平成9年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(佐田頴一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 12番佐田頴一君。
 〔佐田頴一君、登壇〕(拍手)
○佐田頴一君 ただいま議長より質問のお許しをいただきましたので質問をさせていただきますが、一般質問も半ばになりますと既に他の先生が質問され回答された点も多々あると思います。お許しをいただき、私からも質問をさせていただきます。
 まず、行財政改革についての行政改革から質問をしてまいります。
 最近の和歌山市の郵送によるアンケート調査によると、現在取り組んでいる第二次行政改革への関心度は、関心のある人が八割を超えており、関心がないのはわずかに一四・六%と発表されております。和歌山市の場合は大変関心度が高いようでありますが、他の市町村の場合、行政改革の内容についての説明はまだまだ全体に行き届いておらず、不十分であると思います。
 現在の行政機関は、国も地方団体も余りにも肥大化し過ぎて能率が悪く、住民自身や民間の仕事でできることまで行政の中に取り入れて行政需要を拡大してきたのであります。さらに、これからは急激な少子化や高齢化が進んで生産人口が減少し、経済活力を失わせ、税収はだんだん減少するのに、逆に行政に対する需要はますます増大させていく傾向にあるのであります。今、ここで行政需要の増加をストップさせ、今までの行政機構の中にメスを入れ、国も地方も行政の守備範囲を見直し、仕組みと仕事のやり方をできるだけ効率的で合理的なものにしっかりとつくりかえておかなければならなくなっております。
 これからの地方分権の時代にあっては、簡素で効率的な行政システムをつくり、既存組織を見直して行政改革に取り組む具体的な内容を早く県民に示し、二十一世紀の県政のあるべき姿を描き上げて説明する義務が当然あると考えます。また、行政改革後、地方分権後の和歌山県庁像の姿を県民の前に早く示してくれることを期待して待っている人も数多くあるのであります。
 知事は、ことしの仕事始め式で、行政改革が叫ばれる中、ことしは外郭団体や第一線の機関の見直しについて一定の方向を出し、さらに県の情報を公開して県民に理解してもらうよう努力していく、今は不透明な時代だが勇気と根性を持って仕事に臨もうと述べられているが、国の行政改革と再編の動きを踏まえて、県の果たすべき役割も大変重要となってきたのであります。県民から預かった税金をむだなく使うための行革は地方自治体の原点であることを踏まえ、行政の効率化、スリム化を行い、それにふさわしい行政の再編を行うための改革統合や民営化についてもしっかりと論議をしていただきたいのであります。
 国は行政改革会議で、一年以内に改革への成案をつくると述べているが、県も今の時点で、行政改革への基本的、具体的な案とその進め方について、その成案をいつごろまでにつくり上げるのか、また現在の行政改革大綱だけでよいのかどうか、まず知事のご所見を承りたいと思います。
 次に、総務部長にお伺いします。
 県は、行政改革大綱に基づきおおむね三カ年をかけて行財政運営全般にわたり総点検をすると述べ、第一年度は、地方分権時代を迎えて本庁組織の大規模な改編、事務事業の見直しを実施、福祉・保健・医療施策の一元化を図って福祉保健部を設置されたが、平成九年度は、地方機関等の見直しを行うとともに事務処理の迅速化や行政サービスの向上を図るため地方機関への権限移譲を行っていくことになっています。改革とはその程度であるのかどうかであります。行政の簡素化、効率化のためには組織数を約一割程度減らす目標を立てるなど具体的にしなければただの名称を変えるだけとなり、行政改革推進への芽生えも出てこないと思います。
 第三年度は、私は組織数を削減する必要があると思いますが、行政簡素化、効率化のための組織削減計画の予定など、出先機関、外部団体も含めて教えてほしいと思います。また、現在の各補助金の大幅な削減などを今後求めていく考えがあるかどうか。補助金配分のあり方の見直しや、市町村、県民へさまざまな部門で負担率アップを強いることにならないか。この先があるとすれば今から市町村、団体もその準備が必要であろうと考えますので、どのような削減計画をしていくのかもお伺いしておきます。
 続いて、財政改革についてであります。
 国は本年四月から次々と新たな負担を国民に与え、消費税五%への引き上げで五兆円、所得税・住民税の特別減税打ち切りで二兆円、健康保険負担の引き上げで二兆円と、税金と社会保障を合わせた国民負担額の増加は実に九兆円に達することになっているが、これは、年収七百万円の標準的なサラリーマン世帯で、約十四万円が新たな負担増加となって我々を直撃することになります。
 国は「財政構造改革元年」と言いながらも財政の悪化に歯どめがきかずに国民への増税となったが、もう一度改めて国の歳出を徹底的に検証する必要があると言われています。国の平成八年度末の国債残高は二百四十兆円、地方債が百二十二兆円、旧国鉄など棚上げ赤字などが約八十兆円、合計すれば四百四十二兆円、国民一人当たり四百万円以上に迫る巨額の借金となって、国も地方自治体もその元利償還に追われ、にっちもさっちもいかない完全な破産状態になりかけているためであります。こんなとき、我々の家庭なら、借金を減らすために年収をふやすべく今まで以上に働いて収入をふやすか、それとも、あれも買いたい、これも欲しいといういろいろな欲望は我慢して節約し、借金までして買うことはしない。国や地方団体で言えば、行財政を改革し、リストラなどを推進してむだがないか徹底的に検証し、できる限り歳出を抑えることが急務であるとされています。やりやすい増税に頼らず、次の世代の子や孫に大きな借金の負担を背負わさないためにも、窮屈な緊縮予算に甘んじても少しは我慢し、人ごとではなく我々も真剣に考えるときがとうとう来てしまったのであります。
 本年一月、自民党の年賀会である市長さんが、借金が巨額で、朝目が覚めたら毎日三千五百万円の利息を払っていると述べていたが、市町村もまた同様に起債が急増しており、財政を一段と硬直させているのであります。これは、歳出の増加を、税収の自主財源でなく、国からの補助金を除いた残額を地方債の発行や今まで積み立てていた財政調整基金を取り崩して歳出の不足を補っており、地方債依存による大型事業や施設を競争して建設したためであります。税収は減少、人件費や管理費が増大して経常経費の急増を来し、明るい見通しもないまま市町村債の残高を増大・膨張させた結果、巨額の利払いのツケが回り、返済に苦しみ、今日に至っているのであります。
 県においても、平成八年度二月補正後の単年度一般会計予算の中で歳入の占める県債は八百四十五億八千三百万円、一四・八%であり、この一年間で五百六十六億円の借金が増加しています。平成九年度予算においても自主財源が少なく、税収不足のため国の補助金や交付税に頼らざるを得ない現状にある本県にとって、国の投資的経費は横ばい、地方交付金も出口ベースで三%減と一段と厳しくなっていますが、県債の削減も今最も重要な課題となってきています。県債の残高は、平成八年度末で約五千百億円、平成九年度末で五千七百億円に膨れ上がると予想されており、さらに来年度以降においても、歳出増の要因として医大の整備が本格化することを考えると、和歌山県の予算編成は今よりさらに厳しいものにならざるを得ないのではないかと考えます。
 国は財政改革の中で、公共投資を見直し、二〇〇五年までに赤字国債脱却などの再建目標を立てているが、県債の発行についても、これ以上財政赤字の拡大を防ぐために財政健全化方策に基づく取り組みについて、国の起債と地方自治体の元利償還つき交付金のある起債とはおのずから違うものの、国には財源削減のため起債の地方交付金算入の打ち切りなど今後の政策転換等があることを考えると、県の財政改革への道筋と市町村財政の再建への立場から、今、最小限度これだけは解決しておきたいという知事の意気込みと具体策についてのご所見を承りたいと思います。
 次に、総務部長にお尋ねします。
 最近、大阪府も財政が赤字になると発表して大騒ぎとなっているが、それでも府債残高の一人当たりの借金は三十六万八千五百円。それに対して和歌山県は、既に四十六万八千円であります。九四年度の県民所得は、大阪府は全国第四位で三百二十六万八千円、和歌山県は四十三位で二百四十三万九千円。これを踏まえて、大阪府と県の財政を比較して、まだまだ和歌山県には県債発行への余裕があると考えているのか、まずその考えを教えてほしい。
 また、現在の県財政状況から増税なき財政再建を最優先するためにはこれ以上の財政赤字の拡大を防ぐ必要があると思うが、経営収入に対する人件費、公債費などの行政維持費の比率である経常収支率や起債を除く単年度の歳入歳出の実質収支はどうなるのか。累積県債の償還計画などについても、その内容を明らかに示してほしいと思います。
 続いて、町村合併の推進についてであります。
 行政改革や地方分権の推進、大いに結構というご時世ですが、本気で国から権限や財源をいただいて自給自足で行政を進めてくださいということで町村運営の原理が導入されたとしたら、人口一万人前後の町村でもその知恵と能力で十分やっていけると言えるのだろうか、心配であります。
 現行の行政組織は、大小でも、比較的公平で平等な行政サービスをどの町村でも保障されています。人口の少ないどんな田舎の学校でも立派な校舎があり教育も行われていますし、まあまあの社会保障も福祉も差別されずに保障され、道路も山の中まで舗装されて、どんな弱小の町村でも最小の必要な行政経費は国から地方交付金という名のもとに不足の財源を交付され、保障されているからであります。しかし、そんな状況を一変させるのが今回の行政改革と地方分権であります。
 国も、今後、現在の市町村制度のまま地方分権を進めるには限界があり、市町村合併などで広域的な行政体をつくる必要があると考え、地方分権を推進する立場から、地方制度調査会では、権限移譲の受け皿となる自治体づくりを目指して市町村合併を促進する方針を決めたという。具体的には、現行の市町村制度を抜本的に見直し、一定の人口以下の自治体を廃止または統合させる地方自治法改正を行い、平成十年六月までにその具体策を取りまとめて首相に答申、政府はこれを受けて市町村合併特例法の改正に着手することになっているのであります。これは、今後分権を推進するに当たり、財政基盤が弱く政策の立案実行の人材に乏しい小規模の自治体を廃止し、二十一世紀に向けての少子化・高齢化社会に対応できる、時代に即応した適正規模の市町村に生まれ変わらせる必要があるためであります。このため、今回、合併を積極的に誘導するための新たな法律の整備が準備されつつあります。
 財源と権限を地方にという一連の地方分権推進により、現在の人口一万人未満の町村の行政コストの質と量を見直し、施設、建物、職員数、行政サービスなど、どれをとってもむだが多く自主的な財源がほとんどないにもかかわらず地方交付金、補助金、起債を頼りに町村間で競争し、稼働率の低い非能率な立派な施設をつくり、過剰投資を繰り返している現状を改め、行政組織をスリム化あるいは業務の効率化、民営化を促進して財政の健全化を維持するため、現在の市町村を適正な人口の規模に統合し、市町村の基盤を強化しなければならなくなったからであります。
 そこで、県当局も、国からの指示を待つばかりでなく進んで県内市町村の合併を計画的に推し進め、限られた財源を有効に活用して、行政施策を通じて住民に還元するための体制づくりを指導する準備が必要と考えますが、まず知事の町村合併の考え方を聞かせてほしいと思います。
 次に、総務部長にお尋ねします。
 和歌山県の人口増減の推移を見ると、少子化、高齢化、過疎化が進み、行政経費を負担する生産人口がどんどん減少してきており、どうしても行政コストの高くつく福祉を待つお年寄りが増加し、このままいくと町税収だけで人件費も賄えぬ町村も出て、二十一世紀は決してバラ色の社会とはならないのであります。
 ある県のある町の話ですが、町の予算は三十一億円、町の税収約一億円、地方交付金十七億円、起債五億円。こんな町でも、国が元利の七割の面倒を見てくれる過疎債や交付金があるからやっていけるので、地方分権がどんどん進んでもこんな今の財源状況を続けていけるのか、また今後変わっていくのか、分権後の弱小町村の姿は見えてこないのであります。特に政府の行政改革委員会は、市町村の格差是正をするための所得再配分を目的とした施策から原則として撤退すると述べている。
 今、起債はどの自治体にとっても大切な財源でありますが、この起債も自由化する方向が強調されており、財力のある町村は自由に起債を組めるが、財政貧弱な町村は今後起債も発行できなくなります。すなわち今の分権論議は、財政の弱い町村を全く配慮せず、自給自足を建前にした弱小町村の切り捨てにほかならないのであります。それゆえに、和歌山県内でも交通事情がよくなり、時間・距離が著しく縮まっている現在、効率的な地方自治制度の運用を図るために県としても何らかの対応を示す必要が求められています。今後は和歌山県として合併推進へのモデル町村を選び、例えば那賀郡を例にとれば、一つの市にまとめるか、または東・西・南と三町に合併させるなどの原案を示して一挙に合併を進めてはどうかとの提案であります。部長の意気込みと見通しを承りたいと思います。
 続いて、紀の川第二流域下水道那賀処理区の進捗と都市下水路の早期整備の促進についてであります。
 那賀郡六町の中央を流れる紀の川は昔から豊かな美しい自然環境を形成し、農業用水、工業用水、上水道などに積極的に利用され、上流の市町村ばかりでなく、特に和歌山市民や海南市民の上水道や工業用水にも利用されている大切な命の水源であります。一方、近年この紀の川流域に住む人たちも多くなり、生活水準の向上や生活様式の都市化、さらに企業の進出、地元産業の発展などにより一般家庭や事務所、工場などから排水される汚濁水はますます増加し、この雑排水が未処理のまま農業用水路に放流されて紀の川の水質をますます悪くしているのであります。
 戦後五十年、下水道処理はほぼゼロの状態から出発したが、他府県は下水道施設にも力を入れ、割と高い水準まで達している。しかし本県の場合、一番高い和歌山市でさえ下水道整備普及率は一九・二%で全国平均より低い数値にあり、依然として大きく立ちおくれているのが紀の川筋の現状であります。このため、大事な水源となる紀の川水域の水質保全を早く改善するとともに清らかな紀の川の水辺空間を創出し、下水処理施設の普及の促進と上下水道、水洗便所化の普及を推進し、一人一人が一日も早く快適な生活を実現するための努力を図っていかなければなりません。
 那賀郡の場合、平成三年十二月に那賀郡流域下水道事業として取り組むことを決めています。平成四年七月に推進協議会も設立され、平成五年十一月に流域下水道の基本計画案が説明されて終末処理場を最下流と決め、平成六年七月、推進協議会幹事会で基本計画、事業計画、平成七年度概要要望と今後のスケジュール等を説明し、平成八年二月に福岡市へ下水道施設を見学したとなっているが、この間、既に五年も経過しています。
 そこで土木部長にお尋ねしますが、下水道の施設工事をもっと早く着工できないかであります。
 伊都郡の例を見ても、急ぐためには終末処理場用地の選定と用地の確保、周辺住民の同意が第一となりますが、平成六年二月に岩出町長に処理用地の選定を依頼している。これは、岩出町または県のどちらが積極的に主導権を持って地元と話し合っているのか。また、現状の進みぐあいを知りたい。今までの経過を見ると、平成六年十二月に事業の事務手続を進め、少なくとも平成八年二月には計画したい旨、伝えている。既に平成九年であります。現在の流域下水道の進捗状況、事業実施のスケジュール、各町公共下水道計画の現時点での状況を教えてください。
 次に都市下水路処理の問題でありますが、この広域下水道計画区域は岩出町を初め人口急増地帯の都市部が中心であり、用水、下水の兼用使用の水路が多くあるため、水洗便所化や家庭の雑排水を流すにはどうしても許可条件として土地改良区等の多目的使用料徴収問題もあり、紛争を招いている。農林水産部長に、この多目的使用料徴収を撤廃する方法はないか、お伺いします。
 さらに、大雨や台風が来ては藤崎土地改良区や六箇井の水路なども満杯となって水があふれ、付近家屋の床下浸水を招いて都市部の住民を悩まし続けております。反対に、農業地域は農業集落排水事業で積極的に水洗便所化に取り組んでおり、農業集落排水事業は七年前の七倍にも達していると言われています。農村地帯は比較的容易に雑排水を含めて水洗便所化が進むが、この広域下水道地域にある都市部は、今事業に着手し、計画どおりおくれずに完成したとしても、十六年後であります。この間、何の手だても実施せずほうっておかれては、甚だ迷惑となります。
 住吉川を初め都市部を流れる河川のしゅんせつも含めて農業用水路と下水路を分離し、関係町と相談の上、都市地域内の都市下水路処理対策を早急に、十六年間も待たさずに解決してほしいと思いますが、その対策方法があるのかないのか、聞かせてください。
 続いて、岩出町根来寺にある旧県議会議事堂の保存と改修についてであります。
 昭和三十七年、岩出町根来に旧県議会議事堂が根来寺の大講堂客殿一乗閣として本坊南側の敷地に移築され、さまざまな催し物や合宿施設等に利用されてきましたが、昭和五十年代以降は建物の傷みがひどく、現在は老朽化して全く使用されないままの姿で保存されています。この建物は明治三十年十一月に県会議事堂として上棟され、当時の議場としては県民のための公会堂的な性格を持ち合わせた木造和風づくりの建物であったようであります。昭和十三年、新たに現在の県庁が完成したため議事堂としては使われなくなったが、その間、四十年の長きにわたり県政の殿堂として利用されてきました。我が県の近代化への歴史の証人であり、その象徴としての歴史的価値のある記念すべき建物であります。昭和三十七年、和歌山県農協連合会を経て岩出町の有志による資金で岩出町根来へ第三回目の移築が行われ、根来寺の所有物となって現在に至っています。
 この立派な建物も年には勝てず、現在大変老朽化してしまって、このまま保存することはもうできなくなってきております。いよいよこの建物の歴史的な経過を踏まえて今後どうするのか、活用と保存、解体について論議すべき時期が来たようであります。
 現在の建物は、塗装がはがれ、壁面の亀裂、地盤沈下、防水、屋根がわらの修理、新たなひび割れ、窓枠の修理など、建物は生きているため、常に保存工事をしながら手を加えなければ完全な保存は不可能であります。
 この建物、一乗閣については過去に県議会からも、平成二年九月に中村博先生から保存改修を要望する意見が出され、さらに平成三年二月、西本長弘先生からも、歴史的価値の高い旧県議会議事堂を由緒ある全国唯一の木造建築物として、根来寺から広川町の初代県会議長であった浜口梧陵翁の歴史館がある同敷地に移して保存してはどうかとの提案もされています。これらの質問を受けて県教育委員会は平成四年三月に調査を行い、この建物の調査報告を行っているが、その後、どういう方向で保存、解体、移転かについての検討が行われてきたのか、不明であります。
 私どもの先人たちが活躍した議事堂の修復保存については、この貴重な文化財を後世に継承させていく義務もあり、県議会も大いに関心を持たざるを得ないと思いますが、今、手を加えないでこのまま放置すると根来寺の境内で朽ち果ててしまう結果となります。また、他の場所に移転するとしても、今度は四回目の移築となるため、解体してももう使えなくなってしまうのではないかと思います。そうなると大変残念な結果となりますので、どうすれば一番よいのか。私は、県の迎賓館などに改修すれば一番よいと思いますが、まず知事のご所見をお伺いします。
 続いて、教育長に質問をします。
 最近、文化庁も、文化財指定については近代遺産を含める方向で検討されていると聞く。従来は、文化庁の方針として文化財や史跡指定は明治以前のものでないとだめだと言われていたが、文化財保護法による指定の範囲を広げて、全国各地の近代遺産の調査が進められているはずであります。
 一乗閣は、明治三十年以来、県政の殿堂として長い歴史を持ち、県下の神社仏閣を除いて最大の建築物で、百年の風雪に耐えてきた木造建築でありますから、当然、文化財的要素の大きい建物として行政的な措置、すなわち明治時代の和風建築としての歴史的由緒ある建物として文化財保護審議会に諮って指定を受けられないかどうか、教育委員会としての認識をまず聞かせてください。
 次に、根来寺に現在のまま保存する場合、何らかの大改修の処置を講じなければなりません。県の文化財としてするのか、県議会の所有物として県政資料館とするか、文化的な施設とするかなどの方法しか使用する方法がないと思いますし、また維持管理にしても、建物が大きく莫大な経費が必要となるため、根来寺だけでは到底維持管理はできないと思います。県も、宗教上の関係もあって根来寺には直接支援できないと思いますが、岩出町を経由した方法などで支援も可能となります。まず、保存するとしてどんな方法があるのか、教えてほしいと思います。
 最後、粉河・鞆淵直結道路新設と県道上鞆淵那賀線の早期改修の促進についてであります。
 国土軸と直結する幹線高速自動車道や国道の改修促進は最も重要な県勢飛躍のための課題でありますが、今その地域で生活をしている人間にとって地域に身近な生活道路は、毎日の生活を支え、安全で快適な地域づくりの基本部分を占め、一日も早く完成してほしい道路であります。通勤・通学、食料品・日用品の買い物、救急車・消防車の活動など、毎日のあらゆる生活面で大きな役割を果たし、さらに地理的条件が改善されて生産地と消費地の時間・距離を短縮し、農林産物等の出荷先の拡大、工場進出促進、過疎化の防止など、さまざまな効果が期待され、この道路の果たすべき役割もますます大きくなってきています。しかし、この鞆淵地区の現状を見る限りでは、同じ粉河町でありながら中心地と連絡する本格的な道路整備が行われておらず、依然としてこの粉河・鞆淵地区の直結した道路が全くないため、この地域の整備水準は大きく立ちおくれて、依然低位の状況に置かれているのが現況であります。
 道路は、道路といえども機能性、効率性、経済性、採算性はもちろん求めなければなりませんが、高齢化社会が到来する二十一世紀初頭までの人間が住居している今のうちにこの道路を早く進めてほしいものであります。
 そこで、知事にお尋ねします。
 粉河町を中心に、海草、伊都、那賀各郡に通じる粉河、鞆淵、美里、花園、高野、龍神を通る道路の新設をぜひ計画してほしいと願います。これが完成すると花園村から粉河町中心部まで自動車で三十分程度で行き来できることになり、さらに龍神スカイラインに直結、紀中・紀南へと伸びる重要な道路となるため、最近、粉河町内の国道や県道に早期実現の大きな立て看板が立てられております。私も、この道路新設を促進するためたびたび質問し要望してまいりましたが、花園美里線の県道認定の議案が上程されている今、どうしても粉河・鞆淵直結道路の早期実現をお願いしたいと思いますが、まず見通しからお教えください。
 次に、土木部長にお尋ねします。
 現在の上鞆淵那賀線の道幅が狭く急勾配で、標高七百五十メートルの飯盛山の未整備の山越え道路では冬の季節は凍結して交通不能となるため、今後この県道の改修を進めていく際には、山越えの道路でなく、中腹からトンネルを掘って冬の期間でも交通可能な道路にしてほしいのであります。
 幸い、飯盛山の中腹では紀の川左岸道路の広域農道・紀の里道路の新設工事が進行中でありますから、一番距離の短い飯盛山麻生津峠の中腹をトンネル化してこの道路に直結することが一番よい方法と考えます。特に、粉河・鞆淵直結道路が完成するまでの間に、この道路を代替線としても利用できるからであります。県財政が厳しい時代に非常に難しい事業と考えますが、県道改修バイパス計画トンネル化を早急に検討し、調査してほしいと思いますが、部長のご意見をお伺いします。
 以上、五部門にわたり質問をいたしましたが、できるだけよいご回答をよろしくお願い申し上げます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの佐田頴一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 佐田議員にお答えをいたします。
 まず、行政改革についてであります。
 県におきましては、簡素で効率的な行政、役割分担の明確化、変化への対応、計画性・総合性の確保、行政の自主性の確立、以上の点を行政改革の基本理念と定め、行財政運営全般にわたる見直しを平成七年十一月からおおむね三年をかけて行うこととして、改革が必要な事項について、できるところから実施をしているところでございます。
 現今の行政改革、職員の意識改革を通じて、地方分権の時代における行政課題にみずからの責任において主体的に取り組み得る県庁への脱皮を図りたいと考えてございます。また、国において今後進むであろう省庁再編成なども視野に入れながら対応していきたいと考えております。
 なお、詳細については総務部長から答弁をいたします。
 次に、財政改革であります。
 これまでも機会あるたびに申し上げてまいりましたけれども、財政改革につきましては、従来からの行政改革大綱に基づく取り組みはもちろん、さらに抜本的な行財政改革を推し進めなければならないものと考えてございます。
 また、この取り組みは、単に経費を切り詰めるといった消極的なものではなくて、二十一世紀に対応できる、効率的で感度の高い行財政システムをつくり上げていくという積極的な意味を持つものでなければならないと考えております。
 次に、県債残高の増加などによる財政改革に係る具体策についてのお尋ねでございます。
 県債残高をこれ以上ふやさない、あるいは減らしていくといった構造的な改善のために、歳入の伸びを余り期待することもできない中では、思い切った歳出抑制を行う以外に方法はないと考えてございます。しかし、現在の県内の諸情勢を勘案すると地域経済の活性化を図る必要があることからしても、平成九年度当初予算に当たっては、例えば平成八年度に大幅に伸ばした県単独事業等については前年度並みの事業規模を確保したところでございます。
 平成十年度以降の予算編成に当たりましては、財政状況が一段と厳しくなるものと予想されますので、これまでの取り組みからさらに踏み込んだ対策を講じる必要があろうと考えてございます。
 次に、町村合併についてでございます。
 地方分権を推進するためには、行政施策を効率的に実施するための行政体制の整備が重要でございまして、市町村合併も、広域行政と同様にその一つの方法であろうと思っております。しかし、合併という問題につきましては、各地域の地理的、歴史的条件を踏まえながら個々の市町村の住民が判断することもまた大切でございまして、個々の市町村において合併の機運が高まった場合には県としても情報の提供・助言などを積極的に行ってまいりたい、さらに地方制度調査会等の動向などもこれからしっかり見ていかなければならない、このように考えております。
 それから旧県会議事堂の問題でありますが、旧県会議事堂根来寺一乗閣を県政の資料館や迎賓館として再利用してはどうかというご質問であります。
 旧県会議事堂は明治時代の和風建築物であると承知をしておりますけれども、二度の移転を経て、ご質問にありましたように傷みも相当見受けられてございます。仮に復元するとしても、あるいは活用するとしても、さまざまな問題があるということも事実でございます。
 今後の取り扱いにつきましては、後ほど教育長から答弁いたしますけれども、文化財としての指定の可能性なども含めて研究をさせていただきたいと思っております。
 最後に、粉河・鞆淵直結道路の新設であります。議員のご質問は、粉河、鞆淵、美里、花園、高野、龍神の道路計画であろうと思いますが、とりあえず粉河・鞆淵間の道路の問題についてお答えをしたいと思います。
 この道路の建設には、非常に多額の事業費が見込まれます。機能性、効率性、経済性等の観点から大変難しい問題もありますが、私も現地に赴いてたびたび実情なども伺っております。そういうことで、この道路は鞆淵地区の生活の安全性、快適性などを確保する上において、また粉河町の役場まで真っすぐに行けないという現地の声などもあり、大変重要な役割を果たすこととなりますので、差し当たり調査研究を行わせていただきたいと思っております。
 以上です。
○議長(町田 亘君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 行財政改革と市町村合併についてお答えを申し上げます。
 まず、組織の見直しでございますけれども、県では、簡素で効率的な行財政運営を目指して不断の努力をしているところでございます。組織機構につきましても、統廃合を含め、一方、県民のライフスタイルの変化への対応、あるいは県勢浮揚のための施策展開など、新たな行政分野の急激な拡大に応じて行政組織の整備が必要でございます。こういった中での今回の行政改革におきましては、スクラップ・アンド・ビルドを原則とした組織の再編整備を図るとの考え方のもとに見直しを行い、昨年は本庁組織の改編を行ったところでございます。
 また、地方機関につきましても、昨年三機関を廃止したのに続き、本年も統廃合を行いたいと考えてございます。また、出先機関の保健・福祉事務の一体化も図ってまいります。
 今後とも、本庁、地方機関、外郭団体等を問わず、積極的な見直しを行い、簡素で効率的な体制づくりを目指してまいりたいと思います。
 また、補助金の見直しにつきましては、これまで継続して実施してきたところでございますが、今後とも特定分野を限定せず幅広く、行政関与の必要性、あるいは受益と負担の公平確保、行政効果等の観点から整理・合理化を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、財政改革と県債残高の解消策についてでございます。
 まず、県債の発行を行う財政的余裕があるのかとのご質問でございますが、公債費負担比率や起債制限比率などの財政指標の推移、さらに今後の公債費の増加状況などを総合的に判断する限り、従来のように大量の県債を発行できる状況にはなく、今後、県債の発行については基本的に抑制していかざるを得ないと認識してございます。
 次に県債の償還計画についてでございますが、既に発行している県債につきましては、基本的に、三年据置き、十年償還という発行時の償還条件により計画的に償還していくことになります。高金利の県債につきましては、平成七年度に約十三億円、平成八年度に約十二億円の繰り上げ償還を行い、将来の金利負担の軽減を図っているところでございます。
 また、今後発行する県債につきましては、公債費の増加を抑制するため、償還期間の延長など、償還方法についての見直しも検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、経常収支比率、実質収支はどうなるかというご質問でございますが、経常収支比率については平成七年度決算で八〇・四%となり、五年連続での上昇となってございます。平成八年度決算見込みでは、地方交付税の増加など一般財源がふえるため、二、三%程度低下するものと見込んでございます。公債費が今後も確実に増加することから、今後の推移についてはなお十分留意が必要であると考えてございます。
 次に実質的な収支につきましては、平成七年度の実質単年度収支は約八億円の赤字を計上しておりますが、平成八年度決算見込みにおいても財政調整基金を五十五億円取り崩していることから、二年連続での赤字となることは避けられないものと考えてございます。
 次に町村合併の取り組みについてでございますが、市町村合併につきましては、知事が申し上げましたとおり、個々の市町村の地理的あるいは歴史的条件を踏まえて住民の方々が判断されることが大切でございまして、平成七年四月一日に施行された現行の市町村の合併の特例に関する法律においても、住民発議など、住民による自主的な合併が基本となってございます。また、昨年十二月に出された地方分権推進委員会の第一次勧告におきましても、広域行政の推進や自主的な合併の推進が述べられているところでございます。
 広域行政問題につきましては、これらを踏まえつつ、お話のようにさまざまな課題もありますので、今後とも地方制度調査会等の動向を見きわめながら時代の流れを的確に把握し、適切、積極的な対応を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 佐田議員の、紀の川第二流域下水道那賀処理区の進捗状況と都市下水路整備についてのご質問にまずお答えいたします。
 那賀処理区の進捗状況でございますが、那賀郡六町を対象とした紀の川第二流域下水道につきましては、基本計画の策定をほぼ終了し、終末処理場、ポンプ場の位置について関係町と協議中であります。
 今後につきましては、この協議の結果をもとに地元調整を十分に行い、また関係する町と協議をしながら、早期に事業着手できるよう進めてまいりたいと考えております。
 次に公共下水道計画の現時点での状況でございますが、関連する公共下水道につきましては、紀の川第二流域下水道の進捗に合わせて計画を進めており、現在、二町で基本計画、事業計画の策定を進めているところでございます。残りの四町におきましても、順次計画策定を進めるよう指導してまいりたいと考えております。
 次に用水路と下水路の分離の問題でございますが、これに対応するものとして、市町村が行う公共下水道事業がございます。これは、市街地における下水を排除し、または処理する目的のために実施されるもので、家庭排水と用水路が分離されます。先ほど答弁いたしました紀の川第二流域下水道事業に関連する公共下水道事業もこれでございまして、その整備促進に努めてまいりたいと考えております。
 一方、市街地における浸水を防除するものとして都市下水路事業がございますが、これにつきましては、事業着手に向けた町からの要望があり次第、検討の上、国に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に県道上鞆淵那賀線のトンネル化の改良促進の問題ですが、現在、赤沼田地区、横谷地区で特に交通に支障となる箇所から順次整備を進めております。沿道集落の利便性の観点から現道拡幅を基本に考えておりますが、広域農道と直結するトンネル計画については、将来の交通需要等の推移を見ながら勉強してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 農業用水路の利用による多目的使用料についてでございますが、土地改良区が管理する水路は農業用の水路として設置されたものでございまして、土地改良区の組合員の負担により維持管理されております。しかしながら現在、これらの水路は地域の都市化に伴って家庭雑排水の受け入れを余儀なくされており、このことは水路の維持管理費の増嵩を招き、土地改良区の財政を圧迫する要因となっております。
 このような状況の中で、土地改良区は家庭雑排水を排出する者から応分の負担を求めることが認められているものでございまして、水路の適正な維持管理を図るため多目的使用料を徴収しているものでございます。よろしくお願いします。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 根来寺一乗閣の文化財指定の条件についてお答えいたします。
 旧県会議事堂、現在の根来寺一乗閣につきましては、平成三年度に調査を実施いたしました。その結果、和歌山県政史の舞台として明治時代に建てられた和風建造物であることが判明いたしてございます。
 文化財としての認識でございますが、当該建物は二度の移築によって内外部の一部改変や老朽化が見受けられるため、今後、所有者において建物の復元と管理体制や活用方策等が明確化されれば指定文化財としての位置づけが可能であると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) 再質問がございませんので、以上で佐田頴一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(町田 亘君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時五十七分休憩
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