平成9年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(鶴田至弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時四分再開
○副議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番鶴田至弘君。
 〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 議長のお許しをいただきましたので、午前に引き続き一般質問をさせていただきます。
 昨日来の質問と答弁の中で、知事にあっては、御坊第二火電の建設の可否について電調審への回答を保留されました。慎重に研究する態度を示されたことは評価いたしたいと思います。ついては、安全性・適地性・地元合意、地域振興等の諸点について現在どのような認識に立っておられるのかお尋ねをいたしまして、知事並びに当局の認識を確認したいと思います。
 電源立地三原則の一つとして、まず安全性の問題がありますが、第二火電の使用燃料オリマルジョンの安全性についてお尋ねをいたします。
 ご承知のように、オリマルジョンは界面活性剤を含有しているところから水溶性であり、海水にも溶けることが明らかになっております。三月三日のNHKテレビでは、水を満たしたビーカーにオリマルジョンを注ぎ、その溶解する姿を紹介しておりましたが、砂糖が水に溶けるように溶け込みました。したがって、漏れても重油のように回収はできないわけであります。
 また、オリマルジョンは薬品としても使用され、強い毒性を持っていることは、既にご承知のところであろうと思います。このオリマルジョンが海洋に漏えいした場合、その毒性のゆえに海洋資源に深刻な影響を与えるであろうと推測されますが、当局はいかなる所信をお持ちですか。
 オリマルジョンは、スイスではその毒性のゆえをもって使用を禁止され、アメリカやイギリスでもオリマルジョンを燃料とした発電は中止する動きが出てまいりました。既に数カ所が中止しております。
 二月八日の「北海道新聞」によりますと、北海道電力が関電と同じようにオリマルジョン発電を計画し、それを試運転しようとした際、地元漁協がオリマルジョン漏えいとそれによる海洋資源への影響を心配し、オリマルジョンの輸送に反対を申し入れたとの報道がありました。結局、北電は漁業関係者の声を真摯に受けとめたいとして輸送を中止し、界面活性剤の研究を第三者機関にゆだねたとあります。オリマルジョンの安全性に疑念がある以上、徹底した調査研究を行い、実態の解明に努めなければならないのは当然のことでありますが、御坊第二火電についても同じことが言えるわけであります。県としても、それが第三者機関で、つまり関電の手による研究ではなく第三者機関でその安全性が確認されるまでゴーサインは出すべきではないと思いますが、いかがですか。
 次に、御坊第一火電と梅生育不良の関係です。
 第一火電による大気汚染がその原因ではないかという疑念は、全く解消されておりません。第二火電の推進派の方々自身もそれを認めており、御坊市議会での推進決議の中でさえ、梅枯れを初め万全を尽くした公害防止を図れとか、梅枯れ問題の早期解明をとか、言及しているところであります。ついては、現在、当局は梅枯れを御坊第一火電の廃棄物との関係でどのように認識しておられますか。
 関電自身はみずからを無罪としておりますが、科学的な説得力を持った説明は全くなし得ておりません。逆に最近は関電と梅の生育不良との関係を示唆する研究も進み始めており、関電からの大気への排出物が酸性霧と化合して複合的な作用で梅を生育不良にさせているのではないかという説が出てまいっており、近く学会に発表されるとのことであります。疑いが濃くなってまいりました。
 ついては、関電みずからこの問題に真剣に取り組もうということになっておるでしょうか。客観的に、どこから見ても梅生育不良と第一火電、第二火電の廃棄物が無関係であることが実証されるまで第二火電の建設は認められるべきではないと思いますが、いかがでございますか。
 また、十二月議会にも質問がございましたが、梅枯れ問題との関連で、緊急対策として、現在の第一火電に排煙脱硫装置を備え、また脱硫装置と電気集じん機を最新のものに取りかえることを関電に求められたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
 次に、第二火電は地域振興に役立つかどうかという問題です。
 昨年八月、原子力発電などで地域振興を図ろうとした福井、新潟、福島の各県の知事がもんじゅの事故を契機に開かれた円卓会議に出席し、それぞれが、電源立地では地域振興に限界があり困難、今後も期待できないとして電源三法の見直しを求めたとの報道があり、相当深刻な模様であります。御坊市においても第一火電がどのように地域振興に役立ったかは甚だ疑問で、第一火電立地以来も人口減少は進み、商店の疲弊なども目立っているありさまであります。
 御坊市の推進派の方々は、立地により財政が潤い、雇用がふえ、地域振興が図れるとおっしゃっておりますが、全国的な経験でも、かつての御坊市みずからの経験でも、それは厳しいと言わなければなりません。一時的な雇用の拡大、交付金や税等の増収があっても、長い目で見れば逆効果でさえあることもあり得るのです。また、造成建設工事での雇用や経済波及効果も、プロジェクトが大であればあるほど大手ゼネコンの懐を豊かにしても地元中小零細企業への波及効果の小さいことは、最近の県下のビッグプロジェクトを見れば十分わかることであります。紀伊半島の末代までのことを考えるならば、新たな公害発生の可能性のある第二火電の立地は決して得策とは考えられません。第一火電の御坊市における地域振興にはいかなる成果があったのか、第二火電は地域振興にどう役立つと考えているのか、県当局のお考えを示していただきたいと思います。
 続いて、第二火電建設に対する地元同意の問題であります。
 御坊市に隣接する美浜町長、日高町長は反対を表明し、他の町長も同意の意思を示さない状況にあります。周辺市町村といえば、田辺市長も梅枯れの原因が解明するまでは凍結を主張し、隣接四町の住民も過半数が反対署名を行い、御坊市民においては、関電や推進派の妨害にもかかわらずその署名は四千を超えております。市町村議会でも、田辺市、南部川村、白浜町、上富田町、南部町等が延期または凍結を決議し、JA紀南の計画延期を求める集会では二千四百人が結集したと言われます。これらの状況は、電源立地に対する住民合意、地元合意がほとんどできていないことを物語るものであります。安全性・適地性の面から見てもその条件は満たされておらず、地域振興の面からも不安材料の方が大であることから見ても、この立地は当然見送るべきだと考えますが、いかがでしょうか。知事の所信をお聞かせください。
 続いて、和歌山市に関西電力が建設を推進しようとしているLNG火力発電所についてお尋ねをいたします。
 まず、住金の降下ばいじんについてですが、県、市、住金のモニタリング調査の結果が出ました。昨年八月で、一平方キロメートルに最大値九・八トンだったそうです。これは、改善目標値十トンをぎりぎりのところでクリアしています。しかし、この数値をもって、公害は存在するという住民の主張を退けることができるでしょうか。和歌山市での最小値は〇・八を記録しているところもあり、下津には〇・一というところもあります。これらの地域と比べて住友周辺はいかに大きいかがわかります。この数値を肌で感じて、地元の方々は、公害はいまだ解決していないと言っているわけです。この差を、単に改善目標数値をクリアしているからとして沖出し中止反対の住民の声を退けることはできないと思いますが、いかがでしょうか。
 住金が公害問題に積極的でないという証明のように、最近、同社は適切な廃棄処理をせずに検査染料を土中に垂れ流していたということが報道されましたが、まことに遺憾なことであります。県はいつも、厳しく指導すると言っていますが、この問題についての指導はどうであったのでしょうか。また大気汚染対策について、住金及び同火力などの関連企業の脱硫・脱硝施設、集じん施設などは万全と考えているのかどうか、お示しいただきたいと思います。
 次に、私は十二月議会において、沖出し中止についての住民の意思を直接聞くべきだと要望しておきました。松江地区のある自治会の関電の環境アセスに対する意見書には、埋立申請の条件となっている環境問題は多分に未解決で、危険を伴ったLNG発電の建設などは真っ平御免だと断言しているわけですが、したがってその前提には沖出し中止にも不同意であることが内容上盛り込まれております。
 前にも述べたところですが、自治会上層部が同意したところでも、その構成員の意思を聞かずに合意されたところもあり、LNG発電をつくるようなら沖出し中止反対の声もまた新たに上がってくるという昨今でもあります。沖出し中止に関する住民の意見を県として直接聞くべきだと再三申し上げているところですが、県はどのように対応されてきましたか。
 次に、LNG火電立地予定地と地震災害についてお尋ねをいたします。
 この予定地は、中央構造線より二キロメートルと近接した地域であります。関電は、造成地の直下に活断層はないとしていますが、地震の大きさと破壊力は直下の活断層の活動だけで決まるものでないことは、阪神大震災の例が示しているところでもあります。直下でなくても、近接する活断層の動きによって建造物の種類、土地軟弱度などで大災害は起こり得ることがあります。予定地の周辺には多数の活断層の存在が予測され、目下国の施策によってその調査が進められているとき、あえてこの地に火電立地などを考えるべきではないと思います。
 ちなみに、大阪南港のLNG火電は、住民の反対運動で貯蔵タンクは断念して発電施設だけにとどめられています。大阪南港を追い出されたその貯蔵タンクが和歌山市の、しかも危険な埋立地に立地されようというのは、まことにナンセンスと言わなければなりません。活断層の存在とともに、この予定地の埋立地という特殊性についても検討せねばなりません。
 環境アセスを研究した学者の中には、この埋立地は発電施設やLNG貯蔵タンクの建設には全く適切でないという意見もあります。もともとこの造成地自体、危険なガスやそれを燃焼させる施設として使える強度を持っていないとの指摘であります。関電は、工場施設、タンク施設の直下を強固に補強するから安全であると言うようですが、その直下だけが強固でも、造成地全体の軟弱さのゆえに補強された部分を含めて危険にさらされ、大事故につながる可能性があります。直下だけの補強で可とする関電の見解を当局はどのように考えておりますか。
 また、環境アセスは地震の津波時に二メートルの高波を予定していますが、この想定は余りにも津波の危険を軽視しています。予想される南海道大地震の津波は相当なものが予測され、過去の経験だけで判断できるものではありません。津波と満潮が重なれば、二メートルの津波でも四・五メートルの高波が想定されなければならないと学者は指摘しています。たとえ百年に一度の地震でも、我々のずさんな仕事によって後世が大きな悲劇を味わうかもわかりません。そのような悲劇を招かないためにも、このような不安定な地盤にLNG火電やLNG貯蔵タンクなどは建設すべきではないと考えます。沖出し中止を前提にしたとしても、そのような危険物をあえて立地しなくてもよかろうと思うわけであります。いかがでしょうか。
 続いて、関西新空港第二期工事に当たり、土砂採取の問題についてお尋ねをいたします。
 本県にも大量の土砂を要求されました。県当局は、一期工事に際しての愚策を繰り返さないようさまざまな検討を加えたと思います。報じられるところによりますと、大手ゼネコン二社が加太北西部においてそれに当たるとし、土取り跡地は緑化すると聞いています。
 ついては、次の三点をお尋ねいたします。
 まず、この事業を民間にゆだねた理由です。土取りの必要量確保は県の方に責任を持たされていると思いますが、関空と県と土砂採取企業の関係はどのようになっていますか。その責任の上から、あるとき突然県に財政的負担が求められるというようなことはありませんか。それはどのように担保されておりますか。
 次に、土砂採取や搬出に必要な設備・機材が二十数億円程度、県の所有になっていると思います。これはどのように活用されますか、また処理されますか。
 三番目、土取り跡地の問題ですが、緑化は本当に可能と考えますか。土取り跡地が果たして植樹等に適しているのでしょうか。その財政的負担を県に向けられてくることはありませんか。さらに、その地は乱開発に転用されることはありませんか。それらは県としてどのように監視し、または保証していきますか。大企業のプロジェクトには、しばしば県民を軽視した得手勝手が出てまいります。それを許さないためにも県として確固とした姿勢が必要だと思いますが、どのような姿勢と体制で望まれますか。
 以上、三点をただしておきたいと思います。
 続いて同和行政の問題について、同和行政を廃止して残務は一般行政でという立場、また同和教育も終了させて一般民主主義教育の強化をという立場で質問をいたします。
 国の地対協は、本年三月をもって同和対策事業を終結すべしと答申をいたしました。それは、同和対策が基本的にその任務を完了したという前提に立ったものでした。さまざまな政治的動きの中で幾つかの事業が残務整理、激変緩和措置として残されたところでありますが、基本的精神は終結であります。したがって、県当局も同和対策を本年をもって基本的に終了、あとは従来の対策の残務整理として対応すべきであろうと思うわけですが、どう位置づけられておりますか。
 とりわけ、県単事業についてはみずからの才覚で処理し得るわけですから基本的終了の立場から真剣に検討すべきであったと思いますが、来年度予算を見る限り、それは見られない状況であります。同和対策予算は、昨年に比して、ハード事業の進行した分だけは減額されておりますが、その他はほとんど継続され、依然として百二十億円を超え、従来の施策が漫然と進められており、廃止した事業といえば、その政策を利用する人もなく、単に自然消滅をしたものだけであります。ここには、同和行政を終結させていこうという積極的な姿が見えません。
 私は、部落問題の解決とは、一、同和地区の住宅、居住環境や生活実態が周辺地区と格差がなくなること、二、同和問題に対する非科学的認識や偏見に基づく言動がその地域で受け入れられない状態がつくり出されること、三、長年にわたって差別とかかわって生み出されてきた同和地区住民の生活態度や生活習慣に見られる問題状況が克服されること、四、地域社会で同和地区内外の自由な社会的交流が進展し、融合・連帯が実現すること等が指標になると考えるものであります。そういう視点から考えるならば、和歌山県同和地区実態調査から導き出される結論は、部落問題の基本的部分については解決したと評価でき、なお残存する若干の分野での格差も、その多くは部落差別の結果というよりも同和地区内外を問わず特定の地域や階層に見られる現象となっていることであり、残務処理や激変緩和のための措置以外、特別措置として同和対策を継続実施しなければならない根拠はなくなっているのではないかと考えるものであります。
 和歌山県同和地域実態調査によると、住宅、道路等においては格差がほとんど見当たらなくなっています。住宅問題をとってみても、地区は持ち家の率が一般地区よりは低いとされておりますが、これは公営住宅建設が同和地域に集中して建設された結果です。しかも、今なお、世帯数を上回って同和公営住宅が建設されようとしている市があります。いかがお考えですか。
 就労等についても、格差はほとんどなくなりました。地区によっては周辺地区との間に僅差のあるところもありますが、都市部の大きな同和地区では、若者が地区外に転出するため、その統計的な格差を生み出している面もあり、部落差別の結果によって格差が生まれているとは考えられません。しかし、就労対策として本年も新たに数カ所の共同作業所が建設され、一部では同和地区内の反対をも無視して進められようとしていますし、農林同和等でも旧態依然として補助金が継続したりしています。その他、きめ細かく非常に多くの施策が施されておりますが、就労の問題は単に同和地区内の問題ではなく、今やすべての地域の問題だと考え、就労対策は一般施策として、高齢者や中山間地問題ともあわせ広く考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 同和教育についても一言触れます。
 十二月議会でも私は、二十数年前の同和教育方針を抜本的に見直すべきだと主張いたしました。それに対する教育長の答弁は、児童生徒の正答率が平均より小学校で四・五%、中学校で七・六%の差があること、保護家庭や母子家庭が多く、学習困難を生じていることなどを挙げられました。この問題も同和地区一般と県全体とを対比されていますが、これも一部地域に見られる現象で、広く同和地域に平均的に見られる問題ではありません。また、それらの原因の多くが、答弁にありましたように、保護家庭や母子家庭などによる学習困難が原因とも考えられるようですし、それは同和対策、同和教育の問題ではなく、広く一般に低学力の課題として考えられるべきことではないでしょうか。
 大学進学率の格差も述べられましたが、大学進学率は県全体でも四〇%を切っており、すべての県民にひとしく与えられた機会ではありません。その中での若干の格差をもって、同和対策が特に必要だというふうには考えられないのであります。もし経済的問題ということならば、一般の奨学金制度を拡充し、一部地域の要求だけにこたえるというより広く県下の多数の要望にこたえるべきでしょう。奨学金を受けられず経済的に困窮している人々は、一般地区にも多数いるからであります。
 子供の問題発言に、同和問題をみずから受けとめられない状況にあるとされ、同和教育の必要も強調されましたが、その問題発言も、ここ数年、二、三件にとどまっております。しかも、その中には差別と断定できないものもあります。それ自体は克服されなければならないことでしょうが、児童生徒と彼らを取り巻く環境において、もはや部落差別を許さない、部落差別を正していくという民主主義は育成されていると考えます。逆に、問題発言といえば大々的な学習を外部団体の影響のもとに組織するようなことの方が問題だと思います。従来の同和教育が果たした役割を十分評価した上で、今二百名を超える教員を同和問題専任の教員として加配するようなやり方は、もはややめるべきではないでしょうか。学校には果たさなければならない新しい課題、例えば県下で一千名を超える不登校児童生徒の問題や、二百数十件を超えるいじめの問題、それを生み出してきた原因など、新しく力を注がなければならない問題が山積してきていると思うからです。いかがでしょうか。
 社会人を対象として同和委員会が問題にした差別事象と言われるものは、最近ごく少なくなってまいりました。この数件自体、あってはならないことで、これらの言動を克服していかなければなりませんが、そういう力は既に県民の中で大きく育っており、そのような差別的言辞を受け入れない、厳しく批判し合う民主主義は県民の中に育ち、定着していると考えます。決して県民全体に差別は根強く残っているという状態ではないと考えるわけです。
 同和子供会についても、今まで再三述べてまいりましたが、同和地区の子供だけの子供会というのは、そこに他地区からの子供がたとえ何%か合流しているとしても、もうやめるべきときだと思います。したがって、それに対する財政のあり方も考え直すべきです。
 参考までに申し上げますと、子供会の補助金と学校運営費の関係を見てみると、こんな例もあります。和歌山市のA小学校の学校運営費は年間四百五十万円です。その学校区に含まれる子供会の運営費は千六百万円です。B小学校の運営費は年間六百万円です。そこに一〇%強含まれる同和子供会の運営費が四百五十万円です。C小学校では、同じく九百万円と六百八十万円という関係にもあります。子供会運営費とその子供会を含む学校運営費が匹敵するというのは、あるいは近接するというのは、県民の理解を得られるものではありません。
 和歌山県の同和行政が今のように漫然と終了へのプログラムを持たないままに継続されるならば、いつまでも特定地域、同和地域を行政的に残していくことになります。そこには、あってはならない差別を新たに生み出す状況さえ生じかねません。残務処理も一刻も早く一般行政に移行し、同和という垣根を取り払うことが必要ではないでしょうか。
 次に人権啓発について、同和問題を特別に肥大化させないようにという立場でお尋ねいたします。
 地対協は、同和事業の終結を唱えながら、差別意識は結婚問題を中心に依然として根強く存在するとして、同和啓発を人権教育、人権啓発として発展的に再構築して積極的に推進すべきだと提言をいたしました。もちろん私も、部落差別意識が皆無になった状態とは思いません。しかし、ここに言われるような根強く存在すると評価される状況ではないと考えるのです。
 同和委員会が取り上げた結婚での差別事象というのも、平成に入って八年の間に二件であります。もちろん、その二件をよしとするものではありません。当然、解決しなければならない問題が含まれています。しかし、その他の差別事象、例えば心身障害者に対する差別などと比べて、特別にそこを強調しなければならぬ状態だとは考えられないのです。
 地対協の具申を受けて、啓発と救済のための人権擁護推進審議会が法制化されました。この法には「同和」の文言が見当たりませんが、立法の過程から、また同和問題が肥大化してくる懸念があります。同和問題を別格として一面的に強調するような啓発に対して、県民の間に、またかというような拒絶反応が昨今見えています。同じ轍を踏ますことは決して差別をなくすことにはつながらないし、逆の状況さえ生み出してくるでしょう。しかも、法によって人間の内面に介入するような啓発措置が講じられるようなことは許されることではありません。
 人権に関して今必要なことは、同和問題を肥大化させることなく、民主主義と広く人権一般の尊重を唱える教育に転じてこそ、残された、おくれた意識の克服につながると思いますが、いかがでしょうか。
 以上で、第一問を終わります。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員にお答えをいたします。
 御坊第二発電所につきましては、現在、環境影響調査書について慎重に審査検討を行っている段階でございまして、関係方面からも賛否両論のさまざまな意見が寄せられているわけでございます。
 このような状況の中で、昨日もお答えをしたところでありますけれども、第二発電所の立地については、今回は知事意見を申し上げることはできないといたしたところでございます。
 御坊第二発電所にかかわる他のご質問につきましては、関係部長から答弁をいたします。
○副議長(下川俊樹君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) オリマルジョンによる海洋汚染についてお答えします。
 お話のオリマルジョンにつきましては、界面活性剤が含まれていることから、漁業者の間にはその毒性を懸念する向きもございます。オリマルジョンに含まれる界面活性剤は約〇・三%と微量で、このうち海水に溶ける分はさらに少量であり、漏せつと同時に海水に薄められることが予測されますが、オリマルジョンによる海洋汚染については解明されていない部分もあり、性状、挙動、海上流出対策について調査研究が行われているところでございます。
 いずれにいたしましても、海洋汚染防止の立場から、何よりも事故防止に万全を期すことが重要であると考えてございます。
 次に梅と第一火電の関係はということでございますが、梅の生育不良につきましては、これまで地元協議会等のご協力もいただきながら、総合的な視点から調査研究に取り組んできたところでございます。しかし、現在のところ原因の解明には至ってございません。この間、生育不良の原因については多くの説が出されております。
 いずれにいたしましても、梅は地域経済を支える基幹産業であることから、先日、門議員にもお答えしましたとおり、大学等の専門家で構成する研究会のご指導もいただきながら、今後とも原因究明と樹勢回復に総力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 鶴田議員にお答えをいたします。
 設備の改善で緊急対策をということでございます。
 既設御坊発電所につきましては、燃料中の硫黄分が〇・一%と特に低い燃料を使用しておりまして、脱硫装置で対応している他の石油火力発電所と同等以上の公害防止効果となってございます。また、ばいじんについても、現在設置されている電気集じん機により十分な対応がなされているものと考えてございます。
 既設御坊発電所に係る公害防止につきましては、県、御坊市、美浜町と関西電力株式会社で公害防止協定を締結し、厳しい基準を設けて対応してまいったところでございまして、御坊市周辺地域での大気汚染常時監視の結果、現状では発電所の稼働前と比べ特段の変化も見られず、二酸化硫黄、浮遊粒子状物質とも環境基準を下回っている状況でございます。
 なお、今後とも引き続き監視するとともに、必要があれば関西電力株式会社に対して指導を行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、LNG火電における住金の公害対策と現状についてでございますが、去る十二月議会で答弁しました環境モニタリングシステム協議会によりますと、四月から九月までの六カ月間の十五カ所の月別測定結果は、台風十四号の影響も考えられるものの、一カ月に一平方キロメートル当たり一・六トンから九・八トンであり、地点平均では二・六トンから六・一トンと、環境改善目標値を下回っておりました。今後とも、これらの気象条件などによっては影響を受ける項目もあることから、協議会のデータ解析により、環境保全対策についてより積極的な実施と維持管理を指導してまいります。
 次に検査染料の問題についてでございますが、水質汚濁防止法に基づく有害物質二十三項目についての指導監視は、和歌山市が担当することとなってございます。県は、公害防止条例に基づき、法に加えて規制している六項目について指導監視をいたしてございます。したがいまして、この廃液について現在成分分析を実施中であり、もし条例に違反しておれば改善命令等を発することとなります。
 また、大気汚染対策についてでございますが、周辺地域におきましては、二酸化硫黄、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質に係る環境基準を満足している状況でございます。今後とも、和歌山市と連携しつつ事業者を十分に監視指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 御坊発電所の御坊市における地域振興に関するご質問でございますが、既設御坊発電所の場合、御坊市に三十二億四千万円の電源立地促進対策交付金が交付され、教育文化施設、漁業振興施設、環境衛生施設、福祉施設等の整備が図られております。財政状況を見ますと、稼働前の同市の財政力指数は〇・三程度で、稼働後は最高〇・八四へと向上し、平成七年度で〇・五六となってございます。
 次に地元雇用につきましては、事業者によると、建設時に年間約千二百名の雇用があり、運転開始後の現在は約五百六十名となってございます。また、当時の建設投資額約二千七百億円のうち、県内への発注実績は二二%となっています。
 地域との共生という面でございますが、年間約十億円の修繕、委託等の地元発注があると聞いており、また、産業育成支援事業を活用した御坊市健康食品センターの育成、観光農園の事業展開などが実施されております。
 このように、既設御坊発電所の実績を見ると、総合的に見て、地域のニーズに対応した地域振興策がなされ、活性化に貢献しているものと考えてございます。
 御坊第二発電所については、既設御坊発電所当時と比較して制度的な拡充がなされており、また今回の計画規模から考えても、長期的に地域の振興が図られるものと考えてございます。
 次に、関西国際空港二期工事の土取りに当たっての県の任務、あるいは跡地対策、県の指導についてでございますが、関西国際空港二期事業埋め立て用の土砂供給については、昨年末に県の基本方針を決定し、事業主体については土砂供給の能力と実績を有する民間企業数社みずからが事業主体となって土砂供給することに熱意を示しておりますので、一期の経験や今日の社会経済情勢にかんがみ、そうした企業が、行政の適切な指導監督のもと、その技術、ノウハウ等を活用して土砂供給を行うことが最も適当であると判断した次第であります。したがって、直接の契約の当事者となるのは関西国際空港用地造成株式会社と実施企業であり、議員が懸念されている土砂単価については、実施企業が関西国際空港用地造成株式会社と直接協議して契約することになりますので、そのリスク等については当然契約当事者が負うものであり、県に負担が及ぶことはないと存じます。
 他方、県といたしましては、関西国際空港用地造成株式会社からの要請を受けた経緯や二期事業を積極的に推進する県の立場もありますので、関係機関と連携して協議会を設置し、環境保全を図りつつ適切かつ円滑に土砂供給が実施されるよう指導監督を行う所存でございます。
 一期のときに使用した桟橋等の施設については、現在は県土地開発公社の所有でありますので、今後調整が必要となりますが、二期事業においても有効に利用されることが望ましいと考えてございます。
 採取跡地の緑化については、実施企業がその責任と負担において行うべきものでありますが、県といたしましては、環境に配慮した対策が行われるよう適切に指導していきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) LNG火電についてのご質問のうち、沖出し中止についての地元同意は得られたかというご質問でございますが、さきの十二月県議会においてお答えいたしましたとおり、平成六年三月の住友金属工業株式会社からの西防波堤沖埋立地の利用計画見直しについての申し出の中で、関係全自治会のご理解をちょうだいすることができたとの報告を受けております。この地元同意については、本埋め立てが公害発生源の移転を主な目的の一つとして計画された経緯から地元の意見を尊重したものであると認識しております。
 なお、県としましては、当時、沖合移転の中止について、遺憾ながらやむを得ないこととして、新たな土地利用計画について西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会に諮り、目下検討していただいているものであり、企業の得た地元同意を前提としているものではありません。
 続きまして、立地予定地の安全性と安全対策についてのご質問ですが、津波対策について申し上げますと、関西電力が今回環境影響調査報告書で想定している津波は、過去に和歌山県に多大な津波被害をもたらした安政地震、南海道地震を対象としているものであります。シミュレーション結果によりますと、満潮時に津波が来襲しても、最大水位は三・九メートルとなりますが、西防波堤沖埋立地は、南側の護岸高がプラス十メートル、北側の護岸高がプラス五メートルでございまして、津波に対しては十分安全であると認識しております。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) LNG火電につきまして、立地予定地の安全性と安全対策についてお答えします。
 発電所立地予定地の北部に活断層及び推定活断層が存在することは、承知してございます。このことから、発電所立地に当たり、事業者は地震に関する調査及び地盤に関する調査を実施し、中央構造線活断層系が最も影響を及ぼすものと考えて断層モデルに基づいての地震動を想定し、耐震性等を評価してございます。
 現在、県では西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会に安全性等についての検討状況をご報告申し上げ、審議いただいているところでございます。
 また、建設予定地における液状化につきましては、建築物の下部のみならず、防災上必要な域内道路等についても対策を講じる必要があると考えてございます。
 今後とも、地震や地質などの安全性について、アドバイザーなどの学識経験者の助言をいただきながら慎重に検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 鶴田議員にお答えをいたします。
 同和対策事業の早期終了というご質問についてでございますが、国において、昨年五月、地域改善対策協議会としての政府に対する意見具申の中で、従来の特別対策を漫然と継続するのではなく、できるだけ早く終了することが必要であるとしながらも、新たな観点に立って取り組むべきであるとの趣旨の提言がなされたところでございます。この意見具申を受け、政府の閣議決定において、従来の特別対策として継続する事業十五件、一般対策に工夫を加えて行財政措置が講じられる事業十四件、人権教育のための国連十年との関連において、人権教育、人権啓発の事業に再構成して行財政措置が講じられる事業十件として、早期解決に向けて取り組むこととの方針が決定されました。これは、同和問題の解決を放棄するものではないとの認識に立っているものであります。
 本県といたしましては、この地域改善対策協議会意見具申及び閣議決定を踏まえ、本県としての各種調査結果等を勘案し、早期解決のための今後の同和対策に関する基本方針を定め、平成九年度以降の事業検討を行ったところでございます。その内容は、国費対象事業及びそれを補完する県単独事業等、必要な事業は当分の間継続することとし、また一般対策で効果が得られる事業は一般対策に移行するとともに、ニーズの乏しい事業及び事業目的・効果を達成している事業は整理や廃止をすることとしてございます。
 議員ご指摘のうち、公営住宅の建設につきましては、昭和六十二年以降については一般対策として対応しているところでございます。また、共同作業場につきましては、国費事業として一般対策に工夫を加えて所要の行財政措置が講じられることとなっておりますが、平成九年度以降の新たな計画はございません。しかし、国において平成八年度採択済み分のうち、平成九年度で県として対応の必要な作業場もございます。
 次に、農林水産業を取り巻く環境が一段と厳しさを増す中で、設置した生産団地の経営に影響の出ている実態もございますので、技術指導や経営問題に関する相談、助言等の支援指導を個々の状況に応じて引き続き実施し、農業経営の安定と近代化を推し進めていく必要があると考えてございます。
 また、同和教育子供会につきましては、今なお課題がある地域もあり、今後とも地域の実情に応じて事業を続けてまいりたいと考えてございます。
 いずれにいたしましても、部落差別が現存している限り、今後とも県民の皆様のご理解をいただく中で、早期解決に向けて積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に人権啓発についてでございますが、本県では、教育啓発活動として、心理的差別を払拭するため県民みんなの同和運動を展開し、県民の方々の理解と認識が相当深まってきたところでございます。しかしながら、国の平成五年度同和地区実態把握等調査の意識調査報告書を見ますと、今までに同和地区の人であるということで人権を侵害されたことがあると答えた人が約三三%という結果が出されております。
 全国的にも差別事件が発生しておりますし、本県においても、残念ながら県同和委員会へ報告されている差別事件は、平成六年度で八件、平成七年度で九件、平成八年度は現在で六件となってございます。したがいまして、今後はこれまで取り組んできた教育啓発の成果を生かしながら、人権教育のための国連十年の国内行動計画並びに人権擁護施策推進法等、国の動向を見きわめながら同和問題を重要な柱と位置づけ、あらゆる人権の尊重を高めるという広がりを持った取り組みに発展するよう進めていくことが重要であると考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 同和教育にかかわって四点についてお答えいたします。
 まず学力の課題についてでございますが、平成四年に実施した学習状況調査の結果によりますと、同和地区児童生徒の正答率は、小学校、中学校ともに全体に比べ低い状況が見られます。
 ご指摘の保護家庭や母子・父子家庭の子供についても、全体に比べ正答率は低い状況がございますが、同和地区においては、こうした家庭環境に置かれている子供たちの割合が県平均の約二倍から二・五倍と高くなっている実態がございます。こうしたことを踏まえて、学力向上への取り組みを推進することが重要であると考えております。
 次に大学進学と奨学金制度についてでございますが、最近数年間の大学進学率を見ますと、全体と地区では一二ないし一五%の格差がございます。その背景には経済的基盤の弱さや学力問題があると考えられ、奨学金の果たす役割は大きいと考えます。
 現在、大学へ進学する地区生徒の約七〇%が進学奨学金の貸与を受けておりますが、この奨学金制度の継続期間は向こう五年間となってございます。したがいまして、今後は日本育英会奨学金の拡充等についても一層国に働きかけてまいりたいと考えます。
 子供の問題発言についてでございますが、ここ数年報告を受けている事例を見ますと、児童生徒が賎称語の持つ意味の理解が不十分であったり、また親や周囲の人の同和問題についての誤った認識や偏見が反映したと考えられるものがございます。こうしたことから、今後とも幅広い人権問題に関する学習を通して同和問題についての正しい認識を育ててまいりたいと考えます。
 最後に同和加配教員についてでございますが、これまでの同和教育推進教員の配置を初め、さまざまな対策や取り組みにより、比較的課題が少なくなっている地域もございます。しかしながら、学力や生活の実態、また高校進学率等において、課題解決に向け、相当な努力を必要とする地域があることも事実でございます。こうしたことから、各地域や学校の教育課題に応じた配置となるよう見直しを行ってまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をさせていただきます。
 知事が電調審に対して意見を保留されたということについては、この問題を真剣に論議して結論を出さなければならないという態度を示されたことであろうと思いまして、私も評価させていただきたいと思うのですが、住民の合意の問題について、今、日高・西牟婁周辺の市町村の責任者並びに議会あるいは住民の方々は、この第二火電建設に対して不安を表明し、そしてまた反対を表明し、あるいは条件つきの延期を表明するというような状態になっております。そういう中で、一部の市と対立関係さえ生まれてくるという状態にもなっておって、地元合意ということとは全くほど遠い事態に陥っていると思うわけです。こういうことは、電源立地していく上で和歌山県が定めた地元合意の必要性とはかけ離れた状況であって、今後もそういう事態は続いていくであろうことが想定をされます。そういう点、知事はどのようにお考えになっておるのか、お示しいただきたいと思います。
 それから、第二火電の設置の許諾──受けるのか受けないのか──これについての態度がどちらになるとしても、その安全性・適地性・住民合意、地域振興等の一つのメルクマールというんですか指標、これをどういうところに置いているのか、ひとつ具体的にお示しいただきたいと思うんです。
 例えば、梅の生育不良の原因が明快になった時点で判断をするのだとか、あるいはオリマルジョンについての安全性・危険性というものが明らかになったとき、住民の合意が完全にとれたときとか、いろんな指標があろうかと思います。ただ単に安全性・適地性・住民合意ということだけではわかりかねますので、具体的にお答えをいただきたいと思います。
 次に、同じく知事にお尋ねをいたします。和歌山市に建設予定というか計画されようとしているLNG火力の問題に関連して。
 住金工場の沖出し中止について、県として住金周辺住民の声を聞くべきだということを私は再三申し上げてまいりました。しかし、そういう義務は県にないとか、今ごろ行ってどうするのかというふうな反論も当局の側から返ってきているところですが、私は、この問題については非常に大事なことだと思っているわけです。なぜかと言うと、埋め立てを免許したというのは、住友金属の公害が周辺住民に迷惑をかけているから、それを防除するために沖出しをする、したがって免許をすると、こういう順序になっておって、原形には住民の公害被害からの開放ということがあったかと思います。そういう問題があって埋め立てが免許されたわけですから、それを転用するときには、県の責任において住民の意見を聴取するというのは当然のことではないかと思うんです。
住友金属からこういうふうに聞いておるというような答弁がきょうも返ってまいりました。しかし、その実態はそうでないということを私は再三申し上げておるわけです。県として住民の声をお聞きになる意思が知事としてありませんか。「人皆心あり」と、きのう大変いい言葉を聞かせていただきました。その人の心を知事として、県として聴取してみようという意思がありませんか。そういう意思があってこそ今後の問題も正しく解決していけるんだと思います。
 次に、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 私が同和問題についてお尋ねした中心点は、当局は、同和問題を一日も早く終わらせるように、同和対策を一日も早く終わらせていきたいということを今までも再三言われてきたわけです。しかし、来年度の予算案を見ても、そのような気配が見当たらないのです。新しい観点で考え直していくんだと言われましたけれども、そこには何も新しい視点も手法も見当たらないように思います。
差別の問題につきましても、三三%の人が差別を受けた経験があるという数字を出されましたけれども、これはずっと以前からの統計でして、最近どうなっているのか──同和対策をやられてきたこの二十数年間の成果の上に立った数字じゃないでしょう。だから、そういう数字を前提にした上で同和行政を考えているというところに大きな問題があると思うんです。そういう点で、見直しをしてそれを終了させていこうという意思を持って予算編成に当たったのかどうか、そういうことを第二問としてお聞きいたします。
 以上です。
○副議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員の再質問にお答えをいたします。
 大変難しい質問でありますけれども、電源立地に関する基本的な姿勢というのは、適地性・安全性・地元の同意という基本的な考え方に基づいて地域振興の立場で対応するというのは従前から繰り返し申し上げてきたところであります。
 お話の、住民の方々のすべてのご意見というのは、現在もございますけれども、さまざまな立場がございます。賛成もあれば、反対もたくさんあるわけであります。ですから、それを県が一々全部についてお聞きするというのは大変困難なことでありまして、最終的な住民の方々のご意見というのは市町村長なり市町村の議会で集約をされると、そういうふうに思っておるわけです。
 ただ、私のところにはさまざまなお手紙などが来ておりますので、その手紙などについては逐一目を通すという努力はいたしておりますけれども、しかし最終の取り締まりというのは──県民一人一人にお聞きをして全部の意見を集約するというのは県の段階ではなかなかできませんので、そのことについては、行政のいわゆる主体性といいますか、それぞれの組織に応じた市町村長あるいは市町村議会というふうなところで集約されるべきものであろうと思っております。
 同じことが言えるわけでありますけれども、先ほど土木部長が答弁をいたしまして、再質問は私にということであります。本来ですと、土木部長が答えたことに私がお答えするのはいささかおかしいわけであります。土木部長を信頼しておりますので、土木部長の答弁どおりでありますけれども、今申し上げましたように、地元の同意とかいろんな意見というのは、事業をやろうとする事業者がおとりをするものであって、県が直接それぞれの方々のご意見を徴するということはなかなかできがたいことでありますので、その辺のところはご理解をいただきたいと思います。
 以上であります。
○副議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 鶴田議員にお答えを申し上げます。
 同和対策事業は永続的に講じられるべき性格のものではないということで、迅速な事業実施によってできる限り早期に目的の達成が図られ、一般対策へ移行されるべき性格のものであるという基本的な考え方をしております。
 先ほどもご答弁をさせていただきましたとおり、残された課題を早期に解決することが重要と考えてございまして、九年度予算についてもそういう形で編成をされたものだと思っております。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──所定の時間が過ぎておりますが、再々質問されますか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(下川俊樹君) 以上で、鶴田至弘君の質問が終了いたしました。

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