平成9年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(向井嘉久藏議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時三分開議
○議長(町田 亘君) これより本日の会議を開きます。
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 【日程第一 議案第一号から議案第八十七号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(町田 亘君) 日程第一、議案第一号から議案第八十七号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 11番向井嘉久藏君。
 〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 おはようございます。議長のお許しをいただきまして、通告に従って一般質問をさせていただきます。
 私の本日の一般質問は、産業廃棄物についてでございます。
 産業廃棄物──今この悪魔に日本じゅうが、行政も国民も振り回されております。行政のちょっとしたすき間に入り込み、関係地区住民の身も心もむしばみ、多くの時間と労力、また資金を食う悪魔は、行政の初期段階での対応のまずさと地区住民のそれに対する取り組みのおくれが致命傷となるのであります。これだけ地区住民が苦しんでいる事件にもかかわらず、いまだに土地を売る人、その仲介をする人等、産廃ブローカーと言われる人たちの暗躍が後を絶たないのであります。人の心の中がわからない、これが私の偽らざる心情でございます。住民のうめき声が聞こえても退治することが難しい、それが産廃という悪魔であります。
 私の産廃に関しての一般質問は三度目であります。第一回目は平成六年十月六日、橋本市中道地区で無許可による産廃処分に係る事件でありましたが、警察当局のご協力をいただいて責任者が検挙されております。第二回目が平成八年七月四日、現在問題となっております橋本市菖蒲谷地区のN工業所産廃処分場であります。今回も、この処分場について質問をいたします。また、幾つかの提言もいたしたいと存じます。
 事件が起き始めてから一年余り、その間に地元住民からの苦情、要望、質問等が多く出されておりますが、回答と実態とのギャップが大き過ぎるのであります。
 そこで、N工業所許可処分の是非について検証いたしたいと思うのであります。心情に訴え、情にすがって訴えるのも一つでございますが、産業廃棄物というのは法律に基づいて許可されております。許可する方も、法律が大きな盾であります。そういう、法律に基づいて許可されたものに心情で訴えたりするやり方をやってもなかなか解決しない。そういう意味で、廃掃法に基づく違反があるんじゃないか、また建築基準法に基づく違反があるんじゃないかということで、法律に基づいて私なりの検証をし、当局のご回答をお願いするわけでございます。
 その前に今までの経過をもう一度振り返ってみますと、株式会社N工業所は、二年くらい前から橋本市野地区で建設廃材等で、また一部自己処分名目で無許可埋立処分をする一方、同所において産業廃棄物の廃プラスチック、紙くず、廃油等の野焼きをしておりました。その後、持ち込み焼却炉で焼却処分をしております。その結果、悪臭、黒煙、目、のどを刺激する異臭、火災の発生、ハエの大量発生、カラスの被害等々が相次ぎ、苦情が多く出されております。
 橋本市消防署取りまとめの火災・消防事故報告書では、火災一件、消防事故出動八件であります。また、同署が実施していた長期現地調査でも、深夜の作業並びに焼却、焼却炉以外での不審火、黒煙等々が確認されております。
 昨年十月十七日には、とうとう近隣の主婦が健康被害で入院されました。病名は、薬物中毒であります。この主婦宅では、子供さんも通院しております。また、自宅での生活を放棄して、現在は市営住宅への入居を余儀なくされております。現在の通院者は二十二名と聞いておりますが、いずれの人も薬物中毒の治療を受けております。動物にも被害が出ております。わけても臭覚がよい犬が被害をこうむり、顕著にその症状があらわれております。食べた物を戻す。また、薬物中毒が死因と思われる犬が二匹死亡しております。
 私の前回の一般質問では、なぜこのような許可を与えたのかとただしたのに対し、「既に設置されていた焼却炉からの悪臭等による苦情があり、早急に公害防止装置である二次燃焼装置と排ガス処理設備を設置させなければならないため許可を取得させたものでございます」、こういう回答をしていただいております。
 県はたび重なる違反に、最後通告とも思える廃掃法第十九条の三の規定による措置を平成八年九月十日付で命じております。その内容は、一、直ちに産業廃棄物の搬入を中止すること、二、直ちに夜間における産業廃棄物の焼却を中止すること、三、燃え殻について、別に指示する日までに適正な保管場所を設け保管するとともに、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の規定に基づき処理すること、四、県の指導のもとに、煙道排ガス中の大気検査及び施設からの排水の水質検査を実施し報告すること、このように命令しております。措置理由としては、産業廃棄物処理基準及び産業廃棄物保管基準に適合していない処分が行われているためとしております。また、別に地元産廃反対地区役員に出されている文書には、文書で強く指導する、それでも改善されなければ改善命令、許可の取り消し等の行政処分をする、このように回答しております。その後も、再三の指導にもかかわらず業者は改善せず、住民からの苦情が多発しております。大阪大学の森住先生の言葉をかりれば、このような許可前も許可後も違反を繰り返す業者は三十年ほど前には多くいたが今では非常に珍しいということであります。
 県は平成七年六月五日に宅造法に基づく開発許可を出し、六百八十四戸・二千五百人が住む宅地造成が始まっております。この地から三百メートルしか離れていない近隣地に、平成八年四月三日付で産廃処分業許可を与えました。宅造の完成が近づいた平成九年二月七日、宅造会社は良好な住環境の保障ができないとして、宅地・住宅販売の一時中止を決めました。このことは、宅造会社の損害だけではなく、橋本市が昨年十二月に長期計画の見直しを行いましたが、支障を来すのは明白であります。また、ほかにも近隣地で五百戸の宅造が進行中でありまして、将来この地は市街地として発展するところで、その真ん中に処分場が位置することになります。
 以上が、今までの経過であります。
 以下、順次質問をしてまいります。
 一、許可を与えたこの処分場の立地場所が、果たして産業廃棄物処分場として適地なのか、また廃掃法に基づき申請者が技術的に具備していればどのような場所でも許可を与えるのか。
 二、廃掃法では、第十五条第一項の施設の許可に際しては、同第二項一号で施設技術基準等を定め、これに適合することを求めております。具体的基準としては、施行規則第十二条及び第十二条の二項に規定しております。一、焼却施設から排出される煙から有毒ガスを除去するスクラバーは設置時から故障しており、県はこれを指導しております。二、現在もそうでありますが、廃棄物の山は野ざらしでハエの大量発生──これは新聞で既に報道されたとおりでございます。焼却施設を初め、保管施設や排水施設は不法な状態であります。県・市の担当者も認めておりますように、許可当時から明らかに法の定める技術基準に達しない業者であり、違法であると思うのであります。このことについて回答をいただきたいと存じます。
 三、廃掃法第十四条第一項及び第四項の処分業の許可に当たっては、第十四条第三項第二号及び第六項第二号で申請者の資質等に問題はないのか審査を求めております。その不適格要件といたしまして、業務に関し不正または不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者を挙げております。この業者は、「おそれ」ではなく業務に関し不正または不誠実な行為を行っている者であり、不適格者そのものであると思うのでありますが、このことについてご回答をお願いします。
 四、廃掃法第十五条第一項で許可を要する産廃最終処分場は、令第七条第十四号に規定して三つに分けておりますが、当該事件については処分場三千平方メートル以下の処分地として許可されております。しかし現場は、一見して二倍以上あるように思います。
 そこで質問いたしますが、手続上は三千平方メートル以下として取り扱われているが計測の必要があるのではないか、また申請者が記載した数値をもってよしとするのか。三千平方メートル以下であると申請すれば、どう見てもそれ以上あると思われる処分地であっても三千平方メートル以下であると認めていくのか。
 二つとして、焼却炉の燃え殻は管理型最終処分場での埋設を法で定められており、当該事件地で埋設をしているのは法に違反していると思うが、いかがでありますか。回答をお願いします。
 五、産業廃棄物を業とするため申請する者は、建築基準法に定める第五十一条等で規定している申請をし、許可を受けなければならないが、私の調査ではこの業者は申請をしておりません。
 そこで、質問いたします。
 建築基準法では廃掃法第十五条第一項の許可を要する産廃処理施設について、最終処分場は除きますが、第五十一条で「卸売市場、火葬場又はと畜場、汚物処理場、ごみ焼却場その他の処理施設の用途に供する建築物は、都市計画においてその敷地の位置が決定しているものでなければ、新築し、又は増築してはならない。ただし、特定行政庁が──この場合は県に当たりますが──都市計画地方審議会の議を経てその敷地の位置が都市計画上支障がないと認めて許可した場合又は政令──百三十条の二──で定める規模の範囲内において新築し、若しくは増築する場合においては、この限りでない」と定めております。
 卸売市場等、いずれも都市の中に必要なものでありますが、同時に周辺環境への影響が大きいので、都市内のどこに配置するかを十分に検討しなければなりません。そこで建築基準法は、原則として都市計画で位置を決定していない場所に建築してはならないと規定しております。そして、この規定だけでは建築物に適用されるだけとなり、建築物の建築が伴わない施設だけの場合には適用されないことになっておりますので、法は、施設だけの築造であっても法第五十一条の規定を準用し、原則として都市計画で位置の決定していない場所には築造してはならないと規定しているのであります。なお、その他の処理施設は、昭和四十七年十二月八日付、建設省住街発第九十号通達で廃掃法第十五条第一項の許可を要する産廃処理施設、すなわち廃掃法施行令第七条の施設を指定しております。
 そこで、当該施設でございます。これは橋本市都市計画用途地図より調べましたが、当該事件地は橋本市都市計画区域内に位置しております。用途地域は、指定なしで建ぺい率七〇%、容積率四〇〇%となっております。また都市施設は、位置の指定がございません。
 以上により、建築基準法第五十一条のただし書き許可を受けていない限り、当該事件地での建築または築造は違法と考えます。廃掃法に基づく三つの許可は、行政庁自体が許可以前からの実態違反、手続違反であると思います。仮に廃掃法に基づく三つの許可申請が提出された場合でも、法的にも不許可処分にするのが当然であります。ましてや建築基準法第五十一条で、周辺環境への影響大で、都市内どこに配置するかを十分に検討しなければならない施設を、廃掃法に違法状態のまま、法に定められた手続を省略して──事前手続でございますが──許可をしたことはまことに残念であります。この許可は無効であると言わざるを得ないのであります。これについて回答をお願いいたします。
 また、土木部長にお尋ねいたしますが、建築基準法第五十一条に対する考え方と都市計画地方審議会の重みについてお伺いいたします。
 当該工業所から申請は出されているのか、もう一度確認をいたしたいと思います。
 以上、法に基づき当該事件処分場について検証をいたしましたが、すべての面で違法であり、即時操業中止、許可の取り消しを決断されるように望むものであります。
 ここで、提案を申し上げたいと思います。
 一として、現在、産廃の処分を業として行いたいとする者は、廃掃法に基づいて所定の書類を備えて手続を済ます、それが技術的に具備しておれば県はこれを許可する、こういうことになっております。しかし、その許可をする場合、だれがそれを審査し許可しているのかということであります。私も三回目の質問になりまして、その辺のところも勉強もさせていただき、お聞きもしましたが、担当の方三人ほどで決めて、書類上問題ないなということで許可をしているようであります。
 そこで、一つ提案をしたいのでありますが、今まで県は、難しい問題を伴うようなものは、学識経験者等で構成する委員会等を組織し、ほとんどそこに付託しており、知事への回答を待ってそれを参考にしながら許可を与えております。産業廃棄物の処分を業とする申請の許可を検討するときは、学識経験者等で構成する委員会を組織し、これに付議し、知事はそれを参考にして許可すべきだと思いますが、こういう組織をつくる用意があるのかということを、まず一点お伺いをいたしたいと思います。
 二番目として、産業廃棄物は本当に難しい問題でございます。私たちが出す一般廃棄物も、自治体において私たちが出した税金によって処理されておるわけでございます。産業廃棄物というのは、物を売るためにメーカーがつくった、そこで出てきた廃棄物であります。私たち一般家庭から出されたものが業者の手に渡れば、これもまた産業廃棄物です。
 例えば、車をメーカーがつくって、何かの理由で市場に出せない、それを処分するときは産業廃棄物です。私たちがメーカーからその車を買って自分が処分するときは一般廃棄物、車の買いかえ等で車を下取りしていただいて、その車が処理される場合は産業廃棄物、こういうことだそうでございます。したがって、ほとんどのものが産業廃棄物になり得るわけでございます。
 この処分場がなければ、これまた大変であります。しかし、一般の処分を業とする方に任しておけば──特に、この橋本市の菖蒲谷地区周辺人口を合わせると何千人という数字になりますし、また一千二百戸の新しく住民となる方々を迎えるわけでございます。こういう何千人という多くの方々の迷惑の上に立って商売をする、これは許されないことだと思うのであります。そこで私は、産業廃棄物処分場を県、市等自治体で設置していただきたい、このように思うわけでございます。
 実は、五年以内に橋本市の中心市街地の再開発が始まります。そうすると、ほとんどの家は解体をします。そうすると、相当量の廃材が出てまいります。この処分にも困るわけです。今のままでは、この事業すら思うようにいかないということでございます。そこで二番目として、自治体等での処分場の設置を検討していただきたいなと提案をするわけでございます。
 これで私の第一回目の一般質問を終わらせていただきますが、現在の廃掃法では、手続がすべて法律に基づいて完備しておれば行政はどうしてもそれを拒否することができない形に定められております。しかし、今国会に地元の意見も聞くことを条件とした新しい廃掃法が出るわけでございます。これに期待をしておりますが、現在既に操業している産廃場はこの対象にはならないということでありますので、私は幾つかの問題点を法に基づき検証させていただきました。地区住民の皆様方が、夏でも窓を閉め切り、マスクをして暮らさなければならないような生活から一日も早く解放されるように県のご努力をお願いするわけでございます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 向井議員にお答えをいたします。
 橋本市の産業廃棄物問題につきましては、大変ご心配をおかけしてございます。私も、現地の住民の皆さんからいろいろお話を聞くにつけ、大変心を痛めているところでございます。現在、一日も早い野積み状態の解消に向け、地元橋本市と協調を図りながら職員を督励し、鋭意取り組んでおるところでございまして、今後の対応策についても協議を重ねているところでございます。
 県といたしましては、今後の産業廃棄物問題の取り組みについて、公共関与のあり方、環境行政組織のあり方など種々検討を進めておるところでございます。議員からご提言のございました学識経験者などを含めた許可審議会の設置などについては、目下、法改正の動きもございますので、これらも見ながら貴重なご意見として受けとめさせていただきたいと思っております。
 また、県、市等自治体による処分場の設置についてであります。
 かつて環境保全公社において調査検討を行ってきたことがございますけれども、最終的には適地がなかなか難しいということもございまして大変困難なこともあるわけでありますが、今後、県、市等の自治体処分場の設置についても、市町村などの協力を得ながら検討をさせていただきたいと思っております。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 向井議員にお答えをいたします。
 産業廃棄物につきましての五点についてお答えをいたします。
 産業廃棄物処理施設は、現行法では定められた技術上の基準に適合しているかどうかを審査し許可することになっており、周辺の土地利用との関係は審査対象とされてはございません。しかしながら、今国会に提出される予定の廃棄物処理法案には施設の設置手続として、生活環境調査の実施、関係住民や関係市町村の意見を聴取する手続等が盛り込まれると聞いてございますので、今後は設置場所の適地性についても判断することになるものと考えております。
 二番目は、廃掃法第十五条第一項、同条第二項第一号の産業廃棄物処理施設の許可における技術上の基準についてでございます。
 許可以前は法定規模に達しない焼却施設で自家処理をしていたものであり、公害苦情が多発している状態であったため、法律に基づき厳しく指導する方が適当であると考え、排出ガス処理装置を設置させた上、許可を与えたものでございます。
 産業廃棄物処理施設を平成八年三月七日に許可し、三月二十五日に使用前検査を実施いたしましたが、その時点では違法状態ではございませんでした。しかし、その後、排ガス処理設備が故障し、また梅雨時を経過して廃棄物の保管場所からハエが発生するなど処理基準に不適合な状態に至りましたので、法に基づき厳しく指導するとともに改善を命じ、所要の対策をさせているところでございます。
 三番目は、廃掃法第十四条第三項第二号及び第六項第二号での申請者の資質等についてでございます。
 産業廃棄物処理業の許可申請者が、一定の不適格条項に該当する場合、許可をしてはならないこととされてございます。この不適格条項のうち、議員ご指摘のいわゆる「おそれ条項」につきましては、平成五年の厚生省からの通知によって極めて限定的にしか適用できないこととされてございます。通知では、過去において繰り返し許可の取り消し処分を受けており、許可を与えても再度取り消し処分を受けることが予想される場合などが例示されておりますが、当該事業者はこの規定に該当しないものと認識をいたしております。
 四番目は、廃掃法第七条第十四号イ、ロ、ハに係る三千平方メートル以下の許可と実態把握と埋め立てについてのご質問でございます。
 当該事業者は、焼却処理を行う中間処分業者として許可したものであり、現在、家屋等の解体廃棄物をふるい分け、プラスチックや木くず、紙くず等の可燃物を焼却し、その燃え殻を県外の民間処分場に搬出するとともに、可燃物を取り除いた土砂を当該敷地内に埋め立てているものでございます。当該事業場は廃棄物最終処分場として許可を与えているものではなく、したがって面積要件はございません。
 五番目の、建築基準法第五十一条との関連についてでございます。
 一番目のご質問にお答えいたしましたとおり、廃棄物処理法では一定の技術基準を満たすことを許可条件とされてございます。
 また、二番目のご質問にお答えいたしましたとおり、本件については、黒煙や悪臭等の公害により問題となっていた焼却炉を廃棄物処理法に基づき対策させるために許可したものであることをご理解いただきたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 向井議員にお答えいたします。
 まず、ご質問の建築基準法第五十一条に対する考え方でございますが、同条に列記されているもろもろの施設は、いずれもなくてはならない供給処理施設であると同時に、周辺の環境に大きな影響を及ぼすおそれのあるものでございます。したがいまして、都市における供給処理計画の面からも、また周辺地域の環境維持の面からも、都市内におけるこれらの施設の配置については都市計画において十分検討されたものでなくてはならないものと考えております。
 また、都市計画地方審議会の重みについては、建築基準法第五十一条に定められた特殊建築物に該当する施設となれば、当然、都市計画地方審議会の議を経た後でなければ建築することができないこととなっております。
 議員ご指摘の件については、法第五十一条に基づく許可申請は出されておりませんが、同条に抵触する場合は関係部局と協議しながら指導してまいりたいと考えております。
 以上ございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 11番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 答弁ありがとうございました。
 産業廃棄物というのは難しい問題でございますのでご答弁もしにくかろうと思いますが、私は次の何点かを要望しておきたいと思います。
 一つは、現在問題になっているN工業所は大阪府堺市平井に本社がございます。泉北ニュータウンの近くでございますが、この泉北の道路沿線にあると聞いております。そこの本社の中に、仮置き場というんですか、産廃物が山となっておりまして、現在満杯状態になっております。地元から相当な突き上げがあるようでございます。そういうふうなことで、この工業所の処理場は橋本市菖蒲谷にあるわけですから、そこで処分するから、もうちょっと待ってくれと、恐らく地元にそういう言質を与えておるのではないか、こういうことを間接的に聞きました。そうすると、約束している、これ以上搬入するなということがほごにされるおそれがある。したがって、我々地元民、県、保健所はこの監視を怠ってはならない、このように思っております。
 もう一つは、県の担当は法をよりどころとして許可を与えております。一つでもその法に背いて許可をおろしてはならんと思いますし、当然のことでありますが、業者にもその行政指導をしておると思っておりました。残念ながら、法をよりどころとして仕事をしている部門で、一部法を省略してしまった部分があるわけです。それが、建築基準法第五十一条に定める申請であります。この五十一条の中でも、例えばプラスチックは一日に〇・一トン、すなわち百キロ未満の処理であれば届け出は要りませんよと規定はしております。しかし、申請をされて初めてわかることでありまして、現在は申請をされておりません。こういう、法に基づいて許可を与えるところが、その一部といえどもそれを省略してはならないと思います。これについては今後とも、こういう仕事をされるところは、やっぱり決められたものは守っていく必要があるのではないかと思います。
 次に、地元民への人格権、また健康で暮らす権利、これらを侵しておると思います。憲法で保障されているところの、日本人としての大切な基本的な部分が侵されておる。それでも、廃掃法に基づく手続がされればどこでも、場所を見なくても許可をおろしていいんだという感覚が私にはわからないのであります。
 もう一つは、地元でも最終的には裁判で事の決着をつける用意もあるという選択肢を考えております。でき得るならば、こういう事態を避けていただきたい。避けるように県はすべきである。なぜならば、法律に基づいて裁判所の判断でやるという場合は、地区住民ひいては県民何千人が県への信頼をなくしたから、そういう意味で裁判をするわけです。しかし、まだ住民は県への信頼を失っておりません。どうかこのことに県はこたえていただきたい、これをお願いいたしまして、一般質問を終わります。
 要望といたします。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。

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