平成8年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(鶴田至弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時三分再開
○副議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番鶴田至弘君。
 〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 お許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 西防埋め立てが完了し、関西電力によるLNG基地と発電所の建設の準備が一方的な計画どおりに進められようとしているわけですが、聞くところによりますと、関電による環境アセスの中間報告も出されたようであります。そのような動きに対して環境保護を求める団体などがその建設に反対する動きを強め、また直截な意思表明をしていない多くの人々の間にも基地と発電所建設に対する不安が広がってきつつあるのも事実であります。住友金属が公害防止のため貴重な公有水面を埋め立て、企業の理由によってそれを関西電力へ転売するという行為そのものに対しても、県民の間に残っている疑問はほとんど解けていないのが現状であります。私も、幾度かこの問題についてここで質問をいたしてまいりましたが、心に落ちる答弁は得られませんでした。今回もごく素朴な疑問を提起し、当局の考えをただしたいと思います。
 一番目は、住友金属による公害がなくなったのかという問題です。
 これについては、九月の議会で議員の質問に答えて、「平成二年度までは降下ばいじんが環境改善目標値を上回った年もございましたが、平成三年度以降は目標値を達成している」と答弁をしています。──実態はどうか。市民団体が現在も調査を続けておりますが、アトランダムに周辺の聞き込み調査をした中間報告によれば、二百戸のうちの百八戸が、夏、窓をあけて寝られる状況ではない、粉じんが入り込んでくる、当然昔よりはよくなっているけれどもまだまだ公害がなくなった状況ではないと話されているようであります。
 数値が一定の基準を満たせばそれでよしという性格のものではありません。その場で生活する人々が快適に生活できるかどうか──暮らしの守り手の行政としてはそこに基準が置かれなければなりません。県としては、地域住民の実態を正確に把握する必要があろうと思います。私自身、部分的な体験ですが、粉じん公害は依然として残っていると確信をいたしております。このような実態を当局は承知していますか。それをどう考えていますか。県行政の手で一度実態調査をし、公害施設の沖出し中止の是非を検討する必要があろうと思いますが、いかがでございましょうか。
 次に沖出し中止について、住金は、地元の合意を得ていると県に報告をしておられるようですが、地元合意なるものの内容はどのようなものですか。県当局自身、それを確認していますか。沖出し中止については多くの方々が不満を表明しています。
 去る九月議会の答弁では、その内容を掌握しているようではありませんでした。公害を受けた方々が沖出し中止をどう考えているのか、どのような条件で沖出し中止に合意したのか、あるいはしなかったのか、すべての自治会が合意したのか、自治会を構成している人々が跡地利用についてどんな認識を持って沖出し中止を考えたのか、県として正確に掌握しておくことは当然のことだと思います。
 現地では、まだ合意していない自治会もあると聞きます。個々の住民の中には、そんな合意などは知らないという方も結構たくさんおられます。当局として、内容も含めて地元の意見を聞き取るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 三番目は、公害防止を目的とした埋立地にあえて公害発生装置であるLNG発電所を建設するというのは埋め立て目的を損なうものだという問題であります。
 関西電力の説明によりますと、発電所が建設され稼働するようになれば脱硝装置をつけるとのことですが、九〇%脱硝しても、年間二千トンの窒素酸化物が周辺に排出されることになります。たとえ稼働率が七〇%としても、年間千四百トンという数値が引き出せます。ppmという単位に直せば公害防止協定を下回り、法的にはクリアされるでしょうが、一日数トンの窒素が周辺を汚染していると考えると決して快いものではなく、住友金属が排出する窒素酸化物年間六千トン以上を合わせると、また新たな公害を──たとえそれがとりわけ激しいものではなくとも、長期間には新たな公害を引き起こすことが懸念されます。いかがお考えになっておりますか。
 LNGが従来の化石燃料よりも低公害であるというのは、事実であります。我が党もそれを十分承知しており、現在の重油による発電をLNGに切りかえていくことを主張しておりますが、しかしそれは低公害であって、無公害ではありません。埋立地は、公害を防止するための造成地であります。そこにあえて、たとえ低公害であっても一日数トンの窒素酸化物を排出する発電装置を建設することは県民に対する道義的背信行為でもあると思われますが、いかがでございましょうか。
 四番目は、埋立地という造成地にLNG基地や発電所をつくる危険性という問題であります。
 埋立地利用計画検討委員会では経済的、法的側面での一定の検討をされたようでありますが、地震学や地質学的検討はほとんど抜きにしてLNG基地並びに発電所の建設を答申し、後は環境アセスの結論を待つといたしました。もともと答申の内容は、諮問にかかる前から既にうわさをされていたとおりのものであり、私自身どれだけ権威のある答申なのか、いささか心もとない思いをしているわけですが、いずれにしろ、自然科学の肝心の部分が欠落しているように思います。
 それはさておき、兵庫県南部地震が与えた教訓は極めて大きなものがあり、大地震の前には現在の土木技術は相対的にしかその安全性を保障できないことを物語っています。まして、日本最大の活断層が近接し、大小の活断層が恐らく未発見の状況で潜在しているだろうと推測される埋立地にLNG基地や発電所を建設することは、まことに危険なことだと言わなければなりません。
 地質学者の生越忠氏は、阪神大震災の前に六甲ライナーの地震時の危険性を予見した人として知られている方ですが、この埋立地にLNG基地や発電所を建設することに対し、埋立地の不等沈下による危険性、基礎地盤の変形による危険性、液状化現象による危険性、津波による危険性と、極めて多角的にその危険性を指摘し、強い警告を発しています。同時に、巨大地震が紀伊半島全体に必ずしも遠くない将来に発生することを理論的にも解明し、LNG基地や発電所の建設がいかに無謀であるかを論じています。巨大地震来襲の確率の高さは、関係者も既に承知のとおりであります。
 当然、関西電力は、その自然災害を上回る科学技術によってそれに十分対処し得ると答えるでしょう。それなりの科学者の論陣も用意しているでしょう。これらの科学的論争は十分時間をかけてやってもらえばいいと思いますが、同時に行政側もこれらの科学的論争を理解する能力も求められるでしょう。このような論議に行政としてはどう対応する予定ですか。みずから選任した科学アドバイザーの論だけで行政の方向を定めるつもりですか。市民的議論の場を行政が保障していくことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 五番目も同じような問題ですが、近々、関西電力によるアセスメントが出てまいります。あの膨大な資料は、科学的知識の不足もあってなかなか読めるものではありません。ただ一言言えることは、恐らくアセスの結論はLNGの基地や発電所を建設しても大丈夫だということだと思います。いまだかつて、自分がもくろむ事業を否定するような環境アセスを出した事業者はありません。これは公理と思えるほど間違いがありません。しかし、それを批判する資料や学説というものも立派にあるわけです。したがって、アドバイザーもいろいろ勘案し、学説的にも多角的に配置されなければならないと思われます。さまざまな意見が集約される必要があります。アセスを読み、行政判断を下すためにどのような体制を考えていますか。
 六番目、LNG発電所や貯蔵基地を予定している地は軟弱な埋立地であります。日本最大の活断層の存在する地であり、未発見の活断層の潜在が推測される地であります。そして、巨大地震の来襲が確実視されている世紀であります。LNGもクリーンで安全と言われていますが、一定の条件のもとでははかり知れない危険性を持つことも明らかになっています。このようなことを考えると、建設には慎重の上にも慎重を重ねなければなりません。埋立地利用は、LNGタンクや発電所だけではないはずです。十分それらを調査し、次の世代のことをも考慮して、あえて巨大な危険を内包するLNGタンク群や発電所の建設に猪突する必要はなかろうと思います。この際、当局は、疑わしきは建設せずとの姿勢を示すべきではないかと思いますが、いかがでございますか。
 この際、少し問題は変わりますが、自然エネルギーによる電力開発について質問をしておきたいと思います。
 昨年度、今年度と各千四百万円の予算をもって自然エネルギーによる電力開発の調査を行っているようですが、その研究の目的、現段階における成果、今後の開発計画をお示しいただきたいと思います。
 紀伊半島が公害半島と呼ばれることにならないよう、今、自然エネルギーの研究の強化によって、文字どおりクリーンエネルギー開発先進県として、先進半島として飛躍されることを志してはいかがでしょうか。
 続いて、同和問題に関連して質問をいたします。
 今議会の知事のあいさつにもありましたが、同和問題に関連して幾つかの質問をいたします。
 本年五月、国の地域改善対策協議会は、「同和問題の早期解決に向けた今後の方策の基本的な在り方について」という文書を発表いたしました。そこでは、これまでの行政や国民の努力の成果として、「物的な生活環境の劣悪さが差別を再生産するというような状況も改善の方向に進み、差別意識の解消に向けた教育及び啓発も様々な創意工夫の下に推進されてきた」として、その結果、「地方公共団体にとって財政的負担が特に大きい物的な基盤準備はおおかた完了したとみられる。これらを総合的に勘案した場合、全般的にみれば、これまでの特別対策は現行法期限内におおむねその目的を達成できるものと考えられる」として、さらに、「このようなことから、従来の対策を漫然と継続していたのでは同和問題の早期解決に至ることは困難であり、これまでの特別対策については、おおむねその目的を達成できる状況になったことから、現行法の期限である平成九年三月末をもって終了することとし(中略)なお残された課題については、その解決のため(中略)工夫を一般対策に加えつつ対応するという基本に立つべきである」としております。
 私は、地対協の見解のすべてに合意するものではありませんが、この部分に関してはほぼ完全に同意するところであります。しかし知事は、冒頭の説明の中で、法的措置、行財政的措置を平成九年以降も講じられるよう国に強く求めたと述べられました。私は、現在の時点で同和地区という特定地域を特別に定め、法による特別対策を行うことは従来の策の漫然とした延長であると考え、知事の説明に同意しかねるものであります。一般対策に工夫、改善を加えて問題を解決すべしという地対協の見解をどのようにお考えですか。知事の所信を伺うものであります。
 当局は、同和対策事業の年度内完了を常に表明し、本年度も多額の予算を計上してまいりましたが、知事が法的措置、行財政的措置を強く国に要望してきたというところを見ると、相当の残事業を予想しているようにも推測されます。現時点でどのようにそれを把握しておられますか。できるだけ詳細に明らかにして、なぜ地対協の言うごとく一般対策に工夫を加えることでは不可能と考えるのかを示していただきたいと思います。
 地対協のいう一般対策に工夫を加え、かつ今までの取り組みを漫然と続けるのではなく思い切った見直しが必要だということは、県や市町村で独自に行っている事業についても当てはまることであります。私は二月の議会でそのことを当局に求めたところ、「これまでの事業の成果が損なわれるなどの支障が生ずることのないよう、県単独事業等も含め、現在残されている課題を整理分析し、解決への方策について検討している」と答弁をされました。平成五年にも同趣旨の質問を行いましたが、同じような答弁でありました。答弁は、検討しているというだけで中身は一向にはっきりしないし、変わった様子もありませんでした。ついては今年度、残りもわずかとなったわけですが、漫然として従来の対策を続けないためにもどのような工夫がされてきたのか。検討してきた主な課題と方向を明らかにしていただきたいと思います。
 私は二月の議会で、具体的な課題の一例として子供会や個人給付の問題を挙げました。それについてもお答えをいただきたいと思います。
 二月議会では、市町村の事業についても触れてまいりました。県と市町村は対等の自治体でありますから、県が市町村の行政に余りくちばしを入れることを好むものでありませんが、大きな問題には、やはり県としての見識を表明することは許されることだと思います。
 例えば和歌山市における同和住宅費の問題、国保・固定資産税の問題等は、市民間に大きな不信を引き起こしています。これについては私も二月の議会で、ここで詳細に述べさせていただいたところであります。市民の不信が行政に向かっていることは行政を改めさせる力となって働きますが、同和地区へ向かえば新たな差別を生み出す根源にもなりかねません。地対協は、事業実施に当たって周辺地域との一体性を欠いたりしていることが差別意識の解消に逆行している点もあるとか、同和対策が同和地区、一般地区と公的に区分して行政してきたことにも問題があると述べていますが、今特に、このあたりが焦眉の問題として問われていると思います。
 二月議会では、「著しく均衡を失した低家賃、国民健康保険を含めた税の減免等々についての是正に取り組まなければならない時期であろうと認識しており、今後市町村とも検討を重ねてまいりたい」との答弁がありましたが、この検討はどこまで進みましたか。問題が一挙に解決できないのはわかりますが、改善の方向は速やかに、大胆に打ち出すべきだと思います。現在の到達点を示していただきたいと思います。
 同和問題の最後に、同和教育に関係してお尋ねをいたします。
 去る十一月、白浜町において、「同和行政を終結し、日本国憲法を暮らしに生かした人権・福祉・平和の町づくりを」という決意表明をした、町を挙げての力強い集会がありました。その宣言の具体化の一つとして、同和教育方針の見直し作業が進められています。
 南部町においては、既に平成六年以降、同和問題中心の同和教育から人権意識を高める学習、人権教育へ移行していく方向を確認され、その実践が始まっています。新しい人権教育の流れが生まれ育ちつつあると言えます。
 同和教育は、和歌山県の教育行政にあっては極めて大きな柱の一本であります。それは、教育委員会の発行する「和歌山県の教育」という冊子に同和教育基本方針が冒頭に掲げられていることからも明白であり、実際、その教育実践のために二百数十名の同和加配教員が独自の予算で配置されていることでもうかがわれます。この同和教育の実践は大きな役割を果たし、教育面における一般地域と同和地域の格差をなくすため、多大の成果をおさめてまいりました。関係各位に敬意を表するものであります。
 しかし、この基本方針は、方針自身が述べているように、同和対策審議会の答申の精神にのっとり、同和対策特別措置法の趣旨に基づいて打ち立てられたものでありました。そして、二十数年を経た今日、同和地区の様相は一変し、教育における格差是正も進み、新しい人権教育の流れを生み出す時代になってまいりました。学力の問題においても、同和地区との格差というよりも父子家庭、母子家庭、生活保護家庭の師弟との格差の方が深刻な問題になってきていることが直近の学力調査でもうかがわれます。同和教育の名において行われる実践が時には現実の問題と矛盾を来たし、同和地区のアパートの家賃が私とこよりも高いといったことが差別のあらわれだとされ、厳しい学習の対象とされるようなことも生まれてまいりました。教職員の同和教育の実践家たちも、このような現実の中で、部落差別を中心とした同和教育は新たな弊害を生み出しかねない、人権一般、民主主義の大切さを学ぶ人権教育へと脱皮するときだとして、同和教育の発展的解消を唱える流れも大きくなってきています。私も、二十数年前の同対審当時の現実と現在との相違を見るとき、同和教育の面でも新たな発展がなければならないと考えるものです。
 去る二月議会において教育長は、今後とも子供の実態や地域の実情に即して積極的に同和教育を進めると答弁されましたが、時代と現実は同和地区を一般地区と教育面でも格差のあるところと特定し、子供たちも同和地区の子供と特定したところから出発する同和教育を基本的、抜本的に見直す時期ではないかと考えるものでありますが、教育長の所見を伺うものであります。
 次に、官官接待等についてお尋ねをいたします。
 官官接待が市民オンブズマンの活動によって全国的に大問題となり、さまざまな形でその実情が明らかにされるに至りました。地方が中央省庁を接待する、それによって地方の受益をいかに大にするか──地方はさまざまな苦労の一つとして接待という方式を編み出し、それを普通のこととして長い間その陋習に浸ってまいりました。そういう習慣はおかしいのではないかという市民からの批判が出始めたころ、行政側の対応には実に迷惑そうな言辞が目立ちました。どこでもやっていること、常識の範囲内だから許されること、好ましいとは言えないがある程度必要なこと、等々でした。しかし、いわゆるオンブズマンの調査が全国的に広がり、その膨大な食糧費に市民の批判が高くなり、ところによってはその飲食費の返還を求める訴訟が行われるような事態も生まれる中で、行政側の自己点検もだんだんと進んでまいりました。
 我が和歌山県でも東京事務所の食糧費が問題になり、さまざまな角度から議論がなされました。私もこの席上で、あるいは委員会の席上で、いわゆる市民オンブズマンの活動を肯定する立場から意見を申し上げ、食糧費の中で中央省庁の接待に充てられた費用の全貌を明らかにし、かつそれを基本的に廃止されることを求め、質問をしてまいりました。しかし、食糧費の総額は集計が困難という理由と、接待費についても同様の理由で明らかにされませんでした。いわゆる市民オンブズマンが明らかにした接待費についても、その相手先、省庁名は今後の活動に差し支えるということで、途中で公開が中止されました。これらの措置は明らかに情報公開の流れに反し、県民の知る権利を阻害するものでした。しかし、一九九五年度の決算において、その年度の食糧費は、予算額四億三百万円に対し二億七百万円の支出にとどまったと報告されています。報道によると、予算要望活動などでの省庁との懇談は会費制による昼食会に切りかえるなど、定例議会ごとに見直すことによってこの結果を得たとあります。
 一億九千六百万円の減額は、旧来の陋習を打ち破っていく上で大きな成果だと思います。私は、自治体の自浄能力を発揮されることをしばしば求めてまいりましたが、この減額はその一つのあらわれと評価するものであります。ついては、現在の我が県における中央省庁に対する接待なるものはどのようになっておるのか。県民の批判に十分耐え得るものになっているのか、どんな基準で行われているのか、明らかにしていただきたいと思います。この間、この問題についてどのような教訓を得てきたのかということも述べていただきたいと思います。
 出張旅費の問題でいろいろと疑惑が生まれているようであります。和歌山県監査委員事務局の空出張の疑いがあるとして、市民団体から批判が上がっています。平成六年度のことですが、同委員事務局の県外出張四十八件のうち十二件についてその疑いがあるとされました。疑いは疑いであって、それが事実であるかどうかは別問題ですが、私は、その疑問に対する監査委員の対応に対して強い不満を抱くものであります。
 疑問を抱いた市民が当局の説明では納得できないとして提出した空出張疑惑についての監査請求に対し、請求は行為から一年を過ぎているからとしてその請求を却下したとのことであります。なぜ率直に、請求にこたえなかったのでしょうか。多くの県民がこの却下という段階で、ぼんやりしていた疑惑から確信的な疑惑を抱くようになったと言っています。事は極めて簡単なことで、出張したのは二人なのか三人なのか、日数は二日なのか三日なのか、これだけのことなのです。この単純な監査請求に、一年以上経過しているから正当な理由がないと監査請求ができないとして門前払いし、真相を隠ぺいしました。正当な理由がないとする判断に、まず問題があります。情報公開条例の存在をその理由としていますが、まるで説得力がありません。
 次に、却下をしても真実を公開することはできるはずです。それをしないで真相については口をつぐんだままということは、実に情けない。不正がなければ堂々とそれを説明すればよいし、誤りがあれば誤りとわびて必要な是正の措置をとればいいわけです。そういう正々堂々としたところ、あるいは率直なところこそ県民の信頼を培う大きな要素だと思うのです。実にまずい対応です。県民の疑惑にこの場でお答えください。
 いわゆる空出張問題という不祥事が全国的に相当蔓延しており、深刻な事態になっているようであります。旅費に関する不正支出が明らかになり、返還または返還予定の都道府県は全国で十四に上っており、疑惑の段階を含めると二十五都道府県に上っています。和歌山県も一度全体を総点検してみてはいかがでしょうか。
 県民から一枚一枚かさぶたをはがされるような形で実態が暴露されるのではなく自主的に自発的に、前年度でもよいですが、総点検をしてみてはどうでしょうか。率直に言って、県民の中に、和歌山もやってらようという声は決して少なくありません。点検すれば、大か小かは別として汚れ物は出てくるでしょうし、そういうものをみずから摘発し、みずから浄化していくのも大切な仕事だと思います。厚生省の腐敗ぶり、秋田県知事の辞任表明事件などを他山の石として、私たちの和歌山県庁を真に県民の信頼に耐え得るものにしようではありませんか。そうしてこそ、地方分権の課題にもこたえ得る体力もできると思うものであります。
 最後に、その件で一言申し添えれば、食糧費や旅費規程等に不十分な点があるのかもしれません。現時点に見合ったものに改め、規程の費用で十分仕事ができるようにすることも必要だと思います。空出張分で不足を補わなければならないようであれば、規程の方を即刻改めるべきだと思うからであります。
 次に、関西相互住宅の倒産にかかわって質問をいたします。
 事業主の出資法違反容疑や詐欺的行為の糾弾はこの場ではさておき、被害者の保護、県の指導責任という二点についてお聞きいたします。
 法によれば、この業は建設省または県の許可が必要となっており、その理由として債権者を保護する必要があるとされておりまして、その理由はもっともなことであります。そこで、その法の趣旨である債権者の保護のために県行政は責務を十分に果たせたのかという問題があります。
 積立式宅地建物販売業法は、その目的を達するために業者を指導監督する義務を課しています。その内容としては、いろいろな条件をつけていますが、四十二条において、業務を改善するための必要な措置をとることができるとしております。四十四条では、この業の目的に反する行為を行ったときは業務の停止を命ずることができるともあります。当然、その前の手だてとして、四十六条で業者に対する聴聞の権限、五十一条で業務現場への立入調査の権限なども監督者の権限として県は与えられております。この間、県は、このような法に基づく指導監督の責任をどのように果たしてきたのでしょうか。
 一昨日の本議会では、毎年度の事業報告を審査してきたが問題点は見当たらなかった、したがって法で義務づけられている以上の検査などを行う必要を感じなかったとの答弁がありました。果たして、提出された報告に問題はなかったのか。大量の契約書など、十分点検し切れていないのではないか。そんな仕事を建築課がこなせる体制にあったのだろうか。私は、随分疑問に思います。業者の報告に問題を見出せなかったから指導できなかったと、それだけでは債権者の保護という任務は果たされることはありません。問題の見つかるような報告をわざわざ業者が提出することのないのは初めからわかっていることです。そこを点検するのが監督というものです。県は、そういう立場から見て、みずからの指導責任を果たし得ていたのかどうか。また、そういう観点から見て、二億数千万円とか言われる供託された金の適正配分だけで県の責任を果たしたと言えるのでしょうか。所見を伺うものであります。
 以上で、第一問を終わります。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員にお答えをいたします。
 同和問題に対する私の所信であります。
 本県の同和対策の現状につきましては、生活環境の改善を初めとする物的な整備がおおむね完了いたしました。さまざまな面で存在する格差が大きく改善されてきたと思っております。しかし市町村の中には、平成九年度以降にどうしても残らざるを得ない登録事業などがございます。また、同和地区実態調査及び学習状況調査等の結果から見て、教育・啓発、産業・就労のソフト面においても残された課題がまだあるわけであります。したがいまして、これらの課題を早期に解決するためには一般対策に工夫を加えるだけでは解決できないものもございます。特別法による行財政措置が必要であるとの観点から、国に対して積極的に働きかけているところでございます。
 同和対策につきましては、ただ漫然と継続しているわけでなく、できるだけ早く一般対策に移行すべきものであります。また、その努力を続けているわけでありますが、残された課題があり、財政負担も大きくなる状況にあっては引き続き法的措置が必要であると考えてございます。冒頭にご説明申し上げたところであります。
 以上であります。
○副議長(下川俊樹君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 鶴田議員の西防埋立地利用についてのご質問のうち、三点についてお答えをいたします。
 まず、公害はなくなったのかということについてでございます。
 降下ばいじんにつきましては、従前から北港センターと湊文化会館において測定を行っているところでありますが、平成三年度から平成七年度のデータは環境改善目標値を下回ってございます。
 また、平成六年二月議会における、環境改善目標値は達成されているが気象条件などによっては影響を受ける項目もあるとの答弁を踏まえて、県、市及び住友金属株式会社による環境モニタリングシテスム協議会を設け、住友金属周辺の降下ばいじんについて十五カ所で本年四月から監視をいたしてございます。今後とも、環境保全対策の積極的な実施と徹底した維持管理を指導してまいります。
 次に、新しい公害は生まれないかというご質問でございます。
 LNG発電所につきましては、議員ご指摘のとおり窒素酸化物が排出されますので、今後、県へ環境影響調査書が提出されれば審査検討を行い、脱硝設備による公害防止対策を、既存の住友金属工業株式会社和歌山製鉄所による公害対策も含め、厳しく指導してまいりたいと考えてございます。
 いずれにいたしましても、この埋立計画の趣旨にかんがみ、全体として当初計画の環境改善目標を達成されることが前提であると考えてございます。
 次に、アセスや学説に対する行政判断でございます。
 電源立地関係につきましては、庁内に関係課による電源立地連絡調整会議が設けられており、この中で環境影響評価に関する事項について協議検討を行うこととなってございます。
 今後、事業者から環境影響調査書が提出されましたら、生活文化部におきましては、公害関係、自然保護関係について専門アドバイザーの助言を得ながら慎重に審査をしてまいる所存でございます。
 次に、同和問題における同和教育子供会についてのご質問にお答えをいたします。
 同和教育子供会は、子供の実態に学び、その姿を通して子供たちを取り巻く課題解決のための活動をしてまいりました。同和教育子供会が地域の教育活動の核として果たしてきた役割は、子供たちの教育条件をも高めてまいり、相当な成果を上げてきたものと考えております。しかしながら、今もなお、それぞれの地域において抱えている課題があることも事実であります。
 県といたしましては、周辺の子供集団との交流活動を活発化するように指導するとともに、課題が解決されたとする子供会については市町が責任を持って地域と話し合いを持ち、その意見を十分反映させる中で今後は地域子供会として取り組むことを確認するなど、関係各市町と協議を重ねているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 鶴田議員のご質問にお答えします。
 まず、西防埋立地利用における二点についてであります。
 沖出しの地元合意についてでありますが、平成六年三月の住友金属工業株式会社からの「西防波堤沖埋立地の利用計画見直しについて」の申し出の中で、関係全自治会のご理解をちょうだいすることができたとの報告を受けております。このことは、企業の申し出とはいえ、埋め立てが公害発生源の移転を主な目的の一つとして計画された経緯から地元の意見を尊重したものであると認識しております。
 なお、県といたしましては、当時、沖合移転の中止について、遺憾ながらやむを得ないこととして、新たな土地利用計画について西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会に諮り、目下検討していただいているところでございます。
 次に、埋め立て目的との関係で問題はないかというご質問でございますが、西防波堤沖埋立地の新しい土地利用計画が確定し、現在の用途とそごを生じることになれば、公有水面埋立法第二十九条の規定に基づく用途変更の手続を行う必要があります。
 次に、関西相互住宅の倒産についてのご質問であります。
 関西相互住宅株式会社に対する指導監督につきましては、積立式宅地建物販売業法により、事業報告の届け出及び積立金等保全措置が講じられている旨の届け出が業者に対し義務づけられており、この届け出等またはその他の、例えば苦情等により何らかの問題を県が把握できた場合において、法律で義務づけられている以上の報告の徴収、立入検査等を行うことが必要となると考えております。
 関西相互住宅株式会社につきましては、事業報告等の法律上で求められている項目について審査を実施してまいりましたが、特に問題点は見受けられませんでした。また、苦情等もなかったことが実情であります。このため、経営の実態について疑いを持ち、法律で義務づけられている以上の、例えば立入検査等を行わなければならない必要性を感じることは困難でありました。
 今後、県といたしましては、積立式宅地建物販売業法に基づいて販売契約とみなされる契約をされている方に対し、法律により確保している営業保証金の配当に向けて作業を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) ご質問の三点についてお答え申し上げます。
 まず西防埋立地利用について、LNG基地、発電所をつくる危険性についてでございますが、県といたしましては、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会の最終答申をまって、安全性についても協議及び検討を行うことになるかと考えてございます。また、地震や地質などの安全性については、専門的な立場からアドバイザーなどの学識経験者の助言をいただかなければならないと考えてございます。
 次に官官接待、旅費等について、官官接待の現状、この一年で何を学んだかということでございますけれども、食糧費の執行につきましては、昨年来、全国的に大きな問題となっており、本県においてもいろいろとご指摘を受ける中、総務部長通達等を初め、機会あるごとにより一層の節度ある執行を促してきたところでございます。その結果、議員ご指摘のとおり、七年度の食糧費の決算額は二億七百万円となりました。現在の本県の食糧費の執行状況、特に関係省庁との懇談会はほとんど開かれていないのが現状でございます。
 なお、食糧費の問題につきましては、国と地方自治体との関係における現行制度上の要因もあるということが指摘されておりまして、その意味で今後地方分権を推進することが必要であると考えますが、本県としては、公務員の倫理が今まで以上に問われている今日、職員一人一人が初心に立ち返って県民の信頼にこたえる行政を進めることが重要だとの認識のもと、食糧費の節度ある執行についてより一層の周知徹底を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、旅費等についての総点検をということでございますけれども、職員の出張につきましては、地方自治体で種々問題が発生していることは承知しております。本県におきましては、従前から各所属長に対し、旅費等の適正な執行に努めるよう通知しているところでございます。職員の出張に際しましては、それぞれの所属長が所要の事項を厳正に審査の上出張命令を行い、適正に対処しているものと考えてございます。
 なお、議員ご指摘の趣旨を踏まえまして、今後さらに旅費の適正な執行について各所属長に徹底してまいる所存でございます。
 また、旅費に関する規定につきましては、国の旅費法に準拠して職員等の旅費に関する条例等が定められてございます。今後とも、国等の規定も見ながら研究してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 LNG発電所の立地につきましては、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会の中間報告で、LNG火力発電所の選択が妥当である、ただし、可能な限り新たな環境の負荷の抑制に留意すべきであり、最終判断のためには通商産業省の環境影響評価要綱等に基づく調査の実施が必要であるとされてございます。これを受けて関西電力株式会社は平成七年四月から環境調査を実施しておりますが、同時に、阪神・淡路大震災を踏まえた、地震対策を含む安全性の検討も実施しているところでございます。
 県といたしましては、検討委員会の最終答申を待っている段階でございますが、ご質問の地質や活断層の存在に伴う耐震性及び防災保安対策等については、県の電源立地の判断基準の一つである安全性の範疇に入るものと考えてございます。
 次に自然エネルギーによる発電についてでございますが、現在、県のエネルギー施策の一つとして、自然エネルギー等クリーンなエネルギーの活用を検討することといたしてございます。この方針に基づきまして、平成七年度から二カ年にわたり新エネルギービジョン策定事業を実施しているところでございます。
 平成七年度におきましては、初期段階調査として県内における新エネルギーの導入実績調査、利用可能性調査等を行い、「新エネルギー導入のガイドブック」を作成し、市町村、事業者等への導入促進を図ってございます。さらに今年度は県内の公共施設における具体的な導入を検討するとともに、十一月末からは県内において風況調査を実施しているところでございます。
 今後、導入目標の想定、目標に向かっての方法等を取りまとめ、日照時間が長く、海岸線に面して比較的風力が強い本県の地域特性を生かした新エネルギーの導入促進を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 同和問題に係る残事業についてでございます。
 物的事業につきましては、現行法期限内に完了すべく懸命の努力を重ねてまいりましたが、当初計画していた事業のうち、街路事業、公共下水道整備事業等の一部の事業が法期限後に約九十億円残らざるを得ない状況となってございます。これらの事業は行政が責任を持って執行しなければならない事業であり、早期解決に取り組む必要がございます。また、登録されていない事業もございますので、今後、一般対策に工夫を加える中で取り組まなければならないものと考えてございます。
 次に、県や市町村事業についてでございます。
 今後残された課題は、一つは実態調査等から県全体との格差が存在すること、二つには啓発・教育についてより積極的に推進しなければならない課題が存在すること、三つには県下の市町村間における同和対策の課題が異なること、これらの主な三つの課題がございます。その課題解決に向けて、基本的には国の動向を十分見きわめながら施策の適正な推進に努めてまいりたいと考えております。
 したがいまして、県としては、地域改善対策協議会意見具申及び閣議決定、並びに同和地区実態調査結果等を勘案して、現在実施している事業の見直し等をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 同和教育のあり方についてお答えいたします。
 同和教育の推進につきましては、同和地区児童生徒の学力の向上と同和問題に対する理解や認識を深めることを重要な課題として、これまで同和加配教員の配置や進学奨励事業など、さまざまな施策を講じてまいりました。その結果、学力や認識等、多くの面で成果を上げ、課題の解消が進んできております。しかしながら、平成四年に実施した学習状況調査の結果を見ますと、同和地区児童生徒の総合正答率は、地区外の児童生徒と比べ、小学校で約四・五%、中学校で約七・六%低くなってございます。また、同和地区児童生徒の家庭環境を見ますと、保護家庭や母子家庭などの比率が非常に高くなっており、こうした生徒の場合、学力の差がさらに大きくなってきております。このことが進学率にもつながり、最近五年間の高校進学率では四ないし六%、大学では一二ないし一五%の差となってあらわれてきております。
 一方、教育委員会に報告された子供の発言問題を見てみますと、同和問題をみずからの課題として受けとめ切れていない状況や、あるいは大人の同和問題に対する誤った意識等が子供に反映している状況もうかがえます。
 地対協の意見具申におきましては、同和問題は過去の課題ではなく人権問題の重要な柱としてとらえ、教育・啓発が今後の重要な課題であると指摘しているところでございます。私たち教育委員会といたしましては、子供の現実こそ教育の原点であるととらえ、同和教育だけでなく、障害児の教育やいじめ問題などにおいても、何よりも子供の実態に基づいた実践を大切にしてきているところでございます。
 ご指摘の県同和教育基本方針は、個人の尊厳を重んじ、基本的人権の尊重を理念として、事実に即し、立場や考え方の違いを超えて一致点を見出し、実践に努めることを示したものであります。
 今後も県同和教育基本方針に基づいた教育を推進してまいりますが、この場合にあっても、同和教育推進協議会を初め多くの方々から意見をお聞きし、子供や地域の実態に即して同和教育の内容や方法等に創意工夫を加えてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 代表監査委員宮市武彦君。
 〔宮市武彦君、登壇〕
○代表監査委員(宮市武彦君) 鶴田議員にお答えいたします。
 空出張疑惑についてでございますが、地方自治法第二百四十二条第一項の規定に基づき、和歌山県監査委員に対する監査委員事務局の監査請求が平成八年九月四日に提出されましたが、同法第二百四十二条第二項の規定によって、請求期間の一年を経過しており、また一年以内に請求ができなかった正当な理由が認められなかったので、同法規定により却下いたしました。
 なお、第二百四十二条第二項の本文が監査請求期間を行為のあった日または終わった日から一年以内に限定している趣旨は、行政に係る法律関係の早期安定を図るためであり、長く住民監査請求の対象としておくことが法的安定を損ない、好ましくないという理由からであると考えております。
 議員ご指摘のとおり、この問題は全国的に取り上げられているところでございますが、当監査委員事務局においても疑問を持たれたことはまことに遺憾でございます。今後は、これらの問題について適正に対処してまいりたいと考えています。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、幾つかの意見を申し上げて質問とさせていただきます。
 LNGの発電所あるいはタンク群の設置の問題について。これからいろいろと判断材料となるような調査結果が出てまいると思います。それをどう読み解いていくのかということが非常に重要な問題になってくるわけです。
 先ほどの質問でも申し上げましたが、関西電力から提出されるアセスメント等については、みずからの実施しようとする事業を否定するようなアセスメントは恐らく出てこないだろうと考えています。そういうものをどういうふうに冷徹に読み通していくかということが行政の任務として非常に重要な課題になってくると思います。そしてまた、アセスメントに盛られていない問題であっても、在野の学者から、あるいは研究家から、あの埋立地に対するそのような建築がいかに危険であるかということがしばしば研究され、論じられているところであります。そういうものを行政がどのようにくみ上げて判断材料にしていくか。それが非常に大きな意味を持ってくると思います。何よりも関電側の理論に流されることなく県民の命を守るという立場で考える姿勢、それを行政として貫いていただきたいと思うわけであります。疑わしきは建設せず、こういう明確な態度がこれから県民の安全を守っていく上で極めて重要であろうと思います。そういう立場を貫いていただきたいということを申し上げておきます。
 土木部長に、二点、意見がございます。一点は住友金属の沖出し中止の問題についてですが、地元合意についてどのように掌握しているかという質問をいたしました。住友金属から地元の合意を得ていると聞いているということについては、既にもうこの議場で幾度かお聞きいたしました。私がお尋ねをしたのは、それがどのような内容であるのか、地元とはどういう層までを指しているのか、地域住民の中にはそういうものを承知していない人がたくさんいるではないかと、そういう立場からの質問でした。それに対してはお答えがありませんでした。実際に聞いていないのだからここで答弁のしようがないと思いますから再質問はいたしませんが、次にまたお聞きいたします。
 なぜするかというと、公害を受けていた地元の方々が実際に公害問題に対してどう考えているのか、沖出し中止をどう考えているのかというのは、行政としては重大な判断材料としなければならないことだと思うからであります。それを単に、住友金属からかように聞いている、それを行政として聞いているというのでは、住民に対して余りにも無責任ではないかと思うわけです。また、次の機会に聞かせていただきます。
 もう一つ、関西相互住宅の問題です。苦情がなかった、あるいは報告書に問題がなかった、だから何ら疑いを抱かなかったと、これだけでは行政の責任を果たしたとは言えないと思います。それだったら、だれでもやれます。私は、建築課自身がそのような不祥事が起こることを前提にしてその課を構成しているとは思いません。当然、それはそうだと思います。しかしだからといって、疑いがなかったから何もしなかったというのでは、自分たちには全く責任はございませんという開き直りにしかすぎない。やはり、そこには行政として考えなければならないことがあるはずです。実際に多数の被害者が出たわけです。その被害者を出さないために監督責任が県に与えられていたわけです。そこを何ら振り返ることなく、知らなかった、苦情がなかったと、それだけで済ますというのでは責任を持った態度とは言えないと思います。反省を願いたい。
 同和問題で幾つか発言をしたいと思いましたが、時間がなくなりました。教育長とは、見直し問題で意見が一致しませんでした。私もまた勉強して教育長と次の議会で議論をしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 以上で、終わります。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(下川俊樹君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時七分散会

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