平成9年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(森 正樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番森 正樹君。
 〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 「ライン川を下り、ケルンの街に向かって吹き下ろす北風は、死の風だ。つんと鼻をつく臭いを交えながら、茶色っぽいもやで空を黒ずませる。古い街の狭い通りを吹き抜け、ゴシック様式の大聖堂の巨大な尖塔を取り囲む。六百年前の芸術家の手が彫り、磨いた繊細な石の透かし彫りの表面のすみずみまで吹き渡る。腐食性をはらんだ風の幕は、最も神聖な信仰の象徴も容赦しない。天使たちは羽をもがれ、預言者たちは重い病にかかっているようだ。この建築遺産を守ろうという必死の努力にもかかわらず、その美しい顔は死に至る病に永遠に傷つき、同じ病が地球上に伝染病のように拡がっている。パンテオンの大理石やノートルダム寺院の壁などはぼろぼろになった」──これは、かの有名なケルン大聖堂の入り口に並び立つマリア像や天使の像が、原型をとどめないほどに腐食し崩壊の危機を迎えていることを伝えたルイーズ・B・ヤングの「地球の報復 大気に映る環境破壊」という本の一節であり、平成八年の「環境白書」にも紹介されています。
 この病は我が国も例外ではなく、全国から文化財の損傷の報告が寄せられているところであります。その原因は、もちろん酸性雨にほかなりません。酸性雨の被害が最も顕著だと言われる欧州ではその影響が全域に広がり、イギリスのセントポール大聖堂やウエストミンスター寺院、フランスのランス大聖堂、ギリシャのパルテノン神殿やエレクテイオン神殿、イタリア・ローマのマルクス・アウレリウスの騎馬像など、歴史的、芸術的に貴重な文化遺産が深刻な危機を迎えているのであります。私たち人類は、みずからが引き起こした地球環境問題によって、先人たちが残してくれた文化遺産、歴史遺産を今失おうとしていることを直視しなければなりません。
 今回、私は、地球環境問題について幾つかの視点から質問と提言を申し上げたいと思います。
 地球環境問題には、地球温暖化問題、オゾン層破壊問題、熱帯林の減少、生物多様性の減少、そして酸性雨問題など、さまざまな側面が考えられます。
 例えば、温室効果ガスが現在の増加率でふえ続けた場合、二十一世紀末には全地球気温は二度、海水面は五十センチ上昇するものと予測され、南極上空では平成元年から大規模なオゾンホールが観測されており、また熱帯林は毎年日本の総面積のほぼ四〇%に相当する千五百四十万ヘクタールが減少し続けております。さらに生物多様性の減少では、種の絶滅が自然のままの五十倍から百倍のスピードで進行しており、鳥類で一一%、哺乳類で一八%、魚類は五%、植物では一一%、全体で五千四百種の動物と二万六千種の植物が絶滅のおそれのある種に分類されているのであります。これらの数値は、いずれもFAO(国連食糧農業機関)、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)など、国連や国際機関などの信頼のおける組織による研究報告であります。まさに二十一世紀には、このかけがえのない生命体、地球が崩壊の危機に直面していると言っても過言ではないと思います。
 したがって、私たち人類は、将来にわたって良好な経済社会を持続していくために、日々の生活を営んでいる私たち一人一人が人間活動と環境の関係をよく理解し、いかに環境への負荷を減らすか、自然と共存できる暮らし方とはどのようなものか、それぞれの立場で真剣に考え、取り組んでいかなければならないと申せましょう。地球環境の恵みを受けることなしには成り立ち得ない私たちの生活を良好な関係のまま子孫に受け渡していく責務が私たちにはあるのであります。
 そこで、私たちが直面している環境問題の幾つかの懸案についてお尋ねをいたします。
 まず初めに、産業廃棄物問題についてであります。
 平成四年度の我が国の産業廃棄物の総排出量は四億三百万トンで、汚泥、建設廃材、動物のふん尿が主なもので、この三種類で全体の約八〇%を占め、業種別に見ると、建設業、農業がともに二〇%と最も多く、次いで電気・ガス・水道業、鉄鋼業と続いております。これら産業廃棄物の処理状況は、三八%が中間処理で減量し、四〇%の一億六千百万トンが再生利用されており、残りの二二%の八千九百万トンが最終処分されているのであります。国の統計資料によれば、この最終処分される産業廃棄物の最終処分場の残余年数は全国で二・三年とされており、最終処分場の確保が緊急の課題となっているのであります。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 将来にわたり安定的に産業廃棄物の最終処分場を確保するために新たな最終処分場を建設すべきであると思うが、いかがでありましょうか。
 あわせて生活文化部長にお聞きいたしますが、本県内の最終処分場の残余容量はいかほどであるのか、ご報告を願いたい。
 また、大阪湾フェニックス計画に関して、現在、稼働中の泉大津沖埋立処分場、尼崎沖埋立処分場は、それぞれあと何年で満杯となるのか、また新計画の神戸沖埋立処分場はおおむね何年まで対応可能と予測されているのか。加えて、現計画の中では和歌山基地を経由して廃棄物を受け入れる対象地域は和歌山市、海南市、橋本市など県北の四市十二町に限られておりますが、将来、中紀、南紀の市町村に関しても対象地域に繰り入れられるべきであると思うが、いかがでありましょうか。部長のご答弁を求めます。
 ところで、最近の新聞報道によりますと、厚生省が社会問題と化している産業廃棄物の不法投棄の実態を初めて調査し、結果を公表したことが報じられておりました。もちろん、これは厚生省が調査したというよりも厚生省の依頼によって四十七都道府県が調査したというのが正確でありますが、ともあれこの調査によると、全国で過去三年間に不法投棄された産業廃棄物は総量で千三百六件、百十六万八千トンに上っております。そして最終処分場の種類でありますけれども、対象廃棄物の種類によりまして構造とか設備が規定されております。それによって許認可関係も、知事の認可が必要なもの、そうでないものとに分かれているわけであります。一定規模以上のこれら処分場を建設するときにはいずれも都道府県知事の許可が必要であり、一たん許可を与えた自治体は立入検査をすることができるわけですけれども、一度設置された後は多くが監督がおろそかになっているという報告であります。それを裏づけるショッキングな実態も明らかになったとして、昨年十一月に公表された環境庁の全国調査では、有害物質の投棄が認められていない安定型の処分場八十二カ所のうち三十カ所が水銀やカドミウムなどの重金属や発がん性物質で汚染されている事実が判明したと報じられております。また今回の厚生省調査は、一件当たり投棄量が十トン未満については調査対象にしておりませんで、実際には今回のデータを上回る産業廃棄物が全国各地に不法投棄されたままになっていると考えていいと思います。これら不法投棄が横行する背景には、廃棄物の後始末に経費をかけるのは損だという発想を助けるような現行法の欠陥があると指摘をされており、まじめに処理していたら採算がとれないので不法投棄に走るという傾向が根強い、悪質な不法投棄であっても現行の罰則では罰金百万円で済むからだと指摘をしております。
 以上のことから、幾つかの極めて重大な問題点が浮かんでまいりますが、以下数点にわたって担当の部長に質問いたします。
 一点目、県内の最終処分場業者数とその規模はどうか。これら業者に対する徹底した管理監督は行っているのか。
 二点目、環境庁の調査で明らかになった汚染処分場三十カ所の中に本県関係のものはあるのかないのか。
 三点目、県知事の許認可を必要としない小規模の処分場に汚染の心配のあるものが多いと言われておりますが、県内のこれら小規模処分場の実態について調査したことがあるのか、またその現状についてご報告を願いたい。
 四点目、不法投棄して罰金百万円を払っても結局は得だという企業倫理にもとる悪質な業者を一掃するために、この際罰則を強化すべきであると思いますが、どうでしょうか。国への働きかけとあわせてお答えをいただきたい。
 別の調査によれば、近年、都道府県境を越えて産業廃棄物が移送される量がふえていることが報じられておりました。この件については、同僚向井議員を初め多くの議員が取り上げておられますが、再度、簡単に申し上げたいと思います。
 現在、全国で規制をしている県が大変多いわけでありますけれども、県外産業廃棄物の搬入規制をしていない都道府県が全国で十六都府県あります。そして、関西六府県はすべてこの搬入規制をしていない県に入っております。
 もう一つ、最近、大変興味のある新聞報道がございました。それは、産業廃棄物に関する裁判であります。一つは二月十四日付の日経新聞でありますが、北海道釧路市に産業廃棄物処理場を建設する業者が廃棄物処理法に基づかない行政指導により建設を不許可としたのは違法だとして、道知事を相手に訴訟を起こし、この裁判によって裁判長は業者の訴えを認めて道に処分の取り消しを命じた。産業廃棄物設置の許認可は機関委任事務として都道府県が扱っているが、根拠法令の廃棄物処理法には立地規制がなく、裁判では道が地域の環境保全を目的に定めた行政指導基準の適法性が争点となっていたと報じられております。
 また、翌日の二月十五日の同じく日経新聞には佐賀県の裁判の例を報じております。町の規制を盾に土砂運搬用トラックの林道使用を禁止したのは違法だとして福岡市の産廃業者が佐賀県基山町長を相手に処分の取り消しを求めた裁判の判決でございまして、こちらの方は、裁判長が「森林保全などを目的に地域限定的に開設された林道の管理権は町にある。長期にわたる大量の土砂搬入は目的外使用で、町の処分は裁量内の行為で適法」だとして業者の訴えを却下したという報道であります。
 そこで、お尋ねをいたします。
 一点目、近畿ブロック六府県は、いずれも流入・流出規制をしておりませんが、ある意味で野放し状態と言っても過言ではないと思います。今後、県民の良好な生活環境を守るために流入規制を実施する考えはないか。
 二点目、この調査によれば本県は流出が流入を大幅に上回っておりますけれども、これは事実か。事実とすれば、いかなる理由によるものか。また、他県への迷惑、影響などを考慮し、将来、流出に関しても規制していく考えはないか。
 三点目、ただいま紹介した新聞報道の、ある意味で相反する判例についてどう思うか。
 四点目、本県内においても住民と産廃業者の間で紛争が幾つか起こっておりますが、佐賀県基山町の例を参考に、市町村と協議の上での話でございますが、不法投棄防止の有効な手だては考えられないか。
 以上、いずれも生活文化部長からお答えをいただきたいと思います。
 次に、一般廃棄物に係る諸問題に移ります。
 初めに、ごみ処理に関する諸問題についてであります。
 我が国のごみ排出量は年間五千二十万トンと言われておりますが、年々増加し続けている一般廃棄物の処分場用地の確保が今後ますます難しくなっていくと予想されます。したがって、ごみ排出量の削減、ごみの再資源化、再利用が緊急の課題と申せましょう。このような社会情勢から、この数年、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、再生資源の利用の促進に関する法律、さらに容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律いわゆる容器包装リサイクル法でありますが、これが相次いで制定されました。これら一連の流れを受けて、本県内におけるごみの分別収集、再資源化、再生利用の現状と今後の取り組みについて簡潔にお答えをいただきたい。特に、県下五十市町村すべてにおいて、ごみの分別収集の完全実施はおおよそ何年に実現するのか、明らかにしていただきたい。
 近年、いかに環境への負荷を少なくし、人間が自然環境と共存できるのかという観点から、多くの地方自治体や企業、団体が、ごみの減量化や再資源化、再生利用の研究に力を入れ、開発、実現をしている例が報告されております。
 例えば、鉄鋼メーカーは、溶鉱炉の技術を生かしてごみを高温で溶かして再資源化を図り、大阪・茨木市で供用を開始しました。これによると焼却灰が発生しないため、埋め立て処分が不要になるとのことであります。またある非鉄金属メーカーは、ニッカド電池を回収して溶解し、ニッケルとカドミウムに再生、販売。他の非鉄金属メーカーは、自動車の使用済みバッテリーを回収、精錬し、鉛を再生。またあるセメント工場では、原料の焼成工程で廃タイヤや廃油を燃料として使用し、その焼却灰はセメントの成分に取り込むことに成功した。これに関しては、埼玉県が積極的に県内のセメント工場での実用化を推進しております。同県では、昨年、廃パチンコ台の燃料化も実現しており、注目を集めております。さらにある企業は、米国の企業と提携して発泡スチロールの再生技術を導入し、造船メーカーと共同で鹿児島市でプラントを建設する計画が進んでいるとのことであります。変わったところでは、奈良市が市内から出るごみの焼却灰を使ってれんがやインターロッキングブロックの製造に取り組み、この試験製造を障害者団体に委託、知的障害者の共同作業所で生産され、既に市防災センター、体育館、小学校等で舗道や縁石として使用されているそうで、ごみの再資源化と障害者の社会参加、就労確保の一石二鳥の妙案と話題を呼んでいるのであります。従来の、ごみは焼却処分し、焼却灰は埋め立て処分するものという画一的な発想から、さまざまな発案、研究、開発によってごみの減量化、再資源化、再生利用が急速に進んでいる事実にかんがみ、本県内においてもそれぞれの自治体、地域の実情などを考慮し、各市町村に対し助言、指導を行っていくべきであると思いますが、いかがでありましょうか。県内三十施設の現状とあわせてお答えをいただきたい。
 次に、もう一つの一般廃棄物である排水についてであります。
 水質汚濁の原因の半分は一般家庭からの生活排水と言われております。すなわち、炊事、洗濯、入浴などの雑排水、並びにし尿であります。水質汚濁の五〇%は家庭からの生活排水が原因とされる現状にかんがみ、これら生活排水対策を推進するためには、公共下水道、流域下水道などの下水道整備を促進し、県下各市町村、各地域の実情に応じて合併処理浄化槽、農山漁村集落排水施設、コミュニティープラントなどの生活排水処理施設の整備を急ぐとともに、一般家庭からの水質汚濁への負荷を減らすために、住民へのPRと意識の高揚に取り組むことが急務であると考えます。これら生活排水処理施設の整備状況を示す数値を見ると、残念ながら本県は水洗化率は四九・三%で四十位、公共下水道普及率は八%で四十七位、汚水衛生処理率は一一・一%で同じく四十七位と、全国四十七都道府県中最下位に甘んじているのであります。その原因をせんさくすることは、今回の質問の中身とは違いますのでやめることにします。
 そこで、お尋ねをいたします。
 本県が置かれている実情に照らして、下水道網の整備は他のどの事業よりも最優先の最重要課題と思いますが、二十一世紀初頭を目指して、本県として今後どのような事業推進を図り、その達成目標をどのレベルに置いておられるのか、最高責任者である知事の所見を承りたいと思います。
 二点目に、普及がおくれている市町村並びに未着手市町村に対して、新規事業着手をどう指導、推進していくのか。今世紀中に達成すべき目標について各担当部長の答弁を求めます。
 三点目、水環境の保全は、これまで水質汚濁の防止という観点が主でありましたが、人類が水環境から受ける恵みという観点から、水質のみならず、水生生物、水量、自然保護といった総合的見地から対策を立てていく必要があると考えます。
 そこで、都市区域における水循環の確保を図るため、水循環・再生下水道モデル事業、再生水利用下水道事業の推進、並びに浸透升や透水性舗装の積極的導入について、各担当部長の取り組みに対する決意をお伺いいたします。
 次に、海水汚濁問題についてお尋ねをいたします。
 日本海で発生したロシア船籍タンカー、ナホトカ号の重油流出事故は、日本じゅうに大きな衝撃と教訓を残しました。このことは決して対岸の火事ではなく、タンカー航行量の多い本県海域においても十分予測されることであります。流出原油は、自然環境の中で分解し、完全に浄化されるまでに長い年月がかかり、海洋性の動植物などの生態系に重大な影響を及ぼすことを考えますと、ナホトカ号事故で初動体制など危機管理の不備が指摘されていることにかんがみ、本県海域での重油流出事故が万一発生した場合の危機管理体制の発動について、和歌山県としてはどのように対応するおつもりであるのか、総務部長の見解をただすものであります。
 次に第五点目の、リサイクル社会の構築に関する諸問題についてお尋ねをいたします。
 平成六年度実績で我が国の各種リサイクルの現状は、スチール缶が六九・八%、アルミ缶が六一・一%、古紙五一・三%と再資源化がかなり進んでおりますが、一般廃棄物の再資源化率は全体でわずかに三・九%にとどまっており、リサイクル社会実現への道のりはまだまだと言わざるを得ません。もちろん、完全なリサイクル社会を構築するためには、各家庭における意識の高揚は当然のこと、メーカーサイドのデポジット制度の導入や販売店における簡易包装の徹底など、経済・社会総体としてのリサイクルシステムの構築が急がれるところであります。また、廃棄物リサイクル対策に係る責任とコストについて、事業者、消費者、国、地方公共団体で適切に分かち合うルールづくりや、製品の開発、製造、流通、消費、排出、回収、再生の各段階において環境への負荷を極力抑えるために、廃棄物の発生を抑制し、再生利用を推進していくために全員参加で研究、努力していく必要があると思います。
 そこで、お尋ねをいたします。
 第一に、本県における主な容器等の回収の実態はどうか。
 第二に、デポジット制度の導入はどの程度進んでいるのか。
 第三に、リサイクル社会の構築のために、事業者への指導、消費者の意識の高揚についての取り組みはどうか。
 それぞれ、部長からお答えをいただきます。
 次に、財政問題に移ります。
 平成九年度予算編成に当たって、厳しい財政事情を踏まえて、これまでの制度、施策の見直し、歳出の削減合理化に取り組んだ、まさに苦労の跡がにじむ予算と申しても過言ではないと思います。しかしながら、財政調整基金七十二億円、県債管理基金二百八十四億円など、合わせて五百二億円もの基金を取り崩すなど、やむを得ない措置とはいえ、この取り崩しによって基金残高は財政調整基金が二十七億二千八百万円、県債管理基金が三百三十九億四千万円と、いずれも明年度には底をつくところまで来てしまったと言わざるを得ません。一般家庭で言えば、いざというときのために銀行と郵便局で貯金をしていたものを少しずつ引き出して貯金残高も残りわずかとなった姿に似ていなくもありません。さらに、六百九十六億円余の県債を発行することにより、年度末県債残高は五千五百七億六千二百万円に達し、ほぼ本県の年間歳入歳出予算額と変わらない多額の借金を抱えることになってしまいました。これによって、起債制限比率は九・一%となるのであります。
 ところで、聞くところによりますと、震災復興に苦労する神戸市は、平成九年度当初において起債制限比率が二一・六%に達する見込みだそうでありまして、赤字再建団体に転落する瀬戸際まで追い込まれているという、まことに厳しい状況下であります。加えて橋本内閣は、消費税の五%へのアップ、特別減税の打ち切り、社会保険負担増のトリプル増税で、約九兆円とも言われる国民負担を強いる予算案を提出、先週、衆院を通過したところであります。
 バブル崩壊後、我が国経済は極度の不振に陥り、本年一月には四年ぶりに一ドル百二十円台まで急落、株価も低迷を続けているのであります。大蔵大臣や日銀総裁が、いかに景気は回復基調にあるとか日本経済は上向いているとか言っても一向に上昇の気配はありませんし、あまつさえ、先ごろ開かれたG7において、先進各国が協調して円安・ドル高に協調介入することが確認され、世界じゅうに報じられても、効果があったのは数日間だけで、またもとの円安・ドル高に逆戻りした現実を我々は最近目にしました。今こそ、思い切った減税と大胆な規制緩和、行財政改革、地方分権を推進することにより国民の消費意欲を喚起する以外に我が国経済を好転させる方策はないと断言せざるを得ませんが、この議論は別の機会に譲ります。
 ただ一点だけ、このような財政危機に直面する中、今後どのような財政運営を心がけていかれるのか。神戸市のように、いつ災難が襲いかかるか予測は尽きませんが、神戸市ももとは積極的な財政運営で知られ、財政の豊かな団体であったはずであります。しかし、あの悪夢のような阪神大震災によって今や赤字再建団体転落寸前の状況に追い込まれている事実を教訓として、今後、本県の財政運営に当たる知事の所見をお伺いいたします。
 ところで、消費税であります。
 まことに許しがたいことでありますが、四月一日の消費税五%実施を前に、早々と公共料金の値上げが相次いで発表されました。JR、私鉄各社、国内航空運賃、高速道路料金、電気、ガス、NTT電話料金、国産たばこ、ガソリン、酒類など、いずれも我々国民の日常生活と密接に結びついているものばかりであります。消費税の逆進性という点にかんがみ、私は公共料金こそリストラなどの企業努力で極力据え置くなどの対応をすべきであると思います。今、私が最も心配するのは、年金生活者等の社会的に弱い立場の人々の生活への圧迫であります。預金金利が最低限に抑え込まれていることで厳しい状況にあるこれらの人々にとりまして、公共料金の値上げが家計を直撃するだけに、JR、NTT電話料金、電気、ガス、社会保険診療報酬などは据え置くのが当然であると、私は憤りを持って申し上げたい。
 ところで最近、首相の諮問機関である物価安定政策会議という会議が開かれました。その特別部会の部会長である小島英敏さんは、会の終了後に記者会見をして、このようにおっしゃっておられます。「民間企業は厳しいリストラに取り組んでいるのに、公共料金関係の事業体は甘やかされている面もある。消費税上げ分の適正な転嫁はやむを得ないが、参入規制の撤廃を推し進め全体の料金体系を押し下げる努力が欠かせない」と、暗にこれら値上げを発表したところへの批判をされております。
 そこで、質問であります。
 今回の消費税の増税に伴い、その逆進性という点などにかんがみ、庶民の生活を直撃するものを中心に、極力据え置きなどの努力をすべきであると考えますが、知事のこの問題についての基本的な姿勢をお聞かせいただきたい。
 三点目、先ほど紹介した物価安定政策会議の席上でも、出席した各委員から便乗値上げが横行するおそれがあるとの発言が相次いだと報じられております。八年前の消費税導入時の悪質な便乗値上げの例を思い出しますが、これら一部の悪質な業者による便乗値上げを防いで庶民の生活を守るためにどのような対処をされるおつもりか。物価モニター制度などあらゆる手段を駆使し、また業者に対する監視、調査など、その取り組みについて生活文化部長の答弁を求めるものであります。
 最後に、関西国際空港に係る問題について、二、三質問をいたします。
 去る二月十九日に一斉に新聞報道で、神戸空港が九八年着工、二〇〇四年十月一日の開港を目指して運輸省から設置許可されたことが報じられておりました。前の議会でも、私申し上げました。大阪空港の廃止が神戸空港建設の前提である、そのように申し上げた経緯がございます。またこの新聞報道の中にも、狭い関西の中に三つも空港が要るのかという疑問の声も上げられておりました。
 そこで、お尋ねをいたします。
 第一に、かかる時期に神戸空港が正式に認可されたことについて、知事はどのように思われますか。この際、率直なご意見、感想を聞かせていただきたい。
 第二に、財政問題のところでも少し申し上げましたが、今、我が国経済は未曾有の危機の中にあり、景気の低迷から抜け出すことができず、かつてイギリス病と言われたサッチャー首相以前の英国と同じく、日本病とも言うべき病の底にあるのであります。この状況から脱出するためには、思い切った減税と大胆な規制緩和、行財政改革、それに大幅な地方分権の実行によって国民の消費意欲を拡大するとともに、企業の投資意欲を喚起する以外にないと私は考えますけれども、思い切った施策の一つとして、荒唐無稽と言われるかもしれませんが、提案があります。
 関西国際空港の二期工事は、一九九八年度に着手、二〇〇七年に二本目の滑走路の完成、供用開始、二〇一一年に空港新施設供用開始のタイムスケジュールで今後進められてまいりますが、この際、二〇一〇年あたりをめどに横風用滑走路も含めた全体構想を前倒しして実現していくことによって関西経済並びに我が国経済に与えるインパクトははかり知れないほど大きく、そのメリットは大いなるものがあると思われます。この世論を巻き起こしていくために、知事にはぜひとも関係各方面に説いて回っていただきたい。今申し上げたように荒唐無稽な話だと一笑に付していただいても結構ですけれども、できればご意見を伺いたいと思います。
 第三に、県内数カ所を結ぶコミューター空港網の早期実現を図り、これを関西国際空港と結ぶことによってその価値をより高めるべきであると思いますが、このことについては企画部長からお答えをいただきたいと思います。
 第四に、先ごろ、二期工事用土砂採取事業は民間方式で行うことが発表されたところでありますが、関西国際空港の二期工事が一九九八年度末にはスタートすることから逆算して、土砂採取事業の立ち上がりのタイムリミットが迫っていることはだれの目にも明らかであります。そこで、同事業の概要について明らかにすべき時期が来ていると思いますが、いかがでありましょうか。企画部長にお尋ねをいたします。
 以上、項目が多岐にわたりますので、答弁は極めて簡潔に要領よくお願いをしたいと思います。特に生活文化部長にはお願いを申し上げて、質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 森議員にお答えをいたします。
 まず、産業廃棄物の問題であります。
 県内産業の健全な発展のためには産業廃棄物処理施設の確保が大変重要なことであると認識をしてございまして、排出事業者の熱意と努力が前提ではございますけれども、県としても、市町村の協力も得ながら最終処分場問題について検討していきたいと思っております。
 次に、下水道の問題であります。
 下水道等の汚水処理施設の整備につきましては、生活環境の改善、あるいは河川等の公共用水域の水質を保全するために、県としても重点施策として取り組んでいるところでございます。この事業の整備に当たりましては、平成七年度に策定した和歌山県全県域汚水適正処理構想に基づきまして、市町村を事業主体として各省庁の事業を取り入れ、二十一世紀初頭の水洗化率を六〇%にすることを目標に整備促進を図っているところでございます。それぞれの事業につきましては、関係部長から答弁をいたします。
 次に、財政問題であります。
 議員ご指摘のように、財政状況は大変厳しい状況を迎えております。しかし一方では、和歌山の新時代に向けて、県民の皆さんに身近な社会資本の整備、総合的な福祉施策の充実等、重要な政策課題は推進をしていかなければなりません。こうした状況の中で、今後の財政運営に当たりましては、所信表明でも述べさせていただきましたが、従前からの行政改革大綱に基づいた取り組みはもちろんのこと、さらに抜本的かつ構造的な行財政改革を推進することによりまして、政策的経費の財源確保を図り、二十一世紀に対応し得る行財政システムをつくっていかなければならないと考えております。そうした中で、職員の意識改革あるいは地方分権の推進、また県民の皆様方のなお一層のご理解とご協力をいただく努力を進めていく必要があろうと思っております。
 次に、使用料、手数料等への転嫁の問題であります。今回の税制改革に伴う消費税率のアップにつきましては、これから申し上げる点を基本方針として対応をしたところであります。
 一つは、平成九年度は平成五年度から四カ年を経過し、使用料等の全面改定を行う年度に当たっておりますけれども、物価上昇の状況や県民生活への影響を勘案いたしまして、消費税率のアップ分以外の改定は見送ることといたしました。
 次に、県立高等学校の授業料及び入学金、公営住宅の家賃、軽費老人ホームの使用料など、県民生活に直接的に影響を生じ、政策的配慮の必要なものにつきましては、従前どおり課税対象から外すことといたしております。
 また、消費税の税率アップ分を歳入に転嫁しないことによる実質的なコストの増加につきましては、民間委託の促進、事務事業の見直し、経常的軽費の節減など、徹底的な経営努力によって、でき得る限り吸収するように指示しているところでございます。
 次に、神戸空港に対する所感であります。
 率直に申しまして、月日がたつにつれていろんな変化があるなということを感じておりますが、神戸空港については、神戸都市圏の国内航空需要の一部を担うという位置づけのもとで、第三種の地方空港として設置許可が出されたところでございます。したがいまして、国においては、第一種空港である関西国際空港との基本的な機能分担が考慮されているものと考えております。国際線、国内線がともに乗り入れるハブ空港としての関西国際空港の機能が損なわれることのないよう、さらに国内便の確保についても十分配慮されることが必要でございます。県としても、引き続き関係機関に強く要望していきたいと考えております。
 最後に、関西国際空港の全体構想に関連してであります。景気対策として関西国際空港全体構想の早期実現を図ってはどうかというご質問であります。
 関西国際空港の建設は、まさにビッグプロジェクトで、全体構想を実現するための事業費は二兆円を超えると言われておりまして、議員ご指摘のように、それに伴う経済波及効果は大変大きいものがあろうと思っております。また、関西国際空港を世界有数の国際ハブ空港に育てるという観点からも、全体構想の早期実現は不可欠なものであると認識しております。しかしまた一方では、国、地方ともに財政状況が極めて厳しい状況にあることも事実であります。こういった中で、お話にございましたように、県といたしましても、引き続き県議会のお力添えを賜りながら、空港整備財源の充実も含め、二期事業の円滑な推進並びに全体構想の早期実現について、関係府県、関係団体と連携をしながら国にも働きかけていきたいと考えております。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 森議員にお答えをいたします。
 環境問題の十四点についてお答えをいたします。
 まず、県内の最終処分場の残余容量についてでございます。
 合計百二十四万立方メートルとなっており、新たな処分場の立地を見込めないとの仮定のもとに年間の排出量で単純計算いたしますと、約三年分の残余量と推定されます。
 次に、大阪湾フェニックス計画の処分場は、現在使用中の泉大津と尼崎処分場につきましては、管理型区画が平成十年度、安定型区画が平成十五年度に満杯になると予測されてございます。その後の対応として神戸沖処分場の計画が進められてございますが、平成十一年度に受け入れを開始し、平成十七年度までの計画となってございます。
 フェニックス計画の広域処理対象区域は厚生大臣が指定するもので、平成五年度の区域見直しの際に県として区域の拡大を要望いたしましたが、土地利用の程度等を審査され、吉備と広川の二町の追加だけが認められたものでございます。内陸部は飲料水の取水源が多く、海岸部は自然公園に指定されて法的制約があるなど、本県の特殊事情もございますので、機会をとらえて区域の拡大を要望してまいりたいと考えてございます。
 次に、最終処分業の許可業者は八業者、許可容量百四十九万五千立方メートルであり、環境月間のパトロールや苦情発生時の立入調査等により随時指導を行ってまいりましたが、平成九年度以降は定期的な監視を行うべく、水質等の検査費用を当初予算でお願いしているところでございます。
 次に、県内に汚染処分場はないのかというご質問でございます。
 平成六年度と七年度に環境庁が実施した安定型最終処分場水質調査において本県の処分場も調査対象となりましたが、公共水域への排水基準を満足している結果でございました。なお、平成九年度からは県独自の水質調査を実施してまいります。
 次に、ミニ処分場の実態調査と現状でございます。
 法定規模に達しない、いわゆるミニ処分場の実態につきましては、確認すべき資料がないため正確な実態を把握することは困難でございますが、平成七年度から県警、市町村、産業廃棄物協会の協力を得て実施している陸・海・空からの一斉パトロールにより把握に努めてございます。現時点で把握しているミニ処分場と思われるものの数につきましては、高野口保健所管内に二十一、その他の保健所管内に十六の合計三十七カ所と報告を受けてございます。
 次に、不法投棄の抑止力として罰則を強化する必要があると考えてございまして、近畿二府四県八保健所設置市で構成する近畿ブロック産業廃棄物処理対策推進協議会を通じて法律改正の要望を行ってございます。
 次に、産業廃棄物の越境移動に規制をというご質問でございます。
 県外から流入する産業廃棄物に対して一定の規制を加えることについては、県としての方針を明らかにするための指導要綱を近く策定する予定でございます。本県の場合、中間処理施設が未整備の中小企業が多いため相当量の流出もある状況でございまして、流出を直ちに規制することは困難でございますが、県外からの流入に制限を加える以上、県内からの流出についても抑制の努力をする必要があると考えますので、指導要綱にこの考えを盛り込みたいと考えてございます。
 次に、産廃投棄をめぐる相反する判決の事例についてでございます。
 林道の通行を禁止することにより町が産業廃棄物の搬入を阻止したことにつきましては、廃棄物処理法には規制の限界もございますので窮余の策として行われたものと思われます。一方の、行政指導要綱により不許可としたことが違法との判決につきましては、現行法上はこのような結果になるものと思われますが、今回の法律改正要望の中で地域の環境の実態に応じた判断が許されるよう強く要望しているところでございます。
 次に、不法投棄防止の有効な手だてはないのかというご質問でございます。
 産業廃棄物処分場を建設するためには、土地取引、地目の変更、農地転用、里道、水路の変更、林地開発や都市計画上の許可など、さまざまな法的制限をクリアする必要がありますので、それぞれの段階で住民の声を反映させることや、それぞれの規制を担当する機関が連携することが重要であると考えまして、各地域ごとに保健所、県事務所、土木事務所、警察署及び地元市町村を構成員とした産業廃棄物適正処理連絡会議を発足させたところでございます。産業廃棄物の適正処理のために、今後、廃棄物処理法の動向を見きわめながら、この会議を活用して廃棄物処理法の限界をカバーすることも考えてまいりたいと存じます。
 次に、一般廃棄物問題についてでございます。
 ごみの分別収集については、県下市町村において何らかの形で分別収集を行っております。また、缶、瓶等の資源ごみの回収は二十一市町村で行われており、年間回収量は三万九百トンで資源化率は七%と、全国平均を若干上回っております。
 ごみの排出抑制やリサイクルを促進する容器包装リサイクル法が本年四月から実施され、県内四市十七町五一部事務組合で分別収集計画が策定されております。県といたしましても、この分別収集計画が円滑に実施されるよう市町村と連携を図り、県民や事業者への啓発に努めるとともに、リサイクルセンター等資源化再生利用施設の整備を促進するため、国庫補助の確保や支援策を講じてまいります。
 なお、分別収集計画が未策定の七市町につきましては、次期策定時期の平成十一年度に策定されるよう強く指導してまいります。
 次に、ごみの減量化、再資源化の問題でございます。
 平成六年度の本県の一般廃棄物の排出量は四十三万八千トンで、そのうち三十三万トンが焼却処理され、焼却灰は埋め立て処分されております。また、県下のごみ処理施設は昭和四十年後半から昭和五十年後半に設置されたものが半数を占め、小規模な施設が多いのが現状でございます。今後県といたしましても、従来の廃棄物を燃やして埋める処理から、ごみの排出抑制、リサイクルへの積極的な取り組みを指導するとともに、小規模施設やリサイクル施設の集約化、ごみ固形化燃料としてのRDF化施設の設置など、市町村とともに既設の焼却施設の更新時期や市町村間の地理的、社会的条件などを検討いたしまして、適切な廃棄物処理施設の設置を指導してまいりたいと存じます。
 次に、排水問題でございます。
 合併処理浄化槽につきましては、平成八年度において、五十市町村中四十七市町村が設置に対する補助事業を実施いたしております。未実施市町村に対しては事業の実施を働きかけてまいったところでございますが、平成九年度に新たに一町の実施を予定してございます。残る町村に対しても、引き続き事業の実施を呼びかけてまいりたいと存じます。県といたしましては、今後とも合併処理浄化槽の設置を推進し、平成十二年度までに人口比一二%の処理率を目途に整備を図ってまいりたいと存じます。
 次に、リサイクル社会における容器回収の実情はというご質問でございます。
 一般廃棄物処理事業実態調査による平成六年度県下の実績は、金属類で一万四千トン、瓶類で九千トンの計二万三千トンが回収されております。
 デポジット制度の導入でございますが、デポジット制度は事業者が行うことが基本であると考えております。現状でのデポジット制度はビール瓶のみであり、ホテル等の業務用を対象としてミネラルウオーター、コーラ瓶が一部制度化されております。
 次に、事業者、県民への意識の高揚でございます。
 本年四月から実施される容器包装リサイクル法は、事業者、消費者、行政の役割分担を明確にし、事業者に再商品化という義務を課し、廃棄物に対する費用負担を求めているのが特徴でございます。今後、これにより過剰包装を抑制し、再生利用しやすい素材を使った容器包装に切りかえられることが予想されます。また、廃棄物に対する県民への意識啓発につきましては、これまでも環境月間や衛生週間で、テレビ、ラジオ、「県民の友」による啓発、市町村では広報紙等による啓発を行っており、今後も引き続き積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、財政問題のうち消費税の引き上げに伴うものでございますが、消費税率引き上げに伴う便乗値上げを防止するため、物価モニターや職員による価格動向調査について特別調査を実施するなど、調査、監視を強化してまいります。また、消費者の監視も便乗値上げ防止には効果的であることから、消費者に対する説明会の開催や啓発用パンフレット、ポスター、物価情報誌の配布など情報提供を行うとともに、消費者からの情報や問い合わせにも積極的に対応し、必要に応じて関係部局とも連携を図りながら便乗値上げの防止に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) この際、申し上げます。
 当局の答弁は、要を得て簡単明瞭に行うよう留意を願います。
 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 排水問題についてのご質問にお答えします。
 まず建設省所管の下水道事業でございますが、平成八年度現在、十五市町が事業に着手し、そのうち八市町で供用開始しております。また、平成八年度からの第八次下水道整備五カ年計画の中で十八市町村が着手を予定しておりますが、これらの市町村に対し、積極的に着手するよう今後ともなお一層働きかけてまいります。
 また処理人口普及率につきましては、平成十二年度末の目標を一四%とし、下水道整備の促進を図ってまいります。
 次に、水循環を図るためのモデル事業についてでございます。
 これにつきましては、下水処理水を貴重な水資源の一部として活用する上で重要な事業であると認識しておりますが、本県においては、現在、下水道の普及拡大を最優先として取り組んでいるところであり、議員ご指摘の件については、普及の進捗状況を見ながら、その推進について検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 排水問題について、未着手の市町村に対する支援はということでございます。
 農林水産部所管の下水道整備事業でございますが、農業集落排水事業につきましては、昭和五十九年度に美浜町で初めて実施して以来、平成八年度までに四市十二町一村の三十五地区で事業実施しており、そのうち一市二町の七地区で供用を開始しております。漁業集落排水事業につきましては、二市二町八地区で事業実施を、また山村部の小規模排水事業については、一町一地区で事業を実施しております。三事業合わせまして、四市十五町一村四十四地区で実施しております。
 なお、平成十二年度末には対象処理人口に対する着手率四〇%をめどに、今後とも市町村と協力して事業の推進を図り、水質汚濁の改善と生活環境の向上に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 重油流出事故への対応についてお答えします。
 海洋での船舶の事故等により重油などの危険物が流出した場合は、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律に基づき、海上保安庁の指示により、船舶の所有者から委託を受けた海上災害防止センターが中心となり、排出油防除のための応急措置を講じることとなってございます。しかし、流出油が沿岸地域に漂着するなど周辺地域に重大な影響を及ぼすおそれがある場合は、県地域防災計画の定めるところにより、県災害対策本部を設置することは言うまでもなく、事故対策連絡調整室を設置し、効率的な防除対策に取り組むこととしており、昨年の近畿府県合同防災訓練の際も、タンカー事故を想定した訓練を和歌浦湾で実施したところでございます。
 なお、今回の日本海重油流出事故にかんがみ、国においては流出油防除体制総合検討委員会を設置し、事故再発防止、流出油防除対策等を総合的に検討されてございます。また本県でも、流出油災害に対する体制の整備を図るため、和歌山県排出油防除対策協議会(仮称)を設置するよう、海上保安部を中心に関係機関と協議を進めているところでございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) リサイクル社会構築のための事業者への意識の高揚の取り組みについてお答えいたします。
 議員お話しのとおり、リサイクル社会構築のために事業者の果たす責務はまことに大きいものと考えてございます。このことから、資源の有効利用や廃棄物の発生の抑制及び環境の保全に資するために、再生資源の利用の促進に関する法律、いわゆるリサイクル法が施行されたところでございまして、商工労働部といたしましては、事業者に対して資源の再利用についての情報提供や普及啓発とともに、産業廃棄物の削減と再利用の促進、環境に配慮した生産工程の構築等の研究開発も進めてまいったところでございます。さらに本年四月から、容器包装リサイクル法に基づきまして事業者の再商品化の義務が課せられますが、法の施行と今後の動向についてセミナー等を開催し、普及啓発に努めているところでございます。今後とも、法律の趣旨を踏まえ、指導、啓発してまいりたいと存じます。
○議長(町田 亘君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 森議員にお答え申し上げます。
 県内コミューター網の早期実現についてであります。
 ヘリコミューターの実現は、事業採算性など難しい問題もございますが、ヘリコプターは県内外の交通の高速性や利便性の向上を図る上で非常にすぐれた交通機関であることから、今後もヘリコミューターの実現に向けた検討を行ってまいりたいと存じます。
 また、県内コミューター網と関西国際空港との連結についてでありますが、コミューター網の有効性を十分発揮させるためには、広域的な交通結節点とネットさせることが不可欠でございますので、従来より近畿八府県三政令市で近畿圏ヘリ・コミューターシステム協議会を設置し、関西国際空港への乗り入れを要望しているところでございまして、今後とも乗り入れの実現に向けた取り組みを行ってまいりたいと存じます。
 次に、関西国際空港二期事業埋め立て用土砂供給につきましては、昨年末に事業主体を民間企業とすることなどの本県の基本方針を決定し、現在、和歌山市など関係機関と連絡調整を図るための協議会の設置準備を進めているところでございます。
 土砂の搬出時期等につきましては、現在のところ平成十二年度中と言われておりますが、事業主体となる民間企業と関西国際空港用地造成株式会社との間において、二期事業のスケジュールに沿って調整が進められていくものであると考えてございます。県といたしましては、協議会を早期に設置し、土砂供給が環境保全を図りつつ適切かつ円滑に実施されるよう、積極的に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) 以上で、森正樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(町田 亘君) この際、暫時休憩いたします。
 午後零時三分休憩
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