平成9年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第三号 平成九年三月十一日(火曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第一号から議案第八十七号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第一号から議案第八十七号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十七人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川  武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門  三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島  雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 谷  洋 一
 18 番 山 下 直 也
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 上 野 哲 弘
 21 番 堀 本 隆 男
 22 番 宇治田 栄 蔵
 23 番 宗  正 彦
 24 番 橋 本  進
 25 番 神 出 政 巳
 26 番 玉 置 公 良
 27 番 松 本 泰 造
 28 番 東 山 昭 久
 29 番 尾 崎 要 二
 30 番 野見山  海
 31 番 木 下 秀 男
 32 番 町 田  亘
 33 番 中 山  豊
 34 番 井 谷  勲
 35 番 鶴 田 至 弘
 36 番 森  正 樹
 37 番 村 岡 キミ子
 38 番 新 田 和 弘
 39 番 平 越 孝 哉
 40 番 森 本 明 雄
 41 番 長 坂 隆 司
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
 知 事 西 口  勇
 副知事 山 下  茂
 出納長 高 瀬 芳 彦
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 中 山 次 郎
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 生活文化部長 中 村 協 二
 福祉保健部長 小 西  悟
 商工労働部長 日 根 紀 男
 農林水産部長 平 松 俊 次
 土木部長 長 沢 小太郎
 企業局長 佐 野 萬瑳義
 教育委員会委員長
   山 本  昭
 教育長 西 川 時千代
 公安委員会委員 高 垣  宏
 警察本部長 青 山 幸 恭
 人事委員会委員長
   若 林 弘 澄
 代表監査委員 宮 市 武 彦
 選挙管理委員会委員長
   谷 口 庄 一
 以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 西 畑 彰 久
 次 長 中 西 俊 二
 議事課長 佐 竹 欣 司
 議事課副課長 島  光 正
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 山 本 保 誠
 議事課主事 大 浦 達 司
 総務課長 塩 路 義 和
 調査課長 湊  孝太郎
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時四分開議
○議長(町田 亘君) これより本日の会議を開きます。
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 【日程第一 議案第一号から議案第八十七号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(町田 亘君) 日程第一、議案第一号から議案第八十七号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 43番飯田敬文君。
 〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 おはようございます。
 発言のお許しをいただきましたので、通告に従いまして質問をさせていただきます。
 まず初めに、県民所得の低下の中での景気対策と当初予算についてお伺いをいたします。
 今、国の財政は危機的状況に陥っております。バブル崩壊後の長期にわたる経済停滞は、一つ経済のみにとどまらず、国民生活、例えば政治形態、福祉などにも圧迫を加え、社会全体の混迷を増幅させております。その中にあって、薬害HIV問題や特養老人ホーム補助に絡む厚生省と福祉法人との疑惑、またバブル経済に端を発した金融関係の事件と、許されざる事柄を挙げると甚だ遺憾であります。また、地方行政に見られる不正支出事件は、住民に近いだけに、行政に対する不信もさらに社会不安を増幅しております。今や、日本の政治、経済、官僚組織、その他あらゆるものが閉塞しておるわけであります。これを救う道は、根本からの改革を断行するほかありません。
 二月議会ということで当初予算の説明を受けたところでありますが、低迷する経済に対する有効かつ的確なる施策を推進していただかなければならないと考えます。本年度新予算は五千八百六億円と計上されましたが、県民にわかりやすい県財政を伝える上で県財政の状況、例えば財政状況が本当にいいのか悪いのかをはっきりさせた上で真剣に議論していかなければなりません。
 景気関係の予算では、公共事業を中心に置いて景気のかさ上げをねらっておりますが、ケインズの公共事業による景気対策はもはや過去のものとなっております。それよりも、根本的な課題があるように思われます。
 先日の新聞に掲載された県民所得では、我が和歌山県は四十四位と年々低下し、また企業立地件数の伸び悩みと、私たちを取り巻く情勢は本当に厳しいものがあるわけであります。これの原因はどのようなところにあるのか、その所在と昨年の総括を明確にすることが、これからの我がふるさとの指針となります。また、企業誘致の観点から見ると、現在問題となっている火力発電誘致と地域開発の推進がございますが、自然環境の上から十分な議論をしていただき、県にとって将来を見据えたものとなるようお願いするものであります。
 県として、県民所得の低下の中で、これからの和歌山県づくりの予算にかかわっての景気の状況把握と今後の対策、並びに当初予算における取り組みと景気対策について西口知事にお伺いをいたします。
 次に、行政改革についてお聞きいたします。
 私が過去申し上げてまいりましたように、我が和歌山県の発展は、今までのような小手先の方法によるものでは現在の激変、激動についていけず、ますます混迷を深めてまいると思うわけであります。国では口先だけの改革を唱え、いろいろな絡みの中で意思を通すことができず、また抜本的に実施しようとする意気込みが感じられないのは私一人でありましょうか。今こそ、党利党略にとらわれず、みずから改革の意思を持ち、速やかなる前進を望むものであります。我が和歌山県としても、国の動向を見守る中にも、知事を先頭として県内地域への強力なリーダーシップを示していかなければなりません。国においては、省庁の統合、外郭団体、特殊法人の縮小など行政改革を唱えておりますが、官僚の強い反発や族議員による締めつけなどにより、小手先の官庁の綱紀粛正でお茶を濁そうとしております。我が和歌山県は、さきの知事指導により機構改革を行ったとはいえ、これも根本的な解決へとはほど遠いものとなっていると思うわけであります。行政改革は強い意志を持って行われるべきであり、ひいては我が和歌山県の将来を占う重要な事柄であることを認識した上で、以下の事柄についてお伺いをいたします。
 既に国会でも問題となった官僚の天下りは、よい面と悪い面が同居しておるわけであります。我が和歌山県においても数多くの外郭団体がございますが、その数及び業務内容を明らかにしていただき、これを整理し、わかりやすい県政を県民に提供するための行政改革を進めることが真の行政改革への近道ではないかと考えるわけであります。また、県は財政を念頭に入れた効率のよい機構改革を推進しておられますが、一体何がどのように変わったのか、今後どのように推進していくのかが明確になってきておりません。外郭団体の数、業務内容、県財政を見据えた効率的な県政の具体的な事柄と今後の方針について総務部長にお伺いをいたします。
 次に、規制緩和についてお伺いをいたします。
 関西国際空港が、開港以来、飛躍的に運輸量がふえ続けておるのは皆様ご存じのことと思います。また、利用人口もふえ、国際的になってまいりました。新長期総合計画の中にもあるとおり、大交流時代と言われ、世界全体が一つの圏域のような交流を迎えようとしております。その玄関口となる関西国際空港は、突き詰めれば経済交流の場であります。日本経済は、消費税の五%へのアップや公共料金の値上げ、不況のあおりを受けた労働者の解雇へと経済麻痺を起こし、また金融機関の倒産と相まって壊滅状態であります。これを救うためには、一万余に及ぶ規制緩和をなくしては語れないと考えます。
 我が国がよりどころとする自由経済体制は、本来、生産者と消費者が自主的な判断に基づき自由な経済活動を行うことにより、市場メカニズムを通じた経済の活力ある発展、消費者の多様な選択が達成されることにあります。しかし、多くの規制は消費者の犠牲の上に成り立っており、過去、疑獄事件や汚職を生む業者利権を生んでおります。また我が県においても、六十四種類七十三機関の各種の審議会等が設置されておりますが、形骸化されたものも存在するように思うわけであります。さらに、土地開発に見るようなさまざまな規制は県民にとって何の利益にもならず、民間業界団体や協会のあり方にも問題を提起しているわけであります。
 もとより私は、すべての規制や審議会、民間業界団体が不要であるとは考えておりません。県の指導性を発揮して、現代社会にとって形骸化されたものを早急に見直し、再編することが大事であります。審議会のあり方や民間業界団体に対する問題提起への対応と取り扱い、また各種規制緩和の県としての今後の取り組みについて企画部長にお伺いをいたします。
 次に、那賀郡を中心とした紀泉百万都市づくりについてお聞きいたします。
 先ごろ、県の新長期総合計画の試案が県知事に提出されましたが、その基本構想は、ゆとりと充実、輝く和歌山新時代と銘打ち、県民だれもが個性に応じたライフスタイルを選択しながら、ゆとりと潤いのある充実した暮らしを享受することができる活力ある郷土の建設とあります。しかし、それもこれも現実に即した具体的な方策が必要であります。以下、紀泉百万都市づくりを念頭に入れた那賀郡の取り組みについて私なりの考えを申し上げ、県としての見解をお聞きいたします。
 まず、定住圏の問題であります。
 前回の質問で、那賀郡の医療圏域は和歌山圏域の中に位置し、独立した医療体制のできない圏域であり、ただいま建設中の国保那賀病院の改修についても、医療圏問題がネックとなって早期の改修にならなかった経緯がございます。長期総合計画の中間報告は、今までの圏域を踏襲したままであり、現状の地域性や経済効率から目をそらしたものと考えざるを得ません。那賀郡は、県内において数少ない人口増加地域であり、いつまでも和歌山圏域のサブ圏域では、郡民に対し行政サービスの低下を招くおそれがあります。また、医療圏のほかにも保険事務にかかわる圏域や老人ホームの建設にかかわる圏域、教育などさまざまな圏域を設定しており、地域の活性化を阻害するものもあるわけであります。中でも、下水道事業やごみ処理施設の問題は深刻な影響を及ぼしております。現在、広域的に下水道事業を展開しておりますが、郡内の広域行政としての下水道整備と言われてから数年を経過した今となっても確かな姿が見えておらず、最終処理場を含め、早急に県の指導性を示し、広域行政を進めていただきたいと思うわけであります。
 なお、ごみ焼却場建設は、厚生省指導のもと、ダイオキシン公害を少なくすることを条件に厳しい要件を突きつけられており、これを建設するためには、より広域な考えのもとで、県の強力な指導が必要であります。定住圏と絡ませた地域圏の再編、具体的には県内の和歌山市を除く市町村の平均人口は一万人強であり、前項でも申し上げたとおり、個別の市町村では都市計画、下水道整備、医療、消防、施設など負担が大きく、また効率から言っても経済的ではありません。また、地方分権を進める上で広域行政推進は欠くべからざるものであり、県の指導性を強く求めていくものであります。また、将来的には市町村合併を推進、再編することで、住民が望む地域行政ができると考えるわけであります。地方分権にかかわっての広域行政と那賀郡の独立した圏域設定、及び将来の市町村合併について企画部長にお伺いをいたします。
 次に、関西国際空港が開港され、二期工事の完成目標が発表されました。関西国際空港は、ご存じのとおり太平洋新国土軸の中心として、また地方分権による関西圏の中心となるものであり、人、物、情報を受け入れ、発信するアジアのハブ空港にならなければなりません。我が和歌山、紀北地域は臨空圏三十キロメートルの圏内にあり、恵まれた立地条件にありますが、紀泉百万都市づくりを目指す上で、この三十キロメートル圏内の中にある各地域が一体となる町づくりを行う必要があります。すなわち、紀泉百万都市として、圏域を超え、グローバルな視点に立った地域形成が必要であります。もちろん、我が和歌山県独自で行えるものではありませんが、我が県が泉南地域にとってのかけがえのないパートナーになれる地域づくりが必要であります。
 まず第一に、道路であります。
 新国土軸構想の一環として京奈和自動車道路の建設が行われておりますが、県内にはいまだ姿が見えてきておりません。いろいろな調整が必要であろうとは存じますが、何が一体問題なのか、またどこに問題があるのかを明示し、早期の供用を開始すべきであります。京奈和自動車道路の問題点と完成供用の時期を明確にしていただき、加えて、紀北西、紀北東道路の同時着工をしていただき、これをできるだけ早い機会に開通させて、高速縦貫道路としての機能を持たせ、軸とすることが大事であります。紀泉百万都市づくりの中心道路としての京奈和自動車道路の建設の問題点と完成供用時期、並びに東西道路の同時着工について土木部長にお伺いをいたします。
 また、これに連結する府県間道路の整備は紀泉百万都市づくりの重要な生活連結道路として意義を持ったものであり、早急な整備が必要であると認識しております。紀泉百万都市構想にとっても、我が県の交通体系の中の第二県土軸である国道四百二十四号線の延長にある泉佐野打田線の整備が最も望まれるものであります。
 先ごろ、地域対策事業として桃山美里紀州サンリゾートラインが開通し、海草郡から国道四百二十四号線に連結したことにより、大阪側への通行も一段と頻繁になってきている現状に加え、粉河町や桃山町、さらに伊都郡各地から集中的に通行している現状であります。泉佐野打田線の現状は、和歌山側はおおむね二車線で整備されておりますが、大阪側の一部が狭隘なため、早急な整備改修が必要とされております。整備改修についての現状と見通しをお聞きいたします。
 また、桃山美里紀州サンリゾートラインを桃山町神田地域まで延長すれば、かつらぎ桃山線を通じて四百二十四号線につながり、泉佐野打田線へ直結されることになり、第二県土軸の交通体系が大きく整備されることとなります。泉佐野打田線の早期改修、また大阪側への強い働きかけを望むものであります。
 また、泉佐野岩出線が先ごろ根来地内で開通式を済ませたところでありますが、一部分の開通であり、早期の全体の完成が望まれるところであります。さらに、那賀郡各町は大阪からの移住者が多く、通勤も主に泉南から大阪市内へとなっておりますことから、貴志川町から泉佐野岩出線へのアクセスとして、船戸山にトンネルを建設し、岩出町西野より岩出橋を直進して国道四百二十四号線に直結する道路整備を計画してはどうかと思います。経済の面から見てみますと、道路網の完備によって大阪地域よりの企業進出にも大きな効果をもたらすことになり、景気の回復や就職難の折から雇用の確保が望めることとなります。紀泉百万都市の連携をスムーズにする府県間道路の建設と郡内の地域及び交通体系の中心となる道路の認識を土木部長にお伺いいたします。
 一方、個性を重視したライフスタイルの確立を目指す上で、環境や自然を生かした施設や道路が必要となっております。私が県に対して要望をさせていただいた紀泉スカイラインの建設について、打田町より那賀町までの区間の建設を早期に組み込まれたことは当局に対し深く敬意を表するものでありますが、打田町以西についてはいまだ計画されておらず、あわせて岩出町森林公園にも連結させ、これを和歌山市のフォレストシティまで延長して、自然に親しむ和歌山自然スカイラインとして建設してはどうかと思うわけであります。さらに、関西国際空港の開港を生かすため、国際的なスポーツや教育、障害者、お年寄りなどが利用しやすい施設の建設を進めることが国際的な住みよい町づくりに欠かせない課題であります。
 先ごろ福祉のまちづくり条例が施行されましたことは、県の福祉に対する強いあらわれとして評価するものでございます。その中に建築物に対する義務的措置として障害を持った人やお年寄りが通行しやすいエレベーターやスロープなどの設置がありますが、民間企業などへの指導を行う前に県の施設から優先して改修すべきであり、例えば県庁の正庁前の階段やスロープは勾配が急なため利用しがたいと考えるわけであります。早急に改善をしていただきたいと思います。
 なお、市町村への取り組みについての指導強化を徹底していただき、みんなが安心して暮らせる福祉の町づくりを完成していただきたいと念願いたします。
 また、岩出・打田両町は教育ゾーンとして近畿大学を招致したところでございますが、本年四月より二学部が増設され、総合大学への道を歩み始めております。しかし、郡内の県立高校を見てみますと就職に不利な普通高校の割合が多く目立ち、工業高校のような技術系の学科が少ないのが現状であります。将来の和歌山を、また日本を支えていく若者を育てる上で、新設高校を技術系の学科として建設されれば、産業の空洞化を食いとめ、地元にある近畿大学への進学率も上がってまいると存じますので、近畿大学の総合化の推進と工業系の新設高校を那賀郡に建設していただきたいと思います。
 福祉のまちづくり条例も、新しい教育システムも、また道路づくりも、紀泉百万都市づくりを念頭に置いた魅力ある地域を創出させてこそ、我が地域の発展につながるものと考えます。
 西口知事は選挙公約の中で、また前回私の質問の中でも、和歌山百万都市づくり、紀泉百万都市づくりを推進するとお答えをいただきました。そこで、例えば大阪府との定期交流会や定期会議などを我が県から積極的に提唱し、具体的な方策を立てて推進をしていただきたいと思うものであります。紀泉百万都市づくりを念頭に置いた魅力ある地域づくりと、知事がお考えになっておられる大阪府泉南地域との協議、連携の方策を具体的にお伺いいたしたいと思います。
 次に、昨年二月議会において質問をさせていただきました同和対策及び人権全般にかかわって、県としての姿勢なり方針を具体的にお聞かせいただきたいと思います。
 特に昨年来、同和地区関係者を初め各界各層よりの願いやご努力、また県においても、西口知事を先頭に、問題解決のためには法的措置、行政措置が必要であるとの認識に立ってさまざまな取り組みを進めてこられました。結果として、昨年十二月に人権擁護施策推進法が成立し、また事業にかかわっては現行法の一部を改正する法律案が国会で審議されているところであります。知事を初め関係各位に対し、敬意を表するところであります。
 さて、こうした国の動向や段階を受けて、県として当然これまでの総括とさきに実施された悉皆調査の状況を踏まえ、今後の基本的な方向を明らかにしていただく必要があると考えます。
 具体的には、現行法の一部を改正する法律案の考え方は昨年の政府大綱で明らかにされておりますが、それを見ると、法的措置による財政上の特別措置が十五事業、行政措置により一般対策に工夫が十四事業、人権教育・啓発に再編成が十事業、廃止または一般対策へ対応が十一事業となっております。従来の四十五事業が四つに区分され、取り組みが進められるということであります。この大綱や法律案について幾つかの重要な点があり、第一に、一部には課題がなくなったとの考えがあるように聞いておりますが、私は今回の大綱や法律案は問題や課題を解決する手法が若干変化したものととらえるべきであると思うわけであります。つまり手法において、一般対策に工夫・対応、あるいは人権教育・啓発に再編成であっても、関係地区にかかわって現存する課題については部落問題であり、それを解決する取り組みは同和対策であると考えます。県の見解をお伺いいたします。
 次に、事業実施に当たって特に問題となるのが法的措置をされる十五事業以外の事業で、残事業だけでなく、さらに必要とされる事業を県において集約されているとお聞きをしておりますが、従来の起債や交付税措置が適用されず補助金のみという事態になると、現状の市町村財政から事業実施が極めて困難になることは明らかであります。また、教育委員会で取り組まれている事業のうち、従来の委託事業から補助事業に変更された事業があり、市町村の負担が新たに課せられることになります。こうした国の状況を含めた県としての方針や方向をお伺いいたします。
 次に、人権擁護施策推進法の成立と啓発についてでございますが、昨年十二月に成立したこの法律は極めて重要な意義を持ち、成立過程や附帯決議、さらに提案説明によって部落問題を中心課題ととらえていることが明確であります。教育、啓発及び差別による被害の救済の方向を検討する審議会の設置法であり、目的、国の責務、審議会の設置、期間で構成され、特に国の責任が明記されていることと、審議会の委員の構成については、二十人以内で部落差別の問題に精通した当事者と人権と差別にかかわる問題に精通した当事者を任命することとなっております。
 私は、この法律が憲法第十四条を具体化させる極めて重要な意義を持つものであり、部落問題はもとより、人権全体の取り組みに新たな第一歩を期するものと考えております。知事のこの法律に関する所見をお伺いするとともに、和歌山県の実態が反映されるよう国に強く働きかけていただきたいと思います。
 次に、人権教育のための国連十年の取り組みにかかわって、啓発についてお伺いをしたいと思います。
 現在、和歌山県が実施している教育・啓発の大部分を和歌山県同和委員会が担っているわけであります。委員会関係各位の活動、ご苦労は並々ならぬものがあり、昭和二十七年の研究会発足以来、四十五年間の活動の中で多くの成果を上げられてきたことは言うまでもなく県民周知のことであり、深く敬意を表するものであります。しかし、時代は変わりつつあります。今、大きな節目を迎えており、あらゆる課題について、今後県の基本的な方向が問われていると思います。啓発や教育についても同様のことで、個人的なことを述べさせていただくなら、現在の同和委員会は県の委託を受けて民間運動団体として活動されてきましたが、西口知事が会長をされており、また過去には県の政策や方針にかかわった見解を提出したことがございます。また、現場の市町村の立場から見ると、県の意向として受け取る違った見方がございます。こうしたことを踏まえ、今後の県としての啓発のあり方や方向を検討していく上で、和歌山県同和委員会の役割や性格を明確にする必要があると考えます。
 例えば、研究と諮問のための審議会的な形にすることも一つの方法であります。啓発活動については、人権教育のための国連十年にもかかわる問題として十分検討を加えて再構築する時期であると認識した上で、西口知事のご見解をお伺いいたします。
 最後に、昨年十二月、「国内行動計画中間のまとめ」が出され、基本的な考え、人権教育の推進、重要課題への対応、国際協力の推進、計画の推進などで構成されておりますが、特徴として、部落問題を初めとする具体的な課題への対応と特定職業従事者に対する推進が挙げられております。このことを受けて県としての具体的な取り組みと体制づくりが重要であり、西口知事を本部長とする推進本部を早急に設置するとともに、担当窓口を置くことが早急な課題であります。
 中間のまとめでも明らかなように、人権といっても抽象的な観念ではなく、具体的な事実や実態、課題が存在いたしております。行政の機構から見ても、県民の福祉や教育のための担当部局があり、それらを人権の観点から見直すとともに、人権というラインによって機能することが大事であります。その中心に人権専門部局が存在しなくてはなりません。県の状況や今日までの歴史を考えたとき、当然、部落問題を最重要課題として位置づけ、問題解決の取り組みの体制や対策を立てることが、人権全体あるいは個人の課題に対する行政責務であると考えます。
 二十一世紀は国際化の時代であるとされておりますが、また人権の世紀とも言われております。県が真に国際化なり二十一世紀への飛躍を求めるならば、人権立県を確立することが和歌山県の目指す方向であると考えます。特に関西国際空港を中心に、アジアの人権問題を初め、国際的な人権センターの建設を行い、グローバルな国際人権都市和歌山を創出することが、紀泉百万都市の実現に向け、日本の中における和歌山県の役割であるとかたく信ずるものであります。
 以上の点について、西口知事及び県当局のご見解をお聞きして、第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 飯田議員にお答えをいたします。
 まず、景気の状況と今後の対策についてであります。
 国内景気につきましては、三月の月例経済報告によりますと、緩やかながら回復の動きを続けているとの判断がなされてございます。一方、県内景気につきましては、回復基調にございますが、依然として厳しい状況が続いておりまして、先行きには不透明感があるものと考えてございます。
 このような経済状況を踏まえて、二十一世紀に向けた県勢の着実な浮揚を図るためには、活力ある産業づくりによる県経済の活性化とそれを支える基盤整備が重要であると考えております。具体的には、次代を先導する創造的企業の育成、新産業の創出、地場産業の育成強化、成長企業にスポットを当てた企業誘致などに取り組むとともに、これらを促進し、支える交通・通信基盤の整備を図りながら、本県の地域特性を生かし、阪神圏に隣接しているという地理的条件を活用いたしまして、県勢発展のために、県民のご協力を賜り、環境に配慮しながら開発プロジェクトを推進していきたいと考えております。
 また、景気対策と平成九年度予算についてであります。
 国、地方ともに厳しい財政状況下にございまして、国の予算の一般歳出の伸びは一・五%、地財計画の伸びは二・一%と、それぞれ低い伸びとなってございまして、予算の伸びが対前年度マイナスとなる県も散見されるところでございます。
 和歌山県の平成九年度予算につきましては、財政状況が厳しいのは同様でありますけれども、各種基金の大幅な取り崩し等によって財源の確保を図りながら、地域経済の活性化に寄与すべく、対前年度四・七%増の積極予算を編成したところでございます。
 お話にございましたように本県の活性化につきましては、九年度予算においても、県土の均衡ある発展のために県内高速交通体系の早期実現に向けた取り組み等の交通基盤整備、県立医大整備等のビッグプロジェクトの推進を図るとともに、中小企業融資制度の充実、産業博覧会の開催等、産業の活性化にも努めたところでございます。また、輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり事業、和歌山ふるさとリゾート推進事業等の地域振興事業を引き続き継続するとともに、新たにまちかどミュージアム構想推進事業なども創設をいたしまして、地域の活性化施策の充実を図ったところでございます。
 次に、人権擁護施策推進法についての所見でございます。
 差別意識の解消に向けた教育及び啓発の推進、人権侵害による被害者の救済等の対応充実については、地域改善対策協議会の意見具申、人権教育のための国連十年の国内行動計画等を踏まえる中で、昨年十二月二十六日、人権擁護施策推進法が公布されたわけであります。これに基づいて人権擁護推進審議会が設置をされまして、今後、差別意識の解消に向けた教育・啓発の総合的な推進、人権侵害による被害者の救済の充実強化が図られるものと期待をしております。
 なお、同和問題に精通した委員が選任されるように、国に強く働きかけてまいりたいと思っております。
 同和委員会の今後の啓発教育についてであります。
 心理的差別解消のための教育・啓発につきましては、県同和委員会が中心となって県民総参加による県民みんなの同和運動を展開し、教育・啓発活動を積極的に推進してきた結果、県民の同和問題に対する理解、認識などにおいて相当の成果をおさめてきたと思っております。しかし、今後、差別意識の解消を図るに当たっては、これまで積み上げてきた成果とこれまでの手法への評価を踏まえ、すべての人の基本的人権を尊重をしていくための人権教育、人権啓発として発展的に再構成すべきであり、その中で同和問題を人権問題の重要な柱としてとらえ、この問題の固有の経緯等も十分認識をしながら、国際的な潮流とその取り組みを踏まえて積極的に推進していくべきであると認識をいたしております。その際、教育・啓発の総合的かつ効果的な推進という観点を踏まえた実施体制の再編についても検討してまいらなければならないと考えております。
 次に、昨年の二月定例会において、議員から人権施策に関する種々のご意見をいただいたところでございます。県といたしましても、人権施策の推進について協議を重ねてきたところでございますが、人権教育のための国連十年に関する国内行動計画も国の方から示される予定でございます。本県としても、これを受けて人権全般に係る施策に前向きに取り組んでいかなければならないと考えております。
 平成九年度から人権教育のための国連十年等に関する担当職員を配置いたしまして、できる限り早期に推進体制を整備するよう検討いたしますとともに、人権啓発のための施設の問題も含め、さらに検討を進めていきたいと考えております。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 行政改革、規制緩和、広域行政と市町村合併の三点についてお答え申し上げます。
 まず、外郭団体の実態と改革の方向についてでございます。
 県が資本金等の四分の一以上を出資しており、地方自治法上、監査委員の権限が及ぶ法人は三十六ございます。県では、これらのうち土地開発公社、道路公社など、主として県行政の補完または代行機能を果たすべく設立された十七法人については、自治法上の関与に加えて、それぞれの組織運営等について関与しておるところでございます。これらの法人につきましては、今後とも県勢活性化、県民福祉の向上のために県政の一翼を担っていただくことが望まれますが、社会情勢の変化に対応できているか、あるいは県行政の中で果たすべき役割は何かという観点から、それぞれの実態、機能等について見直しを進め、経営の効率化等を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、規制緩和における各種審議会のあり方についてでございます。
 法律または条例の定めるところにより、調停、審査、諮問または調査のために設置している附属機関は、議員ご指摘のとおり六十四種類七十三機関でございます。また附属機関のほかにも、審議会、委員会、協議会等さまざまな形態により、行政運営上の意見交換等を行うための会議を開催しているところでございます。これらの附属機関等につきましては、設置目的と現状を比較いたしまして、役割を終えたものや休眠状態にあるものは廃止等整理を行うとともに、委員の構成についても見直しを行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、規制緩和に関する取り組みについてでございます。
 県が行っている規制の多くは法律等を根拠とするものですので、国における規制緩和の推進にあわせ、県といたしましても積極的に対応してまいります。また、条例に基づく許認可等の県独自の規制につきましても、県民負担の軽減の観点から手続を簡素化するなど、所要の見直しを行いたいと考えてございます。
 次に、広域行政の推進についてでございます。
 地方分権推進委員会の第一次勧告も、地域における行政の広域的な視点のもとに行うことの重要性を指摘してございます。市町村の区域を超えた広域行政の推進ということが今後ますます重要になってくると考えております。広域行政を推進するためには、一部事務組合、広域連合などの多様な仕組みの中から地域の実情に応じたものを選択して、効果的な展開が必要であると考えてございます。地域の状況を勘案しながら効果的な広域行政が展開できるよう、県としても適切な指導を行ってまいりたいと考えております。
 次に、将来の市町村合併についてでございます。
 市町村合併については、個々の市町村の地理的あるいは歴史的条件を踏まえて住民の方々が判断されることが大切でございます。現行の市町村の合併の特例に関する法律においても、住民発議など、住民による自主的な合併が基本となってございます。今後とも、時代の流れを的確に把握し、適切な指導を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 飯田議員にお答え申し上げます。
 現在作業中の新たな県長期総合計画における圏域設置につきましては、本年一月に審議会から出された中間報告で、和歌山、橋本、有田、御坊、田辺及び新宮の六圏域が提示されたところであります。その設定に当たっては、市町村長、地域住民代表の方々からもご意見を聞き、住民の日常的な活動範囲に加え、広域的な視点から市町村相互の機能分担と連携のあり方等を総合的に勘案したところでございます。
 議員ご指摘のように、那賀郡は継続して人口が増大しており、一方で、そのための新たな行政需要への対応も課題となっております。こういったことから、今回の中間報告は和歌山圏域の中で那賀郡をサブ圏域として位置づけしたものでございます。今後、長期総合計画を策定するに当たっては、この秋の審議会の最終答申を踏まえ、那賀地域における課題への対応や期待される役割というものを見きわめながら圏域設定を行ってまいりたいと存じます。
 次に、和歌山百万都市圏構想は、議員がご提言されている紀泉百万都市構想と基本的に同じ考え方に立つものであり、大阪府の泉南地域と連携する中で、和歌山県の特に紀北地域の発展を目指すものでございます。
 構想の推進に当たっては、議員ご提言のとおり、関空全体構想、京奈和自動車道、府県間道路等、交通基盤の早期実現を図りながら、和泉山系の環境や自然を生かした施設の配置と、だれもが利用しやすい施設づくりによる住みよい町づくりを進め、高等教育機関の充実など質の高い都市機能を充足させていく必要があろうかと存じます。府県間道路等、広域的な基盤整備については、阪和開発連絡協議会等において推進を図ってございますが、さらに新しい構想やプロジェクトの推進について、大阪府並びに関係市町村と協議、連携を図り、広域的で一体的な都市づくりに取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 京奈和自動車道路と府県間道路等の推進についてのご質問にお答えいたします。
 京奈和自動車道の橋本道路につきましては公図訂正作業を、また紀北東道路については都市計画決定のための調査を急いでいるところでございます。平成九年度から事業予定の紀北西道路につきましては、都市計画決定に向けた本格的な調査に着手されるよう国に要望してまいります。
 完成供用時期でございますが、順調に進めば、それぞれの区間について用地買収に着手してから通常十年くらいで供用することも可能であると考えております。
 また、紀北東道路と紀北西道路の工事の件につきましては、できるだけ早く着工できるよう、用地取得等の面で地元の市や町とも協力しながら国を支援してまいりたいと考えております。
 関連する道路としては、国道二十四号を初め、府県間道路の県道泉佐野打田線、泉佐野岩出線及び国道四百八十号、さらにこれらと連結する郡内の道路としては、第二県土軸である国道四百二十四号、県道岩出野上線、かつらぎ桃山線等が重要な路線であると認識してございます。今後とも、これらの道路の事業区間の早期完成に努め、郡内の道路網の形成を図ってまいります。
 また、議員ご提案の船戸山のトンネル整備等につきましては、百万都市づくりの進展状況及び交通需要等を見きわめながら、道路網強化の観点から研究を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 飯田議員の福祉のまちづくり条例のご質問にお答えいたします。
 議員お話しのとおり、魅力ある地域を形成していくためには、障害者や高齢者にとって住みよい町をつくるという視点に立った取り組みが重要であります。こうした観点から、昨年十月に和歌山県福祉のまちづくり条例を制定したところでございます。本条例を実効性のあるものにするためには、事業者、県民の皆様方のご理解とご協力を得ることが不可欠でありますが、県も率先して県有施設の整備を促進していくことが必要でございます。このため平成九年度当初予算においては、県庁本館、東別館、交通センター、県立医大紀北分院へのエレベーター等の設置等の経費をお願いしているところであり、今後とも利用度の高い施設から整備を図ってまいりたいと考えてございます。あわせて、住民に最も身近な市町村が地域の特性や実情に応じた町づくりを積極的に進めていただくことが重要であり、県といたしましても市町村に強く要請してまいりたいと存じております。
 次に、同和対策の今後の方向についてでございます。
 県では、昨年五月に出された地域改善対策協議会意見具申や七月の閣議決定、並びに同和地区実態調査結果等から明らかになった本県の地域性及び実情等を勘案し、残された課題の早期解決のため、今後の同和対策に関する基本方針を定め、事業見直しをしてまいりました。その中で、国費対象事業及びそれを補完する県単独事業等、必要な事業は当分の間継続することとし、また一般対策で効果が得られる事業は一般対策に移行することとしてございます。なお、残された課題を一般対策の中で対応するといたしましても、同和問題の早期解決を図るために取り組むものでございます。
 次に、市町村の中には平成九年度以降に実施しなければならない物的事業が残されていることから、法的措置が講じられない事業について、市町村財政負担を軽減するための県としての予算措置をお願いしているところでございます。今後とも、県民の皆様のご理解をいただく中で、国や市町村と一致協力して同和問題の早期解決に向けて積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 同和対策事業の一つとしての集会所指導事業等についてお答えいたします。
 従前、国委嘱事業として市町村が実施しておりました集会所指導事業等は、平成九年度からあらゆる差別意識の解消に向けた人権教育の推進という観点から見直され、新たに人権教育総合推進事業という補助事業として実施されることになりました。委嘱事業から補助事業に変更されることに伴う市町村の財政負担の軽減を図るため、交付税措置を行うよう、現在、文部省が自治省へ働きかけていると伺っております。こうした国の動向を見きわめながら、今後とも本事業が円滑に実施されるよう努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 43番飯田敬文君。
○飯田敬文君 大変ありがとうございました。
 数点にわたりまして、要望だけお願いしておきたいと思います。
 紀泉百万都市づくりについてでございます。
 地方分権の推進の中で、地方の受け皿づくり、地方の整備を早急に図らなければならないわけでございます。とりわけ、関西の地盤沈下が言われて久しいところでございますけれども、関空をインパクトとして、今こそ和歌山新時代構想を打ち立てて、西口知事の新しい発想で紀泉百万都市の基盤づくりを行っていただきたいと思うわけであります。知事の公約にもございますように、大阪府、特に泉南地域と一体化した構想、青写真がまだできておりません。大変残念に思うわけでございますけれども、長期総合計画の策定もございますので、早期に総力を挙げて取り組んでいただきたいと思うわけであります。
 それから、同時に和歌山県としての特色と独自性を発揮することが大事であると思うわけであります。私は、和歌山県の目指すべき二十一世紀の方向は、「国際化と人権の先進県」というテーマを掲げて生きていくのがいいのではないかと思うわけでございます。このこととかかわって、昨日からの医大の一連の事件は、最も弱い立場の子供の基本的人権の中の基本的人権でございます生存権を否定するという人権侵害事件であるとも考えられるわけでございまして、人権先進県を目指す和歌山県の恥ずべきことであろうということで、早急にその真相解明と抜本的対策を強く求めるものであります。
 全国の中でも特色のある県として、二十一世紀の中心を担う県として、国際人権都市和歌山県の具体化を特にお願い申し上げ、要望といたします。
 以上です。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で飯田敬文君の質問が終了いたしました。
○議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番森 正樹君。
 〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 「ライン川を下り、ケルンの街に向かって吹き下ろす北風は、死の風だ。つんと鼻をつく臭いを交えながら、茶色っぽいもやで空を黒ずませる。古い街の狭い通りを吹き抜け、ゴシック様式の大聖堂の巨大な尖塔を取り囲む。六百年前の芸術家の手が彫り、磨いた繊細な石の透かし彫りの表面のすみずみまで吹き渡る。腐食性をはらんだ風の幕は、最も神聖な信仰の象徴も容赦しない。天使たちは羽をもがれ、預言者たちは重い病にかかっているようだ。この建築遺産を守ろうという必死の努力にもかかわらず、その美しい顔は死に至る病に永遠に傷つき、同じ病が地球上に伝染病のように拡がっている。パンテオンの大理石やノートルダム寺院の壁などはぼろぼろになった」──これは、かの有名なケルン大聖堂の入り口に並び立つマリア像や天使の像が、原型をとどめないほどに腐食し崩壊の危機を迎えていることを伝えたルイーズ・B・ヤングの「地球の報復 大気に映る環境破壊」という本の一節であり、平成八年の「環境白書」にも紹介されています。
 この病は我が国も例外ではなく、全国から文化財の損傷の報告が寄せられているところであります。その原因は、もちろん酸性雨にほかなりません。酸性雨の被害が最も顕著だと言われる欧州ではその影響が全域に広がり、イギリスのセントポール大聖堂やウエストミンスター寺院、フランスのランス大聖堂、ギリシャのパルテノン神殿やエレクテイオン神殿、イタリア・ローマのマルクス・アウレリウスの騎馬像など、歴史的、芸術的に貴重な文化遺産が深刻な危機を迎えているのであります。私たち人類は、みずからが引き起こした地球環境問題によって、先人たちが残してくれた文化遺産、歴史遺産を今失おうとしていることを直視しなければなりません。
 今回、私は、地球環境問題について幾つかの視点から質問と提言を申し上げたいと思います。
 地球環境問題には、地球温暖化問題、オゾン層破壊問題、熱帯林の減少、生物多様性の減少、そして酸性雨問題など、さまざまな側面が考えられます。
 例えば、温室効果ガスが現在の増加率でふえ続けた場合、二十一世紀末には全地球気温は二度、海水面は五十センチ上昇するものと予測され、南極上空では平成元年から大規模なオゾンホールが観測されており、また熱帯林は毎年日本の総面積のほぼ四〇%に相当する千五百四十万ヘクタールが減少し続けております。さらに生物多様性の減少では、種の絶滅が自然のままの五十倍から百倍のスピードで進行しており、鳥類で一一%、哺乳類で一八%、魚類は五%、植物では一一%、全体で五千四百種の動物と二万六千種の植物が絶滅のおそれのある種に分類されているのであります。これらの数値は、いずれもFAO(国連食糧農業機関)、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)など、国連や国際機関などの信頼のおける組織による研究報告であります。まさに二十一世紀には、このかけがえのない生命体、地球が崩壊の危機に直面していると言っても過言ではないと思います。
 したがって、私たち人類は、将来にわたって良好な経済社会を持続していくために、日々の生活を営んでいる私たち一人一人が人間活動と環境の関係をよく理解し、いかに環境への負荷を減らすか、自然と共存できる暮らし方とはどのようなものか、それぞれの立場で真剣に考え、取り組んでいかなければならないと申せましょう。地球環境の恵みを受けることなしには成り立ち得ない私たちの生活を良好な関係のまま子孫に受け渡していく責務が私たちにはあるのであります。
 そこで、私たちが直面している環境問題の幾つかの懸案についてお尋ねをいたします。
 まず初めに、産業廃棄物問題についてであります。
 平成四年度の我が国の産業廃棄物の総排出量は四億三百万トンで、汚泥、建設廃材、動物のふん尿が主なもので、この三種類で全体の約八〇%を占め、業種別に見ると、建設業、農業がともに二〇%と最も多く、次いで電気・ガス・水道業、鉄鋼業と続いております。これら産業廃棄物の処理状況は、三八%が中間処理で減量し、四〇%の一億六千百万トンが再生利用されており、残りの二二%の八千九百万トンが最終処分されているのであります。国の統計資料によれば、この最終処分される産業廃棄物の最終処分場の残余年数は全国で二・三年とされており、最終処分場の確保が緊急の課題となっているのであります。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 将来にわたり安定的に産業廃棄物の最終処分場を確保するために新たな最終処分場を建設すべきであると思うが、いかがでありましょうか。
 あわせて生活文化部長にお聞きいたしますが、本県内の最終処分場の残余容量はいかほどであるのか、ご報告を願いたい。
 また、大阪湾フェニックス計画に関して、現在、稼働中の泉大津沖埋立処分場、尼崎沖埋立処分場は、それぞれあと何年で満杯となるのか、また新計画の神戸沖埋立処分場はおおむね何年まで対応可能と予測されているのか。加えて、現計画の中では和歌山基地を経由して廃棄物を受け入れる対象地域は和歌山市、海南市、橋本市など県北の四市十二町に限られておりますが、将来、中紀、南紀の市町村に関しても対象地域に繰り入れられるべきであると思うが、いかがでありましょうか。部長のご答弁を求めます。
 ところで、最近の新聞報道によりますと、厚生省が社会問題と化している産業廃棄物の不法投棄の実態を初めて調査し、結果を公表したことが報じられておりました。もちろん、これは厚生省が調査したというよりも厚生省の依頼によって四十七都道府県が調査したというのが正確でありますが、ともあれこの調査によると、全国で過去三年間に不法投棄された産業廃棄物は総量で千三百六件、百十六万八千トンに上っております。そして最終処分場の種類でありますけれども、対象廃棄物の種類によりまして構造とか設備が規定されております。それによって許認可関係も、知事の認可が必要なもの、そうでないものとに分かれているわけであります。一定規模以上のこれら処分場を建設するときにはいずれも都道府県知事の許可が必要であり、一たん許可を与えた自治体は立入検査をすることができるわけですけれども、一度設置された後は多くが監督がおろそかになっているという報告であります。それを裏づけるショッキングな実態も明らかになったとして、昨年十一月に公表された環境庁の全国調査では、有害物質の投棄が認められていない安定型の処分場八十二カ所のうち三十カ所が水銀やカドミウムなどの重金属や発がん性物質で汚染されている事実が判明したと報じられております。また今回の厚生省調査は、一件当たり投棄量が十トン未満については調査対象にしておりませんで、実際には今回のデータを上回る産業廃棄物が全国各地に不法投棄されたままになっていると考えていいと思います。これら不法投棄が横行する背景には、廃棄物の後始末に経費をかけるのは損だという発想を助けるような現行法の欠陥があると指摘をされており、まじめに処理していたら採算がとれないので不法投棄に走るという傾向が根強い、悪質な不法投棄であっても現行の罰則では罰金百万円で済むからだと指摘をしております。
 以上のことから、幾つかの極めて重大な問題点が浮かんでまいりますが、以下数点にわたって担当の部長に質問いたします。
 一点目、県内の最終処分場業者数とその規模はどうか。これら業者に対する徹底した管理監督は行っているのか。
 二点目、環境庁の調査で明らかになった汚染処分場三十カ所の中に本県関係のものはあるのかないのか。
 三点目、県知事の許認可を必要としない小規模の処分場に汚染の心配のあるものが多いと言われておりますが、県内のこれら小規模処分場の実態について調査したことがあるのか、またその現状についてご報告を願いたい。
 四点目、不法投棄して罰金百万円を払っても結局は得だという企業倫理にもとる悪質な業者を一掃するために、この際罰則を強化すべきであると思いますが、どうでしょうか。国への働きかけとあわせてお答えをいただきたい。
 別の調査によれば、近年、都道府県境を越えて産業廃棄物が移送される量がふえていることが報じられておりました。この件については、同僚向井議員を初め多くの議員が取り上げておられますが、再度、簡単に申し上げたいと思います。
 現在、全国で規制をしている県が大変多いわけでありますけれども、県外産業廃棄物の搬入規制をしていない都道府県が全国で十六都府県あります。そして、関西六府県はすべてこの搬入規制をしていない県に入っております。
 もう一つ、最近、大変興味のある新聞報道がございました。それは、産業廃棄物に関する裁判であります。一つは二月十四日付の日経新聞でありますが、北海道釧路市に産業廃棄物処理場を建設する業者が廃棄物処理法に基づかない行政指導により建設を不許可としたのは違法だとして、道知事を相手に訴訟を起こし、この裁判によって裁判長は業者の訴えを認めて道に処分の取り消しを命じた。産業廃棄物設置の許認可は機関委任事務として都道府県が扱っているが、根拠法令の廃棄物処理法には立地規制がなく、裁判では道が地域の環境保全を目的に定めた行政指導基準の適法性が争点となっていたと報じられております。
 また、翌日の二月十五日の同じく日経新聞には佐賀県の裁判の例を報じております。町の規制を盾に土砂運搬用トラックの林道使用を禁止したのは違法だとして福岡市の産廃業者が佐賀県基山町長を相手に処分の取り消しを求めた裁判の判決でございまして、こちらの方は、裁判長が「森林保全などを目的に地域限定的に開設された林道の管理権は町にある。長期にわたる大量の土砂搬入は目的外使用で、町の処分は裁量内の行為で適法」だとして業者の訴えを却下したという報道であります。
 そこで、お尋ねをいたします。
 一点目、近畿ブロック六府県は、いずれも流入・流出規制をしておりませんが、ある意味で野放し状態と言っても過言ではないと思います。今後、県民の良好な生活環境を守るために流入規制を実施する考えはないか。
 二点目、この調査によれば本県は流出が流入を大幅に上回っておりますけれども、これは事実か。事実とすれば、いかなる理由によるものか。また、他県への迷惑、影響などを考慮し、将来、流出に関しても規制していく考えはないか。
 三点目、ただいま紹介した新聞報道の、ある意味で相反する判例についてどう思うか。
 四点目、本県内においても住民と産廃業者の間で紛争が幾つか起こっておりますが、佐賀県基山町の例を参考に、市町村と協議の上での話でございますが、不法投棄防止の有効な手だては考えられないか。
 以上、いずれも生活文化部長からお答えをいただきたいと思います。
 次に、一般廃棄物に係る諸問題に移ります。
 初めに、ごみ処理に関する諸問題についてであります。
 我が国のごみ排出量は年間五千二十万トンと言われておりますが、年々増加し続けている一般廃棄物の処分場用地の確保が今後ますます難しくなっていくと予想されます。したがって、ごみ排出量の削減、ごみの再資源化、再利用が緊急の課題と申せましょう。このような社会情勢から、この数年、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、再生資源の利用の促進に関する法律、さらに容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律いわゆる容器包装リサイクル法でありますが、これが相次いで制定されました。これら一連の流れを受けて、本県内におけるごみの分別収集、再資源化、再生利用の現状と今後の取り組みについて簡潔にお答えをいただきたい。特に、県下五十市町村すべてにおいて、ごみの分別収集の完全実施はおおよそ何年に実現するのか、明らかにしていただきたい。
 近年、いかに環境への負荷を少なくし、人間が自然環境と共存できるのかという観点から、多くの地方自治体や企業、団体が、ごみの減量化や再資源化、再生利用の研究に力を入れ、開発、実現をしている例が報告されております。
 例えば、鉄鋼メーカーは、溶鉱炉の技術を生かしてごみを高温で溶かして再資源化を図り、大阪・茨木市で供用を開始しました。これによると焼却灰が発生しないため、埋め立て処分が不要になるとのことであります。またある非鉄金属メーカーは、ニッカド電池を回収して溶解し、ニッケルとカドミウムに再生、販売。他の非鉄金属メーカーは、自動車の使用済みバッテリーを回収、精錬し、鉛を再生。またあるセメント工場では、原料の焼成工程で廃タイヤや廃油を燃料として使用し、その焼却灰はセメントの成分に取り込むことに成功した。これに関しては、埼玉県が積極的に県内のセメント工場での実用化を推進しております。同県では、昨年、廃パチンコ台の燃料化も実現しており、注目を集めております。さらにある企業は、米国の企業と提携して発泡スチロールの再生技術を導入し、造船メーカーと共同で鹿児島市でプラントを建設する計画が進んでいるとのことであります。変わったところでは、奈良市が市内から出るごみの焼却灰を使ってれんがやインターロッキングブロックの製造に取り組み、この試験製造を障害者団体に委託、知的障害者の共同作業所で生産され、既に市防災センター、体育館、小学校等で舗道や縁石として使用されているそうで、ごみの再資源化と障害者の社会参加、就労確保の一石二鳥の妙案と話題を呼んでいるのであります。従来の、ごみは焼却処分し、焼却灰は埋め立て処分するものという画一的な発想から、さまざまな発案、研究、開発によってごみの減量化、再資源化、再生利用が急速に進んでいる事実にかんがみ、本県内においてもそれぞれの自治体、地域の実情などを考慮し、各市町村に対し助言、指導を行っていくべきであると思いますが、いかがでありましょうか。県内三十施設の現状とあわせてお答えをいただきたい。
 次に、もう一つの一般廃棄物である排水についてであります。
 水質汚濁の原因の半分は一般家庭からの生活排水と言われております。すなわち、炊事、洗濯、入浴などの雑排水、並びにし尿であります。水質汚濁の五〇%は家庭からの生活排水が原因とされる現状にかんがみ、これら生活排水対策を推進するためには、公共下水道、流域下水道などの下水道整備を促進し、県下各市町村、各地域の実情に応じて合併処理浄化槽、農山漁村集落排水施設、コミュニティープラントなどの生活排水処理施設の整備を急ぐとともに、一般家庭からの水質汚濁への負荷を減らすために、住民へのPRと意識の高揚に取り組むことが急務であると考えます。これら生活排水処理施設の整備状況を示す数値を見ると、残念ながら本県は水洗化率は四九・三%で四十位、公共下水道普及率は八%で四十七位、汚水衛生処理率は一一・一%で同じく四十七位と、全国四十七都道府県中最下位に甘んじているのであります。その原因をせんさくすることは、今回の質問の中身とは違いますのでやめることにします。
 そこで、お尋ねをいたします。
 本県が置かれている実情に照らして、下水道網の整備は他のどの事業よりも最優先の最重要課題と思いますが、二十一世紀初頭を目指して、本県として今後どのような事業推進を図り、その達成目標をどのレベルに置いておられるのか、最高責任者である知事の所見を承りたいと思います。
 二点目に、普及がおくれている市町村並びに未着手市町村に対して、新規事業着手をどう指導、推進していくのか。今世紀中に達成すべき目標について各担当部長の答弁を求めます。
 三点目、水環境の保全は、これまで水質汚濁の防止という観点が主でありましたが、人類が水環境から受ける恵みという観点から、水質のみならず、水生生物、水量、自然保護といった総合的見地から対策を立てていく必要があると考えます。
 そこで、都市区域における水循環の確保を図るため、水循環・再生下水道モデル事業、再生水利用下水道事業の推進、並びに浸透升や透水性舗装の積極的導入について、各担当部長の取り組みに対する決意をお伺いいたします。
 次に、海水汚濁問題についてお尋ねをいたします。
 日本海で発生したロシア船籍タンカー、ナホトカ号の重油流出事故は、日本じゅうに大きな衝撃と教訓を残しました。このことは決して対岸の火事ではなく、タンカー航行量の多い本県海域においても十分予測されることであります。流出原油は、自然環境の中で分解し、完全に浄化されるまでに長い年月がかかり、海洋性の動植物などの生態系に重大な影響を及ぼすことを考えますと、ナホトカ号事故で初動体制など危機管理の不備が指摘されていることにかんがみ、本県海域での重油流出事故が万一発生した場合の危機管理体制の発動について、和歌山県としてはどのように対応するおつもりであるのか、総務部長の見解をただすものであります。
 次に第五点目の、リサイクル社会の構築に関する諸問題についてお尋ねをいたします。
 平成六年度実績で我が国の各種リサイクルの現状は、スチール缶が六九・八%、アルミ缶が六一・一%、古紙五一・三%と再資源化がかなり進んでおりますが、一般廃棄物の再資源化率は全体でわずかに三・九%にとどまっており、リサイクル社会実現への道のりはまだまだと言わざるを得ません。もちろん、完全なリサイクル社会を構築するためには、各家庭における意識の高揚は当然のこと、メーカーサイドのデポジット制度の導入や販売店における簡易包装の徹底など、経済・社会総体としてのリサイクルシステムの構築が急がれるところであります。また、廃棄物リサイクル対策に係る責任とコストについて、事業者、消費者、国、地方公共団体で適切に分かち合うルールづくりや、製品の開発、製造、流通、消費、排出、回収、再生の各段階において環境への負荷を極力抑えるために、廃棄物の発生を抑制し、再生利用を推進していくために全員参加で研究、努力していく必要があると思います。
 そこで、お尋ねをいたします。
 第一に、本県における主な容器等の回収の実態はどうか。
 第二に、デポジット制度の導入はどの程度進んでいるのか。
 第三に、リサイクル社会の構築のために、事業者への指導、消費者の意識の高揚についての取り組みはどうか。
 それぞれ、部長からお答えをいただきます。
 次に、財政問題に移ります。
 平成九年度予算編成に当たって、厳しい財政事情を踏まえて、これまでの制度、施策の見直し、歳出の削減合理化に取り組んだ、まさに苦労の跡がにじむ予算と申しても過言ではないと思います。しかしながら、財政調整基金七十二億円、県債管理基金二百八十四億円など、合わせて五百二億円もの基金を取り崩すなど、やむを得ない措置とはいえ、この取り崩しによって基金残高は財政調整基金が二十七億二千八百万円、県債管理基金が三百三十九億四千万円と、いずれも明年度には底をつくところまで来てしまったと言わざるを得ません。一般家庭で言えば、いざというときのために銀行と郵便局で貯金をしていたものを少しずつ引き出して貯金残高も残りわずかとなった姿に似ていなくもありません。さらに、六百九十六億円余の県債を発行することにより、年度末県債残高は五千五百七億六千二百万円に達し、ほぼ本県の年間歳入歳出予算額と変わらない多額の借金を抱えることになってしまいました。これによって、起債制限比率は九・一%となるのであります。
 ところで、聞くところによりますと、震災復興に苦労する神戸市は、平成九年度当初において起債制限比率が二一・六%に達する見込みだそうでありまして、赤字再建団体に転落する瀬戸際まで追い込まれているという、まことに厳しい状況下であります。加えて橋本内閣は、消費税の五%へのアップ、特別減税の打ち切り、社会保険負担増のトリプル増税で、約九兆円とも言われる国民負担を強いる予算案を提出、先週、衆院を通過したところであります。
 バブル崩壊後、我が国経済は極度の不振に陥り、本年一月には四年ぶりに一ドル百二十円台まで急落、株価も低迷を続けているのであります。大蔵大臣や日銀総裁が、いかに景気は回復基調にあるとか日本経済は上向いているとか言っても一向に上昇の気配はありませんし、あまつさえ、先ごろ開かれたG7において、先進各国が協調して円安・ドル高に協調介入することが確認され、世界じゅうに報じられても、効果があったのは数日間だけで、またもとの円安・ドル高に逆戻りした現実を我々は最近目にしました。今こそ、思い切った減税と大胆な規制緩和、行財政改革、地方分権を推進することにより国民の消費意欲を喚起する以外に我が国経済を好転させる方策はないと断言せざるを得ませんが、この議論は別の機会に譲ります。
 ただ一点だけ、このような財政危機に直面する中、今後どのような財政運営を心がけていかれるのか。神戸市のように、いつ災難が襲いかかるか予測は尽きませんが、神戸市ももとは積極的な財政運営で知られ、財政の豊かな団体であったはずであります。しかし、あの悪夢のような阪神大震災によって今や赤字再建団体転落寸前の状況に追い込まれている事実を教訓として、今後、本県の財政運営に当たる知事の所見をお伺いいたします。
 ところで、消費税であります。
 まことに許しがたいことでありますが、四月一日の消費税五%実施を前に、早々と公共料金の値上げが相次いで発表されました。JR、私鉄各社、国内航空運賃、高速道路料金、電気、ガス、NTT電話料金、国産たばこ、ガソリン、酒類など、いずれも我々国民の日常生活と密接に結びついているものばかりであります。消費税の逆進性という点にかんがみ、私は公共料金こそリストラなどの企業努力で極力据え置くなどの対応をすべきであると思います。今、私が最も心配するのは、年金生活者等の社会的に弱い立場の人々の生活への圧迫であります。預金金利が最低限に抑え込まれていることで厳しい状況にあるこれらの人々にとりまして、公共料金の値上げが家計を直撃するだけに、JR、NTT電話料金、電気、ガス、社会保険診療報酬などは据え置くのが当然であると、私は憤りを持って申し上げたい。
 ところで最近、首相の諮問機関である物価安定政策会議という会議が開かれました。その特別部会の部会長である小島英敏さんは、会の終了後に記者会見をして、このようにおっしゃっておられます。「民間企業は厳しいリストラに取り組んでいるのに、公共料金関係の事業体は甘やかされている面もある。消費税上げ分の適正な転嫁はやむを得ないが、参入規制の撤廃を推し進め全体の料金体系を押し下げる努力が欠かせない」と、暗にこれら値上げを発表したところへの批判をされております。
 そこで、質問であります。
 今回の消費税の増税に伴い、その逆進性という点などにかんがみ、庶民の生活を直撃するものを中心に、極力据え置きなどの努力をすべきであると考えますが、知事のこの問題についての基本的な姿勢をお聞かせいただきたい。
 三点目、先ほど紹介した物価安定政策会議の席上でも、出席した各委員から便乗値上げが横行するおそれがあるとの発言が相次いだと報じられております。八年前の消費税導入時の悪質な便乗値上げの例を思い出しますが、これら一部の悪質な業者による便乗値上げを防いで庶民の生活を守るためにどのような対処をされるおつもりか。物価モニター制度などあらゆる手段を駆使し、また業者に対する監視、調査など、その取り組みについて生活文化部長の答弁を求めるものであります。
 最後に、関西国際空港に係る問題について、二、三質問をいたします。
 去る二月十九日に一斉に新聞報道で、神戸空港が九八年着工、二〇〇四年十月一日の開港を目指して運輸省から設置許可されたことが報じられておりました。前の議会でも、私申し上げました。大阪空港の廃止が神戸空港建設の前提である、そのように申し上げた経緯がございます。またこの新聞報道の中にも、狭い関西の中に三つも空港が要るのかという疑問の声も上げられておりました。
 そこで、お尋ねをいたします。
 第一に、かかる時期に神戸空港が正式に認可されたことについて、知事はどのように思われますか。この際、率直なご意見、感想を聞かせていただきたい。
 第二に、財政問題のところでも少し申し上げましたが、今、我が国経済は未曾有の危機の中にあり、景気の低迷から抜け出すことができず、かつてイギリス病と言われたサッチャー首相以前の英国と同じく、日本病とも言うべき病の底にあるのであります。この状況から脱出するためには、思い切った減税と大胆な規制緩和、行財政改革、それに大幅な地方分権の実行によって国民の消費意欲を拡大するとともに、企業の投資意欲を喚起する以外にないと私は考えますけれども、思い切った施策の一つとして、荒唐無稽と言われるかもしれませんが、提案があります。
 関西国際空港の二期工事は、一九九八年度に着手、二〇〇七年に二本目の滑走路の完成、供用開始、二〇一一年に空港新施設供用開始のタイムスケジュールで今後進められてまいりますが、この際、二〇一〇年あたりをめどに横風用滑走路も含めた全体構想を前倒しして実現していくことによって関西経済並びに我が国経済に与えるインパクトははかり知れないほど大きく、そのメリットは大いなるものがあると思われます。この世論を巻き起こしていくために、知事にはぜひとも関係各方面に説いて回っていただきたい。今申し上げたように荒唐無稽な話だと一笑に付していただいても結構ですけれども、できればご意見を伺いたいと思います。
 第三に、県内数カ所を結ぶコミューター空港網の早期実現を図り、これを関西国際空港と結ぶことによってその価値をより高めるべきであると思いますが、このことについては企画部長からお答えをいただきたいと思います。
 第四に、先ごろ、二期工事用土砂採取事業は民間方式で行うことが発表されたところでありますが、関西国際空港の二期工事が一九九八年度末にはスタートすることから逆算して、土砂採取事業の立ち上がりのタイムリミットが迫っていることはだれの目にも明らかであります。そこで、同事業の概要について明らかにすべき時期が来ていると思いますが、いかがでありましょうか。企画部長にお尋ねをいたします。
 以上、項目が多岐にわたりますので、答弁は極めて簡潔に要領よくお願いをしたいと思います。特に生活文化部長にはお願いを申し上げて、質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 森議員にお答えをいたします。
 まず、産業廃棄物の問題であります。
 県内産業の健全な発展のためには産業廃棄物処理施設の確保が大変重要なことであると認識をしてございまして、排出事業者の熱意と努力が前提ではございますけれども、県としても、市町村の協力も得ながら最終処分場問題について検討していきたいと思っております。
 次に、下水道の問題であります。
 下水道等の汚水処理施設の整備につきましては、生活環境の改善、あるいは河川等の公共用水域の水質を保全するために、県としても重点施策として取り組んでいるところでございます。この事業の整備に当たりましては、平成七年度に策定した和歌山県全県域汚水適正処理構想に基づきまして、市町村を事業主体として各省庁の事業を取り入れ、二十一世紀初頭の水洗化率を六〇%にすることを目標に整備促進を図っているところでございます。それぞれの事業につきましては、関係部長から答弁をいたします。
 次に、財政問題であります。
 議員ご指摘のように、財政状況は大変厳しい状況を迎えております。しかし一方では、和歌山の新時代に向けて、県民の皆さんに身近な社会資本の整備、総合的な福祉施策の充実等、重要な政策課題は推進をしていかなければなりません。こうした状況の中で、今後の財政運営に当たりましては、所信表明でも述べさせていただきましたが、従前からの行政改革大綱に基づいた取り組みはもちろんのこと、さらに抜本的かつ構造的な行財政改革を推進することによりまして、政策的経費の財源確保を図り、二十一世紀に対応し得る行財政システムをつくっていかなければならないと考えております。そうした中で、職員の意識改革あるいは地方分権の推進、また県民の皆様方のなお一層のご理解とご協力をいただく努力を進めていく必要があろうと思っております。
 次に、使用料、手数料等への転嫁の問題であります。今回の税制改革に伴う消費税率のアップにつきましては、これから申し上げる点を基本方針として対応をしたところであります。
 一つは、平成九年度は平成五年度から四カ年を経過し、使用料等の全面改定を行う年度に当たっておりますけれども、物価上昇の状況や県民生活への影響を勘案いたしまして、消費税率のアップ分以外の改定は見送ることといたしました。
 次に、県立高等学校の授業料及び入学金、公営住宅の家賃、軽費老人ホームの使用料など、県民生活に直接的に影響を生じ、政策的配慮の必要なものにつきましては、従前どおり課税対象から外すことといたしております。
 また、消費税の税率アップ分を歳入に転嫁しないことによる実質的なコストの増加につきましては、民間委託の促進、事務事業の見直し、経常的軽費の節減など、徹底的な経営努力によって、でき得る限り吸収するように指示しているところでございます。
 次に、神戸空港に対する所感であります。
 率直に申しまして、月日がたつにつれていろんな変化があるなということを感じておりますが、神戸空港については、神戸都市圏の国内航空需要の一部を担うという位置づけのもとで、第三種の地方空港として設置許可が出されたところでございます。したがいまして、国においては、第一種空港である関西国際空港との基本的な機能分担が考慮されているものと考えております。国際線、国内線がともに乗り入れるハブ空港としての関西国際空港の機能が損なわれることのないよう、さらに国内便の確保についても十分配慮されることが必要でございます。県としても、引き続き関係機関に強く要望していきたいと考えております。
 最後に、関西国際空港の全体構想に関連してであります。景気対策として関西国際空港全体構想の早期実現を図ってはどうかというご質問であります。
 関西国際空港の建設は、まさにビッグプロジェクトで、全体構想を実現するための事業費は二兆円を超えると言われておりまして、議員ご指摘のように、それに伴う経済波及効果は大変大きいものがあろうと思っております。また、関西国際空港を世界有数の国際ハブ空港に育てるという観点からも、全体構想の早期実現は不可欠なものであると認識しております。しかしまた一方では、国、地方ともに財政状況が極めて厳しい状況にあることも事実であります。こういった中で、お話にございましたように、県といたしましても、引き続き県議会のお力添えを賜りながら、空港整備財源の充実も含め、二期事業の円滑な推進並びに全体構想の早期実現について、関係府県、関係団体と連携をしながら国にも働きかけていきたいと考えております。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 森議員にお答えをいたします。
 環境問題の十四点についてお答えをいたします。
 まず、県内の最終処分場の残余容量についてでございます。
 合計百二十四万立方メートルとなっており、新たな処分場の立地を見込めないとの仮定のもとに年間の排出量で単純計算いたしますと、約三年分の残余量と推定されます。
 次に、大阪湾フェニックス計画の処分場は、現在使用中の泉大津と尼崎処分場につきましては、管理型区画が平成十年度、安定型区画が平成十五年度に満杯になると予測されてございます。その後の対応として神戸沖処分場の計画が進められてございますが、平成十一年度に受け入れを開始し、平成十七年度までの計画となってございます。
 フェニックス計画の広域処理対象区域は厚生大臣が指定するもので、平成五年度の区域見直しの際に県として区域の拡大を要望いたしましたが、土地利用の程度等を審査され、吉備と広川の二町の追加だけが認められたものでございます。内陸部は飲料水の取水源が多く、海岸部は自然公園に指定されて法的制約があるなど、本県の特殊事情もございますので、機会をとらえて区域の拡大を要望してまいりたいと考えてございます。
 次に、最終処分業の許可業者は八業者、許可容量百四十九万五千立方メートルであり、環境月間のパトロールや苦情発生時の立入調査等により随時指導を行ってまいりましたが、平成九年度以降は定期的な監視を行うべく、水質等の検査費用を当初予算でお願いしているところでございます。
 次に、県内に汚染処分場はないのかというご質問でございます。
 平成六年度と七年度に環境庁が実施した安定型最終処分場水質調査において本県の処分場も調査対象となりましたが、公共水域への排水基準を満足している結果でございました。なお、平成九年度からは県独自の水質調査を実施してまいります。
 次に、ミニ処分場の実態調査と現状でございます。
 法定規模に達しない、いわゆるミニ処分場の実態につきましては、確認すべき資料がないため正確な実態を把握することは困難でございますが、平成七年度から県警、市町村、産業廃棄物協会の協力を得て実施している陸・海・空からの一斉パトロールにより把握に努めてございます。現時点で把握しているミニ処分場と思われるものの数につきましては、高野口保健所管内に二十一、その他の保健所管内に十六の合計三十七カ所と報告を受けてございます。
 次に、不法投棄の抑止力として罰則を強化する必要があると考えてございまして、近畿二府四県八保健所設置市で構成する近畿ブロック産業廃棄物処理対策推進協議会を通じて法律改正の要望を行ってございます。
 次に、産業廃棄物の越境移動に規制をというご質問でございます。
 県外から流入する産業廃棄物に対して一定の規制を加えることについては、県としての方針を明らかにするための指導要綱を近く策定する予定でございます。本県の場合、中間処理施設が未整備の中小企業が多いため相当量の流出もある状況でございまして、流出を直ちに規制することは困難でございますが、県外からの流入に制限を加える以上、県内からの流出についても抑制の努力をする必要があると考えますので、指導要綱にこの考えを盛り込みたいと考えてございます。
 次に、産廃投棄をめぐる相反する判決の事例についてでございます。
 林道の通行を禁止することにより町が産業廃棄物の搬入を阻止したことにつきましては、廃棄物処理法には規制の限界もございますので窮余の策として行われたものと思われます。一方の、行政指導要綱により不許可としたことが違法との判決につきましては、現行法上はこのような結果になるものと思われますが、今回の法律改正要望の中で地域の環境の実態に応じた判断が許されるよう強く要望しているところでございます。
 次に、不法投棄防止の有効な手だてはないのかというご質問でございます。
 産業廃棄物処分場を建設するためには、土地取引、地目の変更、農地転用、里道、水路の変更、林地開発や都市計画上の許可など、さまざまな法的制限をクリアする必要がありますので、それぞれの段階で住民の声を反映させることや、それぞれの規制を担当する機関が連携することが重要であると考えまして、各地域ごとに保健所、県事務所、土木事務所、警察署及び地元市町村を構成員とした産業廃棄物適正処理連絡会議を発足させたところでございます。産業廃棄物の適正処理のために、今後、廃棄物処理法の動向を見きわめながら、この会議を活用して廃棄物処理法の限界をカバーすることも考えてまいりたいと存じます。
 次に、一般廃棄物問題についてでございます。
 ごみの分別収集については、県下市町村において何らかの形で分別収集を行っております。また、缶、瓶等の資源ごみの回収は二十一市町村で行われており、年間回収量は三万九百トンで資源化率は七%と、全国平均を若干上回っております。
 ごみの排出抑制やリサイクルを促進する容器包装リサイクル法が本年四月から実施され、県内四市十七町五一部事務組合で分別収集計画が策定されております。県といたしましても、この分別収集計画が円滑に実施されるよう市町村と連携を図り、県民や事業者への啓発に努めるとともに、リサイクルセンター等資源化再生利用施設の整備を促進するため、国庫補助の確保や支援策を講じてまいります。
 なお、分別収集計画が未策定の七市町につきましては、次期策定時期の平成十一年度に策定されるよう強く指導してまいります。
 次に、ごみの減量化、再資源化の問題でございます。
 平成六年度の本県の一般廃棄物の排出量は四十三万八千トンで、そのうち三十三万トンが焼却処理され、焼却灰は埋め立て処分されております。また、県下のごみ処理施設は昭和四十年後半から昭和五十年後半に設置されたものが半数を占め、小規模な施設が多いのが現状でございます。今後県といたしましても、従来の廃棄物を燃やして埋める処理から、ごみの排出抑制、リサイクルへの積極的な取り組みを指導するとともに、小規模施設やリサイクル施設の集約化、ごみ固形化燃料としてのRDF化施設の設置など、市町村とともに既設の焼却施設の更新時期や市町村間の地理的、社会的条件などを検討いたしまして、適切な廃棄物処理施設の設置を指導してまいりたいと存じます。
 次に、排水問題でございます。
 合併処理浄化槽につきましては、平成八年度において、五十市町村中四十七市町村が設置に対する補助事業を実施いたしております。未実施市町村に対しては事業の実施を働きかけてまいったところでございますが、平成九年度に新たに一町の実施を予定してございます。残る町村に対しても、引き続き事業の実施を呼びかけてまいりたいと存じます。県といたしましては、今後とも合併処理浄化槽の設置を推進し、平成十二年度までに人口比一二%の処理率を目途に整備を図ってまいりたいと存じます。
 次に、リサイクル社会における容器回収の実情はというご質問でございます。
 一般廃棄物処理事業実態調査による平成六年度県下の実績は、金属類で一万四千トン、瓶類で九千トンの計二万三千トンが回収されております。
 デポジット制度の導入でございますが、デポジット制度は事業者が行うことが基本であると考えております。現状でのデポジット制度はビール瓶のみであり、ホテル等の業務用を対象としてミネラルウオーター、コーラ瓶が一部制度化されております。
 次に、事業者、県民への意識の高揚でございます。
 本年四月から実施される容器包装リサイクル法は、事業者、消費者、行政の役割分担を明確にし、事業者に再商品化という義務を課し、廃棄物に対する費用負担を求めているのが特徴でございます。今後、これにより過剰包装を抑制し、再生利用しやすい素材を使った容器包装に切りかえられることが予想されます。また、廃棄物に対する県民への意識啓発につきましては、これまでも環境月間や衛生週間で、テレビ、ラジオ、「県民の友」による啓発、市町村では広報紙等による啓発を行っており、今後も引き続き積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、財政問題のうち消費税の引き上げに伴うものでございますが、消費税率引き上げに伴う便乗値上げを防止するため、物価モニターや職員による価格動向調査について特別調査を実施するなど、調査、監視を強化してまいります。また、消費者の監視も便乗値上げ防止には効果的であることから、消費者に対する説明会の開催や啓発用パンフレット、ポスター、物価情報誌の配布など情報提供を行うとともに、消費者からの情報や問い合わせにも積極的に対応し、必要に応じて関係部局とも連携を図りながら便乗値上げの防止に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) この際、申し上げます。
 当局の答弁は、要を得て簡単明瞭に行うよう留意を願います。
 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 排水問題についてのご質問にお答えします。
 まず建設省所管の下水道事業でございますが、平成八年度現在、十五市町が事業に着手し、そのうち八市町で供用開始しております。また、平成八年度からの第八次下水道整備五カ年計画の中で十八市町村が着手を予定しておりますが、これらの市町村に対し、積極的に着手するよう今後ともなお一層働きかけてまいります。
 また処理人口普及率につきましては、平成十二年度末の目標を一四%とし、下水道整備の促進を図ってまいります。
 次に、水循環を図るためのモデル事業についてでございます。
 これにつきましては、下水処理水を貴重な水資源の一部として活用する上で重要な事業であると認識しておりますが、本県においては、現在、下水道の普及拡大を最優先として取り組んでいるところであり、議員ご指摘の件については、普及の進捗状況を見ながら、その推進について検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 排水問題について、未着手の市町村に対する支援はということでございます。
 農林水産部所管の下水道整備事業でございますが、農業集落排水事業につきましては、昭和五十九年度に美浜町で初めて実施して以来、平成八年度までに四市十二町一村の三十五地区で事業実施しており、そのうち一市二町の七地区で供用を開始しております。漁業集落排水事業につきましては、二市二町八地区で事業実施を、また山村部の小規模排水事業については、一町一地区で事業を実施しております。三事業合わせまして、四市十五町一村四十四地区で実施しております。
 なお、平成十二年度末には対象処理人口に対する着手率四〇%をめどに、今後とも市町村と協力して事業の推進を図り、水質汚濁の改善と生活環境の向上に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 重油流出事故への対応についてお答えします。
 海洋での船舶の事故等により重油などの危険物が流出した場合は、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律に基づき、海上保安庁の指示により、船舶の所有者から委託を受けた海上災害防止センターが中心となり、排出油防除のための応急措置を講じることとなってございます。しかし、流出油が沿岸地域に漂着するなど周辺地域に重大な影響を及ぼすおそれがある場合は、県地域防災計画の定めるところにより、県災害対策本部を設置することは言うまでもなく、事故対策連絡調整室を設置し、効率的な防除対策に取り組むこととしており、昨年の近畿府県合同防災訓練の際も、タンカー事故を想定した訓練を和歌浦湾で実施したところでございます。
 なお、今回の日本海重油流出事故にかんがみ、国においては流出油防除体制総合検討委員会を設置し、事故再発防止、流出油防除対策等を総合的に検討されてございます。また本県でも、流出油災害に対する体制の整備を図るため、和歌山県排出油防除対策協議会(仮称)を設置するよう、海上保安部を中心に関係機関と協議を進めているところでございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) リサイクル社会構築のための事業者への意識の高揚の取り組みについてお答えいたします。
 議員お話しのとおり、リサイクル社会構築のために事業者の果たす責務はまことに大きいものと考えてございます。このことから、資源の有効利用や廃棄物の発生の抑制及び環境の保全に資するために、再生資源の利用の促進に関する法律、いわゆるリサイクル法が施行されたところでございまして、商工労働部といたしましては、事業者に対して資源の再利用についての情報提供や普及啓発とともに、産業廃棄物の削減と再利用の促進、環境に配慮した生産工程の構築等の研究開発も進めてまいったところでございます。さらに本年四月から、容器包装リサイクル法に基づきまして事業者の再商品化の義務が課せられますが、法の施行と今後の動向についてセミナー等を開催し、普及啓発に努めているところでございます。今後とも、法律の趣旨を踏まえ、指導、啓発してまいりたいと存じます。
○議長(町田 亘君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 森議員にお答え申し上げます。
 県内コミューター網の早期実現についてであります。
 ヘリコミューターの実現は、事業採算性など難しい問題もございますが、ヘリコプターは県内外の交通の高速性や利便性の向上を図る上で非常にすぐれた交通機関であることから、今後もヘリコミューターの実現に向けた検討を行ってまいりたいと存じます。
 また、県内コミューター網と関西国際空港との連結についてでありますが、コミューター網の有効性を十分発揮させるためには、広域的な交通結節点とネットさせることが不可欠でございますので、従来より近畿八府県三政令市で近畿圏ヘリ・コミューターシステム協議会を設置し、関西国際空港への乗り入れを要望しているところでございまして、今後とも乗り入れの実現に向けた取り組みを行ってまいりたいと存じます。
 次に、関西国際空港二期事業埋め立て用土砂供給につきましては、昨年末に事業主体を民間企業とすることなどの本県の基本方針を決定し、現在、和歌山市など関係機関と連絡調整を図るための協議会の設置準備を進めているところでございます。
 土砂の搬出時期等につきましては、現在のところ平成十二年度中と言われておりますが、事業主体となる民間企業と関西国際空港用地造成株式会社との間において、二期事業のスケジュールに沿って調整が進められていくものであると考えてございます。県といたしましては、協議会を早期に設置し、土砂供給が環境保全を図りつつ適切かつ円滑に実施されるよう、積極的に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) 以上で、森正樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(町田 亘君) この際、暫時休憩いたします。
 午後零時三分休憩
 ─────────────────────
 午後一時四分再開
○副議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番鶴田至弘君。
 〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 議長のお許しをいただきましたので、午前に引き続き一般質問をさせていただきます。
 昨日来の質問と答弁の中で、知事にあっては、御坊第二火電の建設の可否について電調審への回答を保留されました。慎重に研究する態度を示されたことは評価いたしたいと思います。ついては、安全性・適地性・地元合意、地域振興等の諸点について現在どのような認識に立っておられるのかお尋ねをいたしまして、知事並びに当局の認識を確認したいと思います。
 電源立地三原則の一つとして、まず安全性の問題がありますが、第二火電の使用燃料オリマルジョンの安全性についてお尋ねをいたします。
 ご承知のように、オリマルジョンは界面活性剤を含有しているところから水溶性であり、海水にも溶けることが明らかになっております。三月三日のNHKテレビでは、水を満たしたビーカーにオリマルジョンを注ぎ、その溶解する姿を紹介しておりましたが、砂糖が水に溶けるように溶け込みました。したがって、漏れても重油のように回収はできないわけであります。
 また、オリマルジョンは薬品としても使用され、強い毒性を持っていることは、既にご承知のところであろうと思います。このオリマルジョンが海洋に漏えいした場合、その毒性のゆえに海洋資源に深刻な影響を与えるであろうと推測されますが、当局はいかなる所信をお持ちですか。
 オリマルジョンは、スイスではその毒性のゆえをもって使用を禁止され、アメリカやイギリスでもオリマルジョンを燃料とした発電は中止する動きが出てまいりました。既に数カ所が中止しております。
 二月八日の「北海道新聞」によりますと、北海道電力が関電と同じようにオリマルジョン発電を計画し、それを試運転しようとした際、地元漁協がオリマルジョン漏えいとそれによる海洋資源への影響を心配し、オリマルジョンの輸送に反対を申し入れたとの報道がありました。結局、北電は漁業関係者の声を真摯に受けとめたいとして輸送を中止し、界面活性剤の研究を第三者機関にゆだねたとあります。オリマルジョンの安全性に疑念がある以上、徹底した調査研究を行い、実態の解明に努めなければならないのは当然のことでありますが、御坊第二火電についても同じことが言えるわけであります。県としても、それが第三者機関で、つまり関電の手による研究ではなく第三者機関でその安全性が確認されるまでゴーサインは出すべきではないと思いますが、いかがですか。
 次に、御坊第一火電と梅生育不良の関係です。
 第一火電による大気汚染がその原因ではないかという疑念は、全く解消されておりません。第二火電の推進派の方々自身もそれを認めており、御坊市議会での推進決議の中でさえ、梅枯れを初め万全を尽くした公害防止を図れとか、梅枯れ問題の早期解明をとか、言及しているところであります。ついては、現在、当局は梅枯れを御坊第一火電の廃棄物との関係でどのように認識しておられますか。
 関電自身はみずからを無罪としておりますが、科学的な説得力を持った説明は全くなし得ておりません。逆に最近は関電と梅の生育不良との関係を示唆する研究も進み始めており、関電からの大気への排出物が酸性霧と化合して複合的な作用で梅を生育不良にさせているのではないかという説が出てまいっており、近く学会に発表されるとのことであります。疑いが濃くなってまいりました。
 ついては、関電みずからこの問題に真剣に取り組もうということになっておるでしょうか。客観的に、どこから見ても梅生育不良と第一火電、第二火電の廃棄物が無関係であることが実証されるまで第二火電の建設は認められるべきではないと思いますが、いかがでございますか。
 また、十二月議会にも質問がございましたが、梅枯れ問題との関連で、緊急対策として、現在の第一火電に排煙脱硫装置を備え、また脱硫装置と電気集じん機を最新のものに取りかえることを関電に求められたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
 次に、第二火電は地域振興に役立つかどうかという問題です。
 昨年八月、原子力発電などで地域振興を図ろうとした福井、新潟、福島の各県の知事がもんじゅの事故を契機に開かれた円卓会議に出席し、それぞれが、電源立地では地域振興に限界があり困難、今後も期待できないとして電源三法の見直しを求めたとの報道があり、相当深刻な模様であります。御坊市においても第一火電がどのように地域振興に役立ったかは甚だ疑問で、第一火電立地以来も人口減少は進み、商店の疲弊なども目立っているありさまであります。
 御坊市の推進派の方々は、立地により財政が潤い、雇用がふえ、地域振興が図れるとおっしゃっておりますが、全国的な経験でも、かつての御坊市みずからの経験でも、それは厳しいと言わなければなりません。一時的な雇用の拡大、交付金や税等の増収があっても、長い目で見れば逆効果でさえあることもあり得るのです。また、造成建設工事での雇用や経済波及効果も、プロジェクトが大であればあるほど大手ゼネコンの懐を豊かにしても地元中小零細企業への波及効果の小さいことは、最近の県下のビッグプロジェクトを見れば十分わかることであります。紀伊半島の末代までのことを考えるならば、新たな公害発生の可能性のある第二火電の立地は決して得策とは考えられません。第一火電の御坊市における地域振興にはいかなる成果があったのか、第二火電は地域振興にどう役立つと考えているのか、県当局のお考えを示していただきたいと思います。
 続いて、第二火電建設に対する地元同意の問題であります。
 御坊市に隣接する美浜町長、日高町長は反対を表明し、他の町長も同意の意思を示さない状況にあります。周辺市町村といえば、田辺市長も梅枯れの原因が解明するまでは凍結を主張し、隣接四町の住民も過半数が反対署名を行い、御坊市民においては、関電や推進派の妨害にもかかわらずその署名は四千を超えております。市町村議会でも、田辺市、南部川村、白浜町、上富田町、南部町等が延期または凍結を決議し、JA紀南の計画延期を求める集会では二千四百人が結集したと言われます。これらの状況は、電源立地に対する住民合意、地元合意がほとんどできていないことを物語るものであります。安全性・適地性の面から見てもその条件は満たされておらず、地域振興の面からも不安材料の方が大であることから見ても、この立地は当然見送るべきだと考えますが、いかがでしょうか。知事の所信をお聞かせください。
 続いて、和歌山市に関西電力が建設を推進しようとしているLNG火力発電所についてお尋ねをいたします。
 まず、住金の降下ばいじんについてですが、県、市、住金のモニタリング調査の結果が出ました。昨年八月で、一平方キロメートルに最大値九・八トンだったそうです。これは、改善目標値十トンをぎりぎりのところでクリアしています。しかし、この数値をもって、公害は存在するという住民の主張を退けることができるでしょうか。和歌山市での最小値は〇・八を記録しているところもあり、下津には〇・一というところもあります。これらの地域と比べて住友周辺はいかに大きいかがわかります。この数値を肌で感じて、地元の方々は、公害はいまだ解決していないと言っているわけです。この差を、単に改善目標数値をクリアしているからとして沖出し中止反対の住民の声を退けることはできないと思いますが、いかがでしょうか。
 住金が公害問題に積極的でないという証明のように、最近、同社は適切な廃棄処理をせずに検査染料を土中に垂れ流していたということが報道されましたが、まことに遺憾なことであります。県はいつも、厳しく指導すると言っていますが、この問題についての指導はどうであったのでしょうか。また大気汚染対策について、住金及び同火力などの関連企業の脱硫・脱硝施設、集じん施設などは万全と考えているのかどうか、お示しいただきたいと思います。
 次に、私は十二月議会において、沖出し中止についての住民の意思を直接聞くべきだと要望しておきました。松江地区のある自治会の関電の環境アセスに対する意見書には、埋立申請の条件となっている環境問題は多分に未解決で、危険を伴ったLNG発電の建設などは真っ平御免だと断言しているわけですが、したがってその前提には沖出し中止にも不同意であることが内容上盛り込まれております。
 前にも述べたところですが、自治会上層部が同意したところでも、その構成員の意思を聞かずに合意されたところもあり、LNG発電をつくるようなら沖出し中止反対の声もまた新たに上がってくるという昨今でもあります。沖出し中止に関する住民の意見を県として直接聞くべきだと再三申し上げているところですが、県はどのように対応されてきましたか。
 次に、LNG火電立地予定地と地震災害についてお尋ねをいたします。
 この予定地は、中央構造線より二キロメートルと近接した地域であります。関電は、造成地の直下に活断層はないとしていますが、地震の大きさと破壊力は直下の活断層の活動だけで決まるものでないことは、阪神大震災の例が示しているところでもあります。直下でなくても、近接する活断層の動きによって建造物の種類、土地軟弱度などで大災害は起こり得ることがあります。予定地の周辺には多数の活断層の存在が予測され、目下国の施策によってその調査が進められているとき、あえてこの地に火電立地などを考えるべきではないと思います。
 ちなみに、大阪南港のLNG火電は、住民の反対運動で貯蔵タンクは断念して発電施設だけにとどめられています。大阪南港を追い出されたその貯蔵タンクが和歌山市の、しかも危険な埋立地に立地されようというのは、まことにナンセンスと言わなければなりません。活断層の存在とともに、この予定地の埋立地という特殊性についても検討せねばなりません。
 環境アセスを研究した学者の中には、この埋立地は発電施設やLNG貯蔵タンクの建設には全く適切でないという意見もあります。もともとこの造成地自体、危険なガスやそれを燃焼させる施設として使える強度を持っていないとの指摘であります。関電は、工場施設、タンク施設の直下を強固に補強するから安全であると言うようですが、その直下だけが強固でも、造成地全体の軟弱さのゆえに補強された部分を含めて危険にさらされ、大事故につながる可能性があります。直下だけの補強で可とする関電の見解を当局はどのように考えておりますか。
 また、環境アセスは地震の津波時に二メートルの高波を予定していますが、この想定は余りにも津波の危険を軽視しています。予想される南海道大地震の津波は相当なものが予測され、過去の経験だけで判断できるものではありません。津波と満潮が重なれば、二メートルの津波でも四・五メートルの高波が想定されなければならないと学者は指摘しています。たとえ百年に一度の地震でも、我々のずさんな仕事によって後世が大きな悲劇を味わうかもわかりません。そのような悲劇を招かないためにも、このような不安定な地盤にLNG火電やLNG貯蔵タンクなどは建設すべきではないと考えます。沖出し中止を前提にしたとしても、そのような危険物をあえて立地しなくてもよかろうと思うわけであります。いかがでしょうか。
 続いて、関西新空港第二期工事に当たり、土砂採取の問題についてお尋ねをいたします。
 本県にも大量の土砂を要求されました。県当局は、一期工事に際しての愚策を繰り返さないようさまざまな検討を加えたと思います。報じられるところによりますと、大手ゼネコン二社が加太北西部においてそれに当たるとし、土取り跡地は緑化すると聞いています。
 ついては、次の三点をお尋ねいたします。
 まず、この事業を民間にゆだねた理由です。土取りの必要量確保は県の方に責任を持たされていると思いますが、関空と県と土砂採取企業の関係はどのようになっていますか。その責任の上から、あるとき突然県に財政的負担が求められるというようなことはありませんか。それはどのように担保されておりますか。
 次に、土砂採取や搬出に必要な設備・機材が二十数億円程度、県の所有になっていると思います。これはどのように活用されますか、また処理されますか。
 三番目、土取り跡地の問題ですが、緑化は本当に可能と考えますか。土取り跡地が果たして植樹等に適しているのでしょうか。その財政的負担を県に向けられてくることはありませんか。さらに、その地は乱開発に転用されることはありませんか。それらは県としてどのように監視し、または保証していきますか。大企業のプロジェクトには、しばしば県民を軽視した得手勝手が出てまいります。それを許さないためにも県として確固とした姿勢が必要だと思いますが、どのような姿勢と体制で望まれますか。
 以上、三点をただしておきたいと思います。
 続いて同和行政の問題について、同和行政を廃止して残務は一般行政でという立場、また同和教育も終了させて一般民主主義教育の強化をという立場で質問をいたします。
 国の地対協は、本年三月をもって同和対策事業を終結すべしと答申をいたしました。それは、同和対策が基本的にその任務を完了したという前提に立ったものでした。さまざまな政治的動きの中で幾つかの事業が残務整理、激変緩和措置として残されたところでありますが、基本的精神は終結であります。したがって、県当局も同和対策を本年をもって基本的に終了、あとは従来の対策の残務整理として対応すべきであろうと思うわけですが、どう位置づけられておりますか。
 とりわけ、県単事業についてはみずからの才覚で処理し得るわけですから基本的終了の立場から真剣に検討すべきであったと思いますが、来年度予算を見る限り、それは見られない状況であります。同和対策予算は、昨年に比して、ハード事業の進行した分だけは減額されておりますが、その他はほとんど継続され、依然として百二十億円を超え、従来の施策が漫然と進められており、廃止した事業といえば、その政策を利用する人もなく、単に自然消滅をしたものだけであります。ここには、同和行政を終結させていこうという積極的な姿が見えません。
 私は、部落問題の解決とは、一、同和地区の住宅、居住環境や生活実態が周辺地区と格差がなくなること、二、同和問題に対する非科学的認識や偏見に基づく言動がその地域で受け入れられない状態がつくり出されること、三、長年にわたって差別とかかわって生み出されてきた同和地区住民の生活態度や生活習慣に見られる問題状況が克服されること、四、地域社会で同和地区内外の自由な社会的交流が進展し、融合・連帯が実現すること等が指標になると考えるものであります。そういう視点から考えるならば、和歌山県同和地区実態調査から導き出される結論は、部落問題の基本的部分については解決したと評価でき、なお残存する若干の分野での格差も、その多くは部落差別の結果というよりも同和地区内外を問わず特定の地域や階層に見られる現象となっていることであり、残務処理や激変緩和のための措置以外、特別措置として同和対策を継続実施しなければならない根拠はなくなっているのではないかと考えるものであります。
 和歌山県同和地域実態調査によると、住宅、道路等においては格差がほとんど見当たらなくなっています。住宅問題をとってみても、地区は持ち家の率が一般地区よりは低いとされておりますが、これは公営住宅建設が同和地域に集中して建設された結果です。しかも、今なお、世帯数を上回って同和公営住宅が建設されようとしている市があります。いかがお考えですか。
 就労等についても、格差はほとんどなくなりました。地区によっては周辺地区との間に僅差のあるところもありますが、都市部の大きな同和地区では、若者が地区外に転出するため、その統計的な格差を生み出している面もあり、部落差別の結果によって格差が生まれているとは考えられません。しかし、就労対策として本年も新たに数カ所の共同作業所が建設され、一部では同和地区内の反対をも無視して進められようとしていますし、農林同和等でも旧態依然として補助金が継続したりしています。その他、きめ細かく非常に多くの施策が施されておりますが、就労の問題は単に同和地区内の問題ではなく、今やすべての地域の問題だと考え、就労対策は一般施策として、高齢者や中山間地問題ともあわせ広く考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 同和教育についても一言触れます。
 十二月議会でも私は、二十数年前の同和教育方針を抜本的に見直すべきだと主張いたしました。それに対する教育長の答弁は、児童生徒の正答率が平均より小学校で四・五%、中学校で七・六%の差があること、保護家庭や母子家庭が多く、学習困難を生じていることなどを挙げられました。この問題も同和地区一般と県全体とを対比されていますが、これも一部地域に見られる現象で、広く同和地域に平均的に見られる問題ではありません。また、それらの原因の多くが、答弁にありましたように、保護家庭や母子家庭などによる学習困難が原因とも考えられるようですし、それは同和対策、同和教育の問題ではなく、広く一般に低学力の課題として考えられるべきことではないでしょうか。
 大学進学率の格差も述べられましたが、大学進学率は県全体でも四〇%を切っており、すべての県民にひとしく与えられた機会ではありません。その中での若干の格差をもって、同和対策が特に必要だというふうには考えられないのであります。もし経済的問題ということならば、一般の奨学金制度を拡充し、一部地域の要求だけにこたえるというより広く県下の多数の要望にこたえるべきでしょう。奨学金を受けられず経済的に困窮している人々は、一般地区にも多数いるからであります。
 子供の問題発言に、同和問題をみずから受けとめられない状況にあるとされ、同和教育の必要も強調されましたが、その問題発言も、ここ数年、二、三件にとどまっております。しかも、その中には差別と断定できないものもあります。それ自体は克服されなければならないことでしょうが、児童生徒と彼らを取り巻く環境において、もはや部落差別を許さない、部落差別を正していくという民主主義は育成されていると考えます。逆に、問題発言といえば大々的な学習を外部団体の影響のもとに組織するようなことの方が問題だと思います。従来の同和教育が果たした役割を十分評価した上で、今二百名を超える教員を同和問題専任の教員として加配するようなやり方は、もはややめるべきではないでしょうか。学校には果たさなければならない新しい課題、例えば県下で一千名を超える不登校児童生徒の問題や、二百数十件を超えるいじめの問題、それを生み出してきた原因など、新しく力を注がなければならない問題が山積してきていると思うからです。いかがでしょうか。
 社会人を対象として同和委員会が問題にした差別事象と言われるものは、最近ごく少なくなってまいりました。この数件自体、あってはならないことで、これらの言動を克服していかなければなりませんが、そういう力は既に県民の中で大きく育っており、そのような差別的言辞を受け入れない、厳しく批判し合う民主主義は県民の中に育ち、定着していると考えます。決して県民全体に差別は根強く残っているという状態ではないと考えるわけです。
 同和子供会についても、今まで再三述べてまいりましたが、同和地区の子供だけの子供会というのは、そこに他地区からの子供がたとえ何%か合流しているとしても、もうやめるべきときだと思います。したがって、それに対する財政のあり方も考え直すべきです。
 参考までに申し上げますと、子供会の補助金と学校運営費の関係を見てみると、こんな例もあります。和歌山市のA小学校の学校運営費は年間四百五十万円です。その学校区に含まれる子供会の運営費は千六百万円です。B小学校の運営費は年間六百万円です。そこに一〇%強含まれる同和子供会の運営費が四百五十万円です。C小学校では、同じく九百万円と六百八十万円という関係にもあります。子供会運営費とその子供会を含む学校運営費が匹敵するというのは、あるいは近接するというのは、県民の理解を得られるものではありません。
 和歌山県の同和行政が今のように漫然と終了へのプログラムを持たないままに継続されるならば、いつまでも特定地域、同和地域を行政的に残していくことになります。そこには、あってはならない差別を新たに生み出す状況さえ生じかねません。残務処理も一刻も早く一般行政に移行し、同和という垣根を取り払うことが必要ではないでしょうか。
 次に人権啓発について、同和問題を特別に肥大化させないようにという立場でお尋ねいたします。
 地対協は、同和事業の終結を唱えながら、差別意識は結婚問題を中心に依然として根強く存在するとして、同和啓発を人権教育、人権啓発として発展的に再構築して積極的に推進すべきだと提言をいたしました。もちろん私も、部落差別意識が皆無になった状態とは思いません。しかし、ここに言われるような根強く存在すると評価される状況ではないと考えるのです。
 同和委員会が取り上げた結婚での差別事象というのも、平成に入って八年の間に二件であります。もちろん、その二件をよしとするものではありません。当然、解決しなければならない問題が含まれています。しかし、その他の差別事象、例えば心身障害者に対する差別などと比べて、特別にそこを強調しなければならぬ状態だとは考えられないのです。
 地対協の具申を受けて、啓発と救済のための人権擁護推進審議会が法制化されました。この法には「同和」の文言が見当たりませんが、立法の過程から、また同和問題が肥大化してくる懸念があります。同和問題を別格として一面的に強調するような啓発に対して、県民の間に、またかというような拒絶反応が昨今見えています。同じ轍を踏ますことは決して差別をなくすことにはつながらないし、逆の状況さえ生み出してくるでしょう。しかも、法によって人間の内面に介入するような啓発措置が講じられるようなことは許されることではありません。
 人権に関して今必要なことは、同和問題を肥大化させることなく、民主主義と広く人権一般の尊重を唱える教育に転じてこそ、残された、おくれた意識の克服につながると思いますが、いかがでしょうか。
 以上で、第一問を終わります。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員にお答えをいたします。
 御坊第二発電所につきましては、現在、環境影響調査書について慎重に審査検討を行っている段階でございまして、関係方面からも賛否両論のさまざまな意見が寄せられているわけでございます。
 このような状況の中で、昨日もお答えをしたところでありますけれども、第二発電所の立地については、今回は知事意見を申し上げることはできないといたしたところでございます。
 御坊第二発電所にかかわる他のご質問につきましては、関係部長から答弁をいたします。
○副議長(下川俊樹君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) オリマルジョンによる海洋汚染についてお答えします。
 お話のオリマルジョンにつきましては、界面活性剤が含まれていることから、漁業者の間にはその毒性を懸念する向きもございます。オリマルジョンに含まれる界面活性剤は約〇・三%と微量で、このうち海水に溶ける分はさらに少量であり、漏せつと同時に海水に薄められることが予測されますが、オリマルジョンによる海洋汚染については解明されていない部分もあり、性状、挙動、海上流出対策について調査研究が行われているところでございます。
 いずれにいたしましても、海洋汚染防止の立場から、何よりも事故防止に万全を期すことが重要であると考えてございます。
 次に梅と第一火電の関係はということでございますが、梅の生育不良につきましては、これまで地元協議会等のご協力もいただきながら、総合的な視点から調査研究に取り組んできたところでございます。しかし、現在のところ原因の解明には至ってございません。この間、生育不良の原因については多くの説が出されております。
 いずれにいたしましても、梅は地域経済を支える基幹産業であることから、先日、門議員にもお答えしましたとおり、大学等の専門家で構成する研究会のご指導もいただきながら、今後とも原因究明と樹勢回復に総力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 鶴田議員にお答えをいたします。
 設備の改善で緊急対策をということでございます。
 既設御坊発電所につきましては、燃料中の硫黄分が〇・一%と特に低い燃料を使用しておりまして、脱硫装置で対応している他の石油火力発電所と同等以上の公害防止効果となってございます。また、ばいじんについても、現在設置されている電気集じん機により十分な対応がなされているものと考えてございます。
 既設御坊発電所に係る公害防止につきましては、県、御坊市、美浜町と関西電力株式会社で公害防止協定を締結し、厳しい基準を設けて対応してまいったところでございまして、御坊市周辺地域での大気汚染常時監視の結果、現状では発電所の稼働前と比べ特段の変化も見られず、二酸化硫黄、浮遊粒子状物質とも環境基準を下回っている状況でございます。
 なお、今後とも引き続き監視するとともに、必要があれば関西電力株式会社に対して指導を行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、LNG火電における住金の公害対策と現状についてでございますが、去る十二月議会で答弁しました環境モニタリングシステム協議会によりますと、四月から九月までの六カ月間の十五カ所の月別測定結果は、台風十四号の影響も考えられるものの、一カ月に一平方キロメートル当たり一・六トンから九・八トンであり、地点平均では二・六トンから六・一トンと、環境改善目標値を下回っておりました。今後とも、これらの気象条件などによっては影響を受ける項目もあることから、協議会のデータ解析により、環境保全対策についてより積極的な実施と維持管理を指導してまいります。
 次に検査染料の問題についてでございますが、水質汚濁防止法に基づく有害物質二十三項目についての指導監視は、和歌山市が担当することとなってございます。県は、公害防止条例に基づき、法に加えて規制している六項目について指導監視をいたしてございます。したがいまして、この廃液について現在成分分析を実施中であり、もし条例に違反しておれば改善命令等を発することとなります。
 また、大気汚染対策についてでございますが、周辺地域におきましては、二酸化硫黄、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質に係る環境基準を満足している状況でございます。今後とも、和歌山市と連携しつつ事業者を十分に監視指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 御坊発電所の御坊市における地域振興に関するご質問でございますが、既設御坊発電所の場合、御坊市に三十二億四千万円の電源立地促進対策交付金が交付され、教育文化施設、漁業振興施設、環境衛生施設、福祉施設等の整備が図られております。財政状況を見ますと、稼働前の同市の財政力指数は〇・三程度で、稼働後は最高〇・八四へと向上し、平成七年度で〇・五六となってございます。
 次に地元雇用につきましては、事業者によると、建設時に年間約千二百名の雇用があり、運転開始後の現在は約五百六十名となってございます。また、当時の建設投資額約二千七百億円のうち、県内への発注実績は二二%となっています。
 地域との共生という面でございますが、年間約十億円の修繕、委託等の地元発注があると聞いており、また、産業育成支援事業を活用した御坊市健康食品センターの育成、観光農園の事業展開などが実施されております。
 このように、既設御坊発電所の実績を見ると、総合的に見て、地域のニーズに対応した地域振興策がなされ、活性化に貢献しているものと考えてございます。
 御坊第二発電所については、既設御坊発電所当時と比較して制度的な拡充がなされており、また今回の計画規模から考えても、長期的に地域の振興が図られるものと考えてございます。
 次に、関西国際空港二期工事の土取りに当たっての県の任務、あるいは跡地対策、県の指導についてでございますが、関西国際空港二期事業埋め立て用の土砂供給については、昨年末に県の基本方針を決定し、事業主体については土砂供給の能力と実績を有する民間企業数社みずからが事業主体となって土砂供給することに熱意を示しておりますので、一期の経験や今日の社会経済情勢にかんがみ、そうした企業が、行政の適切な指導監督のもと、その技術、ノウハウ等を活用して土砂供給を行うことが最も適当であると判断した次第であります。したがって、直接の契約の当事者となるのは関西国際空港用地造成株式会社と実施企業であり、議員が懸念されている土砂単価については、実施企業が関西国際空港用地造成株式会社と直接協議して契約することになりますので、そのリスク等については当然契約当事者が負うものであり、県に負担が及ぶことはないと存じます。
 他方、県といたしましては、関西国際空港用地造成株式会社からの要請を受けた経緯や二期事業を積極的に推進する県の立場もありますので、関係機関と連携して協議会を設置し、環境保全を図りつつ適切かつ円滑に土砂供給が実施されるよう指導監督を行う所存でございます。
 一期のときに使用した桟橋等の施設については、現在は県土地開発公社の所有でありますので、今後調整が必要となりますが、二期事業においても有効に利用されることが望ましいと考えてございます。
 採取跡地の緑化については、実施企業がその責任と負担において行うべきものでありますが、県といたしましては、環境に配慮した対策が行われるよう適切に指導していきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) LNG火電についてのご質問のうち、沖出し中止についての地元同意は得られたかというご質問でございますが、さきの十二月県議会においてお答えいたしましたとおり、平成六年三月の住友金属工業株式会社からの西防波堤沖埋立地の利用計画見直しについての申し出の中で、関係全自治会のご理解をちょうだいすることができたとの報告を受けております。この地元同意については、本埋め立てが公害発生源の移転を主な目的の一つとして計画された経緯から地元の意見を尊重したものであると認識しております。
 なお、県としましては、当時、沖合移転の中止について、遺憾ながらやむを得ないこととして、新たな土地利用計画について西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会に諮り、目下検討していただいているものであり、企業の得た地元同意を前提としているものではありません。
 続きまして、立地予定地の安全性と安全対策についてのご質問ですが、津波対策について申し上げますと、関西電力が今回環境影響調査報告書で想定している津波は、過去に和歌山県に多大な津波被害をもたらした安政地震、南海道地震を対象としているものであります。シミュレーション結果によりますと、満潮時に津波が来襲しても、最大水位は三・九メートルとなりますが、西防波堤沖埋立地は、南側の護岸高がプラス十メートル、北側の護岸高がプラス五メートルでございまして、津波に対しては十分安全であると認識しております。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) LNG火電につきまして、立地予定地の安全性と安全対策についてお答えします。
 発電所立地予定地の北部に活断層及び推定活断層が存在することは、承知してございます。このことから、発電所立地に当たり、事業者は地震に関する調査及び地盤に関する調査を実施し、中央構造線活断層系が最も影響を及ぼすものと考えて断層モデルに基づいての地震動を想定し、耐震性等を評価してございます。
 現在、県では西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会に安全性等についての検討状況をご報告申し上げ、審議いただいているところでございます。
 また、建設予定地における液状化につきましては、建築物の下部のみならず、防災上必要な域内道路等についても対策を講じる必要があると考えてございます。
 今後とも、地震や地質などの安全性について、アドバイザーなどの学識経験者の助言をいただきながら慎重に検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 鶴田議員にお答えをいたします。
 同和対策事業の早期終了というご質問についてでございますが、国において、昨年五月、地域改善対策協議会としての政府に対する意見具申の中で、従来の特別対策を漫然と継続するのではなく、できるだけ早く終了することが必要であるとしながらも、新たな観点に立って取り組むべきであるとの趣旨の提言がなされたところでございます。この意見具申を受け、政府の閣議決定において、従来の特別対策として継続する事業十五件、一般対策に工夫を加えて行財政措置が講じられる事業十四件、人権教育のための国連十年との関連において、人権教育、人権啓発の事業に再構成して行財政措置が講じられる事業十件として、早期解決に向けて取り組むこととの方針が決定されました。これは、同和問題の解決を放棄するものではないとの認識に立っているものであります。
 本県といたしましては、この地域改善対策協議会意見具申及び閣議決定を踏まえ、本県としての各種調査結果等を勘案し、早期解決のための今後の同和対策に関する基本方針を定め、平成九年度以降の事業検討を行ったところでございます。その内容は、国費対象事業及びそれを補完する県単独事業等、必要な事業は当分の間継続することとし、また一般対策で効果が得られる事業は一般対策に移行するとともに、ニーズの乏しい事業及び事業目的・効果を達成している事業は整理や廃止をすることとしてございます。
 議員ご指摘のうち、公営住宅の建設につきましては、昭和六十二年以降については一般対策として対応しているところでございます。また、共同作業場につきましては、国費事業として一般対策に工夫を加えて所要の行財政措置が講じられることとなっておりますが、平成九年度以降の新たな計画はございません。しかし、国において平成八年度採択済み分のうち、平成九年度で県として対応の必要な作業場もございます。
 次に、農林水産業を取り巻く環境が一段と厳しさを増す中で、設置した生産団地の経営に影響の出ている実態もございますので、技術指導や経営問題に関する相談、助言等の支援指導を個々の状況に応じて引き続き実施し、農業経営の安定と近代化を推し進めていく必要があると考えてございます。
 また、同和教育子供会につきましては、今なお課題がある地域もあり、今後とも地域の実情に応じて事業を続けてまいりたいと考えてございます。
 いずれにいたしましても、部落差別が現存している限り、今後とも県民の皆様のご理解をいただく中で、早期解決に向けて積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に人権啓発についてでございますが、本県では、教育啓発活動として、心理的差別を払拭するため県民みんなの同和運動を展開し、県民の方々の理解と認識が相当深まってきたところでございます。しかしながら、国の平成五年度同和地区実態把握等調査の意識調査報告書を見ますと、今までに同和地区の人であるということで人権を侵害されたことがあると答えた人が約三三%という結果が出されております。
 全国的にも差別事件が発生しておりますし、本県においても、残念ながら県同和委員会へ報告されている差別事件は、平成六年度で八件、平成七年度で九件、平成八年度は現在で六件となってございます。したがいまして、今後はこれまで取り組んできた教育啓発の成果を生かしながら、人権教育のための国連十年の国内行動計画並びに人権擁護施策推進法等、国の動向を見きわめながら同和問題を重要な柱と位置づけ、あらゆる人権の尊重を高めるという広がりを持った取り組みに発展するよう進めていくことが重要であると考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 同和教育にかかわって四点についてお答えいたします。
 まず学力の課題についてでございますが、平成四年に実施した学習状況調査の結果によりますと、同和地区児童生徒の正答率は、小学校、中学校ともに全体に比べ低い状況が見られます。
 ご指摘の保護家庭や母子・父子家庭の子供についても、全体に比べ正答率は低い状況がございますが、同和地区においては、こうした家庭環境に置かれている子供たちの割合が県平均の約二倍から二・五倍と高くなっている実態がございます。こうしたことを踏まえて、学力向上への取り組みを推進することが重要であると考えております。
 次に大学進学と奨学金制度についてでございますが、最近数年間の大学進学率を見ますと、全体と地区では一二ないし一五%の格差がございます。その背景には経済的基盤の弱さや学力問題があると考えられ、奨学金の果たす役割は大きいと考えます。
 現在、大学へ進学する地区生徒の約七〇%が進学奨学金の貸与を受けておりますが、この奨学金制度の継続期間は向こう五年間となってございます。したがいまして、今後は日本育英会奨学金の拡充等についても一層国に働きかけてまいりたいと考えます。
 子供の問題発言についてでございますが、ここ数年報告を受けている事例を見ますと、児童生徒が賎称語の持つ意味の理解が不十分であったり、また親や周囲の人の同和問題についての誤った認識や偏見が反映したと考えられるものがございます。こうしたことから、今後とも幅広い人権問題に関する学習を通して同和問題についての正しい認識を育ててまいりたいと考えます。
 最後に同和加配教員についてでございますが、これまでの同和教育推進教員の配置を初め、さまざまな対策や取り組みにより、比較的課題が少なくなっている地域もございます。しかしながら、学力や生活の実態、また高校進学率等において、課題解決に向け、相当な努力を必要とする地域があることも事実でございます。こうしたことから、各地域や学校の教育課題に応じた配置となるよう見直しを行ってまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をさせていただきます。
 知事が電調審に対して意見を保留されたということについては、この問題を真剣に論議して結論を出さなければならないという態度を示されたことであろうと思いまして、私も評価させていただきたいと思うのですが、住民の合意の問題について、今、日高・西牟婁周辺の市町村の責任者並びに議会あるいは住民の方々は、この第二火電建設に対して不安を表明し、そしてまた反対を表明し、あるいは条件つきの延期を表明するというような状態になっております。そういう中で、一部の市と対立関係さえ生まれてくるという状態にもなっておって、地元合意ということとは全くほど遠い事態に陥っていると思うわけです。こういうことは、電源立地していく上で和歌山県が定めた地元合意の必要性とはかけ離れた状況であって、今後もそういう事態は続いていくであろうことが想定をされます。そういう点、知事はどのようにお考えになっておるのか、お示しいただきたいと思います。
 それから、第二火電の設置の許諾──受けるのか受けないのか──これについての態度がどちらになるとしても、その安全性・適地性・住民合意、地域振興等の一つのメルクマールというんですか指標、これをどういうところに置いているのか、ひとつ具体的にお示しいただきたいと思うんです。
 例えば、梅の生育不良の原因が明快になった時点で判断をするのだとか、あるいはオリマルジョンについての安全性・危険性というものが明らかになったとき、住民の合意が完全にとれたときとか、いろんな指標があろうかと思います。ただ単に安全性・適地性・住民合意ということだけではわかりかねますので、具体的にお答えをいただきたいと思います。
 次に、同じく知事にお尋ねをいたします。和歌山市に建設予定というか計画されようとしているLNG火力の問題に関連して。
 住金工場の沖出し中止について、県として住金周辺住民の声を聞くべきだということを私は再三申し上げてまいりました。しかし、そういう義務は県にないとか、今ごろ行ってどうするのかというふうな反論も当局の側から返ってきているところですが、私は、この問題については非常に大事なことだと思っているわけです。なぜかと言うと、埋め立てを免許したというのは、住友金属の公害が周辺住民に迷惑をかけているから、それを防除するために沖出しをする、したがって免許をすると、こういう順序になっておって、原形には住民の公害被害からの開放ということがあったかと思います。そういう問題があって埋め立てが免許されたわけですから、それを転用するときには、県の責任において住民の意見を聴取するというのは当然のことではないかと思うんです。
住友金属からこういうふうに聞いておるというような答弁がきょうも返ってまいりました。しかし、その実態はそうでないということを私は再三申し上げておるわけです。県として住民の声をお聞きになる意思が知事としてありませんか。「人皆心あり」と、きのう大変いい言葉を聞かせていただきました。その人の心を知事として、県として聴取してみようという意思がありませんか。そういう意思があってこそ今後の問題も正しく解決していけるんだと思います。
 次に、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 私が同和問題についてお尋ねした中心点は、当局は、同和問題を一日も早く終わらせるように、同和対策を一日も早く終わらせていきたいということを今までも再三言われてきたわけです。しかし、来年度の予算案を見ても、そのような気配が見当たらないのです。新しい観点で考え直していくんだと言われましたけれども、そこには何も新しい視点も手法も見当たらないように思います。
差別の問題につきましても、三三%の人が差別を受けた経験があるという数字を出されましたけれども、これはずっと以前からの統計でして、最近どうなっているのか──同和対策をやられてきたこの二十数年間の成果の上に立った数字じゃないでしょう。だから、そういう数字を前提にした上で同和行政を考えているというところに大きな問題があると思うんです。そういう点で、見直しをしてそれを終了させていこうという意思を持って予算編成に当たったのかどうか、そういうことを第二問としてお聞きいたします。
 以上です。
○副議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員の再質問にお答えをいたします。
 大変難しい質問でありますけれども、電源立地に関する基本的な姿勢というのは、適地性・安全性・地元の同意という基本的な考え方に基づいて地域振興の立場で対応するというのは従前から繰り返し申し上げてきたところであります。
 お話の、住民の方々のすべてのご意見というのは、現在もございますけれども、さまざまな立場がございます。賛成もあれば、反対もたくさんあるわけであります。ですから、それを県が一々全部についてお聞きするというのは大変困難なことでありまして、最終的な住民の方々のご意見というのは市町村長なり市町村の議会で集約をされると、そういうふうに思っておるわけです。
 ただ、私のところにはさまざまなお手紙などが来ておりますので、その手紙などについては逐一目を通すという努力はいたしておりますけれども、しかし最終の取り締まりというのは──県民一人一人にお聞きをして全部の意見を集約するというのは県の段階ではなかなかできませんので、そのことについては、行政のいわゆる主体性といいますか、それぞれの組織に応じた市町村長あるいは市町村議会というふうなところで集約されるべきものであろうと思っております。
 同じことが言えるわけでありますけれども、先ほど土木部長が答弁をいたしまして、再質問は私にということであります。本来ですと、土木部長が答えたことに私がお答えするのはいささかおかしいわけであります。土木部長を信頼しておりますので、土木部長の答弁どおりでありますけれども、今申し上げましたように、地元の同意とかいろんな意見というのは、事業をやろうとする事業者がおとりをするものであって、県が直接それぞれの方々のご意見を徴するということはなかなかできがたいことでありますので、その辺のところはご理解をいただきたいと思います。
 以上であります。
○副議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 鶴田議員にお答えを申し上げます。
 同和対策事業は永続的に講じられるべき性格のものではないということで、迅速な事業実施によってできる限り早期に目的の達成が図られ、一般対策へ移行されるべき性格のものであるという基本的な考え方をしております。
 先ほどもご答弁をさせていただきましたとおり、残された課題を早期に解決することが重要と考えてございまして、九年度予算についてもそういう形で編成をされたものだと思っております。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──所定の時間が過ぎておりますが、再々質問されますか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(下川俊樹君) 以上で、鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
○副議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番木下善之君。
 〔木下善之君、登壇〕(拍手)
○木下善之君 私は、自由民主党県議団の一員であります。議長のお許しを得ましたので、一般質問をさせていただきます。
 なお、午前中の森議員の産廃に関する質問の中で一部重なる点もございますが、大変重要なことでございますので、あえて申し上げたいと思います。そしてまた、本日は関係地元の方の傍聴もございますので、ひとつ西口知事には胸のすくご答弁を期待しながら質問に入らせていただきます。
 まず最初に、産業廃棄物処理問題についてでございます。
 産業廃棄物の処理は今や全国的な問題となっておりますが、とりわけ橋本市菖蒲谷近隣の産業廃棄物中間処理場の問題については、県が許可して約一年が経過し、この間、ハエの異常発生、カラスの集団被害、そして何といっても人間の健康に害を与える大変大きな公害問題に発展し、県下においても現在では最大の関心事であります。
 地元調査によると、医師の診断を受けた者二十二名、うち一名は入院、のどが痛い、頭がふらつくなど七十三名、気分が悪くなった百名以上と報告をいただいており、周辺四地区の住民の多くは精神的にもふらふらの状態に来ているのは事実であります。
 また、近隣の東三百メートルに大手建設会社が二十八・四ヘクタール、六百八十四戸の宅地造成をほぼ完了し、本年七月より販売開始となっていたが、産廃の悪臭問題で良好な住環境が保障できないとして、宅地分譲は臭気問題の解決に至るまで延期することとなっております。当然ながら、宅地開発業者は県の許可を得て巨額の投資をされているだけに、残念のほかないと言われております。
 また、産廃の現場北側約四百メートルにおいても十八・七ヘクタール、入居予定五百三戸の宅地造成が半ば進んでいますが、これも販売を見合わせざるを得ないなど、開発企業者への影響も大きなものがあり、市あるいは県計画にも大きく狂いが生じております。
 市の長期総合計画においても、橋本市東部では既に大手企業が、そして本年より公団が延べ三百ヘクタールの宅地造成を進めており、十年後の市の計画人口は九万五千人と聞かされているが、関西地方では、和歌山県の東部とりわけ橋本市は環境保全の上でややこしいところと敬遠され、住宅供給面で最悪のダメージにつながるのではないかと考えます。また、既に入居されている近隣の団地の何人かは適当な移転先を考えたいとするが、転売するにも不安定な環境の中、値下がりの一途をたどっておるようでございます。やはり新しい住民の方は、勤務地は遠くとも家族のためを思い、すばらしい環境の地を求め、その大半は京阪神より転入されたケースが多いのでありますが、産業廃棄物問題で、とりわけ煙突一本が地域住民を苦しめ、行政を根底から揺るがさんとしているのが実態であります。
 以上の点から、知事が進められようとしているグリーンダイヤモンド構想・百万都市圏計画においても、現状では紀北東部の開発計画に大きく影響するものと考えます。
 また、この一年の間に多くの手紙が届いております。そのうち、原文のまま二例を紹介いたします。
 その一、小学五年生の女子児童から。「私の家の上の方に大きなごみ焼き場がつくられました。そこから煙や臭いにおいがして、たまりません。毎日毎日がくさくて、家の中までくさいです。時々のどからたんが出てきて、せきをしなければ声が出ません。担任の先生にもお願いしております。私、家へ帰るのが、くさいときが多く、嫌です。どうか助けてください。お願いします」とあります。
 その二として、主婦四十八歳の方より。前文省略して本文について。「日本工業所の産業廃棄物の焼却により、悪臭公害は大変困っております。秋には、悪臭の中、柿の木に登り、ふらつきながら柿取りの毎日で、気分が悪くなったときは自宅へ戻りました。今では家の中までくさいため、今でもマスクをかけて書いております。いつも頭は鉄の帽子をかぶっているようで、目も痛く、息苦しくなり、台所の換気をすれば幾分楽になります。夜中にも煙と悪臭が家の中でとどまり、息苦しく、目を覚まします。わが家は百姓ゆえ外で働いておりますが、居場所がありません。子供たちは、こんなくさい家は帰るのは嫌やと言って、友達の家などに外泊することが多くなって困っております。大好きだったもとの美しい住みよい出塔に戻してください。お願いします。どうか助けてください。かしこ」とあります。
 これほど大きな被害と広域的ダメージにつながっていることは県下最大の問題と受けとめ、ただ橋本市だけでなく本県のすばらしい自然環境を一層アピールする上で一日も早く解決することを切望し、次の二点について西口知事にお尋ねをいたします。
 第一点、解決のための話し合いについて。中止あるいは撤去について、適切な時期に相手方である日本工業所と踏み込んだ話し合いを持つべきと思うが、どうお考えなのか。
 第二点目は、監視体制の強化について。一点目を基本といたしますが、即座に解決に至らない場合は保健所の分所を現場へ設置し、執務とともに廃棄物処理の適切な指導を図るべきと考えます。
 知事は、動く県庁であるとか、とりわけ県民の立場に立って仕事をと常に申されており敬服いたしておりますが、今年度において一部出先の組織改正もあるようで、高野口保健所の分所を現地へ即刻設置し、解決に至るまで執務を願うなど、前段申し上げたように橋本市を初め紀北東部の浮沈にかかわる重大問題と受けとめていただき、西口知事の英断を聞かせていただきたいのであります。
 次に、生活文化部長に五点についてお尋ねをいたします。
 一、産業廃棄物の新しい処理要綱の制定について。
 産業廃棄物の処理が全国的な問題となっているだけに、国において法改正案が今国会に提出されております。その主な改正点としては、処理施設への信頼性を高め、地域の納得の上で適正に産廃の処理を進めるのがねらいとして、産廃処理施設の設置に当たり、一、業者は周辺地域の生活環境への影響を調査し、その結果を許可申請書に添付する、二、施設の設置許可については、知事は申請書を告示・縦覧するとともに住民や関係市町村の意見を聴取する手続を設ける、三、マニフェスト制度の適用をすべての産廃に適用する、四、不法投棄の罰則金の引き上げその他関係事項となっているようで、以下省略いたしますが、国もようやくにして本腰が入ってきたようであります。
 産業廃棄物の発生は大都市ほど多く、その処理については他の県へ持ち出さなければ処理できないような仕組みとなっております。例えば大阪府の産業廃棄物事前審査要綱については、大阪府廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行細則に定めるもののほか、本要綱を適用するとし、事前審査に係る知事の審査は次のとおりであります。一、事業の用に供する施設の計画内容がそれぞれの許可に係る施設に関する法、政令及び省令に定める基準及び審査基準に適合するものであること──これは当然のことであります。二、次に掲げる者と事前審査申請者との文書による合意があること──つまり、次の関係者の合意が必要であります。イ、施設の所在地及びその隣接地の所有者の同意、ロ、施設の所在地の隣接地の占有者及び居住世帯の世帯主の同意、ハ、施設の所在地の区、自治会の同意、ニ、施設からの排水流入地の水利権者で、所在地の市町村農業委員会が必要と認める者の同意、ホ、施設の所在地に隣接して農業が営まれている場合はその経営者の同意、へ、その他知事が生活環境の保全または公衆衛生の向上のため特に必要があると認める利害関係者の同意。以上のように、関係者すべての同意を得なければ施設の設置ができないということは、規則が厳しく、大阪府下では産業廃棄物の処理が思うようにいかなくなっているためやむなく県外へ持ち出さなければならないということから、本県の事前協議制の実施等の検討をされているのかどうか。鹿児島県の指導要綱を見てみますと、県外産業廃棄物搬入事前協議書において知事に協議するものとございます。
 私の昨年度の質問において、本県における産廃の質や量を事前にチェックし、一定の制限を加えられる新しい処理要綱を早期に制定してまいりたいという知事の答弁をいただいておりますが、制定に向けてどうなっているのか、お伺いをいたします。
 二つ目の部長への質問でございます。煙害つまり煙の害、悪臭の防止対策をどう進めていくか。
 申し上げたように、悪臭公害が最大の原因であるだけにいかに悪臭を抑制するかでありますが、当該施設は不完全な施設であるため十分な燃焼をさせることは困難であります。過日も、一時間半にわたり現場にて日本工業所の代表者立ち会いのもと調査しましたところ、重油を用いた噴射機で加勢もされているが、四百ないし五百度の温度では十分な焼却はできません。不完全燃焼のため悪臭が周囲に広がるのは当然であって、研究機関のデータによると、例えばダイオキシンは日常多く用いるポリ塩化ビニール等の有機塩素化合物に多く含まれているようで、ごみとして捨てるさまざまなプラスチックなどビニール製品からポリ塩化ビニールだけを選別するのは極めて困難であります。ダイオキシンは高温に弱く八百度では問題がないとされ、六百度以下ではダイオキシンの分解がされにくいと言われております。つまり、本施設の五百度前後であれば分解されずに空気中にまき散らしているものと私は解釈をいたしております。
 県は、過去に何回か悪臭防止法に基づく悪臭物質測定をされ、その結果が発表されておりますが、硫化水素を初めとする二十二品目はいずれも許容基準値以下あるいは検出されずとなっています。測定は精度の高いものと思いますが、測定位置、時間帯、燃焼状況、その他条件にも大きく左右されるものではないかと私は判断をいたしております。
 以上のように、相当数の患者が発生しており、現実の問題としてどう考えているのか、お伺いするものであります。
 また、焼却炉への最後の投入は午後四時三十分までとなっているが、夜間にあれほどの煙が出ているところから見ると、作業終了前に多量の投入をされているのではないかと思う。それが不完全燃焼につながって悪臭を発生しているのではないかと考えたとき、投入量と夜間のそれらの煙量の関係などはどうか。調査をしておれば報告を願います。要は、悪臭を最小限に抑制させるための県の指導について伺うものであります。
 三点目、焼却灰の保管は適切にされているかということでございます。
 焼却灰については最終処分地へ搬出することとなっており、当初のフェニックスへの予定が、受け入れてくれないので三重県へ搬出していると言われております。つまり、不適格な焼却灰のためとあります。すなわち、不完全燃焼であるので悪臭がひどくなるということは、一日に焼却する投入量に問題があるのではないか。この点、どうか。
 次に、今日までの発生した焼却灰の量と搬出された量に大きな開きがあるのではないか。つまり、平成八年九月十日に措置命令を行うまでの約半年間の焼却灰はどこへ行ったのか、答弁を願います。地元は焼却灰の処理について大変不透明な点が多いと言っているが、どうか。
 四点目に、保健所の役割と対応についてお尋ねをいたします。
 申し上げたように、産廃の煙害による人的公害が広がり、入院、診察、また自覚症状が認められる住民も相当数になっておりますが、保健所はこれらの実態を調査されているのか、伺います。
 また、保健所の所長はドクター、つまり医師であります。医師の立場として、その現状と要望対策など、限られた関係住民宅を訪問して指導すべきではないか。なお、実態調査が済んでおれば会期中に調査報告書の提出を求めます。産廃により大きな問題を抱えている地元保健所は、他人事ではないので、全職員の現状認識を高める上で現地での検討会をされることを希望しております。
 以上の点は、菖蒲谷近隣の日本工業所に関連しての質問であります。
 五点目、今後の産業廃棄物処理の届け出及び許可の扱い方についてでございます。
 橋本市境原字上平八百六十五の一番地へ計画されようとしている産業廃棄物処分場については既に今議会へ向けて設置反対の請願が関係地元住民より提出されているところでありますが、県は業者より届け出のあったことを受けて、大気汚染防止法第六条第一項に基づき、廃棄物焼却炉一基の届け出を措置事項を付して受理されており、業者はこれを受けて製造元へ相当予納金を納め、焼却炉を発注されている。一方、関係地元は設置反対であります。県は、この中間処理施設の設置についてどうお考えなのか。また、今後のすべての産業廃棄物の届け出及び許可の扱いについて伺います。
 次に道路交通網の整備促進について、次の四点を土木部長にお尋ねいたします。
 まず第一点、国道三百七十一号関連で市脇・清水間架橋の促進について。
 本問題は、国道三百七十一号橋本バイパスの延伸部として国道二十四号市脇交差点より国道三百七十号清水地内の約七百メートルについて、私の県議会初の平成七年六月の一般質問における答弁では、既にボーリング調査を行っており、予備設計の実施とともに平成八年に河川協議、さらに都市計画決定の変更を急ぎたいとのことであります。その後、はや二カ年近く経過する中で、一体どこまで進んでいるのか、あるいはとまっているのか、聞かせていただきたいのであります。
 この架橋は高野山バイパスとして地域高規格道路のルート協議の話も聞かせていただいておりますが、龍神を経て串本に至る国道三百七十一号、本県東部の幹線道路の玄関と位置づけする重要な橋であります。市及び近隣町村、関係団体など組織を挙げての十七カ年の長きにわたる運動が展開している経緯があるだけに、早期着工に向けての適切な答弁を求めます。
 二番目、京奈和自動車道橋本道路及び国道三百七十一号バイパスの工事着工について。
 両線の促進については、西口知事のご熱意により平成八年度より大幅に事業量が拡大され、大変結構でありうれしく、関係地域にあっては地籍調査を初め夜を徹しての用地交渉、現地立ち会いなど、急速に進まれたことは喜ばしいところであります。既に用地買収を完了された地区もあるやに聞かされ、また過日も同バイパスの大阪府側の現状を見させていただきました。平成八年より本体工事に着手され、一部橋脚部分が半ば出来上がっております。工事着工のつち音は地域活性化の起爆剤となるものであり、そして拠点都市地域指定にふさわしいものと考え、平成九年度内に両線の幹線工事にぜひとも着手されるよう願うものであります。
 三番目、国道三百七十号学文路地内の工事促進について。
 本路線は、県道和歌山橋本線の延伸部分として紀の川河南の唯一の幹線道路であります。学文路地内の難事業とされた三十戸相当の移転は、用地関係者のご理解と進める立場の県の努力も評価されますが、三百七十号のこの道路も大半が完成いたし、現在学文路バイパスのあと四百六十メートルと、わずかとなっております。しかし、ここ三、四年は余り工事が進んでいないように見受けます。この開通こそ国道二十四号の補完道路として大きな役割を果たすものと考え、早期に工事を再開されるよう切望するものでありますが、現状と今後の取り組みについてお尋ねをいたします。
 四点目、県道山田御幸辻停車場線御幸辻地内の工事についてであります。
 このことは、道路があって住宅団地が開発されるのが筋というものであります。十年前より入居している柿の木坂団地にも通ずる唯一の道路で、おおむね二車線化に向けて改良拡幅をされているが、わずか四十メートル区間については七ないし八年前より全くとまったままの状態であります。この四十メートルが二車線で完成すればその効果ははかり知れないものがあり、本道路は紀北の東部より広域農道を経て大阪へ電車通勤される道路とあって、交通量においては伊都地方の県道としては最大のものとし、朝夕のラッシュ時は想像もつかないものであります。七年以上もほうっておくことは、どなたの責任であるのか。部長は、このつまらん現場を知っておられるのか。難しいところはだれもが手をつけないでは困る。県は、出先を含め限られた陣容で多くの事業を消化しなければならないこともよくわかりますが、急ぐべきこと等を判断され、この場合においても解決のための専任者の体制でいろんな方法を考え、一日も早い解決を望むものであります。土木部長の答弁を求めます。
 以上で、私の第一回目の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの木下善之君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 木下議員にお答えをいたします。
 まず、産業廃棄物の問題であります。
 橋本市で問題になっている産業廃棄物の処理施設については私も大変苦慮しているところでございまして、悪臭の原因である保管廃棄物の野積み状態を一日も早く焼却するなどして解消することがまず先決であろうと督励をしているところでございます。今後は、地元の橋本市などにもご協力をいただきながら、関係者と十分協議をし、事業者を強く指導してまいりたいと考えております。
 次に、監視体制であります。
 出先機関の環境行政、特に廃棄物問題への取り組み強化をする必要があろうと思っておりますが、議員のお話にございました保健所の分所の設置というのは、率直に申し上げて大変難しいことであります。したがって、特に高野口保健所の環境行政の担当を強化したいと考えております。さらに、保健所、県事務所、土木事務所、警察署及び地元市町村で構成をする廃棄物適正処理連絡会議を設置いたしまして、保健所と関係機関との連携をさらに強化して環境行政の強化のために検討を進めていきたいと考えております。
 以上であります。
○副議長(下川俊樹君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 木下善之議員にお答えを申し上げます。
 産業廃棄物問題についてでございます。
 まず、新しい処理要綱の制定についてでございますが、産業廃棄物の越境移動に対する指導方針を明らかにするため、既に同種の要綱を制定している道県の状況を調査するとともに庁内関係課室、産業廃棄物不法処理防止連絡協議会及び保健所との協議を進めており、近く策定する予定でございます。
 なお、従前から県においては事前調査の段階で地元市町村長の意見を聞くことといたしておりましたが、廃棄物処理法の改正案の中で市町村長の意見聴取等が義務づけられることになっていると聞いてございますので、法改正の動向を見守ってまいりたいと考えてございます。
 次に煙害・悪臭の防止対策についてでございますが、焼却に伴う大気汚染につきましては、公害防止施設の設置により改善し、ばいじん、窒素酸化物、塩化水素に係る規制値を下回っている状況でございます。保管廃棄物からの悪臭につきましては、野積み状態を解消できていない現状では抜本的な対策には至っていない状況でございます。
 現在保管中の廃棄物は、紙くず、木くずが湿って泥状になっているため燃えにくい状態でございますので、これが煙の悪臭原因ともなっているものと考えます。木材等の助燃剤を使用して燃焼性を改善するなど、悪臭を少なくする方法を検討してまいりたいと考えております。
 次に焼却灰の保管についてでございますが、昨年六月末には焼却灰を焼却炉のわきに積み上げておりましたけれども、飛散や降雨時の地下浸透のおそれがあるためコンクリート土間と囲いを設置して保管を適正に行うよう指導し、十月には施設が完成、九月までためていた焼却灰を施設に移し、その後十一月から六回にわたり約二百四十トンの灰を三重県の産業廃棄物処分業者の処分場に運搬し、処分してございます。
 次に保健所の役割と対応についてでございますが、大気汚染防止法や悪臭防止法は、国民の健康の保護と生活環境の保全を目的として制定されたものでございます。これまでの測定結果ではこれらの法律に基づく規制基準を下回っている状況でしたので実態調査を行っておりませんが、先般の住民集会で議員のご質問と同様の要請もあり、現在、調査方法等を含め、関係部と協議しているところでございます。
 最後に、今後の産業廃棄物処理の届け出及び許可の扱い方についてでございますが、産業廃棄物処理施設を新たに設置許可する場合、許可申請の前に関係機関に照会して土地に関する各種の規制や手続等の状況を調査するとともに、市町村長の意見を聞くこととしてございます。
 ご質問のケースにつきましては、この調査書はいまだ提出されておりませんが、調査書が提出されれば、地元橋本市長の意見を尊重して対応するよう指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 木下議員の、道路交通網の整備促進についてのご質問にお答えいたします。
 まず、国道三百七十一号の市脇・清水間架橋についてでございますけれども、現在、橋梁部の予備設計を進めており、事業化に向け、建設省と設計協議、河川協議等を行っております。今後、これらの協議が整い次第、速やかに都市計画変更を行い、事業に着手していきたいと考えております。
 次に京奈和自動車道の橋本道路でございますが、昨年末から橋本市隅田町真土地内において工事用道路に着手しているところでございます。引き続き本体工事に着手するためには高圧鉄塔を移設する必要があると聞いておりまして、県としては、この工事が終わり次第、本体工事に着手していただくよう国に働きかけてまいりたいと考えております。
 また、国道三百七十一号の橋本バイパスにつきましては、残土処理予定地がほぼ決まりましたので、平成九年度には本体工事に着工する予定としております。
 次に、国道三百七十号学文路バイパスの整備についてでございますが、全体延長九百六十メートルのうち、議員ご指摘のように四百六十メートルが現在未整備となっております。現在、残っている地権者の方々に対して精力的に交渉を行っているところでございますけれども、同意を得るまでになお時間がかかるという実情がございます。
 現在、法的な手続を進めているところでございますが、今後とも当バイパスの早期完成に向けて最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
 最後に県道山田御幸辻停車場線についてでございますが、この線につきましては、国道三百七十一号の橋本バイパス交差部周辺の未整備区間に公図混乱地がありまして、現在、地籍訂正を進めております。また、この作業と並行して地権者との交渉に鋭意取り組んでおりますけれども、残念ながら代替地等の問題で同意が得られずに地域の方々にご迷惑をおかけしていることは、私も十分認識しております。今後は、一日も早く地籍訂正の作業を終え、用地物件の早期解決に向けて努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 2番木下善之君。
○木下善之君 それぞれ答弁をいただいたところでございますけれども、菖蒲谷近隣の産業廃棄物中間処理施設における焼却炉の問題は県の責任に負うところが実に大きいものでございますので、解決に向けて特段の努力をお願いを申し上げたい。何といっても人間に害を与えておるということ、このことについて県がどこまで実態を調べているのか──反省をしていただきたいと思う。それによって、その厳しさというものを受けて立って早期に解決をいただきながら、本当に和歌山県というのは環境的にもすばらしい地域だ、ぜひ住んでみたいと、そういうようにひとつ知事の特段のお力添えを要望申し上げまして、終わります。ありがとうございました。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下善之君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(下川俊樹君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時五十分散会

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