平成8年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(木下秀男議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時四分再開
○議長(町田 亘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番木下秀男君。
 〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 本会議の質問も最終になりますと質問項目も限られてまいりまして、なるべくなら重複を避けるべきでありましょうけれども、私はあえて重複に重複するような形で質問をしていきたいと思います。
 梅の生育不良についてでありますが、これは急を要し事が重大であるために知事初め関係部長に質問をいたしたいと思います。
 この梅の生育不良に関する質問が今議会だけではなしに本議場においてたびたび行われてまいりましたが、確たる原因が解明されないまま歳月を重ね、衰弱から枯死という状態が主産地である南部郷を中心に広がりつつあるのが現状でございます。今議会で大沢議員、またきょうの午前中には村岡議員も質問されましたが、私も主産地の選出議員の一人として、その取り組みと今後の対応について質問と提言を続けてまいりたいと思います。
 初めに梅の歴史についてでありますが、少し触れてみたいと思います。
 日本古来説と中国からの渡来説がございますが、中国華中から華南地方が原産地であって、五三〇年ごろ、大和時代に呉という国の高僧が奈良の都に梅の木を持参したのが始まりとも、遣唐使が持ち帰ったものとも言われておりますけれども、いずれも定かではございません。
 「夫れ梅のものたる。花は則ち雪を昌し春に先んじて風騒の友となり、実は則ち酸を含み渇を止め軍旅の用となる。嗚呼、備ふる有る者は患ひなし」──この文は、水戸偕楽園の創始者である徳川斉昭公の「種梅記」という本の一文でございますが、梅の花は風流の友であり、実は保存食であり戦用となる、病む人もなしと、こういう意味だそうでございまして、花は風雅としてめでられて、果実は戦用と家庭用の健康薬として重宝されたようでございます。この時代から梅というものが重要視されてきたということでございます。
 紀州の梅は、一六一九年(元和五年)、初代紀州藩主・徳川頼宣公入府に随行してまいった田辺藩主となった安藤直次公が藩内の南部郷に租税を免じて梅の生産を奨励したのが始まりと、かようにされてございます。自来三百五十年余にわたる先人たちの血と汗の結晶が今日の全国一を誇る紀州の梅となったのであります。自然との闘い、豊作・凶作の喜怒哀楽を繰り返しながら新しい技術、新しい科学を取り入れ、ようやく安定して和歌山県の基幹産業として発展しつつあるやさきに、原因不明の梅の木の衰弱、立ち枯れという奇態が生じたのであります。
 前段が少し長くなりましたが、本論に入ります。
 梅生育不良──衰弱症とも言いますが、昭和六十年(一九八五年)ごろから主産地である南部町、南部川村で少し見られるようになり、その後、平成二、三年ごろには田辺地方、西牟婁・日高郡の各地にもあらわれ始め、平成四年には梅生産市町村や各農協等で梅病害虫特別対策協議会を組織して、病理面から、あるいは栽培管理・栄養面から、さらに大気環境等の面から調査を実施いたしてございます。この調査研究には、県の総力を挙げて果樹園芸試験場、暖地園芸センター、衛生公害研究センター、林業センターの技術者を中心に、田辺市の要請で、大学側からは京都大学、広島大学、三重大学、東京農業大学、さらに関西電力の協力を得て調査研究をいたしております。そのまとめとして、病理面──ウイルスでございます──では検出されず、栽培管理・栄養面では、着果過多いわゆるなり過ぎということと土壌の乾燥──日焼けでございます──酸性化が原因とされてございます。大気環境調査では、環境基準や他地域と比較しても低い数値を測定しているとされてございます。以上が県から報告を受けた調査のまとめでありますが、梅生育不良は広がるばかりであります。この調査に協力をいただいた大学の先生方もいろいろと説を立てられておるようでありまして、大気汚染による樹幹流説、農薬による有機燐説、土壌等による果樹根説等々言われてございますが、栽培管理や病理、大気環境といった複合的要因と、こういうことが最終的なまとめのようでございます。この梅枯れ症の現状は、農家の生産意欲を失望させることはもちろん、梅産業や地域経済に深刻な影響を与える問題であります。
 私は、梅の生産地である南部町、南部川村、印南町、田辺市、上富田町の五市町村における平成八年十一月末の現状調査を行いました。五市町村で、被害面積は約百八ヘクタール、枯死状態になっているのが三万五千四百四十八本、樹齢は、差はあるものの大体は十年生から十五年生が多い、このような報告を受けてございます。さらに、中程度の症状を受けているものを加えるとこの数量の倍になると、こう予想されます。
 今日までの調査はまだまだ初歩的な段階であると思いますが、これまでの調査の経過と成果についてお聞きいたします。
 昔から、霧がおりると梅にすすがつくという古老の話がございまして、その霧によって害があると予測されます。この、ミストと言うそうでございますが、霧の流動方向や霧に含んでいる濃度の調査、また酸性雨、オゾン、亜硫酸ガス、窒素酸化物の複合汚染調査、空気浄化実験調査、さらに光合成の影響調査、このような高度な調査が必要とされているのであります。
 人間社会には「疑わしきは罰せず」という言葉がございますけれども、物言わぬ植物の場合には徹底究明が必要であると思うのであります。この問題の完全な原因究明をするためには、科学技術庁を初め国、大学の研究者、その道の権威者の協力を得て、高度な、専門的な調査研究体制を組織することが急務と考えるものであります。
 ことしの梅の生産は裏年ということで不作であり、総生産量は四万八千百トンと平年作の七五%程度でありましたが、和歌山県の農業の基幹産業であるミカンと並んで主産物であります。しかし、梅に関する研究機関は皆無に等しく、暖地園芸センターに一部あるのみで、お粗末そのものであります。この梅枯れ災禍を機に、本格的な調査研究機関の新設を提言するものであります。
 私は、十二月八日夜七時から南部川村で開かれた成人教養講座へ特別参加をして勉強してまいりました。聴衆は、近隣町村の梅農家の皆さん方を含めて六百人ほどという集まりでありました。梅の生育不良問題に対する関心のあらわれをまざまざと見たのであります。演題は「大気汚染と植物生育障害」、講師は三重大学の生物資源学部教授の谷山鉄郎先生であり、約九十分間講演され、いろいろと各地で調査研究されたデータや他の研究者のデータと比較しながら話されておりました。四日市公害という、稲枯れによる公害がございます。もちろん、気管支炎という人間の病気もあります。また、多奈川公害というのもあります。これはお隣の大阪でありますが、ここで桃の木が枯れた公害が出ております。もちろん、ぜんそくも出てございます。水島公害は中国地方でありますが、ここで畳表のイグサの生育がとまったというイグサ枯れの症状がございます。今また福井県では、三国公害というか、三方五湖の周辺で杉枯れという症状が出ております。このように公害が各地で起こってございますが、ほとんど大気の複合汚染であるとされておりました。講演終了後、聴衆者との一問一答の中で、関西電力の調査は酸性雨だけの調査で学説を納得させるような資料ではない、さらに高度な調査研究をすべきだと結論づけておりました。質問者から、梅生産の県営パイロット事業に参加して植栽費や土地購入資金の借入金の返済に困っているという問題、また改植、減収による営農資金の問題等々話されておりましたが、これらのことは県で解決できることでありますので、早急に対処するよう要望するものであります。
 続いて、森林交付税──これは仮称であります──についてであります。
 森林の荒廃が叫ばれ出して久しいが、年を経るごとにその声が大きくなり、また大きく叫ばなければならないほど危機が迫っているのが昨今であります。戦後の乱伐と昭和三十年ごろの国が奨励した拡大造林施策によって経済性の低い広葉樹林や照葉樹林を伐採し、経済性の高い杉、ヒノキ、カラマツ等の針葉樹林を植林したのであります。
 木を育てるには、間伐、除伐、枝打ち等、大変な労力と年月がかかります。ところが、社会構造の大変革で住民のニーズも同様に大きく変わり、経済性の高い生活を求めて都会へ流出し、過疎という現象を生み出したのであります。日本の森林、林業経営という経済性だけを考えていては崩壊しかねない状況が起きてきたのであります。
 昭和三十七年に策定された第一次全国総合開発計画、昭和四十四年に策定された第二次全国総合開発計画では、森林は生産の場であり、レクリエーション的に利用するという程度の位置づけしかされなかったのであります。昭和五十二年に策定された第三次全国総合開発計画で定住圏構想が打ち出され、ようやく森林の価値が認識され始めたところでございます。昭和六十二年に策定された第四次全国総合開発計画で、森林の持つ公益的機能、国土保全、大気浄化、水源涵養、酸素供給、保健・休養等が大きくクローズアップされて、森林は国民全体で守り育てる国民的資産であると初めて位置づけされたのであります。しかし、この計画どおりに進んでいるかと言うと、決してそうではありません。日本の急速な経済成長と社会構造の変化で都市と山村の格差の拡大と人口流出をもたらし、山村地域の過疎化、高齢化が進み、適正な森林施業を不可能にしているのが実情であります。
 過疎化、高齢化と林業不振にご苦労されている東牟婁郡本宮町長・中山喜弘氏が平成四年十一月、緑の森林保全のための「森林交付税」(仮称)の創設を提唱し、森林交付税創設促進連盟なるものを組織してみずからその会長となり、同じ考えを持つ全国の市町村に呼びかけていることは、ご承知のとおりであります。私も、農林水産委員会に所属するとき、中山町長を講師にお招きしてご高説を拝聴したことがございます。私ども県議会といたしましても、この取り組み支援の意見書を提出いたしてございます。この創設運動が全国的な広がりを見せ、三十六町村で発足しましたが、現時点では全国三千三百市町村のうち四六%弱の六百七十四町村が加盟し、先月十一月七日に信州松本市において第五回のフォーラムが盛大に開催されてございます。
 ここで知事にお伺いいたしますが、この森林交付税創設に中山喜弘町長とともに先頭に立って知事会や国に働きかけ、実現に取り組むべきと思考するものでありますが、知事のご所見をお伺いいたします。
 また、この問題について、歴代の農林水産部幹部の取り組む姿勢はまことに緩慢であったと思うのでありますが、農林水産部長には今日までの取り組みと部長としての所見を伺うものであります。
 続いて、県産材の利用促進についてであります。
 和歌山県は「木の国」と言われるごとく、県土約四千七百二十三平方キロメートルのうち、林野と称するものが約三千六百三十五平方キロメートルの面積を有しております。そのうち人工林面積は約二十二万ヘクタールで、伐期に来ている森林は約一万六千ヘクタールと言われ、二十万ヘクタールの森林はまだまだ育林をしなければ用材には無理であります。
 以上が、和歌山県における林業の実態であります。前段申し上げましたが、森林・林業を取り巻く状況は非常に厳しく、輸入材との競合、過疎と高齢化で山林労働者も少なくなるばかりであります。しかし、森林の持つ公益性の意義を認識して林業の振興策を講じなければなりません。
 そこで、次の三点についてお伺いいたします。国内産材の安定供給について、杉材の新製品及び新規用途の開発について、製材工場従業員等の職場環境整備費の融資制度の創設について。以上、農林水産部長の答弁を求めます。
 市町村一施設木造建築運動についてでありますが、建築構造の変化から、住宅はもちろん、公共施設から学校施設まで鉄筋・鉄骨の建物がほとんどで、特に学校はRCづくりの校舎が多くなりました。林野庁の統計によりますと、平成七年の住宅建築戸数は百四十七万戸で、そのうち木造住宅は七十万戸であり、年々緩やかに──向上じゃない、低下する傾向にあります。消費者のニーズは洋風化の傾向にあり、価格よりも耐震性、耐久性などの安全性を重視するようになり、木造住宅であっても陶製品や非木質系資材が多く使用され、板類や柱類の需要量が減少し、特に床、壁、屋根の下地材として使用されてきた板類の需要量の減少が低下の主たる原因となっているようであります。このような住宅建設の変化に的確な対応が必要と考えますが、農林水産部長の見解をお伺いするものであります。
 大分県では、一村一品運動という産品振興運動があります。和歌山県土木部建築課にはふるさと建築景観賞という表彰規程がありますが、私は木の国一村一木施設運動を提唱いたします。知事並びに教育長のご所見をお伺いするものであります。
 最後に、港湾整備についてであります。港湾については、昨日、長坂議員も貴重な提言をされておりましたが、私も港湾の私見を申し述べたいと思います。
 知事は、和歌山21懇話会を十二月三日に発足させました。委員は、和歌山県にゆかりのある官界、経済界、学術界の著名な人々十五名で構成され、委員の持つそれぞれの知識や経験、アイデアを和歌山県の活力にするという、県民にとっても頼もしい方針であります。第一回のテーマに四大構想を提示し、各委員のご意見を聞かれたようでございます。その四大構想の中に海洋立県というのがあります。この点について質問と提言を行います。
 ご承知のとおり和歌山県の地形は、半分が海に面し、半分は山が連なっているという、木の国であり海の国であります。日ノ御埼を境にして、北は瀬戸内の海域で、南は外洋に面しております。このような地形に百余りの漁港を持ち、沿岸漁業と勝浦港を基地とする遠洋漁業があります。いずれも水産業でありますが、今回は港湾に絞って質問いたします。
 「海国日本」と言われ、四方を海に囲まれて何の資源もない日本は、外国から鉱物や化石エネルギー等の天然資源を輸入し、高度な技術で加工し商品化して輸出するというパターンでありましたが、さらに食料品や衣料雑貨、電気製品等を逆輸入するという時代になったのであります。昔は、海外に出る場合はほとんどが船で、一カ月も二カ月もかかってヨーロッパや北米、南米に行ったものでありますが、現在は全部と言ってよいほど飛行機となり、人流については、船の時代は完全に終わり飛行機の時代になったと思います。
 関西国際空港が開港されて「空飛ぶマグロ」という言葉も生まれました。航空貨物として輸入されておりますが、やはり日本の物流は海運が主流であります。統計を見ますと、日本の貿易量の九九%は海上貨物であり、物流は船であります。
 今、世界は激動する中で市場経済へ移行しつつあり、特に中国、ASEAN諸国が急速な発展を遂げております。これらの国々は、二〇一〇年には総生産量が現在の三倍と予測され、アジアを中心とする世界の交易量が急激に増加するものと予想されてございます。また、ガットがWTOへの役割を拡大し、広範な分野で国際自由貿易の枠組みが形成されることにより、貿易がさらに拡大されるものと予想されております。
 このように、社会構造や経済環境が大きく変化し、人・物・情報の交流から国・地域・個人の間へと重層的に行われ、さまざまな社会において各国の文化が高密度で交流することにより新しいものを生み出していく、大交流時代に対応できる港湾の整備が必要に迫られているのであります。
 その輸送に当たる船でありますが、タンカーや鉱石船、自動車船の専用船以外の輸出入はコンテナ船で、比率は二対八の割合で、コンテナ船の時代に入ってございます。輸入先の中国とASEAN諸国で急増しているのが現状であります。今までもこれからも、日本への輸入の玄関口は港湾であります。コンテナ船も五〇〇TEV型から四〇〇〇TEV型、五〇〇〇TEV型と、一挙に十倍に増大しています。ちなみに、オーバーパナマックス──パナマ運河を通過できる船の基準でございます──は、船長三百メートル、船幅三十メートル、重量が大体四万トン、水深十五メートル以上の岸壁が必要とされてございます。
 私は、関空特別委員会でシンガポール、香港へ二回視察に行ってまいりました。そのときの目的は空港でありましたが、港湾にも特に関心を持っておりました。どちらの国も、急激に発展しているASEAN諸国の小さな島国であるからであります。シンガポールでは、新しくコンテナヤードを建設するため、エンパイア・ドックの西側の無人島を中心に埋立工事の最中でありました。香港では、ダイコックを中心に七つのターミナルがありますが、これでも処理能力不足ということで、ストーンカッター島に八番目のターミナルを建設中でありました。ここは、香港の中国返還を見越して、中国の資本も入って行っております。この視察のときに案内をいただいた日系の女性ガイドさんの「これからはお隣の深せんですよ」との言葉をいつも思い続けておりましたが、先月十一月八日から、これからのアジアということで、馬頭哲弥議員、橋本進議員と三人で上海・深せんの現地を見てまいりました。
 上海は中国最大のコンテナ港でありまして、黄浦江の左岸の河口部にある宝山、張華浜、軍工路というところに七つのバースを持つコンテナ専用埠頭があり、香港資本の参加で五バースを大改造し、四千TU、六千TUのバースを完成いたしております。また、開発の進む浦東地区のカオチャオというところでは多目的バースが稼働中で、九六年から日本商船の商船三井、日本郵船という船会社のコンテナ船も寄港いたしております。
 深せんは、ご承知のとおり中国の経済特区として目覚ましい発展をしている地域でありますが、人口は約三百六十万人、面積は東京都と同程度、平均年齢二十六歳、進出企業一万八千社という、まさに生産の町であります。ここに二つの港がありまして、香港とは船で直行すれば十分足らずということでございます。一つは蛇口港で、二バースありまして、水深十四メートル、広さ二十平方メートル、処理能力が五十万TUでありますが、目下、二〇〇〇年を目途として百万TU処理施設を建設中でありました。もう一つは、赤湾港であります。一九八九年に米国の資本で機能整備をされつつあり、コンテナ港としては新しい港でありますけれども、十六バースのうち第六バースがコンテナ専用基地で、現在、岸壁の全長二百十七メートル、水深十二・五メートルを建設中でありました。深せん港も赤湾港も広州の入り口に当たりますので、これから発展する港湾であることを確認したものであります。
 日本の港湾を見ますと、コンテナ船の入港できる港湾は二十港ありますけれども、いずれも水深が浅く、これからの大型船の入港は不可能であります。神戸港に水深十五メートルバースが二カ所ありますが、一九九五年一月の阪神・淡路大震災により港湾機能が完全に麻痺しているのが現状であります。二〇〇〇年を目途に東京湾に三カ所、横浜港に二カ所、大阪港に三カ所、神戸港に五カ所、合計十三所が計画されておりますが、いずれも十五メートル以上であります。運輸省港湾局は、国際物流の諸機能が集積している東京湾、伊勢湾、大阪湾、北九州港を国際中枢港とする整備計画を持っているようであります。
 県は、ことし、東京でポートフォーラム96を、さらに中国青島でポートセールスを行い、十二月には和歌山21懇話会で海洋立県構想を諮り、海に対する意欲満々とお見受けするものであります。これからの港湾整備には、従来の輸出対応型とは異なる、コンテナヤードを持つターミナルを整備し、さらに国内二次輸送、内航コンテナ船、TSL等の輸送ネットワークと連携するフィーダーターミナルを併設した港湾づくりが要求されているのであります。
 私は、九月議会で、住友金属の北港埋め立てについて当局をただしました。この埋立地の二工区、三工区の護岸は、全長千三百六十メートル、奥行き九百メートル、面積百二十ヘクタール、水深十九メートルあります。内海は京阪神地区、外海は太平洋という絶好の地であり、これからつくるのではなくて、既に完成しているのであります。ここに東洋一のハブポートを設置してはと提言するものであります。
 太平洋新国土軸構想も、来年夏ごろには五全総に明記される見通しとなりました。知事の提唱する紀淡連絡道路も照準の中に入ってきたと思います。和歌山ハブポートを建設することによってここが近畿、中国、四国の物流の集散地となり、架橋建設に大きく弾みがつくものと思うものであります。
 二十一世紀まであと四年。期間は短いですけれども、港湾施設を急ピッチで仕上げ、来る二〇〇一年の新世紀の年頭には、和歌山港から七つの海へ、そして世界の海から和歌山港へ出船入り船する情景を思い浮かべながら、知事の所信をお伺いするものでございます。
 これで、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 木下議員にお答えをいたします。
 まず、梅の生育不良に関する調査研究についてであります。
 何回かお答えを申し上げておりますけれども、これまで地元の市町村等の協力をいただきながら積極的な取り組みをしております。しかしながら、現段階において原因究明に至っておりませんで、その現実を私も厳しく受けとめておるところでございます。
 本年四月に暖地園芸センター内に梅対策チームを設置し、研究体制の充実に努めるとともに、さらに当面の対応策として、職員の駐在も含めた現地前進基地の設置を現在検討中でございまして、今後、地元市町村と協議をしてまいりたいと思っております。
 一方、県議会のご協力もいただきながら、過日、農林水産省を初め国に対しても農家の切実な思いを訴えるとともに、梅などの地域特産果樹に対する国の研究体制の一層の強化と試験研究予算の確保について強く働きかけを行ったところであります。
 いずれにいたしましても、農家の心情を考えるときに、生育不良の原因の早期解明は最も緊急を要する課題であると認識をしておりまして、現在、国の研究機関あるいは大学の専門家から助言・指導を受ける体制づくりとして、例えば梅生育不良調査研究会などのような組織の設置について検討しております。今後、さらに関係機関との共同研究も視野に入れながら早期に試験研究体制の充実強化を図っていきたいと考えております。
 さらに高度な研究機関の設置ということでございます。
 梅の置かれている厳しい現状を考えるときに、原因究明に向けた取り組みにさらに全力を挙げなければならないということから、県の基幹産業である梅の振興については、食品産業という視点も加味しながら、先日大沢議員にもお答えをいたしましたけれども、高度な研究機関も含め、将来の試験研究機関のあり方について今後さらに地元関係者とも協議をしていきたいと思っております。
 次に、森林交付税についてであります。
 県といたしましても、これまで森林・山村対策を積極的に展開してきたところでありますけれども、今日の森林及び山村の厳しい状況を見るときに、山村地域への財政支援措置の充実強化は非常に重要なことと考えております。
 森林は極めて公益性の高いものと評価をされておりまして、その機能は、水源の涵養など国民生活にも大変重要な役割を果たしていることは申すまでもないことであります。しかしながら、近年における木材価格の低迷、山村において過疎化及び高齢化が進んでおる中で、山村地域における従来の財源のみでは、こうした公益的機能を高度に発揮させ、国土を守っていくことは非常に難しいということを認識しております。
 こうした中で、本宮町が平成三年から提唱しているいわゆる森林交付税につきましては、平成五年の県議会において創設に関する意見書を採択していただいておるところでございます。森林交付税などの財源の付与について、先般も国会議員との懇談の際に新たな動きがあるということもお聞きをしておりますので、その動向を注視しながら、山村及び森林を守るための財源確保に向けて積極的な働きかけを行っていきたいと考えております。
 次に、木の国一村一木施設というご提案であります。
 林業が大変厳しい中で県産材の利用をいかに進めていくかが林材行政の当面する大きな課題でもあろうと思います。木の国一村一木施設は木材需要拡大の点から大変興味のあるご提案だと思いますが、私も、県産材の需要拡大を図るために、さきの部長会議の席上で、県産材の利用推進に全庁的に取り組むよう強く指示したところでございます。
 人に優しい木の文化の復権、あるいは紀州木の国の統一イメージの発信をも兼ね備えた木の国プロジェクト推進会議をスタートさせたところでございます。さらに、市町村に対しても、議員ご提案の趣旨も踏まえ、こうした県の考え方をご理解いただくように要請をいたしまして、県産材の利用促進を進めてまいりたいと考えております。
 最後に、和歌山下津港あるいは西防へのハブポート等の推進といった大変貴重なご意見についてでございます。
 実は、お話にございましたように、十二月三日、東京で和歌山21懇話会を開きました。官界、学会、経済界などの著名な方々に委員におなりをいただいて、和歌山の将来方向に対するご意見をいただいたわけであります。その中で、これからのアジアの時代に対応して和歌山県も海洋立県としての特性を発揮すべきであろうというお話や、特に、先ほどお話のございました香港、シンガポール、青島、上海というアジア各国の港の整備、マイナス十五メートル以上の岸壁整備とか、あるいは大型のコンテナ船の入港・出港ということに対する対応も大変大事であろうというお話もいただいたわけでございます。
 そういうふうなこともございまして、ただいま賜りました貴重なご意見については今後大いに参考として検討していきたいと思いますけれども、港全体、和歌山下津港全体については、将来構想としてなお具体的な検討をしなければならない課題もございますので、ただいまのご提言も含め、十分研究させていただきたいと思っております。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 梅生育不良に関する調査の経過とその成果についてでございますが、平成二年度から生育不良樹の発生の増加が見られましたので、平成三年度から暖地園芸センターと果樹園芸試験場が中心となり、国の研究機関や大学の専門家のご指導もいただきながら、栽培管理面を初め病理面、環境面など、総合的な視点から調査研究に取り組んでございます。
 栽培面では、剪定による樹勢の維持、かん水、有機物の施用による土壌改良に加え、樹勢回復をねらいとした現地試験を行うとともに、病理面では、ウイルスや細菌などについて種類の特定試験や現地での薬剤試験などを実施してございます。また環境面では、これまで関係機関の協力をいただきながら、移動測定車による観測や酸性雨調査を継続して実施するとともに、平成八年度から新たに、地元の対策協議会とも協議し、大気の暴露試験に着手しているところでございます。
 この間、樹勢回復対策などを盛り込んだ技術指針を平成四年、六年、八年と三回、地元の対策協議会等を通じて提示するなど、現地での対応に努めてございます。その結果、現在、実証展示圃等において、一部に土壌改良などにより樹勢回復の兆しが見受けられるなどの成果もございます。一方、大気環境につきましては、県内及び全国の平均的な状況と大差ない調査結果となってございます。
 いずれにいたしましても、現段階において原因が明らかになってございませんので、県といたしましては、当面、一部に成果も見られる土壌改良による樹勢回復対策や改植推進に一層努力するとともに、地元の協力もいただきながら酸性霧などを含む大気環境調査を引き続き実施するなど、今後とも原因究明に向け、総力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
 次に森林交付税についてでございますが、平成三年九月に本宮町が提唱されて以来、森林交付税創設促進連盟主催のフォーラムに職員を参加させるなど、町と連携を密にし、ともに議論を深めてまいりました。創設以来、連盟への参加市町村は年々増加し、現在六百七十四団体が参加するに至っておりまして、制度創設に向けた動きが活性化しております。
 こうした連盟の動きを踏まえ、これまで県といたしましては、新たな財源の付与等も含め、山村地域への財政支援措置の充実強化について要望活動を実施したところでございます。その間、国においても、森林・山村に対し、地方債措置や交付税措置を初めとして財政措置の充実強化が図られ、大きな成果をおさめてきたものと認識してございます。
 今後とも、本県山村・林業地域の活性化のために、ただいま知事が申し上げましたように、森林交付税を含め、より有利な財源の確保を目指し、積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に国産材の安定供給でございますが、木材需要の中心をなす住宅建設の動向は、近年、木造率が四〇%台にとどまるとともに、ツーバイフォー工法やプレハブ住宅の増加、洋風化に伴う代替材の進出などが顕著となり、県産材の需要は低迷を続けてございます。
 こうした住宅建設の変化に対処して県産材の理想促進を図っていくには、高品質の製品を定時、定量かつ安定した価格で供給する必要があり、特に製材原木の安定供給が最も重要な課題であると考えてございます。このため、森林組合から木材市場、製材工場に至る流れを太くすることを目的に、本年度から県独自の県産材流通安定促進事業を実施してございます。
 市場出荷量につきましては、市況が低迷する中にあっても、昨年の同期に比べ二割程度出荷量が増加しており、着実に事業効果があらわれてきたものと考えてございます。
 今後とも、森林組合による林家への働きかけを強化するとともに、作業道の緊急整備や高性能林業機械の普及など、木材の安定供給に向けてより一層取り組んでまいる所存でございます。
 次に本県の主要木材である杉材でございますが、建築構造材としては米ツガや集成材との競合、また板材としては非木質系資材の攻勢を受け、その用途は近年著しく縮小されてございます。
 こうした状況の中で、杉材の需要拡大のためには、新しい用途開発に向けての取り組みが重要でございます。このため、林業センターでは、既に開発した杉の圧密処理や化粧木材の実用化試験に取り組んでいるところでございます。
 今後、その成果を見きわめながら杉処理材の内装材、床材、家具用材への用途を開発するとともに、紀州材のよさが生かせる規格化の研究など、建築用材としての利用拡大を積極的に進めてまいりたいと考えてございます。
 次に融資制度の創設というお話でございますが、製材工場の従業員の休憩所や食堂などの職場環境整備は非常に重要なことと考えてございまして、こうした職場環境に対する助成制度については、林業関係や商工関係にそれぞれ適切な融資制度がございます。今後、関係課が連携して制度の啓発等を行い、職場環境の向上を促してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育施設への木材利用と林業振興にかかわる教育の二つの点からお答えいたします。
 木造の教育関係施設の設置についてでございますが、最近の施設の高層化、鉄筋化が進む中でこれからの教育を考えるとき、温かみと潤いのある環境づくりのためにも木材を使用することは意義のあることと考えてございます。
 最近では、県内で三町村が木造の学校施設を建設しております。しかしながら、木造建築物については、安全性や維持管理面、とりわけ建築単価面での財政負担の増など、種々の問題点のあることも実情でございます。
 このような中で、木材の持つすぐれた特性を考慮しながら、腰壁、床などに利用するなど、その有効利用についてより一層工夫を加えてまいりたいと考えております。また、市町村教育委員会に対しましても、その促進について周知徹底を図ってまいりたいと考えます。
 次に、林業の振興と森林の重要さに関する教育についてお答えいたします。
 平成四年に学科改編した熊野高校森林科学科において、専門的な人材の育成を進めるとともに、小学校、中学校の教育活動において自然のすばらしさに触れ、その大切さを学ぶ体験的な活動、また森林の保全等について学習する環境教育を進めてきてございます。今後とも、こうした教育の一層の充実に努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) 以上で、木下秀男君の質問が終了いたしました。
  ─────────────────────
○議長(町田 亘君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
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○議長(町田 亘君) 次に、議題となった全案件のうち、議案第百六十六号平成七年度和歌山県歳入歳出決算の認定についてを除くその他の案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
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 【日程第三 請願付託】
○議長(町田 亘君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会にこれを付託いたします。
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○議長(町田 亘君) 次に、お諮りいたします。十二月十三日及び十六日は、常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、十二月十三日及び十六日は休会とすることに決定いたしました。
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○議長(町田 亘君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員から、これを申し上げます。
 〔職員朗読〕
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 総務委員会  第 一 委 員 会 室
 福祉環境委員会 第 二 委 員 会 室
 経済警察委員会 第 三 委 員 会 室
 農林水産委員会 第 四 委 員 会 室
 建設委員会  第 五 委 員 会 室
 文教委員会  第 六 委 員 会 室
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○議長(町田 亘君) 次会は、十二月十七日再開いたします。
○議長(町田 亘君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時一分散会

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