平成9年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(玉置公良議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番玉置公良君。
 〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 私は、今回、知的障害者の年金着服問題とその対応について、そして水産資源の保護と水産業の振興について、とりわけ白浜地区のタイの一本釣り漁業のことについて、この二つについて質問をしてまいりたいと思います。
 実はきょう、それぞれの関係者の方も議場の傍聴にお見えでございます。知的障害者の保護者の方、また関係者の方、そして「水産業」と言えば、きょうはバス一台をチャーターして白浜からこの議場に来てくれております。そういったことをどうかご配慮いただきまして、県当局の答弁をお願いしたいと思います。
 まず最初に、知的障害者の年金着服問題とその対応について質問をしてまいります。
 「知的障害者の年金着服 縫製工場経営者姿消す 和歌山」という、こういった記事でございますけれども、昨年の十二月二日付の読売新聞に大きな見出しで掲載された社会面のトップ記事が衝撃的に私の目に飛び込んできました。この種の事件は、滋賀県のサングループを初め、全国的にも表面化してきているのが現状であります。私も、まさか和歌山県で起こるとはと、驚きを隠せなかったうちの一人であります。
 新聞報道によりますと、この経営者は十五人の知的障害者や身体障害者の人々を雇用し、長期にわたって給料を支払わず、知的障害者六人で少なく見積もってもその額は一億二千万円にも上ると言われております。また年金についても、保護者の方には、選挙に行かせてあげたいからなどとうその状況を巧妙につくり上げて住民票を移し、年金は個人の口座に貯金をしておくと言って、三人の方の障害者年金を三年の間、合計六百万円余り着服していました。その上、個人の健康保険証を使い、障害者の方の名義でサラ金から借金を重ねていたのであります。その被害額は数千万円にも上ると報道をされています。さらに、雇用調整金を初めとする多額の各種労働助成金も巧妙な手口で受け取っていたのであります。この事件は、被害者の家族から相談を受け、差別とたたかう共同体全国連合という組織が再発防止のための具体的な方策、さらには救援対策などに取り組んでいます。
 きょうは、先ほども申しましたように、その保護者の方々や家族の方々もこの議場に来てもらっています。──県行政においては、福祉、労働行政関係者を中心に、この問題の真相を明らかにし、再発防止のため真摯な取り組みをしていかなければならないと私は考えます。
 そこで、以下四点について質問をし、県当局の見解を求めたいと思います。
 まず第一点は、被害者や家族、また働いていた健常者の方々のヒアリングを通じての事件の全容について明らかにされたいと思います。
 第二点は、事件が発覚するまでに、以前から何度か通報や訴えがあったと聞いています。それに対する行政の対応のおくれや調査が不十分だったことなどがこの事件の解決をおくらせた一つの原因であったと考えますが、県当局のご見解を明らかにされたいと思います。
 例えば、平成六年と平成七年に通報、匿名通報があったとき、親から二カ月給料がおくれていると訴えのあった人しか調べておらず、しかも会社から出された書類のみを信用して、障害者の方たちからは直接の聞き取りすらしていないと聞いています。そのとき当事者に、この会社どうや、給料ちゃんともらっているんか、そういうことを聞いていれば、二カ月どころか長期にわたって給料をもらっていないというのがわかったのではないかと思うのであります。
 職業安定所からも、六人以上の障害者をこの会社に紹介して入社をさせています。職業安定所の窓口で、社長さんが親切だからと言われて入社した方もいると聞いております。こうした実態が、私たちの調査や市民団体との話し合いの中で明らかになりました。
 例えば職業安定所の仕事で言えば、職業安定所は職を求める各人の能力に適当な職業を紹介する責務を果たすため、とりわけ知的障害者の方の就職後において、必要に応じて職業指導を行う義務があり、労働条件に問題がある場合には労働基準監督署へ通報する義務があります。
 第三点は、被害者の方々のサラ金などの救済対策の指導助言を早急に行われるとともに、県としての救済対策はどのように考えているのか。また、これから起こったときの救済対策も含め、見解を伺いたいと思います。
 第四点は再発防止対策についてですが、一つ目は、この問題を教訓として、県は障害者権利擁護連絡協議会を設置しました。この目的及び協議会に当事者の意見が反映されることが必要であると考えますが、ご見解を伺いたいと思います。
 二つ目は、滋賀県がサングループ事件の教訓から県として予算をつけ、専任の相談員を配置し、障害者権利擁護相談室の設置をしました。また、知的障害者の権利擁護相談窓口の開設は、東京都、大阪府、埼玉県、石川県等、全国的にも広がってきています。このような相談窓口が本県にも必要であると考えますが、見解を伺いたいと思います。
 三つ目は、再発防止に向けて、県民挙げて障害者の人権学習、啓発を行うことが必要だと考えますが、見解を伺いたいと思います。
 四つ目は、福祉施設や障害者雇用企業の実態調査を行い、再発防止に努めることが大事だと考えますが、見解を伺いたいと思います。
 最後に、本当に障害者の人権が尊重される社会をつくるために二度とこのような問題を起こさない県行政の取り組みを強く要望し、この問題の質問を終わります。
 続きまして、水産資源保護と和歌山県の水産業の振興について質問をしてまいります。
 本県の各種漁業、養殖業は盛んに営まれ、平成八年の総漁獲量は六万八千六百トンとなっています。最近の漁業を取り巻く情勢は、輸入水産物の増加による水産物価格の低迷、漁業資源の低下、それに今では五千六百八十人と言われている漁業就業者の問題と、その少なくなりつつある漁業就業者のうち約四六%の方が六十歳以上という高齢化の進行など厳しい状況下にある中で、国連海洋法条約の発効に基づく生物資源の保存管理に関する措置が義務づけられ、新たな海洋時代を迎えようとしています。
 私は、本県が最重要問題として取り組まれている資源管理型漁業の推進の関係で、今回大変深刻な問題となっている白浜町椿沖のタイの一本釣り漁師の切実な叫びを知事に訴え、誠意のある答弁を求めるものであります。
 先ほども申しましたが、きょう、地元の漁協の漁師の方々や婦人部の方々、また後継者の青年がこの議場に詰めかけています。白浜から椿にかけての地先は複雑な地形に富み、特に椿沖は、天然礁があり、一本釣りの漁場として昔から全国的に有名なところであります。昔は四国や淡路島、沼島からも操業に来るという有名な漁場であり、現在でも和歌山市方面など遠くからも多くの船が操業し、県下でも屈指のタイの漁場となっています。
 椿沖が、なぜタイの絶好の漁場であるのか。それは、富田川河口周辺の砂浜では小さなエビが大量に生息しているのでタイにとっては絶好のえさ場となっており、格好のタイの育成場であることから、全国的にも名高いところであると言われています。国や県、そして町もこの有名な漁場を応援するため、昭和五十一年度から天然礁を補完し、魚を集める効果を高める魚礁設置事業を継続的に行い、その総事業費は約一億九千万円にも及び、漁業者所得の向上を図ってきました。こうした県当局のご援助、ご指導に対して心から感謝をするものであります。しかし、こうした応援や地元漁協の努力にもかかわらず一本釣りの水揚げは伸び悩み、今大変深刻な状態にあり、一本釣り漁師の一揆が起こると言われてもおかしくないところまで来ていると聞いています。
 白浜漁業協同組合の漁法は沿岸漁業が中心となっており、現在、正組合員は百八十三名で、そのうち一本釣りの漁師は約八十名であります。漁業規模は零細であり、一本釣りの水揚げが伸び悩み、特にタイの水揚げは、ことしに入り著しく減少しているのであります。
 白浜漁業協同組合の中でも椿の場合は、年間五千万円の水揚げのうち四千万円は漁期の三月から五月にかけて行うタイの一本釣りであり、特にことしは例年の四分の一に当たる一千万円の水揚げしかないのであります。一本釣りの漁師たちは燃料代とえさ代に追われ、漁協でも、その資金面で深刻な状態にあると聞いています。また、三月から五月の漁期に和歌山市方面から来ていた一本釣りの漁師たちも、例年、月七十万円から八十万円の水揚げがあったのに、ことしは月五万円から六万円しかないので早々と引き揚げたと言われています。その原因は何なのか。
 紀北から日高郡にかけての漁協では、小型底びき網漁業が盛んに行われております。県では、水産資源の保護のため、和歌山県漁業調整規則第四十条の規定により操業禁止区域が定められていますが、この区域をめぐって紀南地方の地元漁業者とのトラブルが以前から絶えません。
 見にくいのですが。(地図を示す)そういったことで、小型の底びき網漁業を禁止区域とするために、日ノ御埼から日置川町の市江──灯台の突端です──この線を結んだ約四十五キロの内側が底びきの禁止区域でございます。そして昭和五十一年に、底びき網漁業を制限していくため、禁止区域から西方沖合千メーターを操業の自粛区域として協定を結んでおります。これは、県も入ってもらい、立ち会いをしてもらって協定を結びました。しかし今、ここにつきいそ漁業ということで椿沖のタイの一本釣りのところがあるわけです。ここを何とか底びき網の操業から守っていただいて保護区域にしてほしいというのが願いでございます。
 そしてもう一つは、昭和五十七年十二月に、一月と二月の期間を夜間操業を禁止する協定も締結されました。以降、それら協定の更新については、県当局が立ち会いのもと、再締結されてきました。
 椿沖の一本釣りの漁場は底びき禁止線の外側にあるわけですけれども、つきいそ漁業権を取得しているのでその区域は底びき網操業から守られているように見えるのですが、地元漁業者の話では、底びき網は夜間に設置された魚礁の周辺をジグザクで走行し、魚礁に網が根がかりしたのか網を切り、その網の一部は魚礁にかかったままである、また、よく釣れていたときも夜に底びき網操業があったために次の日から全然釣れなくなったと、そういった苦情が相次いでいます。
 底びき網は、引くときに魚をとらえるだけではなく、引くことによって魚はおびえ、地元の漁師がまきえをして丹精込めて育てた漁場を荒らしてしまい、底びき網が小さな魚までもの水産資源を根こそぎさらってしまうのであります。このようなことではつきいそ漁業権というものが有名無実となり、何のために魚礁設置事業をしているのか、地元は大変腹立たしい思いをしています。
 この問題につきましては、きょう私の後ろで議事を進行していただいている先輩の町田議長さんも昭和五十六年六月県議会において一般質問をされまして、昭和五十七年から現行の一月と二月の夜間操業の禁止協定など一定の前進を図ったところでありますが、それ以降も違反操業が続きまして、この問題について地元漁業者や町も、平成三年から平成八年まで四回にわたって県や和歌山海区漁業調整委員会などに対して訴えと要望を行ってきました。平成三年九月には、違反操業に対応するために、共同漁業権と言いますが地先権の拡大を県海区漁業調整委員会事務局に要望いたしました。また、平成四年二月には地先権の拡大を知事に陳情いたしました。平成七年十一月には、県水産課漁業取締班と底びきなどの違反操業に対する対応について協議をして取り組んでまいりました。平成八年一月には、漁協青年部と県水産課漁業取締班の合同作業による地先権の確認や、また違反操業に対応するために地先権の拡大を県水産課に陳情するなどの活動を行ってきました。しかし、この訴えや要望に対しても、県として和歌山海区漁業調整委員会には意見具申をしてもらえませんでした。また、県水産課漁業取締班に実情を訴え、監視体制についてご指導をいただいているところでありますが、全面的に解決するものではありません。今回、地元漁業者の怒りも大変なものであり、最初に述べましたように漁業一揆が起こるところまで来ていると聞いていますので、その願いを県は重く受けとめるべきであります。
 私は、その問題解決のための提言を行います。先ほど申しましたように、この近くに白浜町の見草崎がありますけれども、ここから真西に沖合七キロを底びきの禁止区域、保護区域にしてほしい、そういうことの提案をしたいと思います。
 資源管理型漁業の推進は、結局、底びき網漁業の漁業者にとっても大変大事なことにつながるはずであります。県当局も水産資源保護の重要性は認識されているはずであり、これからの目指す方向でもあります。日ノ御埼から市江崎突端までの底びき禁止線は長さ四十五キロにも及び、その南端のわずかな海域を保護区域にすることで水産資源の保護が実現をするのであります。底びき網漁業者のリスクはほとんどなく、逆に資源保護による効果が期待できるものであると私は思います。
 今、この椿地区でも、七人もの若者がUターン就職でふるさとに帰り、一本釣り漁師として後を継いでおります。後継者問題も含め、年々減少している一本釣り漁業者を育てていくためにも、また全国的にも県下的にもすばらしい漁場であり、共存共栄の精神で資源管理型漁業を目指していくためにも、なおさら早急に保護をしなくてはならない地域であると私は思います。
 昭和五十六年六月県議会で、当時の町田議員の一般質問に対する経済部長答弁として、「たとえば、保護区域の設定なども具体的な手段として検討してまいりたいと存じております」と回答しているのであります。それから十六年の歳月が流れましたが、いまだこのことは実現をいたしておりません。地元の漁師は、断腸の思いであります。
 そこで、第一点は椿沖の一本釣り漁場及び漁業の現状認識について、二点目は椿沖の一本釣り漁場の保護について、昭和五十六年六月県議会答弁以降、県としてどのような取り組みをしてきたのか、農林水産部長からの答弁を求めたいと思います。そして、最後の三点目の保護区域の設定実施についての見解を西口知事に求めたいと思います。
 今こそ思い切った施策を講じない限り、この問題は永久に解決できないものであると思います。安心してとれる環境を整え、漁場を守り育てていくのが行政の務めであります。細い細い一本の釣り糸に何人もの家族がぶら下がって生計を立てている零細な漁師とその家族の切実な願い、心情を受けとめていただき、知事の心の通った温かい答弁を求め、私の質問を終わりたいと思います。
 ご清聴ありがとうございました。
 〔傍聴席で拍手する者あり〕
○議長(町田 亘君) 傍聴席の方にお願いいたします。
 この議場の傍聴席での拍手等は禁止されておりますので、ご協力をお願いいたします。
○議長(町田 亘君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 玉置議員にお答えをいたします。
 水産業に関連してのご質問でありますけれども、この問題は、お話にございましたように昭和五十六年以来の課題でございます。ご質問にございました保護区域の設定につきましては、水産資源の保護を図る上で大変重要であると私も認識をいたしております。
 ただ、ご承知のように漁業は、同一海面において多種多様な漁法で操業が行われております。そういう意味で、保護区域の設定ということについても、各種漁業者の利害にかかわる大変難しい問題でもございます。しかしながら、きょう多くお見えでありますけれども、私も地元漁業者の実情ということも十分理解をしておりますので、問題解決に向けて関係漁業者のご意見をお聞きいたしますと同時に、水産庁や海区漁業調整委員会とも協議をしてまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 玉置議員ご質問の、知的障害者の年金着服問題とその対応の以下三点についてお答えをいたします。
 まず、事件の全容についてでございますが、この事件は、和歌山市の縫製会社が昨年十月末に工場を閉鎖したことにより障害者の家族から関係機関を通じて連絡が入り、障害者の所在等を調査し、対応に当たってきたところでございます。
 当会社は、従業員が二十五名、うち障害者は十五名で、そのうち知的障害者九名、身体障害者五名、精神障害者一名であり、身寄りのない方が四名ございましたので、安全・生活の場を確保する必要があるため、事件発覚後、直ちに施設等への入所措置を図ったところでございます。
 なお、今後も事件の正確な実態の把握に努めてまいる所存でございます。
 次に被害者の方々のサラ金救済対策でございますが、県といたしましては、金銭的な救済は現行の制度から申し上げて無理かと考えますが、今後適切な方法を検討し、被害者に対する相談・助言を行ってまいりたいと考えてございます。
 また、今後の救済対策ということでございますが、今後はこのような事件の再発を未然に防止することが肝要であると考え、障害者の財産管理等については成年後見制度の早期創設等を国に要望してまいりたいと考えてございます。
 次に再発防止についてでございますが、この三月二十五日に、障害者が職業的に自立し、安心した生活が送れるよう、就労の場における障害者の権利擁護を目的といたしまして、県だけでなく国の機関も含めた関係機関から成る障害者権利擁護連絡協議会を設置したところでございます。これによりまして、関係機関の連携を強化し密にすることにより、行政として速やかに対応しようとするものでございます。
 当協議会の設置目的でもある再発防止の観点から、当事者のご意見を聞き、当協議会に反映できるよう検討してまいりたいと考えてございます。
 次に相談窓口の件でございますが、障害者の人権擁護のための相談業務の必要性につきましては、県としても十分認識してございます。障害者本人や家族の方々が気楽に相談できるよう、今後、他府県の状況等を参考にしながら積極的に検討してまいりたいと考えてございます。
 障害者の人権に対する啓発につきましては、障害者施策の重点施策として位置づけ、今後も関係機関との協力のもと、広報活動はもとより、体験学習等の普及によって障害者の人権擁護の推進に一層努めてまいる所存でございます。
 次に福祉施設での実態調査につきましては、定期的な監査によって、財産管理を初め入所者等に対して適切な対応がなされているか等の調査、指導を行っているところでございますが、今後も指導の強化徹底に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 知的障害者の年金着服問題とその対応についてのご質問のうち、二点についてお答えいたします。
 まず、本問題に対するこれまでの行政の対応と見解についてであります。
 障害者の方々の職業紹介につきましては、保護者の立ち会いのもと、きめ細かな職業相談を行い、当該事業所と相談の上、職場適応訓練等の支援措置を講じたところでございます。また就職後においても、事業主に職場生活の状況などを聴取するとともに、本人とも面談の上、職場定着のための必要な指導を行ったところでございます。
 この問題につきましては、平成六年十月と七年八月に障害者の保護者等から相談がございまして、公共職業安定所では当該事業所を訪問し、事業主に事情聴取をしたところ、賃金遅払い等、労働条件に係る問題でございましたので、その対応方について労働基準監督署に対して直ちに通報したところでございます。
 なお、当該事業所は十五人の障害者の方々を雇用し、障害者雇用に積極的であるというふうに評価をしておりましたので、期待しておりました。それだけに、このたびの問題についてはまことに残念に思う次第であります。
 次に再発防止策についてでありますが、議員ご承知のとおり、障害者の方々が職場に定着し、安心して職業生活が送れるよう、三人以上の障害者を雇用している企業には障害者職業生活相談員を設置しているところであります。
 今後は、事業主や障害者への助言・指導をさらに強化するとともに、障害者職業生活相談員からは定期的に状況報告を求めるなど、実態把握に努めてまいります。また、この問題を契機として設置された和歌山県障害者権利擁護連絡協議会とも連携し、関係機関との情報交換を密にして再発防止に努めてまいりたいと存じます。
○議長(町田 亘君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 水産資源保護と和歌山県の水産業の振興についてのうち、椿沖の一本釣り漁場及び漁業の現状認識ということについてお答えさせていただきます。
 議員お話しのとおり、椿沖は県下でも有数のマダイの好漁場であるとともに、白浜漁協において一本釣りは重要な漁業であると認識してございます。しかしながら、近年、全般的に資源の減少が見られるとともに、魚価が低迷していることもあり、漁業経営は大変厳しい状況にございます。
 県におきましては、漁業資源の保護増殖を図るため、これまでも栽培漁業や資源管理型漁業の推進を図ってまいりましたが、さらに栽培漁業センターの充実を図り、マダイ百万尾の種苗生産に取り組んでいるところでございます。当該地区におきましても、引き続きマダイの稚魚放流や魚礁設置を積極的に実施し、経営の安定に努めてまいりたいと存じます。
 次に、椿沖の一本釣り漁場保護について、昭和五十六年六月県議会答弁以降県として具体的にどんな取り組みをしてきたかということでございますが、関係者と話し合いを行ってまいりましたが関係漁業者の意見集約に至らず、残念ながら海区漁業調整委員会に対し正式に協議するに至ってはございません。しかしながら、小型底びき網漁業の操業につきましては、かねてからトラブルが発生しておりますので、県としては適正な操業遵守のための指導を行ってまいったところでございます。
 昭和五十七年には小型底びき網漁業の夜間操業についての協定が結ばれてございますが、このような漁業者間による協定の締結は漁業秩序の確立のために有効な手段の一つと考えてございますので、これからもこうした指導に努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 26番玉置公良君。
○玉置公良君 答弁、ありがとうございました。
 まず、知的障害者の年金着服問題とその対応についての答弁から、四点についてのみ要望を述べておきたいと思います。
 一点は被害者の救済対策ですが、被害者に対する相談・助言について、行っていくことが答弁されました。したがって、きょうも議会傍聴に来ている家族の方もありますが、早急にこういう方々と連絡をとり合って、弁護士のお世話など、相談や助言を要請しておきたいと思います。
 二つ目は、連絡協議会において当事者の意見を聞き協議会に反映できるようにしたい、こういった答弁がございました。当事者を入れてこの問題の真相を究明し、再発防止の教訓としていくよう要請をしておきたいと思います。
 第三点目は、障害者の人権擁護のための相談業務の必要性について、積極的に設置していく方向が答弁の中で明らかになりました。一日も早くその実現を望みたいと思っております。
 第四点目は、県行政として、障害者雇用企業や障害者の方々に対し、職場定着の助言・指導は最初の一年間だけで、あとは生活相談員に任せておった。この問題を契機に、今の答弁から言えば、毎年職安としてやっていくという方針が表明されました。また実態把握についても、生活相談員からも定期的に状況報告を求めるといった表明がされました。さらに、国基準を上回る生活指導員制度を今県は確立しておりますけれども、こういった面について私は評価をしておきたいと思っております。
 今回の事件は、事業者に対して行政も保護者も、雇ってもらっているといった意識の中で、そこを事業者が巧みについた、そして人を人として扱わない、また人としての権利を踏みにじる、あくどいことをされ、お金をだまし取られたと、そういった事件だったと思います。そこには、よく考えますと、知的障害者という当事者の人権をそれぞれの立場立場で無視をしてきたのが見えてくると思います。
 先般、二週間ぐらい前でしたけれども、車いすの方がちょうど和歌山市内の公園の障害者トイレに入って手を洗おうとしたところ、洗面所が高くて体を乗り出して手を洗わなくてはならなかった。それを救うためには、やっぱり行政が障害者当事者の声を聞いてつくってほしい、聞いていないからそんなことになるんだということを言われておりました。こういった問題も含めて、今、県も条例をつくって取り組まれようとしていますので、なお一層の取り組みをお願いしたいと思います。
 そして、一人一人の県民が、また行政や関係機関がこの問題を自分自身の問題ととらえ、二度とこのような事件を引き起こさないために歩み始めなければならないと私は思っております。また、県行政における障害福祉、労働行政の責任は大変大きいものがあると思いますので、なお一層の取り組みを要請しておきたいと思います。
 続きまして、水産資源保護と和歌山県の水産業の振興についてであります。
 きょう、県議会の傍聴に、仕事を休み、白浜漁協から約五十名の方々がバスで来られました。皆さんは、生活の糧を海に求める一本釣りの漁師や家族であります。寒風吹く荒れた海の中で、道糸一本で家族の生活を支えております。長年の願いであったこの保護区域の設定についての知事の答弁を、恐らく祈るような気持ちで今聞かれたことだろうと思っております。
 知事は地元の一本釣り漁師のこの実情や願いを十分理解していただいた、そしてその実情を踏まえて知事としてこの問題解決に向けて乗り出すことを約束していただいた、そういった答弁であったと私は理解をしております。どうか、この十六年間ほうりっ放されてきたと言っても過言ではないこの一本釣り漁師の願いに対し、一日も早い解決への取り組みを改めて要請しておきたいと思います。
 また、部長の方から、白浜漁協の当該地区において引き続いてマダイの稚魚放流や魚礁設置を積極的に実施していきたい、経営の安定に努めてまいりたい、そういった約束をしていただきました。きょうは組合長さんも見えておりますけれども、今後とも地元の声を聞きながら水産行政を進めていただきたいと思います。
 なお、不法操業に対する漁業の取り締まりも全力を挙げていただくことを最後に要請しながら、私の質問を終わりたいと思います。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(町田 亘君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時二十二分散会

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