平成9年2月 和歌山県議会定例会会議録 第1号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第一号 平成九年二月二十七日(木曜日)
 午前十時開会・開議
 第一 会議録署名議員の指名
 第二 会期決定の件
 第三 議案第一号から議案第八十三号まで(知事説明)
会議に付した事件
 一 会議録署名議員の指名
 二 会期決定の件
 三 議案第一号から議案第八十三号まで(知事説明)
 四 休会決定の件
出 席 議 員(四十六人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川 武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門 三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島 雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 谷 洋 一
 18 番 山 下 直 也
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 上 野 哲 弘
 21 番 堀 本 隆 男
 22 番 宇治田 栄 蔵
 23 番 宗 正 彦
 24 番 橋 本 進
 25 番 神 出 政 巳
 26 番 玉 置 公 良
 27 番 松 本 泰 造
 28 番 東 山 昭 久
 29 番 尾 崎 要 二
 30 番 野見山 海
 31 番 木 下 秀 男
 32 番 町 田 亘
 33 番 中 山 豊
 34 番 井 谷 勲
 35 番 鶴 田 至 弘
 36 番 森 正 樹
 37 番 村 岡 キミ子
 38 番 新 田 和 弘
 39 番 平 越 孝 哉
 40 番 森 本 明 雄
 41 番 長 坂 隆 司
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(一人)
 14 番 阪 部 菊 雄
説明のため出席した者
 知 事 西 口 勇
 副知事 山 下 茂
 出納長 高 瀬 芳 彦
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 中 山 次 郎
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 生活文化部長 中 村 協 二
 福祉保健部長 小 西 悟
 商工労働部長 日 根 紀 男
 農林水産部長 平 松 俊 次
 土木部長 長 沢 小太郎
 企業局長 佐 野 萬瑳義
 教育委員会委員長
 山 本 昭
 教育長 西 川 時千代
 公安委員会委員 高 垣 宏
 警察本部長 青 山 幸 恭
 人事委員会委員長
 若 林 弘 澄
 代表監査委員 宮 市 武 彦
 選挙管理委員会委員長
 谷 口 庄 一
 以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 西 畑 彰 久
 次 長 中 西 俊 二
 議事課長 佐 竹 欣 司
 議事課副課長 島 光 正
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 山 本 保 誠
 議事課主事 大 浦 達 司
 総務課長 塩 路 義 和
 調査課長 湊 孝太郎
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時三分開会・開議
○議長(町田 亘君) ただいまから、平成九年二月定例会を開会いたします。
○議長(町田 亘君) これより本日の会議を開きます。
○議長(町田 亘君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十時四分休憩
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 午前十一時十五分再開
○議長(町田 亘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
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 【日程第一 会議録署名議員の指名】
○議長(町田 亘君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。
 今期定例会の会議録署名議員は、9番永井佑治君、24番橋本進君、47番和田正人君の三君を指名いたします。
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 【日程第二 会期決定の件】
○議長(町田 亘君) 次に日程第二、会期決定の件を議題といたします。
 お諮りいたします。今期定例会の会期は、本日から三月二十五日までの二十七日間といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、今期定例会の会期は本日から三月二十五日までの二十七日間と決定いたしました。
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○議長(町田 亘君) 次に、諸般の報告をいたします。
 お手元に配付のとおり、知事から地方自治法第二百二十一条第三項の規定に定める法人の経営状況を説明する書類の提出が、監査委員から監査の結果報告及び現金出納検査の結果報告がありました。また執行機関から、去る十二月定例会において採択した請願の処理の経過及び結果の報告がありました。
 以上、報告いたします。
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○議長(町田 亘君) 次に、今期定例会に提出されました議案は、お手元に配付のとおり、議案第一号から議案第八十三号までの計八十三件であります。
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 財第259号
 平成9年2月27日
 和歌山県議会議長 町 田 亘 殿
 和歌山県知事 西 口 勇
 和歌山県議会平成9年2月定例会議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
 議案第 1号 平成9年度和歌山県一般会計予算
 議案第 2号 平成9年度和歌山県農業改良資金特別会計予算
 議案第 3号 平成9年度和歌山県林業改善資金特別会計予算
 議案第 4号 平成9年度和歌山県沿岸漁業改善資金特別会計予算
 議案第 5号 平成9年度和歌山県中小企業近代化資金特別会計予算
 議案第 6号 平成9年度和歌山県母子寡婦福祉資金特別会計予算
 議案第 7号 平成9年度和歌山県東京事務所宿舎特別会計予算
 議案第 8号 平成9年度和歌山県職員住宅特別会計予算
 議案第 9号 平成9年度和歌山県物品調達特別会計予算
 議案第10号 平成9年度和歌山県立医科大学附属病院特別会計予算
 議案第11号 平成9年度和歌山県印刷事業特別会計予算
 議案第12号 平成9年度和歌山県営競輪事業特別会計予算
 議案第13号 平成9年度和歌山県営港湾施設管理特別会計予算
 議案第14号 平成9年度和歌山県流域下水道事業特別会計予算
 議案第15号 平成9年度和歌山県市町村振興資金特別会計予算
 議案第16号 平成9年度和歌山県自動車税等証紙特別会計予算
 議案第17号 平成9年度和歌山県用地取得事業特別会計予算
 議案第18号 平成9年度和歌山県立五稜病院事業会計予算
 議案第19号 平成9年度和歌山県電気事業会計予算
 議案第20号 平成9年度和歌山県工業用水道事業会計予算
 議案第21号 平成9年度和歌山県土地造成事業会計予算
 議案第22号 平成9年度和歌山県駐車場事業会計予算
 議案第23号 平成9年度和歌山県観光レクリエーション事業会計予算
 議案第24号 平成8年度和歌山県一般会計補正予算
 議案第25号 平成8年度和歌山県農業改良資金特別会計補正予算
 議案第26号 平成8年度和歌山県林業改善資金特別会計補正予算
 議案第27号 平成8年度和歌山県沿岸漁業改善資金特別会計補正予算
 議案第28号 平成8年度和歌山県中小企業近代化資金特別会計補正予算
 議案第29号 平成8年度和歌山県東京事務所宿舎特別会計補正予算
 議案第30号 平成8年度和歌山県物品調達特別会計補正予算
 議案第31号 平成8年度和歌山県立医科大学特別会計補正予算
 議案第32号 平成8年度和歌山県印刷事業特別会計補正予算
 議案第33号 平成8年度和歌山県営競輪事業特別会計補正予算
 議案第34号 平成8年度和歌山県営港湾施設管理特別会計補正予算
 議案第35号 平成8年度和歌山県流域下水道事業特別会計補正予算
 議案第36号 平成8年度和歌山県市町村振興資金特別会計補正予算
 議案第37号 平成8年度和歌山県自動車税等証紙特別会計補正予算
 議案第38号 平成8年度和歌山県用地取得事業特別会計補正予算
 議案第39号 平成8年度和歌山県立五稜病院事業会計補正予算
 議案第40号 平成8年度和歌山県電気事業会計補正予算
 議案第41号 平成8年度和歌山県土地造成事業会計補正予算
 議案第42号 平成8年度和歌山県駐車場事業会計補正予算
 議案第43号 平成8年度和歌山県観光レクリエーション事業会計補正予算
 議案第44号 和歌山県特別会計条例の一部を改正する条例
 議案第45号 和歌山県職員定数条例
 議案第46号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第47号 議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第48号 県事務所設置条例の一部を改正する条例
 議案第49号 和歌山県税条例の一部を改正する条例
 議案第50号 和歌山県印刷事業特別会計財産減価償却基金の設置、管理および処分に関する条例を廃止する条例
 議案第51号 和歌山県立和歌山ビッグホエール設置及び管理条例
 議案第52号 福祉地区および福祉事務所の設置に関する条例の一部を改正する条例
 議案第53号 和歌山県婦人相談所設置条例の一部を改正する条例
 議案第54号 和歌山県婦人保護施設設置及び管理条例の一部を改正する条例
 議案第55号 保健所運営協議会条例
 議案第56号 和歌山県漁民研修所設置条例を廃止する条例
 議案第57号 和歌山県漁港管理条例の一部を改正する条例
 議案第58号 和歌山県道路占用料徴収条例の一部を改正する条例
 議案第59号 和歌山県港湾施設管理条例の一部を改正する条例
 議案第60号 和歌山県が管理する港湾の臨港地区内の分区における建築物等の規制に関する条例の一部を改正する条例
 議案第61号 和歌山下津港入港料条例の一部を改正する条例
 議案第62号 和歌山県マリーナ条例の一部を改正する条例
 議案第63号 南紀白浜空港条例の一部を改正する条例
 議案第64号 風致地区内における建築等の規制に関する条例の一部を改正する条例
 議案第65号 和歌山県立高等学校設置条例の一部を改正する条例
 議案第66号 和歌山県立学校等職員定数条例の一部を改正する条例
 議案第67号 義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
 議案第68号 警察署の名称、位置及び管轄区域に関する条例の一部を改正する条例
 議案第69号 和歌山県地方警察職員定員条例の一部を改正する条例
 議案第70号 警察職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第71号 和歌山県営工業用水道事業条例の一部を改正する条例
 議案第72号 和歌山県営駐車場駐車料金徴収条例の一部を改正する条例
 議案第73号 和歌山県使用料及び手数料条例の一部を改正する条例
 議案第74号 平成9年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
 議案第75号 平成8年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
 議案第76号 当せん金付証票の発売について
 議案第77号 和歌山県道路公社が管理する有料道路事業の変更について
 議案第78号 県道路線の認定について
 議案第79号 訴訟の提起について
 議案第80号 委託契約の締結について
 議案第81号 工事請負契約の締結について
 議案第82号 工事請負変更契約の締結について
 議案第83号 工事請負変更契約の締結について・
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 【日程第三 議案第一号から議案第八十三号まで】
○議長(町田 亘君) 日程第三、ただいま報告いたしました議案第一号から議案第八十三号までを一括して議題といたします。
 まず、知事の説明を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 平成九年度予算案を初め諸議案についてご審議をお願いするため二月定例会を招集いたしましたところ、議員各位には何かとお忙しい中をご参集いただき、厚く御礼申し上げます。
 ただいま上程されました諸議案について提案理由をご説明するに先立ち、県政に臨む私の所信を申し述べたいと存じます。
 さて、二十一世紀が目前に迫ってまいりました。地球時代の到来、高齢化や高度情報化という我が国を取り巻く時代潮流の中で、来るべき世紀は、これまでの西欧近代合理主義が支配した効率重視の社会から脱却して、「共生」をキーワードとした精神あるいは心を基調とする世紀になるであろうと考えます。日本人の精神文化を形成してきたと言っても過言でないすぐれた歴史、恵まれた自然と文化資源を保有する本県にとっては希望の世紀になると確信するものであります。そして、今や二つの世紀をつなぐかけ橋を築くべきときであり、私たちの子や孫、さらには将来の子孫のために、何を残し、何をつくり上げていくか、その真価が問われております。
 私は、二十一世紀が和歌山に新たな息吹をもたらす時代になることを確信し、これまでに形成してきた基礎の上に、二つの世紀に大きなかけ橋を渡す強靱でたくましい橋脚を構築してまいる決意であります。
 その一つは、県勢発展の基盤となる総合交通体系の整備であります。昨年末の国幹審において、近畿自動車道紀勢線が那智勝浦町まで基本計画区間に組み入れられて、実質的に県内全線が計画決定されました。また京奈和自動車道についても、平成九年度からは打田町以西の紀北西道路への事業着手が認められ、県域の全区間が事業化の運びとなりました。その結果、既に地域高規格道路の計画路線として指定を受けている五條新宮道路とあわせ、県域周回の高速道路計画が確立したことになりました。県庁所在都市までの整備を目標とした国の構想のもと、本県の高速道路整備は、昭和四十二年に海南市までの基本計画が決定され、これがいわば第一期高速交通時代の幕あけとなったわけでありますが、自来三十年、いよいよ第二期の、まさに全県高速化時代に入ることとなったのであります。
 しかし、広域的な交流と連携をもたらす大動脈としてのこれら高速道路体系の完成には、まだまだ努力を続けなければなりません。また、大阪湾環状交通体系、関西大環状道路、太平洋新国土軸のかなめとして、国土構造の変革をもたらす大プロジェクトとなる紀淡連絡道路につきましても、その実現を目指してまいりたいと考えております。
 また、県民生活の利便性を高め、県内外の交流を促進するために、農道や林道との連携による効率的な県内道路網の整備についても引き続き積極的に取り組んでいくとともに、関西国際空港の二期事業の推進や南紀白浜空港の二千メートル化、海上物流の高度化など、次世代の交通、輸送ニーズを見据えた陸・海・空の総合交通体系の整備を県政における緊要の課題として強力に推進していく所存であります。
 また、豊かで充実した生活を生み出す源泉となる産業活動についてであります。私は、本県を取り巻く産業経済の課題に有効に対処しつつ、長期的展望に立った基盤整備を着実に進め、内外の経済環境の変化に的確に対応し、国際的な競争にも負けない、たくましい産業社会の構築を図ってまいります。
 平成二年度から進めてきた工業技術センターの再編整備がこのほど完了いたしましたが、そのほか、和歌山大学システム工学部や近畿大学生物理工学部の拡充整備等、本県における研究開発基盤の整備は着々と進行しております。
 私は、次代を先導する創造的企業の育成や新産業の創出など、起業化も含めた支援施策を今後とも積極的に推し進めるとともに、企業の国際展開のバックアップ、情報通信基盤の整備を強力に推進してまいります。
 また、農林水産分野においても、情報化への対応や試験研究機関の機能強化など、諸般の施策を積極的に推進してまいります。
 さらに、本格的高齢社会に備えた健康福祉の体制整備については、社会全体としての取り組みが急務となっております。
 私たちのふるさとには「つれもていこら」というすばらしい言葉があります。男性も女性も、老いも若きも、心身に障害を持つ人もそうでない人も、この社会を構成するすべての人が、物理的にも精神的にも障壁のない社会環境の中で「つれもて」生きる。私は、そのようなふるさとこそが新時代の和歌山であることを確信し、昨年制定された福祉のまちづくり条例に基づき、バリアフリーの町づくりを進めていくとともに、環境基本条例についても平成九年度中の策定に向けて作業を急いでまいります。
 次代を担う世代の教育もゆるがせにできない課題であります。進展する情報化や国際化に対応できる人材の育成はもとより、生涯の全期間を通じて各人が精神的な充実感を得られ、その持てる力を最大限に発揮できるよう、学習環境の整備に力を尽くしてまいりたいと考えます。和歌山県に住む一人一人が、その個性と人格を最大限に尊重され、ともに学び、ともに支え合い、ともに人生の感動を分かち合える社会をつくっていきたいと考えております。
 以上申し上げた幾つかの政策課題を含め、時代の要請に応じた諸施策を実行していくためには、それに即応した組織体制が必要であります。
 私は、就任以来、地方自治の原点に立ち返り、生活の場を基点にした行政運営に努めてまいりましたが、地域の課題に迅速かつ適切に対処していくためには、行政の側に、高度な専門性とともに組織横断的に施策を連携させる総合機能が特に重要となっていることを痛感いたしました。こうしたことから、地方機関を地域ごとに総合調整する職として振興局長を新設するほか、昨年の本庁組織の改編に引き続き地方機関等の見直しを図ることとし、福祉事務所と保健所の管轄区域を一致させるなどの機構改革を実施いたしたいと考えております。県民の皆様にとって、身近な問題は身近なところで処理されるような組織体制を目指すものであります。
 個性と魅力にあふれ、躍動する地域づくりは、県民の皆様一人一人の創意と情熱、そして行動にかかっております。一昨年の阪神・淡路大震災やナホトカ号重油流出事故への救援を見ておりましても、ボランティアの活動には目をみはるものがあり、今やこうした住民サイドの主体的な活動が大きなウエートを占める時代なのだと痛感いたします。本年から新たな県民運動を展開してまいりますが、私は新たなこの運動も県民が主体の運動でなければ意味がないと考えています。県民の皆様方には、二十一世紀を輝かしい和歌山の時代にしていくために、ともに考え、ともに行動していただけるようお願い申し上げる次第であります。
 私たちの和歌山県には、進取の気風、バイタリティーに富む県民性があることを歴史は教えてくれます。先進の覇気を持って時代を先導し、幾多の業績を残してきた先人の気概に思いをいたし、私たちもまた歴史の中に一つの時代を刻む限りは、誇りを持って子孫に語り伝えられる仕事をなし遂げてまいりたいと思うのであります。議員各位初め県民の皆様のご協力をお願い申し上げます。
 以下、予算の具体的内容につきましてご説明いたします。
 まず歳入の概況といたしまして、税収については、地方消費税の創設もあり、全体として前年度を上回っていますが、依然として厳しい状況に置かれております。このため、平成九年度の予算編成に当たりましては、行政改革の観点から事務事業の徹底した見直しを行い、歳出の一層の節減合理化に努めたところであります。しかし、本格的な高齢社会の到来を間近に控え、総合的な地域福祉施策や生活関連基盤の整備等、現下の重要政策課題を推進する必要があり、交付税措置のある起債の積極的な活用や平成八年度を大幅に上回る思い切った各種基金の取り崩しにより財源を確保して、県民福祉の一層の向上につながる施策の充実に努めたところであります。その結果、平成九年度予算は全体として地方財政計画よりも高い伸び率となり、投資的経費に係る県単独事業についても前年度並みの額を確保したところでございます。
 以下、各分野における歳出予算の概要についてご説明いたします。
 第一の施策目標は、飛躍への基盤づくりであります。
 高速道路網の整備につきましては、太平洋新国土軸の大動脈である紀淡連絡道路の早期事業化に向けての調査を進めるとともに、地元関西、四国の熱意を強く国にアピールするため、地元が一体となって東京都内で紀淡海峡大橋実現キャンペーンを実施することといたしております。
 また、昨年末の国幹審で計画決定を見た高速道路整備につきましては、計画の早期実現を図るため、近畿自動車道紀勢線(御坊・南部間)、那智勝浦道路について用地取得の促進を図っていくとともに、吉備・御坊間の早期四車線化のための環境調査等を実施いたします。一方、京奈和自動車道(橋本道路)についても、用地取得など事業の積極推進を図ってまいります。
 さらに、その他の基幹的な道路網では、泉佐野岩出線、国道三百七十一号を初めとする府県間道路の整備を進めるとともに、県内各地の広域連携を緊密化させる国道三百十一号、国道四百二十四号など、第二県土軸関連道路や都市部の街路事業等の整備を促進し、これに農・林道整備を連携させることにより、有機的な道路交通体系づくりを引き続き積極的かつ重点的に推進してまいります。
 次に、空の交通網でございます。
 南紀白浜空港につきましては、東京便に加え、福岡、広島便の就航が実現しておりますが、空港の利用促進のため、地元等と協力して利用促進キャンペーンを実施するとともに、本年から中型ジェット機が就航可能な滑走路の二千メートル化に着手することとしています。
 次に、関西国際空港二期事業埋め立て用土砂供給についてでございます。関西国際空港用地造成株式会社からの要請を受け、種々検討を重ねてまいりました結果、昨年末に、一期の経験や今日の社会経済情勢等を踏まえ、事業主体は民間企業、採取場所は和歌山市加太地区が適当であるという本県の基本方針を決定した次第であります。今後、県といたしましては、土砂供給が環境保全を図りつつ円滑に実施されるよう関係機関と連携しながら指導監督に努めてまいります。
 海の交通網につきましても、和歌山下津港と鹿児島県志布志港間のテクノスーパーライナー航路の実現化に向けて鹿児島県と共同で推進協議会を設置し、検討することとしております。
 また、ベイフロンティア地域の整備構想の策定を進めるとともに、和歌山下津港を初め県内各地域の核となる港湾の整備を図ることとしております。
 防災対策につきましては、中型ヘリコプターの導入により災害発生時の被災者の救助、救急輸送等の広域的な警察活動の機能を高めるとともに、防災行政無線末端局の増設等、より迅速な情報連絡体制の確立を図るほか、県立学校など公共施設の耐震診断調査等を引き続き実施してまいります。
 第二の施策目標は、明るい社会づくりであります。
 障害者、高齢者福祉施策につきましては、障害者や高齢者等が地域社会で安心して自立した生活を営むことができるようにするため、本年十月から施行される福祉のまちづくり条例の普及啓発を積極的に行うとともに、既存の公共施設や住宅等のバリアフリー化を促進してまいります。また、各圏域ごとの整備状況を勘案しながら、特別養護老人ホームなどの施設整備を進めるとともに、在宅福祉三事業の促進、二十四時間対応ホームヘルプサービス、重度身体障害者や高齢者に対する住宅改造補助の充実を図るなど、在宅福祉の充実強化を図ってまいります。
 次に少子化対策につきましては、本県の子育て支援施策の指針となる喜の国エンゼルプランの推進を図るため、特別保育である県単独の時間延長型保育を充実するほか、放課後児童クラブや子育てサークルの活動に対して新たに助成することとしております。
 さらに、ボランティアによる福祉活動への理解を県民に深めていただくよう和歌山県ボランティアフェスティバルを開催いたします。
 健康対策でございますが、食中毒予防対策につきましては、昨年の病原性大腸菌O157発生の教訓から、正しい知識の普及啓発や発生防止に重点を置いた特別対策を実施してまいります。
 また、県民医療の中核である県立医科大学及び附属病院の移転整備、並びに保健、福祉の拠点施設となる和歌山県総合健康・福祉棟の整備につきましては建設工事を着実に進めてまいりますが、看護職員の養成所である県立高等看護学院の移転整備についても本年から建設工事に着手いたします。
 次に女性施策につきましては、わかやま女性一〇〇人委員会において女性の視点から県政に対する意見の取りまとめを行うとともに、平成十年秋の女性センターの開設に向け、諸般の準備を進めることとしております。
 同和対策につきましては、現行の地対財特法期限後においても、地域改善対策協議会の意見具申や閣議決定、並びに同和地区実態調査結果等から明らかになった本県の地域性や実情等を踏まえ、教育・啓発、産業・就労対策等の残された課題解決に向けて、県民の皆様のご理解とご協力のもと、積極的に推進してまいります。
 第三の施策目標は、活力ある産業づくりであります。
 我が国の景気は全体として緩やかながら回復の動きを続けていますが、本県では一部で改善傾向が示されているものの、依然として厳しい状況が続いております。このような状況の中、本県産業の活性化のために、産業界を結集して県内の工業製品や物産品の総合見本市である産業博覧会を和歌山ビッグホエールで開催するほか、海外進出の契機とするためアメリカ・ロサンゼルスで物産展も開催することとしております。
 また中小企業融資制度につきましては、総融資枠の拡大や融資限度額の引き上げ、並びに創造的事業を開始する中小企業者を支援する施策の充実を図るなど、一層の充実に努めてまいります。
 さらに、中小企業者の新技術、新製品の開発支援につきましては、産・学・官による連携を強化して各種の研究開発を推進するとともに、感性の時代に対応したデザイン開発指導や商品開発力の向上支援を行うため、海南インテリジェントパーク内に新たに県デザインセンターを設置いたします。
 次に農林水産業の振興でありますが、農業につきましては、二十一世紀農業振興計画に即して力強い農業を切り開いていくため、ウルグアイ・ラウンド国内対策も有効に取り入れながら、中核農家の育成を初め、農道や高性能選果機等の整備により産地の体制強化を図るほか、農業集落排水の推進等による農村生活環境の整備に積極的に取り組むこととしております。
 また、梅の生育不良問題は、非常に憂慮すべき重要な課題であります。県といたしましては、被害を受けた農業者の経営の安定を図るため緊急融資制度を創設し、安定した用水確保のため緊急水源調査を行うとともに、学識経験者等の専門家や地元の協力を得ながら、栽培面、病理面、大気面等も含めた総合的見地から一日も早い原因究明と樹勢回復対策の確立に向けて最大限の努力をしてまいります。
 林業につきましては、林業経営の充実強化や林業従事者の育成確保等を図るため、ふるさと林道や広域基幹林道などの早期整備に努めるとともに、木材の利用促進を図り、川上から川下までの一体的、総合的な林業振興に努めてまいります。
 水産業につきましては、海の持つ生産力を最大限活用していくため、魚礁の設置や増養殖場の造成等により、つくり育てる漁業を一層促進してまいります。
 第四の施策目標は、快適な暮らしづくりであります。
 まず紀の川流域下水道伊都処理区については、平成十二年度の一部供用開始を目指して伊都浄化センターの本体工事を進めることとしております。また、合併処理浄化槽の設置や農山漁村における集落排水の整備についても積極的に推進することとしております。さらに、産業廃棄物の適正処理を推進するため、最終処分場等の水質や土壌等の立入検査を定期的に実施するほか、産業廃棄物処理業者に対する指導の強化を図ります。
 次に公園の整備でありますが、歴史的意義ある景観に配慮した公園として和歌公園の整備を進めるとともに、緑との触れ合いを求めるニーズにこたえるため根来山森林体験パーク(仮称)の整備を図ってまいります。
 このほか、和歌山県らしい魅力ある町づくりを推進するため、景観条例制定に向けた調査検討等を引き続き進めてまいります。
 他方、南紀熊野体験博(仮称)でございます。世界リゾート博の五周年を契機とし、本県の魅力を広くアピールするため、平成十一年四月から九月にかけて大規模イベント南紀熊野体験博を開催したいと考えております。この南紀熊野体験博については、通産省からジャパンエキスポの認定を受けたところでありますが、本年度は実施に向けて事業計画を策定するとともに、それに関連する道路等の基盤整備にも取り組むこととしております。
 またリゾート整備の推進につきましては、豊かな自然や文化を生かした和歌山ふるさとリゾートを実現するため、公的施設の整備を進めるほか、山村21創造事業により山村地域の活性化を推進してまいります。
 このほか、市町村の創意工夫による個性の光る町づくりを推進していくため、一市町村一億円を限度とする補助を引き続き行うこととしております。
 第五の施策目標は、心豊かな人づくりであります。
 まず学校教育の充実でありますが、吉備高校に「ふくし」や新しい農業を目指す「グリーンテクノ」など特色ある系列を有する総合学科を開設し、校名を「有田中央高校」に改めることとしております。
 また、依然として深刻な状況にある登校拒否・いじめ対策につきましては、保護者や児童生徒の直接相談に応じるカウンセラーを派遣するなどの従来の施策に加え、自然の中での体験活動を通して人とのかかわりを深めることを目的として親と子と教師のふれあいキャンプ等を新たに実施することとしております。
 次に特殊教育の充実につきましては、本年から重度並びに重複障害児を対象とした訪問教育を養護学校の高等部においても実施してまいります。
 また、本年四月から五学科体制が整う和歌山大学システム工学部に対しては、その教育研究活動を県勢の活性化に結びつけていくため、産業界や和歌山市等と協力しながら積極的に支援してまいります。
 次に生涯学習の推進につきましては、多様化する県民の学習ニーズにこたえるため、テレビ等の電波を利用して学習機会を提供する放送大学地域学習センターの設置に向けた調査を実施いたします。
 次にスポーツの振興として、第二回全国アウトドアスポーツフェアを和歌山マリーナシティほか県内各地において開催し、アウトドアスポーツの普及、生涯スポーツの振興に努めることとしております。
 国際交流につきましては、友好提携先の諸国やアジアの国々などとの活発な交流活動を重ねてまいる考えであり、その一環として東南アジア地域の自治体職員を受け入れて研修を実施するとともに、本県で開催予定の国際シンポジウム「アジアからのメッセージ」に対して協力することといたしております。
 次に文化の振興につきましては、地域に根差した生活文化の振興を通じて本県の文化全体のレベルアップを図るため、地域での身近な文化拠点となる「まちかどミュージアム」づくりを支援してまいります。
 また、文化やスポーツ、各種イベントなど新しい交流の場づくりとなる和歌山ビッグホエールにおいて本年七月にオープニングイベントを行うこととしております。
 以上の施策のほか、平成九年度を計画期間の初年度とする第五次県長期総合計画につきましては本年一月に中間報告がまとめられたところでありますが、高齢化や情報化社会などの時代潮流を的確に見据え、県土の均衡ある発展と真に住んでよかったと言える輝く和歌山新時代を築くため、市町村を初め県民の皆様方のご意見、ご提言をいただきながら、本年中に計画を策定することといたしております。
 また、真に快適で安らぎのある郷土づくりのため、「自然と共生快適わかやま」、「やさしさあふれるわかやま」、「ふるさとわかやま再発見」をテーマとして、県民の皆様が和歌山のすばらしさを実感できる新しい県民運動を本年から展開してまいります。
 さらに、一層開かれた県政を目指して県民各層との意見交換会を継続して行うとともに、県政に関する世論調査を実施することとしております。
 以上が、予算案の主な内容であります。
 この結果、平成九年度一般会計の総額は五千八百六億円余となったところであります。あわせてご提案申し上げている特別会計は総額千六十億円余、企業会計は三百十九億円余となっております。
 次に、平成八年度補正予算の主なものについてご説明申し上げます。
 まず、一般会計の補正総額は九十七億七千百余万円の増額となりますが、その主な内容としては、国の補正予算の編成に伴うウルグアイ・ラウンド関連を含む公共事業等の追加、年度間の切れ目のない事業執行を図るための債務負担行為の補正、並びに県債管理基金への積み立て等であります。
 また、特別会計では百三十六億五千五百余万円の減額となり、企業会計においては二百十億三千三百余万円の減額となっております。
 続きまして、条例案件についてご説明申し上げます。
 本議会に提出いたしました条例案件は三十件でありますが、その主なものについてご説明申し上げます。
 まず議案第四十四号は、県立医科大学と附属病院の会計を区分し、その経理を明確化するためのものであり、議案第四十五号、議案第六十六号及び議案第六十九号は、それぞれ知事部局、県立学校等の職員、警察職員の定数、定員を定めるものであります。
 議案第四十六号及び議案第七十号は職員及び警察職員の特殊勤務手当の額を改定するものであり、議案第四十七号は国家公務員等共済組合法の一部改正に伴い規定の整備を行うものであり、議案第四十八号、議案第五十二号及び議案第五十六号はそれぞれ地方機関の機構改革に伴い所要の改正をお願いするものであります。
 議案第四十九号は地方消費税の徴収等に関する事務について規定の整備を行うものであり、議案第五十号は県印刷事業特別会計の財産減価償却基金を廃止するためのものであり、議案第五十一号は本年七月二十日オープン予定の和歌山ビッグホエールの設置及び管理条例を制定するものであります。
 議案第五十三号及び議案第五十四号はそれぞれ県婦人相談所、県婦人保護施設の名称を変更するためのものであり、議案第五十五号は地域保健及び保健所の運営に関する事項を審議する協議会を引き続き保健所に設置するためのものであります。
 議案第五十七号から議案第五十九号及び議案第六十一号から議案第六十三号、並びに議案第七十一号から議案第七十三号の九件につきましては、消費税法の改正及び地方消費税の創設に伴い、県有施設等の使用料等の改定をお願いするものであります。
 議案第六十号は県が管理する港湾の臨港地域内の新しい分区における規制を行うためのものであり、議案第六十四号は和歌山市が中核市に指定されたことに伴う規定の整備であります。
 議案第六十五号は吉備高等学校の校名を「有田中央高等学校」と改めるためのものであり、議案第六十七号は教育職員の給与等に関しての関係法令の一部改正に伴う規定の整備であり、議案第六十八号は警察署の管轄区域に関して所要の改正を行うものであります。
 次に、その他案件といたしまして、議案第七十四号及び議案第七十五号は建設事業施行に伴う市町村負担金について、議案第七十七号は消費税法の改正等に伴い県道路公社が管理する有料道路の通行料金を改定するものであります。
 議案第七十八号は県道路線の認定について、議案第七十九号は県営住宅関係の訴訟の提起についてお願いするものであり、議案第八十号は県立医科大学附属病院の医療情報システム整備に係る委託契約について、議案第八十一号から議案第八十三号は工事請負契約及び工事請負変更契約について、それぞれ議決をお願いするものであります。
 最後に、法人の経営状況に関する書類を別途提出いたしております。
 以上で、提出議案等に対する私の説明を終わります。何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
 なお、この際、一言おわびを申し上げます。
 県立医科大学附属病院における事件につきましては、まことに遺憾であり、私からも強く注意を促したところでありますが、今後はかかることのないよう、関係者が一体となって信頼回復に努めてまいる所存であります。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 以上で、知事の説明が終わりました。
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○議長(町田 亘君) 次に、お諮りいたします。明二月二十八日及び三月三日から七日までを議案調査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、明二月二十八日及び三月三日から七日までを休会とすることに決定いたしました。
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○議長(町田 亘君) 次会は三月十日再開し、質疑及び一般質問を日程といたします。
○議長(町田 亘君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午前十一時五十五分散会

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