って、予算の不適正執行の背景、原因を踏まえ、策定した改善策を今後の予算編成に反映させるとともに、それらを周知徹底し、予算の適正執行に努めてまいりたいと考えてございます。
 明治維新の改革をなし遂げたのは、当時の若き志士たちが、自身の自己変革を遂げながら果敢に挑戦したからだと思っております。今後、幹部職員はもとより、全職員の時代に対する認識など意識改革を図り、信頼される県政の推進に、私も先頭に立って取り組んでまいる決意でございます。
 次に、県庁舎の移転と紀三井寺公園についてであります。
 ただいま、その移転と紀三井寺公園について、尾崎議員から貴重なご意見、ご提言をいただいたわけでございます。
 まずお話にございましたコスモパーク加太については、リゾート、リサーチ、居住等の機能を持つ国際的な複合都市の建設を構想してきたわけでございますけれども、その後の社会経済状況の大きな変化、また新しく紀淡連絡道路の問題、関空の第二期土取り計画などの周辺プロジェクトの具体化が出てまいりました。そういうことを踏まえて、より実現性の高い土地利用を図っていかなければならないと考えてございます。そのため去る九月三日、県、市、県土地開発公社の三者による加太地域開発整備推進協議会において、平成十年度末を目途に土地利用計画を策定することとし、基盤整備については、県土地開発公社が事業主体となって土地区画整理事業の手法で取り組んでいくことに決定いたしました。尾崎議員からご提案のございました総合運動公園についても、この土地利用計画を策定していく中で検討していきたいと考えております。
 県庁舎を紀三井寺公園用地へ移転してはどうかとのご質問でございます。
 現在の庁舎は、ご指摘のように、本庁舎が昭和十三年に建てられたものでございまして、全体的に老朽化、狭隘化が進んでございます。このため、県庁舎の建てかえの準備が必要であると考えてございまして、平成七年度から和歌山県庁舎及び議会棟等建設基金条例を設置いたしまして積み立てを行っているところでございます。庁舎の問題は、これからの大変重要な課題であると認識してございまして、とりわけ建てかえの場所等については、県民の皆さんの利便性の確保が重要でございます。かねてから庁内のプロジェクトチームで検討を行っているわけでありますけれども、ご提言の趣旨も参考にさせていただきまして、今後少し時間をかけて検討を進めていきたいと考えております。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 副知事山下 茂君。
 〔山下 茂君、登壇〕
○副知事(山下 茂君) 予算執行状況調査の関係につきまして、知事からお答えした点以外について、私からお答えをさせていただきます。
 まず、ご質問で申しますと二点目ということになりますけれども、調査の対象期間でございます。
 今回の予算執行状況調査は、各所属での調査を基本として実施したものでございまして、各所属で保管しております支出関係書類の保存期間が三年が中心だということから、文書が存在する三年間を調査対象としたところでございます。
 なお、それ以前にさかのぼって調査すべきであるというご意見もございますけれども、今回の調査は支出関係書類の照合だけではなくて、関係職員等からいろいろ聞き取り調査を実施する中で、職員等の記憶に頼る部分が多いことや書類の保存期限などとあわせて、これ以上さかのぼって調査することは極めて困難でございます。
 次に三点目ということになりますが、十分な調査がなされたかというご質問でございます。
 今回の調査につきましては、去る四月二十二日に私を委員長とする予算執行調査改善委員会を設置して以来、四カ月余りにわたり、全所属において予算の執行状況の実態把握を行ったところでございます。それぞれの所属での徹底した調査の後に、予算執行調査改善委員会が再度確認調査を行っておりまして、厳正な調査が行われたものと考えてございます。
 調査に当たっては、この調査のために県の平常業務に支障を来して県民の皆さんにご迷惑がかかることのないように、またできる限り早期に実態の把握を行い、適正執行に向けての改善を行うために、可能な限り短期間で終えられるように県の内部で調査を実施いたしました。また、調査には各所属の職員が休日を返上して作業に当たるなど、誠心誠意取り組んだところでございます。
 なお、旅費、賃金等の科目における他の経費に流用するなどの不適正な執行、あるいはまた食糧費、使用料及び賃借料の科目における社会通念上好ましくない支出や、支出内容が確認できなかったものについては、不適正な執行として県へ返還をしたところでございます。
 四点目の不適正執行の原因ということでございますが、主な原因としては、まず予算執行や予算流用に弾力性が欠けていたなど、予算や会計制度等と実態との間に乖離が生じていたことが挙げられます。また、各所属における内部点検が不十分であったなど、チェック機能が十分に作用していなかったことなどが複合的に作用したことが原因だと考えております。
 次に五点目の、個人の特定をしなかったのか、また個人から返還を求めないのかというご質問でございますけれども、今回の不適正な支出の事務処理の多くは、組織の運営上必要な経費に充てられていたものでございます。また、今回の調査は特定の個人や所属を特定することが目的ではなくて、予算執行の状況を的確に把握して、不適正な点があればそれを改めるために行ったものでございます。返還についても、個人から返還を求めるのではなくて、組織の責任として、管理監督する立場にある職員が返還をするものとしたところでございます。
 六点目の職員の意識改革と改善策ということでございますが、今回の調査の結果明らかとなった背景、原因を踏まえて、数々の改善策を策定いたしました。
 まず職員の意識改革についてでございますが、予算の不適正執行が組織全体で行われたことを重視して、公金に対する認識はもとより、全体の奉仕者であるという公務員の原点に立った徹底した職員の意識改革を図るため、幹部職員を初めとする特別研修や実務担当者研修など、各階層ごとに全職員を対象とした研修を既に緊急に実施をしているところでございますが、今後ともこの点には十分に留意をしていきたいと存じております。
 また、より実態に即した予算措置を行い、使途目的に沿った執行を徹底すると同時に、交際費や食糧費の統一的な執行基準を策定いたしまして、不適正の原因となった制度、運用等を全庁的に見直すことといたしております。その他、情報公開の開示範囲の明確化を図ることとしております。
 また、各所属においての審査、点検が、ややもすれば不十分となり、組織全体としてのチェック機能が十分働いていなかったことが今回の問題の要因の一つとなっていたと考えられるために、内部審査、点検の徹底、出納事務の充実、監視体制の充実を図っていくことといたしております。
 なお、予算編成については、議員ご指摘のように、職員の執務意欲を後退させるようなことがないように十分配意してまいりたいと考えてございます。
 七点目の、不適正執行金の返還に対する職員の理解等についてでございますけれども、今回の調査の結果、不適正執行金の多くは組織の運営上必要な経費に使用していたことが明らかになったため、組織における管理監督責任として管理監督者が返還をするということにしたところでございます。
 返還については、去る九月十七日に、財団法人和歌山県職員互助会及び財団法人和歌山県教育互助会が、私ども管理監督者にかわって不適正執行金の全額を法定利息を付して県へ一括返還いたしました。いわば、互助会が職員にかわって一たん立てかえたという形になるわけでございますけれども、互助会に対しては、互助会が金融機関から借り入れた資金に係る借入利息を含めて、私ども管理監督者等がおおむね十年間で返済をするということにいたしてございます。この返済方法については、職員の意見を集約し、検討を重ねた上で、管理監督者としての職務の度合い等を勘案しながら決定したところでございまして、関係職員の理解は得られているものと考えてございます。なお、退職者の方々に対しては、退職者会等を通じ、お願いをしてまいりたいと考えております。
 八点目の処分についてでございますけれども、今回のような事態を招いたことは組織の責任でありまして、その責任を明らかにするために、管理監督する立場にある職員に対し厳しい処分を先日行ったところでございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 29番尾崎要二君。
○尾崎要二君 ただいま、知事より予算執行状況調査結果について所見を伺いました。
 不適正な執行が一部において半ば慣行として行われていたことは、大変残念でなりません。「信なくば立たず」という孔子の言葉がございます。国民の信頼がなければ国は成り立っていかないということであります。県政においても、県民の信頼が何よりも大切であります。今後は、真剣に信頼回復に全力で取り組んでいただきたいと思います。
 また、答弁の中に職員の意識改革についても触れられておりましたが、先日、ラジオを聞いておりましたところ、日本人女性でイギリス人と結婚され、イギリスに住まいをし、大学の教授もされているという人が──名前は忘れましたけれども、イギリスと日本の違いについてということで話をされておりました。物事のいい悪い、善悪を考えるときに、どうしても日本では、周りの人がああ言うからどうだ、こう言われたからどうだ、また人が見ているからこうする、人が見ていなければしないというようなことが大きな判断の基準となっているようだ。何しろ、まず周りがどうだから自分はこうするというような見方をするところがあるようであります。イギリスでは、周りの人がどう言おうとも、自分はこう思うという、自分自身で心に一つの判断の一線を引いている。だから、みんながしていても私はしない、また、みんながしなくても、これはいいことだから私はするというような明確な一線を引いて、それを基準の判断とされるようであります。そのことから、今回の問題が持ち上がった機会に、職員の意識改革において職員一人一人が自分の心に、いい意味での一線を明確に引いていただきたいと思うわけであります。
 同時に、質問でも述べておりますが、こういう大問題が起こると、どうしてもけしからんけしからんと、どんどんとそういう声ばかりが高まっていくわけであります。そして、少し冷静さを失い、そういう声が舞い上がっていくと、あれもだめ、これもだめ、それもしてはならんというようなことがどんどん起こっていくわけであります。ただし、やはり冷静に考えていただきたいのは、必要なものは必要として考えていくべきであります。県政にとって組織運営上必要な経費は、この際、新しく正規に予算に計上していくことも重要でありますので、この点も申し述べて要望といたします。
 終わります。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎要二君の質問が終了いたしました。

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