平成9年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成九年九月二十四日(水曜日)
 午前十時開議
 第一 議案第百四号から議案第百十五号まで、議案第百十七号から議案第百二十号まで、及び報第七号(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第百四号から議案第百十五号まで、議案第百十七号から議案第百二十号まで、及び報第七号(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十七人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川 武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門 三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島 雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 谷 洋 一
 18 番 山 下 直 也
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 松 本 泰 造
 21 番 堀 本 隆 男
 22 番 宇治田 栄 蔵
 23 番 宗 正 彦
 24 番 橋 本 進
 25 番 神 出 政 巳
 26 番 玉 置 公 良
 27 番 上 野 哲 弘
 28 番 東 山 昭 久
 29 番 尾 崎 要 二
 30 番 野見山 海
 31 番 木 下 秀 男
 32 番 町 田 亘
 33 番 中 山 豊
 34 番 井 谷 勲
 35 番 鶴 田 至 弘
 36 番 森 正 樹
 37 番 村 岡 キミ子
 38 番 新 田 和 弘
 39 番 平 越 孝 哉
 40 番 森 本 明 雄
 41 番 長 坂 隆 司
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
 知 事 西 口 勇
 副知事 山 下 茂
 出納長 高 瀬 芳 彦
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 中 山 次 郎
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 生活文化部長 中 村 協 二
 福祉保健部長 小 西 悟
 商工労働部長 日 根 紀 男
 農林水産部長 平 松 俊 次
 土木部長 長 沢 小太郎
 企業局長 佐 野 萬瑳義
 教育委員会委員長
 山 本 昭
 教育長 西 川 時千代
 公安委員会委員 中 尾 公 彦
 警察本部長 米 田 壯
 人事委員会委員長
 若 林 弘 澄
 代表監査委員 宮 市 武 彦
 選挙管理委員会委員長
 谷 口 庄 一
 以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 西 畑 彰 久
 次 長 前 晴 夫
 議事課長 佐 竹 欣 司
 議事課副課長 島 光 正
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 川 崎 良 雄
 議事課主事 大 浦 達 司
 総務課長 塩 路 義 和
 調査課長 湊 孝太郎
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時四分開議
○議長(木下秀男君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(木下秀男君) この際、報告いたします。
 過日提出のあった議案第百八号及び議案第百九号は、いずれも職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定に基づき人事委員会の意見を聴取しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員にその回答文を朗読させます。
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 和人委第212号
 平成9年9月19日
 和歌山県議会議長 木 下 秀 男 殿
 和歌山県人事委員会委員長 若 林 弘 澄
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成9年9月17日付け和議会第231号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
 記
 議案第108号 職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例
 議案第109号 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
 意 見
 上記条例案については、適当であると認めます。
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○議長(木下秀男君) 次に、お手元に配付のとおり、監査委員から監査の結果報告がありました。
 以上、報告いたします。
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 【日程第一 議案第百四号から議案第百十五号まで、議案第百十七号から議案第百二十号まで、及び報第七号】
 【日程第二 一般質問】
○議長(木下秀男君) 日程第一、議案第百四号から議案第百十五号まで、議案第百十七号から議案第百二十号まで、及び知事専決処分報告報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 29番尾崎要二君。
 〔尾崎要二君、登壇〕(拍手)
○尾崎要二君 九月定例会一般質問のトップを切って質問させていただくことを大変光栄に思うと同時に、先輩、同僚の皆さん方に感謝を申し上げる次第であります。
 九月二日という日は、私にとって忘れられない日となりました。半島という立地ゆえに、国土軸から大きく離れた本県において、半島性からの脱却という県民の悲願を達成すべく、五期二十年にわたって県政を引っ張ってこられた前知事仮谷志良さんが、七十五歳で亡くなられました。退任されてからわずか一年九カ月、余りにも早過ぎる訃報に声も出ないほどの驚きと、日がたつにつれ、ありし日のことが思い出され、寂しさが募ってまいります。
 半島振興法の制定の必要性を強く国に訴え、それをもとにした道路整備、高速道路の国土軸への直結、関西国際空港の実現、くろしお号の新大阪駅乗り入れ、当初予想の倍近い三百万人が訪れた世界リゾート博の成功等、常に県民の先頭に立ち続けてこられた二十年でありました。
 それぞれ、人には人生の師と言われる人がおります。恩師であります。私にとって政治の師は、元大蔵大臣の坊秀男先生、そして仮谷さんがそうでありました。坊先生がよく言われておりました、「人は地位を得てとうとからず、地位は人を得てとうとし」という言葉であります。オイルショクの苦しい財政事情の中からスタートし、県勢発展のためにひたすら努力を重ねられ、今日の和歌山県を築かれた仮谷さんの功績は後世へも語り継がれていくであろうと思います。常に誠実で、知事という地位を高められながら、それでいて気さくな人柄を持ち続け、「まごころ県政」の初心を忘れない、すばらしい知事でありました。
 知事を退任された後も何度かご自宅を訪ねさせていただき、県政についての話をお伺いいたしました。そして帰り際に、「要ちゃん、あんたら若い人が頑張らな」と言ってくれた言葉がいつまでも心に残っております。仮谷さんに心から感謝の言葉を贈り、ご冥福をお祈り申し上げたいと思います。
 次に、県の予算執行状況調査結果について幾つかの質問をいたします。
 当調査につきましては、去る四月二十二日に県庁内に予算執行調査改善委員会を設置し、知事部局はもとより、企業局及び人事委員会、地方労働委員会、監査委員、教育委員会の事務局を対象に、平成六年度から八年度までの三年間について、四カ月にも及び厳正な点検調査を実施されたとの報告を受けております。その結果、十三億を超える不適正な執行が判明したことについて、その金額の大きさに驚かされたのは、決して私一人だけではないと思います。
 他府県の状況を見ますと、既に十数都道県で全庁的な調査を実施しており、その結果、福岡県においては調査対象期間が二年半で約五十九億円、山梨県は三年間で約四十三億円、北海道は三年間で約四十二億円、青森県は三年間で約三十二億円など、多額の不適正執行が判明し、それぞれ職員等が返還することとされております。この中には、調査が十分でなく、再度の調査をした結果、新たな不適正執行が明らかになったものも数県含まれておりました。また、このほかにも十数県が一部の機関で判明した不適正執行額を返還しているなど、全国のほとんどの都道府県が公金支出の疑惑を受けている状況であります。本県においても、他県に見られるような不適正な事務処理が行われていたことは極めて残念なことと言わざるを得ません。
 このように多額の不適正な執行を行った背景には、当然その原因があるわけでありまして、この原因を徹底して究明し、それを取り除く努力をしなければ今後の適正な執行は望めません。
 調査結果報告書の内容を見ると、不適正な執行は旅費を中心に食糧費等の八科目について行われており、不適正支出金の使途について逐一説明がつけられております。それによると、慶弔費、せんべつ金は、県とかかわりのある団体や個人に対する香典、祝い金やせんべつに要した、接待、懇談会等の飲食費は、情報交換、意見交換のための会議、懇談会や接待等に要した、そのほか、タクシー代、有料道路通行料、書籍、新聞等の購入費、贈答品、土産代等についても組織の運営上必要な経費に充当されていたとあります。しかしながら、不適正執行額の中には一部職員間の慶弔費や懇談会費として使用されていたことも予想され、県民一般の常識からかけ離れたものと言わざるを得ません。県当局が説明しているように、本当に不適正執行金のすべてが組織の運営上必要な経費に充当されていたと言い切れるのか、疑問を抱いているところであります。また、真に組織の運営上必要な経費であれば、なぜ正規に予算に計上し執行しなかったのか。予算編成や事務処理を正しく行っておれば何ら問題のない経費が多く含まれていたと推察できるだけに、当局の長年にわたって行ってきた事務処理が残念でならないわけであります。
 何はともあれ、過去の事務処理は非は非として、不適正として出された額については管理監督者を中心に全額県へ返還されたと聞いております。返還については、職員互助会等が職員にかわって県へ一括返還し、その後、管理監督者が互助会へ約十年間で返済するとされております。月々の返済額等を見ると職員は相当の負担を長期間強いられることになりますが、このことについての職員の理解は得られているのかということについてもお聞きをしたいと思います。
 また、調査の段階においてなぜ個人を特定しなかったのか、返還についても個人が返還すべきものもあったのではないか、疑問に思うところであります。
 私は、素早い返還という処置に対して評価しつつ、今後、県がどういう取り組みをするのか注目をしております。調査結果報告書と同時に公表された予算執行に関する改善策を見ると、調査結果をもとに、このような事態に至った背景、原因を踏まえた多くの改善策が策定されております。
 まず、職員の公金に対する意識が希薄になっていたことに対し、各種の研修を行い、全職員の意識改革を図るとされております。この意識改革を図ることは何にも増して重要なことと考えますので、当局の誠意ある実行を期待したいと思います。
 次に、予算などの制度面において、実態とかけ離れていたことに対し、より実態に即した予算措置を行い、使途目的に沿った執行を徹底するとともに、必要に応じ統一的な執行基準の策定を行うとされております。既に執行基準を定めたものもあると聞いておりますが、先ほど申し上げたとおり、正規に予算化されていればこのような事態は防げたと思えるだけに、適正な予算措置、また執行を望むところであります。同時に、職員の職務に対する意欲が減退しないよう、真に必要な経費の予算措置や執行については当然認めるなどの配慮もしていかなければならないと考える次第であります。
 そのほか、監視機能の強化、情報公開のより一層の充実についても触れられておりますが、この点についても強力に推し進める必要があると考えております。
 このように、県が策定した改善策は、今後のより適正な執行の方向を示しておりますが、これらを全職員に徹底し、誠実に遂行することが県政に対する県民の信頼を回復する道であると考えるわけであります。
 本定例議会の提案説明において知事は、調査の結果を厳粛に受けとめ、今後このようなことを二度と繰り返すことのないよう、調査結果とともに発表した予算執行に関する改善策の着実な推進を図り、全職員を挙げて再発防止に全力を傾注するとの決意を述べられました。失われた県民の信頼を急に回復することは至難であると思いますが、今後の県政運営のためにも改善策を忠実に実行し、徹底した事務管理体制を樹立し、一日も早く予算の適正な執行を図ることが必要ではないでしょうか。これらのことを踏まえ、次の質問に対する答弁を求めます。
 今回の予算執行状況調査結果に対する知事の所見を求めます。
 次に、調査対象期間を三年間とした根拠は何か。
 調査の結果、旅費、食糧費等、幾つかの科目で不適正執行があったとされているが、十分な調査がなされたのか、不正行為はなかったのか。
 調査の結果、約十三億四千四百万円の不適正執行額が明らかになったが、その原因はどこにあったのか。
 調査の段階で、なぜ個人を特定しなかったのか。返還についても、なぜ個人から返還を求めないのか。
 調査結果を踏まえ、職員の意識改革を含めて、今後二度と繰り返さないための方策はどのように考えているのか。また、今後このような不適正な執行はしないと言明しており、調査結果に基づく種々の改善策を策定しているのは結構なことであるが、県政運営のために必要な経費までなくしてしまうことがあれば、このことが逆に職員の執務意欲を後退する結果にはならないか、危惧しているところであります。
 不適正執行額の使途は、組織の運営のために必要な経費に充当したと説明しているが、県に必要な経費に使用したのであれば、今回のような六百五十二名にも及ぶ管理職全員に返還を求める方法は妥当であったのか。また、どのような方法で返還をするのか。職員の理解が得られたのか。また、退職者の皆さんに対しても、群馬県においては五百人余りの賛同を得、一億円を超える寄附金が寄せられたと聞いております。本県においては、退職者に対してどのような呼びかけを行うのか。
 既に、厳しい職員の処分を行っているが、どのような考え方で処分を行ったのか。
 以上の項目については、今回の調査を実施した予算執行調査改善委員会の委員長である副知事の答弁を求めます。
 続いて、本県の明るい話題として、今春行われた選抜高校野球大会に全国で初めて分校として日高中津分校が出場し、また夏の大会では智辯学園和歌山高校が優勝するなど、野球王国和歌山の名を全国にとどろかせてくれました。私も、夏の甲子園へ足を運び、声がかれるまで声援を送ってまいりました。甲子園での高校球児のすばらしいプレーに、思わず目頭が熱い思いすらいたしました。本県で、それらの高校球児を育て、地方予選を行ったのが紀三井寺公園であります。
 昭和四十六年の黒潮国体を控え、昭和三十九年に陸上競技場が、昭和四十年に野球場が建設され、その後三十年以上の歳月が過ぎ、その間、黒潮国体やさまざまな大会が開催されてまいりました。しかし、現在でも野球場には夜間照明すらなく、また補助競技場ではサッカーやラグビーの試合が行われておりますが、観客席すら満足にない状態であります。私も、和歌山県議会の野球チームの一員として、毎年国体開催県での全国議長会主催の全国議員野球大会へ出場させていただいております。大会のメーン球場は、すべて夜間照明があり、グラウンドは人工芝であります。福島県や山形県の総合運動公園では、その面積は五十ヘクタールと大変立派なものでありました。次期国体に名乗りを上げている本県紀三井寺公園の面積はわずか十四ヘクタールであり、その施設内容も、とても全国大会を開催するには無理があるように思います。また本県においては、水泳においてもインドアの五十メートルプールもない状況であります。
 この際、コスモパーク加太へ紀三井寺公園の移転を考えられてはいかがかと提案をいたします。そして、加太で十分な敷地を県で確保するとと同時に、総合運動公園にふさわしい施設を新しく充実してほしいと思います。
 またコスモパーク加太でありますが、自然環境と調和のとれた研究開発、リゾート、住宅等の機能を持つ国際的な複合都市を建設して和歌山県の経済活性化に寄与する計画で進められ、関西国際空港の埋立用土砂採取地として当初一千億円の事業費で着工したわけでありますけれども、バブル経済の崩壊に伴う経済状況は大変厳しいものになり、その後、附帯工事も含めて約一千三百億円に膨れ上がり、土砂代八百億円を差し引いても五百億円の土地代が未収分になっております。金融機関より四百二十八億円の借り入れがあり、県の一般会計より金利に対して五年間で六十六億円余り貸し付けている状況となっております。人工スキー場の計画も進みつつありますが、いまだに土地の売買が行われたとの話は聞いておりません。土砂採取跡地の総面積が二百六十ヘクタール、有効面積が百六十ヘクタールにもなる大きな土地であります。例えば、平米当たり七万円と考えてみても──まあ、少し高い設定かもしれませんが、既に県より七十億円近く貸し付けておりますので、その貸し付けた金額で取得するとすれば、既に十ヘクタール以上の分が県有地となると思われます。コスモパーク加太計画を大きく前進させるためにも、その中核施設として総合運動公園を紀三井寺より移転させることは大きな意味を持っていると考えます。
 紀三井寺公園が加太へ移転をするとすれば、十四ヘクタールの跡地ができるわけでありますので、何度かこの議場で提案をさせていただいておりますが、そこへこの県庁舎を全面的に移転することを考えるべきであると思います。
 現庁舎は、戦前の昭和十三年に西汀丁から現在地に移転、新築され、その後、増築に次ぐ増築により、時代の流れとともにその機能も大きく後退し、問題点も数多く指摘をされてまいりました。敷地面積も、他の府県と比べて余りにも余裕がありません。県民より、狭い、暗い、利用しにくい、迷路のようであるとの声すら上がっております。この際、山形県や新潟県、鹿児島県のように、思い切って全面移転を真剣に考えるべきであると訴えたいと思います。
 過去に、県庁舎を移転した山形県で三キロメートル、新潟県で二キロメートル、鹿児島県は四・三キロメートルと、もとの庁舎より移動をしております。このことから見れば、小松原通と紀三井寺の距離が七から八キロメートルでありますので、大きな混乱もなく移転ができると思われます。先ほどから述べております庁舎移転をした県の現在の敷地面積は、山形県で十・二ヘクタール、新潟県は十二・五ヘクタール、鹿児島県は九・六ヘクタールとなっており、本県も紀三井寺で十四ヘクタールの敷地が確保できれば面積に余裕がありますので、庁舎と公園が一体となった、全国的に見ても例のない新しい感覚の新庁舎が誕生すると思います。
 大きな借入金があり、一刻も早く事業計画を本格的に進めていかなければ金利支援の貸付金が膨らむばかりになることが懸念されている、有効利用面積百六十ヘクタールを抱えるコスモパーク加太、次期国体に向かって、このままではとてもおぼつかない施設内容の紀三井寺公園、老朽化が進み既に平成二年より建設基金を計上している庁舎を一体として考える時期に来ていると思いますので、長期的な展望に立った知事の答弁をいただきたいと思います。
 これで、一回目の質問を終わらせていただきます。
○議長(木下秀男君) ただいまの尾崎要二君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 尾崎議員にお答えをいたします。
 まず、予算執行状況調査結果についてのお尋ねであります。
 今、明治維新、戦後、そして現在と、三大改革の時期と言われているわけでありますが、国も地方もさまざまな議論のさなかにあるわけでございまして、特に行政の地方分権が求められておるわけでございます。その中で、県行政においても行財政改革を積極的に推し進めているところでございます。予算の執行につきましても、改めるべき点があればよりよい方向に改善し、行財政改革を一層推進するために予算執行状況調査を実施したところでございます。
 調査につきましては、庁内に予算執行調査改善委員会を設置いたしまして、予算の執行状況の点検、調査を全庁的に厳正に実施してまいりました。その結果、まことに遺憾ながら、旅費を中心としてその一部に適切を欠いた執行が行われていたことが明らかになり、先日、報告させていただいたところでございます。
 このような事態に至った背景、原因については、予算及び制度と実態との間に乖離があったことなど、さまざまな要因が複合的に作用し、半ば慣行として行われてきたものと考えております。
 私は、知事に就任以来、職員に対し、県民の期待と信頼にこたえる県政を進めようと訴える中で、「開かれた県政」をモットーに県政を進めてまいりましたが、今回の反省の上に立って、予算の不適正執行の背景、原因を踏まえ、策定した改善策を今後の予算編成に反映させるとともに、それらを周知徹底し、予算の適正執行に努めてまいりたいと考えてございます。
 明治維新の改革をなし遂げたのは、当時の若き志士たちが、自身の自己変革を遂げながら果敢に挑戦したからだと思っております。今後、幹部職員はもとより、全職員の時代に対する認識など意識改革を図り、信頼される県政の推進に、私も先頭に立って取り組んでまいる決意でございます。
 次に、県庁舎の移転と紀三井寺公園についてであります。
 ただいま、その移転と紀三井寺公園について、尾崎議員から貴重なご意見、ご提言をいただいたわけでございます。
 まずお話にございましたコスモパーク加太については、リゾート、リサーチ、居住等の機能を持つ国際的な複合都市の建設を構想してきたわけでございますけれども、その後の社会経済状況の大きな変化、また新しく紀淡連絡道路の問題、関空の第二期土取り計画などの周辺プロジェクトの具体化が出てまいりました。そういうことを踏まえて、より実現性の高い土地利用を図っていかなければならないと考えてございます。そのため去る九月三日、県、市、県土地開発公社の三者による加太地域開発整備推進協議会において、平成十年度末を目途に土地利用計画を策定することとし、基盤整備については、県土地開発公社が事業主体となって土地区画整理事業の手法で取り組んでいくことに決定いたしました。尾崎議員からご提案のございました総合運動公園についても、この土地利用計画を策定していく中で検討していきたいと考えております。
 県庁舎を紀三井寺公園用地へ移転してはどうかとのご質問でございます。
 現在の庁舎は、ご指摘のように、本庁舎が昭和十三年に建てられたものでございまして、全体的に老朽化、狭隘化が進んでございます。このため、県庁舎の建てかえの準備が必要であると考えてございまして、平成七年度から和歌山県庁舎及び議会棟等建設基金条例を設置いたしまして積み立てを行っているところでございます。庁舎の問題は、これからの大変重要な課題であると認識してございまして、とりわけ建てかえの場所等については、県民の皆さんの利便性の確保が重要でございます。かねてから庁内のプロジェクトチームで検討を行っているわけでありますけれども、ご提言の趣旨も参考にさせていただきまして、今後少し時間をかけて検討を進めていきたいと考えております。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 副知事山下 茂君。
 〔山下 茂君、登壇〕
○副知事(山下 茂君) 予算執行状況調査の関係につきまして、知事からお答えした点以外について、私からお答えをさせていただきます。
 まず、ご質問で申しますと二点目ということになりますけれども、調査の対象期間でございます。
 今回の予算執行状況調査は、各所属での調査を基本として実施したものでございまして、各所属で保管しております支出関係書類の保存期間が三年が中心だということから、文書が存在する三年間を調査対象としたところでございます。
 なお、それ以前にさかのぼって調査すべきであるというご意見もございますけれども、今回の調査は支出関係書類の照合だけではなくて、関係職員等からいろいろ聞き取り調査を実施する中で、職員等の記憶に頼る部分が多いことや書類の保存期限などとあわせて、これ以上さかのぼって調査することは極めて困難でございます。
 次に三点目ということになりますが、十分な調査がなされたかというご質問でございます。
 今回の調査につきましては、去る四月二十二日に私を委員長とする予算執行調査改善委員会を設置して以来、四カ月余りにわたり、全所属において予算の執行状況の実態把握を行ったところでございます。それぞれの所属での徹底した調査の後に、予算執行調査改善委員会が再度確認調査を行っておりまして、厳正な調査が行われたものと考えてございます。
 調査に当たっては、この調査のために県の平常業務に支障を来して県民の皆さんにご迷惑がかかることのないように、またできる限り早期に実態の把握を行い、適正執行に向けての改善を行うために、可能な限り短期間で終えられるように県の内部で調査を実施いたしました。また、調査には各所属の職員が休日を返上して作業に当たるなど、誠心誠意取り組んだところでございます。
 なお、旅費、賃金等の科目における他の経費に流用するなどの不適正な執行、あるいはまた食糧費、使用料及び賃借料の科目における社会通念上好ましくない支出や、支出内容が確認できなかったものについては、不適正な執行として県へ返還をしたところでございます。
 四点目の不適正執行の原因ということでございますが、主な原因としては、まず予算執行や予算流用に弾力性が欠けていたなど、予算や会計制度等と実態との間に乖離が生じていたことが挙げられます。また、各所属における内部点検が不十分であったなど、チェック機能が十分に作用していなかったことなどが複合的に作用したことが原因だと考えております。
 次に五点目の、個人の特定をしなかったのか、また個人から返還を求めないのかというご質問でございますけれども、今回の不適正な支出の事務処理の多くは、組織の運営上必要な経費に充てられていたものでございます。また、今回の調査は特定の個人や所属を特定することが目的ではなくて、予算執行の状況を的確に把握して、不適正な点があればそれを改めるために行ったものでございます。返還についても、個人から返還を求めるのではなくて、組織の責任として、管理監督する立場にある職員が返還をするものとしたところでございます。
 六点目の職員の意識改革と改善策ということでございますが、今回の調査の結果明らかとなった背景、原因を踏まえて、数々の改善策を策定いたしました。
 まず職員の意識改革についてでございますが、予算の不適正執行が組織全体で行われたことを重視して、公金に対する認識はもとより、全体の奉仕者であるという公務員の原点に立った徹底した職員の意識改革を図るため、幹部職員を初めとする特別研修や実務担当者研修など、各階層ごとに全職員を対象とした研修を既に緊急に実施をしているところでございますが、今後ともこの点には十分に留意をしていきたいと存じております。
 また、より実態に即した予算措置を行い、使途目的に沿った執行を徹底すると同時に、交際費や食糧費の統一的な執行基準を策定いたしまして、不適正の原因となった制度、運用等を全庁的に見直すことといたしております。その他、情報公開の開示範囲の明確化を図ることとしております。
 また、各所属においての審査、点検が、ややもすれば不十分となり、組織全体としてのチェック機能が十分働いていなかったことが今回の問題の要因の一つとなっていたと考えられるために、内部審査、点検の徹底、出納事務の充実、監視体制の充実を図っていくことといたしております。
 なお、予算編成については、議員ご指摘のように、職員の執務意欲を後退させるようなことがないように十分配意してまいりたいと考えてございます。
 七点目の、不適正執行金の返還に対する職員の理解等についてでございますけれども、今回の調査の結果、不適正執行金の多くは組織の運営上必要な経費に使用していたことが明らかになったため、組織における管理監督責任として管理監督者が返還をするということにしたところでございます。
 返還については、去る九月十七日に、財団法人和歌山県職員互助会及び財団法人和歌山県教育互助会が、私ども管理監督者にかわって不適正執行金の全額を法定利息を付して県へ一括返還いたしました。いわば、互助会が職員にかわって一たん立てかえたという形になるわけでございますけれども、互助会に対しては、互助会が金融機関から借り入れた資金に係る借入利息を含めて、私ども管理監督者等がおおむね十年間で返済をするということにいたしてございます。この返済方法については、職員の意見を集約し、検討を重ねた上で、管理監督者としての職務の度合い等を勘案しながら決定したところでございまして、関係職員の理解は得られているものと考えてございます。なお、退職者の方々に対しては、退職者会等を通じ、お願いをしてまいりたいと考えております。
 八点目の処分についてでございますけれども、今回のような事態を招いたことは組織の責任でありまして、その責任を明らかにするために、管理監督する立場にある職員に対し厳しい処分を先日行ったところでございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 29番尾崎要二君。
○尾崎要二君 ただいま、知事より予算執行状況調査結果について所見を伺いました。
 不適正な執行が一部において半ば慣行として行われていたことは、大変残念でなりません。「信なくば立たず」という孔子の言葉がございます。国民の信頼がなければ国は成り立っていかないということであります。県政においても、県民の信頼が何よりも大切であります。今後は、真剣に信頼回復に全力で取り組んでいただきたいと思います。
 また、答弁の中に職員の意識改革についても触れられておりましたが、先日、ラジオを聞いておりましたところ、日本人女性でイギリス人と結婚され、イギリスに住まいをし、大学の教授もされているという人が──名前は忘れましたけれども、イギリスと日本の違いについてということで話をされておりました。物事のいい悪い、善悪を考えるときに、どうしても日本では、周りの人がああ言うからどうだ、こう言われたからどうだ、また人が見ているからこうする、人が見ていなければしないというようなことが大きな判断の基準となっているようだ。何しろ、まず周りがどうだから自分はこうするというような見方をするところがあるようであります。イギリスでは、周りの人がどう言おうとも、自分はこう思うという、自分自身で心に一つの判断の一線を引いている。だから、みんながしていても私はしない、また、みんながしなくても、これはいいことだから私はするというような明確な一線を引いて、それを基準の判断とされるようであります。そのことから、今回の問題が持ち上がった機会に、職員の意識改革において職員一人一人が自分の心に、いい意味での一線を明確に引いていただきたいと思うわけであります。
 同時に、質問でも述べておりますが、こういう大問題が起こると、どうしてもけしからんけしからんと、どんどんとそういう声ばかりが高まっていくわけであります。そして、少し冷静さを失い、そういう声が舞い上がっていくと、あれもだめ、これもだめ、それもしてはならんというようなことがどんどん起こっていくわけであります。ただし、やはり冷静に考えていただきたいのは、必要なものは必要として考えていくべきであります。県政にとって組織運営上必要な経費は、この際、新しく正規に予算に計上していくことも重要でありますので、この点も申し述べて要望といたします。
 終わります。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎要二君の質問が終了いたしました。
○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 46番大江康弘君。
 〔大江康弘君、登壇〕(拍手)
○大江康弘君 実は、今回は全く質問の予定がございませんでした。下川先生からも、「もう五期にもなって一年に二回もするというのは、おまえも情けないやつやな」、こんなおしかりも受けながら、途中でやめようかなということも考えたわけでありますけれども、むしろこの議政壇上に送り出してくれたのが当局の皆さんでありまして、当局の皆さんがやれやれと言うのであれば、その期待にこたえるのも政治家の責任ではないかなという思いもいたします。同時に、時期的にまさに今議会は、二十年、和歌山県政のためにご苦労をいただきました仮谷前知事のいわば追悼議会という位置づけになろうかなとも思います。二十年の万感の思いを込めながら、また仮谷前知事が西口現知事に託したいろんな思いにはせながらも、今の時代の流れの中で、きょう一番目に質問をさせていただきますが、今ほども尾崎要二先生が段々と細部にわたって質問をされ、当局も答えたわけでありますけれども、今から私がこの不適正支出に関して申し上げることは、一小松原の論理なのか、あるいは一部の県民、県外のこの和歌山県の実情を知らない人たちの論理なのか、また物言わぬ心ある多くの県民の皆さんの論理なのか、こういうことに思いをはせながら、不適正支出の問題について、以下ご質問させていただきたいと思います。
 どうも最近、県庁に来ても、県の出先機関を回ってみても、県の職員の皆さんの覇気のない空気、県事務所へ行ってもそうでありますし、県庁へ行ってもそうでありますが、何か生気を失った重苦しい空気というのは、知事さん、一体どこから出てきていると思うんですか。
 副知事の──副知事は何と言ったかな、山下さん──東京から来た人はすぐに名前がわからんので、山下副知事が、今、胸を張って、ああした、こうした、そういうことを尾崎議員の質問に関して答えておりましたけれども。和歌山県庁というのは、まさに県下五十市町村の自治体の権威者になるべきである。また、そういう位置づけである。その県庁が、今、時のあらしか何か知りませんけれども、このオンブズマンというものがまさに時代の申し子のような位置づけで、まあ私に言わしめれば、このオンブズマンというのはまさに敵失便乗体質といいましょうか、そういう正義感を振りかざして物を申してきておる。私は、大変不愉快に思う一人であります。オンブズマンなんかというものがこんなに時代の申し子になるんだったら、私はむしろダッコマンというのをつくってやろう。ダッコマンをつくって、県政のために頑張ってくれている皆さんを本当に心から、まさに母親が子供を慈しみ、愛して抱くがごとく、そういう団体を一回つくってやろうかなと、今思っておるわけであります。
 今までいわゆる不適正支出と言われたこの総額十四億余りになんなんとする金額というのは、知事さん、本当に県勢の発展にとってむだだったんですか。今、我々が現在ここにおるということ、今和歌山県が現実にずっと発展をしていっているということ自体が、言われるところのそういう不適正支出の予算も含まれておったんではないわけですか。今、私は、心ある県民の皆さんということを申し上げましたけれども、この部分の中で大変誤解が生まれておる。それは何か。最近の世論というのは、いわゆる世論操作といいまして、本当に底辺の住民の皆さんからほうふつと沸き起こってきたような世論ではない。マスコミの皆さんや一部の、何を意図としているのかわかりませんけれども、そういう人たちが意識的に醸し出しておる世論ではないかなと。それに慌てふためいて、おろおろしている姿を目の当たりにして見ておりますと、大変情けない思いをする一人であります。
 私は、今回のこの不適正支出という言葉自体が大変気に入らないわけでありますけれども、やはり言葉がなければ、この不適正支出ということしか当てはまらなければ──今、処分を決めたとかなんとかと。知事さんなんか、減給半分ですね。知事、これ生活やっていけますか。給料を半分に減らされて、しかも十年間でって。きょうは職員の皆さんも後ろでおられますし、部長の皆さんもおられますけれども、私が職員だったら県を訴えます。こんなこと、幹部の皆さん全員一致で決めたんだということを言われておりますけれども、もし私がそういう管理職の立場であって、今負担を求められたら、私は県を訴えます。こんな理不尽なことはない。
 ですから、今、副知事が胸を張って、処分をしただとか、いろんなことをこの四カ月にやったって、こんなことを短時日の間で──今まで県政がずっと流れてきたことの総括も含まれているわけでしょう。そういう総括に含まれてきた中での一部の不適正のことについて、わずか四カ月でこういう処分を決めたということに関して、非常に私は不満に思う一人であります。それだけに、処分というこの言葉の持つ重み、県民に誤解を与えていないかということ。職員個人が何か私的のために、何か自分個人のために書類を改ざんして、そしてお金をつくり上げてポケットへ入れたんではないかというようなとられ方をされておることも事実であります。こういう誤解を本当に解いていって、そして今までの支出をしてきたことが──聞けば、今、部長職で一年間の交際費が二十万だという。皆さん、お互いの常識、通常の観念の中で、和歌山県行政のトップである各部の部長が年間二十万の交際費でやれというところに無理があるんであって、今まであなた方がそういうことをきちっと、要るものは要る、要らないものは要らない、やっぱりこれは大事だな、こういうことをきちっとしなかったからこういう結果を生んだわけでしょう。何も、不適正の金額すべてが本当に悪かったというんではない。そして今県民が誤解をしているのは、その点でしょう。そういう負担を各等級ごとに十年間でやっていく、そのことだけで果たして問題がすべて解決したと言えるのかどうか。私は、この九月十七日に発表されたことに関して、根本的な解決ということは一切明記されておらないと思う一人であります。
 今申し上げた段々の事柄について、知事は、この和歌山県をどうしていくかと、自分が信頼した職員、それぞれの部や課が円滑に動けるように政策や施策に合った環境づくりをしてやるのが務めではないか、そしてそのことに対して県民に理解を求める、これも知事の仕事であろうと思うわけであります。不適正支出すべて悪、そして不適正支出関与者すべて処分、こんなことが今後慣例となって繰り返されていくということになれば、県民にとってこれほど不幸なことはないわけであります。
 この十七日に発表された処分内容は処分内容といたしましても、もう少し根本的な、西洋医学で言う対症療法ではなくて根本の問題は何なのかということを県民の皆さんに心を開いて知事が訴えるべきである。その中でどうしていったらいいのかということを、来年度の予算編成を前にして真剣に庁内で討議をしていただきたいと思います。
 そして、幹部の皆さんがご負担になる金額の中で、もし議会の中で関係がある部分だったら、私に限ってその補償をいたしますので。余り幹部の皆さんばかりに負担をされたら、我々物が言いにくくなる。やはり議会との関連のこともあるんですから、私は議会が関係がないということにはならないと思う一人であります。今回の十四億円余の中で関係がなければいいですよ。関係があるんだったら、そのことはきちっと議会に示していただくべきであるし、我々議会は当然、議会の権威としてどう対処するのかということを受けとめていかなければいけない問題でありますから、この点もひとつ、今後オンブズマンなんかに指摘されて、あのときこんなことがあったじゃないかということを言われないうちに調査もしておいていただきたいと思います。当然、議会の同志や同僚の皆さんも、この件に関しては決して逃げるような姿勢は、私と同様持っておらないと思います。ひとつその点、我々議会も、あらぬ疑いがかけられる前に調査をしていただけるのであればしていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。
 次に、土木行政についてご質問をさせていただきます。
 一番目のこの問題は、早く言えば、東京から来ていただいている部長以下皆さん、もう帰ってくださいよ、大変ご苦労さんでした、そういうことであります。私は、自治体の組織に参画をしたことがない一人でありますから、余り組織員づらして申し上げるのも僣越と思いますけれども、公務員の組織というのはなぜ時には硬直化したり、あるいは今回のこんなような状態が起こったときに右往左往するのかと言ったら、それは民間と違って日ごろから競争の原理が働いておらないからなんです。競争の原理が働かないから、当然公務員の組織というのはだんだん何か硬直化していく、そのために我々議会が存在するという、ある一面の存在感を思うわけであります。この硬直化しやすい県の組織の中、あるいは公務員の組織の中で唯一やる気を起こすのは何かと言ったら、私はポストの問題ではないかと思うんです。大学を出て、あるいは高校を出て、短大を出て、夢はせて和歌山県庁に入ってきた。和歌山県庁へ入ってきてだれしも思うのは、まず和歌山県のためになりたい。これは、心の中で緊張感を持って思うことであります。そして、年を重ねていくうちに、限られたポストに向かって自分もなりたいな、自分もあのいすに座ってみたいなと思うのは、これは人間の素直な気持ちではないかなと思います。
 戦後五十二年、お互いの地域はよくなったんです。情報網も発達した、交通手段も発達した、和歌山県が年々歳々小さくなっていっているんです。小さくなっていっているというのは、距離感ですよ。今、東京へでも一時間半あったらここから行けるわけなんです。そういう時代に、今、東京の本省の方から和歌山県に出向してきておる──出向してきていただいておる。松本先生に、きょうはおまえ謙虚になれよと言われたんです。尾崎先生みたいに謙虚になれと。私の謙虚の尺度というのはほかの人と違いますので、少し謙虚さはずれますけれども。今、東京から来ていただいておる本省の人がどれだけかと言いましたら、自治省から一名、大蔵省一名、通産省一名、厚生省二名、建設省五名。もう一度言います。建設省五名、運輸省一名。これ、何で五人も土木部に国から来てもらわなければいけない理由が今どきあるんですか。
 土木というのは、後でまた質問しますが、土木の技術屋さんの位置づけは事務屋さんの位置づけよりも格差があるわけなんです。今、和歌山県庁の知事部局で一般事務職が千九百九十人、技術職が千七百五十八人、合計で三千七百四十八人。そして、この中で部長職では事務が十人、技術が二人、次長で事務が二十四人、技術が八人、そして課長職以上では事務が八十八人で技術が六十四人となっておりますけれども、部長、次長のポストの格差を見ても大変な開きがあるのではないか。こういうところに持ってきて、こんな不適正支出等々でいろんなことがあったら、まさにやる気をなくす大きな相乗効果を──効果というわけではありませんけれども、そういうものを起こさせるわけであります。さすれば民間のように、技術職のポストをどうしてもふやすことができないというのであれば給料面でバランスをとってやる。これは、現実に民間がやっておることなんです。おまえはポストが欲しいのか、給料が欲しいのか。いや、おれはポストが欲しい。そしたら、給料はこれだけだよ。私は、ポストは要らない。そしたら給料は上げてやる。今、こういうことで大手企業の民間というのはやる気を起こさせているということを先般聞きました。公務員というのは税金を預かってその中で給料をいただいているわけですから、そういうことは極端には無理としても、この事務職と技術職との格差から来るいろんなひずみというのは、表面に出てこなくても水面下でいろいろ起こっているように思います。
 そこで、よその部局よりも多い土木部、これは本省から来るメリットというのは一体どこにあるのか教えていただきたいと思います。そして、なぜ突出してこれだけ土木部に東京から来ていただいている人が多いのか。
 実はおかしいなと思ったのは、過去に土木部長で座ったある方が、この和歌山県をもって退職をしたんです。和歌山県をもって退職して、後から聞いたら、わずか二年しかあの部長の席に座っておらないのに、和歌山県が退職金三千数百万円を払った。私に言わせれば、まさにこんなのが不適正支出なんです。何で、二年しか和歌山県におらなかった人が和歌山県で退職したら我が和歌山県が税金から退職金を見なければいけないのか。皆さん、こんな不条理なことを国が決めておるわけなんです。この間、人事課長を呼んで聞いたら、人事課長が、その逆もあると言う。逆もあるんだったら、戦後和歌山県の職員が中央省庁へ行って退職した例を出しみろと言ったら、一人もありませんと言うんです。こんな不条理なことが今どきまかり通っているということ自体、私は県の職員のやる気をなくさせておる大きな原因の一つであると思うわけであります。
 それだけに、私はこういう退職金制度を含めて、今後知事がもう少し──そこから先は、知事は任命権者であるし人事権者でありますから、余り生意気なことを言って知事ににらまれたら、我々は蛇ににらまれたカエルのような存在ですから、ここでしか物をよう言いませんけれども。山下副知事の場合は、我々──というよりも、私も議会で同意した一人であります。それだけに、副知事の場合は議会の意思というものが反映できる。いわゆる賛成か反対かというチャンスを与えてくれる。しかし、このひな壇に登っている東京から来られておる部長さんには、我々議会には少なくともその権限がないわけであります。
 かつて、アメリカの第五代大統領モンローというのが、一八二三年にモンロー主義というのを宣言した。このモンロー主義というのは一体何なのか。それは、アメリカの内にあるものをもっと大事にせよ、今アメリカは、ヨーロッパといろいろ交流してやっていくだけの時間的にもお金も余裕がない。人的にももっと内にあるものを大事にしていけという保護主義の制度であります。そのモンロー主義でアメリカが立ち直ったという歴史のひもを解いてみたとき、我が和歌山県もモンロー主義ではないですけれども、ウエストイズム、西口イズム、こういうものを押し出して、もっと身内の職員を大事にしてやる、もっと身内の職員にやる気を起こさす、こういうことを日ごろの中でもう少し考えてやってもらえないかなということをお願いしておきたいと思います。
 次に、公共事業の問題であります。
 今、公共事業についてはいろいろと問題が多く、国民注視の中であります。和歌山県にはいろいろ基幹産業がありますけれども、このおくれた和歌山県、これから発展をさせていかなければならない和歌山県にとって土木建設業の位置づけは、地場産業としての位置づけを超えた基幹産業と言ってもいいぐらいの位置づけではないかと思うんです。
 調べましたら、和歌山県の入札に参加をしておる業者数は今二千八百八です。この二千八百八の従業員数は三万五千七百十四名。これは、和歌山県のいろんな事業に携わる人の一〇%であります。これだけの数字を見ても、まさに基幹産業という位置づけができるんです。農業や漁業が県の助成の中で仕事をやっているのと同様に、土木建設業が基幹産業のような位置づけをされるのであれば、公共事業のとらえ方というのをもう少し県が変えていったらいいんではないか。
 公共事業の定義というのは一体何ですか。今、ここで私は質問をしておきます。公共事業というのは、ある業者が和歌山県の仕事をとった、その業者がガソリン一リットルでも地元の石油屋で買う、従業員が弁当一つ、あるいは昼休みにジュース一本を近所の店で買ってやる、これが公共事業の本来の目的だと思うんです。ただ単に、とった一業者がもうかるだけ、あるいは仕事ができたらそれでいい、そんなことではなくて、税金を使って行う公共事業の定義というのは、はしの一本に至るまで地域が潤わなければ公共事業の定義にはなっていかない。
 そういうことを考えたときに、今の和歌山県の土木行政の業者指導のあり方、そして次に申し上げる入札のあり方、こういうことが本当に言われるところの基幹産業である土木建設業者を育成しておるのか。和歌山県は、何か物を言われれば方向がすぐ建設省の方に向いていく。国の方に向いていく。国のご意向は、建設省のご意向は、こんなお伺いばかり立てておると私は思うのであります。全国四十七都道府県ありますけれども、和歌山県には和歌山県の実情があるわけなんです。和歌山県には和歌山県の実情があるならば、和歌山県には和歌山県のやり方があってしかるべきであります。だから私は、わざわざ東京の本省の人が部長に来ていただかなくてもいいのではないかということを申し上げておるわけであります。
 何もすべてを否定するわけではありませんけれども、もう少し和歌山県の実情というものを──土木部長、あなたも何年もおるわけでないんだったら、もっとほかの部長さんよりもしっかり県内を回りなさいよ。この間からの、この質問のいろいろ打ち合わせ──と言ったら語弊がありますけれども、そういう議事上のいろんな段取りの中で答弁のいろんなことを聞きに来てくれたときに、部長で来なかったのは土木部長、あなただけですよ。どこが偉いのか知らんですけれども。総務部長や公室長や、みんな来てくれた。土木部長、来んのは僕だけかもわかりません。ほかの議員さんとこだったら行くかもわかりませんけれども。そういう態度で和歌山県の土木行政を預かるというところに問題があると私は思うんです。
 今の土木行政の公共事業のとらえ方について疑問に思う点で、入札予定価格というのがありますね。入札予定価格というのがあって、そして制限価格というのがある。工事が出て、その工事を目いっぱいの額でとるというのを制限価格というんですけれども、例えば入札状況を調べてみたら、一億円の工事を八千万円弱で落としておる場合があるんです。こんな余裕のないとり方をして、果たしていい仕事ができるんだろうか。もっと建設業や土木業、あるいは公共事業というものを理解してくれて、地域が満遍なく潤っていくということを本当に考えてくれるんであれば、この制限価格との格差をもっと縮めてやるべきだ、もっと余裕のある仕事をさせてやるべきだ。それが、それぞれの公共事業が地域に潤っていく一つの手段ではないかなと思うんですけれども、この点についてもお伺いをしたいと思います。今後、土木建設業を和歌山県の基幹産業としてどのように育て発展させていくのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 最後に、串本フェリーの問題についてであります。
 先般九月十六日に、この十月一日から県の関係、町の関係、あるいは工事関係の車両の乗船を拒否するということを新聞で見ました。過日、仮谷前知事さんの県民葬のときにも、たしか平成七年二月であったと思いますけれども、仮谷前知事さんが生まれ故郷の串本町に最後に残された大きな仕事であるこの大島架橋の、あの起工式のビデオが出ておりました。大島架橋は、須江、樫野、この大島全体に住まれる人々にとっては悲願の本島との陸路であり、そういう意味において、仮谷前知事さんは亡くなられる前に本当にいい仕事をされたな、こういう感慨を持ったんですけれども、ここに来て仮谷前知事さんの、あの地元に対する大きな仕事がとんざをするんではないか、そういうような状態が先般から起こっているわけであります。
 この経過を聞きましても、誠意のない県の態度、町にすべて任せっ切りで、十一回会議を持ったといっても、二十五年間、公的な輸送機関としてその責任を果たしてきてくれたこのフェリー会社に対して本当に心のない対応しかできておらないということに、私は怒りを込めて申し上げたいのであります。
 土木部長も担当の道路建設課長も、現場に一度も足を運ばない、交渉者と一度も相まみえない、すべて地元の出先の串本事務所に任せっ切りで今日まで来たわけであります。あと二年後に竣工であります。そういう中で今回起こったこの問題に対して、県は一体どういうふうに責任を感じておられるのか。
 あの串本フェリーが、二十五年間、県の補助金一円もなしに、途中二億円の巨費を投じて現在就航させておるフェリーを尾道で進水させた。そのときも、県や公的機関からの補助金はない。まあ民間が勝手に車を乗せたり人を乗せたりしておるんだから、それは何も県の責任ではないということを言われるのかどうかわかりませんけれども、これは、例えば一般道路の用地交渉に行くのとわけが違うのです。あそこに従業しておる十人の皆さんが、橋ができたその日からたちまち職を失うということであります。今なぜこういう事態に陥ったかということは、新聞やその他で言われておるような金額の開きが大きいとか、決してそんなんではないんです。誠意のない県の態度、今まで十一回交渉してきても、県の代表者は何ひとつ物を言わず町に任せっ切り、こういう態度に業を煮やして今回の挙に出たわけであります。
 十月一日と言えばもう間近でありますけれども、今後あと数少ない日程の中で県は一体どうされるんですか。それを答えてください。そして、こういうことになるまでなぜ放置をしておったのか、それも答えてください。それと、今後も県はこのような態度で交渉に臨んでいくのか。
 聞けば、本四連絡橋というのができます。今回、補償対象になった規定というのは、本四連絡橋に準じた対処の仕方をしておるということを聞きました。しかし当局の皆さん、あなた方がいろいろ用地交渉だとか県の買収に行って──県は公的な不動産鑑定士を持っているわけですね。その不動産鑑定士の方が出したその価格で県が土地を買えた例があったら教えてください。今日まで二十五年間、細々とでありますけれども、離島と本島との間を一生懸命公的な足として活躍してくれたフェリー会社に対して今までの仕打ちは余りにもひどいということを申し上げずにはおられません。どうかひとつ、この対応も含めてご答弁をいただきたいと思います。
 今、三つの質問をさせていただきました。これは私個人の意見でありますが、最近、知事さんを見ておると、本当に我々県民の声が直接知事さんに伝わっておるのかな、議会の声が知事さんに伝わっておるのかな、どこかでとまっておるのではないかな、そんなことを心配する一人であります。何でもかんでも知事さんのところまで我々言うつもりもありませんし、そこはそれで、だれかがどこかで、それぞれの役割の中で整理をしてやらなければいけないことでありますけれども、もう少し我々の立場に立っていただけたらなということを最後にご要望しておきまして、私の質問といたします。
 ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの大江康弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 大江議員にお答えをいたします。
 不適正支出の事後処理などの問題であります。
 ちょっと事務当局で用意した答弁では大江議員のご質問には答えにならんと思いますから、この場でお答えをさせていただきます。
 大変率直なご意見がございまして、職員の立場に立ってのご意見だとも思いますし、私もごもっともと思う点も多々ございます。一番心配をいたしておりますのは、職員の意欲が減退しないように、そのことは私としても十分考えていかなきゃならんと思っております。
 ただしかし、先ほど尾崎議員にもお答えを申し上げましたけれども、今、国も地方も大きな改革の時期である、そういうふうな大きな歴史の転換期の中にあって、正しくないと思うものは思い切ってそれを正していくという、その勇気もまた必要であります。ですから、先ほどご指摘のございましたような予算編成上の問題があるとすれば、それは思い切って予算編成の上で直していかなければなりませんし、あるいは正しくない執行状況があれば、それも是正をしていかなければならん。そのことについては勇気を持ってやっていかなければならん。たまたまそのときにその立場にある者が、自分自身の中にはいろんな思いがあるといたしましても、その立場にある者が勇気を持って前進をすることが大変大事だと思いますので、職員の皆さんにも、そういう意味でその時代の認識という問題意識をしっかりと持っていただく努力を私もしていきたいと。決して職員の意欲がなくなったりすることのないようにこれからも努めていきたい。調査委員会の調査段階でも、そのことを強く委員会の方へ私からも要請をしておったところでございます。
 それから、もう一つ、土木行政などについてであります。
 本省からの部課長などの職員を受け入れるメリットがあるのかということであります。
 現在の段階からいたしまして、国から職員を受け入れることなどについては、その職員の持っている専門知識、あるいは豊富な経験などがその職場の活性化のためにも、また本県の職員との交流によって新しい血を導入するという意味では意義があろうと思いますし、今日までも県政の上に貢献をしてきてもらっていると思っております。また、離任の後にも本県のよき理解者となって助言をいただく等、国の関係なども緊密に築いていくという一面もあろうかと思います。ただしかし、議員ご指摘のように、本県に出向された部課長さんなど、本県に来た以上は本県の職員以上に県を思い努力をしていただかなければならないと思いますし、そのことは私の方からも強く申し上げておるところであります。
 土木の場合に、道路、河川、港湾、そういうふうな専門分野がございまして、そういうふうなところに国からの人材を派遣してもらっているのが実情でありますけれども、最近では、砂防課長であるとか都市計画課長は本省からの出向をやめて本県の職員と交代をいたしております。ご指摘の点は、十分配意をしてやってまいりたいと思います。
 知事に意見が届かないのではないかというご指摘もございました。「開かれた県政」をモットーとしておりますので、これからも努力をしてまいりたいと思います。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 不適正支出の事後処理についての三点、土木行政の二点についてお答え申し上げます。
 まず、今までの支出はむだか、また県民に誤解を与えていないかとのご質問でございますが、今回の調査により明らかになった不適正執行金の多くは、執行時、組織の運営上必要であった経費に充てられたものと考えてございます。交際費や食糧費で執行すべきところ、旅費の科目で支出し、慶弔費や飲食費に充てるなど、その事務処理に問題があったため、既に職員に支給されている旅費も含め、不適正執行金の全額を県へ返還することとしたものでございます。したがいまして、不適正執行金がむだな執行であり、すべてを否定するというものではなく、必要な経費であると考え執行したものでございますが、その執行方法等に適正を欠いたため返還するものでございます。
 また、議員が誤解を与えているのではないかと言われております、職員個人が私的に流用する等の行為はなかったものと確信してございます。なお、調査方法につきましても、できる限り短期間に終えるよう県内部の独自調査といたしましたが、各所属における徹底した調査の後、予算執行調査改善委員会が再度確認調査を行う等、二重三重のチェックを行っており、厳正な調査が行われたものと考えてございます。
 続きまして、今後の予算計上の仕方についてでございます。
 今回の問題を引き起こした要因の一つとして、予算と実態の間に乖離が存在したことが考えられます。このため、今後の予算編成に当たっては、今回の調査結果を踏まえて、交際費、備品購入費、会議等の負担金について、県議会初め県民の皆様のご理解をいただきながら、より実態に即した予算措置を行い、使途目的に沿った執行を徹底するとともに、交際費等にあっては統一的な執行基準の策定により予算執行の適正化を図ってまいる所存でございます。
 また、予算の執行段階におきましても、予算の地方機関への計画的な配当、予算流用制度の適切な活用、資金前渡制度の充実など、今回の問題発生の背景、要因を踏まえた改善策にのっとり、より実態に即した適正な執行に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、過去、本省から来た人が本県で退職したときにその退職金を全額県が支払ったというが、それはなぜかというご質問でございます。
 国家公務員が引き続いて県職員となり本県で退職した場合の退職手当については、県職員の退職手当に関する条例の規定により、国家公務員の期間を含めて本県で支給することとなってございます。一方、本県職員が国家公務員となり退職した場合は、国家公務員退職手当法の規定により国が退職手当を支給することとなる相互通算の規定となってございます。こうした規定は人事交流が円滑に行えるよう設けられたものでありますので、その趣旨をご理解いただきたいと思います。
 次に、今後、事務職と技術職との管理職ポストの格差是正はどうするのかというご質問でございます。
 職員の昇任につきましては、事務職、技術職の区別なく同様の考え方で行っているところであり、管理職の登用についても年々改善を図っているところでございます。
 管理職のポストの数については、事務職は一般行政分野すべてを対象とするのに対しまして、技術職の対象はそれぞれの専門分野に限られており、その分野においてどのような職制やポストが必要であるかを勘案し、適材適所の観点から職員を配置しているところでありますが、今後とも議員ご指摘のことも十分踏まえた人事管理に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 大江議員のご質問にお答えいたします。
 まず、土木行政についてでございます。
 公共事業の定義は何かということでございますが、公共施設の整備のために実施する公共投資は、地域に広く購買力を高め、活力を与え、地域経済の安定のみならず、県全体の活性化に大きな役割を果たしております。また、道路整備による工業製品や農産物などの輸送範囲の拡大等のように、地域経済の将来の発展基盤を構築するためにも必要不可欠なものでございます。本県においても、交通基盤の整備、潤いのある県土づくり、災害に強い県土づくり等の施策を推進することにより、社会経済に貢献できるものと考えております。
 次に、なぜ入札予定価格と制限価格との差が大きいのかというご質問ですが、公共工事の発注に当たっては、原価割れ受注の防止を図ることにより公共工事の適正な施行を確保し、また建設業の経営基盤を確保するなどのため、低入札価格調査制度あるいは最低制限価格制度が採用されているところでございます。
 国の方では、低入札価格調査制度を採用してございます。この制度は、予定価格の三分の二から十分の八・五の範囲内で建設原価に相当する額を調査基準価格として、これを下回った入札があった場合に適正な工事の施行が可能かどうか調査し、入札の適否を判断するものであります。
 県においても、政府調達に関する協定に基づく一般競争入札においては低入札価格調査制度を採用しているところでありますが、これ以外は最低制限価格制度を採用しております。この制度は、あらかじめ定められた一定の基準価格を下回った入札があった場合に、その入札を失格として排除するものであります。県の最低制限価格は、工事の種類、規模などを勘案の上、設定されており、おおむね国の調査基準価格の範囲内でございます。
 次に、県内土木建設業を地場産業として育てられないのかというご質問でございます。
 本県における建設産業は、今や県内総生産の一〇・四%、また就業者数においても一〇・〇%を占めるに至っておりまして、これを基幹産業として認識し、その育成には最重点的に取り組んでいるところでございます。そのため、県発注工事においては、県内業者を優先するとともに、昨年より大規模な工事、また高度な技術を要する工事等で実施しております公募型指名競争入札においても、県内業者についてはその参加要件を緩和し、受注機会の拡大、確保に努めているところであります。また、近年の機械化や技術力の向上に対応すべく、各種研修会等を通じて技術者の育成に努めるとともに、さらに優秀な人材を確保するため、県建設業協会とタイアップし、新規学卒者の入職促進にも努めているところであります。
 今後とも、県内建設業者の育成については積極的に取り組んでまいる所存であります。
 串本フェリーの問題についてのご質問でございます。
 なぜ今まで放置していたのか、どこが窓口となるかというご質問でございますが、大島架橋事業については、串本フェリーが公共輸送機関として地域に貢献してきたことを十分認識しており、このため架橋に伴う影響を緩和するための助成措置を講ずることとしております。これまで、地元事情に精通した串本町が窓口となり、平成七年から十一回にわたる交渉の場を持ってまいりましたが、対象が航路事業という特殊なケースであるため、金額の面で合意が得られていない状況にあります。
 この問題についてどう県が考えているのかというご質問ですが、県といたしましては、窓口である串本町とともに常に交渉の場に同席し、町に対し適宜助言、指導を行うなど、連携をとって交渉を進めてきておりますが、いまだ解決に至っておりません。この問題は地域住民に与える影響が大きいことから、早期に解決すべきものと認識してございます。
 今後の対応についてのご質問ですが、これについては金額に関する相違、従業員の再就職の問題に対して、県といたしましても、これまでの経過を十分に踏まえ、串本町初め地元の協力を得ながら、誠意を持って意思疎通を図りながら交渉を進め、本橋の完成までには解決できるよう努力してまいります。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) 再質問がありませんので、以上で大江康弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(木下秀男君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時四十三分休憩
 ─────────────────────
 午後一時四分再開
○副議長(阪部菊雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 ─────────────────────
○副議長(阪部菊雄君) この際、知事から発言を求められておりますので、これを許可いたします。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 議長のお許しをいただきまして、謹んでご報告申し上げます。
 本日午後、宮内庁から発表がございます、天皇皇后両陛下の和歌山県行幸啓に関してでございます。
 天皇皇后両陛下には、大阪府での第五十二回国民体育大会秋季大会・なみはや国体開会式へのご臨席に引き続き、本県の地方事情ご視察のため、ご来県されます。
 本県でのご日程は、十月二十六日から二十八日までの三日間で、この間に、和歌山県庁で県勢概要の奏上をお受け賜った後、和歌山ビッグホエールで行われるわかやま産業博覧会、広川町の県立たちばな養護学校、また、田辺市の高齢者複合福祉施設・たきの里や中田食品株式会社の梅加工工場をご視察されます。
 和歌山県への行幸啓といたしましては、昭和天皇の昭和五十二年、植樹祭以来二十年ぶり、今上天皇には皇太子殿下として昭和五十八年に豊かな海づくり大会に皇太子妃殿下とおそろいでご来県いただきましてから十四年ぶりとなります。また、このたびは過去にご視察いただいていないところをというご意向もございまして、有田郡と田辺市へ初めてご訪問いただくことになります。
 こうして天皇皇后両陛下をお迎えできますことは、和歌山県民にとりまして、この上もない光栄であると存じます。この機会に、輝く二十一世紀に向けて発展を遂げております本県の状況をつぶさにごらんいただきますとともに、秋の紀州路をご満喫いただきますよう、心から歓迎申し上げたいと存じます。
 以上であります。
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○副議長(阪部菊雄君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番新田和弘君。
 〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず初めに、財政構造改革の推進方策による本県の平成十年度予算編成について、お尋ねをいたします。
 ケインズ経済学では、不況の時代を迎えると、その対策として政府や自治体は公共事業費や減税など財政支出を増加させて総需要を増大させ、日本銀行は公定歩合を引き下げて景気を下支えするのが景気回復の方程式であります。
 平成三年に始まったバブル崩壊による不況に対して国は、平成四年四月に緊急経済対策として公共事業の八〇%前倒しと、その後、一兆円減税を含む約七兆円の大型補正予算を成立させました。平成五年度には、当初予算に加えて四月に新総合経済対策十三兆二千億円、九月に六兆二千億円規模の緊急経済対策を決定しました。平成六年度には、当初予算と五年度の三次補正十五兆二千五百億円を合わせた十五カ月予算を成立させ、加えて減税も総額六兆円が実施されました。このように、政府は四年度から七年度にかけて六回、総額六十六兆円にも上る景気対策を行ってきました。
 本県においても、国の景気対策を受けて平成五年度当初予算で県単独普通建設事業を六百九十億円計上、さらに六月には百七十三億円の大型補正を行い、九月には百七十一億三百万円の大型補正を連続して計上し、景気対策に当たってきました。平成六年度は、当初予算では県単独普通建設事業を対前年伸び率一一%の七百六十七億円計上し、国の三次補正を受けて二百十億七千五百万円の補正予算を計上し、長引く景気の低迷に対応してきました。
 また、地方公共団体に対して交付税措置のある起債を活用した地方単独事業の増加を期待する国の地方財政計画により、地方では交付税措置のある起債の活用と各種基金の取り崩しによって投資的経費を確保することが常態化してきました。
 本県においても、平成七年度当初予算では県単独普通建設事業を伸び率五・四%の八百八億円計上し、さらに平成八年度当初予算では同事業を伸び率一七・一%の九百四十六億円計上してきました。平成九年度の当初予算の説明において西口知事は、交付税措置のある起債の積極的な活用や八年度を大幅に上回る思い切った各種基金の取り崩しにより財源を確保し、全体として地方財政計画よりも高い伸び率となり、投資的経費に係る県単独事業についても前年並みの額を確保したと述べ、県単独普通建設事業を九百二十五億円計上してきています。
 一方、日本銀行による公定歩合は、平成三年七月に年六%から五・五%に引き下げられて以降、平成七年九月八日の引き下げまで連続九回引き下げられ、史上最低の年〇・五%の超低金利となりました。本年の九月八日で、公定歩合〇・五%という異例な状態が丸二年目を迎えました。しかし、日本の不況には、景気対策としての六十六兆円の財政支出も、二年に及ぶ公定歩合〇・五%の超低金利も有効な処方せんとはならず、経済学理論はもはや通用しない危機的状況にあります。加えて、国民にとってはこうした多額の財政支出のツケが重くのしかかり、平成九年度末で国、地方の長期債務残高が約四百七十六兆円に上り、年間の国民総生産GDPに匹敵するほどの規模に達する見込みであります。また、超低金利のため家計から金融部門への所得移転により、とりわけ年金生活者に打撃が大きく、さらに、年金基金の運用難に陥ったり運用利回りの低下による日産生命の破綻など、副作用が生じてきています。
 二十一世紀に向けて我が国は、急速に進展する少子化、高齢化の中で、抜本的な財政構造改革の実施が急務となっています。政府は、本年一月に財政構造改革会議を発足させ、三月に橋本総理の財政構造改革五原則を受け、六月に財政構造改革の推進方策を取りまとめてきました。
 その推進方策の概要は、当面の目標として二〇〇三年度までに財政健全化目標である財政赤字対GDP比三%、赤字国債の発行ゼロ達成を目指すこと、今世紀中の三年間を集中改革期間と定め、その期間中は一切の聖域なしで歳出の改革と縮減を進めることを決定しました。特に、当面の平成十年度予算においては、政策的経費である一般歳出を対九年度比マイナスとすることとしています。公共投資予算は集中改革期間において各年度その水準の引き下げを図る、特に十年度の公共投資予算は九年度比七%マイナスの額を上回らないこととする、公共事業の建設コストの縮減については九年以降三年間で少なくとも一〇%以上の縮減を目指すとしています。
 社会保障費は十年度予算で八千億円の当然増を三千億円以下にする、十年度の地方財政計画は、国が一般歳出を対前年比マイナスとすることにより地方歳出も対九年度比マイナスを目指す、また、それと相まって投資的経費に係る単独事業は対前年マイナスとする、地方公共団体に対する補助金について制度的補助金は制度改正を含めて削減合理化を図る、その他の補助金は集中改革期間内の毎年度その一割を削減する、ウルグアイ・ラウンド対策費は見直しをする、学校給食用米穀値引きについては廃止の方向で見直しを行う、第六次公立義務教育諸学校教職員定数改善の計画並びに第五次公立高等学校学級編制及び教職員配置改善計画は集中改革期間中その実施を抑制する、十年度までの計画期間を二年間延長する、私学助成については十年度予算を対九年度比マイナスとする、県商工会連合会等の人件費補助のあり方など歳出全般の見直しを行う、などとなっております。
 本県の財政状況も、この国の大型景気対策による普通建設事業等の増加と平成六年度から始まった特別減税による税収不足や国の税収悪化による交付税の振りかえ等により県債発行額が着実に増加し、七年度は普通会計の決算ベースで八百八十億円、八年度は八百八十三億円、九年度は七百七十億円となる見込みであります。このため、九年度末には一般会計分の県債残高が五千五百十二億円となり、九年度当初予算の一般会計の額にほぼ匹敵する額になる予定であります。
 また、公債費も九年度当初は五百四十九億五千四百万円と急増し、十年度以降もピークの十二年度ごろまで急テンポで増大する見込みであり、起債制限比率の悪化が心配されるところであります。国において財政構造改革の推進方策が決定し、平成十年から三年間が集中改革期間となった今日、本県においても抜本的な予算の編成方針の改善を行い、さらなる行財政改革が必要となってきています。
 そこで、西口知事にお尋ねいたします。
 一、財政構造改革の推進方策を知事はどう受けとめるか。
 二、推進方策を受けて知事は新年度予算編成方針をどう作成するか。
 三、平成十年度予算は知事就任より三度目の提案となる予算でありますが、知事公約をどう取り入れるのか。
 四、平成六年から三年間の予算執行状況調査により、不適正執行額が約十三億四千四百万円に上ることが明らかになりました。知事は九月定例県議会の冒頭で、不適正執行額に利息を加えた額約十四億九千七百万円を全額返還するとともに、知事を含め職員六百十人の処分を行い、今後、職員が一丸となって県民の信頼回復に取り組む旨、陳謝がありました。今回の問題は県民にとりましてはまことに遺憾なことであり、今後かかることのないよう再発防止のためどう取り組まれるのか。
 次に、総務部長にお尋ねいたします。
 一、財政構造改革の推進方策では、平成十年度から三年間を集中改革期間としていますが、当然、地方財政計画においても集中改革期間と位置づけられると思います。本県においてはどう対応されるのか。
 二、財政構造改革の推進方策の実施により本県の新年度予算にどのような影響が生じると考えているのか、またその対応はどうか。
 以上二点、お尋ねをいたします。
 次に、中高一貫教育の導入についてお尋ねいたします。
 現在の六・三・三制ができ上がって、今年でちょうど五十年目を迎えます。戦後五十年、目覚ましい経済発展により私たちの未来がバラ色に見えた社会でありましたが、ふと気がついてみると、利己的でモラルを喪失した社会がいつの間にかでき上がってしまっていた感がいたします。偏差値を目安に競争へ追い立てられ、人に勝ち、競争に次ぐ競争で、いつしか仲間を思いやる心も失せてしまう。絶えず他人と比較され、敗れた者は底知れぬ敗北感に挫折し、勝った者も次の重圧感に苦しめられる。反抗や非行、いじめ、不登校は自分たちのことをわかってほしいという子供たちのうめき、意思表示に違いないと、識者は指摘しています。
 子供たちの心身の成長や変化の著しい時期にある中等教育についてはその改善の必要性が強調され、中学校教育と高等学校教育とを入試を課すことなく六年間一貫した教育を行う中高一貫教育には、早くから広く関心が持たれてきました。今日までの教育改革論議においても中高一貫教育が検討され、昭和四十六年の中教審答申においては漸進的な六・三・三制の学校体系の改革を推進する第一歩として先導的に試行すべき旨、提言されました。その後、昭和六十年の臨教審の第一次答申で六年制中学校の設置が提言され、これを踏まえて調査研究も行われましたが、平成三年の十四期中教審答申では受験競争の低年齢化を招くおそれがあるとして、最終的な結論が持ち越されてきました。
 しかし、今日の中高一貫教育の導入状況を見ると、本県においても私学の場合は十数年前から導入され、中高一貫教育は常態化しています。平成六年四月には宮崎県立五カ瀬中学校・高等学校が文部省の研究開発学校の指定を受け、中高一貫を実施してきております。同校は全寮制の中高一貫教育学校で、生徒数は中学生百二十名、高校生百二十名の一学年一学級の学校であります。県のフォレストピア構想に基づいて開校され、二十一世紀を担う豊かな人間づくりを教育方針に据え、教師と生徒が一体となって自然の中で個性重視の教育を行っております。本年三月に第一期生四十二名が卒業、全員が進学を志望、うち九〇%が国公立を含む大学に進学しております。
 山住正己東京都立大学総長は、県立五カ瀬中学・高校に対して産経新聞の「教育『新時代』」で、「受け入れるのは、全県下の各市町村から一人ずつぐらいでしょう。ですから、『受験エリート校』になる恐れはありますね。ただし、今年で開校四年目ですから、本当の中高一貫のメリット、デメリットが出てくるには、あと三年待たなければなりません」と述べ、さらに、余り小さいと学年としての集団の力が発揮できないから、一学年一学級では規模が小さ過ぎると指摘をしております。
 本年七月に中教審の第二次答申が提出され、同答申では子供たちの個性をゆとりある教育の中ではぐくむことを目指すとともに、学校制度の複線化構造を進める観点から中高一貫教育を選択的に導入することを提言し、そのモデルとして体験学習、地域に関する学習、国際化や情報化に対する学習、環境に関する学習、伝統文化等の継承のための教育、じっくり学びたい子供たちの希望にこたえる教育などを軸に据えた、特色ある教育の展開を期待しています。実施形態としては、同一設置者が中・高を併設する方式と、市町村立中学校と県立高校の連携の二つを挙げています。さらに、受験競争の低年齢化を招かないように、公立については学力検査を行わず、抽せん、面接、推薦などを適切に組み合わせて選抜するとしています。
 この答申を受けて、本年八月に文部省は教育改革プログラムを改定いたしました。新プログラムでは、平成十一年に公立の中高一貫校が新設できるよう制度改正を行う旨を明記しました。加えて、公立校の中高一貫教育をスムーズに導入できるように、十年度に各都道府県で地域の実情に合った一貫教育のあり方を実践研究する方針を固めました。各県では、中学校と高等学校計三校程度をモデル校に指定し、カリキュラムに一貫性を持たせるなど、具体的な連携方策を模索するとしています。いよいよ、文部省が教育改革の選択肢の一つとして平成十一年に公立高校へ中高一貫教育を導入するため、本格的に動き出したと実感する次第であります。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、中高一貫教育を教育長はどう評価しているか。
 二、本県の公立学校への中高一貫教育の導入はどう進められるのか。
 三、中・高連携推進支援モデル事業は平成八年度から二カ年間、伊都、西牟婁の両地方で英語、数学などの教科における中・高のつながりを重視した指導等を研究協議してきております。こうした中・高連携推進支援モデル事業を発展させて同地域から中高一貫モデル校を選定されるという考え方はどうか、以上三点、お尋ねをいたします。
 次に、特殊教育の改善充実に向けた施策についてお尋ねいたします。
 昨年、北海道にある雨竜高等養護学校を舞台にした山田洋次監督の映画「学校・」が上映され、大きな反響を呼びました。撮影の舞台となった雨竜高等養護学校は、滝川市の北東に位置する人口三千五百人程度の小さな雨竜町にあり、十四年前に設立され、現在、百六十名の生徒に百三十名の教職員が指導に当たっているとのことです。私も、「学校・」をビデオで鑑賞しましたが、映画のクライマックスの場面で、主人公の養護学校の二人の生徒が北海道の大雪原から鮮やかな色の熱気球に乗って広がる大空に向かって上昇していく姿は、人間は障害があるなしにかかわらず、みんな無限の可能性を秘めているのだ、そして教師や親の気づかない間にぐんぐん成長しているのだと訴えているように感じ、感動した次第であります。
 山田監督は、「養護学校の先生は、懸命になって子供たちを理解しようと努力し、その子供たちと共感できることを探ります。決まり切ったワンパターンの教育は絶対にあり得ません。この映画が学校や教育のあり方について、もう一度考え直すきっかけになればと考えました」と語っておられたと伺いました。
 文部省は、今後の特殊教育の改善充実に資するため、平成八年九月以来、幅広い観点から検討を行って、本年一月に特殊教育の改善充実に関する調査研究協力者会議の第一次報告を取りまとめました。その報告の冒頭において、障害のある幼児、児童、生徒については、その障害の種類と程度に応じて特別な配慮のもとに手厚くきめ細かな教育を行い、一人一人の可能性を最大限に伸ばし、社会参加、自立を実現していく必要があると述べています。さらに近年は、障害に関する医学の進歩に伴い、障害の重度重複化、多様化の傾向が見られるようになり、それに応ずるため一層きめ細かな配慮が要求されるようになってきています。
 こうした認識から、第一次報告では早急な対応が求められるものとして、一、盲・聾・養護学校の高等部の拡充整備と訪問教育の実施、二、交流教育の充実、三、早期からの教育相談の充実の三点を挙げています。本県における特殊教育諸学校の状況は、大正七年に和歌山盲学校、和歌山ろう学校が設置され、その後、県当局初め関係の皆様のご尽力によりまして、昭和四十二年に南紀養護学校が上富田町に誕生、昭和四十八年に紀北養護学校が和歌山市に、昭和五十年には同校の園部分校も設置、昭和五十二年にははまゆう養護学校が上富田町に設置されました。昭和五十四年の養護学校教育義務制の実施により、県下全域への養護学校設置を目指して取り組みが行われ、昭和五十四年にみはま養護学校が美浜町に、昭和六十一年にきのかわ養護学校が高野口町に、平成二年にみくまの養護学校が新宮市に、平成三年にたちばな養護学校が広川町に設置され、県下全域で自宅より通学できる特殊教育の充実が図られてきております。
 現在、新設養護学校が和歌山市に平成十一年開校を目指して建設準備を進めております。また、近年では、盲・聾・養護学校中等部及び中学校特殊学級の卒業者の高等部への進学が年々増加しております。高等部の受け入れ体制は今後一層充実されなければならないと同時に、学校へ通学して教育を受けることが困難な生徒に対しては、小中学部のように高等部においても訪問教育を実施していくことが望まれています。文部省は高等部における訪問教育の試行的実施を提言し、本県でも今年四月より紀北養護学校で実施しているところであります。
 交流教育については、本県では心身障害児理解推進校の指定を通して、盲・聾・養護学校と小中学校の交流が実施されてきています。さらに、高校との学校間連携において、県立和歌山商業高等学校と和歌山ろう学校間で文書処理、社会福祉など、平成八年度より開始し、九年度も実施し、注目を集めております。
 文部省は、平成九年度から交流教育地域推進事業を全都道府県で実施し、地域や学校の実情に応じた交流教育の推進をすることとしています。また、障害のある子供に対して早期から教育的対応を行うことは、保護者の不安や悩みにこたえ、乳幼児期の発達を促進し障害の状態の改善に寄与するなど、極めて大切なことであることから、早期からの教育相談や幼稚部教育の充実を図っていくことが必要とされています。このため、特殊教育センターを中心に、ゼロ歳からの相談や教育、医療、福祉関係機関が一体化した相談を行う体制のあり方について、本年から七都道府県で実施研究に取り組んでいると伺っております。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、本県における特殊教育の改善充実をどう図られるのか。
 二、盲・聾・養護学校の高等部の拡充整備と訪問教育の充実をどう進められるのか。
 三、盲・聾・養護学校及び特殊学級と小・中・高校との交流、さらに、完全学校週五日制の実施に向けて地域における交流をどう進められるのか。
 四、障害のある乳幼児や保護者のニーズにこたえた、早期からの教育相談を実施できる教育、医療、福祉の機関が一体化した特殊教育センターの本県への設置と養護学校幼稚部の導入についてどう対応されるのか。
 五、病気療養児の院内学級の充実については、県立医大の新設の状況もあり、今後どう進めていかれるのか。
 以上、五点をお尋ねいたしまして、第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 新田議員にお答えをいたします。
 まず、国の財政構造改革をどう受けとめているかということでございます。
 国の財政構造改革は、危機的な状況にございます我が国財政の現状を打開し、二十一世紀においても安心で豊かな福祉社会、活力ある経済を実現していくための、いわば待ったなしの課題に挑戦するものであり、その姿勢は高く評価するものであります。
 しかしながら、我が国全体として真に活力ある国土を生み出していくためには、基盤整備のおくれた地域に対する配慮も不可欠のことでございまして、私も去る九月十二日に開かれた政府主催の全国知事会議においてもこのことを強く要請したわけでありますが、今後ともあらゆる機会を通じて主張してまいりたいと考えております。
 次に、平成十年度の予算編成方針についてであります。
 国におきましては、公共投資の七%カット、あるいは補助金の原則一割削減など、財政構造改革の指針に基づいて一般歳出マイナス〇・七%という極めて厳しい概算要求の状況となってございます。また、年末に決定される地方財政計画においても、単独施策の抑制などにより、国と同一基調の抑制方針が打ち出されることが予測をされてございます。
 一方、本県の財政状況も他の府県と同様に、県債元利償還費の増嵩による財政構造の悪化、あるいは財政調整基金などの減少による財源調整能力の非弾力化など、大変厳しい財政運営を強いられる事態に立ち至ってございます。したがいまして、当面する十年度予算におきましては、今申し上げました諸条件からその規模を抑制していかなければならないものと考えてございます。
 しかしながら、当面の政策課題に適切に対応して和歌山新時代の展望を開いていくことが、県政に課せられた緊要の課題でもございます。それに対応するためにも、十年度の予算編成に当たりましては、中長期的な視点に立った財政の安定的運営に十分配慮をしながら、限られた財源の中で各種施策の優先順位の厳しい選択、徹底した予算の重点化、部局の枠を超えた事業間の連携強化など、予算の効率化に最大限の努力を払いまして、県民の皆様の要請にこたえられるめり張りの効いた予算づくりを目指してまいりたいと思います。
 また、公約実現への取り組みについてでございますが、近畿自動車道紀勢線あるいは京奈和自動車道等の高速交通体系の整備促進、あるいは国道、県道、農林道のネットワーク化による県内二時間交通圏構想の推進、さらに、県経済の活性化、福祉の町づくり、さらには南紀熊野体験博など、県政喫緊の課題に対しましては、予算全体の重点化、効率化を図る中でその着実な推進を図ってまいりたいと考えております。
 次に、このたび実施をしました予算執行状況調査の結果、まことに遺憾ながら、旅費等の科目の一部において不適正な執行が明らかになりました。今後、二度とこのような事態を起こさないように、全職員一丸となって、予算の適正執行はもとより、信頼される県政の推進に取り組んでまいります。
 そのために、今回の調査の結果明らかになりました不適正執行の背景、原因を踏まえ、職員の意識改革を図るための全職員を対象とした各種研修の実施、より実態に即した予算の対応、統一的な執行基準の策定、予算執行制度・運用等の見直しを行うこととしてございます。今議会に提案をしております物品調達制度の改正についても、その一つでございます。さらに、情報公開の充実、監視機能の強化を図るための内部審査、点検の徹底などにも積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 なお、監査機能の独立性、専門性等を一層充実するために、地方自治法の改正により外部監査制度が導入されることに伴い、本県においても平成十一年四月に向け、鋭意検討を重ねてまいりたいと考えております。
 以上であります。
○副議長(阪部菊雄君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 財政構造改革の推進方策による本県の新年度予算編成についてのうち、二点にお答えをします。
 まず、平成十二年度までの集中改革期間における本県の改革方針についてでございますが、先ほど知事から答弁がありましたように、本県の財政状況は他の府県と同様、極めて厳しい状況に至ってございます。また、今後の見通しにつきましても、県債の元利償還金すなわち公債費の急激な増加が確実に見込まれるため、財源不足がさらに拡大していくことが懸念されるところでございます。
 したがいまして、今後も県民の福祉の向上と地域の発展に向けて積極的な施策の展開を図っていくためには、中期的な視点に立った合理的な財政運営を行い、慢性的な財源不足を解消することにより、他の一部府県で見られるような財政の危機的状況を事前に回避することが緊要かつ重要な課題であると認識してございます。
 その対応を図っていく上での基本的な方策といたしましては、一、歳出を歳入に見合った規模まで抑制すること、二、事務事業についてスクラップ・アンド・ビルドの徹底など抜本的な見直しを行うこと、三、県債発行額の適正化、長期債の導入等により公債費の増大を抑制すること、四、歳入の確保と経費節減に最大限の努力を行うこと等を考えておりますが、今後、国の財政構造改革の推進方針及び年内に発表される見込みの地方財政計画を参考にしながら、この方針にのっとった具体的な方策を講じていく所存でございます。
 次に、財政構造改革の推進方策による本県の平成十年度当初予算への影響とその対応策についてでございます。
 まず、来年度の県当初予算への影響につきましては、先日発表された国の平成十年度概算要求方針及び概算要求の集計結果から見ますと、公共事業関係費のマイナス七%の縮減、社会保障費の伸びの圧縮、さらに、教育関係経費における義務教育国庫負担金や私学助成費の抑制などの影響が大きいものと考えてございます。それ以外の経費につきましても基本的に前年度同額以下との方針が徹底されており、奨励的補助金を中心にその影響が出るものと見込まれます。また、地方財政計画等で今後明らかになるものと思いますが、地方単独事業費についても前年度同額以下に抑制されるほか、地方債の充当率の引き下げ、発行額の抑制等の方針が示されるものと思われます。
 こうした国庫財源の縮減への対応策としては、抜本的な事務事業の見直しによる歳出規模の適正化、スクラップ・アンド・ビルドや予算の重点化による限られた財源の活用、国の重点化枠に応じた施策展開による国庫財源の獲得などの措置を講じ、県民の皆様の要望にこたえられる効率的な予算の編成、そして中期的な視点に立った合理的な財政運営に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 中高一貫教育についての三点と、特殊教育に係る五点についてお答えいたします。
 まず中高一貫教育についてでありますが、さきの中央教育審議会の第二次答申の中で、中高一貫教育については特に受験準備に偏らない教育を目指した普通科タイプを初め、総合学科タイプ、専門学科タイプの三つの類型が示され、特色ある教育活動を展開するためのさまざまな提言がなされてございます。その趣旨は、入学者選抜から来る生徒の心理的な負担を解消し、六年間の計画的・継続的な指導を可能とするなど、ゆとりの中で個性を大切にした教育を進めることをねらいとしたものであります。
 本県においては、従前から特色ある学校づくりに努めるとともに、県立学校において学校間の壁を低くし、生徒がそれぞれの学校のよさを認め合い、主体的に学習できることを目的とした学校間連携を推進してきております。また、中学と高校の連携を一層密にし、より適切な進路指導を行うことや学習内容の円滑な接続等を目的とする中・高連携推進支援モデル事業を実施するなど、積極的に教育改革を進めてきております。
 こうした中で、中高一貫教育の早期の導入は、答申の本来の趣旨を実現するよりも受験競争の低年齢化や大学進学に偏ったエリート校づくりになることが危惧されます。このため、当面は学校間連携や中高連携等の取り組みを全県的に拡充させることを検討するとともに、地域・学校等の実情を踏まえながら中高一貫教育の導入については慎重に研究してまいりたいと考えます。また、文部省が委嘱事業として計画している中高一貫教育の推進に係る実践研究につきましては、本県で実施している中・高連携推進支援モデル事業等との関連性を十分に勘案し、受託について検討したいと考えております。
 次に、特殊教育に係る五点についてお答えいたします。
 まず、本県における特殊教育の改善充実についてでありますが、これまで地理的な条件を勘案するとともに、肢体不自由と精神薄弱それぞれの障害に応じた養護学校の適正配置を進めてまいりました。さらに、平成十一年四月には新設養護学校の開校を予定しており、教育内容とともに施設についてもより充実したものにしてまいりたいと考えます。
 一方、小中学校に在籍する障害のある児童生徒につきましては、就学指導等を十分に行う中で、障害に応じた特殊学級の開設や軽度の言語障害児を対象とした通級指導教室の設置にも努めてまいりました。また設備面におきましても、昨年度から和歌山ろう学校に集団補聴システムを導入し、今年度は和歌山盲学校に、さまざまな情報を拡大したり音声化や点字化ができる視覚障害児童生徒授業支援システムを全国で初めて導入いたしました。さらに、情報化への対応が教育課題と言われる中、みはま養護学校においてインターネットのホームページを開設し、専門機関との連携を図りながら児童生徒一人一人に応じた教育を研究しているところでございます。これらの施策は、障害のある子供たち一人一人を大切にする教育として全国から注目を受けてございます。今後一層、特殊教育の改善充実に努めてまいる所存であります。
 第二点目の、高等部の拡充整備についてであります。
 全国の特殊教育諸学校における高等部の設置率は七一・九%となっておりますが、本県においては一〇〇%、すべての学校に高等部を設置してございます。高等部の訪問教育については、昨年十二月の県議会においてご賛同をいただき、本年度から全国に先駆けて紀北養護学校において実施してございます。平成十年度以降についても、各養護学校に在籍する対象生徒について順次訪問教育を実施すべく、関係各課と協議を行ってまいります。
 第三点目の交流教育につきましては、すべての子供の豊かな人間形成を図り、バリアフリーすなわち障壁のない社会づくりを目指す上で極めて重要な活動と位置づけ、これまでも各地域の心身障害児理解推進校を中心に積極的に交流教育を推進してまいりました。その活動を通して、盲・聾・養護学校の児童生徒には自分の生き方に対する自信や積極的な姿勢が生まれ、また小中学校の児童生徒には思いやりの心が育つとともに、みずからの生き方などを考える機会となってございます。同時に、保護者の方々の特殊教育に対する理解を進める上でも大きな成果を上げてきてございます。
 とりわけ、全国初の試みとして実施されたろう学校と県立和歌山商業高校との学校間連携は二年目を迎え、相互に学び合う中で、着実にその成果を上げてきているところであります。また紀北農芸高校では、きのかわ養護学校の生徒と一緒に太鼓の練習に取り組み、箕島高校でも教育活動の一貫としてたちばな養護学校との交流を続けてございます。さらに新しい試みとして、那賀郡桃山町において障害のある子供たちと、通常学級の児童生徒だけでなく、地域と一体となった交流教育の実践に取り組んでいるところであります。
 完全学校週五日制の実施に向けましては、こうした事業の定着を図るとともに、特殊教育諸学校の保護者の方々が中心となって運営されている学校外活動推進事業や本年度から地域の協力を得てスタートさせたオープンスクール事業などの充実を図り、各関係機関とも連携して地域における交流の一層の推進に努めてまいる所存であります。
 第四点目の早期教育相談につきましては、従来から実施してきた巡回就学相談事業において、早期教育相談の視点を重視して一層の充実を図るとともに、今年度から医療福祉関係機関と特殊教育諸学校が連携して早期教育相談の充実に関する調査研究に着手してございます。ご指摘の特殊教育センターにつきましては、調査費を計上していただいている総合教育センター構想の中で検討してまいりたいと考えます。養護学校の幼稚部設置につきましては、国の調査研究協力者会議の報告においても重視されているところであり、国の動向を見守りながら研究してまいりたいと考えます。
 最後に院内学級の充実でありますが、建設中の和歌山県立医科大学において院内学級の設置が可能となるよう、設置権者である和歌山市と大学当局との間で現在協議されていると伺ってございます。今後とも、子供たち一人一人の障害の状態に応じた一層手厚い、きめ細かな教育を推進してまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 38番新田和弘君。
○新田和弘君 三点、要望させていただきます。
 まず第一点目でございますが、本年十月に天皇皇后両陛下が和歌山県に行幸啓いただくと、先ほど伺った次第でございます。県立たちばな養護学校もご視察を賜るとのことでございます。こういった機会を通しまして、養護・特殊教育の改善充実にさらに力を入れていっていただきたいと思う次第でございます。
 二点目でございますが、先ほど西口知事並びに総務部長から、国の財政構造改革推進方策に関する諸質問に対しての答弁をいただきました。確かに、平成十年度から三年間、この集中改革期間という期間を設けられるわけでございまして、福祉、医療、年金、さらにウルグアイ・ラウンドの農業問題、また文部省関係の予算、商工関係の予算、そして公共事業の縮減の問題、さらに地方単独事業への切り込みの問題等、本当に本県にとりましても大変な、この財政に対する改善の状況を迎えなければならないと思う次第でございます。
 そういった意味で、思い切った予算編成方針の改善、そして職員の皆さんの、予算計上に当たって対前年主義の予算計上というようなことではなくして、本当に知事さんの公約をどう実現していくか、県民の皆さんにどうこたえていくかということを重点に置いて優先順位を決めていただいて、お互いにこの県の発展に尽くしていかなければならない時代を迎えるという意味から、本当に大きな意識変革を行って我々も事に当たりたいと思いますので、特段のご努力を要望いたしたいと思う次第でございます。
 それから三点目でございますが、中高一貫教育について文部省が本格的に全国的な導入ということを考えておるわけでございまして、先ほど教育長は慎重に取り組んでいくということでございます。これは今まで長年議論されてきた問題でございますが、教育改革の一つの方策として提案されてきております。
 もっとも、教育長のお考えの中には、十四期教育改革の中で提言された総合学科の導入であるとか、学校間連携の実施であるとか、高校入試の改革・改善、それから特色ある学科の設置、こういった問題を平成三年以降積極的に取り入れられまして、そして今日、総合学科においては和歌山高校に次いで有田中央の二校目が誕生し、大変大きな反響を呼んでおりますし、学校間連携においても県下的な実施が今実施されておるところでございます。また、入試改革も既に実施をして入試が行われておりますので、そういった意味で、高校教育改革についてはここまでやっておるのだから中高一貫を導入しなくても和歌山の高校教育改革はやっていけるんだというお考えもあるのではないかと思う次第でございます。今までやっていらっしゃったことについては私は高く評価させていただきたいと思うわけでございますが、こういう取り組みに対してもまた十分なご検討をよろしくお願い申し上げまして、第二問目の質問を終わらせていただきます。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
○副議長(阪部菊雄君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 11番向井嘉久藏君。
 〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 一般質問をさせていただきます。
 一般質問に入る前に、とにかく午前中の大江議員からの部長が来なかったという話について、私はちょっと県当局にお尋ねしたい。議員おのおのに対応が違うのか。私はこのことについて非常に何かこう、疑問に感じるわけでございます。議員一人一人の質問は同じである、私はこのように思っております。したがって、次からはひとつ公平に扱ってもらいたいなと、このようにお願い申し上げておきます。
 一般質問に入る前に、九月十七日、地元の皆さん方が現在の産廃処理場に起こっていることを聞いていただいて、三十七名もの議員の皆さんの出席をいただいて、本当にありがとうございました。この場をおかりいたしまして、心から厚く御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 一般質問に入ります。お手元にB4のカラーコピーの資料を一枚、議運委員長さんのご了解を得てお配りさせていただいております。
 これは、現在橋本市野地区で行われている、きょう私が質問させていただきます産業廃棄物の全体の写真でございます。この写真からちょっと説明させていただきたいと思うんですが(写真を示す)、右側に竹やぶのような青いものが見えますが、その向こう側に農道があるわけでございます。右側から一番左側の斜面になっているところまで、大体百七、八十メートルあるでしょうか。昔は、この農道からは深い谷になっておりました。今、埋め立てられて現状のような格好になっておりますが、この左側は──これは南側になるんですが──谷がだんだん深くなっておりまして、まだまだ埋められている。普通のきれいな山土で埋め立てられていっておればいいんですが、写真を見ていただいたらおわかりのように、これは土と申し上げられません。こういうものでどんどん埋め立てられていると、こういうことをご認識いただいて質問を聞いていただきたいなと、このように思うわけでございます。
 質問に入らせていただきます。
 今までの経過を簡単に説明させていただきます。橋本市の関係住民でつくっている産廃処理場を撤去させる会が完全撤去、原状回復を求めている産廃処理場は、橋本市野地区にございます。橋本市菖蒲谷、柿の木坂、出塔地区の住宅地に近接しておりまして、三年ほど前から、産廃物の野積みや野焼き、劣悪な焼却炉の操業などによりまして健康被害を生んでおります。また、入院患者一名、通院患者三十名の被害を受けているのであります。このまま解決を見送るとすれば、いずれ発生するであろう被害は、これまで体験したことのないものになると予見できるのであります。
 そこで、日本工業所──今までは、私は名前を出さないで「N工業所」と申し上げておりましたが、あえてきょうは名前を出させていただきたいと思うんです──橋本処理場での問題点を挙げるとともに、業者との交渉内容と交渉に臨む県の認識と姿勢について伺いたいと思うのであります。
 質問に入る前に、少しダイオキシンについて触れておきたいと思うのでございます。釈迦に説法でございますが、少し聞いていただきたい、ダイオキシンの怖さを知っていただきたいなと、このように思うのでございます。
 ダイオキシンは、サリンの六倍とも、また七倍とも言われております恐ろしい薬物でございます。これは、自然界に自然にあるものではございません。人間がつくり出したものでございます。そういう意味から大変怖い。
 最近になってようやくわかってまいりましたが、厚生省は市町村の設置する一般廃棄物ごみ焼却場施設を対象に、昨年十二月までに排ガス中のダイオキシン類濃度等を調査するよう、都道府県を通じてごみ焼却施設からのダイオキシン排出実態等総点検調査を市町村に指示いたしました。ことし四月十一日に全国の一般廃棄物焼却場──報告分は一千百五十施設でございますが──のダイオキシンの濃度について数値を発表いたしました。全国の施設のすべての結果が入っているわけではございませんし、不誠実な測定方法で実際に運転している場合の排出量からはるかに低い数値を報告、または異常な数値の施設は報告から除外するなど、ダイオキシン隠しが問題となった施設も多く、この数値がどこまで信頼できるかという疑問が高いのであります。
 ちなみに、資料から──これは厚生省の資料でございます。ダイオキシンはどんなときによく出るのかと申し上げますと、准連・ストーカつきの三十トンの焼却炉を例にとりますと──この辺で三十トンというのは和歌山市ぐらいしかないのと違うかなと思うんですが──一番高いのが埋火時、火を落としているときで、これが七百二十六ナノグラム出ておるわけです。そして、定常時、どんどん高温で燃やしておるときは七十七・三ナノグラム。こういう数字でございまして、燃やすごみが少ないところは一たん火を消す、そのときが一番ダイオキシンの発生が多い、こういう数値が出ておるわけでございます。
 また、ただいま申し上げました、厚生省に報告された数値に問題があるというのは、私が言うておるんじゃなくて、平成九年九月五日の毎日新聞が、「ダイオキシン 県と市、データ隠し」という大きな見出しで埼玉県の所沢市のことを載せております。基準の百五十倍発生しておった。これは、余りにも量が多いので、所沢市は県と相談してこれを報告しなかった、こういう事態がこの新聞に載っているわけです。市のごみ焼却施設の排ガスから一立方メートル当たり最高一万二千ナノグラム出ておる。ナノは、十億分の一ということです。ほかにピコというのがありますが、これは一兆分の一。ダイオキシンの怖さを知る単位だと思います。普通、数値をはかるときに一兆分の一というような数値は余り見かけない、こういうような恐ろしさでございます。
 それにしても、この報告の中で和歌山県が四十五・八八ナノグラム、ワーストにしまして全国では六位でございます。こういう緊急対策が必要とされる判断値の八十ナノグラムからは若干下回っておるとはいえ、ドイツやオランダの基準である〇・一ナノグラムから考えますと途方もない数字であると言わざるを得ないと思うのでございます。
 ほかにいろいろ資料で説明したいと思うんですが、時間の関係で割愛させていただいて、本題に入らせていただきたいと思うのでございます。
 知事にお伺いいたしたいと思います。
 橋本市民の関心事の一つであります日本工業所の処理施設をめぐる問題について、知事の指導力もあって、県当局は業者との粘り強い交渉によりまして産廃の搬入禁止、焼却の中止、産廃の一部撤去など、一定の前進をさせていただいております。また、最終解決に向けて、橋本市と協議の場を設けていただいているとも聞いております。現状での産廃処理業者・日本工業所に係る考えと、今後どのように解決を図っていかれるのかを伺いたいと思うのでございます。
 また地元住民からは、昨年末来、知事には直接お目にかかっておりません、ぜひこの現状を訴えたいという声が強いのでありますが、ぜひこれにこたえていただきたい。お願い申し上げます。
 続いて、生活文化部長にお尋ねいたします。
 県と業者の交渉内容と交渉に臨む県の認識と姿勢について、お伺いしたいと存じます。
 県当局の努力によって幾つかの問題を解決してまいりましたが、根本的解決についての道筋はまだ見えず、この問題の難しさを痛感するものでございます。このため、県と地元住民との意思疎通が十分でなく、お互いによりよい環境のために解決に向けての努力をしているにもかかわりませず、住民の不安は解消されないばかりか、県に対する不信感も募っているように見受けられます。まことに不幸な結果になってございます。
 全国で噴出している産廃紛争の最大の原因の一つに、情報が地元住民に全くと言ってよいほど公開されていないことがございます。違法行為が後を絶たない一部悪質業者の所業は別といたしまして、廃掃法の規定に地元住民との協議が求められていないとは申せ、大方の処理場建設計画が住民の耳目に触れるのは、早くても工事着工時、または稼働後の環境破壊が始まって初めて住民が気づくといったのが実態でございます。実際に悪質業者が公害をまき散らした場合、最初に被害を受けるのは地元住民であります。しかし、現実には住民に情報が伝わるのは一番最後になってからであります。しかも、その情報は極めて乏しいものでございます。
 橋本の問題につきましても同様のことが言えると思います。これらを解消するために、住民が知りたい情報については公表すべきであると考えます。許可権者としての県が業者との交渉にどのようなスタンスで臨んでいるのか、焼却の中止、産廃の一部撤去がなぜ「合意」なのか、命令や指導はなぜできないのか。ちなみに、堺市は日本工業所に対して産廃の完全撤去の改善命令を発令し、実行に移させております。このことについてお伺いしたいと存じます。
 次に、焼却中止についてお伺いいたします。焼却中止に至った経緯、どのような条件で決定されたのか。民間業者の営業権を奪うことを意味する焼却中止が何の条件もなく合意に至るとは、到底考えられないのであります。それとも、何かの違反行為があって、それに基づく実質的な罰則に近いものなのか、これについてお伺いいたします。
 次に、焼却再開の可能性についてであります。何らかの取り決めがあって、現在のように焼却中止になっているのか。再開されるのではないかと、地元の住民は不安に感じております。これらの見通しについてお伺いしたいと存じます。
 次に産廃の一部撤去について、県と業者の合意についてお伺いいたします。
 県と業者が撤去について合意したとされる産廃の約三分の一とは、現場のどの部分を指すのか。その総量、費用、撤去にかかる期間はどのくらいか。和歌山環境保全公社が約五千万円を負担する理由づけについて、お伺いしたいと存じます。
 次に、現在までに持ち出された量の把握についてお伺いいたしたいと存じます。持ち出された産廃の量と進捗状況はどうか。産廃は今どこでどのように処理されているのか。マニフェストを公表してその処理方法について伺いたいと存じます。
 次に、現場の産廃の認識についてお尋ねいたします。
 県として問題の産廃処理場がある谷についてどの程度把握されているのか、いつの時点からだれが何をどれだけ埋めているのか、具体的にお伺いしたいと存じます。
 住民が訴えている、焼却炉設置面より下に埋められているものは廃棄物である可能性が高いという事実認識について、県当局は認識を持っているのか、埋まったままで安全と思っているのか、お伺いしたいと存じます。
 次に、水質調査並びにボーリング調査についてお伺いいたします。住民の水質調査では、実際に有害な重金属が検出されております。安全性については疑問が多くございます。安全性の根拠を科学的データに基づいて示すべきだと思います。安心して暮らせるためにも、水質やダイオキシンの調査はもちろん、根本的な原因を調べるためにボーリング調査をし、そのいずれの結果をも公表すべきであると私は思います。これについてお伺いしたいと存じます。
 また、この処理場からの排水は、市脇川を通じて約一キロばかりで紀の川に流れ込んでおります。下流では、伊都、那賀、和歌山市、また海南市の一部の人々が生活水として利用しており、その恩恵を受けておりますが、このことを決して忘れてはならないと思うのでございます。
 次に、監視カメラについて──私はこれを監視カメラとは申し上げられないと思うんですが、監視カメラが今、現に現場の門のところについておるんです。ところが、このカメラは業者がつけたカメラでございます。業者が自分を監視するためにつけたカメラ、こういうふうに理解しておるわけでございます。
 当初、県当局と地元住民との間で話し合いが持たれた席上、住民側から監視カメラの設置を強く要望されておりました。しかし、残念ながら予算の都合で見送られて現在まで至っております。ところが県当局は、監視活動──今までは保健所の職員が毎日来て監視しておりました。非常に熱心にやってくれておりました。業者が朝六時に産廃を搬入すると言ったら、朝六時に来て門を開けて業者をお待ちしてくれておった。そうして、ダンプカーから産廃をぶっちゃけたら、産廃とそうでないものと保健所の人がより分けておった。こういう仕事熱心な方がいた。ところが、この監視活動を──もう保健所の方は音を上げたんやと思います。大変な仕事であったと思いますよ、それは。その横で業者の人が腕組みをしてじっと保健所の職員の仕事ぶりを監視しておった。こういうのが実態でございます。
 この監視活動の変更は、恐らく保健所の職員は、もうこらえてくれ、これはかなわんというふうに思ったんだと思います。これを理由に、八月二十五日、それまで保健所が保管しておりました入り口のかぎを業者に渡しました。それと同時期に、事前には何の連絡もなく──つけてから電話でちょっと連絡があったんですが──何の話し合いもなく、業者が自分を監視するためのカメラを設置しました。突然の監視活動の変更はなぜされたのか、伺いたいと思います。
 私は、「監視」とはどんなことを言うのかな、私が思っておったことと違ったんかなということで、字引を引いてみましたら、監視とは規則を破る者、また異常なことを気をつけて見守ること、こう書いてあります。県当局はこれを監視カメラと考えているのか。もしこれを監視カメラと考えておるのであれば、私どもと全く考え方が違う。この考え方が違うと、幾らすり合わせしようとしても、なかなか難しい。
 次に、橋本市内で許可申請が出されている産廃の業者がほかにもあるのか、また、その準備のために保健所が指導をしているものはあるのか。
 私はこの間、橋本市の彦谷地区の方へ行ってきました。今ここでは、四社が産廃処理をするために用地を取得しております。既に一社、三高産業のは焼却炉が座っており、試験炊きが行われて試運転しております。ところが、試運転は業者の手で行われておる。廃掃法に基づいて言えば、メーカー側が試験炊きをせないかん。これがもう既に、ここからスタートが間違っておるんです。
 橋本市の市長は、この彦谷地区の産業廃棄物処理場に向けて橋本市として反対だと意思表示しております。にもかかわらず、保健所の職員が指導に行っておる。私はこの感覚もちょっとわからん。これについてもお伺いしたいと思うんです。
 指導に行って、指導して、指導して、業者は大金をつぎ込んで指導されたとおりにやっていく。何億という金をつぎ込んでいく。指導がすべて終わった時点で申請を出されたら、県は許可を与えやなしようない。これは全く、今問題になっている菖蒲谷地区と同じですよ。どんどん指導が先行していって、申請されたら即、許可をおろしておる。こういうやり方をやっておるから大変なことが起こった。特に今回は、橋本市が反対だという意思表示をしているのにもかかわらず指導に行っておる。僕はこれについて、ちょっとわからん。これについて県の考え方をお伺いしたい。
 最後に、ちょっとメッセージをご紹介させていただきたいと思うんです。このメッセージは、去る八月十日、橋本市で「まじめにゴミの話をしよう ゴミ問題に直面する私達」と題して、産廃処理場を撤去させる会、また共催で橋本市、ここがシンポジウムを行いました。その席上へ届けられたメッセージでございます。御嵩町長の柳川喜郎さん、また豊島住民会議の石井亨さんから寄せられております。御嵩町長のメッセージをご紹介させていただきたいと思います。
 「まさに『臭いものにはフタ』と、行政も企業も、そして住民も、ゴミについて見て見ぬフリをしてきたのです。 そのツケが、橋本にも御嵩にも、そして全国の各地にまわってきたのです。 いまこそ、みんながゴミを見すえて、真剣に考えるべきです。 これまで、私たちは大量生産、大量消費、大量廃棄の時代にドップリ浸ってきましたが、そういう時代はもう終わったのだと、まず認識すべきです。 ゴミがでるからゴミ捨て場をつくるという考え方では、いずれ日本中がゴミだらけになってしまいます。 このさい、思いきった発想の転換をする必要があります。キーワードは、減量化、リサイクル化、無害化の三つです」云々とございます。
 もう一つ、豊島住民会議の石井亨さん──この方はその中で中心的な役割をされている方ですが──からもメッセージをいただいておりますが、橋本から豊島に行ったときに、この橋本で起こっている写真を石井さんに見ていただいて、「私たちは第二の豊島に橋本をしたくないんです。この写真を見てください」と言ったら、石井さんは「もう豊島になってるやん」、こういう話でした。
 以上で、一般質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 向井議員にお答えをいたします。
 産業廃棄物の問題につきましては、全国的、また全県下的な問題でございまして、大変苦慮をしておるところでございます。
 ご質問の日本工業所の問題につきましては、地元の皆さんにも大変ご心配をおかけして申しわけないと思っております。県も、昨年来、廃棄物処理法に基づき、搬入禁止、夜間焼却禁止等の厳しい命令及び各種の行政指導を行ってきたところでございます。さらに、本年五月一日以降の焼却中止、廃棄物の一部搬出という措置をとったにもかかわらず、長い経緯もあるからでございますけれども、いまだ解決に至っていないことは、まことに遺憾に存じてございます。
 今後とも、この問題を環境施策の大きな課題と認識をいたしまして、事業者はもちろん、私も先般、橋本市長にもお会いをしましたけれども、橋本市とも十分協議をして、解決の道、方法を探ってまいりたいと考えてございます。
 また、周辺住民の皆さんには、私のハードな日程のせいもありまして最近はお会いしておりませんが、昨年の橋本市における一日県庁以来、何回かお会いをし、お手紙、ファクスなども私の公舎の方にもお届けいただいておりますので、ご意見の趣旨は十分承知をしておるつもりでございます。
 今後、私自身お会いすることにつきましては、決してやぶさかではございません。ただ、本問題については担当部局も解決に向けて懸命の努力をしておるわけでございますし、私も具体的な解決方法などについて担当部局と常々協議を重ねておるところでありますので、ご理解をいただきたいと思います。できるだけの努力を続けたいと思っております。
○副議長(阪部菊雄君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 向井議員にお答えをいたします。
 県と業者の交渉内容と交渉に臨む認識、姿勢についてでございます。
 橋本市と堺市の事例は、いずれも廃棄物処理法の保管基準不適合に伴う改善命令でございますが、橋本市の場合は焼却処理することが可能なため持ち込み禁止を命令しており、堺市の場合は現地に処理施設がないため撤去を命令しているものでございます。したがいまして、今回の焼却中止については、関係者の強い要望を受けて事業者を強く指導した上での合意に基づくものであり、法律に基づくものではございません。廃棄物の一部搬出についても、焼却中止に伴う残存廃棄物の処理の一環であり、法的根拠を超えた緊急的な措置でございます。
 次に、焼却中止についての経緯、再開の可能性についてのご質問でございます。
 焼却中止に至った経緯につきましては、焼却に対する周辺住民の皆様方のご理解が得られない状況を踏まえ、県として事業者を強く指導した結果、事業者も一定の理解を示し、実現したものでございます。
 焼却の再開につきましては、法的には可能な状況にございますが、住民の方々の意向等の事情を勘案するとき、それが困難なものと認識いたしており、今後とも橋本市、事業者と引き続き協議してまいりたいと存じます。
 続きまして、産廃の一部撤去についての県と業者の合意、現在までに持ち出された量の把握についてでございます。
 県と事業者が合意した約三分の一の量とは、去る五月一日の焼却中止時点において既に日本工業所が持ち込み保管されている約二万立方メートルのうち約三分の一の量でございます。その撤去費用は約一億円、撤去に要する期間はおおむね三カ月と想定してございます。また、環境保全公社の負担につきましては、本問題の緊急性にかんがみ、県からの要請を受けた当公社において、設立趣旨に照らし、撤去費用の一部五千万円の協力が得られたものでございます。
 なお、当初計画における十トントラック六百三十台分の搬出につきましては、九月十二日現在、五百四十六台分を搬出してございます。当該搬出物の処理につきましては、大阪府内の許可業者の処理場で分別処理されていることを現場事務所に保管されているマニフェストにより確認いたしてございます。
 続きまして、現場の産廃の認識についてでございます。
 ご質問の現場の産廃の量、あるいは産廃かどうかの認識につきまして、ご質問の趣旨は、当該土地における日本工業所が保健所に届け出された以前の状況についてのお尋ねと存じますが、県としては、それ以前の状況については現在のところ把握いたしてございません。
 続きまして、現場の産廃の水質、ダイオキシン等の調査についてでございます。水質調査についてはこれまでも随時実施してきており、今後も継続する考えでございますが、ボーリング調査につきましては、水質調査の結果により必要な場合、検討してまいりたいと存じます。なお、土壌等のダイオキシン調査につきましては、採取方法や分析方法など統一された測定方法が必要でございますので、その方法が国から示された段階で検討してまいりたいと考えております。
 監視カメラにつきましては、監視用のカメラを設置するようにとの住民の方々からの要望の代替措置として施錠することとしてまいりましたが、本年五月一日以降の焼却中止措置に伴って残存廃棄物を搬出する必要が生じ、運搬用トラックが早朝から頻繁に処理場に出入りすることとなったため、監視カメラによる監視に切りかえたものでございます。監視の効果につきましては、保健所職員が当該ビデオテープを毎日チェックするとともに、随時立入調査をしておりまして、十分達成できているものと認識をいたしております。
 その他の動きについてのご質問でございますが、橋本市における日本工業所以外の処分場につきましては、最終処分場三件、中間処分場三件が事前調査を終えてございますが、現在のところ、建設廃材のリサイクル施設を除き、許可申請書を受理してございません。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 11番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 再質問いたします。
 現場の産廃の認識についてお伺いいたします。
 今、部長は、日本工業所が保健所に届け出された以前の状況については把握していない、このように言われました。個人で持っておった土地が、日本工業所に所有権が移ったのであります。私のお尋ねしておるのは、農地とか、また一部建築廃材が捨てられた、それを聞いておるんじゃない。それは何回も言うたはずや。にもかかわらず、こういう答えが返ってくる。間違いございませんか。
 それでは、改めてお伺いしますが、届け出が出されてからの分は把握なさっておるんですか。もう、一年から操業しています。その分については把握なさっていますか。それ以前は把握していない、これは無理もないと思います。しかし、それ以後の分は把握なさっているからそういうお答えをなさったんだと思います。これについてお伺いします。
 また、水質調査とボーリングを切り離して話していただきたい。水質調査をして、その結果を見てボーリングするかどうかを決めましょう、こういう回答であったように思います。しかし、水質調査だけでは、埋められている量がどれくらいあるか、また埋められている物の特定は不可能です。しかし、その前にお伺いしました、埋まっている物は私とこは一切知らんのやということでございましたら、これは何をか言わんや。しかし、日本工業所が届け出をしてからの分については、このお答えでは把握する必要があると思いますよ。それについて、ボーリング調査もやられる意思があるかどうかをお尋ねしたいと思います。
 それから、ダイオキシンの調査についてですが、確かに今、土壌のダイオキシンについて厚生省は調査方法を確立しておりません。承る話では二〇〇〇年ぐらいにはそれを確立するということらしゅうございまして、今そのたたき台が大体できているようでございます。恐らくそれに基づいて、埼玉県、兵庫県は調査しております。和歌山県は和歌山流を編み出してやったらいかがですか。やる意思がおありかどうか、お伺いしたい。
 もう一つは、厚生省が調査方法を確立した暁には一度検討させていただきますと、こういうご答弁でありましたが、その暁には調査をしていただけるかどうかをお伺いしたい。
 それともう一つ、監視カメラについて。これをどのように受けとめておるのか。私は、本当に監視するつもりであれば、もう一台、県が金を出して設置すべきだと思いますよ。
 最後に、その他の動きになりますが、申請があれば受理するのか。橋本市内で既に準備段階に入っているのが三件。これ、申請があったら受理しますか。大変なことです。四社の中で、一番大きな彦谷の業者の山の持ち分は二十一町歩ですよ。これが産廃処理場として稼働し始めたら、とんでもないことになる。特に、九度山町の丹生川へ水源として流れ込んでおる。九度山町でも反対決議が行われたところでございます。また、知事さんの方にも陳情があったと思います。これらの問題を、片方では保健所で指導しながら受理しないという方法が果たしてできるのか、私は心配でなりません。これらについてもお答え願いたいと思います。
 終わります。
○副議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 向井議員の再質問についてお答えをいたします。
 まず、産廃の認識についてでございますけれども、先ほどお答えいたしましたとおり、現在、保健所に届け出された以前の状況については把握いたしておりませんで、先ほど申し上げた数字は五月一日時点において二万立方メートルということで、その数字を申し上げたところでございます。今後の対応につきましては、橋本市と協議する中で一つの課題として検討をしてまいりたいと思います。
 それから、水質調査につきましては、現在、産廃処理場の中で、産廃が埋まっておるところでございますけれども、その産廃処理場の出口地点で水質調査を行っております。その結果によりまして、必要であればボーリングをいたしたいというふうに考えております。
 それから、ダイオキシンについての、ほかの県でやっているところもあるではないかというご質問でございますけれども、ただいま把握している状況によると、兵庫県あるいは埼玉県において実際調査が行われております。これは、同県が所有する測定機器によって研究に類する調査を行っているものと聞いてございます。本県においては、測定方法、評価方法等につきまして、関係機関と協議する中で実施の方向で検討してまいりたいと思います。
 それから、監視カメラでございます。この監視カメラは業者に設置させたものでございますけれども、ビデオテープに収録される映像については有効なものというふうに考えております。なお、保健所職員がビデオテープをチェックしておりまして、問題があれば業者を指導してまいる所存でございます。
 それから、その他のいろいろな動きについてでございますけれども、議員ご心配のようなことについて我々としても協議をいたしまして、各種法律に基づく届け出がいろいろございまして、廃掃法以外の届け出で先行してしまった場合、廃掃法の許可が非常に難しくなるというようなことでもございますので、その心配を何とかするために、保健所に事務局を置く地域産業廃棄物適正処理連絡会議において検討し、本年六月から、各種の届け出等、法手続を要するものにつきましては、地元の理解が得られないものについては当該届け出書等を受理しないよう保健所に指導いたしておるところでございます。
 以上です。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 11番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 ただいまの答弁の中で──水質調査とボーリングを切り離してもらえんかということで再質問いたしました。しかし、水質調査の結果を見てボーリングもやる用意はあると、こういう答弁でございますが、先ほど申し上げたとおり、埋められている産廃の量とか埋められている産廃の特定は水質調査ではできない。水質調査は、もう既に前からやってくれておることや。これにひっかけられたら困る。やっぱり許可権者として、そこで何が起こっているのかということを把握するのが許可権者としての責任であろうと、このように思います。したがって、私は絶対ボーリング調査をやっていただきたいと思います。
 それから、監視カメラについてであります。
 確かに、毎日毎日、二十四時間録画したものを保健所の職員がチェックしている。承りますと、チェックするのに大体三時間から四時間かかるらしいですね。ところが、その職員が休んだらたまっていくわけ。物理的に不能ですよ。
 もう一つ、一番怖いのは、監視カメラに映ったビデオは既に過去のものであるということです。保健所でチェックして、問題があるからといって業者に言うても、それはもう終わっておること。そしてもう一つ問題は、地元住民がそのビデオテープをいつでも必要なときに見せてもらえるかというたら、そうはいかんよという話ですよね。所有権は業者にあります──当然のことですよ。金を出した人が所有権を持っているのは当たり前のことです。したがって、監視カメラはもう一台、県の費用でつけていただけませんかということをお願い申し上げた。
 最後に、その他の動きで、申請があっても受理しませんよというのを、何で保健所の職員が指導に行くんですか。だましですよ、それは。それやったら、行くのをやめたらいいんですよ。指導できませんと、やめたらどうですか。申請があっても受理しないと初めから言うておるんやから。
 もう一つは、二十一町歩にも及ぶ大規模な処理場を仮に許可したとしても、この四月で和歌山県は、産廃は和歌山県内のものに限る、他府県からの搬入は一切認めないと、こういうふうに決めました。二十一町歩の大きな一つの施設が和歌山県のやつで商売できるかというのが、私のささやかな疑問でございます。
 そういう意味から、この際、もう業者にあきらめてもらって、帰ってもらうようにご指導をお願い申し上げたいと。
 以上で、再々質問を終わります。
○副議長(阪部菊雄君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 水質調査とボーリングを分けて考えるべきではないかということについては、先ほど答弁したとおりでございまして、これについては今後またさらに検討していくということでお答えをいたしておきます。
 それから、監視カメラにつきましては、先ほども申し上げましたように、写されたビデオにつきましては、これはたとえ業者の設置したカメラであっても有効であるというふうに認識をいたしております。
 それから、その他の動きでございますけれども、これも先ほどお答えをいたしましたように、六月から、各種の届け出がそろわないとそれについて受理しないということで指導を重ねておるところでございます。
 以上、重ねてお答えを申し上げます。(「彦谷はどうするんや」「彦谷、答えてやってくれよ」と呼ぶ者あり)彦谷の分につきましても、このただいまの受理しないという分に入ってございます。
○副議長(阪部菊雄君) 以上で、向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(阪部菊雄君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時五十七分散会

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