平成8年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第四号 平成八年十二月十一日(水曜日)
     午前十時開議
 第一 議案第百四十三号から議案百七十号まで及び報第七号(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第百四十三号から議案百七十号まで及び報第七号(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十七人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川   武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門   三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島   雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 谷   洋 一
 18 番 山 下 直 也
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 上 野 哲 弘
 21 番 堀 本 隆 男
 22 番 宇治田 栄 蔵
 23 番 宗   正 彦
 24 番 橋 本   進
 25 番 神 出 政 巳
 26 番 玉 置 公 良
 27 番 松 本 泰 造
 28 番 東 山 昭 久
 29 番 尾 崎 要 二
 30 番 野見山   海
 31 番 木 下 秀 男
 32 番 町 田   亘
 33 番 中 山   豊
 34 番 井 谷   勲
 35 番 鶴 田 至 弘
 36 番 森   正 樹
 37 番 村 岡 キミ子
 38 番 新 田 和 弘
 39 番 平 越 孝 哉
 40 番 森 本 明 雄
 41 番 長 坂 隆 司
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
 知 事 西 口   勇
 副知事 山 下   茂
 出納長 高 瀬 芳 彦
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 中 山 次 郎
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 生活文化部長 中 村 協 二
 福祉保健部長 小 西   悟
 商工労働部長 日 根 紀 男
 農林水産部長 平 松 俊 次
 土木部長 長 沢 小太郎
 企業局長 佐 野 萬瑳義
 教育委員会委員長
    山 本   昭
 教育長 西 川 時千代
 公安委員会委員 高 垣   宏
 警察本部長 青 山 幸 恭
 人事委員会委員長
    若 林 弘 澄
 代表監査委員 宮 市 武 彦
 選挙管理委員会委員長
    谷 口 庄 一
 以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 西 畑 彰 久
 次 長 中 西 俊 二
 議事課長 佐 竹 欣 司
 議事課副課長 島   光 正
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 山 本 保 誠
 議事課主事 大 浦 達 司
 総務課長 塩 路 義 和
 調査課長 湊   孝太郎
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田   繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時四分開議
○議長(町田 亘君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(町田 亘君) この際、報告いたします。
 過日提出のありました議案第百六十七号から議案第百七十号までは、いずれも職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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      和人委第335号
      平成8年12月10日
 和歌山県議会議長 町 田 亘 殿
  和歌山県人事委員会委員長 若 林 弘 澄
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成8年12月9日付け和議会第286号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
     記
 議案第167号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第168号 教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第169号 市町村立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第170号 警察職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
    意 見 
 上記条例案については、適当であると認めます。
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○議長(町田 亘君) 次に、お手元に配付のとおり、監査委員から監査の結果報告がありましたので、報告いたします。
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 【日程第一 議案第百四十三号から議案第百七十号まで及び報第七号】
○議長(町田 亘君) 日程第一、議案第百四十三号から議案第百七十号まで、及び地方自治法第百七十九条による知事専決処分報告報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 4番吉井和視君。
 〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 おはようございます。
 きのう知事からの答弁の中にもありましたが、最近、地方の道はもう要らない、田舎の社会資本整備その他、道はもういいのではないかという政治家の発言があるということを聞きます。それは都会選出の国会議員の中から出ているようでありますが、これは都市、町の生活は地方すなわち田舎がつくっているということを忘れた発言ではないかと思うわけであります。農村が食糧の供給、環境の保全という、人間の生活になくてはならないものをつくっているんだということを忘れてはなりません。町がどんなに栄えても、地方、田舎が過疎化や高齢化といったことで荒廃するということは、魅力ある国土であり得ないわけであります。農村が持っているさまざまな存在価値の重要性というものについて、国民の共通認識が必要であると思います。
 そういう思いを込めて、農村、農業の成立、農業の基本方針である農業基本法について質問をさせていただきます。
 農業は、国の礎と言われてまいりました。衣・食・住と並ぶ重要な生活物資の中で、とりわけ食糧は人間の生命の根幹を支えるものであり、国民生活の維持発展の上で不可欠なものであるということは今さら言うまでもありません。地域における食糧の確保は、古来より政治の大きな課題であり続けてまいりました。食糧の生産を担う農業の振興は、こうした意味からも行政政策の中で大きな地位を占めるべきものであります。
 去る平成五年、ガット・ウルグアイ・ラウンドにおける農業合意がなされました。我が国の農業は、まさに国際化の荒波の中にほうり出されたわけでありますが、生産基盤等の脆弱な農業の実態を見るとき、これからの農業の振興に向け取り組むべき課題は山積していると言えます。その一つとして、農業基本法の改正があります。
 平成六年十月、内閣総理大臣を本部長とする緊急農業農村対策本部で決定されましたウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱において、農業基本法にかわる新たな基本法の制定に向けて検討に着手するということが発表されました。その対策として、農林水産大臣の諮問機関として荏開津元東大教授を座長とする農業基本法に関する研究会が発足し、現基本法の政策目標等の今日的評価及び基本法をめぐるさまざまな問題について議論がなされ、本年九月にその報告がなされました。この報告は、今後の食糧、農業、農村に関する国民的な議論が展開されるときのテーマについて、この研究会が提示したものであります。内容は、現在の基本法の今日的意義について整理し、これを評価し、今後、新たな基本法制定に向けた検討を行うに当たっての視点が報告されております。
 現在の農業基本法は、昭和三十六年に農業と他産業との間に生産性及び所得、そしてまた生活水準の格差を縮小させることを目標に、新しい農業・農政の方向づけを行うために制定されたものであります。昭和三十六年当時は高度経済成長のただ中であり、当時の農家の生活水準は、この経済成長の中で他の産業従事者と比較してその格差が一段と広がっているところでありました。それは、高度経済成長による消費者の所得が向上したにもかかわらず、農産物の需要が伸びず、さらにその根底には零細農業という我が国の農業構造の特質があったわけであります。そして、生産性の向上と生活水準の均衡という政策目標を達成するため、他産業に比べて不利な条件を克服することが必要であり、そのため、生産政策、価格・流通政策、構造政策の三本の柱により方向づけがなされました。自来三十五年間、この農業基本法は我が国の農政の基本指針として現在に至ったわけでありますが、今、その農業基本法の見直しについて論議がされ、検討が急がれているところであります。
 農業基本法に関する研究会の報告における今の農業基本法が果たしてきた総括的評価によると、「農業基本法がどの時期まで農政の指針たり得たかは議論があろうが、(中略)少なくとも制定当初においては指針としての役割を果たし、かつ、国も農業基本法に示された方向に沿って政策努力を行ったといえる。 しかしながら一方で、農業基本法は政策の重点を構造政策に置くことを企図していたにもかかわらず、実際には、価格政策中心の農政が展開された。実際の農業の運営としては、当時の政治経済社会情勢からそうせざるを得なかった面はあるが、農業基本法自身も、本来同法が意図したものを推し進める規範力を有していなかった」。また、「農業基本法が予測していた事態をはるかに超える経済社会の変化が進むにつれ、現実とのかい離が徐々に進み、同法は現実の施策のあり方の指針たり得なくなった。各種の立法・予算措置についても、農業基本法を根拠とした施策の具体化というよりも、その時々における政治経済社会情勢への対応姿勢を強めるようになり、同法の政策誘導機能はますます脆弱化した。こうして農業基本法は農政上あいまいな存在となった」と、総括評価をいたしております。
 農政の目標を定める農業基本法が新しい時代の要請に合わないものであるならば、新しい目標と意義のある基本法が必要であるということは言うまでもないことであります。現行の農業基本法のもと、これまで進めてきた国の農政の方向は、いわば規模拡大によるコストダウンを基本とする土地利用型農業の育成と言えるのではないか。和歌山県は中山間地を多く抱え、傾斜地農地も多いがゆえ、本県農政の方向は必ずしも国の方向と一致していたというわけでもなかったというように思います。
 そうした中にありまして、古くから本県の農家は、丘陵地を切り開き、段々畑を山の頂まで開墾し、重い苗木や水を肩に担いで農業を営んでまいりました。狭い農地を有効に用いる集約的な園芸農業は先人のこうした苦労によって大きく開花し、有田ミカンに代表される果実は日本一の生産を誇るようになりました。まさに和歌山県農業は、今後の新しい我が国の農業の進む方向の一つを示していると言えるのではないかと考えるのであります。
 また、食糧自給の問題であります。現農業基本法の中には、食糧自給について書かれているところが極めて貧弱であります。日本は先進国の中でも食糧自給率は異例に低く、世界の食糧供給力がダウンすればどのような事態になるかは明らかであります。先進国の中には、食糧の備蓄はもちろんのこと、農業資材までも備蓄して危機に備えているということであります。
 かつて、平成維新の会の大前研一氏は本の中で、日本で食糧の備蓄はナンセンスである、たとえ食糧・主食である米を備蓄してもそれを炊く燃料の備蓄が日本では一年分ぐらいしかできず、幾ら食糧・主食を備蓄してもだめであると言い、そのために農業を国民の税金で保障するのは税金のむだ遣いであるというような発言をいたしております。食糧安全保障というものは、むだを覚悟でやるものであります。むだになればそれが一番よいことであるわけであります。まさに、食糧の安全供給は国の責務であるわけであります。
 そのために、取り組まなければならないことがたくさんあります。まず、農地等の確保、次に農業の担い手確保という施策を行う必要があります。例えば、緊急の食糧危機事態が発生するおそれが生じたときどのように対応するのか。国民の生命を守るため、最低どのくらいの量の食糧が生産できるかということを、平時日ごろ考えておく必要があるわけであります。
 ちょっと政治家の名前は忘れましたが、そこらじゅうでゴルフ場の開発論議がされたときに、「ゴルフ場は幾らできてもいい。いざというときに、そのゴルフ場へ食糧、芋でも植えたらいいではないか」という発言をした政治家があります。冗談ではない事態が来ないとも限らないわけであります。それぐらい真剣に考えることが食糧の安全保障というものであろうと思います。
 農地の確保と同じく水資源の確保も大変重要で、前の議会で私はため池の利活用、保全整備について質問をいたしましたが、全国のため池は二十万カ所、その貯水量は三十四億七千万トンで、全国のダム貯水量の一四%に相当する貴重な水資源であります。生活雑排水の流入やごみの不法投棄などで水質が悪化し、もはや農家だけでは保全管理するのが困難な状態になってきておるわけであります。農業関係者だけによるため池の整備については既に困難な状態となっている今、住民参加方式が論議されているところであります。このように、役割の大きいため池を抱える農村の保護についても論議していただきたいと思うわけであります。
 今、農村地域は全般的に過疎化や高齢化の進行により地域の活力が低下している現状にあります。特に中山間地域では、地域社会の維持すらが困難なところがあらわれております。私が聞いた話では、これは清水町の山間部の話ですが、今六十歳ぐらいの人が、「もし私が死んだときに、だれが地域の中で葬式を出してくれるんだろうか」と、そういうことを真剣に心配されておるわけであります。切実な寂しい話をされておったことが今思い出されるわけであります。
 ここ数年続いている夏の渇水時になりますとそのありがたみがわかるのでありますが、中山間地域は食糧の供給だけではなく、きれいな水や空気を生み出してくれております。こうした中山間地域の農林業を守ってくれる人々がいなければ、その下流及び町の人々の生活が成り立っていかないという認識を持ってもらわなければならないと思います。さきの大前氏の話ではありませんが、最近の効率化を重視する社会風潮の中で、目先の経済的利益にとらわれるが余り、こうした中山間地域の重要性に対する認識が弱まることは厳に慎まなければならないと思うわけであります。
 このように、新たな基本法の制定に向けた検討として、食糧の自給の問題、農業の成立の問題、農村の役割について、国民的な合意が必要であり、同時に、農村のあるべき姿について今こそ国民的な議論が必要であると考えます。
 そこで、まず国民生活の基礎となる食糧自給について、国の食糧自給は国家を支える最重要課題であり、食糧を生産する農業の振興は大きな政策的課題であると考えるわけでありますが、食糧自給と本県の農業についての知事の総合的なお考えをお尋ねいたします。
 あわせて、現在進められている農業基本法の改正作業を踏まえる中で、和歌山県農業をどういった方向に持っていこうとされているのか、お尋ねいたします。
 また、農業基本法に関する研究会が出した報告についての評価と今後の対策について、和歌山県がどのような農政に取り組むのかということについて、農林水産部長にお尋ねいたします。
 次に、リゾートと観光行政についてお尋ねいたします。
 平成二年十二月に全国で二十七番目に総合保養地域整備法(リゾート法)の承認を受け、燦黒潮リゾート構想として、本県の持つ豊かな自然のもとで国民的、国際的なリゾートゾーンとしての総合保養地域の形成を目指したわけであります。対象市町村六市十五町で、特に重点整備地区として、加太・紀泉地区、和歌浦湾地区、西有田・白崎地区、田辺・白浜地区、枯木灘地区、潮岬地区、勝浦・太地地区の七つの地区を総合開発することを目標として出発いたしました。事業費が民間のみでおおむね五千七百億円という巨費、雇用人数六千人の構想で、当時の経済及び景気状況では十分可能で短期間のうちに完了するという見込みのもとでスタートしたものであります。
 しかし、バブルの崩壊で景気は急に冷え込み、民間の投資意欲は急降下して既に五年近い年月がたったわけであります。その間、和歌山マリーナシティが完成し、世界リゾート博の開催により単発的にリゾート和歌山を全国にPRすることができましたが、県内各ブロック地域に連結したリゾートゾーンが完成していないため、関西国際空港を生かした国際的リゾート地域としての完成にはほど遠いものとなっております。豊かな観光資源を生かし、観光和歌山として立県していくためには、どうしても県全域が連結したリゾート地域の整備を完成させなければ、単発的なイベントだけでは多くの観光客を連続して誘致することは非常に困難であると思います。
 近年の和歌山県の宿泊客数は平均で六百五十万人程度であります。一日平均で一万八千人ぐらいの数字であります。県内の宿泊施設の収容人員数は八万一千人であります。二〇%強の稼働率であり、まだまだアップできるわけであります。日帰り客を含め、観光客数は平成七年度は三千万人を超えておりますが、宿泊する観光客が多くなければ経済の活性率が低いわけであります。
 そこで、燦黒潮リゾート構想における当初の目標に対してどの程度の事業が完了しておるのか、またその波及効果はどの程度であるのか、お伺いいたします。
 また、リゾート法承認時の事業目標達成は非常に困難であると聞いております。和歌山が国際的リゾート地域の実現を果たすためには、どの程度の開発が必要であるのか、お尋ねいたします。
 また、加太・紀泉地域の中でフォレスト計画はさまざまな問題があり困難であると聞いておりますが、承認問題を含め、今後どのようにして取り組むのか、お伺いいたします。
 また、リゾート地域の開発は和歌山県の観光振興についての取り組みと関連することであります。商工労働部長より今後のリゾート整備について、観光振興を図っていく上でどのような展開をしていけばよいのか、お尋ねいたします。
 以上で、一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 吉井議員にお答えをいたします。
 食糧自給と本県農業についてのお尋ねでございます。
 食糧の安定確保を図ることは極めて重要でございまして、その中で農業が果たす役割は大きいものがあると考えてございます。しかしながら、国土条件に制約のある我が国においては、農地や担い手の確保などによる国内生産に努めるとともに、輸入及び備蓄を適切に組み合わせることによりまして、食糧の安定供給を図ることが重要であると考えております。
 こういった中で、本県の農業は限られた耕地を積極的に活用いたしまして、ミカンを中心とした果樹あるいは野菜、畜産等を柱とした生産を行い、本県の基幹産業として、また京阪神圏の食糧供給基地としての役割を果たすことなど、その一翼を担ってきたところでございます。
 今後、二十一世紀を迎えて本県の農業の果たす役割はますます拡大するものと考えてございまして、消費者の期待と信頼にこたえる食糧供給に向け、本県の地域特性を最大限に活用した農業を一層推進してまいりたいと考えてございます。
 次に、農業基本法の見直しと本県農業の方向についてであります。
 議員のお話のように、先般、農業基本法に関する研究会報告が出されまして、新たな基本法制定に向けた論点の整理が目下行われておるわけでございます。この中では、本県がこれまで取り組んできた高品質あるいは安全な食品を求める消費者ニーズを重視すること、また、山村過疎等の中山間地域の活性化などが新しい農政の展開に向けて重要な視点として取り上げられておるわけでございます。
 こうした視点からも、改めて農業については本県の独自性を最大限に生かした振興が基本であると考えてございまして、二十一世紀に向けて推進をしている三H農業、すなわち、技術革新(ハイテクノロジー)を背景とした、さらに高品質(ハイクオリティー)で安全、健康な(ヘルシー)農産物を供給していく農業の振興を図ることとしておるわけでございます。
 また、中山間地域の活性化については、自然との共生が強く求められておるわけでありまして、そういった中で、農村と都市の交流促進、さらに定住条件の整備などを図りながら、若者に魅力ある地域づくりに全力を挙げて頑張っていかなければならない、そのように考えておるところでございます。
 次に、燦黒潮リゾート構想に関連をいたしまして、フォレストシティ計画への取り組みの問題でございます。
 お尋ねにございましたように、燦黒潮リゾート構想の重点整備地区の一つである紀泉地域は、関西国際空港に近く、また緑豊かな都市近郊型リゾートとして整備することとしておるわけでございます。フォレストシティはその中の一部でございまして、この計画については現在、関係部におきまして開発許可申請を都市計画法、森林法等に基づいて厳正に審査をしているところでございます。
 ご承知のように、進入ルートの一部補正などがなされたこと等もございまして、審査が大変長期化していることも事実でございます。そういったことで、県としてはさまざまな情勢を踏まえながら、総合的な判断をすべく努力したいと考えております。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 吉井議員の農業基本法の改正と和歌山県農業についてのうち、研究会報告の評価と今後の取り組みについてお答えいたします。
 UR農業合意などがございまして、農業が大きな転換期を迎える中で、国において農業基本法の見直し作業に着手されたことにつきましては、大いに意義があるものと認識してございます。
 今回の研究会報告におきまして、戦後の食糧不足から現在の過剰の時代を迎え、また心や生活の豊かさを求める動き等を踏まえ、これまでの生産に重点を置いたものから、新たな基本法の制定に向けた重要な視点として高品質・安全な食品を求める消費者の視点の重視や農村地域の維持発展などが取り上げられたことにつきましては、評価をしているところでございます。
 次に、今後の本県としての取り組みについてでございますが、これまで近畿管内農林水産部長会議等を通じ、豊かな食生活を実現する観点から、本県の基幹である果樹等を含めた食糧の安定供給を初め、中山間地域を多く抱えるという地域実態を踏まえまして、地域政策として中山間地域等、農村地域の活性化を訴えてまいったところでございます。
 今後も広く県民の意見をいただきながら、本県農業の振興につながるよう強く国に働きかけていく所存でございます。
○議長(町田 亘君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 吉井議員にお答え申し上げます。
 燦黒潮リゾート構想の進捗状況でございますが、本年四月現在では用地費を除く特定民間施設に対する投資額はおおむね八百十五億円と見込まれ、承認時に試算した用地費を除く投資予想額の四千五百億円に対し、約一八%となってございます。また、完成あるいは整備中のプロジェクト数で見ますと、全体七十五プロジェクトのうち三十一プロジェクト、四一%となってございます。完成済みの施設の主なものとしては、和歌山マリーナシティのマリーナ、クラブハウス、アトラクション施設等、また東急南紀田辺リゾート、千里海岸総合リゾート及びコガノイ・ベイなどのホテル等がございます。
 これらプロジェクトの整備に伴い、雇用面では千二百八十五名の雇用が発生しており、このほか、構想策定に際して直接雇用とされていたリネンサービスやメンテナンス等の業種のように、外部委託されて雇用を生み出しているものも相当数ございます。さらに、地元産品の消費拡大など、農林水産業の振興及び観光産業を含むサービス産業の活性化などに波及効果があらわれているものと考えてございます。
 次に、燦黒潮リゾート構想は、黒潮と遊ぶリゾート空間を統一テーマとして広く国内外の人々に総合保養基地の創造を図ることを目的とするもので、民間活力の導入によってその達成を図ろうとするものでございますが、議員お話しのとおり、経済状況の激変により民間の投資意欲が減退し、現在のところ整備見通しの困難な地域も生じてきてございます。
 ただ、リゾート整備は長期的な視点に立って着実に積み重ねていくことが必要であり、本年度は和歌山マリーナシティにおけるリゾートホテルやリゾートマンションの着工、串本町でのリゾートホテルの着工等、徐々に進展を見せているところでございます。今後とも、本県の自然の保全と活用を基調としたこの構想を長期的に推進し、関西国際空港の全体構想も視野に入れ、国際リゾートゾーンの形成に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) リゾート整備と観光振興についてでございます。
 観光は、温泉や名所旧跡をめぐるいわゆる狭義の観光と、滞在型の観光すなわちリゾート的なものに分けられると思いますが、本県の観光は従来、前者の周遊型を中心として展開されてまいりました。しかしながら、近年、観光ニーズも単に周遊だけでなく多種多様でございまして、これらへの対応が求められております。
 また、本県の観光客数は、関西国際空港の開港、高速道路の開通、リゾート博の開催あるいは吉宗ブームなどによりまして、議員お話しのように入り込み客数が昨年初めて三千万人を突破いたしましたが、近年の宿泊客数は横ばいとなってございまして、これをいかに伸ばすかも課題の一つでございます。
 このため、昨年策定した県の観光振興計画では、地域の豊かな自然や歴史・文化と触れ合い、心の豊かさが享受できるよう、宿泊機能の多様化やリゾート機能もあわせ持った観光地づくりを目指すことといたしてございます。今後とも、燦黒潮リゾート構想の推進を踏まえ、積極的に観光振興を図ってまいりたいと考えてございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 4番吉井和視君。
○吉井和視君 答弁ありがとうございます。
 最近、和歌浦へ行ってみたときに、国定自然公園になっておるわけですけれども、非常に寂れておりますね。つぶれたままでほうってある古い旅館も見受けられます。本当に関空の近くでありながら、和歌山にはそういうリゾートゾーンがないということで、ますます取り残されていくのではないかという心配がされます。
 「観光立県」という言葉は、小野真次知事が全国で初めて発言された言葉だと聞いております。そういう先進的な和歌山が今、豊かな観光資源がありながら、観光立県と言うにふさわしい状況にはまだまだなっていないとき、民間企業に意欲があるならば、そういうプロジェクトを一度、思い切ってさせてみてはどうかと思うわけであります。
 そういうことで、知事もさまざまな問題で頭が痛いだろうと思うんですけれども、フォレスト計画は全国でも注目されているビッグプロジェクトであります。それを一度、早い時期に決断をしていただいて、観光立県和歌山、経済の活力浮揚のために早くできることを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
 以上です。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。
○議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従って今議会、心機一転一般質問をさせていただきます。
 まず、地域医療と防災について質問いたします。
 一、地域医療を担う要素としては、A、地域、B、住民、C、保健、医療、福祉機関、D、地方自治体の四つが挙げられるでしょう。
 その中でも地方自治体は、行政組織としてその予算の計画と実施を行ったり、時に中央政府の指示を受けたりします。その意味でも数少ない公立の医科大学を持つ和歌山県は、地域医療にとって大きな使命を持つものと言えましょう。公立の医科大学は全国に八つあります。県立は奈良、福島と和歌山、その他公立として札幌医科大学、横浜市立大学医学部、名古屋市立大学医学部、京都府立医科大学、大阪市立大学医学部であります。それぞれの都道府県にとって公立大学附属病院というものが、第三次救急医療体制を責任を持って担うべきものでありましょう。奈良、福島、札幌そして横浜には、既に救急医学講座ができております。大阪においても、講座はなくとは救急部があります。しかるに、和歌山県立医科大学には残念ながらないわけであります。全国的な流れとしても、救急医学講座の開設が相次いでおります。
 今後、講座をつくる予定があるのでしょうか、もしなければ、救急部を設置するおつもりがあるのでしょうか、どういった機構、体制をとられるのか、できるだけ具体的にお示しください。
 二、厚生省においても、人口百万人に一カ所から人口三十万人に一カ所の割合で、救命救急センターを設置する必要性が年々大きく論じられているようであります。昨年の九月議会において、私が紀南における第三次救急医療施設の設置の必要性について質問いたしましたとき、保健環境部長より、「紀南地方における三次救急医療体制の確保は重要な課題でございますが、現在、国立南和歌山病院等を中心に高次救急医療体制が運営されており、今後より一層総合的な救急医療体制の整備充実に努めてまいりたい」と答弁をいただいております。その後、平成七年十二月に政府予算等に関する要望活動で、国立南和歌山病院の高次医療体制整備についての要望を行ったと発表がありましたが、実際問題として国立の病院の人員増等、難しい問題もあるのではないかと思われます。
 いずれにせよ、紀南地方に救命救急センターを設置するか、今まで以上に総合的な病院の整備をすることが急務であると思われます。和歌山県立医科大学附属病院の紀南分院創設の可能性とあわせて県当局の所見をお伺いいたしたいと思います。
 三、関連でありますが、医療僻地と言われる地域、無医村域を抱える和歌山県において、若い医者が、博士号の取得云々と言うよりも、家庭問題、教育問題、情報から取り残されるのではないかという懸念などから、なかなか僻地へ行きたがらない傾向が強いと伺っております。公の責務を負った和歌山県立医科大学としては、率先して僻地医療についても次代を担う青年医師に対する指導体制を構築していただきたいと熱望いたします。県立医大の卒業生自体が六十名と、医局内の運営で手いっぱいの状況があるからと言って済まされる問題ではないと思います。他府県の大学病院から和歌山県の各地へ派遣されている実例もあります。人員の医療僻地への派遣について、県はどうお考えですか。
 四、全県的な医療ネットワークの構築についてであります。
 既に、心電図をファクスでいち早く送ったり、脳外科関係では画像を送ったりして関連病院とのコネクションを図っているようですし、五年ほど前から医大が県外の十二の大学とつないでパソコン通信を始めたということですけれども、画像を送るのに時間がかかることから、今では国外を含めてインターネット通信を行っていると聞きます。医大内にも委員会が既に設けられ、インターネットによる二次各病院とのコネクションを検討し、新医大へ移転後すぐに稼働できる体制を構築中と伺っております。早期の病理の解明、地域格差をなくす意味でも、さらには高齢化社会における在宅医療、福祉においても大きな効果をもたらすものだと思います。
 若い先生方も熱心だということで今後頼もしい限りでありますが、秘密の遵守とか有料化といった情報の規制の問題を含めて、現在検討中の全県をカバーできる医療ネットワークについて具体的なところをお聞かせください。
 五、消防防災のうち、まず救急救命士についてお伺いいたします。
 現在、和歌山県には消防隊員で四十数名の救急救命士が活躍中と聞いております。救急医療の専門的知識と技能を習得し、現場では傷病者が医療機関に搬送されるまでの間に高度な応急措置を行うといったプレホスピタルケア、すなわち病院前救護を行う救急救命士は、和歌山市においても、去る平成八年十一月十七日の朝刊にも掲載されていましたが、ある救急救命士の方が患者を蘇生させ、社会復帰を実現した話は真新しいトピックスでありまして、救急救命士のさらなる養成が今後ますます社会的に必要性を増してくるものと思われます。財団の養成所が東京と北九州に、また全国の政令指定都市や府県に十カ所の養成所があって、年二回の国家試験に備えて研修があるようです。平成八年の前期合格者は全国で五百三十三名、そのうち消防職員は三百三十三名、和歌山県からは計九名の消防関係者が合格されており、他都道府県に引けをとらない優秀な救急救命士が誕生しております。財団の中央研修所には和歌山県の人員枠が十二人しかないと伺っておりますが、先ほど述べました無医村の存在、僻地医療の面からも北高南低にならないような救急救命士の養成は急務であると考えます。大阪市や神戸市といった大都市の養成所は、それぞれの自治体のニーズをかなり充足させるところまで養成が進んでいると聞きます。
 本県は、救急救命士の養成についてどのような年次計画をお持ちですか。例えば、平成九年中の入校者を何人予定しておりますか。財団の研究所枠が限られているのなら、政令指定都市にある養成所で研修を受けられるような受け皿づくりを県がぜひともすべきであると思いますが、いかがですか。また、救急救命士が乗っている救急消防隊は全体の中でどれくらいの比率ですか。そして、その比率を将来どの程度まで引き上げていくおつもりですか。
 六、去る平成八年十一月二十九日、金曜日、早朝より寒さの厳しい中、メーン会場の和歌山市のコスモパーク加太を初めとして県内各地、近畿二府四県と福井、三重、徳島三県が参加した平成八年度近畿府県合同防災訓練がとり行われました。阪神・淡路大震災の後、整備を推進してきた警察の広域緊急援助隊と消防の緊急消防援助隊の総合的訓練も近畿で初めて披露されました。参加人は約一万八千人に及ぶものでありました。主催の和歌山県、和歌山市を初め、県内各市町村、そして他府県、国の関係機関等協調体制のもと、昨年の滋賀県で行われた合同訓練にまさるとも劣らない本番さながらの熱気あふれる訓練が無事終了し、広域防災活動体制の充実強化と県民の防災意識の高揚、理解を求めたわけであります。
 消防防災にとって一番重要なことは、住民一人一人の防災への理解であります。個人個人が防災へ参画する意識が何よりも必要なのではないでしょうか。真の防災というものは、それこそ身近な十人単位ぐらいの啓発活動から始まるものではないでしょうか。阪神・淡路大震災においても、個人の意思で、良心で助けられた数は決して行政に助けられた数に劣ってはいないのではないでしょうか。本来、防災というものは、行政主導でなく個人の防災意識から生まれてくるものでなければならないと思います。住民の防災に対する意識の啓発の必要性を引き続き県に要望するものであります。今回の合同訓練について、県の感想と所見をお伺いいたします。
 次に、和歌山下津港についてであります。
 昨年七月、和歌山県で初めての外貿定期コンテナ航路が和歌山下津港と釜山港との間に開設されて約一年半が過ぎようとしています。全国各地で地方港の整備が進められる中、和歌山県においても県、市、民間事業者の協調のもと、鋭意ポートセールスを展開されてきました。特にこの秋にはポートフォーラム96として、九月十一日に東京にて、そして十月六日から十二日まで中国の青島市、上海市で開催されました。東京においては、首都圏の商社やメーカーなどの荷主企業、国内外の有力船社や物流業者など多数参加のもと、和歌山下津港のポートセールスが展開されたのであります。さらに中国においても、青島、上海両市で当局や中国の主要船社との会合を重ね、和歌山下津港をアピールされました。
 昨年の韓国との間の定期航路開設後のコンテナ貨物取り扱いの順調な推移、近年の高速道路などの整備、関空まで車で四十分といった京阪神へのアクセスの向上、通関の速さや港湾施設の利用料金の安さ、港湾整備状況、さらには大阪湾と太平洋をつなぐ紀伊水道一帯をベイフロンティア地域と位置づけた、二十一世紀に向けた海陸一体の高度な複合物流拠点としての将来性が強くアピールされたのであります。
 そこで、質問事項に入ります。
 一、荷主にとって一番の興味事項は物流コストの低減であります。幸い、和歌山下津港は各種港湾料金が大型外貿港に比べて安く、大阪港や神戸港と和歌山港間のコンテナドレージ料が省けるといった利点は荷主には絶対見逃せないところであります。東京フォーラムには有力な総合商社も参加されておりますし、貨物次第で引き合いは新たに出てくるのではないかと思われます。それには、港湾貨物運送業者のセールス力、集荷力が物を言うことは言うまでもないことであります。荷主あるいは船会社へのポートセールスというアプローチを官民一体となって継続的に行っていく必要があると思いますが、当局はどうお考えですか。
 二、中国におけるポートフォーラムでは、当地の法務局、シノトランスやコスコといった主要船社とも協議し、友好関係を強化し、お互いが優遇措置を与える形で、両サイドの協力のもと航路開設を検討していくことが話し合われたわけですが、現在の貨物量では実現に至るまでなかなか難しいものがあります。直接の航路が開設されるまでは釜山港でのトランシップ、すなわち釜山港で積みかえて仕向け港まで輸送するやり方をまず考えていく必要があると思います。トランシップをすることによるリスクの増大、リードタイムの増加等、問題点はありますが、まずきっかけをつかむことから粘り強いポートセールスが必要になるでしょう。上海には日本の企業も多く進出しており、和歌山市に工場のある花王株式会社も現地工場がこの夏より開設されたと聞きます。今後、和歌山工場との間の貨物輸送も大いに期待されるところであります。また、京阪神は台湾、香港といった地域との物流も多く、和歌山においても中国との取引以上の貨物取扱量があると聞きますが、今後こうした地域を含めてポートフォーラムを開催する予定はありますか、航路開設の今後の戦略とあわせお答えください。
 前述のように、航路開設の前に、台湾ならカオシゥォン(高雄)港、キールン(基隆)港や香港経由で他東南アジア地域と交易するやり方、すなわち中継港まで貨物を集積するやり方を含めてご意見を伺いたいと思います。
 そして、参考までに中国、台湾、香港と和歌山県との間の輸出入の貨物取扱量を可能な限り最新のもので聞かせてください。
 三、和歌山下津港での貨物取り扱いについて、最近の特徴、動向についてお答えください。
 四、現在、全国の地方港の中に大型コンテナ船が就航可能な港湾整備を進めているところが多々ありますが、各ポートがそれぞれの特徴を生かした広域的な役割、機能分担を考えた整備であってほしいと考えます。和歌山下津港が大阪湾の玄関港であり、太平洋側の窓口港たり得る地理的な利点を生かして、シンガポール港のようなフィーダーサービスのできる中継港的要素をセールスして、京阪神方面への貨物の集積港としての将来性を国内外にアピールしてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。
 コンテナ内の貨物をすべて一つの最終目的地へ輸送する場合だけでなくて、目的地の近い貨物を混載してコンテナ一本に仕立ててもいいのです。運賃面で、混載するメリットも出てくると思います。すなわち、フルコンテナ貨物の取り扱いだけでなく、コンテナ一本に満たない貨物を寄せ集めてコンテナ一本に仕立てる混載サービスに対応できる港湾の設備や上屋をつくっていく努力が必要であります。集荷への努力というものは船会社や港湾運送業者の力に負うものが大きいでしょうが、我が県の港の発展のために官民協力して初めて和歌山下津港を一級の港たらしめるのではないでしょうか。県当局のご見解をお伺いいたします。
 五、船会社や荷主にとって、港湾の利用に当たって、港湾の施設設備の整備状況は大きな関心事であります。殊に荷主にとって、貨物を搬入する上屋の充実は大きなポイントになります。従来の水面貯木場の埋め立て、移転など和歌山港の港湾エリアの拡大に県当局は尽力されていると思いますが、この十月に導入されたシーナックスという官民共同の迅速なる海上貨物通関情報処理システムにより和歌山港で通関される貨物も増加してくると思われますが、今後、公共上屋の増設について県はどうお考えですか。
 三つ目に、県内のスポーツ施設についてであります。
 県議会議員に当選させていただいて以来、県内は言うに及ばず、県外いろんなところを視察させていただく機会に恵まれ、大変ありがたく勉強させていただいております。サッカーのJリーグ昇格に燃える町だとか、国体が間近に開催されるとか、世界選手権が開かれたとか、ビッグイベントを控えている地域にはすばらしい体育館やサッカー場などのスポーツ施設がありました。
 和歌山県においても、昨年秋の県知事選挙において西口勇知事が一三六の公約の中に、「スポーツ王国和歌山を目指して」、「誰もが気軽に楽しめる生涯スポーツの振興とレベルの高い競技力をもつ選手の育成を図り、活力ある和歌山を目指します。 また、国際大会から地域スポーツまで開催できる、各種のスポーツ施設づくりを進めます」として、七つの目標を掲げておられました。私も、全県的なスポーツ振興の観点から、適地に各スポーツ施設を配置、整備されることを望むものであります。和歌山県における二回目の国体の開催についても、近畿の順番など待っていないで、地域振興、地域の活性化のために、こちらから積極的に招致する気迫で臨んでいただきたいと思います。スポーツ王国和歌山の復活のために、競技者を育てる視点で各スポーツ施設をできるだけ早く整備していっていただきたいと思うわけです。
 武道館の建設については、本年の二月議会で質問させていただきました。真剣にお取り組みいただくことを改めて要望させていただきます。今回は、競技を幾つかに絞って質問いたします。
 一、和歌山紀三井寺にある紀三井寺公園内には、野球場、球技場、テニスコート、陸上競技場等あります。県立のスポーツ施設がこの地に集中しておりますので、この公園内にかかわるスポーツについて、以下質問いたします。
 まずは野球でありますが、野球王国と言われた和歌山が誇れる野球場に整備して、高校球児が目指す甲子園球場のような象徴的なものを将来目指していただきたいと思います。
 サッカーについては、和歌山県も日本に誇るJリーグ選手を生み出しております。各地の小学校、中学校においても大変な人気であります。こうした若者の熱気、やる気を満足させるような、Jリーグを目指せるようなサッカー場あるいは球技場を整備していただきたいと願います。
 テニスにおいては、時に全日本レベルの選手を和歌山においても輩出いたしております。近々、国内外の有力選手を呼んで、和歌山オープンのようなトーナメントを開催できるようなコートに整備していただきたいと思います。近年、車いすでテニスを楽しまれるプレーヤーもふえ、和歌山においても有力な選手がおられる中、大会も開催されております。身障者の方あるいは車いすに乗られる方に配慮したテニスコートづくりをお考えいただきたいと思います。
 陸上競技場についても、国体、国際大会が誘致開催できるような整備をお願いしたいと思います。
 以上、紀三井寺公園内の野球場、球技場、テニスコート、陸上競技場の将来に向けた整備計画をお示しください。
 また水泳でありますが、和歌山県は典型的な海洋県であります。水の美しい河川も数多くあります。地理的に幼少のころより水に親しむ機会の多い我が県ですから、当然、水泳競技における潜在能力は高いと思われます。しかしながら、自己の技能をそれ以上に高めていくためのプールがありません。ぜひ、和歌山県を代表するスポーツにしていけるような五十メートルの室内温水プールの建設をお考えいただきたいと思います。五十メートルを二十五メートルに変えたり、水深も調節できる配慮が必要であろうと考えます。大新公園プール、秋葉山プールを家族、友人で気軽に楽しめるファミリープールとして磨きながら、競技者が有効に練習し競技できる新たなプールの建設を望むものであります。このようなプール建設についてご意見を伺います。
 二、一において現状の都市公園施設を対象に挙げて質問を申し上げましたが、一つ今後の国体の開催を例にとりましても、今の紀三井寺公園の四、五倍の規模が必要になってくるそうですが、そうなると現状の公園内の施設では限界があります。西口知事のまことに力強い公約の実現のために、競技力の向上を視野に入れながら、将来の個々のスポーツ施設の新設について、国や関係市町村そして民間と歩調を合わせた活動が必要になってまいりますが、県民の殊に青少年の熱きスポーツへの夢を実現させるためにも、今後の計画的なお取り組みを知事よりぜひお聞かせください。
 三、和歌山県多目的ホール、和歌山ビッグホエールについて質問します。
 このホールでは、世界規模のスポーツ大会を初めとして、コンベンション、シンポジウム、さらにコンサートや展示会といった多彩なイベントが開催できると聞き及んでいますが、名実ともに和歌山の誇るべきシンボルとなるよう整備を進めていただきたいものです。今回は、特にスポーツ利用に焦点を当てて質問いたしたいと思います。
 来年夏オープン予定ということで、既に来年の使用の仮予約も殺到しているのはうれしい悲鳴でありましょう。広さは大阪城ホールと同規模で、本年国体が行われた広島県の大アリーナに迫る三千二百八十平方メートルに及び、和歌山県立体育館の約二倍、主な競技としてバスケットボール、バレーボール、テニスなら四面とれ、ハンドボールで二面、剣道、空手など武道についても八面とれるということで、今後の和歌山県における全国大会、国際大会開催に大きな期待を寄せるものであります。
 しかしながら、各種スポーツには当然のことながら、それぞれの必要備品があります。備品の収納スペースに限りがあるということで憂慮されるのは、武道で言えば畳、体操などで使用される各種競技用具などでありましょうが、各種スポーツ施設の整備が全国的に見てかなりおくれをとっている和歌山県にとっては、どんなスポーツにも対応できる既存のスポーツ施設を補完して余りあるような、それこそスポーツ全般押しなべて使用できるような体制をつくっていくべきだと考えますが、その点、県はどのようにお考えですか。
 既存の県立のスポーツ施設とあわせて、能率よく有効に使用できるようにしていただきたいし、あくまで県立の多目的ホールなのですから料金面もできる限り抑えていただきたいと思うわけですが、いかがですか。また、国際レベルの大会となると、練習会場となるようなサブ施設が至近に必要ですが、近い将来の課題と受けとめていただきたいと思います。
 もう一つ、さきのパラリンピックにおいても日本人選手は大活躍でしたが、障害者の方々が心身ともに自立を求めてスポーツ競技に励まれることはすばらしいことでありまして、さきの項で述べたように、このたびの県多目的ホールの施設においても、利用面、設備面で十分な配慮がなされているのでしょうか。
 以上、大きく三点、一回目の一般質問とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 長坂議員にお答えをいたします。
 私に対するお尋ねは、将来に向けたスポーツ施設の新設についてでございます。
 議員お話しのように、スポーツは県民の皆さんが心豊かで明るい生活を営み、また活力ある郷土づくりを推進する上で極めて大切であろうと私も思っております。
 最近のスポーツに対する県民のニーズは大変多様化してきておるわけでありまして、気軽に利用できる施設、競技力向上の拠点となる施設、あるいは見て楽しむための施設など、市町村と連携しながら整備する必要があろうと考えてございます。
 今後、生涯スポーツの推進、競技力の向上、さらにはお話にございました二巡目国体の積極的な開催の意欲なども視野に入れまして、施設の適正な配置等について、県スポーツ振興審議会でも論議をいただきながら、ご提言の趣旨を踏まえ積極的に取り組みたいと考えております。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 長坂議員にお答えをいたします。
 まず、紀南における第三次救急医療施設の整備と県立医大附属病院の紀南分院創設についてでございます。
 紀南地方におけるより高次な機能を有した医療機関の整備等については、当地方の皆様が安心して生活される上からも大切なことと考えています。そうした中で特に高次の救急患者等については、圏域内の基幹病院を中心に医療機関が連携を図るとともに、必要に応じて本年三月に運航を開始した防災ヘリコプター等の活用により対応しているところであります。県といたしましては、今後とも地域の実情や住民のご要望を踏まえ、県民の安心できる医療体制の整備充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、僻地医療についてでございます。
 議員ご指摘のように、山間地域などにおいては医師の確保が容易でない状況にあります。これら僻地診療所などの医師確保については、自治医科大学卒業医師の派遣や県内三カ所の僻地中核病院からの医師派遣を行っております。また、診療所の医師が休暇、研修時の代診医師の確保のため、本年度から新たに三病院を僻地医療支援病院として指定し、僻地診療所の医師確保に努めているところであります。今後とも、市町村の要望をお聞きするなど実情の把握に努めながら、僻地保健医療の充実を進めてまいります。
 次に、全県をカバーする医療ネットワークの構築についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、情報化の進展の成果を医療ネットワークの構築に役立てることは有益なことと考えています。これまでも県では救急医療情報システムや結核、感染症サーベイランスシステム等の医療システムが既に稼働しており、また県立医科大学附属病院においては画像の転送等を実験的に実施しているところであります。一方、国においては、災害が発生した場合にも対応できる広域災害救急医療情報システムの整備を促進するとともに、新たに在宅医療のための遠隔医療について検討を開始したと伺っています。今後、これらの動向や結果を見きわめながら、どのように医療サービスを充実できるか検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 地域医療と防災についての中の二点にお答えいたします。
 まず、消防職員の救急救命士養成状況についてでございます。
 現在まで、十七消防本部の四十三人が既に合格し、養成中の十二人と合わせて今年度末には五十五人になる予定でございます。また、平成九年度には二十一人が養成予定であり、以後の各消防本部の救急救命士養成希望は平成十年から平成十二年までの間で八十二人あり、これらによってすべての消防本部に救急救命士が配備されることになります。
 次に、政令都市の救急救命士研究所への入所につきましては、各消防本部と政令都市の協力関係の程度により受け入れが決められているケースが多く、県においては、現在、国に対し状況の理解とその対策を協議しているところでございます。
 次に、救急救命士の搭乗している救急隊につきましては、県内救急隊五十五隊のうち十二隊が活動中でございまして、今後とも早期にすべての救急隊に救急救命士が搭乗できるよう全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、平成八年度近畿府県合同防災訓練についてでございます。
 本訓練は、本年二月二十日に締結された近畿二府七県震災時等の相互応援に関する協定に基づき実施したものでございまして、自衛隊等の国の機関を初め、警察、消防、ライフライン関係機関は言うに及ばず、民間ボランティア団体、社会福祉施設及び小中学校の自主的な参加もいただき、地域住民との連携のもとに広域防災体制の充実強化と県民の防災意識の高揚を図ることを目的に、参加機関二百四機関、参加人員約一万八千人という、かつてない規模で実施いたしたところでございます。
 その結果、阪神・淡路大震災の課題でもありました各関係機関相互の連携と広域防災体制の実践がなされ、あわせて県民の防災意識の高揚が図られたものと考えてございます。また、この防災訓練を実践、検証することにより、大規模災害時のさまざまな課題を浮き彫りにし、今後、十分な検討を加えて広域防災体制の強化を図るとともに、より一層住民参加の推進に努力してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 長坂議員の、和歌山下津港に関するご質問にお答えします。
 まず、荷主あるいは船会社へのポートセールスについてでございます。
 ご指摘のとおり、ポートセールスは官民一体となって息長く継続することが必要だと考えておりまして、東京や中国で開催したポートフォーラムでも、県のほか港湾関係の事業者団体にも参加していただいたところです。今後とも、官民連携のもとでポートセールスに努力してまいりたいと考えておりますので、議員各位のご支援、ご協力をお願いいたします。
 次に、海外でのポートフォーラムと新規航路の開設についてと、台湾、香港との貨物取り扱いについてでございます。
 まず取り扱いにつきましては、平成五年度に運輸省が実施いたしましたコンテナ貨物流動調査、これが最新のものでございますが、これによりますと、神戸港、大阪港等を利用している和歌山県内発着の外貿コンテナの貨物量は県全体で年間七十三万トンと推計されております。内訳は、輸出が二十三万トン、輸入が五十万トンとなっております。このうち、アジア地域との輸出入は五十三万トンで全体の七三%を占めており、うち韓国が九万トンで全体の一三%、同じく中国が十六万トンで二三%、台湾が八万トンで一一%、香港が三万トンで四%、こういう推計結果になっております。したがいまして、航路誘致の当面の重点地域はアジアと考えておりまして、特に中国、香港、台湾を中心にいたしまして今後のポートセールスを展開してまいりたいと考えております。
 なお、現状において神戸港もしくは大阪港という我が国の基幹港湾を利用しているコンテナ貨物を釜山港という他国の経由に切りかえることにつきましては、物流の安定性確保等で議論が残るところでございます。しかしながら、ご指摘のとおり、現在、和歌山下津港に開設されている航路は、釜山港を経由して台湾、香港、シンガポール、タイ、ベトナムなど東南アジアの各地と結ばれており、荷主の方でおのずからより効率的、経済的な輸送経路が選択されることになろうと考えております。
 次に、和歌山下津港の最近の貨物動向についてでございます。
 平成七年の総取扱貨物量は五千五百三十八万トンでございまして、前年に比べ、およそ一○%増加しております。増加の主な原因は、原油等の輸入、フェリー貨物の増加でございました。このうち外貿貨物は、およそ半分に当たる二千四百三十五万トンでございます。このうち、公共埠頭で取り扱われる貨物は七十七万トンとなってございまして、全体では前年並みとなっていますが、取り扱いの最も多い原木について見ると四十二万トン、前年に比べ、およそ一○%の減少となっております。
 なお、昨年七月から扱いを始めたコンテナ貨物の一年間の取扱量は二十フィートコンテナに換算して約三千七百個、重量に換算して四万トンとなっております。内訳は輸入が八割を占めており、品目は輸入では綿糸、化学工業品、輸出では機械が大きな割合を占めております。
 次に、中継港としての生き方と集荷に対する官民協力についてでございます。
 和歌山県は海の国際軸とも言える太平洋航路に近接していることから、大阪湾海上交通負荷軽減、陸上高速交通網と連携した物流の効率化、大規模地震等の災害に備えたリスク分散の三つの柱を備えたベイフロンティア構想を提唱して、和歌山下津港を中心に港湾整備を図ることにしております。これは、海外との貿易貨物を和歌山下津港で取り扱い、これをご指摘の海上フィーダーより、むしろ阪和自動車道や京奈和自動車道等の陸上高速交通網に接続させることによって、輸送時間の短縮や在庫コストの削減を図り、もって近畿圏全体の経済の活性化に寄与してまいりたいと考えているものでございます。
 なお、貨物の集荷につきましては、あくまでも民間主体の経済行為と考えますけれども、県といたしましても、和歌山下津港の整備やアクセス道路等の交通体系の改善により、集荷の円滑化を図ることによって和歌山下津港の利用促進、ひいては地域全体の経済の浮揚に努めてまいりたいと考えております。
 和歌山下津港の最後の、今後の公共上屋の増設についてでございます。
 現在、公共上屋は和歌山下津港内に六棟ございますけれども、利用率がほぼ一○○%となっておりまして、ご指摘のとおり、供給不足の状態に陥っております。上屋の増設につきましては、現在、埋立整備中の西浜地区やマイナス十三メートル岸壁背後で民間活力の活用、民活による手法の導入も含めて検討してまいりたいと考えております。
 次に、県内のスポーツ施設についてのご質問のうち、紀三井寺公園内のスポーツ施設の整備と競技用プールの建設についてでございます。
 紀三井寺運動公園や秋葉山、大新等の県営水泳場につきましては、県民のニーズに対応できるよう再整備を順次進めているところでございます。
 具体的には、昨年テニスコートの改修を行い、現在、陸上競技場においてスタンドのリフレッシュを、野球場ではグラウンドの改修を進めているところであります。秋葉山及び大新プールも含め、公園内の運動施設について、安全かつ快適にご利用いただけるよう、今後とも再整備に努めてまいります。
 なお、大規模なイベント等の開催を行うに当たり、県の運動公園として都市公園施設へのニーズが高まってくれば、その対応について検討する必要があると考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 多目的ホールのスポーツ利用についてお答えをいたします。
 多目的ホールは、「和歌山ビッグホエール」と名称も決定し、来年七月二十日のオープンに向け、施設のPRや利用促進等を行っております。
 さて、和歌山ビッグホエールのスポーツ使用についてでございますが、床は県立体育館と同じ木張りで、バレーボール、バスケットボール、テニス、バドミントン、卓球など多様な競技に対応できるようになっており、これら備品のほか、式典や集会、展示会、コンサート等に対応できる備品も用意いたしております。しかし、限られた収納スペースの中ですべてのスポーツに対応できる備品を装備することは難しいため、競技によっては主催者に準備をお願いすることもございます。今後、備品の充実に努めるとともに、既存のスポーツ施設との連携を図るなど、効率的な施設の使用方法等も考え、大規模な大会の開催等にも対応してまいりたいと存じます。
 次に、使用料につきましては、全国の類似施設等から見ても利用していただきやすいものと考えております。とりわけスポーツの利用につきましては、施設使用料を低廉にするとともに、使用方法等についても配慮いたしたいと考えております。
 次に、ご指摘のサブ施設についてでございますが、国際大会や全国大会等を誘致し、和歌山ビッグホエールのなお一層の有効利用を図るために、サブ施設の整備についても早急に検討する必要があると考えます。
 次に、当施設の障害者や高齢者の方々に対する利用面や設備面への対応でございますが、車いす対応の観客席やトイレ、駐車場等の確保を初め、身体障害者の皆さんにもご利用していただきやすいシャワー室の設置やエレベーター等にも配慮いたしております。利用面につきましても、広くご利用いただけるよう検討してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 医科大学附属病院長西岡新吾君。
 〔西岡新吾君、登壇〕(拍手)
○医科大学附属病院長(西岡新吾君) 県立医大の第三次救急医療体制に対応する機構、体制についてでございます。
 本学専門課程においては、議員ご質問の救急医学講座は現在のところ予定しておりません。
 救急医学につきましては、カリキュラムで救急医学という講義科目を設け、一方では臨床研修の中でも取り入れ、救急医療に対応できる医師の養成に努めているところであります。救急医療は学内各診療科を初めとする全医療従事者の協力が必要であり、新医大においては中央診療部として県民の医療ニーズに対応できるよう、充実した救急部の設置を計画しているところであります。
 次に僻地医療についてでございますが、本学といたしましては、地域医療への支援ということで、学内に渉外委員会及び関連病院委員会等の組織を設けております。県内の病院からの医師派遣要請に基づき、これらの委員会で協議をして派遣できる体制をとっております。今後とも、僻地を含めた地域医療への支援体制の拡充に努めてまいる所存であります。
 以上です。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 41番長坂隆司君。
○長坂隆司君 福祉保健部長へ、要望を二つ申し上げます。
 平成七年九月二十七日の一般質問で、私は和歌山県救急医療情報センターに医師を常駐させられないものかと質問を行いました。また、ことしの二月、和歌山県消防長会が県救急業務検討委員会で、近い将来、十年以内に県は医療情報センターが和歌山県の救急救命士に指示できるように常時医師をセンターに配置してほしいと要望、最近も和歌山市の方から市長の方に投書があったらしいですが、急患がいるので夜間にセンターへ問い合わせをしたら、病院の紹介をいただいただけで、急を要する状況の中、満足な指示、回答が得られなかったという苦情が幾つかあったと聞いております。ぜひ県におかれても、この問題を早急に具体的に進めていただきたいと思います。
 もう一つ、和歌山県立医科大学附属病院の紀南分院創設の可能性について質問いたしましたが、確かに膨大な費用もかかりましょうし、ほかの基幹病院との兼ね合い等もあると思います。しかしながら、僻地医療の問題、全県的な医療ネットワークづくりなどの面で、和歌山県が抱える地域医療のさまざまな問題点を解消していくのに、はかり知れない効果があることは確かであります。ぜひ考慮の中に入れていただくことを要望いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(町田 亘君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時三十七分休憩
  ─────────────────────
 午後一時三分再開
○副議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番鶴田至弘君。
 〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 お許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 西防埋め立てが完了し、関西電力によるLNG基地と発電所の建設の準備が一方的な計画どおりに進められようとしているわけですが、聞くところによりますと、関電による環境アセスの中間報告も出されたようであります。そのような動きに対して環境保護を求める団体などがその建設に反対する動きを強め、また直截な意思表明をしていない多くの人々の間にも基地と発電所建設に対する不安が広がってきつつあるのも事実であります。住友金属が公害防止のため貴重な公有水面を埋め立て、企業の理由によってそれを関西電力へ転売するという行為そのものに対しても、県民の間に残っている疑問はほとんど解けていないのが現状であります。私も、幾度かこの問題についてここで質問をいたしてまいりましたが、心に落ちる答弁は得られませんでした。今回もごく素朴な疑問を提起し、当局の考えをただしたいと思います。
 一番目は、住友金属による公害がなくなったのかという問題です。
 これについては、九月の議会で議員の質問に答えて、「平成二年度までは降下ばいじんが環境改善目標値を上回った年もございましたが、平成三年度以降は目標値を達成している」と答弁をしています。──実態はどうか。市民団体が現在も調査を続けておりますが、アトランダムに周辺の聞き込み調査をした中間報告によれば、二百戸のうちの百八戸が、夏、窓をあけて寝られる状況ではない、粉じんが入り込んでくる、当然昔よりはよくなっているけれどもまだまだ公害がなくなった状況ではないと話されているようであります。
 数値が一定の基準を満たせばそれでよしという性格のものではありません。その場で生活する人々が快適に生活できるかどうか──暮らしの守り手の行政としてはそこに基準が置かれなければなりません。県としては、地域住民の実態を正確に把握する必要があろうと思います。私自身、部分的な体験ですが、粉じん公害は依然として残っていると確信をいたしております。このような実態を当局は承知していますか。それをどう考えていますか。県行政の手で一度実態調査をし、公害施設の沖出し中止の是非を検討する必要があろうと思いますが、いかがでございましょうか。
 次に沖出し中止について、住金は、地元の合意を得ていると県に報告をしておられるようですが、地元合意なるものの内容はどのようなものですか。県当局自身、それを確認していますか。沖出し中止については多くの方々が不満を表明しています。
 去る九月議会の答弁では、その内容を掌握しているようではありませんでした。公害を受けた方々が沖出し中止をどう考えているのか、どのような条件で沖出し中止に合意したのか、あるいはしなかったのか、すべての自治会が合意したのか、自治会を構成している人々が跡地利用についてどんな認識を持って沖出し中止を考えたのか、県として正確に掌握しておくことは当然のことだと思います。
 現地では、まだ合意していない自治会もあると聞きます。個々の住民の中には、そんな合意などは知らないという方も結構たくさんおられます。当局として、内容も含めて地元の意見を聞き取るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 三番目は、公害防止を目的とした埋立地にあえて公害発生装置であるLNG発電所を建設するというのは埋め立て目的を損なうものだという問題であります。
 関西電力の説明によりますと、発電所が建設され稼働するようになれば脱硝装置をつけるとのことですが、九〇%脱硝しても、年間二千トンの窒素酸化物が周辺に排出されることになります。たとえ稼働率が七〇%としても、年間千四百トンという数値が引き出せます。ppmという単位に直せば公害防止協定を下回り、法的にはクリアされるでしょうが、一日数トンの窒素が周辺を汚染していると考えると決して快いものではなく、住友金属が排出する窒素酸化物年間六千トン以上を合わせると、また新たな公害を──たとえそれがとりわけ激しいものではなくとも、長期間には新たな公害を引き起こすことが懸念されます。いかがお考えになっておりますか。
 LNGが従来の化石燃料よりも低公害であるというのは、事実であります。我が党もそれを十分承知しており、現在の重油による発電をLNGに切りかえていくことを主張しておりますが、しかしそれは低公害であって、無公害ではありません。埋立地は、公害を防止するための造成地であります。そこにあえて、たとえ低公害であっても一日数トンの窒素酸化物を排出する発電装置を建設することは県民に対する道義的背信行為でもあると思われますが、いかがでございましょうか。
 四番目は、埋立地という造成地にLNG基地や発電所をつくる危険性という問題であります。
 埋立地利用計画検討委員会では経済的、法的側面での一定の検討をされたようでありますが、地震学や地質学的検討はほとんど抜きにしてLNG基地並びに発電所の建設を答申し、後は環境アセスの結論を待つといたしました。もともと答申の内容は、諮問にかかる前から既にうわさをされていたとおりのものであり、私自身どれだけ権威のある答申なのか、いささか心もとない思いをしているわけですが、いずれにしろ、自然科学の肝心の部分が欠落しているように思います。
 それはさておき、兵庫県南部地震が与えた教訓は極めて大きなものがあり、大地震の前には現在の土木技術は相対的にしかその安全性を保障できないことを物語っています。まして、日本最大の活断層が近接し、大小の活断層が恐らく未発見の状況で潜在しているだろうと推測される埋立地にLNG基地や発電所を建設することは、まことに危険なことだと言わなければなりません。
 地質学者の生越忠氏は、阪神大震災の前に六甲ライナーの地震時の危険性を予見した人として知られている方ですが、この埋立地にLNG基地や発電所を建設することに対し、埋立地の不等沈下による危険性、基礎地盤の変形による危険性、液状化現象による危険性、津波による危険性と、極めて多角的にその危険性を指摘し、強い警告を発しています。同時に、巨大地震が紀伊半島全体に必ずしも遠くない将来に発生することを理論的にも解明し、LNG基地や発電所の建設がいかに無謀であるかを論じています。巨大地震来襲の確率の高さは、関係者も既に承知のとおりであります。
 当然、関西電力は、その自然災害を上回る科学技術によってそれに十分対処し得ると答えるでしょう。それなりの科学者の論陣も用意しているでしょう。これらの科学的論争は十分時間をかけてやってもらえばいいと思いますが、同時に行政側もこれらの科学的論争を理解する能力も求められるでしょう。このような論議に行政としてはどう対応する予定ですか。みずから選任した科学アドバイザーの論だけで行政の方向を定めるつもりですか。市民的議論の場を行政が保障していくことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 五番目も同じような問題ですが、近々、関西電力によるアセスメントが出てまいります。あの膨大な資料は、科学的知識の不足もあってなかなか読めるものではありません。ただ一言言えることは、恐らくアセスの結論はLNGの基地や発電所を建設しても大丈夫だということだと思います。いまだかつて、自分がもくろむ事業を否定するような環境アセスを出した事業者はありません。これは公理と思えるほど間違いがありません。しかし、それを批判する資料や学説というものも立派にあるわけです。したがって、アドバイザーもいろいろ勘案し、学説的にも多角的に配置されなければならないと思われます。さまざまな意見が集約される必要があります。アセスを読み、行政判断を下すためにどのような体制を考えていますか。
 六番目、LNG発電所や貯蔵基地を予定している地は軟弱な埋立地であります。日本最大の活断層の存在する地であり、未発見の活断層の潜在が推測される地であります。そして、巨大地震の来襲が確実視されている世紀であります。LNGもクリーンで安全と言われていますが、一定の条件のもとでははかり知れない危険性を持つことも明らかになっています。このようなことを考えると、建設には慎重の上にも慎重を重ねなければなりません。埋立地利用は、LNGタンクや発電所だけではないはずです。十分それらを調査し、次の世代のことをも考慮して、あえて巨大な危険を内包するLNGタンク群や発電所の建設に猪突する必要はなかろうと思います。この際、当局は、疑わしきは建設せずとの姿勢を示すべきではないかと思いますが、いかがでございますか。
 この際、少し問題は変わりますが、自然エネルギーによる電力開発について質問をしておきたいと思います。
 昨年度、今年度と各千四百万円の予算をもって自然エネルギーによる電力開発の調査を行っているようですが、その研究の目的、現段階における成果、今後の開発計画をお示しいただきたいと思います。
 紀伊半島が公害半島と呼ばれることにならないよう、今、自然エネルギーの研究の強化によって、文字どおりクリーンエネルギー開発先進県として、先進半島として飛躍されることを志してはいかがでしょうか。
 続いて、同和問題に関連して質問をいたします。
 今議会の知事のあいさつにもありましたが、同和問題に関連して幾つかの質問をいたします。
 本年五月、国の地域改善対策協議会は、「同和問題の早期解決に向けた今後の方策の基本的な在り方について」という文書を発表いたしました。そこでは、これまでの行政や国民の努力の成果として、「物的な生活環境の劣悪さが差別を再生産するというような状況も改善の方向に進み、差別意識の解消に向けた教育及び啓発も様々な創意工夫の下に推進されてきた」として、その結果、「地方公共団体にとって財政的負担が特に大きい物的な基盤準備はおおかた完了したとみられる。これらを総合的に勘案した場合、全般的にみれば、これまでの特別対策は現行法期限内におおむねその目的を達成できるものと考えられる」として、さらに、「このようなことから、従来の対策を漫然と継続していたのでは同和問題の早期解決に至ることは困難であり、これまでの特別対策については、おおむねその目的を達成できる状況になったことから、現行法の期限である平成九年三月末をもって終了することとし(中略)なお残された課題については、その解決のため(中略)工夫を一般対策に加えつつ対応するという基本に立つべきである」としております。
 私は、地対協の見解のすべてに合意するものではありませんが、この部分に関してはほぼ完全に同意するところであります。しかし知事は、冒頭の説明の中で、法的措置、行財政的措置を平成九年以降も講じられるよう国に強く求めたと述べられました。私は、現在の時点で同和地区という特定地域を特別に定め、法による特別対策を行うことは従来の策の漫然とした延長であると考え、知事の説明に同意しかねるものであります。一般対策に工夫、改善を加えて問題を解決すべしという地対協の見解をどのようにお考えですか。知事の所信を伺うものであります。
 当局は、同和対策事業の年度内完了を常に表明し、本年度も多額の予算を計上してまいりましたが、知事が法的措置、行財政的措置を強く国に要望してきたというところを見ると、相当の残事業を予想しているようにも推測されます。現時点でどのようにそれを把握しておられますか。できるだけ詳細に明らかにして、なぜ地対協の言うごとく一般対策に工夫を加えることでは不可能と考えるのかを示していただきたいと思います。
 地対協のいう一般対策に工夫を加え、かつ今までの取り組みを漫然と続けるのではなく思い切った見直しが必要だということは、県や市町村で独自に行っている事業についても当てはまることであります。私は二月の議会でそのことを当局に求めたところ、「これまでの事業の成果が損なわれるなどの支障が生ずることのないよう、県単独事業等も含め、現在残されている課題を整理分析し、解決への方策について検討している」と答弁をされました。平成五年にも同趣旨の質問を行いましたが、同じような答弁でありました。答弁は、検討しているというだけで中身は一向にはっきりしないし、変わった様子もありませんでした。ついては今年度、残りもわずかとなったわけですが、漫然として従来の対策を続けないためにもどのような工夫がされてきたのか。検討してきた主な課題と方向を明らかにしていただきたいと思います。
 私は二月の議会で、具体的な課題の一例として子供会や個人給付の問題を挙げました。それについてもお答えをいただきたいと思います。
 二月議会では、市町村の事業についても触れてまいりました。県と市町村は対等の自治体でありますから、県が市町村の行政に余りくちばしを入れることを好むものでありませんが、大きな問題には、やはり県としての見識を表明することは許されることだと思います。
 例えば和歌山市における同和住宅費の問題、国保・固定資産税の問題等は、市民間に大きな不信を引き起こしています。これについては私も二月の議会で、ここで詳細に述べさせていただいたところであります。市民の不信が行政に向かっていることは行政を改めさせる力となって働きますが、同和地区へ向かえば新たな差別を生み出す根源にもなりかねません。地対協は、事業実施に当たって周辺地域との一体性を欠いたりしていることが差別意識の解消に逆行している点もあるとか、同和対策が同和地区、一般地区と公的に区分して行政してきたことにも問題があると述べていますが、今特に、このあたりが焦眉の問題として問われていると思います。
 二月議会では、「著しく均衡を失した低家賃、国民健康保険を含めた税の減免等々についての是正に取り組まなければならない時期であろうと認識しており、今後市町村とも検討を重ねてまいりたい」との答弁がありましたが、この検討はどこまで進みましたか。問題が一挙に解決できないのはわかりますが、改善の方向は速やかに、大胆に打ち出すべきだと思います。現在の到達点を示していただきたいと思います。
 同和問題の最後に、同和教育に関係してお尋ねをいたします。
 去る十一月、白浜町において、「同和行政を終結し、日本国憲法を暮らしに生かした人権・福祉・平和の町づくりを」という決意表明をした、町を挙げての力強い集会がありました。その宣言の具体化の一つとして、同和教育方針の見直し作業が進められています。
 南部町においては、既に平成六年以降、同和問題中心の同和教育から人権意識を高める学習、人権教育へ移行していく方向を確認され、その実践が始まっています。新しい人権教育の流れが生まれ育ちつつあると言えます。
 同和教育は、和歌山県の教育行政にあっては極めて大きな柱の一本であります。それは、教育委員会の発行する「和歌山県の教育」という冊子に同和教育基本方針が冒頭に掲げられていることからも明白であり、実際、その教育実践のために二百数十名の同和加配教員が独自の予算で配置されていることでもうかがわれます。この同和教育の実践は大きな役割を果たし、教育面における一般地域と同和地域の格差をなくすため、多大の成果をおさめてまいりました。関係各位に敬意を表するものであります。
 しかし、この基本方針は、方針自身が述べているように、同和対策審議会の答申の精神にのっとり、同和対策特別措置法の趣旨に基づいて打ち立てられたものでありました。そして、二十数年を経た今日、同和地区の様相は一変し、教育における格差是正も進み、新しい人権教育の流れを生み出す時代になってまいりました。学力の問題においても、同和地区との格差というよりも父子家庭、母子家庭、生活保護家庭の師弟との格差の方が深刻な問題になってきていることが直近の学力調査でもうかがわれます。同和教育の名において行われる実践が時には現実の問題と矛盾を来たし、同和地区のアパートの家賃が私とこよりも高いといったことが差別のあらわれだとされ、厳しい学習の対象とされるようなことも生まれてまいりました。教職員の同和教育の実践家たちも、このような現実の中で、部落差別を中心とした同和教育は新たな弊害を生み出しかねない、人権一般、民主主義の大切さを学ぶ人権教育へと脱皮するときだとして、同和教育の発展的解消を唱える流れも大きくなってきています。私も、二十数年前の同対審当時の現実と現在との相違を見るとき、同和教育の面でも新たな発展がなければならないと考えるものです。
 去る二月議会において教育長は、今後とも子供の実態や地域の実情に即して積極的に同和教育を進めると答弁されましたが、時代と現実は同和地区を一般地区と教育面でも格差のあるところと特定し、子供たちも同和地区の子供と特定したところから出発する同和教育を基本的、抜本的に見直す時期ではないかと考えるものでありますが、教育長の所見を伺うものであります。
 次に、官官接待等についてお尋ねをいたします。
 官官接待が市民オンブズマンの活動によって全国的に大問題となり、さまざまな形でその実情が明らかにされるに至りました。地方が中央省庁を接待する、それによって地方の受益をいかに大にするか──地方はさまざまな苦労の一つとして接待という方式を編み出し、それを普通のこととして長い間その陋習に浸ってまいりました。そういう習慣はおかしいのではないかという市民からの批判が出始めたころ、行政側の対応には実に迷惑そうな言辞が目立ちました。どこでもやっていること、常識の範囲内だから許されること、好ましいとは言えないがある程度必要なこと、等々でした。しかし、いわゆるオンブズマンの調査が全国的に広がり、その膨大な食糧費に市民の批判が高くなり、ところによってはその飲食費の返還を求める訴訟が行われるような事態も生まれる中で、行政側の自己点検もだんだんと進んでまいりました。
 我が和歌山県でも東京事務所の食糧費が問題になり、さまざまな角度から議論がなされました。私もこの席上で、あるいは委員会の席上で、いわゆる市民オンブズマンの活動を肯定する立場から意見を申し上げ、食糧費の中で中央省庁の接待に充てられた費用の全貌を明らかにし、かつそれを基本的に廃止されることを求め、質問をしてまいりました。しかし、食糧費の総額は集計が困難という理由と、接待費についても同様の理由で明らかにされませんでした。いわゆる市民オンブズマンが明らかにした接待費についても、その相手先、省庁名は今後の活動に差し支えるということで、途中で公開が中止されました。これらの措置は明らかに情報公開の流れに反し、県民の知る権利を阻害するものでした。しかし、一九九五年度の決算において、その年度の食糧費は、予算額四億三百万円に対し二億七百万円の支出にとどまったと報告されています。報道によると、予算要望活動などでの省庁との懇談は会費制による昼食会に切りかえるなど、定例議会ごとに見直すことによってこの結果を得たとあります。
 一億九千六百万円の減額は、旧来の陋習を打ち破っていく上で大きな成果だと思います。私は、自治体の自浄能力を発揮されることをしばしば求めてまいりましたが、この減額はその一つのあらわれと評価するものであります。ついては、現在の我が県における中央省庁に対する接待なるものはどのようになっておるのか。県民の批判に十分耐え得るものになっているのか、どんな基準で行われているのか、明らかにしていただきたいと思います。この間、この問題についてどのような教訓を得てきたのかということも述べていただきたいと思います。
 出張旅費の問題でいろいろと疑惑が生まれているようであります。和歌山県監査委員事務局の空出張の疑いがあるとして、市民団体から批判が上がっています。平成六年度のことですが、同委員事務局の県外出張四十八件のうち十二件についてその疑いがあるとされました。疑いは疑いであって、それが事実であるかどうかは別問題ですが、私は、その疑問に対する監査委員の対応に対して強い不満を抱くものであります。
 疑問を抱いた市民が当局の説明では納得できないとして提出した空出張疑惑についての監査請求に対し、請求は行為から一年を過ぎているからとしてその請求を却下したとのことであります。なぜ率直に、請求にこたえなかったのでしょうか。多くの県民がこの却下という段階で、ぼんやりしていた疑惑から確信的な疑惑を抱くようになったと言っています。事は極めて簡単なことで、出張したのは二人なのか三人なのか、日数は二日なのか三日なのか、これだけのことなのです。この単純な監査請求に、一年以上経過しているから正当な理由がないと監査請求ができないとして門前払いし、真相を隠ぺいしました。正当な理由がないとする判断に、まず問題があります。情報公開条例の存在をその理由としていますが、まるで説得力がありません。
 次に、却下をしても真実を公開することはできるはずです。それをしないで真相については口をつぐんだままということは、実に情けない。不正がなければ堂々とそれを説明すればよいし、誤りがあれば誤りとわびて必要な是正の措置をとればいいわけです。そういう正々堂々としたところ、あるいは率直なところこそ県民の信頼を培う大きな要素だと思うのです。実にまずい対応です。県民の疑惑にこの場でお答えください。
 いわゆる空出張問題という不祥事が全国的に相当蔓延しており、深刻な事態になっているようであります。旅費に関する不正支出が明らかになり、返還または返還予定の都道府県は全国で十四に上っており、疑惑の段階を含めると二十五都道府県に上っています。和歌山県も一度全体を総点検してみてはいかがでしょうか。
 県民から一枚一枚かさぶたをはがされるような形で実態が暴露されるのではなく自主的に自発的に、前年度でもよいですが、総点検をしてみてはどうでしょうか。率直に言って、県民の中に、和歌山もやってらようという声は決して少なくありません。点検すれば、大か小かは別として汚れ物は出てくるでしょうし、そういうものをみずから摘発し、みずから浄化していくのも大切な仕事だと思います。厚生省の腐敗ぶり、秋田県知事の辞任表明事件などを他山の石として、私たちの和歌山県庁を真に県民の信頼に耐え得るものにしようではありませんか。そうしてこそ、地方分権の課題にもこたえ得る体力もできると思うものであります。
 最後に、その件で一言申し添えれば、食糧費や旅費規程等に不十分な点があるのかもしれません。現時点に見合ったものに改め、規程の費用で十分仕事ができるようにすることも必要だと思います。空出張分で不足を補わなければならないようであれば、規程の方を即刻改めるべきだと思うからであります。
 次に、関西相互住宅の倒産にかかわって質問をいたします。
 事業主の出資法違反容疑や詐欺的行為の糾弾はこの場ではさておき、被害者の保護、県の指導責任という二点についてお聞きいたします。
 法によれば、この業は建設省または県の許可が必要となっており、その理由として債権者を保護する必要があるとされておりまして、その理由はもっともなことであります。そこで、その法の趣旨である債権者の保護のために県行政は責務を十分に果たせたのかという問題があります。
 積立式宅地建物販売業法は、その目的を達するために業者を指導監督する義務を課しています。その内容としては、いろいろな条件をつけていますが、四十二条において、業務を改善するための必要な措置をとることができるとしております。四十四条では、この業の目的に反する行為を行ったときは業務の停止を命ずることができるともあります。当然、その前の手だてとして、四十六条で業者に対する聴聞の権限、五十一条で業務現場への立入調査の権限なども監督者の権限として県は与えられております。この間、県は、このような法に基づく指導監督の責任をどのように果たしてきたのでしょうか。
 一昨日の本議会では、毎年度の事業報告を審査してきたが問題点は見当たらなかった、したがって法で義務づけられている以上の検査などを行う必要を感じなかったとの答弁がありました。果たして、提出された報告に問題はなかったのか。大量の契約書など、十分点検し切れていないのではないか。そんな仕事を建築課がこなせる体制にあったのだろうか。私は、随分疑問に思います。業者の報告に問題を見出せなかったから指導できなかったと、それだけでは債権者の保護という任務は果たされることはありません。問題の見つかるような報告をわざわざ業者が提出することのないのは初めからわかっていることです。そこを点検するのが監督というものです。県は、そういう立場から見て、みずからの指導責任を果たし得ていたのかどうか。また、そういう観点から見て、二億数千万円とか言われる供託された金の適正配分だけで県の責任を果たしたと言えるのでしょうか。所見を伺うものであります。
 以上で、第一問を終わります。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員にお答えをいたします。
 同和問題に対する私の所信であります。
 本県の同和対策の現状につきましては、生活環境の改善を初めとする物的な整備がおおむね完了いたしました。さまざまな面で存在する格差が大きく改善されてきたと思っております。しかし市町村の中には、平成九年度以降にどうしても残らざるを得ない登録事業などがございます。また、同和地区実態調査及び学習状況調査等の結果から見て、教育・啓発、産業・就労のソフト面においても残された課題がまだあるわけであります。したがいまして、これらの課題を早期に解決するためには一般対策に工夫を加えるだけでは解決できないものもございます。特別法による行財政措置が必要であるとの観点から、国に対して積極的に働きかけているところでございます。
 同和対策につきましては、ただ漫然と継続しているわけでなく、できるだけ早く一般対策に移行すべきものであります。また、その努力を続けているわけでありますが、残された課題があり、財政負担も大きくなる状況にあっては引き続き法的措置が必要であると考えてございます。冒頭にご説明申し上げたところであります。
 以上であります。
○副議長(下川俊樹君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 鶴田議員の西防埋立地利用についてのご質問のうち、三点についてお答えをいたします。
 まず、公害はなくなったのかということについてでございます。
 降下ばいじんにつきましては、従前から北港センターと湊文化会館において測定を行っているところでありますが、平成三年度から平成七年度のデータは環境改善目標値を下回ってございます。
 また、平成六年二月議会における、環境改善目標値は達成されているが気象条件などによっては影響を受ける項目もあるとの答弁を踏まえて、県、市及び住友金属株式会社による環境モニタリングシテスム協議会を設け、住友金属周辺の降下ばいじんについて十五カ所で本年四月から監視をいたしてございます。今後とも、環境保全対策の積極的な実施と徹底した維持管理を指導してまいります。
 次に、新しい公害は生まれないかというご質問でございます。
 LNG発電所につきましては、議員ご指摘のとおり窒素酸化物が排出されますので、今後、県へ環境影響調査書が提出されれば審査検討を行い、脱硝設備による公害防止対策を、既存の住友金属工業株式会社和歌山製鉄所による公害対策も含め、厳しく指導してまいりたいと考えてございます。
 いずれにいたしましても、この埋立計画の趣旨にかんがみ、全体として当初計画の環境改善目標を達成されることが前提であると考えてございます。
 次に、アセスや学説に対する行政判断でございます。
 電源立地関係につきましては、庁内に関係課による電源立地連絡調整会議が設けられており、この中で環境影響評価に関する事項について協議検討を行うこととなってございます。
 今後、事業者から環境影響調査書が提出されましたら、生活文化部におきましては、公害関係、自然保護関係について専門アドバイザーの助言を得ながら慎重に審査をしてまいる所存でございます。
 次に、同和問題における同和教育子供会についてのご質問にお答えをいたします。
 同和教育子供会は、子供の実態に学び、その姿を通して子供たちを取り巻く課題解決のための活動をしてまいりました。同和教育子供会が地域の教育活動の核として果たしてきた役割は、子供たちの教育条件をも高めてまいり、相当な成果を上げてきたものと考えております。しかしながら、今もなお、それぞれの地域において抱えている課題があることも事実であります。
 県といたしましては、周辺の子供集団との交流活動を活発化するように指導するとともに、課題が解決されたとする子供会については市町が責任を持って地域と話し合いを持ち、その意見を十分反映させる中で今後は地域子供会として取り組むことを確認するなど、関係各市町と協議を重ねているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 鶴田議員のご質問にお答えします。
 まず、西防埋立地利用における二点についてであります。
 沖出しの地元合意についてでありますが、平成六年三月の住友金属工業株式会社からの「西防波堤沖埋立地の利用計画見直しについて」の申し出の中で、関係全自治会のご理解をちょうだいすることができたとの報告を受けております。このことは、企業の申し出とはいえ、埋め立てが公害発生源の移転を主な目的の一つとして計画された経緯から地元の意見を尊重したものであると認識しております。
 なお、県といたしましては、当時、沖合移転の中止について、遺憾ながらやむを得ないこととして、新たな土地利用計画について西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会に諮り、目下検討していただいているところでございます。
 次に、埋め立て目的との関係で問題はないかというご質問でございますが、西防波堤沖埋立地の新しい土地利用計画が確定し、現在の用途とそごを生じることになれば、公有水面埋立法第二十九条の規定に基づく用途変更の手続を行う必要があります。
 次に、関西相互住宅の倒産についてのご質問であります。
 関西相互住宅株式会社に対する指導監督につきましては、積立式宅地建物販売業法により、事業報告の届け出及び積立金等保全措置が講じられている旨の届け出が業者に対し義務づけられており、この届け出等またはその他の、例えば苦情等により何らかの問題を県が把握できた場合において、法律で義務づけられている以上の報告の徴収、立入検査等を行うことが必要となると考えております。
 関西相互住宅株式会社につきましては、事業報告等の法律上で求められている項目について審査を実施してまいりましたが、特に問題点は見受けられませんでした。また、苦情等もなかったことが実情であります。このため、経営の実態について疑いを持ち、法律で義務づけられている以上の、例えば立入検査等を行わなければならない必要性を感じることは困難でありました。
 今後、県といたしましては、積立式宅地建物販売業法に基づいて販売契約とみなされる契約をされている方に対し、法律により確保している営業保証金の配当に向けて作業を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) ご質問の三点についてお答え申し上げます。
 まず西防埋立地利用について、LNG基地、発電所をつくる危険性についてでございますが、県といたしましては、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会の最終答申をまって、安全性についても協議及び検討を行うことになるかと考えてございます。また、地震や地質などの安全性については、専門的な立場からアドバイザーなどの学識経験者の助言をいただかなければならないと考えてございます。
 次に官官接待、旅費等について、官官接待の現状、この一年で何を学んだかということでございますけれども、食糧費の執行につきましては、昨年来、全国的に大きな問題となっており、本県においてもいろいろとご指摘を受ける中、総務部長通達等を初め、機会あるごとにより一層の節度ある執行を促してきたところでございます。その結果、議員ご指摘のとおり、七年度の食糧費の決算額は二億七百万円となりました。現在の本県の食糧費の執行状況、特に関係省庁との懇談会はほとんど開かれていないのが現状でございます。
 なお、食糧費の問題につきましては、国と地方自治体との関係における現行制度上の要因もあるということが指摘されておりまして、その意味で今後地方分権を推進することが必要であると考えますが、本県としては、公務員の倫理が今まで以上に問われている今日、職員一人一人が初心に立ち返って県民の信頼にこたえる行政を進めることが重要だとの認識のもと、食糧費の節度ある執行についてより一層の周知徹底を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、旅費等についての総点検をということでございますけれども、職員の出張につきましては、地方自治体で種々問題が発生していることは承知しております。本県におきましては、従前から各所属長に対し、旅費等の適正な執行に努めるよう通知しているところでございます。職員の出張に際しましては、それぞれの所属長が所要の事項を厳正に審査の上出張命令を行い、適正に対処しているものと考えてございます。
 なお、議員ご指摘の趣旨を踏まえまして、今後さらに旅費の適正な執行について各所属長に徹底してまいる所存でございます。
 また、旅費に関する規定につきましては、国の旅費法に準拠して職員等の旅費に関する条例等が定められてございます。今後とも、国等の規定も見ながら研究してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 LNG発電所の立地につきましては、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会の中間報告で、LNG火力発電所の選択が妥当である、ただし、可能な限り新たな環境の負荷の抑制に留意すべきであり、最終判断のためには通商産業省の環境影響評価要綱等に基づく調査の実施が必要であるとされてございます。これを受けて関西電力株式会社は平成七年四月から環境調査を実施しておりますが、同時に、阪神・淡路大震災を踏まえた、地震対策を含む安全性の検討も実施しているところでございます。
 県といたしましては、検討委員会の最終答申を待っている段階でございますが、ご質問の地質や活断層の存在に伴う耐震性及び防災保安対策等については、県の電源立地の判断基準の一つである安全性の範疇に入るものと考えてございます。
 次に自然エネルギーによる発電についてでございますが、現在、県のエネルギー施策の一つとして、自然エネルギー等クリーンなエネルギーの活用を検討することといたしてございます。この方針に基づきまして、平成七年度から二カ年にわたり新エネルギービジョン策定事業を実施しているところでございます。
 平成七年度におきましては、初期段階調査として県内における新エネルギーの導入実績調査、利用可能性調査等を行い、「新エネルギー導入のガイドブック」を作成し、市町村、事業者等への導入促進を図ってございます。さらに今年度は県内の公共施設における具体的な導入を検討するとともに、十一月末からは県内において風況調査を実施しているところでございます。
 今後、導入目標の想定、目標に向かっての方法等を取りまとめ、日照時間が長く、海岸線に面して比較的風力が強い本県の地域特性を生かした新エネルギーの導入促進を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 同和問題に係る残事業についてでございます。
 物的事業につきましては、現行法期限内に完了すべく懸命の努力を重ねてまいりましたが、当初計画していた事業のうち、街路事業、公共下水道整備事業等の一部の事業が法期限後に約九十億円残らざるを得ない状況となってございます。これらの事業は行政が責任を持って執行しなければならない事業であり、早期解決に取り組む必要がございます。また、登録されていない事業もございますので、今後、一般対策に工夫を加える中で取り組まなければならないものと考えてございます。
 次に、県や市町村事業についてでございます。
 今後残された課題は、一つは実態調査等から県全体との格差が存在すること、二つには啓発・教育についてより積極的に推進しなければならない課題が存在すること、三つには県下の市町村間における同和対策の課題が異なること、これらの主な三つの課題がございます。その課題解決に向けて、基本的には国の動向を十分見きわめながら施策の適正な推進に努めてまいりたいと考えております。
 したがいまして、県としては、地域改善対策協議会意見具申及び閣議決定、並びに同和地区実態調査結果等を勘案して、現在実施している事業の見直し等をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 同和教育のあり方についてお答えいたします。
 同和教育の推進につきましては、同和地区児童生徒の学力の向上と同和問題に対する理解や認識を深めることを重要な課題として、これまで同和加配教員の配置や進学奨励事業など、さまざまな施策を講じてまいりました。その結果、学力や認識等、多くの面で成果を上げ、課題の解消が進んできております。しかしながら、平成四年に実施した学習状況調査の結果を見ますと、同和地区児童生徒の総合正答率は、地区外の児童生徒と比べ、小学校で約四・五%、中学校で約七・六%低くなってございます。また、同和地区児童生徒の家庭環境を見ますと、保護家庭や母子家庭などの比率が非常に高くなっており、こうした生徒の場合、学力の差がさらに大きくなってきております。このことが進学率にもつながり、最近五年間の高校進学率では四ないし六%、大学では一二ないし一五%の差となってあらわれてきております。
 一方、教育委員会に報告された子供の発言問題を見てみますと、同和問題をみずからの課題として受けとめ切れていない状況や、あるいは大人の同和問題に対する誤った意識等が子供に反映している状況もうかがえます。
 地対協の意見具申におきましては、同和問題は過去の課題ではなく人権問題の重要な柱としてとらえ、教育・啓発が今後の重要な課題であると指摘しているところでございます。私たち教育委員会といたしましては、子供の現実こそ教育の原点であるととらえ、同和教育だけでなく、障害児の教育やいじめ問題などにおいても、何よりも子供の実態に基づいた実践を大切にしてきているところでございます。
 ご指摘の県同和教育基本方針は、個人の尊厳を重んじ、基本的人権の尊重を理念として、事実に即し、立場や考え方の違いを超えて一致点を見出し、実践に努めることを示したものであります。
 今後も県同和教育基本方針に基づいた教育を推進してまいりますが、この場合にあっても、同和教育推進協議会を初め多くの方々から意見をお聞きし、子供や地域の実態に即して同和教育の内容や方法等に創意工夫を加えてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 代表監査委員宮市武彦君。
 〔宮市武彦君、登壇〕
○代表監査委員(宮市武彦君) 鶴田議員にお答えいたします。
 空出張疑惑についてでございますが、地方自治法第二百四十二条第一項の規定に基づき、和歌山県監査委員に対する監査委員事務局の監査請求が平成八年九月四日に提出されましたが、同法第二百四十二条第二項の規定によって、請求期間の一年を経過しており、また一年以内に請求ができなかった正当な理由が認められなかったので、同法規定により却下いたしました。
 なお、第二百四十二条第二項の本文が監査請求期間を行為のあった日または終わった日から一年以内に限定している趣旨は、行政に係る法律関係の早期安定を図るためであり、長く住民監査請求の対象としておくことが法的安定を損ない、好ましくないという理由からであると考えております。
 議員ご指摘のとおり、この問題は全国的に取り上げられているところでございますが、当監査委員事務局においても疑問を持たれたことはまことに遺憾でございます。今後は、これらの問題について適正に対処してまいりたいと考えています。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、幾つかの意見を申し上げて質問とさせていただきます。
 LNGの発電所あるいはタンク群の設置の問題について。これからいろいろと判断材料となるような調査結果が出てまいると思います。それをどう読み解いていくのかということが非常に重要な問題になってくるわけです。
 先ほどの質問でも申し上げましたが、関西電力から提出されるアセスメント等については、みずからの実施しようとする事業を否定するようなアセスメントは恐らく出てこないだろうと考えています。そういうものをどういうふうに冷徹に読み通していくかということが行政の任務として非常に重要な課題になってくると思います。そしてまた、アセスメントに盛られていない問題であっても、在野の学者から、あるいは研究家から、あの埋立地に対するそのような建築がいかに危険であるかということがしばしば研究され、論じられているところであります。そういうものを行政がどのようにくみ上げて判断材料にしていくか。それが非常に大きな意味を持ってくると思います。何よりも関電側の理論に流されることなく県民の命を守るという立場で考える姿勢、それを行政として貫いていただきたいと思うわけであります。疑わしきは建設せず、こういう明確な態度がこれから県民の安全を守っていく上で極めて重要であろうと思います。そういう立場を貫いていただきたいということを申し上げておきます。
 土木部長に、二点、意見がございます。一点は住友金属の沖出し中止の問題についてですが、地元合意についてどのように掌握しているかという質問をいたしました。住友金属から地元の合意を得ていると聞いているということについては、既にもうこの議場で幾度かお聞きいたしました。私がお尋ねをしたのは、それがどのような内容であるのか、地元とはどういう層までを指しているのか、地域住民の中にはそういうものを承知していない人がたくさんいるではないかと、そういう立場からの質問でした。それに対してはお答えがありませんでした。実際に聞いていないのだからここで答弁のしようがないと思いますから再質問はいたしませんが、次にまたお聞きいたします。
 なぜするかというと、公害を受けていた地元の方々が実際に公害問題に対してどう考えているのか、沖出し中止をどう考えているのかというのは、行政としては重大な判断材料としなければならないことだと思うからであります。それを単に、住友金属からかように聞いている、それを行政として聞いているというのでは、住民に対して余りにも無責任ではないかと思うわけです。また、次の機会に聞かせていただきます。
 もう一つ、関西相互住宅の問題です。苦情がなかった、あるいは報告書に問題がなかった、だから何ら疑いを抱かなかったと、これだけでは行政の責任を果たしたとは言えないと思います。それだったら、だれでもやれます。私は、建築課自身がそのような不祥事が起こることを前提にしてその課を構成しているとは思いません。当然、それはそうだと思います。しかしだからといって、疑いがなかったから何もしなかったというのでは、自分たちには全く責任はございませんという開き直りにしかすぎない。やはり、そこには行政として考えなければならないことがあるはずです。実際に多数の被害者が出たわけです。その被害者を出さないために監督責任が県に与えられていたわけです。そこを何ら振り返ることなく、知らなかった、苦情がなかったと、それだけで済ますというのでは責任を持った態度とは言えないと思います。反省を願いたい。
 同和問題で幾つか発言をしたいと思いましたが、時間がなくなりました。教育長とは、見直し問題で意見が一致しませんでした。私もまた勉強して教育長と次の議会で議論をしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 以上で、終わります。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(下川俊樹君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時七分散会

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