平成9年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成九年六月二十四日(火曜日)
 午前十時開議
 第一 議案第八十八号から議案第九十八号まで、及び報第一号から報第六号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第八十八号から議案第九十八号まで、及び報第一号から報第六号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十七人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川 武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門 三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島 雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 谷 洋 一
 18 番 山 下 直 也
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 上 野 哲 弘
 21 番 堀 本 隆 男
 22 番 宇治田 栄 蔵
 23 番 宗 正 彦
 24 番 橋 本 進
 25 番 神 出 政 巳
 26 番 玉 置 公 良
 27 番 松 本 泰 造
 28 番 東 山 昭 久
 29 番 尾 崎 要 二
 30 番 野見山 海
 31 番 木 下 秀 男
 32 番 町 田 亘
 33 番 中 山 豊
 34 番 井 谷 勲
 35 番 鶴 田 至 弘
 36 番 森 正 樹
 37 番 村 岡 キミ子
 38 番 新 田 和 弘
 39 番 平 越 孝 哉
 40 番 森 本 明 雄
 41 番 長 坂 隆 司
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
 知 事 西 口 勇
 副知事 山 下 茂
 出納長 高 瀬 芳 彦
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 中 山 次 郎
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 生活文化部長 中 村 協 二
 福祉保健部長 小 西 悟
 商工労働部長 日 根 紀 男
 農林水産部長 平 松 俊 次
 土木部長 長 沢 小太郎
 企業局長 佐 野 萬瑳義
 教育委員会委員長
 山 本 昭
 教育長 西 川 時千代
 公安委員会委員 中 尾 公 彦
 警察本部長 青 山 幸 恭
 人事委員会委員長
 若 林 弘 澄
 代表監査委員 宮 市 武 彦
 選挙管理委員会委員長
 谷 口 庄 一
 以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 西 畑 彰 久
 次 長 前 晴 夫
 議事課長 佐 竹 欣 司
 議事課副課長 島 光 正
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 川 崎 良 雄
 議事課主事 大 浦 達 司
 総務課長 塩 路 義 和
 調査課長 湊 孝太郎
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時五分開議
○議長(町田 亘君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(町田 亘君) この際、報告いたします。
 過日提出のありました議案第八十九号は職員に関する条例でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
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 和人委第100号
 平成9年6月18日
 和歌山県議会議長 町 田 亘 殿
 和歌山県人事委員会委員長 若 林 弘 澄
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成9年6月17日付け和議会第109号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
 記
 議案第89号 和歌山県退職年金及退職一時金ニ関スル条例及び和歌山県退職年金及び退職一時金に関する特別取扱条例の一部を改正する条例
 意 見
 上記条例案については、適当であると認めます。
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 【日程第一 議案第八十八号から議案第九十八号まで、及び報第一号から報第六号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(町田 亘君) 日程第一、議案第八十八号から議案第九十八号まで、及び地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第一号から報第六号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 4番吉井和視君。
 〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 おはようございます。
 六月県議会の一般質問の初日、一番バッターに立たせていただきますことを皆さん方に心より感謝申し上げます。
 さて、電源立地計画について、まず一番目に質問をさせていただきます。
 今、二つの火力発電所の計画について、その推進の是非について各方面で議論されております。一つは和歌山西防埋立地におけるLNGの火力発電所、もう一つは御坊市における御坊第二火力発電所であります。今、二つの火力発電所の問題が同時に計画され、その推進の是非を検討しようとされておりますが、問題は、それぞれの発電所計画が諸問題をクリアし、適当であるかが重要であるわけであります。
 今、本県の経済状況は大変厳しいものがあり、国の産業構造から考えてもすぐに和歌山の状況が好転する材料が見当たらない状態であります。そんな中でこの二つの火力発電所計画が同時に推進されるということになれば、その経済効果ははかり知れないものであると考えられます。また、国際都市関西を目指す関係地域の中で和歌山の果たす役割を評価せざるを得ないことになり、和歌山主導のエリアができることを期待することができます。
 しかし、それぞれの問題解決なしにただ推進することは避けなければなりません。もちろん、和歌山、御坊、それぞれを検討し、同時にゴーサインが出されれば大きな起爆剤となり得るわけであります。そこで、この二つの火力発電所計画について、以下、質問をいたします。
 このことにつきましては、本議会冒頭の知事説明にもございましたが、まず、和歌山市で計画されておる和歌山火力発電所計画いわゆるLNG火力発電所計画につきましては、知事の私的諮問機関である西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会において利用計画の一つとして検討がなされ、先般の最終答申において、環境保全及び環境創造の観点にも配慮され、さらに安全性についても十分検討されていると判断されるところであり、利用計画として適当と考えられるとの考えが示されております。また、県の行った環境影響調査書や安全性調査検討書の審査結果も公表され、関係市町村への説明もなされたと聞いております。さらに、この発電所計画について地元和歌山市の尾崎市長は、市議会の質問に対し、LNG火力発電所の立地を推進し、県から意見を求められれば電源開発基本計画への組み入れに同意する旨を表明され、同時に市議会においても推進決議がなされたところであります。
 一方、御坊第二発電所計画について、この二月県議会の中で自民党県議団会長・門議員の質問に対して知事は、現在環境影響調査書について慎重に審査検討を行っている段階であり、関係方面からもさまざまな意見が寄せられていることから今回は知事意見を申し上げることができないと答弁されております。その後、県はこの計画についての環境影響調査等の審査結果の公表を行い、市町村や関係団体への説明がなされたとのことであります。
 ただし、この御坊第二発電所計画については、既設の御坊発電所の排煙との関連で梅栽培地を中心としてさまざまな論議がなされてきたところであります。この梅の生育不良については、県においても和歌山県うめ対策研究会を設置し、既に委員による現地調査も行われております。また、関西電力においても地元の農協等とタイアップし、原因究明に取り組んでいるとのことであります。
 さて、電源立地は当然国のエネルギー政策の一環として位置づけられるべきものであるが、地域の意向を無視して進められるべきものでないことは当然のことであります。そのため、国の電源開発基本計画に組み込む審議の場としていわゆる電調審が開催される際、知事の意見が求められるものであります。電調審は来月にも開かれるとのことでありますが、国としては当然この二つの電源立地計画についても上程すべく準備を進められているものと推測しているところであり、知事意見を求めてくるものと考えられます。
 以上申し上げました状況を踏まえ、我々としてもこの二つの発電所計画について、本県の将来を見据えた判断をしていく時期が来ているとの認識を持っているところであります。そこで、我々自民党県議団として今後判断を行っていくためにも、知事及び関係部長に対して以下の質問を行いたいと思います。
 まず、知事にお伺いいたします。
 LNG火力発電所計画について、地元和歌山市がこの計画を推進すると判断されたことの意義についてどのように考えるのか、お尋ねいたしたいと思います。
 次に、御坊第二発電所計画について、知事は冒頭の知事説明においても、この発電所計画が既設の御坊発電所に加えて大気汚染への負荷の増大をもたらすことから、環境保全対策についてさらなる充実を関西電力に強く求めているところであると述べられております。このことについて、関西電力からその後回答が来たのかどうか、来ているとすれば環境保全対策の内容はいかなるものであるか、さらにそれをどのように評価されるのか、お伺いしたいと思います。
また、梅の産地から梅の生育不良に関連して第二火電についての要望が寄せられております。これについて知事はどのように考えているのか、お尋ねしたいと思います。
次に、企画部長にお尋ねいたします。
 この二つの発電所計画について、現在、国の動向及び県に対して国からどのような働きかけがあるのか、お伺いいたします。
 さらに、二つの発電所がもたらす本県への経済効果についてどのように試算しているか、また、電源立地は地域と共生していくことが大切であると考えるが、このことについてどのように考えているのか、お伺いいたします。
続いて、総務部長にお尋ねいたします。
御坊第二発電所の燃料としてのオリマルジョンの流出について論議がなされておりますが、この流出防止策及び万が一流出した場合の回収方法について、また今後の課題についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
また、LNG火力発電所の安全性について、中央構造線の活断層が論議の的となっておりますが、仮にこの地域にこの活断層が最も大きく動く、すなわち大地震が起こった場合の発電所の安全性についてどのように評価しておられるのか、お伺いいたします。
最後に、農林水産部長にお尋ねいたします。うめ対策研究会の現時点での検討状況及び原因解明の見通しについてお伺いいたします。
以上で、電源立地計画関係について質問を終わらせていただきます。
第二点目に、教育改革について質問をさせていただきます。
「日本は皆さんのおかげで世界有数の経済大国になりました」というようなあいさつを、老人会の来賓あいさつ等、どこでも耳にすることができるのであります。事実、日本は世界の経済大国だという神話がありました。しかしこれも、今や大変危うくなってきております。企業は外国へ脱出して合理化を図り、そのものの体制を立て直しておりますが、国内は空洞化現象が進み、長い不況に拍車をかけております。また、経済と関連して国家財政を見ても、我が国の財政は既に破綻しかけております。国と地方の借金が四百兆円以上、GDPが約四百兆円ですから、それに匹敵する借金を国及び地方が抱えているということであります。こういう事態を何とかしなければならないということで、今、国を挙げて行財政改革が論議されているところであります。
教育長に質問するのに国家財政の話から入りまして、ちょっと変な感じがするわけでありますが、お許しをいただきたいと思います。
十数年前に中曽根首相の臨時行政調査会をスタートさせて行政改革に取り組んだ折、行政改革を断行した後、次は教育改革だと言っておりました。それは、二十一世紀のすばらしい国家像を創造するという次元からであったようであります。国鉄民営化の第二臨調から十年、今まさに行政・財政改革なくば二十一世紀の日本は惨めな姿になるという危機意識から、そのことが論議されておるわけであります。そして今、グローバルな国際化、情報化の中で、二十一世紀の国づくりという観点から、待ったなしの行財政改革と同時に教育改革を実施しなければならないときであります。
 行財政改革というのは、支出を抑える作業が中心であります。教育費の効果的な運用も当然吟味されるべきであり、社会福祉、教育という国民に密着しているものも聖域でないわけであります。しかし、二十一世紀の揺るぎない日本を構築するに当たり、行財政改革のテーマの公共事業等と同じ感覚で教育改革を論じるわけにはいかないと思います。
 道路をつくる、港湾をつくる、空港をつくる、鉄道をつくるという社会資本の整備をよく取り上げますが、私は、教育改革こそが目に見えない一番重要な社会資本の整備であると考えます。よく「国家百年の大計」という言葉を使いますが、本当にこの教育改革こそが大変重要な課題であります。今の日本の社会現象を見るにつけても、この見えない社会資本の整備が急務であります。行財政改革とは支出を少なくすることで、教育改革とは今以上にお金をつぎ込むことであります。一概にそういうふうにも言えませんが、それぐらいの意気で教育改革に取り組む必要があるわけであります。
 そこで、教育改革についてお伺いいたします。
 昨年七月、中央教育審議会の第一次答申が出されました。それに基づき、二十一世紀を展望した我が国の教育のあり方について、第二次答申の中間報告になる審議会まとめがこの五月三十日に公表されました。第一次答申は子供に生きる力とゆとりをということから始まり、学校、家庭、地域社会を通じて我々大人一人一人が子供たちをいかに健やかに育てていくかという視点と同時に子供の視点に立って審議を行い、今後における教育のあり方として、ゆとりの中で子供たちに生きる力をはぐくんでいくことが基本であると考えた、また社会全体で社会のあらゆる場で取り組んでいくべき課題であると考えたという基本で始まっております。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 昨年出された第一次答申及び第二次答申に向けてのいわゆる審議会まとめについて、特に中高一貫教育等の全体の評価と、そしてまた教育長が考えておられる、持っておられる感想についてお聞きしたいと思います。
 次に、第二次答申に向けての審議会のまとめの中に、教育における不易を大切にするという言葉があります。倫理・道徳教育であろうと思いますが、教育は人づくり、特に最近言われる国際社会の中で立派な日本人をつくることだと思います。自国の歴史、文化、伝統を踏まえて行動し、自分の国に対して誇りを持てる人でなければ国際社会で通用しないものであります。
 私が前の議会で取り上げさせていただきました教科書問題でありますが、自虐史観でいっぱいの歴史教科書では信頼される国際人をつくることはできないのであります。
 大変評価いたしたいわけでありますが、県教育委員会が発行している平成九年度「学校教育指導の方針と重点」という冊子があります。「文化と伝統を大切にし、国際理解教育を推進する」という項目の中で、このように書かれております。「国際社会に生きる日本人としての自覚を養い、わが国の国旗及び国歌の意義を理解し尊重する態度を育てるとともに、諸外国の国旗及び国歌についても同様に尊重する態度を育てる」とあります。
 私は、国歌というものはその国の歴史、文化、伝統の象徴であると考えます。審議会まとめの中にもありますが、我が国の伝統と文化を尊重する心を養っていくといったことは、いかに社会や時代が変化しようとも大切なことであると改めて強調しておきたいと書かれております。
 教育の不易な価値という大きなものに含まれている個々のものを再発見していくことが、非常に大切であると考えます。そして、それを教育の現場で教師がいかに実践していくかということが非常に重要であると考えます。教育長が考えておられる不易なものとはどういうことか、教育長のお考えをお尋ねしたいと思います。
 また、教育長は、過去数年にわたり教育改革に取り組んでこられたと思います。皆さんもご承知のように、和歌山県は全国でも教育改革あるいはまた特別な教育ということで大変評価されており、先進県であると聞いております。そういうことで、二十一世紀に向けてさまざまな改革が必要であると考えますが、今どのような教育改革が必要であるか、教育長が考えておられることをお尋ねしたいと思います。和歌山県における教育改革について、教育長は多岐にわたって考えられると思いますが、その取り組みについてお尋ねしたいと思います。
 以上で、第一回目の質問を終わらせていただきます。清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 吉井議員にお答えをいたします。
 まず、和歌山発電所計画いわゆるLNGの火力発電所計画についてであります。
 今月十二日に尾崎和歌山市長が、LNG火力発電所の立地を推進する旨の表明をなされたわけでございます。電源立地の県の対応原則である地元同意につきまして、立地の和歌山市が同意の意思表示をされましたことは、この発電所計画の対応を図っていく上で大きな要素であると考えてございます。
 次に、御坊第二発電所計画に関連しての環境保全対策についてであります。
 かねてから、関西電力株式会社に対し、私自身も一層の改善策を強く求めてきたものでございます。昨日、六月二十三日でありますが、既設の御坊発電所の三号機に排煙脱硫装置を設置することによりこの発電所からの硫黄酸化物の排出量を三〇%削減する、また一から三号機の排煙脱硝装置の設備改善により窒素酸化物の排出量を二〇%削減する、さらに同じく一から三号機の電気集じん装置の設備改善によりばいじんの排出量を三三%削減するとの回答があったところであります。私といたしましては、関西電力株式会社がこのような大気環境保全対策を講じることについては、地域の大気環境を保全するために私どもの要望に対し種々検討を重ねた結果の対応であると受けとめているところであります。
 次に梅の関連でありますが、御坊第二発電所計画についての梅産地からのご要望につきましては十分承知をしておりますけれども、議員のお話にございましたように、現在、県においてもうめ対策研究会を設置するなど、この原因究明と樹勢回復対策に懸命に取り組んでいるところでございます。また、先般の政府要望におきましても県の重点事項としてこの原因究明等をお願いしたところであります。一方、関西電力株式会社も、そのグループの総力を挙げ、関係農協との連携を強化しながら原因究明等への努力をしておると聞いております。
 私といたしましては、ただいま申し上げたような取り組み状況から判断をいたしまして、今後その原因は明らかになるものと考えているところでございます。その暁には、迅速かつ適正に対処してまいる決意であります。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 吉井議員にお答え申し上げます。
 御坊第二発電所及び和歌山発電所計画についての国の動向でございますが、経済企画庁から電源開発調整審議会の議を経て平成九年度の電源開発基本計画に新規に組み入れることについて関係省庁において検討を始めた旨の文書が六月十二日付で、この二つの発電所計画についての知事意見を求める旨の文書が六月十六日付で届いているところでございます。また資源エネルギー庁からは、平成七年十月に御坊第二発電所について、平成八年六月に和歌山発電所について、それぞれ発電所立地推進への文書による協力依頼がなされております。さらに、先般は同庁電源立地対策室長が本県を訪れ、この二つの発電所計画は平成十年代後半の国にとっての重要な電源であることからその推進に協力願いたい旨の要請があったところでございます。
 次に発電所の経済効果についてでありますが、一つには発電所の建設時及び運転開始後の地元発注であります。建設による地元発注について財団法人和歌山社会経済研究所の調査によると、和歌山発電所については約四千億円の県内経済波及効果が見込まれる試算としております。また、御坊第二発電所については、本年三月の議会においてご答弁いたしましたように、県内経済波及効果は約五千億円と見込まれると試算しております。運転開始後の地元発注については、修繕工事や緑地管理、清掃、社員送迎の委託、備品購入の消費や交通機関の利用等が考えられます。
 二つには、建設時及び運転開始後の地元雇用であります。事業者によりますと、建設時には和歌山発電所で年間平均千百人、御坊第二発電所で千二百五十人の雇用が見込まれ、運転開始後には和歌山発電所で年間四百人、御坊第二発電所で五百五十人の雇用が見込まれております。また、定期点検時には和歌山発電所で二百三十人、御坊第二発電所で二百六十人の雇用増が見込まれております。
 三つには、発電用施設周辺地域整備法などの電源三法による生活産業基盤の整備があります。和歌山市には総額二十七億七千五百万円、御坊市には総額七十二億六千万円が交付され、公共用施設等の整備に充当することができます。また、県内では和歌山市隣接一市二町に対して総額で十八億五千万円、御坊市の隣接四町に対して総額七十二億六千万円が交付されます。その他、企業導入及び産業近代化施策に充当される電源移出県等交付金の増加や産業育成支援事業等の適用があります。なお、税収の増加として法人事業税、固定資産税、法人県民税及び法人市民税等の税収等が見込まれます。
 電源立地と地域との共生でありますが、議員お話しのように大切であると考えているところでございまして、地域と事業者が共存共栄していくためには、事業者として地域に対して積極的な協力や貢献が必要であると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 電源立地についての二点にお答えします。
 まず、オリマルジョンの流出防止対策についてでございますが、荷役時の対応として、突風等により船体が移動した場合に荷役配管を自動的に切り離し漏洩を防ぐ緊急離脱装置の設置、荒天時の荷役中止等のハード・ソフト面から対策を実施することとなってございます。また、船舶運航中の衝突等による流出防止策として、船体が二重になっているタンカーの採用、万一の事故時には船舶周囲へのオイルフェンスの設置等による流出拡散の防止に努めることとしてございます。
 一方、流出した場合の回収につきましては、海上災害防止センターのオリマルジョンの防災対策に関する調査研究報告書によりますと、ほぼ原油と同様の方法が有効であると報告されてございます。今後、より効率的な拡散防止策、回収方法等について関係機関と協議するとともに、万全を期するよう事業者を指導してまいりたいと考えてございます。
 次に、LNG発電所の地震に対する安全性についてでございますが、事業者から提出された安全性調査検討書によりますと、耐震性については中央構造線系活断層により現在考えられる最大の高レベル地震動として、紀淡海峡から根来断層、五条谷断層の長さ七十キロメートルが活動するマグニチュード約七・九の地震動を想定し、これに十分耐え得る設計となってございます。これは、阪神・淡路大震災のマグニチュード七・二を上回るものでございます。また、事業者はLNGタンクの八分の一のモデルによる振動試験を実施し、安全性を確認してございます。
 一方、液状化対策につきましても、発電所本体、タンク周辺はもちろんのこと、LNG配管基礎等、防災上必要な箇所は地下水位を低下させる工事などを実施することとなってございます。
 これらのことから、安全性については十分対応しているものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 電源立地についてのうち、梅対策についてお答え申し上げます。
 梅の生育不良につきましては、県農業の最重点課題として位置づけてございまして、原因の早期解明と樹勢回復対策の確立を図る観点から、果樹園芸を初め植物生理や大気環境など、それぞれの分野を代表する国の試験研究機関や大学の専門家十名による県うめ対策研究会を設置するなど、懸命の取り組みを行っているところでございます。
 この研究会の検討状況についてでございますが、これまで現地調査を含め、研究会を去る三月六日と五月二十二日、二十三日の二回開催いたしまして、土壌の物理性や化学性の問題を初め、適正着果や整枝剪定など栽培管理や植物生理の問題、また病原菌の関与や大気環境の影響等について各分野から多くの貴重なご意見、ご提言をいただいてございます。
 県といたしましても、これを受け、暖地園芸センターを中心に関係機関との連携を図りながら、梅の光合成能力と貯蔵養分調査、また地質や母岩別の水分管理法、さらに現地での大気の複合汚染に関する暴露実証試験などに取り組んでおりますが、梅など果樹の持つ特性から、原因の解明にはある程度の期間を要するものと考えてございます。
 また、事業者に対しても原因究明に必要な調査に全力を傾注するよう強く求めているところでございまして、今後とも原因の早期究明に向け、関係機関と連携を図りながら最大限の努力をしてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育改革に関連する三点についてお答えいたします。
 戦後、我が国の経済的な繁栄は高い教育水準に支えられた労働力によってもたらされたものであることは、ご承知のとおりであります。その一方、形式的平等の考え方や画一化した教育が広がるとともに、強い高学歴志向が受験競争を過熱化させ、偏差値偏重の教育と言われるような弊害を生み出してきたことは否定できません。結果、子供を取り巻く状況の変化と相まって、校内暴力や登校拒否、深刻ないじめによる自殺など、さまざまな病理的現象が生じてきております。また、人間的な触れ合いや自然体験の不足は子供たちから個性や創造性、問題解決の能力などを失わせてきたと指摘されてございます。そのことへの厳しい反省と危機感が、ゆとりの中でたくましく生きる力を育てるという中央教育審議会の答申につながっているものと理解されます。そうした意味におきまして、このたびの答申や審議のまとめの内容は高く評価できるものであります。
 教育委員会といたしましては、これまでも中教審の審議の過程を踏まえながら、全国に先駆けてさまざまな改革を積極的に進めてきているところでございます。ただ、審議のまとめの一部、中高一貫教育などについては、進学競争の過熱などにつながるおそれもあることから、今後慎重に研究していく必要があると考えてございます。
 次に、不易なものについてであります。
 他人を思いやる心、道徳や正義を尊重すること、我が国の歴史や伝統、文化を大切にする心などは、時代を超えて重視しなければならないと考えます。戦後、我が国の教育は、戦前の教育への反省の余り、日本が持っていたよさの多くを見失ってきた面がございます。とりわけ国際化が急速に進展する今日、ご指摘のあった国旗、国歌の指導につきましては、国際的な自覚と責任感を身につけた信頼される日本人を育てることにつながるものであります。このため、従来からさまざまな機会を通じて学習指導要領に基づく適切な指導の徹底を図ってきているところであります。
 第三点目の教育改革の進め方についてでございますが、これまでも教育における不易なものを大切にしながら、生徒の個性に対応するため、学科の新設・改編、総合学科の設置など、特色ある学校づくりを推進してまいりました。また、多様化する生徒のニーズに対応するため、学校間の壁を低くし、自分の学校にない科目を他校で学習できる学校間連携を和歌山市や西牟婁地方、伊都地方において、定時制、通信制、特殊教育諸学校も参加して実施しております。今後、こうした連携を全県的に拡大してまいりたいと考えます。
 国際化に対応するためには、ALT(外国語指導助手)の活用、高校生の海外生活体験など、国際理解教育を積極的に進めるとともに、郷土のよさや歴史に関する学習を重視してまいります。
 情報社会に対応するためには、マルチメディアやインターネットを積極的に導入するとともに、情報を活用し発信することのできる子供の育成に努めてまいります。
 さらに、生涯学習体系を確立するため、学校教育と社会教育との区分を超え、関係部局等とも連携して総合的な教育システムを構築してまいりたいと考えます。また、その中で家庭、地域が連携し、社会全体で子供を育てる体制を整備し、社会問題ともなっている登校拒否やいじめ問題などの解決を図ってまいりたいと考えます。
 さらに、こうした教育を推進していく上で教員の意識改革と資質の向上が不可欠であることから、各種研修の充実を図り、二十一世紀を創造性豊かに、たくましく骨太く生き抜くことのできる子供を育成してまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 4番吉井和視君。
○吉井和視君 二つの火力発電所についてであります。
 エネルギー政策というのは国の政策、いわゆる国策であります。そういうことで、もし知事が決断され、二つの発電所を同時に推進するということになれば、いわゆる大阪湾岸ベイエリアの中で、そしてまた国際都市関西の中で、このエネルギーカードを行使して、和歌山県の大きな飛躍発展につながるように国に働きかけていただきたい、そのように考えております。今後ともそういう面について我々も十分、個人的に協力させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 それから、教育の問題につきまして。
 私は、前の質問のときにも教科書の問題について質問をさせてもらいました。そしてまた、今回も一部触れさせていただきました。
 私の子供がちょうど中学三年生で、最近、私は二年生の歴史教科書を初めからずっと読んだわけですけれども、どうしてこんな教科書になったのだろうかというのが印象です。皆さんも読んでもらえばわかると思うんですけれども、先ほども申し上げましたように、非常に自虐的な史観、そしてまた特に社会主義国家への道が正しかったような表現内容のところが見受けられます。私は、こういうのは少し問題があるのではないかと思います。文部省の検定審議会といったものがありながら一体なぜこういう教科書ができ上がるのか、その辺が心配というよりも不思議でならないわけであります。
 そういうことについて、今後我々は父兄の立場で、県民の立場で、国民の立場でこういった教科書問題について取り組んでいかなければ二十一世紀の教育は変なところに行ってしまうというような危惧をいたしております。そういうことで、今後こういう問題についてもどんどん問題提起させていただきたいと考えております。
 以上で、要望にかえさせていただきます。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。
○議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番野見山 海君。
 〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○野見山 海君 おはようございます。
 きょうの二番目のバッターとして質問させていただきたいと思います。先ほどの吉井議員とダブる点もありましょうが、地元が注目しております梅の生育不良について質問させていただきたいと思います。
 最初に、本県の主要農産物であるミカン、柿、そして梅は、全国的にも非常に有名であることは申すまでもございません。中でも梅は、関連産業・事業も含めて年間六百億円の生産高があり、全国津々浦々で紀州の梅は高い評価を受け多くの方々に親しまれていることは、まさに和歌山県の誇りであります。
 遠く江戸時代から先人たちが築き上げてきたこの伝統ある梅を支える生産者が今、生育不良の不安を抱えた中で、一家総出で朝早くから一生懸命になって取り入れ作業に汗を流しているのが状況であります。こうした姿を見るとき、私は、梅生産者の方々が将来に向けて安心して生活できる環境を整え、伝統を守り育て上げるのが政治、行政の務めであると強く感じるものであります。
 しかしながら、梅生産者の願いであり行政としての課題である梅の生育不良の原因究明が、いまだできていないのが実情であります。JA紀南農協の平成八年度の調査では、梅枯れ被害は実に三万二千三百九十六本、面積にしますと百八ヘクタール、被害者戸数は何と六百八十七戸となっております。こうした中で、ことしも新たに上芳養、上秋津、秋津川地域から稲成、三栖、長野地域へと、被害はますます拡大しているのが実情であります。種類別では、生育不良は南高梅での発生が多く見られますが、南高一号、古城、雑種、小梅にも広がっており、成木、老木、幼木を問わず発生しているのが事実であります。このような状況をどのように把握されているのか、お伺いいたしたいと思います。
 県では今日まで、栽培管理の問題、なり過ぎ、土壌の乾燥、土壌酸性化や大気環境等について調査研究を行い、剪定等による着果制限、土壌改良、かん水等、各般の対策を総合的に実施することが重要であると言っております。しかし、過去三年間にさまざまな対策を講じてきたにもかかわらず、樹勢の回復は一部は見られたものの、また新たに被害が広がっている状況であります。
 こうした中で県は、既に南部川村に梅二十一センター──田辺の秋津川地域に現地でも試験研究や農家との情報交換が行える前進基地を設置、また専門家スタッフ十人によるうめ対策研究会が設けられ、今取り組まれております。平成九年度でも梅振興事業、梅基盤整備事業、梅生育不良事業等、関連事業を合わせて約十七億円が予算化されております。地元においても、自治体、農協、関西電力の三社が一体となってあらゆる方面で研究が積極的に進められ、一日も早く原因究明がなされ、梅農家の方々が安心して農業経営ができることを私は強く望むものであります。
 一方、地元の梅生産者の間では、今なお梅の被害地域が拡大している状況をとらえ、大気の汚染が原因ではないだろうか、行政や企業が切なる願いをかなえてほしいと、多くの方々が悲痛な思いで訴えておられます。去る一月三十日には、非常に冷え込みのきつい中であったにもかかわらず、二千四百名が参加して梅生産振興生産者決起集会が開催されました。また、梅生育不良の原因究明の署名活動を十日間にわたって実施、五万人を超える署名を携えて四月二十日に知事や関西電力本社に対してバス四台で陳情され、さらには五月三十日、平松農林水産部長を初め、議会・下川副議長、関西電力和歌山支店長に対しても陳情を苦痛の思いでされてきたのであります。私も同席いたしました。この陳情の際、関西電力和歌山支店長からは、「地元梅生産者の切なる願いを重く受けとめ、装置等の設置については前向きに努力します」という言葉をいただいたので、陳情団の皆さんは大きな期待を胸に抱いて和歌山支店を後にしたのであります。
 そこで、これまでの取り組みとことしの生育不良状況を踏まえ、地元からの要望のその一、御坊火力発電所が昭和五十九年に稼働し始め、その後、二百メートルの煙突から東南二十キロないし二十五キロに位置する南部川、上芳養、秋津川地域に生育不良が発生、次第に被害も大きく広がっていることから、御坊火力発電所が排出する汚染物が原因ではないかと多くの農家の方々が疑念を持ったに至ったのであります。そういったことから、脱硫装置の設置と脱硝・集じん装置等の法制化を図られたいという要望でありました。
 その二、生育不良対策の取り組みが県においては遅かったのではないかと私は思います。先ほど述べましたように、解明に努力されていることは評価しますが、今以上の取り組みと研究会の意見、提言について即取り組み、あわせて梅関連事業として六百億円の生産高を誇る地域に梅等の落葉果樹研究機関の設置を前向きに考えていく必要があるのではないだろうか。
 その三、各分野で研究に努力をされていますが、いまだに解明に至っておりません。現在の御坊火力発電所の稼働率は、平均三〇%から三五%と言われております。こういった状況の中では、早く建設する必要がないのではないだろうか。
 この三項目が地元からの要望でありまして、関係者にどのように働きかけ、どう対処されたのか、お伺いしたいと思います。
 続きまして、電源開発調整審議会に対する知事意見についてお伺いいたします。
 県の重要課題である梅生育不良の問題については前向きに取り組んでいただき、本当にありがたく思っております。先ほど申し上げましたように、本県の地場産業であり、紀南地域の基幹産業である梅の生産者及び加工業者は今、大きな不安の中で仕事に精を出されております。高度成長時代から低経済成長時代に入り、今後はかつてのような急成長は期待できないと私は思います。したがって、今こそ、生活基盤整備を行い、地場産業の育成・充実を図る中で地域経済の活性化を図ることが重要であると思います。
 地方自治体は厳しい財政状況にあるだけに、どうしても大企業の誘致を考えることは理解できます。また、経済生活には欠かすことのできない電力供給が必要不可欠であることは申すまでもございませんが、人の力で電気は節約することができますし、環境に配慮した電力供給方法もあろうかと私は思います。一度破壊した自然環境は、なかなかもとには戻りません。したがって、電源立地に当たっては、地方自治体及び周辺地域の条件整備と環境面への配慮がどうしても必要であると思います。
 こうしたことから、御坊市が進めている御坊第二火力発電所の建設には、周辺自治体や地域住民の中には慎重な態度を望む声があり、御坊第二火力発電所の建設についての電調審への知事意見が注目されることが予想されます。したがって、これまでの状況を踏まえ知事はどのようなスタンスで臨まれるのか、お伺いしたいと思います。
 続きまして、道路整備についてお伺いいたします。
 国土軸から離れた紀伊半島に位置する本県は、山地が県土の八割を占めているという地形的・地理的環境にあります。こうした豊かな自然に恵まれた本県が、熊野地域や霊場高野山、白浜、勝浦を初めとする各温泉地などにおける歴史と文化、自然に彩られた観光資源をその特色を保ちながら有効に活用するためには、生活基盤整備や社会資本整備は欠かすことができないと思います。
 特に、紀南地域は高齢化、過疎化が進んでおり、地域を活性化するためには生活基盤整備や道路網の整備を初めとする公共事業の果たす役割は極めて大きいものがあると思いますし、地域住民はこれに大きく期待をしているのであります。
 本県の道路整備については、西口知事の公約でもあります県内二時間構想の実現に向け、道路整備事業が進められているところであります。特に、平成十一年四月からの南紀熊野体験博に合わせ、各種の地域生活圏道路整備や高速道路の整備が進められているわけでございますが、今政府が進めている財政構造改革によると、平成十年度公共投資予算は対九年度比七%の額を上回らないとしています。これが実施されますと、社会資本整備のおくれている本県にとっては大きな打撃になると考えます。
 そこで、本県における影響がどのように予想されるのか、今後道路整備の促進に向けてどう取り組んでいかれるのか、お伺いしたいと思います。
 次に、田辺市を含む紀南地域において解決すべき重要課題に交通体系の整備があると思います。特に、高速体系の整備及び紀南の中核都市田辺市における渋滞対策で、国道四十二号田辺西バイパスの建設があると思います。
 まず、高速道路についてであります。平成八年三月に御坊まで供用されたことで我々県民は高速道路の利便性を身近に実感しているところでありますが、最近、県外の方々から「和歌山は近くなったな」という話とともに、「行きはよいが、帰りは怖い」というように、帰りの渋滞に困惑している話も聞かされます。
 東京圏と大阪圏を結ぶ従来の国土軸に加え、次期全国総合開発計画に盛り込まれる予定の太平洋新国土軸、さらに、関西国際空港と白浜空港を結び、本県活性化へのインパクトを素直に受けとめて地域活性化を図ること、また梅、花卉栽培等、先進的な農業、とる漁業からつくる漁業へと積極的に取り組んでいる紀南地方からの産物をより広範な市場に迅速かつ安く提供するために、さらには、自然と触れ合い体験するアウトドアブームに代表される人々のニーズを十分満足させる、豊かな自然を有する本県の魅力を高め、さらに多くの方々に訪れてもらうために、高速道路の整備を積極的に推進していく必要があると私は思います。
 昨年十二月末に開催された国幹審において、南部から白浜間の整備計画格上げを初め、近畿自動車道紀勢線の計画が大きく前進しました。特に、紀南地方における高速道路もいよいよ身近な問題となり──とは言っても、御坊までの供用では約五十キロメートルであり、全体の百五十キロメートルからすればまだまだであります。今後は計画段階からより具体的な事業へと着実に進めていき、早期の全線供用を目指さなければならないと思います。そこで、近畿自動車道紀勢線の事業区間及び計画区間における現在の状況と今後の取り組み方針についてお伺いしたいと思います。
 次に、今、高速道路建設に対する県民の理解は極めて高いと考えます。しかしながら、総論賛成、各論反対、高速道路の建設のためにせっかく貴重な土地を提供しても、開通してみれば通過されるだけで沿線の人々は利用できず、地域が分断されるという高速道路の問題も持ち合わせています。私は、高速道路建設とあわせてその沿線も同時に発展してこそ、初めて地域全体に喜ばれるものと考えます。
 そこで、インターチェンジにつながるアクセス道路の整備、関連道路の整備、河川改修、生活基盤確立のための農地の整備等、地域から出される要望を早期に解決することが建設スピードを高めることになると私は考えます。今後の高速道路関連事業に関する県の取り組みについてお伺いします。
 次に、国道四十二号田辺西バイパスについてでございますが、現在、田辺バイパスについては平成七年三月に田辺市新庄から稲成までの約五キロメートルが完成したところであります。残る田辺市稲成から芳養までの間は、朝夕はもちろんのこと、休日になれば、観光地・白浜温泉を控えて県外からの観光客による大変な交通渋滞を引き起こし、地域住民はもとより観光客に大変な迷惑をかけているのが事実であります。公共事業を取り巻く昨今の状況はますます厳しいものがありますが、建設当初から約二十年も要したという現在供用中の田辺バイパス建設の轍を踏むことなく、芳養方面への延伸計画として昨年都市計画決定された田辺西バイパスの建設について、関係各方面へ積極的に働きかけ、早期実現を図っていくことが必要であると思いますが、田辺西バイパスの今後の事業見通しについてお伺いしたいと思います。
 以上、質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの野見山海君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 野見山議員にお答えをいたします。
 まず、野見山議員には梅の地元で大変ご苦労いただいていることを感謝申し上げます。
 既設の御坊発電所に対する脱硫装置と脱硝・集じん装置の高性能化についてであります。
 昨日、六月二十三日でありますけれども、関西電力株式会社から、総合的な大気汚染物質削減のために、三号機に排煙脱硫装置を設置することによってこの発電所からの硫黄酸化物の排出量を三〇%削減する、また一号機から三号機まで──これは一、二、三号機の意味でありますけれども──の排煙脱硝装置の設備改善により窒素酸化物の排出量を二〇%削減する、さらに同じく一号機から三号機まででありますけれども、その電気集じん装置の設備改善によってばいじんの排出量を三三%削減するとの回答があったところであります。なお、排煙脱硫装置が完成した暁には三号機を重点的に稼働させるとのことであります。
 次に、梅の生育不良の原因究明に関する調査研究につきましては、これまで関係機関と一体となって懸命に取り組んでまいったところであります。現段階において原因の究明までには至っておりませんで、この現実を私も厳しく受けとめてございます。
 そこで、地元市町村のご協力をいただきながら、本年二月より田辺、日高に地域うめ対策交流室を設けるとともに、国の試験研究機関あるいは大学の専門家による和歌山県うめ対策研究会を設置いたしまして、現地調査を含めこれまでに二回開催をし、貴重なご意見、ご提言などをいただいております。私も最初の研究会に出席をいたしまして、農家の切実な思いを申し上げますとともに、原因の早期解明へのご協力をお願いしたところでございます。
 いずれにいたしましても、この問題の早期解明は県農業の最も急を要する課題であると認識をいたしております。
 次に、御坊第二発電所計画についての梅産地からのご要望などにつきましては、今後その原因が明らかになるものと考えております。その暁には迅速かつ適正に対処していきたい、そのように決意をいたしております。
 なお、電調審に対する意見でありますけれども、御坊第二発電所計画につきましては、環境面の影響等について広い範囲からご意見をいただいていることも十分念頭に置き、従来から申し上げております電源立地の基本的な考え方に基づきまして、地域振興の立場から対応していくことにしてございます。したがって、電源開発調整審議会に際し、経済企画庁に対して意見を回答する場合、この方針に基づいて県としての意見形成を図っていきたい、そのように考えております。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 今年の梅の生育不良の状況についてでございます。
 地域のうめ対策交流室や農業改良普及センター等の調べによりますと、五月に入り生育不良の症状が明らかになるとともに、議員お話しのとおり、稲成、三栖、長野などの地域で新たな発生も見受けられてございます。県としてはこうした状況を厳しく受けとめてございまして、さらに詳細な実態の把握に努めてまいりたいと存じます。
 次に、原因究明と対策の確立ということでございますが、専門家による県うめ対策研究会を設置し、原因究明に向けた推進体制の強化に努めるとともに、本年度から新たに土壌改良などによる樹勢回復対策や改植を盛り込んだうめ樹勢回復実証モデル事業を実施することとしており、現在、関係機関との調整を行っているところでございます。一方、事業者に対しましても、大気汚染物質の複合影響調査を初め原因究明等に必要な調査研究を実施するよう、さらに強く求めてございます。
 県といたしましても、梅など果樹の持つ特性から原因の解明にはある程度の期間を要するものと考えてございますが、うめ対策研究会でいただいた貴重なご意見、ご提言を現場の試験研究や実証展示圃などに生かしながら、原因の早期究明と技術対策の確立に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
 また、お話しの試験研究機関についてでございますが、本県果樹農業の将来を展望するとき、大変重要な課題と考えられますことから、試験研究機関のあり方について、農林水産部内において総合的な検討を行っているところでございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 野見山議員のご質問にお答えいたします。
 まず、道路整備のうち、財政構造改革に伴う本県の道路整備への影響と今後の取り組みについてでございますが、先般、国において閣議決定された財政構造改革の推進方策では、公共投資予算について今世紀中の三年間の集中改革期間中、各年度その水準の引き下げを図り、特に平成十年度は議員ご指摘のとおり、対九年度比七%のマイナス額を上回らないことという大変厳しい内容となっております。
 議員ご質問の県内の道路整備への影響につきましては、現時点では道路整備費の縮減内容が明らかではありませんが、現在事業中の箇所の事業遅延や新規事業着手の先送りなどの厳しい影響が懸念されるところでございます。
 県といたしましても、こうした状況を深刻に受けとめ、極力影響を少なくするため、今後、道路整備の計画策定、事業実施に当たっては、さらに事業箇所の重点化、効率化に努めてまいりたいと考えております。また、国に向けては本県の立ちおくれている道路整備の必要性、緊急性を強く訴えていくとともに、来年度から始まる新たな道路計画の策定、並びに平成十年度の予算編成に当たっては、県議会の皆様方のご協力をいただきながら、道路特定財源制度を堅持して所要の投資額を確保すること及び本県への重点配分を強く要望してまいりたいと考えております。
 次に、近畿自動車道紀勢線の現在の状況及び今後の取り組みについてでございますが、近畿自動車道紀勢線については、現在、御坊・南部間が事業中であり、本年度、南部町岩代地区において一部工事用道路等に着手予定ですが、残る区間においても設計協議及び用地交渉に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
 また、昨年末の国土開発幹線自動車道建設審議会において整備計画に格上げとなった海南・吉備間及び南部・白浜間につきましては、現在、建設省からの調査指示に基づいて日本道路公団が事業実施に向けての調査を行っているところでございますが、県としても必要な調査に積極的に協力し、早期に施行命令が出されるよう国に働きかけてまいります。
 次に、基本計画の白浜・すさみ間につきましては、新たに都市計画決定を行った上で用地先行取得の手法を使いながら工期短縮を図り、南部・白浜間と同時供用を図るよう努力してまいりたいと考えております。残るすさみから一部事業中の那智勝浦新宮道路までの間につきましても、基本計画から整備計画への格上げを国に要望し、県民の悲願である高速道路の紀伊半島一周計画の実現に向けて引き続き努力してまいります。
 三番目の高速道路の関連事業に対する取り組みについてでございますが、高速道路の整備促進を図るためには、これに関連する道路、河川等の整備が不可欠と認識しているところでございます。これら関連事業については、地元関係者の要望も踏まえ、地元市町村、関係部局等にもご協力をお願いしながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 四つ目の田辺西バイパスの今後の事業見通しについてでございますが、田辺西バイパスについては、田辺市稲成から芳養間の交通混雑解消を図るとともに、近畿自動車道紀勢線の田辺インターへのアクセス道路として今年度事業着手されたところであります。現在、測量立ち入りの地元了解を得るための調整を進めているところであり、今後、地元田辺市並びに関係各位の協力をいただきながら、用地取得を円滑に進め、早期に工事に着手できるよう国に対し強く要望してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 30番野見山 海君。
○野見山 海君 答弁ありがとうございました。
 今回の地元からの要望に対しては、何とかしてほしいという願いがあったわけでございます。私たち地元三人の県会議員も生産者と行動をともにしながら、痛みが伝わってくるほど何とかしてほしいという気持ちでありました。
 県の行政におかれましても、関西電力との話し合いの中で大きく前進したと私は評価いたします。しかし、究明はなかなかすぐには解決できないと思います。行政の皆さんあるいは地元の皆さんも、一日も早い究明を期待されていると思いますので、どうか行政におかれてもあらゆる角度から地元の要望をお聞きいただき、前向きに取り組んでいただきますことを心からお願い申し上げる次第であります。
 私ごとでございますけれども、地元である以上に、地元の皆さんからいろんな形で要望され、現場も見てまいりました。この梅の生育不良は、ふえているんです。減ってはないんですよ。離農した方々もあるんです。農業大学を出てこの梅の生産に夢をかけてやろうというやさきに廃園になった、こういう秋津川の地域もありますし、サラリーマンをほってこの梅にかけようという方々も多くあるんです。どうか、この方々のためにも一生懸命取り組んでいただきたいと思います。
 今回、この問題につきまして、県の行政の皆さんは努力をされたとは思いますけれども、もっと地元に対する配慮があってしかるべきだと私は思いますので、今後こういうことのないように十分注意を払っていただきますことを強く要望して、質問にかえたいと思います。
 ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で野見山海君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(町田 亘君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時十八分休憩
 ─────────────────────
 午後一時四分再開
○副議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番中山 豊君。
 〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 今回は、通告を見ていただいてもご理解いただけるように、県政の根幹に触れるような課題はさておいて身の回りに散在するあれこれの課題を取り上げ、当局のお考えを求めつつ、取り組み方を要請しようと、数点のご質問をさせていただきます。
 のっけから要望ということから入るわけですが、まず一つに、国立衛生試験所和歌山薬用植物栽培試験場についてであります。
 試験場の沿革によると、昭和十四年、ケシの栽培対策の研究を目的として設立されたとあります。極めてすぐれた品種を生み出すなど大きな成果を上げてこられ、その後、品種改良、優良な系統の栽培法と種子の保存、病害等の試験、並びに農家に対する栽培指導に当たったとあります。しかし、私が読んだものによると、日本が中国──昔の支那であります──に向けて膨張政策をとるにつけて、ケシの栽培を旺盛にして多大の利益をむさぼり、それだけにあらず、アヘンを吸引さすことを勧め、人々の怠惰を誘い、士気を損ない、勤勉な勤労意欲を減退させて、ひいては国力の低下をもたらす植民地化を推し進めたということの一言だけは添えておかなければならない、このように思うわけであります。ケシの栽培の最盛期には、汽車の沿線に見るケシの開花期は今も印象深いものがあります。ケシの主産地を形成し、地域農業の振興に一方ならぬものがあったようであります。
 事情が変わってケシの栽培は見る影もありませんが、昭和五十一年、漢方エキス製剤の薬価基準収載に伴い生薬消費量が急増したため、国内産原料生薬の確保が求められるようになり、五百種以上の薬用植物を栽培し、薬草に関する情報提供と普及を図っているとのことであります。県薬務課が進める生薬資源開発推進にも協力し、県下の農家の指導に当たり、生薬生産地の形成にも力を注いでいるとのことでありました。今後さらに生薬生産地の形成について、中山間農業振興の立場からどのようなお考えにあるのか、お聞かせください。その対策を一つの大きな課題として考えたわけであります。
 今日、生薬原料は中国、朝鮮等からの輸入に依拠しているところが大きいが、むしろ国産需要に展望を持ち、生薬生産地の形成を図る取り組みをしてみてはどうかと思うのであります。
 さらに、そこの場長が、定年退職後もここにとどまり、振興と普及に尽力したいと意欲を示しておられたけれども、貴重な人材だとうかがえたわけであります。薬務課サイドのみならず、農業振興、山村対策等とリンクした取り組みを検討されて、全国でも数少ない施設であることにかんがみて、大いに提携を図ってみてはどうかということであります。
 美里町の山合い、生石山の山すそにへばりつくようにしてある山村の住民から聞いたお話であります。この話は、この問題を取り上げるのに大きな要因になったことは否めません。すなわち、「ここ五年もしたらなあ、人の里でなくなり、けものの里になるよ。人間が住み続けられるようにならないものか」、このように申されました。この声にこたえるためにも、生薬生産地の形成に一つの試みとして努めてはいかがか、このように提起を申し上げるわけであります。答弁をいただけるように投げかけて、要望といたしたいと思います。
 農業用ため池についてであります。
 生産調整の名のもとに、米産減反により農業の弱体化が極度に目立ち、後継者難で追い打ちをかけるようになり、今日、折しも田植えの季節をようやくにして済ませたところだが、あと五、六年もしたら地域に農業をする者はいなくなる、やれるところまでやるだけやという、やけっぱちなような感じのお話をよく聞くわけであります。これをどうするか、真剣に取り組まねばならないと思うところだが、このたびは表題に掲げたため池の現状を述べて、これの取り組みについて当局の考えを求めます。
 海南市のある地域に例をとってみましょう。農家戸数六十三戸、専業農家なし、水田面積が約二十ヘクタール、畑樹木地が二ヘクタール、用水ため池が大小合わせて三十カ所。まさに、ため池に依拠し切っているわけであります。昔の人々の稲作文化の原型を見るようでありますが、戦後五十年、ため池と用水路の管理は行き届かず、荒れ放題であります。ほとんどは、補修並びに改修を要する池の状態になっておるわけであります。その中でも直ちに補修、改修を要する池五カ所、樋の老朽化、水漏れが主であります。それに加えて、堤の決壊等であります。その中で、一つは県営で改修をと協議が進められているのは、せめてもの救いであります。他は市や水利組合等で対策を検討し、個人池は手つかず──ここが一番問題かとも思われるのですが、まさに大変であります。災害発生源にもなりかねません。こんな実態は県下どこにでもある状況ではないかとうかがうところであります。実態を調査し、特別の対策を急がれるところと思うのですが、どうでしょうか。
 ちなみに、昨年六月に七山地区で一つの池の堤と樋を県営事業で改修していただきました。特別養護老人ホームが池の下にあることから、関係者や地区住民はすごく喜んでおられるわけであります。本事業は、たまたま池周辺の山の土を利用し得て容易に進められたことで、山の所有者はこれに全面的に協力し、平成の井沢弥惣兵衛とさえ称賛されているぐらいの話であります。事ほどさように、人々の池に対する関心は強く、心配は大きいわけであります。
 そこで、ため池の実態、危険ため池の改修計画と手だてはどうなんでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、下排水対策についてであります。
 環境保全、特に河川浄化への人々の関心は強いものがあります。下排水対策のおくれが目立って悪いとされる本県にあって、公共下水道事業を補う立場から、農業用集落排水事業、合併処理浄化槽整備事業を眺めてみるのも一つの考えだと思い、尋ねることにしたわけであります。
 集落排水事業の計画実施に当たって、ご留意なさっている主な点と普及状況、合併処理浄化槽整備事業を県が年度別に普及するのに補助をしてきた実情について、県下自治体の要求に見合う対応ができているのか。
 これについて海南市の例を述べてみますと、平成五年から始まったこの事業ですが、始まった当時は三十一基、年々ふえて、平成九年度では七十四基と倍以上にその数がふやされて、住民、市民の要求にこたえられてきているところがうかがえるわけであります。かなり努力をなさってくれているようにお見受けするところでありますけれども、今後についての考えをお聞かせください。
 一方、市街地の下水道事業はもっと困難な状況下にあるのではないかと思われるわけであります。県下の普及状況と今後の見通しをお尋ね申し上げます。
 四番目に、ダイオキシン対策についてであります。
 県内のごみ焼却場から排出されるダイオキシン濃度について四月には、厚生省の調査によるとして各紙が報じたところであります。これによると、厚生省が緊急対策が必要とされる八十ナノグラム──一ナノグラムは十億分の一グラムという話であります──をオーバーしているのが県下で二カ所、それにやや近い数値を示している施設が幾つかあるようです。
 言うまでもなくダイオキシンは、ベトナム戦争当時、アメリカが枯れ葉剤としてまき、皆殺しの手段として使ったものの残留毒素で、ベトちゃん、ドクちゃんに見る奇形やがん、生殖障害などを引き起こした猛毒物質であることは周知のところであります。このような猛毒物質が、ごみ焼却場の排煙内に含まれていることは大変なことであります。厚生省は、八十ナノグラムを基準に、これを超える施設には緊急対策を求めるとしているけれども、西欧各国の基準値から見ると、この数値でさえかけ離れていて、この数値自体を問題にしなくてはと思うところだが、さしずめ、厚生省基準値八十ナノグラム以下に下げる取り組みを求めることはもちろんのこと、厚生省の示しているガイドラインに沿う取り組みを県はどのようにされようとしているのかというのがこの問題の質問の主なところであります。
 現状を見るとき、焼却場の設置者である市町に責任があるばかりとは言えないのではないでしょうか。厚生省が基準を決めて規制だけを求めるかのようなやり方は、今日の事態になじまないのではないでしょうか。ダイオキシンを取り除くフィルターだけでも、海南市が設置している焼却場のような規模でさえ約十億かかるというお話であります。
 四日前の報道によると、環境庁は基準達成の目標期間を五年とし、一年以内にどのような焼却炉も一立方メートル当たり八十ナノグラム以下とするよう求めているようであります。これを厚生省のガイドラインのレベルに近づけようとするのにはどうなさるのか、大変であります。市や町が取り組みやすい環境づくり、県は厳しく国に求めつつ、独自の支援を送るべきだと思うけれども、どうでしょうか。
 次、通信塔建設についてであります。
 携帯電話を中継とする通信塔がことしになって急に各所に建設されようとして、地域住民との間で問題にされています。共通していることは、建設しようとする業者側が事前説明を十分しないで着工するところにあります。住民から反発を呼んでいると見受けられます。住民は県に申し入れ、業者を指導し、住民の心配を取り除くよう求めるけれども、それらしく対応してくれるところがないと申されます。つまるところ、電波監理局へ言いに行けというようなお話であります。業者は、建築確認をとっていると、強引に推し進めようとします。電波に係る話は監理局へというだけでは、塔の建設にまつわる住民の不安や心配は除かれません。住民は、まず通信塔の建設について十分な説明をして理解を求めよと業者に指導してほしいと県に求めているところであります。地権者に了解をとり、県には建築確認を得ているからごり押しをして建つようなことのないように注意をしてほしい。
 もちろん、電磁波の人体への影響などについて業者は住民に詳しく説明すべきだとも言われます。住民とのコンセンサスに失敗して、供用開始できない場面に追いやられているところもあるように伺うわけであります。建設に伴う申請段階から的確に県の指導があって当然と思うのですが、文明の発達に伴い発生する課題への対応に既往の体制で事足りない場合は敏感であってほしいわけであります。所見をお伺いいたします。
 道路問題についてであります。
 国道四百二十四号線の拡幅整備はかねてより何回か申し上げてきたところですけれども、黒沢ハイランド彦ケ瀬まで見通すとき、上谷地区の入り口部分が極めて狭隘で、民間の協力が得がたく、資材運搬の車両さえ入りにくく、工事を進めるにも事欠いてきたわけですが、県の努力の結果、ようやく協力が得られるところとなったようです。今日の時点での未着手部分の整備計画を改めてお聞きしたいと思います。
 次に、業者は県道小野田内原線を割って宅地造成団地内へ給水管を埋設しました。その後始末が悪く、路面に凹凸段差があり、通行者は危険だし、夜の振動等があって住民からの整備方を強く求められてきたところですけれども、一向に着手しようとしません。県は、開発許可を与え、給水管埋設を認め、道路管理の責任等、二重、三重の責任から見ても、おろそかに見て済ますことがあってはならないのではないか、これについての今日の当局の考えをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、県道海南金屋線の整備についても過去に何回か取り上げました。重根・田津原間バイパス、及び別所方面についての考え方を確かめてきたところです。今回は幡川・日方区間に、特に神田地区間の狭隘なところだけでも既設道路幅に合わせて応急措置をとったらどうでしょうかということのお話を申し上げて、所見をお伺いしたいと思います。
 次に、日高港湾整備事業について質問をいたします。
 この事業は、県の中で大型プロジェクトの一つの事業でありますが、この三月以来大きな変化がありました。埋立同意の必要な三漁協のうち二年半前には否決していた三尾漁協が、この三月六日の臨時総会で埋立同意を採択しました。その同意の内容を踏まえて四月には、美浜漁協と御坊市漁協が改めて埋め立てに同意をいたしております。現在、県段階で公有水面埋立申請の準備を進め、近く申請を行うやに伺っております。以下、三週間の公告縦覧で住民の意見を把握した後、御坊市長に諮問をし、市議会で埋立同意の議決を諮る、その議会議決を受けて御坊市長の答申が出された後、運輸省への許可申請を提出するという手続になろうかと思われます。そこまで進んできた日高港湾計画ですが、計画策定から長い年月を経ており、だからこそ改めてこの計画そのものを検討してみたいと思うわけであります。
 そもそも日高港湾計画は、一九八三年に国の重要港湾として指定された港湾ですが、それから十四年になろうとしています。当時の社会状況、経済情勢から大きく変化をしております。地方港湾であった木材を中心とした日高港が、地域産業、地場産業の中心であった木材、製材関係の方々の熱心な運動で、もっと大きな港をと求めたのが発端でありました。重要港湾に指定された当時は、大阪湾諸港の機能分担を図るという位置づけがなされていましたけれども、社会経済情勢の変化によりその必要性は変わってきているのではないでしょうか。ですから、この日高港湾整備の必要性が当初の目的とは違ったものになってきているのではないかと考えざるを得ないのですが、いかがなものでしょう。
 一九九二年六月、基本計画の見直しがなされています。ところが、一九八三年当時の貨物取扱量の四百三十万トンはそのまま変わらず、外貿を九十万トンから百万トンに十万トンふやし、内貿を逆に三百四十万トンから三百三十万トンに十万トン減らしたにすぎません。九二年の見直しではその内訳まで示されていませんが、八三年当時の内訳を見ると、四百三十万トンの全体のうち、原油の取り扱いが二百万トン、セメントや重油がそれぞれ二十万トンとなっており、地場産業である原木は七十二万四千トン、砂、砂利が二十万トン、米、雑穀、豆が二十万トンとなっています。つまり、現在稼働している御坊火力発電所関連のものが半分以上を占めるに至っているわけであります。さらに、九二年の見直しから見ても既に五年が経過しています。工事着工間近という時点に立って、和歌山県としてこの日高港湾の性格づけとなる貨物取り扱いについて、品目ごとの取扱量をどのように計画されているのか、まずお示しを願いたいわけであります。
 二点目に、事業費の面からお伺いいたします。
 一九九二年六月に一部変更が認められて、第一期計画をまず事業実施していくことになりました。早期に事業効果を発揮する、需要が確実に見込まれる低廉な用地を造成する、地元負担能力に応じた速度で整備を行う、地元の合意形成が容易な計画という基本方針のもと、全体面積十八・二ヘクタール、売却用地八・九ヘクタールを第一期計画として整備するとしています。今回、埋立申請を予定しているのはこの第一期事業でありますが、二期を含めた日高港湾整備全体計画は五百七十億円とされてきました。既に、一九九二年の見直しからでも五年経過しています。経済状況の変化もあります。現時点での第一期計画の事業費の見込み、そのうちの国直轄事業費と国補助事業費、また埠頭用地と企業用地費用のそれぞれ、またそのうち国、県、御坊市の負担予定額について、それぞれお示し願いたいわけであります。
 また、二期事業を含めた全体の事業費総額を今日の時点で見込まれているのか、お示しください。
 先般来、社会問題化している問題に、一たん開始された公共事業はどんなことがあっても強行され、国際的にも批判を受けている長崎県の諫早湾の干拓問題のように、勇気ある撤退が求められる事態さえあらわれています。これに関連して、二期事業の必要性についても、いま一度再検討する必要があるのではないかと考えるのですが、県当局のお考えをお示しください。また、県の負担も相当大きなものになろうと思われるのですが、この財政計画についてもご説明をお願いいたします。
 次に、埋立造成地の活用についてであります。
 港湾整備の事業は、造成地にどれだけの企業立地があるかどうかにかかっていることは言うまでもないことです。それゆえ、先ほど述べた第一期計画の基本方針が立てられたのでしょう。御坊市の方では、一九八八年当時はこの第一期計画に進出する可能性のある企業で日高港湾進出企業協議会を設置し、協議を行ってきたと聞いています。当初は九社が参加し、地元企業も三社が入っていたようですが、現時点で何社が進出を予定し、その売却予定面積はどれぐらいでしょうか。低廉な用地の提供がかぎになりますが、その売却単価はどのくらいを予定されているのでしょうか。御坊には、御坊第一工業団地、第二工業団地と相次いで県企業局が事業主体となっての工業団地や造成予定地がありますが、第二団地で一社だけという状況です。この二の舞にならないのかどうか、この点、明確にお答えをお願いいたします。
 経済効果についてであります。
 今、全国で開発型地域振興策が破綻していることにかんがみて、多額の借金をして企業誘致を図る、いわゆる呼び込み方式と言ってもいいでしょうか、日高港湾整備計画がそうならない保証はあるのでしょうか。御坊第二火電計画で県は盛んに経済効果を強調されていますが、この日高港湾計画ではこうした試算はされているのでしょうか。されているのであれば、お示し願いたいわけであります。──ちょっと前段で急いで割愛したところもあったんで、多分に時間の余裕が出てきました。
 この項目の最後に、御坊第二火力発電所計画との関連についてお尋ねします。
 既設発電所は、この日高港湾区域内に計画されており、貨物取扱量の中にも含まれていることは既に述べたとおりです。第二火力発電所計画は、関西電力の当初の計画では、和協二十二の中だけで人工島の新設というものでしたが、途中から既設火電の南岸壁を共有する計画になりました。したがって、日高港湾区域に含まれるものになるのではないでしょうか。もし第二火力の建設が決定されたら、港湾区域も貨物取扱量も大幅に変わってくるとお見受けするわけですが、この点についての県当局の見解を伺っておきたいと思います。
 御坊市が紀中の中核都市としてますます発展することになるであろうことを願って、質問を終わりたいと思います。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) まず、お話にございました薬用植物の栽培についてでございますが、これはご要望でございますけれども、県においては中山間地域の振興作物として産地の拡大と定着に努めているところでございますので、ご報告だけさせていただきます。
 次に、農業用のため池についてでございます。
 本県におけるため池は、約五千九百カ所ございます。そのほとんどが、管理者である地元集落及び水利組合等で維持管理されているのが現状でございます。
 ため池は、農業用利用のみならず、防災機能や自然環境保全等の公益的機能を有しておりまして、その維持保全を図ることは重要であると考えてございます。県といたしましては、県単独調査としてため池の実態調査を行っているほか、下流に民家等があり水防活動が必要な重要水防のため池につきましては詳細な実態調査をし、パソコンによるデータベース化を図っているところでございます。農業用ため池の改修につきましては、これまでもその促進に努めてまいったところでございますが、今後ともこれらの調査結果を踏まえ、緊急度の高いものから順次整備を進めていく所存でございます。
 なお、改修を要する池につきましては、関係農家が二戸以上で採択基準に合えば補助事業で対応を図ってございます。今後とも、市町村及び地元との調整を図りながら整備促進に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、下排水対策についてでございますが、そのうち農業集落排水事業は、昭和五十八年度に農業用排水の水質保全、用排水施設の機能維持、及び農村生活環境の改善を目的に創設された事業でございまして、本県では農業振興地域のうち約四万八千戸の整備を目標に事業の促進に努めているところでございます。今日までに十七市町村四十地区において事業着手され、うち七地区が完了、三十三地区で実施しており、市町村数、地区数も年々増加の傾向にございます。しかしながら、事業推進、計画をするに当たり、処理場用地の確保等が難しく、その問題を解決するため、県単独補助事業といたしまして処理場周辺整備の農業集落排水施設関連地域整備事業を創設し、事業推進を図っているところでございます。
 今後とも、全国唯一、女性により組織されました和歌山県農業集落排水推進協議会及び各市町村と、さらに連携を密にしながら事業の普及促進を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 中山議員にお答えをいたします。
 下排水対策についての二番目、合併処理浄化槽整備事業の県の年度別普及実情と今後の見通しについてでございます。
 合併処理浄化槽整備事業につきましては、生活排水が水質汚濁の主な要因であることから、市町村が行う事業に国庫補助制度が創設されたことに伴いまして、県も交付要綱を定め、補助金を交付しているところでございます。平成元年度に六市町村で事業を開始して以来、平成八年度までに四十四市町村が事業を実施し、平成八年度末の総数は自己設置も含めて一万七千三百九十四基となってございます。年度別といたしましては、平成六年度は三千二百五基、七年度は三千二百五十七基、八年度は三千六百六十九基の設置となってございます。
 また、これまでは国に対して積極的な要求に努め、市町村の要望に見合う補助が行われてまいりましたが、平成九年度は国の財政状況等によりまして非常に厳しい状況にございます。県といたしましては、今後とも国庫補助金の獲得等に努め、水質保全のため、汚水衛生処理率の向上に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、ダイオキシン対策についてのご質問のうち、一番目、八十ナノグラムをオーバーした施設に対する緊急改善対策についてであります。
 ダイオキシン類は燃焼温度が摂氏三百度から八百度の間に主に生成されるため、緊急対策として摂氏八百度以上の燃焼管理、排ガス処理施設入り口における排ガス温度を摂氏三百度以下で処理すること、また塩化ビニールなどの塩素化合物の燃焼により生成されることにかんがみまして、塩化ビニール類の分別収集も暫定方法として有効と考えてございます。県といたしましては、ダイオキシン類排出濃度が八十ナノグラムを超える市町村に対しまして、これらの方法等によりダイオキシン類を削減するよう指導しているところでございます。
 二番目、厚生省ガイドラインに近づける県の取り組み、三番目、設置者の市町が取り組みやすい環境づくりをということについて、合わせてお答えをいたします。
 一般廃棄物焼却炉につきましては、厚生省ガイドラインの恒久対策を実現させるためには、一日当たり百トン以上の連続式の焼却炉、またはごみ燃料化の方向が考えられますが、市町村単独では一日百トンのごみは確保しにくいため、広域化処理が求められてございます。また、ごみ燃料化につきましても、燃料化したものの処理先の確保等、市町村単独では困難なことも考えられるため、国の今後の方針を踏まえた情報提供及び各種対策の把握に努めるとともに、市町村間の調整やごみ処理の今後の方向等、市町村とともに研究してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 中山議員のご質問にお答えいたします。
 まず下排水対策のうちの、公共下水道事業の今後の見通しについてでございます。
 県内の下水道事業の実施状況は、平成八年度末現在二市十三町で、そのうち一市七町が供用開始しております。処理人口普及率は八%となってございます。下水道事業実施については、終末処理場の設置場所の選定、地元調整、市町村の厳しい財政状況等の問題点もありますし、また昨今の厳しい財政状況のもとにあるわけでございますが、第八次下水道整備五カ年計画における処理人口普及率一四%を目途に下水道事業の促進を図ってまいりたいと考えております。
 続きまして、道路整備に関するご質問でございます。
 国道四百二十四号の整備についてでございますが、上谷地区入り口部の狭隘区間約二百メートルの一部区間について、用地及び物件を本年度に買収することにしております。また郡界までの未改良区間約二キロメートルについては、現在、詳細設計及び用地測量を実施しており、海南市、地元関係者の方々の協力を得ながら、特に狭隘な部分から順次現道拡幅の整備を進めてまいりたいと考えております。
 県道小野田内原線且来地区内の舗装についてでございます。
 ご指摘の件につきましては、宅地開発業者が上水道管埋設のため、平成八年一月十五日から同年四月三十日までの工事期間で約二キロメートルを掘削して仮復旧をいたしましたが、その後の本復旧が遅くなっているものでございます。本復旧につきましては、その費用を原因者である宅地開発業者から徴収し、工事については道路管理者である和歌山県が行うこととしておりましたが、宅地開発業者が再三の支払い請求に応じなかったため工事が実施できなかったものでございます。このため県では、宅地開発業者に対してみずから本復旧工事を実施するよう指示し、七月一日から工事に着手することになりました。地元の皆様にはご不便をおかけしていますが、今後、工事が迅速かつ適切に行われるよう指導監督してまいります。
 続きまして、県道海南金屋線日方・神田地区間の狭隘区間の整備についてでございます。
 県道海南金屋線の幡川・日方区間は、海南市市街地の外環状道路であり、都市計画道路日方大野中藤白線として幅員十八メートルで都市計画決定しております。日方・神田地区間は狭隘であり、早期整備の必要性があると考えてございます。現在、海南市域で施行中の海南駅連続立体交差事業や築地阪井線の早期完成に努力するとともに、海南市と協議し、市域全体の道路ネットワークを踏まえ、具体的な整備方針を検討してまいります。
 次に、日高港港湾整備計画についてのご質問にお答えいたします。
 最初に日高港の貨物取扱量についてでございますが、平成七年の取扱貨物量は約百八十六万トンであり、うち公共貨物は原木や建設資材で約三十五万トンとなっております。日高港第一期計画が完成することにより、これまで大阪湾内諸港や徳島県の小松島港等から海送や陸送で二次輸送していた輸入原木や砂、砂利、セメント等の建設資材について、よりコストの安い海上輸送が可能となるため、公共貨物はおよそ八十五万トンに増加すると現時点では見込んでおります。
 整備事業での地元負担と県の財政計画についてのご質問でございます。
 事業費につきましては、現時点で第一期計画の事業費はおよそ三百七十億円を見込んでおります。その内訳は、国直轄事業約二百四十億円、補助事業約六十億円、県事業約七十億円でございます。負担割合につきましては、国直轄事業及び補助事業について、国と地方の負担がそれぞれ二分の一でございますが、地元御坊市に国直轄事業の十分の一、補助事業の六分の一を地方負担の一部として負担していただくこととしております。
 次に二期計画について、現段階では取り組んでおりませんが、次期港湾計画で二期計画の位置づけも含めて検討してまいりたいと考えております。また事業費の財源につきましては、整備に関する諸制度を十分に活用し、適切に対処してまいりたいと考えております。
 続きまして、開発と地域振興策との関連で、本計画の経済効果についてでございます。
 港湾を整備することによりまして、日高地方の主要産業である製材業について、輸入原木の輸送コスト削減により市場競争力の強化が図れることや、建設資材の輸送コストが削減されること、また新規の企業誘致を促進すること等により地域の産業振興に大きく寄与するものと考えております。さらに、建設に伴う雇用の増大や資材の調達等による地域経済への貢献など、さまざまな経済波及効果を見込んでおります。
 御坊第二火力発電所計画で港湾区域も貨物取扱量も変更にならないのかというご質問でございます。
 日高港港湾計画と御坊第二火力発電所との関連については、既設御坊発電所に隣接して、新たに大規模埋め立てや専用桟橋、外洋シーバース等が計画されていることから、建設の前提として日高港港湾計画への位置づけが必要となります。このため、国の電源開発調整審議会の議を経て国の電源開発基本計画に組み入れられれば、その段階で遅滞なく現在の港湾計画を改定して、火力発電所計画を取扱貨物量も含めて位置づけ、さらに港湾区域の拡張を行ってまいることとしております。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 中山議員にお答え申し上げます。
 議員お話しのとおり、携帯電話に係る通信中継基地の許可は国の事務となっております。また、電気通信事業者は法的には地元説明を求められてはいませんが、携帯電話が全国で二千九百二十万台余の普及がなされる公共性の高い通信基盤であることから、進出に当たっては社会的な責任を果たす上からも地元への説明が必要ではないかと考えております。
 県といたしましては、これまでにも市町村役場と連絡を密にしながら進出事業者に地元説明の実施を要請してきたところであり、今後とも県としてできる限りの対応をいたしてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 企業局長佐野萬瑳義君。
 〔佐野萬瑳義君、登壇〕
○企業局長(佐野萬瑳義君) 中山議員のご質問にお答えいたします。
 埋立造成地の活用についてでございますが、本事業は、日高港港湾計画に基づき、紀中地域の物流、並びに地域開発拠点として臨海部の土地需要にこたえ、企業用地を造成するものであります。
 ご指摘のとおり、本事業の成否のかぎとなる進出可能企業の把握につきましては、昭和六十三年に御坊市を窓口として日高港湾進出企業協議会が設立され、これまで進出の意向打診等を行ってきたところでございます。ことしに入って、地元三漁協の同意が得られた後、改めて協議会において意向調査の結果、九社で約八ヘクタールの用地取得の希望がありました。
 なお、売却単価につきましては、現在、一平方メートル当たり六万円程度を予定しております。
 当造成地は、港湾機能を有した付加価値の高い企業用地であり、県内外から多くの企業立地が図られるものと期待をしてございます。今後とも、地元御坊市初め進出企業協議会等と十分連携をとりながら、鋭意、進出企業の把握と立地促進に努め、万全を期してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 33番中山 豊君。
○中山 豊君 三、四点、ご意見を申し上げ、要望を申し上げたいと思います。
 携帯電話の通信塔の建設にかかわるお話ですけれども、企画部長からご答弁いただきました。県民がこの問題にかかわって県へご相談申し上げ、いろいろと心配を取り除くために力をかしてほしいと思っても、以前だと、どこへ行っていいかわからないし、電波にかかわる話だったら大阪の電波監理局へ行けと言わんばかりのお話が返ってきたことから比べると、十分とは言えないけれども、ああ、あそこで受けてくれるんだということが明確になっただけでも評価しなくちゃならないと思います。これで県民は、この問題に係る心配や不安が解消されるかどうかは別にして、一緒に考えてもらえるセクションが明確になったということだけでも前進だったと言わなくちゃならないだろう。これは、県民が安心するところだろうと思うんです。「おおきに」と言いたいところです。
 通信塔の建設に伴う業者の進出は、ことしになってから急激にふえてきております。地元住民の同意をということがだんだんと県民の間に広まっていって、安易に勝手に建設を許すということにならなくなってきたというのも一つの力だと思いますけれども、それに対応して県のご相談にあずかっていただけるセクションが明確にされたということを評価して、次に移りたいと思います。
 土木部長、県道小野田内原線の宅地造成業者が県道を割って給水管を埋設した後始末が悪いというこの話は、もうかれこれ一年たとうとしているわけです。その間にあれやのこれやのということで、いろいろ県当局にもそのような声が反映してきたはずなんだが、土木部長の答弁もあったように、業者にその費用を出させて事業をするという考え方でいったけれども、業者がその費用を捻出しないという形でおくれたと、こういうお話ですよね。こんなことはあるんでしょうかね。これは、大変だと思うんです。
 一つは、開発許可を許したのも県でしょう。県道の管理責任も県でしょう。それと同時に、給水管を埋設するということを認めていったのも県であります。こういうふうなことを考えたら、二重、三重の責任を追及されてもいたし方のないことだと思う。これほどに住民が要求していっても実現されないということは、痛くない腹をさぐられるということにもなりかねないようなまずいお話なんですよ。行政は、県は、そういう業者に対してそんなに緩やかに対応していいものなのかどうかということを我々に考えさせられるような課題として受けとめられたわけです。背に腹はかえられんという立場からご質問申し上げたということもあるので、今後こういうふうなことのないようにご注意を申し上げておきたいと思います。
 しかし、七月一日から工事が施行されるということになったということだから、それはそれなりに評価をしておきたいと思います。これも「おおきに」と言いたいところだけれども、余り積極的に言えないですね。
 そして、ダイオキシンの問題です。
 八十ナノグラムという緊急改善対策に早いこと改善をさせるという厚生省のお話ですね。これに近づけるのに一年という早い期間にやろうということなんですが、部長の答弁を聞いていると、どうもそういうふうな緊迫感のある対応をしてくれるようなことには感じられなかった。そのことを申し上げておきたいと思います。
 さらに、厚生省が決めているガイドラインのレベルまで近づけようということになってくると、大変なお金の要る話になってくるわけです。こうなった場合、設置者である地方自治体のあれこれにゆだねるということにはならないのではないかと思うんです。これは、国の方でも思い切った裏打ちをしてもらうという取り組みも必要であろう。同時に、県の独自の支援策も要るであろう、ガイドラインレベルに到達させるのにどんな絵をかかれて、どんな資金が用意されてと、こういうふうなことにまで踏み込んだお話をいただきたかったわけですが、いただけないところをみると、なかなか難しいお話のようなので、それ以上踏み込むことにはしないでおくけれども、これはそうずるずる延ばしてあれこれできる話ではないと思われるので、いつの日か、早いこと国に向かってこういうふうなことをしますということなどを含めて、県民に発表できるような取り組みをお願いを申し上げて終わりたいと思います。
 以上です。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(下川俊樹君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時五十七分散会

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