平成9年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(神出政巳議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番神出政巳君。
 〔神出政巳君、登壇〕(拍手)
○神出政巳君 おはようございます。
 議長のお許しを得ましたので、通告に基づき順次質問させていただきます。
 「成功は必ず、怠惰・自己満足・思い上がりを内包し、一度成功した者は、次の機会にはえてしてボートのオールを休めているものである。 社会の解体は自己決定能力の喪失から始まり、その原因は変化に対し新しい適切な制度が生まれず、はかない自我・制度・技術の偶像化に執着することに求められる」と、イギリスの歴史家トインビーは、著作「歴史の研究」に多くの教訓を残しております。諸文明の盛衰を環境変化という挑戦(チャレンジ)とそれへの対応(レスポンス)という視点から分析しております。
 日本は今、政・官・財社会を構成する各種の組織が自己決定能力を失い、解体過程に入っているところであります。少なくともそういう仮説を立て、各人、各組織が自己の現状を冷静に判断すべき大切なときであります。しかし、いたずらに悲観論のみを声高に叫ぶのはどうかと思われます。かといって、国際化・メガコンペ大競争時代という歴史の挑戦に迅速に対応しなければ、日本が世界の時代の流れの中から取り残されてしまう危険性は大であります。今や、各界各層のリーダーは自己責任の時代が来たことを強く自覚し、変革の時到来に備えるべきであります。
 本県においても西口知事は、「本気で変える」という理念のもとに、就任以来二回の予算編成、機構改革初め多くの課題に取り組み続けてこられました。
 予算編成についてお伺いします。
 前回登壇しお尋ねしたときの答弁は、国、県とも非常に厳しい財政状況であり、必要な財源確保が課題である、県職員が地方自治の根本である「最少の経費で最大の効果を挙げる」ということを再認識し、県民ニーズに対応しながら、行政改革大綱に沿って効率的、効果的な行財政を進めていくことが大切と考える、財源の重点配分、事業の重点整備化にも一層取り組みたいとのことでした。そのとおりであり、納得したところであります。
 しかし、その後、国の方は大きく揺れ動いてきました。二〇〇三年度までに国と地方の財政健全化を目標とし、橋本首相を議長とする政府・与党の財政構造改革会議は、六月三日、分野ごとの数値目標を盛り込んだ歳出削減策を最終報告としてまとめ、十六日には向こう六年間の時限立法で歳出削減策を盛り込んだ仮称・財政構造改革法案の骨格を了承しました。九八年度の公共事業は、前年度比七%減、社会保障の増額は三千億円以下など、個別分野の歳出削減目標を反映し、法的な拘束力を持たせたのが特徴であるこの法案は、秋の臨時国会に提出、成立を目指すというものであります。あたかもこのようなとき、六月十九日、知事は上京され、新規九項目を加え、四十四項目から成る本県の平成十年度政府予算等に関する重点事項を県選出国会議員、そして各省庁へ説明、要望に回ってこられたところであります。
 仮称・財政構造改革法案に対する見解、今後の対応、平成十年度政府予算等に関する重点事項の要望活動の感触、平成十年度県予算編成に臨む基本方針について、知事より答弁願います。
 引き続き、知事にお尋ねします。
 以前の議会で、先輩の堀本・新田両議員からもご指摘のあった三重県などの予算編成見直しの動きについてどのようなお考えをお持ちなのか、担当部への検討の指示はなされているのか、答弁願います。
 使い切り予算返上、節約システム、事業自己評価など、システム改革を伴わなければ、職員一人一人に節約、合理化意識の徹底は図れないものと思われます。この新しい試みは、厳しい財政状況に追い込まれた大阪府で早ければ来年度予算編成から節約システムを主に導入とのこと、また奈良県でも知事の指示で財政課、人事課で検討中とのことであります。
 引き続き、大きな観点より機構改革ということで、仮称・南近畿政府構想について、知事にお尋ねします。
 「地方行革 合併に活路」ということで、市町村合併の構想が全国で百十カ所に及んでいることが日経新聞の調査で明らかになりました。三年前の調査に比べ三割近くふえているとの記事が六月五日付朝刊に掲載されました。他県の知事が熱心に取り組んでいる主なものでは、埼玉県の顔となる都市の誕生に向けて政令市の実現ということで、浦和、大宮、与野の三市合併構想を掲げる「さいたま新都心計画」、そして山口市と小郡町の合併、中核都市づくりなどであります。また、東京都と茨城県では合併交付金を制度化しており、熊本県が特別融資枠や補償制度を設置しているところであります。
 全国市長会や全国町村会など地方六団体が五月末に研究会を設置するなど、合併実現を目指す機運が全国的に高まりつつある地方分権の流れの中で、福祉や都市計画を初め行財政改革を強化することが求められています。介護保険導入をにらみ、体制を整えなければならない差し迫った課題もあります。地方財政が悪化する中で地方行革を進めることもねらいであり、経費節減効果は職員数、議員数が減ることで給与、報酬総額の大幅な減額が見込め、これに加え重複する公共施設などを効率化することもできます。反面、合併を推進するには障害も多いとのこと、財政バランス、行政サービスの低下の懸念等、効率性だけでは推進できないとの反対論も強い、今後は地方制度調査会が検討している政府の支援策では、財政支援に加え住民投票制度の活用なども重点になるということであります。
 以上の動きの中で、和歌山県下の五十市町村では目立った動きはないものの、社団法人橋本青年会議所が橋本、伊都は一つということで、昨年秋より運動が芽生え始めてきたところであります。県行政の中では、とりわけ農林水産部関係での農協合併や森林組合合併の指導も強まってきたところでありますが、ここで提言し、知事にお尋ねします。
 以前にも、先輩議員の方々が本会議でただされた将来の和歌山県像ということであります。私が思うには、市町村合併は県主導でということはなかなか難しいように思います。おのおのの地域住民、行政の考え方が優先されます。そして、近い将来に幾度も合併ということは困難でありますので、和歌山県で推進する場合、自立できる地域づくりを目指し、例えば圏域よりも広い、近々緩和が予定される中核市要件を満たす受け皿、すなわちせめて県内で三ないし五カ所、衆議院の小選挙区に匹敵するぐらいの箇所に集約できるよう対処されてはと、私見を申し上げておきます。
 そこで、将来の和歌山県像というものを考えるとき、まず県は県で、和歌山、奈良、三重の三県合併というか、地方連合政府づくりを考えてみてはいかがということであります。今春、策定がめどとなっていた公共事業費の抑制で九月以降に延びた新しい全国総合開発計画や、第十二次道路整備五カ年計画への紀淡連絡道路の明文化、事業化初め、大阪湾ベイエリア開発推進、関西国際空港整備促進等では、西口知事は常々、オール関西、近畿二府四県プラスアルファ等の各界各層への呼びかけを行い、運動の先頭に立たれているわけであります。来るべき二十一世紀には、世界の流れに対応し、外交、防衛問題等にのみ携わる小さな中央政府と、地方連邦制、道州制による地方政府の役割分担は待ったなしになるものと考えます。
 そのようなとき西口知事は、就任以来、紀伊半島三県知事会議、教育長会議、土木部長会議等を今日まで持ってこられたところであり、議会の方でも三県正副議長会議を持っております。とりわけ、共通の課題が多い三県であります。予算規模、人口を見ると、和歌山、奈良、三重の本年度当初予算の合計は約一兆九千億円、今春の人口合計は約四百四十万人、ちなみに兵庫一県では、予算はほぼ同じく約一兆九千億円、人口は百万人多い約五百四十万人であります。前段申し上げた市町村合併の際のメリットとデメリットも勘案され、まず試みに、この世紀末のときに、百年前の江戸時代にはほぼ一つであったこの三県の副知事同士ぐらいのレベルで、仮称・南近畿政府の実現について協議を始めてみてはいかがでしょうか、答弁願います。
 次に、公共工事費削減の流れと街路整備について、土木部長にお尋ねします。
 本県では、六月十六日、政府の指針、四月の閣議決定、自治省事務次官通達に基づき、近畿二府四県で初めて、公共工事のコスト削減に取り組むため、土木部長を部会長とする公共工事コスト縮減対策部会を設置されたとのことであります。副知事を会長とする県公共事業施行対策連絡会議内に置かれ、土木部技術調査課が事務局となるとのことであります。主な議題は、公共施設の工事計画、設計の見直しほか、十二月と年度末に集中する工事期を年間満遍なく振り分け、人件費、資材費、発注単価の安定化を図るなどとなっており、九九年度末までの三年間で工事請負費を一〇%カット、九七年度当初予算ベースで約百四十億円を目標にするとのことであります。国の財政構造改革会議がまとめた公共工事費抑制策、九八年度には七%減、三年で一五%縮減まで進めるということに対応していこうとするものでありますが、社会資本の整備がおくれている本県にとっては大変厳しいものであります。
 そこで、公共工事費削減の中で、見直しの詳細について土木部長より答弁願います。
 また、特に道路整備については県政の重点課題の一つとして、財源確保では西口知事は朝日新聞朝刊「論壇」に投稿されるなど、ありとあらゆる手段を講じ、ご尽力いただいているわけでありますが、気にかかるのは中でも市街地内の道路のおくれであります。
 和歌山県の都市計画道路の整備状況は、平成六年度末で七市十四町で、計画延長五百七十六・九三キロメートルに対し、整備済み延長百七十八・二九キロメートル、整備率で三〇・九%であります。郡部、内陸、山間部の道路整備は頑張っているように思えるのでありますが、市街地内の幹線道路である県道で、幅員が狭隘で交通に支障のあるものや渋滞しているものがあり、その整備がなかなか進まないのが現状であります。これは、事業用地の確保のための地元調整の難しさや用地買収に多額の予算を要することが主な原因であります。整備を進めていくには、用地交渉等の事業推進体制の充実や予算の確保などが必要なのは当然でありますが、さらに公共事業を取り巻く状況が厳しくなる中、効率的な事業実施を進めるために、既に決定されている計画を、例えば道路の機能に応じた幅員の縮小も含めた検討をするなど、必要に応じて見直しを行ったり、重点的な事業実施をさらに進めるなど、限られた財源の中で早く効果が出るように計画的に進める必要があると思いますが、都市計画道路の整備について土木部長より答弁願います。
 続きまして、港湾内の遊漁船等の係留について、土木部長にお尋ねします。
 近年、マリンスポーツやアウトレジャーの人気が高まり、水難事故やトラブルがふえていることから、水上の安全対策やマナー向上を促進する和歌山県水上安全協会の設立発起人会が六月十二日、サンピア和歌山で開かれたとのことであります。西口知事ほか県内有力企業の代表者など約五十名の発起人が参加、席上、知事は、利用者や関係事業者の安全意識、マナーの向上などの安全対策を推進していくことが重要と指摘され、続いて同協会の設立の経緯が説明されたということであります。同協会が行う主な事業は、水難事故の速報や事業者、利用者に対する救急法の講習、危険水域の調査などであり、ちなみに県警本部の発表によれば、昨年の水難事故は五十九件あり、死者は三十一名と、過去十年間で件数は最高、死者数は二番目に高い発生とのことであります。
 そこで、常々、私自身感じていることでありますが、水上の安全対策やマナー向上を促進することと同時に、遊漁船やプレジャーボートなどの保管について、もう少しきちっと対処できないかということであります。
 近年、漁港施設整備では、漁港利用調整事業としてフィッシャリーナ整備事業で、漁業関係者の理解のもと遊漁船の停泊できる漁港整備にも取り組まれているところであり、民間でも立派なマリーナができつつあるところであります。しかし、和歌山下津港、海南築港、琴の浦湾初めかなりの港湾施設で正式許可のないまま係留されている実態を目の当たりにするところであります。
 第一点、現状をどのように把握され、考えておられるのか。
 第二点、現在、正式に許可のないまま係留している遊漁船等に対し正式許可を与えるべく指導し、きちっと賃料を取り、その財源で港湾のしゅんせつや施設の整備を図っていけないのか。
 第三点として、今後、遊漁船等の売買時には自動車の場合の車庫証明と同じく、係留場所の証明を義務づけられないのかを関係機関と協議できないか。
 以上、土木部長より答弁願います。
 最後に、路上生活者対策について取り上げたいと思います。
 最近、JR和歌山駅近くや和歌山城公園内初め、拙宅の周辺でも、路上生活者、野宿生活者、マスコミ用語ではホームレスの人々の姿をよく見かけるようになってきたところであります。
 以下、三件の関係事例を申し上げます。
 一つは、昨年一月二十四日には、東京都庁により新宿駅西口地下街で約四百名のホームレスが強制排除された件であります。通行妨害、悪臭などの苦情が新宿駅や近隣商店街から出され、東京都による動く歩道建設工事にも支障を来し、退去勧告をしたが従わなかったためということであり、四名の公務執行妨害による逮捕者も出ました。ことし五月のメーデーには、新宿駅前広場において全都野宿者の集会が持たれ、「仕事を与えよ。住むところを与えよ」とのシュプレヒコールが繰り返されたとのことであります。
 二つ目は、一方、大阪府下でことし三月に、「ホームレスをからかうのがおもしろかった」と、寝屋川市の中学生十四名がホームレス男性に対するエアガン襲撃事件で摘発された件であります。検挙された少年たちは、罪の意識もなく、動機について淡々と供述したと報道されております。彼らは、非行歴もない表面上まじめな生徒であり、それだけに余りに常軌を逸した行動は、通っていた中学校関係者を中心に大きなショックを与えているとのことでありました。襲撃事件で被害に遭ったホームレスの男性六十三歳は、アシの茂る淀川の河川敷で、散乱した生活用品や壊されたテント小屋を見詰めながら、「悔しいというより惨めな気持ちになった」と事件を振り返ったということであります。
 少年問題に詳しい森田洋司大阪市立大学教授は、ホームレスを邪魔な存在ととらえる大人社会の偏見がそのまま子供たちに反映していると分析、欲求に素直に生きる考えが、そのまま抑制のきかない未成熟な子供たちを生んだと、凶悪化する少年犯罪の背景を説明されています。大人社会は、少年の暴走のきっかけばかりか、増長させる環境までもつくっているとも言えるのであります。
 三つ目は、同じく大阪市あいりん地区での日雇い労務者たちの胃袋を支えてきた炊き出しが、四月から一日三食から一日二食に減ったとの件であります。四年前の米不足の際に大量流入し、余ったものをかき集めたタイ米が底をつき始めたということで、長引く不況で仕事の少ない時期だけに、労働者たちの生活に重くのしかかっているということであります。炊き出しをしている釜ケ崎炊き出しの会では、「路上生活者の中には体を壊している人も少なくない。どんな米でもいいから援助してほしい」と呼びかけをしているとのことであります。大阪市では、ここ十五年来、毎年、百五十人を超す人々が、公園や路上、簡易ホテルで、家族や親族にみとられることなく亡くなっているとのことであります。
 以上、ご紹介した東京や大阪の話は、本県にとっても他人事とは言えない身近に迫った問題でもあります。もちろん、路上生活者の一人一人が継続して働く意欲がない、計画性のある社会生活ができないということが最も大きな要因であり対処法が難しいのでありますが、県当局におかれては、このような一つの社会現象に対し、市町村と連携をし、実態の把握や今後の対策、そして治安上の体制整備に担当部局で取り組まれるよう要望し、第一問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの神出政巳君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 神出議員にお答えをいたします。
 まず、国の財政構造改革についての見解をということでございます。
 国においては、去る六月三日、財政構造改革を推進し、歳出の改革と縮減を着実かつ強力に進めていく旨の閣議決定がなされたわけでございまして、目下、そのための法案づくりの作業が進められてございます。このたびの財政構造改革は、主要先進国の中でも最悪の危機的状況にある我が国財政の構造的改革を進めることが、来るべき二十一世紀において効率的で信頼できる行政を確立し、安心で豊かな福祉社会、健全で活力ある経済社会を実現するために避けて通れない課題であるという考え方に立つものでございます。今後、官と民、国と地方を通じて総力を挙げて取り組んでいかなければならないと考えてございます。ただ、その場合においても、単なる財政収支の改善、あるいは一律の歳出カットという次元にとどまるべきものではなく、各地域の実情を十分に踏まえ、活力ある地域社会を築いていくんだという視点が不可欠であろうと考えてございます。
 去る六月十九日には、平成十年度の政府予算等に関する重点事項の要望活動を行ったわけであります。財政構造改革の推進方策が閣議決定された直後でもございましたので、各省庁では厳しさと同時に戸惑いも感じられたわけでございます。しかし、真に整備がおくれている分野、地域への重点化、国土の均衡ある発展と整備水準についての地域間格差の是正が重要な課題であるという認識は得られたと思っております。今後とも、半島に位置する本県の社会資本の整備充実、あるいは高齢化への対応策の必要性など、本県の実情をしっかりと訴えまして関係者の理解を得るべく、さまざまな機会を通じ、さらにまた議会の先生方のご協力も賜りながら、政府予算の獲得に向けてさらに努力を続けてまいりたいと考えてございます。
 次に平成十年度の予算編成については、今申し上げた国の財政構造改革の動き、あるいは社会経済動向等を慎重に見きわめながら検討していきたいと考えておりますけれども、県財政を取り巻く諸条件から総合的に判断いたしまして、少なくとも現時点における見通しとしては、次年度予算は極めて厳しいものになると思っております。しかしながら、その中にあって喫緊の政策課題に適切に対応いたしまして和歌山新時代の展望を開いていくためには、限られた財政資金の重点配分、歳出の合理化、効率化をより徹底していく必要があろうと思っております。今後、そのための取り組みを進めてまいりたいと考えているところであります。
 また、他の府県においても、同様の問題認識から予算編成システムに種々の改善策を講じようとしていることは、議員お話しのとおりでございます。こうした事例も参考にしながら、本県の実情に合った予算編成システムの改善を図ってまいりたいと思っております。そのための具体策として、次年度予算編成の基本方向を検討する庁内政策協議を早急に実施いたしまして、複数部局にまたがる政策テーマなどについては組織横断型の予算編成手法を導入するなど、新たな視点からの予算編成作業を既に事務当局に指示しているところでございます。
 次に、ご提言の本県と奈良県、三重県との問題でございます。
 目下、紀伊半島三県知事会議などの場において、太平洋新国土軸の構築、総合交通体系の整備、災害時における協力体制の確立、南紀熊野体験博を中心とした紀伊半島リレーイベントの実施などの広域的事業について三県共同で取り組むことに合意をしておるわけであります。
 具体的には、本年度から三県の高等学校のテレビ会議システムの導入、紀伊半島民俗芸能サミットの開催、三県共同組織である吉野熊野地域振興協議会の東牟婁県事務所内への設置など、事業の具体化を図っておるわけでございます。今後とも、こういった広域的に展開が可能な事業を積極的に推進することによりまして、三県の協調、連携の強化を図っていきたいと思っております。
 議員からご提言のございました、仮称でありますが南近畿政府構想については、昨今、市町村合併あるいは全国十二州制などの論議もあるわけでございます。先般も、広域行政などについて自治大臣と知事会有志との政策懇談会がございまして、私も出席をして意見交換なども行ったところであります。かつて本県にも阪奈和合併が議論された時期もあるわけでございますけれども、今お話のありました三県合併構想などについては、将来の広域的な圏域の一つのご提言ということで目下は承らせていただきたいと思っております。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 神出議員のご質問にお答えいたします。
 まず、公共工事費削減の中での見直しについての見解でございます。
 厳しい財政事情のもと、限られた財源を有効に活用し、より効果的な公共事業の執行を図るために、工事費のコスト縮減を推進していく必要がございます。土木部では、本年度、施行の効率化や再資源の活用等についてのモデル工事を行うこととしております。さらに、本年四月に閣議決定された公共工事コスト縮減対策に関する行動指針を踏まえ、県として全庁的な取り組みを行うために、公共工事コスト縮減対策部会を設置したところでございます。対策の内容については、工事の計画、設計、発注、実施の各段階での効率化等により、公共工事のコストを少なくとも一〇%以上の縮減を目指すこととしております。このため、平成十一年度末までにすべての施策を完了し、この期間中におおむねの縮減効果が得られるよう努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、都市計画道路の整備に関するご質問でございます。
 都市計画道路は、市街地における都市活動を支える重要な基盤施設であり、都市生活を安全快適に送るために必要不可欠なものであります。県、市町村ともに都市計画道路の整備に積極的に取り組んでいるところであり、事業執行体制の強化や予算の確保に今後とも努めてまいります。また既定の計画についても、社会情勢の変化等に伴い、計画の見直しが必要なところについては、都市計画の主体である市町村の意向を踏まえながら進めてまいります。
 公共事業を取り巻く状況が厳しくなっているところから、早期に事業効果を発揮させるために重点的に整備を進めることが必要と認識しており、効率的、効果的な事業実施のための道路全体の整備プログラムを策定すべく検討を進めております。
 次に、港湾内の遊漁船等の係留についてのご質問でございます。
 現状の把握についてでございますが、遊漁船等プレジャーボートの放置状況調査については、昨年の平成八年度を含めて過去三回実施して状況の把握に努めているところであります。平成八年度調査に基づく県内の遊漁船等プレジャーボートの状況については、その総数は約五千八百隻で、そのうちマリーナ等の施設への保管艇は約一千隻のみであり、いわゆる放置艇は約四千八百隻となっております。また、このうち港湾区域内への放置艇は約二千七百隻となっております。
 次に、正式に許可し、適切な対応をということでございますが、放置艇が引き起こす問題として、係留場所の私物化、公共施設の破損、船舶航行の支障、災害発生時の被害の拡大、周辺住民とのトラブル等、種々の問題を含んでおり、対策として適切な受け皿の問題が喫緊の課題と考えております。
 そこで県では、一千隻収容規模の和歌山マリーナシティを整備中のほか、平成八年度までに和歌山下津港内の三カ所に遊漁船等の小型船舶を係留するためのプレジャーボートスポットの整備を行い、およそ百三十隻を収容しているところであります。なお、施設の使用料については、議員ご指摘の施設整備費用に充当するまでには及びませんが、和歌山下津港等の港湾の維持及び管理費用に充てられることとなっております。
 最後に、遊漁船等への係留場所の義務づけについてでございますが、受け皿となる施設が大幅に不足している現状では非常に困難であります。現在、国においては、運輸省、建設省及び水産庁が協力して、港湾、漁港及び河川におけるプレジャーボートの係留、保管のあり方を検討しているところであり、今後その動向を踏まえながら、安全で秩序あるプレジャーボートの係留、保管方法を検討してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) 以上で、神出政巳君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(町田 亘君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時三十三分休憩
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