平成9年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(冨安民浩議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番冨安民浩君。
 〔冨安民浩君、登壇〕(拍手)
○冨安民浩君 通告に従いまして、順次質問を始めたいと思います。 まず地方分権について、いささか現在の潮流について私の考え方なりを申し上げ、知事並びに担当部長の答弁を求めるものであります。
 明治以来百三十年間という長きにわたり、国づくりの過程で大きな成果を上げ、特に戦後の文字どおりのゼロとも言える廃墟から、中身はともかく、今日、世界に冠たる経済大国として我が国が復興し得たのは、中央集権システムの強いリーダーシップがなし得た功であることは異論のないところであります。しかしながら、ふと気がついてみると、さまざまなマイナス面が多く出てきた、行き詰まってどうにもならない。そんな結果、現象が生じてきた。権限が余りにも集中し過ぎ、また多様化する行政需要にこたえるために行政機構が余りにも肥大化したり複雑化してきた。また、スピードに対応し切れない。東京一極集中が示すとおり、均衡ある国土形成をうたいながらも、地域間格差が生じ、また大きくなり、過疎過密を引き起こし、国家財政は借金財政を余儀なくされる危機的様相を呈しているのが今日であります。豊かになったとはいえ、実感が伴わない。こうした行き詰まり状況から脱却しないと国がもたない。もう一度、日本国のそれぞれの地方が自力で力を持ち、国全体の底上げをして活力を持たせたい。言うならば、国家に何をしてくれるのかというのではなく、それぞれの地方は自立しなさい、また国家のために何をなし得るのか、そうした発想、目的で、私はここが一番肝心な点だと思いますが、中央集権というシステムの中で考えている人たちが今日的中央集権システムの限界を感じ、時あたかも行政改革論議の世論の高まりを受け、もともと自治関係団体が長い間要求し続けてきたことでもあり、新しい国づくりを方向づける地方分権というシステムとして、平成七年七月、地方分権推進法が五カ年の時限立法で施行され、にわかに現実化されようとしています。
 私は、今なぜ地方分権という流れが急速に現実化してきたか、その切り口について地方政治に携わる者が、お互いにそのバックグラウンドをきちっと把握せねばならないと思います。国家存立の基盤は防衛、外交であることは申し上げるまでもございませんが、もう一つの大きな基盤をなす国家財政、これが危機的状況で大きく揺らぎ始めて解決の手だてがない。その解決策として地方分権が現実化してきたと考えるものであります。
 戦後の対外依存による右肩上がり基調の我が国経済が、外圧によりその経済運用体質の変更を余儀なくされて中曽根内閣において大きな転換をし、それまで築いてきた民間の富の蓄積を活用する内需振興という経済運用体質にシフトいたしました。しかし、その目的とするところがかなわず、ご承知のとおり、結果としてバブルを引き起こし、その後遺症をいまだ引きずり、今日、政府関係の月例経済報告または予測は、月は変われど、発表時期が異なれど、中身は「緩やかな回復の兆しが見えるが、いまだ先行き不透明」、こうした報告になっています。景気が悪いと税収が伸びない、予算を組むのが大変だ、予算を組むために赤字国債の借金に頼る、それでも足りない、消費税率をアップする。まさに、場当たり一時しのぎ政策に終始しているのが現状でございます。
 この際、一つの大きな改革に乗じてこの基調を変えようという中で、地方分権が本格的に現実化されようとしていると思うものでありますが、知事のとらえ方はいかがですか。だとするならば、地方に対してもこの大きな変革の流れに乗せ、財政面のしわ寄せが来ると思いますが、西口知事の忌憚のない所見を求めるものであります。また、その所見に対し、知事は本県の県政推進最高責任者としてどう取り組まれるか、答弁をお願いいたします。
 地方分権推進により機関委任事務の廃止が打ち出され、地方みずからが地域における青写真を、みずからの手で、みずからの責任で描ける道が開けるわけですが、本県における人的配置、能力開発等についての対応状況を担当部長にお尋ねをいたします。
 また昨年暮れ、第一次勧告の席で地方分権推進委員会諸井委員長は「分権の対象は人口五万人以上の市、ここに人口の七〇%が住んでいるわけですから」と発言されていて五万人未満の市町村のことには触れられておりませんし、過疎地という言葉は一カ所しか見当たらない。税財政配分はこれからの論議とはいえ、高齢化、過疎化に病む過疎町村にとって心配、不安が多い勧告をどう受けとめるか。財政能力の充実強化のために「市町村の自主的合併を一層強力に推進する必要がある」とも述べられているが、所見は。
 また、地方分権推進と同時並行で実施される行政改革を検討する政府行政改革小委員会がまとめた基準には、次のように記されています。「地域間の格差を是正するための所得再配分を目的とする施策からは原則として撤退する」と言われております。財政力の弱い町村にとって、交付税や起債は予算編成の中で極めて重要な部分を担うだけに、交付税や起債にこの基準が適用されないか心配されますし、高齢化、過疎化の諸問題を抱える町村の多い本県としては状況が大変厳しいということを認識の上、もちろん地方分権推進委員会の勧告どおり実施されるわけではないですが、地方分権推進委員会の今後の勧告内容に十分注視し、その周知方に努めていただくようお願いいたします。
 次に、今、金融界に大きな改革が行われようとしております。まさに金融制度改革であります。その金融制度改革実施に伴う本県の金融機関への影響等について、商工労働部長にお尋ねをいたします。
 私は今、日本の経済社会は大変な変革の時代を迎えているのではないかと思っています。次なる二十一世紀も、我が国が世界の経済一流国であり得るかの浮沈をかけ、日本が対外貿易の中で勝ちゲームばかりで蓄えた資産──これが対外摩擦問題を引き起こしたわけでございますが、その資産を日本国内だけに置かずに世界の自由市場に出せという米側の強い要請もあり、金融市場を段階的かつ急ピッチで内外の垣根──業種間の垣根もそうでございますし、国外の金融機関が国内に入ってくる、そうした垣根を取り払う抜本的な改革すなわち金融制度改革が、外為法改正を皮切りに、いよいよ本格化し始めようとしております。
 かつて世界の市場とまで言われた東京市場も今や空洞化し、その空洞化に対する危機感も限界点を超え、水が高いところから低いところに流れるがごとく、マネーは最も効率的で使いやすいマーケットへと向かっていく。アメリカのニューヨーク、イギリスのロンドンに見られるように、各国とも大変な犠牲を出しながら金融機関の体力強化に努め、かつ自国マーケットを規制の少ない、ユーザーにとって魅力的なマーケットにすべく、さまざまな金融改革を行ってきています。その結果、日本の金融機関が提供する商品、サービスはもちろん、日本の金融・資本市場そのものの魅力が、各国に比べ相対的に見劣りしてしまったというのが現状であります。我が国の金融資産も、海外市場や外国金融機関を選択し始めており、東京市場は制度改革をしないとますます空洞化しかねないし、日本経済も成長期から成熟期を経て低成長時代を迎えた今日、金融システムに求められる機能の重点が変わってきている点が指摘できます。二十一世紀には世界一の高齢化社会に突入するだけに、一千二百兆円とも言われる我が国の個人金融資産──ちなみに米国は一千八百兆円と言われますし、日米合わせると世界の六割を占めるそうでありますが、その金融資産を有利に運用するという課題を果たし得る金融システムづくりが急務であり、そうした金融システムができ上がってこそ市場は国民経済的に期待される役割を全うできるわけです。
 これまで日本の金融システムは、産業に対してできるだけ低金利で、かつ安定的に資金を提供することが求められてきましたが、今後は国民の金融資産をいかに効率よく、安全かつ有利に運用するかという点も求められています。日本の金融・資本市場の国際競争力を回復させ、ニューヨークやロンドンと同じように魅力あるマーケットとして再生させてこれらの諸問題に対処していくためには、いわゆる護送船団方式と言われるような、予防的で市場参加者の創意工夫と自己責任の芽を摘んできたのではないかとの批判がされている法体系や、行政指導、商品開発、取引を促進するような枠組みになっていない会計、税制、各種規制を全面的に見直す必要があります。これが我が国の金融制度改革であり、期限も二〇〇一年四月と決められ、前倒し実施すら検討されています。
 日本の金融機関も、バブルの後遺症をいやす間もなく、まさにサバイバルが始まろうとしております。こうした制度改革実施を念頭に置き、国の景気対策のもとでの超低金利誘導の中でバブル後遺症いやしをほぼ終えようとしている強い都市銀行はともかくとして、バブル後遺症を引きずる体力の弱い我が国の大多数の金融機関にとって、バブル後遺症が例えば先制パンチとなるならば、制度改革の項目一つ一つが実施されるたびにそれがボディーブローの連発となり、持ちこたえられるのかどうか。とにもかくにも、次なる二十一世紀も我が日本が世界の経済一流国であり得るかどうかの浮沈をかけた金融制度改革が、今まさに外為法改正を手始めに動き出そうとしています。
 そこで商工労働部長に、以下の二点についてお伺いをいたします。
 県は、この大きな改革をどのように見ているか。また、外国資本が国内に進出してくると、本県の金融機関への影響は。また、金融機関が動揺を来すと県内取引中小企業も大変大きな影響を受けるわけですが、その対策はどうか。
 次に、昨年来の阪和銀行の破綻による県内影響の大なるにかんがみ、県は少なくとも、あらゆる方法を駆使してでも県内金融機関の状況を最低限把握し、国に求めるべきは求め、言うべきは言い、県としての対応も考えていくべきだと考えるがどうか。
 処理スキームも十分とは言えない中での金融大改革、木津信の預金者に対するペイオフで底をつき、阪和銀行のそれは日銀の特融に頼らざるを得ない預金保険機構のありさま──この金融大改革は、国内の金融機関の数を少なく見積もっても現在の二分の一にするとも言われておるわけでございます。監督指導官庁である大蔵省に、監督指導官庁の責任でもって第二の阪和銀行を出さないように対処すべくお願いをしたい。
 次に、有害鳥獣駆除についてお尋ねをいたします。
 戦後の経済至上主義進展の過程で、我が日本人が失いかけてきた心や地域連帯感が確かに残っている地域が山村地域であります。朝夕、登校・下校時の子供たちは、見知らぬ人々に対しても「おはようございます」「さようなら」のあいさつがあり、山村に伺い、そうした機会にめぐり会うたびに救われ、ほっとした気持ちを抱かされ、「頑張ってください」と心で励ましを送りたくなる、そんな気持ちにさせられます。
 山村は、森をはぐくみ、清浄なる大気、せせらぎから大河へと、命の泉を無限に生み続けているのであります。こうした自然の営みも、山村に住む人々によってもたらされているのであります。食糧難の時代には食料生産に励み、住宅の供給には、今日大幅に改善されたとはいえ、危険、汚い、きつい、いわゆる三Kと言われる木材生産に懸命に取り組んできたのも山村に住む人々であります。こうした大きな役割を果たしてき、今なお果たし続ける山村。
 林業産業不振の中で、そこに住む人々が、猿、シカ等有害鳥獣により生活権を侵害され、また美山村寒川地区では、クマの出没により生命権すら奪われかねない状況になっています。都会に住み、自然をこよなく愛する自然保護団体の皆々様、またこうした人たちの声援を受け頑張る環境庁自然保護局野生生物課の皆々様、山村で懸命に生きる人々の気持ちはわかりますか。絶滅の危機だとか、自然との共生とか、大変響きがいいですね。時たま動物園で、クマ、猿、シカを見、かわいいという思いで山村を見られては、いかに素朴、純真、従順とはいえ、山村の人々は耐え切れません。皆様は、山村に対し、山村が自然天然動物園であれとでも言うのですか。もとより山村の人々は、そうした鳥獣とも共生して生きてきたのであります。共生は拒みません。しかし、そうした鳥獣が保護の行き過ぎの余り、ふえ続けているのです。
 ここに、美山村のシイタケの生産状況を示し、その減少している原因が有害鳥獣の影響であるという資料が届いております。
 ちょっと数字を申し上げますと、シイタケは江戸時代の中期に駿河の国から伝えられたと記されております。その生産量を見てみますと、干しシイタケで平成元年度が二十八トン、平成五年度になると十七トン、平成八年度で十トンに落ち込んでおるわけでございます。生シイタケも、平成元年度で十五トン、平成五年度で六トン、平成八年度で四トン強。この数字が有害鳥獣の影響ばかりとは言えませんが、有害鳥獣の影響が多分にあるということを役場関係者は言っているわけでございます。
 そこで、生活文化部長にお尋ねをいたします。
 有害鳥獣駆除行政を、許可時期もあわせてもっとスムーズにできないものか。有害鳥獣の対象に雌ジカを加えられないか。また、平成九年度予算に知事のご配慮で計上していただいているクマの保護対策費四百四十万円の使い方の中身は。私は美山村の寒川地内で、知事の配慮でこの予算が計上されているということを申し上げたところ、冗談かどうかわかりませんが、多分、自然保護団体の実験体験ツアーにでも使ってくれるんでしょうと、こういうようなお話があるほどでございます。そうしたことに対する答弁をお願いいたします。
 なお、県のバックアップで日高川内水面漁業も大変充実発展をしてきていますが、最近、カワウの被害が随分ひどいようであります。組合関係者が大変苦慮しているということも申し添え、私の一回目の質問を終わります。
○議長(町田 亘君) ただいまの冨安民浩君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 冨安議員にお答えをいたします。
 地方分権についてのご質問でありますけれども、私はかねてから、県政究極の目標は、県民の皆さんが和歌山に住んでよかったと言えるふるさとを築いていくことだと申し上げておるわけであります。そのためには、みずからの創意と責任のもとに施策を展開できる体制づくりが必要であります。現今の国と地方の関係を見直しまして、地方の主体性を確立するという意味で、国から地方への権限移譲を行うなどの地方分権を推進することが必要であろうと考えております。
 こういった意味で、地方分権推進委員会が昨年十二月二十日の第一次勧告において、中央集権体制の象徴である機関委任事務制度の廃止を勧告されたことは、国と地方公共団体について、地方自治の本旨を基本とする対等・協力の関係の構築を目指したものとして一応評価すべきものと考えております。しかしながら、地方分権を真に実効のあるものとするためには、権限のみにとどまらず、財源の移譲が不可欠なことでございます。
 従来、国に対して事務量に見合う財源の確保を全国知事会等を通じて申し入れておるところでございます。昨年の十二月四日には、私自身も本県独自の取り組みとして地方分権推進委員会に対する要望を行ったところでございます。本年六月には、地方税財源に関する地方分権推進委員会の勧告が予定されておりますので、今後さらに強力にあらゆる機会を通じて働きかけを行っていきたいと思っております。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 地方分権についての三点にお答えします。
 まず、人的配置、能力開発等の対応についてでございます。
 機関委任事務制度廃止に伴う対応については、事務そのものは従来、県において処理してきたところでございますので、制度廃止により事務の執行上支障が生ずることはないものと考えてございます。むしろ、必要以上の国の関与がなくなることにより、事務処理が迅速化、あるいは県民サービスの向上につながるものと考えてございます。もっとも、機関委任事務制度の廃止は県の自己決定権の拡充と自己責任の拡大を伴いますので、県職員一人一人がこのことを明確に自覚することが肝要であると考えてございます。県としても、この新たな役割を担うにふさわしい行政体制を整備することが重要でございます。このため、ただいま取り組んでおります行政改革の主要テーマの一つとして、行政課題にみずからの責任において主体的に取り組んでいける組織づくりや、時代の変化に対応できる創造的能力と政策形成能力を有する意欲ある職員を養成するため、能力開発あるいは国、市町村、民間への人事交流等を積極的に行っているところでございます。
 次に、第一次勧告をどう受けとめるかということでございます。
 地方分権推進委員会は、地方税財源の充実確保については、地方分権を推進するための重要課題であると位置づけてございます。分権的社会は、市町村にとって新たな責任と財政負担を伴うものでありますが、地方六団体で協力してその推進に取り組んできたところでございます。今後も、税財源の充実確保等の地方分権の推進のため、地方にとって最も重要な事柄について知事会等を通じて要望してまいりたいと考えてございます。
 また小規模町村については、さらに効率的な行政運営を実施するため、市町村の区域を超えた広域行政の推進ということがますます重要になってくると考えてございます。第一次勧告においても、地域における行政を広域的な視点のもとに行うことの重要性を指摘してございます。その中の課題として、中心都市との連携あるいは都道府県による補完、支援等が課題として指摘もされてございます。県としては、地域の状況を勘案しながら、効果的な広域行政が展開できるよう、ブロックごとの検討会の開催など周知し、適切な指導に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、市町村の合併についてでございます。
 地方分権を推進するためには、行政施策を効率的に実施するための行政体制の整備が重要でございまして、市町村合併も広域行政と同様にその一方法であると考えてございます。
 市町村合併については、実質的な合併を推進するために、市町村の合併の特例に関する法律が改正されまして、平成七年四月一日から施行されたところでございます。合併という問題については、この前もお答えしたように、各地域の地理的、歴史的条件を踏まえて、住民の方々が判断されることが大切でございまして、住民発議など住民による自主的な合併が基本となってございます。今後とも、地方制度調査会の動向もございまして、時代の流れを的確に把握して適切な指導をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 金融制度改革二点のご質問にお答えいたします。
 まず、今回の金融制度改革の実施に伴い、本県金融機関への影響についてということであります。
 我が国の金融制度改革については、日本の金融市場を国際競争に十分対応できる自由で強固なものに変革することを目的として、現在、国において検討されてございます。昨年十二月二十六日、大蔵大臣の諮問機関である金融制度調査会から中間報告として論点整理が発表されましたが、同調査会において現在なお詳細について検討中であり、本年六月に最終報告がなされ、その内容が公表される予定と聞いております。このことは、金融の国際的な自由化、自己責任原則の徹底等、金融機関を取り巻く大きな変化の流れの中で避けて通れない課題であろうと思われますが、議員ご指摘のように、金融制度改革が実施されると、外国資本の進出に伴う競争激化や金融機関相互の再編等も考えられることから、本県の金融機関も少なからず影響を受けることが予想されます。また、このことによる中小企業への影響も十分予測できるところでございまして、全国的な問題として、その影響を最小限にとどめるための各般の方策を、国においてあらかじめ講じるよう強く要望してまいりたいと思います。
 次に、県内金融機関の状況をどのように把握しているかという点であります。
 金融システムや信用秩序の維持に関しては、国が一元的に行うべきであると考えておりますが、ご承知のとおり、普通銀行や信用金庫は国が、信用組合については国からの機関委任事務として知事が指導監督を行っております。現状では、国管轄の金融機関の財務内容等、種々の情報を把握することはなかなか困難な状況にございますが、県内の預金者及び中小企業を保護する観点から、国に求めるべきものは求め、関係機関との連携をより一層強めてまいる所存でございます。
○議長(町田 亘君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 冨安議員にお答えをいたします。
 有害鳥獣駆除についてのご質問でございます。
 有害鳥獣駆除に係る取り組みについては、シカを初めとする野生鳥獣が農林水産業等へ被害を与える場合に、その対策としての有害駆除は野生鳥獣の保護との関係で大変難しい問題と認識してございます。基本的には、野生鳥獣が農作物等に頼らなくても生息が維持できる環境を確保していくことが必要であると考えてございますが、現に生じている被害については、防除措置を講じてもなお被害が減少しない場合、有害鳥獣として駆除することも対策の一つであると考えてございます。
 平成七年度では、雄ジカ、猿、イノシシ、ドバト等について五百五十四件の有害鳥獣駆除許可を行ってございますが、今後とも鳥獣による加害時期、農作物等の被害の実態に応じ、効果的に駆除できるよう対処してまいる所存でございます。
 なお雌ジカについてでございますが、平成六年度からシカの生息調査を行っており、被害の実態及び調査結果等を踏まえ、平成九年度以降、雌ジカの有害鳥獣としての駆除について検討してまいります。
 続きましてツキノワグマについての問題でございますが、ご指摘のとおり、昨年、美山村を初め県内各地に出没し、その対応に苦慮したところでございます。
 紀伊半島のツキノワグマは、環境庁のレッドデータブックにおいてその保護が求められてございます。県としては、クマの管理指針を作成して適正な管理を図っていく必要があり、平成九年度予算案においてこの指針作成のための予算をお願いしているところでございます。人身被害、農林被害の予防対策、生息環境の保全、整備方策等について、生息地周辺の地元のご意見を十分聞きながら検討してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 42番冨安民浩君。
○冨安民浩君 ご答弁ありがとうございました。
 有害鳥獣駆除問題について、生活文化部長にもっと踏み込んだ答弁をお願いしたかったわけでございますが、今の状況の中ではいささかやむを得ないかな、そんな感じをしております。
 ただしかし、山村に住む人々が、有害鳥獣によってまさに生活権を脅かされ、生命権さえ脅かされかねない状況にあるわけでございますから、その人々の声を十分聞いて行政に反映していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 それから西口知事にお願いをしておきたいわけでございますが、知事は日ごろ「変革の時代」とよく口にされますし、まさに変革の時代だと思います。今、新しい時代に備えて、新しい制度やスキームづくりの過程だと思います。その過程における決断なり判断なりというのは、これからの新しい和歌山県づくりの中において大きな重みを持つわけでございます。
 先般、先輩議員の質問の中で、超過密とも言えるスケジュールに対応しておる──これは政治家の宿命かもわかりませんが、大事な問題に処しては、時には頭を空っぽにしてその問題に処す、そうしたことを良識ある多くの県民は望んでおると思いますので、そのことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で冨安民浩君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(町田 亘君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時二十八分休憩
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