平成8年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(吉井和視議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時四分開議
○議長(町田 亘君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(町田 亘君) この際、報告いたします。
 過日提出のありました議案第百六十七号から議案第百七十号までは、いずれも職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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      和人委第335号
      平成8年12月10日
 和歌山県議会議長 町 田 亘 殿
  和歌山県人事委員会委員長 若 林 弘 澄
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成8年12月9日付け和議会第286号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
     記
 議案第167号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第168号 教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第169号 市町村立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第170号 警察職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
    意 見 
 上記条例案については、適当であると認めます。
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○議長(町田 亘君) 次に、お手元に配付のとおり、監査委員から監査の結果報告がありましたので、報告いたします。
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 【日程第一 議案第百四十三号から議案第百七十号まで及び報第七号】
○議長(町田 亘君) 日程第一、議案第百四十三号から議案第百七十号まで、及び地方自治法第百七十九条による知事専決処分報告報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 4番吉井和視君。
 〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 おはようございます。
 きのう知事からの答弁の中にもありましたが、最近、地方の道はもう要らない、田舎の社会資本整備その他、道はもういいのではないかという政治家の発言があるということを聞きます。それは都会選出の国会議員の中から出ているようでありますが、これは都市、町の生活は地方すなわち田舎がつくっているということを忘れた発言ではないかと思うわけであります。農村が食糧の供給、環境の保全という、人間の生活になくてはならないものをつくっているんだということを忘れてはなりません。町がどんなに栄えても、地方、田舎が過疎化や高齢化といったことで荒廃するということは、魅力ある国土であり得ないわけであります。農村が持っているさまざまな存在価値の重要性というものについて、国民の共通認識が必要であると思います。
 そういう思いを込めて、農村、農業の成立、農業の基本方針である農業基本法について質問をさせていただきます。
 農業は、国の礎と言われてまいりました。衣・食・住と並ぶ重要な生活物資の中で、とりわけ食糧は人間の生命の根幹を支えるものであり、国民生活の維持発展の上で不可欠なものであるということは今さら言うまでもありません。地域における食糧の確保は、古来より政治の大きな課題であり続けてまいりました。食糧の生産を担う農業の振興は、こうした意味からも行政政策の中で大きな地位を占めるべきものであります。
 去る平成五年、ガット・ウルグアイ・ラウンドにおける農業合意がなされました。我が国の農業は、まさに国際化の荒波の中にほうり出されたわけでありますが、生産基盤等の脆弱な農業の実態を見るとき、これからの農業の振興に向け取り組むべき課題は山積していると言えます。その一つとして、農業基本法の改正があります。
 平成六年十月、内閣総理大臣を本部長とする緊急農業農村対策本部で決定されましたウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱において、農業基本法にかわる新たな基本法の制定に向けて検討に着手するということが発表されました。その対策として、農林水産大臣の諮問機関として荏開津元東大教授を座長とする農業基本法に関する研究会が発足し、現基本法の政策目標等の今日的評価及び基本法をめぐるさまざまな問題について議論がなされ、本年九月にその報告がなされました。この報告は、今後の食糧、農業、農村に関する国民的な議論が展開されるときのテーマについて、この研究会が提示したものであります。内容は、現在の基本法の今日的意義について整理し、これを評価し、今後、新たな基本法制定に向けた検討を行うに当たっての視点が報告されております。
 現在の農業基本法は、昭和三十六年に農業と他産業との間に生産性及び所得、そしてまた生活水準の格差を縮小させることを目標に、新しい農業・農政の方向づけを行うために制定されたものであります。昭和三十六年当時は高度経済成長のただ中であり、当時の農家の生活水準は、この経済成長の中で他の産業従事者と比較してその格差が一段と広がっているところでありました。それは、高度経済成長による消費者の所得が向上したにもかかわらず、農産物の需要が伸びず、さらにその根底には零細農業という我が国の農業構造の特質があったわけであります。そして、生産性の向上と生活水準の均衡という政策目標を達成するため、他産業に比べて不利な条件を克服することが必要であり、そのため、生産政策、価格・流通政策、構造政策の三本の柱により方向づけがなされました。自来三十五年間、この農業基本法は我が国の農政の基本指針として現在に至ったわけでありますが、今、その農業基本法の見直しについて論議がされ、検討が急がれているところであります。
 農業基本法に関する研究会の報告における今の農業基本法が果たしてきた総括的評価によると、「農業基本法がどの時期まで農政の指針たり得たかは議論があろうが、(中略)少なくとも制定当初においては指針としての役割を果たし、かつ、国も農業基本法に示された方向に沿って政策努力を行ったといえる。 しかしながら一方で、農業基本法は政策の重点を構造政策に置くことを企図していたにもかかわらず、実際には、価格政策中心の農政が展開された。実際の農業の運営としては、当時の政治経済社会情勢からそうせざるを得なかった面はあるが、農業基本法自身も、本来同法が意図したものを推し進める規範力を有していなかった」。また、「農業基本法が予測していた事態をはるかに超える経済社会の変化が進むにつれ、現実とのかい離が徐々に進み、同法は現実の施策のあり方の指針たり得なくなった。各種の立法・予算措置についても、農業基本法を根拠とした施策の具体化というよりも、その時々における政治経済社会情勢への対応姿勢を強めるようになり、同法の政策誘導機能はますます脆弱化した。こうして農業基本法は農政上あいまいな存在となった」と、総括評価をいたしております。
 農政の目標を定める農業基本法が新しい時代の要請に合わないものであるならば、新しい目標と意義のある基本法が必要であるということは言うまでもないことであります。現行の農業基本法のもと、これまで進めてきた国の農政の方向は、いわば規模拡大によるコストダウンを基本とする土地利用型農業の育成と言えるのではないか。和歌山県は中山間地を多く抱え、傾斜地農地も多いがゆえ、本県農政の方向は必ずしも国の方向と一致していたというわけでもなかったというように思います。
 そうした中にありまして、古くから本県の農家は、丘陵地を切り開き、段々畑を山の頂まで開墾し、重い苗木や水を肩に担いで農業を営んでまいりました。狭い農地を有効に用いる集約的な園芸農業は先人のこうした苦労によって大きく開花し、有田ミカンに代表される果実は日本一の生産を誇るようになりました。まさに和歌山県農業は、今後の新しい我が国の農業の進む方向の一つを示していると言えるのではないかと考えるのであります。
 また、食糧自給の問題であります。現農業基本法の中には、食糧自給について書かれているところが極めて貧弱であります。日本は先進国の中でも食糧自給率は異例に低く、世界の食糧供給力がダウンすればどのような事態になるかは明らかであります。先進国の中には、食糧の備蓄はもちろんのこと、農業資材までも備蓄して危機に備えているということであります。
 かつて、平成維新の会の大前研一氏は本の中で、日本で食糧の備蓄はナンセンスである、たとえ食糧・主食である米を備蓄してもそれを炊く燃料の備蓄が日本では一年分ぐらいしかできず、幾ら食糧・主食を備蓄してもだめであると言い、そのために農業を国民の税金で保障するのは税金のむだ遣いであるというような発言をいたしております。食糧安全保障というものは、むだを覚悟でやるものであります。むだになればそれが一番よいことであるわけであります。まさに、食糧の安全供給は国の責務であるわけであります。
 そのために、取り組まなければならないことがたくさんあります。まず、農地等の確保、次に農業の担い手確保という施策を行う必要があります。例えば、緊急の食糧危機事態が発生するおそれが生じたときどのように対応するのか。国民の生命を守るため、最低どのくらいの量の食糧が生産できるかということを、平時日ごろ考えておく必要があるわけであります。
 ちょっと政治家の名前は忘れましたが、そこらじゅうでゴルフ場の開発論議がされたときに、「ゴルフ場は幾らできてもいい。いざというときに、そのゴルフ場へ食糧、芋でも植えたらいいではないか」という発言をした政治家があります。冗談ではない事態が来ないとも限らないわけであります。それぐらい真剣に考えることが食糧の安全保障というものであろうと思います。
 農地の確保と同じく水資源の確保も大変重要で、前の議会で私はため池の利活用、保全整備について質問をいたしましたが、全国のため池は二十万カ所、その貯水量は三十四億七千万トンで、全国のダム貯水量の一四%に相当する貴重な水資源であります。生活雑排水の流入やごみの不法投棄などで水質が悪化し、もはや農家だけでは保全管理するのが困難な状態になってきておるわけであります。農業関係者だけによるため池の整備については既に困難な状態となっている今、住民参加方式が論議されているところであります。このように、役割の大きいため池を抱える農村の保護についても論議していただきたいと思うわけであります。
 今、農村地域は全般的に過疎化や高齢化の進行により地域の活力が低下している現状にあります。特に中山間地域では、地域社会の維持すらが困難なところがあらわれております。私が聞いた話では、これは清水町の山間部の話ですが、今六十歳ぐらいの人が、「もし私が死んだときに、だれが地域の中で葬式を出してくれるんだろうか」と、そういうことを真剣に心配されておるわけであります。切実な寂しい話をされておったことが今思い出されるわけであります。
 ここ数年続いている夏の渇水時になりますとそのありがたみがわかるのでありますが、中山間地域は食糧の供給だけではなく、きれいな水や空気を生み出してくれております。こうした中山間地域の農林業を守ってくれる人々がいなければ、その下流及び町の人々の生活が成り立っていかないという認識を持ってもらわなければならないと思います。さきの大前氏の話ではありませんが、最近の効率化を重視する社会風潮の中で、目先の経済的利益にとらわれるが余り、こうした中山間地域の重要性に対する認識が弱まることは厳に慎まなければならないと思うわけであります。
 このように、新たな基本法の制定に向けた検討として、食糧の自給の問題、農業の成立の問題、農村の役割について、国民的な合意が必要であり、同時に、農村のあるべき姿について今こそ国民的な議論が必要であると考えます。
 そこで、まず国民生活の基礎となる食糧自給について、国の食糧自給は国家を支える最重要課題であり、食糧を生産する農業の振興は大きな政策的課題であると考えるわけでありますが、食糧自給と本県の農業についての知事の総合的なお考えをお尋ねいたします。
 あわせて、現在進められている農業基本法の改正作業を踏まえる中で、和歌山県農業をどういった方向に持っていこうとされているのか、お尋ねいたします。
 また、農業基本法に関する研究会が出した報告についての評価と今後の対策について、和歌山県がどのような農政に取り組むのかということについて、農林水産部長にお尋ねいたします。
 次に、リゾートと観光行政についてお尋ねいたします。
 平成二年十二月に全国で二十七番目に総合保養地域整備法(リゾート法)の承認を受け、燦黒潮リゾート構想として、本県の持つ豊かな自然のもとで国民的、国際的なリゾートゾーンとしての総合保養地域の形成を目指したわけであります。対象市町村六市十五町で、特に重点整備地区として、加太・紀泉地区、和歌浦湾地区、西有田・白崎地区、田辺・白浜地区、枯木灘地区、潮岬地区、勝浦・太地地区の七つの地区を総合開発することを目標として出発いたしました。事業費が民間のみでおおむね五千七百億円という巨費、雇用人数六千人の構想で、当時の経済及び景気状況では十分可能で短期間のうちに完了するという見込みのもとでスタートしたものであります。
 しかし、バブルの崩壊で景気は急に冷え込み、民間の投資意欲は急降下して既に五年近い年月がたったわけであります。その間、和歌山マリーナシティが完成し、世界リゾート博の開催により単発的にリゾート和歌山を全国にPRすることができましたが、県内各ブロック地域に連結したリゾートゾーンが完成していないため、関西国際空港を生かした国際的リゾート地域としての完成にはほど遠いものとなっております。豊かな観光資源を生かし、観光和歌山として立県していくためには、どうしても県全域が連結したリゾート地域の整備を完成させなければ、単発的なイベントだけでは多くの観光客を連続して誘致することは非常に困難であると思います。
 近年の和歌山県の宿泊客数は平均で六百五十万人程度であります。一日平均で一万八千人ぐらいの数字であります。県内の宿泊施設の収容人員数は八万一千人であります。二〇%強の稼働率であり、まだまだアップできるわけであります。日帰り客を含め、観光客数は平成七年度は三千万人を超えておりますが、宿泊する観光客が多くなければ経済の活性率が低いわけであります。
 そこで、燦黒潮リゾート構想における当初の目標に対してどの程度の事業が完了しておるのか、またその波及効果はどの程度であるのか、お伺いいたします。
 また、リゾート法承認時の事業目標達成は非常に困難であると聞いております。和歌山が国際的リゾート地域の実現を果たすためには、どの程度の開発が必要であるのか、お尋ねいたします。
 また、加太・紀泉地域の中でフォレスト計画はさまざまな問題があり困難であると聞いておりますが、承認問題を含め、今後どのようにして取り組むのか、お伺いいたします。
 また、リゾート地域の開発は和歌山県の観光振興についての取り組みと関連することであります。商工労働部長より今後のリゾート整備について、観光振興を図っていく上でどのような展開をしていけばよいのか、お尋ねいたします。
 以上で、一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 吉井議員にお答えをいたします。
 食糧自給と本県農業についてのお尋ねでございます。
 食糧の安定確保を図ることは極めて重要でございまして、その中で農業が果たす役割は大きいものがあると考えてございます。しかしながら、国土条件に制約のある我が国においては、農地や担い手の確保などによる国内生産に努めるとともに、輸入及び備蓄を適切に組み合わせることによりまして、食糧の安定供給を図ることが重要であると考えております。
 こういった中で、本県の農業は限られた耕地を積極的に活用いたしまして、ミカンを中心とした果樹あるいは野菜、畜産等を柱とした生産を行い、本県の基幹産業として、また京阪神圏の食糧供給基地としての役割を果たすことなど、その一翼を担ってきたところでございます。
 今後、二十一世紀を迎えて本県の農業の果たす役割はますます拡大するものと考えてございまして、消費者の期待と信頼にこたえる食糧供給に向け、本県の地域特性を最大限に活用した農業を一層推進してまいりたいと考えてございます。
 次に、農業基本法の見直しと本県農業の方向についてであります。
 議員のお話のように、先般、農業基本法に関する研究会報告が出されまして、新たな基本法制定に向けた論点の整理が目下行われておるわけでございます。この中では、本県がこれまで取り組んできた高品質あるいは安全な食品を求める消費者ニーズを重視すること、また、山村過疎等の中山間地域の活性化などが新しい農政の展開に向けて重要な視点として取り上げられておるわけでございます。
 こうした視点からも、改めて農業については本県の独自性を最大限に生かした振興が基本であると考えてございまして、二十一世紀に向けて推進をしている三H農業、すなわち、技術革新(ハイテクノロジー)を背景とした、さらに高品質(ハイクオリティー)で安全、健康な(ヘルシー)農産物を供給していく農業の振興を図ることとしておるわけでございます。
 また、中山間地域の活性化については、自然との共生が強く求められておるわけでありまして、そういった中で、農村と都市の交流促進、さらに定住条件の整備などを図りながら、若者に魅力ある地域づくりに全力を挙げて頑張っていかなければならない、そのように考えておるところでございます。
 次に、燦黒潮リゾート構想に関連をいたしまして、フォレストシティ計画への取り組みの問題でございます。
 お尋ねにございましたように、燦黒潮リゾート構想の重点整備地区の一つである紀泉地域は、関西国際空港に近く、また緑豊かな都市近郊型リゾートとして整備することとしておるわけでございます。フォレストシティはその中の一部でございまして、この計画については現在、関係部におきまして開発許可申請を都市計画法、森林法等に基づいて厳正に審査をしているところでございます。
 ご承知のように、進入ルートの一部補正などがなされたこと等もございまして、審査が大変長期化していることも事実でございます。そういったことで、県としてはさまざまな情勢を踏まえながら、総合的な判断をすべく努力したいと考えております。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 吉井議員の農業基本法の改正と和歌山県農業についてのうち、研究会報告の評価と今後の取り組みについてお答えいたします。
 UR農業合意などがございまして、農業が大きな転換期を迎える中で、国において農業基本法の見直し作業に着手されたことにつきましては、大いに意義があるものと認識してございます。
 今回の研究会報告におきまして、戦後の食糧不足から現在の過剰の時代を迎え、また心や生活の豊かさを求める動き等を踏まえ、これまでの生産に重点を置いたものから、新たな基本法の制定に向けた重要な視点として高品質・安全な食品を求める消費者の視点の重視や農村地域の維持発展などが取り上げられたことにつきましては、評価をしているところでございます。
 次に、今後の本県としての取り組みについてでございますが、これまで近畿管内農林水産部長会議等を通じ、豊かな食生活を実現する観点から、本県の基幹である果樹等を含めた食糧の安定供給を初め、中山間地域を多く抱えるという地域実態を踏まえまして、地域政策として中山間地域等、農村地域の活性化を訴えてまいったところでございます。
 今後も広く県民の意見をいただきながら、本県農業の振興につながるよう強く国に働きかけていく所存でございます。
○議長(町田 亘君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 吉井議員にお答え申し上げます。
 燦黒潮リゾート構想の進捗状況でございますが、本年四月現在では用地費を除く特定民間施設に対する投資額はおおむね八百十五億円と見込まれ、承認時に試算した用地費を除く投資予想額の四千五百億円に対し、約一八%となってございます。また、完成あるいは整備中のプロジェクト数で見ますと、全体七十五プロジェクトのうち三十一プロジェクト、四一%となってございます。完成済みの施設の主なものとしては、和歌山マリーナシティのマリーナ、クラブハウス、アトラクション施設等、また東急南紀田辺リゾート、千里海岸総合リゾート及びコガノイ・ベイなどのホテル等がございます。
 これらプロジェクトの整備に伴い、雇用面では千二百八十五名の雇用が発生しており、このほか、構想策定に際して直接雇用とされていたリネンサービスやメンテナンス等の業種のように、外部委託されて雇用を生み出しているものも相当数ございます。さらに、地元産品の消費拡大など、農林水産業の振興及び観光産業を含むサービス産業の活性化などに波及効果があらわれているものと考えてございます。
 次に、燦黒潮リゾート構想は、黒潮と遊ぶリゾート空間を統一テーマとして広く国内外の人々に総合保養基地の創造を図ることを目的とするもので、民間活力の導入によってその達成を図ろうとするものでございますが、議員お話しのとおり、経済状況の激変により民間の投資意欲が減退し、現在のところ整備見通しの困難な地域も生じてきてございます。
 ただ、リゾート整備は長期的な視点に立って着実に積み重ねていくことが必要であり、本年度は和歌山マリーナシティにおけるリゾートホテルやリゾートマンションの着工、串本町でのリゾートホテルの着工等、徐々に進展を見せているところでございます。今後とも、本県の自然の保全と活用を基調としたこの構想を長期的に推進し、関西国際空港の全体構想も視野に入れ、国際リゾートゾーンの形成に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) リゾート整備と観光振興についてでございます。
 観光は、温泉や名所旧跡をめぐるいわゆる狭義の観光と、滞在型の観光すなわちリゾート的なものに分けられると思いますが、本県の観光は従来、前者の周遊型を中心として展開されてまいりました。しかしながら、近年、観光ニーズも単に周遊だけでなく多種多様でございまして、これらへの対応が求められております。
 また、本県の観光客数は、関西国際空港の開港、高速道路の開通、リゾート博の開催あるいは吉宗ブームなどによりまして、議員お話しのように入り込み客数が昨年初めて三千万人を突破いたしましたが、近年の宿泊客数は横ばいとなってございまして、これをいかに伸ばすかも課題の一つでございます。
 このため、昨年策定した県の観光振興計画では、地域の豊かな自然や歴史・文化と触れ合い、心の豊かさが享受できるよう、宿泊機能の多様化やリゾート機能もあわせ持った観光地づくりを目指すことといたしてございます。今後とも、燦黒潮リゾート構想の推進を踏まえ、積極的に観光振興を図ってまいりたいと考えてございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 4番吉井和視君。
○吉井和視君 答弁ありがとうございます。
 最近、和歌浦へ行ってみたときに、国定自然公園になっておるわけですけれども、非常に寂れておりますね。つぶれたままでほうってある古い旅館も見受けられます。本当に関空の近くでありながら、和歌山にはそういうリゾートゾーンがないということで、ますます取り残されていくのではないかという心配がされます。
 「観光立県」という言葉は、小野真次知事が全国で初めて発言された言葉だと聞いております。そういう先進的な和歌山が今、豊かな観光資源がありながら、観光立県と言うにふさわしい状況にはまだまだなっていないとき、民間企業に意欲があるならば、そういうプロジェクトを一度、思い切ってさせてみてはどうかと思うわけであります。
 そういうことで、知事もさまざまな問題で頭が痛いだろうと思うんですけれども、フォレスト計画は全国でも注目されているビッグプロジェクトであります。それを一度、早い時期に決断をしていただいて、観光立県和歌山、経済の活力浮揚のために早くできることを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
 以上です。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。

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