平成9年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(飯田敬文議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時四分開議
○議長(町田 亘君) これより本日の会議を開きます。
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 【日程第一 議案第一号から議案第八十七号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(町田 亘君) 日程第一、議案第一号から議案第八十七号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 43番飯田敬文君。
 〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 おはようございます。
 発言のお許しをいただきましたので、通告に従いまして質問をさせていただきます。
 まず初めに、県民所得の低下の中での景気対策と当初予算についてお伺いをいたします。
 今、国の財政は危機的状況に陥っております。バブル崩壊後の長期にわたる経済停滞は、一つ経済のみにとどまらず、国民生活、例えば政治形態、福祉などにも圧迫を加え、社会全体の混迷を増幅させております。その中にあって、薬害HIV問題や特養老人ホーム補助に絡む厚生省と福祉法人との疑惑、またバブル経済に端を発した金融関係の事件と、許されざる事柄を挙げると甚だ遺憾であります。また、地方行政に見られる不正支出事件は、住民に近いだけに、行政に対する不信もさらに社会不安を増幅しております。今や、日本の政治、経済、官僚組織、その他あらゆるものが閉塞しておるわけであります。これを救う道は、根本からの改革を断行するほかありません。
 二月議会ということで当初予算の説明を受けたところでありますが、低迷する経済に対する有効かつ的確なる施策を推進していただかなければならないと考えます。本年度新予算は五千八百六億円と計上されましたが、県民にわかりやすい県財政を伝える上で県財政の状況、例えば財政状況が本当にいいのか悪いのかをはっきりさせた上で真剣に議論していかなければなりません。
 景気関係の予算では、公共事業を中心に置いて景気のかさ上げをねらっておりますが、ケインズの公共事業による景気対策はもはや過去のものとなっております。それよりも、根本的な課題があるように思われます。
 先日の新聞に掲載された県民所得では、我が和歌山県は四十四位と年々低下し、また企業立地件数の伸び悩みと、私たちを取り巻く情勢は本当に厳しいものがあるわけであります。これの原因はどのようなところにあるのか、その所在と昨年の総括を明確にすることが、これからの我がふるさとの指針となります。また、企業誘致の観点から見ると、現在問題となっている火力発電誘致と地域開発の推進がございますが、自然環境の上から十分な議論をしていただき、県にとって将来を見据えたものとなるようお願いするものであります。
 県として、県民所得の低下の中で、これからの和歌山県づくりの予算にかかわっての景気の状況把握と今後の対策、並びに当初予算における取り組みと景気対策について西口知事にお伺いをいたします。
 次に、行政改革についてお聞きいたします。
 私が過去申し上げてまいりましたように、我が和歌山県の発展は、今までのような小手先の方法によるものでは現在の激変、激動についていけず、ますます混迷を深めてまいると思うわけであります。国では口先だけの改革を唱え、いろいろな絡みの中で意思を通すことができず、また抜本的に実施しようとする意気込みが感じられないのは私一人でありましょうか。今こそ、党利党略にとらわれず、みずから改革の意思を持ち、速やかなる前進を望むものであります。我が和歌山県としても、国の動向を見守る中にも、知事を先頭として県内地域への強力なリーダーシップを示していかなければなりません。国においては、省庁の統合、外郭団体、特殊法人の縮小など行政改革を唱えておりますが、官僚の強い反発や族議員による締めつけなどにより、小手先の官庁の綱紀粛正でお茶を濁そうとしております。我が和歌山県は、さきの知事指導により機構改革を行ったとはいえ、これも根本的な解決へとはほど遠いものとなっていると思うわけであります。行政改革は強い意志を持って行われるべきであり、ひいては我が和歌山県の将来を占う重要な事柄であることを認識した上で、以下の事柄についてお伺いをいたします。
 既に国会でも問題となった官僚の天下りは、よい面と悪い面が同居しておるわけであります。我が和歌山県においても数多くの外郭団体がございますが、その数及び業務内容を明らかにしていただき、これを整理し、わかりやすい県政を県民に提供するための行政改革を進めることが真の行政改革への近道ではないかと考えるわけであります。また、県は財政を念頭に入れた効率のよい機構改革を推進しておられますが、一体何がどのように変わったのか、今後どのように推進していくのかが明確になってきておりません。外郭団体の数、業務内容、県財政を見据えた効率的な県政の具体的な事柄と今後の方針について総務部長にお伺いをいたします。
 次に、規制緩和についてお伺いをいたします。
 関西国際空港が、開港以来、飛躍的に運輸量がふえ続けておるのは皆様ご存じのことと思います。また、利用人口もふえ、国際的になってまいりました。新長期総合計画の中にもあるとおり、大交流時代と言われ、世界全体が一つの圏域のような交流を迎えようとしております。その玄関口となる関西国際空港は、突き詰めれば経済交流の場であります。日本経済は、消費税の五%へのアップや公共料金の値上げ、不況のあおりを受けた労働者の解雇へと経済麻痺を起こし、また金融機関の倒産と相まって壊滅状態であります。これを救うためには、一万余に及ぶ規制緩和をなくしては語れないと考えます。
 我が国がよりどころとする自由経済体制は、本来、生産者と消費者が自主的な判断に基づき自由な経済活動を行うことにより、市場メカニズムを通じた経済の活力ある発展、消費者の多様な選択が達成されることにあります。しかし、多くの規制は消費者の犠牲の上に成り立っており、過去、疑獄事件や汚職を生む業者利権を生んでおります。また我が県においても、六十四種類七十三機関の各種の審議会等が設置されておりますが、形骸化されたものも存在するように思うわけであります。さらに、土地開発に見るようなさまざまな規制は県民にとって何の利益にもならず、民間業界団体や協会のあり方にも問題を提起しているわけであります。
 もとより私は、すべての規制や審議会、民間業界団体が不要であるとは考えておりません。県の指導性を発揮して、現代社会にとって形骸化されたものを早急に見直し、再編することが大事であります。審議会のあり方や民間業界団体に対する問題提起への対応と取り扱い、また各種規制緩和の県としての今後の取り組みについて企画部長にお伺いをいたします。
 次に、那賀郡を中心とした紀泉百万都市づくりについてお聞きいたします。
 先ごろ、県の新長期総合計画の試案が県知事に提出されましたが、その基本構想は、ゆとりと充実、輝く和歌山新時代と銘打ち、県民だれもが個性に応じたライフスタイルを選択しながら、ゆとりと潤いのある充実した暮らしを享受することができる活力ある郷土の建設とあります。しかし、それもこれも現実に即した具体的な方策が必要であります。以下、紀泉百万都市づくりを念頭に入れた那賀郡の取り組みについて私なりの考えを申し上げ、県としての見解をお聞きいたします。
 まず、定住圏の問題であります。
 前回の質問で、那賀郡の医療圏域は和歌山圏域の中に位置し、独立した医療体制のできない圏域であり、ただいま建設中の国保那賀病院の改修についても、医療圏問題がネックとなって早期の改修にならなかった経緯がございます。長期総合計画の中間報告は、今までの圏域を踏襲したままであり、現状の地域性や経済効率から目をそらしたものと考えざるを得ません。那賀郡は、県内において数少ない人口増加地域であり、いつまでも和歌山圏域のサブ圏域では、郡民に対し行政サービスの低下を招くおそれがあります。また、医療圏のほかにも保険事務にかかわる圏域や老人ホームの建設にかかわる圏域、教育などさまざまな圏域を設定しており、地域の活性化を阻害するものもあるわけであります。中でも、下水道事業やごみ処理施設の問題は深刻な影響を及ぼしております。現在、広域的に下水道事業を展開しておりますが、郡内の広域行政としての下水道整備と言われてから数年を経過した今となっても確かな姿が見えておらず、最終処理場を含め、早急に県の指導性を示し、広域行政を進めていただきたいと思うわけであります。
 なお、ごみ焼却場建設は、厚生省指導のもと、ダイオキシン公害を少なくすることを条件に厳しい要件を突きつけられており、これを建設するためには、より広域な考えのもとで、県の強力な指導が必要であります。定住圏と絡ませた地域圏の再編、具体的には県内の和歌山市を除く市町村の平均人口は一万人強であり、前項でも申し上げたとおり、個別の市町村では都市計画、下水道整備、医療、消防、施設など負担が大きく、また効率から言っても経済的ではありません。また、地方分権を進める上で広域行政推進は欠くべからざるものであり、県の指導性を強く求めていくものであります。また、将来的には市町村合併を推進、再編することで、住民が望む地域行政ができると考えるわけであります。地方分権にかかわっての広域行政と那賀郡の独立した圏域設定、及び将来の市町村合併について企画部長にお伺いをいたします。
 次に、関西国際空港が開港され、二期工事の完成目標が発表されました。関西国際空港は、ご存じのとおり太平洋新国土軸の中心として、また地方分権による関西圏の中心となるものであり、人、物、情報を受け入れ、発信するアジアのハブ空港にならなければなりません。我が和歌山、紀北地域は臨空圏三十キロメートルの圏内にあり、恵まれた立地条件にありますが、紀泉百万都市づくりを目指す上で、この三十キロメートル圏内の中にある各地域が一体となる町づくりを行う必要があります。すなわち、紀泉百万都市として、圏域を超え、グローバルな視点に立った地域形成が必要であります。もちろん、我が和歌山県独自で行えるものではありませんが、我が県が泉南地域にとってのかけがえのないパートナーになれる地域づくりが必要であります。
 まず第一に、道路であります。
 新国土軸構想の一環として京奈和自動車道路の建設が行われておりますが、県内にはいまだ姿が見えてきておりません。いろいろな調整が必要であろうとは存じますが、何が一体問題なのか、またどこに問題があるのかを明示し、早期の供用を開始すべきであります。京奈和自動車道路の問題点と完成供用の時期を明確にしていただき、加えて、紀北西、紀北東道路の同時着工をしていただき、これをできるだけ早い機会に開通させて、高速縦貫道路としての機能を持たせ、軸とすることが大事であります。紀泉百万都市づくりの中心道路としての京奈和自動車道路の建設の問題点と完成供用時期、並びに東西道路の同時着工について土木部長にお伺いをいたします。
 また、これに連結する府県間道路の整備は紀泉百万都市づくりの重要な生活連結道路として意義を持ったものであり、早急な整備が必要であると認識しております。紀泉百万都市構想にとっても、我が県の交通体系の中の第二県土軸である国道四百二十四号線の延長にある泉佐野打田線の整備が最も望まれるものであります。
 先ごろ、地域対策事業として桃山美里紀州サンリゾートラインが開通し、海草郡から国道四百二十四号線に連結したことにより、大阪側への通行も一段と頻繁になってきている現状に加え、粉河町や桃山町、さらに伊都郡各地から集中的に通行している現状であります。泉佐野打田線の現状は、和歌山側はおおむね二車線で整備されておりますが、大阪側の一部が狭隘なため、早急な整備改修が必要とされております。整備改修についての現状と見通しをお聞きいたします。
 また、桃山美里紀州サンリゾートラインを桃山町神田地域まで延長すれば、かつらぎ桃山線を通じて四百二十四号線につながり、泉佐野打田線へ直結されることになり、第二県土軸の交通体系が大きく整備されることとなります。泉佐野打田線の早期改修、また大阪側への強い働きかけを望むものであります。
 また、泉佐野岩出線が先ごろ根来地内で開通式を済ませたところでありますが、一部分の開通であり、早期の全体の完成が望まれるところであります。さらに、那賀郡各町は大阪からの移住者が多く、通勤も主に泉南から大阪市内へとなっておりますことから、貴志川町から泉佐野岩出線へのアクセスとして、船戸山にトンネルを建設し、岩出町西野より岩出橋を直進して国道四百二十四号線に直結する道路整備を計画してはどうかと思います。経済の面から見てみますと、道路網の完備によって大阪地域よりの企業進出にも大きな効果をもたらすことになり、景気の回復や就職難の折から雇用の確保が望めることとなります。紀泉百万都市の連携をスムーズにする府県間道路の建設と郡内の地域及び交通体系の中心となる道路の認識を土木部長にお伺いいたします。
 一方、個性を重視したライフスタイルの確立を目指す上で、環境や自然を生かした施設や道路が必要となっております。私が県に対して要望をさせていただいた紀泉スカイラインの建設について、打田町より那賀町までの区間の建設を早期に組み込まれたことは当局に対し深く敬意を表するものでありますが、打田町以西についてはいまだ計画されておらず、あわせて岩出町森林公園にも連結させ、これを和歌山市のフォレストシティまで延長して、自然に親しむ和歌山自然スカイラインとして建設してはどうかと思うわけであります。さらに、関西国際空港の開港を生かすため、国際的なスポーツや教育、障害者、お年寄りなどが利用しやすい施設の建設を進めることが国際的な住みよい町づくりに欠かせない課題であります。
 先ごろ福祉のまちづくり条例が施行されましたことは、県の福祉に対する強いあらわれとして評価するものでございます。その中に建築物に対する義務的措置として障害を持った人やお年寄りが通行しやすいエレベーターやスロープなどの設置がありますが、民間企業などへの指導を行う前に県の施設から優先して改修すべきであり、例えば県庁の正庁前の階段やスロープは勾配が急なため利用しがたいと考えるわけであります。早急に改善をしていただきたいと思います。
 なお、市町村への取り組みについての指導強化を徹底していただき、みんなが安心して暮らせる福祉の町づくりを完成していただきたいと念願いたします。
 また、岩出・打田両町は教育ゾーンとして近畿大学を招致したところでございますが、本年四月より二学部が増設され、総合大学への道を歩み始めております。しかし、郡内の県立高校を見てみますと就職に不利な普通高校の割合が多く目立ち、工業高校のような技術系の学科が少ないのが現状であります。将来の和歌山を、また日本を支えていく若者を育てる上で、新設高校を技術系の学科として建設されれば、産業の空洞化を食いとめ、地元にある近畿大学への進学率も上がってまいると存じますので、近畿大学の総合化の推進と工業系の新設高校を那賀郡に建設していただきたいと思います。
 福祉のまちづくり条例も、新しい教育システムも、また道路づくりも、紀泉百万都市づくりを念頭に置いた魅力ある地域を創出させてこそ、我が地域の発展につながるものと考えます。
 西口知事は選挙公約の中で、また前回私の質問の中でも、和歌山百万都市づくり、紀泉百万都市づくりを推進するとお答えをいただきました。そこで、例えば大阪府との定期交流会や定期会議などを我が県から積極的に提唱し、具体的な方策を立てて推進をしていただきたいと思うものであります。紀泉百万都市づくりを念頭に置いた魅力ある地域づくりと、知事がお考えになっておられる大阪府泉南地域との協議、連携の方策を具体的にお伺いいたしたいと思います。
 次に、昨年二月議会において質問をさせていただきました同和対策及び人権全般にかかわって、県としての姿勢なり方針を具体的にお聞かせいただきたいと思います。
 特に昨年来、同和地区関係者を初め各界各層よりの願いやご努力、また県においても、西口知事を先頭に、問題解決のためには法的措置、行政措置が必要であるとの認識に立ってさまざまな取り組みを進めてこられました。結果として、昨年十二月に人権擁護施策推進法が成立し、また事業にかかわっては現行法の一部を改正する法律案が国会で審議されているところであります。知事を初め関係各位に対し、敬意を表するところであります。
 さて、こうした国の動向や段階を受けて、県として当然これまでの総括とさきに実施された悉皆調査の状況を踏まえ、今後の基本的な方向を明らかにしていただく必要があると考えます。
 具体的には、現行法の一部を改正する法律案の考え方は昨年の政府大綱で明らかにされておりますが、それを見ると、法的措置による財政上の特別措置が十五事業、行政措置により一般対策に工夫が十四事業、人権教育・啓発に再編成が十事業、廃止または一般対策へ対応が十一事業となっております。従来の四十五事業が四つに区分され、取り組みが進められるということであります。この大綱や法律案について幾つかの重要な点があり、第一に、一部には課題がなくなったとの考えがあるように聞いておりますが、私は今回の大綱や法律案は問題や課題を解決する手法が若干変化したものととらえるべきであると思うわけであります。つまり手法において、一般対策に工夫・対応、あるいは人権教育・啓発に再編成であっても、関係地区にかかわって現存する課題については部落問題であり、それを解決する取り組みは同和対策であると考えます。県の見解をお伺いいたします。
 次に、事業実施に当たって特に問題となるのが法的措置をされる十五事業以外の事業で、残事業だけでなく、さらに必要とされる事業を県において集約されているとお聞きをしておりますが、従来の起債や交付税措置が適用されず補助金のみという事態になると、現状の市町村財政から事業実施が極めて困難になることは明らかであります。また、教育委員会で取り組まれている事業のうち、従来の委託事業から補助事業に変更された事業があり、市町村の負担が新たに課せられることになります。こうした国の状況を含めた県としての方針や方向をお伺いいたします。
 次に、人権擁護施策推進法の成立と啓発についてでございますが、昨年十二月に成立したこの法律は極めて重要な意義を持ち、成立過程や附帯決議、さらに提案説明によって部落問題を中心課題ととらえていることが明確であります。教育、啓発及び差別による被害の救済の方向を検討する審議会の設置法であり、目的、国の責務、審議会の設置、期間で構成され、特に国の責任が明記されていることと、審議会の委員の構成については、二十人以内で部落差別の問題に精通した当事者と人権と差別にかかわる問題に精通した当事者を任命することとなっております。
 私は、この法律が憲法第十四条を具体化させる極めて重要な意義を持つものであり、部落問題はもとより、人権全体の取り組みに新たな第一歩を期するものと考えております。知事のこの法律に関する所見をお伺いするとともに、和歌山県の実態が反映されるよう国に強く働きかけていただきたいと思います。
 次に、人権教育のための国連十年の取り組みにかかわって、啓発についてお伺いをしたいと思います。
 現在、和歌山県が実施している教育・啓発の大部分を和歌山県同和委員会が担っているわけであります。委員会関係各位の活動、ご苦労は並々ならぬものがあり、昭和二十七年の研究会発足以来、四十五年間の活動の中で多くの成果を上げられてきたことは言うまでもなく県民周知のことであり、深く敬意を表するものであります。しかし、時代は変わりつつあります。今、大きな節目を迎えており、あらゆる課題について、今後県の基本的な方向が問われていると思います。啓発や教育についても同様のことで、個人的なことを述べさせていただくなら、現在の同和委員会は県の委託を受けて民間運動団体として活動されてきましたが、西口知事が会長をされており、また過去には県の政策や方針にかかわった見解を提出したことがございます。また、現場の市町村の立場から見ると、県の意向として受け取る違った見方がございます。こうしたことを踏まえ、今後の県としての啓発のあり方や方向を検討していく上で、和歌山県同和委員会の役割や性格を明確にする必要があると考えます。
 例えば、研究と諮問のための審議会的な形にすることも一つの方法であります。啓発活動については、人権教育のための国連十年にもかかわる問題として十分検討を加えて再構築する時期であると認識した上で、西口知事のご見解をお伺いいたします。
 最後に、昨年十二月、「国内行動計画中間のまとめ」が出され、基本的な考え、人権教育の推進、重要課題への対応、国際協力の推進、計画の推進などで構成されておりますが、特徴として、部落問題を初めとする具体的な課題への対応と特定職業従事者に対する推進が挙げられております。このことを受けて県としての具体的な取り組みと体制づくりが重要であり、西口知事を本部長とする推進本部を早急に設置するとともに、担当窓口を置くことが早急な課題であります。
 中間のまとめでも明らかなように、人権といっても抽象的な観念ではなく、具体的な事実や実態、課題が存在いたしております。行政の機構から見ても、県民の福祉や教育のための担当部局があり、それらを人権の観点から見直すとともに、人権というラインによって機能することが大事であります。その中心に人権専門部局が存在しなくてはなりません。県の状況や今日までの歴史を考えたとき、当然、部落問題を最重要課題として位置づけ、問題解決の取り組みの体制や対策を立てることが、人権全体あるいは個人の課題に対する行政責務であると考えます。
 二十一世紀は国際化の時代であるとされておりますが、また人権の世紀とも言われております。県が真に国際化なり二十一世紀への飛躍を求めるならば、人権立県を確立することが和歌山県の目指す方向であると考えます。特に関西国際空港を中心に、アジアの人権問題を初め、国際的な人権センターの建設を行い、グローバルな国際人権都市和歌山を創出することが、紀泉百万都市の実現に向け、日本の中における和歌山県の役割であるとかたく信ずるものであります。
 以上の点について、西口知事及び県当局のご見解をお聞きして、第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 飯田議員にお答えをいたします。
 まず、景気の状況と今後の対策についてであります。
 国内景気につきましては、三月の月例経済報告によりますと、緩やかながら回復の動きを続けているとの判断がなされてございます。一方、県内景気につきましては、回復基調にございますが、依然として厳しい状況が続いておりまして、先行きには不透明感があるものと考えてございます。
 このような経済状況を踏まえて、二十一世紀に向けた県勢の着実な浮揚を図るためには、活力ある産業づくりによる県経済の活性化とそれを支える基盤整備が重要であると考えております。具体的には、次代を先導する創造的企業の育成、新産業の創出、地場産業の育成強化、成長企業にスポットを当てた企業誘致などに取り組むとともに、これらを促進し、支える交通・通信基盤の整備を図りながら、本県の地域特性を生かし、阪神圏に隣接しているという地理的条件を活用いたしまして、県勢発展のために、県民のご協力を賜り、環境に配慮しながら開発プロジェクトを推進していきたいと考えております。
 また、景気対策と平成九年度予算についてであります。
 国、地方ともに厳しい財政状況下にございまして、国の予算の一般歳出の伸びは一・五%、地財計画の伸びは二・一%と、それぞれ低い伸びとなってございまして、予算の伸びが対前年度マイナスとなる県も散見されるところでございます。
 和歌山県の平成九年度予算につきましては、財政状況が厳しいのは同様でありますけれども、各種基金の大幅な取り崩し等によって財源の確保を図りながら、地域経済の活性化に寄与すべく、対前年度四・七%増の積極予算を編成したところでございます。
 お話にございましたように本県の活性化につきましては、九年度予算においても、県土の均衡ある発展のために県内高速交通体系の早期実現に向けた取り組み等の交通基盤整備、県立医大整備等のビッグプロジェクトの推進を図るとともに、中小企業融資制度の充実、産業博覧会の開催等、産業の活性化にも努めたところでございます。また、輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり事業、和歌山ふるさとリゾート推進事業等の地域振興事業を引き続き継続するとともに、新たにまちかどミュージアム構想推進事業なども創設をいたしまして、地域の活性化施策の充実を図ったところでございます。
 次に、人権擁護施策推進法についての所見でございます。
 差別意識の解消に向けた教育及び啓発の推進、人権侵害による被害者の救済等の対応充実については、地域改善対策協議会の意見具申、人権教育のための国連十年の国内行動計画等を踏まえる中で、昨年十二月二十六日、人権擁護施策推進法が公布されたわけであります。これに基づいて人権擁護推進審議会が設置をされまして、今後、差別意識の解消に向けた教育・啓発の総合的な推進、人権侵害による被害者の救済の充実強化が図られるものと期待をしております。
 なお、同和問題に精通した委員が選任されるように、国に強く働きかけてまいりたいと思っております。
 同和委員会の今後の啓発教育についてであります。
 心理的差別解消のための教育・啓発につきましては、県同和委員会が中心となって県民総参加による県民みんなの同和運動を展開し、教育・啓発活動を積極的に推進してきた結果、県民の同和問題に対する理解、認識などにおいて相当の成果をおさめてきたと思っております。しかし、今後、差別意識の解消を図るに当たっては、これまで積み上げてきた成果とこれまでの手法への評価を踏まえ、すべての人の基本的人権を尊重をしていくための人権教育、人権啓発として発展的に再構成すべきであり、その中で同和問題を人権問題の重要な柱としてとらえ、この問題の固有の経緯等も十分認識をしながら、国際的な潮流とその取り組みを踏まえて積極的に推進していくべきであると認識をいたしております。その際、教育・啓発の総合的かつ効果的な推進という観点を踏まえた実施体制の再編についても検討してまいらなければならないと考えております。
 次に、昨年の二月定例会において、議員から人権施策に関する種々のご意見をいただいたところでございます。県といたしましても、人権施策の推進について協議を重ねてきたところでございますが、人権教育のための国連十年に関する国内行動計画も国の方から示される予定でございます。本県としても、これを受けて人権全般に係る施策に前向きに取り組んでいかなければならないと考えております。
 平成九年度から人権教育のための国連十年等に関する担当職員を配置いたしまして、できる限り早期に推進体制を整備するよう検討いたしますとともに、人権啓発のための施設の問題も含め、さらに検討を進めていきたいと考えております。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 行政改革、規制緩和、広域行政と市町村合併の三点についてお答え申し上げます。
 まず、外郭団体の実態と改革の方向についてでございます。
 県が資本金等の四分の一以上を出資しており、地方自治法上、監査委員の権限が及ぶ法人は三十六ございます。県では、これらのうち土地開発公社、道路公社など、主として県行政の補完または代行機能を果たすべく設立された十七法人については、自治法上の関与に加えて、それぞれの組織運営等について関与しておるところでございます。これらの法人につきましては、今後とも県勢活性化、県民福祉の向上のために県政の一翼を担っていただくことが望まれますが、社会情勢の変化に対応できているか、あるいは県行政の中で果たすべき役割は何かという観点から、それぞれの実態、機能等について見直しを進め、経営の効率化等を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、規制緩和における各種審議会のあり方についてでございます。
 法律または条例の定めるところにより、調停、審査、諮問または調査のために設置している附属機関は、議員ご指摘のとおり六十四種類七十三機関でございます。また附属機関のほかにも、審議会、委員会、協議会等さまざまな形態により、行政運営上の意見交換等を行うための会議を開催しているところでございます。これらの附属機関等につきましては、設置目的と現状を比較いたしまして、役割を終えたものや休眠状態にあるものは廃止等整理を行うとともに、委員の構成についても見直しを行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、規制緩和に関する取り組みについてでございます。
 県が行っている規制の多くは法律等を根拠とするものですので、国における規制緩和の推進にあわせ、県といたしましても積極的に対応してまいります。また、条例に基づく許認可等の県独自の規制につきましても、県民負担の軽減の観点から手続を簡素化するなど、所要の見直しを行いたいと考えてございます。
 次に、広域行政の推進についてでございます。
 地方分権推進委員会の第一次勧告も、地域における行政の広域的な視点のもとに行うことの重要性を指摘してございます。市町村の区域を超えた広域行政の推進ということが今後ますます重要になってくると考えております。広域行政を推進するためには、一部事務組合、広域連合などの多様な仕組みの中から地域の実情に応じたものを選択して、効果的な展開が必要であると考えてございます。地域の状況を勘案しながら効果的な広域行政が展開できるよう、県としても適切な指導を行ってまいりたいと考えております。
 次に、将来の市町村合併についてでございます。
 市町村合併については、個々の市町村の地理的あるいは歴史的条件を踏まえて住民の方々が判断されることが大切でございます。現行の市町村の合併の特例に関する法律においても、住民発議など、住民による自主的な合併が基本となってございます。今後とも、時代の流れを的確に把握し、適切な指導を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 飯田議員にお答え申し上げます。
 現在作業中の新たな県長期総合計画における圏域設置につきましては、本年一月に審議会から出された中間報告で、和歌山、橋本、有田、御坊、田辺及び新宮の六圏域が提示されたところであります。その設定に当たっては、市町村長、地域住民代表の方々からもご意見を聞き、住民の日常的な活動範囲に加え、広域的な視点から市町村相互の機能分担と連携のあり方等を総合的に勘案したところでございます。
 議員ご指摘のように、那賀郡は継続して人口が増大しており、一方で、そのための新たな行政需要への対応も課題となっております。こういったことから、今回の中間報告は和歌山圏域の中で那賀郡をサブ圏域として位置づけしたものでございます。今後、長期総合計画を策定するに当たっては、この秋の審議会の最終答申を踏まえ、那賀地域における課題への対応や期待される役割というものを見きわめながら圏域設定を行ってまいりたいと存じます。
 次に、和歌山百万都市圏構想は、議員がご提言されている紀泉百万都市構想と基本的に同じ考え方に立つものであり、大阪府の泉南地域と連携する中で、和歌山県の特に紀北地域の発展を目指すものでございます。
 構想の推進に当たっては、議員ご提言のとおり、関空全体構想、京奈和自動車道、府県間道路等、交通基盤の早期実現を図りながら、和泉山系の環境や自然を生かした施設の配置と、だれもが利用しやすい施設づくりによる住みよい町づくりを進め、高等教育機関の充実など質の高い都市機能を充足させていく必要があろうかと存じます。府県間道路等、広域的な基盤整備については、阪和開発連絡協議会等において推進を図ってございますが、さらに新しい構想やプロジェクトの推進について、大阪府並びに関係市町村と協議、連携を図り、広域的で一体的な都市づくりに取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 京奈和自動車道路と府県間道路等の推進についてのご質問にお答えいたします。
 京奈和自動車道の橋本道路につきましては公図訂正作業を、また紀北東道路については都市計画決定のための調査を急いでいるところでございます。平成九年度から事業予定の紀北西道路につきましては、都市計画決定に向けた本格的な調査に着手されるよう国に要望してまいります。
 完成供用時期でございますが、順調に進めば、それぞれの区間について用地買収に着手してから通常十年くらいで供用することも可能であると考えております。
 また、紀北東道路と紀北西道路の工事の件につきましては、できるだけ早く着工できるよう、用地取得等の面で地元の市や町とも協力しながら国を支援してまいりたいと考えております。
 関連する道路としては、国道二十四号を初め、府県間道路の県道泉佐野打田線、泉佐野岩出線及び国道四百八十号、さらにこれらと連結する郡内の道路としては、第二県土軸である国道四百二十四号、県道岩出野上線、かつらぎ桃山線等が重要な路線であると認識してございます。今後とも、これらの道路の事業区間の早期完成に努め、郡内の道路網の形成を図ってまいります。
 また、議員ご提案の船戸山のトンネル整備等につきましては、百万都市づくりの進展状況及び交通需要等を見きわめながら、道路網強化の観点から研究を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 飯田議員の福祉のまちづくり条例のご質問にお答えいたします。
 議員お話しのとおり、魅力ある地域を形成していくためには、障害者や高齢者にとって住みよい町をつくるという視点に立った取り組みが重要であります。こうした観点から、昨年十月に和歌山県福祉のまちづくり条例を制定したところでございます。本条例を実効性のあるものにするためには、事業者、県民の皆様方のご理解とご協力を得ることが不可欠でありますが、県も率先して県有施設の整備を促進していくことが必要でございます。このため平成九年度当初予算においては、県庁本館、東別館、交通センター、県立医大紀北分院へのエレベーター等の設置等の経費をお願いしているところであり、今後とも利用度の高い施設から整備を図ってまいりたいと考えてございます。あわせて、住民に最も身近な市町村が地域の特性や実情に応じた町づくりを積極的に進めていただくことが重要であり、県といたしましても市町村に強く要請してまいりたいと存じております。
 次に、同和対策の今後の方向についてでございます。
 県では、昨年五月に出された地域改善対策協議会意見具申や七月の閣議決定、並びに同和地区実態調査結果等から明らかになった本県の地域性及び実情等を勘案し、残された課題の早期解決のため、今後の同和対策に関する基本方針を定め、事業見直しをしてまいりました。その中で、国費対象事業及びそれを補完する県単独事業等、必要な事業は当分の間継続することとし、また一般対策で効果が得られる事業は一般対策に移行することとしてございます。なお、残された課題を一般対策の中で対応するといたしましても、同和問題の早期解決を図るために取り組むものでございます。
 次に、市町村の中には平成九年度以降に実施しなければならない物的事業が残されていることから、法的措置が講じられない事業について、市町村財政負担を軽減するための県としての予算措置をお願いしているところでございます。今後とも、県民の皆様のご理解をいただく中で、国や市町村と一致協力して同和問題の早期解決に向けて積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 同和対策事業の一つとしての集会所指導事業等についてお答えいたします。
 従前、国委嘱事業として市町村が実施しておりました集会所指導事業等は、平成九年度からあらゆる差別意識の解消に向けた人権教育の推進という観点から見直され、新たに人権教育総合推進事業という補助事業として実施されることになりました。委嘱事業から補助事業に変更されることに伴う市町村の財政負担の軽減を図るため、交付税措置を行うよう、現在、文部省が自治省へ働きかけていると伺っております。こうした国の動向を見きわめながら、今後とも本事業が円滑に実施されるよう努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 43番飯田敬文君。
○飯田敬文君 大変ありがとうございました。
 数点にわたりまして、要望だけお願いしておきたいと思います。
 紀泉百万都市づくりについてでございます。
 地方分権の推進の中で、地方の受け皿づくり、地方の整備を早急に図らなければならないわけでございます。とりわけ、関西の地盤沈下が言われて久しいところでございますけれども、関空をインパクトとして、今こそ和歌山新時代構想を打ち立てて、西口知事の新しい発想で紀泉百万都市の基盤づくりを行っていただきたいと思うわけであります。知事の公約にもございますように、大阪府、特に泉南地域と一体化した構想、青写真がまだできておりません。大変残念に思うわけでございますけれども、長期総合計画の策定もございますので、早期に総力を挙げて取り組んでいただきたいと思うわけであります。
 それから、同時に和歌山県としての特色と独自性を発揮することが大事であると思うわけであります。私は、和歌山県の目指すべき二十一世紀の方向は、「国際化と人権の先進県」というテーマを掲げて生きていくのがいいのではないかと思うわけでございます。このこととかかわって、昨日からの医大の一連の事件は、最も弱い立場の子供の基本的人権の中の基本的人権でございます生存権を否定するという人権侵害事件であるとも考えられるわけでございまして、人権先進県を目指す和歌山県の恥ずべきことであろうということで、早急にその真相解明と抜本的対策を強く求めるものであります。
 全国の中でも特色のある県として、二十一世紀の中心を担う県として、国際人権都市和歌山県の具体化を特にお願い申し上げ、要望といたします。
 以上です。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で飯田敬文君の質問が終了いたしました。

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