平成9年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第五号 平成九年六月二十七日(金曜日)
 午前十時開議
 第一 議案第八十八号から議案第九十八号まで、及び報第一号から報第六号まで(質疑・委員会付託)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第八十八号から議案第九十八号まで、及び報第一号から報第六号まで(質疑・委員会付託)
 二 一般質問
 三 休会決定の件
出 席 議 員(四十六人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川 武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門 三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島 雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 谷 洋 一
 18 番 山 下 直 也
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 上 野 哲 弘
 21 番 堀 本 隆 男
 22 番 宇治田 栄 蔵
 24 番 橋 本 進
 25 番 神 出 政 巳
 26 番 玉 置 公 良
 27 番 松 本 泰 造
 28 番 東 山 昭 久
 29 番 尾 崎 要 二
 30 番 野見山 海
 31 番 木 下 秀 男
 32 番 町 田 亘
 33 番 中 山 豊
 34 番 井 谷 勲
 35 番 鶴 田 至 弘
 36 番 森 正 樹
 37 番 村 岡 キミ子
 38 番 新 田 和 弘
 39 番 平 越 孝 哉
 40 番 森 本 明 雄
 41 番 長 坂 隆 司
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(一人)
 23 番 宗 正 彦
説明のため出席した者
 知 事 西 口 勇
 副知事 山 下 茂
 出納長 高 瀬 芳 彦
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 中 山 次 郎
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 生活文化部長 中 村 協 二
 福祉保健部長 小 西 悟
 商工労働部長 日 根 紀 男
 農林水産部長 平 松 俊 次
 土木部長 長 沢 小太郎
 企業局長 佐 野 萬瑳義
 教育委員会委員長職務代行者
 安 藤 精 一
 教育長 西 川 時千代
 公安委員会委員 中 尾 公 彦
 警察本部長 青 山 幸 恭
 人事委員会委員長
 若 林 弘 澄
 代表監査委員 宮 市 武 彦
 選挙管理委員会委員長
 谷 口 庄 一
 以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 西 畑 彰 久
 次 長 前 晴 夫
 議事課長 佐 竹 欣 司
 議事課副課長 島 光 正
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 川 崎 良 雄
 議事課主事 大 浦 達 司
 総務課長 塩 路 義 和
 調査課長 湊 孝太郎
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時四分開議
○議長(町田 亘君) これより本日の会議を開きます。
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 【日程第一 議案第八十八号から議案第九十八号まで、及び報第一号から報第六号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(町田 亘君) 日程第一、議案第八十八号から議案第九十八号まで、及び地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第一号から報第六号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 45番松本貞次君。
 〔松本貞次君、登壇〕(拍手)
○松本貞次君 おはようございます。
 まず、同和行政について質問をいたします。
 同和問題を取り巻く情勢は、昨年十二月の臨時国会において人権擁護施策推進法が成立され、本年三月には事業法である地対財特法が内容の一部を改正し、五年間の延長がなされました。さらに、人権擁護施策推進法の実効を期すために、審議会が五月二十七日に正式発足し、教育と啓発については二年をめどに、差別事象による被害の救済に関しては五年をめどに、法制化を含む国の方策について審議されることとなっております。こうしたことは、かねてから問題解決にかかわる国の責務を求めてきた立場からすると極めて大きな成果であり、知事を先頭に県当局や県議会、さらには多くの県民のさまざまな取り組みや願いの成果であります。そうしたご努力に対して、この場をおかりして改めて感謝を申し上げます。
 さて、このような国の動向を受けて今非常に大事なことは、和歌山県としての今後の方向を早急に指し示すことであると思います。特に、県が実施した実態調査の集約や市町村から上がってきていると思われる市町村の課題や必要事業を踏まえていくと同時に、人権擁護施策推進法の成立や人権教育の国連十年の推進という視点も含めて、和歌山県の同和問題解決に向けた推進計画を早急にまとめていただきたいと思います。
 同和対策事業二十八年を総括し、今日の部落の生活やニーズの多様化に対応し、現行の事業や制度の改善、新規事業を大胆に活用して、同和対策事業の質的転換を図る必要があると思います。そのためにも、具体的な基本課題として、第一に必要事業を明らかにし、県の実態調査の結果に基づき、部落の完全解放のための和歌山県としての新しい同和対策総合推進計画をつくる必要があると思いますが、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
 また、事業進行や問題解決にかかわって財源の確保が非常に重要であると言えます。延長された現行法の対応が、従来の対応と内容的に若干の違いがあります。従来、同和対策事業に対して特別な財政措置として、三分の二の国庫補助と残りの市町村負担分に起債が適用され、その起債分の八〇%を交付税で補完するということでありました。現行法は、従来どおりの対応をする事業と一般対策に工夫をしてということで、起債や交付税による補完が行われない等の状況になっております。県において市町村の財政負担の軽減のために対策を講じていくということは聞いておりますが、果たしてこれだけで課題を抱えた市町村が積極的に課題解決のために事業を推進できるのか危惧するものであります。また、事業進行について同様のことが言えます。事業についての対応が一般施策の中で対応するとか、工夫してというのは、決して同和対策を打ち切っていくということではなく、従来の特別対策に加えて一般対策を有効に活用することで、同和対策の新たな枠組みを明確にするということでなければならないと考えますが、こうしたことについて担当部長のお考えをお伺いしたいと思います。
 続いて、啓発や同和教育の推進についてお伺いをいたします。
 人権擁護施策推進法の成立や人権教育の国連十年の推進という状況を踏まえて、県では人権啓発を推進するために福祉保健部に担当職員を配置されております。早急に体制づくりが求められるところであります。特に、人権啓発や同和教育についての国の動向は、同和問題を柱にしながらも、他の人権についても積極的に取り組むというもので、決して今後は同和教育より人権教育を進めていくというものではないわけであります。かといって、同和問題と人権問題を対立的にとらえるのは誤りであります。同和問題も人権問題の中に位置づけられます。しかし問題は、総論的に人権ととらえるのではなく、個々の実態や課題を明確にし、それを解決する具体的な取り組みが重要であります。その際に、今日までの同和問題の取り組みを生かし、和歌山県の人権に関する状況を十分に踏まえることであります。こうしたことを人権啓発や同和教育を進めるに当たり十分留意されたいと思いますが、教育長と担当部長のお考えを示していただきたいと思います。
 また、同和教育にかかわって、私の聞くところによると、教育現場では特に今述べたような問題があるように思います。もう課題はないんだ、同和はもう古い、これからは人権教育を進めるんだと言い、同和教育を形骸化させ、これまでの取り組みを埋没させる傾向が強いのではないかと危惧するところであります。子供たちを取り巻く状況にはさまざまな課題があります。いじめ、家庭の崩壊、学力、進路、遊び、そして子供たちの人権意識等々、そうしたことがあるから同和ばかり言っていられないというのでしょうか。私は、先ほど述べたように、そうした子供たちの課題に取り組むことと同和教育を進めていくことは、決して矛盾しないと思います。この際、そうした傾向や学習状況調査の結果を踏まえられ、これからの同和教育の方向についての方針を新たに作成し徹底する必要があると思いますが、教育委員会のお考えを示されたい。
 繰り返しの話になりますが、私は先ほどから新たな同和行政の方向、人権啓発の体制づくり、同和教育の今後の方向について県や教育委員会に方針を策定することを要請しているわけです。ただ、重要なことは、今日までの取り組みの総括、現状や実態ということに加えて、一つは、今の時代背景、全体的な福祉、教育を初めとするあらゆる状況を十分踏まえて研究や議論を積み重ねて結果を出すべきであります。さらに、当面取り組んでいかなくてはならないことと、長期的な展望や方向を明確に分けることが必要であると考えるものであります。そういったことも重ねて要請し、答弁を求めたいと思います。
 次に、県立五稜病院の再建について質問をいたします。
 私が県会議員に当選させていただいたのが昭和六十二年であります。地元ということで、五稜病院については何度となく議論に参加をしてまいりました。私は、県民すべての人の人権を尊重することが極めて重要であると考えています。このことは、病院づくりについても大切であると主張してまいりました。
 昭和二十七年開院以来、半世紀近くが経過しており、この間、地元住民の精神障害者の方々に対する理解度、協力度は非常に高いものがあります。私自身、深く頭の下がる思いがいたします。また、現在の病棟等の建物は昭和四十年代に建てかえたものであります。エレベーターがないこと、壁面にクラックがあったり、地震や火災の際、避難の点でも心配があると聞き及んでおります。そうした中、平成三年に五稜病院運営検討委員会、平成五年七月に五稜病院整備委員会及び分科会を設け、特に応急体制、作業療法及びデイケア、老人性痴呆、経営改善等の項目を中心に七つの分科会で検討がなされ、平成七年七月には専門家に五稜病院整備計画を委託し、平成八年度では病院敷地について地質調査委託、用地測量委託を、さらに本年は基本設計予算化と建設に向けて順調に進んでおります。
 県立五稜病院のあり方は、県立病院として地域における保健医療の向上と指導的な役割を果たすことにあると思う。新病院整備について、現状で何を行わねばならないか、何ができるか、郡内の医師会、市町村との連携をどうするか、地元の声が、気持ちが一番大切であると思います。
 精神保健医療については、今、変革の時期を迎えております。病院内での入院治療が中心であった時代から、社会復帰、社会参加を促進することが中心となってきております。また、精神障害者の福祉施策の充実が求められております。和歌山県の現状として、県内精神病院の平均在院日数が平成七年で七百二十一日と全国で一番長く、年間の新入院患者数は千三百五十二人と少ない。このことは、本県での入院中心の医療が行われてきたことを指し示すものであります。入院が長期化し、患者が適切な医療をその時期時期に受けにくい状況を生み出しているのではないか。社会復帰促進のためには、こうした入院中心の医療から、社会に適用するため、生活習慣を身につけていくリハビリ中心の医療が大切になってくるわけであります。五稜病院が作業療法を平成八年度から実施し、また精神科デイケアの実施を検討しているということであるが、社会復帰対策をどう進めていくかが重要であります。また、精神科デイケアと保健所デイケアとの役割分担をどう図るのか、そのことも大変重要であります。
 また、本県は、全国にも増して高齢化が進行しております。高齢者が多くなってくると痴呆性老人もふえてくるわけであります。国の高齢者関係三審議会の平成六年度の痴呆性老人対策に関する検討会報告書で、今後の重点的な推進を要する施策として、一点目は、痴呆についての理解を促進するための意識啓発と情報の提供を充実する、二点目は、痴呆性症状をできるだけ早期に発見し、早期に対応する体制を確立する、三点目は、痴呆性老人及び家族が必要なときに必要なサービスを利用できる体制を整備する、四点目は、痴呆についての調査研究を推進する、五点目は、痴呆性老人の権利を擁護する対策を講じるという五点を挙げております。
 現在、老人性痴呆対策として老人性痴呆疾患センターが県内に三カ所あり、五稜病院も開設しているが、現状ではセンターの役割を果たせるのか、郡内の民間病院、市町村の福祉関係などとの連携なしでは考えられないと思うが、どうか。
 五稜病院は公営企業であります。健全経営を行うことが、よりよい医療サービスに結びつく。こうした公営企業としての経済性についても、もっと多くの人に理解してもらえるよう説明が必要と考えるが、どうか。
 今回、私にも数多くの人から相談がありました。「今度、五稜病院が新設されるというが、どんなんよ」「今の敷地で建てるんかい」「どれぐらい大きくなるんよ」「総合病院になるんかい」等々であります。五稜病院の有田での歴史は五十年近くになります。数多くの人々の熱意で今日の五稜病院が存在しており、新しい五稜病院の早期建設を多くの郡民が待ち望んでいる現状であります。一三六の政策を掲げ、女性一〇〇人委員会をつくり、県民の声を十分反映さすということが西口県政であります。もっと新しい五稜病院のあり方について、有田郡内の民間病院の方々や市町村、とりわけ地元県事務所、保健所との連携を密にしていかなければならないと考えるが、どうか。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 県下の精神医療の中で五稜病院が担うべき中核病院としての位置づけ、使命はどのようなものか。
 次に、福祉保健部長にお伺いをいたします。
 老朽化が著しいと聞くが現状はどうか、五稜病院における精神障害者の医療対策、社会復帰対策をどう考えるか、老人性痴呆対策の中で五稜病院の役割はどのようなものか、公営企業としての経済性をどう考えるか、地域医療機関としての五稜病院のあり方として地元関係機関との連携をどうしていくのか、建てかえのスケジュール、新病院の概要はどのようなものか、以上についてご答弁をお願いいたします。
 最後に、障害者福祉について質問をいたします。
 先日、私の手元に一通の手紙が届きました。その内容は、「私は、五十歳の土木作業員です。五年ほど前まで大型のダンプの運転手をしておりました。小石が右目に当たる事故で一年ほど入退院を繰り返し、治療しましたが、現在は右目が失明し、右目の視力は〇・〇一程度です。大型免許の更新もすることができず、現在、土木作業をしております。 人の勧めで身体障害者の手帳の交付の手続をいたしました。医師の診断書も添えて提出をいたしましたが、どうしても交付の対象になりません」。そういう内容の手紙です。
 今、身体障害者手帳は一級から六級に区分されて交付されております。知的障害者の方には療育手帳A1、A2、B1、B2等がありますが、その身体障害者手帳が何で交付されるのか。健常者よりはるかに不自由を感じる、そのことを行政の力で何とか補いたい、そのためだと思うわけであります。片方の目が全然見えない人、聴力にしても、片方が全然聞こえない人、その人たちが視覚障害、聴覚障害の等級の該当者にならない。こういった人たちが数多く存在することを知りました。
 確かに、身体障害者福祉法に基づく施行規則、医者の診断、社会福祉事務所の判断、また身体障害者、障害程度等級表の区分等々もありますが、その視覚障害六級の部分では、「一眼の視力が〇・〇二以下、他眼の視力が〇・六以下のもので、両眼の視力の和が〇・二を超えるもの」、こういうふうに規定をされております。多分この当事者は、右目がゼロであっても、左眼の視力が〇・六を超えるのでしょう。
 また、例えば指、人さし指であろうが、中指であろうが、第一関節であろうが、第二関節であろうが、失えばたちまち日常生活に不自由を感じます。でも、この身体障害者障害程度等級表の内容は、ほとんど親指、第二関節等々と規定をされております。
 私は、今、福祉とは何か、非常に疑問を抱いております。確かに、我々行政に携わる者として、どこかで規定を定めなくてはならないことは十分理解をいたしますが、今現在、多くの県民の中でこうした福祉の谷間に身を置く数多くの障害者がいることも現実であります。この当事者も、ちょっとした事故で右目を失明し、大きく人生は変わりました。福祉の谷間に身を置く数多くの障害者の現状と和歌山県行政として、また国に対しての対応をも含め、担当部長のお考えをお聞かせ願いと思います。
 以上で、質問を終わります。
○議長(町田 亘君) ただいまの松本貞次君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 松本議員にお答えをいたします。
 まず、同和対策についてであります。
 新しい同和対策総合推進計画の策定についてでございますが、ご承知のように、昨年来、国においては、同和問題の早期解決を図るために、新たな段階に対応した諸法令が整備をされたところでございます。このような国の動向や本県で実施した実態調査結果等から明らかになった同和問題解決に向けた主な課題といたしまして、一つは、依然として存在する差別意識の解消に向けた啓発・教育の一層の推進、もう一つは、教育・就労・産業の面でなお存在している格差の是正などがございます。なお、これらの課題についても市町村間で異なっておるわけであります。
 こうした本県の現状を踏まえて策定した今後の同和対策に関する基本方針に基づいて、平成九年度以降の同和対策事業の位置づけを図っているところでございます。新たな計画については、策定に向けて取り組んでいきたいと考えております。
 次に、五稜病院についてであります。
 五稜病院の開設、運営については、今日まで地元住民の皆様方に多大なるご協力とご理解をいただいてまいりました。この場をおかりして、厚くお礼を申し上げたいと存じます。
 ご承知のように五稜病院は、精神保健福祉法に基づいて設置された病院でございまして、本県の精神障害者の医療及び保護のための施設として重要な位置を占めておるわけであります。このようなことから、重度の処遇困難患者の治療など民間精神病院で対応しがたい特殊高度医療や老人性痴呆疾患等の対策を実施していく必要があります。また、精神科救急の体制づくり、精神科デイケアの実施に向けて検討しているところであります。今年度、基本設計を予算化したところでございますが、この建てかえを機に、県内の中核精神病院として一層の機能の充実を図りたいと考えております。さらに、このような専門性を生かしながら、議員が述べておられるように、精神障害者の人権尊重や社会的偏見の解消を図るために、病院と地域との交流を促進し、今後とも地域に開かれた病院としての方向を目指してまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 松本議員にお答えをいたします。
 まず、同和対策についてでございます。
 市町村の財政負担の軽減については、先ほど知事がお答えをいたしましたとおり、今後の同和対策に関する基本方針に基づき、平成九年度以降の同和対策事業の位置づけを図ったところであり、国費対象事業及びそれを補完する県単独事業等、必要な事業については当分の間継続してまいります。
 なお、一部地域に残されている物的事業で、従来の国の財政措置が講じられない事業、すなわち一般対策に工夫を加える事業については、市町村の財政負担軽減を図る観点から、三年間に限り六分の一を負担する等、早期完了に努めるとともに、一般対策の活用を図りながら同和問題の解決に努めてまいります。
 次に、人権啓発についてでございます。
 「二十一世紀は人権の世紀」と言われるように、すべての人の人権が尊重される社会の実現を目指し、人権啓発を積極的に推進することが重要でございます。人権教育のための国連十年等に見られる人権尊重に関する国際的な潮流や人種差別撤廃条約の批准、人権擁護施策推進法の制定などの国内の動向を踏まえ、本県といたしましても人権教育、人権啓発について積極的に取り組んでいかなければならないと考えてございます。本年四月に福祉保健部に担当職員を配置し、国の動きを見きわめながら、推進体制の整備や県としての行動計画の策定について検討を行っているところでございます。議員ご指摘のとおり、今後の取り組みにおいては、同和問題を人権問題の重要な柱として位置づけるとともに、さまざまな人権問題について現状と課題を明らかにするという視点が重要であると考えてございます。
 次に、県立病院の再建についてでございます。
 議員ご質問の六点についてお答えをいたします。五稜病院施設の現況としては、議員ご指摘のとおり、クラックが多数存在することやスラブの落下で大規模改修を行った事例もございます。エレベーターの設置や耐震構造の強化等は、現施設の構造上は困難であり、また近年の精神病院施設には、治療面、看護面から豊かな空間の保有が必要となってきてございます。
 次に五稜病院の医療対策及び社会復帰対策としては、精神病棟については、急性期の治療を要する方、入院治療の継続が必要な方、社会復帰間近な方、それぞれに適切に対応できるよう機能別に編成をいたします。五稜病院の平均在院日数は、平成七年で四百六十八日、平成八年で三百八十日となっており、入院患者の状況は短期に入退院される方と長期に在院される方の二極分化の傾向がございます。これに対応した機能別の病棟編成により、その症状に適した医療を提供できるものと考えてございます。また、特に医療対策の中で、措置患者を含め、急を要する事例への対応を検討しております。現在、五稜病院は精神科応急を平成七年十月から実施しておりますが、精神科救急について対応できる体制を整備してまいります。
 社会復帰対策としては、現在、入院患者の作業療法を実施し、また外来患者の精神科デイケアを実施すべく検討しておりますが、施設的な面での問題があり、建てかえと同時に実施すべく体制づくりをしてまいります。これらによりまして、その後の対応として保健所デイケア、社会復帰施設との連携を図れるものと考えてございます。
 次に老人性痴呆対策として、相談、鑑別診断、救急の対応をするための老人性痴呆疾患センターを平成七年九月から開設してございます。その運営につきましては、五稜病院老人性痴呆疾患センター運営協議会で、有田管内市町の保健福祉関係者も構成員となっていただいて進めております。また、相談件数については月二十件程度、その中で入院・通院ケースが月五件程度あり、その現状から老人性痴呆対策の必要性が重要と認識しております。今後、県内で専門的治療を行う施設を確保する必要性があることから、五稜病院に老人性痴呆疾患治療病棟を設け、精神症状や問題行動が特に著しいケースでの短期集中的な精神科的治療を担っていくこととしてございます。
 次に五稜病院の経済性については、公営企業としての性格上十分認識しており、従来、経営改善に取り組んでいるところでございます。ただ、県立精神病院としての高度特殊医療や法設置病院として本来担わなければならない不採算部門を実施しなければならないこともございます。このことから、一般会計からの負担金、補助金について基準を定め、平成七年度予算から実施し、収支差補助の明確化を図ったところでございます。今後とも、より一層の経営改善に取り組むとともに、議員ご指摘のとおり、もっと多くの方々にご理解願えるよう努力してまいりたいと存じます。
 次に、地域医療機関としての五稜病院のあり方についてでございます。
 五稜病院としても、地元関係機関との連携については非常に重要なことであると考えてございます。地元の民間病院とは機能分担を行いながら、現在も五稜病院の医療面での協力をいただいてございます。また、有田管内の行政関係者のみならず、周辺市町村の保健、福祉関係者や地元住民の皆様方にもご協力をいただいてございます。今回の新病院建設に当たっては、特に地元福祉事務所、保健所等との連携を密接にいたしまして、地元のご意見を伺う努力をしてまいりたいと存じます。
 次に、今後の建てかえスケジュールについては、平成十年度実施設計、平成十一年度着工、平成十五年には全面建てかえを終えたいと考えてございます。
 新病院の概要については、現在の病院敷地に、急性期、長期療養、社会復帰の機能別の精神病棟を二百五十床、老人性痴呆疾患治療病棟を五十床計画し、あわせて作業療法、精神科デイケアのための施設を重点配置する予定でございます。また延べ床面積については、現行の一・五倍程度を考えてございます。新病院については、地域に開かれた病院づくりを目指してまいります。地域住民の方々にも病院内で花を自由に楽しんでいただくなど、幾つか具体策を考えてございます。今後の新たな提案については、住民の皆様や患者、家族の方々のご意見を伺ってまいります。
 次に障害者福祉についてでございますが、議員ご指摘のとおり、身体障害者とは、身体障害者福祉法に定められた障害程度等級表に基づき認定され、身体障害者手帳の交付を受けた方と規定されてございます。しかしながら、議員ご指摘のとおり、認定基準に満たない障害により、社会生活上何らかの制約を受けている方々がおられることも承知してございます。国に対しても、今日の社会経済環境の変化に対応し、実情に即した認定について理解を求めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 今後の同和教育の進め方と、その基本的な考え方についてお答えいたします。
 本県における同和教育の推進は、部落差別を取り除く人間を育成することを目的とし、これを進めるに当たっては、現実を直視し、さまざまな立場や考え方の違いを乗り越え、一致点で協力するという原則のもとに、地区児童生徒の学力と進学率の向上、さらにはすべての子供が部落差別を許さないまでの理解と認識に到達することを大きな課題としてきております。その結果、地区児童生徒の学力や進学率が向上し、同和問題に対する認識においても成果をおさめてまいりました。しかし、平成四年度に実施いたしました実態調査等の結果から、学力面あるいは認識面においてまだ課題が残っておることも明らかになっております。地対財特法の期限切れに当たって、国は教育、啓発の大切さを強調し、同和教育を人権教育の重要な柱と位置づけてございます。人権教育の目的は、あらゆる人権侵害の事実を許さない教育であると受けとめており、この点において共通性を持っていると考えます。しかし、同和問題、人権問題、障害者問題等には、またそれぞれの独自性がございます。同和教育を進めるに当たっては、その独自性を十分に踏まえ、また共通性を理解した上での取り組みが必要であると考えます。
 今後とも、同和地区児童生徒の学力の実態、認識の実態等を十分に把握し、県同和教育基本方針に基づいて、学校教育、社会教育が一体となった、実効のある教育、啓発の取り組みを進めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) 以上で、松本貞次君の質問が終了いたしました。
○議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 21番堀本隆男君。
 〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 議長のお許しをいただきまして、今議会のしんがりとして順次質問に入らせていただきます。
 まず最初に、知事初め県当局、国及び近畿地方建設局、関係自治体の皆さんに厚くお礼を申し上げます。国道四十二号日置川道路は、日置川大橋からすさみ町朝来間七・二キロメートルが三月二十六日開通いたしました。構想から十有余年、待望久しいだけに喜びもまことに大きい。両町民だけでなく、紀南の各市町村を初め本県動脈の整備を喜ぶ県内、県外の評価も高く、私も週に何回か通るたびに、あの難所がと喜んでおる一人でございます。ありがとうございました。
 さて、「泣きもしなければ笑いもしない。何も主張しない県会議員に魅力はない。県当局に真剣勝負で切り込んでこそ緊張感も生まれ、県政も進む」──ある日、県民の方からこのような指摘を受けたのであります。「議政壇上でみずから信ずるところを主張すべきは議員の当然の責務であり、県議会本会議は活発に論戦を行っており、多々弁じているところだ」と反論いたしました。西口県政が光っている割に県議会がおとなしいということのようでありました。こうした声に触発されての一般質問ではありませんが、県政を思うがゆえの、やや辛口の質問になろうかと思いますが、どうか寛容に受けとめていただきたいのであります。
 和歌山県はあかん、近畿のおまけ、そうした自己否定の発言に対し、西口知事は敢然と、和歌山県はすばらしい県だ、誇りを持とうと訴え、自然、文化、歴史、伝統、県民性、いずれをとっても胸の張れる県である、もっと自信を持とうと提唱され、ようやく県民の皆さんに共感と理解が広まってまいりました。新県民運動「感動わかやま」も大きな輪に広がるものと思います。私も、和歌山県に誇りを持つ県民の一人であります。紀南をこよなく愛しております。私の基本姿勢は「ラブ和歌山」であります。その上で私の所信を述べさせていただきます。
 西口知事は、「和歌山県に誇りを持とう。そして、和歌山県に埋もれている多くの資源を掘り起こし、和歌山県の活性化に役立てよう。可能性を引き出そう」と訴えられました。ここがスタートであります。何もしないで誇りだけ持っていても、現状の和歌山県は何も変わりません。西口知事が危機感さえにじませて、知事就任後いち早く訴えられたのは県職員の意識改革であります。それをわかりやすく明示したのが三S運動、つまりサービス・シャープ・スピードであります。和歌山県をかつてのように全国の中位に引き上げたい、それが天の声、県民の声であり、それを的確に受けとめ、県みずからが自己改革をするとアピールされた知事の訴えは、多くの県民に受けとめられたのであります。その知事の訴えが県職員の皆さんにどのように受けとめられ、どのような成果が出てきているのか、お尋ねいたします。一年八カ月余りで各般にわたる成果を具体的にと申す方が無理ではありますが、包括的なご感想で結構でございます。
 さて、先月末に上京して、ある経済グループの会合に出席しました。主宰者が、日本版ビッグバンについて次のように語っておられました。
 これは大変な烈震であり、大変革であります。明治維新以上です。この国は、いつも巨大な外圧がなければ変わらない。みずからの手で改革のできない民族だ。黒船が来航して近代明治政府ができた。次は終戦で、戦後民主主義国家が誕生した。今回、三回目の大変革は、アメリカが金融、証券、保険の完全自由化を求め、一ドル八十円という円高を演じて日本経済を恐怖に陥らせ、開国を迫った。内容は、アメリカと全く同じシステムにせよということであります。日本政府は、ビッグバンを実現するためには経済構造改革、行政改革、財政改革等、六つの改革を同時にやらなければならなくなった。この先どうなるのか、経済界、企業人はかたずをのんで見詰めているのが東京の表情だ。まず、ビッグバンで千二百兆円の個人貯蓄がどう動くのか。外債買いに走るのか、スイスを初め世界の銀行に吸い取られるのか。日本経済はどうなるのか。確実に言えることは、五年以内に大手都市銀行、大手証券、大手保険会社のトップの座にかなりの数のアメリカ人社長が誕生していることでありましょう。巨大マネーが流入する背景と金融行政の大失敗の連続と金融機関などの不透明さは、もはや国際的な監視の目がこれを許さなくなるのであります。同時にウィンブルドン現象、世界一のテニス大会に肝心の英国選手が登場できないという英国のビッグバンの結果、英国の金融業が次々に消えてしまった同じ現象が起こると予測しているわけであります。次に、財政改革の衝撃が大きい。公共事業の大幅削減は、日本経済と景気にダメージを与え、利益誘導型政治に少なからず影響を与えるであろう。財政規模は徴税力の範囲を超えて膨張しており、早晩の帰結であるが、来年度以降に地方財政はピンチを迎える。さらに、政と官の関係も中央省庁の再編で首相官邸の強化と結びつくならば、今後の政策過程に大きな変化があらわれる。しかし、これも時代の潮流と受けとめ、チャンスとしてあらゆる知恵を絞って積極的に迎え撃つのも一つの活路となるであろう。
 以上のような、たくましいお話をされておりましたが、これも一つの見方であります。ビッグバンと六大改革について、知事のご所見を承りたい。
 ご承知のように、二十一世紀の世界経済の展望の中で、日本経済はアジア、中国等の急速で巨大な発展に押され、あらゆる分野においてシェアの後退を余儀なくされます。つまり、パイも成長率も低くなる。今や、日本の成長の限界がわかるようになってきました。これからは、もう大きくならないパイをめぐって地域間の争奪戦がまことに熾烈になってまいるものと思われます。政府に多くを頼れなくなった場合、地方自治体はどんな政策展開を行い、多様化する住民ニーズにこたえていくのか。
 さて、去る五月、地方自治経営学会が開催されましたが、これは学者、研究者、国会議員、府県知事、市町村長、国の行政機関の職員、都道府県、市町村の議会議員や職員等から成る自治経営の理論と実務を学際サイドから研究する学会で、六百余人が出席して本音の議論を行いました。今回のテーマは、「分散型社会に向けて・地方分権・受け皿整備・行政改革」でありました。その席上、ある自治体の首長がパネラーの一人として講演されましたが、大変参考になる話を伺うことができましたので、ご紹介させていただきます。
 主なポイントは、次の五つであります。一つ、意識改革ということで、さわやか運動の提唱であります。二つ、事務事業評価システムの導入であります。三つ、組織のシステム改革であります。四つ、マトリックス予算の導入であります。五つ、「天地の公道に基づくべし」ということでありました。
 まず一番目のさわやか運動でありますが、「サービス・わかりやすさ・やる気・改革」、これらの頭文字をとってさわやか運動とされております。また、職員の意識改革の一環として職員の一言提案を募集したところ、四千七十六件の応募があって、応募者全員に返事を書くとともに、十八億円の予算にも反映されたということです。二番目は事務事業評価システムの導入でありますが、システムを変えないと意識改革が進まないということで、さわやか運動の中核にこの評価システムを導入したということです。このシステムの一番の課題は、目的評価表という一枚の共通様式を作成することです。県の事務事業三千二百全部にこの目的評価表をつけさせたということでありました。費用対効果、プロセスあるいは数値目標を入れさせた結果、三百から四百件のスクラップ・アンド・ビルドができたということです。また、長期総合計画の策定に当たっても目的評価表の考え方を生かすそうであります。三番目は組織のシステム改革でありますが、平成十年四月に抜本的な組織改革をやるそうでありますが、あえて組織改革と言わずにシステム改革と言っております。部の存在についても、ゼロベースから議論してもらわないとだめだということ。国においても省庁を半分にするという議論になっているわけだから、県でも各部の存在そのものから、生活者の立場でシステムをつくり変えていこうということでありました。四番目はマトリックス予算の導入です。既に新聞等で紹介されておりますが、縦割りの非常に強い壁の中で横割り予算を組んだわけです。文化、環境、人権など平成八年度で十九項目、平成九年度で二十二項目の格子型予算ということでマトリックス予算を組みました。同時に、長期総合計画も横割り重点策として九項目を入れているようであります。五番目は「天地の公道に基づくべし」、これは五箇条のご誓文でありますが、情報公開を前提にした行政システム改革を進める、そしてアカウンタビリティー、県民に説明する責任を果たさなければならないわけでありますが、社会の正義は県庁の組織にとってどうかというのではなくて、公の意思に沿ってやるということであります。大きな転換期にあって、これらの新しいシステム導入には哲学が必要であります。基本哲学は、生活者を基点として県政を推進するということ、そしてそれを実行するためには分権自立が必要ということ、そしてその進め方には公開参加に基づくことが大事であります。
 以上、簡単に内容をご紹介いたしましたが、今こそ自治の本質を問う改革に突き進むときであると強く認識した次第であります。
 当初県議会の終了した三月下旬のこと、中山総務部長は、「平成九年度予算は、いろいろやりくりの中で知事の意向の積極予算が組めた。しかし、来年度予算で財源不足は深刻になりそうだ」と語っておりましたが、さらに追い打ちをかけられる事態となってまいりました。政府・与党の財政構造改革会議は、六月三日の総会で分野ごとの歳出削減の数値目標を盛り込んだ推進方策を決定しました。さらに、六月十六日には財政構造改革法案の骨子が決定され、詳しい内容は新聞報道のとおりであります。二〇〇三年までに財政赤字を国内総生産の三%以内とする原則を示し、平成十年度予算の一般歳出を九年度と比べマイナスとすることを明記しております。削減率は〇・五%となる見通しです。具体的には、公共投資基本計画(九五年から二〇〇四年)を三年間延長し、平成十年度は前年比七%の削減、平成十二年度まで一五%削減するとしております。社会保障費は平成十年度三千億円増に圧縮し、まことに厳しい内容であります。
 我々地方自治体について、地方財政は再建目標期間を通じた地方一般歳出の伸び率を名目成長率以下とし、平成十年度の地方財政計画では、地方単独事業を前年度比マイナスとすることなどにより厳しく歳出の抑制を図る、地方一般歳出を対前年度比減とすることを目指すとしております。また、当面の地方交付税の算定や地方債の配分に当たって、歳出抑制を促すような措置を講ずることとされております。目下、各都道府県は危機感を募らせております。中央への要望合戦が早くも始まっております。国の財政構造改革について知事のご所見は、先日、神出議員の質問でお伺いいたしたところであります。
 政府・与党は、平成十年度予算編成の基本となる新たな要求ルールを例年より一カ月早い七月上旬に決める方針を固め、従来の一律削減を基本とする概算要求基準(シーリング)を廃止し、歳出削減を前提とした個別分野の歳出上限を設けると報道されております。東京都の財源不足は三千百億円に達する見込みで、例年より一カ月半前倒しして六月中旬から予算編成に着手し、歳出削減に向けて施策を総点検する。編成方針で歳出削減目標額を明確に定め、各局で九月までに全事業を対象に自己責任を求める手法も取り入れて削減に取り組み、公共事業のコスト削減も発表しております。
 そこで、総務部長にお尋ねいたします。
 平成十年度予算編成について、仮に前年度比マイナス〇・五%の歳出削減の場合、本県の財源不足はどの程度になるのかであります。特に心配されるのは、県単独事業費は対前年度比マイナス〇・五%の予算が組めるのかどうかであります。もっとも、本県も公共工事のコスト削減一〇%を目指し対策部会を設置しておりますが、これで対応できるのかどうか。
 さらに要望したいのは、建設省経済局監修の「公共工事着工統計年度報」を経年ごとに見て、総工事費評価額──これは国、公団、府県、市町村を加えての額でございますが──全国のランクは最も低い四、五県のグループに絶えず属しており、まことに残念な思いであります。土木部、農林水産部にもっと頑張ってほしい。財政構造改革で公共事業費の削減七%とされておりますが、対前年伸び率予算の長年の不足分是正を強く訴え、本県は削減ゼロの予算獲得を目指してほしいのであります。来年度予算編成の方針はまだ先のようでありますが、思い切ったスクラップ・アンド・ビルド、できればゼロベース予算を組み立てていただきたい。これは要望であります。
 県長期総合計画について、企画部長にお尋ねします。
 政府の財政構造改革会議の決定を受けて、六月中に閣議決定とされていた国の第五次全国総合計画が九月以降にずれ込むこととなりました。仄聞するところ、来年度予算編成後の年明けになると見られているが、どうか。
 財政構造改革会議の推進方策は、公共投資基本計画の計画期間の三年延長や、二〇〇〇年までの集中期間や、財政再建目標年次である二〇〇三年までの期間の制約を大きく受けざるを得ません。さらに、ビッグバンや経済構造改革など六大改革を受け、日本のシステムが大きく変わろうとしております。こうした大改革の潮流は、国民生活に大きく影響を及ぼします。本県長期総合計画は、これまで国の全総計画に連動して策定してきた経緯があり、既に中間報告も発表され、現在四つの専門委員会で協議を重ねていると伺っています。本県の第五次の長期総合計画は本年十二月を目途に策定予定とのことでありますが、予定に変更がないかどうか、お伺いしたい。
 さて、私どもが携わった時代の長期総合計画づくりは、事業計画には必ず財政計画を求められたのであります。歳入及び歳出に係る十カ年程度の収支表であります。これをつくらないと事業実現の担保がない、絵にかいたもちだと、徹底して指導を受けました。それでも、右肩上がりの時代の長計は財政計画がつくれたのであります。お尋ねしたいのは、今回の長期総合計画では財政計画が検討されているのかどうか、お伺いいたします。
 政府は、財政構造改革法案骨子を決定し、公共投資基本計画の三年延長やその他の諸計画を見直し、歳出削減の数値目標まで設定するので、大蔵省の策定する財政計画や自治省の策定する地方財政計画は、これまでにないフィックスされた数値が出てまいりそうであります。したがって、県レベルでも六、七年の中期財政計画は策定可能であり、政府からも策定を求められるものと思われますが、いかがでしょうか。
 本県第五次長計の中間報告を読んで、いろいろと感じることが多いのであります。先ほども述べましたが、二十一世紀の日本は、アジア諸国などの台頭により日本経済は相対的に後退する。世界経済の一七%を占める力も、その成長力も、パイも小さくなっていく。つまり、日本の成長の限界がわかり、右肩下がりの経済社会になる中で、次は日本国内の中での競争が激しくなる。つまり、地域間競争であります。これまでの長期のスパンで見た本県経済の成長は、日本経済成長の軌跡と比べ余りにも乖離が著しい。つまり、一人当たり県民所得の全国順位は後退を続け、目下四十二位という姿であります。新規企業の立地数よりも廃業する企業の数が多い本県では、いかんともいたし方がない。
 次に、フレームであります。人口の将来推計は若干多いと思っていますが、先日発表のあった厚生省社会保障人口問題研究所の本県人口は、二〇二五年には百万台を割り九十八万人となっております。いささか寂しい。修正のお考えはないかどうか。
 県内総生産についてフレームは、平成十二年まで二・七%の平均増加率を見込んでいますが、昨今の諸般の環境の中では高過ぎるのではないかと思われます。いかがでありますか。
 さらに、目標達成のための戦略的構想の中に、観光、国際観光の位置づけがないのはなぜでありますか。大阪市は、戦略プロジェクトの第一に集客装置を挙げております。本県も、観光施設、集客装置の整備の力点が欲しいのであります。基本計画の中に体系化されてはいますが、いかがでありましょうか。
 私どもが県庁で育った時代は、国を挙げて高度経済成長を求めました。右肩上がりの県内総生産、県人口の増加は当然の計画でありました。今もなお、私は企業誘致と雇用の拡大を求め続けております。しかし、日本経済の成熟化現象の中で大きな成長は見込めなくなりました。この現実を踏まえた県土づくりも、また大切であります。バラ色の発展構想よりも、今住んでいる人、将来住むであろう人々の個々の豊かさ、安全、住みよさを追求すべきであろうかと考えが揺らぎます。生産者サイドから生活者サイドへ、ハードからソフトへ、確実に時代が変わっていくものと思われます。「二十一世紀は和歌山の時代」の中身がますます問われてまいります。
 次に、国道四十二号日置川・白浜間の整備についてお尋ねいたします。
 国道四十二号(田辺・新宮)改良促進協議会──会長は下川副議長であります──が去る六月九日、通常総会を開き、田辺市、西牟婁郡、新宮市、東牟婁郡の各市町村長と各議長、県会議員が一堂に会して協議いたしました。席上、太地町長は、「今や、県庁から最も遠い町になった。県では二時間構想を言ってくれるが、現実は三時間三十分。高速道路は、あと二十年待っても太地町までやってこない。とにかく、曲がりくねった国道四十二号の難所を解消して、時間短縮に全力を挙げてほしい。観光産業のみで生きている町の実情をわかってほしい」と、建設省紀南工事事務所長に訴えておりました。紀南のうちでも最南端に位置する日置川町、すさみ町、串本町、古座川町、古座町、太地町は、人口減少と高齢化、低所得にあえいでいると言っても過言ではありません。原因が交通網の整備のおくれにあることは、ご承知のとおりであります。一方、田辺市に隣接して交通網の整備の整ってきた上富田町、白浜町は、人口も増加し、所得も向上してまいりました。
 例えば、「個人所得指標」という図書があります。全国の市町村ごとに人口と所得を全国平均で比べた、町村ごとの所得ウエートを表出しております。一九八八年の所得指標で、上富田町が六〇・五に対し、串本町は六七・五──これは全国を一〇〇としたときのウエートであります。これが八年後の一九九六年では、上富田町が七三と大きく上がり、串本町は六四・五とダウンしております。この八年間に、上富田町は人口が八百七十三人増加し、串本町は千三百五十六人も減少しております。最南端六町はいずれも減少であり、彼我の差は余りにも大き過ぎます。
 国道四十二号田辺・新宮間の最大の難所であった日置川・すさみ間は、冒頭にお礼申し上げたように開通いたしました。続く難所は、日置川・白浜間であります。日置川大橋から白浜町一目坂トンネルまで直線化すると約九キロ、現道は約十五キロで約二十分かかります。これをバイパス化すると、十分は短縮できると考えられます。県は、全力を挙げてこれに取り組んでほしい。でき得ることであれば、国道三百十一号が完成したら、その資金とエネルギーを日置白浜バイパスに注いでほしいのであります。現在、日置川町、すさみ町の両町民は言うに及ばず、南端六町に住む県民は日置・白浜間バイパス実現を切なる思いで待ち望んでいるところであります。この願いを、ぜひ知事さん、受けとめてほしいのであります。それは、和歌山が近くなる悲願であります。県内の国道、主要県道の主な直線化工事はほとんど終わっているようです。国道四十二号線は本県の大動脈であります。最近、京阪神のバス会社のドライバーたちの間で、「白浜までは行くが、そこから南へは行きたくない。客に『バスに酔った』としかられるから嫌だ」と、乗車拒否があると聞いております。観光産業で生きる紀南にとっては致命的な話であります。
 知事にお尋ねいたします。この間の工事の見通しをお教えいただきたい。
 最後になりましたが、県経営合理化協会主催の講演会が去る五月三十日、和歌山市で開かれました。講師はソーケンマネジメント社長の青山幸男氏で、テーマは「大転換期に勝つ中堅・中小企業成功の秘訣」でありました。この中で、ベンチャービジネス、ニュービジネスの取り組みの熱心な県について、極めて伸びている県、まずまず頑張っている県、おくれている県はと、全国を三分の一ずつのグループに分け、和歌山県はおくれていると指摘しております。これは、和歌山県の中小企業創造活動促進法に基づく認定の数が少ないのか、県下の中小企業者の総数に対して少ないのか、応募する意欲のある中小企業者が少ないのか、県当局の指導等に問題があっておくれているか、理由は言っておりません。いずれにしても、通産省の指導を受けて全国の都道府県を回っている講師の話に間違いがなければ、本県はおくれているということです。
 そこで、商工労働部長にお尋ねいたします。
 他府県に比べ本県がおくれているのかどうか、もしおくれているとするなら一体どこに問題があるのか、お伺いいたします。
 昨年九月県議会において、県産業活性化ビジョンについて、二十一世紀に向かってよく描けていると評価し、これをいかに実現していくかが問題であると質問いたしましたところ、商工労働部長の答弁は、「アクションプログラムについても、現在検討中でございまして、早急に策定してまいりたいと考えてございます」でありました。ついては、その策定状況及び事業実施への取り組みについてお教え願いたい。
 ビジョンがあっても実施計画がなければ、事業はなかなか展開しない。予算面の制約とかスタッフの不足とかいろいろな問題があると思いますが、これをクリアしなければ本県は浮上し切れない。アクションプログラムをつくるという困難な作業を通して本県の問題点も見えてくる。県内の企業家も、具体的なマニュアルが欲しいのであります。去年、近畿通産局の方に、和歌山県の産業活性化ビジョン策定の経過の中で、もっと和歌山県の地域を見詰めた、地域に根差したビジョンをかくようにアドバイスしたとのお話も聞いております。ですから私は、アクションプログラムにこだわり、地域に根差した事業計画の策定に期待を寄せているわけであります。特に、他府県にない、関空を生かした企業群の育成を戦略的に取り上げてほしい。
 最近、福祉のまちづくり条例設計マニュアルの評価が高い。これは、有能な県職員各位の努力のたまものと思います。さらに、県下の各地でリゾートホテル建設の機運が高まってまいりました。長年にわたる交通基盤整備の努力の成果と抜群の自然景観が評価されたものと思います。ようやくフォローの風が吹き始めてきたようです。しかし、大多数の県民は、景気はよくない、過疎地域はますます落ち込みが厳しいと閉塞感に陥っております。知事が幾ら傑出した人物であっても、知事お一人では何もできない。県の総合力をさらに期待する声も多いのであります。私も、指摘を受けて胸を痛めておる一人であります。しかし、考えつくところは、やはり県庁のパワーだと思うに至りました。閉塞感を突破できるのは、県当局をおいてほかにあり得ません。その力でもって県民を動かしていただきたい。リゾート博を成功させたあのエネルギーを、もう一度爆発させていただきたいのであります。「二十一世紀は和歌山の時代」、テクノクラートの皆さんにお願い申し上げる次第でございます。ご清聴ありがとございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの堀本隆男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 堀本議員にお答えをいたします。
 先ほどのお話の中に、ある県の取り組みのご紹介がございました。既に調査を進めておりますけれども、参考にさせていただきたいと思っております。
 まず、職員に対する三S運動の成果というお尋ねでございます。
 私は、県民の皆様方とともにすばらしい和歌山をつくり上げていくためには職員全体の意識改革がまず必要であろうということで、初登庁日に三S運動というのを提案いたしたところであります。その後、私の意図するところを職員によく理解をしていただくために、庁内放送を利用した「お昼トーク」であるとか、職場を訪れて職員との懇談会を行うなど、あらゆる機会をとらえて私の具体的な考え方、必要性を訴えてきたところでございます。こうした機会を通じて、目で確かめる現地主義の重要性の認識、先例にとらわれることのない業務遂行等がある程度浸透してきたと思っておりますし、職員一人一人が所掌している事務事業についても意欲と誇りを持ってきているのではないか、徐々に広がっているのではないかと実感をいたしております。また県民の方々からも、最近、県職員の意識が変化してきているとの評価も、お手紙やいろんな会合の中でいただいているところでございます。
 しかし今日、国のシステムが大きく変わろうとしている中で、今後的確に県政を進めていく上で、他から押しつけられたものでなくて、職員みずからが意識改革の必要性を十分認識して業務に取り組んでいくことが重要であろうと考えております。そういったことで、今後、具体的な手法を含めて、私自身も職員ともども努力をしていきたいと考えております。
 次に、日本版ビッグバンを初めとする諸改革に対する所見ということでございます。
 ご承知のように、さきの第百四十回通常国会の冒頭において橋本首相は、六つの改革を一体的に断行しなければならないと、極めて強い意欲を示されました。その後も機会あるたびに、改革の実現、推進に対し、断固たる姿勢を示されております。このような総理の改革に対する強固な姿勢の背景には、我が国の経済社会システムの現状と将来に対する非常に強い危機感があるものと考えてございます。
 現在の我が国の経済社会システムは、戦後の日本の繁栄を支えてきたものと考えてございます。しかしながら、情報通信による金融、商取引の本格化、あるいは欧州や北米の市場統合などに見られるように、人、物、資金、情報の各分野において世界は既に一体化しており、今や一つの国だけで通用する経済社会システムが機能を十分に果たせなくなっているということも事実でございます。このようなグローバルな動きの中で我が国が今後も従前のシステムに固執するならば、制度疲労と国際的な孤立化により我が国の経済社会システムそのものが破綻せざるを得ない危機的な状況になるという現状認識については、私としても異論のないところでございまして、行政を含めたあらゆる分野における構造的改革を新たな発展と創造のチャンスとして、でき得る限り速やかに進めなければならないと考えてございます。
 同時に、この日本版ビッグバンを初めとした諸改革は、本県の経済社会、県民一人一人の暮らしにも大きな影響を及ぼすものでございます。県行政においても、県行政改革はもちろん、金融、経済、社会保障、教育すべての分野において、県の将来と世界を見据えた主体的かつ迅速な取り組みを進めなければならないと思っております。特に、地方や社会的弱者にそのしわ寄せが来ないように、県民の視点、地方の視点から積極的に発言をし、行動していかなければならないと考えてございます。
 今回のご質問に際して、以上申し上げたことを改めて考えてみると、さきの知事選挙以来、私が県民の皆さんに訴えてまいりました「変革と発展」、「未来への挑戦」ということが、これからまさしく重要なキーワードになると思っておるわけでございます。県民の皆さんとともに、これらの諸改革を和歌山県の新たな発展のチャンスとしていかなければならないと決意を新たにいたしております。
 国道四十二号の日置川町から白浜町の間の整備の問題であります。
 この問題については、かねがね堀本議員からも大変熱意のあるお話を承っておるわけであります。この間は屈折部や見通しの悪い箇所が数多くございまして、豪雨等の際には全面通行どめになる場合がある区間でございまして、地元の関係の方々からも早期整備の強い要望を承っておるわけであります。
 この区間については、先般の国幹審においても並行して近畿自動車道紀勢線の早期整備を認められ、要望しておるわけでありますが、高速道路との役割分担等も考えながら、現実の問題としては、地域にとって最も整備効果のあるバイパス計画を検討していくことが必要であると私も考えております。今後とも、議員を初め県議会の皆さん方にもご協力を賜りながら、私も先頭になって国道四十二号の日置川・白浜間の早期整備を、具体的な手法をも含め国に強く働きかけてまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) ご質問の二点についてお答えします。
 まず、来年度予算編成に係る財源不足額についての考え方でございますけれども、平成九年度当初予算で五百億円を超える基金の取り崩しを行って財源不足を補った状況を踏まえると、仮にお話の〇・五%の歳出削減を行ったとしても約三十億円であって、それを超える大幅な財源不足を生じることは避けられないものと考えてございます。現時点では、地方交付税や地方債等の不確定要素が多いために、具体的な財源不足額の試算値をお示しすることは困難であることをご理解賜りたいと思います。
 また、公共工事のコスト削減マイナス一〇%により、マイナス〇・五%の歳出削減に対応できるかとのご質問については、先ほど申し上げたとおり、次年度予算の試算を示すことは難しいことではありますが、あえて申し上げると、平成十年度当初予算においても人件費、公債費、扶助費等の義務的経費の大幅な増加が見込まれ、一般財源ベースで見れば、その増加額だけでも公共工事のコスト削減額を超えるものと考えてございます。
 次に、長計に絡めての財政計画についてのご質問でございます。
 ご質問にありましたように、大蔵省は、国民総生産の名目成長率等を一定率と仮定した場合の推計として財政事情の試算及び財政の中期展望を作成して、財政構造改革会議に資料として提出してございます。一方、平成十年度の地方財政計画については、年末に従来どおりの単年度計画として策定されるものと見込まれてございます。現在のところ、中長期の地方財政計画が策定されるとの話は伺ってございません。しかしながら、財政状況が非常に切迫し、また地方の主体的な財政構造改革が求められている中で、これまで以上に中期的な観点からの財政運営が必要となるものと考えてございます。このため、平成八年度を基準年度とした五カ年の中期的な財政展望の試算作業を現在進めているところであり、策定後は予算編成に係る基礎資料の一つとして活用してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 堀本議員にお答え申し上げます。
 国の新しい全国総合開発計画については、本年初夏を目途に計画決定する予定となっていましたが、先般、財政構造改革の推進方策が閣議決定されたことなどにより、計画決定を秋以降に先送りするとの報道があり、改めて確認したところ、国土庁からは当初予定を延期し、いましばらく検討し調整していきたいとのことであります。
 本県の新しい長期総合計画については、現在鋭意作業を進めており、できるだけ当初の予定どおり策定したいと考えておりますが、新しい全国総合開発計画の基本フレームや施策との関連もあることから、これらの情報収集に努めるなど、国の動向を注視しつつ対応してまいりたいと存じます。
 次に、第五次和歌山県長期総合計画に係るフレームの問題についてであります。
 まず財政計画との関連でございますが、県長期総合計画の計画期間は平成二十二年までの長期にわたっており、その間の財政見通しが予測しにくい面がございます。しかしながら、主要なプロジェクト等については、財源等を勘案し、期間内の達成目標を設定いたしたいと考えております。また、長計策定後、三年間ごとの事業実施計画を策定する予定であり、これにより県の中期的な財政展望との整合を図っていきたいと考えてございます。
 次に、人口、経済の基本指標でございますが、新しい県長期総合計画の中間報告では、本県の将来の姿を考える目安として全国総合開発計画を参考に推計いたしております。我が国の経済成長は公共事業の削減や経済構造改革の進展等に大きく左右されることが予想される中で、県長期総合計画の策定に当たっては、国の人口動態や経済成長の推計結果との整合性を保ちながら、本県の社会経済環境の変化や政策効果などを踏まえてさらに検討していきたいと考えてございます。
 また新しい長期総合計画では、基本目標達成のために、重点的、戦略的に取り組む分野を戦略的構想として掲げる予定で、現在検討しているところでございます。その中で、観光、リゾートは今後の本県産業の中でより重要な位置を占め、また国内外に対し本県が担う大きな役割、機能の一つであると考え、構想に位置づける方向で、具体的な展開手法等について検討を進めております。
 特に、関西国際空港の二期事業や南紀白浜空港の充実、近畿自動車道紀勢線の南伸等、高速交通ネットワークの整備進展に伴い、今後、全国や世界各地、とりわけアジアとの交流が一層活発になっていくことから、国内外に通用する観光、リゾート地の形成が重要課題であると認識してございます。そのため、本県が持つ自然、歴史、文化等を活用するとともに、多様化する観光ニーズに対応し、議員ご指摘のように観光関連施設の整備を促進していく必要があると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 県産業活性化ビジョンについてのお尋ねにお答えいたします。
 まず一点目のベンチャービジネスについてでありますが、中小企業創造活動促進法に基づく本県の認定状況については、これまで二十一件の企業の事業計画を認定しているところでございます。なお認定に係る審査については、審査会を年四回開催いたしまして、企業の要望に対する面で積極的に対応しているところでございます。また認定件数については、全国の本年五月末の状況は二千二百四十四件でございまして、このうち半数以上が東京、大阪等、大都市圏に集中してございます。その他の県については、ほとんどが十件台、二十件台でございまして、本県と同水準の認定の数の状況でございます。
 いずれにいたしましても、議員お話しのように、本県産業が二十一世紀に向けて持続的に発展していくためには、創造的事業活動の促進は不可欠なものであると考えております。今後とも、ベンチャー企業の育成、振興について、施策の普及、拡充等に努め、積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 二点目のアクションプログラムの策定状況でございますが、本年三月に素案の策定を終えたところでございます。今後、産業界の意見等もお聞きした上で、さらに庁内での検討を行い、新たな長期総合計画にも位置づけるなど、実現に向けて取り組んでまいる所存でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) 以上で、堀本隆男君の質問が終了いたしました。
 ─────────────────────
○議長(町田 亘君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 ─────────────────────
○議長(町田 亘君) 次に、ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 ─────────────────────
○議長(町田 亘君) 次に、お諮りいたします。六月三十日及び七月一日を各常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、六月三十日及び七月一日を休会とすることに決定いたしました。
 ─────────────────────
○議長(町田 亘君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員から、これを申し上げます。
 〔職員朗読〕
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 総務委員会 第一委員会室
 福祉環境委員会 第二委員会室
 経済警察委員会 第三委員会室
 農林水産委員会 第四委員会室
 建設委員会 第五委員会室
 文教委員会  第六委員会室
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○議長(町田 亘君) 次会は、七月二日再開いたします。
○議長(町田 亘君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午前十一時三十七分散会

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