平成9年2月 和歌山県議会定例会会議録 第9号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第九号 平成九年三月二十五日(火曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第一号から議案第八十七号まで、及び請願八件、並びに継続審査中の議案第百六十六号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
 第二 各常任委員会及び議会運営委員会閉会中継続審査の件
 第三 各特別委員会閉会中継続審査の件
 第四 選挙管理委員及び同補充員の選挙
 第五 意見書・決議案
会議に付した事件
 一 議案第一号から議案第八十七号まで、及び請願八件、並びに継続審査中の議案第百六十六号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
 二 各常任委員会及び議会運営委員会閉会中継続審査の件
 三 各特別委員会閉会中継続審査の件
 四 選挙管理委員及び同補充員の選挙
 五 意見書・決議案
出 席 議 員(四十七人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川  武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門  三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島  雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 谷  洋 一
 18 番 山 下 直 也
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 上 野 哲 弘
 21 番 堀 本 隆 男
 22 番 宇治田 栄 蔵
 23 番 宗  正 彦
 24 番 橋 本  進
 25 番 神 出 政 巳
 26 番 玉 置 公 良
 27 番 松 本 泰 造
 28 番 東 山 昭 久
 29 番 尾 崎 要 二
 30 番 野見山  海
 31 番 木 下 秀 男
 32 番 町 田  亘
 33 番 中 山  豊
 34 番 井 谷  勲
 35 番 鶴 田 至 弘
 36 番 森  正 樹
 37 番 村 岡 キミ子
 38 番 新 田 和 弘
 39 番 平 越 孝 哉
 40 番 森 本 明 雄
 41 番 長 坂 隆 司
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
 知 事 西 口  勇
 副知事 山 下  茂
 出納長 高 瀬 芳 彦
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 中 山 次 郎
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 生活文化部長 中 村 協 二
 福祉保健部長 小 西  悟
 商工労働部長 日 根 紀 男
 農林水産部長 平 松 俊 次
 土木部長 長 沢 小太郎
 企業局長 佐 野 萬瑳義
 教育委員会委員長
   山 本  昭
 教育長 西 川 時千代
 公安委員会委員 高 垣  宏
 警察本部長 青 山 幸 恭
 人事委員会委員長
   若 林 弘 澄
 代表監査委員 宮 市 武 彦
 選挙管理委員会委員長
   谷 口 庄 一
 以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 西 畑 彰 久
 次 長 中 西 俊 二
 議事課長 佐 竹 欣 司
 議事課副課長 島  光 正
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 山 本 保 誠
 議事課主事 大 浦 達 司
 総務課長 塩 路 義 和
 総務課主事 大 平 泰 弘
 総務課主事 土 井 昌 紀
 調査課長 湊  孝太郎
 調査課調査員 中 野 傳 治
 調査課調査員 西 田  理
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
 ─────────────────────
 午前十時二分開議
○議長(町田 亘君) これより本日の会議を開きます。
○議長(町田 亘君) 議事の都合により休憩いたします。
 午前十時三分休憩
 ─────────────────────
 午後三時三十四分再開
○議長(町田 亘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 ─────────────────────
○議長(町田 亘君) この際、本日の会議時間は、議事の都合により、あらかじめこれを延長いたします。
 ─────────────────────
 【日程第一 議案第一号から議案第八十七号まで、及び請願八件、並びに継続審査中の議案第百六十六号】
○議長(町田 亘君) 日程第一、議案第一号から議案第八十七号まで、今期定例会の請願二件及び前会から継続審査中の請願六件、計八件、並びに前会から継続審査中の議案第百六十六号平成七年度和歌山県歳入歳出決算の認定についてを一括して議題とし、順次、各常任委員会委員長及び決算審査特別委員会委員長の報告を求めます。
 総務委員会委員長佐田頴一君。
 〔佐田頴一君、登壇〕(拍手)
○総務委員会委員長(佐田頴一君) 総務常任委員会における審査の経過並びに結果について、ご報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表及び請願文書表に記載のとおり、議案二十八件、請願継続分一件であります。
 当委員会は、三月十八日、十九日及び二十四日の三日間、第一委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、審議を行いました。
 各委員の質疑、意見及び要望等の主なものは、次のとおりであります。
 出納室関係では、阪和銀行には県の定期預金等もあったと思うが、今回の業務の一部停止に伴って県の出納業務に支障はなかったのかとただしたのに対し、昨年の十一月二十一日の一部業務停止命令が出された当時、阪和銀行への県関係の預金は約百十億円程度であったと承知しているが、大蔵省の預金保護により、元利とも満期日到来次第、順次返還を受け、預けがえ等の措置をしている、現在既に九十億円程度が返還されているとの答弁がありました。
 これに関連して、残り二十億円についても支障は出ないのかとただしたのに対し、二十億円についても三月三十一日に返還される予定であり、支障は出ないとの答弁がありました。
 監査委員関係では、財政的援助団体の概念について説明を求めたのに対し、県が出資等している法人格を持った団体や県が補助等をしている団体で、例えば県民文化会館等であるとの答弁がありました。
 続いて、当該団体に対して県が監査を実施しているということだが、団体としても内部監査を実施しているのではないかとただしたのに対し、監査委員としては、県からの補助金の所期の目的が達成されているか否かに重点を置いて監査を実施しているとの答弁がありました。
 このほか、公金支出についていろいろな問題が出ているがどう考えるかとただしたのに対し、住民訴訟で係争中の案件が一件、さらに昨日、土木総務課の案件について住民監査請求があった、住民監査請求については六十日以内に結論を出す予定であるとの答弁がありました。
 人事委員会関係では、最近の傾向として中央志向、都会の企業への就職志向が見受けられるが、県職員採用試験の状況はどうか、また影響はどうかとただしたのに対し、受験者数では、一種試験の場合、平成七年度が千百八十二人、平成八年度が千百二十二人のほぼ横ばいの状況となっている、また大きな影響はないものと考えているとの答弁がありました。
 知事公室関係では、まず政策推進室について、企画部の事務と重複せずうまく機能しているのかとただしたのに対し、企画総務課は長期計画の策定など将来構想の検討を所管し、政策推進室は主として具体的、個別的な施策や懸案事項についての調整や推進を行っている、ただ、両者は密接に関連しているので日ごろから意見や情報を交換し、緊密な連携を図っているとの答弁がありました。
 続いて、地域課題への対処についてどのような考えを持っているのかとただしたのに対し、平成九年度から各地方の総合調整役として振興局長が新設されると聞いており、県事務所や土木事務所など地方機関相互の連携がより強化されることに伴い、その機能を十分果たせるよう政策推進室として力を尽くすとの答弁がありました。
 さらに、地域振興対策を一つ例にとってもメニューが多岐にわたり、部局がまたがっている、調整窓口を設けて対応できないかとただしたのに対し、個々の具体的な事業はそれぞれの部局で対応することになっているが、縦割りの弊害が出ないよう、必要に応じて組織横断的な取り組みができるよう調整していくとの答弁がありました。
 次に、和歌山県のPR事業として全国のマスコミ関係者を県内に招待して案内するような事業はないのかとただしたのに対し、広報公聴課においてはマスコミ関係者を招待する事業はないが、他の部局において類似した事例があるとの答弁がありました。
 関連して、他府県が行っていないような和歌山県独自のPR事業を行ってほしいとの要望がありました。
 さらに、県外広報推進事業の予算額が大幅にダウンしているがその理由は、また県外向けにもっとPRしてはどうかとただしたのに対し、予算額のダウンについては、事業の見直しを行い、近畿圏で放送しているFM放送について、制作・放送費が大幅に安く、外国語放送もでき、放送エリアも同じ他のFM放送局に変更した、また県外向けPRについては、新規事業として、AM局を通じ関東圏、中部圏、京阪神圏、九州圏で年一回十五分番組を設け、さらに充実を図ったところであるとの答弁がありました。
 以上のほか、県政に関する世論調査の質疑、及び各部局でそれぞれ事業を行っているが、その主要プロジェクトや施設はほとんどが和歌山市に集まっている、もっと地域バランスを考慮するようにとの要望がありました。
 企画部関係では、まず初めに、新しい長期総合計画の中間報告の圏域設定はどういう基準で設定したのかとただしたのに対し、長計においては以前から県内を幾つかの圏域に分けて整備の方向を記述してきた、今回の圏域設定に当たっては広域市町村圏制度と同様の考え方で設定を行ったとの答弁がありました。
 続いて、これまでの施設設置や事業展開に関して地域的な偏りが見られる、長計は県政の指針であり、施設設置などについて地域性を考えているのかとただしたのに対し、長計は県土の総合的な発展を図るという見地から策定してきた、新しい長計の中間報告の作成においても地域の市町村長や住民の意見を聞いてきた、さらに平成九年度は、市町村長等の意見を聞き審議会に諮った上、地域のバランスを考慮した振興計画を策定したいとの答弁がありました。
 また、高速道路が御坊まで延び、関空の便数も伸びている中で県民所得の伸び率が低い原因を考えると、県と県民の努力不足、和歌山県の魅力の不足、全国的な景気の悪化等が考えられる、これに対しては長期的な県政の構想が重要と考えているがその点どうかとただしたのに対し、県政の着実な浮揚を図るため、活力ある産業づくりによる県経済の活性化とそれを支える基盤整備が重要と考え、交通・通信基盤の整備を図りながら、本県の地域特性を生かし、県勢発展のため開発プロジェクトを環境に配慮し、県民のご協力を賜りながら推進していきたいとの答弁がありました。
 関連して、長計の策定に当たっては、産業づくりや交通・通信基盤の整備に積極的に取り組むこと、和歌山県の地域資源を生かした観光、リゾートの振興を位置づけること、さらに国際化、特に東南アジアとの交流についての積極的な姿勢を新しい長計に位置づけるよう要望がありました。
 また、熊野地域活性化について、厳しい状況にあると思うが、人、情報などソフト面にウエートを置いて進めるべきである、今後具体的に進めていく中で現在どのような状況であるのかとただしたのに対し、熊野活性化の具体的な状況は、平成十年度を目途に活性化の核となる公益法人をつくりたい、そのために最も重要となるのは人材や地域の協力であり、行政枠を超え、柔軟な対応ができるよう組織をつくっていく、そのための準備作業に入りたいとの答弁がありました。
 次に、コスモパーク加太計画の今後の見通しについてただしたのに対し、当初、民間活力を前提で進めていたが、平成六年三月から基本的には行政主導で進めている、具体的には、県、市、公社で進め、土地利用計画を二カ年で策定し基盤整備に入りたい、現在のところ、人工スキー場の用地分譲、大学が具体化すればこの用地分譲も予定している、今後、土地利用計画、基盤整備を行い、四、五年後には一部分譲可能になるよう努力していきたいとの答弁がありました。
 続いて、大学立地についてただしたのに対し、まだ正式な段階になっていないので今後和歌山市と協力をしながら慎重に対応していきたいとの答弁がありました。
 さらに、福山平成大学方式の説明を求めたのに対し、公私協力方式の意味と理解している、私立大学を誘致する場合、昨今の一般的な例として、受け入れる自治体が何らかの補助をしている例が多いとの答弁がありました。
 次に、和歌山発電所の建設に伴う地域振興策はどのようなものがあるのかとただしたのに対し、一、電源三法交付金による公共施設の整備、二、建設時、運転開始時の雇用、三、建設時、運転開始時の地元発注、四、地元との共生、敷地内の施設を利用した共生、施設のメンテナンス等の共生等、五、県と市を中心にした税の増加であるとの答弁がありました。
 続いて、既設の御坊発電所の交付金・税など結構多かったと思うが、御坊市の様子を見ると地域振興になっていない、財政も逼迫しているのではないかとただしたのに対し、御坊第二発電所についても、交付金については県が整備計画を策定することになるが、市当局の意見を聞きながら、一時的でない地域の振興に結びつけていきたいとの答弁がありました。
 次に、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会の今後の取り組みをただしたのに対し、現在、事業者から出された環境影響調査書あるいは安全性調査検討書について検討していただいているとの答弁がありました。
 さらに、市民レベルでも環境影響調査書についていろいろな意見が出ていると思うが、検討委員会はどのような見解を持っているのか、中間報告をして地元の意見に対応させることが必要だと思うがどうかとただしたのに対し、検討委員会は、環境について、事業者の環境影響調査報告書、和歌山市で実施されている環境影響調査に関する審査報告書、あるいは県で取り組んでいる審査の状況等を聞いて、その土地利用について答えを出す機関であると認識している、結論的には土地利用について答申する委員会であると考えているとの答弁がありました。
 関連して、和歌山発電所の環境問題について、最終判断は検討委員会でやるのか、もしそうでなかったらどの部局でするのか、どの課で責任を持って環境審査をし、検討結果はいつ出すのかとただしたのに対し、検討委員会は、県の審査の状況を聞いた上で、委員会として環境についても判断する、電源立地については、御坊第二発電所と同様に適地性、安全性、地元の同意という基本的な考え方において、環境問題は適地性の中で判断していく、また環境については、水質、大気質等は担当課で分担して審査するが、取りまとめは電源立地連絡調整会議である、現在慎重に審査しているところであり、まとまり次第公表していくとの答弁がありました。
 このほか、ヘリネットワークのその後の対応状況をただしたのに対し、紀北、紀中、紀南に中核ヘリポートを整備しネットワーク化を図るが、昨年三月に南紀白浜空港の拡張、九月に紀南ヘリポートが共用開始、残る紀北地域でのヘリポートの適地を検討するために来年度予算に調査費を計上している、ヘリは高速性にすぐれ、防災対策上からも重要であると認識しており、今後整備に向けて積極的に取り組んでいくとの答弁がありました。
 また、新しい全国総合開発計画における太平洋新国土軸のコンセプトについて、国と県の視点に相違がある、国では国土軸の西端のターミナルとして沖縄県を位置づけているが、東端として紀伊半島のターミナル化を図るべきであるとただしたのに対し、国と地元では太平洋新国土軸の考え方に若干の相違はあるが、他府県ともども地元では交通軸が中心になると認識し、夏ごろの全総策定に向けて強く働きかけていく、国土軸における紀伊半島のアピール度を高めるため個性ある文化面に重点を置き、国土軸の他地域の文化と交流・連携することにより紀伊半島を核とした新たな文化軸の形成を図っていくことも一つの手法であるとの答弁がありました。
 また、職場にパソコンを置いている職員が多くなっているが、業務に十分活用されているのか、また県としての対応はどうかとただしたのに対し、職員へのパソコン研修については、採用時の初任者研修や職員研修所で行うパソコン初級研修で六十人から百人に実施されている、また情報システム課主催でも職員向けのパソコン研修を実施しているとの答弁がありました。
 続いて、岡山県が情報立県として岡山情報ハイウエー構想を打ち出しているが、和歌山県の黒潮ネットワークはどうかとただしたのに対し、黒潮ネットワークについては、平成九年度に各総合庁舎を結ぶ回線の高速化をお願いしている、またインターネットについても、今後、市町村等公共機関への接続を考え、学術から商用プロバイダーへの移行及び次期基盤整備に向けての検討調査もあわせてお願いしているとの答弁がありました。
 このほか、財団法人和歌山社会経済研究所活性化補助事業、南紀熊野体験博準備委員会の構成及び今後の取り組み、県民所得統計、大阪分水に伴う協力金、地価の動向、携帯電話用の鉄塔建設に伴う電磁波の人体への影響等についての質疑や地籍事業の推進についての要望がありました。
 総務部関係では、まず初めに平成九年度当初予算編成を終えての所見を求めたのに対し、大変厳しい財政事情の中での予算編成であった、しかしながら地方財政計画の伸び二・一%を上回る四・七%の積極的予算を組んだ、その中で公債費の増嵩及び大幅な五百億円余の基金の取り崩しが問題となった、しかし二十一世紀に向けての和歌山県としてやるべき事業がたくさんあるのでそれらに取り組んだところであるとの答弁がありました。
 また、組織改正に関して、県の地方機関・施設は地域バランスを考慮していないのではないか、特に海南・海草地域を所管する県事務所、土木事務所が和歌山市にある、また地方機関など現行配置を固定せず住民の意向を十分理解した適正配置にすべきではないかとただしたのに対し、それぞれの事務所の業務対象に和歌山市を含んでおり、現行の配置となっている、また今回の機構改革では、福祉・保健・医療施策の連携を強化するため、福祉事務所と保健所の所管区域及び位置を一致させることを予定しているが、今後とも所管区域や機構、県民サービスのあり方について検討を重ねていくとの答弁がありました。
 次に職員増員要望に関して、各職場からの要望の状況とその対応をただしたのに対し、新たな行政需要への対応と職員数の抑制の両面から、スクラップ・アンド・ビルドを基本に、各課にはそれぞれの行政目標を明確化した上で必要な人員を要望するよう求めている、そして各課からの要望内容を精査し、優先度に従い、人事異動を通じて総定員の中で適正配置を目指すとの答弁がありました。
 このほか、外郭団体の効率化及び自立性の確保の面から県職員の団体への派遣についての考えをただしたのに対し、職員の団体への派遣については、県行政と密接な関係にあり、一体となって強力に行政を推進する必要な団体に派遣している、団体の効率化や自立性の確保という観点からも、円滑な事業の推進が図れる体制に向けて順次プロパー職員に引き継ぐなど、県職員の派遣は毎年検討を行い、団体の将来、経営等を団体みずから確立していく体制づくりに努めるとの答弁がありました。
 また、医療情報システムや機器の購入に伴う機種選定に当たり、教授会や医局の意見をどのように反映しているのかとただしたのに対し、今年度、患者の待ち時間の短縮等を図るオーダーリングシステムの導入のための委託契約について、また新年度においては備品整備の予算四億円について議案を上程している、システム導入や備品購入に当たっては、医科大学内に設置した委員会及び専門部会で配分、機種選定等を検討しているとの答弁がありました。
 このほか、個人情報保護条例の制定について本県も検討しているのかとただしたのに対し、個人に関する情報の保護については、現在条例を制定する方向で検討を進めており、先日も主な関係課室の担当者を集め、制度について説明会を開催した、この条例は行政機関のみならず民間団体も含めて検討する必要があり、制度化については、他府県の状況を見ても二年程度の期間を要するものと考えているとの答弁がありました。
 以上のほか、消費税アップによる公共料金への転嫁、庁舎の基金の積み立て、さらに差別のない社会を実現するために同和問題の解決は行政の責務であり、県職員同和特別研修においても効果的な研修を実施するようにとの意見がありました。
 医科大学関係では、まず初めに議案第四十四号についての質疑があり、医科大学と附属病院の会計分離についてその経過をただしたのに対し、附属病院の建設財源及び新附属病院の運営経費が肥大化することが予測されることなど、病院経営の明確化、効率化を図っていく必要があるためとの答弁がありました。
 これに関連して、大学附属病院は大学と一体であると同時に研究機関でもあるから、合理性ばかりを追求するのではなく、大学経営全体を総合的に勘案し同一会計で経理するべきではないかとただしたのに対し、現在の高度な医療では医療用備品などの経費が多額に上るため経済効率を配慮するとともに、医学研究と医療のバランスにも留意していかなければならないとの答弁がありました。
 これに関連して、新医大の最重点は、最新設備と精鋭のスタッフをそろえた県下唯一の医学教育機関として、医師の派遣、公立病院の指導及び難病患者の受け入れ、特にCCMCの充実を図る等、頑張ってもらいたいとの要望がありました。
 次に、逼迫した県予算の中で医科大学の整備に一千億円近い予算を投入することは県民の期待のあらわれと思う、このような状況のもと医科大学の使命をどう考えるのかとただしたのに対し、本学は医療教育機関と中核病院としての役割を担っている、先端医療の研究に比重が偏らないよう患者本位の原点に立った病院のあり方についても再認識し、医科大学の運営を行うとの答弁がありました。
 続いて、医科大学の使命として、経済的に困難な地域へも赴任していただけるような医師も育てていただきたい、県下どこでも高度医療が受けられるような体制を整えるとともに救急救命士の活動に的確な指示を下せるよう連携を図ること、また救急学の充実をただしたのに対し、僻地等で勤務する者も大学と同じ医療情報を得られるような情報機器の整備をすることとしている、また医科大学における救急医学教育は、その充実強化を図る必要性があると認識している、なお卒後、研修として二年間救急医療の取得を必須としているところだが、CCMCを含めた救急医療の体制を充実していく必要があるとの答弁がありました。
 次に、外来患者混雑解消対策等、患者サービスの充実について説明を求めたのに対し、内科の四科については外来患者の予約率が高いことから、一階での受付をなくし、一階の総合受付窓口の混雑を解消するとの答弁がありました。
 続いて、医療情報ネットワークが具現化されるようだが、各診療科の横の連携を十分に図れば一連の不祥事の防止にも役立つのではないか、また外部から来られた医師もいる中で、病院内部の連絡を密にするようただしたのに対し、患者本位の医療とは何かということを念頭に置いて診療しなければならないと考えている、医療は複数の専門職の者の意思疎通があって初めて診療できるものであり、カルテを交換するなど連携を図っているところだが、今後も十分配慮してまいりたいとの答弁がありました。
 次に山東医科大学との友好交流について、中国の医学と何らかの共同研究がなされているのかとただしたのに対し、大学相互において学術交流協定を結び、公衆衛生の分野で中国農村住民の聴覚の年齢変化についての調査研究を実施している、この研究は雑音のない中国山間部で行うため、人間の聴覚を研究する上で貴重な資料で、国際学会でも発表しているとの答弁がありました。
 これに関連して、東洋医学と西洋医学を合わせ持った医学の研究を行い、和歌山県立医大が全国に先駆けて二十一世紀の医療に生かしてもらいたいとの要望がありました。
 次に医科大学附属病院のミルク誤注事故について、経過用紙の紛失とか看護記録の書きかえをだれが指示したのかなど、調査特別委員会の内容の詳しい説明を求めたのに対し、院内で調べると幾つかの不自然な点があり、看護婦が書いた経過用紙、テープや事故に関する書類が外部に出ているのが現状であり、調査委員会の担当できる範囲を超えている、当時の関係者と思われる人たちすべてに当たってみたが、この証言が一つにならなかったとの答弁がありました。
 続いて、看護記録が紛失されたのかどうかとただしたのに対し、看護記録がなくなったのではなく経過用紙一枚がなくなった、事故が起こった十一日の翌朝十二日の早朝に作成された経過用紙の複写分の二枚目がなくなっている、今回初めてわかったのは、ミルクが注入されたという恐らく一行を除いて書きかえられて、経過用紙外科保存分のうち、その日の分だけがなくなっていたとの答弁がありました。
 さらに、十二日の早朝になくなったというのはその時点でわかっていたのか、またそのとき紛失したことに対して担当の医師はどのような指示をしたのかとただしたのに対し、CCMCの看護婦が一生懸命に捜したが、どうしても見当たらなかったと聞いている、細かい点で記憶の食い違いがあるが、CCMCの実質上の責任者は、そのときになくなったという報告を聞いて、どうしてもないのならばやむを得ないから書きかえた方を使おうかということになった、そのときCCMCの責任者は、一枚だけがなくなったとは聞いていないようだ、初めは全部なくなったと理解したようだとの答弁がありました。
 続いて、カルテの改ざんは事実か、また看護婦が自主的に改ざんできるのか、できないならば医師の指示に基づいてしたのかとただしたのに対し、医師のカルテではないので、看護記録だから、法的には自主的にできる、しかし、この際は看護婦の意思で書きかえが行われたものではないとの答弁がありました。
 また、事故が起こっていろいろ事後対策を検討した会議録が外部に出ているような事実があるのかとただしたのに対し、調査特別委員会のメンバーはだれも聞いていないが、テープ及び紛失した経過用紙のコピーが外部に出た、報道各社に出たと聞いている、当時の医療事故防止対策委員会でCCMCのドクターが患者の経過報告をしているが、そのときの手持ちの資料、原稿も出ているようだとの答弁がありました。
 続いて、真相解明するためにできた調査特別委員会が真相を解明しないまま、わからないという結論で終了してよいのか、調査特別委員会を再開して真相を究明する意思はないのかとただしたのに対し、二月十三日に調査特別委員会を発足させ、できることはやり尽くしたという認識をしているが、結果としてただいま報告したとおりである、この報告書の中でいろんな複数の意見があるが、個人の特定はある程度できている、またこれができないと全くわからないということでこういう表現になったとの答弁がありました。
 次に、経過用紙の看護記録欄に記載した後、深夜の時間帯に誤注に関する記載を消去するように指示されたとあるが、指示された看護婦はだれから指示されたのかとただしたのに対し、一人の人がこう言ったからそうだと断定しないで、全体を把握して考えていこうということで来た、指示した可能性のある人として複数の人が考えられ、それぞれの人の証言が食い違っているとの答弁がありました。
 また、調査特別委員会でこれ以上前向いて進まないという状況であれば、学長なり院長みずからもう一度きちんと調査する考えがあるのかどうかとただしたのに対し、その責任の所在、背景等については大学みずからの責任においてやらせていただきたい、チーム医療での責任はまず当事者、次にそのグループの長、それから病院長にある、そこで懲戒分限審査特別委員会において必要があれば、この調査結果に加えて調査をし、責任の所在を明らかにしたい、刑事上、民事上の責任は別として、大学が責任を持たないといけないと考えているとの答弁がありました。
 続いて、大学病院としてあってはならないことがどうして起こったのか、それをだれが起こしたのか、その原因は何なのか、勇気を持ってやってもらいたい、もし皆さんができないというのであれば第三者がやらないと仕方がない、総務委員会もこの程度で仕方がないということであれば百条委員会でも設置して改めて第三者が調べないといけない、そのような結果をつくりたくない、追及しているのではない、真相解明するという決意を表明してもらいたいとただしたのに対し、今後、懲戒分限審査特別委員会の中にすべて含まれているのか、そういう面に関してはもう少し明らかにしたいと思うとの答弁がありました。
 続いて、いろいろな問題点がまだわからないので調査するということだが、今後どのように対応していくのかとただしたのに対し、現時点では、本日のご意見を踏まえて調査をする、そしてそれまでに責任の所在を明らかにしていくとの答弁がありました。
 最後に、県内唯一の公立病院であるし、現在一千億円をかけて新しい医大を建設中であることを含め、こういう問題をあいまいにせずきちっとしなければならない。そういうことを踏まえながら四つのことを要望した。一、医大のたび重なる不祥事に県民は大変な心配や不安がある、大学病院への信頼を失墜させないためにも一日も早く県民への信頼回復を図ること、二、今後は医療事故防止対策委員会の強化を図り、二度とこのような事故を起こさないような対策の確立がぜひ必要である、三、ミルク誤注事故に係る今後の事故処置方策に万全を期すること、四、和歌山県立医科大学教員懲戒分限審査特別委員会において責任の所在を明らかにし、厳正に処理すること。
 以上のような審議の結果、採決に入りましたが、当委員会に付託された議案のうち、議案第一号、第七号、第十号、第二十四号、第四十四号、第四十五号及び第七十三号については賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決し、その他の議案については全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決しました。
 また請願につきましては、お手元に配付の請願審査結果表のとおり、継続審査分議請第二十一号は継続審査を要するものと決した次第であります。
 以上をもちまして、総務常任委員会の報告を終わります。何とぞ、適切なご決定をお願い申し上げます。
○議長(町田 亘君) 福祉環境委員会委員長飯田敬文君。
 〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○福祉環境委員会委員長(飯田敬文君) 福祉環境委員会における審査の経過並びに結果について、ご報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表及び請願文書表に記載のとおり、議案十五件、新規請願審査分二件であります。
 委員会は、三月十八日及び十九日、第二委員会室において開催し、生活文化部、福祉保健部の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、審議に入りました。
 各委員の質疑、意見及び要望等の主なものは、次のとおりであります。
 まず生活文化部関係では、まちかどミュージアムの意味や具体的内容についてただしたのに対し、住民の身近な場所での展示施設の整備やモニュメントの設置など文化拠点づくりを支援するもので、県、市町村、民間団体等の三者で推進したい、また既設の施設でも、例えばJR駅など、協力を得られれば支援していきたいと考えているとの答弁がありました。
 続いてボランティアと社会参加について、県職員の場合の休暇についてただしたのに対し、ことしの一月からボランティア休暇制度が実施されているとの答弁がありました。
 これについて、重油流出事故へも職員が参加されたと聞いているが、率先してボランティア活動に取り組める環境を確保するよう、要望がありました。
 次に、消費税が五%になることに関して、便乗値上げの防止や消費者啓発についての県の対応をただしたのに対し、現在実施している職員及び物価モニターによる調査を三月、四月に重点的に行いたい、またパンフレットやポスター、冊子での啓発に努めたいとの答弁がありました。
 これに関連して、商品が複雑化している中で事業者への指導、消費者相談等の対応についてただしたのに対し、消費生活センターにおいて対応しているが、さまざまな相談の中で悪質商法に関するものが多く、相談内容や年齢層もまちまちであり、個々の状況に応じて対応をしているとの答弁がありました。
 これに関して、県民生活を守るため、PRも含め、さらに消費生活センターの活用に努めるよう要望がありました。
 次に、平成九年度に実施することとしている有害物質十六物質の環境監視の具体的内容はどうか、また産業廃棄物についての有害物質の監視方法はどうかとただしたのに対し、大気汚染防止法の改正に伴い新たにリストアップされた有害大気汚染物質二百三十四種のうち、測定方法が確立されている十六物質について、県内六地点の定点を定め、定期的に環境監視を実施する、また産業廃棄物の中間処理施設や最終処分場の有害物質の監視については、大気や水質の調査を定期的に実施することとしているとの答弁がありました。
 これに関連して、橋本市の産業廃棄物問題について、あれだけの現実がある中で橋本市と県が役割分担を定めて強権的に指導することはできないのかとただしたのに対し、これまでも地元橋本市と連携して指導してきた、現行法上では法の許可対象外であっても自家処理できることから、これを防ぐため、現在、廃棄物処理法の網をかぶせて施設の適正管理を厳しく指導しているところであるとの答弁がありました。
 これに対し、大規模農道沿線には投棄場所が多く、他府県の例も参考に条例なり取り締まり方法を研究して、強い姿勢でより一層頑張ってほしいとの要望がありました。
 さらに、住民から議長あてに、住環境が今後どうなっていくのか大変心配しているとの訴えの手紙が多数来ているが、梅雨時を迎えてどうするのかとただしたのに対し、N工業所の処理場には、新たな廃棄物の搬入中止、保管廃棄物の早急な処理、夜間の作業中止など、対策を指示している、保管廃棄物は泥状となり燃えにくい状態であるので助燃剤を使用して燃焼性を改善し、梅雨時までには野積み状態を解消させたいと考えているとの答弁がありました。
 次に、動物愛護センターの目的、具体的内容等についてただしたのに対し、人と動物が共生する潤いのある社会の実現のため体制及び拠点を整備するもので、動物の保護管理、譲渡、処分を一元化し、動物愛護思想や適正な飼養の普及啓発を推進するものであるとの答弁がありました。
 関連して、基本的な考え方を明確にせよとただしたのに対し、県動物行政あり方検討委員会の提言を受け、飼養動物の保護管理機能を持つ動物愛護センターと傷病鳥獣の保護機能を持つセンターを併設するという考えのもとで行っている、配置する職員の職種は獣医師、一般事務、予防技術員であるとの答弁がありました。
 これらに関して多額の予算をかけるのであるから、他府県施設を十分参考にして、施設内容を資料により明らかにされたいとの要望がありました。
 続いて鳥獣保護について、所管部署、有害鳥獣駆除の窓口等事務処理の流れ、及び傷病鳥獣の保護に係る経費等についてただしたのに対し、鳥獣行政は機構改革により自然環境課に移管されたが、有害鳥獣駆除の窓口は県事務所林務課である、この許可については県事務所長で決裁できるが、全体の生育状況を把握して行う必要があるもの等については自然環境課と協議している、急を要する場合は電話等で速やかに対応している、傷病鳥獣の保護経費についてはボランティア的に鳥獣保護員等にお願いしているが、昨年同様の予算化はお願いしているとの答弁がありました。
 次に、世界リゾート博記念財団の補助制度や中学生の海外研修の選考についてただしたのに対し、活性化補助金については、パンフレットをつくり市町村や民間団体に配布するなど、周知を図っている、中学生の海外派遣事業については平成九年度も引き続いて実施する予定であり、選考方法については、公開抽せん枠と県内各中学校一名の特別抽せん枠を設けており、県下一円から参加できるよう努めているとの答弁がありました。
 次に、和歌山ビッグホエールについて、一億五千万円と非常に高額なオープニングイベントの実施や三億一千万余円の多額の管理運営委託費や今後の管理運営についての課題等についてただしたのに対し、まずオープニングイベントは、蜷川幸雄氏の総合演出、赤坂晃氏の主演、多数の県民の参加で公演し、さまざまな話題を提供していく、オープン記念として一定期間種々の催しが開催されるが、これに協賛して施設のイメージアップと将来に向けたイベント誘致を行ってまいりたい、また維持管理については、他県の類似施設を見ても黒字化は非常に難しい、利用率を高めて経済波及効果を上げることにも主眼を置き、利用しやすい料金設定をしているとの答弁がありました。
 さらに、当局から、現在の予約状況について、オープンの年でもあり十二月までの土日はほぼ埋まり、利用率は六十数%であるとの報告がありました。
 関連して、JRコンテナセンターの代替用地はどうなっているのかとただしたのに対し、当初の用地は進入路等の条件が合わず断念した、その後、JR貨物及び日本通運の意向を受けて別の候補地について現在調整中であるとの答弁がありました。
 次に合併浄化槽の排水について、いわゆる放流同意というものがあるが和歌山県はどうなっているのかとただしたのに対し、昭和六十三年の厚生省、建設省からの通知により、特殊な事情がない限り不適切であるとの指導があり、その旨、県内保健所に指導している、またそういう慣習が残っている地域もあるという現状にかんがみ、今後、放流同意が要らないことを関係者、市町村等に啓発してまいりたいとの答弁がありました。
 続いて、住友金属工業の廃液地下浸透について県の対応をただしたのに対し、今般の問題については、三月三日に住友金属工業から事情説明があり、三月五日に公害防止条例により現地調査を行い、所要の改善指導を行ったとの答弁がありました。
 これについて、このような問題は関係の委員等に報告してもらいたいとの要望がありました。
 さらに、公害防止協定の見直しも必要と思われるが、今回の問題についての反省点と指導した項目の内容は何かとただしたのに対し、住友金属工業は公害防止条例に基づく指定工場であり、また日本を代表する大企業であるから、ほかに率先して環境保全に積極対応すべきであり、遺憾に思っている、今後は、立入調査を含め迅速な対応ができるよう検討する、指導項目については、廃液の成分分析を行った結果、公害防止条例に基づく排出水の排出基準を下回っていることを確認した、これを踏まえて本日、三月十八日付文書で二点の指導を行った、一点は、当面の応急措置と恒久的な改善措置を早急に講じること、二点目は、協力会社を含め和歌山製鉄所全体として点検を行うとともに環境保全意識向上のため社内啓発を実施することとして、結果を速やかに報告するよう求めているとの答弁がありました。
 次に、メキシコ・シナロア州との友好提携に関し、減額補正についてただしたのに対し、日程調整ができずに訪問を見送ったためであり、平成九年度に派遣する計画であるとの答弁がありました。
 次に福祉保健部関係では、まず、ひとり暮らしのご老人がホームヘルパーの派遣に対し大変喜んでおられ、機会があれば町長さん、知事さんにお礼を言っておいてほしいと頼まれているのだが、ヘルパーさんの処遇について伺いたいとただしたのに対し、常勤で月額二十八万一千三百八十円であり、国において年々改善されている、しかしホームヘルパーの待遇は、市町村ごとに常勤、非常勤等もあり、また手当額でも差異が生じているのが現状である、今後、市町村長等の協力を得て待遇の安定化を図るとともに、職場環境の整備、健康の保持、資質の向上を図るべく市町村の支援を進めていくとの答弁がありました。
 これに関連して、老人短期入所施設のあり方についてただしたのに対し、今後実態把握に努め、市町村等関係機関に処遇の向上を図るよう指導してまいりたいとの答弁がありました。
 次に、重度身体障害者を介護している者が介護疲れのときに短期に入所させることができる制度はあるが、現状では数が限られており、なかなかサービスを受けることができない、また特別養護老人ホームのショート施設を利用することが可能であっても受け入れ等は困難であると考えられるが、サービスは受けられるのかとただしたのに対し、ショートステイを実施している施設は四施設あり、専用ベッドは二十三床確保している、施設は偏在しており、なかなかあきがない状況である、今後、地域的な適正配置について、新設施設に定員の一割程度の専用ベッドを設けるよう指導していきたい、本年度基本設計を行う南紀福祉センターではショートステイのベッドを設置する計画を持っているとの答弁がありました。
 続いて、喜の国エンゼルプランに関して、親などからの虐待・いじめの問題も大きい、虐待の相談状況等はどうかとただしたのに対し、本県の二児童相談所では、平成四年度二十三件、五年度十八件、六年度、七年度とも十七件、八年度は二月末現在で二十三件を数えており、三月末には過去最高の相談件数になると思われる、また先日新聞で報道された虐待を受けた児童は田辺市内の養護施設で養護しているところであるが、このように家庭内での虐待は発見しにくく、隠れた数も相当あるだろうと考えているとの答弁がありました。
 これに関連して、アメリカでは教育、特に教師に対する不信感が強くなってきていると報道されている、児童相談所でも対応に努力されたいとの要望がありました。
 さらに、エンゼルプランで和歌山市と上富田町が策定中で、十八市町村が策定検討中とのことだが、今後どう進めるのか、また地域の特徴はどうかとただしたのに対し、策定検討市町村も含め、その他の市町村についても策定するよう働きかけていきたい、また市部やその周辺が多いとの答弁がありました。
 これに対し委員から、市町村が積極的に取り組むよう働きかけていただきたいとの要望がありました。
 これに関連して、保育所内の保育児の中に両親の別居や離婚寸前とかで心理的に深刻な状況にある子が多くなってきている、保育の実態と家庭の現況を細心の注意を払って調査できないものか、体に青あざがある子もふえてきている状況の中で現定員の保母数では十分な対応ができない、保育に欠ける子供の保育について保育所の中で問題が深刻化しているとただしたのに対し、保母の資質向上の各種研修や平成九年度の保育マニュアルづくりを進め、健全育成に努めてまいりたいとの答弁がありました。
 これに対し委員から、深刻な問題であるので対応に努力していただきたいとの要望がありました。
 これに関連して、看護職員確保対策で、平成九年度病院内保育所運営補助事業予算について箇所数がふえているのに予算額が減っているが、これはなぜかとただしたのに対し、同事業は国庫補助制度に基づいた事業で、国の算出方法が見直されたことによるものである、県としては財政措置の充実について国に要望を行っている、また九年度に看護職員確保対策を推進するためフォーラムを実施したいと考えているとの答弁がありました。
 続いて、引きこもり不登校の事業内容と教育との連携についてただしたのに対し、教育委員会の調査で、三十日以上欠席している児童は小中学校で一千人を超している、児童相談所は教育委員会と連携しているが百四十件あり、これらの児童にメンタルフレンドの訪問指導や県下八カ所での連絡会議の開催、教育とは別の二泊三日のキャンプ等を通じて療育を実施しているとの答弁がありました。
 このほか、伊都地方で知的障害者施設の建設の要望が長年あるが現況はどうかとただしたのに対し、平成七年度に実施した施設整備の考え方、進め方の調査の結果を受けて関係者と相談、協議を行った結果、建設用地は地元市町村が手当てし、建設と運営は父母の会を中心に法人を設立して行うとの方針結果を見ている、昨年十二月には建設準備委員会が設立され、また伊都郡町村及び橋本市医療保健福祉広域推進協議会で用地選定、市町村負担の方法等を検討いただいている、積極的に支援しながら協力していきたいとの答弁がありました。
 続いて同地方の救急医療体制について、病院群輪番制が平成九年度から実施されると聞いているが、その経過と見通しはどうかとただしたのに対し、地元のご理解が得られたので今後は平成九年度中に実施できるよう事務手続を進めたいとの答弁がありました。
 これに対し委員から、年度途中とのことであるが、速やかな実施について要望がありました。
 次に、福祉地区および福祉事務所の設置に関する条例の一部を改正する条例案が提案されているが、この改正によりさまざまな状況変化が起こってくるであろうと考えられる、現時点で地域の状況を把握しておれば示していただきたいとただしたのに対し、改正条例案を可決していただくと、四月から福祉事務所と保健所の所管区域が一致するとともに所在地が同じとなる、福祉事務所に福祉課を置き、現在の民生課の業務のうち青少年女性業務と同和業務を除いた業務を所掌する、また保健所については、地域保健法の趣旨にのっとり課の所掌事務を一部再編し、その名称を変更したいと考えている、福祉事務所の所長は保健所の次長を兼ねると聞いている、古座保健所の中に東牟婁福祉事務所の古座支所を設置したいと考えているとの答弁がありました。
 これに対し、スムーズにいくようPRに努めるとともに、特に高野口保健所は手狭なので十分対応するように要望がありました。
 これに関して、福祉事務所は住民にとって大切な事務所であるから福祉に精通した専門的な人を所長にすべきではないのかとただしたのに対し、人事については、条例改正の内容に含んでいないが、福祉、保健、医療の業務が一カ所で所掌することになるので連携した業務が実施でき、サービスの向上につながると考えているとの答弁がありました。
 次に、同和問題に関連して、和歌山市が五十五億円かけてつくる共同作業場を県は事業として認めているのか、また財源で国庫補助が不足する分を県、市が負担することになるのかとただしたのに対し、平成八年度の事業として県下の六つの大型作業場の建設を国にお願いしているが、そのうちの芦原の作業場について、この事業については不安定就労、地域労働者の雇用対策並びに芦原地区の皮革産業の振興対策として、建設用地の国庫対象外の部分について補助をしていく、平成九年度については、市から具体的な申請がないので内容等は不明であるが、考えられるのは国庫補助対象外の部分になるかと思う、交付申請が出されたら内容について十分検討し、対応していきたいとの答弁がありました。
 これに対し委員から、この事業が同和問題の解決につながるのか疑問を持っているので県は慎重な態度をとるようにとの要望がありました。
 以上のような審議の結果、当委員会に付託されました議案第一号並びに第五十一号は多数をもって、議案第六号、議案第十五号、議案第十七号、議案第十八号、議案第二十四号、議案第三十六号、議案第三十八号、議案第三十九号、議案第五十二号、議案第五十三号、議案第五十四号、議案第五十五号及び議案第八十四号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 さらに請願につきましては、議請第二十八号及び議請第二十九号は全会一致をもって継続審査とすべきものと決しました。
 以上をもちまして、福祉環境委員会の報告を終わります。何とぞ、適切なご決定をお願い申し上げます。
○議長(町田 亘君) 文教委員会委員長向井嘉久藏君。
 〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○文教委員会委員長(向井嘉久藏君) 文教委員会における審査の経過並びに結果について、ご報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表及び請願文書表に記載のとおり、議案五件、請願、前会からの継続審査分三件であります。
 委員会は、三月十八日、第六委員会室において開催し、当局から付託案件等について説明を聴取した後、審議に入りました。
 各委員の質疑、意見及び要望の主なものは、次のとおりであります。
 まず初めに、教員の長期社会体験研修の内容についてただしたのに対し、小・中・高校、盲学校、ろう学校及び養護学校の教員を、大学等の専門機関だけでなく、さまざまな課題に対応するため民間企業、養護老人ホーム等に長期に派遣し研修するもので、本年度は三十七名を派遣した、この体験結果を生徒や同僚教員に話をするなどして結果は好評であるとの答弁があり、委員からは、過去に例のない研修であり、新たな取り組みの考え方や具体的な課題についてはどうか、また国の方針どおり実施するだけでなく、県の独自性についてはどのように考えているかとただしたのに対し、この研修については、本県が文部省に申し出、委嘱を受けて平成八年度から実施しているもので、全国で七府県一市が行っている、課題等については、この二年間で調査研究し、その結果を文部省に報告するものであるが、結果は好評であり、さらに検討を加えながら実施したいと考えているとの答弁がありました。
 次に中高一貫教育制度について、既に宮崎県には導入されており、本年度卒業生を出すと聞いている、こうした教育については、導入校がエリート校化することは避けなければならないが、今後前向きに検討すべきことと考える、この問題については平成八年九月定例会での森本議員の質問に教育長は研究していくと答弁しているが、改めて導入についての考えと、平成八年度から実施している中・高連携推進支援モデル事業についてその成果と評価についてはどうかとただしたのに対し、現在、中高一貫教育については、中央教育審議会において、受験競争の低年齢化が懸念されることや継続教育によりゆとりのある教育をすることができることなど、さまざまな観点から論議されているところであり、教育委員会としても、地域のニーズや子供のニーズ、さらにはこれからの教育のあり方など、多方面から慎重に研究してまいりたい、また中・高連携推進支援モデル事業については中学校と高等学校の連携を密にするモデル事業として実施しており、伊都郡、西牟婁郡の二地域で取り組んでいるが中高の関係者には大変好評であり、中高一貫教育のあり方を研究する事業の一つとして今後とも鋭意進めてまいりたいとの答弁があり、委員からは、中高一貫教育についてはこれからも前向きに検討するよう要望がありました。
 次に総合教育センター建設調査費について、昭和五十五年以降毎年予算計上されているが、調査した結果や経過はどうかとただしたのに対し、現在まで用地の選定に至らなかったことにより基本設計委託料について減額をしているが、総合教育センターの担う役割、組織、研修・研究機能等について、新たに整備された他府県の施設を視察するなど調査研究を積み重ね、必要な予算を執行している、またこの間、懸案事項である県立図書館、近代美術館、博物館等の三館構想の実現や養護学校の建設を推進してきたところである、教育委員会としてはぜひ実現をしていきたいと考えており、委員の力添えをいただきたいとの答弁があり、委員からは、平成九年度中に促進するよう要望がありました。
 また、このことに関連して、設置に当たっては県有施設の適正配置に配慮するよう意見がありました。
 次に、昨年の病原性大腸菌O157問題について、県内の市町村立学校において給食施設の改善がなされていないところがあると聞くがどうか、また県立学校の整備はどうかとただしたのに対し、このことについては国のさまざまな改善対策に沿って改善を図ってきており、学校給食関係職員の検便や食材の検査も実施してきたところである、牛乳保冷庫については、四十八市町村中四十三市町村で整備されており、三町村については冷蔵庫で対応し、残りの和歌山市と南部川村では氷で冷やすなどして対応しているが、九年度、整備計画中であると聞いている、また県立学校の冷蔵庫の整備はすべて完備しているとの答弁があり、委員からは、全庁的な観点から努力するよう意見がありました。
 次に放送大学地域学習センターの設置について、放送大学の開設時期はいつごろか、また単位や資格が取得できる学習センターの開設を要望しているところであるがどうかとただしたのに対し、開設時期については、現在、国及び県内の大学と協議を行っており、早い時期では平成十年秋の開設を目指している、学習センターの開設については、本県の生涯学習推進の基盤整備や、県内の高等教育機関が少ないこと、フロアの面積も一千平方メートルが必要となる等を踏まえて、今後とも国及び開設をお願いしている大学と研究・協議を進めてまいりたいとの答弁があり、委員からは、全国で三十数カ所あると思うが、CSでの対応も含め、投資は思い切ってやった方がよいのではないかとの意見がありました。
 関連して、社会教育講座の推移について、婦人学級、家庭教育学級、高齢者教室等の参加者数に対し、社会同和教育関係講座の参加者数がぬきんでていることについても質疑がありました。
 次に学校建設費の防災機能整備について、耐震診断及び補強工事は本年度中に終了するのか、進捗率は何%か、また耐力度調査と耐震診断との違いは何かとただしたのに対し、昭和五十六年以前の建物約二百棟について耐震診断を予定し、平成八年度より五カ年計画で実施しており、約三十棟、一五%を行ったところである、耐力度調査は、老朽化を中心に建てかえるかどうかを調査するもので、耐震診断は、古さというよりも地震に耐えられるかの調査であるとの答弁があり、委員からは、市町村立学校を入れると相当数になる、補強となると新築するほど費用がかかると思うが、精力的に進めるとともにできる限り市町村に指導・啓発するよう要望がありました。
 次に、特殊学校費の視覚障害児童生徒授業支援システム事業についてただしたのに対し、全国で初めてのシステムであり、生徒の情報収集能力の向上と障害を克服できる学習環境の整備を図るため視覚障害に対応できるシステムで、印刷物を瞬時に音声や点字に変換する音声装置、点字ディスプレイ、本や黒板の文字を拡大しテレビモニターに映し出すスリーウエービジョンを導入するもので、システム化することでより効果的な学習が実施できると期待しているものであるとの答弁があり、委員からは、この装置導入の成果を全国的に発信し、障害を克服するために役立つようにしてほしいとの要望がありました。
 次に、薬物乱用防止の問題で文部省が全国に通知を出したと聞くが、薬物乱用が低年齢化し、件数もふえているようである、いじめ・登校拒否が潜在化している中で薬物に頼らざるを得ない問題は、深いところでいじめと根は同じではないか、不登校の次には薬物が社会問題になるのではないかと懸念されるが、薬物乱用防止の取り組みについてどうか、また不登校について、依然として数がふえている、スーパーバイズ方式等、県教育委員会としても努力しているが、ふえている背景等についての見解はどうかとただしたのに対し、薬物乱用防止については、一昨年来、各学校に対して通知し指導に努めるとともに生徒指導担当者会議等で協議を重ね、防止に努めている、厚生省において副読本が作成され、九年度に配布される予定と聞いているので、これの活用も図りながら防止に努めたい、登校拒否の児童生徒数については、全国的に増加の傾向にあり、本県も同様となっている、その背景の分析は難しいが、教育相談事業を推進しながら、学校の中で子供たちが充実感が味わえ、学校が楽しいと感じられるような教育を推進していきたい、また同時に、子供の生育過程も大切であり、家庭教育、社会教育とも連携を図りながら総合的に取り組んでまいりたいとの答弁がありました。
 委員からは、薬物に手を出す動機について、調査によると、好奇心や現実からの逃避、気分を晴らすため等がその主な原因とされている、不登校に陥る心境と根は同じではないかと思うが見解はどうかとただしたのに対し、薬物乱用の動機については好奇心で始めるのが多いと聞いている、都会などでは流行的にファッション感覚で覚えることも多いと聞いている、動機の部分では、薬物乱用と登校拒否とでは同じではない、登校拒否は、学校での集団の中に溶け込みにくい、学校に行きたいが行けない、友達と遊びたいが遊べないといった状況にある、根は同じかと言うと断定はできない、動機等、きちんと押さえていかないといけないとの答弁がありました。
 このほか、県として小学校の統合及び適正配置等について市町村を指導すべき時期ではないのか、スポーツイベントを誘致し、全国に和歌山をアピールする大会の開催を、補正予算の大幅な減額補正に係る説明のあり方、初任者研修にかかわって研修を受ける側の自覚とより以上に研修する側の自覚と意欲、教職員の健康管理、親と子と教員のふれあいワークショップ事業、及び電話で学校行事を中止させようとする行為に対する県教育委員会の取り組みへの評価、高校推薦入試に係る合格内定生徒の中学生活での充実のあり方、学校砂場における衛生管理対策、中学校、高等学校の卒業式における警察への協力要請の有無、及び教職員の異動に係る同一校における学校長の在職年数について質疑、意見、要望等がありました。
 以上が、当委員会における審査の概要であります。当委員会に付託されました議案第一号は賛成多数で、議案第二十四号、議案第六十五号、議案第六十六号及び議案第六十七号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 また請願につきましては、お手元に配付の請願審査結果表のとおり、継続審査中の請願、議請第四号、議請第十一号及び議請第十三号は継続審査すべきものと決しました。
 以上をもちまして、文教委員会の報告を終わります。何とぞ、適切なご決定をお願い申し上げます。
○議長(町田 亘君) 経済警察委員会委員長井出益弘君。
 〔井出益弘君、登壇〕(拍手)
○経済警察委員会委員長(井出益弘君) 経済警察委員会における審査の経過並びに結果について、ご報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案十一件であります。
 当委員会は、三月十八日及び二十一日の二日間、第三委員会室で開催し、当局から付託案件等について説明を聴取した後、審議に入りました。
 各委員の質疑、意見並びに要望等の主なものは、次のとおりであります。
 まず公安委員会関係では、マリンレジャーの安全対策の進捗状況はどうかとただしたのに対し、マリンレジャーの安全対策を総合的に推進するための組織づくりとして、現在、「和歌山県水上安全協会」(仮称)の設立に向け作業を進めている、組織は財団法人を考えており、その事業としては、安全のための各種情報の提供、安全講習の実施、事業者の健全育成、事故防止の広報啓発等を予定しているが、さらに事業内容を充実させ、よりよい財団とするため、現在、関係機関、団体と協議中であるとの答弁がありました。
 委員から、マリンレジャー等の安全対策は和歌山県にとって重要なことである、昨夏、水難事故が大幅に増加したことから、今後マリン関係のイベントも控えているので財団の設立もこの夏に間に合うように取り組んでほしいとの要望がありました。
 次に、三重県警熊野警察署員の差別発言問題、交通巡視員の警察官への切りかえについてただしたのに対し、熊野警察署員の差別発言は承知している、警察職員に対する同和教育は、指導者を養成するための幹部教養と、同和問題を正しく認識させ、同和問題に対する公務員としての立場を徹底させるための職員教養に分けて実施している、交通巡視員の警察官への切りかえは、警察官としての権限を行使させることによりより幅広い交通警察活動等に従事させることが可能となり、警察体制の強化になるとの答弁がありました。
 次に、関西相互住宅事件のその後の捜査はどうか、カンサイファイナンスはどうか、隠し財産についてはどうかとただしたのに対し、本件については、昨年十二月七日、出資法違反容疑で同社社長ら三名を逮捕し、和歌山地方検察庁へ送致し、現在公判中である、カンサイファイナンスは関西相互住宅の関連会社であり、当然カンサイファイナンスの関係も捜査している、警察としては、集めた資金の流れや使途等を解明することが被害者にこたえる道であると考えており、そのような観点で捜査を進めているところであり、引き続き全容解明に向け、現在も捜査本部を置いて捜査中であるとの答弁がありました。
 次に、いわゆるテレクラ条例の改正後の状況とその効果、また青少年の薬物乱用の実態についてただしたのに対し、テレクラ関係を規制した改正条例は本年一月一日に施行され、これまでに公安委員会への届け出のあった営業所は二十五カ所、カード販売機の設置が二十五台となっており、改正前と比較して営業所は若干減少し、カード販売機は半減している、また街頭等での宣伝ビラやティッシュの配布はほとんどなくなっている、今後の対策としては、県の関係課や補導センター等関係機関と連携し、立ち入り等による指導取り締まり、さらに無届けによるいわゆるもぐり営業等の取り締まり活動を強化していきたい、また青少年の薬物事犯の検挙・補導は全国的にも県下においても減少傾向にあり、平成八年度中におけるシンナー使用事犯の検挙・補導は百七十三人で、前年と比較して七十人の減少となっているが、反面、覚せい剤事犯の検挙・補導は十二人で、五人の増加となっている、全国的には中・高校生の覚せい剤乱用が増加しており、平成八年中の高校生の乱用が二百十四人と、前年の二・三倍に急増している、本県における高校生の乱用事案はないが、少年の薬物乱用については都市部から地方へと広まりつつある状況であり、今後とも関係機関と連絡をとり、十分な対応をしてまいりたいとの答弁がありました。
 次に、射撃教習訓練のため指定射撃場を設置したいが警察の考え方はどうかとただしたのに対し、県内の狩猟等の所持許可を受けた者は約四千人いるが、これらの者に対する射撃教習訓練は必要と認識しており、関係機関とも十分連携を図ってまいりたいとの答弁があり、委員から、設置に向けて格段の支援をお願いしたいとの要望がありました。
 次に、県立医科大学附属病院におけるミルク誤注入の医療過誤事件に対する警察の見解はどうかとただしたのに対し、警察は犯罪があると思料すれば捜査をする立場にあるので、先日、同医大の調査特別委員会がミルク注入事故と女児の死には直接的な関係は認められないとしたことは承知しているが、事案の真相を究明するため所要の捜査を進め、犯罪の構成要件を充足することが明白になれば法律等の手続に従って適正に処理したいとの答弁がありました。
 次に、暴力団追放県民センターの賛助会員の募集状況についてただしたのに対し、現在、暴追センターが中心となって賛助会員を募っているところであり、これまで約五十事業所から約七百口の申し込み及び申し込みの確約を得ており、さらに募集に向けた取り組みを行っているとの答弁がありました。
 このほか、県下の総会屋の実態、密入国事件の発生状況、警察官の射撃訓練場所、新規に導入する中型ヘリコプターの仕様、装備品としての携帯電話等について質疑、要望がありました。
 商工労働部関係では、阪和銀行の問題に関し、受け皿となる整理回収銀行と預金の払い戻しを中心とした整理・清算のための銀行、いわゆる整理・清算のための新銀行の設立時期、構成及び雇用人員についてただしたのに対し、阪和銀行の今後の処理スキームの中で、いわゆる整理・清算のための新銀行は預金の払い戻し業務が中心となり、定期性預金の満期が長くとも三年程度と考えられるため、余り長期に業務が続くとは考えられない、また整理回収銀行は債権の回収が非常に困難なことから長期にわたると考えられるが、期間については不確定である、また雇用については、いわゆる整理・清算のための新銀行は新たな組織をつくり預金払い戻しのための事務を担当する職員が必要となるため、阪和銀行の職員が雇用されるものと考えている、その雇用される人数は払い戻しの預金量に応じて決められるが、そのほとんどが定期性の預金であることから余り多くの人員は必要ないと思われる、一方、整理回収銀行については多くの人員は望めないと思われるとの答弁がありました。
 続いて、阪和銀行雇用問題連絡調整会議の現況と実績についてただしたのに対し、労働省の要請に基づき、国、県、経済団体等で一月二十一日に設置し、二月四日に設置された阪和銀行内の雇用対策室と綿密な連携調整を図るとともに、より幅広い雇用情報の収集と積極的な求人開拓を推進するため県内主要企業三十社を企業訪問した結果、三月十四日現在、二百四十七社から千四百七名の求人応募があり、これらの求人情報は既に阪和銀行に提供されているほか、公共職業安定所においても職業紹介を行うこととなっているとの答弁がありました。
 次に和歌山県商工信用組合の再建に関し、その進捗状況についてただしたのに対し、店舗の廃止、人員の削減等のリストラや経営の合理化の実施により相当の経費が削減されたが、今後ともより一層のリストラが必要であるとの答弁がありました。
 関連して委員から、県が支援策を講じてから三年経過するが、不良債権の回収実績はどうかとただしたのに対し、経営改善委員会の債権回収部会を中心に実施しており、一定の成果は上がっているが、地価の低迷等により計画を下回っているとの答弁がありました。
 続いて、経営改善委員会の構成についてただしたのに対し、同委員会は理事長を委員長に四部会で編成している、基本的には組織内で構成しているが、債権回収部会については必要に応じ弁護士等にも参加していただいているとの答弁があり、委員から、経営改善等について民間からの意見を取り入れるなど体制の強化を図るべきでないのかとただしたのに対し、組織については整備されていると認識しているが、今後より一層強化が図れるよう県信と話をしたいとの答弁がありました。
 関連して委員から、県の検査体制のあり方についてただしたのに対し、従前の県の検査は二、三年に一度であったが、平成七年度からは毎年実施しているとの答弁があり、委員から、検査に当たっては厳しい姿勢で臨み、県信を立ち直らせることを最重点に取り組むべきではないかとただしたのに対し、金融制度改革が実施されると国内金融機関の再編も進み、中小金融機関の経営が厳しくなると予想される、県としては中小企業保護の立場から取り組んでまいりたいとの答弁がありました。
 次に香港事務所の活動状況と効果についてただしたのに対し、昨年の九月一日に設置したため現段階では目立った効果を得ていないが、県内企業の方からの調査依頼などの活動を行っている、また本年、香港に和歌山県人会を設立するとともに、県内海外取引企業などによる協議会を設置して企業の国際化を支援していきたいとの答弁がありました。
 委員から、非常に関心を持っている、また期待もしていることを駐在員へ伝えてもらいたいとの要望がありました。
 関連して委員から、香港県人会の規模等について質疑がありました。
 次に、南紀熊野博に関し、熊野古道がメーンとなると思うが、事業策定の中で安珍・清姫の商品化、売り出しを県の支援で位置づけをしてはどうかとただしたのに対し、安珍・清姫は観光資源として魅力があり、貴重な資源と認識している、博覧会は、県だけではなく市町村の独自事業も位置づけをし、一緒になって実施していくものであることから、県としても清姫まつりをバックアップし、町とも協力して観光客の誘客に努めたいとの答弁がありました。
 次に、大型店の進出で旧商店街がドーナツ化現象を起こすなど、県下各地で商店街の空き店舗が問題になっているが、その実態を把握しながら振興策を講じる必要があるのではないかとただしたのに対し、商店街は地域の伝統や文化を支え、コミュニティーの場を提供するなど、町の発展に大きな役割を担っており、その振興を図ることは重要なことと認識している、このため、文化的な要素を取り入れ、個性的な商店街づくりを推進するため、新規事業として輝け商店街クリエイト事業を平成九年度当初予算に計上している、また空き店舗の問題は、大変厳しい状況であるため、昨年から空き店舗対策事業として商店街振興組合等が空き店舗を借り上げ、新規のテナントを入店させるなど、空き店舗の活用に取り組んでいるところであるとの答弁がありました。
 関連して委員から、御坊市への大型店舗の進出と御坊市の商店街の状況についてただしたのに対し、現在三店が大店法による届け出を行っており、近畿通産局の大規模小売店舗審議会において意見集約を行うこととなっている、御坊市は大規模小売店舗の占有率が高くなり、御坊商工会議所では危機感を持ち、平成九年度より商店街等地域中小商業の影響調査を行い、問題点の調査研究を実施する一方、専門家の協力を得て指導していくこととしている、また小売商業者の自助努力も必要なことから、地元商店街でも研究会を設け調査研究に取り組むなど、今後とも商工会議所、市と連携して積極的に活性化に向け取り組んでまいりたいとの答弁がありました。
 委員から、法制上の問題もあるが、テナントの問題等、県として今後どう取り組むのかとただしたのに対し、共同事業に対しては助成制度があり、意欲的な小売業者に対しては積極的にその振興に取り組んでまいりたいとの答弁がありました。
 次に、本年から就職協定が廃止されたことに関し、県が予定している就職準備セミナーの開催時期と内容についてただしたのに対し、就職協定の廃止により企業は倫理憲章を、学校は申し合わせを制定したため、行政としてはそれらが遵守されるようその環境づくりに協力するとともに適正な採用、就職活動が行われるよう努めている、就職準備セミナーは昨年から実施しており、大学等の新卒者のイメージ重視の職業選択による求人者とのミスマッチの問題解消や、若年労働力の確保と県内企業の理解と就職促進を目的としており、平成九年度は五月中に開催したいとの答弁がありました。
 関連して、企業見学会のねらいとその効果、職業紹介が公共職業安定所以外で拡大実施されることによる利用者への対策について質疑がありました。
 次に、制度融資に関し、市中金利が高いときはメリットがあるが、低金利になって利点がなくなっているのではないか、金利面で有利だと思われる制度にしてはどうかとただしたのに対し、制度融資は保証協会の保証つきということで金融機関は融資の実行が容易になるなど、それなりの利点はあると考えているとの答弁があり、委員から、他府県の制度も参考にして努力してほしいとの要望がありました。
 次に、企業立地対策費に関し、約十億円の減額補正予算を計上しているがその要因は何かとただしたのに対し、県土地開発公社が実施している打田東部工業団地、田辺市が実施している下三栖岩屋谷工業団地、かつらぎ町が実施している妙寺北部工業団地の造成事業でいずれも用地買収等に時間を要し、年度内に完了できないことが減額の主な理由であるとの答弁がありました。
 委員から、それぞれの事情はあると思うが減額幅が大きい、今後、予算の適正な執行に努めるよう要望がありました。
 次に、雇用促進事業団運営の日高職業能力開発促進センターが行政改革により廃止の方向と聞くが、県はどう受けとめているのか、また同センターは紀中から紀南までカバーしているため存続してほしいと考えるが県の見解はどうか、県立の訓練校等との関係はどうかとただしたのに対し、雇用促進事業団は行政改革の対象となっているようであるが、労働省は平成九年度も予算計上していることから、すぐには廃止とならない状況である、また職業訓練の分野については事業団の方でも残していく方向で検討していると聞いている、県としては、日高職業能力開発促進センターの地域に果たす役割が非常に大きいとの観点から、センターの存続を国に対して強く要望してまいりたい、また県と雇用促進事業団の関係は、県は新規学卒者を、事業団は離転職者等を対象に行っているとの答弁がありました。
 このほか、海外物産展開催事業の内容、女性就業援助センターの運営状況等、金融対策費の減額補正の理由と平成九年度の資金需要の見込み、関西国際空港が本県観光に与える波及効果及び観光客の受け入れ体制、「ニュープラザ」(仮称)建設に伴う駐車場対策等について質疑、要望がありました。
 なお、当委員会では、三月二十一日、阪和銀行の業務停止命令に係る事項について調査するため、渡辺善治・阪和銀行頭取代行並びに新居健・阪和銀行顧問を参考人として招き、その経過等について説明を受けた後、質疑を行いました。
 冒頭、両参考人から、本件に関し、県民、取引関係者及び株主等に多大のご心配、ご迷惑をかけたことへの陳謝、また県当局並びに県議会に対し、緊急融資や雇用対策等の支援に感謝する旨の報告がありました。
 各委員の質疑の主なものは、大蔵省から業務停止命令を受けるまでの経過及び業務停止命令を受けた後の県及び関係者への対処、一たんは中間決算を小幅の赤字修正した後、短期間で大幅な債務超過に再修正した要因、経営再建の過程で他行との合併等の策を講じたのか、いわゆる整理・清算のための新銀行の設立時期、規模、期間と阪和銀行員の雇用問題についての見通し等でありました。
 以上が、当委員会における審査の概要であります。
 当委員会に付託されました議案第一号、議案第五号、議案第十二号、議案第十七号、議案第二十四号、議案第二十八号、議案第三十三号、議案第六十八号、議案第六十九号、議案第七十号及び議案第八十五号は、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上をもちまして、経済警察委員会の報告を終わります。何とぞ、適切なご決定をお願い申し上げます。
○議長(町田 亘君) 建設委員会委員長宇治田栄蔵君。
 〔宇治田栄蔵君、登壇〕(拍手)
○建設委員会委員長(宇治田栄蔵君) 建設委員会における審査の経過並びに結果について、ご報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表のとおり、議案三十六件、請願二件であります。
 当委員会は、三月十八日、第五委員会室において、土木部、企業局の順に当局から付託案件についての説明を聴取した後、審議を行いました。
 当委員会における各委員の質疑、意見及び要望の主なものは、次のとおりであります。
 土木部関係では、新年度予算案が新規、継続とも投資効果を十分考えた予算配分となっているのかとただしたのに対し、将来的にも投資効果が十分発揮できる予算となるよう努力したとの答弁があり、委員より、基本的には必要不可欠なところからの工事着手となろうが、投資予算が将来生きたものとなるよう予算配分を考慮し、適切な執行を願いたいとの要望がありました。
 また、繰り越しについて、事業の性格上、緊急に対処しなければならない事業についても一部繰り越されているものが見受けられる、早期完成に向け努力するようにとの強い要望がありました。
 次に、建設発生土対策費の内容、公的処分場の箇所数、全県下の建設発生土量、県内最終処分場の箇所数と処理能力、業者指導、不法投棄問題についてただしたのに対し、九年度はすさみ町で約百万立方メートルの処分場建設工事費、田辺市で処分場建設の用地測量費を計上しており、これに西浜の埋立地を加え、公的処分場は三カ所であり、公的残土処分容量は全体で約二百七十万立方メートルである、また県下の建設発生土量は公共事業全体で年間二百九十万立方メートルで、うち二百二十万立方メートルは請負業者の責任において処分している、業者指導については、工事発注時に特記仕様書で規定しており、処分後は報告書の提出を義務づけている、不法投棄に関しては現在特に問題となっていないとの答弁があり、委員より、適正処理について今後とも業者指導等徹底されたいとの要望がありました。
 道路関係では、紀淡連絡道路調査費の内容と財源についてただしたのに対し、友ケ島付近で海上ボーリング二カ所、島周辺で深浅測量、動植物の生態調査等で、すべて県費であるとの答弁があり、委員より、太平洋国土軸の一翼を担う重要道路の調査費は国が持つべきではないかとただしたのに対し、建設省は経済・技術調査を実施しており、本県は兵庫県とともに環境現況調査等について補完的調査を実施することとしている、地方活性化のため一日でも早い事業化を支援していきたいとの答弁がありました。
 次に、京奈和自動車道橋本道路の進捗率と八年度の状況並びに九年度の見通しについてただしたのに対し、現在、用地買収率は約二〇%であり、八年度では橋本市とともに高野口町の一部用地買収に入っている、九年度は本年度を上回る事業費確保が見込まれ、県、市協力して消化可能な体制をとっているとの答弁がありました。
 また、国道四百八十号の梨子木トンネルの見通しについてただしたのに対し、既に概略ルートの検討は行っており、今後、詳細な調査、事業手法の検討を行いたいとの答弁がありました。
 次に国道四十二号の下津町内での渋滞対策について、調査結果を踏まえ今後どのように取り組むのかとただしたのに対し、有田市から和歌山市間について整備の必要性があり、特に小南交差点から藤白までの四車線化が急がれるので、当面この間の整備を国に働きかけるとともに、今後、下津町内の道路のあり方について検討してまいりたいとの答弁がありました。
 また、県道海南金屋線の鏡石トンネルの着工時期についてただしたのに対し、当面、海南市側の重根地区から順次整備を行い、金屋町側の一部未改良区間等の進捗を見ながらトンネルについて検討してまいりたいとの答弁がありました。
 なお、委員より、国道四百二十四号の金屋町有原から黒沢牧場間の整備促進、県道生石公園線の沼田地区から生石地区間の整備促進についての強い要望がありました。
 次に、新岡坂トンネルの開通、国道三百十一号の改良により田辺市内の車両が増加の一途であるが、おくれている万呂から上万呂間の今後の改良計画についてただしたのに対し、熊野橋から消防屯舎前まで二車線と二・五メートルの歩道を計画しており、平成五年度より事業着手し、用地買収並びに家屋の補償を進めている、現在の進捗は用地買収面積で六五%で、ある程度まとまった用地が確保できたので九年度から工事着手したいとの答弁がありました。
 また、近畿自動車道について、大阪府側と比較したとき、路面の舗装状態の悪さ、照明灯の不足、トンネルの防災無線装置について早期新機種の設置、また関連して、十円単位の料金設定が渋滞の原因でもあるので今後の料金改定には五十円、百円単位で設定するように等々、強い要望がありました。
 また、北島橋の耐震対策についてただしたのに対し、現在建設省で全国的に現況調査を実施しており、その調査結果をもとに具体的な補修方法について建設省から指示があると思われるので、北島橋も含め耐震補修を行いたいとの答弁がありました。
 次に、キャブシステム・CCボックス・共同溝の九年度の実施予定、九年度末までの整備延長、今後の計画についてただしたのに対し、国道三百七十号の海南駅前四百三十メートル、国道三百七十一号の高野山二百十メートルを予定していたが、整備促進を図るため八年度補正として今議会に上程したため、九年度当初予算としては上程していない、新たに和歌山港線の県庁西側から南仲間町交差点間約二百メートルについて、電線管理者の同意が得られたので早期事業化に努力する、なお、九年度末までの総延長は一万三千八百三十一メートル、十年度以降、三カ所で延長千六十メートルを予定しているとの答弁がありました。
 また、ガードレールの支柱は、日本では強固であるが、アメリカ、ドイツではショックを弱める構造となっている、県は国に先駆け研究してはどうかとただしたのに対し、歩行者、ドライバー等の一層の安全を図るため、衝撃を弱める施設の改良について今後研究してまいりたいとの答弁がありました。
 河川関係では、市堀川の歩けない遊歩道について、その解決策と計画段階からの経過についてただしたのに対し、市堀川修景検討委員会を設置し事業計画を策定したが、事業実施段階で住民からプライバシーや防犯上の問題等が懸念され、事業中については一般開放をしていない、九年度で事業完了の見込みとなったので地元と十分に話し合い、問題点を把握し、早期一般開放に向けて努力していきたいとの答弁があり、委員より、県としてもあらゆる観点から問題を予測するとともに、現場の状況を十分認識していただきたい、また県民に喜ばれるよい事業だと思うので、諸問題を解決してできるだけこの事業を進めていってほしいとの要望がありました。
 次に、切目川ダムはつくるのかとただしたのに対し、切目川ダムは現在実施計画調査中であり、八年度中に地質調査等を完了して地元説明を行って、同意が得られれば十年度より国に予算を要望していきたいとの答弁がありました。
 また、紀伊丹生川ダムについて、水没する家が二十数戸あると聞くが、十分な地元説明並びに県への詳細説明はあるのかとただしたのに対し、地元には直轄事務所から毎年調査の計画、結果についての説明を行っており、現在、ダム事業審議委員会の開催に向けて準備中だと聞いている、県では企画部の水・土地政策課と土木部河川課が掌握している、地元説明の前には直轄事務所と県で協議しており、地元説明にも同行しているとの答弁がありました。
 また、二川ダムの水環境改善事業による河川維持用水の放流はいつになるのかとただしたのに対し、九年度中に事業完了見込みであり、十年度当初には下流に水を流せるものと考えているとの答弁がありました。
 次に会津川の河川改修について、九年度の事業費と、会津川に流れ込む背戸川の水質悪化について県は田辺市に対しどのような指導をしているのかとただしたのに対し、九年度は広域河川改修A事業で二億円の予算を予定しており、護岸及び用地買収の進捗を図る予定である、背戸川の水質浄化については、町の清流復活事業で田辺市に取り組んでもらえるよう努力したいとの答弁がありました。
 港湾関係では、片男波ビーチの管理運営について、ごみの散乱、浜茶屋の常設化等、適切に管理されているとは言いがたい状態にある、もっと厳しく管理委託先を指導監督する必要があるのではないかとただしたのに対し、ごみ等は地元自治会と漁業協同組合等で構成している片男波海水浴場管理運営委員会に業務委託しており、指摘の趣旨を踏まえ適切に指導していきたい、また浜茶屋についても適切に対処していきたいとの答弁がありました。
 次に、日高港湾整備に係る現在までの経緯と今後の整備スケジュール、及び廃棄物処理の最終処分場としての利用の可能性についてただしたのに対し、日高港は、紀中地域振興の拠点として昭和五十八年に港湾計画を策定して以来、計画の具体化に向けて漁業権を有する三漁業協同組合と補償交渉を進め、本年三月に三漁業協同組合の同意がそろった、今回同意を得た一期計画分は、今後早期に埋立申請を行い、年内に事業着手し、二十一世紀初頭には供用開始をしたいと考えている、なお現在次期計画の改定作業中であるが、その目標年次は二〇一〇年と考えている、また廃棄物処理については、一期計画部分では埋立土砂をすべて港湾整備に伴うしゅんせつ土で賄う予定であり、二期計画分についても廃棄物処理の処分場としての位置づけはしていない、一般廃棄物や産業廃棄物の海面処分については無条件に許されるものではなく、県の廃棄物処理計画や港湾計画への位置づけ等、計画段階での整理が必要であるが、その要請がなく、この段階での受け入れは困難であるとの答弁があったが、委員より、大阪湾フェニックス計画との関連もあるが、日高港についても一つの最終処分場の候補地としていくべきであると考えている、いろいろな手続上の問題があると承知しているが、柔軟な取り組みを行ってほしいとの要望がありました。
 都市計画関係では、紀の川リバーサイドグリーンベルト事業の和歌山市等との役割分担についてただしたのに対し、紀州大橋から上流は県で整備し、下流を市が整備することになっており、一部岩出町の整備部分もある、この事業は国、県、和歌山市、岩出町の四者で整備を行っていくとの答弁がありました。
 下水道関係では、伊都浄化センター建設予定地の文化財発掘調査により供用開始はどうなるのかとただしたのに対し、発掘調査は七月末を目途に現地調査、その後書類整理が三カ月間の予定であり、今後現地調査の状況を見ながら建設に着手したい、一部供用開始は平成十二年中の予定であるとの答弁がありました。
 住宅関係では、昨年の広島市における火災原因にもなったアクリル板について、本県の公営住宅での使用状況をただしたのに対し、アクリル板が原因で火災が発生したことを受けて県内の公営住宅を調査した結果、県営、市町村営ともにアクリル板の使用はなかったと聞いており、今後も設計等において指導していくとの答弁がありました。
 次に、県営住宅における家賃滞納と高額所得者の入居の状況についてただしたのに対し、家賃滞納状況は七年度決算で、現年度分は未収額四千万円強で未収率は二・六九%、過年度分は未収額六千二百万円強で未収率は六九%となっている、高額所得者は、県営住宅の管理戸数五千百三十六戸のうち、年収五百万円を超える収入超過者世帯は千二百九十五戸、七百万円を超える高額所得者世帯は百八戸となっている、これらの世帯には住宅明け渡しの指導を行い、七年度で十五戸、本年度で四戸の退去があったとの答弁がありました。
 建築関係では、県下の公共建築物の耐震対策の状況をただしたところ、県、市町村で七年度は十件、八年度は四十七件の耐震診断を実施しており、これまでに三件の耐震改修が実施または実施見込みとなっている、九年度は県として二十件程度の耐震診断を実施する予定である、今後こういった措置の実施をさらに推進するよう県関係部局及び市町村に働きかけていきたいとの答弁がありました。
 企業局関係では、観光レクリエーション事業の九年度測量調査費の内容、ゴルフ場建設のタイムスケジュール、建設予定地内の民有地の買収状況についてただしたのに対し、ゴルフ場建設に係る実施設計委託費であり、九年度に実施設計、十年度に着工し、二カ年で完成したい、着工までに解決すべきことは建設省が実施する紀の川大堰関連施設の位置等の決定であり、今後関係機関と協議を行い、早期に完成するよう努めたい、また用地買収は土地開発公社で行っているが、地権者十三名のうち八名が解決していると聞いており、残り五名について早期に解決できるよう公社に要望したいとの答弁がありました。
 次に、大新公園地下駐車場の週末及び夜間以外の利用者の伸び悩みの解消策として二十四時間営業、また付近の飲食店等への利用促進の働きかけについてただしたのに対し、現在の実績では午後六時から深夜零時までの利用率が約八一%である、今後一年間を通して利用状況のデータ収集や調査分析を行った上で今後の対応を検討したい、また付近飲食店等に対しては今後とも利用促進を働きかけていきたいとの答弁があり、委員より、営業時間の延長も含め検討していただきたいとの要望がありました。
 関連して、大新公園の整備の進捗状況及び公園敷地内での不法駐車についてただしたのに対し、整備については今年度中に完成すると土木部から聞いている、不法駐車については公園管理者に対し強く申し入れたいとの答弁がありました。
 以上、慎重審議の結果、採決に入りましたが、当委員会に付託されました議案三十六件は、いずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決しました。
 また請願につきましては、お手元に配付の請願審査結果表のとおり、継続審査中の請願、議請第一号は継続審査とすべきものと決し、議請第十五号は請願者からの取下願を承認いたしました。
 以上をもちまして、建設委員会の報告を終わります。何とぞ、適切なご決定をお願い申し上げます。
○議長(町田 亘君) 農林水産委員会委員長野見山 海君。
 〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○農林水産委員会委員長(野見山 海君) 農林水産委員会における審査の経過並びに結果について、ご報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案十五件であります。
 当委員会は、三月十八日、第四委員会室で開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、審議に入りました。
 各委員の質疑、意見及び要望等の主なものは、次のとおりであります。
 まず、農業の振興についての質疑があり、現在の農業は経済性が重要視されているが、農業には心の豊かさを養うという文化面での大きな働きもある、このような中で農業の果たす役割についてどう考えているのかとただしたのに対し、農業の役割には、経済行為を含め幅広いものがある、特に中山間地の農業については、公益的な役割も十分踏まえ、その振興に取り組むことが県勢のバランスを考える上でも重要であるとの答弁がありました。
 次に梅の生育不良について、県うめ対策研究会の今後の日程及び水源調査の目的についてただしたのに対し、次回は現地視察も視野に入れ、五月下旬の開催を予定している、また水源調査は、梅の生育にとって重要な水を確保するための地下水等の水源地を探す調査であるとの答弁がありました。
 続いて、今後の原因究明に向けた取り組みについてただしたのに対し、栽培面は暖地園芸センター、病理面は果樹園芸試験場が中心となり、現地で圃場を借り上げ、土壌水分を初め病原菌の接種試験などに取り組んでいるところであり、今後とも地元の協議会との連携も図りながら、地域普及センターと一体となって現地での実証試験もふやしていきたい、また大気面については、専門家の意見もいただきながら大気環境影響調査を前提とした暴露試験に本格的に取り組んでまいりたいとの答弁がありました。
 これに関連して、被害農家を対象にした融資制度についてただしたのに対し、日高・西牟婁地方を中心に発生した梅生育不良により農業経営に著しい支障を受けた農業者に対し、経営の安定を図るため緊急融資を行うものであり、貸付限度額二百万円以内、県の特別利子補給が一・六五%、貸付金利一・三〇%、償還期間五年以内で据え置き一年以内、融資枠が五億円となっているとの答弁がありました。
 次に、柿の防霜対策として地域と共生できる防霜ファンへの取り組みについてただしたのに対し、国庫事業を初め県単独の和歌山の果樹若返り対策事業で対応できるが、国庫事業については全国的に事業要望量も多く、大変厳しい情勢にある、今後より一層山地の要望を国につなぐとともに予算の確保に努力してまいりたいとの答弁がありました。
 また、環境保全型農業についての県の考え方や取り組みについてただしたのに対し、平成六年に本県における環境に優しい農業推進のための基本的な考え方を示し、十年間で化学肥料や化学農薬をおおむね二割削減を目標に取り組んでいる、平成七年度から平成八年度で環境保全型農業栽培技術指針を作成・配布し、今後、啓発・普及を徹底していく予定であるとの答弁がありました。
 続いて、農林水産業の振興を図る上で、本県の置かれた条件を最大限に生かすことが基本であり、その中での試験研究機関のあり方についてただしたのに対し、二十一世紀を展望するとき、試験研究機関の果たす役割、重要性については十分認識している、力強い農林水産業を実現するため、本年度、将来に向けた試験研究機関のあり方について検討を進めるとともに、人材育成についても取り組みを行ってまいりたいとの答弁がありました。
 さらに、後継者対策についての取り組みについてただしたのに対し、農業分野では、青年の成長過程に応じて、育てる環境づくり、励ます環境づくり、自立する環境づくりを柱としての施策の展開、林業分野では、技術研修、講習の実施、地域リーダーの掘り起こし育成等の各種支援事業を実施する、水産業の分野では、地域のリーダーとなる中核的漁業者の育成や資源管理型漁業の推進、栽培漁業等総合的な取り組みの中で魅力ある漁業づくりのために努力してまいりたいとの答弁がありました。
 次に、農業・農村パートナーシップ推進事業の内容についてただしたのに対し、農村の女性が農業・農村の担い手として持てる能力を十分発揮できるよう、能力開発と労働環境の改善を促進する事業であるとの答弁がありました。
 続いて、農協合併の状況と今後の見通しについてただしたのに対し、農協合併の状況については、有田地域では昨年六月に財務確認調査を実施し、その調査結果をもとにして会議を重ね、具体的な検討を行っている、日高地域でも昨年十一月に財務確認調査を実施し、みなべ農協、いなみ町農協を除く九農協での合併を目指しているが、農協間の財務格差を含む諸問題があり、現在その調整に努めている、また他の地域でも諸課題に対し検討が重ねられており、県としても解決に向け調整に努めるとともに合併推進を図ってまいりたいとの答弁がありました。
 また、農業者の老後対策としての農業者年金制度についてただしたのに対し、農業者年金は、農業を営んでいる人で経営面積が五十アール以上は当然加入、三十アール以上は任意加入となっており、保険料は月額一万七千円程度で、加入期間にもよるが、六十五歳以上になると年間約七十万円の年金が支給される、今後とも加入率の促進に努めてまいりたいとの答弁がありました。
 このほか、果樹園芸試験場の再編整備や県産農産物海外アンテナショップの設置、県産ミカンの市場での評価と農家の対応、農業共済組合の運営状況等についての質疑や、梅関連予算の実施に際しては地元との連携を図りながら十分な成果が得られるように取り組まれたいとの要望がありました。
 次に林業の振興についての質疑があり、県下の森林資源の世に出るときが実感として伝わってくる今日、この豊かな資源と結びついた供給システムや近畿圏を視野に入れた販売システムを構築するなど、最終商品化による紀州材のブランド化の推進についてただしたのに対し、背後森林地帯と製材業の連携を強める中で、規格化の推進や標準価格の設定など紀州材が安心して買ってもらえる条件整備を進めるとともに、九年度予算に計上している木の国プロジェクト推進事業において設計マニュアルの作成や商品開発に取り組み、消費者により一歩近づいた紀州材のブランドを確立してまいりたいとの答弁がありました。
 続いて、木材の利用推進をするためには子供のころから木に親しむ環境が重要である、コンクリートづくりと木造との間の建設費の価格差や学校を中心とした公共施設の木材利用推進の方策についてただしたのに対し、木造と非木造の価格差については建物の規模、用途などによって異なり、一概に言えない面があるが、九年度において木造建築物設計マニュアルを作成し、建設費の積算根拠を明確にしてまいりたい、また公共施設の木造化等については、庁内のプロジェクトと業界の納材体制が連動する中で、庁内関係部局、市町村に対し、より具体的に働きかけてまいりたいとの答弁がありました。
 これに関連して、本宮町長が提唱の森林交付税や森林・林業・林産業活性化促進地方議員連盟についてただしたのに対し、現在、森林交付税については使い道が判然としない、具体的でない等の議論もあるが、こうした議員連盟の創設や森林交付税の参加市町村がふえていることから森林・林業は追い風を受けている状況にあり、今後ともこうした組織や自治体の応援を得ながら森林・林業の活性化の推進に努めてまいりたいとの答弁がありました。
 続いて、梅など、農地の一部に適地でない林地開発によるものが見られる、これらの農地造成に当たっては林地開発による指導及び庁内関係課等の連絡が必要ではないかとただしたのに対し、一ヘクタール未満の小規模な林地開発については許可の対象とならないが、その都度、開発状況について把握に努めているところである、なお小規模な農地造成については、地元市町村等と連携をとりつつその適正な指導を行っていくとの答弁がありました。
 さらに、森林整備活性化事業や流域総合間伐実施事業等による雇用拡大は森林組合員以外の山林労働者も対象となるのかとただしたのに対し、森林整備活性化事業等については市町村、森林組合等に対し補助するものであり、事業の実施に伴い、山林労働者全体の雇用の増大になるとの答弁がありました。
 また、恵の森再生事業についてただしたのに対し、樹木の枯損や林地の荒廃が著しい保安林などを再生させるため、客土等による土壌改良や植栽を含む緑化工を行うもので、当面は海岸部の魚つき保安林や風致保安林等に対して実施していくとの答弁がありました。
 このほか、森林資源は貴重な財産であり、子供から老人まで幅広く山を守る運動を展開していく必要がある、山を守り育て、次の植林まで長期的展望に立って取り組まれたいとの要望や、森林は環境材としても大切な資源であり、今後広葉樹の植栽や緑化の推進などについて、県民ボランティアの育成や市町村等が主体的に取り組めるよう施策面で十分配慮すべきとの要望、さらに公共施設の構造に対する自治体の選択性を拡大するとともに、木造建築物の安全性等に関する研究に取り組まれたいとの要望がありました。
 また、農林業後継者について、地元に本籍を置いている人が非常に多く、将来には地元に帰りたい人が多いことを認識してほしいとの意見や、平成九年度事業に関して、ふるさと林道などの着実な実施についての要望がありました。
 続いて水産業の振興についての質疑があり、オイルショック、二百海里問題以降の遠洋漁業等の不振に対してどういう振興策があるのか、また経営が悪化している漁協の合併の状況はどうかとただしたのに対し、遠洋漁業等については非常に厳しい状況が続いている、特に円高による輸入の増加、それに伴う魚価の激安状況、後継者問題、労働力不足など、構造的不況に陥っている、そのため、県としては融資対策等を実施するとともに、国に対しては魚価の安定対策や減船も含めた構造改善対策の要望をしている、また漁業の不振の中で、単位漁協、特に信用事業を持っている漁協については大変厳しい状況にあり、漁協合併を進めるため、平成四年度に策定した和歌山県漁協事業基盤強化基本方針を見直し、積極的に合併に向けて取り組んでまいりたいとの答弁がありました。
 このほか、海岸・海域の保全に当たっては、生態系も考慮に入れ、上流も含めた整備に取り組んでまいりたいとの要望がありました。
 以上のような審議の結果、当委員会に付託されました議案十五件は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決しました。
 以上をもちまして、農林水産委員会の報告を終わります。何とぞ、適切なご決定をお願い申し上げます。
○議長(町田 亘君) 決算審査特別委員会委員長平越孝哉君。
 〔平越孝哉君、登壇〕(拍手)
○決算審査特別委員会委員長(平越孝哉君) 決算審査特別委員会における審査の経過並びに結果について、ご報告申し上げます。
 当委員会は、昨年十二月定例会最終日の十二月十八日に設置され、同定例会に提出された議案第百六十六号平成七年度和歌山県歳入歳出決算の認定についてを閉会中の継続審査として付託されたものであります。
 委員会は、同定例会の閉会直後、議長の招集により正副委員長の互選が行われ、委員長に私が、副委員長に木下善之委員がそれぞれ選出されました。
 審査は、一月九日、十日、十三日、十四日及び二十一日の五日間にわたり行いました。
 まず初日に、出納長から決算概要、代表監査委員から決算審査意見書の内容についての説明があり、総括質疑を行い、二日目からは各部局別に審査を行いました。
 各委員からの質疑、意見、要望等の主なものは、次のとおりであります。
 知事公室関係では、広報公聴業務のうち公聴制度についてただしたのに対し、県下各地域において百五十名の県政モニターを委嘱し、年三回の会議の開催やアンケート調査等を実施しており、平成七年十一月から知事直結によるファクスやパソコンを利用したホットラインの設置等により二百二件の提言等をいただいた、また知事が出席する県政公聴会及びふれあいトーク等により幅広く意見をいただくなど、県民の声を県政に反映させる努力をしているとの答弁があり、委員からは、意見を持ちながら言わない人の意見を引き出すことも大切であるので、予算面の制約もあろうが、もっと創意と工夫を凝らして公聴業務に努めてほしいとの要望がありました。
 総務部関係では、初めに県債の償還に関し、平成七年度の繰り上げ償還額と軽減された利子負担額及び平成八年度の計画についてただしたのに対し、繰り上げ償還については、平成二年度から四年度で借りた高金利の県債を対象に金融機関と交渉し、利子負担の軽減を図っており、平成七年度では十三億五千六百万円程度の償還を行い、二億三千万円程度の利子負担の軽減を図っている、平成八年度についても平成七年度と同額程度の繰り上げ償還を予定しており、二カ年で約五億円程度の利子負担が軽減される見込みであるとの答弁がありました。
 次に、県税収入のうち不動産取得税の収入未済金の要因についてただしたのに対し、購入資金のため抵当権等が設定され、被担保債権が優先する場合、名義貸しなど取得者が無財産で資金の流れの追求が困難な転売の場合に収入未済金が多く発生している、また住宅用土地の取得や農地の一括贈与など、一定の要件に該当し、徴収猶予を認めている場合もあり、収入未済金となっているとの答弁がありました。
 関連して委員からは、県税収入の収入未済額の推移と、不納欠損については時効に至るまでどのような対応で徴収に取り組んでいるのかとただしたのに対し、収入未済額については、平成六年度には若干圧縮できたが、平成七年度は長引く不況により増加の傾向にある、また時効による不納欠損の大部分を自動車税が占めているが、納期限後、大口滞納者に対し早期に滞納処分を行うほか、各滞納者の追跡調査及び財産調査を徹底するなど、今後とも税の公平、公正を確保するために徴収に取り組んでまいりたいとの答弁があり、委員からは、県税の収入未済額については十分留意し、時効に至るまでに収納できるよう努力してほしいとの要望がありました。
 次に、地方事務官に支出している報償費の根拠についてただしたのに対し、地方事務官については、身分は国家公務員であるが、知事の指揮監督下にあり、職業安定所など県民と密接に関係する業務に従事していることから、貢献といった意味で支出しているとの答弁があり、委員からは、根本には地方事務官のあり方といった問題もあるが、今後、支出に当たっては明確な理由づけなどを検討するよう要望がありました。
 このほか、きのくに夢づくり補助金の交付状況、携帯電話からの一一九番通報にかかわる整備状況、四年制看護大学設置の考え方、庁内の各課室の再生紙の利用状況について質疑、要望がありました。
 企画部関係では、初めに平成十一年三月末に移転を完了する県立医科大学の跡地利用の検討状況についてただしたのに対し、平成七年度は、四区画のうち現在病院として利用している主要部分については基本構想の前段となる調査を実施し、例えばホテルや県民への情報提供施設あるいはビジネス施設など、都市的な多機能施設について内部的な検討を行い、平成八年度は、平成七年度の調査検討結果を受けて詳細な調査を進めているとの答弁がありました。
 次に、コスモパーク加太の利用計画についてただしたのに対し、経済の大きな構造変化を受け、公共中心に検討していく中で、平成七年度から九年度にかけて幹線道路の整備を実施し、平成十年度に人工スキー場の開業を予定しているが、全体の利用計画については平成九年度以降に策定していきたいとの答弁があり、関連して、大学誘致等の検討状況についてただしたのに対し、検討しているが、誘致の条件等もあり、具体的な段階ではない、ほかに企業の保養研修施設等も検討している、現在のところリゾート、リサーチ、居住が基本方針であるが、諸情勢が変わっていく中で検討してまいりたいとの答弁がありました。
 このほか、地籍調査事業における市町村に対する人件費の補助についての県の考え方、地方バスの補助制度、全国自治宝くじの衛星通信分の内容について質疑がありました。
 生活文化部関係では、初めに合併処理浄化槽の補助金問題と浄化槽設置に係る水利組合の同意についてただしたのに対し、補助金については、国、県、市町村が三分の一ずつ補助を行っており、県としては整備計画の予算措置を行っている、国の補助金も年八%程度伸びており、二月に市町村要望の全基数をカバーしたところである、また放流同意については、昭和六十三年の厚生省通知により、特殊な事情がない限り不適切であるとの指導もあり、合併処理浄化槽については、このことを県下の保健所に指導しているとの答弁がありました。
 このほか、世界リゾート博の記念イベントのあり方、日本海原油流出事故についての質疑がありました。
 福祉保健部関係では、初めに特別会計の母子寡婦福祉資金の収入未済額内訳及び未償還金対策についてただしたのに対し、収入未済額約一億二千万円のうち事業開始資金と継続資金でその八割を占め、平成七年度中の新規事業開始資金の貸し付けは十四件で、うち飲食業は十二件であり、これらは社会経済情勢に左右されやすく、営業不振、倒産、自己破産、所在不明等の理由で未償還となっている、また償還体制として、九月から八人体制で夜間や年末年始の訪問を実施し、借り主及び連帯借り主並びに連帯保証人に対し指導を行い、約四百万円の実績を上げているが、今後とも未償還金対策に積極的に取り組んでまいりたいとの答弁がありました。
 さらに、母子寡婦福祉資金貸し付けにおける保証人制度のあり方についてただしたのに対し、資金の貸し付けに当たっては、保証人に対し、以前の書面審査だけでなく、保証人としての自覚を持ってもらうために借り主とともに面接審査を行っているとの答弁がありました。
 次に、同和行政の見直しの具体的な状況についてただしたのに対し、平成三年に平成四年度からの事業について見直しを行い、それに基づいてこの五年間事業実施している、例えば安定就労という目的を考慮し、特殊技能が必要であるとの考え方から従来の自動車普通免許にかわり大型自動車運転免許の取得補助に改正した事業、経済更生資金や新規開業者資金のようにニーズの減少により予算の減額を行っている事業があるとの答弁があり、委員からは、県の同和行政において一般施策との逆の格差が生じないよう、なお一層の事業の見直しに努めてほしいとの要望がありました。
 次に、喜の国エンゼルプランについてただしたのに対し、平成八年度に喜の国エンゼルプランを策定するが、現在、就学前児童と小学校低学年児童の保護者のニーズ把握のため、県内七市町村で二千のサンプルを抽出し、子育てサービスの利用状況、意向調査を実施・集計しているほか、市町村に対し特別保育を中心とした保育計画の施策意向調査を実施し、県における五カ年間の特別保育の数値目標等を設定すべく作業中であるとの答弁がありました。
 続いて、国のエンゼルプランの数値目標との関連についてただしたのに対し、国の数値目標は全国目標であり、その枠の中で市町村の意向を聞きながら県としての必要目標を設定してまいりたいとの答弁があり、委員からは、子育て支援対策は重要であるので、達成しやすい数値目標を設定するのではなく、将来に向けて必要な数値の検討、設定をしてほしいとの要望がありました。
 このほか、高等看護学院及びなぎ看護学校における推薦入学制度、市町村振興資金特別会計の住宅新築資金及び用地先行取得貸し付けの事業内容、県立五稜病院の経営状況、災害に対する備蓄物資等について質疑、意見がありました。
 商工労働部関係では、初めに小規模企業指導事業が長年にわたって行われているがその効果はどうか、経営指導員の資質向上と指導内容を充実する必要があるのではないかとただしたのに対し、県下の商工会議所、商工会等に経営指導員等を配置し、経営指導や金融相談等の業務を行っており、巡回指導で約四万件程度、窓口指導で約四万五千件程度の地域小規模事業者の相談に応じるとともに、今回の金融関係の問題が発生したときにもいち早く金融相談窓口を設置し資金面などの指導を行うなど、効果は上がっているものと考えている、経営指導員の資質向上については、時代の変化に対応するため、毎年数回の研修会開催と中小企業大学校への派遣や商工会等独自で研究会等を行うなど、資質の向上に取り組んでいる、一方、時代のニーズに合った事業、情報化社会へ対応する事業、地域の物産開発等の事業を実施するなど、なお一層指導員の資質向上に取り組んでまいりたいとの答弁がありました。
 次に、県商工信用組合の経営状況及び経営健全化の目途についてただしたのに対し、再建計画に基づき平成六年度から厳しいリストラの実施と債権回収に努めているが、金利情勢を反映して、単年度収支は改善されているものの、長引く景気の低迷から非常に困難な状況であるとの答弁がありました。
 次に、中小企業近代化資金の未償還金が前年度よりも減っていないが、償還の見通しと貸し付けに当たっての審査体制についてただしたのに対し、未償還金については平成六年度に比べてややふえているが、今年度には十億円余の償還があり、貸し付けについては、貸し付け時点から経営面、償還面を考え、審査を厳しくしているとの答弁がありました。
 このほか、企業誘致活動の成果と今後の展望、中小企業勤労者福祉サービスセンター、トラック燃料の県内販売店での購入、県営競輪の売り上げ、バス・トラック協会への運輸振興助成補助金等について質疑、意見、要望等がありました。
 農林水産部関係では、初めに農業後継者対策に関し、農業後継者の現状と取り組みについてただしたのに対し、新規就農者の現状は、平成六年度は五十一名、七年度は六十一名、八年度は七十名と増加の傾向にあり、後継者の多く残る地域を見ると、果樹や花卉、施設園芸などの安定した農業経営をしている地域となっている、後継者に対する取り組みについては、青年の成長過程に応じ、育てる環境づくり、励ます環境づくり、自立する環境づくりを柱に取り組むとともに、経営改善を行うための改良資金、スーパーL資金などの低利資金の融資も行っているとの答弁がありました。
 次に、森林組合の指導・監督についてただしたのに対し、森林組合法に基づき、原則として組合事務所において年一回、組織、財務、事業関係の書類等の確認などの条例検査を実施しているとの答弁がありました。
 次に、県産材の振興事業の成果及び今後の施策についてただしたのに対し、平成七年度において耐震性木造住宅の展示、PRなどに努め、関心は高いものであった、今後は、県産材の需要拡大のため、公共事業での積極的な利用促進を図るなどPRに努めるほか、公共施設の木造化を推進するための庁内会議を発足させたところであるとの答弁がありました。
 このほか、卸売市場の組織整備、関西国際空港開港に伴う県産農産物の施設園芸規模の状況、合併処理浄化槽設置届に伴う同意書の添付、機内食の農産物供給状況等について質疑、意見、要望等がありました。
 土木部関係では、初めに県道路公社の経営に関し、経営内容を見ると非常に厳しいが、公社に対する貸付金はいつまで続くのか、どのような経営努力を行っているのか、また単年度の収支のバランスがとれる時期の見通しについてただしたのに対し、利用交通量が計画交通量の約三〇%にとどまる中、維持管理費等を通行料収入で賄い切れない現状のため、今後も毎年十二億五千万円の貸し付けを続けたとして、建設資金の償還の見込みがたつのは平成十一年度であるため、県としては平成十一年までは政府及び民間貸付金の償還を第一に考え、その後、経営状況の改善を図るための抜本的な解決策の検討を行ってまいりたいとの答弁があり、委員からは、道路公社の経営は相当悪く、現状では平成十一年度になっても単年度収支は望めない、利用状況が伸びない中で、限界もあると思うが、少しでも早く経営状況の改善が図られるよう交通量の増加に努めてほしいとの要望がありました。
 このほか、河西緩衝緑地取得事業の進捗状況、財団法人わかやま公園緑地協会の構成及び公園管理費、和歌山県沿岸で油流出事故が起こった場合の対応について質疑、要望がありました。
 医科大学関係では、初めに県立看護短期大学の生徒募集に関し、推薦入学制度の導入状況についてただしたのに対し、現在推薦入学を実施していない、過去に医科大学で推薦入学の制度があったが、県内の生徒だけを推薦するというのは教育の平等性という見地から困難な問題もあり、大学としては、学生の選抜方法は入学の機会均等を図る観点からも競争試験が適切と認識しているが、県内出身の学生が入学することを強く望んでいるとの答弁があり、委員から、地元からの推薦入学制度を設置するよう努力してほしいとの要望がありました。
 次に、附属図書館の図書購入方針についてただしたのに対し、主として海外の専門学術誌の購入や学生が利用できる医学全般にわたる学術書を中心に購入している、また各教授が特定の研究に用いる図書は研究費で購入しているとの答弁がありました。
 このほか、病院使用料の収入未済額及び不納欠損額への対応策、教育使用料の内容、看護婦修学資金貸付金制度の活用状況について質疑、要望がありました。
 監査委員関係では、監査時において問題点を指摘されながら改善の傾向が見られない部局に対し、与えられた監査権限を十分に生かし厳しく対処するよう要望があり、また他府県で起こった不正支出問題について質疑がありました。
 教育委員会関係では、総合教育センターの建設調査費が計上されてから十数年経過しているが、センターの構想、規模及びその機能についてどのような調査結果が出ているのかとただしたのに対し、現在、センターの担う役割、組織、研修・研究の機能等の事項について全国の状況を調査する一方、建設場所についても、候補地を数カ所に絞り、公共施設の全県的な適正配置の観点から種々検討を行っている、センターの規模について現在検討しているのは、全国の平均的規模を想定しており、機能面では、教職員の研修・研究や生涯学習センター的な機能を持たすほか、特殊教育の充実、情報化・国際化への対応、教育相談の充実などの視点も踏まえて、教職員だけでなく県民の方々にも利用できるような施設を考えているとの答弁がありました。
 公安委員会関係では、警察活動費犯罪捜査予算が過去三年間余りふえていない現状についてただしたのに対し、財政事情が厳しい状況のもとで、前年度実績等を踏まえて、その都度予算要求しているとの答弁があり、関連して委員からは、重大事件等の解決に向けて捜査活動を完璧にするために、現場警察官が自費で活動するということがないように必要な予算措置に努めてほしいとの要望がありました。
 このほか、行政訴訟事件の弁護士費用についての質疑がありました。
 以上のとおり、慎重審査の後、採決の結果、当委員会に付託されました議案第百六十六号平成七年度和歌山県歳入歳出決算は賛成多数をもって認定すべきものと決しました。
 何とぞ、適切なご決定をお願いいたします。
○議長(町田 亘君) 以上をもって、各常任委員会委員長及び決算審査特別委員会委員長の報告が終わりました。
○議長(町田 亘君) これより、委員長の報告に対する質疑に入ります。──質疑なしと認めます。
○議長(町田 亘君) 次に、討論に入ります。
 まず、村岡キミ子君から反対討論の通告がありますので、これを許可します。
 37番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 私は、日本共産党県議団を代表して、幾つかの議案に反対の立場を表明いたします。
 知事の二年目の予算編成であり、知事独自施策の反映を期待していたところです。日高・西牟婁地方で大きな問題になっている梅の衰弱症対策ではこれまでにない大幅な予算を組まれたこと、また御坊第二火力で意思表明を留保されたことは評価しているところです。また、公的保育所と協力して保育に欠ける乳幼児保育で大きな役割を果たしている無認可保育所への補助が、長時間保育への補助という形であっても、これまではどのような補助も拒否してきたことからすれば大きな前進として歓迎をするものです。また、障害者小規模共同作業所への補助の増額や高齢者、重度障害者の住宅改造補助金の増額も、ささやかではありますが、県民の願いと一致する方向として評価したいと思います。
 しかし、県政の基本的な姿勢を反映する問題で、県民にとってとても納得できない問題があることを率直に指摘をしたいと思います。
 この四月からは消費税の導入や二兆円の特別減税の打ち切りが予定され、また医療保険の患者負担の増大など、合わせて九兆円もの国民負担増が押しつけられようとしています。過酷な負担増が行われようとするときに編成されたのが今回の予算案でありますが、県として、県民の負担増を抑え、不況から県民を守る知事の姿勢、また予算案が組まれるべきであると考えるものです。ところが、県民負担を軽減するどころか、各種使用料・手数料の消費税引き上げ分四千三百八十万五千円をそのまま上乗せし、その負担額は一億九百五十一万二千円にも上る状況です。こうした手数料・使用料の大部分は県が納税するものでなく、引き上げの必要は全くないと考えるものです。
 今、国と地方の財政は未曾有の財政危機にあると叫ばれていますが、和歌山県においても例外ではありません。和歌山県の県債残高は、九七年度末で五千五百億円を超える見込みでもあります。県民一人当たりの借金は約五十万円を超える額になります。今から七年前の八九年度末には二千二百四十億円余りでしたから、この間に約二・五倍も増加しています。その中でも土木債は三・二倍の増加であり、国が地方に押しつけた地方単独事業をそのまま受け入れてきた結果が膨大な借金をつくり出したのは明らかです。このことを建設事業の歳出から見ますと、八三年から八五年までの三年平均の普通建設事業と九七年度を比べてみると、県全体の歳出合計は約一・九倍でありますが、県単独事業は四・二倍もの増加となっています。一方、国庫補助事業の伸びは一・六倍であります。ここに県債の大量発行の要因があることは明らかですが、県単独事業の高水準を維持し続けている限り県債の大量発行を続けていかざるを得ないことになります。今回の予算案でも単独事業の高水準を維持しており、財政を悪化させた反省に立つものではないと指摘をしたいと思います。
 このことに関連して、土木建設関係での仕事量の増大には著しいものがあります。関係する県職員が残業、残業に追われている実態は、周知の事実です。職員の定数配分については、職場の実態に合った適正な配置を求めたいものです。
 ビッグホエールについて申し上げます。今年度とこれまでの支出が、用地費を除いても百三十億円を超える、文字どおりビッグな事業でありますが、年間三億円を超える維持費の問題とともに、今後の県財政に大きな負担になるのは必至であります。果たして県民が気軽に利用できるものとして県民の要望に基づくものか、今も大いに疑問の残るところです。本当に県民の文化・スポーツ要求にこたえるものであるならば、県民が気軽に利用できる公共施設にもっと力を注ぐべきであることを強調したいのです。
 また、同和対策事業に対する県当局の基本姿勢や県予算案は、同和事業の終了を望む県民の願いとはかけ離れたものです。同和地域と他の地域との格差が基本的にはなくなっていることは県の実態調査でも明らかになっていながら、県予算案は百億円を超える同和対策費を計上しております。県内でも、南部町や吉備町、白浜町など、同和事業については原則的に終了させる意思を明らかにしている自治体が出ており、県行政としてもこれを支援する立場に立つのが当然だと考えます。地対財特法が終了した今日、一定の改善が見られるものの、十分とはまだ言えません。漫然と同和予算を組み続ける県の姿勢は、同和地区の固定化につながり、部落解放に逆行しかねないとの危惧を抱くものです。
 医療保険の改悪とかかわって、政府は今後も患者負担をふやす方向を打ち出しています。このことは、世界一高い薬価や医療機器などの問題にメスを入れないまま保険財政の危機を国民や患者に犠牲を押しつけるもので許されることではありませんが、県行政として県民の負担を軽くする施策をとることが必要ではないでしょうか。多くの都府県が実施している入院給食費の患者負担を県費で負担する制度をつくるとか、あるいは乳幼児医療費の無料制度の対象をさらに引き上げる、国民健康保険への援助を抜本的に強化するなど、県行政としてやらなければならないことはいっぱいあるのではないでしょうか。今度の県予算案が、こうした点で県民への愛情に乏しいと考えるものです。
 和医大病院を医大会計から切り離し、今回特別会計とする議案が提案されています。大学病院は地域医療を守る重要な医療機関であると同時に、県下の医療水準を引き上げ、また医師を養成する貴重な役割を担っていることを考えるときに、効率的な経営を旗印とした会計の独立が研究や医師養成に悪影響を与えるものであってはならないと考えます。
 また、紀の川の河川敷にゴルフ場を設置する問題では、ゴルフ場予定地が和歌山市の水源、取水場のすぐ上流でもあります。計画されているゴルフ場でもし農薬が使われるなら、和歌山市民にとって大変危険な問題です。農薬使用がどうなるのかが明らかでない限り、この計画には大きな問題があると考えるものです。
 県工事の市町村負担金についてはこれまで再三申し上げてきたところですが、来年度も八十億円の負担金を予定しています。いつまでも市町村に負担を負わせることは許されません。
 最後に、庁舎等の建設に係る三十億円の基金を新たに積み立てる問題では、財政が緊急事態にあるときに漫然と基金を積み立てるのが適正な財政運営と言えるのでしょうか。県民の健康や中小企業の経営を守るための施策にもっと財源を有効に活用することこそ、県民に優しい県政であると言いたいと思います。
 教育について申し上げたいと思います。不登校児・生徒が県下で千人を超えています。親、子供ともに深刻な問題でありますが、その対策として、今年度に続いて来年度もふれあいキャンプ予算を組むなど、不登校対策に取り組む姿勢は一定の評価をするものです。しかし、父母からの要望は、居場所づくりなど十数項目に上っています。予算的に多額なものではなく、寄せられた要望の解決のため希望にこたえるべきではないでしょうか。
 以上、主な問題点を申し上げてまいりましたが、議案第一号、五号、七号、十号、十二号、十三号、二十号、二十三号、二十四号、三十三号、四十三号、四十四号、四十五号、五十一号、五十七号から五十九号、六十一号から六十三号、七十号から七十五号、七十七号、百六十六号の議案に対して反対することを申し述べ、討論を終わります。
○議長(町田 亘君) 次に、堀本隆男君から賛成討論の通告がありますので、これを許可します。
 21番堀本隆男君。
 〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 自由民主党県議団を代表いたしまして、この二月定例議会に提案されている予算関係議案並びに諸議案に対し、賛成の立場から討論を行うものでございます。
 二十一世紀も残すところあと四年となりましたが、昨年末の国幹審の場で新宮までの全線にわたる高速道路整備の計画決定がなされ、我が県にとって平成九年は、文字どおり全県高速化元年となったわけであります。また、南紀白浜と広島を結ぶコミューター路線の運航も開始され、JR紀勢線に新型車両オーシャンアロー号が導入されるなど、県土の交通基盤整備は着実な歩みを示しております。平成九年は、これまで進められてきた県土の基盤づくりの上に立って、二十一世紀に向けての県勢の大いなる飛躍を確実なものとするために極めて重要な年になっています。
 こうした観点から平成九年度予算を見ますと、八年度予算と同様、飛躍への基盤づくり、明るい社会づくり、活力ある産業づくり、快適な暮らしづくり、心豊かな人づくり、この五つの政策目標を柱に、西口知事の個性光るふるさとづくり、魅力ある和歌山づくりに対する意気込み、熱意が強く感じられるところでございます。
 その第一は、国において平成九年度予算を財政構造改革元年予算と位置づけて一般歳出の伸びが抑制されていますが、本県においても、国と同様、厳しい財政事情の中で一昨年十一月に策定された行政改革大綱を踏まえた事務事業の見直しを行い、歳出の一層の節減、合理化に努める一方、交付税措置のある起債の積極的な活用や各種基金の取り崩しによって財源の確保に努め、全体で地方財政計画を上回る対前年度四・七%増の積極的な予算とした点でございます。
 一方で、将来の公債費の増加を抑制するために県債の発行額を六百九十六億円と去年に比べて一割程度抑制され、財政の健全化に対する配慮もなされているところであります。各種基金の取り崩し額については過去最高となり、基金残高も大幅に減少しておりますが、阪和銀行問題も抱える現下の県経済の状況のもとでは県経済を活性化すべく予算規模を確保することが必要であり、その西口知事の思い切った決断を私は高く評価するものであります。
 第二に、予算の具体的な内容を見ましても、当面の課題、中長期的な課題、いずれに対してもそれぞれ適切な対応がとられているところでございます。
 まず、景気への対応でありますが、投資額の伸びをマイナスにしている地方自治体も多くある中、昨年大幅に伸ばした県単独投資について、前年度並みの規模が維持されております。また、産業界の活力を高める起爆剤として本年オープンするビッグホエールで産業博覧会を開催するほか、金融面でも中小企業融資制度の新規融資枠を大幅に拡大するなど、県内景気へ好影響をもたらす積極的な措置がとられているところであります。
 その一方で、輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり事業などによる地域振興、他府県との広域的な連携による本県の振興、交通ネットワークの整備、梅の生育不良問題についての対応策を含む農山漁村の振興、女性政策の推進、福祉、生活環境、教育、文化等、県民生活に身近な分野についても、各種施策の拡充強化がバランスよく盛り込まれた予算となっております。こうした施策の推進は、西口知事がさまざまな場で県民の声を真摯に聞いてこられた結果であり、二十一世紀に向けた和歌山県の飛躍、和歌山新時代の創造のステップとなるものとして高く評価すべき内容であると思います。
 このように見てまいりますと、平成九年度予算案は、現在の和歌山県の置かれている状況を踏まえ、極めて厳しい財政事情の中で財源の工夫を凝らしつつ積極的な対応を図った予算であり、県民の期待に十分にこたえ得るものと考えます。
 また、予算関係以外の議案についても、条例案件を初め、いずれもその内容は適切なものであります。
 この上は、以上の諸議案に盛られた各般の施策の迅速かつ円滑な執行を図り、所期の成果を上げていくことによって県民の負託にこたえることが最も重要でございます。
 我々自由民主党県議団といたしましては、以上申し上げたような認識に立ち、今議会に提出されている予算関係議案並びに諸議案について早期成立を期するとともに、その執行に最大限の努力を惜しまないことをお約束いたしまして、賛成討論とさせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) これをもって、討論を終結いたします。
 ─────────────────────
○議長(町田 亘君) これより採決に入ります。
 まず、議案第一号、議案第五号、議案第七号、議案第十号、議案第十二号、議案第十三号、議案第二十号、議案第二十三号、議案第二十四号、議案第三十三号、議案第四十三号から議案第四十五号まで、議案第五十一号、議案第五十七号から議案第五十九号まで、議案第六十一号から議案第六十三号まで、議案第七十号から議案第七十五号まで、及び議案第七十七号を一括して採決いたします。
 本案に対する委員長の報告は、いずれも原案可決であります。
 本案を委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君は、ご起立願います。
 〔賛成者起立〕
○議長(町田 亘君) 起立多数であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
○議長(町田 亘君) 次に、議案第二号から議案第四号まで、議案第六号、議案第八号、議案第九号、議案第十一号、議案第十四号から議案第十九号まで、議案第二十一号、議案第二十二号、議案第二十五号から議案第三十二号まで、議案第三十四号から議案第四十二号まで、議案第四十六号から議案第五十号まで、議案第五十二号から議案第五十六号まで、議案第六十号、議案第六十四号から議案第六十九号まで、議案第七十六号、及び議案第七十八号から議案第八十七号までを一括して採決いたします。
 本案に対する委員長の報告は、いずれも原案可決であります。
 本案を委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君は、ご起立願います。
 〔賛成者起立〕
○議長(町田 亘君) 起立全員であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
○議長(町田 亘君) 次に、請願八件を一括して採決いたします。
 本件は、いずれも委員長の報告のとおり決することにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、本件はいずれも委員長の報告のとおり決定いたしました。
○議長(町田 亘君) 次に、継続審査中の議案第百六十六号平成七年度和歌山県歳入歳出決算の認定についてを採決いたします。
 本決算についての委員長の報告は、認定であります。
 本決算を委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君は、ご起立願います。
 〔賛成者起立〕
○議長(町田 亘君) 起立多数であります。よって、平成七年度和歌山県歳入歳出決算は、これを認定することに決定いたしました。
 ─────────────────────
 【日程第二 各常任委員会及び議会運営委員会閉会中継続審査の件】
○議長(町田 亘君) 次に、日程第二に入ります。
 お諮りいたします。お手元に配付しております「継続審査を要する所管事務調査件名表」及び「継続審査を要する担任事務調査件名表」のとおり、各常任委員会及び議会運営委員会に対し閉会中の継続審査として付議することにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、以上のとおり、各常任委員会及び議会運営委員会に対し閉会中の継続審査として付議することに決定いたしました。
 ─────────────────────
 【日程第三 各特別委員会閉会中継続審査の件】
○議長(町田 亘君) 次に、日程第三に入ります。
 お諮りいたします。同和対策、関西国際空港対策、水資源対策及び半島振興過疎対策の各特別委員会に付議されたそれぞれの問題についても、さらに閉会中の継続審査とすることにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 ─────────────────────
 【日程第四 選挙管理委員及び同補充員の選挙】
○議長(町田 亘君) 次に、日程第四に入ります。
 三月三十日をもって任期が満了する和歌山県選挙管理委員及び同補充員の選挙を行います。
 まず、選挙管理委員の選挙を行います。
 議場を閉鎖いたします。
 〔議場閉鎖〕
○議長(町田 亘君) ただいまの出席議員数は、四十七人であります。
 投票用紙を配付いたします。
 〔投票用紙配付〕
○議長(町田 亘君) 配付漏れはありませんか。──配付漏れなしと認めます。
 投票箱を改めます。
 〔投票箱点検〕
○議長(町田 亘君) 異状なしと認めます。
 念のため申し上げます。投票は単記無記名であります。投票用紙に被選挙人の住所及び氏名を記載の上、点呼に応じて順次投票を願います。
 点呼いたします。
 〔氏名点呼〕
 〔各員投票〕
○議長(町田 亘君) 投票漏れはありませんか。──投票漏れなしと認めます。
 投票を終了いたします。
 議場の閉鎖を解きます。
 〔議場開鎖〕
○議長(町田 亘君) お諮りいたします。立会人に、16番馬頭哲弥君、25番神出政巳君、31番木下秀男君、35番鶴田至弘君の四君を指名いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、立会人に以上の四君を指名いたします。
 これより開票を行います。
 立会人の立ち会いをお願いいたします。
 〔投票点検〕
○議長(町田 亘君) 選挙の結果を報告いたします。
 投票総数 四十七票
 うち有効投票 四十四票
 無効投票 三票
 有効投票中
 谷口庄一君 十四票
 中村利男君 十一票
 中村千晴君 十票
 北村亮三君 九票
 以上のとおりであります。
 この選挙の法定得票数は三票であります。よって、谷口庄一君、中村利男君、中村千晴君、北村亮三君、以上の四君が本県選挙管理委員に当選されました。
○議長(町田 亘君) 次に、補充員の選挙を行います。
 議場を閉鎖いたします。
 〔議場閉鎖〕
○議長(町田 亘君) ただいまの出席議員数は、四十七人であります。
 投票用紙を配付いたします。
 〔投票用紙配付〕
○議長(町田 亘君) 配付漏れはありませんか。──配付漏れなしと認めます。
 投票箱を改めます。
 〔投票箱点検〕
○議長(町田 亘君) 異状なしと認めます。
 念のため申し上げます。投票は単記無記名であります。投票用紙に被選挙人の住所及び氏名を記載の上、点呼に応じて順次投票を願います。
 点呼いたします。
 〔氏名点呼〕
 〔各員投票〕
○議長(町田 亘君) 投票漏れはありませんか。──投票漏れなしと認めます。
 投票を終了いたします。
 議場の閉鎖を解きます。
 〔議場開鎖〕
○議長(町田 亘君) お諮りいたします。立会人に、16番馬頭哲弥君、25番神出政巳君、31番木下秀男君、35番鶴田至弘君の四君を指名いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、立会人に以上の四君を指名いたします。
 これより開票を行います。
 立会人の立ち会いをお願いいたします。
 〔投票点検〕
○議長(町田 亘君) 選挙の結果を報告いたします。
 投票総数 四十七票
 うち有効投票 四十四票
 無効投票 三票
 有効投票中
 山本恒男君 十四票
 辻本圭三君 十一票
 宮崎恭子君 十票
 嶋 巌君 九票
 以上のとおりであります。
 この選挙の法定得票数は三票であります。よって、山本恒男君、辻本圭三君、宮崎恭子君、嶋巌君、以上の四君が本県選挙管理委員会の補充員に当選されました。
 ─────────────────────
 【日程第五 意見書・決議案】
○議長(町田 亘君) 次に、日程第五に入ります。
 まず、和議第二十四号「油回収船の配備に関する意見書案」を議題といたします。
 案文は、お手元に配付しております。
 お諮りいたします。本案については、提出者の説明等を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、直ちに採決いたします。
 本案を原案のとおり決することにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決されました。
○議長(町田 亘君) 次に、和議第二十五号「消費税の増税中止を求める意見書案」を議題といたします。
 案文は、お手元に配付しております。
 お諮りいたします。本案については、提出者の説明等を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、直ちに採決いたします。
 本案を原案のとおり決することに賛成の諸君は、ご起立願います。
 〔賛成者起立〕
○議長(町田 亘君) 起立少数であります。よって、本案は否決されました。
○議長(町田 亘君) 次に、和議第二十六号「医療費負担増の凍結と抜本的医療制度改革を求める意見書案」を議題といたします。
 案文は、お手元に配付しております。
 お諮りいたします。本案については、提出者の説明等を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、直ちに採決いたします。
 本案を原案のとおり決することに賛成の諸君は、ご起立願います。
 〔賛成者起立〕
○議長(町田 亘君) 起立少数であります。よって、本案は否決されました。
○議長(町田 亘君) 次に、和議第二十七号「北方領土問題の早期解決に関する意見書案」を議題といたします。
 案文は、お手元に配付しております。
 まず、提出者の趣旨説明を許可します。
 46番大江康弘君。
 〔大江康弘君、登壇〕(拍手)
○大江康弘君 お許しをいただきまして、和議第二十七号「北方領土問題の早期解決に関する意見書案」について提案説明をさせていただきたいと思います。
 私は、この提案につきましては、かつて十年間自由民主党におらせていただいた当時、青年部長当時二回、青年局長当時一回、全国代表者会議で過去三回、提案をさせていただいたわけであります。それだけに、私自身も国民としての責任のもとで、今回、悲願である意見書を出させていただいた次第でありますので、どうかご理解を賜りたいと思います。
 戦後五十余年、既に私どものような戦後世代が国民の六割を占める今日、我が国はさきの大戦において多くのとうとい命を犠牲とし、またそのご遺族や先人の皆さんのたゆまぬ努力によって、今、平和大国日本として歩んでおります。しかし、本当に名実ともに戦後であると言えるのであろうか。沖縄県の在日米軍駐留における諸問題、そしていま一つ忘れてならないのが、北方領土の返還という、まさに悲願の課題が私どもの前に横たわっておるのであります。
 本議会最終日の本日、この北方領土返還についての意見書案が今二つ提案されておりますけれども、私どもは、他の意見書案が悪いとか間違っているとかは思ってもおりませんし、むしろ目的は私どもと同じであることは大変喜ばしいことであります。しかし、どこが違っているのか──いやなぜ一つになってやれないのか、まことに残念なことですが仕方がないことでもありますので、この機会に私は県民の皆さんに、また私どものこの問題に対する強い決意表明を込めて提案理由をご説明申し上げたいと思います。
 なぜ、五十年になんなんとする長い年月であるにもかかわらず返還が実現し得ないのか。それは一体どこに問題があるのか。一番問題なのは、当事者国であるロシアであることは言うまでもない。一方的に友好条約を破り、侵攻し、そして不法占領──だれもが疑うことのない事実であります。しかし、私ども日本国民は、今日までの間、国内世論の統一や世界の国際世論の形成づくりということに対してもっといろんな手段や方法がなかったのか、我が国民の強い意思、また国家としての不屈の意思をどう国際世論やロシアに対して訴えていくかということもいま一度考え直さなければならない時期にあるのではないか。このことを思い続けてきた一人であります。
 本県も、議長が毎年二月に大会会長となって返還要求大会や街頭活動をされているやに伺いますけれども、私どもは、より具体的な世論形成、また意思表明として、我が国の立法府である国会の衆議院、参議院それぞれに北方四島返還後の選挙区配分議席として特別に今から一議席ずつ設けることが対ロシアや国際世論の理解形成に向けて非常にわかりやすい、我が国民、我が国家の強い、またかたい意思表明の一つの手段として、このことの早期実現に向けての意見書を提案させていただいた次第であります。
 ここに、県民の皆さんの力強いご理解をいただき、また議会の皆さんのご賛同を賜りまして、一日も早い返還を求めながら提案説明とさせていただきたいと思います。
 願わくは、自民党県議団の皆さんも、いましばらく時間がありますので、どうか私どもの考えにご同意をいただきまして、県民一丸となり、悲願である北方領土の返還に向けて同一行動をとっていただければ大変幸甚であります。
 以上をもって、提案説明とさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) 提出者の趣旨説明が終わりました。
○議長(町田 亘君) これより質疑に入ります。──質疑なしと認めます。
○議長(町田 亘君) 次に、お諮りいたします。本案については、委員会の付託を省略いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、本案は委員会の付託を省略することに決定いたしました。
○議長(町田 亘君) 次に、本案について討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、直ちに採決いたします。
 本案を原案のとおり決することに賛成の諸君は、ご起立願います。
 〔賛成者起立〕
○議長(町田 亘君) 起立少数であります。よって、本案は否決されました。
○議長(町田 亘君) 次に、和議第二十八号「北方領土の早期返還実現に関する意見書案」を議題といたします。
 案文は、お手元に配付しております。
 お諮りいたします。本案については、提出者の説明等を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、直ちに採決いたします。
 本案を原案のとおり決することに賛成の諸君は、ご起立願います。
 〔賛成者起立〕
○議長(町田 亘君) 起立全員であります。よって、本案は原案のとおり可決されました。
○議長(町田 亘君) 次に、和議第二十九号「第二十九回オリンピック競技大会の大阪招致に関する決議案」を議題といたします。
 案文は、お手元に配付しております。
 お諮りいたします。本案については、提出者の説明等を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、直ちに採決いたします。
 本案を原案のとおり決することにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決されました。
 ─────────────────────
○議長(町田 亘君) 以上で、今期定例会に付議された諸案件の審議はすべて終了いたしました。
 議員及び関係各位には、長期間にわたり連日ご精励をいただき、深く感謝を申し上げます。
 ご健康に十分ご留意の上、ますますご活躍されますよう祈念いたします。
○議長(町田 亘君) これをもって、平成九年二月定例会を閉会いたします。
 午後六時五十五分閉会

このページの先頭へ