平成9年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(松本貞次議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時四分開議
○議長(町田 亘君) これより本日の会議を開きます。
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 【日程第一 議案第八十八号から議案第九十八号まで、及び報第一号から報第六号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(町田 亘君) 日程第一、議案第八十八号から議案第九十八号まで、及び地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第一号から報第六号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 45番松本貞次君。
 〔松本貞次君、登壇〕(拍手)
○松本貞次君 おはようございます。
 まず、同和行政について質問をいたします。
 同和問題を取り巻く情勢は、昨年十二月の臨時国会において人権擁護施策推進法が成立され、本年三月には事業法である地対財特法が内容の一部を改正し、五年間の延長がなされました。さらに、人権擁護施策推進法の実効を期すために、審議会が五月二十七日に正式発足し、教育と啓発については二年をめどに、差別事象による被害の救済に関しては五年をめどに、法制化を含む国の方策について審議されることとなっております。こうしたことは、かねてから問題解決にかかわる国の責務を求めてきた立場からすると極めて大きな成果であり、知事を先頭に県当局や県議会、さらには多くの県民のさまざまな取り組みや願いの成果であります。そうしたご努力に対して、この場をおかりして改めて感謝を申し上げます。
 さて、このような国の動向を受けて今非常に大事なことは、和歌山県としての今後の方向を早急に指し示すことであると思います。特に、県が実施した実態調査の集約や市町村から上がってきていると思われる市町村の課題や必要事業を踏まえていくと同時に、人権擁護施策推進法の成立や人権教育の国連十年の推進という視点も含めて、和歌山県の同和問題解決に向けた推進計画を早急にまとめていただきたいと思います。
 同和対策事業二十八年を総括し、今日の部落の生活やニーズの多様化に対応し、現行の事業や制度の改善、新規事業を大胆に活用して、同和対策事業の質的転換を図る必要があると思います。そのためにも、具体的な基本課題として、第一に必要事業を明らかにし、県の実態調査の結果に基づき、部落の完全解放のための和歌山県としての新しい同和対策総合推進計画をつくる必要があると思いますが、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
 また、事業進行や問題解決にかかわって財源の確保が非常に重要であると言えます。延長された現行法の対応が、従来の対応と内容的に若干の違いがあります。従来、同和対策事業に対して特別な財政措置として、三分の二の国庫補助と残りの市町村負担分に起債が適用され、その起債分の八〇%を交付税で補完するということでありました。現行法は、従来どおりの対応をする事業と一般対策に工夫をしてということで、起債や交付税による補完が行われない等の状況になっております。県において市町村の財政負担の軽減のために対策を講じていくということは聞いておりますが、果たしてこれだけで課題を抱えた市町村が積極的に課題解決のために事業を推進できるのか危惧するものであります。また、事業進行について同様のことが言えます。事業についての対応が一般施策の中で対応するとか、工夫してというのは、決して同和対策を打ち切っていくということではなく、従来の特別対策に加えて一般対策を有効に活用することで、同和対策の新たな枠組みを明確にするということでなければならないと考えますが、こうしたことについて担当部長のお考えをお伺いしたいと思います。
 続いて、啓発や同和教育の推進についてお伺いをいたします。
 人権擁護施策推進法の成立や人権教育の国連十年の推進という状況を踏まえて、県では人権啓発を推進するために福祉保健部に担当職員を配置されております。早急に体制づくりが求められるところであります。特に、人権啓発や同和教育についての国の動向は、同和問題を柱にしながらも、他の人権についても積極的に取り組むというもので、決して今後は同和教育より人権教育を進めていくというものではないわけであります。かといって、同和問題と人権問題を対立的にとらえるのは誤りであります。同和問題も人権問題の中に位置づけられます。しかし問題は、総論的に人権ととらえるのではなく、個々の実態や課題を明確にし、それを解決する具体的な取り組みが重要であります。その際に、今日までの同和問題の取り組みを生かし、和歌山県の人権に関する状況を十分に踏まえることであります。こうしたことを人権啓発や同和教育を進めるに当たり十分留意されたいと思いますが、教育長と担当部長のお考えを示していただきたいと思います。
 また、同和教育にかかわって、私の聞くところによると、教育現場では特に今述べたような問題があるように思います。もう課題はないんだ、同和はもう古い、これからは人権教育を進めるんだと言い、同和教育を形骸化させ、これまでの取り組みを埋没させる傾向が強いのではないかと危惧するところであります。子供たちを取り巻く状況にはさまざまな課題があります。いじめ、家庭の崩壊、学力、進路、遊び、そして子供たちの人権意識等々、そうしたことがあるから同和ばかり言っていられないというのでしょうか。私は、先ほど述べたように、そうした子供たちの課題に取り組むことと同和教育を進めていくことは、決して矛盾しないと思います。この際、そうした傾向や学習状況調査の結果を踏まえられ、これからの同和教育の方向についての方針を新たに作成し徹底する必要があると思いますが、教育委員会のお考えを示されたい。
 繰り返しの話になりますが、私は先ほどから新たな同和行政の方向、人権啓発の体制づくり、同和教育の今後の方向について県や教育委員会に方針を策定することを要請しているわけです。ただ、重要なことは、今日までの取り組みの総括、現状や実態ということに加えて、一つは、今の時代背景、全体的な福祉、教育を初めとするあらゆる状況を十分踏まえて研究や議論を積み重ねて結果を出すべきであります。さらに、当面取り組んでいかなくてはならないことと、長期的な展望や方向を明確に分けることが必要であると考えるものであります。そういったことも重ねて要請し、答弁を求めたいと思います。
 次に、県立五稜病院の再建について質問をいたします。
 私が県会議員に当選させていただいたのが昭和六十二年であります。地元ということで、五稜病院については何度となく議論に参加をしてまいりました。私は、県民すべての人の人権を尊重することが極めて重要であると考えています。このことは、病院づくりについても大切であると主張してまいりました。
 昭和二十七年開院以来、半世紀近くが経過しており、この間、地元住民の精神障害者の方々に対する理解度、協力度は非常に高いものがあります。私自身、深く頭の下がる思いがいたします。また、現在の病棟等の建物は昭和四十年代に建てかえたものであります。エレベーターがないこと、壁面にクラックがあったり、地震や火災の際、避難の点でも心配があると聞き及んでおります。そうした中、平成三年に五稜病院運営検討委員会、平成五年七月に五稜病院整備委員会及び分科会を設け、特に応急体制、作業療法及びデイケア、老人性痴呆、経営改善等の項目を中心に七つの分科会で検討がなされ、平成七年七月には専門家に五稜病院整備計画を委託し、平成八年度では病院敷地について地質調査委託、用地測量委託を、さらに本年は基本設計予算化と建設に向けて順調に進んでおります。
 県立五稜病院のあり方は、県立病院として地域における保健医療の向上と指導的な役割を果たすことにあると思う。新病院整備について、現状で何を行わねばならないか、何ができるか、郡内の医師会、市町村との連携をどうするか、地元の声が、気持ちが一番大切であると思います。
 精神保健医療については、今、変革の時期を迎えております。病院内での入院治療が中心であった時代から、社会復帰、社会参加を促進することが中心となってきております。また、精神障害者の福祉施策の充実が求められております。和歌山県の現状として、県内精神病院の平均在院日数が平成七年で七百二十一日と全国で一番長く、年間の新入院患者数は千三百五十二人と少ない。このことは、本県での入院中心の医療が行われてきたことを指し示すものであります。入院が長期化し、患者が適切な医療をその時期時期に受けにくい状況を生み出しているのではないか。社会復帰促進のためには、こうした入院中心の医療から、社会に適用するため、生活習慣を身につけていくリハビリ中心の医療が大切になってくるわけであります。五稜病院が作業療法を平成八年度から実施し、また精神科デイケアの実施を検討しているということであるが、社会復帰対策をどう進めていくかが重要であります。また、精神科デイケアと保健所デイケアとの役割分担をどう図るのか、そのことも大変重要であります。
 また、本県は、全国にも増して高齢化が進行しております。高齢者が多くなってくると痴呆性老人もふえてくるわけであります。国の高齢者関係三審議会の平成六年度の痴呆性老人対策に関する検討会報告書で、今後の重点的な推進を要する施策として、一点目は、痴呆についての理解を促進するための意識啓発と情報の提供を充実する、二点目は、痴呆性症状をできるだけ早期に発見し、早期に対応する体制を確立する、三点目は、痴呆性老人及び家族が必要なときに必要なサービスを利用できる体制を整備する、四点目は、痴呆についての調査研究を推進する、五点目は、痴呆性老人の権利を擁護する対策を講じるという五点を挙げております。
 現在、老人性痴呆対策として老人性痴呆疾患センターが県内に三カ所あり、五稜病院も開設しているが、現状ではセンターの役割を果たせるのか、郡内の民間病院、市町村の福祉関係などとの連携なしでは考えられないと思うが、どうか。
 五稜病院は公営企業であります。健全経営を行うことが、よりよい医療サービスに結びつく。こうした公営企業としての経済性についても、もっと多くの人に理解してもらえるよう説明が必要と考えるが、どうか。
 今回、私にも数多くの人から相談がありました。「今度、五稜病院が新設されるというが、どんなんよ」「今の敷地で建てるんかい」「どれぐらい大きくなるんよ」「総合病院になるんかい」等々であります。五稜病院の有田での歴史は五十年近くになります。数多くの人々の熱意で今日の五稜病院が存在しており、新しい五稜病院の早期建設を多くの郡民が待ち望んでいる現状であります。一三六の政策を掲げ、女性一〇〇人委員会をつくり、県民の声を十分反映さすということが西口県政であります。もっと新しい五稜病院のあり方について、有田郡内の民間病院の方々や市町村、とりわけ地元県事務所、保健所との連携を密にしていかなければならないと考えるが、どうか。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 県下の精神医療の中で五稜病院が担うべき中核病院としての位置づけ、使命はどのようなものか。
 次に、福祉保健部長にお伺いをいたします。
 老朽化が著しいと聞くが現状はどうか、五稜病院における精神障害者の医療対策、社会復帰対策をどう考えるか、老人性痴呆対策の中で五稜病院の役割はどのようなものか、公営企業としての経済性をどう考えるか、地域医療機関としての五稜病院のあり方として地元関係機関との連携をどうしていくのか、建てかえのスケジュール、新病院の概要はどのようなものか、以上についてご答弁をお願いいたします。
 最後に、障害者福祉について質問をいたします。
 先日、私の手元に一通の手紙が届きました。その内容は、「私は、五十歳の土木作業員です。五年ほど前まで大型のダンプの運転手をしておりました。小石が右目に当たる事故で一年ほど入退院を繰り返し、治療しましたが、現在は右目が失明し、右目の視力は〇・〇一程度です。大型免許の更新もすることができず、現在、土木作業をしております。 人の勧めで身体障害者の手帳の交付の手続をいたしました。医師の診断書も添えて提出をいたしましたが、どうしても交付の対象になりません」。そういう内容の手紙です。
 今、身体障害者手帳は一級から六級に区分されて交付されております。知的障害者の方には療育手帳A1、A2、B1、B2等がありますが、その身体障害者手帳が何で交付されるのか。健常者よりはるかに不自由を感じる、そのことを行政の力で何とか補いたい、そのためだと思うわけであります。片方の目が全然見えない人、聴力にしても、片方が全然聞こえない人、その人たちが視覚障害、聴覚障害の等級の該当者にならない。こういった人たちが数多く存在することを知りました。
 確かに、身体障害者福祉法に基づく施行規則、医者の診断、社会福祉事務所の判断、また身体障害者、障害程度等級表の区分等々もありますが、その視覚障害六級の部分では、「一眼の視力が〇・〇二以下、他眼の視力が〇・六以下のもので、両眼の視力の和が〇・二を超えるもの」、こういうふうに規定をされております。多分この当事者は、右目がゼロであっても、左眼の視力が〇・六を超えるのでしょう。
 また、例えば指、人さし指であろうが、中指であろうが、第一関節であろうが、第二関節であろうが、失えばたちまち日常生活に不自由を感じます。でも、この身体障害者障害程度等級表の内容は、ほとんど親指、第二関節等々と規定をされております。
 私は、今、福祉とは何か、非常に疑問を抱いております。確かに、我々行政に携わる者として、どこかで規定を定めなくてはならないことは十分理解をいたしますが、今現在、多くの県民の中でこうした福祉の谷間に身を置く数多くの障害者がいることも現実であります。この当事者も、ちょっとした事故で右目を失明し、大きく人生は変わりました。福祉の谷間に身を置く数多くの障害者の現状と和歌山県行政として、また国に対しての対応をも含め、担当部長のお考えをお聞かせ願いと思います。
 以上で、質問を終わります。
○議長(町田 亘君) ただいまの松本貞次君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 松本議員にお答えをいたします。
 まず、同和対策についてであります。
 新しい同和対策総合推進計画の策定についてでございますが、ご承知のように、昨年来、国においては、同和問題の早期解決を図るために、新たな段階に対応した諸法令が整備をされたところでございます。このような国の動向や本県で実施した実態調査結果等から明らかになった同和問題解決に向けた主な課題といたしまして、一つは、依然として存在する差別意識の解消に向けた啓発・教育の一層の推進、もう一つは、教育・就労・産業の面でなお存在している格差の是正などがございます。なお、これらの課題についても市町村間で異なっておるわけであります。
 こうした本県の現状を踏まえて策定した今後の同和対策に関する基本方針に基づいて、平成九年度以降の同和対策事業の位置づけを図っているところでございます。新たな計画については、策定に向けて取り組んでいきたいと考えております。
 次に、五稜病院についてであります。
 五稜病院の開設、運営については、今日まで地元住民の皆様方に多大なるご協力とご理解をいただいてまいりました。この場をおかりして、厚くお礼を申し上げたいと存じます。
 ご承知のように五稜病院は、精神保健福祉法に基づいて設置された病院でございまして、本県の精神障害者の医療及び保護のための施設として重要な位置を占めておるわけであります。このようなことから、重度の処遇困難患者の治療など民間精神病院で対応しがたい特殊高度医療や老人性痴呆疾患等の対策を実施していく必要があります。また、精神科救急の体制づくり、精神科デイケアの実施に向けて検討しているところであります。今年度、基本設計を予算化したところでございますが、この建てかえを機に、県内の中核精神病院として一層の機能の充実を図りたいと考えております。さらに、このような専門性を生かしながら、議員が述べておられるように、精神障害者の人権尊重や社会的偏見の解消を図るために、病院と地域との交流を促進し、今後とも地域に開かれた病院としての方向を目指してまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 松本議員にお答えをいたします。
 まず、同和対策についてでございます。
 市町村の財政負担の軽減については、先ほど知事がお答えをいたしましたとおり、今後の同和対策に関する基本方針に基づき、平成九年度以降の同和対策事業の位置づけを図ったところであり、国費対象事業及びそれを補完する県単独事業等、必要な事業については当分の間継続してまいります。
 なお、一部地域に残されている物的事業で、従来の国の財政措置が講じられない事業、すなわち一般対策に工夫を加える事業については、市町村の財政負担軽減を図る観点から、三年間に限り六分の一を負担する等、早期完了に努めるとともに、一般対策の活用を図りながら同和問題の解決に努めてまいります。
 次に、人権啓発についてでございます。
 「二十一世紀は人権の世紀」と言われるように、すべての人の人権が尊重される社会の実現を目指し、人権啓発を積極的に推進することが重要でございます。人権教育のための国連十年等に見られる人権尊重に関する国際的な潮流や人種差別撤廃条約の批准、人権擁護施策推進法の制定などの国内の動向を踏まえ、本県といたしましても人権教育、人権啓発について積極的に取り組んでいかなければならないと考えてございます。本年四月に福祉保健部に担当職員を配置し、国の動きを見きわめながら、推進体制の整備や県としての行動計画の策定について検討を行っているところでございます。議員ご指摘のとおり、今後の取り組みにおいては、同和問題を人権問題の重要な柱として位置づけるとともに、さまざまな人権問題について現状と課題を明らかにするという視点が重要であると考えてございます。
 次に、県立病院の再建についてでございます。
 議員ご質問の六点についてお答えをいたします。五稜病院施設の現況としては、議員ご指摘のとおり、クラックが多数存在することやスラブの落下で大規模改修を行った事例もございます。エレベーターの設置や耐震構造の強化等は、現施設の構造上は困難であり、また近年の精神病院施設には、治療面、看護面から豊かな空間の保有が必要となってきてございます。
 次に五稜病院の医療対策及び社会復帰対策としては、精神病棟については、急性期の治療を要する方、入院治療の継続が必要な方、社会復帰間近な方、それぞれに適切に対応できるよう機能別に編成をいたします。五稜病院の平均在院日数は、平成七年で四百六十八日、平成八年で三百八十日となっており、入院患者の状況は短期に入退院される方と長期に在院される方の二極分化の傾向がございます。これに対応した機能別の病棟編成により、その症状に適した医療を提供できるものと考えてございます。また、特に医療対策の中で、措置患者を含め、急を要する事例への対応を検討しております。現在、五稜病院は精神科応急を平成七年十月から実施しておりますが、精神科救急について対応できる体制を整備してまいります。
 社会復帰対策としては、現在、入院患者の作業療法を実施し、また外来患者の精神科デイケアを実施すべく検討しておりますが、施設的な面での問題があり、建てかえと同時に実施すべく体制づくりをしてまいります。これらによりまして、その後の対応として保健所デイケア、社会復帰施設との連携を図れるものと考えてございます。
 次に老人性痴呆対策として、相談、鑑別診断、救急の対応をするための老人性痴呆疾患センターを平成七年九月から開設してございます。その運営につきましては、五稜病院老人性痴呆疾患センター運営協議会で、有田管内市町の保健福祉関係者も構成員となっていただいて進めております。また、相談件数については月二十件程度、その中で入院・通院ケースが月五件程度あり、その現状から老人性痴呆対策の必要性が重要と認識しております。今後、県内で専門的治療を行う施設を確保する必要性があることから、五稜病院に老人性痴呆疾患治療病棟を設け、精神症状や問題行動が特に著しいケースでの短期集中的な精神科的治療を担っていくこととしてございます。
 次に五稜病院の経済性については、公営企業としての性格上十分認識しており、従来、経営改善に取り組んでいるところでございます。ただ、県立精神病院としての高度特殊医療や法設置病院として本来担わなければならない不採算部門を実施しなければならないこともございます。このことから、一般会計からの負担金、補助金について基準を定め、平成七年度予算から実施し、収支差補助の明確化を図ったところでございます。今後とも、より一層の経営改善に取り組むとともに、議員ご指摘のとおり、もっと多くの方々にご理解願えるよう努力してまいりたいと存じます。
 次に、地域医療機関としての五稜病院のあり方についてでございます。
 五稜病院としても、地元関係機関との連携については非常に重要なことであると考えてございます。地元の民間病院とは機能分担を行いながら、現在も五稜病院の医療面での協力をいただいてございます。また、有田管内の行政関係者のみならず、周辺市町村の保健、福祉関係者や地元住民の皆様方にもご協力をいただいてございます。今回の新病院建設に当たっては、特に地元福祉事務所、保健所等との連携を密接にいたしまして、地元のご意見を伺う努力をしてまいりたいと存じます。
 次に、今後の建てかえスケジュールについては、平成十年度実施設計、平成十一年度着工、平成十五年には全面建てかえを終えたいと考えてございます。
 新病院の概要については、現在の病院敷地に、急性期、長期療養、社会復帰の機能別の精神病棟を二百五十床、老人性痴呆疾患治療病棟を五十床計画し、あわせて作業療法、精神科デイケアのための施設を重点配置する予定でございます。また延べ床面積については、現行の一・五倍程度を考えてございます。新病院については、地域に開かれた病院づくりを目指してまいります。地域住民の方々にも病院内で花を自由に楽しんでいただくなど、幾つか具体策を考えてございます。今後の新たな提案については、住民の皆様や患者、家族の方々のご意見を伺ってまいります。
 次に障害者福祉についてでございますが、議員ご指摘のとおり、身体障害者とは、身体障害者福祉法に定められた障害程度等級表に基づき認定され、身体障害者手帳の交付を受けた方と規定されてございます。しかしながら、議員ご指摘のとおり、認定基準に満たない障害により、社会生活上何らかの制約を受けている方々がおられることも承知してございます。国に対しても、今日の社会経済環境の変化に対応し、実情に即した認定について理解を求めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 今後の同和教育の進め方と、その基本的な考え方についてお答えいたします。
 本県における同和教育の推進は、部落差別を取り除く人間を育成することを目的とし、これを進めるに当たっては、現実を直視し、さまざまな立場や考え方の違いを乗り越え、一致点で協力するという原則のもとに、地区児童生徒の学力と進学率の向上、さらにはすべての子供が部落差別を許さないまでの理解と認識に到達することを大きな課題としてきております。その結果、地区児童生徒の学力や進学率が向上し、同和問題に対する認識においても成果をおさめてまいりました。しかし、平成四年度に実施いたしました実態調査等の結果から、学力面あるいは認識面においてまだ課題が残っておることも明らかになっております。地対財特法の期限切れに当たって、国は教育、啓発の大切さを強調し、同和教育を人権教育の重要な柱と位置づけてございます。人権教育の目的は、あらゆる人権侵害の事実を許さない教育であると受けとめており、この点において共通性を持っていると考えます。しかし、同和問題、人権問題、障害者問題等には、またそれぞれの独自性がございます。同和教育を進めるに当たっては、その独自性を十分に踏まえ、また共通性を理解した上での取り組みが必要であると考えます。
 今後とも、同和地区児童生徒の学力の実態、認識の実態等を十分に把握し、県同和教育基本方針に基づいて、学校教育、社会教育が一体となった、実効のある教育、啓発の取り組みを進めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) 以上で、松本貞次君の質問が終了いたしました。

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