平成9年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(中山 豊議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時四分再開
○副議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番中山 豊君。
 〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 今回は、通告を見ていただいてもご理解いただけるように、県政の根幹に触れるような課題はさておいて身の回りに散在するあれこれの課題を取り上げ、当局のお考えを求めつつ、取り組み方を要請しようと、数点のご質問をさせていただきます。
 のっけから要望ということから入るわけですが、まず一つに、国立衛生試験所和歌山薬用植物栽培試験場についてであります。
 試験場の沿革によると、昭和十四年、ケシの栽培対策の研究を目的として設立されたとあります。極めてすぐれた品種を生み出すなど大きな成果を上げてこられ、その後、品種改良、優良な系統の栽培法と種子の保存、病害等の試験、並びに農家に対する栽培指導に当たったとあります。しかし、私が読んだものによると、日本が中国──昔の支那であります──に向けて膨張政策をとるにつけて、ケシの栽培を旺盛にして多大の利益をむさぼり、それだけにあらず、アヘンを吸引さすことを勧め、人々の怠惰を誘い、士気を損ない、勤勉な勤労意欲を減退させて、ひいては国力の低下をもたらす植民地化を推し進めたということの一言だけは添えておかなければならない、このように思うわけであります。ケシの栽培の最盛期には、汽車の沿線に見るケシの開花期は今も印象深いものがあります。ケシの主産地を形成し、地域農業の振興に一方ならぬものがあったようであります。
 事情が変わってケシの栽培は見る影もありませんが、昭和五十一年、漢方エキス製剤の薬価基準収載に伴い生薬消費量が急増したため、国内産原料生薬の確保が求められるようになり、五百種以上の薬用植物を栽培し、薬草に関する情報提供と普及を図っているとのことであります。県薬務課が進める生薬資源開発推進にも協力し、県下の農家の指導に当たり、生薬生産地の形成にも力を注いでいるとのことでありました。今後さらに生薬生産地の形成について、中山間農業振興の立場からどのようなお考えにあるのか、お聞かせください。その対策を一つの大きな課題として考えたわけであります。
 今日、生薬原料は中国、朝鮮等からの輸入に依拠しているところが大きいが、むしろ国産需要に展望を持ち、生薬生産地の形成を図る取り組みをしてみてはどうかと思うのであります。
 さらに、そこの場長が、定年退職後もここにとどまり、振興と普及に尽力したいと意欲を示しておられたけれども、貴重な人材だとうかがえたわけであります。薬務課サイドのみならず、農業振興、山村対策等とリンクした取り組みを検討されて、全国でも数少ない施設であることにかんがみて、大いに提携を図ってみてはどうかということであります。
 美里町の山合い、生石山の山すそにへばりつくようにしてある山村の住民から聞いたお話であります。この話は、この問題を取り上げるのに大きな要因になったことは否めません。すなわち、「ここ五年もしたらなあ、人の里でなくなり、けものの里になるよ。人間が住み続けられるようにならないものか」、このように申されました。この声にこたえるためにも、生薬生産地の形成に一つの試みとして努めてはいかがか、このように提起を申し上げるわけであります。答弁をいただけるように投げかけて、要望といたしたいと思います。
 農業用ため池についてであります。
 生産調整の名のもとに、米産減反により農業の弱体化が極度に目立ち、後継者難で追い打ちをかけるようになり、今日、折しも田植えの季節をようやくにして済ませたところだが、あと五、六年もしたら地域に農業をする者はいなくなる、やれるところまでやるだけやという、やけっぱちなような感じのお話をよく聞くわけであります。これをどうするか、真剣に取り組まねばならないと思うところだが、このたびは表題に掲げたため池の現状を述べて、これの取り組みについて当局の考えを求めます。
 海南市のある地域に例をとってみましょう。農家戸数六十三戸、専業農家なし、水田面積が約二十ヘクタール、畑樹木地が二ヘクタール、用水ため池が大小合わせて三十カ所。まさに、ため池に依拠し切っているわけであります。昔の人々の稲作文化の原型を見るようでありますが、戦後五十年、ため池と用水路の管理は行き届かず、荒れ放題であります。ほとんどは、補修並びに改修を要する池の状態になっておるわけであります。その中でも直ちに補修、改修を要する池五カ所、樋の老朽化、水漏れが主であります。それに加えて、堤の決壊等であります。その中で、一つは県営で改修をと協議が進められているのは、せめてもの救いであります。他は市や水利組合等で対策を検討し、個人池は手つかず──ここが一番問題かとも思われるのですが、まさに大変であります。災害発生源にもなりかねません。こんな実態は県下どこにでもある状況ではないかとうかがうところであります。実態を調査し、特別の対策を急がれるところと思うのですが、どうでしょうか。
 ちなみに、昨年六月に七山地区で一つの池の堤と樋を県営事業で改修していただきました。特別養護老人ホームが池の下にあることから、関係者や地区住民はすごく喜んでおられるわけであります。本事業は、たまたま池周辺の山の土を利用し得て容易に進められたことで、山の所有者はこれに全面的に協力し、平成の井沢弥惣兵衛とさえ称賛されているぐらいの話であります。事ほどさように、人々の池に対する関心は強く、心配は大きいわけであります。
 そこで、ため池の実態、危険ため池の改修計画と手だてはどうなんでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、下排水対策についてであります。
 環境保全、特に河川浄化への人々の関心は強いものがあります。下排水対策のおくれが目立って悪いとされる本県にあって、公共下水道事業を補う立場から、農業用集落排水事業、合併処理浄化槽整備事業を眺めてみるのも一つの考えだと思い、尋ねることにしたわけであります。
 集落排水事業の計画実施に当たって、ご留意なさっている主な点と普及状況、合併処理浄化槽整備事業を県が年度別に普及するのに補助をしてきた実情について、県下自治体の要求に見合う対応ができているのか。
 これについて海南市の例を述べてみますと、平成五年から始まったこの事業ですが、始まった当時は三十一基、年々ふえて、平成九年度では七十四基と倍以上にその数がふやされて、住民、市民の要求にこたえられてきているところがうかがえるわけであります。かなり努力をなさってくれているようにお見受けするところでありますけれども、今後についての考えをお聞かせください。
 一方、市街地の下水道事業はもっと困難な状況下にあるのではないかと思われるわけであります。県下の普及状況と今後の見通しをお尋ね申し上げます。
 四番目に、ダイオキシン対策についてであります。
 県内のごみ焼却場から排出されるダイオキシン濃度について四月には、厚生省の調査によるとして各紙が報じたところであります。これによると、厚生省が緊急対策が必要とされる八十ナノグラム──一ナノグラムは十億分の一グラムという話であります──をオーバーしているのが県下で二カ所、それにやや近い数値を示している施設が幾つかあるようです。
 言うまでもなくダイオキシンは、ベトナム戦争当時、アメリカが枯れ葉剤としてまき、皆殺しの手段として使ったものの残留毒素で、ベトちゃん、ドクちゃんに見る奇形やがん、生殖障害などを引き起こした猛毒物質であることは周知のところであります。このような猛毒物質が、ごみ焼却場の排煙内に含まれていることは大変なことであります。厚生省は、八十ナノグラムを基準に、これを超える施設には緊急対策を求めるとしているけれども、西欧各国の基準値から見ると、この数値でさえかけ離れていて、この数値自体を問題にしなくてはと思うところだが、さしずめ、厚生省基準値八十ナノグラム以下に下げる取り組みを求めることはもちろんのこと、厚生省の示しているガイドラインに沿う取り組みを県はどのようにされようとしているのかというのがこの問題の質問の主なところであります。
 現状を見るとき、焼却場の設置者である市町に責任があるばかりとは言えないのではないでしょうか。厚生省が基準を決めて規制だけを求めるかのようなやり方は、今日の事態になじまないのではないでしょうか。ダイオキシンを取り除くフィルターだけでも、海南市が設置している焼却場のような規模でさえ約十億かかるというお話であります。
 四日前の報道によると、環境庁は基準達成の目標期間を五年とし、一年以内にどのような焼却炉も一立方メートル当たり八十ナノグラム以下とするよう求めているようであります。これを厚生省のガイドラインのレベルに近づけようとするのにはどうなさるのか、大変であります。市や町が取り組みやすい環境づくり、県は厳しく国に求めつつ、独自の支援を送るべきだと思うけれども、どうでしょうか。
 次、通信塔建設についてであります。
 携帯電話を中継とする通信塔がことしになって急に各所に建設されようとして、地域住民との間で問題にされています。共通していることは、建設しようとする業者側が事前説明を十分しないで着工するところにあります。住民から反発を呼んでいると見受けられます。住民は県に申し入れ、業者を指導し、住民の心配を取り除くよう求めるけれども、それらしく対応してくれるところがないと申されます。つまるところ、電波監理局へ言いに行けというようなお話であります。業者は、建築確認をとっていると、強引に推し進めようとします。電波に係る話は監理局へというだけでは、塔の建設にまつわる住民の不安や心配は除かれません。住民は、まず通信塔の建設について十分な説明をして理解を求めよと業者に指導してほしいと県に求めているところであります。地権者に了解をとり、県には建築確認を得ているからごり押しをして建つようなことのないように注意をしてほしい。
 もちろん、電磁波の人体への影響などについて業者は住民に詳しく説明すべきだとも言われます。住民とのコンセンサスに失敗して、供用開始できない場面に追いやられているところもあるように伺うわけであります。建設に伴う申請段階から的確に県の指導があって当然と思うのですが、文明の発達に伴い発生する課題への対応に既往の体制で事足りない場合は敏感であってほしいわけであります。所見をお伺いいたします。
 道路問題についてであります。
 国道四百二十四号線の拡幅整備はかねてより何回か申し上げてきたところですけれども、黒沢ハイランド彦ケ瀬まで見通すとき、上谷地区の入り口部分が極めて狭隘で、民間の協力が得がたく、資材運搬の車両さえ入りにくく、工事を進めるにも事欠いてきたわけですが、県の努力の結果、ようやく協力が得られるところとなったようです。今日の時点での未着手部分の整備計画を改めてお聞きしたいと思います。
 次に、業者は県道小野田内原線を割って宅地造成団地内へ給水管を埋設しました。その後始末が悪く、路面に凹凸段差があり、通行者は危険だし、夜の振動等があって住民からの整備方を強く求められてきたところですけれども、一向に着手しようとしません。県は、開発許可を与え、給水管埋設を認め、道路管理の責任等、二重、三重の責任から見ても、おろそかに見て済ますことがあってはならないのではないか、これについての今日の当局の考えをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、県道海南金屋線の整備についても過去に何回か取り上げました。重根・田津原間バイパス、及び別所方面についての考え方を確かめてきたところです。今回は幡川・日方区間に、特に神田地区間の狭隘なところだけでも既設道路幅に合わせて応急措置をとったらどうでしょうかということのお話を申し上げて、所見をお伺いしたいと思います。
 次に、日高港湾整備事業について質問をいたします。
 この事業は、県の中で大型プロジェクトの一つの事業でありますが、この三月以来大きな変化がありました。埋立同意の必要な三漁協のうち二年半前には否決していた三尾漁協が、この三月六日の臨時総会で埋立同意を採択しました。その同意の内容を踏まえて四月には、美浜漁協と御坊市漁協が改めて埋め立てに同意をいたしております。現在、県段階で公有水面埋立申請の準備を進め、近く申請を行うやに伺っております。以下、三週間の公告縦覧で住民の意見を把握した後、御坊市長に諮問をし、市議会で埋立同意の議決を諮る、その議会議決を受けて御坊市長の答申が出された後、運輸省への許可申請を提出するという手続になろうかと思われます。そこまで進んできた日高港湾計画ですが、計画策定から長い年月を経ており、だからこそ改めてこの計画そのものを検討してみたいと思うわけであります。
 そもそも日高港湾計画は、一九八三年に国の重要港湾として指定された港湾ですが、それから十四年になろうとしています。当時の社会状況、経済情勢から大きく変化をしております。地方港湾であった木材を中心とした日高港が、地域産業、地場産業の中心であった木材、製材関係の方々の熱心な運動で、もっと大きな港をと求めたのが発端でありました。重要港湾に指定された当時は、大阪湾諸港の機能分担を図るという位置づけがなされていましたけれども、社会経済情勢の変化によりその必要性は変わってきているのではないでしょうか。ですから、この日高港湾整備の必要性が当初の目的とは違ったものになってきているのではないかと考えざるを得ないのですが、いかがなものでしょう。
 一九九二年六月、基本計画の見直しがなされています。ところが、一九八三年当時の貨物取扱量の四百三十万トンはそのまま変わらず、外貿を九十万トンから百万トンに十万トンふやし、内貿を逆に三百四十万トンから三百三十万トンに十万トン減らしたにすぎません。九二年の見直しではその内訳まで示されていませんが、八三年当時の内訳を見ると、四百三十万トンの全体のうち、原油の取り扱いが二百万トン、セメントや重油がそれぞれ二十万トンとなっており、地場産業である原木は七十二万四千トン、砂、砂利が二十万トン、米、雑穀、豆が二十万トンとなっています。つまり、現在稼働している御坊火力発電所関連のものが半分以上を占めるに至っているわけであります。さらに、九二年の見直しから見ても既に五年が経過しています。工事着工間近という時点に立って、和歌山県としてこの日高港湾の性格づけとなる貨物取り扱いについて、品目ごとの取扱量をどのように計画されているのか、まずお示しを願いたいわけであります。
 二点目に、事業費の面からお伺いいたします。
 一九九二年六月に一部変更が認められて、第一期計画をまず事業実施していくことになりました。早期に事業効果を発揮する、需要が確実に見込まれる低廉な用地を造成する、地元負担能力に応じた速度で整備を行う、地元の合意形成が容易な計画という基本方針のもと、全体面積十八・二ヘクタール、売却用地八・九ヘクタールを第一期計画として整備するとしています。今回、埋立申請を予定しているのはこの第一期事業でありますが、二期を含めた日高港湾整備全体計画は五百七十億円とされてきました。既に、一九九二年の見直しからでも五年経過しています。経済状況の変化もあります。現時点での第一期計画の事業費の見込み、そのうちの国直轄事業費と国補助事業費、また埠頭用地と企業用地費用のそれぞれ、またそのうち国、県、御坊市の負担予定額について、それぞれお示し願いたいわけであります。
 また、二期事業を含めた全体の事業費総額を今日の時点で見込まれているのか、お示しください。
 先般来、社会問題化している問題に、一たん開始された公共事業はどんなことがあっても強行され、国際的にも批判を受けている長崎県の諫早湾の干拓問題のように、勇気ある撤退が求められる事態さえあらわれています。これに関連して、二期事業の必要性についても、いま一度再検討する必要があるのではないかと考えるのですが、県当局のお考えをお示しください。また、県の負担も相当大きなものになろうと思われるのですが、この財政計画についてもご説明をお願いいたします。
 次に、埋立造成地の活用についてであります。
 港湾整備の事業は、造成地にどれだけの企業立地があるかどうかにかかっていることは言うまでもないことです。それゆえ、先ほど述べた第一期計画の基本方針が立てられたのでしょう。御坊市の方では、一九八八年当時はこの第一期計画に進出する可能性のある企業で日高港湾進出企業協議会を設置し、協議を行ってきたと聞いています。当初は九社が参加し、地元企業も三社が入っていたようですが、現時点で何社が進出を予定し、その売却予定面積はどれぐらいでしょうか。低廉な用地の提供がかぎになりますが、その売却単価はどのくらいを予定されているのでしょうか。御坊には、御坊第一工業団地、第二工業団地と相次いで県企業局が事業主体となっての工業団地や造成予定地がありますが、第二団地で一社だけという状況です。この二の舞にならないのかどうか、この点、明確にお答えをお願いいたします。
 経済効果についてであります。
 今、全国で開発型地域振興策が破綻していることにかんがみて、多額の借金をして企業誘致を図る、いわゆる呼び込み方式と言ってもいいでしょうか、日高港湾整備計画がそうならない保証はあるのでしょうか。御坊第二火電計画で県は盛んに経済効果を強調されていますが、この日高港湾計画ではこうした試算はされているのでしょうか。されているのであれば、お示し願いたいわけであります。──ちょっと前段で急いで割愛したところもあったんで、多分に時間の余裕が出てきました。
 この項目の最後に、御坊第二火力発電所計画との関連についてお尋ねします。
 既設発電所は、この日高港湾区域内に計画されており、貨物取扱量の中にも含まれていることは既に述べたとおりです。第二火力発電所計画は、関西電力の当初の計画では、和協二十二の中だけで人工島の新設というものでしたが、途中から既設火電の南岸壁を共有する計画になりました。したがって、日高港湾区域に含まれるものになるのではないでしょうか。もし第二火力の建設が決定されたら、港湾区域も貨物取扱量も大幅に変わってくるとお見受けするわけですが、この点についての県当局の見解を伺っておきたいと思います。
 御坊市が紀中の中核都市としてますます発展することになるであろうことを願って、質問を終わりたいと思います。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) まず、お話にございました薬用植物の栽培についてでございますが、これはご要望でございますけれども、県においては中山間地域の振興作物として産地の拡大と定着に努めているところでございますので、ご報告だけさせていただきます。
 次に、農業用のため池についてでございます。
 本県におけるため池は、約五千九百カ所ございます。そのほとんどが、管理者である地元集落及び水利組合等で維持管理されているのが現状でございます。
 ため池は、農業用利用のみならず、防災機能や自然環境保全等の公益的機能を有しておりまして、その維持保全を図ることは重要であると考えてございます。県といたしましては、県単独調査としてため池の実態調査を行っているほか、下流に民家等があり水防活動が必要な重要水防のため池につきましては詳細な実態調査をし、パソコンによるデータベース化を図っているところでございます。農業用ため池の改修につきましては、これまでもその促進に努めてまいったところでございますが、今後ともこれらの調査結果を踏まえ、緊急度の高いものから順次整備を進めていく所存でございます。
 なお、改修を要する池につきましては、関係農家が二戸以上で採択基準に合えば補助事業で対応を図ってございます。今後とも、市町村及び地元との調整を図りながら整備促進に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、下排水対策についてでございますが、そのうち農業集落排水事業は、昭和五十八年度に農業用排水の水質保全、用排水施設の機能維持、及び農村生活環境の改善を目的に創設された事業でございまして、本県では農業振興地域のうち約四万八千戸の整備を目標に事業の促進に努めているところでございます。今日までに十七市町村四十地区において事業着手され、うち七地区が完了、三十三地区で実施しており、市町村数、地区数も年々増加の傾向にございます。しかしながら、事業推進、計画をするに当たり、処理場用地の確保等が難しく、その問題を解決するため、県単独補助事業といたしまして処理場周辺整備の農業集落排水施設関連地域整備事業を創設し、事業推進を図っているところでございます。
 今後とも、全国唯一、女性により組織されました和歌山県農業集落排水推進協議会及び各市町村と、さらに連携を密にしながら事業の普及促進を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 中山議員にお答えをいたします。
 下排水対策についての二番目、合併処理浄化槽整備事業の県の年度別普及実情と今後の見通しについてでございます。
 合併処理浄化槽整備事業につきましては、生活排水が水質汚濁の主な要因であることから、市町村が行う事業に国庫補助制度が創設されたことに伴いまして、県も交付要綱を定め、補助金を交付しているところでございます。平成元年度に六市町村で事業を開始して以来、平成八年度までに四十四市町村が事業を実施し、平成八年度末の総数は自己設置も含めて一万七千三百九十四基となってございます。年度別といたしましては、平成六年度は三千二百五基、七年度は三千二百五十七基、八年度は三千六百六十九基の設置となってございます。
 また、これまでは国に対して積極的な要求に努め、市町村の要望に見合う補助が行われてまいりましたが、平成九年度は国の財政状況等によりまして非常に厳しい状況にございます。県といたしましては、今後とも国庫補助金の獲得等に努め、水質保全のため、汚水衛生処理率の向上に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、ダイオキシン対策についてのご質問のうち、一番目、八十ナノグラムをオーバーした施設に対する緊急改善対策についてであります。
 ダイオキシン類は燃焼温度が摂氏三百度から八百度の間に主に生成されるため、緊急対策として摂氏八百度以上の燃焼管理、排ガス処理施設入り口における排ガス温度を摂氏三百度以下で処理すること、また塩化ビニールなどの塩素化合物の燃焼により生成されることにかんがみまして、塩化ビニール類の分別収集も暫定方法として有効と考えてございます。県といたしましては、ダイオキシン類排出濃度が八十ナノグラムを超える市町村に対しまして、これらの方法等によりダイオキシン類を削減するよう指導しているところでございます。
 二番目、厚生省ガイドラインに近づける県の取り組み、三番目、設置者の市町が取り組みやすい環境づくりをということについて、合わせてお答えをいたします。
 一般廃棄物焼却炉につきましては、厚生省ガイドラインの恒久対策を実現させるためには、一日当たり百トン以上の連続式の焼却炉、またはごみ燃料化の方向が考えられますが、市町村単独では一日百トンのごみは確保しにくいため、広域化処理が求められてございます。また、ごみ燃料化につきましても、燃料化したものの処理先の確保等、市町村単独では困難なことも考えられるため、国の今後の方針を踏まえた情報提供及び各種対策の把握に努めるとともに、市町村間の調整やごみ処理の今後の方向等、市町村とともに研究してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 中山議員のご質問にお答えいたします。
 まず下排水対策のうちの、公共下水道事業の今後の見通しについてでございます。
 県内の下水道事業の実施状況は、平成八年度末現在二市十三町で、そのうち一市七町が供用開始しております。処理人口普及率は八%となってございます。下水道事業実施については、終末処理場の設置場所の選定、地元調整、市町村の厳しい財政状況等の問題点もありますし、また昨今の厳しい財政状況のもとにあるわけでございますが、第八次下水道整備五カ年計画における処理人口普及率一四%を目途に下水道事業の促進を図ってまいりたいと考えております。
 続きまして、道路整備に関するご質問でございます。
 国道四百二十四号の整備についてでございますが、上谷地区入り口部の狭隘区間約二百メートルの一部区間について、用地及び物件を本年度に買収することにしております。また郡界までの未改良区間約二キロメートルについては、現在、詳細設計及び用地測量を実施しており、海南市、地元関係者の方々の協力を得ながら、特に狭隘な部分から順次現道拡幅の整備を進めてまいりたいと考えております。
 県道小野田内原線且来地区内の舗装についてでございます。
 ご指摘の件につきましては、宅地開発業者が上水道管埋設のため、平成八年一月十五日から同年四月三十日までの工事期間で約二キロメートルを掘削して仮復旧をいたしましたが、その後の本復旧が遅くなっているものでございます。本復旧につきましては、その費用を原因者である宅地開発業者から徴収し、工事については道路管理者である和歌山県が行うこととしておりましたが、宅地開発業者が再三の支払い請求に応じなかったため工事が実施できなかったものでございます。このため県では、宅地開発業者に対してみずから本復旧工事を実施するよう指示し、七月一日から工事に着手することになりました。地元の皆様にはご不便をおかけしていますが、今後、工事が迅速かつ適切に行われるよう指導監督してまいります。
 続きまして、県道海南金屋線日方・神田地区間の狭隘区間の整備についてでございます。
 県道海南金屋線の幡川・日方区間は、海南市市街地の外環状道路であり、都市計画道路日方大野中藤白線として幅員十八メートルで都市計画決定しております。日方・神田地区間は狭隘であり、早期整備の必要性があると考えてございます。現在、海南市域で施行中の海南駅連続立体交差事業や築地阪井線の早期完成に努力するとともに、海南市と協議し、市域全体の道路ネットワークを踏まえ、具体的な整備方針を検討してまいります。
 次に、日高港港湾整備計画についてのご質問にお答えいたします。
 最初に日高港の貨物取扱量についてでございますが、平成七年の取扱貨物量は約百八十六万トンであり、うち公共貨物は原木や建設資材で約三十五万トンとなっております。日高港第一期計画が完成することにより、これまで大阪湾内諸港や徳島県の小松島港等から海送や陸送で二次輸送していた輸入原木や砂、砂利、セメント等の建設資材について、よりコストの安い海上輸送が可能となるため、公共貨物はおよそ八十五万トンに増加すると現時点では見込んでおります。
 整備事業での地元負担と県の財政計画についてのご質問でございます。
 事業費につきましては、現時点で第一期計画の事業費はおよそ三百七十億円を見込んでおります。その内訳は、国直轄事業約二百四十億円、補助事業約六十億円、県事業約七十億円でございます。負担割合につきましては、国直轄事業及び補助事業について、国と地方の負担がそれぞれ二分の一でございますが、地元御坊市に国直轄事業の十分の一、補助事業の六分の一を地方負担の一部として負担していただくこととしております。
 次に二期計画について、現段階では取り組んでおりませんが、次期港湾計画で二期計画の位置づけも含めて検討してまいりたいと考えております。また事業費の財源につきましては、整備に関する諸制度を十分に活用し、適切に対処してまいりたいと考えております。
 続きまして、開発と地域振興策との関連で、本計画の経済効果についてでございます。
 港湾を整備することによりまして、日高地方の主要産業である製材業について、輸入原木の輸送コスト削減により市場競争力の強化が図れることや、建設資材の輸送コストが削減されること、また新規の企業誘致を促進すること等により地域の産業振興に大きく寄与するものと考えております。さらに、建設に伴う雇用の増大や資材の調達等による地域経済への貢献など、さまざまな経済波及効果を見込んでおります。
 御坊第二火力発電所計画で港湾区域も貨物取扱量も変更にならないのかというご質問でございます。
 日高港港湾計画と御坊第二火力発電所との関連については、既設御坊発電所に隣接して、新たに大規模埋め立てや専用桟橋、外洋シーバース等が計画されていることから、建設の前提として日高港港湾計画への位置づけが必要となります。このため、国の電源開発調整審議会の議を経て国の電源開発基本計画に組み入れられれば、その段階で遅滞なく現在の港湾計画を改定して、火力発電所計画を取扱貨物量も含めて位置づけ、さらに港湾区域の拡張を行ってまいることとしております。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 中山議員にお答え申し上げます。
 議員お話しのとおり、携帯電話に係る通信中継基地の許可は国の事務となっております。また、電気通信事業者は法的には地元説明を求められてはいませんが、携帯電話が全国で二千九百二十万台余の普及がなされる公共性の高い通信基盤であることから、進出に当たっては社会的な責任を果たす上からも地元への説明が必要ではないかと考えております。
 県といたしましては、これまでにも市町村役場と連絡を密にしながら進出事業者に地元説明の実施を要請してきたところであり、今後とも県としてできる限りの対応をいたしてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 企業局長佐野萬瑳義君。
 〔佐野萬瑳義君、登壇〕
○企業局長(佐野萬瑳義君) 中山議員のご質問にお答えいたします。
 埋立造成地の活用についてでございますが、本事業は、日高港港湾計画に基づき、紀中地域の物流、並びに地域開発拠点として臨海部の土地需要にこたえ、企業用地を造成するものであります。
 ご指摘のとおり、本事業の成否のかぎとなる進出可能企業の把握につきましては、昭和六十三年に御坊市を窓口として日高港湾進出企業協議会が設立され、これまで進出の意向打診等を行ってきたところでございます。ことしに入って、地元三漁協の同意が得られた後、改めて協議会において意向調査の結果、九社で約八ヘクタールの用地取得の希望がありました。
 なお、売却単価につきましては、現在、一平方メートル当たり六万円程度を予定しております。
 当造成地は、港湾機能を有した付加価値の高い企業用地であり、県内外から多くの企業立地が図られるものと期待をしてございます。今後とも、地元御坊市初め進出企業協議会等と十分連携をとりながら、鋭意、進出企業の把握と立地促進に努め、万全を期してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 33番中山 豊君。
○中山 豊君 三、四点、ご意見を申し上げ、要望を申し上げたいと思います。
 携帯電話の通信塔の建設にかかわるお話ですけれども、企画部長からご答弁いただきました。県民がこの問題にかかわって県へご相談申し上げ、いろいろと心配を取り除くために力をかしてほしいと思っても、以前だと、どこへ行っていいかわからないし、電波にかかわる話だったら大阪の電波監理局へ行けと言わんばかりのお話が返ってきたことから比べると、十分とは言えないけれども、ああ、あそこで受けてくれるんだということが明確になっただけでも評価しなくちゃならないと思います。これで県民は、この問題に係る心配や不安が解消されるかどうかは別にして、一緒に考えてもらえるセクションが明確になったということだけでも前進だったと言わなくちゃならないだろう。これは、県民が安心するところだろうと思うんです。「おおきに」と言いたいところです。
 通信塔の建設に伴う業者の進出は、ことしになってから急激にふえてきております。地元住民の同意をということがだんだんと県民の間に広まっていって、安易に勝手に建設を許すということにならなくなってきたというのも一つの力だと思いますけれども、それに対応して県のご相談にあずかっていただけるセクションが明確にされたということを評価して、次に移りたいと思います。
 土木部長、県道小野田内原線の宅地造成業者が県道を割って給水管を埋設した後始末が悪いというこの話は、もうかれこれ一年たとうとしているわけです。その間にあれやのこれやのということで、いろいろ県当局にもそのような声が反映してきたはずなんだが、土木部長の答弁もあったように、業者にその費用を出させて事業をするという考え方でいったけれども、業者がその費用を捻出しないという形でおくれたと、こういうお話ですよね。こんなことはあるんでしょうかね。これは、大変だと思うんです。
 一つは、開発許可を許したのも県でしょう。県道の管理責任も県でしょう。それと同時に、給水管を埋設するということを認めていったのも県であります。こういうふうなことを考えたら、二重、三重の責任を追及されてもいたし方のないことだと思う。これほどに住民が要求していっても実現されないということは、痛くない腹をさぐられるということにもなりかねないようなまずいお話なんですよ。行政は、県は、そういう業者に対してそんなに緩やかに対応していいものなのかどうかということを我々に考えさせられるような課題として受けとめられたわけです。背に腹はかえられんという立場からご質問申し上げたということもあるので、今後こういうふうなことのないようにご注意を申し上げておきたいと思います。
 しかし、七月一日から工事が施行されるということになったということだから、それはそれなりに評価をしておきたいと思います。これも「おおきに」と言いたいところだけれども、余り積極的に言えないですね。
 そして、ダイオキシンの問題です。
 八十ナノグラムという緊急改善対策に早いこと改善をさせるという厚生省のお話ですね。これに近づけるのに一年という早い期間にやろうということなんですが、部長の答弁を聞いていると、どうもそういうふうな緊迫感のある対応をしてくれるようなことには感じられなかった。そのことを申し上げておきたいと思います。
 さらに、厚生省が決めているガイドラインのレベルまで近づけようということになってくると、大変なお金の要る話になってくるわけです。こうなった場合、設置者である地方自治体のあれこれにゆだねるということにはならないのではないかと思うんです。これは、国の方でも思い切った裏打ちをしてもらうという取り組みも必要であろう。同時に、県の独自の支援策も要るであろう、ガイドラインレベルに到達させるのにどんな絵をかかれて、どんな資金が用意されてと、こういうふうなことにまで踏み込んだお話をいただきたかったわけですが、いただけないところをみると、なかなか難しいお話のようなので、それ以上踏み込むことにはしないでおくけれども、これはそうずるずる延ばしてあれこれできる話ではないと思われるので、いつの日か、早いこと国に向かってこういうふうなことをしますということなどを含めて、県民に発表できるような取り組みをお願いを申し上げて終わりたいと思います。
 以上です。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(下川俊樹君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時五十七分散会

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