平成8年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(松本泰造議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時四分再開
○副議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番松本泰造君。
 〔松本泰造君、登壇〕(拍手)
○松本泰造君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。なお、一般質問も七番目ということになりますと重複する箇所もありますけれども、お許しをいただきまして質問を続けたいと思います。
 さて、十一月二十九日に召集をされた第百三十九臨時国会において、所信表明演説に立った橋本首相は、「我が国は高齢化の進展、財政の危機的状況、産業の空洞化など山積する課題に直面し、放置すれば世界の潮流から取り残されかねない。今こそ政治、行政、経済、社会の変革と創造を何としてもやり遂げねばならない」との強い決意と危機感を述べ、一人一人が将来に夢や目標を抱き、創造性とチャレンジ精神を存分に発揮できる社会を目指し、その実現のため五つの改革を最重要課題として掲げ、特に行政改革では中央省庁再編を中核として進め、同時に大幅な規制撤廃と緩和、地方や民間への業務や権限の移譲についても抜本的見直しを行う考えを示し、なかんずく行政改革には、いろんな抵抗や困難が予想されるが、火だるまになってでもやり抜く決意を表明し、行政改革会議で一年以内に成案を取りまとめ、一九九八年の通常国会に法案を提出して二〇〇一年一月一日までに新体制へ移行というスケジュールを提示して国民の協力を要請したところでありますけれども、果たして計画どおり改革が進むのかどうか、二十一世紀の我が国の浮沈がかかっているだけに、その実行に大きな期待を寄せるところであります。
 さて、和歌山県においては、一年前に西口知事が就任以来、「変革と信頼の県政」を旗印に掲げ、行政改革大綱に基づき重点項目である行政組織の見直しを行い、第一弾として本年四月に本庁組織の再編が実施されたところであります。
 そこで、まず最初に、本県における今後の行財政改革について質問をいたします。
 最近の新聞紙上では、国はもとより各地方自治体においても大幅なリストラの断行や行財政改革への取り組み等々の記事が連日掲載され、国、地方を問わず、行財政改革への取り組みが大きなうねりとなりつつあります。
 そこで、第一点として、こうした国の姿勢や各地方自治体の改革熱が高まる中で、本県では行政組織の改革第二弾として、来春の人事異動時期に向けて、出先機関や外郭団体等を含めた見直しや組織の簡素効率化等、どのような検討が加えられつつあるのか、取り組みと決意のほどを伺いたいと思います。
 第二点目としては、行財政改革を単に行政だけに背負わせるのではなく、僣越でありますけれども、私個人の考え方としては、県議会としても議会を聖域とすることなく、まず政治に携わる者として「隗より始めよ」の感覚と意識を持ち、平等に改革が進行できるよう可能な限り協力すべきであろうと考えております。
 第三点目は、県内五十の市町村がいずれも財政状況の悪化が顕著になってきているようでありますが、県として地方自治体の行革や体質改善並びに地方分権の受け皿づくり、すなわち県職員を含め市町村職員のレベルアップなど、どのような指導やアドバイスを行っているのか、伺いたいと思います。
 次に、先般、当局から説明のありました和歌山県長期総合計画中間報告案について質問をいたします。
 今から十五年先の西暦二〇一〇年を目標年次とする新しい長期総合計画は、本年二月に審議会に諮問以来、各専門委員会、総合計画委員会、圏域別意見交換会等々を経て中間報告案として取りまとめられたものでありまして、来年度に審議会から答申を得た後、正式計画を決定し、スタートするとのことであります。私自身も関心のあるテーマを中心にぱらぱらと斜め読みをしたのでありますが、まさに二十一世紀の和歌山はバラ色あふれる計画案であり、計画立案、取りまとめや調整、審議に参画をしていただいた多くの方々に心から感謝を申し上げる次第であります。我が国、我が県を取り巻く社会経済情勢が目まぐるしく変革し、国においても抜本的な行財政改革が焦眉の急と言われる昨今の暗たんたるムードの中で、こんなにバラ色の計画が果たして実現可能かどうか、大変心配するところであります。
 そこで、一、二点、感じたままを原稿にまとめ、質問をいたします。
 まず第一点は、基本構想に基づく基本計画、地域計画の各項目のどれをとっても必要不可欠のものばかりでありますけれども、現今、国も県も市町村も、厳しい財政難に直面している状況下、特に地方では事務事業量の増加が見られる中で財源確保が最大の課題であり、せっかくの計画が絵にかいたもちに終わらないかと案ずるところでありまして、計画とその財源等についてどうお考えか、企画部長にお伺いをいたしたいと思います。
 第二点目は、計画を進める上で県民の本音と建前の違いや、総論賛成・各論反対が顕著にあらわれてきて、例えば用地買収や補償問題、住民合意などの解決に大変な労力と期間を要し、計画や事業、施策のおくれ、中断等、さまざまな問題を克服せねばなりません。すなわち、西口知事がいつも言われる県民意識の改革や公共心の醸成等が大事であり、目標達成上、県民の参加と協力が必要不可欠の要素でなかろうかと考えます。そこで、本計画のまとめに当たってはどこかにそれを力説しておくべきと考えますが、企画部長の見解を賜っておきたいと存じます。
 次に、第三点目として、地域計画すなわち圏域の問題についてであります。
 私の住む有田市は有田圏域に属しておりますけれども、紀北、中紀、紀南のエリア分けをすると、あるときには紀北の一角であり、ある面では中紀北部とみなされ、選挙区では紀南と言われ、常に水に漂う浮き草のごとき立場にあり、県政の重点施策遂行上、軽視されやすい地域ではないのかとの、こんなひがみを感ずるところであります。すなわち、県の施設が紀北では和歌山市周辺に偏っていることは周知の事実であります。不特定多数の県民が利用する施設であれば、人口も多く交通機関の発達した町への立地が必要かもしれませんけれども、目的を持って特定の県民が利用する施設、例えばスポーツ施設、教育や研修施設等は有田圏域などにもっと配慮していただくよう位置づけを願うところであります。新しく長期総合計画を策定するに当たり、知事からご見解を賜りたいと存じます。
 次に、「阪和銀行の業務停止とその対応について」と題し、質問を予定しておったのでありますけれども、昨日来、何人もの議員さんから質問があり、知事並びに担当部長から答弁をいただいておりますので、私は質問というより要望を申し上げたいと存じます。
 民間の信用調査機関によりますと、阪和銀行営業停止に伴う連鎖倒産は十二月中旬から影響が出始め、ニシキファイナンスの連鎖倒産三十六件を上回る関連倒産が発生する危険性があると警告しているようであります。こうした中、関西相互住宅と系列金融会社カンサイファイナンスが関連倒産しましたが、関西相互住宅は県の免許を受けた積立式宅地建物販売業を逸脱して不特定多数の人から積立金名目の高額預金を集めていた出資法違反の疑いにより、和歌山県警は十二月七日、社長、専務ら三人を逮捕し、本社や支店など七カ所を家宅捜索し、帳簿や顧客リストなど多数を押収したと報じられております。
 関西相互住宅の支店のある有田市では被害は市内一円に広がっているようでありまして、聞くところによりますと市の年間予算に匹敵する約百億を超す被害があるのではないかと、こんな情報が流れております。「とらの子の年金をだまし取られてしまった」と悲嘆に暮れる老夫婦や、「マイホーム実現の夢が一瞬にしてつぶれた上に、生活費までつぎ込んでしまった」と憔悴し切った若夫婦、そして、銀行より利回りがいい、税金もかからない有利な条件と勧めにきた同社従業員の自宅へ連日債権者が押しかけるなど、さながら生き地獄のような話で持ち切りでありまして、事態は極めて深刻であります。先日の新聞によりますと、関西相互住宅はこうして集めた資金を活用して別会社を設立し、愛知県や岐阜県でパチンコ屋を経営するなど、新たな事実が浮かび上がってきているようであります。
 そこで、和歌山県警としては、関西相互住宅の金の流れや隠し資産等、徹底した事実解明を急がれますとともに、県としては破産管財人との連携を密にされ、県民被害が最小限にとどまるべく特に意を用いていただきますよう要望申し上げる次第であります。
 とにかく、年の瀬を控え、阪和銀行の業務停止とそれに伴う関連倒産など、県民生活の不安を除去し、暮らしの安定と安心確保の見地から、県におかれては国並びに県下各金融機関、各商工会議所、県信用保証協会や関係市町村との連携を密にされ、万全の体制で取り組まれ、被害や倒産を最小限に食いとめるべく適宜・適切かつスピーディーな取り組みを特に要望申し上げ、この項の質問を省略させていただきます。
 次に、県立医科大学移転整備事業について質問を行います。
 平成六年度より工事着手された県立医科大学移転整備事業については、和歌山市紀三井寺の元競馬場跡地に建設工事が進捗中であり、既に附属病院棟十三階の威容が輪郭をあらわしつつあります。当移転整備に係る事業費は、医療研究機器等備品費を除き約八百億円を投じる大事業とのことでありますが、平成十年度末の完工を目指して急ピッチの工事が進められており、高齢化社会を迎えた中で県民医療の中核として大きな期待が寄せられておるところであります。
 そこで、県立医大移転整備事業に関連し、建設工事等のハード面と完成後の附属病院におけるソフト面の充実についてお伺いをいたします。
 まず第一点は、現在、建設工事は平成六年度、七年度着工分に続き、本年度は管理棟、図書館や研修棟、進学・基礎講義棟、講堂、RI・動物実験棟、福利厚生棟等々が着工される予定と伺っております。多くのJVや業者、メーカーが入り組んでの工事となっているようでありますが、進捗状況についてお伺いをいたします。
 第二点目に、現在建設工事中の多目的ホールの工事現場で痛ましい死亡事故が発生しましたが、それよりもより大規模で多くの工事がふくそうしている医大現場では、労働災害の防止等、安全管理面でどのような対策が講じられているのか、伺いたいと思います。
 第三点目として、今回の建設工事には多くのゼネコンが参入しておりますが、県内業者の受注機会の確保や地元購買、地元雇用等についてどのような意を用いられているのか、伺いたいと思います。
 次に、四点目として、新しい施設の防災対策やライフラインの確保についてであります。
 昨年一月十七日に発生した阪神・淡路大震災では、最新の病院施設でも入院患者が建物の下敷きになるなど、多くの病院で被害が多発し、ライフラインの寸断等、深刻な事態が発生しましたが、現在、建設中の医大病院ではこうした教訓を踏まえ、防災対策やライフライン確保の面でどのような対策が講じられているのか、伺いたいと思います。
 第五点目として、ソフト面の充実について質問をいたします。完成後、診療部門の充実、高度医療や最新医療機器の導入、救急医療体制等がどう充実するのか、伺いたいと思います。
 六点目として、新病院は最新の設備とシステムが導入され、運営自体も大きく変化するはずであり、したがって医師、看護婦、技師や事務関係者等の研修や連携協力が欠かせない要素であろうと推察しますが、今後どう対処されるのか、伺っておきたいと思います。
 次に、県立医科大学の入試方針と地方への医師派遣についてであります。
 和歌山県立医科大学は、創立以来五十年以上の輝かしい歴史を有し、特に県内に点在する公立病院への医師派遣等を通じて県内の医療全般に大きな貢献をしてきたことは、万人が認めるところであります。前段申し上げましたとおり、現在、最新技術の粋を集めた建築工事が進行中でありますが、平成十年度末の完成移転に合わせ、地方の医科大学としてのあり方をより充実させていただきたく、質問をいたします。
 まず第一点は、先般の報道によると、東京大学医学部では、早ければ一九九九年度の入学試験から面接選考を全面的に導入する方針を決定したとのことであります。背景にはオウム真理教事件、薬害エイズ事件への医師のかかわり等を踏まえ、医師にふさわしい人間性かどうかを見抜くことにしたいとのことであり、国立大学四十二校中十七校で既に面接選考が実施されているようであります。そこで、県立医大においては、従来から入学試験時の面接選考等、どのような対応がなされ、重視されてきているのか伺いたいと存じます。
 二点目は、県内の公立病院はいずこも同じ経営難に見舞われており、病院会計健全化のため、県の指導もあって事務委託等思い切った施策を講じるなど、涙ぐましい経営努力が行われておるのでありますが、どこの公立病院とも派遣医師の問題に頭を悩ませているとのことであります。
 第三点目は、県内の医療をリードする県立医大からの派遣医師のあり方や派遣条件、派遣先での心構えや地域医療に対する心得など、どのような指導が行われているのか。また、大学移転後も地方公立病院との連携や県民の健康維持増進、地域医療の向上などにどう貢献されていくのか、お伺いをいたしたいと思います。
 最後に、国道四十二号の有田市から海南間の渋滞解消への取り組みについてであります。
 この問題につきましては、昨年六月、本年二月の県議会で実情を訴え、要望をさせていただきましたが、今回も質問項目の中に入れさせていただきました。午前中に田辺市選出の大沢議員さんからも応援演説をいただいたところでありますけれども、実は、この区間の渋滞解消のため、当面の対策として最大のネックである下津町の小南交差点で改修工事が始まり、この後、何カ所かで局部改修が実施される予定と聞かされているものの、抜本対策とはほど遠く、特に最近では上下線ともかなりの渋滞が続いております。
 こうした中、九月三日には県土木部長に有田までお越しいただき、早朝の渋滞実態をつぶさに視察をしていただきました。当日の朝は、有田市から県庁まで、わずか二十九キロのこの区間を一時間三十分を要したところであります。また、十一月二十八日には、小南交差点において朝六時から夜八時まで十四時間にわたり、はがき手渡しによるアンケート調査が実施をされました。以上のごとく、県土木部として、近畿地建との連携を密にされ、前向きに対処していただいておりますことに改めて感謝を申し上げる次第であります。
 なお、アンケート調査の当日、私も現地に駆けつけ、信号待ちのドライバーに対してはがきを手渡す作業に従事をしてくれておる若者たちに感想を聞きました。ある若者は「私たちの予想以上に車両が多く、全く驚いています」と答え、ある若者は「ドライバーの皆さんが非常に協力的で、渋滞解消への願いが伝わってくる」と語り、またある青年は「トラックやローリーなど、大型車両の多さが特に目立ちます」とのことでありました。まさに国道四十二号は、生活道路であると同時に産業と物流の動脈であり、有田市、下津町地方の住民にとっては一日も早く動脈硬化の切開手術をしてほしいというのが長年の悲願であります。
 こうした住民の願いを受けて、有田市と下津町で構成する有田周辺国道整備促進協議会がことしも県、そして近畿地建和歌山工事事務所、それに近畿地方建設局並びに建設大臣へ当該区間の抜本改修や拡幅について陳情活動を行いました。このうち、近畿地方建設局の道路部長は、十一月六日付の朝日新聞の「論壇」に掲載をされた「道路特定財源制度の堅持を」と題する西口知事主張のコピーを提示されながら、「和歌山の知事さんのおっしゃられるとおり、まだまだ地方の願いは深刻であり、とにかく財源がないと皆さんの願いを実現できないだけに、道路財源の確保には力強いバックアップを賜りたい」とのことでありました。知事さんの主張については、きのうの中山議員さん、午前中の大沢議員さんからも紹介がありましたが、西口知事の主張には全く同感であることを改めて強調する次第であります。
 さて、有田市と下津町で結成する整備促進協議会には、来年度から海南市、それに有田郡の町村会も加入していただくことになっており、より幅広く力強い運動を展開していく手はずになっていることも、あわせてこの機会に申し添えておきます。
 ところで、十一月二十八日実施のアンケートの結果はいつごろ集約され、それをどう活用されていくのか。さらに、平成九年度の改修見通し、県土木部としての考え方等について伺っておきたいと存じます。
 以上で演壇からの私の質問を終わりますが、知事初め当局の誠意ある答弁を求めます。
 ご清聴ありがとうございました。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの松本泰造君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 松本議員にお答えをいたします。
 まず行政改革についてでございますが、これまでもお答えをしておりますように、本県においては、昨年の十一月に策定をした行政改革大綱に基づきまして、行財政運営全般にわたる総点検を行っておるところでございます。行政組織については本年の四月に本庁組織の改編を実施したところでございまして、今後、より県民の身近なところにある地方機関あるいは外郭団体等についても積極的な見直しを行い、組織の簡素効率化、県民から信頼される役割を果たし得る体制づくりを目指してまいりたいと考えてございます。
 また、議員のお話にもございました議会における改革についても、行政改革大綱の趣旨をご理解いただきまして、主体的なお取り組みをお願いいたしたいと思います。いずれにしましても、行政改革の推進に当たっては県議会のご理解とご協力が不可欠と考えておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 次に、県の長期総合計画を策定するに当たり、県施設の県内分散についてのご意見であります。
 県の施設につきましては、それぞれの行政目的に合わせて規模や場所の検討を行い、県内各地に設置できるよう努力を続けておるところでございます。しかしながら、議員ご指摘のように、確かに人口の多い和歌山市などには、集客を目指す、いわゆる多くの人にご利用いただくような大規模施設を設置することになっておるわけでありますが、県土の均衡ある発展のためには県施設の適切な分散が必要である、そのご意見については全く同感であると思います。
 現在策定を進めている新しい長期総合計画におきましては、生活圏域ごとに地域計画を策定する予定でありますので、圏域の整備に当たりましては、その地域の特性、個性というものを最大限に生かし、さらに交通や情報通信の基盤整備を図りながら、必要な施設をその目的あるいは内容に合わせた、県土の均衡ある発展のためにも考慮をいたしながら整備をしていきたい、そのように考えてございます。
 以上です。
○副議長(下川俊樹君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 行政改革と医大整備についてお答えします。
 まず行政改革の中で、県職員を含め市町村職員のレベルアップ等についてでございますが、県職員の人材育成に関しましては、本年度から政策形成能力、業務遂行能力、目標による管理能力を兼ね備えた職員の養成に力点を置いた研修体制への見直し、異分野での体験をさせるための民間企業等への実務派遣研修の推進などを行ったところであり、今後とも職員の資質の向上に努めてまいります。
 次に、市町村における行政改革でございますが、地方分権の時代にふさわしい社会の変化に対応した簡素で効率的な行政体制を確立することは、市町村にとって極めて大切なことであると考えてございます。現在、全市町村において行政改革大綱が策定されまして、自主的、主体的に行政改革に取り組まれているところでございます。
 また、市町村がみずからの創意に基づいてさまざまな課題に的確に対応していくためには、市町村の政策形成能力の向上を図る必要がございます。このためには、議員ご指摘のように、地方分権の担い手としてふさわしい人材の育成・確保が重要な課題でございまして、市町村職員の研修体制の充実が必要であると考えてございます。
 そのため、県におきましても、各市町村に対して各研修機関への積極的な参加を指導してございますが、全市町村で構成する和歌山県市町村職員研修協議会におきましても、自主的な研修体制を確立し、より充実した研修内容とするため、平成九年度に向けて研修協議会の専任事務局の設置を含め、運営体制を強化すべく準備を進めているところでございます。
 次に、医科大学移転整備についての六点についてお答え申し上げます。
 まず工事の進捗状況についてでございますけれども、県立医科大学の移転整備については、平成十一年春の完成を目指し、現在、事業を進めているところでございます。
 平成六年度に着工した附属病院は、鉄骨組み立てがほぼ完了した段階でございます。昨年度発注した基礎・臨床研究棟、基礎実習棟、エネルギーセンターとあわせ、建築工事の進捗率は四〇%程度でございまして、事業はおおむね順調に進捗してございます。
 次に、建設現場での労働災害の防止等、安全管理面についてでございますが、医科大学の建設現場では請負業者により県立医科大学移転整備工事災害防止協議会が組織されておりまして、日ごろから安全対策施設の点検、作業員への安全教育等、安全対策の徹底を指導しているところでございます。今後一層、作業員の増加あるいは工事のふくそう化が進みますので、適正な工程監理とあわせ事故防止の十分な指導をしてまいりたいと考えてございます。
 第三点目の、県内業者の受注機会の確保等についてでございますが、大規模工事については、平成六年度、七年度は条件つき一般競争入札で、また今年度は公募型指名競争入札により共同企業体への発注を行いましたが、いずれも県内企業が参入できる条件を付したところでございます。また、比較的小規模な工事については指名競争入札により発注し、移転整備事業の請負業者には多くの県内業者が含まれてございます。また、発注後、元請業者に対しては、かねてより建設業法を踏まえつつ、県内企業への発注、地元雇用を指導しているところでございます。
 次に、防災対策についてでございますが、各施設とも建築基準法及び日本建築学会構造計算基準に準拠し、十分配慮してございます。極めてまれな大震災においても人命の安全確保を前提に、建物全体はもちろん、内装、設備機器等の落下・転倒防止、重要配管類の損傷防止等が図られるよう設計してございます。特に、高層建物である附属病院については、建物全体を軽くするため鉄骨構造とするとともに、鋼管で補強した基礎ぐいを使用するなど、耐震上十分な性能を持つ構造としてございます。また、非常時の重要な医療機器の稼働等のための非常用発電機の設置や医療用水等を確保するための非常用貯水槽の設置等、災害時のライフラインの確保にも十分配慮してございます。
 次にソフト面の充実でございますが、新病院では高度医療を提供する県内唯一の特定機能病院としてふさわしい施設とするため、最新の医療機器を導入するほか、救急部門については処置室を二室から五室に、病床数を四床から十五床に拡充するとともに、妊婦でリスクの大きな患者に適切な対応ができる周産期部門など、中央診療部門を充実いたしてございます。また、待ち時間の短縮等、患者サービスの向上を図るためのオーダーリングシステム等の導入も計画してございます。
 最後に、医師、看護婦等の研修についてでございますが、導入する予定の最新の医療機器や医療情報システムを移転当初からスムーズかつ効果的に活用していくためには、医師、看護婦、技師等、病院関係者に対して事前の十分な操作練習や実施訓練が欠かせないものと考えてございます。現病院の運営に支障がないよう考慮するとともに、新病院のスムーズな稼働を図れるよう綿密なスケジュールを立て、効率的な研修を実施してまいりたいと考えてございます。
 県内唯一の医学の教育研究機関として、また県民医療の中核施設として十分に機能する施設となるよう、今後も事業の推進に遺憾のないよう努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 松本議員にお答え申し上げます。
 県の長期総合計画の実施と財源の関係についてでございますが、新しい長期総合計画の策定については、本年二月に審議会に諮問しておりまして、本年度中に審議会で中間取りまとめをしていただく予定でございます。その後、施策の検討を行い、九年度に答申をいただき、計画決定したいと考えてございます。
 計画の策定に当たっては、税収等の財源の推計を行った上で、二十一世紀において多様な豊かさと活力が実現できる県づくりを目標に、リーディングプロジェクトや施策を位置づけてまいりたいと存じます。さらに、計画策定後に三カ年程度の短期的な事業実施計画を策定してまいりたいと存じます。
 次に、県民の参加と協力についてでございますが、新しい長計の目標に向けて、県では市町村や国と連携をとりながら施策を展開いたしますが、住民が郷土に誇りと愛着を持ち、幅広い分野でのボランティア活動や住民が主体となる交流活動を展開することが地域に活力をもたらすものと考えてございます。地域づくりにおいては、行政の取り組みとともに、議員ご指摘のとおり、県民の参加と協力が不可欠だと考えますので、事業の実施に当たっては県民の積極的な参画を求め、進めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 松本議員のご質問にお答えします。
 国道四十二号渋滞解消への取り組みでございますが、まず最初に、議員ご指摘のありました有田・海南間のアンケート調査については、有田・海南間の交通の実態を知るという目的で十一月二十八日に実施したところでございますが、この結果については年明けの一月末までに取りまとめる予定としております。その後、調査結果をもとにして、当地域からの交通とそれ以外の地域に関係する交通に区分するといったようなことをいたしまして、交通の特性を整理したいと考えております。このようにすることにより、渋滞対策を確立するための基礎的資料として活用できると考えております。
 次に、当面の渋滞対策については、先生のご質問の中にもありましたとおり、本年度、建設省において下津町小南交差点の改良工事に着手されており、引き続き、有田市初島町里交差点及び海南市の冷水交差点の工事に着手する予定と聞いております。また、抜本的な対策として、バイパスあるいは現道拡幅等についても国及び地元の市あるいは町とも協力しながら、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 医科大学学長駒井則彦君。
 〔駒井則彦君、登壇〕
○医科大学学長(駒井則彦君) 県立医科大学の入学試験における面接選考についてでありますが、本学は早くより入学試験に面接を加えております。特に、平成七年度から分離・分割方式になり、前期・後期日程ともに面接を重要視しております。
 合格者については、大学入試センター試験の成績、個別学力試験の成績、小論文及び面接等を総合的に判定して決定しております。特に面接においては、議員ご指摘のとおり、医師としてふさわしい人間性を有するかどうかを見抜くことが最も重要であると考えておりまして、医師としての適性の評価方法について絶えず検討しております。
 次に、地方への医師の派遣についてでありますが、本学は医学生の教育、高度医療の提供及び研究だけでなく、医師の派遣等、地域医療への貢献についても努力いたしておりますが、派遣先病院との十分な事前協議の必要性も認識しているところでございます。県下の公的病院の病院長・事務長会議においても本学の学長及び附属病院長が各公的病院のご意見をお聞きするなど、実情の把握に努めているところでございます。今後は、医師の派遣におきまして、さらに地域医療に貢献できるよう、派遣先病院の生の声を反映してまいりたいと考えております。
 統合移転後は、生涯研修センターを設置し、各関連病院との医療情報ネットワークを構築し、画像診断及び臨床検査等の支援を行うよう計画しております。
 以上です。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(下川俊樹君) 再質問がございませんので、以上で松本泰造君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(下川俊樹君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時四十七分散会

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