平成9年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(山下直也議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○副議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 18番山下直也君。
 〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、順次、通告に従って一般質問をさせていただきます。
 まず、住みよい地域づくりを進めていくための女性一〇〇人委員会に関しまして、何点かお尋ねをしていきたく思います。
 実は、今より十年前、一九八七年十月十日に、京都市下京区にある株式会社学芸出版より「女のまちづくり宣言 京都発」という本が出版されております。これは、あるデベロッパーが企画し、新聞で「女性の目で京都の町を見直してみる まち研究をしませんか 研究員募集」という呼びかけがなされ、それに応募した有志百人が集まり、その発足を記念して公開シンポジウムが開催されたのが発端であります。会場では、京の町のここがいい、あそこがひどいという発言から始まり、最後には会場が熱気いっぱいに包まれたそうであります。京の町は愛すべき町、だからもっと町に誇りを持ちたい、だけれども今のままではだめだ、自分たち女性が町づくりについて意見をどんどん言っていかなければ町はよくならない、という呼びかけに多くの女性たちが心を揺さぶられたとのことであります。
 そんなわけで、京の町に暮らす女性百人が集まって、自分たちの身の回りから町の真ん中までくまなく歩き回り、京の町を総点検されたそうであります。フィールドカードというものをつくり、気がついた町に関する森羅万象を書きとめ、写真を撮ってそのカードに張りつけていくという作業を行った結果、何と一年間でその数は実に五千枚を超えたそうであります。その成果を持ち寄り、十二回に及ぶ研究会が開かれ、その中で、例えば女性用トイレについて、物置、物かけの設置の徹底、ベビーベッドやベビールーム等の設備の改善、またお湯が出ない、ストッキングやベビー用紙おむつ等の自動販売機を備えてほしい、公衆トイレは防犯面を考慮し、安心して利用できる場所へ設置してほしい、女性は有料であっても管理の行き届いた快適なトイレを支持するといったことや、官公庁駐車場の休日開放、看板の色の規制等々、女性の目から見たさまざまな町の問題点が提起され、今、京都の町に実際に反映されているものが数多くあるそうであります。
 和歌山県に限らず、他府県においても行政に携わる職員はまだまだ男性が多いと思われます。もちろん、男女の区別なくすべての人に優しい町づくりを目指しているわけでありますが、前段、例として取り上げさせていただいたように、我々男性がふだん使うことのない女性用トイレの不自由さ、犯罪に対する女性の不安な気持ちは男性では到底気づかないことも多いと思われます。それらを市民あるいは県民の立場から、女性ならではの細やかさをもって自分たちの町を見詰め直し、行政に問いかけていくという試みは大変すばらしいことであると同時に、行政側にとっても町づくりを進めていく上で非常に参考になる多くの意見が出されていると感じます。
 そこで、まず第一点目といたし、知事にお尋ねをいたします。
 この女性一〇〇人委員会は、知事の公約の中において大きな柱の一つであったと思います。多忙きわまりない知事生活の中で、女性一〇〇人委員会の八部会を初め、すべての会議に知事みずからが出席され、女性の生の声を聞いてこられたとお聞きいたしております。それだけこの事業に対する知事の思い入れが強いものであると感じておりますが、さてこの事業がスタートして一年が過ぎました。改めて今、その一年を振り返り、知事ご自身はどうお感じになっておられるのかをお尋ねいたしたいと思います。
 第二点目といたし、本県における女性一〇〇人委員会は、どのような方法で、またどのような会議を持って意見集約に努めてこられたのか。次いで、今ご紹介をいたしましたように、京都における女性百人の会のような取り組みを今後本県においても取り入れていただくお考えはあるのかどうか。
 三点目といたし、本県に女性一〇〇人委員会が設置されて約一年が経過しておりますが、今日まで委員の方々から出された意見の主なものや、その中から県政に反映されたことがあればお聞かせをいただきたいと思います。さらに、その内容を単に県の内部資料とするだけでなく、広報紙「県民の友」等を通して広く県民にお示しいただければと考えますが、いかがなものでしょうか。
 四点目といたし、第二期の委員の募集に関しまして、第一期目の委員の選考方法をもう一度ここで教えていただき、今回も同様の方法で実施するのかどうか。
 以上、生活文化部長よりお聞かせをいただきたいと思います。
 さらに五点目といたし、各委員の方々から出された意見や要望、提言等は今後どのように生かしていくおつもりなのか。ちなみに、私はその一つの方法として、今県においてさまざまな審議会や委員会が設置されておりますけれども、その委員のうち女性の占める割合はまだ非常に少ないように聞いております。これを契機といたし、あらゆる場において積極的な女性の登用をしていっていただけるならば、この女性一〇〇人委員会の目的の一つは達成していけるものと考えますが、これに対して知事のご所見を賜りたく思います。
 さらに、委員の皆様方に、単に意見や要望、提言等を出していただくだけではなく、この会を通し、得たことや県の現況について学んでいただいた事柄をそれぞれの地域やグループに還元していただく、そして任期が切れた後もそれぞれの場でご活躍をしていただけるような、そんな取り組みをしていただければと思うわけでありますが、知事のご所見を賜りたいと思います。
 次に、地元商店街活性化施策についてお尋ねをいたします。
 輝け商店街クリエイト事業、中小商業活性化事業、商業環境改善施設整備事業、商店街空き店舗活用事業等の予算が計上されておりますが、これらに関連して何点かお尋ねをいたしたく思います。
 新聞によりますと、県内各地、また泉南地域においてスーパー等大型店の出店計画が次々と発表されております。その幾つかを申し上げますと、那賀郡貴志川町においてジャスコ株式会社が貴志川ショッピングセンターを平成十年五月に開店予定とし、また株式会社チェーンストアオークワがオークワ貴志川店を平成十年一月に開店予定、さらに御坊市においても大型店建設の話があり、加えて和歌山市手平にあるイズミヤ和歌山店が本年秋に増床予定となっております。特に貴志川町においては、人口約二万人、和歌山市への通勤圏として宅地開発と関西国際空港開港等に伴うインフラ整備が着実に進んだことにより、ここ五年間に人口増加並びに所得水準は和歌山県下では隣接の岩出町に次いで第二位となり、これからの発展が大いに期待される町であることから、各大型店が開店に向け取り組んでいるものと考えるわけであります。さらに泉南方面において、平成八年十月二十三日付の日本経済新聞によりますと、大阪府泉佐野市の東京製鋼泉佐野北工場跡地に店舗面積約三万平方メートル、地上三階建て、千五百台収容の駐車場を備えた国内最大級のスーパーダイエー泉佐野店が平成十一年四月にオープン予定と掲載されており、ちなみにこれはダイエーハーバーランド店を上回る規模になるとのことであります。
 これらのことについて、先日、和歌山市本町周辺でお店を経営しておられる私の友人たちと話し合いを持ったとき、その中の一人から、「大変なことになってきた。私は、こっちの店を閉めてでもダイエー泉佐野店に移っていきたい。子供の将来も考え、場合によっては住居も熊取あたりに構えようと移転を真剣に検討している」、そんなことを聞かされました。また話の中で、「ついここ何年か前までは、泉南方面から多くの人たちが丸正百貨店を中心とした本町周辺に買い物に来てくれました。しかし、高速道路や南海電車が便利になり、その人たちのほとんどは大阪難波方面へと行ってしまう。美園商店街や北ぶらくり丁は特にひどく、このままでは大型店との戦いに勝つことは難しくなってきた。加えて、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律、いわゆる大店法により休日日数や営業時間、売り場面積等の上限を決めているものの、規制緩和により、この法律自体が徐々に緩くなってきているのも事実」などと話されておりました。
 特に大店法については、今後国との関連もありましょうが、何にいたしましても、このような状況は地元中小小売業者の憂慮するところであります。したがいまして、これらに対する県としての今後の取り組み、また対策がなされているのかどうか。次いで、このような現状を把握しておられるのかどうか。
 以上、商業施策について商工労働部長にお伺いをいたします。
 次に、福祉のまちづくり条例についてであります。
 昨年九月議会において、福祉のまちづくり条例が制定されました。これは、障害児や障害者、高齢者、子供たちに優しい町づくりをと、関係市町村や公共施設の整備、また企業等にもその趣旨の理解を求め、協力して福祉の町づくりをしていこうという趣旨であったと思います。この問題について、昨年十二月議会において森議員よりご質問があったところでありますが、そのとき知事、土木部長、福祉保健部長からは、「和歌山に住むすべての人々が、どの地域にあっても、どの立場にあっても、和歌山に住んでよかったというふるさとをつくることが県政終局の目的であろうということを申し上げてきたわけであります。そういった意味で、障害のある人もない人も、ともに住みなれた地域で生きがいのある自立した生活ができ、さらにみずからの意思で自由に行動し、主体的に社会参加ができる福祉社会を実現することが最も重要であろうと考えております」、「今後は、(中略)国や市町村とも連携を図りながら、(中略)安全かつ快適に利用できるよう施設の整備に一層努力してまいります」、また「相互扶助の精神をはぐくむ環境づくりを進めるためのボランティア活動の育成強化等に努めてまいります」との答弁があったわけでございます。
 なるほど、福祉の町づくりについては、あらゆる分野にわたり関連してくることであり、また施設整備を含め道路等の整備、いわゆるハード面での整備と人材養成や啓発といったソフト面での整備の両面があると思いますが、ハード面での整備には必ず予算措置が必要となるわけであり、昨年九月に福祉のまちづくり条例ができ、これを受け、今議会で初めてこれらに関する予算づけが行われるものと思っておりました。しかるに、平成九年度予算書を見る限り、福祉のまちづくり推進として約四億円、うち障害者、高齢者等の来庁、来院用エレベーター設置に三億円余り、もちろんこれはこれで納得がいくものでありますが、また厳しい財政状況を考えますと非常に難しい問題とは思いますけれども、果たしてこの先、福祉のまちづくり推進に対応すべく十分な整備をやっていけるのかどうか不安を感じるところであります。今の県庁舎を含め、公共施設が障害児者や高齢者にとって果たして優しさが感じられるものになっているかというと、まだまだ不十分と言わざるを得ないのではないでしょうか。
 また、「みんなで築こう、福祉のまちづくり──和歌山県福祉のまちづくり条例のあらまし──」というパンフレットの中に、「事業者の責務」といたし、「事業活動は地域社会に密接な関係にあることを自覚し、積極的に福祉のまちづくりに取り組むよう努めましょう」とあり、「県及び市町村が実施する福祉のまちづくりに関する施策に協力しましょう」と呼びかけておられますが、せめて駅や百貨店、金融機関等だけでも積極的な協力要請をお願いいたし、このことにおける一日も早い実現を望むものであります。
 また、県下において車いすのまま乗りおりできるバスは現在何台あるのだろうか、タクシーはどうなのかなど、疑問に思うわけであります。したがって、今後、バス会社やタクシー会社等に協力を要請する上で予算的措置をどうしていくのか。決して、「やりましょう」というかけ声だけでは問題解決にならないと考えますが、いかがでしょうか。
 ちなみに、アトランタオリンピック開催の後、この地においてパラリンピックが開催され、そのとき車いすの乗降機がついた公共のバスをつくり、今はすっかりこの地域に定着しているとのことであります。また、京都市でも同様のことが言えるわけであります。こういう具体的な取り組みが、ハンディキャップを持った人々が自由に自分自身でそれぞれの地域において行動し、生きていけるということにつながっていくのではないでしょうか。
 また、障害福祉課が窓口となられ、県庁挙げて知事を中心を各部長がワーキンググループを形成し、定期的に話し合いをする場を持っていただくような、そんな取り組みもご検討いただければと考えます。
 加えて、マンパワーの確保といいますが、実際、本県においてどんな養成機関を持っているのか。また、それぞれの地域について現状はどうなっているのか。関連して、この際、私学も含め、もう一度福祉大学設置を前向きに検討していただいてはいかがでしょうか。
 以上、あわせてお尋ねをいたします。
 次に、教育長にお尋ねをいたします。登校拒否・いじめ対策事業に関連をいたし、何点かお尋ねをしたいと思います。
 なお、この問題につきましては、今日まで多くの議員から質問のあったところでございますが、私は兵庫県姫路市、また本県橋本市での取り組みを例にとり、質問をいたしたく思います。
 平成八年四月二十三日付の読売新聞、また平成八年五月一日付の「神戸新聞」に掲載されていた記事についてご紹介をさせていただきます。兵庫県姫路市教育委員会では、いじめ問題等の追放を目指し、各中学校の生徒会に事業の一部を委託いたしております。具体的には、姫路市内の全二十八中学校に各十万円を支給し、資金の使い道をすべて各校の生徒会に任せ、年度末に取り組みの報告を求め、同市教育委員会の事業に反映させるという試みであります。この生徒の、生徒による、生徒のためのいじめ撲滅運動に、各校の協議会からは工夫を凝らしたさまざまな取り組みが寄せられております。いじめをテーマにした学級単位の寸劇を行う学校や弁論大会を実施する学校、あるいはアメリカ人教師に日米の差別を比較してもらい、いじめの根本を考えるシンポジウムを開催する学校など、大人では考えつかない対策に教諭や父母からの期待も大きいとのことであります。また毎日新聞では、さまざまな教育問題について連載があり、平成九年二月二十五日よりそのテーマが「不登校」となっており、その中で本県橋本市教育委員会の取り組みが紹介されております。
 橋本市教育委員会では、さまざまな理由がきっかけで不登校に陥っている子供たちが通う適応指導教室「憩の部屋」が開設されており、ことしで四年目を迎えております。「憩の部屋」は、学校に行きたくても行けない子供たちの心を解きほぐし、回復へのエネルギーを補給するための部屋なのであります。「憩の部屋」に通う児童生徒たちの心の苦しみを聞いてください。
 現在高校二年生のA子さんは、中学一年生のとき、それまで仲よしグループだった友人から、うそをつかれたり、意地悪をされるようになりました。それが次第にエスカレートし、廊下ですれ違ってもわざと離れて通り過ぎる、机にはチョークで落書き、ロッカーにはごみが詰め込まれるようになり、中学卒業まで断続的な登校しかできなくなりました。A子さんは、告げ口をしたと思われるのが嫌で先生には言えませんでした。事情を知ったA子さんの母親が先生に相談したところ、クラスで話し合いが持たれ、自宅にいるA子さんに手紙を届けることになりました。A子さんや先生は、てっきり謝罪の手紙だとばかり思っていましたが、その手紙の内容は反対に追い打ちをかけるようなひどいものであり、「私は何も悪いことはしていない。あんたが悪いんや」、「死ね!」、「早く学校においで」というものでありました。A子さんは、今でも駅や電車で自分をいじめた人たちに会うと、びくびくしてしまうそうであります。
 また、現在高校二年生のB子さんも、いじめが原因で小学校五年生のときから不登校に陥りました。友人から奇妙な作り話を聞かされ、そのうち口もきいてもらえず、触れただけで汚いとばい菌扱いをされ、大事にしていたランドセルを傷つけられ、果ては「死ね」の落書きをされました。中学三年間は、入学式と遠足、修学旅行に参加しただけだそうであります。しかし、彼女は言っております。「ほかの子がいじめに遭うことを思えば、私がいじめられるほうがまし。たとえ、一緒にいじめに加わらないと逆にいじめに遭うという図式があっても……。いじめる側にいたとすれば気付かない痛みもわかった。一つの経験としてプラスに考えるようになりました」と。
 こういう人間の権利を踏みにじるようないじめが現実に起こっていることに対し、私は大変強い怒りが込み上げてまいります。また、B子さんの「ほかの子がいじめに遭うことを思えば、私がいじめられるほうがまし」という言葉に、本当に胸が締めつけられるような思いをいたしました。
 「憩の部屋」に通う不登校児童生徒には、心因性から体のだるさを訴える子供や原因のわからない不登校もあるそうです。「憩の部屋」で、現在ボランティアとして子供たちの遊び相手になっている女子高校生がいらっしゃいます。子供たちが心を許すメンタルフレンドであります。彼女も、小学校五年生からわけがわからないまま不登校に陥った経験を持っており、その自分の経験を生かして子供たちの支えになり、また自分も一緒に変わりたいと思い、現在も頑張っておられます。
 ここで、改めてお尋ねをいたします。
 現在の、本県のいじめ、登校拒否問題に対する現況把握の内容及び取り組みについてお聞かせをください。また、いじめ問題についての教育委員会の考え方はどうなのか、お聞かせをいただきたく思います。
 私は、いじめは子供の人権にかかわる問題だと考えております。単なるいじめとしてとらえるのではなく、人権を守る、子供たちの教育を受ける権利をどう保障していくか、そういう観点も必要ではないかと考えます。
 また、児童に関する権利条約からすれば、子供たち自身がいじめを考え、みずからの取り組みの中から問題解決ができ得る体制づくり、まさに姫路市での取り組みに顕著にあらわれているのではないかと思います。したがいまして、本県においてもそのような取り組みをしていただけないものかどうなのか、ご答弁を賜りたく思います。
 なお、この質問の最後に当たり、広島県在住の十四歳の女子中学生からの新聞への投稿をご紹介させていただきたいと思います。これについてどうお感じになるのか、教育長のご所見を賜りたく思います。
 「最近、教育現場でのさまざまな問題が大きく取り上げられています。いじめをはじめ、生徒にとって大きな問題を解決するためには、一校に一人のカウンセラーを置くことが必要だと思います。『学校では教師がついているから大丈夫』と言う人もおられるでしょう。しかし、学校では、教師と生徒との間に大きな壁が出来、取り除くことが困難になっています。私自身、学校が『ただ勉強する所』として片付けてしまっている気がします。そんな学校と生徒との大きな溝を埋めるには、カウンセラーの力はとても大切だと思います。教師でもない、親でもない、友人でもない、でも経験豊富で知識のある頼れる人。そんな人が身近で話を聞いてくれるだけで、心の負担が軽くなります。どんな小さな悩みでも聞いてもらうことによって、その人を救うことができるのではないでしょうか」。
 これが投稿された文章であります。ちなみに私は、資格を持った医師や臨床心理士でなければこの問題に対応することはできないとは考えておりません。前段述べさせていただきましたように、橋本市「憩の部屋」の高校生ボランティアによるメンタルフレンドや、十四歳の中学生が切望する教師でもない、親でもない、友人でもないカウンセラー、そのような方法もあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 実は、私ごとではございますけれども、一昨年、次のようなことがありました。私の娘が、朝小学校に登校中、道端でころび、鼻血を出しながら泣いていたそうであります。そこへ、県立和歌山商業高等学校の女生徒さんが通りかかり、自分が遅刻することも顧みず、ハンカチを出して手当てをし、親切に、熱心に面倒を見てくださったそうであります。私は、このことを娘から聞き、すぐさま和歌山商業高校に連絡をいたし、その女生徒を探し出し、お礼に参りました。こんなすばらしい、こんな心優しい生徒さんばかりなら、いじめ問題など起こるはずがないのに、そうそのときに感じたものでございます。この話を申し添え、いじめ、不登校問題についての質問を終わらせていただきます。
 さて、私の質問も最後の項目となりました。このたびの医科大学附属病院での一連の問題についてご質問をさせていただきます。
 なお、このことに関しましては、けさからの一般質問で各先輩議員より再三質問があったわけでございますが、また重複は避けたかったわけでございますけれども、一部において少し納得のいかない部分がありましたので、私なりの視点において再度何点かについてお伺いをしていきたく思います。
 まず最初に、このたび医科大学附属病院で不幸にも亡くなられたご本人様はもとより、ご家族の皆様方に謹んでお悔やみを申し上げるとともに、私も子供を持つ親として何と申し上げてよいか言葉が見つかりませんが、ただただご冥福をお祈り申し上げるばかりでございます。
 さて、私は三月三日付毎日新聞中、ある記事に目がとまりました。それは、「是々非々」という見出しのもと、新聞社側の「県立医大付属病院の医療事故問題について、事故隠しやその責任の所在などを速やかに明らかにすべきだ」とのコメントに対し、西口知事はその日のうちに「メッセージ、確かに受け止めました」と返答いたし、すぐに病院に出向き、「県民の信頼を取り戻すために全力を挙げて実態を解明し、早急に立て直しをしてほしい」と厳しく指示したそうです。西口知事は当初から、「事故が事実なら非は非、すぐに遺族に謝るべきだ」と主張していたといいます。
 私は、今回の医大問題に対する知事の姿勢、まさしく「是々非々」と呼ぶべきこの姿勢に深く心を打たれ、またこの問題に対する知事の迅速かつ前向きな姿勢に敬意を表する次第でございます。どうか、この知事の意のあるところを医大サイドの方々も十分にお酌み取りをいただき、全力で事に当たられることを希望いたします。
 さて、ここで質問に入らせていただきますが、県民の大切な生命を守るため日夜ご努力いただいております医科大学の医師を初め医療スタッフの皆様に敬意を表するものでありますが、昨年七月、同病院の小児科病棟の廊下に設置されてあったポットのお湯に覚せい剤が混入された事件、次いでこのたびのミルク誤注入による乳幼児死亡事故、さらに八歳の男の子の輸血用血液の取り違え等々、相次いで起きている不祥事はまことに遺憾であると言わざるを得ません。
 既に新聞等で報道されているところであり、このたびの乳児の静脈にミルクを混入した医療過誤の件については午前中も学長よりご答弁がありましたけれども、申しわけございませんが、もう一度このことの真相について学長よりご答弁をお願いしたいと存じます。
 私の知る範囲では、今回の事故は高度集中治療センター(CCMC)で起こったものと伺っております。このCCMCは、従来の集中治療室(ICU)を統合して術後管理を行うとされておりますが、このCCMCに収容されている患者は、第一外科、第二外科あるいは整形外科と広範囲にわたり集中治療を受けておられるわけであります。
 そこで、まず第一点目にお尋ねをいたしたいのは、現在このCCMCにおける医療スタッフはどのようになっているのかということであります。
 私は、県職員録を見てみました。そこには、CCMCの責任者は病院長が兼務するようになっておりました。術後管理という一番大事なセクションに病院長が兼務となっていてよいものなのでしょうか。また、兼務という形で十分な管理が果たしてできるのでしょうか。専任の教授を置き、術後管理をすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。お聞かせをいただきたいと思います。
 さらにお伺いしたいのは、このCCMCには第一外科の専門医師、あるいは第二外科の専門医師といったように専門の医師が常駐しているのかどうか、端的に言えば、専門外の医師がただ単に術後の患者の容体のみ管理しているにすぎないのではないかと懸念されるわけでありますが、いかがでしょうか。
 術後、患者の容体が急変することはしばしばあるやに聞いております。このとき専門医師が常駐していなかった場合、どのような処置をするのでしょうか。大変重要な問題だと考えますが、このことについてもお答えをいただきたいと思います。
 第二点目といたし、看護婦スタッフがどのようになっているのかであります。この点についても、午前中、大江議員よりご質問がありましたが、再度お聞きをいたしたいと思います。
 前段申し上げましたCCMCの看護婦は、広範囲にわたる患者の看護を任されているわけであります。なるほど、医師は専門化されているでしょう。しかし看護婦の場合、専門化されておらないのではないでしょうか。看護婦は、法律では医師の指示により処置するとなっていることは存じておりますが、広範囲にわたる患者を看護する上で、ある日突然CCMCに配属され、直ちに適切な看護ができるものなのでしょうか。CCMCの中には、脳神経外科の患者もあれば消化器外科の患者もあるわけでございます。そのことを考慮いたしますと、私はCCMCに配属される看護婦は、多岐にわたっての経験と知識を積んだ、そういう意味において余裕を持った看護婦、また適正な人数の看護婦をCCMCの看護につけることによってさらに高度な看護ができるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 とにかく、こうした医療事故や一連の問題は、どうして、またなぜ起こったのでしょうか。多忙きわまる看護婦の実態と、加えて適正な数の人員配置ができていたのか、そういうことも管理体制の欠落につながる一因となったのではないかと思いますが、どうでしょうか。
 次に、小児科病棟の廊下に設置されたポットのお湯に覚せい剤が混入された事件についてであります。
 この事件は、何の罪もない乳幼児の粉ミルク用のポットに覚せい剤を混入するという、全国的に類を見ない悪質、卑劣な犯罪であります。災難に遭われた乳幼児たちに対しまして、改めてお見舞いを申し上げる次第でございます。幸いにも、無事全快され、退院されたことは大変な喜びであります。しかし、混入した犯人はいまだに検挙されておりません。その後の捜査状況について、警察本部長よりお聞かせをいただきたいと思います。
 加えて、一部報道されておりますミルク誤注入事故について、警察としての見解をお伺いいたしたいと思います。
 次に、関連をいたし、子供病院建設についてお尋ねをいたします。
 現在でも、多くの子供たちが難病、特定疾患の病気に苦しみ、生命の危険にさらされていることを聞いております。次代を担っていくのは子供たちなのであります。健康な子供でも大人の庇護を必要としています。ましてや、病気に苦しみ、入院している子供たちはなおさら弱く、周りの医師や看護婦に命のすべてをゆだねていると言っても過言ではありません。病気に苦しんでいる子供たちにも生きる希望や喜びを与え、そして輝かしい未来を保障するために、私はこの際、子供のための専門の病院建設が必要であると考えます。
 今回、医科大学附属病院で起こった一連の問題が、すべて社会的弱者である子供たちが入院している小児科病棟であったことを思いますと、施設の整備、つまり子供たちの急変する病状に迅速かつ適切に対応ができ、また専門化された医師、医療スタッフによる治療看護が安心して受けられる、そんな子供病院の建設が早急に望まれると思います。西口知事も私と同じ考えをお持ちであることは知事の公約でよく存じておりますが、ここで改めて子供病院建設に対する知事のお考えを賜りたく存じます。
 次に、現在建設中の新医科大学附属病院付近の道路に関してお尋ねをいたします。
 和歌山市紀三井寺に建設中であり、平成十一年完成予定とお聞きをいたしておりますが、過日、私は所用のためこの付近を通り、ふと思ったことがございます。この新しい大学病院に一体どれくらいの人が来るのだろうか、またそれらの人々に対応していけるのかどうかということであります。現在、医科大学附属病院には一日に千人近くの方々が来るとのことであり、これに職員や医師、看護婦、大学に通う学生らを合わせると、かなりの人たちがここに来ることになります。バスで来る人、タクシーや自家用車で来る人、そしてJR紀三井寺駅から徒歩で来る人たちであります。
 そこで、お尋ねをいたします。
 一点目といたし、海南方面から和歌山市旭橋に向かう国道四十二号線において、車で来られる方々をどうするのか。特に、この場所は朝夕のラッシュ時は大変であり、現状況を踏まえての対策をどうするのか。
 二点目といたし、和歌川沿い、新医大の玄関側、東西に走る道路は市道となっておりますが、既に和歌山市と協議、対策は講じられておられるのかどうか。
 三点目といたし、JR紀三井寺駅よりお越しになる方々に対する対策はできているのか、また現在、同駅における一日の乗降客数と今後の見通しについて把握をしておられるのかどうか、お尋ねをいたしたく思います。
 四点目といたし、駐車場に関してお尋ねをいたします。今、日赤病院の前、また現医大付近においては、特に午前中は駐車場待ちの車でいっぱいであるという現状にかんがみて、駐車場対策に対するご所見を賜りたく存じます。また新医大において、既存のバス停の位置を新医大に近づけることは可能なのか、さらに病院内敷地にタクシーベイをつくる予定はあるのかどうか、あわせてお伺いをいたします。
 以上、医大関連といたし、何点かにわたり質問また私見を述べてまいりましたが、午前中の門議員の質問に対し、看護記録について、残念ながら経過用紙にミルクの誤注入部分の書きかえがあったと認めざるを得ない状況であるとの答弁がありました。また、その前段といたし、患者さんの死亡とミルクの誤注入との間には直接的な因果関係は認められないとの答弁でありましたが、ならば、なぜその書きかえがあったのか、またそういうことはいつされたのか、ちょっと理解しにくい点もあったのが事実でございます。この点について一日も早く解明をしていただきたく、ここに要望を申し上げる次第でございます。
 何にいたしましても、厳しい財政状況の中、約一千億円という巨額の予算を使って建設される新医大でございます。その移転も秒読み段階に入ってまいりました。建物、施設はよくなります。しかし中身は変わりませんでは困るわけであり、これら諸問題を積極的に検討していただき、改めて見直すところは見直しを、反省すべき点は謙虚に受けとめ、今後県民の期待と信頼にこたえていくために最大限の努力をお願いいたします。来る新時代にふさわしく、県民の生命を守るべく、また県民が誇りに思う、そんな新医科大学附属病院に生まれ変わっていただくことを心より念願をいたし、私の一般質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの山下直也君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 山下議員にお答えをいたします。
 まず、女性一〇〇人委員会についてであります。
 わかやま女性一〇〇人委員会は、女性の皆さんから県政へのご意見をいただくことによりまして、開かれた県政を推進し、また男女共同参画社会の実現に向けての本県独自の第一歩であると考えてございます。
 昨年四月にスタートいたしましたこの委員会には、私も時間の許す限り出席いたしまして、県内を八ブロックに分けた地域会議では、各地域の課題なども含め、皆さんと率直な意見の交換をいたしました。中には大変手厳しいご意見もございましたけれども、私としては、県民の皆さん方の生の声、特に今まで意見を出す機会の少なかった人たちの声をお聞きすることができたと思っております。非常に有意義だったと思うわけであります。また、女性の県政への関心の高さ、社会参画への意欲なども改めて強く感じたわけでございます。この一年間を通じて、女性一〇〇人委員会の活動により、他の多くの女性の方々との交流が広がってまいりました。そのこともまた、一つの大きな成果であったと思っております。
 いろいろな立場からいただいたご意見については、現在、二年間の任期の中間報告として取りまとめ中でございますが、これらのうちで平成九年度には、県産農林水産物統一ブランドマークの制定、木の国プロジェクト推進、農水産物の販路開拓、子育てサークル支援などについて新規の施策として予算計上をいたしております。今後とも、いただいたご意見については、可能な限り県政に反映をさせていきたいと考えております。
 また、議員からお話のございました県における審議会、委員会等への女性の登用については、従前からも意を用いているところでありますけれども、わかやま女性一〇〇人委員会を一つの起爆剤といたしまして、男女共同参画社会の実現を目指すという立場から、今後より一層積極的に進めていきたいと考えてございます。
 次は、子供病院についてでございます。
 議員お話しのように、次代を担う子供たちが健やかに生まれ育つための環境づくりは、大変重要な課題であると認識してございます。子供の健康の保持増進を図るために、従来から各種保健サービスの充実、医療施設の整備に努めてきたところでございます。
 ご質問の子供病院についてでありますが、私も積極的に進めたいと考えまして、担当部局で類似施設の調査あるいは関係機関との協議等を続けてきたところでございます。医師の確保問題を初め単独の病院建設には幾多の困難な問題もあるわけでありますけれども、今後とも新生児医療、周産期医療、小児救急医療、小児慢性疾患等に対応するための本県にふさわしい小児保健医療福祉体制、そういうふうなものについてさらに検討を進めていきたいと考えております。
 以上です。
○副議長(下川俊樹君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 山下議員にお答えをいたします。
 女性一〇〇人委員会についての五点にわたるご質問でございます。
 わかやま女性一〇〇人委員会についてでありますが、発足以来今日まで、全体会議と福祉・医療、産業・交通、教育・文化、生活・環境の四つのテーマに分けた専門部会、さらに県内を八ブロックに分けて地域別に開催した地域会議等を重ね、数多くのご意見をいただきました。
 なお、議員からご紹介のありました京都における女性百人の会の取り組み状況については、今後一つの参考にさせていただきたいと存じます。
 続きまして、委員からのご意見と県政への反映状況についてでございます。
 出されました意見の中から二、三申し上げますと、一、つくる人と食べる人との交流の場を確保し、食べる人を巻き込んだ見える農業を進めていく必要があるのではなかろうか、一、観光和歌山のために日本一の笑顔づくり、日本一のきれいなトイレづくりなど、観光客に対し、ぜひもう一度来たいと思っていただくための運動を盛り上げてはどうか、一、世界リゾート博に次ぐような大規模なイベントを紀南地域でも開催し、地域の活性化につないではどうか等々、ほかにも多くのご意見をいただいたところでございます。
 このうち、先ほど知事からも申し上げましたが、新規事業として計上するなど、必要な措置をしたところでございます。これらのご意見につきましては、本年三月末に中間報告として作成の上、関係先へ配付することといたしておりますが、任期二年目の平成九年度ではさらに議論を深めていただき、提言して取りまとめていただきたいと考えてございます。
 次に、委員の選考方法についてでございます。
 応募していただいた方々の県政に対する意見内容、地域性、年齢構成を基準にして、三人の民間の方々に選考していただきました。第二期の委員についても、幅広い立場からのご意見をいただくため、前回同様の方法で選考してまいりたいと考えてございます。
 最後に、これらいただいたご意見につきましては、今後、関係各課室で検討し、県政に反映すべく努力してまいりたいと考えております。
 また、委員の皆さん方の中には、自主的な勉強会、施設見学を行うなどネットワークの芽が早くも芽生えてきており、今後、地域での活動を期待いたしております。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 商店街活性化につきましてお答えをいたします。
 議員お話しのように、近年いわゆる大店法の規制緩和もありまして、全国的に大型店舗の出店が増加をしております。本県や近隣の泉南地域においても同様でございまして、地域によりましては中小小売業者に与える影響が大きいものと受けとめてございます。中でも、中小小売業者の集積である商店街への影響は、これまで商店街が地域の伝統や文化を支え、コミュニティーの場を提供し、町としての機能を維持発展させる重要な役割を担ってまいりましただけに、その活力の低下は地域の活力の低下につながりかねないものと考えてございます。
 したがいまして、県では国、市町村等と連携を図りながら、ハード及びソフト両面にわたる事業の実施や融資制度などを設け、さまざまな角度から商店街の振興に努めているところでございます。
 平成九年度においては、意欲的な人材を育成するためのビジネススクールの開講、個性的な商店街を形成するためにストリートファーニチャーなどのシンボル施設の設置、シャッターのビジュアル化等に対しても支援する輝け商店街クリエイト事業等も実施をいたしたいと考えてございます。
 今後とも、商店街等の人々の自助努力を促しながら、商業振興のための施策を積極的に展開してまいる所存でございます。
○副議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 山下議員の、福祉の町づくりに関する三点についてお答えいたします。
 本年三月に規則を公布し、十月一日から条例の本格的な施行を始める年であり、積極的な施策の推進を図ってまいる所存でございます。
 まず、市町村や事業者を初め県民の皆様方が福祉の町づくりに対する理解を深め、自発的に町づくりに参画していただくことが重要であり、そのために市町村、事業者に対する設計マニュアル等による周知徹底、シンポジウムの開催、町づくりビデオの作成などの事業を進めております。
 施設の整備につきましては、県が率先して県庁舎等の整備を図ってまいります。また民間建築物に対しましては、条例に基づく指導、要請を行うとともに、整備を促進するために技術的な相談を受けるアドバイザーの派遣や優良施設への認定証の交付などを実施することとしております。さらに、事業者や関係団体等で構成する福祉のまちづくり推進協議会を設置し、共通認識を持って自主的に取り組んでいただく体制づくりを進めてまいります。
 議員ご指摘のように、公共交通機関等の整備につきましても、どういう支援策が効果的であるか、関係部局と協議検討してまいる所存でございます。
 福祉の町づくりは、建築物、道路、公園、交通機関等の整備や教育啓発活動など広範囲の分野に及ぶことから、関係部局で構成する施策連絡会議を設置し、全庁的に取り組んでまいります。
 次にマンパワーの確保につきましては、介護福祉士養成施設は和歌山市内に一校あり、さらに本年四月、広川町において民間の施設が開校の予定でございますが、議員ご提言の趣旨を踏まえ、引き続き研究してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 新医科大学附属病院のアクセス等についてお答え申し上げます。
 まず、国道四十二号の渋滞対策でございます。
 海南方面からの車両の進入口として、国道と立体交差する進入道路の設置を計画してございます。これにより、旭橋東詰め交差点への車両の集中が減少し、国道の渋滞緩和が図られるものと考えてございます。正面玄関前の市道三葛和歌浦線については、新医科大学の開設までに完成すべく、現在、和歌山市が拡幅整備を進めているところでございます。
 次にJR利用者についてでございますが、現在の紀三井寺駅利用者は一日二千百人余でございます。医科大学開設後は附属病院への通院者等もかなり利用するものと予測しておりますが、現在、医科大学までのアクセスとして二車線で両側にゆったりとした歩道のついた総幅員二十メートルの都市計画道路の新設計画が進められているところでございます。
 駐車場についてでございますが、構内には全体で一千台余りの駐車スペースを確保いたします。このうち、病院外来者用といたしましては七百四十台余りの収容を計画しているところでございます。再診予約制の実施により来院患者が時間的に分散されることもあり、このスペースで対応できるものと考えてございます。
 国道四十二号のバス停留所の移設については、バス会社からも要望が出ているところであり、実現に向け細部調整を図ってまいりたいと存じます。
 また、タクシー利用者の利便を図るため、病院の正面玄関前及び東側玄関前には乗降場所とタクシーベイを設ける計画でございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 登校拒否、いじめ対策についてお答えいたします。
 平成七年度の本県の登校拒否については、三十日以上欠席した小中学生は一千二名、いじめの発生件数は全体で二百五十五件となっております。
 いじめにつきましては、子供の人権と命にかかわる重大な問題であると厳しく受けとめており、これまで防止のためのさまざまな施策を講じてまいりました。平成八年度には、いじめ防止ポスターの作成や県内八地方における登校拒否・いじめを考えるフォーラムの開催、カウンセラーの派遣、スクールカウンセラーの配置などの事業を実施してございます。平成九年度は、本年度の事業を一層拡充させるとともに、新たに登校拒否の児童生徒とその保護者、教職員を対象とするふれあいワークショップの実施や関係機関による連携推進会議の設置等の予算をお願いいたしております。
 いじめ問題の解決には、学校、家庭、地域社会が連携協力して取り組むとともに、議員ご指摘のとおり、子供たちの自発的な活動を大切にし、いじめに対する意識を高め、主体的にかかわっていく態度を育成することが重要であります。このため、一万六千点余り応募のあったいじめ防止ポスターについても、子供たちが学級や生徒会等で主体的に取り組むよう指導してまいりました。また、那賀郡の桃山中学校や県立熊野高等学校などでは、いじめの悲惨さを描き、いじめを許さない学校づくりを訴えた自作の劇を上演するなど、子供たち自身の問題として生徒会の自主的な活動へと発展させたという例も報告されております。今後もこうした実践を大切にするとともに、いじめられた体験を持つ子供たちから生の声を聞き、みんなで考える場を設けることを検討してまいりたいと存じます。
 次に、いじめや登校拒否に関する相談につきましては、ご紹介いただいた広島県の女子中学生からの投稿で述べられているとおり、身近な人にいつでも気軽に相談できる環境づくりを進めることが大切であると考えます。
 教育委員会といたしましては、県教育研修センターに教育相談主事を、各地方には教育相談推進委員を配置し、専門的な立場から指導、助言を行ってございます。また、子供や保護者が必要に応じて適切な相談や支援が受けられるよう、スクールカウンセラーの配置や県独自の事業としてカウンセラー派遣を行ってまいりました。今後、こうした事業を一層拡充するとともに、県子ども・障害者相談センターが実施しているメンタルフレンド事業などとも連携を深め、ボランティアの協力も得ながら、総合的な取り組みを推進してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 医科大学学長山本博之君。
 〔山本博之君、登壇〕
○医科大学学長(山本博之君) 山下議員のご質問にお答えいたします。
 午前中の門議員、先ほどの新田議員のご質問のお答えと重複いたしますが、ご寛容のほどお願いいたします。
 まず、ミルクが誤って注入された事故でございますが、調査特別委員会を設置し、調査を続けてまいりました。この患者さんは、平成六年六月、当病院小児科に入院いたしました。九月十六日の手術後は、高度集中治療センターで治療中でございました。その十月に、その乳児の静脈につながっているチューブに間違ってミルクが注入されたものでございますが、そのときの急激な血圧低下と心拍数の減少は、応急処置により十分程度で回復いたしました。しかし、この患者さんは、約一カ月後の十一月十七日、残念ながら死亡いたしました。調査特別委員会の調査結果では、この患者さんの死亡とミルクの誤注入との間には直接的な因果関係は認められないとの結論でございました。調査を開始して間もなく、医療事故のあったことは間違いないと判断いたしましたので、二月十七日、ご家族にはその由ご説明し、謝罪をいたしました。今後とも、ご家族と誠意ある対応を続けてまいりたいと思っております。
 また看護記録につきましては、残念ながら、経過用紙にミルクの誤注入部分の書きかえがあったと認めざるを得ない状況でございます。
 当時の医療事故防止対策委員会は結論の得られないまま終了し、結果として、事故の事実をご家族にお知らせしなかったことを追認することになりました。医療に携わる者としてまことに遺憾な対応でございまして、その責任は大学全体として受けとめなければならないものと思います。
 今後は、このような不祥事を起こすことのないように、大学内に患者本位の理想の医療を確立するための委員会を設け、大学並びに病院挙げて取り組む決意でございます。また、今回の不祥事に対しまして学内に懲罰審査特別委員会を設け、厳正に対処する所存でございます。今後、医療事故再発防止のため、医療チームが一体となった取り組みの徹底を図り、附属病院の信頼回復のために努力してまいりたいと存じます。
 次に、CCMCの医療スタッフでございますが、高度集中治療センターは、専任の外科、内科、集中治療及び救急の医師七名で構成されております。時間外につきましては、救急専門医二名が当直しておりまして、各科の主治医と連携をとりながら常時患者さんの集中治療に当たってございます。
 センター長は、議員ご指摘のとおり病院長の兼務となっておりますが、センター次長──助教授でございますが──との間で指示、連絡はスムーズに行われておるところでございます。しかしながら、今回の事故を反省いたしまして、今後、管理体制等について点検を行い、安心していただける医療現場の実現に努力をしてまいりたいと存じます。
 次に、CCMCの看護スタッフについてでございますが、ご指摘のとおり、CCMCは特に急性の重症患者の治療と看護を集中的に行う治療センターでありますので、看護婦にとってもこれらの患者に対処できる能力が必要でございます。現在、当センターは、他の診療科を経験し、先進医療に意欲的な看護婦の配置に努めているところでございますが、今後より一層、適材配置ができるように努めてまいりたいと思います。
 次に人員配置についてでございますが、当センターにおいては、ベッド数八床に対しまして婦長以下二十九名の看護婦を配置してございまして、常時、日勤十三人、準夜勤四人、深夜勤四人という、時間外は患者さん二人に対して看護婦一人の勤務体制でございます。今後とも、適正な人員配置を行い、医療事故を防止するためにマニュアルの徹底や教育、研修にさらに力を注ぎ、職員の資質の向上に努めてまいるとともに、物理的な面でも医療事故防止が図れる医療材料の導入等を行ってまいりたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 警察本部長青山幸恭君。
 〔青山幸恭君、登壇〕
○警察本部長(青山幸恭君) 山下議員のご質問にお答え申し上げます。
 昨年七月十日に県立医科大学附属病院から、入院中の乳幼児四名が薬物による中毒を起こしたとの届け出がございまして、病院関係者、入院患者の関係者、病院出入り業者等から事情聴取を行うとともに、不審者の目撃情報の収集等、所要の捜査を行っているところでございます。今後も引き続き、事件の一日も早い解決を目指して捜査に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 次に、平成六年十一月十七日、県立医科大学附属病院に心臓疾患で入院中の乳児が死亡したことに関しまして、誤って乳児の静脈にミルクが注入され、病院側にあっても独自に調査特別委員会を設置し、真相の究明に努めているとの報道があったことは、先般来、十分承知しているところでございます。警察といたしましては、これらの状況を十分に踏まえて必要な情報の収集等を行っているところでございます。いずれにいたしましても、刑罰法令に触れる行為があれば厳正に対処してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(下川俊樹君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(下川俊樹君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後三時十分散会

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