平成9年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第二号 平成九年三月十日(月曜日)
 午前十時開議
 第一 議案第八十四号から議案第八十七号まで(知事説明・質疑)
 第二 議案第一号から議案第八十三号まで(質疑)
 第三 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第八十四号から議案第八十七号まで(知事説明・質疑)
 二 議案第一号から議案第八十三号まで(質疑)
 三 一般質問
出 席 議 員(四十七人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川 武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門 三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島 雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 谷 洋 一
 18 番 山 下 直 也
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 上 野 哲 弘
 21 番 堀 本 隆 男
 22 番 宇治田 栄 蔵
 23 番 宗 正 彦
 24 番 橋 本 進
 25 番 神 出 政 巳
 26 番 玉 置 公 良
 27 番 松 本 泰 造
 28 番 東 山 昭 久
 29 番 尾 崎 要 二
 30 番 野見山 海
 31 番 木 下 秀 男
 32 番 町 田 亘
 33 番 中 山 豊
 34 番 井 谷 勲
 35 番 鶴 田 至 弘
 36 番 森 正 樹
 37 番 村 岡 キミ子
 38 番 新 田 和 弘
 39 番 平 越 孝 哉
 40 番 森 本 明 雄
 41 番 長 坂 隆 司
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
 知 事 西 口 勇
 副知事 山 下 茂
 出納長 高 瀬 芳 彦
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 中 山 次 郎
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 生活文化部長 中 村 協 二
 福祉保健部長 小 西 悟
 商工労働部長 日 根 紀 男
 農林水産部長 平 松 俊 次
 土木部長 長 沢 小太郎
 企業局長 佐 野 萬瑳義
 教育委員会委員長
 山 本 昭
 教育長 西 川 時千代
 公安委員会委員長
 西 本 貫 一
 警察本部長 青 山 幸 恭
 人事委員会委員長
 若 林 弘 澄
 代表監査委員 宮 市 武 彦
 選挙管理委員会委員長
 谷 口 庄 一
 医科大学学長 山 本 博 之
 医科大学附属病院長
 西 岡 新 吾
 以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 西 畑 彰 久
 次 長 中 西 俊 二
 議事課長 佐 竹 欣 司
 議事課副課長 島 光 正
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 山 本 保 誠
 議事課主事 大 浦 達 司
 総務課長 塩 路 義 和
 調査課長 湊 孝太郎
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
 ─────────────────────
 午前十時三分開議
○議長(町田 亘君) これより本日の会議を開きます。
 ─────────────────────
○議長(町田 亘君) この際、報告いたします。
 過日提出のありました議案第四十六号、議案第六十七号及び議案第七十号は、いずれも職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を聴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
 ───────────────────
  和人委第438号
  平成9年3月7日
 和歌山県議会議長 町 田 亘 殿
 和歌山県人事委員会委員長 若 林 弘 澄
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成9年2月27日付け和議会第345号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
 記
 議案第46号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第67号 義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
 議案第70号 警察職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 意見
 上記条例案は、適当であると認めます。
 ───────────────────
○議長(町田 亘君) 次に、報告いたします。
 知事から、議案の追加提出がありました。
 ───────────────────
  財第264号
  平成9年3月10日
 和歌山県議会議長 町 田 亘 殿
 和歌山県知事 西 口 勇
 和歌山県議会平成9年2月定例会追加議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
 記
 議案第84号 平成8年度和歌山県一般会計補正予算
 議案第85号 平成8年度和歌山県中小企業近代化資金特別会計補正予算
 議案第86号 平成8年度和歌山県流域下水道事業特別会計補正予算
 議案第87号 平成8年度和歌山県用地取得事業特別会計補正予算
 ─────────────────────
 【日程第一 議案第八十四号から議案第八十七号まで】
○議長(町田 亘君) 日程第一、ただいま報告の議案第八十四号から議案第八十七号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) ただいま上程されました議案につきまして、ご説明申し上げます。
 平成八年度予算のうち、用地取得の遅延等により今年度内に完了することが困難と見込まれる事業につきまして、平成九年度に繰り越し使用することをお願いいたしております。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(町田 亘君) 以上で、知事の説明が終わりました。
 ─────────────────────
 【日程第二 議案第一号から議案第八十三号まで】
 【日程第三 一般質問】
○議長(町田 亘君) 次に日程第二、議案第一号から議案第八十三号までをあわせ一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 8番門 三佐博君。
 〔門 三佐博君、登壇〕(拍手)
○門 三佐博君 皆様、おはようございます。
 平成九年二月定例議会の再開冒頭の本会議におきまして、議長並びに皆様方のお許しをいただいて質問の機会を賜りましたこと、大変光栄と心よりお礼申し上げます。
 私は、自由民主党県議団を代表しまして、主として平成九年度の予算の編成、医大問題等について質問をいたしたいと思います。
 平成九年の幕あけは、在ペルー日本国大使公邸の人質事件の未解決の問題や、ロシア船籍タンカー、ナホトカ号の重油流出事故で始まりました。世界の耳目を集めているペルー事件について、シプリアニ大司教やフジモリ大統領初め関係者の懸命の努力にもかかわらず、いまだ解決の糸口が見出せておらない状況の中で、人質になられた方々やご家族の方々のご心痛と不安は募るばかりとお察しいたしますが、これらの方々のご無事と一日も早い解決を祈るばかりでございます。こうした事件、事故に対する危機管理能力が、今や国内だけでなく海外からも注目され、より一層の備えと迅速な対処が望まれているところであります。
 本県におきましては、ペルー在住の八十世帯余りの県人会の方々との素早い連絡や、重油回収に向けてはオイルフェンスやドラム缶の提供など、それぞれ迅速な対応をなされたことに対し、敬意を表するものであります。中でも、多くの県民の方々がボランティア活動に参加され、ご貢献いただいたことに頭が下がる思いでございます。今後も世界に視野を広げ、広域的な連携を一層強化していただきたいと思います。
 一方、明るい話題として、本県の長年の懸案であった南紀熊野体験博リゾートピアわかやま99がジャパンエキスポに認定されたことは、まことに喜びであり、皆様方とともにこのご成功をお祈りする次第でございます。
 さて、私の今日の時代認識でありますが、戦後良好に機能してきた日本の社会経済システムは、冷戦時代の東西対立の中での平和と安定、あるいは右肩上がりの経済成長を享受してきましたし、また国民もまことに勤勉であったと思います。冷戦構造が崩壊し、東側諸国が市場経済に転換、東南アジア諸国も政治の安定をもとに、かつての日本のような経済成長を見せるようになってまいりました。まさに世界的な大競争時代になってきております。各種の規制など中央集権の弊害や産業の高コスト構造、官業の民業圧迫などが急速に競争力を失わせる原因となってまいりました。ゆえに、あらゆるシステムを見直す必要があるのであります。
 さらに、少子・高齢化、財政の危機的状況、産業の空洞化など、かつて世界のどこの国も経験したことのない深刻な問題を抱えていると思われます。これらへの適切な対応を怠れば活力が失われ、今や、日本システムの敗北とまで評され、日本が二十一世紀に沈み行くとまで極言をされる方もおられるのであります。
 西口知事のこれまでの業績を振り返ってみますと、厳しい選挙戦に臨んで以来、公約として掲げておられた百三十六項目にわたる政策実現にご尽力いただくなど、ご就任以来、実にさまざまな新しい施策に取り組んでこられ、既に幾つかの成果を得られております。また、これからも大きく育つ芽となっているのは確かでございます。
 開かれた県政の推進として挙げますと、パソコン・ファクスによる知事への提言制度、女性一〇〇人委員会の発足、動く県庁など、県民の価値観、ニーズが多様化している中で、県民皆さんのいろんな生の声を複数のチャンネルを持って聞くことは県政の推進に当たる責任者として当然のことであると思いますが、その効果が大変大きいものだと思います。
 次に、各分野での国際化の推進については、和歌山県香港駐在員事務所の設置、中国の青島、上海でのポートフォーラム、メキシコ・シナロア州との友好提携調印、アメリカ・カリフォルニア州の県人会との交流などが挙げられ、西口知事みずから先頭に立って国際化に取り組んでいることを高く評価するところでございます。
 一方、基盤整備に目を向けますと、県勢浮揚のための最重要課題として、西口知事初め県選出国会議員、各行政機関関係者、私ども県議会が挙げて強く要望してまいりました近畿自動車道紀勢線の延伸が、昨年十二月二十七日の第三十回国土開発幹線自動車道建設審議会いわゆる国幹審において延伸の位置づけが決定されたことは、まことに喜びであります。紀伊半島全体が浮上するためには欠かすことのできない道路整備であり、画期的で、近い将来に明るい展望が開け、紀伊半島に住まう人々の喜びとなりました。
 また、国道百六十九号奥瀞道路の開通や、昨年三月の南紀白浜空港のジェット化は東京間の乗客の倍増、福岡、広島航路の新設など、次々と効果をあらわしております。さらに、第七次空港整備計画での二千メートル化の位置づけ、大型機の就航やそれに伴う東アジア各地への外国航路へと、一層明るい展望が開けてきたと思います。
 これからなすべきことは計画の早期実現であり、そのためには多くの県民の協力が必要であり、総論賛成・各論反対とならないよう十分意思の疎通を図り、完成を前倒しするつもりで取り組んでいただきたいと思います。
西口知事は、ご就任以来、日夜県民の幸せを第一義に考え、県勢伸展にご尽力いただいておるところでありますが、こうした真摯な姿に対し、常々敬意を表しているところでございます。先般、現在策定中である県の新しい長期計画の中間報告がなされ、県政各般にわたり実に膨大な計画が盛り込まれていることは私も承知しておりますが、戦後五十年余りを経た本県の足跡を振り返りながら、今後五十年先に和歌山県の姿がどのようになっているのか、知事としてどのような県にしたいのか、そのことを念頭に置きながら夢とロマンを持って十分な議論を重ねるべきであると思われますが、知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、予算と政府予算要望の成果について質問いたします。
 今議会に提案されました予算案についてお伺いします。
 国の財政状況においては、平成八年度末の公債発行残高が二百四十一兆円になると見込まれるなど、主要先進国中、最悪と言える危機的な状況に立ち至っているため、財政構造改革に取り組むことが喫緊の課題となり、平成九年度政府予算は財政構造改革元年予算と位置づけられています。したがいまして、平成九年度政府予算編成においては歳出全般について聖域を設けることなく徹底した洗い直しが行われ、消費税の国庫負担分の増加など特殊要因増がある中で、平成九年度の一般歳出は前年度と比較して一・五%の増とわずかな伸びに抑制され、平成元年度以降最も低い伸びとなりました。
 本県においても、景気の低迷などから歳入の伸びに期待することが難しい状況の中で、厳しい予算編成になったと思われますが、各種基金の大幅な取り崩しや国の財源措置のある起債を積極的に活用するなどにより、例えば昨年大幅に伸ばされた県単独投資事業の予算額を何とか前年並みに確保するなど、さまざまな工夫を凝らした予算を編成されたと考えております。
 私ども自由民主党県議団におきましては、昨年末の政府予算編成時に当たり所属議員全員が上京いたしまして、関係各省庁や自由民主党本部に対し、西口知事初め県当局の皆様方とともに本県予算獲得のための要望活動を展開したところであり、また県予算編成直前に西口知事に対し、高齢者福祉、保健施設等福祉施設の充実についてなど、県政重要課題十三項目の要望をしてきたところでありますが、西口知事は自由民主党県連主催の新年懇談会で、「平成九年度以降極めて苦しい予算編成を迫られることとなるが、県民の皆さんの深い理解と協力をいただく中で、知恵と努力で頑張りたい」と話されておりました。
 知事として二度目の予算編成を終えられまして、平成九年度予算について思いどおりの予算になっているのかどうか、知事が基本目標に掲げた和歌山新時代の創造を実現するため、何に重点を置き、どのような特色をこの予算で出そうとされたのか、知事にお伺いいたします。
 また、財政構造改革元年予算と銘打たれた平成九年度政府予算の編成に際し、予算要望活動も大変困難なものであったのではないかと推察いたしますが、その成果はいかがなものでありましたか。この点につきましても、知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、今後の財政運営の方針についてであります。
 今年度の財政状況を見ましても、県債や基金の活用によりやりくりはされておりますが、自主財源の柱である県税収入が伸び悩むなど、歳入面では厳しい状況にあるものと考えられます。景気の動向を見ましても、政府の二月の月例経済報告によると景気は回復の動きを続けているとのことでありますが、長引く不況下での本県の税収見通しはどうか、総務部長にお尋ねいたします。
 一方、歳出面におきましては、平成九年度は地方財政計画を上回る伸びの予算を組まれたわけでありますが、近年、財源の伸びが低下する一方で、財源不足のため大量発行された地方債の償還費の増大、高齢化社会の進展に伴う福祉需要の増加等、財政の環境は厳しさを増してきております。本年度は何とか乗り切れたとしても来年度以降の財政構造が心配されるところでありますが、どのように政策的経費を確保して和歌山の新時代を築こうとされているのか、この点についての見通しを総務部長に伺うものであります。
 また、累増する公債費負担によって県財政が硬直化することが危惧される中、県の財政状況を県民の方々にわかりやすい形で広報して県民の理解と協力を得るということはどうか、この点についても総務部長の答弁を求めるものでございます。
 次に、現時点における県民注視のプロジェクトであります御坊第二発電所について、幾つかの基本的な質問を行いたいと思います。
 自民党県議団は、かねてよりエネルギー問題研究会を組織いたしまして研究活動を積み重ねております。秋田県の能代石炭火力、大阪のオリマルジョン発電所の実態調査等、発電所の立地と地域との共栄共存という観点を中心に調査研究を行ってまいっております。海水による冷却水の利用、燃料の船舶による運搬という経済的条件によりまして、長い海岸線を持つ本県には発電所の立地特性があると認識しております。
 県当局は環境影響調査書について審査中ということであると思いますが、自民党県議団といたしましても、知事一人に決断をゆだねることなく、我々も賢明な判断をしなければならないと考えております。御坊市議会初め、各経済団体、市民団体から建設促進の要望もある一方、農業関係者を初め多くの団体からこれらの建設延期・反対の署名、要望書等が提出されており、多くの懸念が表明されていることも事実であります。
 このような現状を踏まえ、知事、関係部長に以下の質問を行います。
 まず、田辺市、南部町、南部川村等々、多くの農業者の中で懸念されている梅の生育不良に対して県としてどのように対処していかれるのか、また事業者に対する指導状況もあわせてご答弁お願いいたします。
 次に、私どもには余り耳なれない燃料と思われるオリマルジョンを使うことによる公害・環境面の影響についてどう認識されるか、既設の御坊発電所の影響もあわせて答弁を願います。
 また、オリマルジョンという燃料を使い、建設が予定されているこの計画について、県防災計画を踏まえた地震・保安対策についてどう考えているのか、さらに日高港港湾計画を推進する立場として御坊第二発電所計画をどのように位置づけるか、そして経済効果をどのように把握しているのか、それぞれの関係部長から答弁をお願いします。
 また、新聞報道によりますと、三月十三日までに国の電源開発調整審議会に対し知事意見が求められていると伺っておりますが、現時点でのこれに対する知事の意見について所見をお伺いいたします。
 福祉施設の整備について質問いたします。
 厚生省社会保障・人口問題研究所は、一月二十一日に二十一世紀の日本の人口動向を予測した日本の将来推計人口を発表しております。それによりますと、出生率の低迷を背景に総人口は西暦二〇〇七年に一億二千八百万人のピークを迎え、その後、二〇五〇年には一億人まで減少する、また六十五歳以上の高齢者の割合は二〇一五年に四人に一人、二〇四九年には三人に一人に達すると推計されております。
 一方、和歌山県の高齢化は全国平均より十年進んでいる状況の中、県におかれては全国に先駆けて老人保健福祉計画を策定し、その目標達成に向け努力をされております。特に特別養護老人ホームについては、入所待機者が依然非常に多いことなどから、その目標を超えた整備を進めているところであり、私も、高齢者福祉の拠点となる特別養護老人ホームのさらなる整備が必要と考えている一人であります。しかし、先般、厚生省官僚による汚職問題が発生し、高齢者福祉施設の整備において後退するのではないかと不安視されております。
 そこで、知事にお尋ねいたします。このような状況の中で、本県での高齢者福祉、特に特別養護老人ホームの整備についての今後の見通しをお聞かせ願いたいと思います。
 県民医療の中核を担う県立医科大学の移転整備につきましては、老朽化し狭隘な現病院での混雑を目の当たりにするたびに、一日も早い完成を願うところであります。
 思えば、医科大学の移転整備につきましては、昭和四十七年以来、我が県議会を初め、さまざまな場で国立移管の問題や現地再開発の問題などとともに、種々の観点から附属病院のあり方などについて審議され、昭和六十三年十二月、最終的に和歌山市紀三井寺の競馬場跡地での移転整備が決定され、医大移転整備は本格的に実現へと動き始め、基本構想、基本計画が策定され、これらをもとに移転整備の全体像が現実のものとなろうとしているところであります。
 さて、基本構想、基本計画は医科大学移転整備においては極めて肝要なベースになるものでございますが、一方では時代の変化、流れも激しいものがあります。基本計画等にも盛り込まれているかと存じますが、新しい附属病院、大学施設の特色、またアクセス道路を初めとするメーンアプローチ及びゾーニング計画、すなわち病院ゾーン、学部ゾーン、スポーツゾーン、それぞれの進捗ぐあいについてお尋ねいたします。
 次に、県立医科大学附属病院で起きた医療ミスについて質問いたします。
 報道によりますと、平成六年に高度集中治療センターに入院中の女児の静脈に誤ってミルクを注入したとのことであり、さらに昨年、小児科病棟で輸血の際、別の患者用の血液を誤って輸血したと伝えられております。また、ミルク注入の件については事故を家族に知らせず、組織的に事故隠しがなされていたとも報じられています。これら生命を預かる医療の現場であってはならないことが起こったものであり、医科大学附属病院として県民から信頼を失う重大事であります。そのため、医大病院で安心して治療を受けられないという町の声さえ聞くのであります。
 病院側において、初歩的なミスであったとか、うそをついていたとか、平然と見過ごそうとされている態度に憤りを感じるものであります。これらについて、事実関係と現在までの経過、さらに、これらが起こった原因と今後の中核病院としての信頼回復と再発防止への取り組みについて、学長に所見をお伺いいたします。
 山本博之学長には、さきの教授会で選ばれ、本日、知事から辞令が交付されて任期が始まったばかりであると聞いております。役職柄、大変恐縮でございますが、ご出席賜りまして、適切なご答弁をお願い申し上げたいと思います。
 次に、紀北分院について、医科大学の附属病院として、また地域の中核的医療機関として、人材の育成並びに県民医療に対し多大の貢献をされており、地域住民の期待も高まっております。しかし、病院設立後約四十年が経過し、施設の老朽化に加え、急速な医療技術の進歩及び周辺地域の人口構造の変化に加え、超高齢化社会を迎え、紀北分院を取り巻く環境は開設当時から比べると著しく変わってきております。現在の紀北分院の医療設備では、これらの医療ニーズに十分対応できない状況となってきております。
 そこで知事にお尋ねいたしますが、県立医科大学の本体工事も平成十一年春の統合移転へ向けて進む中で、紀北分院の再編整備と今後の位置づけについてどのような計画とお考えをお持ちなのか、知事のご所見をお伺いいたします。
 また、紀北分院に対し、紀北地域住民より整形外科、泌尿器科やリハビリ施設の設置を中心に強い要望がありますが、診療科目の増設はできないのか、学長にお尋ねいたしたいと思います。
 西口知事におきましては、選挙戦さなかでございますが、ただいま県政を進めるバイブルとも言うべきこの「輝きの県政実現のために」というみずから書かれた著書がありますが、この七十一ページに紀北分院を充実しようということをはっきり記入されておりますので、どうぞ前向きによろしくお願いいたします。
平成九年度の公共事業の予算の動向と、県内高速交通網の整備及びベイフロンティア構想についてお尋ねいたします。
かねてから強い要望をしていた海草郡美里町の国道三百七十号から奥有田に通じる国道四百八十号を結ぶ花園村村道、美里町町道延長十一・九キロメートルが、今議会に議案第七十八号県道路線の認定についてという県道昇格の議案として上程いただきましたことは、花園村を初め地域住民の大きな喜びとして、心をもってご尽力いただきました西口知事初め関係当局の方々に厚く御礼を申し上げます。今後は、地蔵峠にトンネルを貫通いただき、花園村並びに地域住民のために格段のお力添えをお願いする次第でございます。
平成九年度政府予算案によりますと、道路整備を初めとする公共事業予算は対前年比一%程度の伸びという非常に厳しい状況にあります。この中で、国におきましては、高速道路に対する国費助成の強化等、一層の投資の重点化を進めていくと聞いております。本県の社会資本の整備状況から見ると各地域の生活に密着したきめ細かな投資もまだまだ必要と考えますが、一方では、限られた予算により効果的な社会資本の整備を図るために、大規模プロジェクトの支援等、重点投資を進めていくことも求められております。
そこで、県として道路、河川、港湾等、投資的事業について具体的にはどのような方針で重点投資に取り組まれるのか、お伺いいたします。
 次に、県内高速道路の状況についてお伺いします。
 和歌山県内の道路網の整備状況を見ますと、高速道路が完成しているのは御坊市まででありますし、一般道路につきましても改良率が全国でも四十五位から四十六位と、整備のおくれが目立っております。県内の産業や観光を振興し、県勢の活性化を図るため知事が推進されている県内二時間交通圏を形成する道路網の早期整備には、高速道路の整備がまずもって必要であると考えます。
 そこで、まず近畿自動車道紀勢線でありますが、昨年末に国幹審が開催され、県内では海南市から吉備町の間と南部町から白浜町までの整備計画、及びすさみ町から那智勝浦町までの間の基本計画が新規に決定され、さらに基本計画の変更として日置川インターチェンジの計画が追加されたと聞いております。これらの計画を実現するためには、知事を先頭に地元を含めた関係の方々が全力で推進していかなければなりませんが、この近畿自動車道紀勢線が今後どのようなスケジュールで実現されるのか、特に白浜まで完成されるのはいつごろになるのか、お伺いいたします。
 次に、京奈和自動車道でありますが、橋本市から高野口町に至る橋本道路については平成元年度に、また高野口町から打田町に至る紀北東道路については平成五年度に、それぞれ事業着手されており、残る打田町から和歌山市を結ぶ紀北西道路につきましても、平成九年度の事業着手が政府予算案に盛り込まれたと聞いております。この京奈和自動車道は今から十年後に沿線の各区間でおおむねどのような進捗状況になっているのか、お伺いいたします。
 また、大阪分水協定に位置づけられている府県間道路の整備拡充につきましては、種々ご尽力いただいているところでございますが、国道四百八十号の平道路のトンネルの進捗状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 あわせまして、国道四百八十号のかつらぎ町志賀から高野町花坂に至る梨子木峠のトンネル建設の見通しについてもお伺いいたします。
 昨年年頭に知事がベイフロンティア構想を発表されましたが、大交流時代と呼ばれる現在において、その発想はまことに時宜を得たものと考えます。その後、ベイフロンティア構想策定の調査計画が計上され、各種の調査検討がなされていると聞いております。その検討状況はどうなっているのか、お伺いいたします。
 また、昨年、国においても国土総合開発事業調整費の予算づけが行われ、いわば国策としてベイフロンティア構想に関する調査が開始されましたが、その検討状況と今後のスケジュールはどうなっているのか、お伺いいたします。
 今後、ベイフロンティア構想をもとに各種のプロジェクトを計画することとなるのでしょうが、その中でも特に重要なものは和歌山下津港の港湾整備であります。そこで、次世代を見据えた和歌山下津港の港湾整備について、その方向性をどのように考えられるのか、お伺いいたします。
 行政改革と地方分権の質問や長期総合計画、また県経済の活性化の取り組みについて質問の予定をしておりましたが、諸般の都合でこれは次回に譲らせていただきまして、以上、大変多岐にわたるご質問を申し上げましたが、あすの和歌山県を思う熱意のあらわれと深くご理解を賜りまして、西口知事を初め県当局者の率直で熱意あるご答弁をお願い申し上げます。
 これで、私の質問を終わります。ご清聴どうもありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの門三佐博君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 門議員にお答えをいたします。
 まず、県の五十年後のあるべき姿についてのお尋ねであります。
 五十年先を私なりに大胆に展望いたしますと、世界的には人口増加による食糧、資源、エネルギーの供給制約、あるいは地球環境の悪化が懸念されるわけでありますけれども、一方、技術革新や国際協力などによりまして持続的な成長に向けての取り組みが進められていると考えております。日本では、人口が一億人を下回り、超高齢社会となり、活力の低下が心配されるわけでありますが、高齢者や女性の参加による安定した社会になるのではないかと思います。
 こうした中での和歌山県の姿でございますけれども、紀淡連絡道路を初めとする太平洋新国土軸、紀伊半島一周高速道路、さらには関西国際空港の全体構想、国際港湾の整備が進むことによって国内外との人、物、情報の交流がさらに活発化をいたしまして、にぎわいのある和歌山県が形成されるものと考えてございます。また、本県にはすばらしい自然、あるいは個性ある歴史、文化がございます。これら資源の保全と活用が図られまして、全県がリゾート地域として、住む人、訪れる人に潤いと安らぎを提供しているものと考えております。
 私といたしましては、県民だれもが意欲に満ち、安心して生活を送れる住みやすい県づくりに向けて努力を重ねてまいりたい、そのように考えてございます。
 次に、平成九年度の予算編成についてでありますが、平成九年度予算につきましては、国の財政と同様、地方財政を取り巻く環境には非常に厳しいものがございます。和歌山県においても必要な財源確保に苦慮した予算編成となったわけでございますけれども、二十一世紀まであと四年であります。この二つの世紀を結ぶかけ橋を築く極めて重要な時期でありまして、和歌山新時代を創造するためにも、その橋脚を県民の皆様とともに一つ一つ築いていかなければならないわけであります。その点を踏まえまして、議論を重ねながら予算編成を行ったところでございます。
 具体的には、公債費等の義務的経費の増加あるいは投資的経費の増に伴う財源の確保として、行政改革の観点から事務事業の見直しを行いますとともに、各種基金を大幅に取り崩すなどいたしまして、二十一世紀に向けた県の大いなる飛躍に結びつけていくための施策の充実を図り、全体として地財計画を上回る対前年比四・七%増の積極予算としたわけでございます。
 ご質問にございましたように、私が力点を置いた事業でありますけれども、県内道路交通網の整備、紀淡連絡道の早期事業化、南紀白浜空港の二千メートル化等の交通基盤整備が一つであります。次に、福祉のまちづくり条例が本年の十月から施行されることを受けまして、紀北分院や交通センター等の公共施設へのエレベーターの設置を初めとした福祉の町づくりを推進することが第二であります。さらには、本県の工業製品や物産品の総合見本市である産業博覧会の開催、あるいは目下の緊急課題であります梅の生育不良問題に対する取り組み等、活力ある産業づくりがその次であります。
 なお、平成八年度予算に私のカラーとして盛り込みました輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり等の地域振興事業、あるいは県民各層との意見交換会、女性一〇〇人委員会等の事業につきましては、引き続き継続してまいります。また、住民レベルでの文化拠点づくりを支援するまちかどミュージアム構想推進事業を創設いたしました。新県民運動も推進をしてまいります。
 こうした結果、平成九年度予算は前年度予算以上に特色のある予算になったものと考えております。なお、今回の予算編成に際しての政府予算要望活動におきましては、議員の皆様方を初め、本県選出国会議員の方々など関係者のお力添えもいただき、十分な成果が得られたものと考えております。今後、この活動の成果が本県の施策に着実に結びつくようになお一層努力をいたしたいと考えておりますので、引き続き議員の皆様方のご支援をお願い申し上げるものであります。
 次に、御坊第二火力発電所に関連する問題であります。
 御坊第二発電所につきましては、この三月下旬に開催が予定されている電源開発調整審議会の議を経て平成八年度電源開発基本計画に新規に組み入れることについて、国の関係省庁で検討がなされているところでございます。このことに関しまして、国から知事の意見が求められておるわけであります。
 県といたしましては、現在、環境影響調査書について慎重に審査・検討を行っている段階でございまして、関係方面からも賛否両論のさまざまな意見が寄せられておるわけでございます。このような状況の中で、御坊第二発電所の立地につきましては、熟慮を重ねました結果、今回は知事意見を申し上げることができないと存じております。
 次に、特別養護老人ホームの整備についてであります。
 国においては、さきの特別養護老人ホーム整備補助金をめぐる事件後、施設整備についての見直しが行われており、その結果、計画を超えた整備を行っているところについては一段と厳しい方向が示唆されているところでございます。しかし、より急激な高齢化に加え、半島性、過疎などにより介護力不足という大きな課題を抱える本県にとりましては、特別養護老人ホームの整備は、一応目標量は超えたとはいえ、なおさらなる整備が必要であると考えております。県としては、国に対して所要の整備を行えるよう強く働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に、医大病院についてであります。
 まず、新しい附属病院、大学施設の特色についてでございますけれども、附属病院では再来患者の予約診療制をとるとともに、新しいシステム等を導入いたしまして、患者の皆さんの待ち時間の短縮を図りたいと考えております。また、手術室の増室、バイオクリーン室の新設、最新医療機器の導入を図りますとともに、がんの集学的治療を行うなど、高度・先進医療の充実を図ることとしてございます。
 大学については、教育研究施設や生涯研修センターを設置いたしまして、県内唯一の医学の教育研究機関として充実を図りたいと考えております。
 次に、アクセスについてでございますけれども、和歌川沿いの市道三葛和歌浦線がメーンアプローチとなるわけでありますが、またJR紀三井寺駅から医科大学までの都市計画道路の進捗を図る一方、国道四十二号の渋滞を緩和するために、海南方面からは立体交差により進入できるよう計画をいたしております。
 また、各施設の進捗状況でございますが、附属病院棟の進捗率は六〇%程度でございます。学部施設についても、現在八棟を建設中でございますが、当初計画どおり進捗しているところでございます。またスポーツゾーンについては、国道四十二号南側の用地に体育館等を設置する計画でございますが、グラウンドの確保、整備につきましても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、紀北分院の再編整備についてであります。
 紀北分院内において現在、将来構想検討委員会を設置し、議論を重ねてまいったところでもございますが、さらに平成九年度においては、大学、分院及び庁内関係課による検討委員会等を設け、県立医科大学附属病院の分院としてのあり方、及び伊都地方の中核医療機関としての機能を果たすべき役割等を広域的に調査検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、公共事業等についてであります。
 県財政を取り巻く環境は、先ほども申し上げましたように極めて厳しいものがございます。国庫補助事業も同様な状況にあるわけでございます。しかし、こうした中で、県民の皆様方の多様な要望にこたえ、また来る二十一世紀に備えるためにも、重点的、効果的な投資に努めていく必要があろうかと思います。
 まず交通ネットワークの整備でありますが、近畿自動車道紀勢線、あるいは京奈和自動車道等の高規格道路を初めとして、府県間あるいは県内各地の広域連携を緊密化させる基本的な道路整備に引き続き積極的かつ重点的に取り組んでまいりたいと思います。県内各地域の振興の核となる港湾の整備、あるいは南紀白浜空港の滑走路の二千メートル化等についても力を入れ、総合的な交通ネットワークを形成してまいりたいと思います。
 また、防災対策であります。地域の活性化プロジェクトに取り組むなど関連した河川の改修に積極的に取り組み、県民が安心して暮らせるように、水害、地震等の災害に強い町づくりを推進してまいります。また、伊都流域下水道の下水道整備あるいは公園等の整備を推進するなどいたしまして、豊かさを実感できるゆとりと潤いのある生活空間の実現に取り組んでまいりたいと思います。
 今後とも一層重点的かつ効果的な投資に努めたいと考えておりますので、議員の皆さん方のご支援をお願い申し上げたいと思います。
 次に、県内高速道路についてでありますけれども、近畿自動車道紀勢線については、お話にございましたように、昨年十二月に開催されました国土開発幹線自動車道建設審議会の結果、既に都市計画決定済みの那智勝浦新宮道路とあわせ、和歌山から新宮までの高速道路計画がつながったところでございます。今後、基本計画区間については整備計画区間へと格上げをされるように、また整備計画区間が一日も早く事業着手できるように国に対し強く働きかけてまいりたい、県民の悲願である早期全線供用に向けて努力をいたしたいと考えております。
 京奈和自動車道につきましては、平成九年度の政府予算案に紀北西道路の新規事業着手が盛り込まれたわけでありまして、県内の全区間においても事業が進められる見通しとなっておるわけであります。
 議員ご質問の今から十年後の見通しについては、順調に進めば、それぞれの区間について、用地買収に着手してから通常十年ぐらいで供用することが可能でありますので、県としては、地元の市あるいは町と協力をしながら、一日も早く全区間が供用できるように事業主体である国を強く支援してまいりたい、そのように考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 予算についての三点と御坊火電についての一点にお答えいたします。
 まず今後の税収見通しでございますけれども、平成九年度の県税収入については、最近の経済情勢等を踏まえて見積もり作業を行ったところでございますが、低金利の影響による県民税利子割の減収や市町村への税源移譲に伴う減収が見込まれるものの、地方消費税の導入に加え、景気の回復基調を受けて法人二税についても増収が見込まれることから、県税全体では前年度当初予算額八百七十億円に比べ百一億円、率にして一一・六%増の九百七十一億円を見込んでいるところでございます。
 次に、政策的経費を確保して和歌山の新時代をどう築くかという質問でございます。
 議員ご指摘のように、財政状況は極めて厳しい状況にございます。平成十年度以降についても公債費の増加が確実に見込まれ、また景気の回復の見通しが依然不透明であるが、本年度以上に厳しい財政状況が続くものと予想してございます。
 こうした中、和歌山新時代の創造に向けて各種施策の推進に必要な財源を確保しながら県財政の健全性を維持していくためには、財政運営に係る創意と工夫を凝らすだけにとどまらず、構造的な行財政改革の推進が必要不可欠であると考えてございます。また、政策的経費の確保のためはもちろん、こうした行財政改革の推進そのものが二十一世紀に対応し得る県の新たな行財政のシステムをつくり上げ、意識改革を推し進めていくという意味で、極めて重要な課題であると考えてございます。
 次に、県財政を県民にわかりやすい形で広報し、県民の理解と協力を得るようにしてはどうかというご質問でございます。
 現在、本県では、地方自治法に基づき、年二回の財政状況の公表を行っているところでございます。しかしながら、財政構造改革の推進のためには、県民の皆様のより一層のご理解とご協力を得ることが必要不可欠でございます。このため、現在の財政状況の公表の方法や内容につきましても、よりわかりやすく、より身近に感じていただけるよう工夫するとともに、他の機会を通じての広報等につきましても前向きに検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、御坊第二火電建設についての県防災計画を踏まえた地震・保安対策についてでございます。
 御坊第二火力発電所の地震・保安対策についてでございますが、事業者は法に基づく耐震設計、液状化対策及び燃料流出防止対策などの防災対策を計画してございます。県としては、現在、これらの対策、体制等について、電気設備防災対策検討会の報告書、及び近く報告されますオリマルジョン防災対策調査研究会の検討結果を参考に審査、検討を行うとともに、事業者のとるべき責務を明確化し、総合的、計画的な防災体制の整備を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 当局は、答弁において簡潔に答えていただきますようにお願いいたします。
 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 梅生育不良の対策についてでございます。
 去る二十四日、現地前進基地としてうめ対策交流室を日高・田辺地域に設置するとともに、農林水産省や大学の専門家十名で構成する県うめ対策研究会を組織し、去る三月六日に初会合を開いてご意見をいただくなど、原因究明に向けた推進指導体制の強化に努めているところでございます。
 また、施策といたしまして、土壌改良や改植などを盛り込んだうめ樹勢回復実証モデル事業や大気環境影響調査を前提にした暴露実証試験を本格化させることとしており、そのための関連予算を今議会にお願いしてございます。
 一方、事業者に対しても原因究明等に必要な調査研究を要請するとともに、県・市町村はもとより、地元のうめ対策協議会等との連携をより強く求めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 門議員にお答えをいたします。
 御坊第二火電建設問題のうち、オリマルジョン使用による公害・環境面の影響と既設御坊発電所の影響についてでございます。
 御坊第二火電建設に伴う公害・環境面の影響につきましては、電源立地アドバイザーのご意見をお聞きするとともに、県において実施した大気環境地域総合シミュレーション調査やオリマルジョンの排煙調査結果等を踏まえ、慎重に審査を進めてございます。
 現時点の審査の状況でございますが、大気環境については脱硫装置、脱硝装置等の公害防止対策を講じることにより、二酸化硫黄、二酸化窒素等の地表への影響は、年平均値で現況濃度に対し最大で四十分の一程度と予測してございます。事業者に対しては、環境への負荷低減の観点から、排出量のより一層の低減を求めてまいりたいと考えてございます。
 また、既設御坊発電所についてでございますが、拡散計算の結果によりますと、二酸化硫黄、二酸化窒素等の地表への影響は、同じく年平均値で現況濃度に対し最大で百分の一程度となってございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 門議員にお答えします。
 まず、日高港港湾計画と御坊第二火力発電所との関係ですが、既設御坊発電所に隣接して新たに大規模埋め立てや専用桟橋、外洋シーバース等が計画されていることから、建設の前提として日高港港湾計画への位置づけが必要となります。このため、国の電源開発調整審議会で計画が承認されれば、その段階で遅滞なく現在の日高港港湾計画を改定して火力発電所計画を位置づけるよう進めてまいる所存です。
 次に、県内の高速道路の白浜までの完成時期でございます。
 整備計画決定後、通常二、三年後には建設省から日本道路公団に施行命令が出され、その後、おおむね十年程度を要して整備が進められます。県としましては、完成期間を極力短縮できるよう、地元市町村とともに日本道路公団に最大限の協力をしてまいりたいと考えております。
 国道四百八十号の平道路ですが、平成九年度に公図混乱地の地籍訂正を終え、用地買収を進めることとしております。また、府県間トンネルまでは工事用道路兼用の二カ所のトンネルを含む改良工事に全力を挙げることとしており、府県間トンネルの着手時期については、この進捗状況を見きわめながら大阪府と調整してまいります。梨子木トンネルについては概略ルートの検討を済ませており、九年度は必要な調査を進め、早期に事業化できるよう努力してまいりたいと考えております。
 ベイフロンティア構想についてですが、県では平成八年度からベイフロンティア地域整備構想調査を実施しているところであります。また、国の方でも八年度より国土総合開発事業調整費にて国土庁、運輸省、建設省、通産省、水産庁の五省庁が紀伊水道地域における整備の課題や地域の将来像、地域連携整備の基本方針等について、それぞれ調査委員会を設けて検討をしているところですが、これらの調査は九年度についても引き続き実施予定であり、九年度末には紀伊水道地域における地域整備計画が策定されることとなっております。
 和歌山下津港の港湾整備ですが、県では和歌山下津港をベイフロンティア構想の中核を形成する港湾ととらえ、基本的な方針を、物流動向に対応するため外内貿機能の強化を図るとともに港湾と背後圏を有機的に連絡する道路を整備すること、市民に開かれた快適な港湾空間の形成を図るため再開発整備や緑地の整備を行うこと、地域環境の保全を図るため背後圏から発生する建設残土や港湾しゅんせつ土などを海面処分するための用地を確保すること、の三つとしまして、おおむね平成二十二年を目標とした港湾計画を平成九年度中を目途に策定すべく、現在、鋭意検討を重ねているところでございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 門議員にお答え申し上げます。
 御坊第二発電所の経済効果として、一つには発電用施設周辺地域整備法などの電源三法による生活産業基盤の整備があります。これは、立地される御坊市に総額七十二億六千万円が交付され、公共用施設等の整備に充当することができ、隣接四町に対しましても同額七十二億六千万円が交付されます。その他、電力移出県等交付金の増加や産業育成支援事業の適用があります。
 二つには、建設時及び運転開始後の地元雇用であります。事業者によりますと、建設時には年間平均千二百五十人の雇用、運転開始後には年間五百六十人の雇用が見込まれており、また定期点検時には二百六十人の雇用増が見込まれております。
 三つには、建設時及び運転開始後の地元発注であります。一兆二千億円という建設投資額から、御坊発電所建設当時の実績をもとに平成二年和歌山県産業連関表による経済波及効果分析を行ったところ、約五千億円の県内経済波及効果が見込まれると試算しております。
 四つ目としては、発電所立地に伴う地域との共生でありますが、発電所敷地内の数ヘクタール規模での一般開放施設の設置及び関連企業の導入等が考えられます。なお、税収の増加もあります。法人事業税、固定資産税、法人県民税及び法人市民税等の税収増が見込まれます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 医科大学学長山本博之君。
 〔山本博之君、登壇〕
○医科大学学長(山本博之君) 本日付で和歌山県立医科大学長を拝命いたしました山本博之でございます。
 門議員のご質問にお答えする前に、今回の医科大学のたび重なる不祥事に関しまして、患者、ご家族に対しまして心からおわび申し上げます。また、県議会議員の皆様方を初め、県民の方々に多大のご心配とご迷惑をおかけしましたことを心からおわび申し上げます。
 それでは、議員のご質問の件についてお答えいたします。
 誤ってミルクが静脈内に注入されました事故につきましては、調査特別委員会を設置し、調査を続けてまいりました。昨夜、その調査結果の報告を受けたところでございます。
 この患者さんは、平成六年六月、当病院小児科に入院し、九月十六日の手術後は高度集中治療センターにて治療中でございました。十月にその乳児の静脈につながれたチューブに誤ってミルクが注入されたものでございまして、そのときの急激な血圧変化と心拍数の減少は応急処置により十分程度で回復いたしました。しかし、この患者さんは、約一カ月後の十一月十七日、残念ながら死亡いたしました。
 調査特別委員会の調査結果では、この患者さんの死亡とミルクの誤注入との間には直接的な因果関係は認められないとの結論でございます。しかし、医療事故に対しましては、今後、誠意を持ってご家族と話し合いを行ってまいります。
 また、調査開始後間もなく、医療事故のあったことは間違いないとの判断をいたしまして、本年二月十七日、ご家族にその由をご説明申し上げ、おわび申し上げました。
 他の一件につきましては、平成八年十一月、小児科病棟に入院中の児童に、血液型は同じでございましたが、別の患者さんに用意していた血液製剤を誤って輸血したものでございまして、それに気づいた段階で交差試験を行い、適合していたものでございましたため大事には至りませんでした。このことを患者家族にご説明申し上げ、おわびをいたしました。
 ミルク誤注入事故に関する看護記録につきましては、残念ながら経過用紙にミルクの誤注入部分の書きかえがあったと認めざるを得ない状況でございます。当時の医療事故防止対策委員会は、結論が得られないまま終了し、結果として事故の事実を患者ご家族にお知らせしなかったことを追認することになってしまいました。医療に携わる者としてまことに遺憾な対応でございまして、その責任は大学全体として受けとめなければならないと思っております。
 私は、今回の不祥事は、大学のあり方が厳しく問われているものでございまして、重大なことであると認識しております。今後、このような不祥事を起こすことのないよう、大学並びに病院を挙げて取り組む決意でございます。そのため、大学に患者本位の理想の医療を確立するための委員会を求め、大学全体の問題として取り組んでまいりたいと存じます。一方、病院におきましては、医療事故防止対策委員会を強化し、一層事故の防止に努めてまいります。また、今回の不祥事に対し、学内に懲罰審査特別委員会を設け、厳正に対処する所存でございます。
 今後、医療従事者としての使命感や心構えはもちろんのこと、さらに医療の進歩に応じた技術の向上を図るため、採用年月に応じた教育や職場研修の実施、医師、看護婦による複数確認の徹底、物理的に事故が防止できる栄養チューブ等の医療材料の導入等、医療事故再発防止のため医療チームが一体となった取り組みの徹底を図り、附属病院の信頼回復のために医療従事者が一丸となって努力してまいりたいと存じます。
 次に、紀北分院の診療科の増設につきましては、紀北分院の諸施設の現況を見ますと非常に難しい状況にありますが、今後の紀北分院の再編成とあわせ、大学、分院、庁内諸関係による検討委員会等により鋭意検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) 再質問がございませんので、以上で門三佐博君の質問が終了いたしました。
○議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 46番大江康弘君。
 〔大江康弘君、登壇〕(拍手)
○大江康弘君 まず冒頭に、初日二番手をやらせていただきますお礼を尾崎議運委員長に申し上げたいと思います。もう前段の門先生が総なめのようにいろいろ質問されましたので、私は、できれば重複を避けて、答弁のなかった部長を中心にやらせていただこうかなというふうに思っておりますが。
 知事、「大義親を滅す」という言葉をご存じですか。あなたが二年前に知事選を戦われたときに、その戦った相手にはそんなに親を滅すほどの信頼関係というものはなかったと私は思いますけれども、少なくともあの選挙は、仮谷県政が続いてきて、そして県民のいろんな負託にどうこたえていくかという大きな時代の転換期の中で、まさに大義なくして戦えなかった選挙であったと思われます。そして、その輿望を担ってあなたは知事選に出られた。自来、今回提案されている予算を含めて二回の予算を組まれてきたわけでありますけれども、あなたが長年勤めてこられた県庁を去り、政治家を志して一番最初にされたあなたの政治決断は、ご自分で何だったと思いますか。私は、あなたが選挙期間中も申されましたように、一人の県民の立場に立って県を知ること、県民を知ること、その中で知事選を戦っていきたいという思いであえて副知事を辞任された決断、これがまさにあなたの政治家としての第一歩の政治決断であったと思うのであります。あなたが一年近くずうっと県内を回られ、各界各層の皆さんとお会いをされていろいろ語られたこと、また意見を言ってもらって自分の身となり血となったそのことが、今、あなたがその席に座って知事としてやっていける大きな自信の原動力になっておると思うのであります。その原動力を一冊の本にしたためたのが、この「輝きの県政実現のために」という本であります。私も、一度読ませていただきました。
 あなたはずっと今日まで県職員としてやってこられ、そして今日、トップリーダーになられました。少しばかりリーダーということについてあなたと問答をさせていただきたいと思います。
 いわゆる「権力」と「権威」という言葉がありますけれども、これを「広辞苑」で引いてみますと、「権力」は「他人をおさえつけ支配する力」、「権威」は「他人を強制し服従させる威力」と書いてあります。一見どちらも区別がつかないような意味でありますけれども、私は、これはもう全然違う意味であると思うのであります。私が思うには、権力というのは、いわゆる職制上のポストに与えられるものである。国にあっては大臣になったり、あるいは会社にあったら社長になったり。そして今、知事、あなたが知事の職制に着くと自動的にあなたには幾つかの権力が与えられる。しかし、権威というのは似て非なるものであります。
 権威というものは、まさに人格に結びついたものであって、その人個人の長い人生経験、また実績、そして人間的な魅力、こういうものが権威の背景にあると私は思うのであります。したがって、権力は無理にでも人に対して言うことを聞かせることができますけれども、権威というのは自発的に相手に言うことを聞かせる。これほど天と地の差があるというふうに私は考えるのであります。人間社会の組織化における長い歴史を見ても、権威の方が古くからあり、また人格に結びついた権威の方が権力のそれよりもはるかに優先をする。私は、リーダーたるものは権力と権威の両方が必要であって、権威を抜きにした権力はあり得ない、権力と権威が過不足なく重なり合うことによってリーダーシップというものが発揮されるものであると思うのであります。権力だけでは人はついてこない。いわんや、人が燃えるということはないと思うのであります。
 こういうことを思いましたときに、また歴代三知事に仕えられ、県庁という大きな組織の中で組織人として人格を形成してこられて、今、見事に権威というものをあなたの体自身に備えられ、また身にしみ込まされていることを思いましたときに、県民の一人として大変うれしく感じるわけであります。
 こういうことを申し上げても、我々数少ない開政クラブでありますから知事は余り見向きもしてくれませんけれども、我々もあなたが責任ある県政を進めていく与党の一員であることを絶えず思っているということは、どうかひとつ知事さん、心の片隅に置いていただきたいなと思うのであります。
 今、ここで私が「与党」ということを申し上げましたけれども、あなたにとって与党というのは一体何なのか。もちろん、選挙を応援してくれた人、また選挙で率先してそれぞれの立場で応援してくれた議会議員の皆さん、その一人一人がすべてあなたにとっては与党という立場であろうと思いますけれども、少なくとも議会において与党というのは、県政のいろんな大きな課題があって、一つ一つその時々に知事が進めて行く上で決断しなければならないときには、あなたが決断しやすい環境をつくるということ、あなたが方向性を示しやすい環境をつくるということも与党としての責任ではないかと、開政クラブを代表して思うのであります。
 私は、あなたがこれからいろんな紆余曲折の中で大きな決断をされていくときには、少ない集団ではありますけれども、あなたの未来を見据えた決断に対しては決断のしやすい環境をつくっていきたいということを、ここに私どもの基本的なスタンスとしてご意見を申し上げたいと思います。
 かつて、イギリスのマーガレット・サッチャー前首相は、「コンセンサスというものをリーダーシップより重視する社会というのは、大変危険がある。すなわち、非常に多くの人たちと相談しなくてはならず、したがって意思決定をする時間が非常に長くなっておくれてしまう」と、こういう大変含蓄のあることを申されました。
 価値観が多様化している今日の時代の中でいろんな人々の意見──百人が百人とも同じ意見であり同じ方向性を示すという時代にはなかなかなりにくいわけでありますけれども、しかし、そこにトップリーダーがトップリーダーたる決断を求められるゆえんがあると思います。それだけに、理想のリーダー像というのは、指導者像というのはいわゆるデモクラチィックワンマン──これはどういう意味かと言いますと、衆知を集めておのれの決断を持って事を決する、こういうことではないかと思います。コンセンサスとリーダーシップという一見相矛盾したこの関係の中で、トップリーダーとして今後リーダーシップをどうとっていかれるのか。そういう考えがあれば、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
 今、本県は、仮谷前知事さんから引き継がれて西口県政が抱えている大きな課題がたくさんございます。きょう私が質問しようと思ったことがちょうど先ほどの門先生の質問とも重なったわけでありますけれども、まあ先ほどから少しばかり時間がたっておりますから少し心境の変化、考えの変化があればと思いまして、再度お聞きをいたします。
 経済企画庁からの電調審における三月十三日──これはきのうの読売新聞でありますけれども、もう新聞には「和歌山・御坊第二火電計画 県、国への回答延期」という大きな見出しで載っておるわけであります。こういうことがどこから出たのかわかりませんが、新聞の内容は、地元の意見が対立しているとかいろいろ書いておるわけであります。少なくともこういう大事な問題が議会の前にこういう形で出るというわきの甘さには、非常に残念であります。それだけに再度お聞きをいたしますけれども、三月十三日という期限が切られている電調審への知事の意見具申をどうされるのか。また、LNGいわゆる和歌山発電所についてどう決断されるのか。あわせてお聞きをいたしたいと思います。
 次に、知事が本年に組まれた予算の中で、いわゆる食糧費というものの件について質問をさせていただきたいと思います。
 食糧費というのは、もうひとつ私は勉強不足でわからないわけでありますけれども、この食糧費というのは一体どういうものなのか。今、和歌山県には四千五百六十四人の職員がいるそうであります。その組織を支える皆さんが、知事が抱える県政の大きな課題を一つ一つ実現していこうということで、それぞれが与えられた適材適所のポストで今頑張ってくれておるわけであります。
 日曜日や土曜日、あるいは予算の編成時期になりますと、我々にとっては通常休みである日にもかかわらず、職員の皆さんには朝早くから、あるいは夜遅くまでこの県庁にこうこうと明かりがついて頑張ってくれている。ありがたいことだな、こういう皆さんがまさに西口県政を支え、和歌山県を支えておるんだなと、本当に感謝の気持ちがするのでありますけれども、その中にあって、今回食糧費が約一億八千万円ほど減額をされた。先ほども言いましたが、食糧費というのは一体どんなものなのか。
 そして、夜食を廃止すると言う。夜食というのは、何かすごい料理が出るんですか。例えば、スープが来て、それからサラダ、メーンディッシュが来て、最後はデザートというような夜食なんですか。どんな夜食が出るんですか。私は、わずかばかりの夜食を県が出すことには何ら問題はない、そう考える一人であります。オンブズマンかなんかから指摘があったのかどうかはわかりませんが、先般の尾崎次長のあの記者会見を見ておりましたら、あの表情からはオンブズマンとあんまり仲のよいようには見えなかった。そういうことだけは察しがつくわけであります。
 夜食がだめというのだったら、もう超勤をやめたらどうですか。みんな、家へ帰って家族とご飯を食べたいんですよ。みんな、友達とご飯を食べたい。そうでしょう。だれも、残って仕事なんか、本来はやりたくない。しかし、日常の業務では、我々から電話も行けばその応対もしなきゃいかん。県民からも連絡がある。いろんな要望もある。そういうことに忙殺をされるから、どうしても超勤をしなければ仕事がはけていけない。そういう背景があるからでしょう。
 そのように職員が夜を徹して一生懸命頑張ってくれる中で、わずかばかりの夜食を廃止することには、私はどうしても納得がいかないんです。職員の皆さんも、わずかばかりの夜食は自分のお金で払うという気持ちはあると思いますよ。しかし、それは気持ちの問題だと思うんです。一生懸命頑張っている職員のそういう姿に対して、どう行政のトップがこたえていくのか。どう県民が理解をしていくのか。だめだ、いかん、やめておけと、こんなことばかりで、世の中がぎすぎすして、それでいい仕事ができますか。
 私は、今回の減額は何か、理由のない、世の中におもねた、一つの方向のない結果に思えてならないのであります。あなた方が、夜食がだめだ、食糧費がだめだと言うんだったら、さすれば超勤手当の充足率を一〇〇%にすべきだ。調べてみれば、超勤については充足率がわずか四六%。百時間働いたって五十時間しか現実は認めてくれないんですよ。こんなばかなことがありますか。夜食がだめだというんだったら、少なくともまじめに働いた時間帯は、やはり保障してあげるべきなんですよ。そういうこともせずにわずかばかりの夜食を削って、そして世におもねて、こういう予算を組みましたというのは非常に疑問に思う一人であります。
 そこで、この充足率というのはなぜ低いのかという問題点、そして今回これを契機にこの四六%という充足率をいかに高めていかれるのか、その方策もお聞かせをいただきたいと思います。
 この問題の最後に、ここ一カ月余り、あるテレビ局が、預かり金の問題だとか何だかんだといって県庁の中をいろいろ調査したそうでありますし、県庁の出入り業者の皆さんのところにも行っていろんなことを聞いて回っていたそうであります。私は、この県庁の周りにおる飲食関係、あるいは県庁で日々仕事をしていく上で物理的に支えてくれている付近の皆さんにとって、小さいことではありますけれども、地域の振興、あるいは経済の発展ということを思いましたときに、今回の一億八千万円という大きな減額予算というものが、この県庁を取り巻く、今まで関係してきた店舗の皆さんに影響を与えなければいいなと。いわば県庁とともに歩んできた皆さん方でありますから、地域振興の立場からももう少しそういうことについて突っ込んだ議論が、あったのかなかったのかわかりませんけれども、そういうことも考えていただきたい、こういうふうに思います。
 第三番目の問題として、医大の問題であります。
 今、学長が門議員に対して答弁をされましたが、まあお医者さんという立場もあって──少なくとも私のような人間形成の環境と学長のような偉い方々との環境とは違いますけれども、もう少し血の通う、切れば血の出る答弁にならなかったのかなということを非常に残念に思います。
 私は、今回の一連の医大の不祥事を見たり聞いたりしても、もう少し県が、知事が、少なくとも設置権者でありますから、いろんな節目節目で知事として意見を言うべきであるし、当然言わなければいけない、こういうふうに思う一人であります。
 一度も家へ帰らずに病院で亡くなったというあの赤ちゃん──今、学長は、ミルクの混入と死亡の原因とは直接関係がないと言ったけれども、そんなことでは世間は通らない。子を持つ親として──私もそうでありますし、知事もそうだと思いますが、子供に先立たれるこの悲しみ、この不幸というものを考えたときに、直接そのことが原因でなくても、しかしそういう不信感を生む行為をしたのはあなた方であるんだから、そのことに対してあなたはどう責任をとるのか。私は、知事が政治家として人間として、その責任を負うべきであるということを思うわけであります。これからどうされるのかわかりませんけれども、このことはひとつ本当に誠意のある形で対応していただきたいということを要望しておきます。
 同時に、この医大の信頼を失墜させるいろんな不祥事の原因の中に、余り詳しいことはわかりませんが、少なくともあの学長選挙のあり方にも問題があったのではないかというふうに思います。学長選挙というのは、私には、だれがなろうとなるまいと関係ありません。このことは前段に申し上げておきます。しかし、不信感を生むそういう思いは那辺にあるのかと言いましたら、いわゆる学長選挙というのは、まず一次選挙があります。これは、職員全体が参加する一般職員の投票であります。このときに出た結果というものは、半数近い開きがある。そして二次選挙というのは、いわゆる教授選挙でありますが、四十人の教授の皆さんで行われる。この一次の結果と二次の結果というものにそんなに数字的に差がなければ、私はこういう不信感が出てこないんですけれども。こういう結果を見たら、一次選挙なんか、もうやめたらいい。もう二次選挙だけでいいんじゃないですか。一般の職員の人から高い支持率をいただきながら、わずか四人の教授の差で変わってしまうという。こういうことも医大に勤める職員の皆さんの中からも不信感を生む原因であろうし、今回一連のいろんな不祥事が出てきたそれこそ、そういう不信感を生む原因の一つになっておるんではないかなと思います。まあ、これは聖域であり、おまえたちには関係のないことだと言われればそうでありますけれども、少なくともこれらのことがそういう不信感を生む材料にはなっているということだけは県民の一人として申し上げておきたいと思います。
 そこで、今回の不幸な事件──心からあの子供さんにお悔やみを申し上げるわけでありますけれども、こういう不幸なことの中でそのことをどう生かしていくのか。この小さい命の犠牲をどのように生かしていくのか。和歌山県においては医大以上の病院はないわけであります。和歌山県においては、まさにトップと言うべき病院であります。平成七年には特定機能病院の指定も受けて、本来なら、今言いましたように県下でも信頼の高い病院であるはずが、そういうふうにはなっていない、なっていかないのは一体どこに原因があるのか。
 私は、病院というのは、患者さんの気持ちになったときに、そこの病院に行ったときにはもう既に半分以上自分が病んでいるその気持ちが晴れて、よし、今から病気を治してやるぞ、お医者さんや看護婦さん、あるいは医療技師さん、いろんな皆さんのお力をかりておれはここで治ってやるんだと、そんな環境づくりというものが病院になくてはならないと思うのですが、医大の病院長として一体どういうふうに思いますか。そういう患者さんの環境づくりを考えたときに、病院を支えるスタッフの皆さんに、心のゆとり、気持ちの余裕というものがなければ到底このことは実現できないわけであります。それだけに、今回のことやいろんなことを見ても、ひとり看護婦さんを責めるわけにはいかない。
 今の看護体制というものを考えてみましたときに、今、三交代制ということで四百六十六人の看護婦の皆さんが、ベッド数六百六十三床の中で日夜頑張ってくれておる。一つは日勤。朝八時四十五分から夕方の五時三十分まで。これは、一病棟約五十床に八人ほどおられるそうであります。そして準夜勤と言って、夕方の四時四十五分から真夜中の一時まで。これが、同じ病棟に二名。そして、深夜勤。これは夜中の零時三十分から明け方の九時十五分まで。これも二名であります。あの子供さんが亡くなられたCCMCというところは、今、患者さんが八名おられて四人の看護婦の体制でやっておるそうでありますけれども、私は、少なくともこういう三交代制という一つの現実の体制のあり方を見たときに、果たしてこの体制に問題がなかったのか、看護婦の絶対数はこれでよかったんだという数字であったのか、非常に疑問に思うのであります。
 この機会に。この定数も含めて医大の定数というのは県条例の総定数で決められるそうでありますから、一概に、一人ふやせ、ことしは十人ふやせというふうにはならないわけであります。それだけに、看護婦だけ何人ふやしたらいい、先生だけ何人ふやしたらいいとかいうようないわゆる対症療法的なことはやめて漢方薬的な施策、いわゆる根底から治していく、もとから治していくという時期に来ているのではないかと思いますけれども、この看護体制についてどういうふうに考えられているのか。
 もう二年後に新しい病院に移転をするわけであります。今から準備をしておかないと、八百床という新しい大きな病院の中で、直前にその体制づくりをするというのは到底間に合わないし、またその体制の不備から今後起こってはいけないいろんなことが起こらないように、そういうことも含めて考えていただきたいと思います。
 二つ目に、この医大問題に関連して、いわゆる医薬分業についてご質問をさせていただきたいと思います。この質問は、昨年九月に、私が敬愛する森本先生もこの壇上でしておられましたけれども、私は今回少し観点を変えて、また先ほどの看護体制という問題ともリンクをさせて聞かせていただきたいと思います。
 最近、技術改良によって高度医療技術になってきた。我々凡人は、高度医療技術になったら、それだけ看護婦さんやお医者さんが楽になるのかなと思いきや、そうではなくて、検査項目がふえて非常に仕事量がふえる。患者さんにとっては、医療技術の高度化というのは病気を治していく上で大変プラスになるわけでありますけれども、いわゆる高度医療の進歩というのは、反面、マンパワーをそこに求めていくべきものであるというふうに思います。チーム医療──患者を治すのは医者や看護婦だけではない。すなわち、薬をつくる薬剤師の皆さん、あるいはレントゲン技師の皆さん、あるいは歯科医師の皆さん等々、医療に携わる皆さんが、野球で言えばいいキャッチボールのできるチーム医療というものを組んでいかなければいけないと思うのであります。
 そこで、医薬分業とどう絡んでいくのかということを申し上げましたら、今、医大には、多い日で八百名、少ない日は六百名、外来患者の方がおられます。そして、何カ月も待たなければいけないほど込んでいるあの病院の入院状況。こういう中で、薬剤師の皆さんというのは、薬局で薬をつくって、そして聞けば臨床病棟業務というのがあって、みずから病床に赴いて患者さんと口頭試問をして、どうですか、調子はいかがですかと。そのことに対して、患者さんも非常にうれしい存在であると言っていると私は聞いております。しかし現在、そのいわゆる臨床病棟業務というのに携われるのは、昼間の忙しい外来患者さんに薬を渡し終わった後のわずか数時間しかない。今、医大には二十四人の薬剤師の皆さんがおられますけれども、一日五人ぐらいしかその業務に携われない。
 こういうことを考えたときに、院外処方せん──外に出す処方せんでありますけれども、今、和歌山県においては、県内で四百三十八、和歌山市内では百八十三、薬剤師の皆さんが民間の薬局を開かれております。今日、規制緩和のあおりの中で、今まででしたら薬局にしか売られていなかったものがスーパーや店の店頭で売られ、薬局を開業しておられる皆さんにとっては非常に経営的にも苦しい。しかし、地域に根差して、病気を治していこうという方々の役に立たれて一生懸命になって薬局を開かれている実情を考えたときに──特定機能病院は三〇%の院外処方せんをしなきゃいけないということが決められておるそうでありますけれども、今の医大の実情は一二%。この一二%というのは、和歌山県が下水道の普及率で全国最下位であると同様に、この医大の分業率というのも全国最下位であります。北海道の札幌病院、あるいは福島の福島県立病院では、五〇%強という分業率を誇っておるそうであります。
 今日、そういうマンパワーが病院の中で必要になる。患者さんが病院で寝ていて、お医者さんにはいろいろ相談しにくい。看護婦さんも忙しいからいろいろと尋ねにくい。そのときに一番必要になってくる、そういう使命感を果たすべき立場におられるのが、これから薬剤師の皆さんではないかなと思うんです。
 先ほどの看護体制と含めて、これからの高度医療の中で臨床病棟業務を進めていく上で、あるいは民間の薬局の皆さんとの地域での協調という観点から考えてみましても、極論を言えば、医大の外来患者の処方せんはもうすべて院外処方せんにしたらいいんではないか、そして医大におる薬剤師の皆さんには、入院されておる患者の皆さんのために、お医者さんや看護婦さんのできないそういう部分を補ってもらって、患者さんが一日も早く治れるような体制をつくられたらいいんではないかなと思うわけでありますけれども、このことに関して、前段の問題とあわせてお答えをいただきたいと思います。
 いろいろと申し上げましたけれども、どうかひとつ知事、いろいろと厳しい状況はわかります。リーダーにとって決断というものはそんなに易しいものではないし、また孤独を助長し、時には周りを見れば一人しかないんかなと、そういう気持ちに陥ることもあると思いますけれども、少なくともあなたには、あなたにかける多くの良識ある県民の皆さんもおるわけですし、この議場においては、あなたに頑張ってほしいという、与党と自負する先輩の議員さん初め多くの議員さんがおられるわけでありますから、勇断を持ってリーダーシップを発揮していただきますように最後にお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
 〔傍聴席で拍手する者あり〕
○議長(町田 亘君) 傍聴の皆さん方に申し上げます。
 傍聴規則により、傍聴者の拍手は禁止されておりますので、ご承知願います。
○議長(町田 亘君) ただいまの大江康弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 大江議員にお答えをいたします。
 まず、私に対する政治家としてのあるべき大変貴重なご意見を賜りまして、ありがとうございました。
 コンセンサスとリーダーシップについてであります。
 指導者たる者が強力なリーダーシップが不可欠なことは、私も十分承知をいたしております。ただ、私は常々、信条として「人皆心あり」ということを申しておりまして、世の中それぞれに境遇や立場も違えば意見や主張の違いもあるわけでありますが、そうしたさまざまな意見に誠実に耳を傾け、議論を尽くすということもまた極めて重要なことであると考えております。
 私といたしましては、賛否両論ある場合には、民主主義のルールにのっとった十分な意見の交換とコンセンサスの形成に粘り強く努力をし、しかる後には自身の責任において果断に事に臨む、そのように心してまいりたいと考えております。
 次に、御坊第二火力発電所あるいはLNG和歌山発電所に関してのことであります。
 まず御坊第二発電所につきましては、通商産業省の環境審査を踏まえて、現在、国の関係省庁で検討がなされておるところでございます。県といたしましては、適地性及び安全性の観点から、環境影響調査書等について、学識経験者による電源立地アドバイザーの方々からも専門的な助言をいただきながら、慎重に審査を行っているところでございます。
 また一方、和歌山発電所につきましても、現在、国において環境審査がなされておるわけでございます。県といたしましては、同様に慎重に審査を行っているところでございます。
 なお、和歌山発電所につきましては、県がその土地利用について諮問をしている西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会の判断を受けて対応してまいりたいと考えております。
 また、経企庁に対する回答であります。
 御坊第二発電所につきましては、この三月下旬に開催が予定されている電源開発調整審議会の議を経て平成八年度電源開発基本計画に新規に組み入れることについて、国の関係省庁で検討がなされておるところでございます。このことにつきましては、ご指摘にありましたように、経済企画庁から知事の意見が求められておるわけであります。
 県といたしましては、現在、環境影響調査書について慎重に審査・検討を行っている段階でございまして、関係方面からも賛否両論のさまざまな意見が寄せられてございます。
 先ほど門議員のご質問にもお答えをいたしましたように、若干時間が経過しておりますけれども答えは同じことになりますが、このような状況の中におきまして、御坊第二発電所の立地については、熟慮を重ねた結果、今回は知事意見を申し上げることができないと存じておりますので、ご理解をいただきたいと思います。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 食糧費についての九点と医大についての一点についてお答え申し上げます。
 食糧費につきましては、食糧費とはどのようなものか、あるいは当初予算において減額した理由、夜食がだめという理由をあわせてお答え申し上げます。
 まず、食糧費とは、来客用の茶代、会議または式典用の茶菓子代、弁当代、職務の遂行上必要な会食費用、災害備蓄用の食糧購入代、職員の超過勤務時の夜食代等を総称したものでございます。
 ただいま、議員から食糧費について貴重なご意見をいただいたわけでございますが、その執行につきましては、従来から社会通念上妥当性を欠くことのないような適正な執行に努めてきたところでございます。
 平成九年度予算におきまして、食糧費は約七千九百万円計上してございます。前年度二億五千百万円に比べて大幅に減少してございますが、これは、今までの予算執行を認めていた職員の超過勤務時における夜食制度を平成九年度より廃止することが主たる要因でございます。
 夜食の廃止につきましては、厳しい県の財政状況の中、行政改革を推進し、事務事業の見直しや経費の節減に努めているわけでございますが、こうした取り組みの一環として検討したものであり、他府県の取り組み状況等を勘案しながら、職員組合とも話し合った上で結論を出したものでございます。
 全国的に地方自治体を取り巻く諸情勢も変化しているところであり、今後とも県としては適切な対応に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、食糧費に関して、超勤関係の五点でございます。
 超過勤務手当の実態でございますが、県全体で、平成七年度の決算額で約三十一億九千万円でございます。支給につきましては、各所属からの超過勤務報告に基づいて十分調整・検討して支給しているところでございます。
 なお、充足率につきましては、知事部局では、平成七年度の平均充足率は約五〇%と把握してございます。
 超過勤務につきましては、労働時間の短縮という社会情勢の中で、職員の健康管理や活力ある職場づくりの面からも、超過勤務の縮減を推進するために事務の簡素・効率化を図るとともに毎週水曜日は「ノー残業デー」と設定いたしまして、また平成七年四月より休日の代休制度を設ける等、超過勤務の縮減に一層努めているところでございます。
 今後とも、事務改善等による超過勤務の縮減を図るとともに、充足率の改善に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、食糧費に関しまして、夜食減額によって県庁周辺及び関係の飲食店への影響、また地域の活性化がおくれはしないかというご質問でございます。
 超過勤務時における夜食制度の廃止に伴う影響につきましては、今回の措置後の超過勤務の実績を見なければ確かなことは申し上げられませんが、周辺飲食店へはそれほど大きな影響は及ぼさないものと考えてございます。しかし、地域の皆様と共存共栄を図っていくことが大切であると受けとめてございます。
 次に、医大問題についての総定数の見直しでございます。
 議員ご質問の医科大学全体の定数につきましては、新医科大学への移行を控えておりますので、現在、医科大学において鋭意検討しているところでございます。
 なお、看護部門の定数につきましては、新医科大学での病床数の増加や新しいシステムのトレーニング等に対応できるよう、既に平成六年度から毎年十名の定数増を図り、複数確認の徹底や医療の進歩に応じた技術の向上のための職場研修実施など、看護体制全体の充実に努めているところでございます。
 最終的な定数につきましては、引き続き医科大学と十分協議してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 大江議員にお答えをいたします。
 医大問題に係る民間薬局との協調をどうするかについてでございます。
 議員ご指摘のとおり、本県の医薬分業は全国的に低い位置にございますので、これまで公的病院からの院外処方せんの発行を働きかけてまいりましたが、県立医科大学附属病院の動向が県下に及ぼす影響は大変大きいものと考えております。
 医薬分業に係る民間薬局との協調につきましては、円滑な処方せんの受け入れに欠くことのできない課題であると認識をしております。
 福祉保健部といたしましては、社団法人和歌山県薬剤師会に対し万全な備蓄体制等の整備を指導するとともに、早急に県立医科大学附属病院と社団法人和歌山県薬剤師会との協議の場を設け、患者のサイドに立った医薬分業を進めてまいります。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 医科大学附属病院長西岡新吾君。
 〔西岡新吾君、登壇〕
○医科大学附属病院長(西岡新吾君) 議員ご質問の、今回の事件に関する看護婦の勤務体制についてお答えいたします。
 高度集中治療センターの看護婦の勤務体制でございますが、ベッド数八床、平均稼働数七床弱に対し、日勤十三人、準夜勤四人、深夜勤四人の体制であります。
 厚生省の特定集中治療室管理基準を満たしておりますが、今後とも高度集中治療センターを含めた看護部門全体の勤務体制について検討を加えながら看護の内容を充実し、適正配置並びに機能的な対応ができるように努めますとともに、患者サービスの向上を図ってまいりたいと存じます。
 次に医薬分業のご質問でございますが、現在の高度医療の中では、その分野において業務を分担していかなければなりません。そこで、臨床薬剤師の服薬指導が重要となってまいります。今後も、医師との連携を密にしながら充実させていきたいと考えております。
 現在、医薬分業を進める上で県薬剤師会と協調し努力しておりますが、当院全体では、院外への分業率は約一二%となっています。分業に対する当院の考え方は、患者さんの意思を尊重するという基本方針に立ちまして、患者さんへのPRと民間薬局との協調を図りながら、特定機能病院としての目標である三〇%に高めて医薬分業を推進しております。
 次に薬剤師の人員でございますが、一般調剤については院外処方の促進を図り、一方では服薬指導の充実などを勘案しながら業務内容を検討し、患者さんの意向やニーズに対応できる体制を県当局と協議しながら検討してまいりたいと存じます。
 以上です。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) 以上で、大江康弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(町田 亘君) この際、暫時休憩いたします。
 午後零時三分休憩
 ─────────────────────
 午後一時四分再開
○副議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番新田和弘君。
 〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、議案に対する質疑並びに一般質問を行います。午前中に同趣旨の質問がございまして若干重複するところがあろうかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。
 まず初めに、平成九年度の当初予算と行財政改革についてお尋ねをいたします。
 バブル経済の崩壊により平成三年から景気が低迷し、一転して不況の時代に突入して今年は七年目に入ったわけであります。我が国の抱える借金は、平成九年度末で国・地方の長期債務残高が四百七十兆円規模に上り、極めて深刻な事態にさらされています。政治も経済もすべての面で閉塞感が漂う日本の現状を改革し、危機に直面する日本の財政をどう打開していくか、政治のリーダーシップが厳しく問われる中、昨年の衆院選後に発足した第二次橋本内閣は、行政初め経済構造、金融システム、社会保障構造、財政構造に教育を加えた六つの改革を断行することを公言してきています。
 しかし、財政再建元年を掲げた平成九年度予算案は、一般会計七十七兆三千九百億四百万円、財政投融資計画五十一兆三千五百七十一億円と肥大化する歳出に切り込めず、平成八年度補正を含めて十八兆円に近い国債を上積みし、国民に対しては本年四月から消費税率を五%に引き上げ、特別減税を打ち切り、医療保険制度の改悪等により、国民の負担は年間約九兆円も増加することになりました。
 行政改革や歳出削減は進まないが、財政破綻のツケだけは確実に国民に回す予算編成に対して、経済界にも深い失望感が広がり、昨年末より、円安・株安・債券安のいわゆるトリプル安が進行し、本年一月には円が四年ぶりに一ドル百二十三円台まで急落し、株価も東証ダウ平均が一万七千円割れ寸前まで落ち込み、国内のみならず、世界が強烈なしっぺ返しを行って橋本政権に警告を発してきております。
 「ボイス」の一月号で、伊藤忠商事の特別顧問である瀬島龍三氏は、「橋本総理大臣の仕事」と題して、次のように述べています。「国費を投入して公共事業を増やしたり、バラマキ政策をとったところで、それはバブルにすぎず、ほんとうの景気回復にはつながらない。『景気回復=公共事業を増やす』という従来型の政策では、表面的、あるいは一時的にはよくなったとしても、結局ところは何も変らない。それよりもむしろ、行政改革と財政再建で構造的な部分を変えることが先決である」と指摘しています。
 また、雑誌「潮」の二月号で、北海道大学教授の宮脇淳氏は、「『財政システム』の改革を急げ」と題した論文で、「日本の財政は、なぜこうした慢性的赤字状態に陥ったのだろうか。その端緒は、税収が増え、財政規模が膨らんだ高度成長期にあった。この時期に、前年度の予算をいくら増額するかを予算編成の基本におく『前年度主義』『増分主義』が形成されたのである。 四十年代後半、経済成長率が徐々に落ちてきたときもその肥大化の体質は変わらなかった。新たに配分できる量が減ってくると、それを補うために歳入の面で配慮するという租税特別措置などが考えだされ、実質的な利益誘導が続けられた。(中略)しかし、租税特別措置などにも際限がある。そこで次にターゲットになったのが財投資金であった。四十年代後半、本格スタートした年金制度により、年金資金が新たに国に入ってくる。それが財投というかたちでバラまかれ始めたのである。 こうして日本の財政は膨らむ一方で来たわけである」と指摘しております。
 さらに財政のあり方として、「『タテ割り行政』の弊害である。その典型として、たとえば臨海工業団地がある。目的はそこに民間企業を誘致し、地域経済を活性化することにあったはずだが、現実にはそれが稼働していない。 タテ割り行政のために、予算がついた道路だけは整備され、区画も行われたが、肝心の港の建設が進まないからである。それで企業が進出するはずがなく、道路建設のための資金調達費や管理費だけは出ていく。結局、企業が来ないのなら行政機関を呼ぶしかないということになり、何のための投資だかわからなくなっている」と、財政資金の使われ方の問題点を挙げています。
 さらに、「もう一つ、『前年度予算主義』については、予算要求は増分主義ではなく、いまある政策のなかでやめるべきものも挙げるようにすべきである。増分主義だけで要求する仕組みになっているために、一度獲得したものは既得権益化し、これが財政を肥大化させる原因になっている」と指摘しています。
 さて、本県の平成九年度予算は、予算編成の基本的な考え方に示されているとおり、地方財政全般を取り巻く環境には非常に厳しいものがあり、本県においても公債費が大幅に増加するという状況の中で、平成七年十一月制定の行政改革大綱を踏まえた事務事業の見直しを行い、歳出の一層の節減合理化に努める一方、交付税措置のある起債の積極的な活用や各種基金の取り崩しにより財源確保に努め、飛躍への基盤づくり、明るい社会づくり、活力ある産業づくり、快適な暮らしづくり、心豊かな人づくりの五つの政策目標の実現に向けての必要な財政需要についても的確に対応したところであると説明し、その結果、平成九年度一般会計五千八百六億円、対前年伸び率四・七%増となり、地方財政計画の二・一%増を上回る伸びとなっています。また、特別会計は千六十億九千七百六十五万八千円、地方公営企業会計は三百十九億四千二百六十一万九千円であります。歳入における県税収入は、法人二税の増収及び地方消費税の創設により対前年比で百一億円、一一・六%の増収となっています。
 しかし、東京商工リサーチ和歌山支店がまとめた県内の一月の倒産企業、負債一千万円以上は十五社に上り、一月では過去二十年間で最も件数が多く、今年も厳しい年になると分析しています。
 県債については、公債費の急増及び起債制限比率の急上昇が見込まれるため六百九十六億六千七百万円、対前年比九・四%減に抑制しています。そのため、財源不足を補うために財政調整基金から七十九億円、県債管理基金から二百八十四億円、その他の基金から百四十六億円、合計五百九億円を取り崩すという、かつてない厳しい予算編成となっています。本県の財政状況について特に注目しなければならないことは、平成七年度決算において、財政調整基金から二十億円を取り崩し、昭和五十九年以来、十一年ぶりに実質単年度収支が九億八千六百十二万三千円の赤字となりました。さらに、経常収支比率が平成二年より五年連続上昇し八〇・四%となり、起債制限比率も九・一と上昇し、財政状態が一段と厳しくなっていることを示しています。こうした上昇の原因としては、平成五年から七年にかけて大型の景気対策による普通建設事業等の増加と、平成六年から始まった特別減税による税収不足や国の税収悪化による交付税の振りかえ等により県債の発行増が考えられます。普通会計の決算ベースでの県債収入は、五年度八百九億円、六年度七百八十六億円、七年度八百八十億円、八年度も八百五十九億円となる見込みで、県税収入にほぼ近い額を毎年借金してきたことになり、九年度末には一般会計分の県債残高が五千五百七億六千二百万円となり、九年度当初予算の一般会計分にほぼ匹敵する額に上る予定であります。このため、公債費も九年度当初は五百四十九億五千四百万円と急増しており、今後さらに経常収支比率、公債費負担比率、起債制限比率が悪化するのではないかと心配するところであります。
 そこで、西口知事にお尋ねいたします。
 一、行政改革大綱を踏まえて編成された九年度当初予算に対する知事の所見はどうか。
 二、行財政改革を行うため、予算編成に当たり、景気回復イコール公共事業をふやす従来型の政策から行政改革と財政再建で構造的な部分を変えることが先決との指摘や、前年度予算主義を改めて今ある政策の中でやめるものを挙げるべきとの指摘や、縦割り行政の弊害を防ぐことで二月十六日付の朝日新聞に、三重県では平成八年度に課題や政策ごとに横断的に必要な経費を積み上げる方式を取り入れて数十億円の節約ができた、また北九州市も平成九年度予算から横の連携を重視するよう全職員に指示した、この結果、百二件の連携事業が生まれ、十数億円の節約ができた、今、財政難に悩む自治体から視察や問い合わせが相次いでいるとの報道がありました。知事は、本県における予算編成の抜本的な改革にどう取り組まれるのか。
 以上二点、お尋ねをいたします。
 次に、出納長及び総務部長にお尋ねをいたします。
 一、平成八年度の決算見通しはどうか。
 二、行政改革大綱に基づいて実施された平成八年度及び平成九年度予算で財政的にどの程度の節減効果があったか。
 三、和歌山市が本年四月から中核市に移行することにより、本県の歳入、歳出でどのような影響があったか。
 四、平成九年度地方消費税導入による影響と県税収入の実質的な伸びはどう予測するか。また、県税収入の収納率向上の観点から、県税等の公金の収納について県民の方々より、郵便局でも窓口収納や口座振りかえを行ってほしいとの要望があります。他府県においては既に実施しているところが多いと聞いていますが、県民サービス向上のため本県でも郵便局で公金収納を実施されてはと思いますが、どうか。
 五、平成九年度に新たに臨時税収補てん債三十四億円が計上されているが、どうか。
 六、平成六年度秋の税制改革に伴う市町村の税収補てんのため、個人住民税及び地方のたばこ税の税率調整により県から市町村に税源移譲を行うが、本県から市町村への移譲額はどの程度か。
 以上六点、お尋ねをいたします。
 次に、県立医大病院におけるミルク注入事故に関連してお尋ねをいたします。
 二月十二日付の毎日新聞によりますと、平成六年六月に生後三カ月の女の子が心臓疾患で県立医大病院に入院しました。九月中旬に手術を受け、同病院の高度集中治療センター(CCMC)に入り、治療を受けられていたとのことであります。問題の事故は、十月十一日の午後九時ごろ、看護婦さんが胃につながったチューブと間違えてミルクを静脈へのチューブにセットしたため、約十分間、ミルクを胸部から静脈にシリンジポンプで注入されました。女の子の全身が赤くなるなどの異常で過誤に気づき、ポンプをとめましたが、血圧が急激に降下し、約二十分にわたって蘇生術を実施。血圧は回復したものの、脳の一部に壊死の疑いがあり、視覚障害も見られた。医師らは、ミルクの脂肪分で血管が詰まったか、心臓機能低下で酸素が正常に送られなかったためと見ていたとのことであります。女の子は、残念なことに、約一カ月後の十一月十七日に呼吸不全のため亡くなられてしまいました。病院は女の子の家族に対して、ミルク注入事故のあった翌日に、「前に起きた呼吸困難の症状と同じようなことがあった」などと説明しただけで、亡くなられた際にも事故のことは伏せられていたようであります。さらに、県立医大病院の医療事故防止対策委員会が平成六年十一月二十八日に開催され、委員のほか関係各科の医師らが出席し、約二時間にわたる論議で、小児科の医師らから「遺族に説明するのが当然」との意見が出たが、刑事事件への発展を懸念する声や死との因果関係が不明とする意見が多く、結局、「医師個々の良識に任せる」などとして家族への説明に否定的なまま閉会したとの報道でした。
 この報道により、病院設置者である県は、二月十二日に中山総務部長が西岡病院長に事実の確認を指示しました。同日、記者会見した西岡病院長は、事故の有無についてのこれまでの院内調査は不十分だったかもしれないとして再調査を行うことを明らかにしました。二月十三日に、西尾副院長を委員長とする調査特別委員会が八人で構成されました。二月十七日夜に西岡病院長が記者会見を行い、誤ってミルクを静脈に注入したことがわかった。それ以外のことは今後さらに調査して報告する旨を公表した。加えて西尾委員長よりこの報告を聞いた後、ご家族に対して報告をし、おわびをした旨も発表されました。さらに二月二十一日には、事故当時の病院長であった大川前病院長が緊急に記者会見を行いました。その内容は、事故当夜、誤ってミルクを女の子に注入したと連絡を受けた。高度集中治療センター内で家族に事故を説明するかしないかで意見が分かれたが、事故防止対策委員会での「家族に説明しない」との結論を尊重したと述べ、病院長として判断が誤っていたと語ったとのことであります。
 また、昨年十一月十四日に県立医大病院に入院していた八歳の男の子に看護婦さんが誤って別の患者用の血液を輸血したが、幸いにも同じA型の血液だったため大事には至らなかった旨の報道もありました。しかし、もし血液型が違っていたら大変な事態になっていたのではないかと思うと、医療におけるミスは決してあってはならないものであります。
 こうした相次ぐミスに、県民から、医大病院は一体どうなっているのだとの怒りの声が上がっています。本来、私たちは、医大病院こそ本県の中核病院であり、県民の生命と健康を守ってくれる中心と考え、平成十一年に施設、設備の充実した新病院への移転を一日も早くと待っているところであります。さらに私たちは、人間の生命のとうとさを医療の第一線で日々感じながら治療に当たっていただいているのが医師の方々であると信じております。
 昨年八月に、私の友人が突然倒れ、医大病院に入院しました。普通病棟から高度集中治療センターへ、黄色い名札をいただいた家族の方と一緒に、待合室で不安になりながら数時間、夕方になって、やっと看護婦さんから連絡を受け、白いコートを着用し、帽子、手袋をつけて同センターに入り、面会をさせていただき、その後、別室にて医師より病状と今後の治療方針などを伺い、同センターを出ると、看護婦さんより、「あしたからの面会は、十四時から十五時か、十八時から十九時のどちらか選んでください」とのことでした。高度集中治療センターでは、医師の方々によって二十四時間治療が行われ、家族の方は一日に一回指定された時間に許可をいただいて面会できるだけであります。私は、医師や看護婦の方々にとっては、二十四時間連続して治療に当たる大変な仕事であると思う反面、そばに付き添うことのできない家族にとっては、ただただ医師の方々を信頼してすべてを任せる以外にないことを実感した次第であります。
 そこで、医科大学学長にお尋ねをいたします。
 一、今回の事故に対して、病院として事故の調査を行っていますが、これまでの経過と今後の取り組みはどうか。
 二、生後間もない子供を高度集中治療センターに入院させ、そばに付き添うこともかなわない家族にとっては、医師の説明、言葉こそ千金に値するものと思います。なぜ、二年四カ月も事故を家族に説明しなかったのか。また、看護記録の記述を書きかえた旨の指摘があるが、どうか。さらに、これらに対する病院の責任はどう考えているのか。
 三、医療事故は人命尊重の上からあってはならないことでありますが、県民の信頼回復にどう対応するのか。
 四、病院として、死との因果関係を明らかにし、誠意ある対応が望まれますが、どう対応されますか。
 以上四点、お尋ねいたします。
 次に、教育問題についてお尋ねいたします。
 本年二月一日、紀州路に吉報が届きました。第六十九回選抜高校野球大会の出場校に晴れて県立日高高校中津分校が選ばれ、分校史上初の甲子園出場の快挙となり、地元中津村はもちろんのこと、県民挙げての喜びとなり、甲子園での活躍が期待されています。
 中津村は、日高川の上流二十キロにある人口約二千六百人の村です。そこに、全校生徒百十二人の日高高校中津分校があります。進む過疎化に分校の廃校も心配した村民の方々が議論を重ね、たどり着いたのが高校野球で村おこしでした。昭和五十九年に、垣内邦夫監督が社会科の教諭として赴任したのを機に硬式野球部が誕生しました。しかし、満足なグラウンドもないチームは連戦連敗で、初勝利はやっと二十五戦目という状況でした。だが、創部直後に発足した後援会には村民ら約八百人が入会し、年間約五百万円を集めて遠征費などを捻出し、野球部を支えてきました。さらに、村所有の元縫製工場を選手寮に提供するなどの支援が実り、昭和六十三年に垣内哲也選手が西武ライオンズにドラフト三位で指名され、分校からプロ野球選手が誕生しました。その後、近隣町村だけではなく、県内各地から選手が集まり出しました。平成四年夏の大会県予選で決勝に進出し、対智辯戦で二対七と敗れ準優勝、平成六年夏の大会県予選も決勝に進出し、対市和商戦で四対五と、あと一歩のところで甲子園への夢を逃してしまいました。平成七年八月には両翼九十三メートルの専用グラウンドが県費二億八千万円を投じて完成し、悲願へ一段と拍車がかかりました。そして迎えた平成八年の秋季大会県予選準決勝で智辯を十六対六の大差で敗り、決勝では和工を三対二と競り勝ち、念願の初優勝を飾りました。甲子園出場へ三度目の正直となった秋季近畿大会の一回戦で京都の北嵯峨を二対一で敗り、近畿地区のベストエイト入りを果たし、ついに創部十三年目に甲子園出場の悲願が達成いたしました。
 中津村の笹朝一村長さんは、「これまで応援してくれた村の皆さん、本当にありがとうございました。野球部の皆さんは、県代表として頑張ってください。村としても、村議会に諮って甲子園の応援予算をつけます」と述べられ、二月七日の臨時議会で千三百万円の予算を可決したところであります。
 そこで、西口知事にお尋ねいたします。
 先ほども盛大な壮行会が行われ、多くの議員の皆さんも出席いたしましたが、現在、全国に分校が百三十九校あります。分校という条件のもとで地域と一体となって頑張り、分校初の甲子園出場という快挙は、やればできるということを全国に示した教育的効果の面でも本当にすばらしいものがあると思いますが、知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、紀伊半島の明日を拓く人づくりネットワークの推進についてお尋ねいたします。
 昨年の五月に、「紀伊半島の明日を拓く人づくりネットワークの推進」をテーマに、和歌山、奈良、三重の教育長が本県の那智勝浦町に集まり、第一回紀伊半島三県教育長会議を開催いたしました。この会議では、光ファイバー通信網を使ったテレビ会議によって県境を越えた学校間の交流や衛星通信を使って大学の公開講座を公民館で学べるシステムを導入し、早期に三県で実施できるよう求める要望書をまとめ、文部省に提出し、人づくりネットワークの推進を図ってきたところであります。
 平成九年度当初予算の十款教育費、四項高等学校費、四目教育振興費の中で、紀伊半島三県県立高校マルチネット推進費一千三百九十万四千円が計上されています。これは、和歌山県の新宮高校、奈良県の五條高校、十津川高校、三重県の木本高校の三県四校が光ファイバー通信網を使ったテレビ会議システムで、授業や学校行事を通じて交流を図り、「ふるさとは紀伊半島」と考える若者を育てることを目指しております。また、十款教育費、六項社会教育費、四目文化財保護費の中で、紀伊半島民俗芸能サミットの予算七百十三万九千円が計上されております。これも、昨年の三県教育長会議で地域活性化の中核になるものとして、近年注目されている三県の民俗芸能に関するイベントを開催していくことを受け、本年十月を中心に紀伊半島民俗芸能サミット97の開催を目指すものと伺っています。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、紀伊半島三県における県立高校マルチネット推進事業の概要とねらいについて。
 二、紀伊半島民俗芸能サミット97の概要について。
 三、本県では、平成十一年に新宮・田辺両市と東牟婁・西牟婁両郡を会場として南紀熊野体験博(仮称)を開催する予定であります。本年二月に通産省のジャパンエキスポに認定されました。教育委員会が実施する県立高校マルチネット推進事業や紀伊半島民俗芸能サミット97の成果を南紀熊野体験博につなげ、紀伊半島の人づくりネットワークの一層の推進をと思いますが、どう考えられるか。
 以上三点、教育長にお尋ねいたしまして、第一回目の質問を終わります。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 新田議員にお答えをいたします。
 平成九年度当初予算についてであります。
 国においては財政構造改革元年予算と位置づけ、一般歳出の伸びの抑制が図られたところでございます。本県においても、国と同様に厳しい財政状況の中での予算編成となったわけであります。しかしながら、二十一世紀に向けた和歌山新時代の創造に欠くことのできない施策はどうしても展開していかなければなりません。そうした点を踏まえて、予算編成に当たりましては、行政改革の観点から既存事業の徹底した見直しを行い、歳出の節減合理化に努めたところでございまして、なお不足する財源として交付税措置のある起債の積極的な活用、あるいは各種基金の大幅な取り崩しを行い、県民福祉の一層の向上につながる施策の充実に努めたところでございます。このように、行政改革大綱を踏まえての行財政改革の取り組みに努めながら、全体としては地財計画を上回る積極予算を編成できたものと考えてございます。
 次に、予算編成の抜本的な改革への取り組みであります。
 平成十年度以降の予算編成につきましては、県の財政状況が一段と厳しくなることなどが予想されるところでございまして、予算編成の方針につきましても抜本的な改革が必要であろうと思っております。従来のシーリング方式あるいはシーリングの対象外経費についても検討していく必要があろうと考えております。
 議員ご指摘のように、他府県で取り組まれている、例えば各部局連携のもとでの横断的、総合的な行政の推進事例等を参考にしながら、従前からの行政改革大綱に基づいた取り組みはもちろんのこと、さらに積極的に抜本的かつ構造的な行財政改革を推進していきたいと考えております。そのことによって、二十一世紀に対応し得る行財政システムを構築していかなければならないと考えてございます。
 次に、日高高校中津分校野球部の選抜高校野球大会出場についてでございます。
 先ほど、多くのご来賓の方々のご出席をいただいて壮行式を行い、激励したところでございます。分校としての出場は高校野球史上初めてのことであり、その偉業に心からお喜びを申し上げますとともに、創部以来今日まで野球部を支えてこられた関係者を初め中津村の皆様にお祝いを申し上げるものであります。
 野球部は、過疎化の村と分校を活性化する期待を担って創部されて以来、わずか十三年で甲子園出場の切符を手にされたわけであります。このたびの出場は、地元中津村だけではなくて、県民の皆さんとともに全国に胸を張れる快挙でございまして、多くの人々に夢と希望を与えてくれたものと思っております。とりわけ、全国の分校で学ぶ生徒たちにとっては、この上ない励みとなり、夢の実現に向けて「なせば成る」という明るい展望を開いたものと確信をいたしております。甲子園には、日程の許す限り、私もぜひ応援に行きたいと考えてございます。この上は、選手の皆さんの活躍を心から期待をいたしております。
 以上であります。
○副議長(下川俊樹君) 出納長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○出納長(高瀬芳彦君) 郵便局における県税等の公金収納についてお答えいたします。
 現在、銀行等と郵便局との間に手数料の違いがございます。そういうことで現在実施してございませんが、今後十分検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 平成九年度の当初予算と行財政改革の六点についてお答え申し上げます。
 平成八年度の決算見通しにつきましては、現在のところ、繰越額や不用額などが確定しておりませんので、二月補正予算案をもとにした概算による推計を申し上げるにとどまることを、あらかじめお断り申し上げたいと思います。
 まず実質単年度収支の見通しにつきましては、二月補正予算後で繰り上げ償還額が十二億五千七百万円余、財政調整基金の取り崩し金額が五十五億円となっており、その差が四十二億円余に上っていることから、二年連続で赤字になることはほぼ確実と見込んでございます。また県債残高につきましては、普通会計ベースで五百四十五億円余増加し、五千百四十五億円余になる見込みでございます。財政調整基金及び県債管理基金の平成八年度末の基金残高につきましては七十三億円余の減で、七百十八億円余になると見込んでございます。
 次に、主な財政指標について申し上げますと、まず起債制限比率は、平成七年度の九・一%から〇・五%程度上昇し、五年連続の上昇となるものと見込んでございます。また経常収支比率につきましては、平成七年度の八〇・四%に対し、地方交付税の増加など計算上一般財源が増加したことから、二、三%程度低くなるものと見込んでございます。
 次に、行政改革大綱に基づく財政上の節減効果でございますが、平成八年度及び平成九年度当初予算の編成に当たっては、行政改革大綱に基づき、事業効果、事業の社会的意義、市町村や民間との役割分担等の視点から、事務事業及び県単独補助金について見直しを行ったところでございます。見直しによる改善額につきましては、大綱に基づく見直し額に限って申し上げますと、平成八年度当初予算では五十四事業で五億六千五百万円余、平成九年度当初予算では八十七事業で四億六千三百万円余となってございます。
 次に、和歌山市の中核市指定に伴う事務事業の移管による県の歳入歳出予算への影響額につきましては、平成九年度当初予算を基礎にして試算したところ、一般会計歳出予算額では七十八事業で三十三億一千二百万円余の減となる見込みです。また歳入予算につきましては、国庫支出金が十二億九千六百万円余、地方交付税が八億円、使用料及び手数料等が一億四千三百万円余それぞれ減となり、合わせて二十二億三千九百万円の減収になると見込んでございます。
 次に、地方消費税導入の影響と県税収入の伸び、及び臨時税収補てん債についてでございます。
 まず、県税収入予算額の実質的な伸び率につきましては、地方消費税の導入を初めとする税制改革及び特別減税の廃止による影響額を除いた額と平成八年度決算見込み額とを比較すると〇・三%の増になるものと見込んでおります。
 次に、平成九年度当初予算における地方消費税導入による影響額につきましては、まず歳入面では地方消費税及び地方消費税都道府県清算金を合わせて百十四億円余の増、消費譲与税で四十九億円の減を見込んでございます。歳入全体では、対前年度当初比で六十五億円余の増収になるものと見込んでございます。歳出面では、地方消費税の市町村への交付金、他の都道府県への清算金を合わせて七十五億円余の増、さらに消費税負担額が三十五億円程度ふえるものと見込んでおり、歳出全体では百十億円余の増となります。その結果、歳出への影響額が歳入への影響額を上回ることになりますが、これは平成九年度が地方消費税導入年度に当たるため、平年度ベースで見込まれる地方消費税収の四割程度しか歳入として上がってこないことがこの要因となってございます。このため、平成九年度に限り、地方財政法第五条の特例といたしまして、地方消費税収の不足額の約七割程度の臨時税収補てん債を発行することができることとされており、本県においても平成九年度当初予算において三十四億円の臨時税収補てん債を発行し、不足分の補てんを行うこととしたところでございます。
 なお、臨時税収補てん債につきましては、地方交付税の基準財政収入額にその八〇%が、また元利償還額の一〇〇%が基準財政需用額に算入されることとなってございます。
 次に、県から市町村への税源移譲でございます。
 平成九年度当初予算における市町村への税源移譲額につきましては、個人県民税で五億七千四百万円余、県たばこ税で十一億五千二百万円余、合わせて十七億二千六百万円余になるものと見込んでございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 医科大学学長山本博之君。
 〔山本博之君、登壇〕
○医科大学学長(山本博之君) 新田議員のご質問にお答えいたします。
 午前中の門議員のご質問に対するお答えの繰り返し部分が多くなろうかと思いますが、ご勘弁のほどお願い申し上げます。
 ご指摘のとおり、あってはならない事故でございます。間違ってミルクが静脈内に注入された事故の全容解明を目指して調査委員会を発足させ、調べてございましたが、昨夜その報告を受けたところでございます。
 それによりますと、この患者さんは平成六年六月、小児科に入院いたしまして、九月十六日に手術いたしました。その後は、高度集中治療センターにて治療中でございました。そのさなかの十月に、乳児の静脈につながれておりますチューブに誤ってミルクが注入されたものでございます。そのときの急激な血圧降下と脈拍数の減少は、応急処置によりまして十分程度で回復したとのことでございます。しかしこの患者さんは、非常に残念なことでございますが、約一カ月後の十一月十七日死亡されました。
 もう一件につきましては、平成八年十一月でございますが、小児科病棟に入院中の児童に、血液型は同じでありましたが、別の患者さんに用意していた血液製剤を誤って輸血したものでございまして、その段階で交差試験をし、適合していたために大事には至らなかったものでございます。なお、本件につきましては、ご家族にご説明申し上げ、おわびいたしたところでございます。
 間違ってミルクが静脈内に注入された事故につきましては、調査が始まって間もなく、医療事故があったことはほぼ間違いないということで、二月十七日、ご家族にその由説明申し上げ、謝罪をしたところでございます。
 医療の現場では、ご指摘のとおり人が基本でございまして、一人一人の心構えが非常に大切でございます。これまでから、事故防止のために常に使命感を持ち、職務に専念するように教育、職場研修を行い、心構えやマニュアルの徹底を図ってきたところでございますが、不幸にもこういうふうな不祥事が起こりました。改めておわびを申し上げます。
 今後は、より効果的な教育研修の方法や内容について検討を行い、事故防止のために努めてまいりたいと思いまして、早速そういうふうな事柄を院長指示のもとに開始しているところでございます。
 次に二点目のご質問でございますが、全く私もけさから胸が痛くなる思いでございまして、事故をご家族に伝えないままに今日まで至りましたことはとても考えられないことでございまして、まことに遺憾な対応でございまして、おわびのしようもございません。
 当時のことにつきましては、当時の医療事故防止対策委員会で協議されましたが、結論が得られないまま終了いたしまして、何の指導力も発揮いたしませんでした。このことが、結果として事故をご家族にお伝えしないままになってしまったというのが現状でございます。患者さんのご家族に対し心からおわび申し上げ、謝罪をいたしたいと存じます。
 ミルク誤注入事故に関する看護記録についても、非常にこれも残念なことでございますが、経過用紙にミルク誤注入の記載が削除される方向で書き改められたと判断せざるを得ないような状況でございます。
 これらの責任は、病院だけでございませんで大学全体の問題であると受けとめております。そのために真相が、大学レベルでございますが、ほぼ明らかになりましたので、早急に学内に懲罰審査特別委員会を設け、厳正に対処する所存でございます。
 第三点目の、県民の信頼回復への対応についてのご質問でございます。
 本学は、医療の中枢機関として、また教育機関でございまして、こういうことを考えましたときに、あってはならないことが起こったわけでございまして、信じられないようなことが起こったわけでございまして、本当にこれも陳謝いたします。
 今後このような不祥事を起こすことのないよう、大学及び病院を挙げて取り組む決意でございます。そのために早速に、これは新しい大学に向けてもぜひともしなきゃならんことでございますが、患者本位の医療とはどうあるべきなのかということを改めて検討してまいる所存でございます。
 一方、病院におきましては医療事故防止対策委員会が現在ございますが、これを強化して事故の防止に一層努めてまいりたいと考えております。
 一人一人が事故防止のために使命感を持ち、県民に信頼され、愛される大学病院になるために、それぞれの職種の職員が一丸となって努力してまいりたいと決意してございます。
 なお、私個人といたしまして、本日いろいろなご叱正を賜りましたことを糧にいたしまして、よりよい大学のために精進するつもりでございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題三点についてお答えいたします。
 まず、昨年五月に開催いたしました第一回の和歌山、三重、奈良三県教育長会議で、「紀伊半島の明日を拓く人づくりネットワーク」を共同で進めることについて合意いたしました。その後、具体化に向けて検討を重ね、平成九年度は県立高校マルチネット推進事業や民俗芸能サミットなどを実施することとしてございます。
 県立高校のマルチネット推進につきましては、地理的、時間的な制約を超えて、同時かつ双方向に情報を共有できる最先端のテレビ会議システムを活用し、全国で初めて県域を超えた学校間交流等を行い、「ふるさとは紀伊半島」と思う心を培って、郷土を支える若者を育てることをねらいとしたものであります。新宮高校を初めとする三県の実施校では、紀伊半島の歴史、文化、自然などを教材化した特色ある学習を進めるとともに、地域との連携を一層密にした多様な交流を通して、過疎化や高齢化など共通の課題についても理解を深めさせることとしてございます。
 次に民俗芸能サミットは、歴史、文化の面で深いかかわりを持ち、また共通の課題を有する三県の人々が一堂に会し、伝統に培われた民俗芸能を通して文化財の保護育成と地域文化の活性化を図ることを目的としております。悠久の歴史を持つ史跡・熊野本宮大社の旧社地において民俗芸能を公開実演するほか、後継者育成等を図るための伝承教室、講習会及びシンポジウムを予定してございます。なお、本県からは、海と山に視点を当てた代表的な民俗芸能の出演を予定してございます。
 これらの事業を日本人の心のふるさととも言われる熊野の地で実施することは、地域の人々がふるさとのすばらしさを認識し、郷土に生きる誇りを持つことにつながるものと考えます。平成十一年に開催予定の仮称・南紀熊野体験博との連動を視野に入れるとともに、生涯学習活動や熊野地域の活性化にも生かすことができるよう具体的に検討してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 医科大学学長山本博之君。
 〔山本博之君、登壇〕
○医科大学学長(山本博之君) 申しわけないことでございました。第四点目の質問にお答えするのを忘れました。
 事故と死との因果関係とその対応についてでございますが、調査特別委員会による調査結果では、この患者さんの死亡とミルクの誤注入との間には直接的な因果関係は認められないとのことでございました。しかし、午前中にも申しましたように、医療事故を起こしたことに対しまして、今後ともご家族と誠意を持って話し合いを行ってまいりたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 38番新田和弘君。
○新田和弘君 ただいま西口知事さん初め県当局の方々よりご答弁をいただきましたので、簡潔に二点だけ要望させていただきます。
 県税収入の収納に関して、郵便局における公金収納の扱いについて、出納長より極めて短い、三行半の答弁がございました。これは、出納長より三くだり半をいただいたのではないかと思いますので、私の考え方も述べてみたいと思います。
 出納長の答弁は、銀行等との手数料の違いがあり、現在のところ実施してございませんとのことでありますが、それではこの考え方を例えば県の出張旅費に当てはめてみますと、東京に出張する場合、夜行バスと新幹線、飛行機では料金に違いがあるので、現在のところ新幹線、飛行機の利用は実施してございませんと言うのと同じことになるのではないでしょうか。私たち議員や県職員である公務員に対しては、その利便性を尊重していただいて、料金が高くても新幹線や飛行機の利用を認めるが、納税者である県民の皆さんの利便性については手数料が違うので認められないとかたくなになっているのではないでしょうか。私は、この行政のあり方は逆ではないかと思います。納税者である県民の利便性は、手数料が必要であっても県民サービスを図るために努力する、しかし私たち議員を初め公務員の諸経費については極力節減に努める、これが行政のあり方ではないでしょうか。
 西口知事は、スピード・サービス・シャープのスリーSを提唱されております。県民サービス向上の立場から、郵便局における公金収納の速やかな実施を要望いたします。
 二点目に、医大病院における事故の件に関しましては、深い反省の上に立っていただきまして、県民の信頼回復を目指し、誠意を持って今後努力されることを強く要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
○副議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 18番山下直也君。
 〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、順次、通告に従って一般質問をさせていただきます。
 まず、住みよい地域づくりを進めていくための女性一〇〇人委員会に関しまして、何点かお尋ねをしていきたく思います。
 実は、今より十年前、一九八七年十月十日に、京都市下京区にある株式会社学芸出版より「女のまちづくり宣言 京都発」という本が出版されております。これは、あるデベロッパーが企画し、新聞で「女性の目で京都の町を見直してみる まち研究をしませんか 研究員募集」という呼びかけがなされ、それに応募した有志百人が集まり、その発足を記念して公開シンポジウムが開催されたのが発端であります。会場では、京の町のここがいい、あそこがひどいという発言から始まり、最後には会場が熱気いっぱいに包まれたそうであります。京の町は愛すべき町、だからもっと町に誇りを持ちたい、だけれども今のままではだめだ、自分たち女性が町づくりについて意見をどんどん言っていかなければ町はよくならない、という呼びかけに多くの女性たちが心を揺さぶられたとのことであります。
 そんなわけで、京の町に暮らす女性百人が集まって、自分たちの身の回りから町の真ん中までくまなく歩き回り、京の町を総点検されたそうであります。フィールドカードというものをつくり、気がついた町に関する森羅万象を書きとめ、写真を撮ってそのカードに張りつけていくという作業を行った結果、何と一年間でその数は実に五千枚を超えたそうであります。その成果を持ち寄り、十二回に及ぶ研究会が開かれ、その中で、例えば女性用トイレについて、物置、物かけの設置の徹底、ベビーベッドやベビールーム等の設備の改善、またお湯が出ない、ストッキングやベビー用紙おむつ等の自動販売機を備えてほしい、公衆トイレは防犯面を考慮し、安心して利用できる場所へ設置してほしい、女性は有料であっても管理の行き届いた快適なトイレを支持するといったことや、官公庁駐車場の休日開放、看板の色の規制等々、女性の目から見たさまざまな町の問題点が提起され、今、京都の町に実際に反映されているものが数多くあるそうであります。
 和歌山県に限らず、他府県においても行政に携わる職員はまだまだ男性が多いと思われます。もちろん、男女の区別なくすべての人に優しい町づくりを目指しているわけでありますが、前段、例として取り上げさせていただいたように、我々男性がふだん使うことのない女性用トイレの不自由さ、犯罪に対する女性の不安な気持ちは男性では到底気づかないことも多いと思われます。それらを市民あるいは県民の立場から、女性ならではの細やかさをもって自分たちの町を見詰め直し、行政に問いかけていくという試みは大変すばらしいことであると同時に、行政側にとっても町づくりを進めていく上で非常に参考になる多くの意見が出されていると感じます。
 そこで、まず第一点目といたし、知事にお尋ねをいたします。
 この女性一〇〇人委員会は、知事の公約の中において大きな柱の一つであったと思います。多忙きわまりない知事生活の中で、女性一〇〇人委員会の八部会を初め、すべての会議に知事みずからが出席され、女性の生の声を聞いてこられたとお聞きいたしております。それだけこの事業に対する知事の思い入れが強いものであると感じておりますが、さてこの事業がスタートして一年が過ぎました。改めて今、その一年を振り返り、知事ご自身はどうお感じになっておられるのかをお尋ねいたしたいと思います。
 第二点目といたし、本県における女性一〇〇人委員会は、どのような方法で、またどのような会議を持って意見集約に努めてこられたのか。次いで、今ご紹介をいたしましたように、京都における女性百人の会のような取り組みを今後本県においても取り入れていただくお考えはあるのかどうか。
 三点目といたし、本県に女性一〇〇人委員会が設置されて約一年が経過しておりますが、今日まで委員の方々から出された意見の主なものや、その中から県政に反映されたことがあればお聞かせをいただきたいと思います。さらに、その内容を単に県の内部資料とするだけでなく、広報紙「県民の友」等を通して広く県民にお示しいただければと考えますが、いかがなものでしょうか。
 四点目といたし、第二期の委員の募集に関しまして、第一期目の委員の選考方法をもう一度ここで教えていただき、今回も同様の方法で実施するのかどうか。
 以上、生活文化部長よりお聞かせをいただきたいと思います。
 さらに五点目といたし、各委員の方々から出された意見や要望、提言等は今後どのように生かしていくおつもりなのか。ちなみに、私はその一つの方法として、今県においてさまざまな審議会や委員会が設置されておりますけれども、その委員のうち女性の占める割合はまだ非常に少ないように聞いております。これを契機といたし、あらゆる場において積極的な女性の登用をしていっていただけるならば、この女性一〇〇人委員会の目的の一つは達成していけるものと考えますが、これに対して知事のご所見を賜りたく思います。
 さらに、委員の皆様方に、単に意見や要望、提言等を出していただくだけではなく、この会を通し、得たことや県の現況について学んでいただいた事柄をそれぞれの地域やグループに還元していただく、そして任期が切れた後もそれぞれの場でご活躍をしていただけるような、そんな取り組みをしていただければと思うわけでありますが、知事のご所見を賜りたいと思います。
 次に、地元商店街活性化施策についてお尋ねをいたします。
 輝け商店街クリエイト事業、中小商業活性化事業、商業環境改善施設整備事業、商店街空き店舗活用事業等の予算が計上されておりますが、これらに関連して何点かお尋ねをいたしたく思います。
 新聞によりますと、県内各地、また泉南地域においてスーパー等大型店の出店計画が次々と発表されております。その幾つかを申し上げますと、那賀郡貴志川町においてジャスコ株式会社が貴志川ショッピングセンターを平成十年五月に開店予定とし、また株式会社チェーンストアオークワがオークワ貴志川店を平成十年一月に開店予定、さらに御坊市においても大型店建設の話があり、加えて和歌山市手平にあるイズミヤ和歌山店が本年秋に増床予定となっております。特に貴志川町においては、人口約二万人、和歌山市への通勤圏として宅地開発と関西国際空港開港等に伴うインフラ整備が着実に進んだことにより、ここ五年間に人口増加並びに所得水準は和歌山県下では隣接の岩出町に次いで第二位となり、これからの発展が大いに期待される町であることから、各大型店が開店に向け取り組んでいるものと考えるわけであります。さらに泉南方面において、平成八年十月二十三日付の日本経済新聞によりますと、大阪府泉佐野市の東京製鋼泉佐野北工場跡地に店舗面積約三万平方メートル、地上三階建て、千五百台収容の駐車場を備えた国内最大級のスーパーダイエー泉佐野店が平成十一年四月にオープン予定と掲載されており、ちなみにこれはダイエーハーバーランド店を上回る規模になるとのことであります。
 これらのことについて、先日、和歌山市本町周辺でお店を経営しておられる私の友人たちと話し合いを持ったとき、その中の一人から、「大変なことになってきた。私は、こっちの店を閉めてでもダイエー泉佐野店に移っていきたい。子供の将来も考え、場合によっては住居も熊取あたりに構えようと移転を真剣に検討している」、そんなことを聞かされました。また話の中で、「ついここ何年か前までは、泉南方面から多くの人たちが丸正百貨店を中心とした本町周辺に買い物に来てくれました。しかし、高速道路や南海電車が便利になり、その人たちのほとんどは大阪難波方面へと行ってしまう。美園商店街や北ぶらくり丁は特にひどく、このままでは大型店との戦いに勝つことは難しくなってきた。加えて、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律、いわゆる大店法により休日日数や営業時間、売り場面積等の上限を決めているものの、規制緩和により、この法律自体が徐々に緩くなってきているのも事実」などと話されておりました。
 特に大店法については、今後国との関連もありましょうが、何にいたしましても、このような状況は地元中小小売業者の憂慮するところであります。したがいまして、これらに対する県としての今後の取り組み、また対策がなされているのかどうか。次いで、このような現状を把握しておられるのかどうか。
 以上、商業施策について商工労働部長にお伺いをいたします。
 次に、福祉のまちづくり条例についてであります。
 昨年九月議会において、福祉のまちづくり条例が制定されました。これは、障害児や障害者、高齢者、子供たちに優しい町づくりをと、関係市町村や公共施設の整備、また企業等にもその趣旨の理解を求め、協力して福祉の町づくりをしていこうという趣旨であったと思います。この問題について、昨年十二月議会において森議員よりご質問があったところでありますが、そのとき知事、土木部長、福祉保健部長からは、「和歌山に住むすべての人々が、どの地域にあっても、どの立場にあっても、和歌山に住んでよかったというふるさとをつくることが県政終局の目的であろうということを申し上げてきたわけであります。そういった意味で、障害のある人もない人も、ともに住みなれた地域で生きがいのある自立した生活ができ、さらにみずからの意思で自由に行動し、主体的に社会参加ができる福祉社会を実現することが最も重要であろうと考えております」、「今後は、(中略)国や市町村とも連携を図りながら、(中略)安全かつ快適に利用できるよう施設の整備に一層努力してまいります」、また「相互扶助の精神をはぐくむ環境づくりを進めるためのボランティア活動の育成強化等に努めてまいります」との答弁があったわけでございます。
 なるほど、福祉の町づくりについては、あらゆる分野にわたり関連してくることであり、また施設整備を含め道路等の整備、いわゆるハード面での整備と人材養成や啓発といったソフト面での整備の両面があると思いますが、ハード面での整備には必ず予算措置が必要となるわけであり、昨年九月に福祉のまちづくり条例ができ、これを受け、今議会で初めてこれらに関する予算づけが行われるものと思っておりました。しかるに、平成九年度予算書を見る限り、福祉のまちづくり推進として約四億円、うち障害者、高齢者等の来庁、来院用エレベーター設置に三億円余り、もちろんこれはこれで納得がいくものでありますが、また厳しい財政状況を考えますと非常に難しい問題とは思いますけれども、果たしてこの先、福祉のまちづくり推進に対応すべく十分な整備をやっていけるのかどうか不安を感じるところであります。今の県庁舎を含め、公共施設が障害児者や高齢者にとって果たして優しさが感じられるものになっているかというと、まだまだ不十分と言わざるを得ないのではないでしょうか。
 また、「みんなで築こう、福祉のまちづくり──和歌山県福祉のまちづくり条例のあらまし──」というパンフレットの中に、「事業者の責務」といたし、「事業活動は地域社会に密接な関係にあることを自覚し、積極的に福祉のまちづくりに取り組むよう努めましょう」とあり、「県及び市町村が実施する福祉のまちづくりに関する施策に協力しましょう」と呼びかけておられますが、せめて駅や百貨店、金融機関等だけでも積極的な協力要請をお願いいたし、このことにおける一日も早い実現を望むものであります。
 また、県下において車いすのまま乗りおりできるバスは現在何台あるのだろうか、タクシーはどうなのかなど、疑問に思うわけであります。したがって、今後、バス会社やタクシー会社等に協力を要請する上で予算的措置をどうしていくのか。決して、「やりましょう」というかけ声だけでは問題解決にならないと考えますが、いかがでしょうか。
 ちなみに、アトランタオリンピック開催の後、この地においてパラリンピックが開催され、そのとき車いすの乗降機がついた公共のバスをつくり、今はすっかりこの地域に定着しているとのことであります。また、京都市でも同様のことが言えるわけであります。こういう具体的な取り組みが、ハンディキャップを持った人々が自由に自分自身でそれぞれの地域において行動し、生きていけるということにつながっていくのではないでしょうか。
 また、障害福祉課が窓口となられ、県庁挙げて知事を中心を各部長がワーキンググループを形成し、定期的に話し合いをする場を持っていただくような、そんな取り組みもご検討いただければと考えます。
 加えて、マンパワーの確保といいますが、実際、本県においてどんな養成機関を持っているのか。また、それぞれの地域について現状はどうなっているのか。関連して、この際、私学も含め、もう一度福祉大学設置を前向きに検討していただいてはいかがでしょうか。
 以上、あわせてお尋ねをいたします。
 次に、教育長にお尋ねをいたします。登校拒否・いじめ対策事業に関連をいたし、何点かお尋ねをしたいと思います。
 なお、この問題につきましては、今日まで多くの議員から質問のあったところでございますが、私は兵庫県姫路市、また本県橋本市での取り組みを例にとり、質問をいたしたく思います。
 平成八年四月二十三日付の読売新聞、また平成八年五月一日付の「神戸新聞」に掲載されていた記事についてご紹介をさせていただきます。兵庫県姫路市教育委員会では、いじめ問題等の追放を目指し、各中学校の生徒会に事業の一部を委託いたしております。具体的には、姫路市内の全二十八中学校に各十万円を支給し、資金の使い道をすべて各校の生徒会に任せ、年度末に取り組みの報告を求め、同市教育委員会の事業に反映させるという試みであります。この生徒の、生徒による、生徒のためのいじめ撲滅運動に、各校の協議会からは工夫を凝らしたさまざまな取り組みが寄せられております。いじめをテーマにした学級単位の寸劇を行う学校や弁論大会を実施する学校、あるいはアメリカ人教師に日米の差別を比較してもらい、いじめの根本を考えるシンポジウムを開催する学校など、大人では考えつかない対策に教諭や父母からの期待も大きいとのことであります。また毎日新聞では、さまざまな教育問題について連載があり、平成九年二月二十五日よりそのテーマが「不登校」となっており、その中で本県橋本市教育委員会の取り組みが紹介されております。
 橋本市教育委員会では、さまざまな理由がきっかけで不登校に陥っている子供たちが通う適応指導教室「憩の部屋」が開設されており、ことしで四年目を迎えております。「憩の部屋」は、学校に行きたくても行けない子供たちの心を解きほぐし、回復へのエネルギーを補給するための部屋なのであります。「憩の部屋」に通う児童生徒たちの心の苦しみを聞いてください。
 現在高校二年生のA子さんは、中学一年生のとき、それまで仲よしグループだった友人から、うそをつかれたり、意地悪をされるようになりました。それが次第にエスカレートし、廊下ですれ違ってもわざと離れて通り過ぎる、机にはチョークで落書き、ロッカーにはごみが詰め込まれるようになり、中学卒業まで断続的な登校しかできなくなりました。A子さんは、告げ口をしたと思われるのが嫌で先生には言えませんでした。事情を知ったA子さんの母親が先生に相談したところ、クラスで話し合いが持たれ、自宅にいるA子さんに手紙を届けることになりました。A子さんや先生は、てっきり謝罪の手紙だとばかり思っていましたが、その手紙の内容は反対に追い打ちをかけるようなひどいものであり、「私は何も悪いことはしていない。あんたが悪いんや」、「死ね!」、「早く学校においで」というものでありました。A子さんは、今でも駅や電車で自分をいじめた人たちに会うと、びくびくしてしまうそうであります。
 また、現在高校二年生のB子さんも、いじめが原因で小学校五年生のときから不登校に陥りました。友人から奇妙な作り話を聞かされ、そのうち口もきいてもらえず、触れただけで汚いとばい菌扱いをされ、大事にしていたランドセルを傷つけられ、果ては「死ね」の落書きをされました。中学三年間は、入学式と遠足、修学旅行に参加しただけだそうであります。しかし、彼女は言っております。「ほかの子がいじめに遭うことを思えば、私がいじめられるほうがまし。たとえ、一緒にいじめに加わらないと逆にいじめに遭うという図式があっても……。いじめる側にいたとすれば気付かない痛みもわかった。一つの経験としてプラスに考えるようになりました」と。
 こういう人間の権利を踏みにじるようないじめが現実に起こっていることに対し、私は大変強い怒りが込み上げてまいります。また、B子さんの「ほかの子がいじめに遭うことを思えば、私がいじめられるほうがまし」という言葉に、本当に胸が締めつけられるような思いをいたしました。
 「憩の部屋」に通う不登校児童生徒には、心因性から体のだるさを訴える子供や原因のわからない不登校もあるそうです。「憩の部屋」で、現在ボランティアとして子供たちの遊び相手になっている女子高校生がいらっしゃいます。子供たちが心を許すメンタルフレンドであります。彼女も、小学校五年生からわけがわからないまま不登校に陥った経験を持っており、その自分の経験を生かして子供たちの支えになり、また自分も一緒に変わりたいと思い、現在も頑張っておられます。
 ここで、改めてお尋ねをいたします。
 現在の、本県のいじめ、登校拒否問題に対する現況把握の内容及び取り組みについてお聞かせをください。また、いじめ問題についての教育委員会の考え方はどうなのか、お聞かせをいただきたく思います。
 私は、いじめは子供の人権にかかわる問題だと考えております。単なるいじめとしてとらえるのではなく、人権を守る、子供たちの教育を受ける権利をどう保障していくか、そういう観点も必要ではないかと考えます。
 また、児童に関する権利条約からすれば、子供たち自身がいじめを考え、みずからの取り組みの中から問題解決ができ得る体制づくり、まさに姫路市での取り組みに顕著にあらわれているのではないかと思います。したがいまして、本県においてもそのような取り組みをしていただけないものかどうなのか、ご答弁を賜りたく思います。
 なお、この質問の最後に当たり、広島県在住の十四歳の女子中学生からの新聞への投稿をご紹介させていただきたいと思います。これについてどうお感じになるのか、教育長のご所見を賜りたく思います。
 「最近、教育現場でのさまざまな問題が大きく取り上げられています。いじめをはじめ、生徒にとって大きな問題を解決するためには、一校に一人のカウンセラーを置くことが必要だと思います。『学校では教師がついているから大丈夫』と言う人もおられるでしょう。しかし、学校では、教師と生徒との間に大きな壁が出来、取り除くことが困難になっています。私自身、学校が『ただ勉強する所』として片付けてしまっている気がします。そんな学校と生徒との大きな溝を埋めるには、カウンセラーの力はとても大切だと思います。教師でもない、親でもない、友人でもない、でも経験豊富で知識のある頼れる人。そんな人が身近で話を聞いてくれるだけで、心の負担が軽くなります。どんな小さな悩みでも聞いてもらうことによって、その人を救うことができるのではないでしょうか」。
 これが投稿された文章であります。ちなみに私は、資格を持った医師や臨床心理士でなければこの問題に対応することはできないとは考えておりません。前段述べさせていただきましたように、橋本市「憩の部屋」の高校生ボランティアによるメンタルフレンドや、十四歳の中学生が切望する教師でもない、親でもない、友人でもないカウンセラー、そのような方法もあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 実は、私ごとではございますけれども、一昨年、次のようなことがありました。私の娘が、朝小学校に登校中、道端でころび、鼻血を出しながら泣いていたそうであります。そこへ、県立和歌山商業高等学校の女生徒さんが通りかかり、自分が遅刻することも顧みず、ハンカチを出して手当てをし、親切に、熱心に面倒を見てくださったそうであります。私は、このことを娘から聞き、すぐさま和歌山商業高校に連絡をいたし、その女生徒を探し出し、お礼に参りました。こんなすばらしい、こんな心優しい生徒さんばかりなら、いじめ問題など起こるはずがないのに、そうそのときに感じたものでございます。この話を申し添え、いじめ、不登校問題についての質問を終わらせていただきます。
 さて、私の質問も最後の項目となりました。このたびの医科大学附属病院での一連の問題についてご質問をさせていただきます。
 なお、このことに関しましては、けさからの一般質問で各先輩議員より再三質問があったわけでございますが、また重複は避けたかったわけでございますけれども、一部において少し納得のいかない部分がありましたので、私なりの視点において再度何点かについてお伺いをしていきたく思います。
 まず最初に、このたび医科大学附属病院で不幸にも亡くなられたご本人様はもとより、ご家族の皆様方に謹んでお悔やみを申し上げるとともに、私も子供を持つ親として何と申し上げてよいか言葉が見つかりませんが、ただただご冥福をお祈り申し上げるばかりでございます。
 さて、私は三月三日付毎日新聞中、ある記事に目がとまりました。それは、「是々非々」という見出しのもと、新聞社側の「県立医大付属病院の医療事故問題について、事故隠しやその責任の所在などを速やかに明らかにすべきだ」とのコメントに対し、西口知事はその日のうちに「メッセージ、確かに受け止めました」と返答いたし、すぐに病院に出向き、「県民の信頼を取り戻すために全力を挙げて実態を解明し、早急に立て直しをしてほしい」と厳しく指示したそうです。西口知事は当初から、「事故が事実なら非は非、すぐに遺族に謝るべきだ」と主張していたといいます。
 私は、今回の医大問題に対する知事の姿勢、まさしく「是々非々」と呼ぶべきこの姿勢に深く心を打たれ、またこの問題に対する知事の迅速かつ前向きな姿勢に敬意を表する次第でございます。どうか、この知事の意のあるところを医大サイドの方々も十分にお酌み取りをいただき、全力で事に当たられることを希望いたします。
 さて、ここで質問に入らせていただきますが、県民の大切な生命を守るため日夜ご努力いただいております医科大学の医師を初め医療スタッフの皆様に敬意を表するものでありますが、昨年七月、同病院の小児科病棟の廊下に設置されてあったポットのお湯に覚せい剤が混入された事件、次いでこのたびのミルク誤注入による乳幼児死亡事故、さらに八歳の男の子の輸血用血液の取り違え等々、相次いで起きている不祥事はまことに遺憾であると言わざるを得ません。
 既に新聞等で報道されているところであり、このたびの乳児の静脈にミルクを混入した医療過誤の件については午前中も学長よりご答弁がありましたけれども、申しわけございませんが、もう一度このことの真相について学長よりご答弁をお願いしたいと存じます。
 私の知る範囲では、今回の事故は高度集中治療センター(CCMC)で起こったものと伺っております。このCCMCは、従来の集中治療室(ICU)を統合して術後管理を行うとされておりますが、このCCMCに収容されている患者は、第一外科、第二外科あるいは整形外科と広範囲にわたり集中治療を受けておられるわけであります。
 そこで、まず第一点目にお尋ねをいたしたいのは、現在このCCMCにおける医療スタッフはどのようになっているのかということであります。
 私は、県職員録を見てみました。そこには、CCMCの責任者は病院長が兼務するようになっておりました。術後管理という一番大事なセクションに病院長が兼務となっていてよいものなのでしょうか。また、兼務という形で十分な管理が果たしてできるのでしょうか。専任の教授を置き、術後管理をすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。お聞かせをいただきたいと思います。
 さらにお伺いしたいのは、このCCMCには第一外科の専門医師、あるいは第二外科の専門医師といったように専門の医師が常駐しているのかどうか、端的に言えば、専門外の医師がただ単に術後の患者の容体のみ管理しているにすぎないのではないかと懸念されるわけでありますが、いかがでしょうか。
 術後、患者の容体が急変することはしばしばあるやに聞いております。このとき専門医師が常駐していなかった場合、どのような処置をするのでしょうか。大変重要な問題だと考えますが、このことについてもお答えをいただきたいと思います。
 第二点目といたし、看護婦スタッフがどのようになっているのかであります。この点についても、午前中、大江議員よりご質問がありましたが、再度お聞きをいたしたいと思います。
 前段申し上げましたCCMCの看護婦は、広範囲にわたる患者の看護を任されているわけであります。なるほど、医師は専門化されているでしょう。しかし看護婦の場合、専門化されておらないのではないでしょうか。看護婦は、法律では医師の指示により処置するとなっていることは存じておりますが、広範囲にわたる患者を看護する上で、ある日突然CCMCに配属され、直ちに適切な看護ができるものなのでしょうか。CCMCの中には、脳神経外科の患者もあれば消化器外科の患者もあるわけでございます。そのことを考慮いたしますと、私はCCMCに配属される看護婦は、多岐にわたっての経験と知識を積んだ、そういう意味において余裕を持った看護婦、また適正な人数の看護婦をCCMCの看護につけることによってさらに高度な看護ができるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 とにかく、こうした医療事故や一連の問題は、どうして、またなぜ起こったのでしょうか。多忙きわまる看護婦の実態と、加えて適正な数の人員配置ができていたのか、そういうことも管理体制の欠落につながる一因となったのではないかと思いますが、どうでしょうか。
 次に、小児科病棟の廊下に設置されたポットのお湯に覚せい剤が混入された事件についてであります。
 この事件は、何の罪もない乳幼児の粉ミルク用のポットに覚せい剤を混入するという、全国的に類を見ない悪質、卑劣な犯罪であります。災難に遭われた乳幼児たちに対しまして、改めてお見舞いを申し上げる次第でございます。幸いにも、無事全快され、退院されたことは大変な喜びであります。しかし、混入した犯人はいまだに検挙されておりません。その後の捜査状況について、警察本部長よりお聞かせをいただきたいと思います。
 加えて、一部報道されておりますミルク誤注入事故について、警察としての見解をお伺いいたしたいと思います。
 次に、関連をいたし、子供病院建設についてお尋ねをいたします。
 現在でも、多くの子供たちが難病、特定疾患の病気に苦しみ、生命の危険にさらされていることを聞いております。次代を担っていくのは子供たちなのであります。健康な子供でも大人の庇護を必要としています。ましてや、病気に苦しみ、入院している子供たちはなおさら弱く、周りの医師や看護婦に命のすべてをゆだねていると言っても過言ではありません。病気に苦しんでいる子供たちにも生きる希望や喜びを与え、そして輝かしい未来を保障するために、私はこの際、子供のための専門の病院建設が必要であると考えます。
 今回、医科大学附属病院で起こった一連の問題が、すべて社会的弱者である子供たちが入院している小児科病棟であったことを思いますと、施設の整備、つまり子供たちの急変する病状に迅速かつ適切に対応ができ、また専門化された医師、医療スタッフによる治療看護が安心して受けられる、そんな子供病院の建設が早急に望まれると思います。西口知事も私と同じ考えをお持ちであることは知事の公約でよく存じておりますが、ここで改めて子供病院建設に対する知事のお考えを賜りたく存じます。
 次に、現在建設中の新医科大学附属病院付近の道路に関してお尋ねをいたします。
 和歌山市紀三井寺に建設中であり、平成十一年完成予定とお聞きをいたしておりますが、過日、私は所用のためこの付近を通り、ふと思ったことがございます。この新しい大学病院に一体どれくらいの人が来るのだろうか、またそれらの人々に対応していけるのかどうかということであります。現在、医科大学附属病院には一日に千人近くの方々が来るとのことであり、これに職員や医師、看護婦、大学に通う学生らを合わせると、かなりの人たちがここに来ることになります。バスで来る人、タクシーや自家用車で来る人、そしてJR紀三井寺駅から徒歩で来る人たちであります。
 そこで、お尋ねをいたします。
 一点目といたし、海南方面から和歌山市旭橋に向かう国道四十二号線において、車で来られる方々をどうするのか。特に、この場所は朝夕のラッシュ時は大変であり、現状況を踏まえての対策をどうするのか。
 二点目といたし、和歌川沿い、新医大の玄関側、東西に走る道路は市道となっておりますが、既に和歌山市と協議、対策は講じられておられるのかどうか。
 三点目といたし、JR紀三井寺駅よりお越しになる方々に対する対策はできているのか、また現在、同駅における一日の乗降客数と今後の見通しについて把握をしておられるのかどうか、お尋ねをいたしたく思います。
 四点目といたし、駐車場に関してお尋ねをいたします。今、日赤病院の前、また現医大付近においては、特に午前中は駐車場待ちの車でいっぱいであるという現状にかんがみて、駐車場対策に対するご所見を賜りたく存じます。また新医大において、既存のバス停の位置を新医大に近づけることは可能なのか、さらに病院内敷地にタクシーベイをつくる予定はあるのかどうか、あわせてお伺いをいたします。
 以上、医大関連といたし、何点かにわたり質問また私見を述べてまいりましたが、午前中の門議員の質問に対し、看護記録について、残念ながら経過用紙にミルクの誤注入部分の書きかえがあったと認めざるを得ない状況であるとの答弁がありました。また、その前段といたし、患者さんの死亡とミルクの誤注入との間には直接的な因果関係は認められないとの答弁でありましたが、ならば、なぜその書きかえがあったのか、またそういうことはいつされたのか、ちょっと理解しにくい点もあったのが事実でございます。この点について一日も早く解明をしていただきたく、ここに要望を申し上げる次第でございます。
 何にいたしましても、厳しい財政状況の中、約一千億円という巨額の予算を使って建設される新医大でございます。その移転も秒読み段階に入ってまいりました。建物、施設はよくなります。しかし中身は変わりませんでは困るわけであり、これら諸問題を積極的に検討していただき、改めて見直すところは見直しを、反省すべき点は謙虚に受けとめ、今後県民の期待と信頼にこたえていくために最大限の努力をお願いいたします。来る新時代にふさわしく、県民の生命を守るべく、また県民が誇りに思う、そんな新医科大学附属病院に生まれ変わっていただくことを心より念願をいたし、私の一般質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの山下直也君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 山下議員にお答えをいたします。
 まず、女性一〇〇人委員会についてであります。
 わかやま女性一〇〇人委員会は、女性の皆さんから県政へのご意見をいただくことによりまして、開かれた県政を推進し、また男女共同参画社会の実現に向けての本県独自の第一歩であると考えてございます。
 昨年四月にスタートいたしましたこの委員会には、私も時間の許す限り出席いたしまして、県内を八ブロックに分けた地域会議では、各地域の課題なども含め、皆さんと率直な意見の交換をいたしました。中には大変手厳しいご意見もございましたけれども、私としては、県民の皆さん方の生の声、特に今まで意見を出す機会の少なかった人たちの声をお聞きすることができたと思っております。非常に有意義だったと思うわけであります。また、女性の県政への関心の高さ、社会参画への意欲なども改めて強く感じたわけでございます。この一年間を通じて、女性一〇〇人委員会の活動により、他の多くの女性の方々との交流が広がってまいりました。そのこともまた、一つの大きな成果であったと思っております。
 いろいろな立場からいただいたご意見については、現在、二年間の任期の中間報告として取りまとめ中でございますが、これらのうちで平成九年度には、県産農林水産物統一ブランドマークの制定、木の国プロジェクト推進、農水産物の販路開拓、子育てサークル支援などについて新規の施策として予算計上をいたしております。今後とも、いただいたご意見については、可能な限り県政に反映をさせていきたいと考えております。
 また、議員からお話のございました県における審議会、委員会等への女性の登用については、従前からも意を用いているところでありますけれども、わかやま女性一〇〇人委員会を一つの起爆剤といたしまして、男女共同参画社会の実現を目指すという立場から、今後より一層積極的に進めていきたいと考えてございます。
 次は、子供病院についてでございます。
 議員お話しのように、次代を担う子供たちが健やかに生まれ育つための環境づくりは、大変重要な課題であると認識してございます。子供の健康の保持増進を図るために、従来から各種保健サービスの充実、医療施設の整備に努めてきたところでございます。
 ご質問の子供病院についてでありますが、私も積極的に進めたいと考えまして、担当部局で類似施設の調査あるいは関係機関との協議等を続けてきたところでございます。医師の確保問題を初め単独の病院建設には幾多の困難な問題もあるわけでありますけれども、今後とも新生児医療、周産期医療、小児救急医療、小児慢性疾患等に対応するための本県にふさわしい小児保健医療福祉体制、そういうふうなものについてさらに検討を進めていきたいと考えております。
 以上です。
○副議長(下川俊樹君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 山下議員にお答えをいたします。
 女性一〇〇人委員会についての五点にわたるご質問でございます。
 わかやま女性一〇〇人委員会についてでありますが、発足以来今日まで、全体会議と福祉・医療、産業・交通、教育・文化、生活・環境の四つのテーマに分けた専門部会、さらに県内を八ブロックに分けて地域別に開催した地域会議等を重ね、数多くのご意見をいただきました。
 なお、議員からご紹介のありました京都における女性百人の会の取り組み状況については、今後一つの参考にさせていただきたいと存じます。
 続きまして、委員からのご意見と県政への反映状況についてでございます。
 出されました意見の中から二、三申し上げますと、一、つくる人と食べる人との交流の場を確保し、食べる人を巻き込んだ見える農業を進めていく必要があるのではなかろうか、一、観光和歌山のために日本一の笑顔づくり、日本一のきれいなトイレづくりなど、観光客に対し、ぜひもう一度来たいと思っていただくための運動を盛り上げてはどうか、一、世界リゾート博に次ぐような大規模なイベントを紀南地域でも開催し、地域の活性化につないではどうか等々、ほかにも多くのご意見をいただいたところでございます。
 このうち、先ほど知事からも申し上げましたが、新規事業として計上するなど、必要な措置をしたところでございます。これらのご意見につきましては、本年三月末に中間報告として作成の上、関係先へ配付することといたしておりますが、任期二年目の平成九年度ではさらに議論を深めていただき、提言して取りまとめていただきたいと考えてございます。
 次に、委員の選考方法についてでございます。
 応募していただいた方々の県政に対する意見内容、地域性、年齢構成を基準にして、三人の民間の方々に選考していただきました。第二期の委員についても、幅広い立場からのご意見をいただくため、前回同様の方法で選考してまいりたいと考えてございます。
 最後に、これらいただいたご意見につきましては、今後、関係各課室で検討し、県政に反映すべく努力してまいりたいと考えております。
 また、委員の皆さん方の中には、自主的な勉強会、施設見学を行うなどネットワークの芽が早くも芽生えてきており、今後、地域での活動を期待いたしております。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 商店街活性化につきましてお答えをいたします。
 議員お話しのように、近年いわゆる大店法の規制緩和もありまして、全国的に大型店舗の出店が増加をしております。本県や近隣の泉南地域においても同様でございまして、地域によりましては中小小売業者に与える影響が大きいものと受けとめてございます。中でも、中小小売業者の集積である商店街への影響は、これまで商店街が地域の伝統や文化を支え、コミュニティーの場を提供し、町としての機能を維持発展させる重要な役割を担ってまいりましただけに、その活力の低下は地域の活力の低下につながりかねないものと考えてございます。
 したがいまして、県では国、市町村等と連携を図りながら、ハード及びソフト両面にわたる事業の実施や融資制度などを設け、さまざまな角度から商店街の振興に努めているところでございます。
 平成九年度においては、意欲的な人材を育成するためのビジネススクールの開講、個性的な商店街を形成するためにストリートファーニチャーなどのシンボル施設の設置、シャッターのビジュアル化等に対しても支援する輝け商店街クリエイト事業等も実施をいたしたいと考えてございます。
 今後とも、商店街等の人々の自助努力を促しながら、商業振興のための施策を積極的に展開してまいる所存でございます。
○副議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 山下議員の、福祉の町づくりに関する三点についてお答えいたします。
 本年三月に規則を公布し、十月一日から条例の本格的な施行を始める年であり、積極的な施策の推進を図ってまいる所存でございます。
 まず、市町村や事業者を初め県民の皆様方が福祉の町づくりに対する理解を深め、自発的に町づくりに参画していただくことが重要であり、そのために市町村、事業者に対する設計マニュアル等による周知徹底、シンポジウムの開催、町づくりビデオの作成などの事業を進めております。
 施設の整備につきましては、県が率先して県庁舎等の整備を図ってまいります。また民間建築物に対しましては、条例に基づく指導、要請を行うとともに、整備を促進するために技術的な相談を受けるアドバイザーの派遣や優良施設への認定証の交付などを実施することとしております。さらに、事業者や関係団体等で構成する福祉のまちづくり推進協議会を設置し、共通認識を持って自主的に取り組んでいただく体制づくりを進めてまいります。
 議員ご指摘のように、公共交通機関等の整備につきましても、どういう支援策が効果的であるか、関係部局と協議検討してまいる所存でございます。
 福祉の町づくりは、建築物、道路、公園、交通機関等の整備や教育啓発活動など広範囲の分野に及ぶことから、関係部局で構成する施策連絡会議を設置し、全庁的に取り組んでまいります。
 次にマンパワーの確保につきましては、介護福祉士養成施設は和歌山市内に一校あり、さらに本年四月、広川町において民間の施設が開校の予定でございますが、議員ご提言の趣旨を踏まえ、引き続き研究してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 新医科大学附属病院のアクセス等についてお答え申し上げます。
 まず、国道四十二号の渋滞対策でございます。
 海南方面からの車両の進入口として、国道と立体交差する進入道路の設置を計画してございます。これにより、旭橋東詰め交差点への車両の集中が減少し、国道の渋滞緩和が図られるものと考えてございます。正面玄関前の市道三葛和歌浦線については、新医科大学の開設までに完成すべく、現在、和歌山市が拡幅整備を進めているところでございます。
 次にJR利用者についてでございますが、現在の紀三井寺駅利用者は一日二千百人余でございます。医科大学開設後は附属病院への通院者等もかなり利用するものと予測しておりますが、現在、医科大学までのアクセスとして二車線で両側にゆったりとした歩道のついた総幅員二十メートルの都市計画道路の新設計画が進められているところでございます。
 駐車場についてでございますが、構内には全体で一千台余りの駐車スペースを確保いたします。このうち、病院外来者用といたしましては七百四十台余りの収容を計画しているところでございます。再診予約制の実施により来院患者が時間的に分散されることもあり、このスペースで対応できるものと考えてございます。
 国道四十二号のバス停留所の移設については、バス会社からも要望が出ているところであり、実現に向け細部調整を図ってまいりたいと存じます。
 また、タクシー利用者の利便を図るため、病院の正面玄関前及び東側玄関前には乗降場所とタクシーベイを設ける計画でございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 登校拒否、いじめ対策についてお答えいたします。
 平成七年度の本県の登校拒否については、三十日以上欠席した小中学生は一千二名、いじめの発生件数は全体で二百五十五件となっております。
 いじめにつきましては、子供の人権と命にかかわる重大な問題であると厳しく受けとめており、これまで防止のためのさまざまな施策を講じてまいりました。平成八年度には、いじめ防止ポスターの作成や県内八地方における登校拒否・いじめを考えるフォーラムの開催、カウンセラーの派遣、スクールカウンセラーの配置などの事業を実施してございます。平成九年度は、本年度の事業を一層拡充させるとともに、新たに登校拒否の児童生徒とその保護者、教職員を対象とするふれあいワークショップの実施や関係機関による連携推進会議の設置等の予算をお願いいたしております。
 いじめ問題の解決には、学校、家庭、地域社会が連携協力して取り組むとともに、議員ご指摘のとおり、子供たちの自発的な活動を大切にし、いじめに対する意識を高め、主体的にかかわっていく態度を育成することが重要であります。このため、一万六千点余り応募のあったいじめ防止ポスターについても、子供たちが学級や生徒会等で主体的に取り組むよう指導してまいりました。また、那賀郡の桃山中学校や県立熊野高等学校などでは、いじめの悲惨さを描き、いじめを許さない学校づくりを訴えた自作の劇を上演するなど、子供たち自身の問題として生徒会の自主的な活動へと発展させたという例も報告されております。今後もこうした実践を大切にするとともに、いじめられた体験を持つ子供たちから生の声を聞き、みんなで考える場を設けることを検討してまいりたいと存じます。
 次に、いじめや登校拒否に関する相談につきましては、ご紹介いただいた広島県の女子中学生からの投稿で述べられているとおり、身近な人にいつでも気軽に相談できる環境づくりを進めることが大切であると考えます。
 教育委員会といたしましては、県教育研修センターに教育相談主事を、各地方には教育相談推進委員を配置し、専門的な立場から指導、助言を行ってございます。また、子供や保護者が必要に応じて適切な相談や支援が受けられるよう、スクールカウンセラーの配置や県独自の事業としてカウンセラー派遣を行ってまいりました。今後、こうした事業を一層拡充するとともに、県子ども・障害者相談センターが実施しているメンタルフレンド事業などとも連携を深め、ボランティアの協力も得ながら、総合的な取り組みを推進してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 医科大学学長山本博之君。
 〔山本博之君、登壇〕
○医科大学学長(山本博之君) 山下議員のご質問にお答えいたします。
 午前中の門議員、先ほどの新田議員のご質問のお答えと重複いたしますが、ご寛容のほどお願いいたします。
 まず、ミルクが誤って注入された事故でございますが、調査特別委員会を設置し、調査を続けてまいりました。この患者さんは、平成六年六月、当病院小児科に入院いたしました。九月十六日の手術後は、高度集中治療センターで治療中でございました。その十月に、その乳児の静脈につながっているチューブに間違ってミルクが注入されたものでございますが、そのときの急激な血圧低下と心拍数の減少は、応急処置により十分程度で回復いたしました。しかし、この患者さんは、約一カ月後の十一月十七日、残念ながら死亡いたしました。調査特別委員会の調査結果では、この患者さんの死亡とミルクの誤注入との間には直接的な因果関係は認められないとの結論でございました。調査を開始して間もなく、医療事故のあったことは間違いないと判断いたしましたので、二月十七日、ご家族にはその由ご説明し、謝罪をいたしました。今後とも、ご家族と誠意ある対応を続けてまいりたいと思っております。
 また看護記録につきましては、残念ながら、経過用紙にミルクの誤注入部分の書きかえがあったと認めざるを得ない状況でございます。
 当時の医療事故防止対策委員会は結論の得られないまま終了し、結果として、事故の事実をご家族にお知らせしなかったことを追認することになりました。医療に携わる者としてまことに遺憾な対応でございまして、その責任は大学全体として受けとめなければならないものと思います。
 今後は、このような不祥事を起こすことのないように、大学内に患者本位の理想の医療を確立するための委員会を設け、大学並びに病院挙げて取り組む決意でございます。また、今回の不祥事に対しまして学内に懲罰審査特別委員会を設け、厳正に対処する所存でございます。今後、医療事故再発防止のため、医療チームが一体となった取り組みの徹底を図り、附属病院の信頼回復のために努力してまいりたいと存じます。
 次に、CCMCの医療スタッフでございますが、高度集中治療センターは、専任の外科、内科、集中治療及び救急の医師七名で構成されております。時間外につきましては、救急専門医二名が当直しておりまして、各科の主治医と連携をとりながら常時患者さんの集中治療に当たってございます。
 センター長は、議員ご指摘のとおり病院長の兼務となっておりますが、センター次長──助教授でございますが──との間で指示、連絡はスムーズに行われておるところでございます。しかしながら、今回の事故を反省いたしまして、今後、管理体制等について点検を行い、安心していただける医療現場の実現に努力をしてまいりたいと存じます。
 次に、CCMCの看護スタッフについてでございますが、ご指摘のとおり、CCMCは特に急性の重症患者の治療と看護を集中的に行う治療センターでありますので、看護婦にとってもこれらの患者に対処できる能力が必要でございます。現在、当センターは、他の診療科を経験し、先進医療に意欲的な看護婦の配置に努めているところでございますが、今後より一層、適材配置ができるように努めてまいりたいと思います。
 次に人員配置についてでございますが、当センターにおいては、ベッド数八床に対しまして婦長以下二十九名の看護婦を配置してございまして、常時、日勤十三人、準夜勤四人、深夜勤四人という、時間外は患者さん二人に対して看護婦一人の勤務体制でございます。今後とも、適正な人員配置を行い、医療事故を防止するためにマニュアルの徹底や教育、研修にさらに力を注ぎ、職員の資質の向上に努めてまいるとともに、物理的な面でも医療事故防止が図れる医療材料の導入等を行ってまいりたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 警察本部長青山幸恭君。
 〔青山幸恭君、登壇〕
○警察本部長(青山幸恭君) 山下議員のご質問にお答え申し上げます。
 昨年七月十日に県立医科大学附属病院から、入院中の乳幼児四名が薬物による中毒を起こしたとの届け出がございまして、病院関係者、入院患者の関係者、病院出入り業者等から事情聴取を行うとともに、不審者の目撃情報の収集等、所要の捜査を行っているところでございます。今後も引き続き、事件の一日も早い解決を目指して捜査に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 次に、平成六年十一月十七日、県立医科大学附属病院に心臓疾患で入院中の乳児が死亡したことに関しまして、誤って乳児の静脈にミルクが注入され、病院側にあっても独自に調査特別委員会を設置し、真相の究明に努めているとの報道があったことは、先般来、十分承知しているところでございます。警察といたしましては、これらの状況を十分に踏まえて必要な情報の収集等を行っているところでございます。いずれにいたしましても、刑罰法令に触れる行為があれば厳正に対処してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(下川俊樹君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(下川俊樹君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後三時十分散会

このページの先頭へ